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1960-05-10 第34回国会 参議院 建設委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十日(火曜日)    午前十時二十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            小山邦太郎君            田中 清一君            米田 正文君            武内 五郎君            永岡 光治君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   政府委員    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設大臣官房参    事官      高田 賢造君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    農林省農地局建    設部長     清野  保君    日本国有鉄道経    理局長     山田 明吉君    日本国有鉄道施    設局長     柴田 元良君   参考人    東日本建設業保   証株式会社社長  三島 誠也君    木曾建設株式会    社社長     木曾 芳郎君    東京財務局長 太田 和男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○公共工事前払金保証事業に関する  法律の一部を改正する法律案(内閣  提出)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず本法律案の審査のため、参考人出席要求についてお諮りいたしたいと存じます。  本法律案運用につきましては、検討すべき多くの重要問題がございますので、この際、保証会社側から東日本建設業保証株式会社社長三島誠也君建設業界側から木曾建設株式会社社長木曾芳郎君、保証を受けていない発注機関側から東京財務局長太田和男君の主君を、本日参考人として招致の上、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) なお保証を受けていない発注機関側からは、ただいまの参考人のほか、説明員として、日本国有鉄道経理局長山田明吉君、農林省農地局建設部長清野保君が出席しておりますのでお知らせいたします。  参考人各位におかれましては、御多忙中御出席いただきましてまことにありがとうございます。  それでは、これより本案について質疑を行ないたいと存じますがその前に、本法律の一部改正案について参考人各位から、順次御意見をお聞かせ願いたいと存じます。  なお、政府側から資料提出がありますので、まず、その資料説明を一応聴取いたしたいと存じます。
  5. 高田賢造

    政府委員高田賢造君) ただいまお配り申しました資料について、概略御説明申し上げます。  一枚目は、「前払金保証事業会社保証を受けていない発注機関について」という表題でございます。1は、農業事務局、それから農地事務局のほか愛知用水公園——建築を除いております。次に、日本国有鉄道。それから2は、「地方公共団体」でございますが、そのうち(イ)の都道府県の部分につきましては、東京都と徳島県が、これを保証を受けていない都県でございます。(ロ)の市町村関係につきましては、全市町村のうち、利用してないものは、東日本保証事業会社関係では八五%。西日本保証事業会社関係では八二%となっております。  なお備考にお示ししております通り農地事務局日本国有鉄道保証事業会社保証によらず、前払いをいたしております。また東京都と徳島県は、前払いをしておりませんのが現状でございます。  二枚目につきまして申し上げます。「東京都・国鉄農林省農地事務局)における前払金状況」でございますが、まずAの、東京都につきましては、その前金払を行なっておりません。理由といたしましては出来高払いを迅速に行なっておるということが、その理由であるとというふうに承知いたしております。なお、工事完成保証人は特別な場合以外は要求いたしておりません。  次に、国鉄につきまして申し上げますと、国鉄におきましては、1、特約によって、前金払をいたしております。前金払い契約金額の五〇%以内でございます。これにつきましては、その前金払い及び概算払いによって処理いたしております。次に、前金払い特約をする場合は、前払金相当額担保を提供させております。——これは国鉄でございます。——ただし建設工事請負工事の場合は二人以上の他の建設業者が連帯して工事に関する一切の債務履行保証するときは、担保は不要である。こういう取扱いをいたされております。担保としては、鉄道債券、国債、金融債電信電話公債等。なお、銀行の連帯保証履行保証保険等担保として取扱いしております。  次に、農林省につきましては、前払金を支払っております。請負代価の三割以内。また前払金のの保証につきましては、工事に関して一切の債務履行保証する保証人を立てさせておられる現状でございます。  次に、ページをかえまして、「保証事業会社常務勤取締役報酬月額」の表をお示し申し上げております。これは、数字にお示ししてあります通りでございますから、ごらん下さいますれば、特に御説明申し上げなくてもおわかりいただけると思います。  次に、「収支計算書——保証事業会社三社の収支計算書を、昭和二十七年度から三十三年度までの七年間の合計を、ここでお示ししております。収入の部、支出の部に分けまして、収入につきましては、収入保証料、それから責任準備金戻入営業外収益を掲げております。その他の部分につきましては、物品を売約したことによる収入がおもなものであります。  支出の方は、保証弁済金保証金とか、金を保証会社が支払ったものの全部をトータルをいたしております。それから次の責任備金繰入支出の方として準備金の方に繰り入れたものを支出として、ここに計上いたしてあるわけであります。それから一般管理費、これは事務費等、一切の諸経費を全部示してございます。そういう仕分けをいたしまして、各社それぞれ別にその収入支出差引をいたしてみますと、その差引欄ごらんになりますとおわかりでございますが、東日本におきましては、五億三千三百二十三万九千円。西日本におきましては三億五千四百十六万二千円。北海道は一億五千百二十七万。こういう数字になるわけでございますが、それから税金を引きますと、そのあまり、その次の欄の「利益の部」というのがございますが。これが実質的な利益金になるわけでございます。東日本は、二億八千五百四十七万九千円。西日本は二億百九十六万二千円。北海道は五千九百十万円。これらの利益金処理状況は、その次の欄に示してありますように、積立金としてこれを積み立てております。それから配当金等——株主に対する配当金がそのおもなものでございまして、それから重役賞与等も、この中に入っております。大部分配当金配当金等とございますのは、重役賞与等が入っておる関係でございます。  配当率は、そこにも示してございます通り、各年度によって違います。八分ないし一割二分といたしておりますが、これは東日本西日本は八分ないし一割、北海道は五分ないし一割、こういう率でございます。  それで今回の改正法によりまして、かりにもし、当初からこの制度を施行いたしておりますとすれば、どうであるかという点の推定数字を出しまして、計算をはじいてみたのでございますが、これ以下は、予想数字でございますが、「準事故、(履行請求)による支払金推定」、これは各社とも昭和二十七年度以来の保証人履行した結果、保証会社保証金を払わぬで済んだ部分計算をいたしてみたわけでございます。これはいずれも統計数字でございますし、その統計数字によりまして、推定をいたしてみたわけでございます。東日本が、この推定をいたしてみますと、一億五千五百二十七万、西日本が四千六十四万七千、北海道が三千三百四十六万六千、これだけのいわば支出増に相なるはずでございますが、まあかりに、こういう支払いがあるとしますと、他方税金計算が多少変わって参りまして、一方において、これだの推定による支出の増がある反面、税金の額が、おそらくこうなるであろうという予想数字を出してみたわけでございます。これも参考までに——これは、いずれも予想でございますが、こういう数字で、一つの予測をいたしてみたわけでございます。差引支出増——東日本におきましては八千三百九十七万、それから西日本におきましては二千三百十四万七千、北海道は千八百七十六万六千、かような数字が出て参るわけでございます。  この「準事故による支払金推定」以下の欄は、ちょうど先ほど御説明申し上げました差引の欄、これはまん中辺にございますが、それ以下の点を、かりにもし今回の改正法のシステムをとった場合には、過去においても、こうなるであろうという予想数字を書いたものでございます。単なる予想でございますが、御参考までに呈示したわけでございます。  次のページに、「被保証者別年度別前払金保証件数及び保証高」の表をお示ししてございますが、これは国、公社公団地方公共団体、その他の欄を設けまして、それぞれの別に、また保証会社別に、いずれも各年度ごとに、どういう契約件数があり、保証高幾らであったかということをお示ししたものでございます。三者の合計欄を一番下に示してございますから、全体の推計といたしましては、この計の欄をごらんいただきますと、これは各年度別でございますが、ごく最近の年度を例にとって見ると、一番下の欄でございますが、昭和三十四年度、国の場合は六千七百三十八件、公社の場合は三百十四件、公団が千百十二件、地方公共団体が一万五千九十四件、その他が三百五十八件、「その他」は、組合あるいは電発等事業体を含んでおります。  次のページごらんいただきますと、「保証契約者保証金額規模別保証件数昭和三十四年度)」、それからその下の欄に、「保証契約者保証金額規模別保証金額」、二つ数字をお示しいたしてございます。まず上の欄についてごらん願いますと、上の欄の一番の列は保証金額規模別計数を出してみております。それからその横の縦の欄でございますが、保証契約者区分、これはつまりこの場合でございますと、請負業者になるわけでございます。個人の場合と法人の場合とに分けまして、法人につきましては、資本金の額を二百万円、五百万円、一千万円、二千万円というふうに分けてございます。大体一千万円未満と二千万円未満との欄に、二つに区別してみますと、大体上の一千万円以上の欄が、中小以下の団体法人になるわけでございます。その保証金額規模、つまり個々の保証契約内容において、保証金幾らであるか、小さなところから始めまして百万円未満のものから二百万円以上というふうに区別して保証規約内容数字的に分析をしたものでございます。  これでごらんになりますと——上の欄は、件数を示したわけであります。下の欄は金額でございます。件数だけについて見ますと、「割合」の一番右の欄をごらん願いたいのでありますが、個人が、件数におきまして二二・二%その次の資本金二百万円未満業者が二二・八%一千万円未満が二〇%、大体客観的にごらんを願いますと、今申し上げました割合の欄の一、二、三、四つ二二・二%から二〇%までの四つ合計いたしますと、八六・六%になります。この保証件数ごらん願いますと、件数から申しますと、中小業者を扱っておる保証契約件数が八六・六%こういうことに相なるわけです。二千万円未満の分が七・一%、五千万円以上のものが、一・一%、件数からいたしますと、この二千万円未満のものを累計いたしますと一三・四%になるわけであります。大体、客観的にごらんになりますと、中小業者利用件数としては非常に多いということが、件数分析でわかろうかと存じます。  次に、下の欄の保証金額でございますが、これも同じような表のとり方をいたしまして、統計数字の分け方は、同じでございます。内容が、件数でなくて保証金額でございます。これをごらんになりますと、一番右の欄の「割合」の数字一つごらんいただきたいのでございますが、件数の場合と同様に、一千万以下をとりますと、これは、大体中小、同じような分け方をいたしますと、これが約四三・三%、それからその下の方の二千万未満のものが以下、九・九%、九・八%並びに三七%、これを累計いたしますと五六・七%、この金額で申しますと、一番下の右の欄をごらんになればわかるのでありますが、中小業者のの方のトータルは、保証金額としては四三・三%になるわけでございます。なお、その大業者と申しますか、大業者の場合でございますと、五六・七%、こういうような数字に相なるわけでございます。結論的に申しますと、保証件数としては、圧倒的に中小業者がこの保証制度を利用いたしておると、こういうことに相なりますが、保証金額といたしますと、まあ大業者の方が相当——大業者の分け方をどこにとるかは、多少問題がございますけれども、相当利用しておることに相なるようでございます。  以上、保証内容分析しまして、利用状況ごらんをいただいたわけでございます。  それから次に、「被保証者別年度別保証金弁済件数及び弁済高」、事故が起こりまして、いわば不履行が発生いたしまして、その結果、発注者現行法の規定によりまして解除する。その結果、保証会社は金を発注者に支払うことになります。その状況を示したものが、この数字でございます。会社別に分けてございますが、これは、全体トータルをして、そして一番下の欄の計をごらん願いますと、おおよその趨勢がわかるわけでございます。試みに一番下の欄の三十四年度状況についての保証金を払ったものは、三十四年度におきましては四件、弁済高は、これは千円単位でございますが、四百八十一万件、公社はございませんで、公団が五件、千三百四十万、地方公共団体が十一件、一千百六十万二千、その他が一件、合計二十一件でございまして、三千二百八十九万円の保証を支払ったわけでございます。  以上、提出いたしました資料について御説明をいたしました。
  6. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは、御質問のある方は、御発言を願います。——それでは、参考人から、順次御意見を拝聴いたしたいと思います。  まず、東日本建設業保証株式会社三岳誠也君にお願いします。
  7. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 何か御質問がございましたらお答えいたします。特別に御説明申し上げることはございません。
  8. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 今までの経験によって一応御意見を拝聴したいと思いますが、それでいけなければ、質問によって一つ……。
  9. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 保証会社ができましてから、ただいま油八年品になりまして、七年半ちょっとこしたところでございます。だんだん成績がよくなって参りまして、三十四年度におきましては、収入もだいぶ多くなりますし、決算血を見ましても、先ほど建設省から御説明がありました通りで、従来よりも、よほど多くなって参りました。実際の利益が、昨年度は一億一千九百万であります。毎年の利益を積み立てまして、それを、実際弁済する場合のいわば準備金にしておりますが、その金額も最高になっております。ただいまのような状況が続いて参りますならば、私どもの方で、よほど成績が順調に進んで参るのではないかと思っております。従いまして、今、私どもといたしましては、業界からいわば借金をしております。保証料を徴収する場合に、保証料の半額に当たるものを保証基金として徴収しておりますが、業界で一番希望しておりますのは、保証基金をさしあたりやめてもらいたい、やめる前には、なるべく早く返してもらいたい、こういう希望でございますから、昨年から建設省承知を受けまして、保証基金契約いたしましてから満三カ年いたしますと全部返すということにいたしております。その金額も、だんだん多くなって参りまして、三十一年度には八百五十六万ばかり返しました。これが三十二年度になりますと二千四百万、三十三年度には五千九百万、この三十四年度から、先ほど申し上げましたように、年に四回返しますが、満三カ年を経過したものを返すという方針を改めまして、二億二千五百万円を返すことができるようになりました。われわれといたしましては、なるべく早く保証基金を返してしまいまして、そのあとで、もし成績がよかったならば、保証料をなるべく低くするようにしたい、一方には、大へんこれは公共工事の発達のためにやるものでありますから、そういう公益方面のことを考えて、一般業者利益をはかっていくし、同時に、公共工事の円満な遂行を助けるように努めていかなければならぬと考えております。もう三、四年いたしましたならば、おそらく保証基金も徴収せずに済むようになるのではなかろうかと思います。配当は、建設省のこの表にありますように、最初八分でございましたものが一割になりまして、この三カ年は一割二分を配当しております。この配当は、あまり増加しない方が、かような会社としては適切ではないかと考えまして、一応一割二分を据え置きまして、今後の推移を見たいと思っております。  大ざっぱでありますけれども、もし何か御質問がありましたら、お答え申し上げた方がよかろうと思いますので、簡単に申し上げました。
  10. 田中一

    田中一君 三島さん、今回の法律改正というものが、会社としてはどうであるかということの御意見を伺っておきたいのですよ。今回の法律改正をお読みになりましたね。——読みになりましたといっても、あなた方が出したのだろうがそれが改正されれば、こういう不便があるとか、こういう利益があるとか——会社利益じゃない、国、被保証者保証者ともに、いいか悪いかというような、一つの結論をお聞きしたい。
  11. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 御承知のように、ただいま保証会社保証をいたしますと、前払い金が出ておりますが、もし請負人仕事を投げ出しまして、実際その仕事をしなければならぬという義務を果たし得ない場合には、発注官庁としては契約を解除されております。そのような場合には、われわれといたしましては、保証金支払いをいたします。しかし、発注官庁は、同時に他の契約によりまして、完成保証人というのを持っておられまして、その方面仕事をやらせられるということがあります。さような場合には、保証会社といたしましては、保証金支払いを免れるわけであります。それは元成保証人の方で、いわばかぶってしまうような格好であります。私どもとしましては、どうも一方には相済まぬような感じがいたします。従いまして、業界方面でも、完成保証人前払金に関する義務を多少軽減してやらなければ無理ではないかという議論がございますし、われわれといたしましても、これはどうも保証会社利益ばかり考えるべきではなかろう、ある程度まで、それに協力していくのは仕方があるまいという形になりまして、それで保証会社の方でもうけた、いわば保証金支払いを免れました金額は、その限度におきましては、どうしても完成保証人が実行いたしました場合に、それにいわば返す意味で支払いをするという法律改正趣旨には、一方から申しますと業界のためになりますし、一方から見ますると、発注官庁仕事を完全に遂行されますし、従いまして、保証会社のできました理由であります保証制度も、それによりまして円満に発達していくのではなかろうかという考えのもとに今回の法律改正に対しましては、大体その趣旨に協力して、改正がうまく参るように努めたい、こう考えるわけでございます。
  12. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに三島さんに対する質疑はありませんか。
  13. 田中一

    田中一君 三島さんに伺いますが、なぜ保証会社ができたか。ちょうど昭和二十七年ですから、どういう社会経済状態といいますかのときに、どういう条件で、こういうものが生まれなければならなかったかという点についての考え方と、現在こうして相当な配当をしているという現状からみて、おのずから保証会社というものはどうあるべきかということが、社長であるあなたの頭には浮かんできていると思うんですよ。何がために、この保証会社がなくちゃならないかということです。
  14. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 保証会社ができるようになりましたいきさつは、私もその当時、政府に陳情いたした一人でありますが、業異において、金融機関を特別に設けてもらいたい、そうして建設業金融難によって困るというようなことが起こらないようにしてもらいたいというのが一つでありました。  もう一つは、政府において、まず大体、ことに農林省関係であるとか、地方庁の関係等では、前渡金を出しておられました。従いまして、一つ前渡金を、もっと出してもらいたい、そうすることによって、金融の道をつけてもらいたい、こういう二つの陳情をいたしておったのでありますが、その双方をいわば一緒にしまして、前渡金を出して、そうすることによって、業者金融の道をつけてやろう。同時に、前渡金を出すというと、大事な税金をもってまかなっておる政府資金が、危険になるおそれがあるから、その点については、何か保証をしてやらなければいくまい。こういうわけで、保証会社というものを作られまして保証会社がそれを保証をしていざという場合には、政府の金に御迷惑をかけないようにしよう、こういう形になってきたのでありまして、その根本の趣旨は、業者に対する金融の道をつけてやる。ひいては建設業が円満な遂行ができるように、完全な施工ができるようにしたいという目標であったかに存じておりますが、従いまして、私どもも、やはり先ほど申し上げましたように、その趣旨に合うように、できるだけ努めていきたいと考えておるのであります。
  15. 田中一

    田中一君 御承知のように、会計法では、前払金はおろか、原則としては、機会均等公入札制によって国の仕事を与える。そうして日本人の個人であるならば入札権がある。ただし、その場合には、その工事に見合う保証金を出さなければならない。それによって、初めてその人間の力といいますか、信用といいますか、完成能力というものが判定されるというような制度原則になっておるわけです。前渡金なんというものは、これはまあ従来の観念から申しますと、古い会計法精神から見ますと、前渡金をもらうということは、請負人の恥辱なんです。  そういたしますと、建設請負業以外の業種というものは、どうしておるかということと比べると、相当大きな特典を持っておるような形の建設業者なわけなんです。むろん会計法上の趣旨というものは、相当変貌されております。ことに終戦後の終戦事務処理に関するいろいろな混乱時代から生まれたところの奇形的な保証会社ということも、国民感情からいえば言えるわけです。そんなものは必要ない。営利事業であるところの建設請負業というものは、自分の力、自分資金自分運用によって、当然委託される仕事、入札された、契約したところの仕事というものをするべきじゃないかということも、純粋な国民感情から言えるわけです。  では、ほかの業種でもって、請負的な仕事をしている者に対する前渡金というものはどうかと申しますと、特例で、ある種のものだけは認めているわけです。予算決算及び会計令臨時特例でもって、これこれのものに対しては前渡金を払っていいという認め方をしているわけです。  そこで私は、相互扶助的な精神があるから、この前払保証会社というものの存在というものは、一応前進した姿のものであるという見方をしているんですが、あなたの先ほどの御意見にあったように、会社成績がうんとよかったとか、保証に対する保証力が増大したということに尽きるのであって、配当なんかあまりしてはいかぬです。配当なんかは、むろんこれは営利企業の形になっておりますが、この事業報告書の中でもって、そこまでのことは、やかましく言っていないでしょうけれども、しかし、あまり大きな配当なんかはする必要はないじゃないかということです。それから他の業種というものは、全部建設請負業と同じような恩典に浴しているかどうかという問題を見ますと、相当保証会社自身が考えなければならぬ点がたくさんあるんじゃないかと思うんです。ことにあなたの月給が十五万だって、これは少ないと思うのです。大体、公務員の給料は少ないのです。むろん国会議員の給料だって少ないですよ。そんなものは、ふところに入るか入らぬかわからぬような金しかもらっておりません。あなたが、ほんとうにこの仕事に対して一生をぶち込んでやろうと思うならば、もっと安心し得るような給料をとってもいいと思う。私は、個人のとる給料に対して云々するのではない。この配当金というものが、あまりふえてはならぬということです——そういう点。しかし、これも現在、国鉄とか、あるいは農林省の農地局等がやっているところの——まあ農地局の場合には、予決令の臨時特例——臨特でもって前払いを出す。この仕事に関しては出してよろしいということになっておりますから、出しております。国鉄は、自分の方の一つの内規によって前払金を払っておる。東京都は、出来高払いに対して、これはあとで聞きますけれども、どういう方法でもって前渡金的な性格のものを払っておるかどうか知りませんが、国が、もし前渡金をそのまま全部出すということになりますならば、この会社は、要らなくなりますね。しかし、要らなくならない面が一つあるということは何かと申しますと、今のこれを利用する諸君が、少なくとも手数料的な金利を払って、基金は別にしても、そうしてそれが積み重なったものが、だれかの間違いに対する、発注者に対する損害を補てんできるのだというところによさがあるのですけれども、一面、この完成保証人というものが、同じような力を持っているならば、またこれは要らなくなってくる。こういう制度は要らないということになるのですね。だから、存在を軽くあしらえるような運用の仕方はあっちゃならぬと思うのです。それから基金なども、この基金は、これは幾らあったっていいと思うのです。しかし、営業成績がよくなって、剰余金、いわゆる利益金がうんとふえてくれば、これは基金も実際に要らぬ。従って、今後の三保証会社運用というもの、それから運用精神というものは、ただ単に私企業と同じような金融機関であるとか、金融保証の機関であるというものじゃなくして、もっと高度のよさというものを目途にしなければならぬじゃないかと思うのです。  そこで、一体今のような成績で進んでいっていいのか、あるいは今の状態でもって満足しているのか、それから、業者が株主であろうとも、少なくとも会社の執行権というものは、あなた方が持っているわけですから、よりよいものを、政府に一々おんぶしないで、よりよい方途を、法律でまかされている範囲のことは、やはり御自分でなさったらどうかという気がするわけですけれども、この点について、将来に対する考え方は、どういうふうにお持ちですか。
  16. 三島誠也

    参考人三島誠也君) いろいろ広範な御質問でありまして、ちょっとつかみかねるところもございますから、申し上げることが要領を得ない点がありましたら、もう一ぺん、一つずつお尋ね下されば、お答え申し上げます。  お話の通り、もとま、公入札は公入札で、公共費用を支出する場合にはいつも保証金をとっていました。しかし、終戦後、大へん金融が逼迫いたしまして、業者保証金を納める力がなくなってしまった、これは、よく御承知通りであります。  そこで、先ほど申し上げましたような陳情となりまして、何とか金融の道を打開しないと、業者が困るばかりではない、これは公共工事そのものに響いてきて、国家に対して、あるいは公共団体に対して非常に御迷惑になるから、それで、どうしても金融の道をつけていただきたいというので、特別の金融機関、銀行のようなものを作つていただきたいとか、あるいは前払金を出していただくというと、金融の道が開けるから、そういうようなことをやつていただきたいということを申し上げたわけでありまして、そういう理由によりまして政府保証会社をお作りになりまして、従いまして、われわれは、これをその会社の運営を担当いたしまして参ります以上は、最初からの、そういう趣旨に合うように運営して参らなければならぬことは御意見通りでありまして、どうしても、ほんとうに公共工事が円満に遂行されるようにやっていかなければならぬ。業者利益もありますけれども、一番の眼目は、公共工事がりっぱにでき上がるということが目標でありますから、それに合致するように努めていきたいと考えておるのであります。  他の業界との金融の比較の問題は私よく存じません。しかし、建設業界では、今申し上げましたような金融逼迫の状況でございますから、それを続いてやりました。おかげで、だいぶ金融情勢がよくなって参りまして、私はその結果、これは数字的に非常にあげにくい問題でありますけれども公共工事は、必ず元よりもよくなっておる。これは、非常に長い年数をたたないと、公共工事——実際やりました土木でも建築でも、その結果が、よかったか悪かったかというなかなか証明がしにくいのでありますけれども、実際よくなっておるに違いないと確信いたしております。  なお運営につきまして、配当なんかあまりやつちゃいかぬ、こういう仰せでありますが、これは、先ほど私も申し上げました通りにもう普通の会社であるならば、どんどん配当も増していけるかもしれませんけれども、私どもといたしましても、そんなに増すべきものじゃないという強い考えでもって、本来、建設大臣の御承認を要する問題でありますけれども、御承認を受けようともはかっておりませんことを御了承願いたいと思います。  それから完成保証人の問題でございますが、私自身は、これは率直に申しますというと、完成保証人というのは、あまり適当ではないのじゃないかという気がいたしております。それは官庁で公共工事について発注をされる場合には、前渡金についてはわれわれの方で保証いたしますが、一体今のように指名入札の場合におきまして、工事も別に保証人がついておって、それがいざという場合には引き受けるという形のものは、どうであろうか。まあむしろ完成保証人はなくって、ほんとうに請負をする人間が責任をもってやる。そのためには保証会社もできておりますから、保証会社の方で必要な点は保証もしますし、国家に対して御迷惑のないように努めていくのであるから、むしろ完成保証人は、ない方がいいと思うのでありますが、まあ当分は完成保証人は廃止する方向になかなか進めないのが実情だと思いますが、これはいたし方ないと思います。業界の方でも完成保証人を廃止していただきたいという陳情もしていただいたこともありますが、お聞き入れいただけなかった。これはさしあたりの問題といたしましては、完成保証人の問題は廃止するのはできないというのが実情、ほんとうであると思いますから、本来ない方がいいと思いますけれども、やむを得ないと考えます。  従いまして、完成保証人があるならば、今度の法律改正のように、完成保証人前渡金についても、いわば保証会社が支払うべき金をかぶってしまって、自分で損失を大きくするというようなやり方にならないようにしないと、この仕事は、どうしても円満に進んでいかぬだろうと、こう考えておるのであります。  まあ大体、運用につきまして、およそ仰せになりましたような方向が、どの方向にあるかということは、私も大体つかめたと思います。そういう御方針には、全く同感でありまして私ども公共工事の円満に進んでいくということに矛盾しないように先ほど申し上げましたように、保証基金を返すということも、会社がりっぱな運営状態になって参りまして大体、かような大きな保証をするのにかかわらず、資本金がわずかに一億くらいでありますから、その足りないところは、保証基金を当分預かっておいて、いざという場合には、その保証基金はくずして政府の金を支払いするという法律の建前になっておりますから、その御趣旨にも合うように、従って、あまり軽率にできませんけれども、相当な自己資本になりまして、もうこの辺で、保証会社としては、どんなことがあっても、まず大丈夫だろうという見通しがつきましたならば、保証金を前渡するという方向に向かって進んでいこう、こういう考え方でおりますことをまた加えて申し上げまして、大体お答えにさしていただきたいと思います。もし不得要領でありましたならば、具体的にお話がございましたら、またお答え申し上げたいと思います。
  17. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に、木曽建設株式会社社長木曽芳郎君にお願いします。
  18. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) 何か、そちらの方から御希望でも……。
  19. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 木曽さん、その保証会社ができましてですね、建設業者としての今日まで、十分御利用なさったいろいろ経験を、一応御披露願いたいと思います。
  20. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) 実は、先ほどもお話にありました通り、一部われわれ業者に対して、こういった前払いができたということは、純粋の国民精神からいって、非常に片手落ちじゃないかというお話がありましたが、この点、私どもも非常にありがたく思っておるのであります。しかしながら、私ども過去保証人の立場におきまして、苦い経験がございますのですが、今回の改正の法案に対しては、まことにけっこうだと思うんですが、一応過去のことを申し上げるということは、非常にこれは変なことになりますんですけれども、その当時、私がある工事をやはり保証いたしまして、その履行請求を受けたときに、すでにそれが八〇%できておりましたのですけれども工事期間というものが余すところ四日間しかなかった。八〇%残っていた残額の金額というものは約三百六十万くらいなんです。これはいかに努力しましても、三百六十万の工事を四日間で仕上げるということは、とうていこれは不可能なんです。そればかりではなくて、それから完成保証人が、それを引き継いでやるについては、当時の保証会社の約款で参りますと、前払金はそっくり完成保証人が使わなければならぬ。なおかつ、四日間でできなければ、これから工期を延期していただく。その工期を延期するについて、遅延利息を払う。またそれまでの保証、いわゆる完成保証人の立場でもってやるときには、よく考えてみますと、前払金ということの意味はないのじゃないかと思うんですね。その場合においてなぜ保証人がやるのに、また延期した保証料まで払って仕上げなければならぬか。これは非常に矛盾しているのじゃないかと思います。これは一応工事契約にうたってありますので、そう言われてしまえば、やむを得ないのでありますが。  そこで、私が特にお願いしたいということは、まあ先ほども三島社長さんが申しましたように、そういったように、政府の現在の工事契約内容では、すべて完成保証人というものをつけなければ、いざその場合になってみますというと、完成保証人というのは非常に不利なんですね。一方的じゃないかと思うんです。何とかして、この点をもう少し検討していただいて、いま少し、いわゆる官庁の工事であっても、もう少し双務的な意味があってもいいんじゃないかと思うんです。こういうことを申し上げたいんです。  ほかに、この改正に対しては、ただいまのところ申し上げたいのは、ちょっと法律的のことは、あまり私詳しいことはわかりませんが、大へん、この改正法案がややこしいのでございますが、私ども、ちょっと見ますとね。それで、この解除できる場合に解除をしなくて、完成保証人にやらせると、これは少しでも完成保証人が有利にできるというような御趣旨は、よくわかるのでございますけれども、ここまで参りましたならば、いま一歩、保証金をこの場合、一度保証会社の方から発注者に返していただいて、そうして完成保証人が完成した暁に、残金とともにいただくという方法にはならないものなんでしょうか。これは私ども、あと仕上げるについては、保証会社に行ってお金をもらわなければならぬ。また発注者からもらわなければならぬ。そこで非常にめんどうくさいことが生じますし、保証会社としても、そこでもって返していただけば、また一々工事を監督しているのは発注者なんですから、余計な心配も要らないんじゃないか、こう思うんです。ただ保証人が着手するときには、すでに前払いという性質はないと思うんです。ところが現実において、履行請求を受けるときは、すでに元請は、もう相当工事期間というものはおくれているわけなんです。そのおくれている状態において、あとの完成保証人がやるときには、すでにその期間では間に合わない。従って、やはり延ばしていただかなければならぬ、その延ばした期間に対して保証料を払わなければならない、これはまた、こまかいことになりますけれども、ちょっと矛盾していやしないか。その意味において、一たん返していただいて、そうして発注者の方から、完成保証人にさしていただくという工合にできないか、それを特に申し上げたいと思います。
  21. 田中一

    田中一君 政府説明を聞くと、一ぺん前渡金というものを払う、保証会社保証して払う、払ったものを、この工事履行ができないために、保証会社前渡金を、保証した金額というものを発注者側に返すと、これは何か国の場合には、国庫に雑収入として収納され、その工事の金ということにはならないで、その工事のものは、翌年にまた別の予算を計上しなければ、その仕事ができなくなるという説明をしておりました。窓口が違ってくるわけです。その工事費として戻ればいいけれども、一度支出したものは、雑収入という形でもって、国庫に入ってくる、従って、その工事費とはならないというのです。だからそれは無理だということを言っていました。だから、こういう制度にしたんだという説明をしていました。  それから、いまの工期が延長する、その期間の利子ですね、保証利子は、どのくらいですか、これはたとえば……。
  22. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) そうじゃないんです。利子の問題は、工事によっては、あるいはわずかな金額かしれませんけれども、ただ意味合いにおいて、完成保証人がやるときには、すでに前払金というものは、元請の方にいっているわけです。完成保証人は、あとの未完成分だけ仕上げるというのは、いわゆる前払金の性質がないのじゃないかと思います。その前払金の性質のないものを、完成保証人が延びた期間だけ保証料を払うというのは、ちょっと矛盾していやしないかと思います。
  23. 田中一

    田中一君 私は、金額のことを言っているんじゃないんです。たとえば十カ月間が工事契約期間だとすると、それが十五ヵ月間になつた場合には、五カ月分は、やはり保証会社保証しなければならぬでしょう、保証金利を要求するでしよう、これは当然です。これは工事完成保証人という、あなたが払うのじゃなくて、その本体が払うという見方なんですよ、元請ですね、契約した者が払うという形になっているのであって、その金の清算というものは、これは別途の問題なんです。当然保証会社が、五ヵ月二期が延びれば、その間の保証利子をもらわなければならぬ、これは当然です、木曽さんが払うんじゃないんです。
  24. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) ところが、この改正案の場合には、これは……
  25. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) この整理のために——あなたが発言なさる場合には、委員長という、こう委員長の許可を得て、発言していただきます。
  26. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) なれないものですから……。ただ、これにおいて解除できる場合でしょう、解除できる場合を解除しないで、やはり保証人にやらしていただくんですから、そこで、本来なら解除できるんですね。解除できるものを解除しないで、完成保証人にやらすというその気持は、少しでも完成保証人に、これを有利にしてやらしていただくというふうに、私は解釈をしております、この改正案は。
  27. 田中一

    田中一君 ちょっとその点は、あとでもって政府から開いて下さい。ちょっと誤解があるようですから。  そこで木曽さんに付いたいのは、木曽さん並びに政府にも、ちょっと参考として、答弁願いますが、一体会計法によって入札をする場合ですわ、今日ではもはや全部が全部指名入札制度、いわゆる指名競争入札制度というのが正しいのか、になっているわけです。指名というのはこれは特定の個人数名です。そうなると、入札制度というものは、一つの限られた範囲の中から最善なる、国の利益、それから発注者利益になるような契約の相手方を選ぼうということになるのです。私は常々言うのですが、これに対して五名なら五名という指名競争入札者があると、これは入札するという、一つの営業です。営業に対して何ら保証がないということが第一の問題だと思うのですよ。おそらく木曽建設だっていろいろ官庁の仕事やつているのでし、ようから、月のうちにどのくらい指名された入札をするための調査、積算というものを見積りをしておるか、そしてそれがたとえば五十見積りすると、そのうちでどのくらい自分のところに落札されてくるか、契約されてくるかということが、大体どんなパーセンテージになっておりますか。
  28. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) 大体十件に対して一件取れるというのがごくいい方じゃないかと思います。最近の状態においては幾らかよくなってきておるように思います。
  29. 田中一

    田中一君 それは指名競争入札の場合ですね。今のお話ですと、これは大へん成績がいいと思うのです。成績がいいというのは、あなたの方の談合が上手だということです。談合というのは、相手方が謙譲の美徳を発揮して、木曽さん、あなたが適当だからあなたがおやりなさいと——談合は不正だとは思っていません。今の商慣習で、どこの業者も話し合いをして藩札をするのが現実なんです。悪いとは思っていない。それが、発注者が持っておる予算というものを知りながら、一億しか持っていないものを、五人なら五人で相談して一億五千万円に上げようじゃないかというのは、これは犯罪行為になります。しかし、一億円か八千万円か知らないけれども、とにかく妥当なる見積りをやって、これなら木曽さんのところが一番安くてあなたのところが適当だから、あとの四人は辞退しましょうといって、木曽さんが仕事契約するということになる。そういうことはこれは業界の美徳です。これは決して悪いことではない。そうしなければならない。しいて言うならば、法律できめたつていいと思うのです。そんなことはできないかもしれないが、そのくらいに思っております。従って、あなたの方で十件のうち一件が落札されるということは非常に成績がいいと思うのです。私の今まで聞いておる範囲では、地方の業者は六十ぐらいやって一つの順番がくる。そこで、そういうことになりますと、保証会社を否定しようという考えであるのじゃないのですよ。発注者は一体何がために五名の業者を指定してそれに見積りを出させるかということなんですよ。これはおそらく最良なる条件で、最良なる技術家、最良なる材料等を発見するために五名という特定の者を指定して、それに見積らせるのだと思うのですよ。少なくともこれは発注者利益を守るためにやつているにすぎないと思うのです。そうなると、あなたがさっきお話しになったように、十件の入札をして一つが取れるといって、取れるか取れないか知らないが、取れるのです。あとの九件の費用はどのくらいかかりますか、見積りをするための費用、まじめに内訳明細を作った見積りと、勘でこの辺だろうといってやる、一枚の白い紙に金額を書き込むのと、五名で話し合って、だれか一人がこまかい見積りをして、君は、何々組は八千九百万、おれは一億、おれは九千五百万というのじゃなくして、予定価格の八千五百万というものが出た場合に、それではちょっともう少しもらわなければならぬ、九千万にしようじゃないかという話し合いの場合には、一晩飯を食って、一晩夜明かしして話をすれば、そろばんが出る。これは費用がかからないのですが、あとの九件をまじめに見積ったならば大へんなことです。一本々々材料がどのくらいで手間が幾らとか、砂利は、神奈川県は夜は通してくれないから、輸送費が高くなる。積載量も五トンなら五トンぎりぎりだ。今までは請負人は六トンでも六トン半でも積んでいたから事故がある。それがなくなってくると、いろいろな意味で単価が上がってくる。そういうものを見積ったりすると大へんな費用がかかる。その費用は発注者は何も見込んでいない。あなた方の犠牲でもって目積りをするわけです。その犠牲的見積りをする費用も、あなた方が自分の労働によって積算をするわけです。それで出ようがないから、話し合いでもってものをしようということにならざるを得ないと思う。そこで、私はこういう制度はどうかと思う。工事完成保証人の点について、廃止したらいいという考えは同感です。しかし、三高さんがおっしゃるように、今の段階では、今の形ではどうにもならぬと思う。先ほど高田君から説明を聞くと、そういうものはしよがないと思うと、五名の特定の業者を指定して、これに対して見積りをさせるならば、だれかが落札契約する、四名が全部工事完成保証人という制度にしたらどうかということを考えている。指名されたということが栄誉であるならば、あるいは指名されたということが、次の仕事をするためのステップとして営業上有利な立場に立つならば、四名に共同に工事完成保証人義務づけるということです。これは当然義務づけられる。そうして前払い保証会社工事完成保証人とは何ら関係がないわけです。工事完成保証人が何名おろうといなかろうと関係ない。少なくとも双方の契約というものができ上がった、その金額に対して許されている範囲の前波金をもらう保証をしようということにすぎないから、関係は全然ないわけです。そういうふうに理解していってよろしゅうございますね。そうなると、あなたが、工事完成保証人というものでひどい目に何回かあったということは、まことにお気の毒に思いますが、今度の改正法律というものがなると、今度は楽になりますね。そういう意味では金がこっちに戻ってきますから。そのかわり保証会社の方は、今までおれは知らぬといっていたのが、継続して仕事をする相手方ができたから、今度は保証をしなければならぬことになる。三島さんの方から、請け負った仕事に対するところの請求権は残るということになる。そうなると工事完成保証人というものと、指名された業者というものが一体であれば、いろいろな問題が解決するのじゃないかと思うのですが、どういうものですか。もし、できるならば、まじめにあなた方が内訳明細を個々に作つて、それに対して幾らかの手数料をもらう、見積り料をもらう、見積り料をくれないからあなた方は談合してしまう。談合が悪いというのじゃない、再度言いますけれども。まじめに見積っていない場合は悪いのじゃないか、それではいかぬというのです。指名を受ける権利、権利はございません。この工事は完成するであろうという見通しのもとに——これも発注者の独断です。国の場合には法律でもって行政権に与えられている範囲内でもって選択しているのが実情なんです。そうして、どの場合でも予算をオーバーして、予算をこえているというような入札はまずないんです、絶無と言ってもいいと思います。まあ八千万、八千五百万のものを一万円で落札するような人もいますけれども、大体同じような見当についていると思うのです。だからその場合には、政府は、発注者は、金は余しますから、若干ずつ余るやつは、また工事を延ばしたり、別の方に流用する範囲の流用の仕方でもって使いこなしているのですから、それならば九件の見積りをするというこの労働と営業に対しては、当然見積料というものは払うべきであるというように考えているのですが、その点はどうお考えになります。ちょっとくどく長く言ったから、理解しにくかったと思いますが。
  30. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) ただいま先生のおっしゃったことは、結局見積料を出すという意味なんでございますか、政府が……。そうですが、そうしますと、出せば……。
  31. 田中一

    田中一君 出せば、四名の者がその工事完成保証人になるということです。
  32. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) これは完成保証人といっても、私ども業界の今までのいきさつでいいますと、現在は完成保証人、まあ官庁工事において完成保証人ということをうたっておりますので、私ども仕事においても保証人は頼まなければならない。また相手も保証してやらなければ契約ができない。契約ができなければ工事ができない、結局営業ができないということになる。そこで保証人の数を多くするということも、私はただいまちょっとはっきりしたうまい案も浮かばないのですけれども、数を多くするということも、これまた、われわれの立場からいきますと、保証いただくということが大へんなんです。いざ事故が起きた場合に、私どもはかつて苦い経験がある。もちろん今までも、おいやってくれと言えば簡単にやつていたんですが、結局一ぺんそういうひどい目にあってみますと、頼む方でも頼みにくい。結局そういった人が数多くなるということは、これはまた自分がもらう立場になったときにもちょっとまた考えなければならぬでしょう。その点もよく御研究をいただきたい。
  33. 田中一

    田中一君 私が言っているのは、指名された業者が全部義務があるということを言っているのです。義務づけることなんですよ。一つが落札しますね、あとの四名というものは、義務づけられるわけです、保証人に……。今のように、あなた頼みにいくでしょう。あちこち頼みにいって、いやという人もいるけれども、あなたの方に借りがあるからそれをやりましょうという人もいるし、あんなのはごめんだという人もいる。ずいぶん仕事契約よりも保証人を頼むのに苦労するでしょう。私もよく知っております、そういう人もいますから。そうして、今あまり金なんか持っていかぬでしょうけれども、お互いの仲間でもってお互いが保証しつこするのでしょうけれども、そういうくだらないことをやめて、義務づけようというのです。共同に、共同というか、一つのものに対して指名された五名が、指名されれば五名とも、だれが落ちてもお互いに保証人になりましようという納米を義務づけるのです。そうしてその約束をして義務づける、それならいいんじゃないですか。
  34. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) そうすれば、お互いがそうなってきますと、保証人の立場も幾らか軽減されるわけですね。保証人になった場合において、結局一人が保証するのじゃなくて全体で保証するというわけですね、指名者が。指名された人は全部保証人の立場になる、そういう先生のお話ですね。五人なら五人を指名して、その一社とつて、あとの四社がそれを保証する、そういうふうにするという意味なんですね。
  35. 田中一

    田中一君 そうです。
  36. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) それでも、幾らか一人が保証するよりも、皆さんで保証するということが、お互いに負担が軽くなるわけですね。
  37. 田中一

    田中一君 負担が軽いとか軽くないの問題じゃないのですよ。指名されて、指名されれば、それがだれが洛ちても保証するという義務を持たせようということなのですよ。木曽が入っているのなら僕は指名をお断わりしますと言えば、義務はないのです。木曾が入ったからおれはごめんだというように指名を辞退するんです、応札しないのです。そういうことなんです。そうなれば、いたずらな貸し借りがなくなっていいのではないかということなんですが、どうですか。
  38. 木曾芳郎

    参考人木曾芳郎君) けっこうです。
  39. 田中一

    田中一君 三島さん、あなたの方で工手完成保証人の何らの関係はないのですけれども、やはり工事完成保証人という制度が、現在のこの法律の上から何ら関係がなくなっておりますけれども、今度の法律改正によって、工事完成保証人というものがあなたの方の業務の範囲に、その文字だけでも今度はのさばっているというか、生まれてくるわけですね。丁半完成保証人制度というものを確認して、工事完成保証人というものの姿というものが今度のあなたの営業の中に入ってくるわけですね。そこで工事完成保証人に対するあなたの考え方はどうですか。
  40. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 今までは、まあわれわれはほんとうにお話しの通り、全然関係もしていなかった。工事完成保証人の選択についても御相談にあずかるわけでもないですし、あと法律関係が生ずるわけでもなかったのですけれども、今度は完成保証人に対して金を支払わなければならぬという場合が起こりますから、それに対しては、契約を結びまして、契約の当事者なるということになると思いますが、完成保証人につきましては、先ほど申しましたように、本来の性質は、完成保証人を頼む場合には、まあ普通の場合には、いわば義理人情で一つ保証人になってくれないかといって頼みにいく。完成保証人の方もそう言われると、そうその経済的な事情を調べるわけでもなくて、ある場合には、語弊があるかもしれませんけれども、軽率に、よし引き受けたと、こう言う。そうしてあとで、いざ仕事がえらくなったから完成保証人がやらなければならぬということが起こってくると、びっくりして、どうも完成保証人責任が重過ぎるとか、いろいろ議論がありますが、私は本来はそういう義理人情でやるというような保証人制度は、今のように進んだ経済情勢におきましては、ほんとうな経済上の理由に共づいた理論的な請負契約にして、やめてしまった方が一番いいと思うのでございます。やめてもらうと、われわれとしましては、もう完成保証人に払わぬで、初めから契約解除されると、きちっと払つて、きちっといくと思うのですが、そういう金をちっとも惜しむわけじゃありません。しかし今度は完成保証人をつけるということは、これはお役所の御都合でやむを得ませんから、これは仕方がありませんから、まあ一つわれわれの方の損害はあるけれども一つその方にお金をお払いして、そうして多少でも完成保証人の損害を少なくして、役所で公共工事をりっぱにやり遂げられるための少しでもよすがにしたい、こういうふうに思います。従いまして、完成保証人がない方がいいけれども、あれば仕方がない、その方で円満に仕事をやつてくれるようにしたらいいじゃないかというのが現在の心境でございます。
  41. 田中一

    田中一君 そこでもう一つ、これから本論になりますが、そうなりますと、今度はあなたの方で、これは悪い例に引いていかぬけれども、木曽さんが元請で契約した、それを三島建設が完成保証人になった。で、その三建設がそれを、あとのけつを割ったあとを引き受けなければならない。と、三島建設に対する工事完成保証人が必要になるわけです。これはその三島建設というものが木曽と同じような仕事を受ける能力を持っているものならば、そのまま仕事をやれるという見通しがつきますけれども、義理人情で保証人になったという場合に、これは発注者があれじゃ困る、これじゃ困るということを思います。言いますけれども、実態というものは、仕事を相当持っておれば、なかなか仕事はうまくいくものじゃないのです。そうして、この法律が成立しても、工事完成保証人に対する工事完成保証人がまた必要になるのではなかろうか、こういう問題がまた疑問が生まれてくるわけです。いいですか。たとえば、先ほど木曽さんが言ったのは、出来高八割だといっている。出来高一割の場合には、前渡金を一千万なら二千万を持ってどっかへどろんしてしまったという場合には、とにかく九割という大部分工事が残っている場合に、これが工事完成保証人三島さんであるから、三島さんの方で保証するけれども、しかし工事完成保証人をつけるというのは、やはり九割残つている仕事をする三島さんに対する工事完成保証人が必要でなければならないという論理になるわけです。これはこの改正法律案には何もうたっていない。ここに問題があると思う。その場合には保証会社はどういう工合に考えるのですか。
  42. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 工事完成保証人がこれから仕事を引き受けて参りまして、投げ出すことも当然あり得ると思います。実力がなくて、大きな工事は引き受けなければならないが、どうもあとはうまくいかないという事例は、おそらく、実際今までも能力があるとかないとかということよりも、むしろ利害関係から、御承知でもございますが、工事完成保証人はあとの仕事を引き受けてもいいけれども、どこの発注者も、請負金額の五分の違約金を払うと仕事を投げ出してもいい、こういうことになっております。従いまして、工事完成保証人は五分払うと投げ出してしまう。そうするとわれわれの方に返って参りまして請負契約の解除により保証金を払っております。これは当然法律上払うべきものであります。しかし今お話のように、工事完成人がやるときにはもう一ぺん完成保証人をつけると言われると、どこまでいっても切りがありません。この完成保証人をまたもう一ぺんつけなければならない。そこまではどうも法律改正の問題としては少し無理じゃなかろうかという私は感じがいたしますが、これは政府の方で御提案でありますから、政府の方でお考えになる問題でありましようけれども、私個人で考えましては、そこまで順々に保証人をつけていくと、そういうやり方はちょっと無理じゃないか。まあ適当なところで打ち切つて、一人だけ完成保証人がやつて、うまくいかない場合には、今度は保証会社である程度の金を支払ってそしていくと、こういうやり方でなければ仕方がないんじゃないか、そういうのが私の考えであります。
  43. 田中一

    田中一君 問題はかご抜け法案なんですね、ここに問題がある。そうすると、なぜ工事完成保証人という制度を主張するかということです。そこに論理の矛盾があるわけです。その工事を完成させるために工事完成保証人制度というものを作つていくから、その工事完成保証人がまた、俗な言葉で言ったら、けつを割った場合には、それに対してはもう御破算でいいということでございますならば、初めから工事完成保証人をつける必要はございません。そこに矛盾がある。私はこの法律改正というものが最善と思っていないのはそこなんです。そこで私が先ほど木曽参考人にも言ったように、指名をするという業者というものは、その工事を同じように消化し得る能力を持つものという認定のもとに指名をするであろうと、連帯工事完成保証人制度というものを採用したらどうであろうかという一つの試案を申し上げたのですけれども、今三島さんがおっしゃったように、一ぺんくらいでいい、あとはどうもしようがないんじゃないかと。そうすると工事完成保証人工事完成保証人ということになる。それはいつまでも切りがない。八割、九割できた場合にはそれは一名でいいだろうと思うのですが、前渡金でもらってすっ飛ぶ者も現に今までの事故件数の中にあるはずです。私一、二知っています。今までの仕事を完成するために無理やりな契約を落札をする。その前渡金によって今までの工事を完成させるのです。仕上げるのです。どっちみち金融上、財政上、穴なんです、これは。そうしてまた次の仕事をもらってそのまた穴を埋めていこうという形でやる、自転車操業的な前払い保証制度というものを悪用する業者が今まであったことは、これはよく私知っております。そうしますと、やはり工事完成保証人に対する工事完成保証人がなくてはならぬということになるのです。第一の工事完成保証人はすなわち契約の相手方が変更されますから、実態としては。そうすると、それに対する工事完成保証人というものをまた発注者側は要求しなければならなくなってくるのじゃなかろうかと思うのです。そうでなければ論理が合わないのです。これは一体どう考えておるのか。ちょっと今の問題について政府意見を聞いておきたいと思います。大事なことだからだめですよ、中途半端の答弁じゃ。ほんとうの腹がなかったらあとでもって答弁なさいよ。
  44. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) ただいまの田中委員のお説はごもっともな点もございますが、私どもといたしましては、今回の改正趣旨におきましては、田中先生のお説から申しますと百パーセントに割り切った解決になってないということはよく承知いたしております。ただ、三島社長からもお話がちょっとありましたように、今までは工事完成保証人が、本来の請負業者が負担すべきものを過分にかぶって、つまり前払金制度による保証金の支払うべき分をかぶっていると、そのために完成保証人が投げ出してしまうと——投げ出してしまうということは、先ほどお話がありましたように違約金を五%程度払って契約解除になります。そういうケースが今度の改正によりますと、完成保証人といたしましては、もちろん保証人というものは、前払金相当額保証金を払えば、全部負担が免れるというものじゃございませんけれども、相当部分の負担の軽減になりまして工事の完成ができると、その分を救ってやろうと……。従いましてたとえば保証人の能力が非常に落ちるという場合に、保証人がこの改正制度によって保証金が払えるということになっても、なおかつ工事を完成できない——保証人の能力からしまして完成できないという場合があり得ると思います。しかし、そのあり得る場合がどうなるかと、さらに完成保証人を必要とするのじゃないかというお説でございますけれども、この点につきましては、その段階は契約の解除ということで、発注者の方は解除して応分の保証金保証事業会社からもらうと、そういうことになりますと、もう完成保証人とは縁が切れるわけでございますから、残工事について新しい契約をする、こういう方法でやっていくより方法がないのじゃないか。さらに保証人をつけるということは、いたずらに工事の執行を複雑化するおそれもございますし、まあ今回の、次の完成保証人の負担の軽減をはかるということによりまして、従来保証人が投げ出しておったケースが相当救われてくると私どもは考えております。まあ大部分は救われてくるのじゃないかということは、完成保証人が大部分工事を完全に履行できるという判断をもちまして、今回の改正を立案いたしたような次第で  ございます。
  45. 田中一

    田中一君 政府に対しては、今の鬼丸君の説明では私は納得しないのです。それでは工事完成保証人制度をおやめなさい。必要ございません。現行の工事完成保証人制度をおやめなさい、あなた今否定しておるわけです。しょせんその工事を、第一回の契約と同じような状態において同じような期間に完全に遂行させようというところに目的があるわけなのですけれども、その元請がだめになったらば、工事完成保証人がそれを引き受ける、しかしそれがだめになったらやめてもいいのだということでは、工事完成保証人というものをつける理由がなくなってくる。やはりせめてもこれが要るのだ、しなければならないのだという義務づけをしなければならないわけです。それは何かといえば、私が最初に三島さんに言ったように、公入札制度ではないということが現在あるのだ、特命の随意契約による場合には、その能力のある者を全部調べて、これは完全にできるという見通しのもとに契約をおやりになるでしょうけれども、この場合でもやはり工事完成保証人をつけているに違いないと思うのですよ。ましてや指名入札制度でやる場合には、それらの五名なら五名、六名なら六名という共同の責任を持たすというような制度でやるならば義務づけるのです。それは今鬼丸君が言っているように、自分でいやになればすぐけつを割ってどこかへ逃亡する、というような者に相当な仕事をやる発注者はいません。機構なり現場なり実績なりというものをもって、整理をするのに一年も二年もかかるというような相当の規模を持った仕事をするのでありましょうから、それが指名される者が共同の義務を持つならば、工事完成保証人制度というものをとつておる今日の目的に合致した事業の完成が望まれるのではないかということなんです。私は逆に今度そう思うのです。これは政府にはまだ会期がございますからゆっくり御質問いたしますが、何かそういう点についてこの法律の盲点があるというような気がしているわけなんですよ。そこで伺ったので、これは政府に聞くのは、きょうは参考意見ですから、いずれこれはゆっくりと質疑をかわします。そこでその点につきましては、三島さんに十分に今までの実態から考えましての意見を、一つできるならば私の手元に個人的でけっこうです、委員会に出していただければ幸いですけれども委員長一つ三島さんから今まではこういう法律改正によってきたる欠陥とか長所というものを、三島さんから書類で出してもらうように委員長から頼んで下さいませんか。
  46. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 三島さん、今お聞きの通り田中君の注文、これを一つもしあなたの方でできますれば一つ参考資料として御提出願いたいと思いますが……。
  47. 三島誠也

    参考人三島誠也君) ただいまのお話、参考資料はどういう……私の意見でございますか、恐縮ですけれども内容をもう少し御説明願いたい。
  48. 田中一

    田中一君 工事完成保証人制度はあなたは要らないというようなことを言っておられましたが、しかし現在の段階ではやむを得ないというようなことを言っておられました。これはしかし矛盾したあなたの御意見なんです。そうでなくて、かくかくだから要らないとか、かくかくだから必要だとか、あるいは今度の改正によってきたるところは、今言う通り工事完成保証人がその工事をするけれども、それをけつを割られた場合にどうするか、その場合には今言った通り違約金を出しますか、私の会社の方では前払金をお返ししますというようなことは、三島さんの御意見というよりも、ほかの会社のなにもありますから、その御意見一つ聞かしてほしいのです。
  49. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 工事完成保証人は必要がないと思うが、今はやむを得ないというのは矛盾じゃないかと言われますが、その点だけちょっと説明さしていただきます。実は必要ないということは私の意見でありますが実際つけるというのは私の方の意見ではないのです。発注官庁が必要というのでつけている。どうも発注官庁の方が私より強いのでいたし方がない。そういう意味で御了承願います。そういうことについて何か会社意見を出すということですから……。
  50. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは前払金を行なっていない東京都の実情について、東京財務局長太田和男君から御説明を願います。
  51. 太田和男

    参考人太田和男君) 東京都の財務局長太田でございます。今、委員長からお話がございましたように、東京都では現在工事請負契約に対しまして前払金制度を行なっておりませんから、その行なっていない理由を申し上げて御参考に供したいと思います。  東京都で前払金制度を設けなかったそもそもの最初のこの法律ができました当時のことを考えてみますと、その当時は東京都の資金事情が非常に窮屈でございまして、この三制程度の前払金を全部工事契約にあたって支払いをするというふうなことは、とうてい実際上できませんので、この制度ができた当時からこれを実施しなかったというのがそもそもの事情でございます。それから今日になりますれば、この資金事情は、東京都の場合は多少好転して参っておりますので、この資金事情の面からだけでこの制度を実施できないという事情は今日ではないと思います。ただ、しからばなぜ今日でもこれをやらないかということでございますが、これは単に前払金制度だけじゃございませんで、工事完成保証人と申しますか、連帯保証人と申しますか、この制度も従来東京都はとつておりません。それを今年の四月から連帯保証制度という、いわゆる工事完成保証引受人というようなものに類した、連帯保証制度を設けることができるというふうに、この規定を改正いたしましたが、その理由を申し上げますと、東京都の請負工事を扱いまする会社——工事人と申しますか、約二千件余登録されております。大体これは建設省でおやりになっている登録基準に準じまして精査いたしまして、段階別に調査して登録をしておりますが、大体二千社以上のものが登録をしておりまして、このうちからおのおのその工事内容によりまして各段階別に入札者を指定いたしまして、いわゆる先ほど田中委員からお話があったような、実際においてはこの指名競争入札の制度をとつてやつておりますが、この場合に、一般業界意見もそうでございまするし、それから東京都議会における論議等もそうでございますが、できるだけ原則一般競争入札でございまするから、それに近いような公正な、機会均等な入札制度をとるべきである、こういうふうな御意見が強いわけであります。従いましてそれに近いような制度ということになりますれば、今申したようにできるだけ対象の希望される建設会社というものの数を広げて参りまして、そうして今度は指名競争入札をさせる場合でも、その指名の相手の数をできるだけ多くする。大体東京都では十社前後のものを一回の競争入札の対象にいたしておりますが、そういうふうなことになって参りますと、できるだけ各建設会社等の経歴あるいは実力序を調査いたしまして、この手業の執行に支障のないような力のある業者を選ぶことに努めておりますけれども、どうしてもその点が従来にもまして数がふえて参りますれば危険があるわけであります。そういう意味におきまして都において必要と認める場合には、連帯保証人をつけることができるということにいたしまして、そうして特にむずかしい工事あるいは工期を急ぐ工事、それから従来官庁の方面の経歴等のない業者が初めてこの入札をする、指名入札等の場合におきましては、落札した場合には念のために連帯保証制度をつけた方がよろしい、こういう考え方から、この四月から連帯保証人の制度をつけることができるような規定の改正をいたしたのが実情でございます。  それで今回の法律改正でございまするが、これに対しては今申したように東京都では、引受人制度もあるいは前払金制度も使用しておりませんから、そういう実態に基づいた意見は申し上げませんけれども、少なくとも公共工事をできるだけ早く。当初の目途金額で完全に遂行したいという考え方から申しますれば、少なくとも発注者の側から申しますれば、この改正はけつこうなことだというふうに考えまするけれども、先ほど来前の参考人からの御意見もございましたように、私どもの方でもあらためて連帯保証制度をとりましても、これがなかなか業者間においては、いわゆる因縁とかあるいは仁義の関係でしていける場合はございましょうけれども、どうも全然関係のない者が、こういう制度によって自分は入札を受けたから君一つ保証人になってくれと言っても、そういうふうにうまく話がつくようなことも考えられませんので、必ずしも業界では歓迎されていないように実は聞いておりまするけれども、しかしとにかく東京都でも、この連帯保証制度一つやつてみたいということで、四月からそのように踏み切ったわけであります。  それからもう一つ東京都で従来行ないました工事請負契約において、どういうふうないわゆる途中で投げられたケースがどのようになったか、ということを御参考までに申し上げますと、昭和三十二年に、これは財務局の経理部で行なっておりまする工事契約だけでございますが、と申しますることは、交通局あるいは水道局というようなところの公益企業なり会計は、別の会計でそれ自体で契約をやつておりますから、勢いそういう公益企業を除きました私どもの知事部局だけの工事件数でございますが、昭和三十二年には二千五百三十三件の工事契約をやりまして、その総会額が百三十八億三千九万余でございます。これに対しまして不履行によって契約解除をいたした件数が二件ございます。その金額が三千六百八十五万円。それから三十三年は件数で申しまして二千八百一件、契約金額が百六十六億六千七百万円、これに対して年間の契約解除件数が三件、その金額が一千五百八十二万円。それから昨三十四年度でございますが、総件数が二千八百五十五件、総金額が百八十七億八千万、契約解除の件数がちょっとふえまして六件、金額が四千九百九十九万円という程度の実績でございます。今申したように新しく契約制度を変えまして、できるだけ機会均等に、そして今までの官庁経歴のない業者等も入れることにいたしました関係もありまして、三十四年は六件というふうに従来よりは総件数が倍にふえております。  こういう関係から先ほど申したように連帯保証制度を一応とりましたけれども、その上にさらに前払金制度を用いるということになりますれば、こういうふうな従来経歴のない、あるいは資力の割合に低い業者の方々も当然入って参りまするし、むしろそういう方々には、これは有利な制度になろうかと思います。しかし反応東京都のように登録業者の多いところといたしましては、かって終戦後の混乱時代、材料等もきわめて払底しておって業者も困難を来たした時分、あるいは東京都の資金事情も非常に窮屈で、いわゆる出来高払い等も円滑にいかなかった時代、そういう際に非常に協力してくれたまじめな業者といいますか、いわゆる官庁経歴のある業者等の意見から申しますれば、そういうような者の方が、次第に実はこの今回の制度改正によって指名を受ける回数も減って参りますし、これはまた落札する機会も少なくなってくる。制度そのものの改善の善悪は別といたしましても、何らかそういう点で自分たちに対する過去の協力と申しますか、仕事に対する都側の方の評価というふうなものが落ちてきたことが非常に嘆かわしい。これは何らかそういうふうな力のある、実績のある業者を優遇する方法はないものかというふうな意見もございましたので、やはりかれこれ考えますと、簡単に一般の新しい業者、あるいは資力の定かでない、はっきりしない業者に対する止揚を有利にするような意味になるような、前払制度をそのまま採用することについては、もう少しいろいろな点を検討してみる必要があるということで、まだこの制度は見送っているのが実情でございます。  大体以上申しまして、あとは御質問によりましてお答え申し上げます。
  52. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に保証会社を利用せずにおいて、特約によって業者に対しては前払金をお出しになっている国鉄の立場について山田君から一つ説明を願いたいと思います。
  53. 山田明吉

    説明員山田明吉君) ただいまお話のございましたように国鉄におきましては、このただいま問題になっておりまする法律制度を利用しておりません。国鉄のおもな諸政工事につきましては、その情負工事契約書の中に、工事履行保証人を二名以上つけるという特約をいたしておりまして、それが工事契約のおもな内容になっておるわけでございます。なお前金の制度につきましては五割以内前金払いができるという内規がございまして、それによってやつておりますが、それで過去の実例を申し上げますと、こまかい件数は用意してございませんでしたが、履行保証人特約を発動いたしました例は、ここ数年一、二件あったと記憶いたしております。  それで先ほどから拝聴いたしておりますと、こういう特別の保証が必要であるかないかという御議論が相当ございましたが、国鉄として考えますと、こういう特約がなくてかりに工事履行ができないとみるときには、もちろん解除できるわけでございますが、まあほかの公共事業もそうでございましょうが、国鉄の仕手が列車を通す、列車の通行を確保するという、従ってそれに関連する工事を完成するということも非常に大きな使命でございますので、単に国鉄に損害を与えないで済ますというだけでなくて、その工事そのものの完全な遂行を確保するという意味で、こういう特約が必要であろうかと思います。  なおこの特約による履行保証人の資格につきましては、当該工事を応札した相手方以上の資力、信用、能力のある業者ということも内規できめております。また前金の制度はございますが、最近は金融事情も、それから業界の資力、資金能力も相当ついてきたせいだろうと思いますが、五割限度まで出すという例はあまりございません。  以上簡単でございますが。
  54. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に保証会社を利用せずに、前払金をお出しになっている農地局の方から一つ説明を願いたいと思います。
  55. 清野保

    説明員清野保君) 農林省といたしましては、先ほどから御議論がございました通り、予決令の特例の第二条第二号、三号及び第五号を利用いたしまして、前金払いの承認要求を大蔵省に行ない、それによって現在工事を進めておることを原則といたしております。この法律の制定当時に私どもの方にもいろいろと建設省から御協議がございましたので、いろいろ検討いたしましたが、農林省といたしましては、基本の考え方は、前金払制度を適用いたしまして工事を進めるというような方針をとったのであります。ただし、地方の事務局が直轄事業等を施行する場合に、この法律による運用をすることを妨げない。あくまでも前金払制度に重点を置き、その保証制度の利用は妨げないというような方向に持っていったのであります。先ほど建設省から御説明のありました通り、仙台農地事務局におきまして、この保証会社制度運用しておる面がございますが、この点につきましては訓育が十分できておりませんが、農林省仕事の特徴、すなわち、特に灌漑事業等につきましては、旱害期前に工事をしなければならない。大蔵省との前払金制度に対する手続が若干遅延したために、そのために仕事がおくれては困る、こういうような場合がございますので、特に寒冷地方である仙台農地事務局におきましては、この会社保証制度運用いたしまして事業を実施しておる事情にございます。  なお、従来の農林省のやっておりますところの制度の問題といたしましては、発注者である国は、受注者であるところの請負業者がその債務を不履行の場合には、工事完成保証人がその工事を実施するような制度をとってございますが、その場合に、工事完成保証人は、当然受注者である元清に対して求償権を発生いたします。この場合に、往々にいたしまして、この求償権が成立しないというような場合もございますが、今回の法律改正におきましては、保証事業会社工事完成保証人に対して前払金を支払うと、こういうふうに從来の制度より三歩前進したというふうに考えられますので、これらの点につきましては、この法律改正案が成立いたしました暁には、この制度運用につきまして、十分検討を加えまして、工事運用に遺憾なきを期して参りたいと思います。
  56. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは東京都、国鉄及び農林省参考人に対する御質問のある方は順次御発出発言を願います。
  57. 田中一

    田中一君 東京都の財務局長に伺いますが、東京都は割合に土木請負関係の汚職がよく伝えられております。こういう問題がないようにという検討は相当、今度東さんが知事になってからも、あの人は割合に清潔な人らしいから努力していると思いますが、二千名の業者の登録、これに対して、あなたの方で今説明されているように、三千件足らずの工事しかないわけです。これはまあ一応十名の指名をするとしても、全部に均霑されるなどということはちょっと考えられないわけですね。そうすると、指名請負人になっているための利益が何かあるのでしょうかね。それが一つ。  それから、発注者の事務担当部局と、それ以外のやはり予算等を察知し得る部局もあると思うのです。いわゆる原案を作る部局ですね、それらの悪因縁というか、そういうものが今まで東京都の数々の汚職を生んでいるという問題等について、おそらく十分な究明をしておると思いますから、制度から来るところの汚職というものについて、一つできれば説明をしてほしいと思います。
  58. 太田和男

    参考人太田和男君) 前段の指名制度をとつていることの利点はどうかというお話でございまするが、確かに、法の建前でありますように、一般競争入札というふうなことにいたしますと、実際において力相応以上の業者がその入札に参加する率が非常に多くなってきようと思います。それからまた事務的に申しましても、何百枚あるいは何千枚というふうな予想される業者に対する見積り説明、現場説明の準備等からいいましても、これは非常に膨大な事務量を要しますので、そういう点ではあまり意味がないではないか。そこで、一般競争入札というその制度趣旨をできるだけ生かし、かつその仕事を発注する立場から申しましても、公正な適正な仕事ができるようにという考え方から、先ほど申したように、二千ほどの業者をその実態によってランク別に整理いたしまして、その中から発注いたします仕事内容に応じまして、業者の経歴なり実力等の適当な者を十名前後選んで、競争入札をさせるというようなことにいたしておるので、共際上の便宜からでございます。  それから第二点の、従来とかく伝えられております東京都のスキャンダルについての予防策でございますが、これは何と申しても、業者の方と関係契約事務を担当する者、あるいは、契約専務に回ってきます前に、ただいま田中委員のおっしゃるように、起案をする、あるいは計画をする現業局の職員と業者との結びつきというものから、これが事前に察知されたり、あるいはそれを提供したり、それによるいろいろな悪い関係が生じてくるということで、昨年のこの改正には、業者を指名いたしまする委員会には、これを計画した、あるいは設計をする現業局の方のその担当者は入れない。現業局の方でも、契約事務を担当しております部長なり課長なりは、私どもの財務局で持っております——私が委員長になっておりまするが、私のところでやるこの名簿による調査実績をあくまでも基礎にして、そうして公平に、同じような業者の場合には、できるだけ同じものは避けまして、指名を受ける機会を多くするような方法による制度でございますが、その選定をする際の委員会の構成に、実際にこれを設計し、もしくは計画しておるような現業局の技術担当の者等は入れないということで、これを切っております。その結果、この制度に対する批判としては、業者の実情に現場監督をして通じておる技術者を選定委員に入れないことが、当か不当かという議論が今庁内で起きておりまするけれども、それはそれといたしまして、いましばらく今の制度で私どもはやって参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  59. 田中一

    田中一君 それから、建設省提出された資料の中にあるのですが、前金払いは行なっていないけれども出来高払いを迅速に行なっておるということが理由になっておりますが、というのは、契約の和子方の金融等も考慮して、スムースに仕事ができるようにという前提から、特に出来高払いを迅速に払うということを言っておりますけれども、これはおくれる理由一つもないはずですね。あたりまえのことなんです。出来高払いで払うのは契約にあるのですから、それは理由にならぬと思う。それで、先ほどの陳述の中にあった、この前払保証制度というものが法律ででき上がったころには、都の方の財政が、財政というか資金事情がスムーズにいかなかった。今はしかしよくなってきておるという説明でしたけれども、この東京都の二千名の方々はそんなに資金が楽に運用ができるというような実態なんですか。私は国の工事をする方の方が力が相当あるのじゃないかと思うのですよ。むろん、この中には国の工事を、指名権といいますか指名される、登録をしている人もいるのでしようけれども、その点はどうなんです。前払金というのは要らないのだという前提は、先ほど言った資金事情云々というもののほかに何か理由があるのか。
  60. 太田和男

    参考人太田和男君) 先ほど私が申し上げました、二十七年のこの法律の制定された当時の資金事情云々でございますが、これは東京都の資金事情が窮屈で——業者の方の資金事情はもちろん苦しかったと思いますが、東京都の資金事情が苦しくて、三割の前払金制度をとった場合にどういう限度で、資金のある範囲で払うというわけにも参りませんと思いますので、一応この制度をとった場合には、総一下契約高の三割程度のものは予想しなければならない。そういう場合に出納長の方の資金事情が非常に苦しくてそれに応じかねるというような事情があったようであります。そこのところを申し上げたわけであります。  それから現在におきまして、資金事情は別にいたしまして、業者にどういう便宜と申しますか、あれをはかっているかと申しますと、まず出来高払い制度東京都でもとつております。大体、工事契約金額できめておりますが、百万円以上から二百万円未満の場合には途中で出来高払いを一回する。それから二百万から三百万未満の場合には二回、三百万から五百万未満の場合の工事には三回の出来高払いをする。しかもこの出来高払いは、その当時の出来高の九割までをこれは一応払うというふうなことでやっております。それからそのほかに、業者が材料を持ち込んでその工事をやる。材料を持ち込んだ場合には立ち会いまして、その持ち込んだ材料の八割までは即座にこの資金支払いをするというふうな制度をとっております。  大体以上でございます。
  61. 田中一

    田中一君 保証会社から三割なり五割でも払ってもらった方が、事務的な整理は楽ですね、現場の方は。出来高払い九割云々というのは通常民間ではみんなやっておりますよ、九割程度のものは。また民間で前渡金を払うのは、信用ですから相対ずくでやっております。  では、この前払保証制度というのはよい制度であるとお考えですか、悪い制度だとお考えですか。
  62. 太田和男

    参考人太田和男君) 先ほど申し上げましたが、とかく資金事情に恵まれない業者の方々の場合には、これは非常にいい制度であり、またこの制度をとるといたしますれば、発注者の立場からいたしましても、これは安心のいける制度でございますので、保証会社による保証がついておりますので、これは制度としては好ましい制度だということは言えると思います。
  63. 田中一

    田中一君 一つ、これはあなた一存ではものを言えるわけじやありませんけれども、いい制度であり、かつまた工事完成保証制度というものをいよいよ妨げないというような、まあまあ消極的な規定に改正されたと言いますか、おそらくそうするだろうと思うのです。安全を期するならばおそらくそうなるだろうと思うのですよ。その場合に、今度の改正割合に実害がなくなりますから……。実害がないということは、何もあなたの方で、一年のうちに二件か三件しかございませんということだから、それくらいの実害はかまわぬのだということにはならないのでございますよ。絶対に実害がないことが望ましい。私も都税を払っているんですから、実害がないことが望ましいと思います。実害がないような制度、共同責任制度ですね、仕事を利用する人たちがみんな実害をなくしているわけですから、これはぜひともとつてもらうようにするのが東知事の善政ではなかろうかと思うので、これは一つ十分御検討願いたいと思います。  あなた何か都議会の方で忙しいそうですから、いずれかの機会に、もう一ぺん都の実際の請負制度工事契約等との問題について伺う機会があると思いますから、私はこれで都の方に対する質疑はやめます。
  64. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 太田君に対する何か質疑はございませんか。
  65. 太田和男

    参考人太田和男君) 最後に言。今の田中委員のお話、十分に一つども検討してみたいと思っております。ただ先ほど申し上げた二件か三件の、途中のいわゆる違約による契約解除の問題でございますが、これは私どもの方としては従来工事完成保証制度をとつておりませんから、その際には解約いたしまして、残工事についてあらためて指名をいたしまして契約をいたしまして、これは完工をいたしております。その際も、先ほど申しました通り出来高払いをしておっても九割しか払っておりませんので、金銭上の実害は東京都の場合には生じておりません。ただその工事が遅延いたしましたことによる損害はもちろんあるわけでございますけれども、金銭的にはこの損害は生じておりませんことを一応申し添えておきたいと思います。
  66. 田中一

    田中一君 次に国鉄に伺っておきますが、この完成保証人を二名つけるというのはどういうことですか。この二名は、あなたもお聞きだと思いますが、だれでもいいという二名ですか。それとも同じように指名入札に参加した者のうちから二名ですか。どういうことなんですか、これは。
  67. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 二名以上ということになっております。それでその履行保証人の資格につきましては——ちょっと本題以外に入るかもわかりませんけれども国鉄の請負に参加し得る業者のランクをABCに分けております。どういうふうに考えて分けておるかと申しますと、全国的な規模の工事をやり得る能力がある者、それから国鉄の組織で、支社という制度がございます、支社の大体地域の工事をやり得る能力のある者、それからさらに鉄道局という組織がございます、鉄道局の管内程度の工事をやり得る能力がある者という三つの資格で分けております。従って各工事についてその工事の規模に応じてこれはAランクの業者一でなければ入札に参加する資格がない、これはBでもよろしいという工事になるわけでございます。それでそのそれぞれの該当の工事で落札者が出るわけでございますDそれで、Aランクの業者しか入札に参加し得ない工事の落札があった際の履行保証人は、Aランクの業者の中から二名以上、それからBランクでありますとBランク以上、CランクでありますとCランク以上、そういうような、能力を一応基準といたしております。
  68. 田中一

    田中一君 二名以上というのは、実体は二名ですか、三名ですか、五名ですか。
  69. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 実体は二名になっております。
  70. 田中一

    田中一君 前払金五〇%払うということは、いつのことなんですか。最近あまりやつていないという説明でしたね。現在の実情はどうなんですか。で、五〇%はいつごろそういう制度をとったのですか。国鉄はそんなに金があるのですか。
  71. 山田明吉

    説明員山田明吉君) この制度は、規則がきまりましたのは、手元に正確にございませんが、おそらく国有鉄道が発足した以後だと思います。それで、その当時、それでは果してそれだけの資金があったかという仰せでございますが、御承知のように国鉄の財政が比較的最近窮乏いたしておりまして、資金繰りとしては決して楽な方ではございません。それで実例として先ほど申しましたように、五〇%限度一ぱい払ったという実例はほとんどございません。それからまた最近には前渡金を支払うという例も比較的少のうございます。ただ国鉄資金事情につきましては、御承知のように全部予算できまっておりまして、従って工事費を使う限度も予算できまっております。それに裏づけの資金といたしましては、まず第一に自己資本でございますが、それに足りないところは借入金をいたしておるわけでございまして、経理当局といたしましては、資金に見合った発注をいつもコントロールしておるわけでございます。まあそういうことで、実情と考え方は以上のような状況でございます。
  72. 田中一

    田中一君 現在どのくらい払っているのです、前払いは。
  73. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 現在前払いを払いましたのは、本年度予算につきましては、私の記憶するところでは一一件、約千六百万円程度であったかと思います。
  74. 田中一

    田中一君 このABCの登録の数、ちょっと知らせて下さい。
  75. 山田明吉

    説明員山田明吉君) ちょっと資料を持っておりませんし、施設局長が参っておりますので、あるいは施設局長が記憶しておるかもわかりませんから、御発言をお願いいたします。
  76. 柴田元良

    説明員(柴田元良君) ただいまの御質問でございますが、正確な資料はちょっと持ち合わせませんので、大体A級が四、五十社だと思います。それからB級が二、三百社、C級が全国でございますが千、全部合わせまして二千近いものだと記憶しております。これは資料でまた整理いたしまして提出してもよろしゅうございます。
  77. 田中一

    田中一君 今あまり前払制度を使っておらぬということを言っていますが、どうです。使ってはどうですか。
  78. 山田明吉

    説明員山田明吉君) これは経理局として申し上げますと、こちらから押しつけて金を受け取ってくれと申すべき筋合いのものじゃないと思いまして、ただ土建業者の方から最近ではその要求が比較的少ないという実情を申し上げたわけでございます。
  79. 田中一

    田中一君 三島さん、あなたに伺いますが、国鉄に参加しているA級四十から五十、B級二百から三百、C級千から二千程度の業者というものは、おそらく、他の工事では、これらの業者は、あなたの方の制度を全然利用しておりませんか。
  80. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 国鉄関係では利用しておる者はないと思います。
  81. 田中一

    田中一君 私の言うのは、国鉄関係工事では、しいてやるものじゃないという見解に立っているから、業者の方の要求がないということか、あるいはそんなことはおれの方は知らないということかしりませんが、法律には少なくとも国鉄がやっていいことになっているのですよ。あなたの方でこの三千程度の業者が他の工事であなたの方の制度を利用しておらぬかと伺ったのです。
  82. 三島誠也

    参考人三島誠也君) どうもその方は向こうさんの十分理由がよくわかりませんから、はっきりとは申し上げかねますけれども、人数から割り出しまして、大きい業者のような気がいたします。そういたしますと、私の方でも保証しておる人と重複しておる人が相当あろうかと想像いたします。その数字をしかとは存じませんから、はっきりとは申し上げかねます
  83. 田中一

    田中一君 これは、山田君、あなたはそういうことを言うけれども、やはりほしいんだよ、してほしいけれども、あなたの方で認めないという態度でいるからこないのであつて、どうです、こういう制度があるのなら、やったら。
  84. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 別に意識的に拒否していることはございませんで、ただ過去において一昨年のように非常に減収をいたしましたようなときに、資金繰りが一時悪いときがございましたので、そういうときにはなるべく出してくれるなというような顔はいたしましたが、現在は一切そういう内面指導もいたしておりません。出てきたものは一応審査いたしまして内規に従って出すべきものは出していいと考えております。
  85. 田中一

    田中一君 これは経理局長の立場と施設局長の立場とおのずから違つていると思う。金繰りは、おそらく大きな業者でしょうから、どこかあっちこっちの大きな仕事をやっていて、融通がつく場合とつかない場合がある。なるべく仕事がかわいいから楽な気持で仕事をしてくれる方がいい、というような気持が施設局長の心境だろうかと思う。そこで、施設局長の心境としては、現在あなたの監督下にある業者はみんな金はだぶついておって、いつでも国鉄仕事ならば飛びついてやるというような業者ばかりなのか。それからあなた自身の立場からこの制度に対する一つ批判をして下さい。
  86. 柴田元良

    説明員(柴田元良君) ただいまの御質問にお答えいたします。国鉄工事に参加しておられます業者の方々が、資金的に決して裕福であったり、まあだぶついておるというような考え方は私どもは毛頭いたしておりません。非常に苦労して仕事をしておられるというふうに考えております。この制度につきまして、先ほど山田局長から御答弁申し上げましたように、私どもはやはり工事を完成していただくということが目的でございまして、金銭的な国鉄の受けます損害をもちろん補償していただくということも考えられるのでございますけれども、特に国鉄工事は線路に接近いたしまして非常に危険な仕事をいたすケースが多いわけであります。こういう所で工事を投げられますと列車の運転も不安になる、非常に問題がございますので、私どもはまず建設省が中心になってやつておられまする登録制度、資格審査、このことを非常にやかましく実施いたしております。選定いたします業者の方々の業態の調査を毎年やつております。これに基づきまして三ランクに分けて業者の方々の御参加願えるという確認をいたした上で仕事に参加していただく、こういうようなことを実はやかましくやつておるわけであります。従いまして国鉄仕事に御参加願います業者の方は能力的にも資力、信用その他におきましても、各ランクにおいて自信のお持ちの方だという判断をいたしておるわけであります。従いまして工事を完成していただくには、信用がおけるという前提に立って工事をお願いしておる。しかし最悪の場合もございます。こういうことのために工事を完成していただける、まあ工事完成の保証人という方二人をお願いすることによりまして、今日まで大過なく完成して参っておるわけでございますので、現在の段階におきましては、私どもは現在国鉄がいたしておりまする工事のやり方で、今後しばらくはやっていけるのではないかというような感じに実は立っておるわけであります。
  87. 田中一

    田中一君 どの請負人でも、建設業者でも、資本の構成から見ても、みんな市中銀行の資金を使ってやつておるのが普通なんですよ。金利の面から見ても、あなたの方の国鉄の方で金のやりくりができるならば、この制度を使った方が経営の面からいいわけですよ。安いですからね。三島さん、安いのでしよう……。ですからほんとうに自分仕事を愛し、仕事責任を持たせようとするならば、やはりいい制度はうんと活用して——もうける、もうけないはこれは別の問題です、いい仕事をさせる、いい仕事を約束された期間内に完成するということが目的なんですから、そういうような制度こそ望ましいのではないかと思うのですが、これは一つ施設局長、ちょっと私もどうも意外に思うような発言をしているけれども、私は、あなたの考えているのは、建設業者の実態ではないと思うのです。一つこれはどうか国鉄内部におきましても十に検討していただきたいと思うのです。  それから、今まで国鉄との関係で何か話し合いをしたことがあるかどうか、三島さんから伺っておきたいと思います。
  88. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 先ほどお尋ねでございましたが、御参考までにまず私ども保証料問題を申し上げたいと思います。保証料は九十日までは日歩一銭でございます。九十日をこしまして二百七十五日までは日歩三厘五毛でございます。それから一年以上になりますと三厘。少し長期にわたって仕事をする場合には平均いたしまして日歩大体五厘、非常に安いもので、おそらく銀行の金利なんかと比べますと問題にならぬ程度ではないかと思います。  それから、国鉄にお願い申し上げたという点につきましては、私も国鉄に伺いまして幹部の方にお願いを申し上げたことがございます。業者も陳情したことがあるようであります。国鉄出入りの業者の方がどういうふうなことを言われたかよく承知いたしませんが、一般的にはそういう陳情をいたしておりますことを申し上げておきます。
  89. 田中一

    田中一君 そのような三島さんの御意見ですが、一つ国鉄で善処して下さい。いい制度を利用した方がいいじゃないですか。これは何も余分の利益を与えないのですよ。いい仕事を早くしてもらうというところに目標があるのですから、そのように一つ考えたらどうかと、これは私の意見ですから、申し上げておきます。  それから、清野さんの方、あなたの方は、この法律によってやつているのでしようけれども、決して今のこの制度を利用することを妨げないということを言っておりますから、実際は利用されておる限度はどの程度になっておりますか。
  90. 清野保

    説明員清野保君) 実際この制度を利用しておりますのは仙台管内でございます。昭和三十二年から三十四年にかけまして件数にしまして平均約十件くらい、請負金額で約一億程度の数字になっております。
  91. 田中一

    田中一君 三島さんに伺いますが、農林省等にもやはり今まで業者の立場から勧奨したことがございますか、ぜひやってくれということを。
  92. 三島誠也

    参考人三島誠也君) 農林省の農地局は、先ほど御説明がありましたように、特別の、予決令の例外でやつておられます。しかし、私どもの立場といたしましては、やはりこちらの保証の方が安全ではなかろうかと自負いたしますから、国のためにも、私ども営業のためから申しますばかりではなく、お願いをしようというので陳情いたしたことが私もございます。まあ農地局の関係の愛知用水公団とか、あるいは八郎潟の干拓事業とか、いずれもまだ今まで出していただいておりませんから、もし出していただくことができれば大へんしあわせであると存じます。
  93. 田中一

    田中一君 今、三島さんのPRに対してどういう考えを持っておりますか。
  94. 清野保

    説明員清野保君) あるいは私個人の見解になるかもしれませんが、従来の制度の一番の欠点といたしましては、受注者と、いわゆる債務の不履行になった場合、工事完成保証人との間のトラブルでございます。そういうトラブルは、現在の制度におきましても、あるいは現在われわれやつております方法によりましても同様なトラブルが起こります。しかし、今回の法律改正によりますと、保証会社責任を持って支払う、こうなりますと、相当有利になると思いますが、現在の段階では、あまり効果がないと思います。ただ国の方で、財務当局からの前払金支払いに関する承認が得られません昨朝の間におきまして、急いで工事をやらなければならぬ、こういう場合が特に農林省の場合にはたくさんございますので、そういう場合には利用してしかるべきだと考えております。
  95. 田中一

    田中一君 これは三島さんの商売に助言もできないから、一つ、こういう制度があるし、かつまた、これを大いに活用して、やはり時期的のいろいろな制約があるでしょうから、工事を安くいい仕事をさせるということの方向に御検討願いたいと、こう思うのであります。
  96. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは、参考人に申し上げます。長時間にわたって御熱心に御発言願いまして、どうもありがとうございます。  それでは、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十五分散会