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田中一君 あなたがそういう
考えを持っているから間違いなんですよ。どこに、この
法律が悪いのですか。これを
理由にして、これで事業を行なう場合にはどこに国民が因るのですか。あなたの言った
言葉は、今、
室原君に対するどうかつです。これをやったならばあなた損ですよということを言外に
——うしろにいらっしゃるところのおそらく傍聴人の諸君もそういう印象を受けたでしょう。これを受けてやったならば、どのくらいひどい目に会うかという印象を受けたでしょう。法の悪用というのはそれを言っているのです。すべての
法律は国民のために作っておる。権力者のために作っておるのではないのです。すべての
法律は国民のためなんです。従って、この
法律がもし悪いとおっしゃるならば、どこが悪いか御指摘なさい。そうして今あなたが言う
ように、この
法律をこれから使うと、御希望ならやって上げましょう
——これは使ったならばどういうことになるか、大勢の人は皆いやがっておりますよ。それを御希望ならやって上げましょう
——これはどうかつです、その
言葉は。この
法律をあなたは何と
考えておるのですか。この
法律は、私は今いろんな
法律を見ておりますけれども、私の
関係しておる
法律でこれくらい民主的な、これくらい国民のためを
考えておる
法律はないと見ておるのです。私はそうかたく信じております。そうして、もしも
——あなたの方で一番お困りになることは、今ここでもってこれをかける。ここで事業認定をして
仕事をした場合には、
室原さんが囲いをしておる
ように、あらゆる法を使って抵抗してよろしいと書いてあります、この
法律には。
水没者の権利を守るためにはこれこれの抵抗をしてよろしいと書いてあるんです。
室原さん抵抗します。三年かかろうが五年かかろうが抵抗します。当然抵抗してよろしいのです。そう書いてあるんです。少なくとも三十五年度には
仕事にかかれません。同時にまた三年かかって三年後に判決があれば
仕事にかかる
ようになる。私はそういう法を善用して、国民の前にすべて出して、理解させて、
一つ一つの結論を、判決例というものを詰めることによって、将来の日本の民族のための
公共事業というものを国民の協力を得てさすためには、この国民の権利を守っている
法律をもってやれということを主張しているのでございます。あなた方の官僚諸君の、官僚諸君というと
言葉が悪いとまた
村上君からしかられるから言わぬけれども、国家公務員の上級の職員の諸君は、これを適用すれば、あなた方の予算に
関係なしに第三者が
補償の金額をきめます。妥当なるものをきめます。そうして期間もこの
法律で許されているところの数々の抵抗を国民がして、三年か五年か六年か後は、必ずいかなる感情的な方であろうとも、日本人であるならば日本の民族の幸いのためには提供を必ずいたします。不当な壁をもって圧迫するところの、この今の事業認定申請にある
ように、不当な
補償を取ろうとする
ようなことが予想されるから、この
法律を適用し
ようという、これはこわい
法律ですよということを言外に
地建の局長は言っているわけです。合法的な
反対をする、合法的な
反対をしてよろしいと、この
法律は書いてございます。合法的な
反対をするから、この
土地収用法という悪い
法律でございますよ、この
法律でお前を押えつけるという
ような印象を受ける以外に何を受けますか、この
事業認定申請書によって。こういう
ような感覚で
公共事業を行なうというところに国民の抵抗が強くなるのです。
今回、これは余談になりますけれども、
建設省設置法という
法律をかけ
ようとしてあなたの方で提案しております。公共の土地の取得を国に容易ならしめるための
調査会であろうと思います。むずかしくするための
調査会ではないと思いますが、一貫した思想として、この
ように国民のすべての権利というものを認めている
法律を国民の前に知らしめずして、予算というきまった金袋を背負いながらこれにいかにして国民の要求を押しつけ
ようかというところが、事業認定前の
話し合いという姿なんです。
話し合いというのは、この
法律の保護によって事業認定をした後にくるのが
話し合いです。その前の
話し合いというのはあなた方はまだ仮定の問題なんです。この
土地収用法による事業認定というものが
許可になって、初めてこの事業を必ず行ないますという意思表示を国がすることなんです。事業認定がなくしてやることは単なる売買の取引でございます。ほんとうに三十六の民族のための
公共事業ときめているならば、事業認定書が認証を受けているそごから出発するのが
話し合いなんです。すべてそこから
話し合いというものは出発するのです。その前の
話し合いというものは単なる取引の交渉にすぎません。そうして
公共事業としてこの事業を行なうという意思表示をしていないことになるんです。現在この認証がない限りしておらぬことになるのです。
あとは
公共事業という形の事業であるけれども、お前さんが納得してくれたならばこのままで進みましょうということにすぎません。すべての意思決定というものは、
土地収用法にきめておりますところの三十六の業種の意思決定というものは、事業認定から始まるのでございます。そこから
話し合いが進むのでございます。その事前の
話し合いというものはどうかつであり、脅迫であり、圧迫であり、そういう印象を国民が受けるのでございます。これを排除して、国民の持っているいい
法律というものを知らしめ、これはあなたの利益を不当に圧迫する
法律でございますよ、という
ような印象を与えないことが第一でございます。事業認定というものは三十二年度が
公共事業の
最初でございますよ。これが出発でございますよ。
建設大臣の今の御答弁ははなはだ不満でございます。この事業認定によってのみ
公共事業というものの出発点があるのです。そこからくるのが
話し合いなんです。それを事前の
調査段階で立ち入り検査その他ができる、という準備行為の
法律の条文をたてにとって圧迫する形が現在の形なんです。だから
室原さんがあらゆる抵抗をするのです。
室原さん、あなたはいかなる抵抗もできるのでございますよ。これは、それもあなたが言っている法には法という法の裏づけがあるのです。あなたは喜んで
土地収用法、いわゆる事業認定をして下さいとお願いしなさい。事業認定してから初めてこの
仕事はいたしますという意思表示なんです。現にあなたにお教えします。利根川に小貝川という支流がございます。この支流のつけかえをやる、相当な町が
水没する、そのために強い抵抗を示しまして、十年たってもいまだにその
仕事はしておりません。こういう事例もあるのでございます。しかし
室原さん、私は、あなたが御教育もあり、相当御経験のある方、また良識ある方と信じまして
筑後川下流の数十万の諸君の生命財産を守り、日本の国土を守るためには、おそらくあなたは正しい
法律に準拠するところの施策を国がしてくれるならば、これに対して決して絶対に
反対するという
ようなことにならない心境に変わるであろう、ということを私は信じております。今の
ように法を悪用化、あるいは法をたてにとって、法の内容を知らしめずして、そうして圧迫するかのごときものでなくして、虚心たんかいに公平な第三者がものをきめるということになるならば、おそらく、あなたは同じ民族であります、そのために
自分のあらゆるものを捨てても尽くそうではないかという心境におなりになることは当然だと思うのであります。
ただ運用するところの事業の主体というものが、これがあなたの頭を混乱させ、そうして先ほど同僚の
森中委員が
質問している
ように、あの手この手を用いて懐柔をしたり、文書をもっておどかしたり、知事やその他の方を使ってあなたの方に話し込ましたり、あるいはきっと警察署などにも
話し合いをしていることがあったと思います。そういう少なくとも一般の大衆よりも行政的な権限を持っている諸君を使ってあなたの方に
話し合いに来るから、あなたはどうしても承服できぬというのがあなたの心境ではなかろうかと私は
考えております。この
土地収用法によるところの事業認定を行なって、これからあなたが法には法をもって戦う段階にくるのでございます。
先ほども内村
委員の
質問の中にございました
ように、これは誤解があるといけませんから申し上げますが、この条文によってあなたが
自分の立木を切ることに
反対であるといっても、この
法律ではそれはほんとうに公共のためならば自由に切れるという条文もあるのでございます。本人が承知をしないでも、たとえば
町長なり何なりが立ち会って、これを一本切りますよという場合には切れるという条文もあるのでございます。しかしながらこれはあなたに損害を与えるために切るのじゃなくして、多くの民族のためにこういう非常手段をとるのだということもこの
法律では許されております。その
ようにあなたが不当なる圧迫を受ける条文もございますけれども、あなたのあらゆる条件というものを要求しても差しつかえないという
法律になっておるのであります。
ただ一定の予算しか持ってない
地建の局長あたりがあなたに折衝することは間違いでございます。今のあなたの
話し合いの段階というものは、単なる土地の売買の交渉でございます。法の裏づけはございません。私があなたのところへ行って、あなたのところの山を一町歩売ってくれんかという
ような交渉でございますから、こんなものは拒否することも自由でございます。
法律できめられておる限界まではあなたは認めなければならぬけれども、あなたの
水没する土地を売ってくれといっても、お断わりするというのは自由でございます。
ただし事業認定した暁には、
地建の局長が言うのじゃございません、公平な土地収用
委員が、あなたの言い分、あなたの条件も全部聞いて、国の事業なら国の許される予算の範囲も聞いて、そうして判定を下してあなたに対する
補償というものを行なうのでございます。村作りもしかり、あなたが同じ家を作れ、同じ条件で作れと言っても
地建の方ではいやということができぬのでございます。しかし土地
収用委員会が新農村を作れと、ここに三町歩の土地がなくなったけれども、条件が悪いから五町歩の土地を作れということを土地
収用委員会が命じた場合には、事業主体である国は作らなければならないのです。
地建の局長や事業を行なうという
建設大臣に権限はございません。その以前の権限というものは単なる
話し合い、何にも根拠のない
話し合いでございます。事業認定をいたして初めてそれらの権限が収用
委員に付与されるのでございます。従ってこの
法律というものはどのくらい国民の利益を守っておる
法律かということはおわかりになったと思います。私はこの際
建設大臣が、山本
河川局長からのちょこちょこの耳からだけでもって御答弁になることに対してははなはだ不満でございます。あなたは
建設大臣として私がるるこういうことを申し上げて
——私は汗をかいて申し上げているのですよ。冗談で申し上げているのじゃごいざませんよ、これに対してほんとうに、よしこれから
土地収用法というものを完全に
自分でマスターして、りっぱな
公共事業を行なう主務大臣として国民全部に協力してもらうという覚悟を示して下さい。それによって初めて今後の
公共事業を行なえるのでございます。