運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-26 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十六日(土曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員安田敏雄君及び江田三郎君辞 任につき、その補欠として小柳勇君及 び久保等君を議長において指名した。   ————————————— 出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            秋山 長造君            久保  等君            藤原 道子君            田畑 金光君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   政府委員    厚生省保険局長 太宰 博邦君    労働政務次官  赤澤 正道君    労働省職業安定    局長      堀  秀夫君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省保険局健    康保険課長   加藤信太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○失業保険法及び職業安定法の一部を  改正する法律案衆議院提出) ○厚生年金保険法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○日雇労働者健康保険法の一部を改正  する法律案衆議院提出) ○船員保険法の一部を改正する法律案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、ただいまから会議を開きます。  きのうに引き続きまして、失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案厚生年金保険法の一部を改正する法律案日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案船員保険法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。質疑のおありの方は、逐次御発言をお願いいたします。
  3. 坂本昭

    坂本昭君 きのうに引き続きまして日雇労働者健康保険の一部改正の問題につきまして若干質問を続けたいと思います。きのうは一番この日雇健康保険問題点である二カ月間の待期期間給付を受けることのできないという法的な欠陥を解決することが緊急の一番大事な点であるということについていろいろと審議を尽くして参ったのでありますが、さらに続けてお尋ねいたしたい点は、確かに厚生省答弁にあったように、根本的にむずかしい問題点がありますが、しかし、むずかしい問題点があって速急に解決したいというそれだけの言葉ではとうてい満足することがまだでき得ないのでございます。従って、そういう基本的な問題にも触れながらさらにお尋ねをいたしたいと思います。  まず、きのういろいろとお尋ねしたことでは、なかなか解決めどがつかないようですが、次にお尋ねいたしたい点は、むしろ被保険者保険料定額にしていくというような方途をとることによって、手帳をもらった場合にはいつでも医者にかかれるという方法を講ずることはでき得ない。つまり保険料定額にするというようなことについては、これはいろいろ取り扱いの仕方があろうと思いますが、今日でも生活保護法については地域差があります。それからまた、失対の賃金についても、なるほどこのたびは三百三十四円にはなったけれども、御承知通り、これも地域差があるし、また、一つ地域でも二十五通り級別がある。従って、日雇健康保険の現在においても二十円と十八円という二通りの種類がありますが、この保険料定額にして、そうして被保険者からも取るが、さらに事業所の方に日雇労働者を雇った数に何らかの定率をかけて、そうして事業所から金を徴収していく、そういうような方法によってこの困難な問題を基本的に解決をしていく。というのは、ほかのあれと違って日雇いという特殊な条件、しかし、彼らも憲法に示された労働権利というものを行使することによって生きる権利を持っているわけであります。従って、困難な点については国ができるだけ責任を持っていく、そうしてこれを解決するという意味で今のような定額保険料を取っていく、こういうことを考えてはいかがかと思いますので、厚生省の御見解を承りたい。
  4. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 昨日お答え申し上げましたように、一回だけの日雇いとして雇用されたというようなことだけで手帳を出すということに、技術的になかなか問題があるということを申し上げたのでありますが、これは保険料を一回だけ——定額保険料というお話でありますが、おそらく一回だけというようなお気持であろうかとも思いますが、もしそうだとすれば、やはり同じように検討しなければならぬ点があろうかと思います。また、事業主の方にも負担をしてもらうという場合に、もしその事業所に日々雇い入れられるわけでありますから、必ずしもその事業所に来ない。その場合に、事業主の方から今の定額保険料事業主負担分をどうして取るか。かりに一カ月分を定額保険料として取るんだ——意見あるいは違うかもしれませんが、かりにそうだといたしますというと、自分の所には一カ月来るか来ねかわからぬのに事業主は一カ月分を出さばければならぬということになると、これは事業主としてもまた問題も出てこようかと思います。そういうことは、ただいま御意見承ったばかりですぐ申し上げるのはいかがかと思いますが、私どももそういうふうな形ということも検討してみなければならぬものだと存じているわけでして、この問題につきましては、大へんあれでございますが、私どもも今直ちにこの方向でいけば何とかめどがつくのじゃないかということにまでも実は固まっていないのは恐縮なんでございますが、その辺については、ただいまの御意見は承っておきまして、私ども検討いたします場合にそういう方向について、何らかその道はないかという点も検討いたしたいと思いますので、それまでは御了承願います。
  5. 坂本昭

    坂本昭君 確かに今のような場合に、事業所で集める困難と、それからまた、被保険者から徴収する困難と二つの点があると思います。しかし、今のような考えも十分成り立つのです。この日雇問題というものは、八十九万の人を徹底的に一つ救い上げていこうという場合に、今の考えも一応成り立つということは一つ指摘しておきたいと思います。  それからまた、特に、被保険者の側の保険料を徴収することについては、現に今でも組合がこれをやっているところがある。従って、その被保険者の徴収について、特に組合管掌方式といいますか、組合でこれを取っていく。そしてまた、この国の負担分どもその組合に対して与える、こういう組合管掌方式ということも私は積極的に推進していいのではないかとも思う。これは現に、ちょっとお尋ねしておきたいのですが、労働保険組合がたしか幾つかあって、国はそれぞれ補助金も出しているはずであります。幾つおありか、ちょっと御説明いただきたいのです。
  6. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 兵庫県に二つございます。
  7. 坂本昭

    坂本昭君 全国に二つだけ……。あとほかにも私はあるのじゃないかと思っておったのですが。それでは、その二つだけがすべてだということがはっきりいたしました。そうしますと、特に三十四年度予算の中で、健康保険組合補助の中に給付費臨時補助金というものがあってこの中に日雇労働保険組合二つに対して一千六百六十六万四千円というものが交付されております。この交付基準医療給付費の十分の一相当額ということになっておりますが、この交付額一千六百六十六万四千円は、これは補助金でありますか、それともどういう目的で出されたものであって、あとあとどういう扱いにするものか、御説明いただきたい。
  8. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これは健康保険組合の中に、やはり被保険者の数は相当ございますけれども財政状況が非常に悪いものがございます。それに対しまして、昨年度からそういう悪いものについて国が若干の補助をする、こういう措置を講じました。今年度予算におきましてはそれが一億でございます。これは国庫補助でございます。その業態の悪い組合につきまして、それを国が補助するということにした、その組合の中に、先ほど申し上げました兵庫県の二つ日雇い組合がございます。これは日雇健康保険制度ができます前から総合組合として健康保険制度の中でまあ実施をしてきたという実績がございます。で、これはまあ私どもとしてもそれを尊重して、そうしてまあ健康保険組合の中で運営を願っているわけでございますが、その場合におきまして、やはりそれに対するテコ入れという点については、私ども一般健康保険組合の大部分のように、まあ政府管掌よりも何事もいいはずだというような考えじゃなしに、特別に考慮せにゃならぬじゃないかという意味相当の額を補助しているわけであります。で、この点につきましては、今後ともその組合のめんどうを見、また、組合が堅実に伸びますように、そういう面の補助も続けていきたいと、こういう気持を持っているわけであります。
  9. 坂本昭

    坂本昭君 今のお考えは、非常に私は至当な考えだと思います。特に労働保険の中でも非常に立場の悪い、しかし勤勉な零細な労働者のこういう保険に対して、国が補助金を出すということは私は至当なことだと思うのであります。特に臨時補助金というこれが出たのは、多分例の診療報酬の八・五%引き上げに関連していろいろと経営が困難になってくるということで出されたのではないかと大蔵省説明には出ておりますが、ただ、心配なのは、この補助金は、その性格から見ても、組合財政が好転し、収支に余裕の生じたときは国庫に返還させる建前となっているというふうな、これは大蔵当局説明がついている。この点は返還させる建前というふうな書き方はひどくあいまいであって、返還させることをもうあらかじめ大蔵当局は期待しているような書き方で、ただいまの局長の御答弁と少し食い違うような気がするので、私は局長答弁を支持するものでありますが、その点、この臨時補助金扱い、今度の三十五年度の場合もやはり臨時補助金として一億円出ておりますが、この臨時補助金というものの性格一つ明確にしておいていただいて、私はこの日雇健保については厚生省をぜひとも支持して皆さんのお考え通りにやっていきたいと思いますが、もう少し客観的な御説明をいただきたい。
  10. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 表面的に申しますれば、お話のようにこれは臨時補助金でございます。従いまして、将来恒久的にやるということには今日なっておりません。それからその補助を受けました組合財政が好転いたしました場合にはこれは返還すると、こういうことに相なっております。まあこれは当然のことであると思います。しかし、まあその返還の場合のいろいろな条件というようなものについては、私どもといたしましては、大蔵省ともそれは相談して、まあ事態に合った適切な措置をとりたい、その際においての私どもの基本的な心がまえを実は先ほどまあ申し上げた次第でございまして、極力そういう線で、そういう組合でがんばっている人たちを応援してやりたいという気持を持っていることを申し上げておきます。
  11. 坂本昭

    坂本昭君 きのう来の審議を通して日雇労働者特殊性、特に失業問題と直接関連をした中で、非常な苦労をして働いている、零細にしてかつ勤勉な労働者の生活安定のために国が責任を持たなければならないということは私はほぼ明らかになったと思いますので、今の点は局長答弁通りの線に従ってわれわれとしてはこれを推進していきたいという、私たち決意を表明しておきたいと思います。で、きのう来局長と技術的ないろいろな質疑を繰り返しまして、結論は得ておりません。結論は得ておりませんが、こういう不完全にして内容の不十分な日雇健康保険をもうやめてしまえという議論は全然起こらなかった、特に厚生大臣御自身この日雇健保というものは推進をする、そういう明確な御答弁もいただきましたので、そういう立場に立ってこれは緊急に日雇労働者健康保険法の基本的な改正がされなければならないということを、私はこの際、確認をしておきたい。なるほどもう三十四年度は三月三十一日までもうわずかしかありません。今急に基本的な改革案をここで出す、あるいはそれを提示せよということは私は無理だと思いますが、緊急といっても政府の緊急には二年も三年も皆緊急の中に入ってしまう場合があるので、この際、今の皆保険を来年度に控えて、日雇健康保険の問題の中には皆保険に反する内容も入っている。さらにいろいろ具体的に不十分な点がある。その中で今の基本的な、皆保険に関する点についての基本的な改革具体案というものをいつまでに提示するという、その決意についてこれは技術的な問題がありましょうから、まず局長から答弁いただき、さらにこれは厚生大臣のお約束を一ついただいておきたい、そういう意味大臣の御答弁をいただきたい。
  12. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 先に私から御答弁申し上げますが、昨日来御指摘のあった点につきまして、私どもも前から問題があるので検討しなければならぬ、ことに皆保険になって参りましたのでやらなければいかぬということで、これは今後早急に検討して参りたい。しかし、物事の基本に触れる問題でございますので、これをいつまでやるということをここで申し上げることが、また技術的な面もございましてここで申し上げることができませんが、一面において、日雇健康保険制度保険運営について財政的にも非常に逼迫しておる現状でございますので、そう何年もかかってやるようなのんきなことでは許されない状況でもございますし、この点は明確にいつまでということは申し上げかねまするけれども、そういう点からいたしましても早急に検討いたしたい、かように存じております。
  13. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) ただいま局長から答弁がございましたように、できるだけ内容を充実いたさせまして、そうして臨時補助金といったようなそういう性格のものも将来は恒久的なものに持っていきたい。それから時間的においてはどういう時期からかと、こう申しますと、私はただいま国民皆保険を控えておりますので、できるだけ社会保険審議会等にもこれを諮問いたしましてなるべく早い機会にこれを解決いたしたい、かように存じておるわけでございます。
  14. 坂本昭

    坂本昭君 早い機会というのは……。
  15. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) その時期は、早い機会と申しましても……。
  16. 坂本昭

    坂本昭君 在任中に……。
  17. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) なるべく早い機会というのはできるだけというふうに……。在任中といっても、私はいつ……。
  18. 坂本昭

    坂本昭君 できるだけとかいうことだけでは納得いかないので、これは渡邊厚生大臣責任のもとにとにかく着手する、そしてわしが在任中に責任をもって解決をするという程度の御決意を賜わらないと、なかなかお役所の皆さんはのんきにかまえてしまいまして、仕事をサボるかもしれないので、この点は大臣笑っておられないで、一つ積極的にお進めいただきたい。もし積極的にお進めされるようならば、確かにわれわれも留任運動するかもしれません。(笑声)  それでは次に、今度の一部改正の中におきまして予算扱いについて少しお尋ねしたいのですが、まず国庫負担の点につきまして、従来の療養給付家族療養費支給に要する費用について、四分の一の国庫負担が今度は十分の三になりましたか、それでどの程度の差が生まれてくるか御説明いただきたい。  それともう一つは、傷病手当金出産手当金支給に要する費用国庫負担、これが三分の一が十分の三になった、この点も幾ら幾ら予算的に変わってきたか、御説明を願いたい。
  19. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これは三十五年度の平年度化したことで申し上げます。国庫負担医療給付費及び現金給付費を十分の三に改めましたことによる一般会計、つまり国庫負担の増は三億一千九百六十九万円でございます。それから歳出の方で傷病手当金待期を四日から三日にいたしましたことによる歳出増が千四百万円でございます。それから出産手当金支給日数十四日を二十一日に引き延ばしました結果の支出増が三百二十四万、合わせまして千七百二十四万であります。
  20. 坂本昭

    坂本昭君 この皆さん資料を拝見しますと、たとえば傷病手当金出産手当金、特に傷病手当金の場合ですが、この場合三十三年度予算と三十三年度決算が非常に差があります。三十三年度予算では傷病手当金は二億二千二百八十五万九千円、それが決算においては三千六百十三万二千円、六分の一程度つまり実績しかない。非常に少ない。出産手当金についても二百四十六万一千円が、決算では百四十四万三千円、半分とは言いませんけれども、半分に近い。三十四年度のあら方がわかっているのではないかと思いますので、三十四年度日雇健康勘定について少しく御説明をいただきたいと思います。
  21. 加藤信太郎

    説明員加藤信太郎君) 便宜私から数字のことでございますから御説明さしていただきます。御指摘の三十三年度予算につきまして二億数千万円を計上いたしましたところ、御指摘のように、予算の見積もりに比較いたしまして、支出は非常に少なくなっております。御承知のように、この制度は三十三年度から始まりました制度で、私どもといたしましては、まあ不十分ではございましたが、予算を立てますために実態調査をして始めましたところ、日雇労働者実態調査そのものが非常にむずかしい問題でございましてまあ不手際の結果こういう状態になったわけでございます。なお、反対に医療給付費を見ますと、これも私どもは過去の経験と趨勢をたどりまして予算を計上いたしましたので、ごらんを願いますとわかるように、給付費の方は今度は見込みがえらく狂いまして、三十四年度予算では医療給付費が四十四億の予定のものが四十五億で、しかも未払いを残しておる状況でございます。そういうことでございまして、予算決算との違いは御指摘のようにまことに不始末でございますが、私どもとしては精一ぱいいたしましても見込みがどうも一向に少なくて、実際になりますと非常に大きく狂ってくるというような状況でございます。三十四年度見込みにつきましては、当初歳入は三十八億を予定しておりましたところ、現在の見込みでは三十八億七千万、約七千万の保険料収入増でございます。それからそのほかに雑収入の増もございまして、最終的には歳入の総計六十一億予想しておりましたところ、六十三億になりまして二億数千万円の歳入増になる見込みでございます。歳入は三十四年度予算では六十一億五千万円予想しておりましたところが、現在の見込みでは六十二億三千万円、約八千万円ふえる予定でございます。一方歳出の方は合計で申し上げますと、六十一億五千万円の見込みに対しまして六十四億六千万円の予定でございます。従いまして、その差は約三億でございます。歳入の方の八千万円を引きましても、なお二億数千万円の見込み違いがございます。これは残念ながら本年度では消化し切れませんので、翌年度にこの未払いを残さざるを得ないような状況でございます。これが三十四年度の概況でございます。なお三十五年度につきましては、現在御審議を願っておるわけでございますが、私どもは従来の数字を使いまして推計いたしましても、どうしても収支バランスがとれませんので、これはやむを得ず五億七千万円の借入金を計上いたしまして、収支バランスを辛うじて保っている状況でございます。ただし、この予算は先ほど申し上げましたように、非常に見通しのむずかしいものでございますから、予備費相当見積もる必要がございますので、二億三千万円を見積もっております。この給付費に対する比率は三・三%でございます。
  22. 坂本昭

    坂本昭君 今、非常に見込み違いが大きいということをるる説明されましたが、私はこれは当然だと思うのです。私はこれは厚生省は責めません。これは皆さんがなまけているからというのではなくて、やっぱり日雇労働者実態上やむを得ぬことですよ。ですからこれはこういう困難なものに対して社会保障をやっておられるあなた方の責任で、怠慢のせいだとは私は決して思わない。この点は幾ら食い違ってもあまり遠慮することなしに、どんどんと予算を取っていただきたい。きのう来労働省の人も——肝心の労働者の人が日雇い労働者実態をつかんでいないような状況の中で、あなた方がこれらの人たち医療保障をしようとしたって非常にむずかしいということは当然のことなんです。従って、それに対して初めから国として責任を持って見ていくという態勢を私はとらざるを得ない、そういうふうに考えておりますから、見込み違いがあるからといって、そんなに謙遜されないでもいいと思います。ただ、今の中で傷病手当金の三十四年度予算決算内容、これだけ一つ触れていただきたいのですが。決算はまだできないでしようが、三十四年度はどれくらいになっているか。
  23. 加藤信太郎

    説明員加藤信太郎君) 三十四年度傷病手当金予算をちょっと私手元に、三十四年度現金給付の中で、傷病手当金とその他の医療費……。
  24. 坂本昭

    坂本昭君 私のところに三億三千百二十三万八千円というのが、あなた方の方で出していただいた資料の十二表の下の方に金額が載っておりますが……。
  25. 加藤信太郎

    説明員加藤信太郎君) 予算につきましては、御指摘のように、十二表に載っておるわけでございますが、決算見込みを実は手元資料を持ってきておりませんので正確に……。この三億三千百二十三万八千円に見合う数字は現在の段階では、一億六千二百六十三万六千円と見込んでおります。
  26. 坂本昭

    坂本昭君 そうすると、最初の見込み違いはよかったのですけれども、もう三十三年、三十四年となってくれば、二年目のときにも傷病手当金の方が半分しか決算の結果が出ないというのは、どうも研究不十分じゃないでしょうかね。何か御説明ありますか。
  27. 加藤信太郎

    説明員加藤信太郎君) 実は御承知のように、三十四年度予算を編成いたしますのは、政府の、厚生省といたしまして大蔵省に要求いたしますのは、八月ごろで、実際に内閣が決定いたしますのが年末ないし翌年の一月でございまして、先ほど申し上げましたように、傷病手当金制度を始めましたのは、三十三年の十月でございまして、三十三年度実績は、その当時は、ほとんどわかっておりません。辛うじて三十五年度予算編成のときにほぼ一年に近い実績がつかめましたので、これも私どもといたしましては、制度が始まって一年というのは、広報宣伝その他に不十分な点がございますので、あるいは今度は逆に予想よりもふえるかと思いますが、私どもといたしましては、手元にある資料で整理していく以外に、現在特にいい方法が見当たりませんので、それを使っての状況でございまして、三十四年度も、三十三年度と全く同様に、当初の実態調査を基礎にしたものでございます。
  28. 坂本昭

    坂本昭君 そうしますと、ちょっとこの際伺っておきたいのですが、健保国保日雇い、これらの中における受診率、それから今の療養日数、こういうものを、大体平均出ていると思いますが、ちょっとそれを比較していただいて、日雇健保には何か特殊性があるかどうか。ちょっとそういう点、御参考に御説明していただきたい。
  29. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) ちょっと少し古くなるかもしれませんが、傾向として私の手元数字を申し上げます。
  30. 坂本昭

    坂本昭君 年度を言って下さ。年度がいつということを。
  31. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 政府管掌ですね、一応三十一年、三十二年度のあれがございます。で、政府管掌受診率本人分だけについて申し上げます。入院の方が三十一年が〇・二六七でございます。それから三十二年が〇・一九八です。ですから、〇・二弱でございますね。それでそれに対しまして健康保険組合管掌、三十一年の入院でございますが、〇・一八二、それから三十二年が〇・一七九、これは若干政府管掌より受診率が低いという傾向、それから日雇いの方が〇・一〇一でございますか、三十一年、それから〇・二〇、これはやはり相当低うございます。それから国保でございます。三十一年同じく本人入院の方が〇・〇五五、これはさらに低うございます。三十二年も〇・〇六〇ということで、これはぐっとまた低くなっております。ちょっと資料自体が三十一、三十二年で恐縮でございますが、手元のもので傾向だけ申し上げておきます。
  32. 坂本昭

    坂本昭君 非常に傾向としてよくわかりますですね。同じ労働者でありながら、同じ労働保険の対象でありながら、政府管掌の半分程度受診率ということの意味をやはりわれわれとして考えてみる必要があると思います。おそらく、日雇い人たちは病気になっても休むこともできないほど生活に追い詰められておるという点が主眼点だと思うのです。ところが、傷病手当金の問題については、いろいろな私は疑問点がある。これほど追い詰められて受診率も少ない、入院もしない、こういう人たちについて、従来待期の期間が健康保険よりも日数が多かった、こういう点は私はきわめて不当な取り扱いであったと思う。今度、これが健康保険並みになったということ、これは一つも私は進歩だと思わない。当然のことであたりまえのことだ、特にこの中で待期の期間が一緒になったけれども、法律の文章を読むと、健康保険の場合と日雇健康保険の場合で傷病手当金支給する条件が根本的に違う、御承知通り健康保険の場合には、療養のため労務に服することのできなかった方々に対して傷病手当金支給される。ところが、日雇健康保険の場合には、療養給付を受けておる場合について労務に服することのできなかった期間、つまり日雇健保の場合には療養給付を受けておる場合とさらに限定せられておる。これはなぜこういうふうに同じ労働者でありながら違った取り扱い方をしておられるのですか。
  33. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 御指摘のように、健康保険と違いまして日雇健康保険法においては、被保険者傷病手当金をもらいますその条件といたしまして療養給付を受けている場合において、その療養のために労務に服することができない期間ということで、療養給付を受けているということが一つ加わっております。これは一つには大体病気になりましてすぐ労務不能になるという場合もございましょうが、また、お医者さんにかかりながらも働くだけ働くという場合もあるわけでございます。そこで通常の労務、お医者さんにかかりながら働くというふうにやっていきますと、だんだん就労状況が悪くなって、そしてその結果としてこの労務不能になった場合においては、昨日申しましたように、受給資格要件が満たされないようなことになる場合もあり得る、そういうようなことになりましてはせっかくの保護の制度が生きてこないということのために、この療養給付というその時点において、その前二カ月間あるいは前六カ月間に何枚の印紙を貼付しておるということにしてきめてあげた方がこの被保険者のためにも親切じゃないかというような考え方が一つございます。  それからもう一つの理由は、普通の従業している人たちと違いまして、日雇いの諸君は日々雇い入れられるというような関係でもって、労務不能ということ自体をつかむということがなかなか困難でございまして、はたしてきのう来たがきょう来なかったということでもって、すぐそれを労務不能ということは、事業主側にしてもなかなかそれはつかみがたいというようなことからいたしまして、これをやはり療養給付の受給というものに関連せしめて把握する以外に方法がない、まあこういうようなことから、この条文に特に健康保険などに比べて一つ療養給付を受けている場合はおいて」という規定が入っておるのでございます。
  34. 坂本昭

    坂本昭君 今の点、具体的な場合について検討しているとまだ問題がたくさんあるように思うのです。がしかし、今一応厚生省は行政の立場からいうと、まあ親切にこういう操作をしているということですが、この点についてはまたもう少し検討さしていただきたいと思います。が、少なくともこの傷病手当金支給する日数、この日数がわずかに十四日間であるということ、この点は健康保険の方が六カ月であるということと対比してあまりにも少な過ぎる、これはもう十四日間もらったんでは、これはとうてい生活できない。非常に短い、短いだけじゃない。実は金額の上においても一級が二百円、二級が百四十円、非常に少ない金額がさらにわずか十四日間である。そうして皆さんの方では予算を組んでいると、非常な見込み違いの問題もあるが、かなりこの傷病手当金については決算の結果は少額になっている。この十四日間というものをもっと延ばすことができ得るのではないか、さらに今の金額の点についてもこれを改正する余地があるのではないか、その二つの点についてお尋ねをいたしたい。
  35. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 傷病手当金支給期間は現在十四日になっておるわけで、これを延ばすようなことを考えたらどうかという御質問が第一でございますが、これはその保険財政というものとの関連も考えねばなりません。相当な経費の増になるわけでございまして、その点はこの傷病手当金予算自体だけを取り出してみれば余りがあるじゃないかということでありますけれども、先ほど主管課長から申し上げましたように、療養給付費の方において非常な大きな赤字を出しておるような今日でございまするので、私どもといたしましては、その点については全般的に、やはりにらみ合わして考えなければならぬということであります。さらにこの建前として考えてみましても、大体今日日雇いの諸君の平均勤労日数が月間二十一日くらいかと存じますが、それの均衡を考えて参りまして、これがあまりに延ばすということになりますると、逆選択というような問題も起こってくるおそれがあり、そういうような点も建前としては考えてみねばならぬというようなこともございまして、これはやはり総合的に検討してみたいと存じます。  それから金額の点でございまするが、現在は一級が二百円、それから二級が百四十円になっております。これは大体一級あるいは二級に該当する人たちの平均賃金を出しまして、それの大体六割というもので計算しておると思うのであります。なお、これは失業保険の方との見合いもございます。この点についてはだんだんそれはよくして参りたいということについては、私どもも御意見と同じでございまするが、やはりそういう点とのにらみ合わせにおいても考えて参らねばならぬ、かように考えておる次第であります。
  36. 坂本昭

    坂本昭君 先ほど受診率のことをお尋ねしましたが、医療給付の平均ですね、一人々々についての。これを健康保険日雇い国保についてもうすでにおわかりになっておる数を説明していただきたい。
  37. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 一人平均でございますか。
  38. 坂本昭

    坂本昭君 一人、年間ですね。日雇いはきのう六千七百幾らと言いましたね。
  39. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 政府管掌の三十三年度で申し上げます。一人当たり、医療給付が七千七百九十七円でございます。それから……。
  40. 坂本昭

    坂本昭君 組合管掌がある。組合管掌日雇い国保ですね。
  41. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) ちょっと組合を除きまして、国保を申し上げます。三十三年度一人当たり金額が千八百六十一円でございます。それから健保組合八千五百九十八円、それから日雇いが五千五百十四円でございます。
  42. 坂本昭

    坂本昭君 国保はえらく少ないけれども、間違いないですか、この数。
  43. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 被保険者一人当たりでございます。国保の場合は家族がおりまして、それぞれが被保険者になっておるという関係でこれが低くなっております。
  44. 坂本昭

    坂本昭君 この数を見ましても、今の日雇いが特に医療給付費の単価が多いということではありません。従っていつもこれは予算よりも上回って、いつも決算の結果赤字だと言っておられますが、それはやはり法の予算の面における立て方が基本的に間違っておるからそういう結果になるのだろうと思うのです。そのために、傷病手当金の方が余ったからといって、それをふやすのは相なりませんと言われる局長の先ほどの御説明は、私は当たらないと思うのです。むしろ、日雇いの人などは、組合管掌等に比べていろんな福祉施設、医療施設、公衆衛生、予防、いろんな点で非常に劣っております。劣っておって、その日その日で暮らしをしている人ですから、これらの人の医療を守るということについては、特に重点を注がなければならないし、また、労働者自体としては、よほど悪くならなければ医者にかからないという傾向があって、結果的には公衆衛生上の面からもまずい結果を起こすことが十分あり得ると思います。そういう点では傷病手当金を十分に与えて、心配なしに病気をなおしてしまうと、そういう態勢をとるべきであります。それをむしろ逆選択ということをおそれて、この傷病手当金の日数を増さないということは、これは厚生省のすることではないと思う。少なくとも健康保険の六カ月に近い線までできるだけもっていく、そうしてもちろん、たとえばこの日雇い手帳を交付されてから非常に日数が少ないとか、そういうような特殊な場合のいろんな傷病手当金の日数について、いろいろ検討を加えるということは、これは私は技術的に検討していただいても差しつかえないと思いますが、少なくとも六カ月に対してわずか十四日間ということは、これはどうも傷病手当の、手当の名に値しない、私はそういうふうに言わざるを得ません。今度は、これは議員の提案として修正された、出産手当金を二十一日としましたが、私はこの理論もわからないのです。肝心の議員が、委員長の説によるとおそれをなして出てこないということですが、二十一日に延びたということの理論もまず私はわからない、たとえば今日労働基準法では出産前、出産後六週間ずつの産前産後の休養の規定ができておって、それに伴って健康保険法でも、出産手当はその間支給されることになっておる、従来日雇健康保険法で、出産手当金支給限度が二週間であったということについて、これは労働省としてはどういう見解を持っておられますか。一つ今度は労働省の御説明をいただきたいと思います。
  45. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) 社会保険のいろいろな給付があるわけでありますが、そのうちの出産手当その他産前産後の関係の分につきましては、これはやはり社会保障的な見地から考えられるべきものであると考えております。労働基準法には、御承知のように、産前産後の休暇の規定がございます。基準法は、これは最低の線でございます。労働基準法はそういう意味におきまして産前産後の休暇を認めておりますけれども、それについて有給にするとか、あるいはどの程度の金額を支給するかということは規定しておらないことは御承知通りでございます。これはただいま申し上げましたように、まあ労働条件としての使用者の守るべき最低の基準をきめたものであって、その出産がありましたならば、これだけの休暇を与えなければならないということを規定したわけでございます。そこで、社会保険立場からは、その間におきましてどの程度給付を行なうかということは、社会保障立場からきめるべきものであると考えます。ただ、現在のこの社会保険は、やはりその保険料を徴収し、それに国庫負担をあわせて行なう一種の保険の形になっておりまするから、保険経済というものを考えながら検討されなければならないことは当然でありますけれども、そのような見地から労働基準法で使用者が与えなければならないという最低の基準の上にどの程度のものを支給するかということは、厚生省において社会保険収支とにらみ合わせて、また、社会保障の観点から適当なものをきめるべき問題である、このように考えております。
  46. 坂本昭

    坂本昭君 労働省の見解は何か少しおかしいですね。労働基準法は最低の基準を示したものである。しかし、労働者自身が実際に守られるのは社会保険である。その保険厚生省の所管である。従ってその保険がどういうふうな給付をするか、結局その給付内容いかんが労働者労働実態を規定するということは、これは労働省の方もおわかりになると思う。実際にはこの出産手当のときの条件は、この法律の中にも、「出産手当金は、当該被保険者について、当該分べんの日の属する月の前四箇月間に通算して二十八日分以上第一級の保険料が納付されている場合は第一級、」「分べんの日の属する月の前四箇月間に」というふうに書いてある。これは私はなかなかうまい規定だと思うのです。一応こういうことによって今の労働基準法の最低基準に反しないように一応労働者を守ってはある。しかし、別の面から見るとその点はいいのですが、出産の前になってほかの一般健康保険の場合の労働者の場合は、その間出産手当が保障されています。だから、母体を十分に守って休養をとって正常分べんを済まして、そしてまた、六週間の休養を経て働くことができる。そこに完全な社会保障が行なわれ、母体の保護がとられている。労働者の生活というものも守られている。ところが、この日雇いの場合は、たった十四日しか手当金がもらえない。これでは肝心の出産前後各六週間ずつ正しい休養がとり得るとお考えになりますか。あなたの方では労働基準法に従って各監督官が見ておられるはずだけれども、そういう日雇い労働者実態をお調べになって、今のような出産前後の休養が正しくとられているということをお調べになったことがありますか。とうてい私は今のこの十四日では労働基準法の最低基準を維持して、労働者を守ることは不可能だと思います。で、あとの保険支出厚生省だからおれは知らぬということでは困るのです。あなたの方は、この今の出産手当金十四日間——今度は二十一日になりました、これは当然のことですから、二十一日ということで、労働者があなたの方の法律によって守られるという自信がおありですか。
  47. 堀秀夫

    政府委員(堀秀夫君) この点につきましては、労働省の婦人少年局の方でもいろいろな実態調査をしているところでございます。私ちょっと所管外でございますので、その点についての資料をただいま持ち合わしておりませんけれども、ただ、基本的な考え方として申せることは、これはやはり労働基準法に産前産後の規定もある。ですから、これが守られるためには、なるべくその休暇をとる場合において十分な裏付けがあるということが望ましいということは、われわれの立場として当然出てくるとろでございます。その意味におきまして十四日が二十一日になるという今回の改正案は一歩前進ではある、このように思っております。ただ、それをもって十分なりやいなやということになると、これは不十分な面も非常に多かろうと思います。ただ、この面につきましては、先ほど保険局長答弁にもありましたように、現行の保険の状態から申しまして、まあこの程度、現段階ではこの程度しかどうにもならない、こういうことでございますので、われわれもやむを得ないところではないかと思っておりますけれども、将来の問題、今後の問題といたしましては、この面についての改善がさらに行なわれることは労働省としてもまことに望ましいことである、このように考えております。
  48. 坂本昭

    坂本昭君 このように各他の健康保険法と比較してみましても、日雇いがあまりにもバランスを失して不当な扱いを受けていると言わざるを得ない。今の傷病手当金支給する日数についても、それからまた、療養の期間の定めについても、さらにまた、問題になっている出産の問題、分べん費についても、健康保険の方の場合は標準報酬月額の二分の一というのが分べん手当であります。ところが、日雇いの場合は二千円、この日雇い労働者の場合は二千円でよろしくて、それから今の出産手当も十四日間でよろしいという、これは多分厚生省ですから、何か医学的な根拠に基づいていると思うのですが、御説明を願いたい。
  49. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 御指摘のように、日雇健康保険給付内容は、健康保険給付内容と比較いたしますればこれは確かに悪いです。十分でないと思います。これはしかし保険料それ自体が、保険財政の収入面それ自体が、低額の所得の人たちが被保険者の大部分でございまするから十分に入らない、そういうようなことでございまして、国庫負担相当他よりもよくテコ入れしておるわけでございますが、それでもなおかつ不十分な点が御指摘のように出てきておるわけであります。この点につきましては、私どもといたしまして、国としても今回は十分の三に国庫負担率を引き上げたわけでございまするが、さらにそれを将来はだんだん逐次これを多くしていって、そうしてそれに伴い給付内外がよくなるようにこれを持っていきたいと、こういうことは申すまでもなく私ども考えておるところでございます。ただ、一ぺんにというわけにはなかなか参りませんが、これを逐次そういう方向に持っていきたいと、かように考えておるわけでございます。今の分べんの給付の二千円、あるいは出産手当金の十四日というもの、それ自体はこれは必ずしももちろん十分でないと思います。しかし、全然ゼロではないと、私ども考えておるわけであります。出産というような、分べんというふうなことは、何も突如としてできるわけじゃございませんで、十カ月前からだんだんそういうふうにわかってくる、普通の家庭におきましても、やはりその際に備えて、なかなか苦しい家計の中からも少しずつ準備しておるわけでございまするので、そういう点も考えてみますると、分べんの給付二千円、それだけではおそらくお産の場合に足らないと思いまするけれども、こういう平素からの些少の蓄積と合わせてやっていただきたい、こういうことで保険給付としてはやはり今日の段階においては、これ以上のことはなかなかできかねることでございます。しかし、先ほど冒頭に申しましたように、これをもって私ども決して足れりとしておるわけではございません。保険財政の面ともよく照らし合わせ、さらに国庫負担については、国家財政においてもさらにがんばってテコ入れを将来多くして、そうして給付内容を少しずつよくして参りたい、かように考えておる次第であります。
  50. 坂本昭

    坂本昭君 なるほど厚生省立場からいえば、保険料によってこの保険運営しなければならぬ、その保険料は収入に比例をしている、従って究極な問題は私は最低賃金の問題になってくると思います。最低賃金が確保されてない今日の労働状況の中で、その医療保障を守ろうとする厚生省は、それに一定のバランスのとれた保険料をかけていこうとすれば、どうしても定額になってくる。その結果、十分な医療保障が、同じような国民の一人であり、労働者であり、かつ勤勉な——特に日雇労働関係の人あたりは、私は勤勉な零細労働者であると思う。だからそういう人たちに対して今の労働省厚生省両方が責任の投げかけ合いをするような状況のもとでは、いつまでたったって私は解決しないと思う。この最低賃金の問題は、今ここで論じておってもきりがありませんから、とにかくこの日雇いの問題が労働行政と厚生行政の谷間にあるということは、これはもうわれわれとしてははっきり理解ができる。この点について最後に一点、できるだけ国の負担によってこの行政、日雇健保財政を維持していきたいということですが、この借入金の問題について少し伺いたい。それは先ほどちょっと担当の課長から歳入説明がありましたが、ちょっと私が見てわからなかった点がありますので伺いたいのですが、歳入の中に、この資料の中に保険料収入というのがありますね、この保険料収入というのはどういう内容ですか。
  51. 加藤信太郎

    説明員加藤信太郎君) 日雇健康保険保険料のとり方は、原則としては健康保険印紙を張っていただくということでございます。ところが、実際問題といたしまして、たとえば日雇いの一人が就業しても、手帳を持っていかないと、事業主が発行しない。あるいは何かの間違いで、事業主が払わない場合があります。私どもはそういう場合には、原則としては事業主日雇い保険料として現金で納めていただく。あるいは怠慢であれば私どもの方で見せていただいたときに、その分はあとからいただく。そういう方法をとっております。従いまして、常識的な保険料収入を二つに分けまして、郵政保険特別会計から印紙の売り上げとして入る分と保険個所で具体的に保険料としてあとから徴収する分と二つに分けておりまして、お尋ねの分は、後段の分でございます。
  52. 坂本昭

    坂本昭君 それて伺いたいのは、あなたの方では、この日雇健康保険財政がなかなかうまくいかない、借入金もしなくちゃいかぬということで、三十四年度予算を作るときには保険料収入において五%の収入増、医療給付費において二%の支出節減を目標として行政努力を行なってこられた。これは私はこんなけしからぬことはないと思うのです。行政指導の中で医療給付を二%も減らすような、国民皆保険をやるときに医者にかかるな、そういうような行政指導が一体どこにあるか。それからまた、今言われた通り保険料収入というのは、今の印紙を使わないのでございます。だから事業所にいって、お前は、国保に入ってる人でも、お前は日雇いに入れ入れと、そういう行政指導ができる、また現にやっている。この三十四年度のこういう行政努力、この行政努力の結果、多分実績をあけてこられたのだろうと思いますが、今のようなことではたして局長よろしいと思いますか。
  53. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) まあ保険制度を運用いたします場合においては、これはみんなどの保険におきましても零細な掛金をみんなかけて、そしてそれによって日進月歩の医療費をまかなっていくというような仕組みでやっておるわけでありまするから、制度運営それ自体がむだを省いて効率的にしかも適正にいくということはこれは私は当然だと思うのです。従いまして、行政努力としてはやはり収入の方には本来かけていただくべき筋合いのものにかけてなかったとか、たとえばその責任はどこにあるかは別といたしまして、やはりかけていただくものはかけていただく。それから支出の方も必要なものは支出いたしますけれども、そこがもしわれわれの監督の目が届かなかったために多少ルーズな点があったならば、そういう面は直して、そして必要なところには出す。これは私当然のことだと思うのでございます。ただ、日雇健康保険制度運営につきましては、先般来申し上げてありますように、いろいろなかなか技術的な問題がそこにからまって参りまして、ともすると監督等のあれも十分に届かないということが従来ございました。そういう面についてはこういうふうに赤字の予算でもってしばらくいかにゃいかぬというときでございますから、その面については従来も努力をして参りましたけれども、まあさらに努力をするということでございます。もちろんこれによってもう当然納める額以上のものを納めるというようなことをしたり、それから当然支出すべきものをそれを支出を減らすなんていうことは私ども毛頭考えてございません。この辺の運用はあくまでそれは先ほど申し上げましたように、適正にするということだけでございますので、この点はどうぞ御心配なく御了承いただきたいと思います。
  54. 坂本昭

    坂本昭君 それは心配せざるを得ないのですよ。来年国民皆保険になる、そういう場合において、あなたの方の行政指導がまずいというといろいろな摩擦が起きてくる。一、二例をあげますというと、三十四年度の、こういういわゆる保険料収入を五%上げなくちゃいかぬ、それから医療給付の二%の支出節減というような行政努力をやれという大蔵省の督促を受けたためでしょう、そのために三十四年度には各地に私はトラブルが起こっていると思う。たとえばその一例はこれは大臣知っておられると思いますが、今年の一月三十日に決裁された静岡県の御殿場市の事件ですが、これは静岡県は非常に国保に熱心な県であります。一生県命国保を中心として行政指導をやってきた、その御殿場に、ある木材の会社があります。そこに日雇いの人が勤めている。ところが、この人たちみな国保に入っている。それでなるほど国民健康保険法の第六条、適用除外の第五項には「日雇労働者健康保険保険者手帳の交付を受けて一年を経過しない者及び」云々として適用除外のいろいろの申請をすることになっておりますが、すべての会社、工場の人たちがこういう日雇健康保険のことについて精通しているとは思えない。この御殿場の木材工場では数名の方が日雇いの方に入らなかったところが、沼津社会保険出張所から来て、お前たち入っておらぬのはけしからぬというので、今の日雇労働者健康保険保険料六千六十円及び追徴金一千五百円の賦課処分を言い渡した。それで会社の人たちは、私らは実はよくそんなことは知らなかった。知らぬとは言わせない。日雇いのポスターも張ってこれを宣伝しているのに、この保険料を納めなかったのはけしからぬということで、六千六十円と追徴金一千五百円、これはもう気の毒なことです。なるほどこれだけ取ったら保険料収入五%上がりますよ。おそらく沼津社会保険出張所では五%の行政成績を上げてほめられているかもしれぬ。しかし、迷惑なのはこの会社です。会社は保険者である政府厚生大臣渡邊良夫氏の原処分に対して反対をして、その取り消しの処分を求めたところが、最終的には本請求は却下するということで、却下になっているのですよ。これなどどうも少し保険料収入を五%増さにゃいかぬという行政のあせりのために、私はこういう事件が起こったのじゃないかと思うのです。いかがに思われますか。
  55. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 行政努力の何パーセントかということはまあ大体そのときの状態を見て、まあこれくらいの——適正化を常にはかって参らなければなりませんが、大体そのくらい上がるかという一応の見通しでございます。それによってその実際に適正になっているものなら五%何しようと上がらないはずでございます。私どもはそれ以上に適正を乗り越えてオーバーするようなことは毛頭やるつもりはございませんし、また、そんなことも指示してございません。これはあくまでもそのときこれくらいあるであろうということを見込むだけでございまして、それは現実に適正になっておればそれでけっこうな話なんでございます。今御指摘の御殿場の事件は、ちょっと私も聞いておりませんでしたが、社会保険審査会に出たのでございますか、最終的には、多分そうだろうと思います。
  56. 坂本昭

    坂本昭君 多分そうでしょうね。
  57. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) そういう意味で別に、沼津の保険所でございましたか、しゃにむに五%上げろなんといって、そういうむちゃをやって、決して私の方はそれをほめるつもりはありません。かえってむしろしからなければいかぬ立場です。今の会社のこともちょっと詳細に聞いてつまびらかにしておりませんが、もしほんとうに日雇いは入らないでいい立場の人から、それをしゃにむに賦課をして、さらに追徴金までとったということでありますれば、これは当然改めねばならぬ。それは当然その会社側なり被保険者側でも社会保険審査会に提訴いたしまして公正なる委員の裁断を求める道が開かれておるので、今の御指摘の、多分最終は社会保険審査会にまできておることでございましょう。その結果どうであるかは私は存じませんが、とにかくそこでもって裁断を下したことが、行政庁のやっておることに対して間違いであるということでございますれば、私どもこれは深刻にその点を調査をいたしまして、そういうあやまちというものはこれは十分責任も追及しましょうし、それからわれわれも改めねばならぬと思います。ただ、一般的に申しますならば、たとえそういうところが救済手段で救われたとするならば、それはけっこうな話で、そういうことのない場合におきましても、私どもはそれは行政の衝に当たる者としては、これはほんとうに注意をして、かりそめにも御心配になったような、ただ何でもかんでも成績を上げればいいんだという星かせぎみたいなことはさせない。これは絶対にさせたくない。ただし、適正化をはかる余地がある限りは、その適正化をはかっていくことが全体の人たちの仕合わせですから、これはやらねばならぬ。その辺のかね合いは十分考慮していきたいと思います。
  58. 坂本昭

    坂本昭君 局長の御答弁の趣旨はよくわかりますが、とにかく日雇健康保険財政的に赤字であるということから、保険料収入において五%の収入増の行政努力を行なうものとして、なお不足する財源に充てるためにこの二億五千万円の借り入れを行なうということになったのであって、そのときに私は、厚生当局は大蔵省との間にこういう行政的な私は約束をしたと思う。結局そういう点が今の保険料収入の五%の増のために無理にいろいろなことをやった結果、こういう御殿場事件ができてきたのではないかと思う。従って、私はこういう点で、この大体保険料収入を五%も上げるというようなこと自身に非常な無理がある。ことにその五%という数を大蔵当局ははっきり書いておる。こういう行き方は私は不当だと思う。むしろ別の面でこれを解決をすべきであって、これについて今の御殿場事件も些細な問題でありますが、大臣、私は裁決をしていただきたい。特に国保に熱心な県において国保日雇いにはずせというような行政指導をやっておることについて、私はもっと国民が守られるという立場において指導していただきたい。法律を守り、その法律の中の財政を守るということのためにその指導をされるという行き方は私は誤っていると思う。一つこの点は、厚生大臣において今の御殿場事件をよく検討していただいて、もしそのような行政が各所に行なわれているとするならば改めていただきたい。その点の御答弁を願いたい。
  59. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) よく行政指導面を調べまして、そして誤りのなからしむるように指導いたしたいと、かようにお答えいたしておきます。
  60. 坂本昭

    坂本昭君 実は今度の国庫負担によって三億二千万円程度負担がふえて、これは三十四年度のときの計算では二億五千万程度というふうに計算をして、ちょうどそのふえる分だけ資金運用部資金からの借入金二億五千万円で実は操作をしてきたのであります。で、この借入金の償還は一体どういうふうにしていかれる見通しか、この点について御説明いただきたい。
  61. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) まあこういう借入金で予算を組むということは異例でございます。本来ならば、それだけの歳出があるならば、それに見合うだけの歳入というものを考えていくべき筋のものであろうと思います。しかしながら、この日雇健康保険制度におきましては、なかなかそういう保険料というものをふやすということにつきましても、まあほかの場合よりもより慎重に私ども考えねばならない面があると思います。その点につきましては、厚生大臣の諮問機関でございます社会保険審議会におきましてただいま検討をお願いしておるようなときでもございますし、私どもといたしましても、十分そういう審議会とも御意見も聞きながら検討して参りたい、まあかように思っておるところでございます。そこで昨年——三十四年度予算におきましては、国庫負担分をいただくことを予定してなおかつ借入金がまあ二億五千万ほどないと、私どもの見通しとしてどうしてもつじつまが合わない、こういうことでございます。これにつきましては一応借入金でもって泳いで参りまして、まあ普通の場合でございますと、これは借入金でございまするから、返さねばならぬ。その返すにはどういうふうな方途をとるべきかということにつきましては、私ども昨日来申し上げておりましたように、この日雇健康保険制度は皆保険にならんとするこの機会においてやはりいろいろな面から検討せねばならぬ。その場合にその一環としてこの問題もその点に合わせて考えて参りたいということで、実は昨年の二億五千万円に引き続きまして三十五年度予算におきましても五億七千万円という額を借入金でやっているわけでございます。これをどういうふうにするかにつきましては、十分全般とのにらみ合わせにおいて考えて参りたいと思います。
  62. 坂本昭

    坂本昭君 その全般とのにらみ合わせが、全般が日雇労働者全般ににらみをきかしてしまって、日雇労働者が取り上げられて借入金を償還するようなことになってはちょっと困るのであって、それを私は実は心配しているからお尋ねをしたのであります。つまり日雇労働者というものの特別な実情からこの保険というものを考えていただきたいと、おそらくこの点についてはこの委員会の委員各位皆さん、御意見ないと思うのです。われわれとしてもこれは全面的に推進しなければならない点だと考えているのです。で、これについて幾らお尋ねしても、これ以上なかなか厚生当局はいい知恵をお出しにならないようですが、何か知恵がありますか。
  63. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 今すぐ出ておりませんが、さらにしぼりたいということで……。ただこれだけは申し上げておきます。ちょっと御心配があるかと存じますが、かりにこういう借入金があるのを全部被保険者の人に負担させて、その保険料をしゃにむに取って解決するというようなこと自体は、昨日坂本委員から強く御指摘のありました社会保障制度全般の均衡のある発展並びに社会保障制度の後退をしないように、こういう点は私ども十分存じておりまするので、この人たちにだけ負担をかけるというようなことはいたしません。今の日雇いの諸君のまあ賃金の中において現在の保険料は必ずしも私は安いとは思いません。これも相当負担であるということはよく存じております。ただし、その中にはあるいはもう少し出せる人がございますれば、これはやっぱり出していただくのは私は全体のためにお願いしなきゃならぬ、しかし、それでなお足りない面は、これは国が全体の社会保障制度を推進する責任を持っておるわけでございますから、これは国において考えるということは当然予想されることでございます。その辺のことは十分私ども心して参りたいということを、一般論でございまして大へん恐縮でございますが、この際申し上げておきます。
  64. 坂本昭

    坂本昭君 それではまああと知恵をしぼっておやりになるということで、最大の、ベストを尽くしていただきたいのですが、今御殿場の例をあげたように、国保から無理にそこの人たちが希望しないのにもかかわらず、日雇健康保険の方へ強奪といいますか、さらっていこうというような行政もされておることであって、はなはだ遺憾だと申しましたが、一体来年からできる国民皆年金について、日雇労働者は、これを厚生年金の対象とするのですか。国民年金に押し込むのですか、一体どっちなのですか。
  65. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 日雇労働者の諸君を厚生年金保険に適用することにつきましては、法律の規定によりまして、たとえ日々雇い入れられるものでありましても、一カ月をこえて同一事業所に使われておりますれば、これは被保険者として扱うことになっておりますが、まあそうでない、日々それぞれ異なった事業所に働らくという人の場合につきましては、今日の状態のもとにおきましては、雇用の実態がなかなかいろんな点で隘路があってむずかしい点がございまして、その資格の得喪の確認とかあるいは報酬の定め方とか、いろいろ技術的な点もあります。それからまた、退職するという概念をどういうふうにきめるか、日々雇い入れられるわけでございまするから、その意味において給付要件である退職という概念もどういうふうに考えるかということについては、なかなか今の制度建前では保険になじまない点がございまして、それで、実際はなかなか適用されておらないようです。しかし、任意包括の事業所あたりに行っておる人につきまして、またその事業主と相談して、この適用を受けるということに道も開かれておるわけでございますが、そういうようなことでない場合におきましては、今日の段階においては、これは国民年金の方に入らなければならないと、こういうことに相なろうかと思います。
  66. 坂本昭

    坂本昭君 日雇労働者の定義について、最初から申し上げていろいろ困難があるということは申し上げておるのですが、私はむずかしいことについては議論しないで、少なくとも今手帳をもらって日雇労働者健康保険保険法の適用を受けておるこれらの諸君、この諸君は、今あなたの言われる通り労働保険の対象として当然厚生年金保険の対象になるべきである。あなたもそう言っておられる。いよいよ来年の四月一日から始まるのです。だから、少なくともこの手帳をもらって、今、日雇保険の対象になっておる人に対して明確なる方針はもう打ち出さなければいけない。大体、きょう年金局長が来ておられないのですが、年金局はどう考えておられるか、厚生大臣は一体どっちへ入れるおつもりなのですか。保険局へ入れるおつもりですか、年金局へ入れるおつもりですか、伺いたい。
  67. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) これは技術的に目下検討いたしておるのでございますが、これは国民皆保険を前提といたしまして、私はまあできるだけ日雇労務者につきましても国保の方に近づけていきたい、かように考えております。
  68. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記を落として。    〔速記中止〕
  69. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして。
  70. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 先ほどお答えいたしましたように、非常に技術的にむずかしい点がありますし、また、保険料の数理計算というような面からして高い保険料になった場合にかけ得るか、いろんな問題がございますので、今日の段階におきましては、一応国民年金という方に入る方が多いと思います。しかし、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、同一事業所に一カ月働く人は厚生年金の方に必ず入ることになる。また、そこの、働いておる事業所が任意包括加入というようなことであるいは健康保険に入る、あるいは厚生年金に入るということになりまする限りにおいては、極力そういう方向においてこの人たちを救済と申しますか、適用して参りたいと、かように考えております。今日の労働者は、極力、被用者でございまするから、被用者保険の系列においてしたいという考えを持っておりますが、現実問題として、やはりそういう制度上のいろんな隘路が解決されませんことには、これが実施が困難でございますので、その点は今日の段階においてはいたし方ないことだと思っております。
  71. 坂本昭

    坂本昭君 その技術的な困難さのゆえに問題の本質を混乱させたり、誤ってははなはだ迷惑であります。で、私はこの際、日雇労働者健康保険のこの内容について、内容というよりも種類別、事業別、この点をきのうからたびたびお尋ねをした。少なくともこの年金については厚生省当局がもっとその事業所別にこまかい分類をして、今のような局長答弁ならば、これらの人たちは厚生年金に入れて労働保険の系列に入れる、これらの人たちは国民年金の系列に入れるという、その程度の私は準備をしてしかるべきだと思う。特にきのうの審議の中で大臣は、日雇健康保険はこの法律で推進をしていきたいということは明確に御答弁になっている。そしてまた、私はいろいろな皆保険の面でも問題点があるから、定額保険料にしたらどうかという意見も述べた。ところが、局長定額保険料といういき方は困るということを申された。実際もしこの日雇い人たちを国民年金にするとすれば、これは定額の、つまり年金の中に入っていくわけです。ですから保険局長自身の答弁にも首尾一貫しないものがある。私はこの技術的に困難なことは当然予期されるけれども、その前に日雇い人たちのこの事業所実態、それでこう分類をして、これらの人は技術的にも厚生年金に入り得る、これらの人たちは技術的に非常に困難である。趣旨としては労働保険の対象として入れなければならないが、整備されるまではやむを得ないから国民年金ならば国民年金として、そうして、ある条件ができたならば今度は厚生年金にすると、明確な私は方針を打ち出していただかなければ、来年四月一日からいよいよ国民年金始まろうとする。厚生大臣は年金とそれからこの保険とごちゃごちゃになってしまって頭が混乱しているようですから、少し頭を冷やしておいていただいて、最後にまた御答弁していただきますが、その前に保険局長からもう少し明確な答弁をしていただきたい。今のままだったらこりゃ全く整備できない、整備できないままでことし一ぱい終わってしまったのでは、これはゆゆしき問題だと思います。
  72. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 実際に今そういう人たちを厚生年金保険にかりに無理して入れるといたしますと、やはり資格期間一つをとってみましても、この一カ月間に何日かの印紙を張っているということによってその人を資格期間とするということにしますと、その日数に達しない人については、その人たちは期間を厚生年金としては計算されないというようなことも出てくるわけです。そうして、その間を、それじゃ国民年金の方に入れるかというようなことになりまして、これは単に技術的という言葉で申し上げたから、これは技術なんていうものは二の次だというふうにお考えかと思います。これは制度建前として、これはなかなか大きな問題であるし、今簡単に申し上げるわけにはそれはいかないと、たとえば五人未満の事業所で働いている人でも、今日まあ厚生年金に入っていない方もおるわけでございまして、私どもそれがいいとは思いません。できるだけ国民全体が医療の保険、あるいは職を失った場合の失業の保険、あるいは老齢化した場合の所得の保障というようなものについては、できるだけよくしていきたいことはやまやまでございまするけれども、やはりその制度自身が、なかなか、せっかく作ってもほんとうに喜ばれるようなものにするためには、それに基づくところの建前なりあるいはそういう技術面というような面も、私どもはこれは十分検討せねばならぬ、かように考えております。先ほど来答弁が明確でないというお話でございまするけれども、まあこれは私は私なりに、今日の段階がこれは決していいと思うという意味ではございませんが、今日の段階におきましては、一応国民年金というものに入らざるを得ない。しかし、それも先ほど申し上げたように、事業所の労使双方の協力というようなものにして、厚生年金の入る余地は制度上も開かれておるわけです。この辺のことについては、できるだけ私どもも行政面で努力して参るつもりでございますけれども、それはそれといたしまして制度としてこれをこちらの厚生年金の方に入れるということにつきましては、今日にわかにお答え申し上げかねる、こういうことでございます。御了承をいただきます。
  73. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 現段階におきましては、国民年金に入らざるを得ないような形になっております。しかしながら、これからいろいろと検討いたしてみたいと思います。
  74. 坂本昭

    坂本昭君 検討いたして……。
  75. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) いたしてみたいと思います。
  76. 坂本昭

    坂本昭君 その検討というのは、つまり労働者保険の系列の中で統一していくという方向に検討し、努力してみたい、そういう意味ですか。
  77. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 制度全体を検討してみたい、こう思っております。
  78. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は厚生大臣にお聞きしたいのですけれども、先ほどから出てくる日雇健康保険というものが、他の保険との関係において問題がたくさんあるわけです。で、将来といいますか、厚生省が、たとえば年金の問題、それから医療制度の問題を、大筋としてどういう工合に持っていこうとしているのか、そこらあたりがはっきりしていないから、今の混乱も出てきているように私は思うのです。たとえば日雇者年金という雇われているものの年金というもので、今高いところでは、たとえば公社あたりを見てみると、年間十七万円という平均で年金が支払われている。生活を守っていくという方向が出ている。私のこれから少し聞きたいと思うことだけれども、厚生年金においては今度改正をちょっぴりされましたけれども、その問題について、自己の生活を守っていくということにはまだなっていない、これは民間。で、国民年金のところへ参りますと、拠出年金になると、四十五年たって三千五百円、こういう格好で、そうしてまたこの日雇者、要するに日雇いがそこの中に追い込まれていく、私はやはりそうじゃなしに、大筋として日雇者年金ですね、共済年金、それから下がった厚生年金を改革しなければならぬ条件の中で、年金制度というものを、日雇者年金とその他の一般の年金、この概念の中に入れて検討——雇われているのですから、とにかく日雇労働者が。その概念の中で検討しますというのなら何ですけれども制度だけ、制度について検討しますというのじゃ、私はもう根本的な問題ははずして、ただその日雇者の自後の年金の扱いをどうするかという根本的な問題を前提に、明確にしてから、検討するということにしてもらわないと、あいまいもこなんです。その点はどうなんです。
  79. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) ただいま総理大臣の諮問機関といたしまして、社会保障制度審議会がございますし、また、厚生省におきましても、厚生大臣の諮問機関として各審議会等もございます。また、私どもの方におきましても、いろいろと行政部面におきまして検討いたしてみております。要は、社会福祉政策としての足前からの立場に立ちまして、そうしてこれが進めていくのがその御質問のあり方であろうと思いまして、私どももそういう立場に立っておる次第でございます。
  80. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を落として。    〔速記中止〕
  81. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして下さい。   —————————————
  82. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) この際委員の異動を報告いたします。  三月二十六日付をもって安田敏雄君及び江田三郎君が辞任し、その補欠として小柳勇君及び久保等君が選任されました。右御報告いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時五十三分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕