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政府委員(堀秀夫君)
身体障害者雇用促進法案の細目を御
説明申し上げます。お手元にお配り申し上げております
身体障害者雇用促進法案関係資料中、
身体障害者雇用促進法案逐条説明、これによりましてその細目を御
説明申し上げます。
身体障害者雇用促進法案は六章、それから条文は二十四条に分かれております。
まず、第一章は総則でございまして、この
法律の
目的と、この
法律中に使用される
用語の定義を
規定したものでございます。まず第一条でございますが、これは
本法の
目的を定めたものでありまして、
本法が
身体障害者について、その能力に適当な職業に雇用されることを促進することによって、
身体障害者の職業の安定をはかるということを
目的とすることを明らかにしております。
次は、第二条でありますが、
本法において用いられる
用語である「
身体障害者」「特定職種」「重度
障害者」「職員」「
労働者」という
用語について定義を定めたものであります。特にこの中で問題になりますのは、
身体障害者の
範囲でございますが、これはこの第一項にありますように、
別表に
規定してございます。
別表はお手元の
資料の
附則の次についております
別表でございますが、
別表の、身体上の欠陥の
範囲は
本法の
対象となる
身体障害者の
範囲を定めたものであります。まず四号に分けまして、その
対象を具体的に
規定しておりますが、第一号は、視覚
障害で永続するもの四
種類をあげております。第二号は、聴覚または平衡機能の
障害で永続するもの四
種類をあげております。第三号は、音声機能、言語機能またはそしゃく機能の著しい
障害で永続するものを
規定いたしております。第四号は肢体不自由五
種類を
規定しております。以上の
規定によりまして
身体障害者福祉法
別表に掲げるものと、恩給法の
別表第三款症以上の外部的
障害に該当する者は、原則として包括されることになります。その他就職に著しい困難があると認められる身体上の欠陥につきましても、ただいま申し上げましたものと同
程度に
作業能力を妨げるものであることが明らかなものにつきましては、第五号におきまして労働省令で定めて、
本法の
対象となし得ることを
規定しております。
次に、本文に戻りますが、第二章
関係について
説明申し上げます。第二章は、公共職業安定所が職業安定法等に定めるほか、
身体障害者の雇用を促進するために行なうサービス活動を
規定したものでございます。
まず第三条は、公共職業安定所が行なう
職業紹介についての
規定であります。すなわち第一項は、公共職業安定所は、
身体障害者であるという理由だけで
身体障害者を、求人の
対象としないような申し込みにつきましては受理しないことができる旨を
規定したものであります。第二項は、
身体障害者の能力に適合する職業についての求人であるにもかかわらず、身体的条件がきびしいために
身体障害者を紹介することができないというような場合の
ごとく、
身体障害者にその能力に適合する職業を紹介するため必要があるときは、公共職業安定所は求人者に対して、身体的条件その他の求人の条件の緩和等について指導する旨を
規定したものであります。第三項は、公共職業安定所は、
身体障害者について
職業紹介を行なう場合において、求人者からその
身体障害者の職業能力に関する
資料を求められたときは、
資料を提供すべき旨を
規定したものであります。
第四条は、就職後の指導でありまして、
身体障害者は、通常その
障害のため職場環境に心理的にまた身体的に適応することが困難でありますので、公共職業安定所は、その紹介を受けて就職した
身体障害者に対して、就職した後も、
作業の環境に適応させるために必要な指導を行なうことができる旨を
規定しております。
第五条は、
身体障害者の雇用主に関する助言でありまして、
身体障害者の雇用につきましては、その
労働能力を十分に活用させるようにするため種々の配慮を必要としますので、公共職業安定所は、現に
身体障害者を雇用している者またはこれから
身体障害者を雇用しようとする者に対して、能力の検査、配置、
作業設備、
作業補助具等
身体障害者の雇用に関する技術的な事項について助言することができる旨を
規定したものであります。
次に、第三章は、
身体障害者に対する適応訓練について定めたものであります。
まず第六条第一項は、都道府県が求職者である
身体障害者の就職を容易にするため必要があると認めるときは、
身体障害者の能力に適した
作業の環境に適応させるために適応訓練を行なう旨を
規定いたしました。第二項は、適応訓練は、
身体障害者の能力に適した
作業であって、その
作業が標準的な環境のもとに行なわれている
事業所の
事業主に委託して
実施する旨を
規定したものであります。ここに、標準的な
作業環境を有する
事業主に委託するといたしましたのは、適応訓練の成果を、委託を受けた
事業所のみならず、他の同種の
事業所においても生かすことができるよう考慮したものであります。
第七条は、公共職業安定所は、求職者である
身体障害者に対して、適応訓練を受けることについてあっせんを行なう旨の
規定であります。
第八条第一項は、
身体障害者に対して行なう適応訓練は、無料である旨を
規定いたしました。第二項は、都道府県は、適応訓練を受ける
身体障害者に対して
手当を
支給することができる旨を
規定したものであります。
第九条は、経費の補助に関する
規定でありまして、都道府県が
事業主に委託して適応訓練を行なう場合には、国はその都道府県に対し、予算の
範囲内で、その委託に要する経費の一部を補助することができる旨を
規定したものであります。
第十条は、訓練
期間、訓練
内容等適応訓練の基準に関し必要な事項は、労働省令で定める旨を
規定したものであります。
以上申し上げました適応訓練の
実施によりまして
身体障害者の雇用の促進と訓練の
実施後の職場への定着の効果を
規定したものであります。詳細は省令で
規定する予定になっておりますが、訓練の
期間は大体六カ月、委託に要する費用の二分の一を国が補助し、残り二分の一を都道府県が負担する予定といたしております。
第四章は、
身体障害者の雇用促進のための雇用比率の設定を中心とする
規定であります。
十一条、十二条は国等に関する
規定であります。十一条は
身体障害者の雇用を促進するためには、まず、国等が率先して
身体障害者を職員として採用する体制を確立することといたしました。国及び地方公共団体のそれぞれの任命権者、日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社の総裁は、それぞれの機関の職員総数に対して、
身体障害者である職員の数の占める割合が、政令で定める
身体障害者雇用率未満である場合には、職員の採用にあたって、
身体障害者雇用率以上となるようにするため、政令で定めるところにより、
身体障害者を採用する計画を作成しなければならない旨を
規定したものであります。
第十二条第一項は、国等の任命権者及び総裁は、
前条の
規定によって作成した
身体障害者採用計画及びその
実施状況を
労働大臣へ、または市町村の任命権者にありましては都道府県知事へ、それぞれ政令で定めるところに従って通報しなければならない旨を
規定したものであります。
また、第二項は、
労働大臣は、
前条の
規定によって作成された
身体障害者採用計画を十分に
実施していない任命権者及び総裁に対して、計画を適正に
実施するように勧告することができる旨を
規定したものであります。
第十三条、第十四条は、民間の雇用比率の設定に関する
規定であります。まず十三条は、民間の
一般雇用主が
労働者を雇い入れるにあたっての
身体障害者雇用
義務について定めたものであります。すなわち、第十一条に
規定する国等の機関を除く常時
労働者を使用する
事業所の雇用主は、
労働者を雇い入れるにあたって、その
事業所に常時使用する
労働者の総数に対して、常時使用する
身体障害者である
労働者の数の占める割合が、それぞれの
事業の
種類に応じて労働省令で定める
身体障害者雇用率以上となるように
身体障害者を雇い入れるよう努力しなければならない旨を
規定したものであります。
第十四条第一項は、公共職業安定所長は、
身体障害者の雇用を促進するため特に必要があると認める場合には、労働省令で定める
身体障害者雇用率未満であり、常時百人以上の
労働者を使用する国等を除く
一般の
事業所であって
身体障害者である
労働者の数を増加するのに著しい困難を伴わないと認められる雇用主に対して、
身体障害者雇用率以上となるようにするため
身体障害者の雇い入れに関する計画の作成を命ずることができる旨を
規定したものであります。
第二項は、国等を除く
一般雇用主が前項の
身体障害者の雇い入れに関する計画を作成し、または
変更したときは、遅滞なくこれを公共職業安定所長に
提出しなければならない旨を
規定したものであります。
第三項は、
身体障害者の雇い入れに関する計画が計画を作成した
事業所の状況から見て著しく不適当であると認めるときには、公共職業安定所長は、その雇用主に対してその計画を
変更するように勧告することができる旨を
規定したものであります。
次に、第十五条は重度
障害者に関する
規定であります。
身体障害者の中でも、その
障害が重い者の就職は特に困難でありますので、重度
障害者に適する職種を指定して、
一般の
身体障害者雇用率よりも高い比率を定めて、その雇用を促進するための
措置を
規定したものであります。
第一項と第二項は、国、地方公共団体、公社等に関する
規定であります。また、第三項、第四項は民間
事業所に関する
規定でありまして、いずれも前に述べました雇用比率に関する
規定に準ずることとしております。この
対象といたしましては、これも政令もしくは省令で
規定する予定にしておりますが、さしあたり、盲人それから適職といたしましてはあんま、マッサージ職というものを指定したらどうかという考えでおります。
次に第五章でありますが、第五章は、
身体障害者の雇用の促進に関する重要事項について調査審議するため、労働省に
身体障害者雇用
審議会を置くことを
規定したものであります。
十七条は、
審議会の
権限を定めたものでありまして、
審議会は
労働大臣の諮問に応じて
身体障害者雇用率と、
身体障害者の雇用の促進に関する重要事項について調査審議するとともに、これらに関し必要と認める事項について
関係行政機関に意見を述べることができる旨を
規定したものであります。
第十八条、第十九条、第二十条、第二十一条は、
審議会の組織、
委員及び専門
委員、会長、庶務についての
規定であります。
身体障害者雇用
審議会は、その
特殊性にかんがみ、
委員の構成を
労働者、雇用主、
学識経験者のほかに
身体障害者を代表する者を加え四者構成といたしまして、その他につきましては、各種の
審議会における
立法例にならった
規定を設けております。
第二十二条は、
審議会の運営に関する事項の労働省令への委任について定めたものであります。
第六章は雑則であります。
まず、第二十三条第一項は、
身体障害者の雇用の促進について、
事業主その他国民
一般の理解を高めるため、
政府は広報活動等について必要な
措置を講ずる旨を
規定したものであります。
第二項は、
労働大臣は、
身体障害者に適当な職業、
作業設備及び
作業補助具その他
身体障害者の職業安定に関し必要な事項について、調査、研究し、かつ、それらに関する
資料の
整備に努めることを
規定したものであります。
第二十四条は、
身体障害者に対する援護の機関である福祉
事務所、
身体障害者更生相談所その他の援護機関と公共職業安定所とは
身体障害者の雇用の促進をはかるため、相互に密接に連絡し、協力しなければならない旨を
規定したものであります。
次は
附則でありますが、
附則の第一項は、
本法の施行期日を昭和三十五年四月一日とする旨を
規定しております。
附則の第二項は、この
法律の施行に伴い、労働省
設置法の一部を
改正することを定めたものであります。すなわち、労働省の
権限として、
身体障害者の雇い入れに関する計画の作成を命ずることを
規定するとともに、
身体障害者の採用または雇い入れに関する計画に関することその他
本法の施行に関する
事務を職業安定局の所管としたこと、本省の付属機関として
身体障害者雇用
審議会を置くこと及び公共職業安定所の所掌
事務及び
権限として
本法に定めた事項を追加する旨を定めたもの
であります。
以上をもって
身体障害者雇用促進法案に対する
説明を終わります。