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1960-02-18 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十八日(木曜日)    午前十時四十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     加藤 武徳君    理事            高野 一夫君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            勝俣  稔君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君            秋山 長造君            片岡 文重君            小柳  勇君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   政府委員    公正取引委員会    委員長     佐藤  基君    公正取引委員会    事務局長    坂根 哲夫君    厚生大臣官房長 森本  潔君    厚生大臣官房会    計課長     熊崎 正夫君    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省医務局長 川上 六馬君    厚生省薬務局長 高田 浩運君    厚生省社会局長 高田 正巳君    厚生省児童局長 大山  正君    厚生省保険局長 太宰 博邦君    厚生省年金局長 小山進次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  聖成  稔君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (昭和三十五年度厚生省関係予算に  関する件)   ―――――――――――――
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいまから会議を開きます。  社会保障制度に関する調査一環といたしまして、昭和三十五年度厚生省関係予算に関する件を議題といたします。質疑のおありの向きは、逐次御発言をお願いいたします。
  3. 高野一夫

    高野一夫君 私は、先般医薬品乱売問題等中心にいたしまして審議をして各委員からも非常な強い御発言がありましたので、その後の経過政府委員から承り、かつ公正取引委員長にきょうおいで願っているのでありますから、質疑をした上で、最後に大臣にただしたかったのでありますが、今予算委員会の御都合もあるようでありますから、最初に大臣の御決意といいますか、御見解だけ一応伺って、あと政府委員に対する質疑に移りたいと思います。順序は逆になるのでありますが、やむを得ないと思います。  そこで、来年度昭和三十五年度の厚生省予算の中には、厚生省所管中小企業者育成指導ということについても、多少の予算確保できているはずであります。そこで、現存各地商工組合が結成されつつある。これは厚生大臣通産大臣の御所管であるはずでありますが、こういうこともあるし、かたがた独禁法の問題もあるわけでありますが、最近世の中を騒がしている池袋中心にいたしまして全国各地医薬品乱売、無統制なる状態、しかも厚生省検査された結果は多くの不良薬品が案の定出て参った、こういうことでありますから、きわめて速急にこの経済安定をはかれ、かつ医薬品品質確保に対して、使用者にも安心感を与える方法を講じなければならぬ、こう思うわけでありますが、もう詳しいことは申し上げぬでも大臣がよく御承知のことでありまするので、一応これらの問題についてどういうお考えをお持ちであるか、厚生大臣の御見解を承っておきたい。
  4. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御答弁願う前に、政府側出席者を御報告をいたしますと、厚生省からは渡邊厚生大臣、尾村公衆衛生局長川上医務局長高田薬務局長熊崎会計課長たち出席をされておりますし、公正取引委員会からは佐藤公取委員長坂根公取事務局長出席をいたしております。
  5. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) このたびの池袋の問題を契機といたしまして、まことに私どもといたしましては、これは遺憾に考えるわけでございます。従いまして、今後薬品品質確保のための厳重なる薬事監視を強化いたしまして、そうしてメーカー、卸、小売の三者協議会の促進によりまして配給秩序確立努力いたしますと同時に、中小企業団体法等ともにらみ合わまして、できるだけ薬の価格の安定を期したいと、かように考えております。
  6. 高野一夫

    高野一夫君 現在、中小企業団体組織法による商工組合の結成、厚生省所員の、これもすでに委員会に申請中のものが相当あると考えておりますが、これに対する育成の問題、今お話がごいましたが、同時にもう一つ私お願いしたいことは、小売商業調整特別措置法、この中にメーカーが直接小売業をやる場合の小売業者との間の紛争、それから卸売業者面接小売業をやつて正規の小売業者との間に起こる経済紛争、スーパー・マーケットのごとく中小企業者以外のものが小売業をやつて小売業者との間に起こる経済紛争、これには知事紛争調停あっせんに乗り出し得ることに相なっておるのでありまして、これは今までそういう発動を見ておらないし、厚生省からもそういうような勧告をされたこともないようでございますけれども、今後この小売商業調整特別措置法の十六条ですか、これに該当する事項が厚生省所管の問題で起こった場合は、知事一つ何らかの経済あっせんをはかるべき勧告といいますか、要請といいますか、それをしていただきたいと思うのでありますが、これについてのお考えを伺いたいのが一つと、ただいまお話しに出ました製造、卸、小売の三者協議会厚生省あっせんのもとにできているのでありますが、業者代表のみの話し合いにまかしておったのでは足かけ三年間、この間申し上げた通りに、一向に妥結を見ないのでありまして、強くこの中に厚生省が関与されて、そして指導をして話が自治的にまとまる方法をつけてもらいたいと、こう思うのでありますが、この二つの点について再度伺っておきたい。
  7. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 御意見通り、私どもは、できるだけ地方自治体知事調停あるいはあっせん、こういうことによりまして、そういう措置をとりたいとかように考えております。この三者協議会は、先ほど申しますように、メーカー、卸、小売の三者協議会を促進いたさせまして、できるだけ配給秩序確立等につきましては、厚生省あっせんをいたしたいとかように考えております。
  8. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を落として。    〔速記中止
  9. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして。
  10. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、災害救助法の問題で厚生大臣にお尋ねをしたいのです。  災害救助法は、この前の災害救助特別委員会のときに災害救助基本方針を立てて、できたら今国会に出す、こういうお話だったと思うのですけれども、きのうの質疑、きょうの新聞あたりを見ておると、その点がもう一つはっきりしていないようですが、これを一つはっきり承りたい。
  11. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 災害救助に対します災害基本法、これは昨日の予算委員会で総理も御答弁しておられましたが、できるだけ関係各省協議の上、すみやかに事務的に、この取り計らいについて進めていく、かように私ども存じておるような次第でございます。
  12. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで災害救助法――今度基本法を作っていただく前の問題として、たとえば東海地方に起きたああいう長期冠水というような形の災害に対して、相当な期間救助法が発動されていたことは事実でございます。しかし、たとえば災害救助法に入らないような資材調達設備の建設、それからそれに関連した倉庫の問題であるとか、いろいろの特別調達をした物資があるのです。そういうものに対して救助法にかからないから、やむを得ず救助関係としてやったいろいろの投入資材の補償というものが、一切救助法関係がないといって見放されていもというのが、特に名古屋、愛知県において多いわけでございます。こういうものはどういう工合にして見られていこうとされているのか、これは特別な措置ですから、それをまず承りたいと思います。
  13. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) これは各地区の実情に応じまして、府県と相談をいたしまして、適宜の措置を講じせしめたい、かように考えております。
  14. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はきのうそのお話を承ったのですが、その中では、たとえば避難所付属設備の問題、ヘリポートの問題、水上倉庫とか船着場設備噴霧器、トランジスター・ラジオ、こういうおもな点があげられてきているわけです。こういうのを県で調達せざるを得なかった、庁費の中から。こういうものは一切見ないというわけですね、あの救助法では。そうすると、緊急救助が解消すれば。そうするとこういうものを、投入したものをやはり何かで見てもらわなければならぬ、救助法で見てもらうか、要するに特別交付税で見てもらうか、何かで見てもらわないと、基本的な災害復旧という、そこに相当な金を投入しなければならぬわけですが、それに、この救助法というものが予想されてない長期湛水等から起きてきたこういうことについて、私は何か援助、めんどうを見てもらわないと、県、市としては非常に困る、何とかしてもらえないかという非常に強い陳情があるわけです。私もごもっともだと思うのです。それは基本法を作らなければいかぬ、今まで予想しなかったような、ああいう災害が起きた、こういうことも予想をして、あらゆる点で基本法をお作りになると思うのですが、その前に起きた問題として、これを大臣はどういう処置を講じられるか、御所見を承っておきたいと思います。
  15. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 災害救助法対象になる種類といたしましては、御承知通り、十一種類ということになっております。しかし、災害救助はできるだけ行政措置をもって、弾力性を持たせるような考え方も作品の予算委員会で私は等身をしておるのでございますが、しかし、このたびの、ただいま御指摘になられたような種類につきましては、このたびやはり災露地の特別な激しいところに対しましては、特別に交付税という措置を講じ、四十二億も計上しているわけでございまするから、やはり地方実情に応じまして、知事行政措置によって適宜な処置が講ぜられるのじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  16. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、私は知事から陳情を受けているわけで、こういうやはり資材投入ですか、救助に対する問題として、四十二億の特別交付税お話は、それによって災害対策としての問題の補助的な役割をする、こういうことはここの小委員会でも論議をしたわけです。ですから、そういう配慮がされておるということは、二、三の点で、大臣努力については私もお聞きいたしました。しかし、こういう点について、直接災害救助する、また、災害対策を立てるというものの、外を取り巻くこういうものをこしらえなければどうにもならなかった、これがやはり特別交付税には入らない問題ですね。だから困っている、こういうことなんですよ。だから、その点は特別の御配慮を願いたいと思うのですが、どうですか。
  17. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 災害救助法対象にもならない、交付税対象にもならない、こういう問題につきましては、やはり相当私たちは誠意をもって、どういう措置を施すかということにつきまして、予算措置等につきましての考え方をあらためて検討いたしてみたいとかように考えております。
  18. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 至急一つ。これはだんだんと緊急な処置が講ぜられて、災害救助法の概念からくる問題は漸次終わりつつあるのですから、跡始末の面で、至急に結論を出していただきたい。大体いつ町分になったら御勘案願えますかね。それも念のためにお聞きしておきたいと思うのですが。
  19. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) いつ時分というとちょっとあれですが、財政当局いわゆる大蔵省とも話し合わなければならぬことでございまするので、災害期が到来するところの、六、七月前にそういう問題を基本法などともにらみ合わせまして、そうして、実際に災害が起きた、伊勢湾台風などの過去の体験に、私どもがにらみ合わせまして、こういう処理はどうするか、たとえば、一昨年まで、水害が発生いたしまするときの水防資材といいまするか、土のうなんかにつきましては、財政当局では全然めんどうを見ないということになっておりました。いわゆる小河川がはんらんして田が冠水するとき土のうを積み上げて、そうしてこれが防禦措置をやった。そういうときには、災害は見なかったのですけれども財政当局と折衝いたしまして、そういうような資材、器具に対しましても、いわゆる災害として、予算の中から見ようと、予備費から出したことがございます。何らかそういうような考え方と同様な考え方で、やはり折衝いたしてみたい、かように考えております。
  20. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それに関連して。今の処置としてもう一つ聞いておきたいのは、仮設住宅です。仮設住宅事後処理に非常に困っておられる。だから、たとえば、仮設住宅を建てるのは緊急の処置ですから、空いたところに建てるということになると思うのです。ところが、土地の問題、それから国が公営住宅を建てるとか、民間住宅を建てて転換をしていくわけですけれども、二十八年災あたり仮設住宅に定着して、そこのところに層ができてしまう。そこで非常にお困りになっている点があるようです。そこで今後は、相当な多くの仮設住宅をお建てになっても、十万円あまりの永住できるようなものじゃないので、二年というふうに期限がついているんですけれども建設省との関係でうまく常時住めるような住宅に転換していくような処置ですね、そういうところを厚生省はどういう工合にお考えになっておられるか、それも一つ聞いておきたい。
  21. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 仮設住宅に一時的には入った。しかし、お金のある人は、ほとんどその後家を建てた。しかし、仮設住宅も二年くらいは何とかかんとかあそこに立っておる、そういうところには、自然的にそれがスラム街化するところのおそれもありますので、これはやはり建設省の低家賃策、あるいは都市計画等とにらみ合わせまして、私ども厚生省といたしましても、スラム街対策というものは、将来、これをできるだけ何とか考えていかなければならぬということから、建設省当局、あるいは財政当局と、この問題については熱心に考えていきたいとかように考えております。
  22. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 特に私は、建設省との関係で、公営住宅の特別のワクを広げるとか、常時居住できるような恒久住宅、低家賃というようなものも必要でございましょうが、そういう点を特に御努力願って、今府県が非常に心配しておるような問題を解消してやっていただきたい、こう思います。  それから次は、救助法の問題、基本法の問題に入るわけですけれども、これは今大臣がおっしゃられてできるだけ努力をしてやっていただけることですから、きょうは追及いたしませんが、ただ問題としてあげておきたいことは、厚生省もお考えになっておると思うのですけれども、たとえば給食費の問題であるとか、一時仮設住宅においても問題が、あれではというような問題がある。たとえば長期冠水をした、これは今までなかったのですが、そういうような問題なんかもやっぱり構想の中に入れていかなければならない問題である。やはりいろいろ意見を聞いてみると、ある程度の法律を作って権限を地方自治体に大幅に委譲したらどうかという意見も出てきておるわけでございます。そういう問題をあげると非常にたくさんあるのですけれども、私はいずれ御検討された上でお聞きをして、そうして、まあその中に私たち意見をぜひ取り入れていただくようにしたいと思うのですけれども、きょうは、基本法の問題はそういうたくさんな問題がある、非常に広い分野からできるだけ災害基本法にあらゆる問題を取り入れてりっぱなものを作ってもらいたい、それだけお願いしておきたいと思います。
  23. 片岡文重

    片岡文重君 時間がありませんから、きわめて簡単に、きょう具体的の御返事ができなければあとでもけっこうですが、ついせんだって、東京都内で女の子が誘拐をされて間もなく見つかったようですけれども、その一日か二日の間に花売りをさせられて何か一晩か何かで三百円か四百円もうけさせた、こういう事件が起こっているのですが、誘拐した方も十二、三であったと思うのです。こういう子供が簡単に花売りをさせられる仕組みに今日の社会はなっておるわけです。で、この仲間というものは相当多いようですが、これはやはり低所得者層に対する適切な措置がとられておらないということ、子供らの要するに自動憲章に定められておる精神というものが根本から守られておらないということ、厚生大臣としては、あの事件は私は軽々に見のがすべき事件ではないと思うのですが、今後こういう問題について、こういう問題というのは誘拐とか何とかということでなくってそれももちろん肝心ですが、厚生大臣としては、それよりもいたいけな子供らが夜おそく花売りなどが簡単にでき、しかもそれが放置され、しかもこれが低所得者の主要な生活資源となっておる、こういうことに対して、厚生大臣としては一日も早くこれを根絶するようなことをやっぱり考えなければいかぬと思う。今までお考えになったごとがあるのかどうか。今後これに対してどういう措置をとるとお考えになっておられるか。きょうもし具体的な答弁ができなければこの次でもけっこうですが、御所感一つ伺っておきたいと思う。
  24. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 社会問題として大きなゆゆしい問題と、かように考えております。これは文部省関係もあり、私ども児童局関係もあり。かつ、あるいは労働省の労働基準関係の問題もあり、あるいは自治庁に、公安委員会におきまするところの、要するに風教治安の問題もあり、これは関係各省とできるだけ協議をいたしまして、この夜の町にはんらんいたしておりまするところのああいう花売り娘という、こういう問題のみならず、広く現在要するに生活のかてにされておるところの幼少児童に対しまするところの対策は根本的に検討いたしてみたいと、かように考えております。
  25. 片岡文重

    片岡文重君 きょうは具体的な例は御返事ができないようですが、他の官庁とも緊密な連絡をとって根絶対策を立てられるということはもちろん早急にやっていただかなければならぬことですけれども、これはたとえば売春対策一つ見てもなかなか今日十分とは言えないようです。こういう社会問題をそう一朝一夕に根絶するということはきわめて困難には違いないが、少なくとも厚生大臣としては、その所管内における問題だけでもやはり根絶をするような真剣な努力は私は必要だと思う。特にその対象となっているのは、未就学児童あるいは低学年の者が多いのですから、これに対して一つ大臣は、真剣に一つ力を入れて、こういう花売り娘などというのが日本の夜の歓楽街から姿を消すような方途を私は考うべきだと思うのです。ぜひ一つ早急に、具体的な施策を立てられるように要望しておきたいと思います。
  26. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記を落として。    〔速記中止
  27. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして下さい。  それでは先ほどに引き続いて質疑を行ないます。
  28. 高野一夫

    高野一夫君 私は、公取関係質疑を始める前に、一週間前の当委員会において論議主要題目になった池袋の問題について、その後の経過、二厚生省がどういう措置をとられて現在どういう現状にあるかという点について、高田薬務局長から一応の説明を伺っておきたいと思います。
  29. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) さる十一日当委員会におきましてこの問題お取り上げになりましたその日の午後、東京都の業務部長のところに両店の代表者、すなわち三共の方の代表者と、それから三協総本店の方の代表者を招きまして、まず第一にその節申し上げました誇大な広告方法等の取り扱いにつきまして当局の意思を伝えましたところ、双方自粛をする旨の誓約書を取りかわしました。その後この宣伝方法につきましては多少の経緯はございましたけれども、終局におきましてチラシでありますとか、あるいはサンドイッチマンでありますとか、あるいは店頭の広告でありますとか、あるいはビラでありますとか、あるいはアドバルーンでありますとか、そういったものについては大体申し入れの趣旨を了として両者とも自粛をしている、そういうように承知いたしております。なお、その節三共、すなわちミトモの方の三共代表者の方から連合会に入れてもらいたいという話がございまして、この点については組合側としても入れることにやぶさかでございませんので、そういうような話し合いをしました。これは事後双方の間に話し合いをするということになっております。なお、同時に三共の方の薬剤師薬剤師協会の方に加入をしたいという話もございましてそれもそういう方向でいくことにいたしました。  それから製品、薬の抜き取り検査につきましては、その後、十三日以後実施をいたしております。結果については、いまだ衛生試験所において検査中でございますので、申し上げかねるわけでございます。  それからいわゆる価格の割引につきましては、漸次平静には帰しましたものの、いまだこの問題については解決を見ておりませんが、この点については、事後両者の間とも状況によりましてあっせんいたしまして、解決努力をいたしたい、そういうような状況でございます。いずれにいたしましても、当委員会においてこの問題をお取り上げいただき、それに基づきまして私どもの方としましても都と協力して解決努力をいたしておる状況でございますが、何しろまあある意味においては、長い間の問題の一つ一環でもございますので、今後御趣旨の線に沿いまして、さらに努力を続けて参りたい、かように考えております。
  30. 高野一夫

    高野一夫君 厚生省政府委員に対する質疑あとでまたやるかもしれませんが、次に、公正取引佐藤委員長にお尋ねいたします。公正取引委員会関係では、最近世の中を騒がしている、問題になった池袋医薬品乱売問題並びに東京だけでなく、名古屋、岐阜、大阪、福岡その他各地においてこれに類似した事実が行なわれておることを御承知であるかどうか。また、御承知だとするならば、これに対して何か一つのお考えをお持ちであるかどうかをまず概略伺いたい。
  31. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 池袋の問題につきましては、厚生省なり東京都から連絡がありまして、そういう意味でわれわれ承知しておるわけでありますが、ただ問題は、われわれの方でこれについて措置をとると申しますか、そういうことになりますというと、おそらく公正な取引という点が問題になると思うのであります。池袋の問題につきましても、若干の医薬品については原価を割って売っておるのじゃないかという疑いがあるのでありますが、ただ安いというだけでは、私の方では、ちょっと公取法でも問題にならないと思います。現にわれわれの共済組合と申しますか、その辺でも三割も引いて売っておる。結局原価を割って不当廉売になるということになって初めて問題になるのであって、現在の情勢におきましては、厚生省なり、東京都が非常に手を尽くして行政指導と申しますか、そういうことをやっておられるので、私の方としては事態の推移を見ておる、こういう状況であります。
  32. 高野一夫

    高野一夫君 佐藤委員長のお考えとして聞いておきたいのは、医薬品というものの特殊性をはたして考えておられるかどうかという点であります。げたや衣料品のような買いだめをしておいても一向差しつかえないような一般の商品、物品と、医療に使わなければならないこの医薬品性質、これを同一のやはり商品として取り扱うお考えであるかどうか。これは医薬品一つ商品であるかもしれぬが、これはその用途、内容等について考えてみても特別な性格を持った、性質を持ったものである、こういうように区別をしたお考えはお持ちでないかどうかを一応伺いたい。
  33. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 医薬品お話し通り国民保健に重大な関係ある問題でありまして、あまり詳しくは知りませんけれども、たとえば有効期限があってあまり古くなってしまったものはだめだと、特にまあしっかりしたメーカーが責任を持って作ってもらわなければ困る。同じ値段でもあるいは値段が安ければ質を落とすじゃこれは迷惑な話で、そういう点において薬というものはだいぶ違うと心得ております。
  34. 高野一夫

    高野一夫君 今の御答弁の程度では、どの程度の違い、特殊性を認めておられるか、はなはだ心もとない感じを強く受けます。それは、そこであとに触れるといたしまして先ほど二、三のものについては、原価を割った販売が行なわれている、こういうお話しであるけれども各地において大阪、名古屋、福岡あるいは今度の東京においても、非常な安売り、乱売が行なわれている商品の数というものは非常なものである。ことに池袋における三共、三協の両店における問題は、すべての全医薬品に取り扱い医薬品が及んで、あるいは九割もいくような割引がされているのでありまして、この辺については、もう少し取引関係の公正を期するのが公正取引委員会並びに事務局のお仕事であろうと思うので、それぞれの所管の役所と連絡をおとりになって十分事態を認識してほしいと思います。  そこで、私は、まず一つ伺いたいのでありますが、この公正取引確保に関する法律の第二条の第七項、ここに不公正な取引方法があげてある。「不当な対価をもって取引すること。」「不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること。」「相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもって取引すること。」「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」、こういうような各号に該当する事項とお考えにならないかどうか、これを一応一つ伺っておきたい。
  35. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私の方で現在まで知っている範囲におきましては、必ずしも該当するとような確証は握っておりません。
  36. 高野一夫

    高野一夫君 佐藤委員長承知しておられる範囲というのは、どの程度承知しておられるんですか。それをまず一つ伺わなければ、幾ら言ってもこれは平行線になって話にならぬと思う、どの程度の情報をつかみ、どの程度の調査をされて、どの程度のいろいろなデータをお持ちの上でいろいろなお考えをお持ちになっているか、それを一つはっきりと承りたい。ただばくとしたお考えでは、ただの漫然たる御意見にすぎなくなりますから、はっきりしたデータに基づいての御意見でありたいわけです。どういうような材料、調査をなさっているかを一応伺っておきたい。
  37. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私の方としては、まだ厚生省なり、東京都から伺った程度が主でありまして従って、その内容はごく一部の商品が非常に安く売られているというだけでありまして、もう少し情勢を見てから私たちは判断したいと思っております。
  38. 小柳勇

    ○小柳勇君 今佐藤委員長お話しを聞いていますと、どうも私どもの認識と少しズレがあるように考えます。今たとえば映画のニュースを見ましても、一番トップに出ますのは池袋の争い、それからそのアナウンスでは、全国でこういうことが起こっているという放送をいたしております。そのような社会問題として取り上げられているしかも取引の問題であります。今のお話しを聞きますと、非常に、まだ調査もできておらない、よくわかっておらない。このタイトルで出ますのは、ほとんどの全薬品が四割、七割もの割引をしている。そうして買手が列をなしている、しかも商人が小売りする人が卸のところに行って買うような格好で列をなして買って帰ってくる。そういう実情があるにかかわらず、今そういうことで委員長がやられるならば、もっと詳しいわかった人を出して下さい。でないと、この委員会の権威にかかわりますから、もう少しそのわかった事情をさらけ出して、対策をどうするかということを根本的にやりませんと、せっかく時間をかけても……。おざなりの答弁なら僕ら聞きません。
  39. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  40. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて。
  41. 高野一夫

    高野一夫君 薬務局長に伺いますが、今佐藤委員長お話では、小柳委員のおっしゃった通りに、まことにこの委員会においては聞く必要のないような説明である。そこで厚生省から最近の池袋の問題等について、何か公正取引委員会との間において情報の交換とか材料の提供とかいうようなことをなさった事実はないかどうか。佐藤委員長お話では、二、三の薬品についての原価を切ったような乱売が行なわれておるにすぎないような状態だと自分は判断しておる、こうおっしゃっておられます。あそこでどういうビラがまかれているか、それも一向御存じない。それが公正なる取引確保するための委員会のものの調べ方、考え方というのだったら、私たち公正取引委員会に対しては、これは一つ認識を新たにしなければならない。高田薬務局長、そういうような御連絡何かありましたか。
  42. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 池袋の問題につきまして、私ども非常に遺憾にも思い、かつ心配もいたしておりまして、これが状況等につきましては、ある程度委員会の方とも連絡いたしておるのでございますけれども、ただ佐藤委員長に直接お目にかかってお話し申し上げたわけでもございませんし、下部の係の方との連絡を保っているのでございますので、あるいは十分その辺の話が通じてなかった点もあるかと思いますのでございます。そのように一つ御了承願いたいと思います。
  43. 高野一夫

    高野一夫君 公正取引委員会から私の方に電話連絡がございましてきょうは一体どういう質問をするのか、こういうことがあったから、私は別にいじめる意味もつもりも何にもないので、率直に質問の要点を事前通告してあります。従って、これらの問題についてもっとはっきりした材料による答弁がなされるような御用意があると私は思っておったのです。突然ここで申し上げるのではないのであります。そこで、事務局長も見えておりますが、こういうようなビラがまかれておる。これでもって二、三の医薬品に限ってそうしてただ乱売が行なわれておるにすぎないような状態だと考えられると佐藤委員長の御答弁であるけれども、こういうものもごらんにはなっておらないわけであります。ここで幾ら質問したところで始まらぬ。だけれども私は、もう少し突っ込んで質問しなければならないのでありまして、この公正取引委員会の仕事というものは、いわゆる独占禁止法ということだけでなくて、取引の公正を期するということも大きな一つの目的となっている。それが今、私が申し上げた二条七項のごときはそうなのです。そういう点から考えて、各地における医薬品に限らず、医薬品特殊性にかんがみても、こういうような不適当な乱売行為が各地において行なわれている、この事態について、公正取引委員会委員長が少しもお調べになっていないということは、私はちょっとおかしいと思う。どうなんですか。全然材料お持ちじゃございませんか。政府委員坂根哲夫君)お答えいたしますが、ただいまの先生のお示しになりました広告のごときは、私どもはもちろん入手いたしまして、一応調査をいたしております。そこで佐藤委員長から申し上げましたように、これについてしばらく事態を監視するということで、そこで公正取引委員会の持っている権能で、今特に権能を用いて調査に乗り出してはおりませんから、あるいは多少御不満の点が出たかと思っております。
  44. 高野一夫

    高野一夫君 これはもう数年来起こっておる問題でありまして池袋の問題については最近起こったのだが、こういうような日々の経済状況についてしばらく事態を監視する、こういうようなゆうちょうな考え方が許されるかどうか、あまり考え方がのんびりしておるのではないかと思いますが、どうですか坂根さん。
  45. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) あるいはそれは仰せのごとくのんびりしておるかもしれませんが、私たちは過去において乱売問題について独禁法で取り上げたケースは、先生のおっしゃいました方向とあるいは逆になるかもしれませんが、大阪の場合においては、ある小売商の連合会がそのアウト・サイダーである店が安売りしたということで、その連合会が卸売ないしはメーカーに圧力をかけて、その乱売している店に品物を出すな、こういうことを言ったということで、その出すなという行為が独禁法に触れるというので審査いたしましてその審査しておる途中でその乱売をしておる店と、それからメーカー、それから小売商の連合会との話し合いがついたということで不問にしたようなもの、あるいは協同組合の連合会であるけれども、その小売商の協同組合がやはり過当競争に耐えかねてといいますか、いろいろなことでございましょう、距離の制限をしたり、加入についての自由を認めないというようなことをやりますものですから、それは独占禁止法の二十四条のある種の組合に対する適用除外の規定をはずれておる、従って、そういう行為はおかしいというので調べておるうちに、そういう距離の制限とか、あるいは加入に対する不当な制限とかいうようなことをやめるということで話し合いをつけたというようなケースは、要するに薬の自由取引に対してわれわれが過去においてやりました一つの態度でございまして、そういうような態度とも考え合わせながら今後の事態の推移を見るというような事務当局の腹でございます。
  46. 高野一夫

    高野一夫君 そこで、医薬品に関する小売商工組合が数カ県認可になっておる。さらに申請中のものがあります。ところが、認可になってもいまだに調整事業に関する――制限事業に関する公取の同意が得られていないように私は承知しております。これはどういう点でそういうことが引っかかっているのか、御承知ならば御説明を願いたいと思う。
  47. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 一、二の県から、この先生のおっしゃいましたような商工組合の調整規程の案が、相談に参っておることは聞いておりましたが、現に事務当局で検討中でございますが、私ども商工組合の調整規程には、非常に慎重に検討いたしませんと、すぐにこれが消費者に響く、そのカルテル行為が即座に消費者に響くという点を考えまして少し時間がかかるかもしれませんが、慎重に検討してなるべく認めたい、こういう方向では検討しておりますが、時間はかかるということを御承知願います。
  48. 高野一夫

    高野一夫君 佐藤委員長に伺いますが、中小企業団体組織法は、中小企業者が不況になった場合、なるおそれがある場合に、中小企業者が立ち行くために、保護するために、育成するために作った法律、これはおわかりだろうと思う、あなた方の方が専門家ですから。そこで中小企業者が立ち行かなくなる状態、近くそういうおそれがある状態を防いで、立ち行けるようにしてやるために団体法を作って、そのために商工組合育成するわけです、作るわけです。そうすると、商工組合でやる仕事は制限、調整の事業しかないのでありまして、それがいつまでも――組合が認可になった、その制限、調整の事項についての公取の同意というものが非常に時間がかかって、一向に不況を脱却し、不況がくるおそれのあることを防止する機会がつかめない、こういうことになったんでは、団体法の精神は、私はずいぶんとマイナスになっていくんじゃないかと思う。消費者の立場を考えなければならない、もちろんそれを考えての団体法であったわけであります。その点において団体法のいわゆる精神、それによる中小企業者育成のための、不況脱却のための商工組合、その商工組合の制限事業、こういうならば、おのずから私はここで一つのものの考え方というものの方向がきまってくるんじゃないか、こう思うのでありますが、これについて佐藤委員長はどういうふうにお考えになりますか。
  49. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私どもといたしましては、ただいまお話通り、中小企業団体法の趣旨によりまして調整規程があることは、これは当然の話なんでありますが、ただその調整規程の内容になりますと、中小企業団体法にもいろいろの条件が書いてありますから、その条件に合致するかいなかという点が事務当局においての審査に相当の時間がかかる点でありまして私の方でも、中小企業団体法による商工組合の調整規程を、認可というのでしたか、したものはたくさんあるのでございます。ただ数が非常に多いのと、その業態の実体を事務局として十分把握しないというと判断ができない。その把握に時間がかかるのでありますが、お話し通り、この立法の趣旨からいってぐずぐずしていたら不況の救済にも何にもならぬじゃないか。お話し通り、できるだけ早くするように努めております。
  50. 高野一夫

    高野一夫君 この団体法第十七条第一項の特に三号、四号というのが商業関係のものに必要な制限事項だと思いますが、これが、いかに厚生省、通産省等、所管大臣が認可して組合の育成をやろうと思ったところで、結局首根っこを押えておるのは公取委員会。公取の同意がなければこれはできない。組合としては仕事ができないわけです。仕事ができなければ何にもならない。従って、団体法の精神は生かされない。こういうことになりまして、まことに最後の一番の強い権力を公取委員会が持っておられるのであります。これは、公取委員会性質上、当然そうなるのだろうと思いまするけれども、そこで、この法律の精神、それは佐藤委員長が、できるだけ時間を短くして早く審査を完了したい、こういうお話であるから、それはそれとして了といたしますが、どうか一つ、商業、特に生産業と違って日々の経済活動に関する三号、四号の問題については、早く、だめならだめ、いいならいいという結論をお出し願わぬというと、多くの人はこの組合に期待をかけておる。そうして最後首根っこを抑えた公取が、一向握っていて離さぬ、こういうことでは何にもならぬのでありまして、所管大臣がどうしようもないのであります。再度佐藤委員長の決意を伺いたいのは、商工組合の三号、四号の調整規程の申請があった場合の調査結論は、できるだけ、いろいろ調査も必要でありましょうけれども、公取としての結論を急いでもらいたいということについて御同意下さるかどうか。御同意得られるかどうか。もう一度伺っておきます。
  51. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 御趣旨よくわかりました。私どもとしては、せっかくああいう法律ができたのだから、それが運用されなければ何にもなりません。お話通りで、できるだけ早くやるように努力いたします。
  52. 高野一夫

    高野一夫君 それでは今度具体的な問題について。  第十七条第一項第三号の「販売の数量若しくは方法」ということがある。販売方法、これは、われわれがこの法律を作るときに、自民党においても、また、各党会派の議員諸君と一緒になった商工委員会においても、十分いろいろな吟味をいたしまして、一応の解釈はついているのであるけれども、当時、どうも公取関係のあなた方の御意見を伺わなかったように思う、商工委員会において。そこで、これは厚生関係、特に中小企業育成のための予算をとった三十五年度の厚生省の仕事に非常に重大な影響があると思うので伺いたいのでありますが、販売の方法というのは一体どういうことですか。たとえば、具体的に例をあげますならば、正札販売、これは、販売のいわゆる方法としてこの中に考えていいかどうか。これを一つ佐藤委員長に。委員長が答えられなければ坂根事務局長
  53. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 正札販売が販売方法の制限に入るかどうかというような点は、今私どもで検討中でございまして、ここで、今委員長なり私から御答弁申し上げて、それが公取委員会を拘束すると、はなはだまずいと思いますから、いずれあらためてお答えいたしたいと思います。
  54. 高野一夫

    高野一夫君 当時、この団体法ができますときに――これは先ほどから申しあげた通りに、最後の首根っこを公取委員会が押えている。そういう重要な団体法が審議された速記録をごらんになっていませんか、商工委員会における。当時の政府側説明にしても、各委員の総意にしても、正札販売の方法は、ここにいう販売方法の中に入るという説明が出ている。それを、いまだに、委員長なり事務局長が、今われわれは責任をもってこの販売方法の中に正札販売方法が入るかどうか明確な答弁ができないとおっしゃることは、これは、法律ができてから三年余り。少しのんびりし過ぎると思うのですが、入っておりますよ、ちゃんと同時に。――これじゃ質問にも何にもならぬじゃないですか。そうすると引き続いて伺いますが、当時商工委員会の結論であった、この販売方法の中には正札販売の方法も含めて、こうも考えられるのだと、こういうことの当時の委員会における解釈については、あなた方は、そうすると同意はされないのですか。それともされるのですか。それもまだきまらぬのですか。大事なことですよ、これは。そんなことがわからないで、商工組合の申請が出て、同意を与えるべき公取委員会が、同意を与えていいかどうかの結論を出せつこないじゃないですか。国会が制定したときの法の趣旨、法の精神がわかっておらないで、そうして何で一体これは同意を与えるとか与えぬとかということの判定ができるのですか。私は不思議に思う。
  55. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ただいまの問題は、実は私存じなかったのですが、私どものやり方といたしましては、具体的な案件が出ますと、それについて、国会の何というか、いきさつとか、あるいはいろいろ単音の説とかというのを研究するので、とにかく、そう言つちゃ何ですが、私の方では、わずか何人ですか、その受け持ちの課は十人ぐらいだと思いますが、たくさんの案件がありますので、具体的な案件が出たときに、具体的にいろいろ調査をするということで、多少御不満の点もあるかと思いますが、そういうふうにやっておるわけであります。まだ先例もないようでありますので、こちらとしてまだはっきり扱いがきまっていない、こういうことであります。具体的な問題が起こればやる。
  56. 高野一夫

    高野一夫君 これはどうですか、各委員。非常に私は大へんな御答弁を聞いたと思う。法律ができた。公取委員会が首根っこを押えて同意を与えなければならぬ条文があって、その条文の解釈は、具体的の事例がなければきまらぬ、それから調べるのだ、こういうことがあり得るでしょうか。具体的の事例がなければ、公取は、同意を与えなければならない条文の解釈がいまだにきまらぬ。それで一体法律の適用ができるでしょうか。法の具体的な問題は、そのときそのときのいろいろな具体的の問題についての検討調査も必要であるし、いろいろな違ったデータについて判定が必要でありましょう。しかし、少なくとも一般論として、この条文はこう解釈するんだぐらいの解釈がどうしておわかりにならない。これが、公取に関係のない農林関係の法律ならまだともかく、公取が同意を与えなければできない仕事の条文なんです。その条文の解釈ができないということではどうする。(政府委員坂根哲夫君発言の許可を求む)ちょっと待って下さい。あなたは事務局長だ。私は委員長に聞いておる。
  57. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私が知らないものですから、はっきり率直に申し上げたので、われわれとして、具体的に調整規程が出てくれば、その調整規程が具体的に法律に合うか合わぬか、当然これはやります。やるんだけれども、今急に言われても、実は私は知らなかったものだから、それで先ほどのようなお答えをしたわけであります。
  58. 高野一夫

    高野一夫君 まあとにかく、私は公取委員会を見直しました。そこで、私は先ほど申しあげた通りに、きょうの質問の内容は大体この点ということは電話で連絡をしてある。聞かれたから連絡をしてある。商工組合のことについての問題を伺いますぞ、こう言ってある。そうすると、ここであなた、こういうことがいろいろ問題になるということはわかり切っているのであってしかも、具体的の問題が出るのに、今日委員会へ出て大臣といえども自分の所管の条文については詳しく説明される。そういう国会の時代において、自分が首根っこを押えておる条文の解釈が――具体的の問題の解釈を聞いているのではない。ただ、販売方法に正札販売方法が入るか入らないかということを聞いている。その解釈ができないということで一体どうする。私は具体的の事例を聞いておるのではない。私は与党議員であるがゆえになお一つこれを追及しなければならないと思う。
  59. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 正札問題は、私の方としては正札だけで――正札だけということでははっきりしないのですが、正札で売ることはかまわないが、正札を何というか手段として価格協定があるということになると因る、価格協定ということになると独禁法やその他の規定にひっかかって、それとの関係を見てやるのであって、ただ正札だからすぐいいとはちょっと言い切れない場合がありますので、そういう意味で具体的問題を研究するということであります。
  60. 高野一夫

    高野一夫君 私はこれ以上この問題について委員長を責めるような結果になって申しわけないからやめますが、当時この法律を作ったときには、販売方法の中には正札販売方法方法も入ると解釈になっておる。そこで、その場合に正札に響いておるいわゆる価格の問題をどうするかということも、これも当時の委員会の解釈がはっきりきまっておるのですから、どうか一つ速記録を十分審査した上で、この次の適当な機会にもう一ぺん引き続いて質問をいたしますから、よく勉強してさておいていただきたい。どうもこれは、私は一つきょうは大いにあなた方とお話しをした上である程度の筋道がつけられるかと思ったのですが、こういうことではてんでもう問題にならない。そこで、この取引法の三条七項についての解釈もきわめてあいまいであり、また、厚生省所管の中小企業の問題についても、経済の実情についての認識も先ほど委員長お話しを伺うとあの程度、しかも公取が同意をしなければならない大事な条文に対する解釈もあいまいもことしておる。委員長、この事態では私は質問をする意欲がない。これはわれわれは各党共同してこの法律を作ったのでありまして、この法律の通常は、今後厚生省においては、厚生省所管の組合において非常に大事な問題であります。しかもこの予算はとってある、今度は商工組合育成のための予算まで厚生省予算案の中にお取りになっておるのである。そこで、この商工組合とこの二条七項の問題の解明によりまして事態のいわゆる展開といいますか、公正なる、適正なる取引状況に戻すことができるかどうかということをきょうは審議をいたしたかったのでありますが、時間もだいぶ取りましたので、他の委員の御質疑もありましょうから、私はもう少し勉強を委員長に願った上で、そうして当時の、法律を制定するときの解釈も十分お調べ願い、かつ、この衝に当たられた当時の中小企業長官あるいは当時の通産大臣、その方ともお打ち合わせ願ってはっきりした解釈をお持ち願って当時の委員会の解釈では、この点においては公取は同意ができない、解釈が違うというようなことであれば、その違う解釈をお持ち願ってけっこうです。そうすればそれに基づきまして私どもはこの法律についての再検討をしなければならなくなる、こういう事態に展開して参ります。委員長、私はきょうは公取に対する質疑を終わります。しかし、これをもって私の質疑が終了したのではございませんから、お聞きの通りの状態で御答弁が得られない、従って、早急に御調査、御勉強を願った上で来週また当委員会においで願って徹底的に質疑を展開することにいたします。  なお、この問題について、関連してほかの委員の御質疑があればお譲りいたします。
  61. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は、せっかく委員長がここに見えておって今答弁を聞いておって、これは社会労働委員会として黙過できないと思いますから若干質問しておきたいと思います。  単に薬だけではなくて、今やラジオやテレビの方でもそういう乱売の傾向が出ておる。一般大衆は、買う方は若干利益はその当座はありましょう。しかし、小売商はつぶれていく、それでだれが一体もうけるか、一番もうけるのはメーカーあるいは資本家だけがもうけるという経済界の混乱が今生じつつあります。従って、私は今根本的に公正取引委員会の仕事の問題を質問して、そうして早急にこの経済界に混乱が起ころうとしておる事態をどのように処理されるかという決意を聞いておきたい。  第一は、公正取引委員会の機構、中央機構から地方機構、それから役職員の数、そのことについて委員長から御答弁を求めます。
  62. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 公取は御承知通り、終戦後アメリカの独禁政策に基づいて作られた役所で当時は相当大きかったのであります。ところが、その後いろいろな事情、行政整理等の事情でだいぶ減りまして、現在は約二百四十人の職員がおります。しかし、その二百四十人のうち二百人ばかりが東京におりましてあと名古屋と大阪と福岡と、おのおの十人前後の職員がおります。これだけの機構で独禁法の問題であるとか、先ほどお話しになつた調整規程の認可に対する同意の問題とか、あるいはまた、独禁法違反の被疑事件の扱いとか、そういうふうないろいろな問題をやっておるわけであります。
  63. 小柳勇

    ○小柳勇君 年間予算はどのくらいで運営されておりますか。
  64. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 年間予算は非常に少ないので、来年度が一億二千余万円であります。本年度も大体同じであります。
  65. 小柳勇

    ○小柳勇君 年間予算としては私は決して少ないとは思いません。一億二千万円もあればそれは決して少ない予算ではないと思いますが、二百四十名のスタッフで今仕事をやっておる。それが特に大阪にも十名内外の職員、役職員がおられるようであります。さっき高野委員の質問では、大阪や京都、福岡などでどのような情勢であるかということについては、大阪や京都の場合については御答弁されませんでした。大阪の問題については、薬に例をとりまして、薬の乱売についてどのような情勢がわかっておりますか。その情勢を詳細に御報告願いたい。
  66. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) 今委員長から私どもの機構を申し上げましたように、大阪、名古屋、岐阜の方面、京都方面にも薬の乱売があるということは新聞では存じておりますが、事務当局の方が積極的に調べておるということはありません。それから私が先ほど申し上げましたように、私どもの役所としては大体司法的な役所でございますから、提訴といいますか、こういう乱売があって困る、あるいは乱売をしておるもの、卸売、メーカーに対して小売商が提訴した、われわれは商売できないから何とかしてくれという申し出があったときに発動するというのが大体今までの建前でございます。積極的にそういう乱売があったからといって今までは動いておりませんから、そういう情報は正確にはつかんでいない、こう申し上げておきます。
  67. 小柳勇

    ○小柳勇君 社会労働委員会で取り上げて問題になったのは十一日です。きょうはもう十八日、一週間前です。今この電話、電報の発達しておるときに、国会ですでに一週間前に問題になって、しかもきょう高野委員は質問する前に予告しておると言われている。十数名の者が大阪におるとするならば、委員長が誠意があるならば、電話ででも詳細に報告を聞いて、たとえ小売商の提訴がなくても国会において答弁をする以上は、正確に実情を聞いてきて把握して、大阪の職員なり、京都にもおるようでありますから、そういうものを詳細に把握してきて、この問題についてはこうしたいと思うが、社会労働委員会はどうかと、このくらいの積極的な対策があってしかるべきだと思う。そういうような二百四十名もの者が、提訴されないからといって今のような経済混乱を見過しているというならば私は公取委員会なんというものは必要がない、こういう気がいたします。従って、私は今薬の乱売がなされているが、これが当面の問題でありましょう。しかし、私はこれだけでなくて、テレビの問題あるいはラジオの問題、小売商は非常に金に苦労しながらブローカーがそこでもうけている。そういうような情勢も早急に把握されて、もし小商売から提訴がないならば、私どものこのような声を聞いて積極的に調査して、次の委員会に出てこられる場合には、単に薬だけでなく、ほかの問題についても少し詳細に御報告を願いたいと思います。もしできないならば、私どもは私どもとして全力をあげて調査しなければなりません。そうしませんと小売商の人たちは立つ瀬がない。そういうことでもう少し委員長並びに事務局長から決意を聞いておきたいと思います。
  68. 坂根哲夫

    政府委員坂根哲夫君) ただいまのお話ごもっともでございますが、私どもとしては、委員長が、きょうは実は薬の問題は委員会に私ども正式にかけてなくして、先ほど高野先生お持ちのような資料をもって事務当局内で今協議中でございまして何と申しますか、社会的にあるいは経済的に、こういう乱売取引秩序の公正化に役立たないであろうという常識的なといいますか、一つ社会的な意見は、十分、すぐわかりますが、それを独禁法へ当てはめていくときにどう独禁法違反になるかということが私どもの任務でありますから、それを今せっかく調在中であるというようなことで、佐藤委員長お答えになりまして、はなはだ当委員会の不本意のようなことになりました。今の仰せの点は、十分事務当局でも研究いたしますが、この法律との関連において研究する、こういうことをお答えするわけでございます。
  69. 小柳勇

    ○小柳勇君 もちろん法律によってやられるのは当然でありましょう。私は、もう少しこの委員会というものは決して単に、政府が諮問するとかあるいは業者の申告があるとかいうようなことよりも、もっと経済の混乱、経済の不安を安定することが任務で設立されたものと理解いたしております。そういたしますると、もちろん法律が根拠でありますけれども、積極的に、この問題についてはこれから、この法律では直接ないけれども、こういう派生的な問題もあるということで、積極的に調査してもらうように要請いたしておきたいと思います。
  70. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 御趣旨よくわかりましたから、そのように取り計らいたいと思います。
  71. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私も一つ聞いておきたいのですけれども、先ほど委員長事務局長の、まあ委員長のお答えだったと思うのですけれども、国会で法律かできても、今のお話を聞くと、その事件の申請、申し入れがあったときに初めてこの問題に発動をどうかという審議をされる、こういうお話でございます。そうすると、その申し入れという事態が起こらぬ限りは、国会で法律がきまっても、法律そのものの運用、それからその解釈、これが日本の経済にどう影響するかというような副題の日々の検討というものが、どうも先ほどの委員長の答弁ではされてないように思う。事態が起きたときに初めてその法律を出してきて見る、こういう感じを受けたのですが、どうですが。そういうことですか。
  72. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 少なくとも中小企業団体法に関する限りは、大体そういうことであります。というのは、帆、今まで、独禁法自体のカルテルの問題でありますとか、それから不公正取引とかいろいろの問題があるので、それでまあわれわれの能率が悪いということになるかもしれませんが、大体手一ぱいなんです。だから、法律上はいろいろな事件についてあらかじめ研究しておくことは必要なんだけれども、具体的に申しますというと、何というか、申告と俗に言っておりますが、いわゆる告発ですか、告発、告訴に当たる申告、それによって事態を処理しているというのが普通の場合であって、こちらから職権でやっていくということはなかなか、理論上は別として実際上はできない、こういう状態なんです。いわんや独禁法自体ならともかくも、独禁法に付属した法律が非常にたくさんございましてそれを、具体的問題があったときはもちろん裁判所の判例的にこちらでも委員会としての意見を正式に決定しますけれども、具体的問題がない場合では、まあそれほど委員会としての解釈を決定するということは実はむずかしい……(高野一夫君「それがおかしいのだよ。そんなばかなことがあるものか。条文の解釈をきめておかないで、何で一体具体的事例が起こったときに判定できるか。それがおかしいじゃないか」と述ぶ)ちょっと言い方が悪かったかもしれませんが、具体的な問題が起こった場合に、疑義のある法律については、そのときに法律の解釈を決定すると、あらかじめ法律の解釈を決定することは望ましいのだけれども、現在の陣容ではそれだけに手が回らないと、こういうことなんです。法律を無視してやるということはもちろんないのであります。具体的問題があった場合に法律をどう解釈するか。要するに、裁判所がやるのと同じようなことなんです。
  73. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと、委員長お話を聞いていると、今私が質問した問題についてもわれわれ了解できません。しかし、その独禁法のカルテル行為云々というお話がありましたけれども、私はここで産業をあげませんけれども、操業短縮して値段を上げているというようなところもあるわけです。こういうことをほっておられるじゃないですか。いつ結論出るのです。そういうことを問いたくなってくるわけです。だから、そういうことも経済の流通の中で必要な問題としていろいろ仕事がありましょうけれども、日本全体の、やはりそういう大きい産業のカルテル行為の問題や、それから今の国民全体の生活のこういうものに対して、法律ができたら法律を解釈する……、事件が起こってきたら解釈するというようなのは、ちょっとそれは通りませんよ。(高野一夫君「法律の条文の審議は国会ではできぬことになる」と述ぶ)それはできない。
  74. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を落として下さい。    〔速記中止
  75. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして下さい。  臨時休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩    午後一時二十六分開会
  76. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、午前に引き続いて、昭和三十五年度厚生省関係予算に関する件について質疑を継続いたします。ただいま厚生省からは、森本官房長、尾村公衆衛生局長川上医務局長、小山年金局長熊崎会計課長高田社会何長、太宰保険局長出席をいたしております。  質疑のある方は、逐次御発言を願いたいと思います。
  77. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 宮城県の赤痢問題についてお答えできますか。
  78. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 尾村公衆衛生局長が来ております。
  79. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 実は、昨日予算委員会でも問題にして質問してみたのですが、この問題は御承知のように、宮城県において水源地に赤痢菌があったということにより多数の保菌者が出て、新聞紙上によれば、住民六千人のうちで三千人くらい保菌者が出るだろう。現在相当、千何百人の保菌者がおり、はっきり治療しておる者も百五、六十名あるということになっておるわけなんです。これは平素からの指導方法と同時に今回そのように発生したことに対する緊急な対策として、中央庁としてはそこまで手が届かないのか、あるいはこれほど大きな事故であるので、中央庁としても地方庁を指導したり、積極的にあなたの方で救援対策を立てておられるのか、そういう点についてまずお聞きしたい。
  80. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 宮城県村田町の集団赤痢発生でございますが、ただいま御指摘のように、大体今のところ水道を源とする集団発生というふうに認めております。といいますのは私の方でさっそくこれをキャッチいたしまして、去る日曜日いよいよ患者が集団的に大きく出ました当日、これの主任担当官を現地に派遣いたしまして、翌日所管課長である防疫課長を現地に派遣いたしまして、これだけ大きな問題でありますので、中央として十分指揮し、また、地方当局だけで力の及ばぬ点は中央が援助する、こういうことで派遣いたしまして調査もし、また、指導もいたしました。ただいままでにわかっておりますのは、患者の現状は、患者数は比較的少のうございまして、いわゆる症状を持っております者は少のうございます。現在まで確認いたしましたのは百名以下でございます。しかし、保菌者としては千四十三名、これは糞便検査の結果、昨日のお昼までに発見いたしました。これは臨時に学校を隔離病舎にいたしました。これは非常に幸いなことに、千五百名を入れる大きな講堂を持っておる学校がございまして、ここを臨時隔離病舎にいたしまして、約六百名をすでに収容済みでございます。これによりまして、治療も私の方で世話をいたしまして現地の開業医四名のほかに東北大学の医学部から応援隊を出していただきまして、あるいはまた、今後収容をふやす予定であります。これに対する給食が一番問題でございまして、町の給水地域全体かこういう状況でございますので、これは安全な給食ということで自衛隊の給食車と班員の派遣を求めまして、百九十名、これは器材を十分持ちまして直ちに給食を開始いたしまして安全を期しております。それのかたわら、治療薬につきましては、もちろん症状のある者には対症療法と同時に、根本的な療法は濃厚にやりましてそれから保菌者も、家庭におります者も、それから収容した者もこれは抗生物質並びにスルファミン剤、これを規定の通りどしどし加えまして早く菌の消滅をはかる、こういう処置をいたしております。一番大事な今後の蔓延に対しましては、やはりもとの方の原因を的確につかむことが必要でございますので、これを調査いたしましたところ、この水道は昭和二年に旧水道条例でできました地方としてはかなり早く作りました水道でございます。しかもこれは正規のすべての施設は一応持っております。従いまして、新しい新水道法によりましても、これは上水道としてそのまま法律通り許可になっておる水道でございまして、今のお話し通り、予定給水人口は六千名で、現実にやっているのは四千八百人、ただ問題は、水源が山奥からの分嶺水を引いております第一水源と、比較的民家に近い所の第二水源と二つに分かれております。その第二水源の方が民家の汚水等に接触する可能性のあるものでございまして、第一水源の方は調査の結果無関係ということがわかりました。それの管理状況が問題でございまして、これを調査いたしましたところ、去る一月の十三口に氷結をいたしまして凍ったために、これの消毒装置の加熱装置が破裂をいたしましてストップいたしました。そこでこれに対する相談がありましたので、保健所の職員が現地に行きまして、これの指導をいたしまして、修繕に約二週間かかったので、その間かなり濃厚なさらし粉による消毒を指導いたしました。これが一月二十八日に修繕ができたものでございますから、もとへ戻そうということで戻ったのでございますが、非常に運の悪いことには、二十八日から二月にかけて旧正月で、地元がみな正月になりまして、新しくやりまして再開したにかかわらず、夜、消毒装置をそういうような関係関係者がストップした。これが約四、五日続きまして、その間の一番の推定日時は、大体二月二日に汚染されたのであろう、多分それは消毒をストップした夜間のときに偶然菌が入ったのであろう、こういう推定が大体成り立ちます。従いまして、これを探知してからは非常に濃厚な消毒液を夜昼むろん続行いたしまして、従ってそれからやり始めてから、末梢の水道管に至るまで非常にくさい濃厚な消毒でございますので、それは完全に今やっております。従って、新たには続発の傾向はなく、それと同時に、汚染されたときにこれは全戸が飲んだか、あるいは夜間といたしますと、それを飲んだ人口は三千人になるか四千人になるか、それを使用した者が保菌者になるであろう、こういうことでございます。これは県の研究所が現地に本部を置きまして、毎日二千五百名ずつ巡回検便をいたしまして、片っ端から保菌者を発見して処置しております。その処置後の患者が二次感染をするといけないので、完全に菌が消滅するまで消毒を続けるということをいたしております。死亡者はなく、また、現在非常な重症者は一名もございません。患者の発生は今の水道によるものと裏づけられますのは、水道の給水を受けておる者全部に年令の差別なしに……保菌者としてのいわゆる症状発顕者は健康の弱い比較的子供とかあるいは老人に幾分発顕をいたしております。  それから、従いましてこういうことに解釈すれば、管理の管理上の問題でございますが、これは水道法によりまして、水道管理者というものを明記しております。ただし、これの資格は本年の十二月まで現在やっている水道に携わっておる者は経過措置としてそのまま許されております。ことしの十二月以後になりますと、非常に高度の技術を有するか、あるいは認定の講習を受けまして、それを通過しなければ管理者になれないという、ちょうどその経過中のことでございます。現在はその町では古い歴史を有しておりますものですから、土木水道課という町としてははっきりした課を設けまして六人の職員で運営しておる、こういうことでございます。従って、平素の管理は大体規則通りやっておったのでございますが、今のような状況で、旧正月の前後に機械が一ぺん破壊して修繕するという特殊な事情のあとの手抜かり、こういうことでございます。保健所も毎月一ぺん行きまして指導にはよく当たっておる。ちょうどその間隙だったということで、こういうようなことは間隙のときに出るものですが、水道のようなものは常時飲んでおりますから間隙を作っちゃいかぬのですが、遺憾ながらこういう状況でございます。こういうことでございます。
  81. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 大体御報告をいただいたわけなんですが、今の緊急対策として、医師四名、地元の医者等がやっておるということですが、薬方面も十分なようですが、聞くと、寝具に非常に不足を来たしておる。一度に一軒の家から二人も三人も患者が出ておるところでは毛布その他が不足しておるということで町をあげてそういうところに困っておられるようですが、そういうような点はどうなんですか。
  82. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) この点、現地の担当官に聞きますと、旧正月で一番寒いときのことなものですから、寝具がどうしても不足するということで、これは入っておる者に非常に迷惑なことですから、県といたしまして、災害用にある程度保存しておりますので、これらの融通のきく限り、できるだけここに集中させるようにという指導をして、今のところできるだけ逐次送りつける。こういうようなことが今計画が立った。こういうふうに連絡がきております。
  83. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 少しく規模は小さいのですが、同じようなことが昨年の秋――暮れ前に大阪の泉北郡の忠岡町ですか、あそこの水源に生息しておる魚がだんだん死に出した。調べたところが、これに流れ込む上流の松尾川とかいう川の魚も死んでおる。しかもだんだん調べていくと、工業用の青酸ソーダ含有物が入っておったということを聞いておるのですが、このことはあなたの方で御承知なのですか、あるいは御承知ないのですか。
  84. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 昨年のこの工業用水によるものはあるいはあったのかもしれませんが、私今ちょうど記憶しておりません。申しわけありません。
  85. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 そうすると、忠岡町の水源地の問題は御存じないわけですね。工業用水の廃水あるなしということでなしに、事故があったということを御存じないのですか。
  86. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) あるいはその水道でございますか、私の方で存じておりますのは、簡易水道がやはり今のように、消毒装置が二週間破壊して破壊中にちょうどその池の改修をやって人夫がそこを荒らしたために、簡易水道から四百名集団赤痢が発生しまして、これは私ども係りの者を現地へ派遣しましていたしましたが、ちょうどその名前は同じように聞いておりますが、魚が死ぬようなことはちょっと時期が違いますし、私の存じておりますのは昨年の春でございます。その後、この問題は私の方では事故として存じておりません。
  87. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 この忠岡町の問題もかなり大きな問題なんですが、そこで、最初の宮城県の赤痢の問題なんですが、今の説明によりますと、氷の凍結によって云々ということなんですが、やはり予算の面で、あれがもちろん地方起債等でやったわけで、国から大きな補助があるわけでも何でもないので、非常に窮屈な予算で仕事をするわけです。従って聞くところによると、鉄管を売ってビニール・パイプによって給水範囲を広げたりするために、いろんな予算の一面でやりかえをしておるというようなことを聞いておるのですが、もしそういうようなことがあるとすれば、これはもちろん成規の手続きの許す範囲における工事をしたに違いないと思いますが、それにしてもレベルの下がった工事をするわけです。今の大阪の問題といい、水道ということは非常に公衆衛生の上から重大な問題であるわけなんですが、何か聞きますと、あなたの方は十カ年計画でやるんだとおっしゃっておられるようですが、下水道の計画は建設省で五カ年計画でやり、上水道の方は十カ年というふうになってくるわけですが、やはり一つの環境衛生の見地から言っても、そういうことはよくマッチをして統一のある案を立てて、国として一つやっていただきたい。ただ公衆衛生一つで取り上げられるとそういう矛盾が出たり、予算の面から非常に取りにくくなったりするのですが、総体的な立場でものを考えてやっていただきたい。必要なものならば閣議を開いてやるということを総理も言うておられましたが、ぜひその線で進んでもらいたいと思います。  なお、この機会に医務局長にお聞きしたいわけなんですが、今の宮城県の赤痢の問題ですがね、これは新聞報道であって、はっきりした責任のある言葉じゃないんですが、お医者さんが初めに診断なさって、どうもくさいと思ったのだが、まあああいういなかのことですから、赤痢患者が出たということは町民も好まないし、その家族も好まないので、隠蔽する傾向があるわけですね。その気分が医者にも反映し、しかも医学的に確証の出ぬうちはまあまあというふうなことで時期的に非常におくれた。衛生部の方から出向いて行ってどうもそうじゃないかという話をしたんだが、そのときまた町当局をあげてそうじゃないんだと、医者だけでなしに、町当局自身がそういうような態度で、赤痢じゃないんだというような方向にもっていこうとした、その結果、こういうふうに大きくなったということを聞いているのですが、その点は御承知なんでしょうか。
  88. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 医者の、法定伝染病が出ました場合の医師の隠蔽云々の問題は、伝染病予防法の、公衆衛生局の所管になると思うわけでありますが、現地で、宮城県あるいはその保健所が調査をいたしていることで、まだ私の方は実情を詳しく承っておらぬわけであります。
  89. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 そういうときには、医者に対する指導をあなたの方でやっておられると思います。
  90. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 一般的な医師の指導は私どもの方でやりますが、ただいまのような伝染病隠蔽をしたというような問題は、伝染病予防法によって監督することになっているわけであります。
  91. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) ただいまの宮城県で、新聞紙にも出ましたように、医師が隠蔽したという疑いのように出ておりまして、これは担当官を派遣しましたときには、そこももう十分調査いたしました。実は今度の発見のきっかけになりましたのは、むしろ二月六日に学校の校医さんが少しあやしげな下痢患者が、何名か訴えがあるということでむしろ保健所に届けられた、こういうのがきっかけになりまして実は発見されたわけでございます。それに対しまして保健所が現地へ行きまして、その間いろいろな検査調査をやりました結果、どうも水道による、まあ赤痢とは断定できませんでしたが、何か伝染病らしいということはわかりまして、八日には大体臨床診断で疑似赤痢とは確実に言えるということで、保健所はこれはむしろお医者さんの見ている臨床診断を個々に詳しく聞こうというので、その医師を訪問いたしまして、どうでしょうということでしたら、医師の方は首をかたげて答えができない、これは菌検査をやっておらぬわけですからというようなことでありました。ところが、そのお医者さんが別に隠蔽するとかしないとかという前に、それを聞いて回っている夕刻に、水道経営者である町長が突如として赤痢では絶対ないということをしろうとであるにかかわらず、発表してしまったわけです。そこで、翌日から同じ町の診断に当たっておった開業医の方が意見が言えなくなった、こういうことがわかりまして結局水道の管理権が町営なもんですから、町長としてはどちらかというと水道でないことを、まあ大問題ですから望んでいるわけですが……。そこで、こういうような赤痢でないということはしろうとが言ったものであるが、これがいろいろ妙なことに発展いたしました一番の何で、しかしながら、県といたしましては、あくまで監督の立場でございますから、県当局でございますから、直ちにこの菌の培養をいたしまして、すぐに二名を発見したものでありますから、これはもう間違いなく赤痢であるということで、処置を十二日から急速に始めた、こういうことでありまして、今のところ、医師の方が積極的に自分で見た患者を隠蔽してあるいは誤診をしてというような事実はなくて、そういうような町のことでございますので、町との関連がある程度影響してこれだけおくれた、こういうような今調査結果が報告されております。
  92. 勝俣稔

    ○勝俣稔君 関連事項で尾村公衆衛生局長に伺いますが、赤痢は疑似症を適用してあるのでしょう。
  93. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) その通りでございます。
  94. 勝俣稔

    ○勝俣稔君 それならば、医者は、疑似症を適用されているので、それで大体診断はつきませんですか。
  95. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 一般的には、もう症状から、菌を出さぬでも疑似症で申告すべきであると思います。
  96. 勝俣稔

    ○勝俣稔君 おそらく末端の方で相当患者がたくさん出たんだと思う。しかも、子供であるとか老人であるとかというものに多く出るのが水道によるところの感染の姿なんであります。そういうときには、やはりいやしくもお医者さんである以上は、公衆衛生の見地を考えていくように、ふだんから私は衛生当局は医者側と了解といいますか、指導という言葉は失礼かもしれませんけれども、そういう線に力をやはり注いでおいてもらわぬと因るのではないか。そういう手抜かりというか、そういうところがあったためにおそらく竹中先生のような御質問があったのじゃなかろうか。ただ、それにつけ加えて、今の町長のような、医学については無知なる人がそういうことを言うたためになお混乱状態を来たしたんじゃなかろうか、こういうふうに私は思うのでございますが、そういうところは、今後とも十分私は衛生当局としては御注意をなさる必要がありはしないか、こういうように思いますので、ちょっと申し上げた次第です。
  97. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 全くその通りでございまして、伝染病予防は早期が大事なことでございますから、疑似症でも少しでも固まれば、一層固まればなおさらでございますが、そういうふうに指導もいたしおりますし、今後も県や保健所等の指導も、間違いないように正そう督励いたしたいと思いますので、御了承願います。
  98. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 輸血の問題で薬務局長にお伺いします。  まず最初、御当局の輸血に対する御認識なり、熱意という点で、私少し不満に思うのですがね。先ほどちょっと言いかけたのですが、厚生白書の報告書が前年度も今年度も同じ文句でずっと書き流されているわけなんですね。ただ、量だけの数字が変わっているだけで、てにをはまでほとんど同じだというようなおざなりの厚生白書を出されるということですね。特に輸血に関しては出ているわけなんですが、一体そういうようなことでいいのだろうか。輸血に対しましてどういうようなお考えを持っておられるのか。いろいろと輸血障害が問題にもなってきておりますし、血液の需要量もふえてきているようなときなんです。もっとも、最近の新聞によりますと、保存血液普及運動ですか、これを日病と日赤と血液銀行でやっておられるそうですが、その成果は一体どういうふうになっているのですか。一週間の予定で普及運動をやられたそうですが、まず、そういう点をお聞きしたいと思います。
  99. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 輸血の問題について最初にお話のありました御印象を与えたとすれば、これは大へん残念なことでございまして、私どもは、この問題については非常にむずかしい問題であるだけに、真撃に取り組んでやってるつもりでございますが、その点もしそういう御印象を与えたとすれば、これは私どもやはり至らぬ点があることだと思いまして十分今後気をつけて参りたいと思います。実は、率直に申し上げまして、輸血の問題というのは、私どもの方のいろいろな行政のうちで一番頭の痛いむずかしい問題でございます。と申しますのは、今お話のありましたように、輸血の壁は年ごとに増量をして参っておりますが、これが供給をまかないます面について見ますというと、御承知のようにその量の大部分というものは買血すなわち血を買う、そういうような仕組みによってまかなわれておるわけでございます。ところが、その必然の結果として、結局、買血の給源というものはおのずからこれは局限をされてくるし、そういうような状況からして、一面においては、供血者の健康の問題が派生をするし、一面においては、採血いたしました血液の質の低下の問題が起こってくると、こういうようなことで、いわゆる買血制度というものの限界というものがありありと出てきておるのが偽らざる現状でございます。本質的に申し上げれば、この問題は、やはりほかの国でやっておりますように、そういうような方式ではなくして、預血あるいは返血の方式で行くのが本筋であるわけでございますが、従来の経過が今申し上げたようなことになっております。そこで、厚生省としても、できるだけ買血制度を少なくしまして、預血あるいは返血の方式に切り替えたいと、そういうような考え方をもって、三十二年に、はっきりその方針も指示して参っておるのでございますが、実際問題としてはこれがなかなか意のごとく進まないと、まあそういうようなことで、今後この問題をどういうふうに進めていくか、現状とそれから今後の見通しも含めまして、私どもとしては、十分一つ方針を再検討して、将来の見通しもつけて、一つ、もう一ぺん方針を打ち立てるということに考えてみたいと、そういうような意味で実は苦慮をいたしておる最中でございます。先ほどお話のありました供血についての週間の問題は、まあ要するに、何とかこれを預血・返血、そういった方向へ強く進めたいという、そういう運動の一つでございますけれども、御承知のように、これは長い間のずっと今日まで参りました経過もありますので、一週間やあるいはひと月やそれだけのことで目に見えた効果がすぐに現われるということにはこれはなかなかいかないと思いますし、それも非常に大事なことでございますが、同時に、これはやはり日赤による問題でありますとか、その他いろいろな行政上の施策とからみ合わして今後進めていかなければならぬと考えておるわけでございます。それらの総合対策については、現在私ども実は非常に苦慮をいたして研究をいたしておるような次第でございます。
  100. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 輸血の問題は、結局、供血源の問題に私は来ると思うんです。あなたの方の対策にも、厚生白書にもそのことは書いておられるわけでありますが、まあ各国を見まして買血制度をとっておるのは文明国では日本だけである。しかも、最近まで終戦後買血制度をとっておった西独でもうまく切り替えができたということなんですが、日本においてでもやはり方法いかんによっては預血なり返血なりの方法に切り替えることはできると思うんです。ただ民間団体にそういう一週間や十日間の普及運動だけにゆだねるということでなくして、少しくこういう面にも財政的な措置をなさってそうして本格的にお取り組みいただきたいと思います。  そこで供血源が固定すればやはり供輪比重も満たされない。現在、一日に七、八千人の供血希望者があって、その中の半数に近い者は不適格者である。年間二百何十万人の供血希望者がある。これはほかの社会諸施策とも考え合わせて低所得者の問題もあります。あるいは最近は売血を職業にしているそういう固定した人からとった血を輸血してみたところで一向にきくわけでもないわけですから、私はこれは考えようによっては重大な問題だと思うのです。そういうことが原因したと思うのですが、昨年の秋ですが、横浜の医師会で輸血障害によるデータを学会に発表なさったことがあるわけです――一五%前後の障害を起こしておられるわけなんですが、学会で一応問題になっておりますが、当局の方にこういうことの報告があったのでしょうか。これは過去三カ年間の五千何百人の輸血した患者に対する臨床報告なんですが、一五%障害があったということはかなり大きな問題なんですが、御承知なんでしょうか。
  101. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬務局の方にはその報告が参っていると思いますが、私自身はちょっと失念をいたしておりまするが、いずれにいたしましても、今だんだんお話のありましたように、血液の質というものが相当低下をしているのが現状でございますし、これは障害の問題あるいはそれに関連する諸問題というものが、これは当然このまま放置すれば起こることを心配しなければならない事態でございますので、それらの問題を総合して、私ども今後いかにすべきであるかということを真剣に取り組んで検討し、対策をきめていきたい、かように考えております。
  102. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 それでは次に、輸血を取り扱っておりまする日本ブラッド・バンクとか、あるいは輸血院の問題なんですが、大阪にかなり大きな規模の中央輸血院がありますね、神戸その他にも支店を持っております。ここに供血している患者と申しますか、供血者が大阪府庁に訴え出たことによって立ち入り検査をされたということによって明るみに出たのですが、一カ月の間に十回以上も逆に輸血院の方が強要して採血をやったと、一回二百ないし四百くらいしかとれないものを、しかも月一回を普通法によって認められているのを十回もやった――結局四、五千血液をとったわけですね、結局人間の全量をとったわけですね。一ぺんにとったわけじゃないのだから死ななかったのだろうけれども、しかもこの輸血院は付近のアパートにそういう専門家を十何人住まわしておいて、そうして生活費をあてがい、造血剤を飲まして、そうして近畿地方の奈良とか和歌山あるいは京都あたりから注文があるとすぐに本人を送る、あるいは採血して送るというようなことをしているわけなんですが、緊急な場合には、病人としてはいい血液ならば非常にありがたいわけなんですが、極端な例は十回もとったというようなことによってたまりかねて府庁に申し出て、立ち入り検査をした結果、明るみに出たわけですが、そういうようなことに対する指導面がはたしてどういうようになっているかということなんですね。それから、ブラッド・バンクの方の報告によりましても、これは逆に無謀な、無理に血をとってくれ、飯が食えないからと、これは逆に押し売りするわけで、ブラッド・バンクは困っている。これは逆な場合もあるわけなんですが、そういう場合に、米穀通帳だとか、写真入りのカード等によってある程度だけは、二回、三回知らぬ顔して売りに来てもそれを防止するように一応注意しているようですが、実情は血が足りないから、怪しいなと思ってもこれを採血することもあるということを漏らしておるのですが、私こういうことも非常に取り締まりなり指導の上から重大な問題だと思うのです。大阪の場合のことは御承知なんですか。
  103. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 供血を強要しているということは実は私ども今まで報告を受けていなかったのでございます。もしお話のような事実があるとするならば、これはゆゆしいことでございまして、私どもさっそく調査をして、そのような事実がもしありとするならば、それに必要な措置を直ちにとるようにいたしたいと思います。  それから、後段にお話のありましたように、供血者の方からとってくれというのでせがむといいますか、そういうような事実があって困るというようなことはこれはまあ聞いておるのでございますが、この問題も、私ども過度の採血をしないように厳重注意をいたしておるのでございますけれども、何しろ片一方は少しでも血を売って金を得たい、片一方の方は正常な採血をしなければならないけれども、一面においては、まあ採血の量がふえればそれだけ業績が上がる、そういうような両方の立場からまま間違いが起こるというようなことがあり得ると考えられますので、これらの点については、さらに従来にも増して監督を厳重にして参りたいと思います。
  104. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 先年、角膜移植のときに、やはり営利的にこういうことを私的に許すことはいけないから、やはり国立とか公立とか、相当はっきりしたものでなければいかぬということであったのですが、輸血問題については、もちろん公立もありますが、財団なり私的なものが多数にあるわけなんですね、二十数カ所あるわけなんです。そういうように相当血につながる問題で、いわゆるこれで飯を食うということは、吸血業者になるわけですから、よほど指導なり監督をおやりいただかぬと、私はそういう人道上の面からもいかぬと思う。ところが、そういう指導費というようなものは、今度の予算に――予算がないからできないのだとおっしゃると思うのだが、一体そういう予算をどこに組んでおられるのですか。
  105. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今お話がございましたように、血液に関する事業を公立、あるいは公益法人にする、あるいは営利法人にする、いろいろございますが、血液の比重について調べてみますというと、やはり公立等が一番成績がよくて、営利法人立の方は一番成績が悪い。そういうような結果になっておりますし、また血液というものの特殊な性格からして、本来から申し上げれば、こういった事業というのはやはり公立であるとかあるいは日赤であるとか、あるいはせいぜい公益法人、そういう形態の方が望ましい形態であるということはこれはまあ言うまでもないことだと思います。漸次私どももそういった観点を十分しんしゃくをして参りたいと思います。  それからただいまお話しの血液のいわば監視に関する予算につきましては、率直に申し上げれば、要求をいたしましたけれども、結局実現を見ないということでございますが、それはそれとして、非常に大事な問題でございますので、一般薬事監視一環といたしまして、今後できるだけ努力をして参りたい、かように考えております。
  106. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連して。今、公的な機関に輸血のいろいろな仕事をさせたいということですけれども、従来国立病院には十カ所血液銀行があった、ところが、今度その予算も減らされているのです、八百万円ほど。ちょっと今見つけておったのだけれども……。十カ所の、国立病院に対する予算が今度は減らされています。それは一体どういうわけで減らされているのか。  それからまた、今いろいろ苦心をしたけれども予算がとれなかったということですけれども、「血液製剤対策に必要な経費、」これもたった十七万七千円が十七万二千円にこれも減らされておる。局長は、非常に苦慮していられると言われるけれども、どうもあまり苦慮していられないじゃないかと思うんですが、なぜこういうような扱いをせざるを得なかったか、説明して下さい。
  107. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 前段は、医務局の関係でございますから、医務局長からお答えいたします。  後段の問題は、これはいわば一般の節約でございまして、一般方針でございますのでさようになりました。
  108. 坂本昭

    ○坂本昭君 医務局長、国立病院の血液銀行組織についての予算が幾らであるかということを知っていますか。
  109. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 個所は減っておらないのでありますから、実績がそれだけ少なくなったんだと考えておりますが、なお、よく調べてあとからお答え申し上げたいと思います。
  110. 坂本昭

    ○坂本昭君 輸血の問題はおととしから取り上げてきて、最近ではこれで三回目の議論だと思うんです。私も非常に、昨年の春の予算委員会のときに、前同じ高田局長からいろいろと伺ったのですが、名高田局長をしても、なかなかこの輸血の問題について改善が困難であった。今新しい名高田局長も非常に苦慮しておられることは私も想像できます。しかし、苦慮しているだけで少しも新しい手を打たれていない。第一、なぜ今日のこういうふうな輸血組織、輸血制度になったかという一番の原因をどうもつかんでおられないと思うんです。私は、この一番の原因は輸血を保険給付にしたということです。この点は保険局長――当時の保険局長であり、その後薬務局長になった高田局長も、私は責任があると思うんですね。輸血を保険給付にしたためにもうすっかり取り返しのつかない混乱というか、ある意味では非常にうまくいった。うまくいったけれども、ブラッド・バンクの組織としては、非常に外国のような預血、返血の制度にすることが困難になった。だから、この点もやはりえぐっていかないというと問題の解決ができぬじゃないか、これが私は一点だと思う。  それからもう一つは、竹中委員が指摘された通り、供血者の監督、これはどうも高田局長よく実態を知っていられないで、非常に不勉強であると思うんです。私も去年の春に都内のプラントを見に供血者にまぎれて行きました。これは厚生省の担当の方と一緒に行ったんです。行ったら、先ほど大阪では月に十回とると言っていましたが、私は知らぬ顔をして、私も血圧が高いから血をとってもらうのですが、みんなは一体何回目かと聞いたら、たしかその月になって六回目でした。非常に私はびっくりしたのです。そのことを前の局長のときに委員会で指摘をし、それ以来見ておりますと、確かに監督はよくなっていると思います。比重五二の境を非常に厳格におやりになるようになったので、供血者の合格率が五〇%ぐらいにずっと落ちてきている。従って、最近はプラントでは供血者を探すのに少し困る状態になってきた。それだけ保存血液の質はよくなっているんです。私は、その点では皆さんがこの輸血に関する取締規則を励行されるようになったことは一応評価いたします。評価いたしますが、やはり根本問題については少しも前進していない。特にこの前のときには、この預血、返血の外国式のやり方を福島県で実験的におやりになるということを言っておられた。その後の福島県についての実態の御報告もこれは当然していただきたいと思います。そうしてこの前、新聞に厚生省の御意向が出されましたが、全力をあげてこの非常にゆがめられた輸血の日本的なやり方を変えなければならぬと思うんです。その点について、私たちも一緒に努力いたしますし、竹中委員の指摘された通り予算面に全然何も出てこない。特に国立病院あたりはイギリスの例にならってブラッド・バンクのセンターになる必要がある、ところが、現実は東一においてさへもやって――全然とは言いませんが、あまりやっていない。何がこうさせたかということですね、そういう点でもう少し私はもう三年ぐらい問題になってきているので、新しい局長さんが英断をもって解決をしていただきたいと思うんです。で、今の保険給付にしたということが私は一番問題点だと思いますが、それについて現局長、さらにまた、保険局長さんも意見を言っていただきたいし、当時の局長もおられますから、率直にこの問題についての御意見を承りたいと思います。
  111. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 福島におきまする成績についてはあとで御報告申し上げます。  それから最初に御指摘になりました保険給付の問題は、私どももこれは一つの問題点だとも考えております。御趣旨をくみまして十分一つ研究して参りたい、かように考えます。
  112. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 保険給付に取り入れましたことが今日のいろいろな混乱の一つの原因であるという今のお話でございましたが、まあおそらくその後の対策が予期したより進んでいなかったという点も、これはただいま薬務局長申しましたように、私ども一緒に一つ検討してみたいと思います。
  113. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 御指摘のように、保険給付の中に入れましたのは、私の保険局長の時代でございます。それで、これは私も非常に責任を感じているわけなのでありますが、実はその後、今度薬務局へ参りまして自分が意図したことと逆になっているので実は驚いたような次第であります。坂本先生も御承知のように、この輸血問題は、最初の問題は、例のなま血を病院あたりで供給する人がおりましてしかもそれにボスがついておりまして、そうしてそのなま血をやるのでいろいろ事故があった。それでむしろこの保存血という形でやることが望ましい、しかも血液の需要の方は非常に多くなりますので、それで私が前に薬務局におります時分には保存血を大いに伸ばさなければならぬというふうな一般の空気だったのです。それで、ところが、保存血が保険の給付の対象になっておりませんので、いわゆる病院払いとなっておる。それで、それではどうも非常にやりにくいというまあ医療機関側の御要求もあり、私はかねがね昔の認識で、以前の認識でそうした方が、保存血を非常に使って、なま血でまあ変なものがまじり込むということが防げると、こういうようなつもりで実は善意であれをやったわけであります。ところが、今度やってみますと、今先生御指摘のように預血の場合には返血でございますが、全然血を寄付する場合には献血という言葉を使っておりますけれども、預血、返血運動を展開するに実は私も先般業務局におりますときにいろいろその事情を聞いてみたのでありますが、いやそんなことをしなくたって、何あれだと、病気になって輸血が必要になればいつでも手に入る、しかもそれは保険で給付してくれるのだからというのでなかなかいろいろな職場に行って預血、返血を勧めてみても今御指摘のように、むしろそれが障害になっているということを実は聞いたのです。これはやはりよほど検討してみなければならぬなというので、実は私も別に結論は出しておりませんでしたが、さように実は考えておったわけであります。たまたま本日御指摘がありましたので、まあ率直にその時分考えておりましたことと、実態が若干食い違いがあったということを申し上げました次第であります。
  114. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    〔速記中止
  115. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして。
  116. 坂本昭

    ○坂本昭君 これは委員長にもお願いしたいのですが、輸血問題というのは非常に大きな問題です。そうして厚生省もほんとうに困っている、局長課長も、歴代の課長はたしかノイローゼになっている。で、アメリカも二割程度は買血の制度はあるのですが、大体外国は竹中委員の言われた通り献血的なあるいは預血、返血制度になっている。ですからまあ場合によれば国会議員あたりは率先して、委員長ども血をお取りになった方が御健康にいいと思う。そういう運動をして、そうして国民が正しい輸血の体制を作るという点において、委員会としてもぜひこれは協力して国民に対するPRを努めていきたい。また、場合によれば血液のプラントの実態も当委員会で視察をして実情を見ていく、そういうことを特にお願いをして私は質問を終わります。
  117. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  118. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは速記を起こして下さい。
  119. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 予算書の九ページ、十一款というんですか、水俣食中毒対策費というのが出ておりますが、この水俣病につきまして少しくお聞きしたい。この水俣病につきましては、先国会で非常に議論があったのですが、幸いに地元で県知事調停によってまとまりまして、地方としては一応おさまったということになっております。最近の報道によると、その原因もやはり工場の排水にあったという結論が出たようですが、それに関連して私はお聞きしたいことがある。当時まだはっきり原因が究明できない時分に調停ができたわけですが、その調停されましたときには、第一条件は、すぐに一週間以内に濾過装置を置くということ。それから第二は、補償金として三千五百万円会社が出す、それから立ち直り資金として六千五百万円ばかりの金を会社が貸す、それから会社に対する損害を与えた器物破壊等に一千万円ばかりの弁償金を漁組側が出すというような経済的な面と、それからもう一つの問題は、かりに将来工場排水が有害であっても、今後一切経済的な補償はしないということと、それから今後排水量の制限はしない、浄化装置をした限りは、排水量の制限をしないというようなことが調仲条件に入っているわけですね。最近原因がはっ奉りいたしまして、工場排水は有害であるということになった場合に、あの当時の調停条件によって漁組側というんですか、漁業組合と会社側とあるいは地方庁としての話はついたかもしれませんが、これはやはり重大な問題であって、有害な排水を量の制限なしに無制限に工場の思うままに流すということは、これは厚生行政の上からいって一つの大きな問題があろうと思うのです。その一点と、それからこの予算書によりますと、原因究明についてのまあわずかの費用も出ておるようでありますが、原因ははっきりした、ところが治療法はもちろんいい治療がないわけなんで、研究費は載っておるわけなんですが、原因調査費にいたしましても、治療対策の研究費にいたしましても、あるいはそれの懇談会費用とかはあるようですが、この程度のものではとうてい私はまかない得ないと思うのですが、そういう、これに対する、有害であっても流させるということの問題と、今後対策上の予算についての確信があってのこの予算なのかどうかということをお聞きしたい。
  120. 聖成稔

    説明員聖成稔君) 水俣病につきましては、前国会の当委員会におきましてもいろいろ御質疑のありました問題でございますが、今までにはっきりいたしておりますことは、昨年十月に、厚生大臣の諮問機関であります食品衛生調査会におきまして、水俣病の原因物質は水俣並びにその周辺に生息いたします魚介類中に含まれておる有機水銀化合物であるということの答申が出まして、これを厚生大臣が認めまして、一応水俣病の原因物質は有機水銀化合物であるということははっきりしたわけなのであります。それまでの段階におきましては、あの付近の魚介数を多量に食べますると、人間もあるいはネコも水俣病にかかるということだけは明確でございましたけれども、一体魚介類の中のいかなる物質が有毒であるかということが不明確であったものが、あれによって主として熊本大学を中心とする研究によりまして、あのような結論が出たわけであります。従いまして、このことをもって直ちに、現地にございます工場が水銀を触媒として生産過程に多量に使っておるという事実も一方にあるわけでございますけれども、それとこれとが直ちに結びつくということにはまだなっておらないわけでございます。そこで、あの発表以後におきまして、経済企画庁が中心になりまして、水産庁、通産省、それから私どもの方の厚生省、これらが連絡協議会を持ちましてこれによって今後の最終的な究明を続けてやっていく。つまり通常持っていない多量の有機水銀化合物をどうして水俣並びにその周辺の魚介類が体内に保有するに至ったかということを今後究明する。それには単に医学だけの問題でなくて、水産学であるとか、あるいはそのほかの範囲の学問と共同してやらなければならないということで、ただいま先生御指摘の明年度予算に計上されております原因究明費も、この有機水銀化合物とは申してもいろいろたくさんあるわけでございますので、その有機水銀化合物の中のいかなる物質であるかということを主として今後究明していくのが厚生省の担当する分野でありまして、それに必要な経費は一応計上しておるわけであります。  なお、つい一作目きまった問題でありますが、三十四年度の予備金からも約四百万円程度支出いたしまして、この原因物質の有機水銀化合物とはいかなる物質であるかという化学的に明らかにいたしますために必要な器具を東京の国立衛生研究所に新しく購入いたします経費も要求支出で認められたようなことでございまして、もっぱら今後はその線に沿って厚生省側はやって参る。それから通産省側は、工場の廃液の処理問題、特にまた、類似の工場がこの水俣以外に全国に約二十カ所程度ございまするので、そちらにおける廃液の処理状況、なぜ水俣だけにかような問題が起こったかということを裏づけるための調査研究を通産省がやる。それから経済企画庁では、海水の化学的な検査、こういった面を担当してやって参ることに話し合いがついてそれぞれ予算に計上されているわけでありまして、むしろ水俣病の原因究明の段階は最後の追い込みの段階に入りまして、各省の総力をあげてやるような態勢に目下進んでおるような情勢にあるわけであります。従いまして厚生省関係に計上されております以外に、いろいろまた他に予算も計上されておるということを御了承願いたいのであります。従いまして、先ほど先生のお話の問題にありました――今私が申し上げたことによりまして、まだ工場廃液と魚介数の体内にある有毒なる水銀化合物との関連は、最終的にははっきりしていないわけでございますけれども、たまたま現地の工場が水銀を触媒として多量に使うようになりましてから水俣病患者の発生もほとんど時を同じゅうして発生している。そうしてまた、水銀の使用量が上昇するに従って患者の発生数もふえておるといったような事実から、両者の関連性がきわめて濃厚という見方も非常に強く行なわれておりまして、特に現地におきましては、もうほとんど何人もそれを疑わないというような状態にまで関係者が思い込むというようなことにもなって参ったようであります。昨年の厚生省のあの発表を契機といたしまして、熊本県知事は、一昨年成立いたしました公共用水域における水質の汚濁防止法に基づきまして、紛争調停員――法律に基づく仲介員を任命されまして、この仲介員の方々といろいろ工場側、あるいは漁民側と相談をされまして、先ほど先生お話のような一応の調停案が出て、そして話がまとまったと、こういうような段階を経ておるわけでございます。従いまして大体私どもが一承知いたしておるところでは、まあ工場側ははっきり自分のところの廃液が原因であるということは認めない、認めないけれども、工場の廃液によって漁業に甚大な悪影響を与えたという事実は認めるというようなことで、相当の補償なり何なりの経費を出したように承知をいたしておるわけでありまして、従って、その辺から、まあこれ以上明確になっても、さらにもうこれ以上の要求はしないということも話し合いに出てきたのではなかろうか、かように私は想像いたしたわけであります。  なお、その排水の問題につきましては、昨年十二月の二十四日に、ほとんど完全な浄化装置が完成いたしまして、今後はその浄化装置を、除害施設を通過しなければ、工場廃液は水俣の海域に放出しないといったように私ども報告を受けておりますし、通産省側もその線に沿っての指導、監督をいたしておることになっておるわけでありまして、その点からも将来この問題につきましては、私はこれ以上の問題はないのじゃなかろうか、かように考えておるのであります。問題は水俣湾の湾底にありますが、海底の泥土が多量の水銀を含んでおる。従って、この海底の泥土をどうするかということがやはり今後の一つの最終的な解決方法になるのじゃなかろうか。しかし、これ以上水銀を多量に含んだ廃液が水俣湾に放流されるということは、この除害施設によって私は今後あり得ない、かように考えております。
  121. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 今の御説明によると、原因の問題なんですがね。最近私の聞いたところでは、熊本医大で新しく報告なさったのは、今あなたのおっしゃったようなことは前々からわれわれも承知しておることなんですね。排水中の無機水銀が魚介類の中で有機水銀になることについての経過が、一体工場の責任でその経過の責任を負わなければならないのか。他の工場に――同種類の工場が全国に二十からあって、ほかの工場の排水にはそういったことがないのだと、従って、自分の方の会社の廃液が原因しておらないと、こういうことであったのですが、あの工場は塩化、ビニールだけでなしにほかのものも作っておられるのですね。従って、塩化ビニール系の工場の廃液が無害であったからあの工場の廃液も無宵だとは言えないということで、特に調べられたところが、非常に何か硫酸類の廃液の中の無機水銀との関連において、鋭敏な廃液がその中に含まれておって、どんどんと流れていると、従って、もう決定的に廃液が有害であるということが結論づけられたということを私最近聞いておるんですがね。そういうことはお聞きになっておらないですか。
  122. 聖成稔

    説明員聖成稔君) いろいろの説が言われておることは承知いたしておりまするけれども、この問題の最終的な決定につきましては、先ほどもちょっと申しましたように、昨年の秋までの段階は、もっぱら厚生省中心でやっておったのでありますけれども、有機水銀であるということを断定いたしました以後は、経済企画庁が中心になりまして、関係の各省が一緒になって研究を進めていく。従って、その連絡協議会を経済企画庁が招集いたしまして、ときどき開いておるのでありますが、今までの段階では、その後新たにこういう方向でおのおのがやっていこうということを打ち合わせる協議会はたびたび開かれておりまするけれども、今先生がおっしやるような意味において、無機水銀が有機水銀になるのはこういうあれである、役所側の調査と学者側の調査との意見が一致して、こういう結論であるといったような、そういう段取りには今まだ進んでおりません。かように私ども承知いたしております。
  123. 坂本昭

    ○坂本昭君 今の水俣病について、硫酸の問題についての厚生省見解はいかがですか。熊本の大学の、あれは医学部長が最近発表したのでは、有機の水銀と、それから硫酸の製造過程から出てきたものと硫黄とがくっついた、その複雑な有機体が悪いというふうな新しい治験を発表しておられる。その硫酸の問題についてはどういうことですか。
  124. 聖成稔

    説明員聖成稔君) その点、まだ検討しておりません。
  125. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は二点についてお尋ねしたいんです。一つの問題は、年金の問題です。あとは精神病院の問題。  で、年金の問題ですが、先日も厚生省の方にお尋ねしたところによると、たとえば福祉年金で、十一月から二月まで登録をさして、そして三月に支払う。で、三月の月に、事務的には一日から三十一日までの間に支払われるんですけれども、そのときに、対象者がなくなっておれば十一月からの分を支払わないと、こういうことになっているというんです。で、私はどうも不思議で、予算をとって、そしてその十一月から――まあ権利というとおかしいけれども、法律できめた、もらう権利といいましょうか、裏を返せば生活をさすという意味のきめ手なんだ。それから十一月から二月までの四カ月間置いておいて三月に支払う。支払うときに、おらぬ1死んでたら、それは一銭も払わぬ、こういう工合。そして、もらうということが法律できまれば、もらうという予定で、生活――家庭経済というものが維持されていくことでありましょうし、建前からいってもそういうことはどうもおかしいと思うんだが、どういう工合に――厚生省の方に少し私意見を申し上げておいたんですが、ちょっと御協議いただいたお話を承ってそれから私の質問をしたいと思います。
  126. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) ただいま仰せの問題は、こういう問題でございます。十一月から年金を受けるわけでありますが、その人の年金の支給月が、ことしの場合には三月になっております。で、これはただいまお話の中に、三月一ぱいにというようなことがであれば、いつでも郵便局に行って受け取ることができる、まあこういうわけでございますがそういうような人々が、今のお話だと、二つあるわけであります。三月までの間に、何かの関係で受給権を失ってしまうという場合はどうか、こういうことでございますが、その場合に受給権を失って生存しておったらどうかという場合と、もう一つは死亡によって受給権を失ったという場合はどうか、こういうことでございます。  それで、前段の、生存したままで受給権を失うというような場合は、現在の法律でも、そのときまでの分を、受給権を失ったときに支払いをする、こういう規定になっているわけなんであります。  で、問題は、死亡された場合でございます。そういう場合に、その人がいわば生存中に受くべきであった年金を、だれかしかるべき人にやるべきではなかろうか、こういうようなお考えでの問題になるわけであります。で、この点については、実は厚生省の態度云々と言うよりも、現在の法律で、そういう場合には遺族等には、特定の場合以外には出さないという規定になっているのであります。で、どういう場合であるかと申しますと、その人の残された遺族が、母子年金を受けますとか、あるいは遺児年金を受けるというような場合には、なくなった人が受くべきであった年金は、その遺族である妻、または子供が受ける。しかし、そうでない場合には、その年金は出さない、まあこういうきまりになっているのでありまして、なぜそういうきまりになっておるかと申しますと、これは、実は日本の日雇い者に対する年金制度の基本でありますところの厚生年金保険法以来とられている一つの態度でございますけれども、まあ年金というのは、ある特定の人を対象にして出るものだ、従ってその人が生存をしている限りにおいては、もちろんそれに関連した年金はいく。しかし、死亡した場合においては、その意味において、もはや年金を受くべき実態がなくなってしまうのだから、出さない。ただし、その人に遺族があって、しかもその人に、前の人の年金がもとになって年金が出るべきであるというような事情がある場合には、特別に遺族に出す、まあこういうような考え方に基づくものでございます。そういうふうな考え方を受け継ぎまして、国民年金法におきましても、ただいまのような仕方をしたわけであります。  それで、この問題は実は、それじゃ一体、それ以外の考え方はあり得ないのかという問題であります。少し長くなりますけれども、これはすでに先生から問題として提起されたことでございますので、一応研究の結果だけを先に御報告かたがた申し上げたいと思います。ただいま申し上げましたようなのが、実を申しますと、理屈の上からくる一つのやり方でございますけれども、しからば、甘木の年金制度は全部そういうふうになっているかというと、実はそうなっておらないのであります。恩給法でありまするとか、あるいは恩給法の流れをくみまする年金制度の場合には、本人が死亡したならば、本人が受くべきであった部分の年金は、それぞれ一定の順序に従って遺族に渡ると、まあこういうことになっているわけであります。従って、日本の年金制度の態度としては、大体その中心にすわるような制度は、国民年金とか、あるいは厚生年金というような制度は、非常に厳格な考え方をとっておる。これに対して昔からある恩給法その他の制度は、かなりゆとりのある態度をとっている、こういうわけでございます。それで、この問題については、まあ私ども、全いろいろの角度から検討しているわけでございますが、この問題を一体これほどまでに厳格に考えなくちゃならぬ性質のものかということについては、やはりもう一回、すなおに検討してみる必要がありはしないかという感じを持っているわけでございます。しかし、何分にもこのものの考え方というのは、すでに日本の社会保険の年金において、かなり長い間にわたって作り上げられてきている一つの整理された考え方でございますから、これを考え直すについては、やはり相当いろいろな点から見て入念に検討することを必要とするわけでございます。まあそういうような事情がありますので、いずれ国民年金については、いろいろ手直しを考えなければならぬ問題もあり得るわけでございますので、そういう問題のうちの一つとして、これは十分検討してみたい。そうして、その場合の検討の態度としては、単に国民年金だけをどうするということでなく、もし一つ方法が適当だということであるならば、少なくとも日本の年金制度については、甲の制度はこういう態度をとり、乙の制度はこういう態度をとるというようなことでなく、いずれの制度もこの問題については同じ考え方で問題を処理する。まあそういうような工合考えていきたい、こういう気持で現在研究をしている、こういう状況でございます。
  127. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと、厚生年金の支給というのは六十才からですね。まあ六十才になったわけですが、六十才から以後でも、支給日までの何カ月か、厚生年金のもらう口、ちょっと聞こえなかったので、もう一度言って下さい。
  128. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 厚生年金は三カ月分ずつを年四回に分けて出す、こういうふうな仕組みになっております。それで、その支給日はいつでありますか……、これは二月と五月と八月と十一月という四回に分けて支給する、こういうことになっております。
  129. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 何条ですか。
  130. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 厚生年金は、厚生年金保険法の三十六条の第三項に規定しておるわけでございます。
  131. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この三十六条を見ましても、それから今度の年金法の十八条を見ましても、大体一項として、給付は「支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終るものとする。」ということになっておる。二項では、「年金給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた日の属する月の翌日からその事由が消滅した日の属する月までの分の支給を停止する。ただし、これらの日が同じ月に属する場合は支給を停止しない。」それから三項で、「二月、五月、八月及び十一月の四期に。」これはちょっと違うな。一月、五月、九月ですね今度の年金法のやつは。
  132. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 福祉年金はそうです。
  133. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういうことですね。で、そうなっていると、その死んだ月から消滅するのであって、それまでは生活手段というものが行なわれて関も予算に組んでいる。この法律を見たってその一、五、九というところに支払うべき期日はありますけれども、消滅のときに関連して一、五、九に、その間のものは消滅するというような法律はどこにあるのですか、この年金法の。
  134. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) これは、ただいま御引用の厚生年金保険法は、私ちょっと手元に持って参りませんでしたが、国民年金法について見ますと、十八条に規定がございまして、十九条を見ていただきますと、「(未支給年金)」という項がございましてそこに、死亡した場合にはこういうふうにする、こういうふうに規定してあるわけであります。従って、これの当然の結果として、死亡した場合で、ここの十九条に規定してありますような場合以外は、死亡した人には差し上げられない、こういうことになるわけであります。
  135. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、死亡した人に上げろと言っているわけじゃない。ただ、今度のものは十一月から一月まででしたか。また、三月から三カ月分を五月に払う、こういうことになる。だからその月に、たとえば二月なら二月、一月なら一月に死亡したら、二月分のものを上げろ、四回に分けているんだから上げろと言っている。一月に消滅したんだから、一月分は上げるのは当然じゃないか。これを見たってそう理解できますが。
  136. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 先生のおっしゃっておられることは、二つのことを言っておられるわけであります。一つは、現在の法律の適用としても、なおかつ、死亡の月までの分は遺族が受けられるという解釈なり適用になるんではないかという問題が一つでございます。それからもう一つの問題は、かりにそうでないとしても、そうすべきじゃないかという問題でございます。それで、私が先ほど申し上げましたのは、後段の問題について申し上げたわけであります。つまり先生のおっしゃるような考え方もあり得るという気持で、もう一回検討し直していいのではあるまいか。ただこれは、何分従来の社会保険年金についての一つのかなり固まった考えであるから、にわかにどうというふうには言いかわるにしても、少しその点が窮屈に過ぎたのじゃないかという反省はしてもいいような気がするということを、いわば立法論として申し上げたわけであります。  それから前段の解釈論については、どうもこの法律の規定から見まして死亡した人に差し上げるという解釈は出て参らない。この点はまず問題のない点でございます。
  137. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 厚生年金がまだほとんど支給の範囲にありませんから、私はこういう議論は、われわれは不勉強で、今これを一ぺん読んでみると、同じようなことが書いてあるんだが、これは非常に地方では問題になっていることは御存じでしょう。非常に問題にしていますよ。私今の、たとえば二月まで生きていて一月に死んでも、三カ月分は五月支給だから上げられない。そうでしょう。具体的にそうなる。そうすると、それじゃ法律で生存している人に何で一カ月ずつに分けないか。むしろ年金といいましても、積み立てているというんじゃないんだから、生活の補助ですね。月に千円ずつというから、ほんとうに生活の補助にしてということでそういう社会保障制度の建前がきまったんだから、だからこういうこともその立法のときに予測してあまりわれわれも深く糾明しないで、法律上そういう工合に行なわれるということで、この点は不勉強だったと思います。しかし、具体的に当たってみて、十一月からもらうのが二月に死んだからもらえない。それじゃ何でもっと小刻みにしてあげないかということになる。そうすると、残った遺族に上げる必要があるかどうかという議論が一つここで上ってくるところだと思うんですが、しかし私は、この千円も、個人にした収入になると、これを家庭経済の中でどう運用しようかということで家庭経済がまかなわれておって、三カ月分が二月、五月、八月、十一月ですか、十一月にもらうという目的、と言っては何だけれども、そういうことでやっている方々がこの年金をもらう家庭ならほとんどだと思う、所得制限があるんですから。そういうところにたまたま二月に死んだから十一月からの分も上げないという、これは少し法のうまみというのが何もないのじゃないかという、せっかくわれわれが年金制度を作ったうまみというものがないんじゃないかという感じを非常に強く持つ。それで、私は先日もそれを申し上げておいたのですがね。死亡したから遺族に、それは二月の末に死んでも五月に支給するとき、本人がおらぬから遺族にやるということに理屈の上ではそうなるでしょう。しかし、家庭経済ということを考えてみたら、そんなもんだろうか、ということはやはり運営上の反省があっていい。まあ局長、小山さんは考えてみようとおっしゃるのですけれども、具体的に、五月これをもらう人たちが、そういう事例が出て、現地では事務的に扱われておるわけです。これはあきまへん。こういう工合に、法律の建前は何月から月に千円ずつ上げますという法律の建前になっている。ところが、一般人はもらえるものだというつもりでいるのに、二月の末に死んだからあかんということになると、これはどうも私は法律をごねて言うのじゃなしに、われわれが法律を作った建前はそんなもんじゃなかった、こういう考えです。だから死んだあとはもう上げる必要はないと私は思います。十一月でも、十二月でも、一月でも、死んだあとは上げる必要はないけれども、生存していたまでの分は何らかの方法で補給してやらないと、法律では月千円ずつ生活費を上げますと言って作った精神とは、大きく違っているじゃないかという気がするのです。それでもう一ぺん厚生省、でもって考え直してもらいたいということを私は言っておいたのです。まあ今、前段と後段と分けて、そして前段の方は死んだということだから上げないということだから、法律で上げない、そういう理屈には、私は福祉年金を月に千円ずつ上げようという精神とは、これはあんた少し無理じゃないですかね、それは。そういうものが出るなら変えていくという考え方じゃなくては。
  138. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 私は、先生のおっしゃっていることを十分考えなければならぬと思えばこそ、先ほど申しあげたようなことを申しあげているわけでございまして、ただ私がこの問題についてこう申しあげることも、少なくともまた別な面から見て従来の社会保険の理論というものを非常に重視する人から見ますというと、ずいぶん無理な危険のあることを彼らは何とか考えたいと言っているという程度の問題なのでございます。それでさっき申し上げましたように、この種の問題は国民年金はこういう態度をとる、厚生年金はこういう態度をとるというふうな性質の問題ではないわけでございまして、国民年金であろうが、厚生年金であろうが、これは態度は同じでなくちゃならぬわけでございます。従って、今先生が申されたようなことを頭に置いてやるということは、従来、過去長い間かかって積みあげてきている一つの理論の筋道というのがあるわけでございます。その理論の筋道というものを、どういうふうにくずしていくかということについて、相当これは苦労が要るわけでございます。さっき申し上げたように、その従来の理屈というのは、ある意味で確かに窮屈過ぎる面があることを、私自身としては今感じているわけでございます。そもそも年金というものは、生きている人を助けるために出す性質のものなんだから、従ってその人が生きておればこそ出るということに意味があるのであって、なくなったあとに遺族に差し上げるというようなものじゃない、それならばこそ一身専属の権利として確立されているのだという考え方が、従来の考え方であるわけです。これは確かにその点非常に整理は楽な考え方でありますけれども、実態について見れば、どうもまだ日本の国民感情から言うと、何となくなじめないものが残っている。考えてみると、従来そういうある意味において非常に徹底した考えがとられおったのは、老齢年金についてはあまり受給対象がない、この問題は障害年金や母子年金にも、性質上は同様にあり得る問題なんでありますが、実際上起きる場合が非常にまれなので、問題にならなかったという点があるのじゃないか。今後老齢年金が非常に多くなるということを考えるというと、もう一回これは一つ考え直していいのじゃないか。ただし、これはどうも、私がここで言い切ったからということで片づく性質のものじゃなくて、従来この種の問題について、理論を作ることにいろいろ関係された人々のお話もよく聞き、とにかく日本の年金制度全体としちや、やはり何かうしろへ戻るような感じがされるかもしれませんけれども、ここまでいくべきじゃないですかという地ならしをした上でやりたい、私の気持としては、そういう地ならしをできるだけ早くやりたい、しかし、何分にもさしあたり今すぐどうというふうに見ることのできる性質の問題じゃない、こういうふうな事情を申し上げたわけであります。
  139. 高野一夫

    高野一夫君 ちょっと速記を……。
  140. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめ  て。    〔速記中止
  141. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こし  て。
  142. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 精神病院の問題についてちょっとお聞きをしたいのです。簡単に申し上げます。  京都の双岡という精神病院が昭和二十九年か三十年にできて、運営をやつてごたごたしておるわけです。お調べになっていると思うのですが、精神病院というのは、昔から、私らも社会労働委員会から広島の精神病院を視察して改善命令が出たという問題を含んでいるわけで、大体見当をこちらの方でつけるというのはえらい悪いけれども、そういう気がするわけです。中を視察してみましても、体質には関係のない健康な人ですから、いろいろとうわさに聞くような処置が病院側で講ぜられているというようなことを聞くわけです。そこで、どうか一つ双岡の精神病院を特別に監査か何かしてほしいと思うのです。事務長に聞きましても、経営の面とか、会計の面は私は知らぬと言って、一切言わない。収入が入ってきたら、どこかの病院とは別の会計所というのに金がすっと行ってしまって、そこから適当の給与……。ちょうど広島の病院と同じようなことで、岡山でしたかどこでしたか、同族の人だけを連れてきて、それだけが握っておりましてその他の人は一切わからぬ。事務長も雇い事務長ですからそういう一面ではわからぬ。帳簿の整理や事務整理しか知らぬという格好で運営されているのです。だから不明朗きわまるわけです。八十人も従業員がおって便所が一つしかない。厚生設備の不足が起きたり、そういういろいろな問題がたくさんありますから、私はきょう時間がありませんから言いませんけれども、特別の一つ監査を厚生省からしてほしい。ここで私が申し上げるよりか、あなたの方でやってもらうことがいいと思うのです。それを一つ何とか約束をしてほしいと思うのです。
  143. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) ただいまの精神病院の監査の御要望でございますが、これがしますと言えますと非常にいいのでございますが、実は病院の監査が合法的に非常にむずかしくなっておりまして、これがまず経営の方面でございますと、たとえば個人病院でなくて医療法人ないしは公益法人でございますと、それぞれ法人の許可監督という面からのその権限者が監査するのが一つと、それから第二点といたしまして、医療機関といたしまして、医療法に基づきまして病院一般としての監査、これはまあ医務系統、それから精神病院について監査ができるかどうかといいますと、これは精神衛生法の中で府県立の精神病院を法に基づいて瞬くようにいたしておりますが、これを漬けない場合に代用のベッドを置く、その病院の全体または一部を指定ベッドにして国費を使う、公費入院措置、いわゆる命令入所がある。これを委託できることになっております。その入院患者、命令入所した者を適当にやっておるかどうか、その患者の医療についてのみ精神衛生法ではこれが干渉できる、こういうふうにたっておりますので、従いまして、私どもの方の権限の中では、今の精神病院そのものの運営一般の監督権はない。で、しいてやるとすれば、医療監査ないしは病院の開設許可という意味で、今の医療法に基づいてこれは医務局の方が見えておれますが、これでやっていただく、こういうことになっております。なお、今のそれにいたしましても、経理内容、ちょうど株式会社の貸借等が法律の規定でいろいろ監査を受けて発表しなければならぬ、そういうことになりますと、どうしても法人の監督権という方で発動しませんと、おそらく医療法人については厚生省でございますが、公益法人はそれを許したそれぞれの監督者、こういうことになります。
  144. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 厚生省が改善命令を出した広島の何という病院ですか、私らも直接草葉さんと行って改善のために協力をした歴史を持っておる。だびら、厚生省が改善命令を出すというああいう措置をとられたくらいですから、精神病院について今のようなそこまで一ぺんにいかなくても、実態把握のために調査されることはできると思うのです。で、いろいろの関係の中でその処置至急一つ講じてもらいたい。
  145. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) ただいまお話のように、やはり精神衛生行政としては、これもやはり精神病院の問題、大事でございます。その意味で、われわれの方で及ぶ限りの調査はいたします。
  146. 高野一夫

    高野一夫君 厚生省にお願いしておきますが、一昨日予研の視察に当委員会で行きましたところが、虫疫部というのか――あの小宮博士のところでちらっと聞いたのでありますが、つい最近、数日前、芝浦の屠場で、枝肉に、かつて想像もできないような何か事態を発見した。それを現在のと蓄場法あるいはその他の関係法規でもっても取り締まることができないようだというので、実はあわてているところですと、こういう話を聞いたのです。非常に急いでおって、立ち話だったもので、一体どういうような内容か聞いてこなかったわけで、いずれお調べ願いたいと思っておったわけです。それがどういうようなことか、来週というわけにもいきますまいから、再来週の当委員会くらいにでも――二週間もありますればある程度わかってきはしないかと思うので、当委員会くらいに予研をお調べ願って、どういうふうなことであるか、一つその実態の説明を伺いたいのですが、もし必要があれば、小宮博士においで願ってお話を聞かしてもらってもなおけっこうだと思います。それだけです。
  147. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) さようにいたします。
  148. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは本日の質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  本日は、これで散会いたします。    午後三時十八分散会