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1960-03-28 第34回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十八日(月曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員前田佳都男及び森中守義君辞 任につき、その補欠として太田正孝君 及び武内五郎君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小山邦太郎君            櫻井 三郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            武内 五郎君            永岡 光治君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    経済企画庁総合    計画局長    大來佐武郎君    林野庁長官   山崎  齊君    建設政務次官  大沢 雄一君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省河川局次    長       曾田  忠君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○治山治水緊急措置法案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  治山治水緊急措置法案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。  御質疑の方は御発言を願いします。
  3. 小平芳平

    小平芳平君 この治山治水緊急措置法案、それからまた治水特別会計、この両法案が出されまして今審議中のわけですが、非常に災害を防止し、国土を関発し、また国土保全を十分に期そうとするこの画期的な両法案が出されましたことは、建設大臣、それから建設省当局の非常な御努力の結果だと思います。  そこで、私が若干御質問いたしたい点でございますが、まず第一に、この緊急措置法案目的でありますが、治山治水事業の緊急かつ計画的な実施を促進することによって国土保全開発をはかるという目的でありますが、従来も治山治水事業は緊急かつ計画的に行なわれてきたと思うわけでありますが、特にこの緊急措置法によってどういう点が緊急かつ計画的になるかという点について、総括的に御説明願いたいと思います。
  4. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 従来も治山治水につきましては、最も重要な一つの国の施策として取り上げておったのでありますが、どうも建設省あるいは農林省におきまして、これらの計画を樹立いたしましても、ただ単にその省の間における計画でありまして、これを財政当局、たとえば大蔵省あるいは企画庁等政府全体として、これがその計画規模等を十分認識し、また政府としてこれに対する一つ施策を間違いなく年次計画に従って行なおうということになりますには、どうしても正式な閣議決定による裏づけがなければ、とかく財政都合のいいときは、相当治山治水事業費というものがふくらみますが、ちょっと何か故障があると、これが非常に財政的に制約されまして、われわれが何をおいてもまず尊い人命を犠牲にしないような、この治水対策水防対策というようなものが、とかく国の予算から制約を受ける場合がままあったのでありまして、これらを私どもとしては、どうしても何ものよりまず優先的に、この年次計画によって災害を逐次防止するという方針をはっきりとここに樹立しなければ、民生の安定、経済基盤の確立を十分樹立することができないというようなことで、今回かような治山治水の基本法なるものを上程いたした次第でありまして、これによってわれわれが今まで心配しておりました国土保全が十分期せられる、かように思っているのであります。
  5. 小平芳平

    小平芳平君 そういたしますと、閣議決定によって予算を十年計画あるいは五年計画と確保するという点が非常に重要な点であるというふうに了解してよろしいわけでございますね。で、この法案によりますと、治山については農林大臣治水については建設大臣、その両大臣が相互に調整をはからなければならない。あるいはまた、経済企画庁長官協議しなければならないということになりますと、今まで建設大臣責任として行なわれてきたことが、その両大臣協議とか、経済企画庁に対する協議とかあるいは閣議決定とか、その責任の所在がかえってぼやけてしまいはしないかというような感じを受けるのでありますが、特に災害がありますと、まっ先に建設大臣が矢面に立ちまして、建設当局はどうした、どうしたと言われがちでありますが、そういう点かえって責任分散みたいな結果に陥りはしないかというように感ずるわけですが、その点についてはいかがでしょう。
  6. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 一応そういうように、表だけを読んでみますとそういうふうに考えられる節もあるかもしれませんが、政府としては、治山治水計画を立てて、これが建設大臣が立てた、あるいは農林大臣が立てたものを、もう一度政府全般から見た、いわゆる国全体から見たものはどうかというような点について、企画庁長官は国のすべての企画についての責任大臣でありますので、この企画庁長官と一応相談して、経済成長率はどうなっている、あるいはこういう場合には経済成長率とか、あるいは国民総生産等を考慮に入れた場合にはこうなるが、しかし、それになお優先しなければならないので、まあこの程度のパーセントの伸びならやむを得ぬだろう、そういういろんなものの裏づけをする立場にあるのが経済企画庁でありますので、総合的な関係を検討する場合には、どうしてもこれを私は一応経済企画庁長官、いわゆる内閣総理大臣企画を代行している企画庁長官に相談をするということが閣議決定の際の——閣議にはかる場合にもその方がスムーズにいくのでありまして、これらの裏づけがなくして、ただ単に建設省あるいは農林省で勝手に企画をして閣議に臨みましても、どうも閣議決定の場合にもう一ぺんそういう全体的な企画を検討することになりますので、そういう点から申しましても、どうしても経済企画庁長官と相談し、話し合いをして、そうしてはっきりしたそこに線を出してくるということが私は望ましいと思って、かようにいたしておるのであります。
  7. 小平芳平

    小平芳平君 この国土総合開発法によりますと、やはり経済企画庁長官計画を提出する、あるいは企画庁長官事業計画について必要な調整を行なうというふうになっているのですが、今度の緊急措置法でいうところの協議と、それからこの総合開発法でいうところの総合調整とは、大体似通ったものでしょうか、それとも根本的に違うところがあるでしょうか。
  8. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 国土総合開発法によりましては、たとえば全国総合開発計画におきましては、「内閣総理大臣は、関係行政機関の長の意見を聞き、国土総合開発審議会調査審議を経て、政令の定めるところにより、全国区域について、全国総合開発計画を作成するものとする。」ということに相なっております。これは企画庁長官が実際の計画は作るわけでございますが、その際におきまして、全国総合開発計画内容といいますものは、治山治水計画も入っておりますし、電源開発も入っておりますし、あるいは土地改良計画も入っている。その各省責任を持っていろいろな計画を作っておりますので、全国総合開発計画を作るときは、それの調整が必要でございますので、各省関係にわたりますので、関係行政機関の長の意見を聞くということに相なっているわけでございまして、今回の治山治水計画経済企画庁長官協議しようというのは、しばしば御説明申し上げておりまするように、長期経済計画あるいは国土総合開発計画企画庁で所管しておりますので、それらと調整をはかる意味におきまして、建設大臣あるいは農林大臣企画庁長官協議をしようということでございます。従いまして、いずれも調整を必要とするという意味において協議するという点は同じでございますが、内容といたしましては、多少企画庁協議をいたします内容は、各省おのおの権限を有する事業総合体でございますので、内容といたしましては、多少の違いがあるわけでございます。しかし、いずれも調整をとっておかなければいかぬということで、協議をするという点については同じだというふうに考えておのます。
  9. 小平芳平

    小平芳平君 要するに、重任は建設大臣にある。いわゆる企画、立案から実施に余る責任建設大臣にある、このように了解してよろしゅうございますか。
  10. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 計画並びに施行の問題につきましては、企画庁長官にも協議をいたしますけれども、これは別の観点から協議をいたしているわけでございまして、治山治水責任というものは、やはり農林大臣建設大臣にあるということに解釈して適当だと思います。
  11. 小平芳平

    小平芳平君 それから、次にこの治水事業でありますが、緊急措置法の方では、河川砂防地すべり特定多目的ダム、概略この四項目をあげておりまして、次の事業は、治山事業または治水事業に含まれないものとするとして、災害復旧災害関辻伊勢湾高潮、その他の事業はこの緊急措置法に含まれない、こういうふうになっているわけでありますが、特別会計の方には、直轄事業あるいは受託工事あるいは災害復旧その他が特別会計には入っているわけですが、こういうふうにした理由について御説明を願いたい。
  12. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 緊急措置法におきましては、建設省関係といたしますると、河川砂防地すべりダム、こういうことでございまして、まあ河川工事といたしましても、ただいまお話しがございましたように、災害復旧なり、あるいは災害関連事業あるいは伊勢湾等高潮対策事業の中にも河川に関する事業はあるわけでございますが、これは災害関連いたしまして起こってくる事業でございますので、あらかじめ計画を策定しておくことができないわけでございますので、従いまして、五カ年計画なり十カ年計画を作るということが不可能なわけでございます。従いまして、五カ年計画なり十カ年計画対象として含めることはできないということから、緊急措置法対象からは除外してあるわけでございます。  今度は特別会計の問題でございますが、特別会計におきましても、やはり河川砂防地すべりダムが主体でございます。しかし特別のものといたしまして、伊勢湾直轄出潮対策事業だけを特別会計処置しようということにいたしておるわけでございまして、一般災害復旧、それから一般災害関連事業あるいは鉱害復旧事業等特別会計対象といたしておりません。伊勢湾直轄高潮対策事業だけでございまして、これをどうして特別会計に入れたかという理由でございますが、これは御承知のように愛知県、三重県の海岸の事業、それから河川事業が、伊勢湾高潮対策事業ということに相なっておるわけでございまして、この中には木曾川の下流あるいは鈴鹿川の下流等直轄河川で行なっている直轄事業区域の中の高潮対策事業があるわけでございまして、従いまして、河川事業と密接な関係があるものでございますので、同じ会計で処理した方がよろしいという関係で、この伊勢湾直轄事業だけを特別会計処置することにいたしておるわけでございまして、そうした方が、会計が同じで処理した方が、相関連する事業でございますので、その方が非常に都合がよろしいということで、そういう処置をいたしておるわけでございます。
  13. 小平芳平

    小平芳平君 その点よくわかりましたですが、この災害復旧の場合ですけれども原形復旧改良復旧かということが論議されまして、最近の災害状況から見て、改良復旧の方がよろしいと、二度と災害を受けないような、それこそ何年、五十年たっても百年たってもというように、理想的にいえば二度と災害を受けないようなそういう計画というものが必要であって、しかも、この災害復旧は緊急に措置されなければならないことは言うまでもないし、また、この将来の長期計画に耐え得る災害復旧でなければならない。この緊急措置法では十年計画の方を論議して、ほんとの緊急の方の災害緊急措置法から除かれるというような、どうもその法案の名称と中身がちぐはぐみたいに感じますが、その点いかがでしょう。
  14. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点、一つ法律にいたしまして、およそ災害復旧事業なりあるいは災害防止事業なりは、一つ法律を作って処置するならば、非常に明確ではないかという御質問だと思いまして、私もそういうことにいたすならば、非常に明確に扱えるというふうにも考えられるわけでございますが、災害復旧の問題につきましては、別途、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法というのがございまして、建設省河川、道路、それから砂防、それから運輸省の港湾、それから農林省治山等を一括いたしまして災害復旧処置をする法律がございまして、これについての改正の御意見等はもちろんおありのことと思いますけれども、一応これにつきましては、緊要工事は三カ年で復旧するという原則が確立されております。従いまして、治山治水の五カ年計画なり十カ年計画よりも、災害の方はすでに緊要工事三カ年復旧原則が確立されておるわけでございますので、その点につきましては、災害の方が先に進んでおったという、法律関係は進んでおったという関係でございます。ただこの問題につきましても、こういうふうに改良した方がいい、改正した方がいいというふうな御意見はあるとは思いますけれども、この点につきましては、すでに緊要工事三カ年復旧原則が確立されておりまして、その法律改正以後はその方針によってすべてが進められておりますから、いずれの災害も四カ年では復旧する、できるということで進められておりますので、むしろこの緊急措置法あとから追いかけて行ったというような形でございますので、合わせて一本になりまして、災害復旧災害防除対策が、年次計画を作ってがっちりと施行させていくということに相なったわけでございます。
  15. 小平芳平

    小平芳平君 そういう点はよろしいですけれども、従来でも、ともすると計画がまちまちであったり、要するに今日のように行政が分化し過ぎるほど分化しておりますから、ともすると、そういう点で計画といい、施行といい、ばらばらになりがちである。まあ、もとより権力者命令一本で工事もするし、計画もするというようなわけには参りませんが、そういうところに、同じ建設省でもこういうふうに分かれる、ましてや各省との関係もある、その接触点に大きな穴があいて、大きな災害を受けるというようなことになりますと、その実際災害を受けるのは大衆でありますから、そういう点で、災害復旧と、それから緊急措置法との関連ですけれども、問題ない、十分建設省一本の仕事だから、観念的には分けただけであって、実際には問題ない、こういうことですか。
  16. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 従来におきましても、たとえば災害が起きた場合におきましてそれをどういうふうに復旧したら将来またもやられるというようなことがないかというような点は、いろいろまあ研究はして処置して参ったわけでございますが、今回、緊急措置法実施されまして、十カ年計画あるいは五カ年計画が確立せられますと、その確立されたところに起こった災害につきましては、計画が定まっておりますので、災害復旧をするに際しましても、その計画に沿って実施できるということに和なるわけでございますので、この計画が確定されるということは、非常に私は、災害復旧の面からいいましても非常に前進をすることだというふうに考えておりまして、いずれも相互関連ある事業でございますので、災害を受けたときにも、できればこういうふうに復旧したいという、河川改修計画なりができておりますれば、非常に都合がいい。私はむしろこの計画が確定されたために、災害復旧の方も非常に工合がよく進められるのではないかというふうに考えております。別々の法律ではございますけれども、この法律を運用する機関は、中央におきましても、地方におきましても、同一の機関が運営するわけでございますので、その点については支障ないものと考えておる次第でございます。
  17. 小平芳平

    小平芳平君 この十カ年計画では、しばしば御説明がありましたように、毎年一一五%の伸びを見ている。経済の発展は七・二%ほどではないだろうかという御説明があったわけですが、この点について経済企画庁の方見えておりますか。
  18. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) もう少ししたら来ますから……。
  19. 小平芳平

    小平芳平君 で、その十一・五%の伸びは、人件費ですね、事務費人件費の増大する部分はどの程度に見ていられるのか。
  20. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この点につきましては確固たる今数字がございませんが、昨年度に比べまして、今年度が同じ人間ならばどのくらいかという点で申し上げますと、四、五%程度の上がりというふうに考えられているわけでございます。
  21. 小平芳平

    小平芳平君 大蔵省では四%、中だるみ是正で四%というふうに庁っておりましたですが、その点どうでしょう。
  22. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 大体そんな見当ではないかというふうに考えます。
  23. 小平芳平

  24. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいま申し上げました数年は、大体昇給分というふうに考えている次第でございます。人等がふえますれば、それに従いまして、その分はまた別に加わるわけでございます。
  25. 小平芳平

    小平芳平君 非常にその経済伸びが七・二%で、中だるみ是正昇給分を入れて四、五%ということは、非常にその労務管理の上から見て無理じゃないでしょうか。
  26. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今のお話でございますが、経済伸びは七・二%だけれども昇給分が四%では無理ではないか、まあ昇給、月給をもらう者が、経済伸びに応じた給料をもらえない、こういう点であろうと思いますけれども、まあ七・二%というのは、人口は増しても、国民所得が全部としてそれだけ伸びるということでございまして、人口割りにするとその率がまあ多少低くなるわけでございまして、人口伸びますからその点ではどうなりますか、私も——企画庁あたりではよくわかるかと思いますけれども、まあ経済の、人口伸び率に応じたくらいの昇給はさせなければならぬという理屈は、私どもわかるわけでございますが、今の四%程度は、従来の実績で申しますと、それくらいの程度ではないかということを申し上げた次第でございます。
  27. 小平芳平

    小平芳平君 建設省関係職員は特に定員外職員が多いし、それからこの予算定員の方の職員も、実際には人事院勧告によってその昇給昇給じゃなくてベース・アップを考えようというわけで、去年の人事院勧告がことしから、三十五年度から実施されようというわけですが、そこでその人事院勧告は、三十四年度に出された人事院勧告は、実は三十三年ですね、三十三年の給与あるいは物価、生計費、そういうものを調査した結果である。それが三十四年に勧告されて、やっと今実施されようと、こういうわけですから、大体その公務員給与は、あとからあとから追っかけていく。それでいつも民間に取り残されがちである上に、その上になおかつ定員外職員をたくさんかかえている。そういうようなことで、非常にその人事管理の上に無理があるように感ずるのですが、どうでしょうか。
  28. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) ただいま小平先生から建設省職員につきましては、とにかく、公務員全体として給与ベースが低いんじゃないか、人事院勧告もおくれて実施されておる。特に建設省の場合は常勤的非常勤職員が相当おるので、なお人事管理上、大きな事業を遂行していく上に困る点がありはしないかという御質問でございまするが、私ども、まあ給与は全体として、特に民間に比べて決していいとは思っておりません。しかしながら、まあ国家公務員という誇りもございますし、また、仕事に対する情熱も職員が持っておりまするので、実際の仕事やり方等をお互いに工夫いたしまして、現在の給与条件のもとにできるだけ能率を上げていくように、いろいろまあ苦心をいたしておるわけでございますが、まあ給与の問題は、国家公務員全般の問題でございます。で、まあ建設省関係職員だけがよくなるようにというわけにはなかなか参らぬと思います。しかしながら、超過勤務手当等につきましては、建設省としては、まあ毎年のことでございますが、非常に努力をいたしまして、毎年相当増額を見ておるような状況でございまして、超過勤務手当等、まあその他の特殊勤務手当等も若干ございますが、これらを重点的に配分いたしまして、関係職委勤労意欲を向上させるように一そうの努力をいたしたいと考えております。  なお定員外職員の問題につきましては、先生も御案内のことと思いまするが、私ども多年先生方の御支援もいただきまして、定員化努力をいたしてきておる次第でございます。まあ政府といたしましては、近い機会に定員法改正を提案することになっておりまするが、なお、国会の方の御支援もいただきまして、実質的な定員化が実現されまするように一そうの努力をいたしたいと考えております。
  29. 小平芳平

    小平芳平君 その国家公務員全体にわたる部分を今ここで論議しようというわけではないのですが、国家公務員給与自体がいつも民間あとから追っかけいく、これが実情のわけですが、そこで建設省が準職員補助員ですか、そういう定員外職員をたくさんかかえている。まあ建設省以外の現業官庁でも同じような傾向があるようですが、そこで今度は、もともとその定員法はマッカーサーですか、占領軍命令でできたものであって、無理だ。で、定員法廃止して新しいものを作ろう、こういう動きがあって、それに対して建設省が反対して、これはまた一年延びることになったというような新聞記事が出ていたのですが、その間の事情について御説明を願いたい。
  30. 鬼丸勝之

    政府委員鬼丸勝之君) ただいま先生から御指摘のように、定員法の取り扱いにつきましては、行政管理庁当局が、できれば、本国会定員法廃止を提案したいという考え方を持っておりました。しかし、私どもといたしましては、かねて準職員なり常勤的非常勤職員定員化を強く関係機関に要望し、折衝いたしておりました関係もありまして、今直ちに現状において定員法廃止することは、結局準職員補助員等常勤職員化と申しますか、実質的な定員化を不可能ならしめるおそれがあるのではないかということで、私もだいぶ前、一カ月ぐらい前の官房長会議に出まして、強硬に反対をいたしました。その結果も反映いたしまして、定員法廃止は今国会においては見送る。ただ一年先に廃止することを目標にいたしまして、その間に定員法廃止に伴う常勤的非常勤職員短数化でありますとか、あるいは任用の問題でありますとか、その他給与条件等についての妥当な結論を得るための政府関係機関連結協議会を設けて協議をしようと、そういう成案が得られるという前提において、将来定員法廃止を考えようと、こういう結論に達した次第でございます。
  31. 小平芳平

    小平芳平君 経済伸びが何%とか、それから五カ年計画、十カ年計画伸びが何%というときに、その人事管理が非常に大事だと思うのですね。今までのように半分近いような定員外職員をかかえて、それでいて予算だけは通った通ったと、計画はできたできたといいましても、寝際にそれを実施施行する場合の人が非常に問題になるわけですから、一つ根本的に定員法廃止ないしは新しい、どういう形でできしがるかというのは問題でしょうけれども、特に建設省のような場合は、予算があっても、物があっても、要は今度は人間が問題なんだから、労働作業の上では労働者をどのように待遇して、仕事に応ずる給与を考えていくか。先ほどちょっと時間外手当はちゃんととってあるというふうにも言われましたけれども、これは当然のことで、時間外手当が考えられていることは当然のことであって、むしろ今問題なのは、同じ仕事を三年も五年も、それ以上もしておりながら、しかも定員外だと全然身分が違う。この人たちが、それではもうとても職場で今まで通り働けない、働かないというふうなことになったら、せっかくの予算も大きくつまずくのではないか、こういうふうに感ずるわけです。ですから、この問題を一つ建設大臣からお伺いいたします。
  32. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御指摘の点は全くごもっともでありまして、少なくとも五カ年間四千億あるいは十カ年間九千二百億という大体その事業に合った規模は、現段階におけるいわゆる物価によってわれわれ計画いたしておるのでありますから、もしも非常に物価が上がり、あるいは給与等も上がって参りますと、事業そのものを圧縮するわけにはいかないのでありますから、どうしてもそれだけ、人件費等の上がっただけのものは、これは私は、そのつどと申しますか、ある年次まではそのうちでスライドして、それだけのものが多くかかることはやむを得ぬと思います。で、最後の年に、かりに五年目に、あるいは四千億であったものが四千五千億になるか、あるいは四千八十億になるかということは、一応考えられるところでありまして、私どもといたしましては、事業を主体にして、事業量というものを、これだけの緊急事業をやるということになっておりますから、もしも人件費に異同がありました場合には、その異同した分だけは事業に食い込まないように、スライドする必要があると、かように私は思っております。
  33. 小平芳平

    小平芳平君 その問題は了解いたしました。  次に、簡単にお聞きしたい点だけ申し上げたいと思いますが、先日の委員会で、治山治水関係ですが、農林省関係建設省関係と、どうもその範囲とか、施行の場所とか、そういうことで食い違いがあって困るということに対して、いや、そんなばかなことはない、十分その打ち合わせはやっているというようなお答えがあったわけですが、ここで林野庁長官にお伺いしたいことは、実際に中央ではどういうような協議を行なっているか、あるいは地方ではどういうような協議を行ない、あるいは連絡をし合って実際の事業を進めているかという、そういうことについてお伺いします。
  34. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) その点につきましては、県の土木部と申しますか、治水を担当しておられる部門と、林務関係を担当しておる部門とにおきまして、主要な流域ごとに、協議会のようなものを作りまして、計画の段階あるいは毎年の事業実行の段階におきまして、町村別とか個所別に、事業計画の重複とか、あるいはそこにそごを来たさないようなことを具体的にやってもらっておるわけでありますが、そういう間を通じまして、いろいろと両者で意見の一致しないというふうな問題につきましては、それが林野庁なり建設省にそれぞれまた上がってくるわけでありまして、林野庁、建設省の両者におきまして、やはり同じように、流域別というふうに、そういう具体的な問題について調整をして、また、現地にそれをおろしていくという方法をとっておるわけでありますが、今後におきましても、こういう方法をさらに強化して、両者の総合化に努力していきたいというふうに考えている次第でありまして、この五カ年計画、十カ年計画を策定する段階におきましても、主要な流域別には、具体的に両者で話し合いまして、十分な連絡をとりたいと思っております。
  35. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 小平君、大來君が三時までおられるそうですから、もし御質問があれば、今のを端折って大来君に一つお願いしたいと思うんです。
  36. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、総合計画局長にお伺いしたいと思いますことは、今度の緊急措置法によりまして、建設省あるいは農林省から計画が出されて、経済企画庁協議をするわけですが、その協議する場合に、経済企画庁としてはどの程度の力をもって協議に応ずるわけですか。たとえば、これはもう全然だめだから作り直せとか、そういうようなことができるかどうか、いかがですか。
  37. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 企画庁といたしまして、この問題に関連しておりますところは三つばかりございまして、一つが、この長期経済計画の作成というのが企画庁の役割になっておりますので、ごく小さな、部分的な計画であれば、必ずしも一々関連して参りませんのですが、かなり大きな資金を使って、国の経済全般に影響がある長期計画というふうなものになりますと、やはり国全体の計画——現在では所得倍増の計画の作成に当たっておりますが、それとの関連を検討してみる必要がある。二点といたしましては、これは私の局ではございませんで、総合開発局の方が国土総合開発審議会を担当いたしておりますので、国土開発との問題との関連がある部分については、何かやはり関係が出て参ります。  第三は、治山治水対策関係閣僚懇談会というものができておりまして、その実質上の事務局は経済企画庁にやるようにということで、従来やって参りました点がございますので、以上の三つの関係で、まあ経済企画庁長官協議をすることに、案文でなっておるわけでございます。私どもといたしましても、経済企画庁の性格から申しまして、あまり個々の事業内容に立ち入るということはやっておりませんし、また、やるべきでもないと考えておりますのですが、ただ、国の経済全般の見地から見て、大きな影響のある点については、もしも意見がある場合には申し上げる、そういうふうに考えておるわけでございます。
  38. 小平芳平

    小平芳平君 先ほど同じことを建設省にお伺いしていたのですけれども経済企画庁としても、やはり経済伸びは七・二%というように見ているのでしょうか。この点。それから、また今度の十カ年計画では、治水事業一一・五%の伸びを見ている。事業計画を毎年一一・五%に伸ばしていこう、この点。それから、もう一つは、そういうようにして経済が発展し、そしてこの緊急措置法によるところの計画が確定していく、進展していくものとすれば、それに見合う公務員給与あるいはその事業に対する人件費伸びというものをどういうふうに見ていったらよろしいか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  39. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) ただいまの経済成長率につきましては、もしも十年に日本の経済規模が倍になるといたしますれば、年複利七・二%になるという計算になっておるわけでございます。まあ今までの過去数年間の実績その他から見まして、ほぼ、事務当局としては、この七%前後の経済成長率は可能であろうと概略判断しておるわけでございますが、実は企画庁経済審議会がございまして、その総合政策部会の中山伊知郎先生が部会長でございまして、ここに今計画方法論なり政策の扱い方なりについての専門的な検討をお順いしております段階で、七・二%が確定的ということを申し上げる段階には至っておらないわけでございます。  それから、この給与の問題につきましては、これは経済成長率とやや違った形になるかと思うのでございますが、それはまず第一に、給与となりますと、一人当たりで考えるわけでございまして、従来の七・二%というのは、国の経済規模、国民総生産ないしは国民所得という、国全体の経済規模の伸びを申しておったわけでございまして、給与となりますと、その中で賃金俸給生活者の数がどう変化するか、十年間にどのくらいふえるかということで、頭割りで考えることと、もう一つは、国民所得のうちのどのくらいの割合が賃金、俸給にいくか、それ以外に企業者の利益とか、あるいは個人業主——これは農民などが多いわけでございますが、そういう方の所得になる分と、いろいろこの国民所得が分かれますので、その中の賃金、俸給に向かう部分、従来大体国民所得の半分ぐらいがそこらに回っておるわけでございますが、その割合の変化等の見通しを立てまして、その上で大体一人当たりの賃金、俸給額がどのくらいになるかという検討をやっておるわけでございます。現在はまだそこまで作業が進行いたしておりませんのですから、非常に大ざっぱなことを申し上げますと、過去五、六年の平均の経済成長率が七%ぐらいでありまして、その間の産業り全体の実質賃金の伸び率が年四ないし五%ぐらいで、つまり農民及び個人業主がかなり近年減って参りまして、賃金、俸給を受ける人間の数が年四、三%ずつふえておりますものですから、頭割りにいたしますと、まあ実質賃金として経済成長が七%ぐらいのときに、賃金の方は四%ないし五%なり見るのが妥当ではないだろうか、ごく大ざっぱな見当でございますが、そういう判断をしておりまして、こういう府もさらに今後専門家の方で具体的に堀り下げる問題になっておるわけでございます。
  40. 小平芳平

    小平芳平君 その賃金、それから国民所得は、直接治山治水とあまり関係ありませんから、この程度にいたしたいと思いますが、要するに七・二%ということ、それから実質賃金の向上の工合、そういうものは非常にまだ不安定なものであるというふうに理解してよろしいのですね、七・二%が既定の事実のようにして。だからこういうふうにその十カ年計画によって事業を進めていけば、災害はこれだけ減るようになるというふうに、七・二%、その辺を確定的に、どの程度確実性があるかということも考慮に入れなければならないと思うわけですが、その点いかがでしょう。
  41. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) ただいま実はそういう作業中でございまして、大体ことしの夏ないし秋ごろに一応その所得倍増計画内容ができ上がると思うのでございます。ただ将来の予測というものは、ことに長くなりますと、一体、七・二%か七・五%か八%か、あるいは六%か、この辺のところはなかなか将来の問題でありますし、国際情勢の変化もございますし、私ども計画を立てる場合も、ある程度幅を持って考えざるを得ないのではないか。たとえば年六・五%ならば十一年で経済が倍になるわけでございます。七・二%なら十年で倍になるわけでございますが、そこら正確に七・二%というのかといわれますと、大へんむずかしいのでございますが、大体の見当として、現在の日本の経済の持っております条件、これからの条件、過去の歩み等を考えて、七%前後の伸びを今後約十年ぐらい続けるということは、大体において可能であろうというような判断をしておるわけでございます。
  42. 小平芳平

    小平芳平君 建設大臣に最後に一つだけお伺いしてやめたいと思いますが、この緊急措置法というから、この法は暫定的な感じを受けるわけです。緊急措置ですから。ですから、災害に対する基本法とか、あるいは国土開発の基本法とか、そういう根本的なものがそのうちに考えられなければならないときがくるのではないか。いつまでも緊急措置、緊急措置だけで進められるものでもないというふうに考えるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
  43. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御意見の通り、この緊急措置法は一応十カ年間の計画を遂行する上に必要である法律でありますが、しかし、私どもは、一応日本のあらゆる災害を防止するための措置といたしましては、この法律によってそれぞれ裏づけをしていくということがまず第一でありまして、この法律はたとえ、いかなるこの種の立法措置が行なわれるにいたしましても、まずこの法をもって災害防止の基本的な法と私は考えております。ただいま御指摘になりましたいわゆる災害基本法というような点につきましては、先般来岸総理がお答えいたしておりますように、これは総合的に災害の際に、その災害の応急あるいは緊急対策を講ずる必要がある。そういう場合には、そこにいわゆる各省のセクショナリズム等にこだわることなく、国として一貫した措置をしなければならない。こういう点につきましては、目下関係方面におきまして十分その成案を得るように研究いたしておるようであります。時間的に成案が得られて間に合いますれば、今国会に提案するように申されておりますので、これは私どもも、ぜひともこういうような大災害等に対しましては、そういう基本的な法案の出ることを切望いたしております。まあ、それはそれといたしましても、この法律はそれとは関係なく、あくまでも国土保全のための今日最も適切なるものであろうと、かように思っておるのであります。
  44. 田中一

    田中一君 ちょっと山本君に聞きたいのだが、この前ちょうだいした資料のうちですね、災害復旧事業費調——ちょっと記憶があいまいなんだけれども、三十年か三十一年に過年度災害の補助工事を打ち切ったことがある、相当数ね。そうすると、それは何か資料を持っているのかしら。たしか三十年だか三十一年だかに、五年、六年かかっているものだから、過年度災害復旧が、それを打ち切ったことがあるように私は記憶しているのです。そこで、この三十四年度の「国土建設の現況」を見ると、百六ページに、三十三年度まで各年発生災害復旧事業補助進捗状況というのがあって、二十八年災はやはり若干残っている。二十九年度が残っている。三十年度がすっかり終わっている。三十一年度が残っている。三十二年度が残っている。三十三年度はうんと残っているというのは、三十二年度からは、この表で見ればわかるけれども、三十一年度前の過年度災の打ち切った額はどのくらいになっているか。そうしてその打ち切った——災害復旧として当然しなければならなかった仕事が打ち切られたために、結局それが荒廃化して、荒廃地という指定でもって、これがこの五カ年計画あるいは十カ年計画にそれが織り込まれるものであるかないか。とにかく思想的には、災害復旧事業というものはこれから除外するのだということが原則になっている、建前になっている。そこで、たしか三十年か三十一年かだと思うけれども、相当大幅にこれを打ち切ったことがある、過年度災というものをね。それらのものは、むろん災害復旧しないから荒廃している。あるいは地方が、補助を打ち切られても、地方があるいは復旧したかもわからない。それらの実態というものがどうなっているかという問題と、それからそれらのものが、今回この法律の策定にあたって、治山治水緊急措置法してそれに含まれるかどうか。含まれる額がどのくらいになるかということです。
  45. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その当時私も直接の担当でございませんので、はっきりはいたしておりませんが、あれは二十八年の災害が非常に大きかうたわけでございまして、これにつきましては机上査定がだいぶあったわけでございます。従ってそれを現地の査定をいたしてみまして、おそらく三、四年たってから現地査定を最後にしたと思います。その際に、河状等の変化によりまして、これはしばらくやらなくてもいいじゃないかというような判定を下したのもございまして、そういうのが打ち切りになったというのがあるわけでございます。従いまして、特にあのときに緊急砂防というのがあったのでございます。二十八年でございます。そしてその当年だけ緊急砂防で扱いまして、その次年度からは普通の砂防で処理したわけですね。従いまして、県といたしましても補助卒が低くなってしまったし、あるいは起債の面でもめんどうが見られないということになりまして、相当残りが出たわけでございます。従いまして、これは何とか処置しなきゃいかぬということで、結局その結果、河の中に流れ込んだ土砂等が緊急砂防でやられないでそのまま放置されたというようなものが生じて参っておるわけでございます。これにつきましては、砂防工事でその後やっては参っておりますけれども、なお残りがございますので、それらの点は、新しい今回の五カ年計画の中に危ないものは組み入れていかなければならぬというふうに考えております。今、打ち切り等の数字は、この前の国会のときに差し上げたのは覚えておりますが、今ちょっと持っておりません。たしかあのときに差し上げまして、多少数字が間違っておりまして、直したことも覚えておりますが、今はちょっと持っておりませんが、そういういきさつだと私は記憶しております。
  46. 田中一

    田中一君 そこで、そうしたものは全部この十カ年計画対象となるということでいいですね。
  47. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) いろいろございますので、その後また災害がありまして、これはもうほうっておけないというようなもので、災害処置したものもあると思います。それから災害関連等で処置したものもあると思いますけれども、なお現状におきまして、打ち切りになったようなもので危ないところがありますならば、この計画に入れて処置しなければならぬというふうに考えております。
  48. 田中一

    田中一君 そうしますと、あなたの方で出した「国土建設の現況」ですが、三十年は全然完成か、あるいは災少、がなかったのか、ちょっと記憶にないけれども、そうするとこれはすっかり終わったと、そうすると二十八年度災と二十九年度災が完成してないんじゃないかと思うのです。やはり若干残っているものがあるのではないかと思うのです。きのう出してもらった書類を見ると、三十二年度災が終わっている、それから三十三年度が八五%完成する、三十四年度が六五%ということになっておりますが、これはやはり小災害のもの等打ち切りになったものが予想されているのかどうか。そしてこの表にないところの二十八年度災、きのう提出された資料の中にない二十八年度災、二十九年度災はどういう工合に処理されるのですか。
  49. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この前お出しいたしました資料によりまして、二十八年災害というのは、大蔵省建設省の全部残りの数字はぴしゃりと合いまして、二十八年災害が非常におくれたわけでございますが、三十四年度でその打ち合わせの済んだ数字は全部完成するわけであります。それで国庫負担法の改正が適用になりましたのは、三十年災害以降でございますので、三十一年災までは三十四年度で完成しているわけでございます。従いまして、ここに表があげてございますのは、三十一年災まで完成して、残っておる分だけを三十五年度以降に持ち込まれておるものを書いてあるだけでありまして、ほかの災害はいろいろないきさつはございましたけれども、さっき先生のおっしゃるようないきさつはございましたけれども、最後に出た数字は、三十四年度までに完成ということになっております。それでいろいろ予算を雄置いたしまして、各県に配りましたところ、実は二十八年災害等は、その当時打ち合わせた金よりも少し安く上がったような実情でございますので、県の方も地元の方もそれは満足はいたしております。ただ、そのときに落とされたようなもので処置しなければならぬものがあると思いますので、それらについては、今後におきまして処置して参りたいというふうに考えております。
  50. 田中一

    田中一君 そこで三十五年から発生するであろうと予想される災害、これは未知数ですけれども、六月までに策定される十カ年計画あるいは前期五カ年計画というもののうち、三十五年度、本年度ですよ、これは悪い予想をするのだけれども、発生される見込みの個所というのは、それから前期五カ年計画で策定された工事個所といいますか、改良しなければならぬ工事個所、これが災害を受けた場合には、その個所は災害復旧事業事業個所となるわけです、当然。そうなった場合には、五カ年計画で策定されたその個所であるのだから、その分だけはこの計画以外の資金で復旧がなされる、その場合に原型復旧だけではこれは危険なわけだから、その策定される前期五カ年計画計画というものが、原型よりも改良される前提の計画であるはずなんです。従って、その中業個所が災害を受けた場合には、災害復旧事業としての規模が、原型復旧という形の規模の予算裏づけられて、前期五カ年計画のうちの改良部分の分を、この前期五カ年計画の四千億の中の二百五十億の関連事業としてそれを行なおうとするのかどうかということが一つ。あるいはこれに関連する改良工事は、当然するのだということをこの法律できめておりますが、それは五カ年計画の中で含まれているもののその規模に対する予算裏づけは、この前期五カ年計画の中から支出してやるのかどうかという問題ですね。それからもう一つの問題は、そういう私が今質問しているようなことが行なわれるとするならば、四千億のうちの三千六百五十億という国費負担、補助工事直轄入って——問題は、負担分は別にしましょう。事業負担三千六百五十億のうち、その事業費が余るわけですね。余るものが、五カ年計画の中で、災害を予想される分というワクをとっておいて、六カ年目の分に食い込んで、その金が使えるものなのか、あるいはその個所は切り捨てられて、そしてその分だけの計画がマイナスになって、十カ年計画のうちの国庫に戻る金が生ずるということになるのか。また流用じゃなくて、新しい別の補助的な第二次の計画案というものがついてきながら、その新規事業事業が進んでいくというのか、その辺、僕にはわからないのです。どうだろう。
  51. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) なかなか詳しい御質問でございますが、そういう具体的の問題が多々起こると思います。従いまして私どもといたしましては、改修計画に入っている所が災害を受けたという場合を想定いたしますと、この災害復旧はもちろん別途の金でやるわけでございます。それから災害関連事業を必要とするならば、これは別途に、この間から御説明してありますように、二百五十億というワクがございます、その方で処置します。従いますとそこにつけようとしておった改修事業費が余ってくるわけであります。それはやはり五カ年計画対象でございますので、その金は従いまして具体的にはその次にやるべき所につけまして、五カ下間にやろうというふうに考えております。これは災害関連事業でやるべきものをほかの改修費で処置しますと、やはり関連事業が優遇されておる場合がございます、補助率が高いような場合でございますが、それを改修事業でやりますと、補助率が低かったりしますから、それはそれとして関連事業でやりまして、そこについている改修事業はその次にやるべきところにつけて、五カ年間にやるということに処置したいというふうに考えております。
  52. 田中一

    田中一君 そうすると災害があれば四千億、事業費四千億というものが減ることは絶対にございません、必ずその分だけ事業量はふえて参りますと、こういうような理解でいいんですか
  53. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 二百五十億という災害関連事業は、今までの平均で出しておりますから、今までの大体年五十億ぐらいのが最近の平均でございますから、それより非常に大きな災害がございますと、災害関連事業が多くなるわけでございまして、従いましてその方がふくらみますと、三千六百五十億に、百億の県単事業を入れますと三千七正五十億、あと二百五十億がふくらみますと、四千億がふくらむというふうに考えております。
  54. 田中一

    田中一君 そこでかつて石川県でも災害にして、補助率がいい悪いに籍口してつり橋を落したことがあるのです。大した災害でもないのだけれども、作意的な災かどうかということは、保全をどっちみちこれはやられるのだという場合の個所に対する国土保全という意味でですね、あるいは改良というかあるいは維持管理といいますか、こうした意欲を失うことになるのではないか、そういった意欲を減殺することになるのではないかということが、まあ悪い例ですがね、考えられるのじゃないかと思うのですよ。いわゆる保全、維持管理の義務を怠ることになるのじゃないか。どっちみち今度はあなた方の河川局長のところには、引き出しがたくさんあって、三十五年度にどの辺に台風がくると、これは何々川のどこ、どこどこがこわれるのだということがわかっているそうですね。それくらいの計画、りっぱな権威ある図面もできているそうです。計算もできているそうです。だからあなた方がそういうねらっている所を、今度あそこに台風があったらば破堤するだろうという所に対しては、やはり維持管理というものを怠るのではないだろうか、いわゆる台風待ち、災害待ちというような思想が地方には起こるのではないか、それは補助率が違うことによる。臨特を廃止し、災害の場合にはまた昨年の秋の伊勢湾台風と同じような特別立法になればこれは幸いである、幸いだ。こういう不幸が幸いになるということになると、これはもうそうした維持管理の意欲が減殺されるという危険はないのだろうか、むろんあなた、ないと言いますよ。もしないならないという形の保証をだれがするか、それはかつて悪い事例がございます。一番初めに言ったように石川県かどこかの災害のときにつり橋をぽんと切って落として、これは刑事問題になったこともございますそうしたことが目の届かない所にたくさんあるのではないかと思うのです。そういうようなことを奨励することになるのではないかと思う。その点に対する見解はどうですか。
  55. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この点につきましては、今の制度におきましても、悪く立ち回ろうと、あるいはその町村の財政だけの観点からいいますと、改良工事をやるよりも災害復旧でやった方がいいという観点は、今のこういう法律を出さなくても出てくるということは考えられております。そういう点からいいまして、災害復旧だけは高率補助をしなければいかぬけれども災害関連事業は普通の改良事業と同じ補助率にしなければ、今のおっしゃるようなことが起きまして、災害を待って改良をやった方がいいのじゃないかというような意見も出てくるわけでございます。従いまして、私どもも非常にその点を心配しているわけでございますが、しかし一ぺん被害を受けますと、非常な被害を受けてからの改良工事でございますので、県の財政とか市町村の財政だけからいいますと、当面の目先だけを考えますといいわけでございますが、その地帯の被害を非常に受ければ、市町村の税金も減るわけでありますし、非常に被害を受けてから幾ら高率の補助をもらっても、これは全体としてみれば非常に不利なことになるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。  それから先ほど申されましたように、故意に災害を起こすようなことは、最近は全部実地査定をしておりますので、そういう原因がありまするならば、もちろん査定のときにわかりますれば、それは全然採択をいたしませんし、またその後においてそういうようなことがわかった例もたまにはございます。そういうようなときは、それができてしまっておっても補助金を還付させるというような方法をとっております。それからまた補助金等の適正化の法律も出ておりますので、いずれも刑罰規定がございまして処置をされることになっておりますので、最近におきましてはそういう事例は非常に少なくなっては参っております。いずれにいたしましても、運用を非常に間違ってやりますると、幾ら目を届かしましても中には悪いことを考えるやつもあるわけでございます。その点につきましては、中間検査なりあるいは災害のときに十分な資料を出させるなり、いろいろな方法をとっているわけでありますが、何千個所、何万個所のうちでございますので、たまにはそういう例もございまして困った例もございますが、厳重な処置をいたしておりますので、もしそういうふうなことが見つかったならば、市町村などはえらい持ち出しということになりまして、困った実例も出ているわけでございます。現在の制度で万全とは申せませんけれども、だんだんそういう点は皆無に近づいておるというのが実情でございます。私ども先生のおっしゃる通り、災害待ちというようなことがあってはいけないわけでございまして、ただいまそういうようなことがないように、事前に措置をとるようにいろいろ努力はいたしているわけでございます。制度と努力と相待ってそういう点を撲滅して参りたいというふうに考えている次第であります。
  56. 田中一

    田中一君 そこでせんだっても伺っているように、地方の要請によって十カ年計画が策定されるのだ、閣議決定になるのだということは、今言ったように、そうしたあなたが答弁になっているような個所は事前に確認しておくのだということになるわけですね。私が心配するのは、あなたの、地方からのを今まで推定で……三十八年度災をもとにして、全国的に治水計画を立てたのだといって、実態調査をしたものを基礎にして今日までやっておられた。従ってそうした事業個所というものをここで押えておいて、地方からくるものを抑えておいて、そうしてそれを積み重ねたものが全体計画一つの要素になっておる。これが一つ。  それからもう一つは、二十八年度に治水基本要綱ができて、それがちっとも改良されてないことはないはずなんです。相当改良されておる部分があろうと思うのです、災害だけでやったわけじゃないのですから。それらのものに対する検討はどうなっておりますか。
  57. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) おっしゃいますように、二十八年当時におきましても、県の資料をもとにいたしまして基本対策というのを作成したわけでございます。で、その後におきましても、それを基礎にいたしまして、従来建設省内部の五カ年計画等も策定して参っております。従いまして基本対策で十カ年計画の中に組み入れておった部分も、先ほどお話のような災害、あるいは災害関連等で処置したものもございます。従いまして、そういうような点をやっぱりもう一ぺんよく洗ってそうして見直さなければいかぬ。まあ一番あぶない所が大体やられておるわけでございますから、それらの処置が済んでおりますれば、次のあぶない所を最優先にやらなければならぬということでございますので、五カ年計画なり基本対策はございますけれども、現在の状況においてもう一ぺん見直せということで、地方にいろいろと資料を出さしておるわけでございます。従いまして地方から出て参りますのは、全部個所別の資料が出て参るわけでございますので、それを見ますれば、どんな地点があぶないというような点もわかるわけでございますし、またそれに全国的の視野で、あぶない程度等も本省で調整しなければいけませんし、また各事業間のバランス等につきましても、よく本省でもう一ぺん見ることは見るわけでございますが、県としても一つの段階で、やはり自分の中の状況に応じてあぶない所から処置できるような方策をとりたいということで、ただいま所要の処置をしておるわけでございます。
  58. 田中一

    田中一君 そこで危険なのは、そうした要求というものが、実態と危険度というものが地方の場合には地方財政のあり方によって左右されるということが多々あろうと思うのです。自分の所はこんなに後進県であってどうにもこんなに災害があるし、また危険な所がある、あるけれども何といってもこんなものを建設省からこれもやれあれもやれと言われたところで、年次の自分の児財政ではとても負担し切れない、こいつはごめんこうむりますというものもおそらく出るであろうと思う。富裕県はこれはもう、これもやれあれもやれといってもやる。河川というものは一府県だけにとどまっておるものではなくして、数県にわたる所もございます。ことに河口に遠い所は割合に山の中ですから、貧乏な県が多いわけですよ。赤字県が多いわけですよ。それがどうしても仕事しなければならぬということになると、やはり二十八年のときには、こういうあの災害の直後だものだから、みんな熱を上げてこれもやってくれあれもやってくれと出してきたけれども、さて現在から見た場合には、たとえば長野県のように毎年毎年の災害でどうにもならぬ、これはどうしても長野県の砂切なら砂防をしなければならぬ、あるいは上流のなにをしなければならぬ、堤防のかさ上げをしなければならぬということが起きると、負担に耐え切れなくなってくる。従って県にあなたの方でいろいろ実態がどうかということをいって、一種の危険を予想される地区の事業個所の申告制をとっておるけれども、長野県自身は自分のところではとてもそんなことをやったんじゃ自分の県の財政が持ちません、ということになるものも多かろうと思うのです。いわゆる長野県は長野県の前期五カ年計画、後期五カ年計画を立てると思うのです、結局。政府が強要するということを一番心配しておりますけれども、強要もしないで、地方からの積み上げたものによって改良ということになるならば、当然長野県は長野県にして五カ年計画、十カ年計画を立てなければならない。そうしてそれはなるほど国は四千億という一つのめどをつけておるけれども、長野県はそんなめどがない場合、少なくとも国が考えているものと違う計画が立てられた場合には、これは国が何とかしなければならぬでしょう。当然そういうことが起きると思う。そうした場合に調整をどうするかということです。富裕県は、まあことに臨海工業地帯を持っている県は、割合にそこから収入が土がるからどしどしやろうということになります。またやってほしいと思う。水源地のやつはどんどんやってほしいと、山の方はやってくれといいます。それに耐えられない者がある。その場合にその調整をどうするかという点が大きな問題になると思うのです。いわゆるこれによって国の五カ年計画というものが策定される。しかしながらそれは今河川局長が言うように、地方的な各府県の五カ年計画、十カ年計画にのるところの申告がなされると仮定するならば、それと国が考えておりますところの四千億の前期五カ年計画とマッチしない場合が起こるであろうと、それは何かと申しますと、自分の方の山を治めることによって、富山県なり新潟県なりが利益を受けるのであって、直接自分の方は単に保全事業の費用の負担にとどまると、そうした場合、そのアンバランスというものを、国の方で、全体総合的な計画のものと違う場合には、一体それをどうするかという点が問題になると思う。その点はどう考えるのですか。
  59. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の点は非常にまあ苦心の存するところでございまして、地方財政の現状等で判断いたしますると、やはり各県におきまして、財政状況だけで事業五カ年計画をきめて参りますと、非常にアンバランスが生じてくるという点があるわけでございます。その点を私ども非常に心配いたしておるわけでございますが、まあ数府県に関係あるようなものは大部分直轄工事でございますので、これに関するものは建設省の地方建設局でいろいろ計画を立案いたしまして、もちろん県とも相談いたしますけれども、ある程度計画調整はとれると思います。ただ府県等だけで単独に自分が補助を受けてやる事業につきまして、非常に富裕県と貧弱県でアンバランスが生じてくるという点が非常に心配でございます。しかも補助率が現在のままだといたしますと、今たとえば三十四年度でやっておる事業をもとといたしまして、それの何割増しというようなことで考えてくるようなおそれがあるわけでございます。従いましてこれを調整するにはやはり地方財政の面で、貧弱県が計画をやるべきことは地方財政の面で優遇して、そうしてやるような方法を考えないと、貧乏県の方は施行できないじゃないかというふうに私は考えております。従いまして、これは建設省だけの意向だけではきまらぬ話でございますが、どうしてもそういうような場合が生じて参りましたときは、地方財政の方で一つ積極的にそういう貧乏県にも事業ができるような方策を考えていただけなければならぬじゃないか、というふうに考えております。  それでこの四千億というのは事業費でございまして、国と地方との負担は、またこれをどういうように持ち合うかという問題でございますので、四千億あるいは三千六百五十億という事業費閣議できめられると思います。もちろんそれも今回の閣議におきましては、地方財政の問題をどうするかというまでには、あるいは一緒にはきまらぬかと思いますけれども事業施行するにあたりましては、各県別の事業も大体閣議決定がありますので見当がつくわけでありますから、それと将来の各県の地方財政とを見くらべまして、何かの方策を考えなければならぬようなことが起きはせぬかというふうには考えております。
  60. 田中一

    田中一君 あなた、直轄工事云々と言うが、直轄工事も同じなんですよ。地方負担に何らの違いもありはしません。直轄工事だから国がみんなやってくれるというなら、これは今の河川局長の言っていることは通用するのだけれども、やはり直轄工事だって地元負担があります。あるいは補助工事でもちっとも変っておりません。直轄工事直轄工事と大きな口をきくけれども、やはり地元が負担しなければならぬのじゃないですか。直轄事業だから何とか調整がつくという言葉は取り消さなければならぬ。そうして建設大臣に言いますが、村上さん、今、河川局長が答弁したことは、重大問題です。そこがポイントになるわけです。たとえ地方計画が盛り上ってきて、一つ計画ができたとしても、実際に仕事をする場合には、地方は地方の直轄工事にしても地元負担はございます。地方財政との見合いが一番大きな問題になる、仕事ができるかできないか。そこでこれは今河川局長が、建設省がやるべきものじゃない、従って、その担当部局が各負担率というものをどうするかという問題は、考えなければならぬのじゃないかという、これは一つの無責任です。要するに仕事をさせるというのは、負担というものに見合った計画計画というものはちゃんと負担というものがきまって動かすことのできない事実ですから、お前はこれだけの仕事をするからこれだけの負担をして、お前の財政に見合って財政伸びがあった分はその分だけ減らすぞ。しかしそのかわりに、これはこうしろ、そのかわり足りないからこれもこうしろということにしなければこれは計画じゃない。単なる画にかいた餅です。やはり仕事というものは実行しなければならぬ、施行しなければならぬ。その場合にはその裏づけがはっきりしなくちゃだめだ。またせめて、これは建設大臣に向かって財政的な問題を質問するのも、ずいぶん苦労してここまで来たと思うから、あまり言わぬが、方途としては、今山本局長が言っておるように地方財政の実態から、実際風土保全のためにこれをしなければならぬ、という基本的な閣議決定があった場合には、資金関係、その財政的な裏づけを当然考えなければならぬということを一つ河川局長そら言っておられますから、これは建設大臣にそれを言明していただきたい。そうしてそれは議事録に残りますと、貧乏県は喜んでこの計画に参加するようになる。もしそれがそういうせめて建設大臣の希望なり、国務大臣としてそこまでの考え方が表明されないと地方計画というものは萎縮してしまいますよ。これは一つどうです。
  61. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 後進県がいわゆる地元負担についていろいろと従来も苦しんで参ったのでありますが、従来はあるいは地元負担も臨特等の方法によって何とか切り抜けて参った次第であります。しかし今回はこれらも廃止されまして、何らの措置も講じておりませんが、しかしこれは自治庁の、地方財政全般の問題を考慮に入れての財政計画というものを、それぞれの県で都道府県が樹立する際に、自治庁の行政指呼のよろしきを得て、それぞれが負担のできるような措置を講ずるものと私は思います。もしそれが講じられないということになれば、後進県けいかに必要な緊急事業がありましても、これを施行することができないのでありますから、かようなことでほこの措置法はいわゆる画にかいた餅になります。従いまして第四条に、政府治山事業十カ年計画及び治水事業十カ年計画実施するため、必要な措置を講ずるものとする。この点はいわゆる五カ年計画治水においては四千億とかというようなことをもとより裏づけることでもありますが、しかしその地方各都道府県の裏づけも、これも講ずるものとするというように私は解釈しております。従って後進県に対する補助率の引き上げ等につきましても、今各方面で検討いたしておりますが、この事業を遂行するために必要な措置は、私はどうしても政府として講じなければならないものとかような解釈のもとに、この緊急措置法案の御審議を願っておる次第であります。
  62. 田中一

    田中一君 ではなぜ、道路整備五カ年計画と同じように、これには道路法の止めている基本法に関係なしに、補助率といろものは伸びちぢみがあるのだということをうたっている。そういう四条の規定がありながら、それは今非常に地方財政の面からの好意的、好意的と言うか、それにウエイトを賢いた解釈をなすっていらっしゃるけれども、それならば道路整備五カ年計画にある現在基本法の補助率というものによらないのだ、という規定を入れなければならない。私は逆にそういう今建設大臣が言っているような第四条の規定というものは逆にそういうことを一応うたっていながら、それを否定するという考え方は、道路整備五カ年計画にある基本法によらない、基本法に基く、道路法に基く補助率と変わらないのだという規定が当然入ってこそ、初めてそれが生きるだろうと思うのです。四条にそういうものがありながら、一方においてはそれをただすらっと頭の上でもって通過させるような形になっている。ところが、道路整備五カ年評価はどっこい待て、実態に応じて補助率は変わってもいいのだ、いや、変わってもいいのだ、その基本補助率というものに左右されないよ、こういうことを言っているところに初めて今建設大臣が言っているようなことがはっきりしますけれども、この法律にはそれはないわけです。従って、これは国務大臣として、これは閣議決定をする場合にその点を本当に明らかにしていただきたい。私は一面今日の政治のあり方、地方行政のあり方から見て、何々県は貧乏なんだから補助率を上げるのだ、何々県はこうだということになりますと、これまた政治的な含みを多分に持ちまして、なかなか事務担当の職員の諸君は局長あたりでもずいぶん苦しんでいる。それよりも明確にちゃんと法律できめてくれればこれはいい、しかし、そうでない、きめ方をしておらぬところにこの法律の弱点があるのです。私は知っております。たとえば長野県のある地区ではとんでもない災害復旧工事の水増し補助金がいっている、あるいは、ある地区等では膨大な命がいまだ戻入すら要求されずに、ある村でもって金がだぶついて使いようがない、会計検査院も手をつけられないというような事実も僕は知っております。これはうわさとして知っております。こういうようなことがしっかりと法律に明記されてこそ初めてこの計画というものは実行し得る計画となる。さもないと所管の大臣建設大臣の手心で青森県は補助率はちょっとあと少し伸ばしてやるとか、どこそこは伸ばすとか、減らすことは絶対に、いかなる富裕県でも原則がある以上減らすことはしません。これを何とかして阻止しなければならぬという、河川局長から建設大臣の古葉というものはふやそうという意図だろうと思います。その場合にそれが政治的な圧力を受けることが非常に危険であるという見方をしているのですが、その点一つ建設大臣閣議決定の際にははっきりと、そのことを法律にないのですけれども、了解事項として各総理以下全部に向って言明しなければいかぬ。しかしながら政治の実態というものは、その何県に対しては補助率がある事象じゃなくて、県の財政によってこれはふやす、これはふやさないということは、これはよい政治じゃないわけですね。というのは、政治的な配慮が含まれると全体の国土計画というものに対して、この治山治水計画というものに対して、暗影を投ずるということになるのですね。極端な言葉でいえば汚職的なにおいがすることは極力避げなければならぬということになるわけでしょう。むろん歴代——歴代というかその十カ年間のその年度の建設大臣は、年度といっていいかどうかわからぬけれども建設大臣が自分の選挙区に向かって、たとえ後進県でもそういうことになるとこれまた問題になりますし、だからといってそれが非常に貧しい県であるならば当然これを手心しなければならぬと思うのです。私はそこに、今河川局長並びに大臣が言っておるけれども、法の欠陥があるのではないかと、こういうふうに考えるのですが、建設大臣の決意を一つ聞かせて下さい。
  63. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御承知のように、道路にはまあ一つ裏づけがありますが、これは特殊財源というものがまあないということでありますけれども、しかし三十五年度のこの事業の裏つけはどうにかこうにかできておるということであります。三十六年度からのことが問題になりますが、これはわれわれも真剣にこの問題は解決していかなければならぬと思っております。ただいま一番各方面で研究いたしておりますのは、いわゆる後進県の補助率の引き上げということが非常に大きく取り上げられて、それぞれ関係機関で検討いたしております。私はまあなるほどことにはちゃんと補助率の率を一々あれしてはおりませんけれども、「計画実施するため必要な措置を講ずるものとする。」ということは、これは何としても計画幾ら立てても後進県には実施できないということのないようにするということでありますから、あらゆる角度から自治庁で地方財政を検討いたしまして、この事業を、執行する上にいささかも遺憾のないようにするものということを私は確信いたしておりますし、またただいま御心配されております点につきましては、閣議その他の機関に諮りまして十分私としてはこれ責任をもって、これらの裏づけについてはその責任を果たして参りたいと思っております。法律にはまあ大体この程度でありますけれども、これはもら実際問題として、この裏づけがない限りただ単に画にかいた餅に終わるということは、これは国土保全の上に非常な影響を及ぼす重大な問題でありますので、御指摘になりました点については時間的にいささか食い違いがあるかもしれませんが、必ずこれは近いうちに何とかこの問題が解決できるものと確信いたしております。
  64. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 最近ひんぴんと見舞われます災害の膨大なるにかんがみてこれを未然に防ぐために、どうしても治水事業が必要であり、そうしてまた緊急にこれを行なわなければならないということから、これを計画的に行なうことのため、この法案の提出されたことについては全面的に賛意を表したいと思うのでありますが、この法案によるまでもなく、当年の予算面から見ましても、当局がこの治水事業に熱意ある努力を傾けられた点はよくこれを認めることができるのであります。しかしながら、この五カ年計画のうち一カ年、ことしだけは先ほど大臣の仰せられた通り裏づけもはっきりしておるので、すでに計画ができた。しかし、来年以降四カ年間に対する伸び率に基づく年次計画のあらましの数字を拝見しておりまするが、これを河川に、あるいはまた砂防に、もしくはダム工事にとそれぞれどういうふうに分けるのかということは明確でない、ただ明年度以降の概数が出ただけであっていささかも用途別には区別してない。これはぜひ一つ早く出してもらいたい。  なぜそれを要求するかというと、先ほどの田中委員からの質問でうなずけるのでございまするが、この三つのうち最も治水事業の根本ともいわるべき砂防仕事が、ややもすれば今日までおくれてきておる。これはどういうわけかというと、政治的に見ましても、また地方の財政負担の上から見ましても、ダム工事であるとか、あるいは河川に属する堤防などは、政治的にも負担能力の点からも比較的解決しやすい。さりながら、砂防に至りましては、平坦地工場地帯などはきわめてわずかなものであって、大方が山岳地帯で、負担力のない地帯であるから、早く計画を実際の上に立てないと、ややもすると、これは政治的に、必要は感じておりながらおくれてしまう。これが、今日までどうも災害が年とともにふえてきた原因の一つで私はまさに政治の貧困からであると痛感いたしておるのでございます。すでにお配りをいただきました参考書によると砂防工事実施した所と実施しない所では、さきの七号台風の場合に比較しても非常な違いで、砂防工事実施したところとしないところでは同じ地域で、した所は十分の一、しない所は十倍にもひとしい災害がある。これほどはっきりした事実は何も今日に始まったものでないにもかかわりませず、さて砂防の段取りになると計画より実施がずっとおくれてしまう。これは確かに先ほど田中君の言われる負担力からも大きな影響があり、さらにまた政治的には、目の前に見えない仕事なのでやっぱし同じ金を使うなら目の前に見えるものからということがどうも陥りやすい弊害でございます。この点を考えると、ことしはこれでよいが、来年以降四カ年、すなわち五カ年にわたる砂防河川ダム、これを区別しましたそれぞれの計画をお示しをちょうだいいたしたいのでございます。伺いますと目下それぞれ各県に照会をされておるとのことでありまするが、この照会の結果が私には非常に心配になるのであって、地方は必要は感じておっても財政上の考慮からなかなか手が出ないというような場合が多いでありましょう。しかし治水の根本を考えるとき、国家的見地からどうしても砂防をこれまではしなければならぬということは多年御調査の上できまっておるはずで、それを基礎として、そうして計画を立ててしまう。そしてその負担のあんばいは、今大臣からお話しのありました第四条の「必要な措置を講ずる」とのこと、この措置こそきわめて大切で、その計画が立って初めて実施可能となるのである、大臣は決して口舌の人でない失行の人であり、誠実に仕事をなさる方でありますから、ただいまの場合としては、田中君の質問に対しましてもあれ以上のお答えを求めても無理でありますので、私はお答えを信頼いたします。それにつけましても、具体的な計画書を早く出していただくということが、とりもなおさず適切なる処置を促進するゆえんでもあろうと思います。この希望を添えまして、大体いつごろ出せるか、それらを一つお尋ねいたしたい。
  65. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 砂防河川災害の防止に重要な役割を果たしておることは御指摘の通りでありまして、私どもは今さらながらこの砂防のおくれというものをどうしても取り返していきたいと思っております。しかし、今日、各地方の分担金——地元負担金というようなものにつきましては、先ほど田中委員にお答えいたしましたように、私がこの法案の第四条によってどこまでこれを措置していく、そうして関係——自治庁長官とか、あるいは自治庁その他の機関とはかりまして、これの事業を遂行する上に遺憾のないようにいたしたいと思っております。なお、これの、いわゆる五カ年計画の全般的な計画につきましては、一応五月中には大体その計画の資料がお手元に届くようにいたしたいと思っております。閣議決定は六月初旬にいたしたいと思っておりますが、そういう今、計画のもとに着々と検討を続けておる次第であります。
  66. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 ただいまの御答弁で満足をいたしますただ重ねて希望を申し上げたいと思いまするのは、五月中に大体その見通しをつけてわれわれの手元までお配りいただけると、その間、地方の事情を勘案しておやりになることと思いまするが、特に砂防に至りましては、国家的見地から、むしろ地方の財政に支配されることなしに、国土保全の建前から立案策定して、地方財政負担力の足らざるところは、自治庁と協議の上、建設大臣の意図するところを十分に実現できるよう御努力を期待してこの問題についての質問はこれでとめます。  その次に、さようにいたしますると、砂防事業というものが従来のような地方財政やあるいは目先の政治的な考慮で実施率が他のものより著しくおくれるというようなことはなくなるのであろう。従って、今度は、砂防仕事が非常にふえる。今までのように計画はあっても実施は二〇何%というようなばかげた遅延はなくなるのである。されば前期の委員会においても、この砂防の完遂のために行政機構の充実が必要である砂防局設置という意見もありましたが、局にはまだいろいろの支障もあるようで、せめて部まで拡充するよう取り計らわなければならんのではないか。現に建設省からは部の設置について行管の方に要望をされておったようでございます。その熱意もよく存じ上げておりまするが、残念ながら当年は、幾つかの部局の要望があって、十ぱ一からげ、これだけというわけにいかないとのことで延びておるということである。しかしながら、今なお建設大臣におかれては何とか機会をつかんで、この機構の充実にと力を傾けられつつあるということを伺っておるのでございまするが、幸いに、近く自治庁が自治省になるというような場合でございます。予算等の関係もあるかもしれません。しかし、予算が思うようにいかないならば、私は予算は追っての問題として、この際はどうしてもだ、ただ人間は月給だけで働くものでない。見通しをつけて、自分の仕事にあかりがある、幅もある、高さもある、深さもあるということになると、非常に興味を持って、熱意を持って同じだけの人間でも働きに一段の光を添え活気を生むのであるから、ぜひこの際せめて部だけは設けるようにお願いをいたしたい。これは私一人の希望じゃありません。前々からこの委員会が党派を超越しての全部の希望であるのでございまするし、また大臣におかれても、その希望を達成しようと努力せられておるようでございますが、どうやったらそれが達成できるか、またぜひ今議会中にその芽を吹かせるように御心配をいただきたいと重ねて切願いたしますので、御意見のほどをお漏らしを願いたい。
  67. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 建設省では一昨年来取り上げておりました建政局を犠牲にしてでも一まず三十五年度には、この砂防の重要性から、どうしても砂防部を設置したい、こういうことで関係各方面と交渉に当たりましたことは御承知の通りであります。ことしはどうしても各省ともに改革をしないということで、もしもどこか一つ何かやれば必ずそのときには砂防部を取り上げるというような確証を得ておりますが、しかし私もまだ今、砂防部の希望は失っておりませんので、私としても十分関係方面に交渉を続けるつもりでありますが、今何か方法はないかということでありますが、方法としては私はないこともないと思います。結局国会は国権の最高の機関でありますから、国会におきまして与野党一致の共同修正をいたしますならば、これはできん相談ではないと思います。その際に私どもは、もしも——そういうようなことを私が強要申し上げるわけではございませんけれども、もしもそうなったときには三十五年度の予算の中で流用いたしますれば、これは少し弱体かもしれませんけれども、何らかそのくらいの方法はできるのじゃないかとも思います。まあしかしこれは国会審議の問題でありますので私から何とも申し上げられませんが、一応私は方法としては、もしもわれわれの交渉でできない場合にはその方法以外にないと思います。
  68. 田中一

    田中一君 建設大臣の顔が見えないと、どうも話がとんちんかんで困るので……昨日、内村委員それからきょうまた小山委員からも再々言っておるのですが、この昭和三年建設省農林省で話し合いの砂防事業に対する権限と申しますか、事業区分の問題、もうこれは、この原則というものが守れないならば、新しい角度から検討する機会にきておるのじゃないかと思います。はなはだあいまいなものだ、たとえば、昭和三年十月閣議で決定した「荒廃地復旧及開墾地復旧ニ関スル事務ト砂防事業トノ間ニ存スル権限整備ハ左ノ趣旨ニ依ルコト」と決定された、これは荒廃地復旧及び開墾地復旧に関する事務——事務というのは農林省砂防というのは内務省所管ということになっておるのです。「原則トシテ渓流工事及山腹ノ傾斜急峻ニシテ造林ノ見込ナキ場合ニ於ケル工事ハ内務省ノ所管トス」、「森林造成ヲ主トスル工事農林省ノ主管トシ尚渓流工事ト雖モ右工事ト同時ニ施行スル必要アル場合ニ於テハ農林省ノ主管トス」、ハとして「右詳細ハ実施ニ先チ実地ニ付両省ニ於テ具体内ニ協定スルニノトス」ということになっております。なっておりますが、これははなはだあいまいなんです。そこで昭和四年の十二月に内務、農林の両次官から「砂防事務ト荒廃地復旧及開墾地復旧事務ノ取扱ノ件」の依命通牒が全国に出た。これには閣議決定の(イ)の場合には「造林ノ見込アル場合ト雖モ渓流工事ノ維持上必要トスル近接ノ箇所ニシテ面積狭少ノモノハ渓流工事ト併セ内務省ニ於テ施行スル」、ニの方は(口)の森林造成の本文は「山腹工事ノ保護又ハ維持上必要トスル箇所ニ於ケル渓流工事農林省二於テ施行スルコト、「渓流工事ノ維持上施行スル山腹工事ニシテ面積大ナル場合及山腹工事ノ維持上施行スル堰堤多数ニ及フトキハ各主管ノ部課ニ於テ工事ノ連絡ヲ採ル為メ協議スルコト」こういうことに具体的になっておるのです。  そこで現状はどうかということです。これは昭和三年、昭和四年の閣議の了解事項になっておりますけれども、私は現状はこれと非常に違っておる面があるのじゃなかろうかと思うのです。御承知のようにまず第一に帝室林野局というものが廃止されました。森林事業というもの、林野庁の事業というものは国民のものでございます。これが特会法によって帝室林野局時代の思想を受け持って、いまだにここにあるということに対しては相当考えなきゃならぬ。大部分のものは御料地であったということも考慮されて、当然これは新らしい憲法のもとには、お互いに実態に即したところの再協議が持たれなきゃならぬ段階にきているのではないかということを考えておるのです。まあ明日採決に先立っては農林大臣にもきてもらいまして、この見解を詳しく伺いますけれども、少なくともこれを読んでみましても実態と相当違うのではないか。たとえば林野庁がやっておりますところの山腹砂防というものは、しょせんこれは下流におけるところの人民といいますか、国民のためのものじゃございません。どこまでも帝室林野局の帝室の財産を守るためのものであったろうと思うのです。同時に今日林野庁が行なっておりますところの山腹工事というものも森林を守るためです。森林企業、森林営業、少なくとも下流におきますところの国民、人民のための観点に立っておらぬと思うのです。自分の持っておる山の造林が経済ベースにのってあまり災害がなくて、そしてこれがすくすくと生い立つような形に持てればもって足れりという考え方が現在の林野庁にあるのじゃないかと思うのです。私はこういうところに昭和三年、昭和四年の旧憲法時代の思想、ましてや帝室林野局があった時代の思想を受持っているところのこれらの協定は、もはや実態に即して再協議されなきゃならぬという段階がきている。従って林野庁の担当しておるところの森林というものは、むろん治山という、災害を守るという重要な役目を持ちながら、一面においてあえて利益を生むとは言えませんが、国富を生むという考え方に立っている以上、山はそういうものではなく、造林のための砂防工事であるのではなかろうかという疑問を持つわけなんです。この点について一つこのような昭和三年、四年の協定というものが現実に行なわれておらぬという現状から見まして、林野庁長官どういうふうに考えますか。
  69. 山崎齊

    政府委員(山崎齊君) 林野庁の行なっております治山事業は、民有林につきまして約八十七億程度治山事業をやっておりますし、国有林におきましては三十億円程度治山事業実施しておるのでありまして、国有林におきます治山事業は、国有林の経営というものを維持するということだけを目的にしているわけではないのでありまして、国有林の林内におきます荒廃地その他を放置しておけば、当然それが下流その他の河川等に重大な影響があるわけでありまして、流域保全という観点から国有林におきましても民有林におきましても両者を統合し、かつ治水事業とも関連をもってやっていくという原則に立っておるわけであります。
  70. 田中一

    田中一君 当然そうですよ。民有林が渓流地に、なるべく渓流地のものは大体払い下げるなり何しておる所もありましょう。渓流地、あるいは低い土地のものはそういう傾向が顕著です。従ってもし何ならば帝室林野局から林野庁になってからの、何と申しますか、渓流に沿っている所の森林の払い下げはどういう程度になっているか。たとえば十五年間の、十四年間でもいいでしょう、終戦後国有林の払い下げというものはどういう失態に行なわれたかということを、資料を御提出願いたいと思います。  それから今の私の意見と申しますか、考え方に対して建設大臣はどうお考えになっているか、伺っておきたい。
  71. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私まだあまり渓流の方は詳しく知らないのでありますが、聞くところによると、どうも渓流の砂防が、とかく砂防堰堤等が、これは建設省にしても、あるいは農林省にしてもどうもいろいろ資材の関係、あるいはまた監督の目のつく所とかというような所で比較的便利のいい所よりも、あまりに不便なためにその仕事のできばえ等が必ずしも非常に賞賛に値いするものでないということを聞いております。従いましてたとえどちらでやろうとも最も大事なのどぶえでありますから、その渓流堰堤がこわれれば非常に下流の被害は大きくなります。むしろ上からコンクリートのくずまでも一緒に土砂に乗ってくるわけでありますから、非常にその災害が大きくなります。まあいろいろと御意見を承っておりましたが、特にこの際建設省といわず、あるいは農林省の所管といわず、まあ所管争いなんか考えるよりも、その必要に応じてどちらもやれるようになっているように、今の条文から申しますと、どちらにも理屈がつくようでありますが、私はやはり適当なその方法を考えてそしてその仕事を行なう。仕事そのものはほんとうにいかなる洪水にも微動もしないようなものを作るということに、その根本方針をきめて、そしてそれからこれは都合によって建設省がやるとか、あるいは農林省関係でやってもいいとか、その都度その地域についても現地でよく打ち合わせをして、仕事の実態を把握してその上できめていくというような緊密な連絡のもとに、いい仕事をするということ以外に私今の段階では考えられないのでありますが、なおこの問題は私もまだしろうとでありますので、十分検討いたしまして、次の機会に何らかのもう少ししっかりしたお答えのできるように研究してみたいと思っております。
  72. 田中一

    田中一君 建設大臣、私はね、毎年この過去最近の数年間というものは国会が休みになりますと、二週間ないし三週間山に入っておりますが、いかにして日本の国土というものを災害から守ろうかという気持で、むろんわれわれ社会党ばかりではございません、自民党の諸君、その他の同僚議員も語らって二週間、三週間歩いているのです。結局、山腹砂防を初めとする渓流を治めなければ、どうしても大きな災害があるということを身をもって知っております。毎年歩いております。それもちょっと見にいくのではございません。山歩きですから武装して二週間、三週間山に入ってきているのです。その実態を調べてどこに欠陥があるかという点を真剣に取っ組んできているのです。むろん山には人もおりません。そこに出向いているところの建設省、あるいは農林省、あるいは府県の職員がおるにすぎません。従ってそんなものは票になるものではございません。しかし、日本の国土を守るには砂防工事がなければならないのだということに徹しております。今建設大臣は自分は詳しく知らないからとおっしゃるけれども、その問題を解決するために、昭和三年において農林、内務の両大臣がきめ、それですらなおまだ分野が明らかにならぬから、昭和四年に再確認しているのです。ところが行ってみますと辰林省は山腹砂防をやっておらぬのです。それは当然造林業としての木を守るため、森林を守るための山腹砂防はやっておりましょうが。山腹の土砂というものが渓流に入る。建設大臣は渓流から海岸までの行政的な責任を持っております。農林省、ことに林野庁等はそんな責任は何も持っておりません。自分の方の樹木を守るための考え方しかないのではないかというような気がするわけなんです。歴代の建設大臣に対して、この国会では常に決議をしまして砂防の五要性をうたっております。歴代の河川局長も、これは半面山腹砂防というものを林野庁が直轄工事並びに農林省の補助工事としてやっておると、お互いに言われておるところに、これは欠陥があるのではないかと思うのです。一元化をしなければなりません。そうして、この山腹並びに渓流、これを通じて河川の流域、河口までの責任を一人が持つこと以外にないのでございます。山にたまる水が渓流に流れてくるのです。それはやはり、あらゆる経済的にいろいろ利用されて、しょせん海に流れていくのです。全部の責任建設大臣が持っているのです。従って、一元的な水の処理、空から落ちてくるところの水の処理というものを考えなければならぬのです。私はあえて、農林大臣が山に流れる水の責任は自分が持つのだ、だから砂防に関する問題は途中流域に何があろうとも自分が持つのだというならば、農林大臣が持つのもまた一つの方法でございます。ただ、この砂防事業、防災というものは一元的にならなければだめであるということです。それができないからこのような了解事項によって——これは帝室林野局時代にできたのであります。従って、この際農林大臣から実態に即したところの、もう一ぺん唐確認をしようではないか、というような話し合いがくることが望ましいのでございます。現地とかあるいは事務当局側とかでは徹底しないのでございます。私は、せめてこの昭和四年に再認したところのこの実態というものを実際に行なっておるなら、何にも言うものじゃございません。これはまあわれわれ野党でございますから、政府がそういうきめ方をしてスムースに行っておるものならば、あえて異を唱えませんが、理論的には一元化すべきものである。しかしながら、災害が守られておるならば、今の話し合いによるところのものも認めよう。しかし事実全国的に見て日本の砂防事業というものは二元化になり、かつ林野庁の砂防というものが造林を守るためのものであるということであるならば、これは少なくとも下流におりますところの国民の利益とは全然関係のないものでございます。農林省のやるところの府県の補助砂防は、府県を主体としてこれはあぶないからということでやっております。林野庁は、府県にやらす補助砂防を、全部府県にやらせるならはいざ知らず、直轄砂防というものは全部林野庁が営業として行なっておりますところの、木を守るところの砂防以外ではございませんということです。完全に危険な区域の山腹が荒れております。それに対して修腹はしておりません。もっともそれらは困難な所が多いのでございます。それに砂防をやってもなかなか絶壁になっておるような所に足場を組むことも、コンクリートをやるなんということも困難であります。よくその事情はわかりますが、それを治めなければならぬというならば、それらのものをも建設省所管としてやっていただきたいのです。そうしなければ災害は守れません。歴代の河川局長もやはり一面、責任は山にあるのだというような安易な気持はないであろうけれども、今まで砂防事業に対して熱意がなかったということは、やはり二元的な形式になっておるところにあるのではないかと思うのでございます。  そこで、きょうの新聞を見ますと、建設省長期砂防計画の立案にかかるというようなことが出ておりましたけれども、これは一体どういう考え方で立てておるのか。また、私にいたしまするならば、前期五カ年計画のうち一番おくれておるところの砂防事業というものに対しては、やはり前期五カ年。計画としての、あるいは前後十カ年計画施行計画というものを確立していただきたいのです。いつもこれが人の住んでいない山からは陳情人が参りません危険な所があっても人が住んでおらない。従って災害があって初めて気がつくものなんです。木も岩も水も口をききませんから陳情に来ないのでございます。危険があった、災害があったという場合に、砂防に対する陳情というものが現われてくるのです。私がお願いしたいのは、長期計画をもって、建設省はあぶないところの山腹を初め全部お歩きになって、地方計画がどうあろうと、国が大部分のものを持ってこの実施をしなければならぬ。従って、その長期計画をお立て願いたいと思うのです。所感はどうですか。
  73. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 一々ごもっともであります。私は、参議院の諸先生が超党派的に、全く党派というものを無視して、砂防に対するその深い御認識と、それから非常に高度な御意見をいつも拝聴いたして、私自身全く打たれるものがございます。私もすでに三十年も前から、ある河川の大災害の際に、これはこの地域の堤防の破壊によってこれだけの泥海になったのではない。これは要するに、上流の土砂の大崩壊によるところの大被害であるだから、かりに佐伯なら佐伯の泥海は、因尾という所が一番上流にあるのですが、人の行ったことのないようなその因尾の土砂の崩壊にあるということを考えなければいけない。何としてもあれを因尾の災害だというふうに考えたならばもうこの町は永久に救われないということを、もう三十年前に私は唱えた一人であります。従って河川災害の一番原因をなすものは砂防の不完備、砂防の完璧を得て清水さえ流しておれば、私は同じ程度の水が出ましてもその被害が非常に減殺されると思います。従って上流の砂防につきましては、これは建設省の所管だとか農林省の所管だとかいうようなことにこだわらないで、ただいまの御意見のように、私はこれはどちらかがもう一本でやって、そうしていかなる雨が降っても絶対に土砂の流出はさせぬ、こういうようなことになるまで砂防の完璧を期して土砂の崩壊を防いだならば、私は今計画しておる堤防あるいはその他の治水の事実というものは、これはもうこれさえ計画しておきますれば、永久に日本でその事業を行なったところの部分については私は水害というものはないと思います。それくらいにこのわれわれのはかり知ることのできない土砂の崩壊、あるいはこれが木の株を連れ、流木を連れ、上流にはどうしても木橋がある。その木橋を流して、それを連れながら濁流が今度はその次の木橋も押し流す。そうしてその力で、今度は永久橋がある、その永久橋に行ってみんなせかってしまう。そのせかったために水位はどんどん上がる。上がったが永久橋はなかなか流れない。ついにその両翼の弱い部分の堤防をこわして、いわゆる鉄砲水となって濁流のためにもう下流の者は逃げ場を失うようなことになって、人的被害あるいはその他のいろんな悲惨な大被害を受ける、こういうようになって参っておるのが昨年の山梨県の七号台風における、あるいは長野県における私は災害の一番の原因じゃないか、かように考えますときに、私はただいまの田中委員の御指摘になりました点については十分われわれ為政者として考えなくちゃいかぬ。でありますから、この点は私は何もあえて建設省がどこまでも、山腹砂防までやろうとか、あるいは渓流の一番端っこまでも建設省でやらしてもらいたいとか、そういうことは私は考えておりません。もしもほんとうに山を完全に治めて、そして土砂の崩壊というものが防止されますならば、あえて私はこの事業農林省施行してもらっても、その方がいいということになれば、そういうセクショナリズムにこだわらず、年々歳々こういう原因で災害を繰り返すということは、私は絶対に考え直さなければならぬ、かように思っております。従いまして、この点については十分私は長い間の私どもの所管でありますので、今ここで私がすぐどうというようなことはできませんけれども、少なくとも私どもは土砂の崩壊を防ぐには、いかにすれば一番いいかということを十分農林大臣とも検討いたしまして、そしていずれも相譲って、そしてここに砂防事業の完璧を期したいと思う。もとよりただいま御指摘になりました長期砂防計画等につきましては、これはもう十分考慮に入れまして、今後雨が降るたびに山が崩壊しないような措置をとって参りたい。このためにはこれは私一人ではできないことでありますので、十分私ども関係者あるいは農林省、あるいは企画庁その他と相談いたしまして、何らかの適当な措置をとることが、最も国土を守る上に私は重要であろうと思う次第でございます。
  74. 田中一

    田中一君 あと質疑は次に譲りますけれども、少なくともこの十カ年計画の策定と同時に、一番おくれておりますところの、過去の率から見ますと、河川の改修よりも砂防事業の進捗度というものは非常におくれております。従って新たにこの計画とともに、長期砂防事業計画を確立するための作業をするかどうかという点について、一言だけ伺ってあとは明日の質疑に譲ります。
  75. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 五カ年計画並びに十カ年計画はもちろんでございますが、そのあとどういうふうに持っていくかという長期的の計画も同時に検討いたしたいと思っております。
  76. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会