運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-05-17 第34回国会 参議院 建設委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十七日(火曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————   委員の異動 五月十二日委員小山邦太郎辞任につ き、その補欠として宮澤喜一君を議長 において指名した。 五月十三日委員宮澤喜一辞任につ き、その補欠として小山邦太郎議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            太田 正孝君            小山邦太郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            武内 五郎君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   衆議院議員    国土総合開発特    別委員長    寺島隆太郎君   政府委員    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設大臣官房参    事官      高田 賢造君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○臨海地域開発促進法案衆議院提  出) ○公共工事前払金保証事業に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  提出)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  臨海地域開発促進法案を議題といたします、本案は第三十一回国会以来衆議院において継続審査を重ねていたものでありますか、去る五月十三日衆議院から提出されましたので、この際本案趣旨説明を聴取することといたしたいと思います。寺島衆議院国土総合開発特別委員長
  3. 寺島隆太郎

    衆議院議員寺島隆太郎君) 臨海地域開発促進法案について御説明申し上げます。  およそ狭隘な川上に過大な人言を抱え資源の大半を国外に依存しなければならないわが国におきまして、経済自立再建をはかり、民生の福祉を増進するためには、国土を最大限に開発し、効率的にこれを活用することが当面する最も緊要な課題であります。  近年来、わが国経済のおびただしい伸長発展人口増加の趨勢に伴いまして、工業用地公共用地確保その他一般市街地建設等のため、土地に対する需要が急激に増大し、必然に適地の減少、地価の高騰、土地取得難等を招来いたしまして藤業助長振興民生安定向上に重大な隘路となっているのであります。このような実情に即応いたして、臨海地域における公有水面埋め立て等により、新たに国土造成し、新しい国作りを行なわんとする輿望がとみに高まって参りました。現に東京湾、伊勢湾、北部九州等における大規模な十地造成の構想が世上しばしば論議せられているところでありますが、これら二、三の事例に徴しましても、この際、臨海地域を対象とする総合的かつ基本的な開発計画を策定し、これが実施の推進をはかることは、国の積極的施策に持つところきわめて大なるものがあり、これがためにはこれらの臨海地域開発基本となるべき事項に関し、あらためて立法の措置を講ずる必要があると考えられるのであります。  本法案は、叙上の趣旨をもって、ここに制定せんとするものでありまして、その主眼とするところは、国土開発しの重点施策として、かつまた、産業及び人口適正配置等の見地より、工業、農業その他の用に供する土地造成利用及び道路、港湾その他交通施設用排水施設民生施設等整備拡充に関する基本計画を確立し、これが積極的実施促進をはかり、もって産業基盤育成強化と、民生安定向上に寄与せんとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  先ず第一に、政府は、臨海開発区域指定及び産本計画の策定の円滑な実施をはかるため、必要な基礎調査を行なわなければならないものとし、その結果については、これを尊重しなければならないこととしております。  第二に、本法案適用区域となる臨海開発区域指定についてでありますが、これは内閣総理大臣臨海地域開発審議会審議を経て行ならこととなっておりますが、審議会審議にあたっては、あらかじめ関係都道府県知事意見を聞き、これを尊重するとともに、最終的には閣議決定を経なければならないものとしております。  第三に、内閣総理大臣は、臨海開発区域指定があった場合には、関係大臣と協議して、臨海開発基本計画を立案し、臨海地域開発審議会審議を経て、閣議決定を求めることとし、その審議会審議にあたっては、区域指定の場合と同様、関係都道府県知事意見を聞き、これを尊重することとしております。この基本計画には、土地造成利用及び関連施設整備に関する総合的な計画基本事項について定めるものとしております。なお、これらの関連施設密接不可分関係にある区域外の諸施設についても、必要に応じ、基本計画にこれを含めることができることといたしております。  第四に、基本計画の円滑な実施をはかるため、本法現行関係法規との所要調整について規定するとともに、都道府県知事が行なら公有水面埋立免許について、これを所管大臣の認可にかからしめる等の規定を設けた次第であります。また、国土総合開発計画首都圏整備計画その他法律規定に基づく特定地域計画臨海開発基本計画との調整については、内閣総理大臣関係審議会等意見を聞いて行なうものとしております。  第五に、損失補償等についてでありますが、事業実施により損失を受ける者がある場合においては、当該事業を行なう者は、その者に対し、公正な補償をするものとし、その他その補償と相待って行ならことを必要とする生活再建等措置を講ずべきこととしております。  第六に、本法実施にあたって、関係行政機関の長等の協力義務規定するとともに、政府基本計画実施に要する資金の確保をはかり、かつ、国の財政の許す範囲内において実施促進することに努めなければならないものとしております。  第七に、総理府に、臨海地域開発審議会を設置し、その所掌事務組織その他所要事項について規定しております。特に、その組織については臨海地域開発審議会重要性にかんがみ、関係大臣国会議員都道府県知事学識経験者等をもってその委員とすることとしております。  なお、付則におきまして内閣総理大臣都道府県知事意見を聞く場合の経過措置に関する規定を設け、その他総理府設置法経済企画庁設置法及び北海道關発法につき所要改正を行なうこととしております。  以上御説明申し上げます。  なお本法案は、日本社会党及び民主社会党共同提案修正案が提出され、全会一致をもって修正議決されたものでありますことを申し添えます。
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 本案についての事後の審査は次州以降に譲ることといたします。   —————————————
  5. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次にそれでは前回に続き、公共工事前払金保証事君に関する法律の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。  政府委員として、建設省のほか大蔵省から小熊主計局法規課長が出席しております。それでは御質疑の方は順次御発言を願います。
  6. 田中一

    田中一君 大蔵省は、建設工事等入札の際、かつては入札保証金制度というものを採用しておった。従って、その入札保証制度というものは、むろん公入札という原則からそういう形をとっておったものだと考えておりますけれども、会計法第二十九条の規定によってそれが桁名入札になり、かつまた随意契約となっているような例外が認められておりますが、それで歴史的に見て今までどういう経緯を経て、またどういう経済的な社会的な時代を経て、今日のように指名競争入札という制度に変わってきたか、この点説明していただきたいと思うのです。もしも、それらのものが何も会計法によるところの大蔵大臣所管じゃないのだ、勝手に芥発注部局がそういうことを行なっているのだというなら、それも答弁の一つですからそう言ってくれればいいのです。
  7. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) 競争契約につきまして入札というのが原則になっております。その意味におきまして、入札保証金を取るということは、この趣旨といたしましては、競争して落札して契約を結ぶべきであるにかかわらず結ばないということでは、これは競争した意がなくなるわけでございます。そういう意味入札保証金制度というものがあるわけでございますが、これはまあ指名競争のようなときにおきましては、相手が資力信用が確かであるということでこれを免除することも考えられる、こういうことで、会計法規上はそれを免除することも可能にたっております。現実の問題としては入札保証金というものを取らないと、実際問題としてはそういうことになる。果してそれでいいかどうかという問題につきましては、われわれとしても十分考えなければならぬ問題でございまして、その点は契約制度全般の問題として考えていこうと、こういうふうに思っております。
  8. 田中一

    田中一君 戦前にもそういう形のものがございますね、公入札のほかに。まあ物品の払い下げ等については公入札という制度を使ったこともあるでしょうけれども、これは新聞広告等でやっておりますね。しかし建設関係請負は終戦前から指名競争入札という制度でやっておったわけですね。いつごろからそう変わったのですか。
  9. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) 指名競争制度そのもの相当古くからございまして、明治当時から指名競争という制度がございました。非常に歴史の古いものでございます。指名競争でございますから、相手方を選定するのは発注者側責任で選定できるわけでありますが、そういたしますと、資格、資力信用ある者を選ぶわけでございますから、従いましてその際に入札保証金というものを免除するということも、会計制度上は可能になったわけです。ただこれは建設工事でございますから、その途中で資力がなくなるかもしれませんし、いざ契約を結ぶという段階におきましていろいろな問題も出てこないとは限らぬわけでございます。入札保証金というものは免除するのがいいのかどうかというような問題につきましては、契約制度あるいは指名競争契約制度そのもの全般につきまして検討する際に、あわせて結論を出すということが適当であろうと、このように考えております。
  10. 田中一

    田中一君 では、工事完成保証人制度というものはいつごろ生まれてきたものですか。
  11. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) 工事完成保証人をつけるということは、これも相当古い時代からあるように承知いたしております。面接これは会計法規とは関係ございませんですが、そういう慣行発注者がつけておるという事実でございます。
  12. 田中一

    田中一君 小熊君の方はどうですか、僕は法規課長に聞いておるのですよ。
  13. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) 工事完成保証人制度でございますが、私もこれは会計法規プロパーの問題でございませんので実はよく存じませんが、話に伺っておるところでは、ただいま官房長が申し上げましたように相当古い昔からある制度であると、このように承知しております。
  14. 田中一

    田中一君 これは古い制度ではないのですよ。それでは工事完成保証人というものが、明治憲法下において発生したときから今日までの歴史的なあり方を証明する番数資料をお出しを願いたい、古い歴史ならおそらく新憲法前のものだと思うから。そうして工事完成保証人とは何か。工事完成保証人であるという判を押した場合の責任というものが、どういう契約によって結ばれておるかという資料をお出しを願いたい。これは現在あるのですから、これを早速取り寄せて示してもらいたい。どういう工事完成保証人になったらどういう業者は責任を負うのかということは、おそらく慣行なんということじゃなくて、実際役所が、国家公務員慣行でものをやるなんていうことはないですよ。ことに権利義務というものが明らかになっておるものは、やはり根拠になる法律がなければ行なわれるものではないのです。民法から来る慣行でやっておるのだということであってはならないのですよ。少なくとも、もしそうならば、今も法制局に調べてもらったのですが、民法第九十条の相手方に極度に不利益を負わせる内容契約は、公序の良俗に反するものとして無効であるというような規定もあるわけです。従って一方的な契約というものでなく、少なくとも双務的な契約というものが正しいのですよ。従ってその根拠法というものを明らかにしてほしい。歴史的な説明じゃなくて資料出して下さい。説明聞いても君ら調子のいいうそをつくからわからぬ。いつまで出してくれますか。
  15. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) 工事完成保証人請負契約において付しておる例は、御承知のようにたくさんございますが、その具体的な事例といたしまして契約書をあとで提出さしていただきます。
  16. 田中一

    田中一君 契約書をお出し願うのが一つ。もう、すぐこれはできますねそれから、いつからこうなったかという歴史説明する資料をお出し願いたいと思います。いつまで出してもらえますか。三日かかっても四口かかってもいいです。
  17. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) すぐ調査いたしまして、間に合えばすぐ出します。
  18. 田中一

    田中一君 法規課長に伺いますがね。これはあなたはこの大蔵省の方の全部法律の問題を扱っていらっしゃるのだからよくおわかりだと思うのだけれども、一つ先進国という言葉を使ってはどうかと思うけれども、ソビエトそれからアメリカ、イギリスデンマークあたり、イタリー、この辺の契約に関する法律というものがあるかないか。あるならそれを出してもらいたいと思うのです。今度は後進国、主として日本との賠償契約を結んでおる、賠償義務がある国々。それから賠償を放棄した国々でもかまいませんが、日本との契約行為があったわけですから、この相手方の国です。基本的な契約法的な法律があれば、これは一つまとめて資料として出していただきたいと思うのです。これはむろん小熊君ら一生懸命もう一年半くらいになるからおそらく御勉強なすったものと思うから、それらのものは十分資料として手に打っているというふうに僕は想像するものだからお願いするわけです。ありますか。
  19. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) お答えいたしまする契約制度に関しますところの各国法規でございますが、国によってあるところもございます。イギリスのようなところは一つの取り扱い的なまあ慣行と申しますか、そういうようなものでやっておるように伺っております。もちろん法律があるところもございますが、中にはわれわれとして今度の契約制度全般改正等もございまして、翻訳等をいたしたものもございます。しかしながら、非常に各国のでございまして、非常に何と申しますか、ほかの分野と違いまして、大体国内においてのみ大体その需要があるというようなことで、一般の権威ある翻訳書とかそういうものは比較的少ないのでございます。従いまして、われわれもできるだけは外国原本そのもので一応集めておるわけでございますが、翻訳その他が間に合いませんで、できたものが若干ある程度でございましてほかの点はいろいろな原本がありますけれども、翻訳ができていないものもございます。そういうような関係がございますし、また他方予算関係法案とかいろいろな関係がございまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、十分その勉強のできていない、あるいはそれをサマライズしてお手元に差し上げるだけの準備は現在のところできておりません。予算関係法案その他とも一応何いたしておりますが、これから外国の例を相当調べたいと思いますが、何しろ国によりまして、私は直接読んだわけではございませんし、あるいは若干手を触れたものもございますが、各国によりまして契約法規というものは非常に違うということだけは申し上げられると思います。おのおのその国の伝統がございまして、何と申しますか、もうわが国で言えば、こういう点がどうして規定していないんだろうと思うような、そういうようなことは当然であるというように非常に割り切っているところもございますし、そういうようなところは各国伝統で非常に違いまして、それが国際的なレベルまで各国内調達というものがじようなレベルになっていな、国内できめて、国内でやっておればそれで十分だというような関係もあるのじゃないかと息いますが、各国の例は非常にまちまちになっているというようなことが実情ではないかと思います。ただ、競争方式をとるとか、そういう非常に根本的な原則、そういうようなものは、大体各国共通であると思いますが、その他のこまかい点になりますと、いろいろな思いつきというと語弊があるんですが、いろいろなアイデアによりましてやっているというのが実情のように思っております。できるだけは調査いたしました結果によりまして御報告いたしたい、このように思っております。
  20. 田中一

    田中一君 そこで大蔵省は、これは個人的にも課長には再三再四そうした基本法を作ったらどうかということを日い、また今までの約束は、この国会に提案するというような、間に合わすような言質があったわけです。間に合わぬということは財政制度研究会ですか……
  21. 小熊孝次

  22. 田中一

    田中一君 審議会にどういうものを付議しているか、それをちょっと議案を見せて下さい。どういう議案を付議しているか。
  23. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) ただいまおしかりを受けたわけでございますが、実は今度の通常国会に提案するように、そういう計画を立ったわけでございますが、御承知のように、災害関係がございまして、その方に手をとられて、その後予算関係法案審議というものに手をとられまして、非常におくれまして申しわけないと思っているわけでございます。いろいろ考えまして、どう取り運んだらいいかということを苦慮したわけでございますが、やはりこれは単に、国内、国の内部の手続ということじゃなしに、やはり国民経済全般に影響のある問題でもございますので、慎重な上にも値五に取り扱わなければならない。財政制度審議会というものがございますので、そこに慎重に検討してもらうということで、一応今かけているわけでございます。第一回の会合を三月の二十五日ですか、三月下旬に開きまして、その際契約制度全般につきましての、こまかい点は別でございますけれども、大きな問題について、一応個々の問題というよりは、包括的な問題について議論していただくということで議論していただいたわけでございますが、その際にディスカッションをする場合の一つのデータといたしまして、われわれが審議会に提出いたしました内容を申し上げますと、まず、競争契約の問題でございますが、一般競争契約というものが現在原則的な方式であるにかかわらす、それが実際の問題としては、ほんのわずかしか実行されないで、指名競争随契というものがものすごく多い、これについては、われわれが知る限りにおきましては、公告の問題、それからあるいは不信用、不誠実の者の参加というものをどうやってチェックするかというような問題が、現在の会計法令によって整備充実されておらないというようなところに問題があるのじゃないか、あるいはその他こまかい点もありますが、そういうような原因で現在一般競争契約が実行されておらない。これを今のまま放置させてはいかぬ、それについてはどういうふうにしたらいいかというようなのが第一の問題でございます。公告方法につきましては、これは今確立した方式はございません。新聞といっても相当金がかかる、また急の場に間に合うかどうかというような問題もございます。業界の方々といたしましては、どの新聞を見れば何が書いてあるかということをやはりはっきりつかんでおく必要がある、やはりそれをはっきりきめておく必要があるのじゃないか。新聞というようなものに限りませず、一定の広報の方法というものを考えまして、それを見さえすれば、国でどういう需要があるか——いつどこで、何といいますか、注文の内容とか入札する場所とかいうような特定方法手段によって確実に常時把握できると、こういうような形にしておくということが、フェアな競争が行なわれるという意味において必要じゃないか。その辺のところが現在はないものですから、従いまして指名競争とか随契というものが行なわれる、そういう手段というものをはっきりきめまして、そうしてそれによってやるということが必要ではないかというような点競争契約が行なわれない理由の一つといたしましてそういう問題も提起しておるわけでございます。  それからこれは一つの理論的な問題でございますが、競争を行なうための公告法的効果の問題でございますが、現在は、これも相当古い明治時代からの大審院判決等からいたしまして、国が出しましたところの公告というものは、これは国の側の申し込みである、期限をきめた申し込みである、従いまして入札によって契約が成立してしまう、こういうような考え方がとられておるわけでございます。果してこのままでいいかどうか、この間から問題になっておりました、国に非常に不利益な結果となるような入札を排除するといったような場合に、現在の方式では適当でない、そこにむしろ公告というものが申し込み誘因であって、相手方入札申し込みである、従って国の方でそれをオーケーするかどうかという留保権を持ち得るというようなことを一般的な考え方として、単に今まで問題になっておりましたような場合だけでなしに、そういうようなのを一般原則にすることがいいかどうか。これは非常に従来から何十年と続いておりました大審院判決あるいは各学者の逆説というものを根底からくつがえすと、こういうようなことにもなりますので、法制局等には相当異論もあるのじゃないかと思いますが、そういうような問題についてどうするかというような点、こういうような点についての問題を提起しております。  それから落札方式でございますが、これはこの冊の継続審議になりました法案関係でございますが、これをどういうふうに扱うかという問題、それからこれにつきましては、ただいま申し上げました公告というものを申し込みと見るか、あるいは申し込み誘因と見るかということと関連して参るわけでございますが、これをどうするかという問題。  それからもう一つ、これは実務の問題でございますが、研修制度、これは実はわれわれとしても遺憾であるわけでございますが、研修が非常に適当でない、従ってきまった方式なり何なり、あるいは責任体制というものを明らかにしまして、研修というものを厳重にやるべきじゃないか。検査院の方からも、こういう体制というものを早く確実にできるように整備すべきであるという勧告が出ておりまして、各省としても実行上はもちろんやっておるわけでございますが、その辺のところを法令上はっきりしてその制度を確立すべきである、こういうような意見も漸次起こって参っておりまして、この点をどうしたらいいかというような問題でございます。委員方々も、いろいろ理論的な問題とかなんとか問題はあるけれども、研修制度というものを各委員を通じまして、まず第一番に右手すべき問題じゃないかというようなことも言われておったようでございますが、こういうように、非常に実務的ではございますが、研修制度によって、もっと責任体制なり何なりはっきりすべきである、こういうような問題を、一応いろいろなディスカッションをする材料といたしまして、こういう程度のものを出しまして、フリートーキングをしていただく。そうして今後どうやって進めていくかというふうな議論も出てくるわけでございます。で、近いうちに第二回の審議会を開きまして、今度はただいままでの審議の状況に応じましてある程度具体的な問題に入っていきたい、このように考ているわけでございます。
  24. 田中一

    田中一君 一応そうすると、明年の通常国会には出せるという見逸しでやっているのですか、どういう見通しでやっているのですか。
  25. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) 問題が問題でございますから、非常に慎重に、それからただいま先生おっしやいました各国制度も併行して検討して参考に取り入れて参りたい、こういうように考えているわけでございまして、H一途としては、ただいまおっしやいましたように、この次の通常国会までには草稿を練りまして、そうして法的措置を必要とするものにつきましては立法措置を講じましてそうして提出いたしたい、このように考えているわけでございます。
  26. 田中一

    田中一君 それはなんですか、もう大体そういう方針というものは、省議できまっているのですか。きめたのですか、方向としては。
  27. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) まだ省議できめたという段階にはございません。やはり審議会に諮りまして、今せっかく審議を始めている段階でございますから、やはりこれは他のものと違いまして、単なるそのときそのときの政策というよりは、今後相当長期間こういう制度でやっていく、こういう制度はひんぴんと改正いたしますと、会計職員も非常に迷惑いたしますので、やはり作りまず以上は、相当長期にわたって使えるというような制度でなければ困りますわけでございます。従いまして、その辺のところはよく慎重に考えてやらなければならぬわけでございますが、一応審議会へかけまして、そうしてこれなら十分出せるというようなものにつきましても、また省議であらためて、大所高所から考えなければなりません。またその場合には各省庁との打ち合わせということが、これがまた相当問題があると思います。その辺のところを考えますと、事務的には次の通常国会出したいとは考えておりますが、その間におきまして、現有の段階におきまして、完全にまとまって出せるかどうかということにつきましては、これはまた別の問題でございます。われわれ事務段階といたしましては鋭意努力いたしまして、そういうふうに持っていきたい、このように考えているわけでございます。
  28. 田中一

    田中一君 御承知のように、問題の一つであるところの点は、政府提案として会計法の一部改正という形で提案されたわけであります。御承知のように衆議院も参議院もこの法律は通りました。しかしああした経緯で時間切れになって廃案になっているけれども、少なくとも大蔵省の意思というもの、政府の意思というものは、一応表明されているわけですよ。それが今日まで再提案されておらぬということは、これはどうも客観情勢が変わったということじゃないのです。あなたの方で、それは出したくないという気持から、今まで、一ぺん提案されたものが足踏みしているということじゃないかと思うのですが、その辺の経緯はどうなんですか。
  29. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) さきに出しまして解散のために流れました法案の問題でございますが、これにつきまして、われわれの現在の工場としては、フランクに、もう白紙に考えまして契約制度全般改正の一環として考えているわけでございます。もちろん二十四国会政府案として出したわけでございますが、これは先生御承知のように、いろいろな経緯があるわけでございますが、その際におきまして、それじゃ国会審議の過程におきまして、完全に全会一致というか、これはもう最善の方策であるということであるかと申しますと必ずしもそうではないわけでありまして、やはりその過程におきましては、いろいろ議論もあったわけであります。そういうような関係も考えまして、この間の案が最浮であるかどうかということにつきましては、もう一度契約制度全般を検討する際に一応白紙に戻しまして、その全体の立場から考えていくということが妥当である、先ほど申し上げましたように審議会におきましても、その問題は一つの大きな問題として出しまして御審議願うということは先ほど御説明申し上げた通りでございます。そういうような点は一つそういうことで今やっておるわけでありますので、その点一つ御了承願いたいと思います。
  30. 田中一

    田中一君 じゃ、まあこれ、あなたも政府委員だから、あなたの言葉は大蔵大臣と同じものであるというような解釈をして了承しますがね。これ、一ぺん佐藤大蔵大臣にね、いつごろまでに成案を持とうとするか聞いてくれませんか、次回にでもきめてもらって、あなた忙しければ宮崎君でもいいが、大蔵大臣はこういう考えであるが、これ、いつごろまでに十分審議をやって答申を求め、かつそれを国会に出すというような心がまえでいるかということを表明してほしいのです。それお願いしておきますからね、あなたからお伝い願いたいと思います。次回までにその態度を明らかにしてほしいと思うのですよ。
  31. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) はい。
  32. 田中一

    田中一君 そこでね、今とりあえず建設関係事業界は相当繁栄しているというか忙しいわけですね。だから声がないというのじゃなくて、地方に参りますとこれはもうとんでもない問題が起きているのですよ。たとえば今の、先ほど触れたような工事完成保証人という制度がある。これ、工事完成保証人となったために、身代限りをした業者もいるわけです。何人もあるのですよ。こいつは一体その工事完成保証人という制度をもって発注者が自分の立場といいますかね、金銭的にもあるいは工程の点でもこれ、金にかえるものになりますけれどもね、一般的にそういう形をとっており、かつむろんだれそれが保証人でなくちゃならないというようなことはないわけです。で、一面指名競争入札制度をとっているのです。指名競争入札制度をとっているという、五名なら五名指名した場合に同等な力を持っている、これなら心配ないという判断はだれがしたのじゃない、発注者がその判断をしているわけですね。そうして工事完成保証人というものは何かと申しますとこれは何でもないのです。指名をされる者以外の者なんですね。あるいは指名された範囲の者もいるかもわかりませんけれども、おおむねお互いに競争し、また話し合って順番きめた以上、そういうことまで踏み込んだ援助はしてないように私、見ておるのですが、そうしてそれがその工事は完成できるのだという前提で保証している。ここが一番重大なことなんですよ。この工事がだめになった場合に、自分がそのあとの仕事を引き受けるのだという前提じゃないわけなんですね。これは論理的には工事完成保証人ですから、けつを割ったという言葉がありますがね、けつを割った場合にはそれを引き受けるのだということの保証人には違いないのですが、これは心配ないのだという前提で保証人になっている場合が多いのです、実態としては。あの人ならば政府が、政府というか、発注者が選んだあの人ならばまあ間違いなかろうという前提に立って保証しているわけなんですよ。本来なら間違いあるという前提に立って保証するのがほんとうですがね。間違いないという前提に立って保正している、それが実情なんですよ。いわゆるそういう意味の単なる保証人、単なる保証人という名前で判こ押しておるということだけでもって、自分の責任は軽く考えておるというのが現状です。従って工事完成保証人というものが、市大な責任があるというような切実感を持っておらないんです、実際は。と同時に、指名競争入札にした以上、指名した人間の責任というものはないとは言えないです。この人間なら間違いないという五名なら五名を指名して、そのうちの一人がとったんですから、これは責任が全然ないというわけにいかないんです。それには全然触れておらない。触れておらぬというよりも、全然それは自分の方の責任は一向にない。いわゆるお前たちに仕事を与えてやるんだというような考え方に立って注文を出し、それから競争させるというのがこの実体なんです。だからすべてが片務的な契約なんです。たとえば途中でまあ仕事のけつを割った場合でも、それが本人の過失かあるいは天災地変によるところのものかということの検討なんか全然しない。明らかに風水害であるというものですら、これに対して発注者がそれを負担して予算を増してやるとか、金を余分につけてやるなんということは行なわれておらぬですよ。そういう片務的な契約でもって、今後は工事完成保証人という、これにまで累を及ぼすという形のものが、一体いいか悪いかという問題です。私は保証人制度というものは、これは今まで、古い歴史ですね、たとえば昔の維新前の、いろいろな何といいますか、歴史小説みたいなものを読んでも、口入れ稼業というもの、それが保証人になるんですね、書き判することによって。それが役目であって手数料をとっているんですね。これが役目なんです。保証屋です。これはだれがするんでも何もでない。この人は間違いがないということの前提に立っての保証というものが行なわれておる。むだなものなんです、これは実際。そんな心配ないとするならば、何も五名指名してやった以上、工事完成保証人は要らないじゃないかということも議論が成り立つわけです。で、そういう制度というものが現在あり、かつ今度の法律改正によって、少しでもこの工事完成保証人を楽な立場に持っていこうという考え方からきているならいいと思うけれども、ただ突如として、何ら根拠のない工事完成保証人という、この今度の法律できめられる事実、人だな、これが突如浮かび上ったということに対しては非常な疑問を持つわけです。たとえば工事完成保証人は何か。それで昭和二十六年に——二十五年の三月だと思ったな、たしか建設省は中央建設業審議会、第二回か三回の分を開いて、たしか二十六年、二十五年だったか二十六年かに開いて、一応契約の合理化、施行の合理化、すなわち契約の合理化ですね、というものの要綱を発表しておるわけです。その中にはまことに、当時占領軍時代ですから、アメちゃんなんか見ても非常に民主的である、双務的であるというような考え方を持つような、割合いいものです。ところがこれは、建設省の官房が著書として解説を著わして、そうして地方の全都道府県市町村に流した。これによってやらぬかということを勧奨したわけです。地方はおおむねやっております。現在でもやっておる。ところが国の機関だけはしていないんです。そうしてやはり片務的な、現在の慣行と申しますか、契約慣行によっての契約をおっつけておるという現状なんです。今度の法律改正なんというもののもとをなすものは、契約の問題なんです。その契約法的な基本法がなくては、それが一歩でも並行して前進しようということでなければ、こんなものやってもしようがないです。こんなものやめてしまった方がいいと思うんです。前払い制度というものは、予決令見ても、これだって特定な仕事に対しては前払金は認めておるんですから、その場合には何もやる必要ない、認めればいいんです。今度の会計法改正で認めればいいんですよ。そういう点を一つ小熊法規課長、十分に実体というものを——どういう人がその審議会委員になっているか知りませんけれども、少なくともこれによって一切の生活を、事業ならかまいませんよ、生活を脅かされているところの末端の労働者がいるということを忘れては困るんです。土木工事なんというものは、結局最近は大型の機械使いますけれども、まあ六割から七割は労力費です。建築にしても二割や三割は労力費なんです。物を持っておるといっても、大工は材料ばかりでなくて自分の道具持っておりますけれども、労力費が多いですよ。これらがいつのまにかその企業体がつぶれたから、自分たちはもう賃金がとれないという形のものじゃならぬと思うんですよ。これは双務的な契約ならば、金融機関があって仕事がやれるんだけれども何か失敗した、不幸にして金融機関等に押さえられて、人為的な金融機関の圧力によって会社がつぶれるということは住々あり得る。この前払保証制度というものがあるから、前渡金を三割もらった、それを銀行に頭金しておったためにすぱっと締めてしまう、次の手形を落とさないんです。まあ自分の方にその金が一億なら一億入ったとたんに、銀行の方は締めてしまう、そうしてつぶれた会社もたくさんあるんです。銀行は損ないんです。従ってこの法律を見ても、その金というものが、実際にその工事に使われているかどうかという問題が、一番ポイントになってきているわけです。ところがおそらくそうじゃないんです。そうはいっていないんです。たとえば仕事をするにしても、大きな業者はこんなもの借りないでも十分銀行が貸してくれます。しかしこれを借りると金利一が安いから借りる。その金がそこにいっているかどうかという問題じゃなくて、金というものは、もう何十億も預金を持っておる請負人もおります。たとえば竹中工務店のように、この間何とかという週刊誌に出ておりましたけれども、借りる必要何にもないと思います。しかしながらやっぱりこの金利の安いものを借りてやっていくということは、これは一応善意に解釈すれば、いい仕事をしようという意図であろうということに見られるわけです。しかしながら、この工事完成保証人制度のために非常な苦しみを受けたり、その金をもらったために自分の会社がつぶれるなんということがあるんです。前払金をもらったために自分の会社かつぶれた、悪い金融機関というものはそういうものなんです。五億の借金があるというなら金融機関つぶさぬです。それが三億でも前払保証会社のものが入ったとたんに銀行が締めてしまう、鉄道工事などいい例です。保証前払金、前渡金をもらったところでつぶれてしまう。従ってそれにはやはり公共事業が何といっても大きいんですから、また現在建設関係事業を行なう人たちも、やはり国費と申しますか、国の財政から直接間接に受けるものによって繁栄というか、利益があって、そうして土木建築という専業をやるのが多いわけです。従って根本の契約に対する基本法というものが、日本の業界になくちゃならぬ。今までの慣習というものじゃなくて、合理的な権利義務というものが明らかにならなければならないんじゃないかというように考えるわけなんです。これはあなた方はこの問題については、ずいぶん長い問論議を尽くしていますから、少なくとも財政制度審議会相当ピッチをあげて検討してもらって、来年の通常国会には必ず提案をするようにしてほしいと思います。いろんな問題があります、これは。私これはほじくってみたいと思うのですがね。現行法の慣行がよくないのは直さなければならぬのですよ。というのは一番残念なことは、末端の労働者の賃金というものを、どう守っているかということが何もないわけなんです。私はここまでなければいかぬと思うのです。単に企業体というものが、損も得もございましょうけれども、末端の労働者というもの、これはもうどうにもならぬものです。それでもって生きているのですから、それすらだめになる。工専完成保証人制度があるためにその元請がつぶれ、工事完成保証人がつぶれ、そうして契約が下請的な契約になっているものだから、一つ事業体と見られて金がこない。労働法からくる場合には直川です。労働者は直川でなくちゃならぬということになっているのです。事実はそうなっておらない。そうするとやはり基本的な契約というものがなくては、末端の建設関係の労働者には手に入らないのです。これは不思議なものなんです、この業態というものは。労働法によれば直用という形式です。従って社会保障は全部そのうちの社員であるという形でもって契約を結んでおります。いろんな保障の契約を結んでおります。実体は何かというと、親方くらいは一人社員並みに扱われておって、まあ一万円か二万円くらいの月給をもらって、小回りとか切り投げとかいう形で受ける。受ける形になれば事業になりますから、これは賃金とは別問題になってくるのです。これはよく実体を検討していただいて、その財政制度審議会にも、少なくとも末端の労働者、いわゆる企業につながっているところの親方でなくて、末端の労働者の声も十分に反映して、何といいましたか下請に対する法律ができていますね。せめてあれと同じような精神で、先取特権くらいは官金の面について認めるというようなことにならなければならない。下請かというと下請じゃない、法律的には下請ではない、別の而から見れば下請になっているのです。しかし別の面から見れば直川の形の労働者なんです。いつもそういう谷間にこの建設関係の労働者というものは追い込まれているというのが実態です。一つそういう点考えていただきたい。そして財政制度審議会にもそれらの代表を入れて、それが発言するような機会を与えなければならぬと田ふうのですが、その点も一つこれはあなたから答弁できないでしょうから、その点も一つ官房長なりそれから大臣なりに相談して、そういう機会を与えて、あなた方が見る企業体としての見方でなくて、その炎にあいまいな業者が、常に企業体が、都合のいいように解釈されているところの者がいるということを忘れちゃ困ると思う。それを一つお願いしておきます。それに対して一つ答弁して下さい。
  33. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) 非常に広範にわたるお話でありまして私果たして御答弁できる能力があるか疑問に思うわけでございますが、今回提出されておりますところの完成保証人の問題でございますけれども、これにつきましては、ただいま先生のおっしゃいましたような、いろいろな実質的な、裏に隠れたいろいろな問題がある。このように思っておりますが、ただこの法案につきましてわれわれの了承しているところといたしましては、とにかく完工保証人というものに対する、そういうみじめな場合がある場合に対処いたしまして、とにかく一歩前進するということになるのじゃないか、このように考えておるわけです。ただ根本的に、完工保証人制度そのものが果して妥当なものであるかどうかということにつきましては、これは先生のおっしゃいましたように問題があるわけです。現に前金払いの保証でも、半分以上のものは完工保証についておるわけでありますから、そういうものにつきまして、とにかく何かこういう対策を講ずるということは妥当なる措置じゃないか、このように考えておる次第であります。そのほか前金払制度の問題、これにつきましても、前金払制度そのものにつきましては、これは戦後におきますところの特殊事情というものが相当影響しておる。一律に前金払いで出せ出せということで、その当時としてはまさに建設業界その他につきましても、やはり金融の関係その他の関係からなかなかできない。そうすると、財政力をもって前金払いというものをやつて、それを保管することによってコストも下がるだろうし、それから業者としても一々金融機関に頭を下げなくても、何かとりあえずの問題としては手が打てる、こういうような状況を反映いたしまして、前金払制度というものが非常に大いに活用されて参ったわけです。ただこれにつきましてはある程度、こういう戦後十数年たった現在におきまして、どうすべきかという問題は、これは先生のおっしゃいますように、一つの問題として考えなければならぬ問題であると思っております。ただ、根本的にはもう一度再検討はいたしたいというふうに考えておる次第であります。   それから、事業者に対する請負代金の支払い、こういうものの金の流れが、その事業者の責任におきまして労働者に支払われるというような場合におきまして、その労働者がその事業の浮沈あるいは経営のやり方によって、企業内部の問題としていろいろな問題が生じてくる。特に建設業界におきましては、いわゆるほんとうの社員的なもの、それから一応の社員のような形はとっておるが、実質的にはだいぶ下の恵まれない事業にあるという労働者がおること、これはまさに先生のおっしゃる通りだろうと思います。思いますが、ただ契約制度の問題としてそこまで立ち入るということは、これはまた非常に問題があるので、むしろ労働関係、あるいは事業主と労働者の関係、こういうような関係で親律すべき問題ではないか、このように私の個人的な考え方でございますが、そう考えられるわけでございます。  下請とか元請の関係というようなもの、確かに今そういう支払いの面につきましてそういう問題もあるように何っておりますが、ただ労働者の問題ということになりますと、そこには発注者の方の支払いというものを、直接労働者の賃金なり何なりに結びつけるということは非常にむずかしいのじゃないか、そこはやはり性質が違うものじゃないか、このように考えられるわけでございます。それはむしろ労働法関係なり、あるいは労働者の私権として、先ほど先生おっしゃいましたような先取特権とかそういうような問題、そういう問題で片づけるべき性質の問題ではないか。契約制度そのものでそこまでいくということになりますと、これは非常に人へんな問題でございまして、なかなかそこまでは契約制度の問也としてはやっていけないというように、これは私の個人的な考え方でございますが、感想として申し上げる次第であります。
  34. 田中一

    田中一君 それが実態がそうであるから、あなたの方でもやっぱりそうした実態というものを見ながら、やはり契約に関する基本を作るならば、知らないで作られちゃ困る。十分に理解して、どうすべきかということは、単に法文上の問題ばかりでなくて、その裏に実態があるわけですから、だからできるならば、そうした悪い慣行を持っておるところの労働条件、それから下請制度等、それらの者が発言し得るような機会を与えてくれと言うのです。その点はどうですか。
  35. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) ただいま申し上げましたように、その企業の契約相手方である事業の内部あるいは外部と申しますか、そこに使われている者につきましての実際の扱い方、労働者の扱い方、そういうものにつきましての認識と申しますか、そういうものは、これは契約制度等をやります際に、厳然たる事実は事実といたしまして認識する、これは必要であると思いますか、それが契約制度をどうするかという問題で片づけるわけにいかぬのじゃないか、ということを私は先ほど申し上げたわけです。もちろん、そういう問題についての認識というものは、これは必要かと思います。これは何も建設業界だけじゃございませんで、全般の問題として契約制度をやります際に、その契約の行なわれる分野におきますところの、いろいろな特殊事情なり何なりというものは、やはり認識した上で契約制度を考えることは、これは必要だと思いますけれども、ただそのために契約制度をどうするかというところまで直接反映するということは、契約制度を議論します際にそこまでいくというのは、これは非常に困難じゃないかというふうに私は考えるわけであります。全然そういう特殊事情を聞かないとか何とかいうことじゃございませんけれども、しかし契約制度の議論の場におきましてそれを言う、言ってみても契約制度が直ちにどうなるということじゃないだろう、むしろ先ほど申し上げましたように、労働法なりあるいは労働者の私権というようなものの面でどうやっていくか、こういうような問題じゃないか。このように私は個人的には考えております。
  36. 田中一

    田中一君 それでは建設省の方は、工事完成保証人契約はどうなっているか説明してほしい。
  37. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) ただいま田中委員のお手元に、建設省の地方建設局と本省の営繕局で、直接契約しておる場合の、契約書のひな形を提出さしていただきましたが、その第三条に、それぞれ保証人を立てる旨を規定いたしております。
  38. 田中一

    田中一君 地建の場合には今言う通り、この保証人というのは工事完成保証人、営繕の方は契約保証人になっているね。
  39. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) 地建の場合も営繕局の場合の契約も同様でございますが、保証人は請負者にかわってみずから工事を完成することを保証する、そういうふうに規定しておりまして、いわゆる工事完成保証人でございます。
  40. 田中一

    田中一君 地建の場合には発注者の承認を受けるようになっておりますが、営繕の場合にはそれが書いてない。だれでもいいですね。僕は請負人じゃないけれども僕でもいいわけだな。
  41. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) 営繕の場合は、契約上は承認制度をとっておりません。ただ実際問題といたしましては、事前に話があるのが例になっておるようでございます。
  42. 田中一

    田中一君 保証人の定義というか、資格といいますか、これが規定してないわけですね。営繕の場合は。それで実際どうしてるの。
  43. 高田賢造

    政府委員(高田賢造君) 実際の慣行は、建設業者が保証人となっております。建設業者でないものが保証人となった例はございません。
  44. 田中一

    田中一君 これは、いつごろからやってるの。それは、ほんとに調べてやったの、いつごろからですか。
  45. 高田賢造

    政府委員(高田賢造君) ちょっと先ほどの田中委員の御質問についての調査がまとまりましたので、御報告申し上げようと思います。  明治二十三年の会計法では、随契が認められておりましたが、明治二十六年の鉄道会計法の制定がございまして、従来の随契制度が廃止されましたのでありますが、その際、保証金または保証人を立てるということが行なわれております。もっともその場合の保証人は、必ずしも建設業者であるということに限っておらなかったようでございますから、いわば身元保証的な性格が強かったようでございますが、その点は、必ずしも古いことでございますので、はっきりいたしておりませんが、保証人または保証金をつけることが行なわれたのでございます。その後、契約保証金を提供せしめるということが、実際広く、この問題については行なわれておったのでございますが、大正十五年になりまして、建設業界から政府に対して陳情がありまして従来の契約保証金制度はやめてもらいたいと、こういう強い要望をいたしたのでございます。その結果、関係各省におきましては、もし保証金を出さない場合は、それにかえて工事を完成する保証人を立てるということを認めたのでございます。自来その慣行が成立いたしまして、比較的広く行なわれたのでございますが、その後戦争のときに入りましてから、軍建協力会というのがございまして、そこで広く保証制度につきましては、むしろ団体責任を負う。この団体で、工事の完成の保証を行なうということに相なりましたので、自然、従来の工事完成保証人という制度は行なわれなかったのでございます。  その後、終戦後になりましてから、また今の戦争中の制度がなくなりました関係上、またもとへ返りまして、その後ずっと工事完成保証人というものが行なわれるということに、前の通りに復活をいたしたわけでございます。  なおその問、昭和二十四年に、建設業法が制定されましたが、そのときに、その法律の第二十一条の第二項の第二号のところで、「建設実者に代って自らその工事を完成することを保証する他の建設業者」と、こういう文言が入っておりまして、この文言は、ここで問題になっております、つまり工事完成保証人意味であると、私ども了解いたしております。  従来、そういう沿革でございまして、現状につきましては、すでに御説明申し上げた通り、かなり行なわれているわけでございます。
  46. 田中一

    田中一君 せんだって三島東日本の保証会社の社長の言葉を聞くと、保証をしなければならないという責任が生ずるのは、契約の問題ですね、——単なる。発注者と受注者が契約を結んだことによって、その前払いを保証するという事実を確認し、保証することになるんだそうです。工事完成保証人関係はなく、だれでもいいわけですね。これは責任がないから。そうなると前払い保証会社の方では、工事完成保証人が、発注者が認めたもの以外に、やっぱり保証会社の方で、あの人間よりもこの人間の方がいいのだというようなことはあるのではないかと思うのですが、そういう点は、今発注者さえ認めればいいのだということになっているわけですね。
  47. 高田賢造

    政府委員(高田賢造君) 発注者の方できめております。
  48. 田中一

    田中一君 そうすると、その場合に工事完成保証人が、残工事の充分という違約金を払えば、これはもう責任は逃れるわけですね。そこのところが、ちょっとね。  一体工事完成保証人は、工事を完成させるための保証人であると思うけれども、それが違約金五分払えば、制令五分払えば、責任がないのだという形の法の立て方は、僕はおかしいと思うのだな。
  49. 高田賢造

    政府委員(高田賢造君) 田中先生の御趣旨は、工事完成保証人を立てることは、工事そのものを立派に完成するのが発注者の願いであろうから、従って金で解決することはおかしいのじゃないかという御趣旨かと思いますが、そのように考えられる点もございますが、しかし発注者といたしましては、どういう種類の保証人を立てるかにつきましては、まあいろいろな点を勘案いたしまして、おそらく、まあしばしば言われますように、工事完成保証人が非常に過酷にわたってもおかしいではないかというようなこともあろうかと、これは私ども契約問題を、いろいろ研究いたしました際の想像でございますが、いろいろな場合がありまして、一がいに申せませんが、むしろ工事完成保証人というものの過酷な責任を、場合によっては、他の方法で解決つけるというふうな相互のゆとりをもった考え方を、おそらく発注者がしておるというような場合、かような場合には、今申しましたような違約金制度ができたのじゃないかと、私ども実は、今まで保証上の制度をいろいろ研究した際に、そういうことを感得いたしております。  もともと議論を一貫いたしますれば、あくまで保証人をして工事を完成させよう——保証の目的は、完成でございますから、金で解決させるのはおかしいのでありまして、実際の慣行は、発注者が、そういうことでやっておるのが、実例でございます。
  50. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) ちょっと、ただいまの先生の御質問に対して、補足的に申し上げます。  従来、前払い保証を受けました公共工事請負者が履行しない場合に、保証人が完成する責任があるわけでございますが、この場合、私どもが承知いたしておる例では、請負業者の前払金返還任務を保証人がかぶらなければならぬ、これはすでに例で申し上げましたようにこのために保証人としては、どうにも工事を完成できない、完成すれば、会社の危殆に瀕するような場合があったのでございます。そこで泣く泣く違約金を払って、保証人が逃げる、そういうケースが、今回の改正によりまして、救われるわけでございます。  と申しますのは、保証人が、違約金を払って逃げれば、契約の解除になりますので、保証事業会社は、保証金を発注者に対して支払う、そういうことでは発注者としても、また新しく契約を立て直して工期がおくれましょうし順調に参りませんから、今回は、保証人が完成すれば、直接保証金相当額を払うということによりまして、保証人としては、違約金を払って逃げるというような無理をしないで済むと、少なくとも、そういう非常に救われるケースが多くなるという意味において、今回の改正が、保証人の負担を軽減する、こういうことになるわけでございますから、この点を一つ、御了承いただきたいと思います。
  51. 田中一

    田中一君 そうすると、今鬼丸君の言った説明は、かりに元請がけつを割った、前払金が、かりに六百万ですか、この例によると。その場合に、元請がけつを割ったから、六百万円は発注者の方に返す、発注者は、それを工事完成保証人にやるのだということになるわけですね、そういうことになるんですね。そういうことになるんでしょう。
  52. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) ただいまの六百万円前払金を受けました元請が、一つも仕事をしなかったという場合、その場合には、保証人は二千万円の六百万円ですから、二千万円の仕事をしまして、千四百万円しか発注者からはもらわない、それで仕事をやってしまいますと、保証事実会社は六百万円を発注者に支払わないで済む、こういうことが現在の制度になっております。
  53. 田中一

    田中一君 元請は、会社が保証して六百万円渡した、ところが仕事をしないで、どこかにずらかってしまった、そうすると事故ですね、その場合に、六百万円を発注者の会社に払わない、そうすると会社は、ずらかった元請との間に、貸借関係が残ります、その補償は、どうなんですか。
  54. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) その場合、工事完成保証人は仕事をしないのですね。工事完成保証人が、請負契約に立てられている場合に、仕事をしませんと、契約解除になりませんから、そこで保証事業会社は六百万円発注者に払わずに済むんです。保証金を払わずに済む、それで、だれが六百万円頂托するかというと、保証人が負担せざるを得ない、これは、契約を解除した場合に、初めて保証事業会社が発注者に保証金を払うというのが現行の制度になっております。その制度は、ずっと今後も生きておるわけでございます。そういう現実の情勢になっておる、こういうわけでございます。
  55. 田中一

    田中一君 そうすると、もう一ぺんよく聞いておくけれども、元請が、六百万円の金をもらって仕事を投げ出した場合に、元詰との解約をする場合に、これはもう六百万円は、発注者が払うのは当然のことなんですね、そうでしょう。  そうして新しく元請との契約を解除して仕事をすれば、残る問題は工期その他の問題で損害を受けるわけです。しかし、工事完成保証人がいるから、発注者工事完成保証人に、その元請との契約のままで仕事をやれというのが、今までの行き方ですね。そうなるわけですね、発注者との関係は。  で、工事完成保証人との関係は、その場合に事故が起こったという事実、これは明らかなんです。そうしてあなたの方の説明は、この図面によると、その事故が起こったということによって保証会社は、本来発注者に払うべき六百万円というものを、じかに工事完成保証人に払う、こういうことになるわけですね。そうして今度保証会社は、元請に対しては債権を持つということになるわけでしょう。  そこで、工事完成保証人というのは、発注者との円に認められた制度なんです——発注者との間に認められた制度なんです。何も、保証会社は工事完成保証人が、だれであろうが知ったことではない。そこで、新しく工事完成保証人というのが、この法律の上から出てくるわけですね。  そうすると、この開から再三言っておるように、工事完成保証人が、またけつを割った場合は、どうなんですか。そうすると、これならば心配なかろうという工事完成保証人がついているということが望ましいことになるわけです。そこで、最初から前払い保証を受けるという元詰の場合に、発注者が事完成保証人に対するところの——この地建の例を見ても、その承認をすると同じように、やはり前払い保証会社は、工事完成保証人というのを信頼をしなければならぬから、やはり意見を言えるという段階にならなければいけないのではないかと思うのです。従ってエト完成保証人という制度を認めるならば、前払い保証会社の方にも、それに対する意思決定というものをするような明文がほしいんではないかということなんですがね。さもなければ発注者は——今度は発注者はですね、これは、大蔵省発注者にしておくならば、鬼丸君の方の工事完成保証人の工事完成保証をつけなければならぬということになるのです——ほんとうに工事を完成させようというならば。なぜかというと、この場合、残工事に対して五分の違約金を出せば逃げられるのです。金銭的な実害はないですよ——発注者は。しかしながら、もっと大きな時間的な、金よりも工期の問題ですね、こういう損害を受けるということです。まあこれは、この辺でとめておきましょうというのが、この問うちの大臣、官房長の答弁であったけれども、一人やって、この辺であとだめなら、だめでしょうというのですが、いつも玉人も六人も指名競争入札に参加しているのです。発注者が、それを指定して、そこで私が言うのは、——これは法規誤長も聞いてくれよ——言うのは、指名競争入札の場合に、指名された業者が全部、その落札した一人の工事完成保証人になるという制度にしたら、どうですかというんですよ。
  56. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) 指名する者は、すべて信用があるわけでございますから、ですから、そのうちの一人が落礼した、そういう者と、国が契約を締結する場合に、その保証人を他の入礼者——落礼しなかった者を保証人に立てるかというお話だったのですが、それは、ほかの者全市を立てるかという御質問でございますならば、令部を立てるという義務を課するということも、これはちょっとむずかしいのですが、保証人になるのは、これはやはり任意契約でございますから、国が万が一のことを考えまして、そうして保証人を立てるという場合には、やはり国が、当初の落礼者が債務不履行をしたといった場合には、それをかわって、その契約を履行で去るに足る資力なり信用なりある者から選んで、その者と保証契約を結ぶ、こういうことになりますから、必ずしもそれは指名した者に限定するのがいいのか、あるいは指名の対象にはなっていなくても、たとえば当初からの指名を返上する、私はほかの仕事が忙がしいというような場合がありましても、それは、そういう者でも可能である場合もある。必ずしもその範囲を限定する必要はない。  要するに、それは抽象的に申しますれば、落札者が万が一契約を履行できなかったという場合に、それにかわって履行できる者、それに位するという者であれば、よろしいのではないか、その入札した者が、必ず、その場合において保証人になるのだというようなことは、これはちょっと、普通の双務的な契約——保証契約一つの双務でございますから、その契約に、そういうものを義務づけるというのは、私法上の自由の原則から申しますと、ちょっとそういうことはどうか、このように考えるわけでございます。
  57. 田中一

    田中一君 国鉄でやっているのです。国鉄は二名つけている。というのは、一名がだめなら、次の人間ということで二名つけている。  それから、今あなた方官僚というか、上級官位が常に考えているのは、おれの所管するところの仕事を、お前にもうけさせるために仕事をやるのだというような考え方を持っているのです。これは、もうしょうがないのだ、実は。恩恵を施すのだというような考え方を持って仕事を出すのだ。これは全く、もう対等な立場に立っておるのじゃなくて、この点、これはお前は、もう赤字でもやれ、やらなければ、あとは、もう指名やらぬぞといえば、業者はたまらぬから承知してやる場合があるんですよ。多くそうですよ。というのは、地方公務員のそういう契約担当の人たち、あるいは原案を作る方の人たちは、予算をしょっているものだから、予算というものは、まあまあ最近は、経済界も物価等も安定していて割合にいいけれども、予定が狂った場合に、強制するのが今までの慣例なんです。それが腕のいい官僚なんですよ。  そこで、私は常々思っているのですが、業者が指名を受けて入札する場合、入札費はどれくらいかかるかということなんですね。業者というものは、工事を完成するだけが業者じゃないので旧す。見積もりをすることも重要な業務なんです。そこで、一体見積もりをするという行為は、だれのためにするのか、発注者の場合には、最良の条件の材料なり、それから労力なりというものを発見するためにもつのです。これはやはり発注者が自分の利益のためにもっと同じように、今度は指名を受けたものが、自分の利益と申しますか、経営体というもの身、少なくとも若干の剰余金、あるいは人間、自分の社員を働かすとか、やはりそろばん上の有形無形の利益のための見積もりです。それは対等であるというような考えを、その面においては対等ですが、しかしながら一面、機会を与えないということは致命的なものなんです。機会を与えるという大きな力を発注軒は持っているわけです。これは不均衡である、だから、ほんとうの原則としては、国民全部に向かっては、公入札制度が一番いいわけです。しかしながら、それでは危険であるというので、指名競争入札という制度が生まれてき、たのです。そうするとその而の対等さのほかに罰則的な、これはせんだっても建設大臣がるる言っているように、罰則的に相手の業者を押えているということが一番大きなものなんですよ。これは双務的なものではないのです。  そうなってくると、機会を与えられないということになると、とんでもないことになる。現に私の知っている範囲では何人もあります。山梨県にもあるのです。山梨県にも相当な仕事をしている人が選挙のときに今の天野知嘉の方を応援しなかったために、全然県の仕事がもらえない、この人は信用があるものだから今まで県の仕事ばかりやっていたのがもらえない、やむを得ず、民間の仕事で細々と息をついている。県の仕事を一切指名してくれない、力を持っていながら、こういうことがあるのですよ。これは悪い知事だから、そういうことをするのです。同じようなことが言えるのですよ。そこで、これを抜本的に、どうしたらいいかということを考えなければならぬ段階にあるのです。これは私は、法規課長にもるる言っているのは、それなんですよ。どうしても、国民がこうした一つの権利を持っておる、公共事業の発注権というか、持っている人たちが、公平にするにはどうすべきか、むろん相手の能力、これならやれるのだという正しさを発見するのは、あなた方自身なんですよ。ところが、えてして政治が介入すると、とんでもない問題が起きてきて汚職をたくさん生む、そこにやつはり法的な制度の面に、相当大きな問題が残っているということなんです。  そこで、こういう方法はどうなんですか、今あなたが言っているように、特別にこれは保証人になるなんということを言っちゃいかぬと言っているが——それもわかる、わかるが一体見積もりをするということ自身が、発注者の利益であるということが主眼なんですから、そうなると、見積料を払えということを言いたくなってくるのですね。見積もりをするということ、入札をするということは、業者の業務の大きなものを占めているんです。この間、参考人として呼んだ木曽建設、東京都等に聞いてみると、十か十五に一つ——私は、もっと余分に指名があるのじゃないかと思う、小さい工事ではもっとあり、三十人くらい、地方の県工事などは、二十人から三十人指名します。東京都が十人くらいと言っていますからね。まじめに見積もりをするということになると、費用がずいぶんかかる、二%くらいかかるはずです。百万円の工事でもって二万円くらい見積料はかかるものなんです——まじめにすれば。しかし、御承知のように、話し合いでもってきめているから、大体勘でわかります——そういうものは。しかし、実際に、まじめに内訳明細を出すということになりますと、これはとうてい、現在の木材がどのくらいするかということを材木屋に電話しても、七円か十円かかるんだから、そういう経費というものが、十ぺんに一ぺんか、十五へんに一ぺんの仕事に、全部かぶさっていくのですよ。みんなかぶさっていく、その費用というものは全部。そうして、六万人からの業者がこうやっているということは、全く不可思議千万です。ほんとうに不可思議千万ですよ。二十万も三十万も、まじめにやるとすれば費用がかかる、だから制度というものを十分に考えなければいかぬのですよ、そういう点においても。  そこで、その場合に見積料を払うことが一番主眼なんです。見積もりをするという業務を行なっているんです、主たる業務です、これは諸経安が、その工事一つにかぶさっていくのですからね、だから、そういう点も一つ考えてほしいと思うのだ、今度立案する場合には。だから指名するものは、僕は千分の一くらいでいいのです——くらいの入札費というものを発注者が払うのです、どっちみち、一億のものを一億でとった例はないのです。一億のものは、大体何パーセントか余しています。余すようなことをやるのだから——予算上において余すことをやるのだから、発注者が大体において一ぱい一ぱいとるなんということはめつたにない、若干下回ったものをとるのが、今までの実例と思うのですよ。そうすると、千分の一くらいのものは出せるのです。それを実際指名受けた人間に、見積料として支払う、そのかわり十人の場合だったら、それに対して、順番をきめて、工事完成保証的な責任を負うということです。何もやらぬから、そういう自由を束縛しちゃいかぬという法的な議論が出るのですが、千分の一でも、見積もりをするという業務に対する報奨を、報奨というか手数料をやれば、当然そういう制約をしてもいいと思うのですよ。そういう点はどうですか、そういう制度は。
  58. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) まあ掛名した場合の見積料の問題と、それから先ほどの完成保証人になる義務でございますね、保証人になる関係でございますが、二つの問題は、おのおの必ずしも直接関連のない問題でありますが、見積料について、まあその指名したら見積料を出せ、かかるのだからそれは出すべきじゃないかという御議論、それは、一つの見方であるかとも思うのでございますが、ただこれは、やはり発注者側としては……、設計その他については、やはりコストがかかっているわけでございます。その競争者の、あるいは指名を受けた者の側におきまして、その自分が落札すべく努力するために、必要な経費というものがかかる。これはまあ落札者は、それは報われるわけでございますが、落札者以外の入札者は、見積もりコストがかかっても、情負金額がもらえないわけでございますから、それだけロスになる、こういう問題があるかと思いますが、しかしそれは、各まあ会社によっていろいろ違う。そういう肴は、一応発注者側との関係におきましては、要するに契約の当事者にはなり得なかったわけでございます。しかるに、まあ人によっておのおの努力の仕方もいろいろ違うだろうと思います。そういう者につきまして、金を払うという関係は、これは現在のわれわれの考えております制度からいきますと、ちょっとむずかしいのじゃないだろうか、このように考えられるわけでございます。  で、先ほどお話がありましたが、予算額に対して、予定価格が若干下るとか、あるいは落札金額が、さらに下回る、若干、数%の余裕があるじゃないか、だからそれを充実したらどうだというお話もございますけれども、契約制度というものは、やはりこれは、与えられた権限の範囲内で、先ほどの先生のお話にもございましたように、なるべく機会均等にそのチャンスを与えながら、しかも競争による利益を発注者が享受いたしまして、まあ国の場合で申しますと、和金の効率的な使用をはかるというのが、本来のプロパーの制度であるわけでございますから、それを念願として今の契約制度を考えていくというのが、われわれの一番の最大の眼目でございますので、ただいま申しました見積料というようなものについて、落札者になれなかったのだから、何か出すかどうかということにつきましては、これは現在のわれわれの考え方としましては、少し、ちょっと無理があるのじゃないか。またそれが、実際問題として、やはりそれは入札者側としても、一つ一般管理費的な一つのコストとして考えて、常時自分の方で考える。指名した場合には、必ず入札しなければならぬという義務を負っているわけでもございません。棄権するという場合も、当然あり得るわけでございます。これはもう相手方に許された権限で、問題は、あなたは入札する資格があるということでございますから、その権限を行使するといなとの自由というものは、指名を受けた者にもあるわけでございまする  そういう者について、見積もりのために経費がかかったからといって、それを国が填補してやるということは、ちょっとどうであろうか、このように考えておりますが、なお、せっかくのお話でもございますので、一応は検討はしてみますが、現在のところ、私としてはやり得ない、このように考えております。
  59. 田中一

    田中一君 公入札プロパーの問題は、これはその通りなんですよ、純理論的にいえば。  しかしながら、現にやってないじゃないか。やっているもの何かあるか。何もやっていないのですよ。たとえば払い下げの場合だって、そうですよ。払い下げの場合にしても、これは新聞公告なんかしてやりはしませんよ。払い下げ業者というものは、ちゃんときまっているのだから、その業者をやはり呼んで、指名してやっているのだ。  従って、これは理論としてはいいけれども、実際問題、違うじゃないかということなんですよ。そこに問題があるのじゃないかということですね。指名して、公入札しているもの一つもないですよ。建設大臣に聞いてみると、一つもない。そうすればね、少なくとも指名という、指名競争入札というものが常態であるという立場に立たなければならないのですよ。そうすると、そこから出発しなければならぬということです。  私は、一番いいのは随契が一番いいと思うのですよ、仕事をほんとうにするには。しかし公入札原則というものがあるならば、認めるならば、やはり指名もやりなさいと、全部、公入札やりなさい。これはね、社会主義社会になりますと、そんなこと心配なくなってくるのですよ。これは資本主義社会だから、そういうことになるのです。これはもう確かに、清水建設と、それからこの間来た木曽建設と比較してみる場合には、これは、もうとても話にならぬ。あんまり格差がつき過ぎているということです。  私はね、だからそういう点について、実際の契約上の施策というものが、方針というものがないと、だからやかましく言っているのですよ。今の制度は汚職の制度です。あなたを指名に入れてあげますよと言えば、これは洋服の服地くらい持って来るよ、それは。——ほんとうですよ。そういう制度であっちゃならないというのですね。それには、義務を負わせる。完成の義務を負わせる。そういう点でもって非常に僕は、大蔵省が、今度まあ各省とも打ち合わせをしなきゃならぬと思うけれども、発注する国家公務員のそのポストの人間が、何か恩恵を施すような態度でいることに間違いがある。だから、国家公務員の給与を、今から、三倍くらいにして、そんなものは、まじめに仕事する者を、自信をもって仕事させるということが一番いいと思うのです。まあ今の段階の資本主義社会では、そういうことが行なわれないのだから、これは、われわれが政権とるまで待ってもらうけれども、——いつになるかわからぬけれどもね。これは一つ考えてほしいと思うのだ。冗談でなく。実態というものは違うのだということですね。現に、もう昭和二十六年に出し契約約款にしても、標準約款にしても、いいものです、非常に。しかしながら、不可抗力に対する定義というものが、何ら認められておらぬと思う。不可抗力に対する定義、それは裁判やったら、きっと業者の方が勝った場合があると思う。不可抗力と認定される場合がある。しかし業者は、訴訟を起こさない。それは、訴訟を起こせば、この次永久に指名してくれないから。泣き泣き損害を負担するということがあり得るのですよ。こういうことは、決していい政治じゃございません。やはり双務的な権利と義務というものを明らかにするのが、これが契約行為ですよ。不当なる一方的な片務契約というものはあり得ないですよ。こういう点は一つ、僕は十分に、この法律案は、まあ多少今の制度よりもよくなるから、われわれの方でも、いいということに結論づけておりますけれども、これだけでは済まないのです。  重ねて申しますと、末端の労働者の生活が、生活というか、権利が、守られるかどうかという問題です。  それから完成保証人というものが、一人でいいかどうかということですね、一人で。国鉄は二人でやっているのです、二人で。従って前払金は、どしどし出している。正割まで出しているのですよ——小熊君、よく聞いてくれ——国鉄は正割まで出しておるのですよ。そのかわり、これなら心配ないという特定の業者を完成保証人にしているということです。だれでもいいということじゃない。きめているのです。そうして五割まで前渡金を出しております。これはむろん、ああいう直接国民生活と緊急な事業をやっているものだから、間違いがあっちゃえらいことになりますからね、こいつは。たとえば二時間で鉄橋のかけかえするなんということをやっているのだから、たった二時間くらいでもって、鉄橋の長大橋のかけかえなんかやっているのだからね実際。しかしながら、今のような余計法によって、個々ばらばらにやっているような契約行為というものは、これは、相当反省しなければならないのです。同じ建設省でありながら、地建でやっているところの約款と営繕局がやっているところの約款とが違うのです。おそらく私が見た場合にはわからないけれども、個々に調べてみると、結論も非常に違う。たとえば工事完成保証人の場合でも、地建の方は、保証人となって、工事完成保証人になつている、そうして発注者の承認を受けろと——受けたものでなければならないぞということになっておる、ところが営繕局の方では、契約保証人になっております。契約保証人ですね。これはおそらく、金銭も工期も入っているでしょう。これは、みずからこの工事を完成することを保証することになっている。これはだれでもやる。そのように、個々ばらばらに、自分の都合のいいような形のものだけをやって、根は片務的なものなんです。どのものでも、片務的なものです。仕事をやるんだという、仕事を与えてやるんだというような、古い憲法の、天皇の官吏であるというような考え方でもっていまだに——あなた方は違うけれども、あなた方の同僚は、そういう考えを持っている人が多いのですよ。それにはやはり基本的な、契約基本法的なものがなければできないのですよ。そうすれば、これは汚職も防げるのです。  まだほじくると幾らもあるのですけれども、まあまあ、きょうはこのくらいにしておきますが、これは一つ、また小照君のところに行ってどうしたどうしたといって、催促にいくから、そのつもりで一つやって下さい。
  60. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは、本日は、これをもって散会いたします。    午後零時三十三分散会