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1960-02-23 第34回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十三日(火曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            稲浦 鹿藏君            松野 孝一君            武藤 常介君            田中  一君    委員            小沢久太郎君            小山邦太郎君            櫻井 三郎君            田中 清一君            米田 正文君            内村 清次君            永岡 光治君            安田 敏雄君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    首都圏整備委員    会事務局長   樺山 俊夫君    北海道開発庁総    務監理官    木村 三男君    北海道開発庁主    幹       佐藤 健司君    建設政務次官  大沢 雄一君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省道路局長 佐藤 寛政君    建設省住宅局長 稗田  治君    建設省営繕局長 桜井 良雄君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (道路整備特別会計法の一部改正に  関する件)  (治水特別会計法案に関する件)  (昭和三十五年度建設省関係予算に  関する件)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  先刻の委員長及び理事打合会におきまして決定いたしましたことを御報告申し上げます。  本日は衆議院の予算委員会関係で、大臣出席がおくれるので、まず道路整備特別会計法の一部改正案並び治水特別会計法案につきまして、それぞれ建設省から内容の概要につきまして説明を聴取することにいたします。それからその次に一般質疑に移りたいと思います。ただし、大臣がそれまでにお見えになりますれば、また大臣に対する総括質問をいたしたいと存じております。  そこで本日はその程度にいたしまして、二月十五日は引き続き大臣に対する予算総括質問及び首都高速道路公団法の一部改正法案についての質疑をすること、それから三月一日には首都高速道路公団法の一部改正の採決をすることにいたします。それからまたその日に治山治水緊急措置法案説明並びに河川局関係総括質問をするような予定になっておりますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  3. 田上松衞

    田上松衞君 それに入る前にちょっと議事進行に関してお願い申し上げておきます。大臣がこっちへお見えになりましたら、道路整備特別会計法案の問題、治水特別会計法案問題等説明の途中でかりにありましても、一応それを打ち切っていただいてすぐ大臣質問をいたしたいと思いますが……。
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記をとめて。    〔速記中止
  5. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記をつけて下さい。  それではまず道路整備特別会計法の一部改正法案並びに治水特別会計法案につきまして、政務次官から説明を願います。
  6. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) 治水特別会計法案につきましては、まだ主管省大蔵省の方で説明書ができておりませんので、この点につきましては事務当局から御説明をさせることにお許しをいただきまして、道路整備特別会計法の一部を改正する法律案要旨を御説明申し上げたいと思います。  すでに御承知通り道路整備特別会計におきまして、国が直轄で行なう道路整備事業にかかる都道府県負担金につきましては、地方債証券による納付を認めまして、他方これに対しまする資金的措置として、この会計負担におきまして借り入れを行ないまして、もってこの会計における事業資金の確保をはかることとしておりましたのでございます。しかしながら地方債証券によりまする納付は、地方財政にいろいろの影響を与えることにかんがみまして、昭和三十五年度以降におきましては、地方債証券による納付をやめまして現金で納付することといたしました。これに伴いまして、この会計におきまする地方負担金の額に相当する経費財源に充てるための借り入れ措置は、行なわないことといたしたいと存ずるのでございます。この方針に従いまして、今般道路整備特別会計法改正いたしまして、この会計における地方負担金の額に相当する経費財源に充てるための借入金借り入れ及び償還に関する規定を削除いたしまするとともに、同会計歳入及び歳出予算または決算添付書類その他関係規定整備を行なおうといたしたいと存ずるのでございます。これがこの法律案要旨でございます。
  7. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 治水特別会計法案につきまして御説明を申し上げます。お手元に治水特別会計法案要綱と、それから法案を差し上げてございますが、主として要綱につきまして法案を参照していただきつつ御説明を申し上げたいと思います。  治水特別会計法案要綱でございますが、一番は「治山治水緊急措置法に定める治水事業一〇箇年計画の実施に伴い、同法に規定する治水事業多目的ダム建設工事を除く。)で国が施行するもの及び多目的ダム建設工事に関する経理一般会計区分して行い、あわせてこれに関連する直轄伊勢湾等高潮対策事業及び受託工事施行等並びに上記一〇箇年計画に基づき都道府県知事が施行する治水事業に係る国の負担金補助金の交付に関する経理を明確にするため、治水特別会計を設けることとする。こういうことでございまして、これは法案の第一条につきましての趣旨を書いたものでございます。  次は「この会計は、建設大臣が管理し、会計経理は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定区分して行なうこととする。」これは法案の第二条並びに第三条の要点を書いたものでございまして、御承知通り特定多目的ダム建設工事につきましては、三十二年度から特別会計が設定されまして、すでに特別会計事業を行なっておったわけでございますので、これは特定多目的ダム法に基づく工事を施行するための特別会計でございまして、これはほかの治水事業と異なりまして、電気事業者等分担金がありますので、従来の特別会計をやはり勘定を別にして経理して参った方が、従来とのつなぎ合わせも非常によろしいということで、特別会計内容治水勘定ダム勘定二つに分けて、建設大臣があわせて管理する、こういうことにしているわけでございます。  次は三でございまして、治水勘定歳入及び歳出が第四条並びに第七条、第九条に規定してありまして、第四条につきましては、歳入項目が書いてありまして、第七条、第九条等にはそれらの項目についての規定がそれぞれ書いてあるわけでございます。まず歳入といたしましては、今「直轄治水事業若しくは直轄伊勢湾等高潮対策事業に係る国の負担額又は都道府県に対する治水事業費負担金及び補助金の額に充てるための一般会計からの繰入金」が歳入一つ項目でございます。  次の(ロ)といたしましては、上記直轄事業にかかる地方負担金、それから受益者負担金等一つ財源でございます。  次は(ハ)でございまして、治水関係受託工事納付金歳入一つとなっております。  それから(ニ)といたしまして、「特定多目的ダム建設工事勘定からの繰入金」でありまして、これは治水勘定の中で、ダムに従事いたしまする工事事務所人件費並びに事務費を、一括治水勘定経理し得るためにするために、ダム勘定から繰り入れをいたしております。それらが財源歳入となっております。  次は歳出でございますが、(イ)といたしまして、直轄治水事業費、次は直轄伊勢湾等高潮対策事業費、次は治水関係受託工事に使う費用並びに多目的ダム建設工事等に関する事務費、先ほど繰り入れいたしましたものに相当する事務費経費でございます。ただし北海道で行なう事業または工事にかかる事務費は除外いたしております。  それから(ロ)といたしまして、都道府県に対する治水事業費負担金及び補助金でございまして、これは従来一般会計でやっておりました補助事業に対する負担金または補助金でございます。  それから四番目に参りまして、「特定多目的ダム建設工事勘定歳入及び歳出は、次のとおりとする。」これは法案の第五条それから第七条、第九条にその内容規定されているわけでございます。  (イ)といたしまして、多目的ダム建設工事にかかる国の負担額一般会計からの繰り入れ財源になっております。  それから次は同工事にかかる地方負担金と、それから電気事業者その他の負担金でございまして、これが治水勘定と違う歳入でございます。  それからハは多目的ダム関係受託工事納付金でございます。  それから歳出でございますが、(イ)は多目的ダム建設工事費でございますが、及び多目的ダム関係受託工事を施行するために支出する費用でございます。工事に関する事務費は除いてありまして、これはやはり治水勘定の方で支出することに相なっております。  それから(ロ)は治水勘定への繰入金でございまして、これは第八条に規定されておりますが、先ほど申し上げました治水勘定の方の歳入規定されておりまする、特定多目的ダム建設工事勘定からの繰入金に該当する、ダム勘定の方の歳出になるわけでございます。  次は第六条に規定しております事項でございますが、「特定多目的ダム建設工事勘定においては、歳入及び歳出並びに資産及び負債工事別等区分に従って経理するものとする。」、これは特定多目的ダム法にも規定されておった事項でございまして、ダムにつきましては、御承知のように電気事業者等負担金が入っておりますので、一本々々で経理して参りませんと、資産及び負債の整理ができないわけでございまして、これができませんと、電気事業者等との負債並びに資産の分ける場合とか、あるいはそういう点において非常に困るわけでございますので、そのまま引き継いで参ったわけでございます。  次は六番目でございまして「この会計歳入歳出予定計算書繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書作成送付及びこの会計予算作成提出に関する手続並びに予備費の使用、余裕金の預託その他この会計の運営に関し必要な手続を定める。」これは法案の第十条ないし十一、十三、十四、十五条等に規定されておるわけでございましてこれは財政法会計法特例処置でございますので、こういう規定が入っておるわけでございます。これはダム法の場合におきましてもそのままございました規定でございます。  七番目は、この会計歳入歳出決定計算書作成送付並びにこの会計決算作成及び提出に関する手続並びに歳入歳出決算上の剰余金の翌年度歳入への繰り入れに関する手続を定めてございます。これは法案の第十三条、十六条、十七条、十八条、十九条等でございまして、やはり会計法等に定めるところの規定が、そのまま特例といたしまして定められておるわけでございます。  次は八番目でございまして附則でございますが、「一般会計所属直轄治水事業関係資産及び負債治水勘定への帰属」、そのまま治水勘定へ引き継ぐというような規定がまずございます。それから特定多目的ダム建設工事特別会計所属資産及び負債を、今度新しくできます特定多目的ダム建設工事勘定へ帰属させるという規定、その他この会計の設置に伴う必要な経過規定でございまして、三十四年度までダム特別会計でやっておりましたものが、これに移しかえになるわけでございますので、円滑に引き継ぎができるように経過規定規定されておるわけでございます。  初めに申し上げるのを忘れましたが、この特別会計に従来の多目的ダム特別会計を吸収いたしまして、その他の治水事業を合わせて一本の治水特別会計にいたしたわけでございます。ダム特別会計規定しておりました条項のうち、地方公共団体負担金に相当いたしまする借入金をやっておったわけでございますが、それが地方公共団体負担金ということに変わりました。先ほど道路特別会計説明がございましたようにそういうふうに変わりました。規定だけが変わっただけでございます。その他のダム特別会計規定はそのまま引き継がれてございます。治水特別会計につきましては、おおむねダムに準じまして規定を定めておる次第でございます。簡単でございますが、説明を終わらしていただきます。
  8. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君)  ただいまの、道路整備特別会計法の一部を改正する法律案、並びに治水特別会計法案について説明を聞いたのでありますが、これに対する御質疑がありましたら御発言を願います。
  9. 村上義一

    村上義一君 ちょっとお尋ねするのですが、治水特別会計の方十条の一項の繰越明許費要求書というのは、私よく内容がわからぬのですが、これはどういった内容書類でございますか。
  10. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 内容といたしましては、その年度予算を議決していただいておりますけれども、その年度内に諸種の条件で使い切ることができないという場合には、年度にまたがって繰り越してそれを使うことができるということを、あらかじめ国会の承認を得ておくわけでございまして、予算書の中に丙号繰越明許費要求書というのがございまして、そういうことを予算書でお願いをいたしまして、国会の議決をあらかじめ得ておくわけでございます。そういうものがないと、繰り越しいたしまして使うことができないということに和なるわけでございます。
  11. 田上松衞

    田上松衞君 同じくその第十条の三項、「前項各号の書類のうち特定多目的ダム建設工事勘定に係るものは、工事別等区分に従って作成するものとする。ただし、当該年度事業計画表については、この限りでない。」、これはどういう理由なんですか。
  12. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、一般治水の問題につきましては、工事別区分をしなくても経理上差しつかえございませんけれども、ダムにつきましては、先ほど申し上げましたように、電気事業者等負担金が入って参りますために、工事別、たとえば何々ダムということによりまして経理をする必要がありますので、歳入歳出予定計算書におきましても、ダムごとに一カ所につきましてこういうふうな表を作らなければいけないということでございます。そうして、「ただし」の項目は、ダムにつきましてはこういうふうな必要がございませんが、その他の港湾等につきましては、個所別区分することができないというような、当年度事業につきましてそういうような場合がありますために、こういう規定が入っておりますけれども、ダムにつきましてはこの「ただし」の規定は、適用する場合は現在のところはございません。
  13. 田上松衞

    田上松衞君 ますます何だかわからなくなっちゃったのですが、御説明の中に「ダムでは必要はないけれども」というお言葉があったけれども、そうでなしに、ダムについてはこうするのだ━━説明があべこべになっちゃう。
  14. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは、一般的には個所別に作れ、しかし、その当該年度につきまして作れないような場合がある場合に、あとで整理する場合につきましては一本々々に経理しなければいけないけれども、当該年度で非常に作れるような場合があるので、こういう規定を挿入してあるわけでございます。
  15. 田上松衞

    田上松衞君 当該年度事業計画表は、これはダム以外のすべてのものを含んでの意味なんですか。そうでないとわからないんですが。
  16. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この点につきましては、大蔵省で作りまして、私も相談を受けましたけれども、的確な御返事を……、今調べまして御返事いたします。
  17. 田中一

    田中一君 治水勘定と、特定多目的ダム建設工事勘定と、こう分けたのはどういうことなんです。分け方はいいんですがね。つまらぬ問題かしらぬけれども名称ですね。治水勘定というものもこれは建設工事勘定なんだ。そこで片一方治水勘定片一方建設工事勘定ときめたのはどういうことなんですか。
  18. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、ダムの方は、この勘定におきまして建設工事費だけを経理することにいたしておりまして事務費等治水勘定の方で一括経理をいたしますので、こういう名称にいたしたわけでございます。
  19. 田中一

    田中一君 そこでダム事務費が分けられると、職員給与というものは事業費で全部調弁するということになるのですね。
  20. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 事務所長以下の経費事業費で支弁することになります。
  21. 田中一

    田中一君 その範囲を資料を出してもらいたいな━━そうすると、この明細書でわかりましたけれども、なぜここから事業費に持っていったかということですね。特別会計にすれば、その治水勘定というものの考え方が、事務費というものは治水勘定に持たせるのだ。ダム勘定の方にはダム工事建設工事勘定だけが入っておって、事務費治水勘定に入っておるのだ、治水勘定に入っておるのなら治水勘定というものの特別会計内における範囲ですね。今あなたが説明するように事務所長以下が、ここから給与を払うのだということになっておりますね。なぜそこからだけを取ったのかということです。少なくとも局の中においても、河川部長は、やはり全部がこういう工合に特別会計になれば、そこから調弁してもいいのじゃないかということが言えませんか、なぜ工事事務所長以下が事業費から給与給源を求めているかということです。それから地建等におけるところの河川部長、それからそのほかの専門官はどうなっておるか知らぬけれども、これは現場に配属される建設専門官と思いますけれども、ここに書いてあるのはそうでない、地建河川関係のそういう人たちもこの中から見たらどうかということです。特別会計ということになっておるならば、治水全般のものが特別会計になった以上、地建内におけるところの者の給与給源、諸事務費というものを特別会計から調弁したらどうか、しないということになっているのですから、それはなぜかということです。
  22. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 本省本局等費用特別会計の方で経理して、地方分担金対象になるようにしろと、そこまではおっしゃっていないかもしれませんが、特別会計経理しろというようなお話もございますが、本省本局等におきましては、もちろん工事関係する面もございますが、一般河川行政もやっておりますので、そういう面からいいまして、本省本局等一般会計の方で支弁するのが適当ではないかということで、こういう建前にいたした次第でございます。
  23. 田中一

    田中一君 御承知のように地方分担金工事費に見合う率で徴収しているわけですね。もしそうならば一般行政職と、それから現場に関する人たちの賃金の給源というもの、これをたとえば今私が逆に言ったのですが、地建なり本省なりの河川関係人間給与全部を給源に入れると、当然地方分担金がふえることになるのです。しかし今回の場合も、事務所長以下これに配属する専門官とか用地官というものも出ているようですが、これらの者の給与一般財源から持とうとするならば、地方分担金が軽減されるわけなんです。そうですね、軽減されますね。伺いたいのは、なぜ工事事務所長からそれをきめたかという根拠です。さっきの質問は逆に言ってみたのです。
  24. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 地方分担金対象にすべきものは、その工事費はもちろんのことでございますが、その工事のために従事いたします職員とか、あるいはその他の一般雑費等がございますが、それらのその工事のために使われておるという性格の最もはっきりしたものは、地方分担金対象にするのが適当ではないか。ダムにおきましてはすでにそういう制度もできておったわけでございますので、それが適当であるということでこういうふうに考えた次第でございます。
  25. 田中一

    田中一君 かつて警視庁にも地方負担職員それから国庫負担職員というものがおったようですよ。それで、またあるいは詳しくは承知しておりませんけれども、何分の一は国庫負担、何分の一は地方負担というものもあったように私は記憶しておるのです。実際に工事費というものに渡して、それが正しい分担金というならば、少なくとも地建におけるところの何人かの人間も、これも工事費に該当されるような職務を行なっているわけです。そこで地方分担金というものをふやそうというのじゃなく、逆に減らそうという考え方を持っておるのです。全体の工事から来るところの地方負担というものを余分に取ろう、という考え方でこういうことをしたのか、あるいは合理的な根拠があってこうしたのかということを聞きたいのですよ。少なくとも今までのように一般財源から給与給源を求めておったのですから、こうなっておるならば、地方分担金は今回の特会法によってきめられた負担よりも軽減されたということは事実なんです、軽減することは事実なんですよ。ある程度のものを盛り込んだものを、そうしてその標準というものを現場からこっちが特会に入るのだということになりますと、その分だけのものが負担金が増率されるわけです。率というか増額されるわけです、額において。だからそうすると筋を通すならば、少なくとも河川部長以下、これは何も行政面が……北海道は多少ありますね、道路関係にしても道路管理というものがありますけれども、河川の場合には行政面よりも現場工事勘定の面の方が仕事のウエートが高いのじゃないかと思うのです。筋を通すならばその辺から全部特会事業費支弁という形の人件費にしたらどうかということなんです。それはその線の引き方によって大した違いはないかもしれません。しかし筋を通すということになると、これは筋ではないと思うのです。そうして、もし地方負担金が相当そのために高額になった場合には、負担金の率を下げることです。いたずらに地方負担を余分にかけるという考え方大蔵省的な考え方から出ておるというならば、これはどうしてもふえればふえるほど納得できないことになるわけです。その方が妥当であると思いましたということではいかぬ。やっぱり同じような建設工事関係する労力を持っておる者は地建にもいるわけです。ほんとうに筋を通すならば、実際の自分仕事の中の三分の二がこれにかかっておるから三分の二はこっちに入れる。全部事業負担にする。いわゆる行政部費的なものと労務と二つにわけておりますね、給与給源というものを。給与給源の面からみてもどこに妥当性を発見できるかということです。どうもこれは河川局長に聞くより大蔵省の方に聞いた方がいいと思うが、これはあなたの方で納得しておる法律だから伺っておきたいのです。  いたずらに地方負担をふやすということがあってはならないわけです、ほんとうに筋を通すならば。自分仕事の中で関連するものは全部ごつちに入れるということですが、なぜここに線を引いたかということを伺っておるわけです。
  26. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまのお話は、厳密の意味におきまして、たとえば本局部長あるいは課長等におきまして、それらが工事関係する時間、あるいは一般行政関係する時間等がはっきりするならば、そこではっきり線を引いて分担金対象にすべきものをきめればいいというお話でございまして、これは私どもも理論的にはまことにその通りだと思います。しかし、現場事務所におきましても、やはり工事だけではなくて、多少管理面も持っております。それから本局におきましても管理面工事面と両方あるわけでございます。従いまして、それらを勘案いたしますと、従来ダムで行なっておりましたような、事務費財源別に行なっておる方法が適当ではないかということで、そういうふうな支弁方法建設省といたしましては賛成いたしたわけでございまして、これにつきましては河川特別会計だけではなく、道路港湾等におきましてもそういう趣旨に統一されたわけでございます。
  27. 田中一

    田中一君 そこで、むろんこれが妥当ではないかという線に賛成したというならば、妥当だという線は十分に資料等も実態等もお調べになってきめたと思いますから、その資料を一つお出し願いたいと思います。資料は出してもらえますね。
  28. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) ただいまの田中先生の御要求の資料につきましては、先ほど来河川局長からお話ししましたような経過でございますが、なお具体的な合理的であると認められる根拠と申しますと、なかなか資料としてむずかしいかと思いますが、従来の種目別の計上方式と、今回の特会工事事務所長以下の特会というものとの比較、あるいは利害得失という点がわかりますならばあわせて出してよろしゅうございましょうか。
  29. 田中一

    田中一君 それは御承知のように給与というものが、二本建の給与になっておりますね、現在。従って給与給源というものは二つの筋から流れてくるというものならば、やはり事業そのものも——これははっきり書いてある、北海道それから多目的ダム両方の事務費というものは、工事費にかけるのでございますよ。こういう建前になっているわけですね、勘定として。これは当然その通りなんですよ。しかしそれを治水勘定に入れるとなると、この給与給源の流し方のパイプの建前と特会法、これはいつも私、疑問に思っているのは、今まで二、三年来できたところの特会法、ことごとくそういうことに持って行こうという思想、これは正しいと思います。正しいと思うけれども、なぜ今のような制度、工事事務所長以下だけはこっちに入れるのだ、という制度の根拠というものが納得できない。だからせめてむずかしいからちょっと出す、出せとは言わないのですよ。出しますかと聞いているのですが、なかなか困難なように思います。思いますが、あとでもう一ぺん具体的に言いますけれども、山本さん、今度の特会法によって地方負担はどのくらいふえますか、減りますか、同じですか。
  30. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 工事費の間に入りました、先ほど申し上げました人件費の分の分担金だけふえるわけでございます。
  31. 田中一

    田中一君 結局ふえるのでしょう。ふえるのです、やはり。そこに問題があるんですよ。一応地方自治庁はどういう考えを持っておるか知らぬけれども、少なくとも今日の赤字地方団体が相当ある中で、ふえるということはなるほど特会法そのもの、治水事業そのものに対してはその方が事業量がふえるのだからいい、という考えを持ちますけれども、私はそこでどのくらいふえるかということを正確にお出し願いたいのですよ。しかしやはり何といっても国の公共事業あるいは災害復旧にいたしましても、治山治水事業にいたしましても、全部国がやるのだという建前に立っておるならばこれは何も言いませんが、地方の協力を得ずして仕事は行なわれないのですよ。今度も大臣以下各局長等も熱心に、それから執拗に、治山治水特会の問題にいたしましても、あるいは予算等の面においても努力されたことに対しては、いろいろ非難もあるように聞いているけれども、私は非難すべきじゃないと思うのですよ。その熱意というものが、結局特会法によって地方負担がふえるのだということでは、これは事業の推進に対してはやはり、工事量全部からみた場合にはいいかしらぬけれども、負担力の面からみればやはり赤字がふえることになるのですね。具体的にそういう数字がどうなっておるかお示し願いたいのです。これは道路特会にしても同じことなんですよ。同じことですけれども、難産をした治水特会だけにこの点を明らかにしてほしいと思います。そうして給与給源というものが、事務所長からのものは事業費でまかなう、それから上というか横というか、高さというか知りませんよ、表現は適当でないかもしれないけれども、その人たちの分はなぜ一般財源から支給しているか。そうして給与法から見れば、給与法というものはやはりその二つの姿が出ているのです。四捨五入して現場に近い者はこっちに入れるとか、行政面に近い者はそっちに入れるとかいうこと、かりにそうきめてもその数字というものがどうなっておるかわからなければ、妥当性というものは発見できないと思います。
  32. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今の点につきましては、地方負担がどのくらいという資料をお出しすることにいたします。ただそういうことで地方負担はふえますけれども、利率等の面におきまして、起債の利率でございますが、従来は六分五厘のものを六分三厘に引き下げておりますから、それらの点を総合勘案いたさなければ、地方負担金がどういうふうになったかという点はわかりませんが、それらも勘案いたしましてわかるような資料を提出したい、こういうふうに考えます。
  33. 田中一

    田中一君 六分五厘が六分三厘になったのですか。━━そうしますと、たとえば国家公務員の共済組合法による資金部資金というものも、率は現状はたしか五分五厘だと思いますけれどもその五分五厘、そこから貸し出すところの、何といいますか、元の金ですからね、この原資というものは。これは原資ですね、使っているのでしょう。そうすると、それは五分五厘になっているはずだけれども、五分五厘よりも低まってきたのですか。資金部資金の原資の利子を六分三厘に下げたということはどういう根拠かということをお示し願いたい。それは資金部資金に相当もうけがあるということなんですか。昨年からみて四分五厘を五分にしたと、そうした原資の関係とか何とかいうものを理解しないで、これは妥当でございますというようなことで、一緒になって出しちゃいかんですよ。
  34. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) 御案内の通りに、交付公債の方は従来資金部資金よりも利子が高いということで、大へん地方財政の方で問題になっております。これを引き下げろとか免除しろとかいうことが問題になっております。今回一般の資金部資金を、交付公債をやめまして同じようにしただけでありまして、一般の資金部資金の利子を下げたわけではございません。
  35. 田中一

    田中一君 それじゃ官房長お認めになるかどうか知らぬけれども、そのプラス・マイナスを出したデータを出して下さい。そして六分三厘に引き下げたという根拠もあわせて大蔵省に聞いて……。これは大蔵省の問題ですということじゃ済まないのですよ、あなた方が特別会計を作ったのだから。いいですか。
  36. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 承知いたしました。提出いたしたいと思います。
  37. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほど特別会計の第十条の三項の問題につきまして御質問ございまして、調べまして御答弁申し上げるということにいたしておきましたが、この条項につきましては、ダム勘定で、建設省関係といたしまして提出しておる分につきましては、予算書のうちに掲記してございますように、いずれも工事別区分されて来年度予算におきましては提出されておりますので、ただし書きは来年度予算につきましては必要ないわけでございますが、こういうふうな場合も将来万一あるかとも存ぜられますためにこういう規定を挿入いたしておるわけでございます。ほかの特別会計等におきましては、予算書におきましても、こういうふうに工事別区分してなくて出してあるものもございます。従いましてそういうふうな万一の場合も考えられますので、こういうふうな法案になっておる次第でございます。
  38. 田中一

    田中一君 海岸法の一部改正で今度出るのは何でしたかな。まだ見ていないのだけれども。
  39. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 海岸法につきましては、従来直轄工事で行ないまする海岸工事といたしまして、海岸の改良並びに新設というだけのことしか直轄できませんでした。今回の改正におきましては、災害復旧もできるような規定にお願いしたということでございます。
  40. 田中一

    田中一君 それから直轄工事負担金と補助工事の地元の負担と均衡していますか。
  41. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 均衡と申しますと、直轄事業費補助事業事業費とが均衡とれているかという御質問かと思いますが、この特別会計では、直轄工事財源といたしましては、国の一般会計からの繰り入れと、地方の公共団体の分担金をあわせて直轄工事をやるということでございます。それから補助工事につきましては、補助負担金だけをこの特別会計から出しましてやはり地方の持ち分はそれに地方がつけ加えまして事業をやるという形に相なっておるわけでございます。
  42. 田中一

    田中一君 そうすると、補助工事は補助額だけがこの治水治山勘定に入っておると……。
  43. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  44. 田中一

    田中一君 そうすると、直轄河川等をこれからふやしていこうという傾向にあるのですか。それとも現状のままでいこうという考えなんですか。
  45. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 直轄工事は必要によりましてふやそうという考えでおります。
  46. 田中一

    田中一君 補助工事は補助額だけをあてがって、監督するけれどもそのままやれということになっていますし、直轄工事の場合には一応向こうを吸い上げてこの勘定に入れて、分担金を入れて直轄するということになっていますね。そこで、その間の率はちっとも変わっていないのですか。
  47. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点につきましては工事の面で調整をとる、補助工事につきましては、県の持ち分をあわせたものが工事になるわけでございますので、その調整をとっておるわけでございます。
  48. 田中一

    田中一君 その補助工事地方の持ち分と直轄工事負担金ですね、これとは同じ率ですか、結局同じ率になるのですか。率という言葉でいってはどうかわからぬけれども、たとえば三分の二という補助工事がある場合は、三分の一は向こうが負担する……。直轄工事の場合につきましては、分担金はどのくらいになりますか。同じ三分の一ですか。
  49. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 分担金につきましてはおのおの基本法がございまして河川法によりましては、直轄工事事業費全体の三分の一を地方公共団体が持つということになっております。それから補助工事につきましては、中小河川等におきまして二分の一が地方負担になっております。そういう根拠に基づいて計上してあります。
  50. 田中一

    田中一君 そうすると全然変わっていないので、どうですか、もう少しこれはどうしても危険だというような個所は、海岸法の一部改正によるところの直轄部分の分担と同じように、この河川法の河川並びに重要河川等につきましても、もう少し大幅に直轄するというような意向はありませんか。
  51. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 卑近の例といたしましては、昨年の災害等におきまして、直轄工事をやっておった所は非常にいい、あるいは近く直轄工事着手をしようという所はやられております。しかも区域に入っていないような所がやられておるような例がたくさんあるわけでありまして、それらにつきましては区域を伸ばしてやらなければならぬ、区域を直轄に入れまして、直轄施行しなければならぬというのが相当数ございます。それらにつきましては、来年度におきましても、区域を編入いたしましてやるつもりにいたしておりますから、直轄の残事業量というのはやはりふえる傾向にあるのでございます。
  52. 田中一

    田中一君 もう一点。補助工事として県が仕事をしようという個所、やはりどうしてもしなければならぬものがありながら、あるいは起債等の、金融の財源等の関係でできないような場合、そういうような申し出があったような場合には、喜んで建設省としてはそれを受けて直轄工事としてやるというような考え方に立っておるのですか。またその三十五年度予算の中には、そういう個所はありますか。
  53. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今のお話は、県が困ったら直轄で差し伸べてやれとこういうようなお話でございますが、私どもも、県ができないで放っておいてそのために災害を受けるということは非常に困るわけでございます。従いましてその工事が非常に金がかかるとか、あるいは今やっている直轄工事関係が非常に多いと、つながってやらなければいかぬというようなもの、あるいは府県が数府県にまたがるとかあるいは二県以上にまたがっておりまして、一県だけではなかなか計画が立たないというようなものにつきましては、できるだけ直轄の方に編入いたしましてやりたいというふうに考えております。まあそういうふうな方法の結果、県の方もほかの方に金が回せる、従いまして、ほかの部分のあぶない所ができるというような結果には相なってくると思います。それらを彼此勘案いたしまして、あぶない個所につきましては、できるだけ早く手が打てるように考えて参りたいというふうに考えております。
  54. 田中一

    田中一君 ではそういう申し出があった場合に、それを直轄に編入してやるという基準があると思いますからね、お示し願いたいのですよ、基準を。ということは、そういう態度で建設省はおると、これはまあ耳ざわりになったらあやまりますけれども、力のある政治家、ましてや与党の方々がこれもやれあれもやれときた場合には、一応のチェックする基準がないと、これは非常に危険だと思うのですよ。というのは、それに負けるようなあなた方の技術家としての良心じゃないと思いますけれども、しかしそういう形になっておると、一応基準をお示し願って、われわれも納得するような形のものにしていただかなきゃならぬと思うのです。そういう点で、その基準をお示し願いたいと思う。これは与党の方に耳ざわりだったらあやまります。しかしそういうことがあり得るのです。与党の方で力のある方はどうしても自分の所の選挙区はどうもいつもいいように、直轄事業に編入がずいぶんあったということになると、これは困るのですよ。そういう点の基準ですね、これをお示しおき願いたいのです。
  55. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) もちろん基準を作ってやっておりますので、お示しいたすことにいたします。
  56. 田中一

    田中一君 それね、私の言っているのは法律上の基準なんというものではないのですよ。技術的な、実際にあなたの方で編入する、した、しようとするというような条件のものの実態の基準ですよ、基準によるところの実態ですね。それをお示し願いたいというのです。  それから道路整備特会のね、ちょっと政務次官から御説明伺ったのです。どうもぴんとこないのですが、これはさっきも河川局長も言っている、地方債券で今まで出ていったもの、納入していた、前もって先借りしたものですね。地方債券、自治庁からの了承を求めて先借りして特会に持ち込んだものが、それではなぜ悪いのですか。今度は現金納入するのでしょう、今のお話ですと。今までの特会法による財源としての地方負担分を、地方債券として仕事の当初に借り入れたというのですね。財源を確保して仕事をしようということですね。今までがそうだったのでしよう。それを、ひどいのは大てい明年の四月ごろから金利を払うやつを、借りたときから金利払えということで、だいぶこの前も道路特会のときにも問題にしたでしょう。それを今度はそういう制度をやめにして、そうして現金で入れるのだという説明でしたね。なぜそうなるのですか、なぜそうしなければならないのですか。私はこれは一つ大蔵省の方の要求をうのみにしたのじゃないかという考えを持つのですがね。あなた方は、この治水特別会計を通すためにですよ、今までそういう形ならばですね、地方も割合に楽に、黙っていても借りてくれるのだから、自分の分を。起債を求めに自治庁へ日参したり、大蔵省に日参する必要ない、陳情もしなくていい、私はこれは改悪じゃないかと思う。改悪じゃないという説明一つしてもらいたいと思うのです。なぜそうしなきゃならないか。
  57. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) ただいまの、この交付公債を廃止いたしまして、一般起債に切りかえました問題の考え方根拠でございますが、これにつきましては、御案内の通り地方財政の健全化という見地から、地方団体、それから地方行政部会、地方団体側からも多年の要望でございます。と申しますのは、田中先生御存じのように、交付公債になりますると、地方団体といたしましては、分担金の納入に、別にその分担金の分が起債としてその年度地方予算に出ないわけでございまして、証書をもらいまして、その証書で納めてしまいまして、現金の出し入れが地方団体にありませんために、地方議会はそれを論議をする機会を失ってしまうわけでございます。厳密にいえば、それは、そういうことが予算の上に現われないでも、問題と気がつけばできるわけでございまするが、直接その年度予算の上に現われませんで、従って、地方予算の上に現われませんから、予算審議の際にそのことに触れない。非常にまあ地方団体としては、直轄事業地方負担がどのくらいあるかということを検討する上に、地方予算の審議をするという機会がなくなりまして、結局やはり後年度のこれは地方団体としては負債でございまするから、従って、やはりこの地方団体の何と申しまするか、負債が激増するという現在の地方団体の悩みが解消しない。しかも今申し上げたように、資金部資金を直接借りますのは、六分三厘の利子で一般的にいいものが、六分五厘、交付公債はこれはよけい払わなきゃならない。利子負担の面からも多い。そこで多年の間これは地方団体の問題になっております。まあ建設省の側から申しますれば、現金の納付でなくして証書をもらいまして、それを引き当てにして建設省の方が国から資金部資金を借りますれば、これはまあ経理の仕方は非常にやすいわけでございます。地方団体からやあやあ言うて納入させないでも、仕事はこれはできるのでありまするから、仕事の上からはむしろ従来の制度の方がいいという見方も立つのでございまするが、しかし、やはり長い目で見ますと、地方財政が健全化しなければやはり公共事業というものは円滑に参りません。そういうことで、まあ本道に戻し、一般起債に振りかえる、こういうことに建設省大蔵省も考えが一致をいたしまして、地方団体側の多年の要望が、まあこれで一部特別会計に属する分だけこれは実現したと、こういう形になっております。
  58. 田中一

    田中一君 どうもおかしな話で、まあ大沢さんは埼玉県の知事を長くしておったものだからそういう点を痛切にお感じになるかしりませんけれども、少なくとも今日の経理というものを知っておる者は、これはまあもうだれだってわかっている通りに、振替勘定の方が手間がかからないで一番いい。それが正しいのですね。地方県議会等がですよ、金のつら見なかったら金のような気がしないというようなだらしない頭で会計とか経理とか考えるから、これは考えるなんということはおかしな話なんですよ、実際。一つの銀行で出したり入ったりするやつが、その銀行で手形交換した方がどれだけ楽であって、簡易であっていいかということは明らかなんですよ。だれも、現金を一度持って行って持って来るというよりも、振替勘定でやった方がいいことは明らかなんですよ。私はそれは今までのものは非常にいいと思っておったのです。今度現金のつらを見なかったらどうも自分の金のような気がしないというようなことは、これは今日の時代には逆行しているのじゃないかと思うのです。今度の少なくとも特会ということは、特別会計を認めたということは事業をスムースにさせることが主眼なんですよ。当然政府はこの明細書のように、一切の予算というものは国会できめているのですから、これによって当然事業というものがきまれば、明らかに事業がきまれば、あなた方は地方に連絡するのは当然なんです、建設省は。自動的に振りかえる方がずっといいんです。これは経理上の後退です。私は、建設省がその方がいいというような御意見になったということは、自治庁なり大蔵省の圧力、あるいは地方選挙区からの圧力でそうなったものと考えざるを得ないのです。ことに聞き捨てにならないのは、現金納付にした方が六分三厘になって交付公債でいった場合には六分五厘というような言葉もあったようですが、これは聞き捨てになりません。やはり交付公債でもって、地方債でもって六分五厘を六分三厘にすることがなぜいけないのですか。いけないという根拠はどうなっているのですか。あなた方は納得したというけれども、建設省としては納得すべきものではなかろうと思うのですが、この点はどうなんです。そんなばかな、機械化されている今日の文明の世の中に逆行するような、現金を持たなければ金を持った気がしないというような感覚ではとんでもない話ですよ、これは。
  59. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) 田中先生のただいまの御意見でございますが、交付公債というものが、実は地方財政が非常に苦しい、たしか昭和二十九年ごろと思いましたが、八年でしたか、直轄事業分担金がどこも納められないで滞納が非常に続出してしまいました。それを何とかして解消するためにこういう便宜措置が認められたわけでございます。御案内のように、地方財政も苦しいとは言いながら、だいぶその当時からは自然増収の伸びもありまするし赤字団体も減って参りましたので、やはりこの本来の姿に戻して借りは借りと、そうして借りることのよしあしを予算の上に数字に表わして、やはりその地方議会の御審議を求める、それからしてまた国の直轄事業分担金として納むべきものはやはり歳出にして、それをその年度に計上すると、こういう本来の姿に地方財政の姿を戻していく、こういう考え方でございまするので、御意見の点は御意見として拝聴いたしまするが、そういう地方財政の何といいますか、経理の本道といいますか常道に戻す、こういう意味で今度の改革でございますか、改正を私ども是認しているわけでございます。
  60. 田中一

    田中一君 もう一つ、次の点、現金納付ならば六分三厘で……。
  61. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) これはどうも交付公債の利子を六分五厘にしなければならぬというこの理屈はこれはないと思います。交付公債のままでも六分三厘にしてもらえればそれでもできないことはないのでありますが、従来、御案内の通り地方団体が多年この交付公債の利子を一般の資金部資金の利子よりも二分高く取っていることはけしからぬというので、多年の間これを引き下げろとか、廃止しろとかいろいろやってきたわけでございますが、できなかったわけでございます。とにかく今回六分五厘が六分三厘に下がったのでございまするから、私どもはこれは非常によろしい、利子は少ない方がよろしい、かように考えておるわけでございます。
  62. 田中一

    田中一君 交付公債では利子が下げられない、現金納入ならば利子が下げられるという論拠は今の御説明では不十分です。これはしかし、今ここでもってあなた方自身、が自治庁でもなければ大蔵省でもないのだから、これはあなたの答弁は聞かないで別の機会にいたしますが、そんなものでは納得できるものじゃないのです。そこで河川局長、道路局長に伺いますが、あなた方今、大沢政務次官大沢元埼玉県知事からの地方財政の実情に対する説明もあわせて聞いたわけなんですよ。そこで、そんなにあなた方は仕事をするために急であって、地方財政の実態を考えないで仕事を押しつけるというような計画を立てているのですか。今の説明を聞くと、どうも金というものを手に入れなければ予算の審議ができないとか、あるいはあなたの方でとうてい地方負担ができない仕事をもやれといって要求しているのか、その点が明らかでないのですよ。あなた方の仕事というものは一つの県政、埼玉県政百年の大計のためにかくかくしなければならないのだ、という大道に立ってあなた方は計画を立てていると思うのです。あなた方の良心はですね。それが決して県財政を圧迫するものではないと思っているのです。それをもし圧迫するようなむちゃな計画を立てて押しつけているのが今までの計画でございますか。今度そういうことになって、交付公債でなくて現金納入しなければならなくなったという理由は、地方財政を圧迫するのだという説明がまこととするならば、あなた方はどういう形で押しつけているのですか。今までそういう話を土木課長なり知事と話し合っているのですか。そして仕事を決定しているのですか。両方から聞きます。
  63. 佐藤寛政

    政府委員佐藤寛政君) 御承知のように、道路で申しますと、御承知のように直轄事業は年々事業が増加いたしております。特に道路の傾向といたしましては、最近におきましては、都会地におきましてもそういう傾向はございますが、だんだんと事業が伸びまして、地方と申しますかにつきましてはかなり大量の道路事業を実施しなければならない、という状態になっておるわけでございます。これはもちろん道路の現況が非常に不備でございまして、一方、交通の要請もございましてこれは必要やむにやまれないところからそういうことに相なっているわけでございます。これにつきましては、年々とそういうふうに直轄事業がふえますものですから、地方負担の方もなかなか容易でないということを承っております。私どもはそういう地方事業計画いたします際には、その辺をいろいろ考慮いたしておるわけでございます。今回の地方負担関係の取り扱いの改正によりまして、一部地方負担の利子が下がるということは、これは地方にとっては非常に有利な点かと存じております。  それからまたもう一つの、従来交付公債扱いのものを現金納付にするという点につきましては、これは一面においては、地方においてもやりにくい点もあろうかと存じます。まあ、しかしながら、先ほども政務次官から御説明ございましたように、地方財政を合理化して、まあ本来ならば、地方負担でございますから地方財源をもって、そうして地方がその負担分に対して現金で納付するというのが、これが私は建前だと思います。そういう合理化の線にだんだんとやり方を移していく、地方負担もなかなか大へんでございますから、合理化にいきつつまたやりやすいように利子を下げて参るという措置が、今回講ぜられる次第でございまして、これにつきましては、私どもはそういう意味で賛意を表しているわけでございます。
  64. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 河川局関係直轄事業の問題につきましても、三十五年度は相当直轄事業が伸びて参るわけでございまして、県財政の面からいいましても、なかなかそれに応ぜられるようにするには相当の苦心を要するわけであります。従いまして、従来の方法によりますと、県の中におきましても、あらかじめ予算に組むというような方法が考えられないわけでございまして、今回の措置によりますならば、あらかじめ県においても予算の面におきまして審議できるわけでございまして、その年の予算はもちろんのこと、将来の県財政をいろいろと計画を立てていく上におきしましては、そういう方法が望ましい姿であるというふうに考えておるわけでございます。負担のできる、できないという問題につきましては、直轄事業債というようなものも認めていただくようにお願いしているわけでございますので、それらの点を勘案いたしますならば、この制度におきまして、来年度以降の事業は十分円滑に実施できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  65. 田中一

    田中一君 私は一つ一つ突っかかるような気持になってくるのですが。というのは、今まで円滑にいかないのです、今のあなたの言葉を聞くと。大体現金を持って歩き回るというよりも、手形、小切手を使って決済する方が早いのですよ。今まで円滑にいかなかったものが、これからどうして円滑にいくのですか。
  66. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 直轄事業を施行する上におきましては、従来の制度におきましても決して不都合はなかったわけでございますが、県におきまして、交付公債でやりますると、非常に後年度におきまして負債が自然にたまって参っておるというような状況で、県におきましてはその償還が、県の財政収入に比べて非常に大きくなっておるというようなことがぽつんと現われてくるような状況でございまして、これをあらかじめ県におきまして議論しておくならば、そういうふうなこつ然として出てくるような事態がないわけだということでございまして、そういう点におきましては非常に円滑に進むのではないかというふうに考えております。
  67. 田中一

    田中一君 ぽつんとくる負債じゃないのですよ。初めから事業計画を立てて事業をやれば、自分の県では幾ら負担しなければならぬかということは初めからわかっていることなんですよ。そういうような計上の仕方をしないから、ぽつんとくるような気がするのですよ。初めから法律によって仕事をすれば、交付公債というものが発行されているのだということになるわけです。ぽつんと負債がふえるなんということはない。今度の仕事はこれだけやる、お前のところは今度何億何千万の仕事がこれだけできますよと、あらかじめ承知の上で仕事をしているのでしょう、事業を遂行しているのですよ。これがぽつんと年末になって出る、そんなだらしのない経理なんということは県だってしてやしませんよ。そんなことあり得るはずがございませんよ。どうもそういう点だけでもって根拠にして改悪するということは、これはあってはならぬと思う。しいて言えばそれは感情論ですよ。今日の機械化されている時代に手形決済、証券決済、それらのものがどれくらい便利でいいかということは明らかですよ。為替決済にしてもそうですよ。一つ一つ、日本とアメリカの貿易の上におきましても、ただ単に現金で買ったものを取ったりやったりしないでプールして決済しているのです。これは総合的に全部決済しているのです、一時に。そういうことが改悪されていると思うのです。私は事業の遂行の上におきましても、建設省計画を立てた仕事が、県議会なら県議会が、その予算の面でとやかく言うからできないのだという面と、あるいはそういうものを論議しないで公共事業を行なっていこう、復旧事業を行なっていこうという上に無理があるのであって、何も交付公債を現金納付にしたからこそスムーズにいくとは考えられませんよ。私は県財政というものは知らぬけれども、県財政、地方財政というものはそんなものであるはずはないです。そんなことであれば稚拙な経理を行なっているということにならざるを得ないですよ。そういう形に今度法律改正を出しておるから、その面子上、何かあなた方は論拠を押しつけて合理化しよう、あるいはこれはいいものであるというような印象を与えようというような御努力は見受けられますけれども、これは全く私は改悪だと思うのです、そういうものよりも、簡便な間違いのない決済でもってものをすることが望ましいのですよ。これは大蔵省でないからそこまで追及しませんけれども、これは得々としてそれに賛成したということは私は考えられません。大沢さんは法律案を提案しているから、やむを得ずそういうことをおっしゃっておるかもしれませんけれども、私はやはり建設省としては相当不満があったろうと私は考えております。そんなことよりも、初めから今の通りの形で六分三厘の金利を六分にでも引き下げて、そうして交付公債でやるならもっと喜びますよ。お金の顔を見なければ自分の金のような気がしないなんというようなばかな話は、今の時代には通じませんよ。
  68. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま交付公債と、今度の公債によって負担するという二つの論議がだいぶあるようですが、実はこの交付公債の問題が数年来非常に重大な問題になりまして、再々集まりまして、交付公債はとても納入することはできないから棒引きにしてくれ、少なくとも延ばしてくれ、こういうような議論がだいぶありまして、政府当局としても相当考えた末こういうことに直したのであろうと思うのでありますが、私は一案としてこれはいいと思うのです。思うのですが、ただ心配されることは、たとえばある県に直轄河川を行なう、そうするというと納入がないならば工事をやれないというようなことになって、起債がなかなか県がしてよこさない。こういうようなことになると、工事の進捗にあるいは支障を来たすのではないか、かようなことに私は考えられるのでありますが、これらの点はいかがですか。
  69. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) ただいまの武藤委員の御質問でございますが、御案内の通り交付公債は地方団体の借金証文でございまして、手形と違いまして現金がついておらないわけであります。そこにいろいろな後年度に急に知らず知らずの間に借金がふえてしまう。こういう地方団体からの悩みがあるわけで、地方財政健全化の観点から、これは本来の常道に戻すというのが趣旨であります。ところで、ただいまこれが本道に戻したために、確かに運営が悪ければ、武藤先生の御心配のように、なかなか地方から直轄事業分担金も納まらない。納まらない以上、直轄事業本省でも着手することができないというようなおそれもあるわけであります。そこでそういうようなことをなからしめるために、現金の納付が必ずできますようにということで、今回この分としてたしか百六十億でございましたか、地方起債を余分に地方団体に認めてあるわけであります。従ってその認められました地方起債の金を、ほかの地方団体に回してしまわないで、その起債の目的に従って正当に経理をするために、これが納付ができるわけであります。建設省といたしましては、早くこの地方起債が許可されまして、そうしてその現金が地方団体を回って特会の方に入るように、これはよく事務的に連絡を密にいたしまして、ただいまのような制度を従来の本来の姿に戻したために支障を来たさないように十分やっていく、かようなつもりでおるわけでございます。
  70. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま政務次官さんの御答弁のごとく、適当にできることとは存じます。しかしながら、私はあるいは交付公債にしても、あるいは起債の方法によりましても、根本問題は同じである。こう考えるときに、地方においてはこの負債の償還に非常な難儀をしておる県が多い。そういう県はどういう県が多いかというと、比較的農村県であるとか、あるいは河川が多いが、そのために特段なるその県としての収入はない、こういう県が割合にこの交付公債が山積しておる。こういうふうなことから考えてみるというと、これは根本的に考え直さなければならぬじゃないかと私は思うのであります。というのは、昔は簡単にその地方の農村民に、あるいは都市が含まれるからなどというので河川の改修をやりましたろうが、今後の河川の改修とかあるいは治山治水というものはそういう簡単なものではなくして、根本的に国土の保全という観点から考えていかなければならぬ。そういう観点からするというと、ある県には非常な負担をさせる、また貧乏な県であっても、ある県には負担をさせる。裕福な県であっても割合に負担は少ない。こういうことは、一体国土の保全の事業としてこれは妥当であるかどうか、こういうことを私は考えなければならぬと思うのでありますが、しかしながら、本年はわれわれの最も要望するところの治山治水事業が五カ年計画によって、とにかく通過するようになるらしいのでありますから、あえてそこまで私は要求をいたしませんが、将来は当局の方はこの地元負担なんていうものは、あるならばほんとうの軽少な額にとどめて、大体はこれは国家で負担すべきではないか。少なくも直轄河川などのごときはそうしなければならぬではないか、かように私は考えるのですが、当局としてはいかようなお考えを持っておりますか。
  71. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) ただいま武藤先生の御意見まことにごもっともと存じます。私どもといたしましても、まあ理想といたしましては、建設省の立場から申しまして、国の財政が余裕ができまして、直轄事業はもうむしろ全額に近い国庫の負担でできる、地方分担金を課さないでもできるというふうに一日も早くなりまして、そうして国土保全建設の国の責任を遂行して参れればと願っておるわけでございます。明年度のこの治水特会初め治水五カ年計画、道路整備計画、いろいろと公共事業負担も非常に増す際でございます。ことに治水におきまして、大幅に事業予算が増しまするので、私どもとしては、せめて道路特会の線まで治水事業に対しまする国のこの負担金を増す、地方負担を減らすという線で、実はその予算の要求の最後まで非常な努力をいたしたのでございます。しかしながら、どうしても今年度におきましては、これが国の財政その他から見合わせざるを得ない最後の段階になりまして、そこで自治庁とも実は連絡をいたしまして、この国の負担率の引き上げという問題は、この特定地域の開発に対しまする国の負担率を引き上げるということに最後の要求は変えて、さらにがんばりまして努力をしたのでありまするが、ついにこの予算におきましてはその実現を見ずに、前年度と同様な負担率で行なわなければならない。ただし今の交付公債の切りかえ分については、所要額の八割を新たに起債をふやし、二割は交付税の算定基準に入れる、そうして地方負担はそのために増すことのないようにする。利子の軽減分だけは従って地方負担分が減るということになると思いますが、そういうことになったわけでございまするが、将来の問題といたしましては、ただいま先生の御意見の線に沿うて、私どももさらに努力を継続しなければならぬ、かように考えている次第でございます。
  72. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま政務次官お話、ごもっともでありまするが、ただいま私申し上げました一例をいうと、非常に交付公債が山積している県というのは茨城県などが多いようであります。しかしながら茨城県は、現在内閣が目途としているところの所得の倍増という点から考えてみるというと、茨城県に対して、利根川の水域が何ら影響がない、こういうふうなことになっております。今後はこの農村民を何とか種々なる方面から所得の倍増にまで持っていかなくちゃならぬと思うので、これは建設委員会で論ずるのは何ですが、やはり建設委員会としてもそういう面を一つ考慮に入れて、少なくもそういう地方の農民の負担というものは軽減して参らなくちゃならぬじゃないか。全国一の今交付公債の多い県であります。三十一億かありますね。こういう公債を一体いつになって返されるのであるかわからない。かような状態にあるということは、如実に地元負担であるとか、あるいは交付公債であるとか、あるいは起債にしても、そういう負担が不合理であるということが私は考えられると思うのであります。かような意味から、どうか建設当局においても、最も地方の重大な仕事をしているところの建設省でありますから、そういう根本的な面を今後打ち出して、そうしてこれを内閣に反映さしてもらいたい、かようなことを私は希望している次第でございます。別に答弁は要りません。
  73. 田中一

    田中一君 武藤さんから大へんいい話を聞いたので、ロッキード何機ですぐ三十五億消えちゃう、そういう御発言だと了解して非常に賛意を表します。  そこで、先ほど政務次官は、今回こういう措置を、法律改正をするから、百六十何億というものを起債としてワクをとってあると言っています。従来この交付公債制でやった場合にも、同じように国家資金からやって、それを振りかえて起債の面に充当しているんですよ。どうもお言葉の中にも、今回これを法律改正をするから、そういう形でもって、起債のワクを百六十何億をとったというような印象を与える御発言は、われわれをだますものです。従来からあるんですよ。あるからこそ支出されている。そういう百六十何億というものをあらためてワクを設定したわけじゃないんですよ。前々からあるんですよ、ワクは当然……。われわれは、特会法というものに賛意を表するのは、従来道路整備五カ年計画以来、事業をスムーズに遂行するために、事業費そのものを全額ワクを抑えて、間違いのない計画のもとに仕事をしようというところにねらいがあるのであって、もしそのように、地方地方の自主性でもって、むろん自主性は尊重しなければなりませんけれども、一つ計画、長期計画、短期でもそうですが、普通の計画というものを遂行するには財源等の裏づけが固くなければならぬということは、あなた方が今までの特会法を出すたびにそれのみを強弁してきているんです。何といっても財源というものを、たとえば道路整備五カ年計画というものも五カ年にする必要はない、年度別に、単年度でもかまわないんですが、五カ年計画というものを遂行するには、財源の確保ということが一番大事なことなんです。私ども、ダム特別会計にいたしましても、道路整備特別会計にいたしましても、事業の円満な遂行ということは至難であったというようにあなた方も説明しておるのですよ。今度百六十何億という地方負担分が、むろんこれは地方議会の承認を得てなされるのは当然でありましょうけれども、少なくとも事業そのものを地方議会が認めたならば、それに対する負担分というものが当然つくことは明らかなんです。それが今武藤委員が言っているように、障害となって計画がおくれるようなことがあっちゃならないのですよ。従って私は、この制度というものは、事業遂行の面から見るならば一歩後退です。仕事をして、その金を自分が払わぬでいいという考えでもっているわけじゃない。必ずそれは借金なら借金あるいは起債なら起債の面でもって自分負担分として調弁されていくというのが前提なんです。従って先ほど政務次官が言っているように、今度こういう制度になったから新たに百六十何億のワクが設定されたのじゃない。従来やっております仕事というものが、地方負担分を国が一ぺん出して、それが振りかえでもって起債の、地方債券としてそれが計上されると、これはおそらく通達もされているに違いありません。結局この県はこれだけ出したということになっているのだと思うのです。従来はどうやっておったのですか。あらためて百六十何億というものが、この特別会計に関する負担金が設定されたのか、従来はそういうものがなくて、何にも連絡なくして、勝手に建設省計画を立て仕事をする場合に、自動的に借金証書を作り、地方に了解なしに事業をやったのかということを事業の面で伺ったのですが、そうではないと言っているのですよ。そうするとおのずから起債という借金が残るということは承知のはずだと思うのです。それをことさらに言葉を強めて、今回は百六十何億の地方起債のワクを設定いたしましたというならば、従来はどういう仕方をしておったのか、伺っておきたいと思います。
  74. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) 交付公債で従来処理しておりました地方負担分につきましては、別にそのための起債というものはワクの割当が従来なかったわけでございます。交付公債は、要するに負担金の分割払いを国が認め、その年々の分割払いを、現金でなしに証書の納付で認めておったわけでございまして、従ってそれにつきましては国の方から別に起債のワク、あるいは割当というようなものはなかったわけでございます。今回は百六十億、負担金の分の八割に相当いたしますが、これを新たに地方債のワクにプラスをいたしました。二割は交付税の配分基準で見るということになりました。
  75. 田中一

    田中一君 そうすると今まで三十四年度までやっている特別会計の金は、一般財源から予算に計上して支出しておったのですか、私はそうじゃないと思うのです。やはり交付公債を当てにしてやったものだと私は考えるのですが、その点はどうですか。
  76. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) この分は地方団体からくるのでなくて、その相当額を資金部から借りておったということでございます。
  77. 田中一

    田中一君 わかっておりますよ。どこから金が出ようと事業は遂行されているのですから、その分は資金部資金から起債の形でもってこちらへ入るのだという計算のもとにやったと思う。むろん借金として先に借りるのですから、たしかダム会計もそうでしょう。先に地方負担分は借りておいて、そうして事業計画の中の財源として仕事を進めていくのが今までの現状です。借りたという金は、その該当する府県の借金となるような形でやっておったのです。ワクを作ろうが作るまいが、新たに百六十億の起債と、それから二〇%の交付税で調弁するという形も、資金部資金から一応金を出してもらって建設の方は仕事をする。その金というのは当該府県の交付公債になることは間違いないのですよ。従ってそのワクというものは、資金部資金の操作の上のワクというものはあったと私は理解しているのですが、その点は違うのですか。
  78. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) 国といたしましては、それは確かにそれだけの分の金があったわけであります。しかしもとより地方分担金は、国がこれは負担するのでなくて、地方団体が負担すべきものであります。地方団体がみずからの歳入から出すべきものなんであります。その歳入から出すべき地方団体の金がないために、借金証文でかんべんする、将来の分割払いを認めるというのが、この交付公債の制度でございます。で建設省特別会計の方では、直接に地方団体を通らずに、国からその交付公債によって借入金をいたしまして、そうしてまかなう。将来償還年次に従って、地方団体が自己の歳入からそれを国の方に返していくということになっておるわけであります。
  79. 田中一

    田中一君 地方負担が八〇%なら、じかに交付公債で八〇%を国が吸い上げて、資金部から借りて、それを地方に振りかえて仕事をするのも、起債のワクから地方に金を渡して、それをまた納付するのも同じことなんです。ちっともその点、手続方法が違うだけでもって、実質的に地方負担分の仕事も含めた金で仕事をするのだということでもって、ちっとも変わっていないと思うのですが、その点変わっているのですか、官房長に説明を求めるが、違うのですか。
  80. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 先ほど来政務次官からるる御説明がありました通りでございますが、この交付公債による地方負担金の制度は、すでに御説明がありましたように、直接地方公共団体歳出予算に計上されないために、つまり借金の証文を国に納入させて取り扱う。で一方の方の起債は、初めから直接地方公共団体予算に計上される、そこの違いがあると思います。そこで直接の借金、間接的な借金と、こういう違いがあると思うので、これはやはり本質的な違いになっていると思います。単なる手続の違いということでなしに。そこで今回は、交付公債による制度を、納入負担金の制度を廃止しましたかわりに、交付団体につきましては、先ほど来お話しのように、平均いたしまして八割の相当額百六十億の起債を新たに認める、こういうことになった次第でございまして、その他は交付税の算定で考えるということでございます。
  81. 田中一

    田中一君 今度の法律が、起債をしてもらわないでも、自分の地元で調弁される財源がございますという改正ならば、これは私はいいと思うのです。これは何か自動的に一々借金しないでもけっこうだ、私どもの方には財源がございますから要りませんというねらいのもとの改正ならばいいと思うのですが、同じ形の起債というワクの中で、資金部資金の中で調弁しようということなんでしょう。結局起債で調弁しようというのでしょう。起債でやるのも、地方債券も同じことですよ、交付公債も。これが、自分の方は借りないでいいのだ、現金で自分の方で財源を持っておりますからやりますということでなく、同じ形式のものならば、私は改悪だと思うのです。そういう起債を受けないでも、現金で自分で入れることができますという府県が一府県でもあるならば、そのために改正するならば、これは賛成いたします。しかし、自分たちの地方団体でも、東京都ですら、東京都などは点字財政だから起債は認めないと言いながらも、かつて五、六年前には住宅予算十一、二億のものを認めた例もあります。これは金を、自分財源を見つけてくるよりも、金を貸してやった方が、地方長官としてはその方がいいのです、同じことなんですから。それは一ぺんに払う金と年賦で払う金とは非常に金の性質が違うわけですよ。なお金利が安ければ問題じゃないわけですよ、金利が安ければ、その金利が……。だから形としては同じことですよ、結局。金の出どこと金の跡始末というものはね。あとでもって地方公共団体が起債をもらって借金証書を入れるのと、こちらから自動的にその仕事というものをしてもらいたいのだ、して下さい、しましょうという約束でもって、地方公共団体と約束して仕事をして、それが自動的に交付公債になるということも同じことですよ。形式や手続が違うということはあるかもしれませんけれども。先ほどの説明を聞くと、地方では、今官房長も言っているように、その顔を見ないと——金がこないで借金証書だけだから予算に計上できないという、そのことこそ問題があるんじゃないかと思うのです。自動的にこっちで使ってしまうのだ、負担分を……。だからそれが地方財政予算の中に入らないということこそ問題があると思うのですよ。私はそういう理解を持っているのですが、そもそも、これは大沢政務次官も官房長も見て下さい。道路整備特会法にしても、ダム特会法にしても、われわれが国会でどういう熱意をもって、公共事業をスムーズに進めるかという問題だけでもって論議をし尽くしているのですよ。耳に新しいことです、まだ。われわれは、だからこそそういうことをしつこく、同僚議員にも迷惑な話だろうけれども、その問題点を明らかにしたいから質問をしているのですよ。あなた方も読んで下さい。政府は何という答弁をしているか、そうして地方財政の上から見て、一つの府県でもけっこうです、われわれ起債に負わなくても、自分の自己資金でできますから、それは現金で払えますというケースになったならば、この法律改正はよろしいでありましょう。同じような形の借金をする証書なるものならば、何も現金送ったりこっちへやったり、あるいは場合によって建設省の道路事業にしても、それは不満だ、不服だといって、金の面で押えられたりしたのでは、われわれのねらっている事業の完全な迅速な、計画性ある事業の遂行ということははばまれるという危険を感ずる。それは今、武藤委員のおっしゃったことと同じです。われわれが特会法に賛成した趣旨はそこにあったのです。むろん当時の状況というものが、地方財政が非常に貧困な状態にあった府県もあったのです。そういう方々にも同じように事業だけは進めよう、どうしても、金があるとかないとかいう問題よりも、その公共事業なり災害復旧なりは当然しなければならぬのだから進めていこう。道路整備を進めていこうというところにねらいがあったのだから、どこまでもこのウエートというものは、計画性ある事業を遂行しようというところに主眼があったので、借金証書が自分のところへこないから予算に計上できないということこそ問題があろうと私は考えるのですよ。従ってこれは大蔵委員会の方の問題だから、いずれ連合委員会等でも論議されると思いますけれども、この点に対して建設省は完全な賛意を表してこれをやったということにはどうしても受け取れないのです。あなた方の前の局長なり大臣なり政務次官なりが、どういう答弁をしているかということをよくお調べになって御答弁願いたいのです。同じ自民党の内閣の中でもってそういう解釈とかねらいの違いがあってはならぬのです。勉強してきて下さい。
  82. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) もう一点申し上げておきますが、ただいま田中先生の御意見の中で、従来の交付公債による納入制度と方法手続だけが違うじゃないかというような御意見でございまするが、またその御意見の中にお話がございました点で、借金証書を国に納めるという場合に、公共団体の歳出予算に計上されない、これがお話のように問題でございます。この問題を、今度の切りかえによって、正式に地方団体の予算に計上するということになることのほかに、御意見ございました実質的な変更の点といたしましては、まず交付団体は、先ほど申しあげましたように起債を百六十億認めておりますが、二〇%につきましては現金納付という形になる、これが違ってきます。交付税の算定の問題は裏にございますけれども、現金納付になる。
  83. 田中一

    田中一君 それは交付金でしょう。
  84. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 算定は裏にございますが、制度としては直接現金納付、二〇%分は現金納付になるということが一点と、それから不交付団体につきましては全部現金納付になる、こういうことでございまして、この辺が従来の制度と実質的に違う点であると申せると思うのでございます。
  85. 田中一

    田中一君 そうすると何ですか、現金納付ということは、それは起債の借入金をしないで、自分で払えるんだということが前提になっているんですか。
  86. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) おっしゃる通りでございます。
  87. 田中一

    田中一君 そういう点ならば、その面だけは賛成でございます。それは当然起債を受けなくても、自分で自己調弁できるというもののためにこれを改正するというなら、その趣旨が通りますけれども、先ほどの大沢政務次官━━僕も法律を詳しく読んでありませんけれども、まだ。しかし概念的に、われわれが公共事業をスムーズに進めるんだという前提に立って特会法を認めているわけですから、ですからそういうものが含まれるなら含まれるという説明をしてもらえば、その面だけは了解できるんですけれども、そうでないものはやっぱり従来通り方法でやった方がいいのではないかと思うんですよ。私はそう思うんですよ。そういう面はそれでいいと思いますね。法律改正してもいいけれども、従来通り同じように起債に待つというものならば、二〇%現金納付してもかまいません。あとの八〇%は振りかえてやつたって一向差しつかえないと思う。そういうように法律を変えるならば、これは納得できますけれども、一ぺん向こうへ持っていって、それをまた払ってもらうんだというような考え方は改悪ですよ。これはいずれ大蔵委員会でもって論議されるでしょうけれども、少なくともわれわれが特会法に賛成するという趣旨はそこにあったということを、政府もそういう答弁をしているということを、あなた方知ってもらわなければ困る。それが少しでも障害があってはなりません。
  88. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに御質問がなければ、関係予算について政府委員に対する質疑を行ないたいと思いますが、なお、河川局関係の件につきましては、次回に治山治水緊急措置法案説明を聞いた後に行なうことにいたしたいと存じますので、御了承願います。  それでは御質疑の方は御発言を願います。
  89. 米田正文

    ○米田正文君 ちょっと関連ですけれども、この治水特別会計の問題ですが、収入をここにあげておるのは、一から四までありますね、治水勘定ではこういう費用経費をもって歳出とすると書いてあるんですが、特別会計になったんだから、この際、こういう純然たる治水工事経費だけでなくて、一般的に河川からあがる収入を研究をして、これに計上できるような制度にするのが、今日の情勢では適当じゃないかと思う。たとえば港湾なんというのは、港湾の事業は今特別会計になって、埋め立てをやって、そうして港湾の工事と一緒になって土地を造成しておる、土地を売るというような制度をすでに作っておるんですね。そこでやはり治水特別会計を作ったこの機会に、この制度にいくような強い意欲を持ってもらいたいと僕は思うんですよ。で、河川にも生産物もあれば、あるいは新しく土地を造成するというようなこともできるんだから、そういう制度をこの際意欲的にやってもらう必要があるんじゃないか。そうすることが今後の治水事業をまた発展させる一つ方法でもある。私はかねてからそう思っておるんですがね、そういう点の研究の経過なりがあったら一つ説明を願いたい。
  90. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点につきましては、いろいろと私どもといたしましては、研究をいたしたわけでございますが、本法案提出いたしますまでに確定した成案が得られませんので、この治水特別会計事業といたしましては、土地の造成事業なり、あるいは生産物につきまして国が積極的に費用を投じまして、しかも収入をあげて治水財源にしようというふうなことを、いろいろ研究いたしたのでございますが、現在までに、まだ確信ある成案を得ることができしませんので、本法案提出いたすまでに間に合わなかったわけでございます。  御承知のように、河川の沿岸におきましては、河川を改修いたしまするならば、河川の廃川等も生じてくるわけでございまして、それらのものを積極的に使えるような土地にいたしまして、河川事業等も一緒に行なって、それらを積極的に利用度を上げて、しかも収入をあげるような方法をいろいろ研究いたしております。現在までの調べによりますと、相当程度あると考えておりますけれども、これを具体的に河川事業と関連をつけまして、的確に事業を実施して参るようなことになりませんと、この法律の中に入れて実施するという確信は得られませんので、それらの点を、今後におきましては十分研究をいたしまして、しっかりした年次計画なり、あるいは事業費、あるいは売却値段等の問題におきまして、十分研究をいたしまして、今後そういうふうな事業も、この特別会計でできるようなことに考えてみたいというふうに考えております。
  91. 米田正文

    ○米田正文君 それは、地方公共団体との調整等の問題も起きてくるだろうと思うのですね。そういう問題は、一つ至急に研究をして成案をお願いしたいのです。  それは、こういう事業を今後進めていくと、先ほどから田中委員も長々と質問したんですが、結局は、地方公共団体負担力が確かに問題になってくると思う。そういう負担力軽減の一つ方法としても、できるだけ別の収入をあげて、なるべく地方負担というものを軽くしていくというような方法をとらざるを得ぬだろうと思う。  現在、いろいろな研究はあるかとも思うが、建設省としては、地方負担の問題は、どういうふうに今後の処置を考えようとしておるか、これは、官房長でもいいです。
  92. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 先ほど政務次官からもお答えがございましたように、今回の治水特別会計の創設に当たりまして、治水事業の国の負担力の引き上げということを、先生御承知のように意図しておりましたけれども、国家財政の現状にかんがみ、これは取りやめて、むしろ地方団体の財政力を地方団体ごとに検討いたしまして、財政力の非常に弱い困難なところについて特別な、特例的な負担率を考えたらどうかという地方自治庁の意向もございまして、そういう方向で考えていくことが妥当ではないかということを、予算編成の末期に大蔵省にも要望いたしまして、現行の負担率に相なったような次第でございますが、そこで目下、地方自治庁が主管でございますので、自治庁が中心になりまして、地方団体の財政力が弱い、どちらかと申しますと、後進的な地方の分に限りまして、治水事業に限らず、一般公共事業全体について、国の方の負担事を引き上げる、あるいは補助率を引き上げるという特例的な法案を準備して、今検討しているようでございます。  これにつきましては、建設省といたしましても、賛意を表しているような次第でございまして、やはりそういう方向で、地方財政全体を考えていくべきではないかというふうに考えております。
  93. 米田正文

    ○米田正文君 それは、僕がそういう意味は、やはり国民所得を十カ年計画で倍増しようというのが、今の一つの、政府の政策の大きい柱になっている。  そうすると、それにはやはり国土開発という問題が、基盤になると思うのです。工場を持ってくるにも道路がなければいけないし、また洪水のある所に工場もできないのであって、そういう国土の整備をしていくということは、国民所得倍増論の基本になるべきものだと私は思うのです。  そこで、そういうように進んでいるのに、今の地方負担能力のために、負担能力があるところだけ仕事をやるというような結果になるというと、おくれる県は、ますますおくれてくるという結果になるからして、今の考えられているという、まあ極端にいえば赤字県だが、赤字県の救済、あるいは赤字県に、この公共事業負担能力をどう付与するかという問題は、私は喫緊の問題だと思うのです。建設省もーー自治庁もやっているようですが、建設省も、一つ積極的に成案を得るように進めてもらいたい。  政務次官一つこの点、御所見をお伺いいたします。
  94. 大沢雄一

    政府委員大沢雄一君) ただいま米田先生の御質問でございますが、私といたしましては、先ほど武藤委員の御質問に対しまして、一たんお答えを申し上げましたが、ただいま官房長からの答弁がございました通り、今自治庁におきまして、後進地域の建設事業に対しまして、特別に国の負担率を引き上げまして、そうして開発の円滑な進行と、いわゆる地域差をなくするという考え方で、せっかくいろいろ案を練っておりまするのでございます。  これにつきましては、建設省といたしましても、心から賛意を表しまして、ともにその実現に対しまして、目下のところ財政当局等で、いろいろな反対があるようでございますが、何とか近い将来におきまして、これが実現ができますように努力をいたしまして、そうして建設事業の円滑な遂行と責任を果たしたい、かように考えております。
  95. 田上松衞

    田上松衞君 さっき私、この会計法案の十条の第三項についてお伺いしておいたのですが、ところが山木さんが、大蔵省がどういう考えで出しているかということを確かめてからというお答えだったのですが、お伺いいたします。
  96. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この点につきましては、十条全体の問題と関連いたしますので、御説明申し上げたいと思いますが、建設大臣は毎会計年度歳入歳出予定計算書繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書を大蔵大臣提出いたしまして、それを政府全体といたしまして、閣議決定をいたしまして、国会提出いたすわけでございますが、建設大臣が大蔵大臣提出する書類につけて、こういうものを出しなさい、こういう規定でございまして、建設大臣が大蔵大臣に出す場合に添付する書類が、二項、三項に書いてございますわけでございます。  そうして二項は、「前項の歳入歳出予定計算書等には、次に掲げる書類を添附しなければならない。」ということでございまして、前々年度事業の実績表並びに、前年度及び当該年度事業計画表ということでございまして、前々年度事業の実績と前年度の実績が出るわけでございまして、それから当該年度事業計画表でございます。それらをつけて出しなさいということでございます。第二号は、国市債務負担行為につきまして、これは当年度以降にまたがる契約をしようという場合に、国庫債務負担行為の御承認をいただくわけでございますが、翌年度以降にわたるものについては、その前の年までの支出額及び支出額の見込みをつけて出しなさい。それから当該年度以後の支出予定額を出しなさい。それから数会計年度にわたる事業につきましては、その全体の計画と、進行状況のわかるような調書を出しなさいということが書いてあるわけでございます。  三項は、ダムについては、特にもう少し、項目別に分けて出しなさいということが書いてあるわけでございまして、前項の各号の書類のうち、ダムにつきましては工事別等区分に従って出しなさいということでございます。「ただし、当該年度」というのは、その要求する年の事業計画は、個所別区分することが困難な場合には、そうしなくてもよろしいという規定でございます。ただ決算等におきましては、あとの方に出て参りまする決算の調書等におきましては、事項別にしなければいかぬのでございますが、この場合は、事業計画でございますので、個所別区分するのが原則であるけれども、それができない場合には、一括したものでも、決算のときに項目別にすれば、会計上困らないから、こういうふうな処置もよろしいということをお定めいただきたいという趣旨でございます。
  97. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 大臣が来ましたから、すぐ総括質問に入りたいと思います。
  98. 田上松衞

    田上松衞君 それでは、これはまたあとで。まだ納得できません。   —————————————
  99. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ただいま建設大臣見えましたので、関係予算についての総括質疑を行ないたいと思います。御質疑のある方は、御発言を願います。
  100. 田上松衞

    田上松衞君 時間が相当過ぎてしまっていますが、若干時間をいただかなければならぬと思うので、お許しいただきたいと思います。  まず、土地問題に対しての政府の御所見を伺っておきたいわけなんです。その中で、土地の取得に対する施策について、以下実例を引きながら、二、三の点についてお伺いいたしたいと思います。  熊本県の筑後川の上流に建設される多目的ダムのことでありますが、下筌ダムというのですか。その用地取得に関する進行状況と、今後の見通しについて詳しく一つ説明をいただきたい。  このことは、単に下筌ダムそのものについての関心だけではなくて、このダムに関して巻き起こっている騒動が、今後この種の事業はもちろん、すべての用地取得に波及、影響することがあまりにも大きいのではないか、もっとつけ加えて言うならば、国土開発事業の上に及ぼす支障が大きいだろう、こういうことを憂慮するから、あえて質問するわけなんです。
  101. 村上勇

    ○国務大臣村上勇君) 用地取得につきまして御質問でありますが、特に熊本県の地籍で今回建設しようとする下筌ダムの用地問題につきましての御質問でありますが、御承知のように、下筌ダム━━その下流に松原ダムというのがございますが、これは大分県の地籍になっております。この方の用地問題は、大体話が順調に進んで参っておるのでありますけれども、下筌ダムにつきましては、いまだに何らの端緒を得ることができないことは、まことに遺憾であります。  この二つダムの用途につきましては、もとより多目的ダムでありますが、その重要性と申しますか、重要度につきましては、すでに二十八年のあの戦後未曾有の大災害の際に、ほとんど筑後川の沿線一帯が大はんらんいたしまして、多数の人命と、多くの田畑あるいは家屋その他も、ほとんど惨状目も当てられないような大被害を受けたのであります。そういうようなことから、建設省におきまして、どうしても多目的ダムを作らなければならないというような方針で、いろいろとその実地踏査をいたしてきたのでございますが、当時私も、まあできる限り水没家屋のできるようなダムについては、私どもも、個人的には反対だという考え方でありまして、できる限り砂防でもやったならば、何とかダムを作らぬでも済むじゃないかという意見も、これはしろうと意見でありますけれども、そういう意見も申しまして、徹頭徹尾ダムについては、万やむを得ない場合のほかは、なるたけ水没家屋を作らないで、いわゆる犠牲者の出ないようにということに考えて参つたのであります。  しかしながら、いろいろと科学的に調査した結果、何としても二十八年のあの大災害にかんがみまして、どうしてもダムを作らなければいかぬというような結論に達しましたので、そのダムのいよいよ計画にとりかかる、いよいよ実施の段階になった次第でありますが、その際に、ただいま申しました下筌ダム関係者、そう大ぜいではないのでございますけれども、その反対が、単なる反対でなくて、測量器も何も、建設省の測量隊員等を、その土地に入れない。もしも入ってくるならば、どういうまあ妨害をしてでも、測量をさせない、入ることを阻止するためには、あるいは暴力というような問題も起きてくるのじゃないかということを私ども憂慮いたしまして、あれこれとずいぶん手を尽して参っております。下流のいわゆる久留米市の市長杉本君も、あるいはまた地元の各代議士の方も、また熊本県知事、たれかれと、ずいぶんいろいろと説得に参ったのでありますが、一、二の人を除く限り、ほとんど面会謝絶、そうして、まあ一つのとりでを作って、そうして、これは本人たちが呼んでいるわけではないでしょうが、地方の人は、千早城だとか蜂の巣城というようなことを言って、非常にしかけが、はなやかなしかけをして、測量隊の入場を拒んでいるということであります。  詳細な問題につきましては、私昨日でしたか、地方新聞で拝見しましたが、社会党さんにおきましても、その現地の実際を調査のために、せっかく熱心な幾人か調査に行っていただいたそうでありますが、その結論は承知いたしておりませんけれども、せっかく調査をして下さっており、各方面から、建設省に対するいろいろと御注意やら、あるいは御声援をいただいておるのでありますが、私どもとしましては、決して個人の財産権というようなものは、これを無視していかないし、また私自分自身が考えても、先祖伝来のその土地を水没させる、家屋を水没させるということについては、全くもう何と申していいか、そこには、ものの力では割り切れない愛着というものがあるということは、十分承知いたしておりますが、さらばと申して下流何十万という筑後川沿岸の人たちの生命、財産というものが不安である、必ず私は何年に一回かは、ああいう二十八年のような大水害に見舞われるというようなことになりますれば、五、六十人の人の気持に沿わないからといって何十万という人の生命、財産を危険にさらすということは、これはまた建設省としては、とるべきことじゃないじゃないか。かようなことで、いろいろとやりたくない立ち入り等の正式の手続き等もとっておりますが、しかし、これらの詳細につきましては、河川局長からお話し申し上げ、お答えすることにいたしまして、私は、大体においてそういうような、今対峙しておる形でありまして、これをいつ出そうというようなことについては、まだ目下検討いたしておるところであります。
  102. 田上松衞

    田上松衞君 このダム建設の必要性、しかも緊急性、こういうことについては、全く大臣と同感であります。一刻も早く、この解決ができるように心の中で期待しておるわけです。  ただ、ここまでに事態が悪化してしまったというその動機ですか、原因といいますか、そういうものの中で考えられる点は、とにかく手を焼いてしまったところの建設省の役人たちが、まあこれを突破する手段と申しますか、そのために用いてしまったところの土地收用法適用、これをたてにして、地質試験の名目で一町五反程度を収用してしまった。そこでこの行為をみて、いよいよ戸数六十七戸、人目二百人あまりと言われておりますけれども、こういう平和な部落に対して、官僚政治の宣戦布告だと先方は受け取ったことに、非常に問題があるということも考えられるわけなんですが、これについて、やはり何か考え直さなければならぬということは、どうなんですか、率直に言って。
  103. 村上勇

    ○国務大臣村上勇君) ただいま先生の、その御指摘になりました点につきましては、私は承知いたしておりませんが、もしも建設省の出先の者が、そういう無謀な圧力的なことで、これによって御本人たちの気持が、それに対して今日のような措置をとっておるというようなことでありましたならば、それはもう私自身乗り込んで行ってまで、そういうことであれば、御理解のいくようにおわびもすれば、どういう説得でもして、このダム建設のためには、どういうことでも私はいたしたいと思いますが、私の聞き及んでいるところでは、そういうことでないようでございますけれども、一つ局長から、ちょっとその間の御説明を申し上げさしたいと思います。
  104. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいまの問題でございますが、われわれといたしましては、ダムの築造に当りましてそのために水没を受けます方々につきましては、十分そのダムを作らなければならぬ理由なりは御納得をいただくと同時に、地元の方々が、それによりまして迷惑を受ける点につきましては、十分なる処置をいたさなければならぬということを考えておるわけでございまして、それにつきましては、やはり地元の関係者とじっくり御相談を申し上げる機会を作りまして、こちらで申し上げることも十分申し上げるし、地元の関係者の方々がおっしゃることにつきましては、十分お聞きいたしまして、従来と同じように十分御納得のいくような態勢におきまして、合意の上、土地も提供していただく、あるいは住家も移していただくというような措置にいたしますことが一番いいわけでございまして、そのためにつきましては、地方建設局におきましても、十分な努力をいたしているわけでございますが、ただ、今先生のおっしゃったような観点から、地元の方が誤解をしているのじゃないかというふうにも考えられるのでございますが、建設省は、すぐ土地收用法をたてにとって、話し合いというようなことでなくて、権柄ずくでやるというふうな考えのもとに、ああいうふうな抵抗を試みておられるというふうなことも私は考えられるわけであります。  今後におきましては、十分それらの点の誤解を解くように努力をいたしましてお話の機会を作っていただくようになれば、非常にスムーズに進められるのじゃないかというふうに考えております。  従来、そういうふうな努力が足りなかったのじゃないかというようなお話もございますが、地方建設局といたしましては、役所といたしまして、やるだけの努力はいたしたと、こういうことを申しておりますし、また関係者も、しばしば訪れましてお会いをお願いいたし、実情をお伺いいたそうという努力は試みていただいておりますけれども、何かの行き違いでお会いできないというような今実情でございます。今後におきましても何とかして一つ向こうの誤解を解き、またお話もしていただく機会を作ることができますならば、この問題の解決に非常に前進が得られるというふうに考えておるわけでございます。  土地收用法等の手続きにつきましては、これはもうほかの地域におきましても、そういうふうな方法はとっておるわけでございまして、土地收用法を適用いたしましても、これは公正妥当なる線を、もし話し合いのできないときには、そういう正式の機関におかけいただきたいというふうな考えでおりますので、別に初めから、それでやろうというふうな考えを持っているわけではございませんので、さよう御了承いただきたいと思う次第でございます。
  105. 田上松衞

    田上松衞君 前段の建設大臣の御苦心は、そうと察知できるわけです。推察できます。ただ山本局長は、当面これに当たっておられる立場だと思うのにかかわらず、あまりにも問題を軽く見ておられるようなふうに受けとれてしまう。お話のような方法でいくならば、解決できる場合もある━━これは、あくまでああいう問題でない場合に考えられる手だと思うのです。  私が聞き及んでいる現在の段階というものは、大体、名前を言ってはまことに、これは不謹慎かもしれないけれども、この強硬な抵抗、闘争を続けている指導者といいますか、中心人物、この室原とかいう人は、地元の小国町ですか、そこにおきまするところの相当の名望家であるということです。大学も出ておるし、学識といい教養といい徳望といい、実にすぐれた人だという立場が問題だと見ておるのですが、こういう立場であって、しかも公の仕事についても、町会議員もやったし、公安委員長もやった、こういうようなことで、年令だって六十二ですか、決していいかげんなこと、全学連の立場なんかとは、おのずから違って、しっかりしておる。分別過ぎるほど分別されておる人だ。これが、建設省が打った手を、次々と非常に巧妙に使いわけまして、逆手を打っておるという立場、こう聞いておるわけです。  建設大臣のさっきのお言葉のように、全く全然面会することすらできない。どんな手を打ってみても、あるいはお話にありましたように、代議士やその他の知事、あるいは有力者等を通じてやっても、てんで受けつけない。話し合いなんというのは、できるような状態ではないと、こう聞き及んでおりますが、もしそうだとすれば、これに対処する手は、ただ漫然と山本さんのおっしゃるようなことでは、とてもじゃないが、これは見込みがつかぬのじゃないか。  私は、初めからお断わりしましたように、この場では、もう率直に誠意を持って、たとえ言い回しの上や言葉の上に、いわゆる若干のそつがあるとしても、そんなことは、われわれはあげ足をとるようなことをする態度ではないのですから、腹の底からの考えておられる対策というものを、もしあれば話してもらいたい。
  106. 村上勇

    ○国務大臣村上勇君) ちょっと速記をとめていただきたいと思います。
  107. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記をとめて。    〔速記中止
  108. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記を始めて下さい。
  109. 田上松衞

    田上松衞君 よく打ちあけて下さって非常に感ずるところがありますが、まあただ、いろいろな手を打ってそうして最後に、大臣みずからがというような、順序の問題、そういう工合に受け取ったのですが、私は、それは逆だと思っているのです。  ちょっと口幅つたいことを申し上げますけれども、ずっと以前に、神奈川県の与瀬のダムを構築した際、当時私は県会で、まあ県民代表の立場で、あの交渉団の団長の立場で、当時の半井清知事と一緒にやった経験を持っております。物事というものは、いろいろな手を回して、ああでも、こうでもするかという、相手を商人扱いにすることは、そこに門違いがあると思っているのです。特に先ほど申し上げました、指導者が、こういう人であるだけに、なおその感じを深くする。私どもがやったときには、田上のやつが今度来たらば、いよいよぶち殺してしまうのだということで、二百数十名に取り囲まれてやったことすらあります。一週間泊まり込んで、誠意をもってやった結果が——ちょうどこれと同じような戸数五十何戸が水底に沈むという、あれは問題だったのですが——これを利用さしてもらって、ついに成功したわけなんです。  こういうようなことを考えてみますと、この問題は、よっぽど大臣みずからが、むしろ、お忙しいことだけれども、全力を打ち込んで、順序を変えてやることがどうだろうかという気がして、御参考までに申し上げておき、さらに十分これが一刻も早くいい結果を見るように希望申し上げておきたいと思います。
  110. 内村清次

    ○内村清次君 まあ党の小松君やその他二名の衆参両院議員が二十一日の百に、現地を調査した。幸いにしまして、現地におきましては、面会もしておるし、事情も十分聞いておるのです。まだ党に対する報告はありません。が、それまでに、やはりこれは、所管の問題でもありましょうし、建設委員会といたしましては。現在、三十五年度予算につきましても、下筌ダム、松原ダム関係は三億七千六百五十万円ですかな、これだけは組んであるのですから、三十四年度から引き続いてですね。このダム会計の中にも、費目は明確になっておりますし……。で、現在までの経緯、それから水没被害の問題ですね。それから県側の態度、これは、まあ三県にまたがっておりましたね。そういった経過につきまして、一応事務当局から、委員会の方に提出していただきますように、その資料要求をしております。
  111. 田中一

    田中一君 住宅局長にお願いしておきますがね。昨年——本年度完成するという見込み額を入れてですね、公営住宅の総戸数とそれから種別ですね。それから住宅公団、むろん中には足貸しの家はどれ、全部アパートはどれということ、住宅金融公庫の融資のやつね、それから国家公務員の住宅ですね。これらの構造別、それから総数ね、これ資料として全住宅関係のですよ、国の資金が入っておる分の明細の資料をお出し願いたいと思います。
  112. 稗田治

    政府委員(稗田治君) できるだけ調査いたしまして提出いたします。
  113. 田上松衞

    田上松衞君 それでは、次の機会に譲ることにいたします。
  114. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 本日は、この程度にとどめまして次回に、関係予算について、建設大臣に対する残余の総括質疑及び首都高速道路公団法の一部改正法律案質疑をいたします。  次回は、二月二十五日午前十時に開会いたします。  本日は、これで散会いたします。    午後一時九分散会