○
政府委員(佐藤寛政君)
昭和三十五年度の道路整備予算について御
説明申し上げます。
御承知のように道路予算は
建設省の予算に計上されますほかに、総理府に北海道
関係、それから離島振興
関係がございます。それから、また特別失業対策
事業は、労働省の予算として計上されておるわけでございますが、これらは一本といたしまして、道路整備特別会計に受け入れまして、
一つ全体として、この道路
事業の実施をしておる実情でございます。従いまして、これからの
説明は、それらを一括して申し上げたいと存じます。
まず、
説明の順序といたしましては、三十五年度予算の方針と規模と構成とについて申し上げたいと存じます。
お手元に
資料として差し上げてございます道路整備費予算
説明資料という謄写版刷りのものがございます、お開きをお願いいたします。
まず予算編成の基本方針でございますが、第一といたしまして、
昭和三十五年度は道路整備五カ年
計画の第三年度目に当たるわけでございます。従いまして、この五カ年
計画全体から考えまして、第三年度
事業として、相当するものを
計画いたしまして、それに必要な予算を計上いたしておる次第でございます。
第二といたしまして、直轄道路
事業の実施の合理化をはかりますために工事及び用地の買収等に対しまして、三十四年度に引き続きまして国庫債務負担行為、三十五年度は三十三億でございますが、この三十三億を計上いたしてございます。
第三といたしまして一級国道直轄維持区間、いわゆる指定区間でございますが、これを三十五年度におきましては約八百キロ追加いたしまして、従来の指定区間と合わせまして、指定区間の
延長を約三千キロといたしてあるわけでございます。かようにいたしまして、直轄維持の強化をはかり、もって長距離輸送の円滑化をはかるように努めたいと考えておるわけでございます。
第四といたしましては、これは、必ずしも道路ばかりではございませんが、道路におきましても直轄道路
事業地方分担金にかかわる交付公債制度、これを三十五年度から改めまして現金納付制度といたしました。これによって
地方公共団体の公債費負担の軽減をはかるとともに、地方財政運営の健全化をはかるようになっておる次第でございます。
かような方針のもとに編成されておるわけでございますが、その道路費予算は、どういうふうになっておるか、二ページをお開きいただきます。三十五年度の道路
事業は、ここに書いてございますように八百一億余でございます。前年度と比較いたしまして約六十九億ほど増加になっております。予算の比率で申しますというと一・一ぐらいになっております。
街路
事業の方は三十五年度百五十一億余、前年度と比較いたしまして約二十二億の増、比率といたしまして一・一八ぐらいに当たっております。
機械整備費でございますが、これは三十一億余、前年度四十六億八千八百万円に対しまして、三十五年度は十五億ほど減少いたしております。これは五カ年
計画を遂行いたしますにあたりまして、あらかじめ準備を要します機械施設に対しましては先行いたしました
関係上、三十五年度におきましては減少しております次第でございまして、これにつきましても、予定に従ってこのようにいたしておるわけでございます。
次に、地方財政再建団体補助率差額でございますが、三十五年度二十五億余、前年度に比較いたしまして五億余増になっておりますが、これは年々
事業の量が増加いたしております
関係上、三十五年度は五億ほどふえておるわけでございます。これらを合計いたしまして千十一億七千万というのが三十五年度の
事業でございます。前年度に比較いたしまして八十二億ほど増になっておりまして、比率でいいますと一・〇九に当たるわけでございます。これらの
事業は公共
事業と臨就
事業と特別失業対策
事業というふうに分かれるわけでございますが、公共
事業といたしましては九百十三億余、臨就
事業は八十二億でございます。また特別失対
事業は十四億余と相なっております。臨就
事業は、前年度よりやや増額いたしておりますが、特失
事業は、前年度よりもごくわずかでございますが減少いたしております。おおむね前年度にほぼ等しい程度の臨就及び特失という失業救済
事業を三十五年度においても実施いたすことになっておるわけでございます。
これらのほかに日本道路公団に対します出資金がございます。これは三十五年度五十五億ございまして、前年度と比較いたしますというと、三十億ふえることにいたしてございます。また首都高速道路公団に対します出資金五億、これは前年度と比較いたしまして五億減らしてございます。これらのものを合わせまして、合計千七十一億七千万、この額にさらに普通工事費その他の経費として二十九億三千五百万、これを加えまして千百一億五百万というのが道路の特別会計の総体の規模でございます。ただ特別会計にいたしまして正式に計上されております数字は、これといささか違うのでございますが、それは御承知のように道路工事事務費の一部、北海道の事務費に対しましては、これは一般会計の方で実施いたしておりますので、この一千百一億五百四十五万七千円という数字から、北海道工事事務費十一億九千二百四十万円を差し引きました残、すなわち一千八十九億一千三百五万七千円というのが特別会計の数字でございまして、三十五年度道路整備特別会計は、正確に申しますというと、ただいま申しました規模と相なっておるわけでございます。ここで街路
事業の中には、特にオリンピック道路
事業として推進することになっております環状七号線あるいは二十二号線等を含んでおりますと同時に、区画整理分も含んでおるわけでございます。
次に、この
事業に要する経費の財源構成はどういうふうになっておるか、四ページでございます。まず揮発油税収入でございますが、三十五年度におきますこれの
見込み量は九百五十一億余でございます。前年度に比較いたしまして百四十五億あまりの増という大幅な増額が期待されておるわけでございます。これに対しまして、さらに過年度におきます揮発油税の決算加算額、三十五年度におきましては十一億一千三百万円、これがございます。前年度におきましてはこの決算加算額が六億一千七百万円の減でございましたが、来年度におきましては十一億一千三百万円の増が見込まれるわけでございます。これを合計いたしまして九百六十三億余というのがこの三十五年度におきます揮発油税による財源でございます。前年度と比較いたしまして百六十三億余の増ということになっておりまして、比率をとりますというと一・二というガソリン税収入に対しまして、非常に大きな飛躍が期待されておるわけでございます。
このほかに、一般財源といたしまして二十五億ございます。前年度は、この一般財源が九十億余でございまして、これを比較いたしますと、六十五億余のかえって減ということになっております。で、これらを加えました国費合計は九百八十八億余、前年度に比べまして九十七億余増ということになっております。この九百八十八億というこの資金を一般会計から道路特別会計へ受け入れまして、さらに特別会計といたしまして、直轄
事業に対する地方分担金八十三億六千三百万円ございますが、これを加えまして合計千七十一億七千万円、こういうことに相なるわけでございます。そのほか付帯工事その他の経費がございまして、二十九億三千五百万円、合計いたしまして一千百一億五百万円ということに相なるわけでございます。
次は、日本道路公団の予算について御
説明を申し上げます。
三十五年度におきます日本道路公団の予算は、五ページの表の
通り、収入、支出ともに三百二十二億でございます。前年度に比較いたしまして約六十一億余り増に相なっております。この収入の方は、
政府出資金が先ほども申しましたが五十五億、借入金といたしまして二百四十九億でございます。
この借入金の
内訳は、運用部資金と道路債券と、それから国際復興開発銀行借入金ということに相なっておりますが、運用部資金を利用いたします額が六十六億、道路債券を発行いたします額が百五億、国際復興開発銀行、すなわち世銀でございますが、世銀から借り入れる分が七十八億、こういう予定にいたしております。ここで国際復興開発銀行借り入れ分といたしまして三十四年度に八十九億を見込んであるわけでございますが、三十四年度におきましては、世銀からの借り入れについて、いろいろ交渉はいたしましたが、ただいまの
見込みでは、借り入れができるところまではいかない
見込みでございます。従いまして三十四年度の八十九億は、これはワクとしてはいただいておりましたが、このまま次へ繰り越しまして、後年度に繰り越すということに相なるわけでございます。従いまして三十五年度におきましては、新しい立場から工事の工程を考えまして、各種借入金等を見合いまして世銀借入金は七十八億ということにいたしてある次第でございます。
このほかに営業路線に対する業務収入等が十八億ございまして、そうして合計が三百二十二億、こういうふうに相なる次第でございます。
次に支出でございますが、支出といたしまして、まず
建設費二百五十四億余、前年度に比較いたしまして約四十九億余増でございます。この
建設費のうち最も大きいものは、申すまでもございませんが、名神高速道路分として三十五年度におきましては百七十一億余を見込んでおります。それから一般有料道路分といたしまして八十億余を見込んでおります。それから駐車場として三億、管理費その他の分といたしまして六十七億余を見込んであるわけでございます。
事業計画について御
説明いたしますと、まず名神高速道路でございますが、これは従来用地の取得等に非常に難航いたしておったわけでございますが、おかげをもちまして、三十四年度現在におきましては、相当進捗いたしました。従いまして三十五年度におきましては
建設工事を大幅に進める予定でおります。名神高速道路の全体のうちで最も緊急を要するものと考えております部分は、栗東—尼ヶ崎間、約七十二キロでございますが、この分につきましては用地等の問題も、ほとんど九〇%近く進捗いたしておりますので、特に
建設工事の促進をはかるつもりでおるわけでございます。その他の部分につきましても三十五年度におきましては全線にわたって、用地買収を進めたい、こういうふうに考えております。
また、一般有料道路でございますが、これにつきましては、従来工事を実施いたしております継続個所が十九個所でございますが、このうち京葉道路、
東京—千葉でございますが、この京葉道路、また北九州道路、島原道路、高野山道路、伊勢神トンネル、それから伊東遠笠山道路、松山小松道路という七本を三十五年度においては完成させたいと考えております。その他の個所につきましても大いに工事の促進をはかって参るつもりでございます。また三十五年度におきましても新規
事業を選びまして、若干右手する
計画を持っております。
なおまた、以上道路
事業のほかに、自動車駐車場でございますが、ただいま実施いたしております
東京の日比谷の駐屯場でございますが、これが完成いたしますので、三十五年度におきましては、
大阪市内に自動車駐車揚を一カ所
建設にかかる予定でございます。
次は、首都高速道路公団の予算でございますが、この収入支出は百十一億四千万円でございます。これに対しまして
政府出資金は、先ほども申しましたように五億でございます。なお、この収支
計画並びに
事業計画につきましては、
計画局長から御
説明があったかと存じますので、省略させていただきます。
以上が、三十五年度
事業におきます方針、規模というようなものでございますが、このような
事業を実施いたしますというと、道路整備五カ年
計画は、どういうふうになるかという点でございます。十ページをお開き願います。この一番左側の方に一般道路
事業の小計として六千百億円、有料道路
事業の小計二千億円、合計いたしまして八千百億円と書いてございます。これが道路整備五カ年
計画の数字でございます。これに地方の単独
事業が一千九百億円このほかにございまして、合わせまして一兆円と申しますのは、そういう意味でございます。
この五カ年
計画に対しまして、三十三年度、三十四年度の
事業費、進捗率は、ここに書いてございますが、これは省略さしていただきまして、
昭和三十五年度におきましては、予算は先ほど申しましたような数字でございますが、
事業費にいたしますというと、一般道路
事業の道路が九百六十一億、街路が二百四十三億、機械が三十一億、合わせまして千二百三十七億余ということに三十五年度は相なります。一方有料道路の方の
事業は二百七十六億、首都高速公団の方が九十八億、合わせまして三百七十四億余、これらを合計いたしまして千六百十一億余の
事業を三十五年度におきましては実施するということに相なるわけでございます。
こういうふうな
事業を実施いたしますと、三十五年度の末においては、五カ年
計画全体に対する進捗率は十一ページに書いてございますように、五カ年
計画全体八千百億円に対しましては四八・三という進捗率になります。一般道路
事業では五二・六%、道路でいいますと五二・四、街路が五二二、機械が六一・七、機械は先ほども申しましたように、
事業として先行させてございますから、六一・七という数字でございます。それからまた有料道路の方の日本道路公団の方は四一・三、この進捗は非常におそいような感じでございますが、そしてまた事実この一番大きな
事業である名神高速道路が、用地の
関係で非常におくれていたのでございますが、先ほども申しましたように、その方も、非常に進捗いたしまして、今年度は、相当進捗する、さらに引き続き三十六年におきまして、大幅に進捗し得る
見込みでございますので、ただいまのところは進行程度、これで差しつかえないものと考えております。首都高速公団の方は、昨年からの
発足でございますので、今後の進捗を期待しているわけでございます。こういうふうにいたしまして道路整備五カ年
計画全体としては四八・三という進捗に相なるわけでございます。
次に、道路予算の項目につきまして主要な点を御
説明申し上げます。これは前に差し上げてございますかと存じますが、
建設省関係予算の
内訳表を
一つごらんいただきたいと思います。これの道路は二十六ページでございます。これは非常に複雑でございますから、この中で要点を御
説明申し上げることにいたします。
まず、道路
事業全体といたしましては、三十五年度五百六十六億余、前年度に対しまして約四十三億増ということに相なっております。ただし、この道路
事業と申しますのは、先ほども申しましたように、北海道とかそれから離島
関係、それから失業救済
関係は別途に計上されておりますので、それらを除きました道路
関係でございます。前年度に比較いたしまして一・〇八ぐらいの割合になっております。この表でこの数字の上にカッコをしてございますのは、工事事務費を含めました数字でございまして、このカッコのないのは、工事事務費をこれから除きまして、最後に工事事務費という項目を作って、そこで一括して計上してあるために、この数字の違いが出ているわけでございます。この道路
事業のうち一級国道改修費でございますが、これは三百十三億余ということにいたしてございます。前年度に比べまして約三十三億の増、申すまでもございませんが、一級国道におきましては、七カ年で行なうということを目途といたしまして、五カ年
計画で最重点をおいております
関係上、来年度におきましても相当大幅に進捗させる予定にいたしております。次は2の国道改修費補助でございますが、これは八十七億余ということになっておりまして、前年度と比較いたしまして約十億ほどの減に相なっております。このうちその下に書いてございます一級国道で申しますと、三十五年度八億余でございまして、前年度に比較いたしまして八億六千万という大きな減でございます。しかしながら、これは御承知のように、一級国道につきましては年々逐次指定区間を広げまして、指定区間の中へ含めるようにいたしております。また従来補助
事業で実施しておりましたのを、建前といたしまして直轄
事業に振りかえるということをいたしておりますので、形式的には減少になっておりますが、実質的にはかなりかえって増額になっておるはずでございます。
次は二十七ページ、二級国道でございますが、上の方に寿いでございますが、七十九億余に対しまして、前年度は八十一億余、これは二億余の減ということに相なっております。二級国道が減ということに相なっておりますが、これは従来二級国道の実施に対しましてはかなり先行させました
関係上、来年度におきましてはこういうことに相なりますが、これにいたしましても、このほか臨就
事業とか北海道等を加えました二級国道全体といたしましては減ということはないように相なっております。それからそのページの下の方の地方道改修費補助でございますが、三十五年度百二十九億余でございます。前年度に対しまして約十四億ほど増額に相なっております。比率は一・一三くらいに相なるかと存じます。
それから飛ばしまして、二十九ページに雪寒地域道路
事業費というのがございます。これも前年度に比較いたしまして、この
事業としては相当増額させてございます。この二十九ページの数字は、これは直轄でございます。次に、三十ページに参りまして、三十ページに雪寒地域道路
事業費補助がございますが、これもできるだけ増額いたすようにいたします。
次は七番目の道路
事業調査費でございますが、三十五年度におきましては四億二千四百万円を
見込みました。この
調査費のおもなものについて若干御
説明を申し上げますというと、二番目の国土開発縦貫自動車道中央自動車道の
調査費でございます。これは御承知の縦貫自動車道法によります大事な路線の
調査でございますが、三十四年度におきまして七千三十万円の
調査費をつけて
調査を実施いたした次第でございますが、来年度におきましても若干
調査の残っております部分を完成させますために三千万円を見込んでおる次第でございます。それから次の東海道交通処理対策等
調査費でございますが、これは三十四年度に三千八百万円の
調査費をつけましたが、本年度四千三百万円を
見込みまして、本年度をもちましてこの東海道交通処理対策の
調査を終えるつもりでございます。
それから次は、その下の本州四国連絡架橋
調査でございます。これは瀬戸内海に橋をかける
調査でございますが、この架橋地点にいろいろ予定地の候補がございまして、なかなかむずかしい問題もございます。また、
事業として、申すまでもなく、非常に大規模な
事業でございますので、経済
調査、技術
調査等を十分実施いたしたいと考えておるわけでございまして、三十四年度において手初めに着手したのでございますが、三十五年度におきましては、本格的に
調査を実施いたしたいと考えておるわけでございます。
それからその次、三十一ページに参りまして、北海道道路
事業費でございますが、これは総理府に計上されるものでございますが、三十五年度百四十一億余でございます。前年度対比いたしまして十一億余の増ということに相なっております。詳細は省略いたします。それから三十七ページに参りまして、離島振興
関係の道路でございます。主十五年度五億六千八百万円、前千度に対比いたしまして一億九千二百万円の増ということに相なっております。これも総理府に計上される予算でございます。
次に、三十九ページへ参りまして、臨時就労対策
事業でございます。三十五年度八十一億余に対しまして、前年度は七十五億余、前年度に対しまして五億余の増ということに相なっております。これは
建設省でございます。次は四十四ページへ参りまして、特別失業対策
事業、三十五年度十四億余でございます。前年度に比べまして三千八百万円ほど減少いたしております。先ほど御
説明した次第でございます。次は、四十五ページに参りまして、ここに日本道路公団出資金、首都高速道路公団出資金というのがございます。その次に道路
事業工事事務費、三十五年度は三十三億余でございます。
さらに四十六ページに参りまして、事務費、付帯工事費、それから受託工事費、他会計への繰り入れ、予備費等を
見込みまして、歳出合計は千八十九億一千三百五万七千円、これが特別会計の数字でございます。このほかに北海道開発
事業工事事務費十一億余がございまして、それを合わせますと千百一億五百四十五万七千円、こういう数字、実際は千百一億でございますが、特別会計の正式な数字は千八十九億というのが来年度予算の特別会計上の数字、こういうことに相なるわけでございます。
以上で、非常にはしょりまして、概略でございますが、御
説明を終わることにいたします。