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田中一君
建設大臣、私はね、毎年この過去最近の数年間というものは
国会が休みになりますと、二週間ないし三週間山に入っておりますが、いかにして日本の
国土というものを
災害から守ろうかという気持で、むろんわれわれ社会党ばかりではございません、自民党の諸君、その他の同僚議員も語らって二週間、三週間歩いているのです。結局、山腹
砂防を初めとする渓流を治めなければ、どうしても大きな
災害があるということを身をもって知っております。毎年歩いております。それもちょっと見にいくのではございません。山歩きですから武装して二週間、三週間山に入ってきているのです。その実態を調べてどこに欠陥があるかという点を真剣に取っ組んできているのです。むろん山には人もおりません。そこに出向いているところの
建設省、あるいは
農林省、あるいは府県の
職員がおるにすぎません。従ってそんなものは票になるものではございません。しかし、日本の
国土を守るには
砂防工事がなければならないのだということに徹しております。今
建設大臣は自分は詳しく知らないからとおっしゃるけれ
ども、その問題を解決するために、昭和三年において農林、内務の両
大臣がきめ、それですらなおまだ分野が明らかにならぬから、昭和四年に再確認しているのです。ところが行ってみますと辰林省は山腹
砂防をやっておらぬのです。それは当然造林業としての木を守るため、森林を守るための山腹
砂防はやっておりましょうが。山腹の土砂というものが渓流に入る。
建設大臣は渓流から海岸までの
行政的な
責任を持っております。
農林省、ことに林野庁等はそんな
責任は何も持っておりません。自分の方の樹木を守るための考え方しかないのではないかというような気がするわけなんです。歴代の
建設大臣に対して、この
国会では常に決議をしまして
砂防の五要性をうたっております。歴代の
河川局長も、これは半面山腹
砂防というものを林野庁が
直轄工事並びに
農林省の補助
工事としてやっておると、お互いに言われておるところに、これは欠陥があるのではないかと思うのです。一元化をしなければなりません。そうして、この山腹並びに渓流、これを通じて
河川の流域、河口までの
責任を一人が持つこと以外にないのでございます。山にたまる水が渓流に流れてくるのです。それはやはり、あらゆる
経済的にいろいろ利用されて、しょせん海に流れていくのです。全部の
責任は
建設大臣が持っているのです。従って、一元的な水の処理、空から落ちてくるところの水の処理というものを考えなければならぬのです。私はあえて、
農林大臣が山に流れる水の
責任は自分が持つのだ、だから
砂防に関する問題は途中流域に何があろうとも自分が持つのだというならば、
農林大臣が持つのもまた
一つの方法でございます。ただ、この
砂防事業、防災というものは一元的にならなければだめであるということです。それができないからこのような了解事項によって——これは帝室林野局時代にできたのであります。従って、この際
農林大臣から実態に即したところの、もう一ぺん唐確認をしようではないか、というような話し合いがくることが望ましいのでございます。現地とかあるいは事務当局側とかでは徹底しないのでございます。私は、せめてこの昭和四年に再認したところのこの実態というものを実際に行なっておるなら、何にも言うものじゃございません。これはまあわれわれ野党でございますから、
政府がそういうきめ方をしてスムースに行っておるものならば、あえて異を唱えませんが、理論的には一元化すべきものである。しかしながら、
災害が守られておるならば、今の話し合いによるところのものも認めよう。しかし事実
全国的に見て日本の
砂防事業というものは二元化になり、かつ林野庁の
砂防というものが造林を守るためのものであるということであるならば、これは少なくとも
下流におりますところの国民の利益とは全然
関係のないものでございます。
農林省のやるところの府県の補助
砂防は、府県を主体としてこれはあぶないからということでやっております。林野庁は、府県にやらす補助
砂防を、全部府県にやらせるならはいざ知らず、
直轄砂防というものは全部林野庁が営業として行なっておりますところの、木を守るところの
砂防以外ではございませんということです。完全に危険な
区域の山腹が荒れております。それに対して修腹はしておりません。もっともそれらは困難な所が多いのでございます。それに
砂防をやってもなかなか絶壁になっておるような所に足場を組むことも、コンクリートをやるなんということも困難であります。よくその事情はわかりますが、それを治めなければならぬというならば、それらのものをも
建設省所管としてやっていただきたいのです。そうしなければ
災害は守れません。歴代の
河川局長もやはり一面、
責任は山にあるのだというような安易な気持はないであろうけれ
ども、今まで
砂防事業に対して熱意がなかったということは、やはり二元的な形式になっておるところにあるのではないかと思うのでございます。
そこで、きょうの新聞を見ますと、
建設省は
長期砂防計画の立案にかかるというようなことが出ておりましたけれ
ども、これは一体どういう考え方で立てておるのか。また、私にいたしまするならば、前期五カ年
計画のうち一番おくれておるところの
砂防事業というものに対しては、やはり前期五カ年。
計画としての、あるいは前後十カ年
計画の
施行計画というものを確立していただきたいのです。いつもこれが人の住んでいない山からは陳情人が参りません危険な所があっても人が住んでおらない。従って
災害があって初めて気がつくものなんです。木も岩も水も口をききませんから陳情に来ないのでございます。危険があった、
災害があったという場合に、
砂防に対する陳情というものが現われてくるのです。私がお願いしたいのは、
長期計画をもって、
建設省はあぶないところの山腹を初め全部お歩きになって、地方
計画がどうあろうと、国が大
部分のものを持ってこの
実施をしなければならぬ。従って、その
長期の
計画をお立て願いたいと思うのです。所感はどうですか。