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1960-02-11 第34回国会 参議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十一日(木曜日)    午前十時三十分開会   —————————————  出席者は左の通り。   委員長            加藤 武徳君   理事            高野 一夫君            吉武 恵市君            坂本  昭君   委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君            秋山 長造君            藤原 道子君            田畑 金光君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   委員外議員            上原 正吉君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   政府委員    厚生大臣官房長 森本  潔君    厚生大臣官房会    計課長     熊崎 正夫君    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省医務局長 川上 六馬君    厚生省薬務局長 高田 浩運君    厚生省社会局長 高田 正巳君    厚生省児童局長 大山  正君    厚生省保険局長 太宰 博邦君    厚生省年金局長 小山進次郎君    厚生省引揚援護    局長      河野 鎮雄君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    労働省労働基準    局長      澁谷 直藏君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (昭和三十五年度厚生省関係予算に  関する件)  (最近東京都内に発生した医薬品の  乱売事件に関する件) ○派遣委員の報告   —————————————
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それではただいまから委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査の一環として昭和三十五年度厚生省関係予算に関する件を議題といたします。まず、渡邊厚生大臣から昭和三十五年度予算編成基本方針並びにその大綱についての説明をお願いいたします。
  3. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 本日社会労働委員会の審議が行なわれるにあたり、厚生省所管の諸行政に関し、所信の一端を申し述べたいと存じます。  ここ数年間、厚生行政は、皆様方の一方ならぬ御協力によりまして、目ざましい進展を続けており、特に社会保障の二つの柱であります医療保障及び所得保障につきましては、これまで国民保険計画推進及び国民年金制度創設等によって、次第に体制を整えてきたのであります。  明三十五年度は、国民保険計画につきましては、完成の年度であり、一方国民年金制度につきましては、本格的に軌道に乗せる年度でありましていずれもきわめて重要な時期に当たっているのであります。私といたしましては、引き続いてこれらの二大施策を強力に推進していくものであることは申すまでもありません。同時に、国民生活の現状をながめますとき、このほかにもこの際緊急に、厚生行政において解決をはかっていかねばならない諸問題が存在するのであります。  このため、明三十五年度には、右の二大施策と並行してこれらの諸問題に対する諸施策をも強力に推進することといたしております。  以下明年度の施策の大要を予算案を中心としてお手元に配布した資料「昭和三十五年度厚生省所管一般会計及び特別会会計予算案についての説明」に基づいて申し述べたいと存じます。  昭和三十五年度厚生省所管一般会計予算における総額は、一千六百四十七億一千四百九十四万五千円でありましてこれを昭和三十四年度当初予算一千三百五億四千三百五万五千円に比較いたしますと、三百四十一億七千百八十九万円の増加と相なり、前年度予算に対し、二六・二%の上昇を示しております。また、国家予算総額に対する厚生省予算の比率を見てみましても、前年度九・二%であったのが、一〇・五%と相なっております。  昭和三十五年度予算編成当たりましては、社会保障確立強化に特に意を用い、医療保障については、国民保険計画の達成に一段の努力をいたしますとともに、本年度より実施をみました国民年金制度につきましては、福祉年金本格的支給拠出年金実施準備態勢の確立にそれぞれ努力いたした次第であります。  また、これと並行して、低所得者層福祉の向上、母子福祉及び児童福祉の充実、主要疾病対策の強化、生活環境改善等厚生行政の中核となる諸施策を強力に推進することといたしております。  次に、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。まず第一は、国民年金に必要な経費であります。国民年金のうち、福祉年金につきましては、本格的支給を行なうため、これが必要経費二百四十七億五千九百余万円を計上し、拠出年金につきましては、本年十月よりは適用事務が、さらに昭和三十六年度より保険料徴収事務か開始されますので、これ等事務の円滑、かつ、迅速な処理をはかるため、本年度においては、これが事務処理態勢を早急に整備することとし、福祉年金業務の強化を含め、中央、地方を通じて二千九百三十人の職員を増員し、また、拠出事務の一部を市町村に委任するに必要な経費として新たに十六億七百余万円を計上し、国民年金制度に必要な経費としては総額二百八十九億千七百余万円を計上いたしております。  第二は、国民保険推進と、その基礎的条件整備に必要な経費であります。  国民保険計画達成の年として、新にに被保険者六百十八万九千人の増加をはかることとし、三十五年度末の被保険者数を四千八百十一万二千人と見込み、年間平均四千四百万人として所要経費を算定いたしております。すなわち対象人員の増加と医療費の伸びを勘案して、療養給付費補助金及び財政調整交付金として二百二十七億四千二百余万円を計上いたしておりまして、これを前年度に比較いたしますと、五十三億八千余万円の増額となっております。  また、事務費補助については、一人当たり単価を前年度の九十五円から百円に引き上げることとして四十四億七百余万円を計上いたしております。  なお、新たに国民健康保険団体連合会に対して診療報酬審査支払事務に関する補助金として、一億円を計上いたしております。  次に、国民保険基礎的条件整備でありますが、まず、公的医療機関整備につきましては、僻遠の地で経済的に民間診療所の開設を期待できない地区に対して、国立病院または公的病院出張診療所を開設せしめるとともに、公的病院整備を行なうこととし、これらに対する補助一億六百余万円を計上いたしております。さらに、国立病院整備改善のため、十一億九千二百余万円を国立病院特別会計繰り入れるとともに、国立療養所整備改善についても所要の配慮をいたしております。  また、私的医療機関等に対し、長期、かつ、低利の資金を融通する目的で事業資金三十億円をもって、医療金融公庫を新設いたしまして、私的医療機関等の適正な整備及び機能強化推進することとしております。  第三は、生活保護費及び社会福祉の増進に必要な経費であります。  まず、生活保護費でありますが、生活扶助につきましては、その対象人員を月一平均百四十六万七千人余と予定し、扶助基準は、飲食物費引き上げるとともに、内容の改善をはかり三%程度引き上げることとしております。医療扶助につきましては、対象人員増加傾向にかんがみ前年度見込み人員を基礎として、入院については五%、入院外については三%と、それぞれ人員の増加を見込んでおります。  また、出産扶助葬祭扶助につきましても所要の基準改訂を行なうことといたしております。  なお、福祉年金の支給と相待って老齢加算を新設するとともに、身体障害者及び母子加算についても、それぞれ増額することとして所要の経費を算定いたしております。  さらに、社会福祉施設整備に努めるとともに、施設職長の期末、勤勉手当増額し、この結果、生活保護費として四百六十七億三千二百余万円を計上いたしておりまして、前年度当初予算に比し、五十億九千四百余万円の増額となっております。  なお、精神薄弱者保護更生援護をはかるため前年度に引き続き収容施設を拡充するほか、新たに厚生省精神薄弱者福祉審議会を、国立精神衛生研究所の中に精神薄弱部を、それぞれ設けるとともに、精神薄弱者更生相談所を各都道府県及び五大市に設置することとし、これが事務費補助金として、三百六十余万円を計上いたしております。  このほか、低所得者層対策として、前年通り世帯更生資金貸付補助金として三億円、医療費貸付補助金として二億円をそれぞれ計上するほか、新たに、心配ごと相談所市町村単位に設置することとし、本年度においてはとりあえず百五十五カ所分として一千万円を計上いたしております。  第四は、児童福祉及び母子福祉の増進に必要な経費であります。  まず、児童措置費につきましては、新たに、児童福祉施設収容児童に対する見学旅行費として、一千余万円を計上するとともに、保育所における保育児童間食費として、一人一日三円として、二億九千四百余万円を計上いたしております。  なお、保育所の保母その他児童福祉施設の職員の待遇の改善をはかるため、期末、勤勉手当増額するほか、前年度に引き続き、母子健康センター児童遊園保育所その他の福祉施設整備する等いたしまして、その結果、児童保護費として九十億余万円を計上いたしております。  次に、母子福祉につきましては、新たに、母子福祉センターを設置することとし、これが設置補助金として、四百余万円を計上するとともに母子福祉貸付金として、三億円を計上いたしております。  このほか、児童福祉対策としては、新たに、中央児童厚生施設を設置することとして、七千万円を計上いたしております。  第五は、主要疾病対策に必要な経費であります。  まず、結核対策につきましては、健康診断予防接種並びに発見患者の治療の徹底に努めるとともに、前年度に引き続き、いわゆる濃厚感染源患者隔離対策をさらに強化するため、新たに、保健所単位に二百カ所の特別地区を追加することとして所要経費を算定し、二億三千余万円を増額いたしております。  右のほか、結核対策費としては、国立結核療養所経費を加えまして百七十四億八百余万円と相なり、前年度に対し、九億五千二百余万円の増額となっております。  次に、成人病のうち特にガンにつきましては、国立ガンセンターを設置することとして、本年度においては、とりあえず設立準備費として、三百五十余万円を計上するとともに、ガン患者実態調査を行なうため、百三十万円を計上いたしております。  また、精神病対策につきましては、引き続き、収容施設整備するとともに、入院患者措置費等に必要な経費として、十億六千五百余万円を計上いたしておりまして、前年度当初予算に比し、一億一千三百余万円の増額となっております。  なお、原爆被爆者に対する健康診断及び医療費につきましては、新たに、交通手当及び、医療手当を支給することとして、九百三十余万円を計上するとともに、対象医療の範囲を一般疾病医療にまで拡大することとして、四千八百余万円を計上いたしております。  その結果、従前の医療費等を含めまして原爆被爆者障害対策費としては、一億九千八百余万円を計上いたしております。  第六は、生活環境改善向上に必要な経費であります。明るい生活環境を実現するため、特に、環境衛生施設整備をさらに強力に推進することとし、簡易水道については、十三億六千六百余万円を計上し、また、都市における屎尿処理抜本的解決策として下水道終末処理施設整備するため、七億四千五百万円、屎尿の衛生的処理を行なうための屎尿消化槽等整備に、五億五千万円をそれぞれ計上し、いずれも前年度に比し相当大幅に増額いたしております。  このほか、国立公園国定公園施設整備のため、一億七千五百万円を計上し、また、地方改善事業としては、新たに、モデル地区を設けるとともに、共同井戸共同炊事場等対象事業として拡大することとし、一億三千三百余万円を計上いたしまして同和対策推進をはかることといたしております。  以上、昭和三十五年度厚生省所管一般会計予算について、その概要を御説明申し上げたのであります。  次に、昭和三十五年度厚生省所管特別会計予算の大要について御説明申し上げます。  まず第一は、厚生保険特別会計についてであります。厚生保険特別会計につきましては、一般会計より、健康保険給付費財源繰り入れ五億円、日雇健康保険給付財源繰り入れ二十三億五千九百余万円を見込みまして、健康勘定におきましては、歳入、歳出とも九百二十七億四百十一万円、日雇健康勘定におきましては、歳入、歳出とも七十四億九千九十四万三千円、年金勘定におきましては、歳入一千十七億七千八十六万一千円、歳出百五十三億五千五百八十六万三千円、業務勘定におきましては、歳入、歳出とも五十八億九千五百九十六万五千円をそれぞれ計上いたしております。これは、健康勘定については、保険料率を千分の六十三とし、日雇健康勘定については、国庫負担率を前年度予算と同率の十分の三として、それぞれ算定した内容のものであります。  第二は、船員保険特別会計についてであります。船員保険特別会計につきましては、疾病部門その他について四億四千五百五十余百万円の一般会計よりの繰り入れを行ない、これに要する経費といたしまして、歳入八十三億五千五万七千円、歳出六十二億七千六百五十七万三千円を計上いたしております。これは、疾病、年金及び失業各部門の保険料率等につき、前年度予算と同率で算定した内外のものであります。  第三は、国立病院特別会計についてであります。先に述べましたように、国立病院整備改善のため、所要財源一般会計より繰り入れするのほか、六億五千七百七十五万一千円の国庫債務負担行為を計上し、国立病院特別会計といたしましては、歳入、歳出とも百四億四千三百二十六万五千円を計上いたしております。  最後に、アヘン特別会計についてでありますが、本年度アヘン買い入れ予定量は、輸入五十三トン、国内産四トンでありまして、一方製薬原料としての売り渡しは、五十五トンを予定いたしておりまして、アヘン特別会計といたしましては、歳入、歳出とも三億八千六百三十五万九千円を計上いたしております。  以上、昭和三十五年度厚生省所管一般会計及び各特別会計予算案につきまして、その概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第でございます。
  4. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をちょっととめて下さい。    〔速記中止
  5. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして下さい。  次に、関係予算予定経費要求額等について補足説明を聴取いたしたいと思います。  熊崎会計課長大臣からだいぶ詳細な説明がございましたので、ごく概略な御説明をお願いします。
  6. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) それではお手元に「昭和三十五年度厚生省所管予算要求額主要事項別調」という厚い刷りものを差し上げてございますが、全部で主要事項といたしまして三十六項目掲げて、その他で三十七項出てございまして、その項目は省略さしていただきまして、一ページのところからお開きをいただきたいと思いますが、項目の一の医療制度調査費の中身は、医療制度調査会の関係と、それから医業経営実態調査関係の経費が千四百万円を計上されております。  それから二の結核対策費関係の分の(1)の減額になっております分は、これは健康診断予防接種につきましては、従来の実績である程度不用額を出しておりますので、その実績に応じました減額でございます。予防接種等の単価が実績によりまして若干減額になっておるということでございます。その他につきましては先ほど大臣の説明にございましたように、結核推進地区を二百地区を四百地区にふやしましたということと、それから三十四年度に行ないました結核治療指針の改訂、三者併用改訂分医療費増額分でございます。  三の項目の三ページに参りまして、ガン対策費、ガン・センター設立準備費は築地の病院のガン・センターとして三十六年度以降運用をいたしたいというための準備経費でございますが、その次の二番目の、ガン実態調査は、大体新潟、高知、愛知、福岡あたりを予定をいたしまして、ガンの死亡者の多いところ、少ないところ、中間のところをとりまして、ガン患者の実態を調査して、将来のガン対策に資したいということでございます。  四に移ります。精神衛生対策関係の分で、減額になっておりますのは、これは大体整備費関係につきましては、各項目とも三%ないし五%の節約がございましたので、その分が減額になっておりますが、それ以外の病床関係につきましては、前年度よりも若干ベッド数を落としてございます。それからふえました分としましては、強制措置入院費補助金の分の(3)の項目でございます。これが前年度一万二百三十一件でございましたのを、本年度一万二千百二十七人、人員の伸びを見ておるということでございます。  それから五に参ります。その四ページの裏の五の原爆対策関係の経費につきましては、新たに、今度の原爆対策の法律を修正をいたしまして、訂正案を今度の国会に提出する準備予定をいたしておりますが、変わったところといたしましては、関連疾病ということで、原爆症以外の、原爆を受けたことに関連した一般疾病までを一つ医療費全額国庫負担で見てやろうということであり、それから交通手当を新たに支給してあげようということと、最後に四番目のところに出てきます一人当たり二千円の医療の諸雑費を入院、通院患者に対しまして治療期間中支給したいという点の増額でございます。これは原爆医療法改正法律案の上程を予定いたしております。  五ページの六に参りまして、保健所関係につきましてはほとんど異同はございません。ただ医者の単価が、従来は保健所推進地区二百地区だけの医者の単価が非常にほかの職員よりもよかったのでありますが、それを全部の職員に医者の補助単価だけ引き上げるということがおもな内容でございます。三角の分はこれは節約によります減でございます。  らい対策の方はほとんど変動はございません。ただ単価その他の増だけでございますから、一つ説明を省略させていただきます。  それから八、六ページの裏の伝染病予防対策のところで減が大きく目立ってございますが、これは前年度予算額の中に災害復旧関係予算が入ってございますので、それと対比いたしまして減額が目立ったわけでございますが、それを除きますと、大体節約による減額だけというふうに御了解をいただきたいと思います。  それから九の簡易水道等施設費の方に参りまして相当増額が目立ってございますが、これは先ほど大臣が御説明に相なりましたので省略さしていただきます。  それから裏の八ページに参りまして、環境衛生対策関係で、項目を清掃、下水、首都圏に分けてございますが、中身はオリンピック対策関係を含めまして、しかも災害分の三十五年度の持ち越し分がございます。その分の増額が目立っております。  それから十一番目の水俣の中毒対策━━九ページにございますが、問題となりました水俣中毒対策につきましては、患者数が前年十六名でございましたのを六名ふやしまして、二十二名、それから診療点数が非常に少ない五十三点というものをふやしまして、五十八・五というふうに点数の引き上げをいたしました。  それから十二番目の医療機関整備費の関係のところでございますが、国立病院の関係は備考に出ておりますのをお読みいただけばわかると思いますが、その裏の十ページの公的医療関係公立病院の減額がありますのは節約であります。  それから僻地診療所につきましては、従来二百三十七カ所僻地を解消していくということで進めて参りまして、すでに八十九カ所解消いたしておりますが、引き続き前年度と同じように解消を進めていきたい。新規といたしまして、従来医者と看護婦が一緒に診療所に寝泊りするという点を改めまして、医師の住宅を新たに作るということでございます。  運営費の方の増は個所数がふえましたところの増と、それから単価を多少訂正いたしました。  それから次の国立病院基幹病院の中身は、これは福岡、岡山、東京第二病院の三カ所、これは四カ所とありますが、三カ所と御訂正願います。  それから医療金融公庫。十一ページに参りまして十三項目、これは大蔵省予算に十億分の出資金の方は計上されるわけでございまして、ほかに財政投融資二十億分が七月から発足予定ということに相なっております。  十四番目の歯科衛生士養成所整備費は一カ所でございますが、歯科衛生士の需要が非常にふえておりますので、現在各大学あたり養成所を若干持っておる程度で、国としてもこの際、積極的に補助金でもって養成所を設立していきたいという意欲の表われだというふうに御了解をいただきたいと思います。  それから十五番目の国立病院特別会計繰り入れ分は、これはあとの一番最後に出て参ります国立病院特別会計予算の方に出て参ります金額でございまして、そのところで説明さしていただきたいと思います。  十二ページの十六番目、麻薬取締対策関係につきましてはほとんど変動はございません。若干麻薬取締官事務所のところで、麻薬対策の強化ということで携帯無線機その他の分を新規で購入していくという予算が計上されております。  十三ページに参りまして、十七の項目の重要医薬品買い上げ分は、これはワクチン、大体九ロット分生産の見通しがついてございますが、そのうち防疫対策上ぜひとも必要な二万人分につきまして買い上げ予算を計上いたしたわけであります。その他につきましては、従来通り大体十品目ぐらいにつきましての買い上げ予算を従来通り計上いたしてございます。  それから十八の項目の生活保護費十三億の増でございますが、先ほど大臣の御説明の中に五十億と言いましたのは、これは当初予算との対比でございまして、前年度予算の四百五十三億の中には、第二次補正予算に計上されました二十七億分が入っておりますので、当初予算と合わせますれば、五十億の増になります。  (1)の生活保護費補助金の内訳の中身は、五つぐらいに書き分けておりますが、この中身をごらんになっていただけばおわかりだと思います。生活扶助におきましては、基準改訂の三%の分の増、医療扶助につきましては入院五%、外来三%の増を見込んでおりまして、出産扶助葬祭扶助につきましては過去七年間全然基準を引き上げておりませんでしたのを大幅に引き上げ出産扶助におきましては大体八八%の引き上げ葬祭扶助におきましては三三%の引き上げになります。  それから整備費関係につきましては、ほとんど変動はございませんが、養老施設を積極的にやりたいということで、その分の増額が計上されておるわけであります。  それから十四ページに入りまして、十九番目の低所得階層対策、これは世帯更生資金医療貸付金ともに前年度通りでございまして、世帯更生資金が減額になっておりますのは、災害のときの分が前年度予算に計上されておるわけでありますが、当初予算に比べますと、前年度通りでございます。  それから心配ごと相談所が新たに新規で計上されましたわけで、全国おおむね一県当たり三カ所、東京あたりにつきまして個所数をふやすということでございまして、大体民生委員の方々がこの相談所にお集まりいただいて、いろいろ生活困窮者のめんどうを見たいという新しい政策でございます。  それから社会福祉事業振興会の二十番目の分が九千万円、総資金量三十五年度で六億一千万に相なる次第であります。  二十一番目の身体障害者保護費の関係につきましては、ほとんど変動はございませんで、減額になりましたのは節約の分でございます。増額になりました分は、これは補装具等につきまして対象人員が前年度より一割増しぐらいに計上されておるわけであります。戦傷病者の点が減額になっておりますのは、これは対象者が次第に減ってくるという関係でございます。  それから十六ページの二十二番目の精神薄弱者援護費の分が、これは先ほど、大臣の御説明にありましたように、精神薄弱者福祉対策を積極的にやりたいということで、その十六ページの裏に出ておりますマル新という点に掲げた分が、この分が大体今度の国会に上程を予定されております精神薄弱者福祉法案の中身の項目になると思います。近く上程をされる予定になっております。  それから三十三番目の婦人保護費の分の減額分は、これは節約による減額でございます。ただマル新としまして、かねてから要望がありました、施設に嘱託医を置きたいというのが二百六十七万九千円新規で計上いたしておるわけであります。  それから二十四番目に参ります。地方改善事業費につきましては、前年度に比べますと大幅な増額になっておりますが、従来、補助対象になっておりませんでした備考の共同便所の以下のところと、それから隣保館の運営費、この分を新規計上いたしましたほかに、モデル地区対策分、十二カ所分が計上されております。  裏に参ります。十八ページ、児童保護費。ずっと十五項目までいろいろ書き並べてございますが、目立ったところだけ御説明申し上げますが、児童措置費増額分の内訳は、一指大きいのが保育所の間食分の一人一日三円分の値上げ分であります。それから期末手当、これはまあ、施設従事者の待遇改善という趣旨で入りました分でございます。ほかに、収容施設としまして新規で見学旅行費が入りました。これは収容児童施設だけでございます。収容児童人員に対してだけの計上でございます。飲食物費は、これは生活保護費のときに出ました生活扶助基準改訂の中身と同じでございまして、日本人の栄養所要量というものが昨年、栄養審議会の答申によって改訂になりまして、平均いたしまして三十八カロリーぐらいふえることになっております。それによります改訂分でございます。それから変わったところでは、八番目の未熟児療育費補助が相当数ふえておりますが、これは昨年から行なわれました未熟児対策、非常に対象者がふえて参りましたその分の人員の増に見合う金額でございます。それから、その下の骨関節結核児童療育費補助、いわゆるカリエスの患者に対しまして療育指導をやりたいというのも、ごく新しい施策でございますが、ベッド数をふやしたということに伴います増加であります。その他、下の方に三角が目立ってございますのは、これは節約によります減でございます。それから十四番目に新規事業で、児童健全育成事業費補助というのが計上いたされてございますが、この分は、児童の不良化防止ということで、お母さん方やあるいは指導員の方々を健全育成推進のために各県お集まりをいただいて、研修会、講習会をやりたいという経費でございます。  それから二十ページに参ります。二十六番目、母子福祉対策関係の経費で、福祉資金の、母子福祉貸付金が一億減額になっておりますが、これは償還金がどんどん現在ふえて参りまして、大体三億あれば足るということで減額になった分でございまして、資金量は三十五年度末におきましては大体五十三億を予定いたしております。五十三億ということに相なります。それから新規で母子福祉センター。これは、母子相談あるいは生業技能修得をやってみたいということで、モデル的に二カ所分計上してやる新しい施策でございます。  それから二十七項目の中央児童厚生施設設置費といいますのは、仮称「子供の国」というふうに出ておりますが、直接、国で児童厚生施設を作りましてモデル的にやってみたいという経費でございます。  それから二十八番目の家族計画普及関係の分の減は、節約によります減でございまして、中身につきましては前年度とほとんど大差はございません。  二十九番目の社会保険国庫負担金の中で目立ちますのは、(1)の健保の財源繰り入れの五億分の減でございます。毎年十億繰り入れいたしましたのが、ことしからは半額になりました分であります。その他の分の増額分は、大体被保険者の伸び並びに標準報酬の伸びといったものを見ました分の増額でございます。これは後ほど出て参ります厚生保険特別会計一般会計繰り入れ財源として歳入予算に計上される分でございます。  二十二ページの裏に参ります。三十項目の健保組合補助三千万円といいますのは、単価は前年通りで被保険者の伸びを見ておりまして三千万計上されております。法律では全額負担ということになっております金額でございます。  それから三十一番目の国民健康保険の助成費の内訳は、これは先ほど大臣説明の中にありました被保険者の伸びを見ておりまして三十五年度末で国民皆保険の達成という中身の金額でございます。(4)の項目の保健婦補助金がふえておりますのは、これはここ数年間、国保の保健婦につきましては全然単価の引き上げがございませんでしたが、今度若干ではございますが、単価の引き上げをいたしましたものの増額でございます。直診の三角は、これは節約によります減でございます。それから新しい(8)の項目で、国保団体連合会の補助金が一億計上されたわけであります。  三十二に参りまして、国民年金関係につきましては、福祉年金はことしは十カ月分でございまして、三十六年度予算以降におきまして初めて十二カ月分の予算が計上される、こういうことであります。中身につきましては、基礎人員その他については大体前年度予算の積算の基礎通りの人員を大体使っております。  裏に参ります。二十四ページ、事務費のところで相当増額が目立ってございますが、これは社会保険出張所を五十カ所新設する分と、それから拠出年金適用事務が三十五年度の十月から始まりますので、それに対しまして市町村の事務取り扱い交付金を計上いたしたということで、この十七億のうち、新規計上分が十六億七百四十九万円計上されております。その残りの一億分は、これは福祉年金市町村の交付金ということになるわけであります。それからやはり拠出制の国民年金が始まるということで、広報宣伝費を相当多額に計上されておりますと同時に、やはり拠出制の仕事を始めるということで、この三十一億の増額の中には、大体国、地方を含めまして二千九百人ぐらいの人員増を見込んでおる経費がこの中に入っております。  三十三に参りまして、留守家族の援護費の減額の分は、これは対象数の減額の分でございます。  三十四番目の戦傷病者戦没者遺族援護費の増額分は、これは三十五年七月以降の軍人恩給のベース・アップに伴う自然増的な経費の増でございます。  それから三十五番目の在日朝鮮人帰還援護費、これは協定が三十五年十一月中旬までになっておりますので、十月までの予算を計上いたしまして、それ以降は引き続き帰還が行なわれるとすれば予備費計上に相なるということでございます。  それから三十六番目の国立公園整備の分は、大体約二千万程度増額になりました。内訳は摘要のところに書いてございますので、説明を省略さしていただきます。  それで、二十六ページの裏に参りまして、三十七項目のその他の経費で差引減二十二億となってございますが、これはしばしば申し上げますように、前年度予算の中には補正予算、災害関係の分も全部含めてございますので、一番大きな分で、ここで減額が目立ちますのは災害救助費━━災害救助費の前年度予算の中に二十四億計上されておりますために、結果的に減額になっております。その点お含みおきをいただきたいと思います。  特別会計の方に参りまして、この健康勘定、この健康勘定といいますのは、政府管掌の健康保険組合の勘定でございますが、保険料収入がふえておりますのは、被保険者並びに平均標準報酬月額分の増額分がここに出て参るわけであります。それから一般会計からの受け入れの分は、先ほど申し上げました五億の減がございましたが、五億円計上される。それから借入金が従来六十億ありましたのを三十二年度十億、三十三年度二十億、自前で返しました残りの分の三十億ということで歳入合計、これらに対しまして、二十八ページ、九百二十七億ということになりまして、それに見合う金額が、歳出合計、その下に入っております給付費と借入金償還、業務勘定繰り入れといったものの中身でございます。業務勘定の方はあとの方に出てきますのでここでは説明を省略させていただきます。  それから日雇い勘定につきましても被保険者の人員の増と、保険料につきましては全然手をいじっておりません。それから一般会計からの受け入れの分は、これは売りさばき手数料の増額と、(2)に出ております、二十九ページの一番下、医療給付費財源の分は、法律改正によります三割負担分をここに計上しているわけでございます。三十ページの積立金からの受け入れは前年度よりも非常に少なくなっておりますので、この積立金四千万円出すことによりまして日雇いの方は積立金はなくなるわけであります。歳入が七十四億円になっておりますが、その下に、それに見合います歳出予算が計上されております。非常に保険給付費が伸びてきておるということに相なります。  それから三十一ページ、年金勘定のところに参ります。歳入予算がふえておりますのは、申すまでもなく、被保険者数の増と平均標準報酬月額分が法律改正によりまして従来十二級ありましたのが二十級になりました分が増になっておりまして、ちょうど三十二ページの下に出ておりますが、歳入合計一千十七億という金額が計上されております。歳出の方はそれに見合います老齢年金、遺族年金、脱退手当金等の保険給付と業務勘定繰入金、そういったものでございます。そういった、歳入千十七億と歳出百五十三億という差額の八百六十四億といいます分が積立金の方に回る金額に相なるわけであります。  それから業務勘定関係につきましては、健康保険、日雇健保、厚生年金保険というものの勘定でございまして、歳入予算といたしまして、三十四ページの裏のところに、合計五十八億九千五百九十六万五千円というのが計上されておりますが、それに見合います歳出分が十一番目まであるわけでありまして、目立ったところでは、三十五ページの十一の項目で、厚生年金保険の福祉施設に必要な経費、五億五千万円の中には、厚生年金被保険者福祉施設といたしまして、有料老人ホームを新たにやりたいといった経費が四千八百万円程度この中に計上されているわけであります。  それから次が三十六ページの船員保険特別会計の歳入歳出予算でございますが、歳入につきましては、被保険者数、標準報酬月額は明らかに伸びを見ております。保険料率につきましては、新しい法律が改正されるということを含みましてその通りの率を計上しておるわけであります。一般会計からの受け入れの分は疾病給付部門におきましては前年通り一億分計上されております。それで歳入合計八十三億になりまして、それに見合います歳出が、給付以下ここに出ておるわけでありまして、歳出、歳入合わせた差額二十億といいますのは、八十三億と歳出予算六十二億、この差額といいますものは、長期保険の積立金の方に回ることに相なるわけであります。  それから三十九ページの国立病院特別会計、歳入の方は相当増額を見込んでおりまして、さらに積立金から二億取りくずすという予算を計上いたしております。歳入百四億余万円の金額が計上されております。その下に歳出予算が計上されておるわけであります。それでその裏の四十ページの8のところがいわゆる国立病院の経営に必要な経費で相当増額に相なっておりますが、この中に職員の人件費の増あたりも計上されておるわけであります。それで歳出予算の内訳は、ずっと中身をごらんになっていただければおわかりだと思いますので、説明を省略さしていただきます。  それから最後に出ておりますのがアヘン特別会計、売り払いの方が前年五万八千四百四十円でございましたのが、今度は七万円計上いたしております。歳出の方も購入費の方が前年は五万五千六百五十円でございましたのを、六万四千七百五十五円で購入するということで、歳入、歳出合せて三億八千六百万円余を計上いたしております。  簡単でございますが、これで説明を終わります。
  7. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめ  て。    〔速記中止
  8. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして下さい。  本件に対する質疑は次回以降にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  10. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 次に、夕張における炭鉱の爆発事件につきまして、わが委員会と商工委員会で現地調査をいたしたのでございますが、わが委員会は坂本理事、徳永委員、村尾委員調査を終えられまして昨晩おそく帰ってきておられます。派遣委員の方から報告を聴取したいと思います。  なお政府からは、ただいま通商産業省小岩井鉱山保安局長、労働省渋谷労働基準局長、労働基準局山口安全課長が出席をいたしております。
  11. 坂本昭

    ○坂本昭君 昭和三十五年二月一日、午前一時五十分ごろ発生しました北海道炭鉱汽船株式会社夕張炭鉱第二鉱、本坑における坑内ガス爆発災害調査のために、当社会労働委員会は徳永、村尾、坂本の三委員が商工委員会川上、阿部両委員と緊急に現地に派遣せられることになりまして、二月八日正午立川基地を自衛隊輸送機C46で出発、同日夜夕張市に到着、翌九日早朝より夕張鉱業所において鉱業所長を初め会社側責任者及び通産省の札幌鉱山保安監督部長、北海道労働基準局長等、監督責任者等より詳細なる状況報告を受け、特に爆発原因と、焦眉の急である消火対策について質疑討論を行ない、正午過ぎ調査団は本坑通洞より入坑しましたが、爆心地と推定せられる縦坑直下に近い右運搬坑道の一部と中央排気斜坑の一部には、二月九日早朝より火勢再び再燃して危険のため、午前十一時救命器隊主力も坑外に待避の命令が出され、われわれも一応入坑いたしましたが危険が去らないので、直ちに坑外に出でざるを得ず、爆発現地を直接調査することはできませんでした。午後は時間も十分になかったので、労働組合及び職員組合代表を通じて被災者及び遺族に対するお見舞の言葉を申し述べ、さらに夕張炭鉱病院におもむき、爆発受傷後、引き続き入院中の全患者を見舞い、その夜札幌市に到着、十日早朝千歳の基地より夜立川に帰投いたしました。緊急短時間の調査であり、目下危険なため調査不十分な点もありますが、簡単に要点を以下御報告いたします。  夕張第二鉱は、昭和三十四年十二月の出炭量は五万三千九百トンでありますが、原料炭が九二%を占めておりますので、石炭業界の一般的不況にもかかわらず、いまだ不況の影響は少ない模様であります。  災害発生の状況は二月一日午前一時五十分ごろ、第二鉱本坑ベルト斜坑坑口装検見張所が圧風により倒壊し、坑口送電線が破壊し、停電いたしました。さらに、第四区ポンプ座にいたポンプ運転手が圧風を感じたことなどによって坑内爆発を察知したのであります。事故発生した第二鉱は、通常一番方千百名、二番方が六百名、三番方が四百七十名が操業するのでありますが、二月一日は休日のため、坑内の保安、保工関係者が作業中で、人員はきわめて少なく、二月一日午前一時五十分作業人員は奇蹟的にわずかに六十一名でございました。普通日であったならば数百名の犠牲者を生じていたことでありましょう。三番方の就業時間は、一月三十一日午後十一時から二月一日午前七時までであります。坑内ガスは通常はブロアで吸引し、そのガスを燃料暖房用に使用しておりましたが、しかし、一月三十一日正午前に、数時間にわたって扇風機一切が停止した事実が確認されていることは、注目すべき事実であります。元来当第二鉱は、過去において、昭和十三年ガス爆発で百六十一名が死亡、昭和十四年に同じく二十名が被災し、昭和三十一年七月ガス爆発で重傷者三名を発生せしめており、夕張鉱業所の他の三つの鉱では事故が起きていないのであります。また、当第二鉱では一区、二区、三区のメタンガス発生は比較的多いことが知られております。しかし、ガス流動調査によると、大気圧変動の影響などからは冬期のメタンガス発生は夏に比べると少ないということであります。昭和三十四年十二月一日から、三十五年一月三十一日までが、坑内自然爆発防止期間として定められ、鉱業所入口には爆発防止の大看板が今でも雪の中に飾られてありました。当鉱では六カ月に一回ガス流動調査をすることになっていて、まさに事故前日、一月三十一日午前九時より約三時間、ブロアの吸引も、さらに扇風機も停止して、メタンガスの自然発生状況の調査を行なった事実があります。そのときの精細なデータはまだ整備されておりません。  被災者の状況は、二月九日正午現在、入坑六十一名中死亡三十五名、単独脱出者を含めて救出された者二十二名で未救出者四名であり、おそらくは崩落のために埋もれていると推察せられ、生存の希望はほとんど考えられないのでございます。なお、爆風のため坑口にいた坑外夫一名負傷し、二月二日救護隊として入坑した者のうち一名ガス中毒で死亡いたしております。  夕張炭鉱病院における診療状況は、爆発事故による負傷者二十三名中、入院した者が二十一名で、二月九日正午入院中患者十四名、うち重症二名でありますが、全員完全に治癒し得る見込みであります。  今回の事故で特筆すべき被災者の事実は、爆発中心地点に近い右運搬坑道におきまして、顔面挫傷のため頭蓋底骨折、すなわち爆風による死亡一名を除くと、火傷もなければ外傷もなく、全員一酸化炭素による中毒死であるという事実であります。第三区は入坑者二十六名が全員死亡しておりますが、その遺体は三区切羽において発見されたのではなく、職員が先導した態勢の中で中央斜坑において集団的な一酸化炭素の中毒死であることが死体解剖の結果からも判明いたしております。有賀夕張炭鉱病院長は、死後強直等から死亡時刻をとりあえず二月一日午前四時と推定しておりますので、爆発事故発生後数時間の間、第三区の二十六名は生存していたのであります。二月一日午後三時から五時過ぎにかけて第二鉱長及び副長等が偵察のため入坑したときは、死体現場には一酸化炭素はなく、救命器を使用することなく、入坑できております。一区、二区の切羽で作業していた者は脱出しており、三区は全滅いたしましたが、一酸化炭素中毒であったこと、四区の死亡も一酸化炭素中毒であったことが明瞭なように、爆発は一、二、三、四区の切羽に近いところではなく、目下最も執拗に火災の続いている中央排気斜坑、右運搬坑道など、切羽よりはむしろ中心部において爆発を生じたと思われます。幸か不幸か、この地域には一人も死亡者がおりません。二月三日午後ガス濃度七%から一四%に高まり、火災が発生し坑道崩落し、再爆発の危険を生じたので、未発見者二名のいる四区奥部の排条坑の坑口から注水を開始し、部分的に水没させる非常措置を講じて爆発防止の手段をとっているのであります。二月六日一区と四区との間の坑道密閉作業完成し、四区は注水により消火し得ると考えられますが、二月九日午後三時の状況では、右運搬坑道と中央排気斜坑の千トン・、ビン付近の消火が困難であって、作業が進んでおりません。札幌鉱山保安監督部長以下、監督官八名が技術指導に当たり、約二百名の救命器隊が待機しておりますが、消火をしてガスの危険を除去して残った四名を救出することが終われば、以後坑道の崩落と運搬ベルトの破損を修復する等、数カ月を要するものと思われます。  次に、夕張鉱業所における労務災害の徴収額は、昭和二十九年度から昭和三十四年十二月まで六カ年平均で毎年約一億円で、収納率は常に一〇〇%で、支払額から見ますと収支率は平均五五%であります。今回の災害に対する労災関係は、死亡三十六名、未確認四名、重傷六名、軽傷十二名で、加療中のため療養及び休業補償の不明なものもありますが、遺族補償費及び葬祭料は、合計して約四千百二十万円にしかすぎないということは、まことに悲惨であります。十五才以下の子供しか残っていない家庭が一例あります。また、死亡者のうち、単身者、独身者は一名であると言われております。死亡並びに不明者の年令は、最高五十一才、最低二十三才、平均四十二才であります。主人が四十二才であるこれらの遺族の方々の世帯構成は、推察するにかたくありません。しかも平均して約百万円の遺族補償費と葬祭料とでいかなる生活にたえられるでありましょうか。思い半ばに過ぎるものがございます。現在会社は、遺族に対し一律に五万円の見舞金をとりあえず出しているというのでありますが、厚生年金支給額の低いことから見ましても、その遺族年金が生活のささえにもならないことはあまりに明瞭であります。斜陽産業という名のもとに大量の首切りによる石炭離職者、一生懸命働いているとはからざる爆発事故で大量の死亡、離職せず事故もなく働けばついにはけい肺で不治の職業病にとりつかれる、これらの石炭産業の労働者を根本的に救わなければならないことを痛切に感じた次第でございます、。  調査の結果を要約いたしますと、第一に、爆発原因はいまだに現場において専門的に確認されておりませんが、メタンガス流動調査のために事故発生の十時間ほど前にすべての扇風機を数時間にわたりとめたという事実のあることは注目すべきであると考えます。  次に、施設が比較的よく整備合理化された優秀炭鉱において、しかも自然爆発防止安全機関の最後の日において事故の発生したことは、保安対策の専門技術的欠陥によるものであって、ガス爆発、粉塵防止など、保安と安全規則の具体的改正を必要とするものではないかと考えられます。また、特に企業主の責任も明らかにする必要があると思います。が、同時に、労使ともに規則を固く厳守すべきことを申し述べなければなりません。  次に、爆発そのものによる死亡ではなく、あとガス、すなわち一酸化炭素中毒による死亡が決定的であることは、坑内の安全と救急の具体的方法について新たに検討を要するところであります。  次に、家内労働だけではなく、大企業において安全、衛生上の指導監督が必要であって、鉱山保安法五十四条に基づいて労働大臣並びに労働基準局長は、平生からも積極的勧告をなすべきであると考えられます。  最後に一言申し上げたいことは、すでに事故発生後一週間を経過し、現場は一応くまなく点検されておりながら、爆発原因が明瞭でないということは、犠牲者に対してもまことに申しわけないことであり、今後の復旧対策上にもはなはだ寒心にたえないところでありまして、監督指導機関の技術のすべてをあげてすみやかに原因を探究し、すみやかに夕張炭鉱第二坑が安全の中に操業されることを要望いたしまして、報告を終わります。
  12. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 徳永委員補足される点があれば、御報告願います。
  13. 徳永正利

    ○徳永正利君 ありません。
  14. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 村尾委員いかがですか。
  15. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 よろしい。
  16. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をとめて。    〔速記中止
  17. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を起こして。  ただいま坂本委員の報告のございました夕張における炭鉱の爆発事件につきましての質疑は、次回以後に行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
  19. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは次に、最近東京都内で発生をいたしました医薬品等の乱売事件について調査を行ないます。  ただいま政府からは厚生省高田薬務局長並びに薬務局の関係課長、警察庁からは中村保安課長が出席をいたしております。  本件について質疑のおありの方は逐次御発言を願います。
  20. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、今わが委員会から北海道の炭鉱問題の調査においでになった代表として、坂本理事からまことに陰惨なる報告を拝聴いたしましてそのあとを受けて、医療用薬品についての、また、考えようによってはきわめて陰惨なる事態について質疑を申し上げなければならないことをきわめて遺憾に思っております。  まず、厚生省に伺いたいのでございますが、最近日々ラジオ、テレビあるいは新聞等によって大きく扱われ、大きな社会問題として取り扱われておりまする池袋西口の三共薬品、もう一つはこれに対抗する組合が対抗運動としてやった三協、この二つの店が猛烈なる乱売競争をやっておる。昨日見に参りましたが、想像に絶する状態でございました。こういうことはすでに近年全国各地、ことに枢要な地域でこれに類した乱売行為が非常にひんぴんと行なわれているのでありまして、人命にかかわる医薬品国民生活になくてはならない医療品の医療用薬品としての取り扱いとしては、まことに嘆かわしい事態だとかねがね考えておったのでありますが、これに対して厚生省もおそらくいろいろ対策を苦心研究されておったことと思います。これは徐々にこれからあまり長くならない範囲の時間において質疑を展開していきたいと思いますが、とりあえずは、この池袋の十二月八日三共薬品の開店以来の今日までの経緯について、厚生省がお調べになった範囲において、経営者の内容それからやり方、そういう面について説明を願いたいと思う。
  21. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) ただいま御質問のありましたように、いわゆる薬の乱売の問題は、薬事行政上も、また、薬業振興上も大へん遺憾な事態でございますが、これが先年来大阪、岐阜その他各地において起こりましたことは大へん残念に思っておったのでございますが、これらの事態及びそれに関連する事項につきましては、あらためて御質問等がありますればお答え申し上げることにいたしまして、さしあたり池袋に発生いたしましたものについて申し上げますと、登録になりましたのは昨年の十二月四日でございまして、ただいまお話の三共薬品が開店をいたしましたのが十二月の八日でございます。経営者は紅谷キヨ子というもので、管理薬剤師は金正恵という人になっております。これが発足いたします前後及び発足いたしましてから、価格は三割ないし五割引くというようなことで、これに関連をしたチラシを配布し、あるいはサンドイッチマンないしチンドン屋等を使って宣伝をしておったようでございます。店員は大体十七、八人を使ってやっております。こういうような状況にかんがみまして、地元であります東京薬業協同組合連合会の方としましては、事態を重視し、同時にまた、東京都としてもこれに関連をして事態を重視いたしまして、両者あるいは三者間に連日話し合いが行われて参ったのでございますけれども、ついに話し合いが妥結に至りませんで、終局するところ、二月の七日に薬業協同組合連合会の方の側として、ただいまお話のありました三協総本店という名のもとに、対抗したいわゆる乱売店を開店する、そういう運びになって参りまして、七日以後双方先ほど申しあげましたような宣伝方法等を講じて今日に至っておる状況でございます。私も先日現場を見て参りまして、薬の関係の仕事をいたしておるものとしまして大へん残念に思っておる次第でございます。  次に、この事態の収拾につきましては、第一線の機関であります東京都において非常に心配され、苦慮されておるのでございますが、私ども厚生省側としても常に連絡を密にし、また、必要なる御相談を申し上げてこの善後措置に対処いたしておるのでございます。  なお、先ほどお話がありましたように、これは一面においては全国的な問題でもございますので、この機会に、その現実池袋に起こっている事態の収拾の問題と、それから全国的に見た薬に関する行政の問題と両方にらみ合わせながら厚生省としては対策を考えていかなければならない、かように考えておるのでございますが、さしあたり根本的に申し上げまして薬の品質を確保するということが、これは何といっても根本の問題でございまして、もし間違いのある薬が世の中に出たり、あるいは患者の口に渡るというようなことになりますと、まかり違えばこれは生命身体に障害を来たす問題でございますので、この点については気をつける上にもなお念を入れて気をつけなければならない、かように考えております。それからまた、そういう性質のものでございますからして、この薬に対する国民の信用度、信頼度というものが過度に失われるということになりましても困りますし、また、これが配給秩序が混乱をいたしまして、消費者あるいは需要者に対して迷惑をかけるということになりましては、ほかの物資と違って特殊のそういう性質のものでございますので、特にそういうことがないように気をつけていかなければならぬと思います。これらを根本に考えまして、さしあたっての問題として、私どもとしては当面薬事監視を一つ厳にして参りたい。と申しますのは、これら乱売の対象となっております品物について見ますと、薬については御承知のように、製造番号等が入っているのが通例でございますけれども、あるいはこれを抹消したり、あるいはこれを削り取ったりというような事例も見受けられますし、それからまた、常識以上のいわゆる値引きをするというものにつきましては、やはりこれは品質上の問題を相当考慮しなければ心配をするのが当然でございますので、それらの点につきましては、特に今後抜き取り検査等による薬事監視を厳重にして参りまして、間違いのないようにして参りたいと考えております。  それから次に、宣伝の方法でございますが、これは薬でありましても、正当な宣伝ということは、あるいは広告ということは、これはやむを得ないと思いますけれども、やはり薬の特殊性という性質からして、おのずからこの宣伝の方法、やり方等についても品位の上からこれは限度があるということは当然のことでございましてそういう意味においてあまりにも薬という特殊の商品、製品、品物にふさわしからぬ、品位を傷つけるような、あるいはまた、不当に患者の乱用、使用を助長するような仕方における広告等については、これは自戒をしてもらわなければならぬと思いますし、さしあたり今問題になっておりますこの両店に対しましては、その辺の広告、宣伝の方法についての自戒をこれは東京都から申し入れる、そういうふうにいたした次第でございます。  それから、なおこの問題を解決し、さらに全般の問題を解決をして、いわゆる平常状態に復帰せしめるためには、関係の団体の非常な協力を得なければならないことは言うまでもございませんので、一番この問題に関係が深いと認められますメーカーの団体、ないし卸の団体、ないし薬剤師協会の幹部の方々のおいでをいただきまして、経過をお話し申し上げ、また、私どもの考え方もお話し申し上げて、これらの事態の収拾及び今後における事態の円満なる解決ということについての御協力をお願いをいたしておる状況でございます。  話し漏らした点もあるかと思いますけれども、また、御質問によってお答えいたしたいと思います。
  22. 高野一夫

    ○高野一夫君 今薬務局長のお話の通りの経過であろうと思いますが、この医療用薬品、化粧品——人間のからだにつけたり、飲んだり、病気の予防、治療あるいは皮膚につける化粧品等が、まるでげたや、ぞうり、文房具みたような一般の商品扱いにされて、経済競争の材料に使われるということは、厳として私はこれは取り締まるべきだ。それを従来どういうような取り締まりを厚生省がされて、そうして各都道府県の薬務行政担当者に指示をされておったかどうか。きょうの新聞を見ましても、また、私の承知いたしております点から考えましても、品質検査をやる、これはけっこうだと思います。この一番の問題である三共薬品で販売している医薬品は全部製造番号が撤去してある。だからそこだけはいである。いつ製造されて、どういう経路でその店に渡ったかということが一切がっさいわからないようにして売られている。これを今日検査されることはまことにけっこうだけれども、今まで東京都なら東京都の薬務行政担当者を指導して、なぜもっと早くこの乱売の店に踏み込んで行って実地調査をなされなかったのか。また、それでけっこうでありますが、その事態を伺いたいのでありますが、これが私は大いなる一つの問題になろうかと思うのであります。そこで、そういうようなふうに製造番号がない、製造年月日がない、品質が低下する、変敗する、そういうことが一切わからないで、一般民衆の購買力をあおっている。今必要がないけれども買っておこうというようなものでありまして、カン詰とは違うのでありますから、今必要がないものを買っておくべき性質の品物ではないと思うけれども、現場をごらんになればわかる通り、えんえん長蛇のごとく並んでおって、夕方なんか、一時間も立たなければ店にたどりつけない、買えない。こういうような事態、それでも大勢がいく。しかも、私はきのう現場を見ましてまことに遺憾にたえなくて、さすがに私もたまりかねて注意をいたしたのでありますが、この元凶の三共薬品のプラカードを持って宣伝広告をやっている、厚生省推薦、警視庁応援、こうやっている。そこで私は行って、厚生省は推薦したかと言ったら、ええ厚生省は推薦しております、こういうようなことを言って、厚生省推薦、警視庁応援、こっちの方の朝鮮人の店ですが、こういうようなことでやっているのでありまして、こういうようなことをやって客引きをやっている。その事態を前からやっていたならば、もっと早くこれは取り締らなければいけなかったと思う。これからでもおそくはないが、これからでもけっこうでありますけれども、やってもらわなければならない。しかもまた、並んでいるお客さんが何と言うかというと、安いほどけっこうじゃないか、安いほどけっこうじゃないか、私はこの考え方が、医薬品に関する限り、非常に誤った考え方を生みつけるもとになると思うので、この辺についても、もう少し薬務行政担当者が何らか一般大衆に対しても、こういう取り扱い者に対しても、指導、監督をしてもらわぬと困ると思うのであります。そこで、いわゆる製造番号を全部撤去して、製品を売っているというようなことについて、どういう処置をとられるか。それからまた、検査したあげく、不良品があれば適当な措置をされるでありましょうが、この四割ないし九割割引のビラなんか張り出してやっている、そういうのを全部撤去しろ、こういう勧告をされた、それを聞かなかった場合はどうするか、こういう点についての考え方を伺っておきます。
  23. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほど申し上げましたように、薬の品質を確保するということが、これは何といっても第一に考えなければならないことでございますので、従来とも、私ども薬事監視については地方を督励をいたしまして、あるいは随時、あるいは一斉取り締まりという形において実施をして参ったのでございます。昨年実施をいたしましたオキシドール、あるいは脱脂綿等に関する薬事監視の結果等につきましても、これが自後の措置について現在慎重に考究いたしている次第でございます。  ただいまお話のありましたロット番号、製造番号をつけるということについては、従来ともメーカーに対してロット番号をつけるように指導いたして参ってきたのでございますが、これが現実につけたものがあるいははぎ取られ、あるいは抹消されるということになりますというと、これはやはりその品質等について特に注意しなければならないと考えられますので、これらについての薬事監視を厳重にするということは、先ほど申し上げた通りでありますが、これらの製品については、その経路をはっきり報告を求めまして、一面においてはそういう事態がないように、一面においては不良の薬品が出ないように、今後さらに一そう気をつけて参りたいと思います。  それから最後にお話のありました広告その他の問題につきましては、これは薬の本質に照らしまして、おのずから限度というものがあることは当然でございますので、先ほど申し上げましたような趣旨で、あまりに常軌を逸したと申しますか、あるいはまた、勢いの激するところ、常識をはずれたようなことが起こりましたことについては、これは大へん残念でございますが、これらの是正については、都と協力いたしまして、今後十分力を尽くして参りたいと、かように考えております。
  24. 高野一夫

    ○高野一夫君 ちょうどこれが朝鮮人の店と日本人の店というわけで、組合側が日本人の店、一方の最初の三共薬品の方が朝鮮人の店、管理薬剤師、経営者、出資者、全部が朝鮮人、これで、——まあそれはそれとしてけっこうでありまするが、この今、勧告を訓戒された、不当なる、適正と考えられないような線で客引き、広告の方法は一つやめてもらいたいと双方に勧告された。それはけっこうだと思うのですが、いずれにいたしましても一方がそれをきかない。その勧告はちょうだいしたけれども、私どもはそれに従う必要はないと、こういって厚生省の勧告をはねつけた場合はどうされるか、これを私はちょっと聞いておきたい。はねつける場合があり得ると思う。何らかの法規に照らしてそれを処置することができるものであるかどうか。それでも、勧告であるから、相手がきかなければもうしようがないのだと、話し合いでただいくよりしようがないのだと、こういうことに終わってしまうのかどうか、その辺の厚生省の腹がまえを聞かしておいていただきたい。
  25. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まあ問題の起こりました経緯が経緯でございますので、私どもとしましては、多少日はかかりましても、できるだけこれを事実上の指導によって正常の状態に復するように努力をして参りたいと思いますけれども、最悪の場合におきましては、法律の許す限りにおいてはこれに伴う措置をとることに考えております。
  26. 高野一夫

    ○高野一夫君 この点について、相手が勧告をきかないという場合の処置については、これ以上は厚生省、追及いたしません。厚生省で、ただいまの説明によっておのずからわかるような感じもいたしますから、追及しない。  そこで、この品物が安ければ安いほどいいというのが一般大衆の考え方になるわけでありますが、それじゃ、医者は、患者が多ければ多いほどいいから診療報酬はすべて安くしたらいいか、薬も売れれば売れるほどいいから、幾らでも安くしていいかと、こういうことになるわけですが、診療、あるいは医薬品というものに対しては、そういう経済的に私は特殊に考えなければならぬものだと思う。これを一般の世人に一つよく周知徹底させていかなければならないと思うのです。これが誤った考え方であるということになりますと、一般患者、大衆を非常に誤らせることになるので、この点についてはどういう考えを持たれるか。  そこで、たとえば価格の調整ということが、これが非常に問題になるけれども、商工組合では、最後には公取の同意を得れば価格の調整もできる、環境衛生の法律関係では、料金の調整ができる、こういうふうになっておる。こういう点については、いろいろ基本的には理論として論議もありましょうけれども、現在国会が通した法律ではそうなっておるのですが、医薬品の価格の調整、その必要があるかないか、そこまでやりたくないかどうか、やはりある程度の自由競争にはまかせるよりほかないと、こういうことになるかどうか、これは私は今後の薬務行政のおやりになり方の基本の一つの考え方になると思うので、その辺の考え方を伺っておきたい。
  27. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ちょっと関連質問で。ただいまの政府、厚生省の方の御意見の中に、池袋における、今、二店の競争について、これがなお今日の事態からそれぞれ勧告を行なって、その勧告を聞かない、善処しないときにおいては法律に照らしてこれを取り締まるとかいう御意見があったように思います。その法律に、というその取り締まりの法律の、どういう法律によってそれを取り締まるのか、それをあなたのお考えをお聞きしたいと思うのです。どういう法律によってそれを行なうというのか、それをお聞きしたい。
  28. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まあ薬に限らずすべて取引が公正に行なわれなければならないということは、これは独禁法等の趣旨に照らして非常に大事なことでございまして、特に薬の関係につきましては、一般の商品と違った考え方を持たなければならないということも、これも私ども留意しておるところでございまして、まあすべてこれはある程度の値段の相違というものは、競争であり、あるいは今日の経済体制のもとにおける商品でございますからこれは当然でございますけれども、これがあまりにも常識をはずれているというようなことは、やはり今日の経済秩序あるいは独禁法等の精神に照らしてこれはいかがかと思うのでございます。薬の面につきましてもまあ今まであちこちに問題があり、また、今日も起こっておるのでございますけれども、これはやはり一つの特異な現象であって、全般的にそういうふうな、いわば、言葉は乱雑な言葉を使うことをお許しいただきたいと思いますが、いわゆるめちゃくちゃな状態になるということになりますというと、これはほかの品物と違いまして、薬につきましてはやはり価格上も特別な考慮を加えなければならないというような事態になることももちろん考えられるわけでございますけれども、私どもとしましては、現在の一部、そういう起こっている事態というものをなるべく早く収拾いたしまして、全般的には価格上も正当な、正常な状態に復するということに努力をいたして参りたいと思います。同時に、関係の業界においてもそれを望み、かつ、努力をしておられますので、そういうふうになることを十分期待をいたしておる次第でございます。それからもちろん薬の関係でございますから、これが取り締まりは薬事法によって取り締まる、そういうことになるわけであります。
  29. 高野一夫

    ○高野一夫君 それじゃ一つ具体的に伺いたいのですが、三年前にわれわれ国会が中小企業団体組織法を成立さした。これに商工組合の規定がある。それで不況になった場合、あるいは不況になるおそれがある場合は商工組合を設立する、こういうことになっておる。ところが、通産省あるいは厚生省関係の出先機関がこの法律の精神をはき違えておって、できるだけ作らせないような方法で、たとえば不況状況のデータ、不況が、近く不況になるおそれがあるデータ、数字的な、中小小売業者なんか持てないようなむずかしい材料ばかり集めさして、結局一向できない。去年の夏ごろから厚生省も方針がだいぶ変わって、積極的に育成する方向にお変わりになったようで、まことにいいことだと思っておりますけれども、この商工組合を今後どんどん作らせる、そして調整事業をやらせるということは、中小企業者の経済安定に役立つはずなんですが、医薬品に関しては、これはあなたの、厚生省と通産省の所管になっておる。その中にいろいろな販売法あるいは販売の数量、種類の制限、いろいろな調整事業がある。最後に公取が同意をすれば価格調整がやれることにちゃんと条文できまっておるはずだ。いまだまだその五、六カ所できた商工組合も今のその全体の調整事業すらも、まだ認可にならない状態なんだ。こういうようなことで価格調整するとかそのほかの調整事業がまだ認可にならない。こういうようなことで中小企業者の経済安定ということに役立てさせようと思って作った法律なんというものが、一体活用されていると言えるだろうか。私は言えないと思う。そこで、この点については十分一つ研究を願わなければならぬのだが、そのあらゆる事態を、調整事業をやってみてなおかつ不況状況を脱却することができない場合は、価格調整をやり得る。やれる。こういう法律になっておる。公取の同意が必要である。これに対して薬務局長厚生省当局は、医薬品に関する場合に商工組合ができた場合に、最後に公取の同意を得て価格調整をやらなければならぬ。こういうふうな考えをお持ちでないかどうか、これを一つ伺っておきたい。
  30. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) このいわゆる薬の乱売等に伴う紛議、紛争というものは、やはり第一次的には業者相互の間で解決をするということが、これは本筋のことでございますし、これに役所が介入をして参るということは、これはできるだけ避けていくのが当然でございますので、そういう趣旨から申しましても、私どもは、中小企業団体組織に関する法律に基づいて、商業組合を組織し、それの調製規定を活用して公平な競争、公正な取引というものを行なわれるようにすることが一番適切である。さような考え方に基づきましてこの法律に基づく商業組合の設立を、むしろ今日としては慫慂をして参っておる状況でございます。すでに宮崎、大阪、和歌山、兵庫、福岡、京都その他におきましても、これが設立を見、また、あるいは設立半ばというようなところもあるのでございます。  そしてできました組合における調整規定の認可につきましては、知事が通商産業大臣及び公取の委員会に協議してきめるということになっておりますので、この手続をすでにとりつつある組合もあるのでございます。  私どもとしましては、一面薬の特殊性ということは認めながらも、やはり経済全般の制度、考え方というものをにらみ合わせながら、できるだけ一般的ないわゆる調整、一般的な取引上の調整ということが適正に行なわれることを主眼にしていくことがこれはまあ当然でございますけれども、先ほど申し上げましたように、これが収拾すべからざる状態、いわばめちゃくちゃな状態になるということが考えられる場合におきましては、十分価格の問題についても必要な調整が行なわれるということをやはり考えなければならない。かように考えております。
  31. 高野一夫

    ○高野一夫君 厚生省当局がこの商工組合結成、育成に努力をしたい。そうすると、その組合の機能が十分に発揮できるようにこの法律の精神をくんで一ついきたい、こういうようなお気持であることははっきり伺って、その通り私も厚生省が進まれるものと了承をいたしたいと思います。そこで今度は、昨年の通常国会においては、やはり中小企業の安定に役立たせるために小売商業調整特別措置法を通過させた。この中に、小売業者を中心といたしまして経済紛争が起こった場合は、知事が調停あっせんに乗り出し得る条文が置いてあるのであります。そこですでにいろいろなこれは通産関係の商品においてもそうでありましょうが、厚生省所管医薬品等においても、先ほど来局長も認めておられる通りに、各地において小売経済紛争が頻発しておるのであります。これに小売商業調整特別措置法を発動せしめる精神で知事が紛争の調停あっせんに乗り出すということについて、厚生省は知事にこれを依頼されたり、あるいは勧告をされたり、何か適当なそういう方法をおとりになったことがないかどうか。もしないとするならば、今後は努めてこの特別措置法を活用することも考えて、薬務行政の運営に当たってほしいと、こう思うのでありますが、その辺については、おそらく局長もさっきの商工組合で同感でありますから、御異存はないと思うけれども、一応一つ見解をはっきり述べておいていただきたい。
  32. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) ただいまお話のありました小売商業の特別措置法におきましては、つまり同業者、仲間というよりも、むしろあるいはデパートでありますとか、あるいは市場でありますとか、そういう特殊な業態といわゆる小売業との間の調整でございますので、これらの点につきましては、現在この法律に基づきまして知事の調整権を発動した事例はないのでございます。そこで今度の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、こういったいわば経済問題に関連した事柄につきましては、できるだけ役所側の介入を避けまして、業界の方々お互いの間で問題を円満に解決をするということが、何といっても第一に心がけなければならない要点だと思うのでございます。しかし、勢いの激するところ、それによって事態の収拾ができない、これを放置することができないという、そういうような特別な事態に立ち至りました場合においては、これはやはり役所が介入することもやむを得ない、そういうふうに考えますので、その辺の状況等もにらみ合わせまして、今後気をつけて参りたいと考えております。
  33. 高野一夫

    ○高野一夫君 昨年の八月、当委員会が正式に派遣団を組織いたしまして、スーパー・マーケットと小売業者との間における経済紛争の調査に回ったのであります。報告をいたした通りでありますが、このスーパー・マーケットのやる小売営業と一般小売業者との間の、小売営業の間に起こる紛争というものは、ただいま申し上げた小売商業調整特別措置法の十五条第一項の第三号に該当する、こう当参議院の商工委員会ではっきり論議がきまっておるわけであります。いわゆる中小企業者にあらざるものが小売業をやって、そうして正規の小売業者との間に経済紛争が起こった場合はこれが十五条第一項第三号に該当する。そこで、その場合には知事が調停に乗り出す、そうして正規の適正なるあり方に直すべく努力をしなければならない、こういうふうにはっきりとなっておりまして、私は当時商工委員会に出ておりましたから、この論議にも参画いたしておるのでありますが、こういうようなこともありますので、私の承知している範囲において、少なくとも厚生省の企業関係においては、この十五条第一項第三号をもとにしての知事の調停あっせんを依頼されたり、勧告されたりされたことはないと、私はこう思っておる、私の承知しておる限りでは。今後はこういう点につきましても十分一つ注意をされて、厚生省所管の問題について十五条第一項第三号の発動、そのほか第一号、第二号、第三号、あわせてこの発動について十分一つ留意されるように私は切望いたしたい。  そこでもう一つ商工組合の価格調整に関連して伺いたいのでありますが、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、これの第二条の第七項に不公正なる取引方法というのがある。こうこういうものについてはこういうことをやっては、それは不公正なる取引方法と認めるぞというわけで、特殊指定をするわけです。現在しょうゆ、みそ、カレー粉、そのほか数種のものが指定されております。そうしてたとえばその品物を売らんがために特に観劇、旅行、映画等に招待して、あるいは供応して、特に売る方法を講ずるということが不公正なる取引だと、こうされているわけです。御承知の通り、新聞は価格を乱すことはならぬ、その価格を乱すことは不公正なる取引と認めると、こういう特殊指定がされている。そこで先ほど来の論議を中心にいたしますと、厚生省側においては、この薬業経済と申しますか、医療用品の、あるいは化粧品等の価格の安定ということは望ましいことであると考えておられるようでありまするが、この公取の第二条第七項による不公正取引の特殊指定に医薬品を加えたい、こういうことについて公取委員会と折衝をしたいというお気持はないかどうか、これを一つ伺っておきたい。
  34. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 医薬品の配給秩序のまあある意味での混乱を防止して、これを正常状態に復するにつきましては、業界においてメーカー、卸、小売、三者それぞれの立場で協力をして、これを解決をしたいという念願から、先年来三者の協議会を設けまして話し合いを進め、さらにその趣旨に基づきまして、メーカーはメーカーとして卸は卸として、それぞれの立場で自分たちの問題を共通の目的のために解決をしたいということで、特に昨年来非常に努力をし、苦心をされておる状況でございます。メーカーにおきましても、先ほど来いろいろ問題のありました事態をこれ以上黙過することができないという考えに基づいて、従来やっておりましたいろいろな取引方法、その他についてこの際再検討を加えて、正常な状態にいたしたいという念願から、現在非常に努力をされているのでございます。私どもはまあそういうような業界の自主的な非常な努力というものを期待をし、一日も早くその成果が上がることを一面においては期待をし、一面においてはまた、その間における必要な援助、支援を加えることをいたしてきておるのでございますが、そういうようなわけでございまして、今直ちにこの法律に基づきまして、これらの取引方法等についての法律に基づいた規制を加えるということにつきましては、しばらくそういった業界の自主的な努力、自主的な研究というものの結果を期待いたしまして、できるならばそういうような姿において円満に行なわれることを第一に考えておるのでございますが、同時に薬という特殊な性質のものでございますし、将来のいろいろな事態というものを考えていかなければならないことは、これは行政当局として当然のことでございますので、今お話のありました点を含めて、十分私どもとしては研究を重ねて参りたいと、かように考えております。
  35. 高野一夫

    ○高野一夫君 私ばかり質問の時間をとって申しわけありませんが、あと一、二の質問にとどめて、ほかの委員にかわってもらいますから、あしからず一つお許しを願います。  私も、こういう経済行為はできるだけ関係者の自主的やり方によって円満に解決することが望ましいと思います。これは私も全く同感であります。しかしながら、今お話のメーカー、問屋、小売りの三者協議会というものが厚生省あっせんによってできたけれども、すでに足かけ三年、一昨年の秋にできて、足かけ三年、今日まで何らの結論が得られていない。そして経済活動は日々非常な変化運営がなされているのであります。そうすると、この三者関係者の自主的な話し合いに期待をしたいのだけれども、はたしていい結論が出る見込みがあるかどうかということになりますと、残念ながら、どうもわれわれは多大の期待を現段階においては持てないような気持がいたすのであります。もしもこの自主的やり方について、関係三者の意見が合意を見るならば、すでに足かけ三年間、今日までの間にせめて一つの問題でも、二つの問題でも解決できていなければならない。これは厚生省あっせんによってできた三者協議会であるにかかわらず、何ら結論が得られておらない。プラスになる結論が得られておらない。これは一つ自主的解決が望ましいけれども、やはり関係業者だけの話し合いということだけでは、なかなかうまくいかぬ点が出てくるのであるから、これはやはり関係当局が音頭をとって、もう少し強い線で指導というか何というか、指導でも育成でもいいが、もう少し強い線で動いてもらわなければ、私は幾らたっても話はまとまらないと思います。そしてできるだけその線に沿って、独禁法の二条七項の発動も含めて、今後十分注意をし、検討を加えて自主的あっせんをしていきたい、こういうことでありますから、そのお気持は了といたします。そしてそういう線に十分の御配慮といいますか、やり方を強めていただきたいと思います。  いろいろ私はまだ質問したいことがありますが、ほかの委員に譲りますけれども、池袋に起こった事態は、単なる一つの氷山の一角にすぎないのでありまして、これに類したことが全国に至るところ行なわれておる。これで日本の医薬品の業界が破滅に陥るというがごときことがありましては国民医療の建前、ことに国民保険を控えておる日本の現状としてはゆゆしい事態である。これについては、一に所管の省である厚生大臣を中心として、厚生省の方々が全責任を負われてしかるべきだと私は思います。そういうようなつもりで、今後とりあえず東京の問題を中心として、全国の問題の打開に強い線で動いてもらわなければならない。こういうふうに希望をいたしますが、最後に、局長が一番この問題について詳しいわけでありますから、局長の言明は厚生大臣の言明と私は受け取りますから、どういうふうなお気持であるかをもう一ぺん確かめて、私は一応質問はこれで終る、こういうふうに思います。ほかの委員の方に質問を譲ります。
  36. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほど来るる申し上げておりますように、特に今日の池袋における事態というのは、薬業界の問題としても、あるいは薬務行政の問題としても遺憾な状態でございますので、これが是正及び今後の医薬品の配給秩序の確立という問題につきましては十分の努力をいたして参りたいと思います。
  37. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) ただいま上原正吉君から委員外発言を求めておられますが、これを許可したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないと認め、発言を許します。
  39. 上原正吉

    委員外議員(上原正吉君) 私のお尋ねしたいのはあらまし高野委員が尋ねられまして了解はできたのでございますが、それに関連して、たって発言を求めたわけでございます。ただいま薬務局長のお話には薬が乱売される、場合によっては原価を割った値段に小売りされるというふうなことは歓迎すべき事態でないということをおっしゃられたように聞いたのでございます。私もこれは実に公衆衛生上ゆゆしい問題だと思うのでございます。そこで、近く薬事法が改正されようとしておることを承っておりますが、価格の問題、経済問題は業者間の話し合いで結論を見出してもらうのが望ましい、これもごもっともだと思う御意見ですけれども、それで容易に有効な結論に達しませんことは御承知の通りでございます。そこで薬事法の改正にあたっては薬品がむちゃくちゃな値段で乱売されるというふうなことを防ぎ得るような、薬事法自体で防ぎ得なくても、業界がこのことに関して相談がまとまりやすいようなふうに薬事法を改正して、その趣旨を薬事法に盛り込む、こういうお考えがあるかないかを伺っておきたいのでございます。
  40. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬事法の改正の問題につきましては御承知のように数年来の懸案になっておりましたが、昨年三月薬事審議会に対しまして厚生大臣から薬事制度について改善すべき点はどこどこであるかという意味の諮問をいたしました。薬事審議会としましては、これに基づきまして特別の部会を設けて昨年の夏以来すでに十数回にわたりまして会議を重ね検討を続けて参った次第でございます。特別部会としてはようやくおおむねの結論に達したわけでございますが、近く薬事審議会としてこれらに基づいていわば最終的に検討するという段階に参っておりまして、従いまして、形式的に申し上げれば、いまだ薬事審議会としての最終的な結論はまだ出ていないということになるわけでございますが厚生省といたしましてはこの答申を受け取りまして、今お話のありました点も含めて十分検討をいたしまして立案作業にかかりたい、かように考えております。従いまして、今ここで審議会の審議半ば、途中でございますので、はっきりしたお答えを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますけれども、ただまあ社会的ないろいろな現象を対象として規制をするにつきまして法律が要るわけでございますが、やはり、たとえば薬事法について薬事法としての性格がございますし、その性格に伴う一つの限界というものは、これは当然考えておかなければならないのでございますし、従いまして、薬事法ですべての現象を全部まかなっていくということが適当であるか、あるいは特殊な問題についてはほかの法律でまかなっていくことが適当であるか、これらの問題は法制上の立て方の問題とも関連をいたしますので、お話の点は十分今後一つ研究をさしていただきたいと思います。
  41. 上原正吉

    委員外議員(上原正吉君) お話はよくわかるのですが、薬事審議会に諮問なさるにつきましても、薬事法はこれでいいのかということで御諮問なさるのも一つの方法であり、今、世の中に、あるいは保健衛生上、業界にこういう問題があるが、この問題はこれでいいのかという諮問の仕方もあろうと思います。そこで、東京にまあめちゃくちゃな乱売というふうな現象が起こったのはつい最近のことでございまするので、これは従来、薬事審議会の議題に上らなかった、また、厚生省がこれを取り上げて御諮問なさらなかったというのも、うなずけるのでございます。こうなってきたらばそれも考える必要があるのではないか。あるいは審議会の委員の方々がお考え下すっておるのかもしれませんけれども、厚生省としても関心を持たれておる限り、これに対する御意見を求められるということも差しつかえないのではないか。ことに、薬事法ですべての経済問題を解決しようとはかることが適当であるかないかは重大な問題だと思うのでございまするけれども、私が申し上げておるのは、少なくとも薬に関する限りは薬事法が全般を扱っても差しつかえない性質のものではないかと思っておりまするから、経済問題として業界の話し合いにゆだねるということもけっこうですが、その話し合いができやすいように、そういう配慮で薬事法を改正する必要があるのではないかと考えますので、そういう御配慮があるのかないのかということと、最近の情勢をも考慮に入れられて薬事審議会に諮問なさる方がよいのではないかと考えるが、それに対するお考えはどうか、これを伺っておきたいと思うのでございます。
  42. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まあ、いわゆる配給秩序の問題は、東京で特にやかましくなりましたのは最近でございますけれども、全国的に見ますというと、いわばきのうきょうの問題でなしに、かなり前からの問題でございますし、これらの問題については委員の各位とも十分御承知の上でいろいろ審議を重ねていただいておるわけでございます。その辺のところは十分念頭に置いての審議でございますが、せっかくただいまお話のようなことでございますので、御発言の趣旨は、来たるべき最近の薬事審議会においてそういう御発言があったということをお伝えさしていただきたいと思います。それから、法律内容、立て方の問題につきましては、ただいま申し上げましたような経過でございますので、今後十分一つ研究をさしていただきたいと思います。
  43. 上原正吉

    委員外議員(上原正吉君) それから、お話にもございましたが、薬が非常な乱売される——まあ乱売という言葉がぴったりするようなめちゃくちゃな値段で売られるということは、薬の流れるルートが正常でないということが最大の原因だと思うのでございます。そして薬が乱売されても村尾さん——村尾委員の言うように、単に値段が安いだけならばさまで非難すべき性質のものではないのかもしれまん。けれども、不良な薬品が安値で売られて、それを買い集めて乱売されるという事態が起これば、これは公衆衛生上ゆゆしい問題だと思うのでございまして、これを防ぐには、絶えず薬の流れるルートが正常であるということが維持されるということが大事だと思うのであります。そしてまた、厚生省としましては所管の行政官庁として、薬が正常ルートを通って流れるということに絶えず努力されるべきだと思うのでございます。そして、これを考慮して多分——私は詳しく存じませんが——薬事法の中にも、厚生省はその薬の流れるルートを調査できるようになっておると思っておるのでございまするが、これを従来おやりになっていらっしゃるかどうか。それからまた、このルートの正常化に厚生省の所管事項として、単に業者の話し合いにまかせるというだけでなく、薬の流れるルートが正常であるということは薬の品質を保持する上において大事なことだと、こういう認識に立たれまして厚生省の、場合によっては職権によってまでルートの正常化をおはかりになる必要がある、私はこう思うのでございますが、それに対するお考えと、従来何らかの措置がございましたら、こういう動きがあったということを御説明賜わりたいと、こう思う次第でございます。
  44. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 間違いのない薬が正常なルートで円滑に配給をされるということが、これは何と申しましても薬に関する行政なり、あるいは事業として第一に考えなければならない一番大切な問題であるわけでございます。これが混乱をいたしますということは、やはり国民に対する薬の供給というものにいろいろな支障を来たすということも考えなければなりませんので、これらの点については、私ども行政当局としても十分留意はいたしておる点でございますが、ただ、いわゆる配給統制の時代と違いますので、まっ先に飛び込んでどうこうするという性質のものではなくして、やはりものの自然の経済界における流れというものを尊重しながら、それに即応して必要な助言、支援を行なっていくというようなやり方が建前としては必要なやり方じゃないかと思うのでございますが、その趣旨におきまして、今申し上げました薬の品質、あるいは正常なるあるいは円滑なる配給の確保というようなことに十分関心を払いながら、今後の事態に対処して参りたいと考えております。
  45. 上原正吉

    委員外議員(上原正吉君) お話はよくわかります。しかし、薬はほかの品物と違いまして、たとえば繊維製品や皮製品などと違いまして、単なる商業活動として取引が行なわれ、物資が流通するならば、それでもけっこうだと思いますが、厚生省国民大衆の保健を保全する、こういう責任を負っておいでだと思うのでございます。通商産業省が綿布やラシャや鉄鋼や、石炭をお考えになるのとは違った角度でなければならぬと思うのでございます。そこで、薬の品質を保持して国民の健康を維持するためには、薬が正当なルートで流れなければならない、こういうことになってくるのでございますから、単なる商取引の監督といいますか、あるいは行政指導といいますか、そういうことと違わなければならぬと思うのでございます。そこで、私は今まで以上に厚生省は薬の正常なルートによる流れというものを一そう努力して正常化に努められるという御決心を賜わりたい。これから一つ、薬がほかの商品とは違うのだから、正常なルートを通って流れるように厚生省としては行政指導に努力する、こういうお答えを伺いたいのですが、そういうことはお答えいただくわけにいきませんか。
  46. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬は直接国民の健康、身体に関係するものでございまして、これが配給の円滑、供給の円滑を欠くというようなことになりますというと、ゆゆしい事態の発生することはお話の通りでございますし、私、戦争中に薬に関する配給等の仕事に携わらしていただきましたが、その当時もやはりほかの物資と違った考え方でこれらの配給に政府としても当たってきたように記憶いたしておりますが、こういう趣旨に基づきまして、今申し上げましたように、薬が円滑に適正に供給をされるということにつきましては、従来今後とも重大な関心を寄せまして、その正常ならざる事態に対しましてはそういうような気持で対処して参りたいと考えております。
  47. 山本杉

    ○山本杉君 私の伺いたいことは、皆様からも話が出ましたから今さら伺う必要もないのでございますけれども、最後に一つだけ今の上原先生の御質問に関連して、先ほど来局長さんのお話の中に、薬事監視ということをおっしゃった、それから事実上の指導をしていきたいということをおっしゃったのでございますけれども、昨日も私現場へ行って見ておりますときに、さっきお話が出ましたように、一般の買いに来ておる大衆というものは安ければ安いほどいいとか、あるいは電車賃を使っても来た方がいいのだというような考え方でそこへやって来て行列を作っているわけでございますが、これは魚屋や何かの乱売と違いまして買う方の側が無知である、鑑定力がないということが私は一番大きな問題じゃないか。そこに薬というものの特殊性がある。そして売られておる薬品の中にはかぜ薬みたいなものもございますから、期限が切れていると大へんなことが起こりはしないかという心配が起こってくる。こういうことに対して厚生省としてはどういうふうな打つ手をお考えでございますか。そのような具体性をちょっとお漏らし願えたらと思うのでございますが。
  48. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今お話がありましたように、薬はほかの商品と違いまして、これのよしあし、あるいは品質の適、不適ということについてやはり国民自身というよりも役所自体で十分関心を持って間違いのないようにしていかなければならないという趣旨に基づきまして厚生省としても都道府県としてもいわゆる薬事監視というものを行なっておるわけでございます。実際問題として今まで、先ほど申し上げましたように、あるいは一斉取り締りをし、あるいは随時に抜き取りをやりまして、これらのものについて試験機関によって試験をして、適不適の結果が出ました暁においてはそれに応じた行政上の処分を行なうというようなことをやって参っておるのでございます。  一面また薬というのは、これはものによっては違うと思います。けれども、やはり薬になるのは同時に逆にいえば、使い方を誤れば毒になるということもございますし、従っていわゆる買いだめをしていつかの時期にどっと使うというようなことになりましては、これは間違いのもとになるということも十分考えなくちゃなりませんので、やはりこれは普通の繊維製品の安売りであるとか、そういうような気持で取引さるべき性質のものでないことはもう今お話の通りでございますし、その点については私どもも同感でございますし、薬の品品質確保につきましては、先ほど来申し上げておりますように、十分今後薬事監視を厳にいたしまして、特に製造番号が切り取ってあるものとか、あるいは常識では考えられないような値引きをしておるものにつきましては、その品質について十分一つ厳重な監視をして参りたいと考えております
  49. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 非常にこの問題は重大な問題でございまして、私は多大な関心を持っておったわけでございます。先ほど来の論議の経過から考え合わせましてすでに厚生省としても厚生省の立場からの最大限度の御答弁をいただいたように私存じております。従って、次に申し上げますることはいささか蛇足になるわけでございまするが、問題の重要性を勘案いたしますならば、一そうの蛇足を加えまして今後の薬事行政の誤りなきを期したい、こういう意味合いで重ねて私お尋ね申し上げるわけでございます。  申すまでもなく、今回の事件につきましては、おそらく自由主義経済のウィーク・ポイントがここに露呈されたというように考えられるわけなのでございます。正しい自由競争というものは、申すまでもなく勤勉であり、努力及び自己の才能によっての優勝劣敗ということになるわけでございますが、今度のようないわゆる不当なる競争、しかもその結果経済の秩序を乱し、あるいはしばしばただいまの御答弁の中にもありましたような配給秩序を乱すというようなことになって参りますと、これは非常に重大な問題であり、特に医薬品という特質から考えまして、われわれの立場から見ましても、非常に寒心にたえないことになるわけでございます。従いまして、今回のこの事件はあたかも全学連が先般行ないましたような暴挙にもひとしいような感じを国民は率直に受けるわけであります。ところが、反面国民の消費者の立場からいいますと、少しでも安い方がいいのだ、これは消費者の立場からは当然そうあるべきである。しかも安いということと、品質がどうであるかということを結びつけた考え方をしないわけです。薬学の知識がないものですから、ただ安ければいいという今山本先生のおっしゃったようなどうしても条件下に追い込まれていくということになりますと、厚生当局のこれに対する啓蒙ということは、私は非常に重大な問題だろうと思うわけでございます。そこで薬事法の改正をするに際しましても、こういう点にも十二分の留意をなさって、そして具体的に実効が上がるような考え方をしなければ、私は法律改正に意味がないと思うわけでございます。その点をまず第一に、その所見をお聞きいたしたいと思うわけでございます。  なお、乱売には、私考えますのに二様あると思うのであります。いわゆる消費者が無知であるということにつけ込んでほんとうの暴利をむさぼるという乱売と、今回のような意地とか感情とかという話し合いのつかないことによる乱売と二通りあると思います。いずれにしましても、国民に正しい意味では迷惑をかけることでございます。こういうことに対しまして、ただいままでの御答弁によりますと、厚生省の立場では、薬事の監視をするということと、それから広告の規制という面だけでございまして、今一番問題になっている価格ということにつきましては、一歩も出られないような機構上あるいは法律上の立場にあるように考えられて、非常に隔靴掻痒の感がするわけでございます。ただ単に業者間の協定に期待するのだ、あるいは関係団体の話し合いだけだと、おっしゃるのはわかりまするが、それができなくてこういう事態が発生しているのは、ただいま東京だけという言葉がございましたが、私の聞き及んでいるところでは、全国相当各地にこういう問題があるようでございます。従いまして、これは東京都庁に一任すべきものでなくして、当然やはり厚生省としても積極的に乗り出していかなければならないという感じを持つのでございます。どうかそういう意味合いから申しましても、薬事法の改正につきましては、ただいまの論議の中にも中小企業関係は経済関係の法規があってその精神を取り入れて行政指導もしたいというような御発言もあったようでございますが、その考え方をも同時に薬事法の中にも織り込み得るような考え方を持ってやらなければ、またこういうようなことが再三起こるのではないかという懸念がいたしますので、そうした点につきましても薬事法改正についての心がまえを一応最後に私としてもお聞きいたしたい、かように思うわけでございます。
  50. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 薬に関しまする正しい知識を国民に普及し啓蒙するということの必要なことは全くお話の通りでございまして、毎年厚生省としましても薬剤師協会等と協力いたしまして薬に対する正しい知識の普及ということを、特に週間を設け、月間を設けて実施をしているのでございます。これらの点につきましては、ただいまお話の趣旨にもかんがみましてさらに一そう心がけて参りたいと思います。  それから価格の点につきましては、これは御推測の通りでございますが、ただ先ほど申し上げましたように、ほかの物資と違いますので、あまりにめちゃくちゃというような格好になりますということは、やはり国民の保健上放置することはできない問題だと、かように考えておりますが、差し向き経済上の問題につきましては、やはり業界お互いに協力し合って解決をしていくというのが第一に考えなければならない点であると存じますので、私どもせっかくそういう努力を多とし、またこれに支援をして参りたいと考えておりますけれども、最悪の事態に至りました場合においては、これは、国としても黙視することはできないと、かように考えております。なお、法律の問題につきましては、御意見のありました点、今後十分一つ研究をさしていただきたいと思います。
  51. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私も一言ただいままでの高野委員とその他の方並びに厚生省からのお話によって、まあ大体のことはわかりましたが、とにかく私どもの医療方面といたしまして、最も不安にたえぬのは、今日のような場合に乱売をする、しかも乱売されるというのであるからして、かなり品質などの悪いものが出ておりはせんか。むしろ先刻来薬務局長がおっしゃるように、監視員というのがおって、かなり監視をしていただいておるし、また抜き取り検査などによって検査されておるとは思いますけれども、そのことが製造番号までも削っているというような状況でありますやつが、しかも非常に安い値段で一般に市販されているというような場合におきましては、そういうものを用いたために、かなり全国民が非常な災害にあうようなことになるだろうと思いますので、どうしても先刻来お話のように、普通のものと違いまして、医薬品だけはどうしても品質の間違ったようなもの、あるいは劣るようなものが出ぬように、十分な抜き取り検査なり監視をしていただいて、一日も早くわれわれは安心して薬が使えるようにしていただきたいと思いますし、先刻山本先生がおっしゃられるように、とにかく、いろいろのこういう状況が続いた場合における不安をみんなは考えているのでございますから、ぜひともこの際は一つ急いで、長くならぬうちに、そういうような事件がおさまりますように、薬務局でも特別の一つお考えを持って、早く解決ができまするように、ぜひお願いしたいと思いますことだけを、もう皆さんのお話があったあとですから、別に詳しく申し上げる必要はないと思いますから、どうぞそれだけを私一つお願いいたします。
  52. 藤原道子

    ○藤原道子君 私、今度の乱売の問題は少しめちゃくちゃだと思うのです。それは何とか手を打たなければならないように思います。けれども、ちょっと、この際、私はしろうとですからしろうとなりの質問をしたいと思います。ずいぶんいいお薬の宣伝がじゃんじゃん広告されるのです。ところが、今のお薬は高過ぎると思うんですよ。庶民は買いたくても買えないというような心理が乱売をやらせておると思うのです。それで、今の薬の価格が妥当かどうかというようなことは、これはいろいろいい薬を作るには費用もかかることでしょうが、ずいぶん広告その他に多額の費用がかかるから、よけい高くなるのではないか。それから一面においては、少し製造過剰になっているというような点から横へ流れていくという面も相当研究されなければならぬのではないか、こういうゆうに考えるのです。いつか米国の議会でも何か薬のことがだいぶ問題になっていたようでございますけれども、そういうなのは一体どういうふうに考えていらっしゃるか、局長。  それからいま一つは、監視員の問題ですが、今十分監視員は法に示されただけのものが置かれているのかどうか。食品衛生監視員ですか、あれなんかもだいぶ削られているように聞いているので、大事な労働の問題でも基準監督官でもだんだん削られてきているというようなことで、監視員の不足というようなことは今あるかないかというような点もあわせて伺いたい。要するに、よい薬が正しく使われるということをわれわれは念願していると同時に、医療の面においても保険の差額診療ですか、非常に庶民は十分な医療が受けられない、いい薬はできたけれども、庶民はそれが口に入らないというような点等もあわせて局長がどう考えていらっしゃるか、その点を伺いたい。
  53. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほど谷口先生からお話のありました点につきましては、十分そういうような御趣旨に沿いまして努力をいたして参りたいと思います。  それからただいま藤原先生からお話のありました薬の生産価格に関連をしたことでございますが、生産の技術が発達をいたしますと同時に、この生産の管理の面でも保健衛生上格別の留意を払う仕組みに厚生省としても指導いたしておりますし、また生産者側としても気をつけて参っておりますので、その辺の経費の問題については従前に比べますというとかなりふえている面もあるというふうに考えられるのでございます。ただ今お話がありましたように、薬の価格について広告等との関連において不当に高くなっておるんじゃないかと、そういうような疑いが世間に現実にあることもこれも私ども否定はいたしませんが、ただ一つは、役所として昔のように価格統制というような意味でのいわゆる行政権の介入をする仕組みになっておりませんので、高い安いということを私が一がいにここで申し上げることを差し控えさせていただきたいと思いますけれども御承知のように、また先ほど来お話がありましたように、薬のいわゆる生産業界におきましては非常に競争が激しい状態にございます。これは想像以上にいわばしのぎを削っておるといっても差しつかえないような状態であることもまた現実でございますので、従いましてこの価格の問題につきましてもやはりそういう競争に現われますというと、必ずしもいわゆる常識上高い価格というものがほかの競争にかかわらず維持できるかというと、必ずしもそういうようななまやさしい事態ではないということもお考えいただきたいと思います。従いまして私から高い安いという結論を申し上げることはできませんけれども、そういうような客観情勢にあるということをお含みいただきまして御判断をいただきたいと思います。  それから薬事監視の問題でございますが、これは県に大体置かれております。現在専任兼任合わせまして全体で約二千名の職員がこの薬事監視に当たっております。もちろんこれはメーカーの力も、それから卸、あるいは小売り等、いわゆる販売の面もすべてを含めてこの職員が当たっておるわけでございますので、いわば少ない員数で非常に多くの対象に当たり、しかも一口に薬と申しましても御承知のように非常に種類の多いものでございますし、これらのものをこれだけの人数で的確に監視をしていくということは非常に骨が折れる仕事でございまして、これで完璧かというお尋ねであれば、完璧であるというふうにはっきり答える状態にないことは、これは言うまでもないのでございますが、私どもとしましては、できるだけ、これだけの人数で、機動力を増し、あるいは薬の検査等についての、機械による迅速的確化というものをはかりましていわば能率を上げて、不十分なところを補って参りたい、かような考え方で、従来とも指導をし、努力をいたしておる状況でございます。
  54. 藤原道子

    ○藤原道子君 私、きょうはあまり勉強してきておりませんのでこの程度にしたいと思いますが、とにかくお考え願いたいのは、国民保険になると、お医者さんの単価ということもありますけれども、この薬価というものが非常に大きな問題になってくると思います。ですから、この点は十分にお考えを願いたい。  それから、一つだけ、今度の池袋の問題ですけれども、このまま放置すると、人種的な問題さえ争いの中にちょっと出ておるようでございますから、そういうことがもっと公になると、これはまた別な方面に非常に影響があると思いますので、この点も考慮に入れて、一つ御考慮願いたい。  きょうは、局長は非常に慎重な御答弁でございまして苦心の存するところもわかりますから、私、この程度で質問を終わりたいと思います。
  55. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私、発言もあまりしなかったのですけれども、なお、乱売を歓迎しているような感を与えておりますので、一つ私から希望だけ申し上げておきたいのです。というのは、東京では池袋で乱売が行なわれている。東京なものですから、非常に東京では問題として取り上げられて、今日大きくこうして議論されているのですが、先ほどからいろいろお話があったように、すでに久しいものなんです。関西は大体三年経過しております。最初の間は、乱売が行なわれたときは、たとえば、普通メーカーで三割から四割、特に一流メーカーで一、二点の製品が二割引かれているのです。やはり最初は、あれはいかものでないか、今ここで御論議にあったように、やれ、番号がないとか、やれ、どこがはがれているとか、ああいう店に寄るものは無知もうまいな、非常に知識の乏しい大衆だとか、何のかんのという、非常に疑いも持ったし、またそういうことが非常に吐かれたのですが、ところが今日では、四割、三割の値引き、それから一メーカー、二メーカーの二割の値引きということが、もうこれが市民生活に直結しているのです。もう当然になっているのです。それが単に池袋だけでなくて、どこの薬屋においても大体こういう傾向なんです。また、こういう傾向にいかなければ販売できない、薬局が立っていかないことになるものですから、薬局、業者が皆それに応じてやっているわけですね。中には、値引きで、格段の差があるところもありますが、今日ではもうすでに薬価値引きというものが大体これは常識になっているのです。たまたま東京で問題が起こって、いま少しこのまま継続されるかどうかということになりますと、化粧品というやつが付随しているわけですね。化粧品は三割、四割引いてもマージンに合うのでしょうが、化粧品を売るために、すなわち薬を売るという傾向もあるのです。だから、薬でもうからなくても、化粧品でもうかったらいいというような傾向があるものですから、今日の薬の広告、非常なまた非常識なこの販売の混乱状態というものは、これはできるだけ一つ努力願って解消明していただかなきゃならぬと思いますが、しかしすでに、東京とは違い、全国的とは言いませんが、もう大部分の都市で市民生活に直結しているような状態になっているのですから、これは一応のことでは平常に戻らないと思うので、相当これは当局並びに関係者の努力が私は要ると思うのです。たとえば、いろいろ朝鮮人の店と日本人の店だというようなことが今お話にあったように、私ちょっと見に行って、ビラを見ると、こちらは日本人の経営と書いたビラが盛んにまかれている。これほど私は相手側を非常に刺激した荒唐無稽なむちゃな広告をすることよりも——この広告は非常に私はよくなかったと思うのです。日本人が経営と大きく書かれたこの広告というものを僕らが見てもやはり人種的な問題を感ずるのです。そういうことのないようにできるだけお骨折り願って、薬のことですから。ただし、今の化粧品との関係があること、化粧品で現在行なわれているのはカネボウ、資生堂、ここらが二割引きなんです。ほかの製品は全部三割、四割引き。一方の、百貨店で買ったら百円で買わなければならぬものが、他の店、並びの店へ行けばこれは六十円、七十円で買えるのです。市民生活に直結しているのですから、みないいところの薬が売られているわけです。大衆は薬の知識がないから危険だ——大衆は薬というものに対して、お使いものだとか贈りものに使うのじゃないのですから、必ず家族が使用する薬を買うのですから、薬に対してのなには買うものが一番明確なんです。この薬がきくかきかないか、いいか悪いか、またどういう状態だということを一番調べているんだから、決して販売されているものが三年間荒唐無稽な粗悪品のみが販売されているものでないということなんです。こういう点等を十分御考慮願って、もう市民生活と直結しているところが多数だからして、十分に考慮の上で今日の業者間の乱売というものをできるだけ正常な姿に戻していただくように御努力願いたいと、こう思うのです。
  56. 山本杉

    ○山本杉君 これはよけいなことかもしれないのですが、ただいまの御発言、それから藤原さんの御発言の中に出てきた、薬を安くするということ、生産過剰や何かの関係で自然にそういうことが起こっているというようなことと、今日の池袋のこの問題とを混同して、そうしてここで論じていただきますと大へんむずかしくなると思いますので、そういう点も一つ。
  57. 上原正吉

    委員外議員(上原正吉君) 最後にたった一問だけ伺っておきたいのでございますが、今日池袋に起こっておりまする問題は、これは正常ではないと思うのです。取引方法、宣伝方法、価格等、これは異常であると思うのです。そうして業界の混乱であると思います。ですから、三者協議会をお作りになっていろいろ話し合いをする、あっせんをされ、協議をされる、こういう行政手段もけっこうでございますけれども、一歩進んで、監督官庁、主務官庁が仲裁をすべき事態ではないか、私はこう考えておるのでございます。そうしてそういう例は過去たくさんございます。現在の法律の建前上むずかしいかもしれませんけれども、しかし、アメリカにおきまするいわゆる経済闘争あるいは労働争議というふうなものに大統領が仲裁に立つということも行なわれておりまするし、わが国の例にも古い例にはたくさんあるようでございます。たとえば、瀬戸内海の汽船会社がただで乗せて弁当まで出したというふうなことに関しまして、時の農商務大臣が仲裁の労をとられたというような記録も読んだような気がします。そこで、今日私は、これも行政指導だと思うのですが、厚生省が仲裁すべき事態だと、こう考えますので、ぜひ一つそういうことが実現しますように御努力を強く御要望申し上げまして私の質疑を終りたいと思います。
  58. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記をやめて。    〔速記中止
  59. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 速記を始めて下さい。  本日の質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  本日はこれで散会いたします。    午後零時五十九分散会    —————・—————