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政府委員(
太宰博邦君) 第一点の、今回収入増になりますものをもちまして
給付改善をはかります場合において、これを定額分の増に回したらどうだろうか、それは
考えられないか、こういう
お話でございますが、この定額分を
引き上げるということ、それから、あるいは比例分を
引き上げるということについては、やはりいろいろ御
意見は私は成り立つと思うのでございまするが、この被用者年金でございまして、いわば
保険料の方を
賃金に比例してとっておる
制度でございます。そこで、あるいは人によりまして、その立場から言いますれば、全部報酬比例、つまり
賃金に比例したような
給付をはかっていいと、こういう御
意見もありますが、今日私どもがその両方をとっておりますのは、最低保障、低
賃金の人
たちにも、まずまずある程度年金を差し上げるというために、二万四千円という定額分というものを取っておるわけでございます。従いまして、そういう定額分を上げるということは、この低
賃金の人
たちには私は有利になると思いますが、しかし、全般として
考えてみますと、これはほどほどのところでやつぱり落ちつけなければならない。そこで、大体四万一千円ほどが減少の
給付年額であります。その中で、二万四千円というのが定額分ということでありまして、それから報酬比例分が一万四千円ぐらいになる。そういうようなことから
考えてみまして、今回は私どもはやはり報酬比例分を上げる、ことに今回の
財源としてこの一万八千円の頭打ちになっております分が三万六千円まで
引き上げると、こういうことでございます。従いまして、この結果まずよけいに拠出をせにゃならぬ人は大体頭打ち及びそれに近い人
たちが三万六千円の、
引き上げることによって
保険料を余分に
負担する、そういうことの点も
考えてみまして、大体今回は報酬比例分を二割がた
引き上げる、こういうことにいたした次第であります。
それから次に、その報酬比例分につきましても、これを平均の
標準報酬月額をとらないで、最終時あるいは最終時何年とかいうような、それに近いところのものでやることはどうであろうかと、こういう御
質問の趣旨かと存じますが、これはやはり筋肉
労働者の人
たちの中には必ずしも最終時をとることが有利であるかどうか、肉体の力が五十過ぎてくると衰えたという場合に
賃金が減るというような場合においては、その人にとってはおそらくこれは不利な
取り扱いになるだろうというようなこともございますし、また、
制度として
考えてみます場合に、
保険料の数理計算では大体従来のあれを全部レコードをとっておりまして、それに基づいて
給付するという建前で数理計算をやる、これを最終時の何年ということでいたしますと、かりにそれがこの終わりにいくほど多くなるというような、サラリーマンとかいうような人は大体終わりの方でこれは多いと思います。そういうような人
たちの点などもございまして、相当これは
保険計算が違って参る、まあ端的に申しますると、おそらくもっと
保険料率をとらなければならない。こういうことに私は相なると思うのです。その点のことにつきましては、当初からいろいろ
検討いたしまして、この現在の建前でとっておるわけであります。今日直ちに最終何年かの
標準報酬月額を基礎にして
給付をしていくということは、これは大きな変更に相なると、直ちにそれはできかねるというふうに申し上げざるを得ないと、そういうことで長期
保険でございまして、数理計算というものが、やはり非常に重要視せねばならぬ。この
保険におきましては、今直ちにそういう基本的なものを変更するということは私は容易じゃないと、しかも、今日の事態においてはそういうことよりも、今の建前を一応二十九年にとったわけでございますから、これを伸ばしていって、そうしてその過程において
給付内容を充実するということに力を注いでいきたいと、かように存じております。