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1960-04-07 第34回国会 参議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月七日(木曜日)    午前十時三十六分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            太田 正孝君            小山邦太郎君            櫻井 三郎君            田中 清一君            内村 清次君            武内 五郎君            永岡 光治君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    建設大臣官房参    事官      高田 賢造君    建設省住宅局長 稗田  治君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    労働省職業安定   局職業訓練部長  有馬 元治君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○公営住宅法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○住宅地区改良法案内閣提出、衆議  院送付) ○建設業法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。ちょっと速記をやめて。    〔速記中正
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記を起こして下さい。  それでは本日の議事に入ります。初めに公営住宅法の一部を改正する法律案住宅地区改良法案、一括して議題といたします。前日に引き続き御質疑のある方は御発言下さい。
  4. 稗田治

    政府委員稗田治君) 先日提出いたしました資料に基づきまして、御質疑のありました点を調査いたしまして御報告申し上げたいと思います。  御坊市の島につきましては、この地区災害罹災者を収容するために、市が建設した災害応急住宅の不良化した集団でございまして、この地区改良するため、近辺の島出店団地改良住宅を六十戸建設いたしまして、不良住宅居住者を収容するものでございます。不良住宅を除却した跡地につきましては、一般公営住宅用地として使用する計画でございます。  次に、京都市の伏見区深草についてでございますが、この地区につきましては、建物国有土地は六千八百平方メートルのうち四千九百平方メートルは国有地でございまして、他は京都府が所有しておるものでございます。引揚者等収容施設として使用していたものでございますが、この地区内の空地に改良住宅二十八戸を建設いたしまして、不良住宅居住者を入居させ、不良住宅は除却するという計画であります。不良住宅の除却した跡地には、一般公営住宅等を建設する予定でございます。  次は秋田市の長野町でございますが、旧軍使用国有地上のらやを県が払い下げを受けて住宅に転用し、引揚者等を収容していたものでございます。この地区はたまたま都市計画街路施行予定地であった関係上、不良住宅を除却した跡地街路となったわけでありますが、この不良住宅に居住していた四十世帯のうち十八世帯を、秋田新藤田字大所旭川団地改良住宅に収容しまして、残りの二十二世帯は希望によりまして民間住宅に入居することとなっております。  次は松戸市天神山でございますが、この地区土地建物とも国有でありまして、引揚者等収容施設として使用しておりましたが、建物が著しく腐朽して危険な状態になったため、当市新田改良住宅を二十四戸建設して、不良住宅居住者三十五世帯のうち二十四世帯を収容し、残り世帯につきましては一般公営住宅に入居いたしております。なお不良住丘を除却した跡地学校用地として使用しております。  次は京都市三条地区土地建物権利関係でございますが、京都市三条地区土地建物所有現況を見ますと、地主の数は約二百人でございまして、土地筆数は三百七十七、うち自己使用地は二六・三%、筆数にして九十九でございます。借地は七三・七%、筆数にして二百七十八となっております。地区内の建物戸数五百九戸について調査いたしましたところによりますと、持も家は二一%、戸数で百七戸で、借家は上九%、戸数で四百二戸となっております。
  5. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記とめて下さい。    〔速記中正
  6. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記始めて下さい。
  7. 田中一

    田中一君 これは大臣に伺っておきたいのですが、この不良、不良という言葉を使っては……、法文にはないけれども不良住宅地区改良という目途が、家そのものずばりに対する改良ということに考えていいのか、あるいは家というのは結局憲法できめられているような平和な文化的な住居ということを意味して言っているのですか、この住居というのはそれだけでいいのかということです。私はやはり平面的にスラム化したところの町というものは、土地の問題が重要な要素となって含んでいると思うのです。従って今ここにある「住宅地区改良事業施行順序図解説明」というものを見ても、第一にやはり土地利用ということが主眼になっていると思うのです。そこでどうも前向の委員会でも、住口局長考え方というものは、住宅そのものにだけ自分の考え方のポイントを置いてものを考えようとしているのです。そこでその点が、住宅だといえば住宅だということも言えるでしようが、であるならばかかる法律は要らないのです。少なくとも今日の日本段階では、土地利用です、土地利用以外にないのです。不良住宅地区改良するということが土地利用であり、ひいていえば高度利用であり、そしてそれがその市街地なら市街地の全部の町作り、いわゆる都市計画です、都市計画にも触れなければならないんじゃないかということなんです。そこでどちらにウエートを置いて考えておるのか、むろん御答弁は両方考えておりますという答弁だと思うのです。そうなりますと、これから出ようとするところの市街地改造の問題、これはどこまでも土地の問題なんです。たとえば三軒茶屋の例をとりましても、三軒茶屋で今十メートルくらいの幅員しかない、これを四十メートルに広げるのだ、広げるについては四十メートルの土地がほしいということなんです。これに付随してあらゆる市民の権利というものを認めようとするならば、どうしても今度店舗なり住宅なりに移行しなければならないのです。そこに初めて三階なり、五階なり、十階なりという、いわゆる住宅建築というものをもって、それをカバーしていこうということになるのが、今度出そうというところの都市改造法律案、どこに違いがあるかということを言いたいのです。私は住宅地区環境をよくするとかいうものと同じように、大きくは都市環境をよくすることなんです。そのものずばりの不良住宅地区というものを直すということだけであってはならないと思うのです。そこでどこにこの法律のねらいがあるかということ、どちらにウエートをおいて考えておられるかということです。そこで先だっても住宅局長に質問しているのですが、私ども態度として、市街地改造法律案と、この住宅地区改造法法律案とを並行して審議しなければ、われわれの頭に浮かんでくるところの将来への姿というものは発見できないわけですよ。だから私は昨年の暮でしたか、ことしの一月ごろでしたか、この法律案二つのものと、これに現行法耐火建築促進法というものを合わせて、そしてよりよいものを発見しようという努力をしようと私はしておったのです。同時に政府もその点については十分に検討してくれということを申し上げておいたはずなんです。従ってこれは決して別々のものではないのです。しいて申しますならば、これから出ようとするところの都市改造法律案というものの内容が、道路拡幅ということが主眼であるならば、道路拡幅ということだけは、いわゆる計画法としてこれから出る法律案施行なさいということです。そしてそこに新しく家というものを作つて町作りをする場合には、この法律案にはどこまでも不良住宅と言っておりますけれども不良住宅定義というものはむずかしくなります。一面掘立小屋があって、たとえば隅田川の、何といいますか河川敷に家を立てているバラック不良住宅というか、四十年五十年たって傾いているものが不良住宅というか、あるいは自動車一つ通らないところの細い路地の中に一方だけの道路しかないような住宅地区不良住宅というか、定義はいろいろ広いですよ、たとえば南の方、東の方に高層建築が立ち並び、新しいりつばな新築した家であるけれども日当たりが全然ないというような家を不良住宅というか、数々ございます。従って、これから出ようとする都市改造法律案と一緒に並べて見なければ、不良住宅というものの定義というのはまちまちになっているのですよ。それで、これから出る法律案がどんなものかは、くわしい内容はわかりませんが、少なくともわれわれが知り及んでいる範囲では、今私が申し上げたような程度のものだと思うのです。そうすると、家を作るということはこの法律案でやったって一向さしつかえないのですよ。われわれはここ数年来、厚生省が持っているところの、何と言いましたかな、あの住宅は……、たとえば産業融資住宅にしても、それから引揚者に対するあのバラック住宅にしても、そういうものがあっちゃならない。建設大臣所管のもとに一元的な住宅政策を持つべきであるということをるる詰問してきたわけです。そのさ中に、同じ建設大臣のもとに、計画局においても家作りをする。同町にまた住宅局においても町作りをする――これは地区ですから町作りですよ、そういう作るということであっちゃならないと思うのですね。まあまあ官僚諸君セクトというのは非常に強大なものであって、大臣のような根つからの政党人はおやりにくい点も多々あると思います。思いますが、その点についてのよりよいものを発見しようとしてわれわれは努力しているのです。そういう点についてはなはだ不親切な態度なんです。まあ、都市改造地区改造の問題についてはまだいろいろ問題があって、提案される段階になっておらぬと言いますけれども、あるならば、草案くらいはこちらの方にお出しになって併行して審議させるような努力が必要だと思うのですよ。われわれの目を、私が今申し上げたようなわれわれの見方考え方というものを閉ざさして、そしてこれは不良住宅でございます、これは過去のものでございますということを抽象的に言っておるから、こういう資料を出せということを言うのです。資料出してみると、なかなかこれは複雑怪奇なものなんです。家そのものずばりでものを言っているのか、その地区を言っているのか。地区ということになりますと、今度出るところの、大きくは都市計、それから今度出る都市改造法律案にも関係がある。その上で今度は町を作る、家を作る、これは当然住宅行政一元化ということでもって住宅局がやるべきであるということになるわけなんですよ。私はその点を最初から、これらの法律案を本国会に出すという当初から疑問を持ちまして、これが単なる官僚諸君セクトであってはならない、縄張り主義であってはならないということを指摘しているわけです、今日まで。先だっても、課長諸君課長補佐諸君といろいろ話し合ってみても、結局その点が私は納得できないのです。住宅行政一元化ということを強く強調して今日まで来ていながら、同じ建設大臣のもとにおいて、計画局住宅局において、住宅を建てつこをする、町作りをしっこするということでは、これは大臣にはずいぶん苦しいだろうけれども、これはどう考えてもおかしなものです。これはもう官僚諸君セクトにすぎないというような見方をするのです。それで、聞いてみると、じや、それをどうするかの問題になると、なかなか解決のつかぬ問題があり、かつ本国会提案になるような段階にならないのだというような説明を聞いておりましたけれども、不十分なものを出すよりも、もう一歩進んで、今日の段階では家を作るよりも土地の問題ですから、土地利用をどうするかという問題が両面にかかってこなければならぬと思うのです。  そこで、この住宅地区改良法主眼というものが、家だけのものに限つて考えようとするのか、あるいは施行順序を、資料に出ておりますところの「住宅地区改良事業施行順序」というものの中にある「事業計画の安定と認可」の中で第一に示しておるのは「土地利用基本計画」というものが出ておるわけです。どこにそのほんとうのものを持っているのか伺っておきたいのですよ。
  8. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御指摘のように、これが市街地改良の一環であると思います。ただこれが二つに分けて考えられますことは、この住宅地区改良事業は、不良住宅が密集して、保安、衛生に関して危険または有害な状況にあるというような所を厚く解消していきたいというところにねらいがありまして、しかしそのねらいがあるからといってもやはり一つ市街地を形作る上に、これはマッチさせなければいけないのでありますから、結局、市街地改良法とでも申しますか、そういう法律を早く提出して、あわせて御審議願うことが一番好ましいことと思っております。従いましてこの市街地改良法案につきましては、大体法制局の方はこれの結論が出ましたので、法務省の省議にかけて、きょうあたりこの結論が出ればこの法案提案の運びになると思います。  これは要するに、そういう危険なあるいは有害な住宅でなくても、どんなにりつぱな家が建っておろうとも、一つ市街地のただいま御指摘にありましたような、かりに二十メートルの道をどうしても将来を考えれば四十メートルにしなければならぬというような市街地改良をいたすのでありますから、やはりこれはこれとして私どもどうしてもこの法案の御審議をいただいて、成立を見なければ、市街地というものはいつまでも現在の不便な状態が続くものと思いますから、この点は一ついずれごく近いうちに提案いたしたいと思っております。ただこの場合、保安、街上あるいは危険または有害というようなことから、非常な一つのブロックをなしておる不良住宅地帯解消は本年度、三十五年度予算にいささかでもこれの頭を出しておりますから、これをどこまでも一つ解消していきたいというのであります。もとよりこの市街地一つ改良とマッチしていくことはこれはもう当然でありますから、この点は田中委員のただいまの御指摘になった点と全く一致いたしております。  ただこの場合、まあその住宅というものだけをこれは考えた――ほんとう環境その他すべて考えなければなりませんが、この法律の場合には、ほんとう不良住宅というものを早く解決したい、そうしてそれを解決するものは、結局、市街地構成に十分マッチしていくような解決をするということで、やはり二つのこの法律によって初めて体をなすものだとこう私は考えておりますので、それをまあ、いろいろ御議論もありましょうが、そういう御解釈で一つこの法案の御審議をお願いいたしたいと思います。
  9. 田中一

    田中一君 そうすると、今、次善の策としてわれわれも土地問題については党で熱心に検討をやっておりますけれども、一応そういう形を納得するとすると、今度計画局住宅並びに建築をさせるということになりますよ。われわれは長い間住宅行政一元化ということを主張し続けてきておるわけですよ。計画局から今度出るという法律案の中にも、住宅部分に対する高層化をはかつて、そうして従来持っておりますところのあらゆる居住権なり営業権なりを、経済的な損害のないような形に都市改造していこうという思想が盛り込んであるのです。建設大臣の傘下の行政の中に二元的な窓口ができることは、これは絶対に避けなければならないことなんです。今あなたの言っているように、都市改造法律案の中には、住宅は建てないのである、いわゆる道路拡幅によって失われるところの、営業権なり経済的な損害というものを補てんするために、すべてが生産的な建築物であるという定義に立つならいざしらず、その背面には住宅分が建ち並ぶのです。あるいは公営住宅も来ようし、あるいはまた公団住宅が建ち並ぶか、いろいろあると思いますが、少なくともそういう形ですつきりしたいい行政にしないと、住宅建設促進をはかつている当委員会のわれわれの気持としては、これは不可解なものなんです。そういうことがあってはならないというのが長い間のわれわれの願望なんです。都市改造法律案土地の問題だけを計画なさい。実施をしてもよろしゅうございます。これは、街路事業というものは計画局所管ですから。しかし、その道路沿いにできるところの商店並びに住宅部分、背後に建築しようというところの住宅部分は、全部住宅局にさせなさいよ、計画一切を。当然これは実施をさせなさい、一切の行政権というものは住宅局長が持つということであるならば。これはまあ今までのわれわれの主張というものが、ある段階において多少すつきりしない点もあるかもしらぬが、今の段階としてはやむを得ぬということも言えますけれども、二元的なそういう行政が行なわれる。地方の事業主体であるところの都道府県なり市町村なりに対して、このでき上がる二つ法律をもってそうした面の強要をするということになりますと、これは行政の分裂ですよ。また一面、今まで住宅地区改良法によらない不良住宅改良というものが行なわれておつた。この中には先ほど稲浦委員も言つたような兵舎のあと、それに引揚者がどんどん入ってきて、馬小屋にも人間が住んでいるのです。こういうものを解消しようという考え方でくるならば、これは小さな敷地じやございません。たとえば世田谷世田谷郷を見ましても、大へんな大きな面積です。何十万坪とございましょう。これらのものは大きく言えば部市計画、小さく言えば街路、公園等公共的な施設等を含んでいるものは計山勘でやらしたっていいのです。それは都市計画法、いわゆる都市形成の一部分としての問題は別であるという観念じやなくして、東京の場合なら、東京都全体の都市計画の上に立つ世田谷郷計画であるということにならなければならないのです。同じ建設大臣所管するところの二つの局です。その度の調整がどうしてできないかということです。もしも住宅局長がどこまでもこれは家でございますというならば、住宅そのものを全部受け持つこと。都市改造がこれが計画であるというならば、計画局が握つておやりになることです。これが正しい姿なんです。その地区住宅街住宅地区というものだけに考えられますと、当然これは商業区域になってもよろしいという土地までが住宅地区になるのです。私ども身近な例でたくさん知っているのですよ。たとえば私の家の敷地の両側は商店地区でございます。私の敷地だけが住宅地区。従って、経済的な効果というものは建築基準法に制約されまして、隣地と比べれば非常に価値が少ないということも言えるんです。世田谷郷などには中に商店ができても一向差しつかえないような環境でございます。住宅地区だけのことでいうならば、都市計画法によるところの指定という問題がございますね。工業地指定とか商業地指定とか、いろいろございます。これは一方的に都市計画という強権を持つ強力な法律によって、国民の私権が制約されるんです。環境云々の問題じゃないんです。頭から制約されておるんです。経済的な効率というものが減殺されているんです。これも都市全体の計画都市全体の美しさ、経済的な効果等から考慮して忍んでおるのが現状なんです。ほんとうに考えるならば、都市計画法を、現在の日本の社会、経済、文化、あらゆる面における状態から、再検討すべき時期であろうと考えておるんです。住宅地区だけの問題ならば世田谷郷というものはどこまでも住宅地区です。しかしあれは国有地でございます。そこに文教地区としての指定も可能でございます。部分的には商業地区指定も可能でございます。そうした問題が全部考慮されなければならないのです。今の段階でこれをとやこう古いません。原則論を申し上げませんけれども、そこまでの腹を据えた検討の末に出なければならぬと思うんです。不良住宅地区改良法という法律昭和二年にできてそのまま死文化され、温存はされておりますけれども何らの働きをしていないという現状、これをどうするかということになりますならば、これは全部融資でなさい。こんな大きな法律は要りません。全お融資で建てかえる融資をする。それも一応憲法できめられた住宅地区環境というものを守るためには、かくかくのことをしなければなりませんということで事足れりです。少なくともいたずらに平面的に乱用をし、また不経済な使い方をする。土地というものは高度に利用され、日本の国というものはもう再び新領土というものを求めようというような意思は持っておらないのが、今日の憲法でございますから、そこに並行した多目的な計画性ある施策がなされなきゃならないのです。非常にその点において矛盾を感ずるんです。そうして至らなさを感ずるわけなんです。私はこの際細かい問題はどうこう申しませんけれども、その点を明確に答弁していただきたい。もしできるならば、計画局が持っておりますところの都市改造法律案草案の承案でもけっこうです、お出しになって、計画局長をお呼びになって具体的には並行して質疑をしなければ納得できないものが多々ございます。あすにも政府としてはお困りになる点が生じてくるような危険を感ずるんです。ことに当面の問題としては、住宅行政二元化都市計画二元化、これは当然避けねばなりません。これについての御意見、今まあしようがないからというのでなくて、やはり建設大臣のきぜんたる態度を伺いたいと思うのです。
  10. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ごもっともな御意見でありますが、まあこの法案にお示しになっておりますように、改良地区を健全な住宅地区に形成するために、改良地区内の土地利用に関する基本計画を定める、そうしてこれの承認を得て初めてこの事業に取りかかるのでありますから、しかもやはり都市計画審議会等にもかけた上で決定するのでありますから、市街地改良法案による市街地改良は、これはまあ街路、要するに拡張する街路、整理する街路というようなものに対しての、一つ市街地を形作る大きな役割りをするまあ法律でありますが、この場合の不良住宅住宅地区改良事業は、これは市街地に面しない、全然まあ関係のないような所にも、いろいろな点について危険あるいはまあ衛生的にも非常に遺憾の点がある所をよくしていこうということでありますので、まあ私は一応これによって不良住宅地区解消計画的に、市街地に面している部分につきましては十分、これをこれから提案しようとする市街地改良法案とでも申しますか、その法の適用を受けてやっていく。これらの市街地改良事業につきましては、御指摘のように一つ商店街を作る。またその裏に住宅街を作るにいたしましても、これらの施行にあたりましては公団または公共団体等融資等をすることによってこれを建設していくことでありますので、この場合の政府補助金を与えて不良住宅解消しようというものと、少し私は趣きが違つておるように考えております。
  11. 田中一

    田中一君 そこで今の行政面において計画局住宅局とで分轄される。同じ対象ですね。都市計画なら部市計画、あるいは住宅建設という而について二元化されてもいいのですか、指導なり行政なりが。
  12. 村上勇

    国務大臣村上勇君) たとえ市街地改良建物の場合でありましても、その大部分住宅局関係にその資金はなると思っておりますので、計画局資金あっせん融資をするというようなことは……。非常に私どもはまあそういう点から申しますと、住宅局主体となってこれらの住宅問題あるいは店舗問題等は、解決するということになることが好ましいと思います。
  13. 田中一

    田中一君 都市改造法律案は見ませんから、これは正確なことはいえませんけれども、いかにしてこれを分けて考えようかということに終始しているのですね、いかに分けて考えようか。これは建設大臣の思想じゃない、これはやはり住宅局長計画局長というセクトがそういう工合に押し込むと思うのですけれども。私はそう見ておるのですから。  そこで、都市改造法律の算案の草案でも出しませんか、ここへ。
  14. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは私いろいろな議を諮ることになっておりますが、草案ができておるはずでありますから、一応これは非公式にお目通しをいただきたいと思います。私もあまりまだ内容については勉強しておりませんが、少なくとも今、田中先生の御指摘になりましたように、同じ建設省で二つの局が、通りの要するに街路に面したものは計画局ですべてやっていく、裏の方は住宅局でやるというような、そういう不便は私はどうしても除きたいと思います。少なくとも住宅に関する限りは、これは商店街であろうと、あるいはその裏通りであろうと長屋であろうと何であろうと、住宅局がこれの一切のお世話をするということでなければ、同じ市街都市内で、同じ町の中でどうも建設省の中でも二つに陳情あるいは交渉しなければきまらないというようなことは、これは私は絶対に避けたいと思います。内容につきましては私もまだ成案ができていませんし、正式なものでないですからよく見ていないのですけれども、一応一つ非公式にお日通し願つて御意見がありますれば私ども拝聴して、十分、要するに民意に沿つたものを御審議願うということが大手ではないかと思っております。
  15. 田中一

    田中一君 政府としてコンクリートしない法案委員会に正式に出すことはどうかと思うから、非公式で見せていただいてけっこうですけれども、今建設大臣の言っているような内容のものは、施行の責任分野というものがはっきりと都市改造法律案に出ているならば、もうこれ以上質問をいたしません。その点につきましてはこれは拝見してからにいたします。  そこで今、稗田君は大臣に耳打ちして、市街地でない地区不良住宅改造するんだ、改良するんだと言っておる。当然です。しかしながら人間が住む所、人間が住み、そこで日々の活動を行なうようになりますと、これは市街地化されるのは間違いないのです。しゃくし定木です、都市計画法というこの強い法律です。全く今の他の法律から比較してみますと、都市計画法のように市民に対して強い命令権を持っているものはないですよ。それが政府の意図をくみ、それから地方自治団体の長の推薦できめられている、この強い法律というものは人間が作つているのです。日本都市計画というものは、人間が住んで初めて都市計画が生まれてくるのです。初めから日本都市というものが、満州におけるある地点に村作りをするというようなものじやなくして、ちょうどソビエトのやっているような、バイカル湖の周辺に五百万戸の市街地を作るというような計画じゃなくて、集団が集まってそして都市を形成するというのが今までの流れなんです。だから都市計画法施行区域外の所もやるんだろうというようなことは、それはごまかしの答弁なんですよ。都市計画法というものは審議会において幾らでも変わるんです。だから全体の計画というものを見通しながら、考えながら町作りをしなきゃならぬと言っているんです。まだまだ質問がありますけれども、他の委員の質問もあると思いますが、この不良住宅地区という概念ですね。これを私が言葉で言ってもわかります、東側と桐側を満層建築で囲まれた地区住宅街というもの、住宅地区というものは不良住宅に該当するかしないか、あるいは貫通しない袋小路の住宅が密集している地域は、不良住宅というかいわないか。十ぐらいあげられます、私が疑問を持つ不良住宅の概念というものは。それを一つ全部、住宅局の若い方々の総意を集めてここでこの場合あの場合という、少なくともここに示されている「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅の集団」というものの、他の集団というものの事例をあげて下さい、細かく。何をねらっているかわからぬですよ。最初に住宅局長は、特殊部落に対して――特殊部落といいますか、そういう言葉がいいかどうかわからぬけれども、言いようがないので行うのですが、ある非常にどうにもならぬという地区に対して、千戸程度、あとは一般に配分するんだというようなことを言っておられましたけれども、これならはっきりわかるのですね、該当するものが何かということが。今度九百戸ぐらいそれに充てて、あとのものは一般の各地区に配分するというような、補助金の配分をするというようなことを言っておりますけれども、そういう点の明確な定義ですね、それをここで一つ一つそういう事例について質問すると時間がかかりますから、あなたの方で考えて答えて下さい。課長もいるんだから、すっかりあげて下さい。
  16. 稗田治

    政府委員稗田治君) 指定をいたします改良地区指定の基準、並びに不良住宅が密集しているという、個々の不良住宅の判定の基準、これらは政令に定めることになっているわけでございます。それで地区の規模につきましては、現在考えておりまするのは、不良住宅が五十戸以上の集団している地区指定する。面積におきましては、千五百平方メートルないし二千平方メートル程度の面積の地区を、この改良地区の対象として取り上げるというように考えているわけでございます。個々の不良住宅の判定の問題でございますが、これは延物の構造、間取りあるいは便所、炊事等の施設の状況、その使用状況等につきまして、採点主義をとりまして、総点で何点以上のものとか、そういうように、基準を政令で定めることになるわけでございます。従いまして、非常にりつぱな建物が、大きなビルの岡にはさまっておって、通風、日照等が工合が悪いというような地区につきましては、この住宅地区改良法の対象には考えていないわけでございます。都市改造の面から申しますと、従いまして、この住宅改良法では、全部部市改造の需を受け持つものではなくて、今申しあげましたような基準に該当した不良住宅が、五十戸以上密集し、かつその地区の八割見当を、そういう不良住宅が集まっているという所だけを対象としてとらえるわけでございます。現実の問題といたしましては、そういうような場所におきましては、居作者の収入状況というものが、大体全般的に申しまして、非常に低所得階層でございます。従いまして、この住宅地区改良法につきましては、そういった結果といたしましては、都市改造の一端をになうわけでございますけれども、その手業の遂行上低額所得者に対する住宅政策という面が、どうしても強く出てこないわけにはいかないわけでございます。さようなわけで、そういった低額所得者の不良住宅の集団地区というものにつきまして、対象を取り上げて、まず都市改造は、そういった都会の谷岡というような悲惨な住まい方をしている所から、まず始めるべきだというので、この法案の対象に取り上げているわけでございます。
  17. 田中一

    田中一君 政令の案をお出し願います。これ、できているのでしよう。取り寄せて配つて下さい。
  18. 稗田治

    政府委員稗田治君) 政令の案はできておりますので、まだ各省全部打ち合わせば済んでございませんけれども、建設省として考えております案の段階はございますので、取り寄せてお配りいたします。
  19. 田上松衞

    ○田上松衞君 全国の不良住宅戸数は約二十万戸と推定されているわけですね。そこで今お話になったような、これを適用していこうとする対象になる戸数はどのくらいですか、今のような基準に基づいてやられる場合。
  20. 稗田治

    政府委員稗田治君) この法律の対象として取り上げていかなければならない戸数でございますが、全体の二十万戸という戸数の全部でなしに、われわれ見当をつけておりますのは、その六割見当がこの地区の対象になるのではないかというように考えております。
  21. 田上松衞

    ○田上松衞君 もうあるいは説明になったのじゃないかと思うのですが、私聞き落としでしたか、大体のこれの構造ですね、住宅の構造です。先だってからの話を聞いておりますと何坪ないし何坪というようなことでばく然としているのですが、これを的確に一つ例を引いて、幾坪であって何畳間であって、というようなことの御説明をいただけませんか。
  22. 稗田治

    政府委員稗田治君) 建設いたします予算上からの建物の規格を申しますと、鉄筋コンクリートのアパート形式のものにおきましては一〇・五坪でございまして、畳の部屋は六畳に四畳半、場合によりましては三畳の場合もございますが、それに炊事場、便所、物置等がついたものでございます。同じように、二階建の簡易耐火構造のものにおきましても、坪数は同様でございまして、二階建の場合は、一階の部分に炊事場、居間等がつきまして、寝室は二階というような形になるわけでございます。
  23. 田上松衞

    ○田上松衞君 そこで、鉄筋のアパート式の場合と、それから二階建の簡耐の場合と、家賃はどういう程度になっておりますか。
  24. 稗田治

    政府委員稗田治君) 予算単価からはじきますと、アパートの場合が、予算単価では、家賃は千六百円程度に相なるかと思います。それから二階建の場合は、これが千五百円程度であると思っております。
  25. 田上松衞

    ○田上松衞君 これは推定でよろしいんですが、今まで住んでおつた人々が、こういう程度の家賃の負担にたえられていたかどうか、この点について。
  26. 稗田治

    政府委員稗田治君) ただいま申し上げました家賃は、法律に基づきまして、地方負担分の建設費を六分以下で、鉄筋につきましては七十年、簡易耐火構造の二階建につきましては四十五年で、六分以下の金利で償却するものとして計算しました、最高限度の家賃を申し上げたわけでございます。で、実際におきましては、地方公共団体におきまして、公営住宅の減額の規定を活用いたしまして、千円ないし九百品程度で入居させておる状況でございます。従いまして、現在改良住宅に入居いたしておる世帯につきましては、それぞれ収入状況等を勘案いたしまして、地方公共団体の方で千円程度に減額して入居させておる状況でございます。従いまして一応住宅地区改良法改良住宅の場合には、減額制度というものを十分活用する必要がある、かように考えております。
  27. 田上松衞

    ○田上松衞君 もう一つつ以前に私お伺いしたときに、地方公共団体ともまだ打ち合わせ中で、どういう程度申し込んでくるかということは未定だというお話があったわけですが、その後依然として地方公共団体の方からは数はとれませんか、今年実施する地区の問題で。
  28. 稗田治

    政府委員稗田治君) 地方公共団体から申請が出て参りました改良住宅の建設戸数は、約四千戸という要望がございます。それでこれを二千戸の範囲内に査定をしておるわけでございます。
  29. 小平芳平

    ○小平芳平君 関逃して。この二千戸は一つの地域が全部五十戸以上ですか。
  30. 稗田治

    政府委員稗田治君) 改良地区として指定いたします地区につきましては、五十戸以上の所を選定いたしておるわけでございます。地方公共団体の年度別の事業速度といたしまして、五十戸の団地を二ヵ年でやるというようなことで、当初は二十四戸の一棟建というような場合もございます。
  31. 小平芳平

    ○小平芳平君 その二十万戸という資料は、どういうような計算からかちょっとわかりかねるのですけれども、大体五十戸以上という所は少ない。大てい二十戸とか三十戸とかそういう所が多いように思うのですけれども、二十万戸のうちで、先ほどの御答弁のように、六割程度はみんな五十戸以上の集団になりますか、その点どうでしよう。
  32. 稗田治

    政府委員稗田治君) 五十戸以上の集団地区と申しますと、六割よりも多いのではないかと推定いたしておるわけでございます。ただ、六割と申しましたのは、この改良住宅事業としてでなしに勧奨するものも若干ございまするので、六割というふうに推定いたしたわけでございます。
  33. 田中一

    田中一君 まだ質問したいことはたくさんありますけれども一つこれは委員長から諮つていただきますけれども、あす東京市内並びに近郊にある対象となる地区の視察をしたいと思うのです。これはまあ委員長から諮つてもらいますが、案内していただきたいと思います。その際に十分に政令その他の資料も準備して、そして、どつちみちバスかなんかでやるでしょうから、バスの中で十分に納得するような説明をしていただきたいと思う。委員長、それを諮つて下さい。
  34. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいま田中委員の発言によりましてあす、この不良住宅の視察をいたしたいという動議が出ておりますが、もし皆様、御都合がよければ……。  速記とめて。    〔速記中止〕
  35. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記つけて下さい。  それでは、公営住宅法質疑はこの程度にいたします。   ―――――――――――――
  36. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に、建設業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、去る三月三日の審査に続いて質疑を行ないたいと思いますが、その前に、本案について労働省職業訓練部から、技能検定実施状況等について資料が提出されておりますので、まずこれについて政府説明を願います。
  37. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) お手元に簡単な資料がお配りしてあると思いますが、三十四年度の検定の実施状況について簡単に資料で御説明申し上げます。  三十四年度は第一回の検定でございますが、検定を行なった職種は機械工と仕上工と板金工と建築大工と機械製図工の五職種でございます。このおのおのの職種につきまして一級、二級別の数字が上がつておりますが、トータルにおきまして一級は一万四百七人、二級が二方八百三十八人でございます。そのうち建築大工の受験者の数は一級が三千八百五十六名、二級が一万二千四百五十七名でございます。これだけの受験申請者に対しまして、現実に受験をして第一次の試験の結果がどうなったかという状況でございますが、これは第二表の方に掲げておきましたが、受験者の総数は一級が九千七百四十七名、二級が一万九千三百十二名、申請者の数を多少下回っておりますが、これは当日仕事の関係その他で受験できなかったものだと思います。そして合格の状況は、一級につきましては七一%が合格をしております。そのうち建築大工の関係は八七%が合格をしております。二級は同じくトータルにおきまして八三%の合格をみておりますが、建築大工は九〇%の合格をみております。以上が今日までの概況でございますが、この第一次試験の合格者につきまして、二月の下旬から三月一ばいにかけまして、第二次の実技試験を行ないまして、現在その結果を集計中でございます。大体五月の中旬ごろに予定通りに最後の結果を公表できることになると思います。
  38. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは御質疑の方は順次御発言願います。
  39. 田中一

    田中一君 この職業訓練実施状況の資料説明一つして下さい。
  40. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 実施状況の方の資料もございますので、この資料で御説明申し上げます。大きく分けまして公共訓練と事業内の訓練と二つになるわけでございますが、三十四年度の実績におきまして、公共訓練はこの表に書いてあります通り、一般の訓練所、これは府県営の訓練所でございますが、これが二百七十ございます。それから総合訓練所が三十八ございます。それから、身体障害者のための訓練所が全国で八カ所ございます。合計いたしまして、施設の数が三百十六カ所、訓練の職種の延べ数が千百十八職種、訓練人員が五万一千四百七十名、指導員の数が二千七百一名、こういう状況でございます。事業内、すなわち民間の企業が行なっておりまする訓練の状況は、単独方式と、主として中小企業が共同をして一つの訓練事業を行なっている場合と二通りに分かれるわけでございますが、単独でやっておる主として大手企業の訓練所の数が二百六十カ所でございます。共同して訓練を行なっている施設の個所数が四百六十七団体でございます。訓練生の数はおのおの単独が一万五千八百六、共同が三万八千八百九十四、合計しまして五万四千七百人、指導員の数はそれぞれ五千六百九十六人と二万二千四百十六人、合計いたしまして二万八千百十二人、こういう状態でございます。これはもちろん訓練法によりまして認定手続を経た施設の状況でございまして、このほかに各種学校方式をとつておる所が若干ございます。三、四千名ほどおると推定されております。以上が事業内の訓練の概況でございます。
  41. 田中一

    田中一君 この資料の中の職業訓練実施状況の中の、公共職業訓練の延べ職種数と延べ人員というのはどういうことなんです。  それから認定事業内職業訓練の延べが書いてないのですけれども、これは実数はどういうことになります。
  42. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 職種の延べは、これは同じ職種でも機械工、あ、るいは建築大というふうな大きな職種は何回にも計算されておるわけでございます。従いまして、職種延べ数では千百十八でございますが、職種の実数にいたしますと公共が八十七職種であったと思います。それから同じく職種について事業内の状況を申し上げますと、職種の数は約百三十職種でございます。で、延べはちょっと私今記憶しておりませんが、事業内の方の延べはちょっと数字を持っておりませんですが、実数は百三十の職種でございます。人員の方も同じように延べで計算しておりますが、これは大体定員の延べでございます。実数も大体定員を多少上回っておる程度でございますので、この数字と大体見合う数字でございます。
  43. 田中一

    田中一君 そうすると、認定事業内の訓練生数、計五万四千七百と公共職業訓練の五万一千四百七十というものは見合っているのですか、計算の基礎は。
  44. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) これは全部職種別の内訳がございまして、数字は全部同じ基礎で算定されておるわけでございます。刑にお手元に公共と事業内別に職種別にすつと内訳が一覧表で示されておると思います。
  45. 田中一

    田中一君 公共の方は指導員が二千七百一名、五万一千四百七十名に対する二千七百一名になっていますが、この事業内訓練の方は五万四千七百名に対して二万八千百十二名ということになっていますが、これはどういうことです。
  46. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) これは公共の方は指導員が訓練専門の専属の指導員の体制をとつておるわけでございますが、事業内の方は各職場の組長、班長、伍長、職長クラス、そういったところが実習指導員として非常にたくさん指導に当たっておるわけでございます。特に共同方式をとる場合には、一つの企業から一人見習工を出しておるという場合でも、その職場におきましては指導員が三人ないし四人おるという場合が相当ございます。そういう関係で、事業内の訓練の場合の指導員の数は非常に多いわけでございます。現場の本来の業務のかたわらに訓練生の実習指導に当たる、こういう体制でやっておりますので、人数が非常にふえておるわけでございます。
  47. 田中一

    田中一君 三十五年度の計画は。
  48. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 訓練の計画は公共訓練におきまして訓練人員の延べ数が、昨年度は五万一千四品七十名であったものが、ことしは五万七千名の計画でございます。それから事業内の方は、これは昨年の五万四千七百の実績を上回るであろうという推定を下しております。これは何といいますか、直接われわれの方でやっておらないので、認定を受けに来た場合に公認をするという体制でございますので、推定は多少これを上回るという予定でございます。
  49. 田中一

    田中一君 三十五年度の事業検定の職種。
  50. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 本年度は、昨年度実施をいたしました検定職種の五職種のうちに機械製図工という職種がございますが、これは関係労働者の数も非常に少のうございますので、この職種を除きまして、すなわち機械、仕上、板金、建築大工、この四種目に、さらにことしは新たに加わる職種といたしましては製カン工、配管工、鉄工、建具工、左官、凸版印刷工、この六職種を新たに本年度から開始いたしまして、都合ことしは十職種を実施する予定でございます。
  51. 田中一

    田中一君 三十四年度の実施した五種目の推定された対象というものは、どれくらい考えておつたわけですか。
  52. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 昨年度の五種目の推定は、建築大工が関係労働者として一番多いのですが、これが約五十万、それから機械と仕上、それぞれ二十五万から二十七万くらいの推定でございます。板金工が、これは工場板金も含めておりますが、約十五万、機械製図工は、これは数千でございます。それから本年度の六職種の推定でございますが、今織種別の労働者数をはっきりした数字を持っておりませんが、六職種で関係労働者の数が約五十万でございます。従いまして、昨年から引き続いて行ないます四種目と合わせて、大体百五、六十万の見当になる予定でございます。
  53. 田中一

    田中一君 三十四年度の技能検定の予算はどれくらいありますか。
  54. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 三十四年度は約一千万でございます。三十五年度は二千六百万でございます。
  55. 田中一

    田中一君 だいぶ余つているのじや、ないかな、予算が。
  56. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 予算は余つているのじゃなくて非常に足りないのでございます。これは、まあ予算の財源は受験手数料をもって財源にしておりますので、額としては足りない状況でございます。
  57. 田中一

    田中一君 昨年は対象とする者は、百万名以上の対象に一千万、ことしは百万名を含めた百五十万に対する二千六百万、これでも足りない三十五年度は。
  58. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) これは受験者の数が昨年度は三万でおさまつたわけですが、ことしは五万以上に、六万前後になるのじゃないかという推定をいたしておりますのと、それから昨年度の実績上多少予算が窮屈であったという点もございまして、ことしは二千六百万を計上しておるわけでございます。
  59. 田中一

    田中一君 検定料は幾らですか。
  60. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 検定料は、第一次試験が、これは大体各職種共通でございますが、一級が五百円、二級が四百円でございます。二級はその四百円の範囲で府県知事がきめることになっております。それから実技検定の第二次試験は職種によって異なりますが、大体一千円前後でございます。
  61. 田中一

    田中一君 一級二級を問わず……。
  62. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 二級は千円を一番最高にしております。
  63. 田中一

    田中一君 で、あとは都道府県の認定で……。
  64. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) ええ、都道府県知事にきめさせておるわけでございます。
  65. 田中一

    田中一君 昨年のこの成果を見て、職業訓練法が通つて第一次の検定をやり、かつ初年度の訓練をやった、それに対する労働省としての批判といいますか、反省といいますか、少し見解をお聞きしたい。
  66. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) まだ最終的な検定の結果が出ておりませんので、一番大事な実技のところのデータがそろっておりませんから、その点で全体としての検討は済んでおらないのでございますが、第一次試験からの感想を申し上げますと、学科と共通要素の試験をやったわけでございますが、私どもの検定をやる方の側の検定実施技術上のいろいろな問題点は、これは関係府県並びに委託団体、さらに検定委員の専門家の方々、これらの意見を徴して近くその結果を取りまとめる予定にしております。第一回のことで多少、たとえば共通要素試験の場合に螢光灯の配置が悪かった、あるいは部屋作りに多少不公平があったというふうな技術上の問題も出ております。それから第一次試験の学科試験につきましては、大体私どもが想像した以上にできがよかったという感じを持っております。特に建築大工につきましては、田中先生からも始める前にいろいろと御指摘がありましたのですが、私どもも、検定委員に問題を作る際に非常に常識的な問題にしてもらいたい、ということをお願いいたしました関係もありましたと思いますが、合格率を見ましてもいずれも九〇%前後で最高でございます。これに反しまして、建築板金の方はどうもできがあまりよくなかった、問題がむずかしいというよりはやはり学科試験に従来の経歴、育ちからいいまして弱いという感じがするのでございます。もちろん、建築板金につきましては、検定委員会におきまして許容された限界ぎりぎりまで採点基準を下げたわけでございますが、この表に表われておりますように、大工さんと比べると合格率が多少落ちておるという状況でございます。いずれ第二次試験の全部の結果を分析いたしまして、詳しいデータで後ほど御報告申し上げたいと思います。
  67. 田中一

    田中一君 この検定の第一次の試験に不合格の場合は、第二次試験が百パーセント、百点満点を取つてもだめだということになるのですか。再度受験する場合には第二次試験はこれは認めて、第一次試験をするという方法を取つておるのですか。
  68. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 試験のやり方としまして、第一次試験を合格しなければ第二次試験が受験できない、こういう仕組みにしております。ただ第一次試験については全部または一部免除の方途を講じておりますので、たとえば建築士の資格を持っておる、あるいは指導員の資格を持っておるという方々に対しましては、第一次試験のうちの学科試験を全部免除しております。逆に第一次試験を通つて第二次試験が受からなかったという場合には、この次の機会に第一次試験を免除する制度になっておりますので、この次の受験の第二次試験は、第一次試験を免除されて受けないで、受験できるわけでございます。
  69. 田中一

    田中一君 そうすると実技に対する評価よりも文字に対する試験の評価の方を高く見ているということになるわけですね。あるいは第一次試験というものを実技をやり、実技の受かった者は次に机の上の知能といいますか、そういうものの試験をやるということになると比較的合格率はいいんじゃないかと思うのです。それはなぜかと申しますと、第一次試験がだめになったからもはや自分はだめなのだといって、しない者もおるだろうし、第一次試験として実技試験をやれば、あとは知能関係を勉強すれば合格するのだ、という意欲がわくと思うのです。その点はどう見ていますか。
  70. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 第一次試験の内容は学科試験と実技の部分の共通要素試験と二つ部分からなっておりますので、学科だけという観点で第一次試験をごらんいただくと、学科に弱い人は全然、はしにも棒にもかからないというこういう御意見になるかと思いますが、学科試験よりもむしろ要素試験の方を加えておりますので、一次試験に合格しない人は学科だけで落ちたという意味合いではないものと考えております。
  71. 田中一

    田中一君 それでは実地試験、第二次試験の結果一つ資料でお出し願いたいと思うのです。どういう工合に採点しているか見たいと思うのです。どつちみち千五百円も命を出して、日雇い的な賃金しかもらってない者が、千五百円出して落ちるなんということは好ましくないのです。だからもう一ぺん、すっかり第二次試験の結果がわかったら一つ集計した資料をお出し願いたいと思うのです。
  72. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 結果は全部集計してお出しいたします。ただ千五百円というのは、一次試験でおつこちれば大体五百円で済むわけで、二次試験までいっておつこちた場合に千五百円がふいになる、こういうことでございますので。
  73. 田中一

    田中一君 そこで建設大臣に伺いますが、一昨年でしたか、職業訓練法が通つてあなたの所管する、あなたの掌握しなければならぬところの建設関係の技能者、技術者がこういう工合にここで訓練を受けております。これに対しては実施にあたっては建設大臣と労働大臣が十分に協議をして、そうして少なくとも建設大臣が末端において掌握しなければならぬこういう労働者の技能検定ですから、この点については十分な関心を持てということは、たしかあなたの前の大臣に強く要求してあったのですが、その際にお互いの了解事項ができております。これを持っておればここで披露していただいて、それがどのような形で技能検定並びに訓練に対する過去の実績の上に反映しておったか、という点説明してほしいと思うのです。
  74. 高田賢造

    政府委員(高田賢造君) 田中委員の御質問がございました職業訓練法の実施につきましては、労働省と打ち合わせをいたしております。この内容につきましてはすでに委員会にも差し上げてございますし、御承知と存じますが、一応の御説明……。五項に分かれておりまして技能検定は実技に重点を置くということをいっております。学科は補足する程度とする。それから第二点は建築大工と建築士とは違うものである、こういうことをうたっております。第三点でございますが、建築士または建築士試験に合格した者が、建築関係職種の技能検定を受験する場合は試験を免除する、こういう点が第三でございます。それから第四は技能者の称号についてでございますが、これは直ちに営業上あるいは雇用上有利な条件となることが予想されるので、次の点についての留意をする。一点は受験の機会でございますが、受験の機会については全国的に広く普遍的に行なう、こういう趣旨をうたっております。それから第二点は試験にふなれな者に対しましては、試験問題の出題方法等について十分考慮を払うと、先ほど訓練部長からも御答弁申し上げておりましたが、こういう点をうたっております。なお講習会等の実施については引き続き両方で相談をすると、現に府県の住宅関係の人がこれについて相当協力をいたしております。それから第五点でございますが、検定実施職種の決定、それから技能検定委員の選任、試験を委託する団体の選定並びに実施の時期でございますね、検定の実施の時期等につきましても十分相談をする、こういうことになっております。いずれもこの趣旨で相談をいたしております。
  75. 田中一

    田中一君 そうすると十分に連絡をとりながらやっているということですね、結局。それにしては受験者があまりに少ない。ことに五十万と推定される建築大工がたかだか三万人。第三の項に対して全国的にやっていないと言わなければならぬと思うのです。私は非常に労働省に不満をもつのは、公共訓練と事業内訓練に対する、同じ訓練という対象に対する補助が不均衡であるという点です。私は、こういうようなことを当然建設省から申し出をしなければならぬと思うのです。何といっても清水組でも大林組でも、ああした大きな企業の中においても、この建築関係の職人の職業訓練をしておらないのです。すべて末端の日雇い的な親方にこれをまかしておるのです。労働法が制定されて以来、弟子というものはなくなりました。これは一利一害があった。労働者の基本的な権利というものを守る意味においては、これは当然今の制度でよかろうと思います。しかしながらそのために、労働力を吸収して利潤を上げているという大企業の中に、そのような訓練というものをなさつておらない。せめてあるのが町場における全く日雇い的な、失業保険の対象にもならない、健康保険の対象にもならない、従って、社会保障制度の何にも適用を受けないところの職人が相集まって、そして事業内訓練という名のもとに――労働組合の訓練じゃないのです、ということは、労働省が認めぬものだから、事業内訓練という形で訓練をしている実情というものを、これはむろん有馬君もよく知っているはずです。私は、建設大臣並びに建設省の諸君がこれを知っているかどうか――まあ高田君なんか知らぬだろう、熱意がないんだから。とにかく私は建設大臣は知っていると思うのですよ。そこで、そういう不均衡な、不公平な扱いを受けているところの日雇い的な、労働組合が行なっている訓練所に対して、三十五年度ぐらいは相当なそれを伸ばそうという裏づけがあったろうと見ておりますけれども、有馬君、どうなっております。そして、それに対して建設大臣の所感を一つ伺いたいと思うのです。三十四年度はどうしたか、三十五年度はそれを反省してこうしたと、それに対する建設大臣の所感を伺いたい。
  76. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) ただいま御指摘の共同職業訓練団体に対する補助金の問題でございますが、これは残念ながら昨年と今年度比較いたしますと、三%の一般的な節減を食らいまして、二千八百数十万円という額に多少下がりました。従いまして、私どもとしましては、いろいろと補助金の増額を大蔵当局にもやったんでございますが、何せ補町金の補助額が非常にむずかしくて、現在のところ大体まあ昨年並みの額でことしも助成を行なっていかざるを得ないと、こういう状況でございます。もちろん私どもは、現状においてこれで十分だというふうには考えておらないのでございますけれども、残念ながら財政補助の点はそういう状況になっております。
  77. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 最近の延段事業の非常な重要性にかんがみまして、私は、各種の職業訓練を行なってそうして、それぞれの行為に対して一つの誇りを持たしていくということは、非常に建設事業を意義あらしめるものであろうと思っております。従いまして、今御指摘になりましたように、五十万の大工がいるならば、ほとんど五十万の大工全体にそれぞれその称号を与え得るようなことになることが好ましいことでありまして、わずか二万や三万の人たちだけがそういう検定を受けるというようなことでは、この法を実施した趣旨に沿っていかないと思います。従いまして、政府の予算その他の関係があって、なかなか追い回してこれをどうということが不可能でありますならば、少なくとも、ただいま名前をあげられましたような、いわゆる全国の大きな業者、その業者自体が自主的にその従業員の技能士に対して一定の規格によっての試験をしていくというくらいまで、業者にある一部を委託しても、十分私はその均衡のとれた、不公平でないものができ上がることと思っております。何らかの方法で全部のこの業種の人たちが一人も残らずこの資格を得るように努力さし、またそういうふうに仕向けなければこの法案の意義がないと思っております。私ども、何とかして建設省の省内におけるものについては、これは十分一人も漏らさないような方法を講じたいと思っております。事業者等につきましては、やはり何か事業者にまかしてそれだけの実績を上げるように一日も早くした方がいいと、かように思っております。
  78. 田中一

    田中一君 認定事業内訓練の内容ですね、これは一つ資料出してほしいと思うんです。それは、たしか法律の十三条の改正でしたかな、労働組合法に基づく労働組合でもいいんだという一項を、衆議院で修正して追加したのでしたね。
  79. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) ええ、十二条です。
  80. 田中一

    田中一君 それと、それから一般の認定事業内訓練というものは同じであるという見方を、あなた方はしておるわけですね、扱い方の問題は。
  81. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) ええ、財政補助を除きまして。
  82. 田中一

    田中一君 特定なる労働組合というものは認めないで、一応認定事業内の範疇に入るのだという前提に立って、その扱い方をしておるのが現状だと思うのです。そこで、その内訳、中で、衆議院段階で修正した労働組合がこれをやってもよろしいのだという実施個所、団体ですね、それから、いわゆる一企業内におけるところの、あるいはまた、いわゆる中小企業の一企業団体におけるところのものと、労働組合法に基づく労働組合がやっておるものとの内訳を一つ出してもらいたいと思うわけです、内容を。
  83. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) この、先生が今御指摘の、十二条に基づく労働組合が認可を受けて訓練を行なうという条項がございますが、実はこの条項に基づく訓練は、ことし初めて川崎市が市営で三年制の訓練施設を作りまして、これがごく最近労働大臣から認可が出たあと、岩手県の陸前高田に同じ市営の三年制の訓練施設を作りたい、こういうような意向がございます。そのほかにつきましては、労働組合が十二条に基づいて訓練を行なっておるということは、現状においてはないわけでございます。いずれも十六条の共同職業訓練団体として使用者が共同訓練を行なう、こういう形で現在やっております。それを形式だけでなくて、実態をとらえてどういう状況になっておるか、資料を出せ、こういう御注文だと思いますが、私どもの方も実はそういう調査をしたいのですけれども、なかなかそこら辺が実情がわかりませんので、まあ私どもがわかつている範囲の資料しかお出しできないと思いますけれども、形式と実態が少し違つている点もございまして、どこまでが、いわゆる大工の関係でいいますと、土建総連関係の施設であるとか、その色分けが実はつきにくい状況でございます。わかつている限りの資料でお許し願つて、後刻お出ししたいと思います。
  84. 田中一

    田中一君 補助率はどうなっておりましたかな。
  85. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 国が四分の一、府県が四分の一、合計で二分の一、ただ補助の対象が運営費に限定されておりますので、訓練事業に要する経費のすべてが補助対象になっているというわけではないわけであります。
  86. 田中一

    田中一君 御承知のように、終戦後技能者養成という点について相当労働者は熱意を傾けておるのですが、この意思のあった当初は、相当な補助金出して、都道府県を通じて各技能者養成所に対する直接な補助をやっておつた。これが呼び水になって、県あるいは市が同じような補助をしておったのは、これは有馬さん一番よく知っておるわけです。ところが今回の職業訓練法という形になって以来というものは、そうした助成しようというような意思を失つておる。私はことさらに失わしておるのじゃないかという工合にも考えるわけです。先ほど言っているように、建築関係の職人の技能養成というものは、相当な大幅な利潤をあげている企業内ではいたさないのです。ましてや、石屋なんという職業は、けい肺病という宿命的な病気を負わされて、ことに目の悪い人は全然、これは、近眼でも遠視でも、目の悪い人は石屋の職業は勤まらないのです。また、それに対する技能検定等はしておりませんけれども、貴重なる職業です。これらに対する労働条件というもの、宿命的な労働のあり方というものは、限界は他の職種と違つて相当あるわけなんですね。老眼になれば全然できません。もう、だから石工というものの職業の年令的な限界は、まあ四出せいぜい四、五です。若い者でも近眼はできないのです。そうしてけい肺病という病気を必然的に持たされておる。発病するしないの問題はありますが、大体肺は侵されている。では、そういうものは必要でないかと申しますと、必要でございます。現在自然の石というものから変わつてコンクリートの製品も相当出ております。これはまた同じでございます。それが大企業としての相当な利潤をあげている企業では、これに対しては等閑視しているのですよ。だから石工なんていう職業の職人はだんだん減つております。こういう点についても、私は、労働省は労働行政をつかさどる労働省であるならば、十分に実態を把握して、そうしてこれに対する特殊な助成方式をとらなきゃならぬと思うのです。私は、かかる今日あるところの現象というものに対する責任は、一に建設大臣にあると思います。建設大臣が、それらの末端の職人というものは、あなたの事業、あなたの責任範囲内において包含される職種なんでございまして、強い関心をお示しになるならば閣議においても、あるいは何らかの事務的な会合の機会においても、十分にそれらの職人の生命なり労働条件なり賞金なりについて、発言することができ得るのです。職業訓練法というものが制定されるときに、私は当時の建設大臣にも質問をいたしております。何ら関心をお示しにならない。そうして昨年でしたか、予算委員会の分科会でその点を当時の大臣に追及いたしますと、そういう法律が制定されたのすら頭になかったのです。ましてや居並ぶ局長はその事実を知らないような様子を見せておりました。はなはだ遺憾でございます。なぜ建設業法の一部を改正する法律案審議にあたって、この問題を持ち出すかというと、御承知の同じような思想、同じような法律を新しく出しておるところの建設大臣に対する将来における数々の約束、言で等がほしいのでございます。単に今回の場合には建設機械を操作するオペレーターにすぎませんけれども、労働省に所管をされる建築の各種の職人というものは、このように冷遇され、労働者自身の自分たちの賃金の中からせめても日本で必要であるところの技能というものを伝承しようと、これを民族に役立てようというような熱意をもって労働組合が職業訓練を実施しているにかかわらず、これに対しては労働省は何らの対策を持っておらぬということです。この点については有馬君にもずいぶん長い間食いついて善処方をお願いして参っておりますが、私は、建設省は今度はなはだ立法形式としては不十分な建設業法の改正で、一つの芽を出そうという考え方を持っておりますが、これは再び現在労働省が持っておりますような方法に陥ることを非常に危惧しておるものです。きようは時間もございませんからあとは次回に譲りますが、もう一ぺん有馬さんにもその資料をお持ちになっておいで願つて、これはまああなたの方の法律でないから、はなはだ迷惑かもしらぬけれども、しかし、結局末端において働いてもらう職人の問題を労働大臣が受け持っておるんです。これに対する建設大臣の発言力があるはずなんです。それを従来ともに熱意を示しておらないと思うんです。で、まあ有馬部長も次回の審議のときにはおいで願つて、十分に一つ業法の審議に参如していただきたいと、こう思うんです。で、こまかい点がたくさんございます。また建設大臣に、今後の建設業法の改正に伴うあなたの意思というものは、今までの長い間の宿弊と申しますか、各大臣が踏み切らなかった点がたくさんございますから、これらも次回からぼつぼつ質問を続けて参りますから、その点は御了承おき願いたいと思います。  きようは、この程度で私はとめておきます。
  87. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 田中委員の御意見ごもっともなんですが、多少誤解があるんじゃないかと思いまして、一、二御弁解申し上げておきたいと思いますが、建設省とは事務的にも非常に系密な連絡をとつてやっております。現に今度の建築大工の試験問題も、建設省から委員に二人人つていただいて作つております。それから全国八百人ばかりの一級の実技試験の検定委員の中にも、府県の建築関係の専門家が多数入っております。むしろその方々が中心になってやっておる状況でございます。これは私の方から建設省にも絶えず連絡をとり、お願いをしておる状況でございます。今後とも、建設関係の職種についての検定並びに訓練のやり方につきましては、そういう方法を踏襲していく予定にしております。  それから、また建築大工さんの受験者の数が、五十万の全労働者に対しての比率上、少ないというふうに御指摘がありましたが、これはほかの職種につきましても、最初の年でございますのでそう手広く検定を広げていくということはできませんので、徐々におおむね十年がかりぐらいで完全なものにして参る、こういう漸進的な方法で臨んでおりますので、初年度の数字が少ないということだけで御判断いただくのはどうかというふうに考えております。  それから、また建築大工以外の石工の職種につきまして御指摘がございましたが、私どもとしましては職種に怪重はないわけでございます。日本の産業の将来に向かつて必要なものはどういう職種でも、産業界の要請にこたえて訓練をしていく、こういう基本的な方針でやっておりますので、石工につきましても、お手元にお配りした資料にもありますように、公共訓練におきましては百四十五名の訓練をやっております。事業内におきまして同じく石工が約三百名、二百九十二名という訓練をしております。職種として産業界に必要なものは、細々ながらでもぜひ続けていきたい、こういう観点でやっておりますので、一つ御了承を願いたいと思います。
  88. 田中一

    田中一君 私の言っているのは、労働組合等のやっておるものに対するあなたの方の補助ですね、補助率というものが足りないというんです。ないじゃないですか。それによって利潤をたくさん生んでいる企業内で行なうならいざ知らず、非常に低い賃金の中から自分たちがやっておるという、この実態を知らなければならぬということを言っておるんです。
  89. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) 御指摘の通りでございまして、建設関係の仕事のやり方といいますか、請負の格好が現状である以上は、大手筋にこういった職人養成を、私どもも打ち割つて話し建設業界と相談したことがございますが、なかなか現状においてはむずかしい、こういうような御意見もございました。訓練法による訓練方式としましても、単独養成というよりは小さな業者が集まって共同でやる、という形をとらざるを得ないんじゃないか。それに対して補助をする、こういう結果になっておるわけであります。ただ、御指摘の労働組合に対する補助の問題は、これは与野党一致して修正された条項でございまして、その修正の際に、労働組合あるいは市町村がやる場合に認可の制度を設けて、道は開くけれども財政補助の三十四条はひっかけない、こういう修正になりまして、私ども法律を執行する立場にございますので、現行法では労働組合の行なう訓練に対して財政補助をするわけにはいかない。こういう状態になっておることは先生も十分御承知のことだと思います。法律改正の暁には、また補助の道が開かれるんじゃないかという考えでおります。
  90. 田中一

    田中一君 二十二年からでしたか、技能者養成の場合には補助を出しております。従って、職業訓練法が制定されたが、これは政府がもしほんとうにその熱意を持つならば、あなた方が法律を改正したからこうなったんだ、というようなことがあってはならないんです。技能者養成の場合、この思想をあなた方がお持ちになっているならば、率先して政府提案でお出しなさい、喜んで賛成する。あなたの方の原案にないから、社会党と自民党が話し合って、せめて十二条というものを挿入して、労働組合も対象にするということにしたんです。法律はそうなったから知らぬ、法律を変えたらいたしますというようなことは言葉が過事ます。もしその思想があるならば、なぜ原案を出さぬか。かつて十年の間というものは、技能者養成という行政措置であなた方がやっておつたじゃないですか。行政措置で、少なくとも地方の労働組合に対して補助を出しておったじゃないですか。それを改悪したものといわざるを得ないじゃないですか。それを法律云々なんということは、もしあなたがその熱意があるならば、政府提案でお出しなさい。喜んで賛成いたします。十年間というものは、やはり労働者にその犠牲を強いて、少しの補助率しかなかったけれども、技能者養成に対する相当な熱意を示して、前には相当なものができておつた。それはあなたも知っておるじゃないですか。それを今度打ちどめて、そうして大企業内において持たせるとか、あるいは公共のもので補つていこうという考えに変わつたじゃないですか。ところが、大企業というものは、今あなたがいっておるように、そうした訓練をしようという意欲を持ち合わせない。そのために末端において労働者が自分たちの組合を結成して、そこで訓練をしておるという実情に対しては、技能者養成に対してあなた方が持っておつた熱意をこれに傾けなさいということをいっておるんです。法律云々をいうならば、その熱意がおありならば、政府提案でお出しなさい。
  91. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後零時五十八分散会