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1960-04-19 第34回国会 参議院 建設委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十九日(火曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————   委員の異動 四月十五日委員田上松衞辞任につ き、その補欠として東隆君を議長にお いて指名した。 四月十八日委員東隆辞任につき、そ の補欠として田上松衞君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            小山邦太郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            武内 五郎君            永岡 光治君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    北海道開発庁総    務監理官    木村 三男君    北海道開発庁主    幹       佐藤 健司君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設大臣官房参    事官      高田 賢造君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    労働省職業安定   局職業訓練部長  有馬 元治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会に関する件 ○建設業法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会開会いたします。まず連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。ただいま内閣委員会予備付託になっておりまする建設省設置法の一部を改正する法律案につきましては、本日衆議院から送付される予定でございますが、同案につきましては、内容に本委員会の所管とするところに重要な関連を有する事項がございますので、この際内閣委員会に対し、同案について連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。それでは委員長はこの旨内閣委員長に対し申し入れを行ないます。   —————————————
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に建設業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑に入ります。御質疑の方は順次御発言を願います。
  5. 田中一

    田中一君 私は建設大臣が出席してから質疑をしたいと思いますから、さっそく、もう記者会見は終わったろうから連絡をとっていただきたい……。  建設大臣に伺いますが、今回の法律改正によって、建設関係技能者格つけと申しますか、これとともに、一応の検定を行なって、何をしようとするのか、目的が何か。少なくとも義務教育制度というものがあり、一応の教育日本社会では行なわれておるわけなんです。特殊技能というものが本人の意思によってそれを持とうとする場合にはこれはあり得ます。自分特殊技能を選んだために、専門教育機関等にも行くことはありますが、少なくとも法律オペレーターという制度を設けるということは、これによって何かを得なければならぬと思うのです。あるいは身分上の格づけか、あるいは収入の点において特殊な手当をもらえるとか、またはこれによって職業が安定するとか、少なくとも何らかのそれに対する反対給付というものが行なわれるのが常識でございます。前回委員会には建設大臣がおられたかどうか知りませんが、なおさらのこと伺いますけれども、あなたの方の所管している北海道開発庁でも同じような訓練を行なおうとしております。建設省の場合には、もはや昨年本年を通じて、これらの訓練と申しますか、講習を行なって一応の合格者もあったように聞いておりますけれども一体何をなそうとするのか、法律改正によって何をなそうとするのか、オペレーターたるための勉強をして、そうして何を得るかという点について、はっきりしたものを伺いたいと思うのです。
  6. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この検定の効果といたしましては、技術者地位向上が期付される、ひいては工事能律化、また建設工事事故防止から、進んでは建設工事の質の向上等に寄与するということを重点に考えておるのでありますが、ただいま御指摘のように、これによって職業の安定あるいは賃金等特別な本人恩典ということにつきましては、この法律では取り上げておりませんけれども、私はそういうことによって、次の時期にはそういうようなこともだんだんと考えていかなければ、せっかく本人一つ技術検定に合格しても、ただ単に自分技術検定を認められたということだけでは、何ら利益がないということから、そういうことも十分今後考えるべき問題だろう、かように思っております。
  7. 田中一

    田中一君 どうもあいまいな答弁であって、というのは、今次義務教育が六・三の義務教育になっておりますが、今回のこの法律改正によって、あなたの方の直接の部下末端におけるところ建設省並び北海道開発局部下たちは一応強制された形になっておるのです。そうではないのだ、希望者を募っているのだと申しますけれども、そこに何らかの期待というものが持たれなければならぬと思うのです。せんだって官房長は、そのオペレーター資格をとったからといって、それは職階あるいは賃金等に何ら関係はないのであるというようなことを言っております。しかしながら今大臣言葉にあるように、建設工事能率化という点を考えるならば、当然これは、それに対する利益はだれが受けるかということになりますと、やはりその企業者なり事業主体なりがその利益を受けるはずなんです。これに対して反対給付がないなんということはあり得ないのです。これは労働者に対するところ労働強化です。労働者労働によって、余分の利益を生もうということになるという解釈をされなければならぬと思うのです。従ってただ単に教育すればいいのだということだけにはとどまりません。やはり何か考えておられると思う。あるいは職場内における訓練にしても、またこの法律の制定によって、重機械を操作するところオペレーター訓練所というものが私企業として出現するかもしれません。その場合にあなたの考えている日本公共事業なり建設事業というものが国全体の、国民全体の利益のために行なわれておる公共事業です。これらは国が利益を受けるならば、労働力をぶち込むところ労働者が、これに対するところ反対給付を受けなければならぬと思うのです。これ、当然だと思うのです。それらのものが考えられないということはこれはあり得ないと思う。その点もう一ぺん伺っておきたい。
  8. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私がただいまお答えいたしましたのは、おいおいそういうようなことになり得るでしょうということは、まあ請負業者の場合、技術検定を受けた、十分それだけの技術的な地位向上した者に対しては、これはもう自然にいわば能率給というようなことにもなっておりますので、これは請負業者には私は直ちに恩典があると思います。しかし建設省直轄あるいはまた北海道開発庁等従業員については、その検定をとったから、すぐその検定をとった者に対して賃金の面で変えていくというようなことは、これはまあ同じ高校を卒業して、すぐこの検定をとったからそこに差別をつけるというようなことになりますと、なかなかまた、その検定をとらないが、しかし他の特殊の技能を持っておる、この検定以外の特殊技能を持っている者もあるので、そういうような点についての、私どもは今直轄事業等従業員につきましては、この検定をとったからすぐ賃金を上げていくとか特殊な待遇をするというようなことは考えておりません。しかし請負業者の場合には、私は直ちにそれは能率給考え、おいおいに考えて、災害、いわゆる危険は防止されるし、危険度もだんだんと低下していくから、これはもう業者としてはこれ、考えていけるだろう、こう思います。しかしわれわれの直轄事業の場合には、今こういうものは何も考えないで、本人に勉強してもらうということで私は進みたいと思っております。
  9. 田中一

    田中一君 大臣の言っていることは、結局現在国家公務員並びに地方公務員に対しては、別な給与体系があるから、それによっての給与方針で行なわれておるのだ、事実それだけの能力がある者に対しては、当然考えなければならぬということはあなたの頭の中にあると思うのです。たとえばあなた方が専門大学卒業生採用と、同じ年代の者でも高等学校を出た者とに対する採用基準が違っております。むろん国家公務員試験はとっておりまするけれども、やはり国家がきめた資格を持っておる者に対しては、採用する基準というものは高いわけですよ。従って、現在の給与体系というものが別の法律であるから、それに対する給与がなされないのであって、実体とすれば、今日のようなこの資本主義社会においては、当然優遇さるべきであるという考え方は、あなた自身がお持ちだと思うのです。持っていないとは言わせないですよ。そこでたとえば、あなたの方の建築研究所土木研究所の職員が一つ発明をしても、これは法律でその本人発明に対して、国家に属するものだということになっておるものと私は了解しておりますけれども、研究の成果を学位論文として請求する場合には、それは本人栄誉となるのです。建築研究所土木研究所で研究して、それが物として物件化されるような特許等を得た場合には、これは国に帰属するんでしょうけれども、少なくとも理論的な発見、発明というもの、これは学位として本人に付与されておる現状なんです。従って、今日のような資本主義社会においては、これが価値づけられるなんということは当然だと思うのです。国家公務員だから奉仕するんだということでは、人権というものの面から見た場合には、これはあり得ないと思う。余分な労働力を出した場合には、これは当然それに対する給与というものは、正比例した反対給付がなくちゃならぬと思うのです。その点どうお考えになりますか。
  10. 村上勇

    国務大臣村上勇君) なるほど、ただいまの御意見はよく私わかりますが、しかしまあ、この建設省等のように、一定の給与基準がきまっておるところでは、これは先ほどのお話のように、これは栄誉というような点にこれは考えてもらうということは、これが強制的なものでもなし、絶対にこれをやらなければ、この試験に合格しなければ、何かそこに一つの進級、あるいは給与とかいうようなものに対して、影響するとかいうようなことでもありませんし、ともかくも本人の持つ技術のテストをして、それにその称号を与える、要するに本人栄誉でありまして、まあこれ別の場合考えますと同じ採用して、同じ高校卒業して採用した技術の人はそういう栄誉をもらった、その上に俸給も上がった、ところが、事務系統で同じ年次に、同じような資格で入った者は、こういうような技術検定をしないために、いつまでもそれじゃそこに俸給開きができるというようなことでは、これは非常に私ども従業員に対する考え方が愛情がないですね。でありますから、こういうような建設省とかいうようなところでは、どうしてもこれは栄誉だけにしてもらわなければいかぬと思うのです。しかも強制的な、どうしてもこの検定をとらなければ採用しないとか、給与を上げないとかいうようなことを言っておるわけではないのですから、栄誉にとどめてほしいと思います。しかし業界における場合には、同じ検定をとったら、それぞれ同じように入って入社した者でも、その者の技術が非常に優秀であるというようなことになれば、これはおのずから能率主体として給与をきめていく営利会社でありますから、自然にそこに給与開きというものもこれはできてくるのじゃないかと、こう思いますから、あるいは俸給一つの何かをきめていく上において、称号というものが役立つとも思います。しかし、私は、役所の場合は、これはあるいは将来だれがどう考えていくかしれませんが、私としては、現在の場合は、栄誉にとどめて、俸給の点に触れるということ、あるいは特別な待遇をするというようなことは毛頭考えておりません。
  11. 田中一

    田中一君 では、建設大臣は、建設業法改正という形で、労働者のためにこの検定方式というものをとろうとするのか、建設業者並びに公共団体のためにこの法律改正をしようとするのか、どちらです。
  12. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは、私は労働者のためとか、あるいは業者のためとか何とかいうことだけでなくて、国のために……、各事業工事現場施工技術向上をはかるということは、公共事業のためにこういうようなことをして参りたいと思っております。業者がそれによって利益を得る、あるいはその従業員利益を得るかもしれませんし、業者も得るでしょうし、また公共事業としても、国がやれば国としてもやはりいいものができるということになりますから、この点は私はみなに利益があるものと、かように思っております。
  13. 田中一

    田中一君 みんなに利益はありはしませんよ。労働者には何らの利益はないわけです。私は、今日の国家公務員賃金というものは非常に安いと思っております。現行の給与体系というものが世間並み労働者賃金よりも低額にきめられておるから、このような現象が起きるんです。一体、国または地方公共団体仕事をする労働者賃金が安くていいというものじゃございません。これは、高級官吏はいいでしょう、ある年代を経れば、今回のように、住宅公団の五、六人の部長等は、すべて大会社に重役として入っております。末端自分の体を張って、足りないながらも勉強して技能を磨いておるところ労働者というものは、それに見合うだけの賃金をもらわなければ向上はないわけなんです。生活向上はないわけなんですよ。でありますから、今回のこの法律改正によって、大乗的な見地から国がやるんだというようなことは、これは、そういう言葉は禅問答で、当委員会でなくやっていただきたいと思うのです。末端自分の肉体を使ってやっておる労働者というものは、これに見合う賃金だけをもらえばいいのです。余分なことは考えておりません。ことに国家公務員の場合を考えますと、あまりに安過ぎます。職業訓練法というものが二年前に出たときには、当時の大臣石田博英君に、再三再四、民間において、青少年にこれを訓練した場合に、これに対するところ反対給付というものは何か——これは有馬君はあの当時いたかいないか知らないけれども、就労、それを出れば必ず職業のあっせんをしてくれるのかどうかということを質問しても、いや、そういうことは好ましいと思うけれども、なかなかできないと言っておるのです。今の若い方々は希望を持ちたいのです。六・三・三・四制という基本的な教育法がありながら、今日は六・三しかやっておりません。だから専門技術をほしい、そうして少なくとも自分生活を豊かにしようという考え方に立っているのです。おそらく建設大臣の腹の中では、何とかしてそれらの優秀な技術を習得した者に対しては考えなければならぬという考えがあろうと思うのです。従って今度の法律改正というものが、実際に労働者のために希望を与え、そうして生活が楽になるような方向に向かっているという自信があるならば、今の御答弁だけでは足りません。もう少し将来どうあるべきかということ。それから単なるオペレーターだけではございません。有馬訓練部長も来ておりますけれども、今日の建設界というものは、もはや建設業者自身仕事を受けることのできないくらいに飽和状態になっております。率のいい仕事でなければ受けておりません。一面、地方におきますところ中小業者は、破産、倒産が行なわれておるのです。労働者がやはり希望を持つ会社に特に集中されておることは、これはまああなたが御存じの通りです。従ってオペレーターだけの問題を取り上げるのではなくして、あなたが予算をとり、そうして公共事業としてあらゆる面で国の宙をふやすための施策をとつておる責任者として、当然建設労働者全般に対する施策があなたの頭の中に生まれてなくちゃならぬと思うのです。私どもは、この法律案に対して賛成しようという意図も、単に今回の提案されているような、オペレーターに対する検定資格付与等にとどまっておるならば、これらのものに対しては賛意を表わすことはできません。労働省が持っておりますところの今日の訓練方式等は、これから有馬君に伺いますから、大臣は十分聞いておいていただきたいと思うのです。数百の職種というものを労働省がそれを握って、その中にはあなたが所管しておる事業末端に働く労働者技能でございますよ、技能者でございますよ、これらを握って、労働行政一つとしての施策を施すだけで、雇用の問題は何ら考慮されないで、主として事務屋が事務的に検定を行なっているという現状から見る場合には、あなた自身が、そういう何といいますか、関心をお示しにならないことがまことに残念なんですよ。私は鬼丸君から一つ建設大臣に十分に資料を出して、一体二年前に制定された職業訓練法の中で、あなたの事業末端における労働者が何種類あって、それらがどういう実態であるかということをお知り願いたいと思うのですよ。そうして全体の、民間におきますところの、総じての建設労働者、同時に北海道開発庁でも今やろうとしておるところオペレーター等検定を所内でやろうとしております、これに対する御見解、並びに建設大臣は、昨年度、本年度を通じて検定を行ない、資格をやったという若い諸君に対する将来の考え方、基本的な態度を一つ明らかにして御答弁おき願いたいと思います。
  14. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先ほどの御質問の、いわゆる国家公務員、あるいは地方公務員等俸給の問題、これは安いという点については、私はこの問題とはまた別なところでこれは論議すべきことであろうと思っておりますが、ともかくも、この検定に合格して、一つ称号を与えられるということになれば、これを新しく採用される場合でも、これは業者においては、相当違った点数をつけて採用すると思います。労働省で行なわれております大工とかあるいは左官等技能検定等も、これが一、二、三というようなことになれば、これはもう業者能率を買い技術を買うのでありますから、その際に、私は必ずそこに賃金のいささかの開きができてくるのじゃないか、またこれが当然だと思っております。しかし国家公務員の場合は、先ほども申しましたように、一つの、一応現在の現状では、これはまあ栄誉ということでありますが、将来については、その公務員が、それだけの称号をもらって、それだけの資格を持って、たとえば業界に入る場合、あるいはまたその他のいろいろな場合に、優遇、厚遇されるということはこれは当然だと思います。そういうような点で、私どもとしては、ここで一つ資格を与えるということは、本人の勉強したことが資格となって、それがむだにならない、また自分事業を興こす場合も、必ず今の公務員の中からも、それだけの資格を持っておれば、将来りっぱな業者にもなり得る、独立して自分事業もやり得るというような人も出てくると思います。そういうような意味から、そこにこの技術検定の意義が非常に出てくるのじゃないかと思っております。そういうようなことで、まあ詳細にわたっての意見につきましては、鬼丸君の方からお答えいたさせます。
  15. 田中一

    田中一君 私は、あなたの答弁がそう出てくるだろうと思ったのです。それが間違いなんです。今度は、逆に国家公務員の場合、北海道開発庁におきましても、建設省におきましても、現在の国家公務員の立場というものが、一つ一つ技能を得たことによって、賃金格差ができることは、労働者に対するところの正しい対策じゃないのです。今の発言は非常に重大なんです。民間のことに口を切ってあなたがそういう答弁をすると思っておりました。その答弁で、非常に大きな、あなたの部下北海道開発庁労働組合なり建設省労働組合なりがショックを受けるのです。この点は、そこにはまるだろうという予想を持っておったところが、とうとうはまっちゃったのですが、これは重大な問題ですよ。私はそういう格差があり得るということの前提には、生活し得る品低賃金制というものが完全に実施されなければならぬと思うのです。どの公務員も、たとえば月に五万でも十万でも日本国民の一人として、電気関係の三種の神器くらい持てるような労働者生活実態が確立されて後に、あなたの考えておられるような技能によるところ格差等は当然持たなければならぬと思うのです。これは決して資本主義社会ばかりではございません。社会主義社会にも、共産主義社会にも、かかる賃金体系というものが現存しておるのでございます。前提となるものは何かと申しますと、どこまでも生活し得る最低賃金制の確立です。従って今の言葉はどうも不穏当でありますから、はっきりと取り消せとは申しませんけれども、表現の仕方をお変えにならぬと、各労働組合は立ち上がって、かかる制度というものが絶対あってはならないということになれば、幾ら勉強しても賃金が上がらないのが国家公務員現状なのです、それをこれらの技能の収得によって賃金格差ができるということ、あるいは将来採用のときにも、これらの技術を持っておる者が有利な形で採用されるなどという条件があってはならないのです。従ってその点は、一つ建設大臣からもう一ぺん答弁をしてもらいたいと思います。
  16. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これはどうも私の舌が足りなかったかもしれませんが、これは田中委員非常に誤解されているので、私の申し上げましたのは、いわゆる土建でいえば土建業者に入る場合には入って、この検定を取って、そうして一、二、三というような、一等大工というようなことになれば、これは大工さんの場合と違いますが、そうすれば、やはり能率を買うから、業者の場合にはそういうことがあり得るでしょう。先になってくればそういうことになるでしょう。しかし国家公務員の場合にはそういうことはできないから、だからまあ今、現段階においては栄誉ということで、この称号をもらうことは栄誉にすぎない、栄誉にしていただきたい。しかしその国家公務員も、この検定を取っておる公務員が、もしもこの公務員をやめて、そうして業者に入る場合、あるいはまた本人が独立して事業をやる場合というようなことを考えますならば、そういうような別の列にいった場合には、やはり称号を持っておる方が都合がいいんじゃないか、というように私申し上げたので、よしんば検定による称号をもらったとしても、今の公務員法、あるいは公務員給与体系段階から、この人だけに賃金あるいはその他の待遇で優遇した場合には、これはもう先ほど申しましたように、この試験は取らぬけれども、それ以上の得意な、そろばんが非常に達者であるとか、あるいは製図を書けばとにかく非常に製図がうまいとか、こういうような特別な技能を持った人がほかに——みなそれぞれ人間には一長一短がありますから、そこで、これらの人たち賃金差別をするということは、これは不可能でありますから、この称号を取った人は、まあ現段階においては栄誉ということにしていただきたい。ただし業者の場合には、これは業者能率のみを標準にしてやっておりますから、業者の方ではそれぞれその考慮を払っていくだろう、私はこう思っておりますから、その点はあなたと全く私の意見は一致しております。どうぞ御了承願います。
  17. 田中一

    田中一君 ところが同じ政府機関国鉄は違うのです。国鉄給与体系は、国家試験を受け、免状を持っている者に対しては、その技能に対するところ特別手当を支給されておるのです。よろしゅうございますか。一作々年に建築士という称号経過措置によって検定で与えられた、これら二級建築士は、二級建築士に見合う手当というものを支給されておるのが実態なんです。従ってなぜ国鉄はかかる手当を支給するかと申しますと、国鉄が持っておりますところの全部の事業のうち、優秀な技能を持っているという、技術向上に対して希望を持たせようというところにそのねらいがあろうかと思うのです。でありますから、しょせん北海道開発局にいたしましても、運輸省の港湾建設局にしても、建設省地方建設局にしても、これらの諸君が現業的な立場に立つた場合には、おそらくこれらの制度は、働く労働組合の諸君とともに話し合って確立するであろうと考えておるのです。  そこで有馬さんに伺いたいのですが、職業訓練法という法律は強制されておるものじゃございません。東京に数万といわれている大工の中でも、たかだかせんだっての資料によってもわかるように、一級、二級合わせて二万名程度のものです。一体民間においてこの一級技能士、二級技能士という資格を取ったから、今建設大臣が言うように高い評価で雇うというようなことになりますと、これまた問題なんです。国が六・三制のほかに三年間というものを、中学卒業生というものに国の機関技術教育を施すというこの積極さがあるならば、これはわかります。日本の建築労働者の多くは文字に親しまないで、物そのものに自分技術をぶつけているのが現状なんです。いわゆる徒弟制度によって今日その技術が伝承されてきている、保存されてきているというのが現状なんです。ところ労働省職業訓練法には、この程度の、有馬訓練部長がせんだっても言っているように、まあ予算の関係はそうだろうが、この程度以外のものの検定はできませんということを答弁している。そこに労働者賃金の、紙きれ一枚で賃金格差があっちゃならないのですよ。ほんとうの技術の実体というもの、技術というものをほんとうに握って、これによって初めて賃金格差がつけられるならば、これは建設労働者としても認めます。しかしながら職業訓練法に基づくところの一級技能士、二級技能士の紙きれをもらったから賃金が高いなんていう考え方があっちゃならぬのです。ましてや今日の建築学をおさめた大学卒業生でも、大工の持っておりますところ技術なんてわかりやしません。この大工の持っている技術というものを末端のたたき屋だから蔑視するということがあってはならないのですよ。今日日本には大工教育をするというような、技能教育をするというような学校はございません。それが労働行政をあずかっておるところ労働省が、主として事務官がその検定をして、これは文字という媒体を通ずるところ検定です。その方が多いのですよ。せんだっても文字に対するところ検定が落ちた者はもうだめなんだ、第一次の文字によるところの、文字を媒体とするところ検定で落ちたら、もう第二次の試験受けられない、こういうことで、私ども実施して一年間たたないところ職業訓練法の実績を見ても、再び間違いを建設省はこの法律改正によってしてはならないと思うのです。そのために紙きれ一枚で労働者賃金格差をつけ、そうして労働者が権力に従うために、その中に文字の勉強をしただけでそれができるような方途をとつてはならないのですよ。有馬さんから、せんだってからいろいろ伺いました。伺いましたが、せんだっての御答弁じや不十分です。実際に強制法とでもいいましょうか、こうなりますと、これは労働省関係ではなくなってくる。学校教育法になります。所管が変わってくる。だからあなたの技能教育なんていうものはあいまいなんです。ほんとうに今日のように蔑視され、低賃金であり、かつ法律によって賃金をきめられておるところの建築労働者というものが技術向上なんていう希望は持てないのが現状なんです。ここで一つ具体的に伺いたいのは、北海道開発庁の木村君が来ておるから伺いますが、今日北海道では、この法律改正に含まれておるような技能検定の問題、オペレーター技能検定の問題は今日どういう段階にきて、そうしてこれを受けようとするところの八千人労働者との話し合いはどうなっておるか、何つておきます。
  18. 木村三男

    政府委員(木村三男君) 北海道開発局で昨年特殊車両の運転研修会を実施いたしました。これは御承知の通り北海道開発局仕事として除雪、冬季交通対策のために除雪車のオペレートというような問題があって、内地と違った特殊な問題でありますので、そういう観点を入れまして研修を行なったのであります。そこで、今年もやはり別個の講習を計画いたしております。その講習というのは、まあここに申しております検定と直接関係があるという意味ではないということを局長は申しております。  それから労働者といいますか、職員組合等の反響ないしは局との話し合いがどうなっておるか、あるいは特殊な問題でどういう点があるかということにつきましては、はなはだ申しわけないのでありますが、その辺聞いておりませんので、ただいま即答できかねるのであります。
  19. 田中一

    田中一君 北海道では検定拒否の動きがあるように私は調べておるのです。なぜかというと、私はるる建設大臣というか、北海道開発庁長官に申し上げたのは、あるいはこれによってこの検定を受け、認可証と申しますか、そういうものをもらった者ともらわない者と格差が、将来にわたっての条件が今日のバランスを破るようなことがあっちゃならぬ危険を感ずるから、拒否をしているものと思うんです。一方においては、賃金というものは、どうにもならない縛り方をしておきながら、一方においては勉強せい、勉強せいといってしりをたたく、これらのことは労働強化以外にないのでございます。一面建設大臣が言っているように、民間においては一つ技術を習得すれば、それに対する能率が上がるんですから、これに対する給与は与えなければならないのだ、またそれを条件をよくして雇用するということも、建設大臣がおっしゃっているようなことが実態でございましょう。しかし、一面国家公務員はそうはいかないんです。またそういうことを行なおうとする場合には、これまたいたずらにその労働者の間におけるところの混乱があるわけなんですよ。この辺を一体どう考えているのか。そうして建設省があるいは北海道開発庁訓練をし、検定をし、高度の技能を持たした者が、民間に行けば幾らでも高い給料で働けるのだといって、どしどし出ていったらどうなるかというんです。それらとの調整がはっきりとつかなければ、いたずらに法律をもってやることが危険であると感ずる。現在の職業訓練法によるところ訓練ですら、その訓練を受け、その二級技能士の資格をとった者の就労というものは保障されておらないんです。そうして、それが受けようが受けまいが、もらおうがもらうまいが、現段階における賃金では何ら関係がないんです。関係ないと労働大臣は説明しておったんです。何がために腕一本で立っているところの建築労働者等に対して紙きれを与えるかということです。それが国全体の建設技術向上になるかならぬか。それ以上に私は低い収入を持っている層の、実に希望のない、だんだん減つてくるところ技能労働者の中にいたずらなる混乱を招くことが一番危険だと思うんです。その点は一つ建設大臣、はっきりとね、態度をきめ、そうして将来オペレーターだけで、この思想考え方がとどまるものであるならば、私は残念ながら絶対反対しなければならぬ立場に立ちます。そうして、それらが労働者を対象に考えないで、事業主体並びに請負人等を利するためのものにとどまるならば、これは相当考えなければならぬと思うんです。従って、職業訓練法という一つの芽ばえ、思想は出ておりますから、通産大臣が電工に対するところの一切の訓練検定技術的な監督等を持っていると同じように、建設大臣は、自分の所管するところ技能範囲の検定教育、ひいては就労、賃金等にまで一貫した対策を将来立てようという意図があるかないか、ないならば残念ながら私はこれに対してはどうしても同調できません。現に労働大臣が所管をしておるところ職業訓練法にしても、それは有馬君は上手なことを言うけれども、私は実態を知っております。他の機械仕上工にいく青少年は多いけれども、建築労働者になろうというところは少ないんです。千葉県でもしかり、それを職業安定所で、まあまあ機械仕上工は余りがあるから何とか君は大工の方をやれとか左官をやれと慫慂して、ようやく定員に満ちるような状態なんです。私こまかい資料を持っております、全国的に。これは行政官庁で労働行政を見ておるといいながら、仕事実態も知らない。一番大事なことは就労です。これを出れば、ある期間を経れば自分職業につけるんだという、この希望がなければ、それはもう二、年たったらば、もうことに建築労働者というものはなくなって参ります。そこで必要なのは、やはり仕事を与えることができるところ建設大臣が、あなたが国の技術、総合的な利益を国が受けるんだという立場に立つならば、あなた自身がこれを掌握して、これは職業訓練法ができる前にこれを建設省に慫慂したんだけれども、あなた方は一顧もこれに対しては耳を傾けなかった。これは村上さん、あなたではございません、あなたの前の大臣だったか、前の前の大臣だったか、これについてはるる申し上げておっても耳を傾けない。それに対する全体のあなたの態度というものを一つ表明していただきたいんです。それはあなたよく知っているんですからね。鬼丸君がちょこちょこ言うことなんじゃなくして、信念をもって、将来日本の漸減する建築労働者の対策については、あなた自身が松野君、労働大臣と話し合って、希望がもてる職種であるように考えをまとめていただきたい。もし今答弁できないならば、不十分ならば次回に譲ってもかまいません。
  20. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 全く私も御意見ごもっともで、多くの部分に共鳴いたしております。この問題は別として大工にいたしましても、やはり今労働省訓練、いわゆる試験をしておるようでありますが、私の考えを率直に申しますならば今、田中委員のお話のように、やはりこれは優秀な技術を持っておる技術者がこれに対して十分、検定試験等は行なうべきものである、私はこう考えます。労働行政の面は、これはもうすべて労働省にあれしなければならないんですが、鉱山保安の問題が幾年か前に、これを労働省で所管すべきか通産省で所管すべきかという問題がありましたが、その際に私はこれは通産省が所管すべきだ、なぜならばワイヤロープの大きさあるいはその年数あるいは製造所、あらゆる面から鉱山保安というような点については、工業技術院を持っておるところの、試験所を持っておるところの、通産省でやる、そういうようなことでこれは通産省の所管になったのでありますが、少なくともこの技術検定というものは、そういう技術官が、建設省にはその中央地方を問わず、試験官として十分資格を備えた者がたくさんおるのでありますから、その方が私はかえって試験については合理的に行なわれたんじゃないかとも思います。しかし今これは私いろいろ申し上げるときでないのでありますから、まあ現状のままでこれをいかによくするかということについては、労働大臣とよく相談して遺憾なきを期したいと思っております。今回のこの私どもが行なおうとしておるこの問題は、ただいまの御指摘のようなオペレーターだけでなく、将来は道路工事における舗装工事とか、あるいは建築工事における防水工事あるいは衛生工事等についても、私ども十分その必要性を認めております。そうして少なくともこれは非常に労働強化になるようにも考えられる点かあるかもしれませんけれども、私ども労働強化というようなことに考えていないのでありまして、むしろそういう非常にスムーズに技術を身につけることによって、その働く人が楽に、間髪を入れず直ちにすべてがわかってきて、そうして本人仕事上における、むしろ愉快に仕事をやることができるほど技術向上してくると思います。  もう一点は、これは私どもの長い経験から申しましても、今お若いときに二、三年は人間は苦労して、そうして何かを自分が身につけておく、何かを身につけさせてやるということによって、将来その人が非常に大成する、今北海道あるいは建設省の一下級公務員にしかすぎないかもしれぬが、その人が大成して、その中から幾人かの者が必ず大成する、自分考え方一つではですね。ほんとうに人の羨望のまとになるくらいに伸びていく人ができてくる。その人が伸びてくることによって、今度はまたあとに続く者がその人に負けない、その人の今度は模範を永したそれについていこうとするというのが、これが若い人たちの気持であります。従いましてこういう労働者のおやりになっておる検定よりも、もう少し私どもは高度なものをこの際建設省としては検定試験をして、そうして高度なものを作り上げたい、かようなことでありまして、国のためにもなると思いますけれども、国のためだけでなくて、御本人のために私は非常に本人がよくなる、こういうような考え方で、かような法案を提出しておるのでありますが、決してこれを悪用して、国がその者を労働強化によって、本人を苦しめるというようなことはいたしません。それからまた、全然他に採用される場合でも、新しく採用する場合でも、こういうような一つの、同じ高校を出ても、こういう検定試験に合格して栄養を持っておる者は、やはり本人に不都合のない限り私は優先的に、公共団体ばかりでなしに、事業会社においても優先的に採用でき得るものと思っておりますし、私どももまたこの検定試験を通った者を優先的に一つ採用してほしいというようなことも訴えていけると思っております。もうこれは決して国のためということだけでなくて、本人のために、私はこういうような制度を設けるということは必要でないかと、かように考えておる次第であります。
  21. 田中一

    田中一君 現在の労働省が行なっておるところ職業訓練法、まあ一年きりですから、まだまだ成果が出る段階に来てないと思うのですが、今までの考え方では、とうていあなたが満足してるようなものが得られないのです。ことに今ほんとに少ない数の検定を行なって、実際の訓練よりも検定が先行してるんです。一通り全国的に訓練所が一ぱいになって三年たったころに検定やるなら、これは正しいのですよ。たしか三年だと記憶しておりますが、新潟とか大分、それから神奈川なんかは建築科ございません、志望者がないんです。何となれば希望がないからですよ。労働省検定もらうよりも、おれの腕一本でやるというのが多いんですよ。いわゆる職人気質で、労働省でこんなものをされて検定もらうよりも……、そういう思想だから訓練所に入る者がいないんです。建築科はないんですよ、訓練所に。それで御承知のように大工さんは減つております。まあまあ昔の数寄屋とか宮大工とかいう特殊な者以外の大工さんにしても減つておるですよ。現在では若干かつてのような制度でない徒弟制度が生まれつつあります。私は、この職業訓練法の実施によって建設行政に携わる、また建設行政を実施するところ建設大臣が、逆にあなたの完全な仕事が阻害されることがあるんじゃないかというくらいに考えておるのですよ。であるから建設省労働大臣とよく話し合って、もしこまかく分類するならば二十幾つの職種に分かれるような建築というものは総合的技術なんです。大工だけでものができるのじゃないのです。一番大事なのは総合的なマネージメントなんです。せめて各職の、労働省が単一な業種の訓練やっておるならば、建設省はこれを総合するところのフォーマンですね、世話やきを作る、総合的な組み立ての世話やきを作るくらいの熱意を示しなさい。これは一つの道でございます。単純技能から専門技能までのものは今の段階では建設大臣も閣議で承認したんだから、今後はなかなか話し合いも困難……、しかしながら大臣としても十分労働大臣と話し合って、それらの了解はとって、あなた方が主管するようになり、と同時にこれを取りまとめるところの世話やきというか、まあ専門のというか、そういう言葉で表現される職階があるんです。大工の種類にいたしましても野丁場の大工、穴掘り大工もあれば墨つけ大工もあれば建設の大工もいます。仮ワク大工もいます。大工だからといって一律に一つの業種じゃないんですよ。のみとかんながあれば大工だということじゃないのです。今日の近代建築では五種類、六種類の大工がございます。これらを総合する労働省は建築大工だけやっております。これは造作大工があるから建築大工という名称を使っているのでしようけれども、これらをとりまとめるところのアメリカにもこういう制度がございます。取りまとめ役、こうしたものをせめて建設省は置きなさい。これが今日の日本建設工事——どこにしても建築にしても大事なことですが、単純な技能を持っておる者でも、これを取りまとめ組み立てるという教育機関一つもないわけですよ。ましてや学校教育法によるところ専門学校というものは寥々たるものです。従って私はかつて二、三代前の大臣でございますけれども建設省に建設大学を設けろ、そうして理論でなくして実際の仕事を覚えさせろということまで献策したことがございました。またこれらの理想は捨てておりません。大学を出たという人間が大工仕事や左官の仕事一つも知りません。従って私はそうした取りまとめの職長——いわゆる工場でいえば職長です。こういうものくらいはせめて……あなた方のこの今度の業法の改正なんということはまことに残念ながら希望いたしません。単行法で出すべき性質のものです。それらに対するところのお考えはどうですか。労働大臣と話し合うことが一つ、同時にまた現在の職業訓練法の範疇に入らない総合性ある技能者技術家の養成を考えるかどうかという点について伺っておきます。
  22. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私が先ほどお答えいたしましたように、労働省としてもやはり一般的な検定をいたしておるようでありますし、しかし私といたしましては、労働省で十分訓練したその中から、またただいま御指摘のような世話やきとかあるいは棟梁というような部類に属する、一般大工のまたさらに指導的な役割を果たすようなものをきめていく、そういうものを一つまた選り出していくということが最も必要であろうと思います。でありますから、大工ばかりでなく、先ほど申しましたような事業に対する職別につきまして、私は将来建設省としても研修所を大いに拡充強化して、そうしてこれらの目的に沿うようなものにして技術向上をはかる人間を作つていくということを十分考えたいと思いますので、このような法案を提出いたしておるのでありますが、これはほんとうに有意義にこれを生かして参りたいと思います。なお労働大臣等との協議については、真剣に一つ話してみて、そうして私どもはただ単に建設省のためにどうというようなことは考えておりません。それによって本人のためにもなる、また埋もれておるものを少しでも見出してやるということ、そしてそれが結局本人のためにも国のためにもともに非常に役立つようなものを作つていきたい、というのが私どもの趣旨であります。御了承願いたいと思います。
  23. 田中一

    田中一君 では、中央建設業審議会で今日組織されておりますところの建築労働者としては約十万ございます。これらの代表を一つ参加させて、末端におきますところの今日の建築技能実態がどんなものであるかということを——どうも中央建設業審議会には清水とか大林とか、大きな業者ばかり集まって、信用があるから、あご一つ大工さんが集まるものを持っておるのです。労働法によっては直用という形になっていながら直用しておりません。全部下制度でございます。親方が一つ言えば……、形式は直用になっておりますけれども、これは労働基準法違反ですよ、下請がみんな持ってくる。従って末端大工左官等が一言も自分たちの立場からものが言えないのです。地方にありますところ地方建設業審議会、中央建設業審議会等にそれらのもの、末端の腕一本の技能者を参加させる用意はございますか。
  24. 村上勇

    国務大臣村上勇君) こういう、技術者のためにやることでありますから、私は、少なくともそれらの、まあ各種別の代表というわけにいきませんが、大体一番数の多い大工なら大工、あるいは機械なら機械というようなものの代表も中に加えてそういう協議に参加せしめる、そうして慎重な審議をしていくことが最も望ましいと思っております。従って、今後これらのものはやはり経験者としての立場から委員として十分働いてもらいたい、こう思っております。
  25. 田中一

    田中一君 そこで、今度建設省の部内問題ですが、一体だれがそうした二十数種にわたる職種、同じ大工にしても五種類、六種類と広範囲にわたるところの分類された職種に対して専門に当たっておるか、まあ高田参事官があるいは当たっておるのか知らぬけれども、まあ私はまだ十分に、そこまでの調査なりポストを持っておるものとは理解しておりません。だれか一人ですね、あなた方は請け人を頼めばできるという考え方を持つでしょうけれども、今日どこでもそうしたような、今るる申し上げているような技能者が数が減つておるのです。だから職業訓練法という法律で、少しでもそれらの者の希望を満たすような職種として前進させるのが望ましいから、われわれは熱意を持ってあの法律は通したわけなんです。ところが不十分で、訓練よりも検定々々という、検定が商売、検定なんか二年か三年もやったらよろしい、まず訓練です。それが望ましい。検定しなければ金が入らぬ、だから検定するのですよ。検定料五百円、免状料何千円とか入るものだから、それでようやく……、地方がそれをやっておる、それでもって事足れりという考え方有馬職訓部長なんか考えておるのですよ。訓練が主眼でございます。財源を求めるために、いたずらな混乱を労働者の中に巻き起こすというような悪い政治をやっておるのです。従ってこれらの実態というものは労働省考えておるようなものではない、職人の階層というものは。建設省の中に私は一課設けていただきたいのです。文字でなくて伝承されるこの日本の建築の美しさ、建築美。最近の外国の雑誌をごらんなさい。日本の建築様式が至るところに取り上げられておる。ことにアメリカなんか全くのブームです。だれがやっておる——総合的には日本の建築家といいますか、これらを積み上げるのは日本の職人です。ドイツにおいてもその通り。まことに日本の建築のよさというものが、日本人以外の世界の技術者によって再発見されているんです。これを身につけているのが今の日本大工なんです。それこそ収入も生活も顧みずして、自分技術に一本調子にぶち込んでいる職人も多々あるのです。これが多少目ざめてきております。弟子を持つにも持てない、労働基準法によって持てない。そうして、それこそ中学を出たくらいからほんとうに身につけた技術でなければ、よそに目移りしてだめなものなんです。蔑視され低収入のこの職人のあり方は、残念ながら労働省考えているような程度のものでは救われません。私は建設省の官房に一課を設けていただきたい。担当の人間を作つていただきたい。これは建設大臣の権限でできます。設置法には関係ございません。そこまでの腹を持って、日本の谷間の暗い技能者を明るみに出すことが必要でございます。建設大臣のお考えを向いたいと思います。
  26. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 全く御意見通りでありますが、日本のこの古代からの歴史と伝統を持つ、世界的に絶対のまねのできないいいものを、われわれはこれをだんだんと見失おうとしておることは、まことに遺憾であります。機構の問題につきましては十分検討してみたいと思いますが、いずれにいたしましても、そういうものを残すということよりも、これをますます強化して、そうして今日の、これからの日本のこの国のあり方というものを、私どもは十分考えていかなければならぬと思っております。従って、まあ今、私ここで即答はできませんが、これをどういうふうにしていくかということについては、しばらく時間をかしていただいて、私も真剣に考えてみたいと思っております。
  27. 田中一

    田中一君 労働省は一応の検定をする、また職業訓練を施して——職業訓練は三ヵ年です。そして就労については責任を持っておりません。私は建設省は、今大臣答弁のように、熱意を持って、この労働者を掌握するためのポストを作る、あなたの方は建設業者を握っております、請負企業というものがあるから業者を握ればいいが、これからは、技術を守るためにはその労働者の集団というものを、これは認めざるを得ないのです。そうして、取りまとめのできるような高度の総合性ある技術の掌握者を養成すると同時に雇用の問題を考えていただきたいのです。労働省は当然労働者の配置については責任を持つはずでございますけれども、少なくとも建設労働者に対しては関心をお示しになっておらない。当時の労働大臣石田博英君も、これに対しては何らの手を施すことができないということを、私は答弁から印象を受けております。仕事を握っているところ建設省は、少なくとも、一応中央建設業審議会等を持つほかに、雇用厚門の委員会くらいをお持ちになっていただきたいのです。雇用の問題を考えると、現在は非常に不十分です。そうして職人が足りないのです。一体日本建設労働者は、幾らあったらいいのかという問題から出発しなければなりません。そうして今後日本に行なわれるところ建設事業というものが、どう発展すべきかということも考えなければなりません。  これらの問題等につきましても十分に、行政を主体考えるのでなくして、事業主体考えていただきたいのです。建設業者というものは、請負業者です。営利企業でございます。従って、その傘下に入るところ労働者実態というものを十分お調べになり、それらがどのような形で雇用されるのが一番正しいのであるか、先ほど建設大臣が言っているように、一ぺんの検定で免許状を出す、労働者に対しては、紙きれ一つでもって、その労働者を評価してはなりません。実態というものを知り、そうして片づけなければならぬのです。そういう制度が、学校教育法で持たされる場合には、これまた学校という一つの過程を経た者は認めましょう。しかし、現在職業訓練法に基づくところ技能検定とか、これらのものは、何ら価値のないものでございます。受ける者は、受けてよろしい、受けない者は、受けないでよろしい、それらは、何ら賃金には関係ないということは、当時提案者である労働大臣は、はっきり言明しております。速記録をお調べ願いたいと思うのです。  そこで、受け入れ側に回っておりますところ建設大臣は、これらに対する後の、職業訓練法で足りない面を、どうか受け取っていただきたいと思うのです。それに対する御所見を伺います。
  28. 村上勇

    国務大臣村上勇君) まことに私は、当を得たけっこうな御意見だと思います。少なくとも労働省検定に合格した者、あるいは一級、二級という段階をつけた者は、どこの職域に行っても、それだけの価値で買う、買うというのではなくして採用するというように、権威あるものであろうと思いますが、そういうような人たちの今後職域、いわゆる雇用の問題について、十分考えていかなければ、せっかくの検定を取っても、宝の持ちぐされになるおそれがあります。その点を私ども、十分に今後考えて、それを実行に移していくことが一番大事だろうと思います。  でありますから、建設省は、別に労働省のおやりになっていることについて、これを建設省が、どうこうということは申しません。労働省で、十分訓練していただいて、それで、それに対して、検定は権威ある、どこに行っても、十分高く評価されるような権威あるものをやっていただきたいと思います。で、この法案にある建設省の所管に関するものに対しては、十分、以上のことを私は念頭に置いて、そうして本人のために、どこへ行っても間違いのない、十分受け得られるような検定方法を講じて参りたいと、かように思っております。
  29. 田中一

    田中一君 この法律案にある技術向上、これを裏返すと、機械化という点につきましては、どういう見通しを持っておりますか。  たとえば、おそらく労働省職業訓練法の中にも、そのワクを、有馬君かっぱらってしまつたけれども、ブロック法というのが、おそらくあると思うのです。私、最近考えておりますのは、いろいろこの、何と言いますか、ちょっとアメリカで、最近盛んにやっておりますところの化学、——何かそのビニールのようなもので作った建築なんかもあるのです。これは、一つの合理化の問題でしようけれども、それから機械化、材料を使って、どうするかという問題、それから機械化の問題ですが、これを見通しを立てていただきたいと思うのです。今建築ブームでもって、なかなか住宅が足りないといって、わあわあ言っているから、大工さんも需要があるかもしれないけれども、次の段階どうなるかわからぬです。  最近私がびっくりしたのは、八階建ての何と言いますか、あそこの晴海阜頭に八階建ての鉄骨ブロック建ての建築がようやくでき上がったのです。小野田セメントが、自分の中央研究所というものを作つておりますが、これを見てびっくりしたのです。れんが積みなどというものは、日本のような地震国では不向きであるといわれたものが、八階建ての、全部ブロック積みの建築ができているのです。  従って技術向上、あるいは機械化等は、どの程度に考えておるか、これは建設大臣、建築学界にまかせればよろしいという性質のものじゃございませんよ。少なくとも公共事業を主管しているところ建設大臣は、建築石一つの積み方にしても、当然研究すべきであります。これは建築研究所土木研究所でやっていると思いますが、たとえば重機械の方にいたしましても、道路にしても、何にしても数々ございます。これらに対する見通しというものを立てなければならぬと思います。そうして、その見通しに立って訓練のやり直しをするのです。労働省の方では、上っつらのものをやっていただけばけっこうです、専門的なものは、あなたがやると言うのだから。まず第一には、労働省検定した二級技能士、一級技能上等を、より多く社会のために働かすために、機械化等の見通しをお立てになること。そうしてこれに再訓練を施すという道があるのでございます。  それらに対するところ考え方一つ何つておきたい。これは、建設大臣あまりお詳しくなければだれでもいいですがね。
  30. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 建築にいたしましても、あるいは道路、またこれに伴う橋梁、トンネル、あらゆるものが、今後もうすでに、十年前とは全く隔世の感があるほど進んで参っておりまして、ほとんどもう、今機械化によらなければいわゆる採算もとれないというような事態になっております。これが、今後はより一そう強化されて、非常な機械力というものが、各方面の事業に用いられるということは、これは、もう当然であります。  従いまして、そういうようなその際に、何ら役に立たない、機械の性能も知らなければ、機械の動かし方も知らないというようなことでは、やはり危険も生じてきますし、また能率の上からも非常によくない。で、これらの機械を動かす、いわゆる先ほど申しましたような世話役というようなものを、それらを指導していくというような者を、私どもはこの技術検定によって養成していきたい。本人みずからそういうような気持になって、勉強してもらうということを考えておるのでありますが、将来の機械化につきましては、今後の事業の規模等もありましょうが、私は、機械化による以外ないもの、また、現在の私どもが全く不仕合わせな社会生活を送つておるためにも少なくとも人間が、自分の力一ぱい汗水たらして、モッコをかつぐというような時代は、もう遠い昔の夢で、今後われわれは、私ども労働者に至るまで、ほんとうにそう重労働でなくて、機械に働かして、人間は頭を働かせるということで、すべての事業が完遂するような時代にならなくちゃならないと思いますので、ことさら、こういう技術検定等の必要もあろうと、私はこう思って、将来に向って、どうしても必要なことである、こう考えております。
  31. 田中一

    田中一君 国土開発青年隊は、これは法律に載っておりません。行政措置で、予算化しておるのですね。法律はありませんね。だから、今私が、るる申し上げておる点も、これは当然、建設大臣が熱意を持っておればできるのです。そうして初級の訓練は、労働省におまかせしましょう、この段階がくればやむを得ぬから……。中級、上級の専門的な技能者訓練は、建設大臣がやっていただきたいのです。国土開発青年隊と同じような形でもって可能なんです。しかし、できるならば青少年に希望を持たせ、そうして非常なテンポで進んでおりますところの建設技術に歩調を合わせるために、単行法をお出し願いたいと思うのです。  そうして、これには何とかして就労の面にまでも、建設業法を押えておる建設省でございますから、配慮するような道をはかっていただきたいのでございます。これについて一つ建設大臣、あなたはまだまだ大臣やっておられるから、一つ三十六年度の予算の編成等にも関係がございますから、腹をきめて、一つ答弁願いたいと思います。
  32. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先ほどから申しておりますように、一般の、従来のような検定の方法よりも、もう少し高度なもの、そうしてそれが、今後の時代に合っていくものというような立場から、私は、この技術検定をいたしたいと思っております。  従って、立法措置によらなければできないとすれば、その点についても、研究をさせたいと思っておりますし、なお、そうして、よしんば、そういうような措置ができたにいたしましても、本人が就労の希望もない、ただ単に称号だけ与えられた、技術は身についたが、行き場がないのだというようなことでは、これはもう、せっかくつけた技術も、本人が、むしろ別な方向にいくおそれもありますし、その人たちを、より以上に伸ばしていくためには、私はどうしても、希望を持たせなくてはいかぬ。希望を持たせるためには、各業界に、それらの人たちに十分折紙つけて、雇用関係をスムーズにはかつていくということが大事だと思います。生活の定安なくして、幾ら技術を身につけるといっても、これはもう、言う方が無理だと思いますので、それだけの措置を、時代々々に必要なものを作つて、十分それが雇用の心配のないということに、私はもっていきたいと思っておりますが、それに対する必要な措置がありますならば、十分検討した上で、積極的にこれを推進して参りたいと思っております。
  33. 田中一

    田中一君 そこで、この法律には、今回の改正法には、検定だけを取り上げているんです。訓練がないんです。この訓練がないことは、今の今まで建設大臣が言っていることが、意思がないというふうにとろうと、私は曲解しようとするんです。  そこで、これは、訓練も含めた修正をしてみたいと思うんですが、これに対する見解は、どうですか。検定訓練訓練の文字が入らなければ、今まで、るる建設大臣の御答弁の中に、誠意がないと見なければならぬと思うんですが、この点、どうです。
  34. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは、特に学校を設けてやるとか何とかいうようなことになりますと、この文部省の関係にもなりましようし、私といたしましては、十分自力で、今まで勉強してきている人、あるいはまた労働省訓練所で優秀な技術をおさめた者、あるいはまたその他の各業界において、大学は出ていないけれども、大学を出た人よりも以上な実地を身につけているというような人、こういうような人が、ずいぶんたくさんおるのでありまして、それらの人たちを、これを検定して、一つ称号を与えて、これを伸ばしていきたいと思っております。  なお、また、建設省としても、研修指導を強化いたしまして、これらの希望ある者は、十分委託を受けて、行政官庁にある者も研究をして、その技術を身につけさすというようなことで、あらゆる方面から、これらのすぐれた者を見出していきたい、かように考えております。
  35. 田中一

    田中一君 それでは訓練という修正は、お好みにならないというわけですか。もし、それができないならば、開発青年隊と同じように、行政措置で、その実をあげるというような答弁ならば、せっかく衆議院を通ってきた法律なんでありますから、あえて修正しなくてもよろしい、行政措置で、その実をあげるという言明を得られるならば、了承いたしますが、御答弁願います。
  36. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) オペレーターの養成訓練につきましては、従来部内の職員のオペレーターは、当然養成訓練ができますことになっておりますし、実施いたしております。今回お話のような御趣旨で、民間希望者を募りまして養成訓練する必要があろうと考えられますから、ただいま提案されておりまする内閣委員会で御審議中の建設省設置法の一部改正におきまして、委託に基づいて建設研修所が、オペレーターの養成訓練を行なうことができるように措置いたす予定でございます。
  37. 田中一

    田中一君 最後に一つ伺っておきます。  もう、この辺でやめますが、御承知の建設業法は、二十六年でしたかな、五年でしたか、出たときに、一応、請負業というものの金額を政令で押えました。それは三十万円以上を請負業の業務とする、こうきめてあるんです。従って、国税局では、事業税の対象とするものは、一件三十万円以上の請負工事をもって、これを対象としておりました。二十九年でしたか、それを、実態にそぐわないというので、五十万円に伸ばしたのでございます。ところ現状においては、もはや百万円の工事といいますと、住宅金融公庫の工事、整地等も入れますと、約百万円になります。従って、これは大工さん一人で適当にできる仕事なんです。でありますから、おそらく国税庁も、実情に対する理解もあると思いますから、百万円まで限度を上げて下さいということ、これは、もう請負なんという性質のものじゃないのです。いわゆる請負業の登録を受けておるものがいたしておりません。たかだか十五坪やそこらの仕事はしておらないのです。それは、二百戸とか五百戸とかとまとまりますと、する物好きもあるかもしれませんが、今のような建築ブームの時代には、全く町の大工さんが、これをやっているのです。請負の範疇に入らないのです。  従って、これを百万円まで限度を上げていただきたい、この点については、官房長なんかも、十分に知っていると思います。従って、それに対する見解を、大臣、言えばいいのですよ、ちょっと政令を直しますと。政令ですから、あなたの権限ですから。なおその問題については、国税庁とも打ち合わして、必ず実態に合うような限度の引き上げはいたしましょう、という答弁を受けたいのでございますが、その点、いかがでございますか。
  38. 村上勇

    国務大臣村上勇君) まあ大体、常識的な御質問でありますが、一応ランクを上げていくということになりますと、中央建設業審議会等にもちょっと相談した上で、今の御趣旨に沿うような方向に持っていきたいと思っております。  私は、もう今のこの段階では、百万といったって全く微々たるものでありますからそれが常識だと思います。一応相談するところは、多少相談しないと、全然、何も相談なしにやりますと、あとで何か、いろいろと問題が起きる場合がなきにしもあらずですから、一応相談して、御趣旨のように、私はやりたいと思っております。
  39. 田中一

    田中一君 清水建設なんという、ああいう会社は、一日一億円消化しているのです、一日一億円。いわゆる三百六十五億円以上の建築工事をやっているのです。これは、もう話にも何にもなるものじゃないのです。人間は、どうか、人間、たくさん動いておらない、従って、もう常識なんです。ですから、今あなたの答弁で、一応今のところは了承いたしますが、そのかわり、その中央建設業審議会に、必ずそれらの代表を一、二名入れることをお約束していただきたいと思うのですよ。一方的にきめられては困るのです。それらの層の代表の意見が入らない審議会というものは、あなたのように、ほんとうによく理解をもって、労働者生活労働者実態に対して理解をもっている大臣ならば、必ずそれらの意見を聞かなければならぬと思いますが、発言の機会は、中央建設業審議会でございますから、それをあなたは、必ずその代表に入れて意見を聞いて、ということに理解します。  同時に、また税等のこともございますからこれ、事業税だって、大したことございませんよ。実態においては、こんなもの、三つか四つに割ってもいいのです、百万円のものを。あるいは形式としては、実費精算の形でもってやってもできるのです。こういう合法的脱法的なところ労働者を追い込んじゃいけません。明文化すべきであります。  この点は、同時にまた、国並びに公共団体と契約をする場合においても、それらのものが、どうしても請負契約というものを締結しなければならないんです。——国並びに公共団体の場合にはですね。これは制度が悪い、実態というものは、何ら請負じゃないんです。そんなものは請負でないけれども、現在の会計法からきますと、どうしても請負契約というものを結ばなければならないんですよ、ほかの形式じゃ、国が認めておらないんです。従って地方公共団体も、その他の形式は認められないんですね。だから、まあこれは国も税金をうんと取ろうと思うから、そういう形式を大蔵省が持っておるのかもしれませんが、実態にそぐわないということを、もうあなた、今お話のように御存じなんですから、その点は、それらの階層の意見をも含めた——というか、審議会の委員として入れて、これも政令で、大臣の権限でございますから、それらの点も、十分にお認め願えるものとして了承いたします。  そこで、有馬さんに伺っておきますが、私がるる、こうして建設大臣に、いろいろな質問をしておるのも、全くあなたの方で、所管しておりますところ建設関係労働者の将来を心配するからなんでございます。どうか一つ、あなたの役目は、法律には、なるほど検定という事項はございますけれども訓練を重点に置いて、どうか青少年に希望を持たすような方向に進めていただきたいんです。  まあ三十五年度程度は、一つ検定なんていうことはおやめになって、そうして、財源は別の方途でもってお求めになるようにお願いしたいと思うのです。そうしてあなたの方に競合しないような一、二の問題について、建設大臣希望しておきましたけれども、これに対する労働者のあなたの見解としては、どうお考えになりますか、一つ最後に伺っておきたいと思うのです。いろいろ申し上げたために、そういう訓練、そういう検定は、おれの方でするよと言っては困るんで、一つ伺っておきます。
  40. 有馬元治

    説明員有馬元治君) いろいろ有益な御意見をいただきまして……。私どもも、訓練検定をやる基本的な立場は、必ず産業省と、技術官庁と、密接な連携をとつてやっております。建設関係の職種のみならず、ほかの職種についても、すべて同様でございます。  特に建設関係の職種についての訓練検定は、あげて建設省の御協力を得てやっておりますので、若干御心配になり過ぎた面があるかと思いますが、その点は、今後ともわれわれ建設省と、十分連絡をとって先生の御心配のないように運営して参りたいと思います。
  41. 田中一

    田中一君 北海道では、これは北海道開発庁長官に伺うんですが、先ほど木村監理官が言っておるように、建設省の各地建が行なったと同じような訓練検定を強行しようとしておるんです。だいぶ強い反撥があるようで、その心配はいろいろあると思うのですが、これらの点を十分に御調査の上、一片の通牒で、それを強行しないようにしていただきたいと思うのです。すべて理解の上に立って実施していただきたいんです。  それで、今、木村君の方で、何か情勢がおわかりになったらば、おわかりになったでけっこうですが、それを答弁していただきたいと思うのですが、まだわかっていなければ、その点については、一つ実態を御調査の上、無理のない形でやると、そうして、一番最初に言っているように、それが職階、賃金、それからひいては、全体の勤務評定的なことであると、これまた問題がこじれますから、両面の影響というものを——両面というのは、しなければならぬという面もあるのです。それが勤務評定的な要素にならなければならぬという面もありますし、なってはならぬという面もございます。少なくとも不十分なる国家公務員給与実態から見まして、それらのものが、将来に対する勤務評定的になってはならぬと思いますので、その点を、十分に実態を調べて、大臣とも相談してお取りきめ願いたいと思うのです。今答弁できれば、その答弁を伺っておきます。
  42. 木村三男

    政府委員(木村三男君) 北海道の特別な事情といたしましては、オペレーター等技能系統の職員が、非常に数が少ない。そういう関係もございまして、いわゆる講習の方はやっておりますが、検定という問題になりますと、不合格になった場合、どうするかとか、いろいろな心配もありまして、その点、局と組合側と、いろいろいきさつがあったようでございますけれども、その内容、具体的な問題につきましては、残念ながら、私ここに、十分にお答えできる調査はできておりませんので、御指摘の点をよく考慮いたしまして、上司と相談いたしまして、遺憾のないように取り計らいたいと思います。
  43. 田中一

    田中一君 木曜日に委員会を持つ予定になっておりますから、それまでに一つ、御答弁願いたいと思います。
  44. 木村三男

    政府委員(木村三男君) そのようにいたします。
  45. 田上松衞

    田上松衞君 ようやく審議が軌道に乗って、核心に触れたところで十二時半になって、まことに残念だと思うのです。ただ、これ以上くどいことを申し上げると御迷惑だと考えますから、ただ考え方の点だけを、基本的な問題だけをお伺いしておきたいと思うのです。  一体建設業法の一部を改正する法律案、これについてむしろ国民が納得し、あるいは要望し、歓迎するというゆえんは、提案の理由の第二に記されてあるところの、最近における技術の進歩に即応して、建設工事施工技術を確保し向上せしめる、私は、これが目的のはずなんだと思うのです。ところが、どうも今までの政府側の答弁を聞いておりますると、主客転倒といいますか、本末逆といいまするか、ただこの問題は、検定だけのことを取り上げているのですね。言いかえるならば、建設業者の登録条件を整備しよう、そういう形で出ておるような気がしてしょうがないのです。答弁を聞いておれば聞いておるほど、重要な、大きな主目的についてのものが、まあそういうあれだったら考えてみようというようなことになってしまうわけです。  そこで、私の理解しあるいは希望したい点は、あくまで主目的は、こういうことであって、今の第一段の問題、すなわち検定と称するようなものは、この主目的の単に一つの手段にすぎないのだと私は理解したいのですが、そうとつて差しつかえないですか。
  46. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 全くその通りであります。
  47. 田上松衞

    田上松衞君 そういうことであれば、一応聞いておきたいのですが、検定によって、一度獲得したところ称号技能士といいますか、施工士といいますか、そういうような称号は、これは永久のものかどうか。
  48. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これはもう、その本人としては、永久にその称号をもらうことになります。
  49. 田上松衞

    田上松衞君 田中委員の方から核心をついておられたのですが、こうした称号を持ちおる者に対して、今後、常に新しい知識なり技術なり、そういうようなものを授けるような機会が恵まれるような特典があるかどうか。言葉をかえて言うならば、いわゆる訓練といいますか、私が言うのは、全般の訓練にあらずして、この資格をとった者に対する将来の訓練なんです。そういうことは、お考えになっておるかどうか。
  50. 村上勇

    国務大臣村上勇君) それは、この法律の中では、別に検定に合格した者の訓練ということは明記いたしておりません。これはしかし、その人の職域において、検定に合格した人の、その職域で、十分より一そうの訓練ができるものと考えておりまして、これには、明記いたしておらないのでございます。
  51. 田上松衞

    田上松衞君 現在の時点におけるところの適格者というものが、必ずしも将来の建設技術の進歩に即応できるかということについては、私は大きな疑問があると思う。  たとえば、建設であり、道路であり、ダムであり、さらには船舶であり、そういうようなものを考えてみましても、これらの規模であるとか、材料であるとか、あるいは使用する機械器具であるとか、こういうようなものは、科学及び技術とともに、大きな変革が、私はもうそれこそ、日進月歩の姿で、これは行なわれるに違いない。これは自然なことだと思う。従って、前申し上げた今日の適格者、必ずしも今後にそれができるとは考えられない。くどいようですけれども、いろいろな称号、博士ですか、ということを考えて、理学博士、昔の第二号を持っておつた、第二号を持っておったというような称号は、今日の新しい時代にはへにもならぬ。極端に言うならば、博士は、ばかせだと非難されるほど、役に立たぬようなほどに、世の中は、どんどん進んでおるわけです。こういうようなことを考えてみますると、一たび合格して、もらった称号が、それを建設業者の登録条件として、これを持っておりさえすればいいというようなことで足りるといたしまするならば、そういうようなことに依存して、劈頭申し上げた技術の進歩に即応して施工技術を確保していくんだというようなことが、一体言い得るだろうか。大きな疑問を持つのですが、それについては、どう考えるか。
  52. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは全く御指摘のように、この法律には明記いたしておりませんけれども、少なくとも今の段階検定に合格した者が、十年先も、やはりそれだけの力があるかということになりますと、これはもう、全くあるとは言えないと思います。ただ、現段階における技術検定に合格したということだけでありますから、やはりこれは、将来の問題として、やはり何年かに一度、また問題を変えて、その都度の必要であるというようなものを、問題を変えての技術試験をする必要があるんじゃないかと思います。しかし、まあ今それでは、一つ法律の体をなさないと思いまして、一応現段階においては、こういう技術試験をする、検定をするということにいたしております。  従って、今後、必要に応じて、再訓練をする必要は十分あろうと思っております。その点については、将来の問題として、やはり考慮いたして参りたいと思っておる次第であります。
  53. 田上松衞

    田上松衞君 冒頭申し上げたように、この案を出されたお気持が、どうも本末転倒、主客転倒だと感ずるゆえんは、実にそこにあるわけなんです、私の申し上げることは。どう考えてみても、これは、ただ検定をするんだそのことのために、これが出されたような気がしてしょうがない。それじゃ国民が納得しないはずですよ。それは、一つの手段だけじゃないかというのです、そんなことは。  そこで、申し上げておきたいことは、田中委員の言われたのは、一つ訓練ということをつけ加えてするお考えについての、あるかなしかを聞かれたわけですが、どうも、それについては考えていないというような御答弁があるので、どうも納得し兼ねるわけなんですが。
  54. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) この訓練の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、設置法の改正点といたしまして、民間からの委託を受けて建設研修所がオペレーターの養成訓練をやり得るように、今改正を御提案申し上げておる次第でございますし、今後予算措置等にも、十分力を入れまして、この養成訓練に、建設省としてできるだけ力を尽して参りたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  55. 田上松衞

    田上松衞君 説明が足りないから、ちょっとピントが合わなくなってしまつたわけですが、私が申し上げておるのは、訓練の中でも、いわゆる資格者に対するあれなんですよ。これの将来の問題なんですよ。一たん資格を取った者、名称を得た者については、これは永久のものだと言われるから、それが、将来に一体即応できるかという、そこから見て、永久のものであるとするならば、そしてそれを置くことによって、登録要件というものが成立されるのだという結果になっていくならば、これについて、常におくれない知識と技術を授けることが必要でないのか、その点からしての私は、訓練ということが適当でなければ、——気持はおわかり願えると思うのです。これらを、博士をばかせに落さないことなんです。それについて、お伺いしておるのです。
  56. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいまの御意見は、全くその時代々々におくれないようにしなければいかぬという田上委員の御発言は、私どもしごくもっともだと思っております。ごもっともの御意見でありまして、この点に関しましては、この本法案に明記いたしておりませんけれども、十分私ども検討いたしまして、何とか、そういう一番大事な機械化、あるいはすべての技術が進んで参りまするので、それにおくれないようにするには、いかにすればよいかという点については、十分検討して、何らかの措置を講じていきたいと思っております。
  57. 田上松衞

    田上松衞君 お聞きしたい点がたくさんあるのですけれども、相当時間が過ぎておりますから、きょうは、この程度に打ち切っておきます。
  58. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  59. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは、本日の審査は、この程度にいたしまして、次回は四月二十一日午前十時より日本道路公団法の一部を改正する法律案建設業法の一部を改正する法律案を議題として開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十三分散会