○吉武恵市君 今の問題に
関連をして私もお尋ねをしたいのですが、先ほど来、論争を聞いておりまして、大体御当局はわかっておられると思うけれ
ども、はっきりしてない点が私はあると思うのです。で、この
業務上から起こってくる
災害と
疾病というものに対しては、
事業主に
補償の責任があり、それを今日では保険制度において、
労災保険でそれを
補償しておるのですね。ところが、
災害の方はアクシデントだから、見ればすぐわかる。
業務上で機械にはさまれたとか、物が落ちて
けがをしたとかということによって、大体それでもはたして
業務中であったろうか、休んでいるときであったろうかということについての見解は、これはもう
労働省——前から幾多の判例があって、大体の範疇はきまってきていると思うのです。だから、これについてはあまり議論にならぬと思うのです。ところが、この
疾病になりますと、それが
業務上から起こった
疾病であるかないかということについては、これはいろいろ問題が起こってくるのです。そこで先ほど来、議論になっているように、これは当局も私はどういうふうに取り扱っておられるか、実は聞こうと思っておったのですけれ
ども、
業務上で起こってくる
疾病というものが
職業病であるということであれば、これは割方はっきりするのです。
けい肺であれば、
けい肺というものは金属鉱山にしか起こりません。まあこれは石炭にもありますけれ
ども、大体起こってくる
一定の職場というものがあり、その
職業につけば、まあ大体そういう
病気にかかりやすい。そこで診断した結果、これは
職業病、
けい肺であるというようなことで
補償になるわけです。そこで、
職業病の範囲が、はたしてその
業務上から
一定の
職業についておると、そういう特殊な
病気になるかならぬかという限界というものは、これは国際的にも相当やかましい問題で、結局国際
労働会議では
職業病の範囲というものを
条約できめて、おそらく日本も批准していはしないかと私は思うのですけれ
ども、日本の
労災——労働基準法の中にも
職業病に取り扱われるものというものはチェックされている。私は大体もう国際的なものに取り入れられているというように記憶をしておる。
そこで、先ほどお話しになっているように、その
職業病というものをはっきり認識しなければならぬぞということをおっしゃっているのは、
職業病というのは、ほかと違って、その職場にいけばへたをするというとそういう
病気になる。ですから、予防処置というものに非常に関心を持って
——それも先ほど来、絶対的な予防処置というものはないわけでもないかもしれぬけれ
ども、それでは
作業ができないという痛しかゆしの点があって、現に
職業病というものは
発生をしているわけですね。ですから、この問題については、先ほど来、御議論になっているように、できるだけ政府の力によってなくする
研究なり処置を講ぜられるということが私は当然ではないかと思うのです。先ほど小柳さんもおっしゃっているように、このボイラーについて、まあ粉塵の問題はありますけれ
ども、高熱の
作業に、密閉されたところで働いているとそのためにからだをこわして、そうしてまあ心臓麻痺とか何とかで倒れるということがある。私の実際に取り扱っている事例にある。これはあなた方の
労働省の
関係ではない。ほかの
関係で今私
関係しているけれ
ども、だんだん事情を調べてみるというと、夏の暑いときに小さい船のエンジンの中へ立てこもって、一週間も二週間も昼夜
作業を続けられて、そうしてそのために心蔵麻痺で死んだ。死んだところが、今までの
考え方で言うと、
職業病というものは抽象的にと言っちゃ失礼ですけれ
ども、
医学的に、大体どういう職場においてどういうふうにすればそういう
職業病にかかるということが国際的にも
研究が進み、日本でもあなた方が
研究していらっしゃるから、それは下の方の事務官あたりは、すぐこれはなるほど
職業病だからということで
労災保険も
適用されることで、あまり議論にならぬ。ところが、そういう高熱のボイラーのそばで長く続けて
作業をしていたために倒れたというものは、これは
職業病じゃないのだ。ないのだから即
業務上の
疾病でもないんだ。こういう断定を下されて拒否される。そうすると、その家族から見るというと、主人はボイラーのそばでもう何日も何日もやってそうして
作業中に倒れた。倒れたんだから当然
業務上のこれは
疾病だから
補償してもらえるものと思って当局の方へ出してみるというと、いやそれは心臓麻痺です、心臓麻痺は
職業病じゃありませんよ。それですから、それは
補償の必要はありませんということになる。小柳さんのお話になったのは、私はそういうふうにおっしゃったと思うんです。そこで、先ほど来おっしゃっているように、
職業病というものは、どこまでも
職業病というものを
研究して範疇をきめ、しかもその予防措置というものを
研究されてその措置をおとりにならなければならぬが、同時に、
補償という問題は
職業病と必ず一致した問題じゃない。
業務上のために起こった
障害は今のような
けがはもちろんのことですが、
疾病もあり得るんですね。
職業病でない
疾病で倒れるということも私はあると思うんです。そこで、先ほど議論になっているように、あなた方は混同されて、それは
業務上の
疾病というものはとにかく
補償しております、
補償しておりますという結論だけをおっしゃるけれ
ども、その結論があいまいにお
考えになるというと、あなた方はあるとおっしゃっても末端へいけばそれはそんなもの
考えませんよ。
業務上の
疾病は即
職業病と、こういうふうに
考える。だから、
職業病以外のものは、これは
業務上の
疾病でないから
補償しないというふうになりがちです。これはあなた方について私は言うのじゃないけれ
ども、今厚生省の方の問題なり、そういう問題になって訴訟になっている問題があるのです。ですから、私あとで聞こうと思っているが、
業務上から起こってくる
疾病というものは、今言った
職業病でなくても、いわゆる相関
関係でそうして見て、これは
業務から来たものであるという私は
補償の範囲に入れてやられるべきである。しかし、
職業病というものは、今言ったような別のそういう
職業に従事すれば起こってくる問題ですから、これは予防措置を講じ、また、それについては
けい肺については今の特別立法を作られて
保護しようとしている。これは小柳さんお話のように、この
じん肺ばかりじゃない、ほかの
職業についてもあり得るのじゃないか、あり得るということだったら、それについてはどういうふうなお
考えを持っておられるかということを御
質問になっていると私は思う。ですから、よほどこの問題は真剣にお
考えにならなければならない。数は私はよけいはないと思いますけれ
ども、受ける個人から見れば同じことです。同じことですから、よく
一つ職業病は
職業病の
一つ一つをお洗いになって、そうして数は少なくても、これは非常に気の毒な
病気、大体なおらないことが多いんですから、ですからこれはどういうふうな措置を講じたら予防ができるというようなことを、
一つこれはまあ国費で私はやられるべきだと思うんです。おやりになって、同時に、その今の
職業病がすぐ
業務上の
疾病と誤認されないように、
職業を離れたつまり
業務上からくる
疾病によって倒れる場合もあるのですから、そのものについての
補償はこれは同じことです。同じことですが、
補償の道をお
考えにならないと、混同されているように私は感じがする、ですから一言申し上げておきます。