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1960-03-21 第34回国会 参議院 議院運営委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十一日(月曜日)    午前十一時七分開会   —————————————   委員の異動 三月十八日委員仲原善一君及び佐野廣辞任につき、その補欠として村上春 藏君及び川上為治君を議長において指 名した。 本日委員川上為治君辞任につき、その 補欠として佐野廣君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋進太郎君    理事            塩見 俊二君            田中 茂穂君            阿部 竹松君            光村 甚助君            向井 長年君            北條 雋八君            加賀山之雄君    委員            天埜 良吉君            石谷 憲男君            鹿島 俊雄君            北畠 教真君            後藤 義隆君            佐野  廣君            鈴木 恭一君            徳永 正利君            鍋島 直紹君            松野 孝一君            村上 春藏君            占部 秀男君            椿  繁夫君            豊瀬 禎一君            安田 敏雄君            米田  勲君            相馬 助治君   衆議院議員            佐々木盛雄君            長谷川 峻君   事務局側    事 務 総 長 河野 義克君    事 務 次 長 宮坂 完孝君    議 事 部 長 海保 勇三君    委 員 部 長 岸田  実君    委員部副部長  若江 幾造君    記 録 部 長 佐藤 忠雄君    警 務 部 長 渡辺  猛君    庶 務 部 長 小沢 俊郎君    管 理 部 長 佐藤 吉弘君   法制局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君   —————————————   本日の会議に付した案件国会審議権確保のための秩序保  持に関する法律案(第三十三回国会  衆議院送付)(継続案件)   —————————————
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより議院運営委員会を開会いたします。  国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案議題といたします。  この際、十七日の質疑打ち切りまでの経過を申し上げ、委員各位の御了承を願いたいと存じます。  かねて、塩見提出質疑打ち切り動議の取り扱いにつきましては、理事会打ち合わせの次第もあり、若干の質疑を行ない、総理に対する質疑終了後、質疑打ち切りをお諮りすることとし、その時期は委員長に御一任願っておるものと了承しておりましたが、総理に対する質疑終了後、占部君より休憩動議提出もあり、また佐々木提案者より保留答弁もあり、また、この間において、塩見君より、成規賛成者を得て、文書をもって重ねて質疑打ち切り動議提出もありましたので、かたがた動議議題とし、これを採決いたした次第でございます。しかるに、委員各位の中には、なおただすべき点もあったやに見受けられ、その打ち合わせ等も十分でなく、議事混乱を招来いたしましたのは、私の不手ぎわでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。今後は十分心を傾けて円満なる議事運営に努力いたす所存でございます。
  3. 占部秀男

    占部秀男君 委員長の今の釈明といいますか何といいますか、そういう点について念を入れておきたいと思うのであります。今委員長は、これからの議事については心を傾けて一生懸命やるというような仰せでありましたけれども前回委員会におけるあの扱いは、わが党としてはきわめて遺憾であると思うのでありまして、しかも内容的に、議事録を見ましても、とうてい有効ではないというふうにわれわれは考えざるを得ないのでありますけれども、今の委員長のお話でありますので、万やむを得ないとは思いますが、いずれにいたしましても、国会の中の公正な審議権というものを確保しようという法律案審議の中で、逆のような傾向のああいう打ち切りの仕方は、まことにもって不愉快千万であって、院外のデモを規制する前に、むしろ院内の議事の進行をうまくやってもらいたいとわれわれは考えて、議員総会でもだいぶ問題になりましたが、それはまあさておきまして、もう答弁をもらってもしようがないが、この法律憲法九十五条との関連の問題であります。この問題は、従来からの委員会でまだはっきりとした結論が、どうにもわれわれには納得できるほどのものを出されてないように考えるのであります。そこで、佐々木提案者は、どういう理由で、一の地方公共団体のみに関する特別法ではない、かように言われるのか、その点について、もう一度明確に御答弁を願っておきたかったのであります。
  4. 椿繁夫

    椿繁夫君 委員長から、前回の突然の質疑打ち切りについて遺憾の意を表明されましたので、それ以上、委員長責任を追及しようとは思いませんが、私ども振り返って十二回に及ぶこの委員会におきまして、今日なお明らかになっていない点が実はあるのです。その一つは、本法によりますと、両院議長連名で都の公安委員会及び警視総監に対して措置要請することになっておるのでありますが、衆議院が解散になって、いまだ正副議長が選ばれざる時期において、参議院緊急集会が開かれることもあるのであります。その際に、両院議長連名というこの法律上の条件を欠くことになるのでありまして、その場合に、緊急集会のときには参議院議長両院議長を代行してこれを行なうとかというふうに、法律の上で明定をしなければならぬと私ども思っておるのでありますが、その点が今日までの質疑によっては明らかになっていないことが第一。  第二は、東京都の公安条例におきましても、集団示威運動のほか、学校の遠足でありますとか競技会でありますとか、あるいは祭礼、葬式等も行なわれるのでありますが、これを明らかに除外規定として定めておるのにかかわりませず、この法律案におきましてはそういうことが明らかになっていない。なるほど、質疑の中では、こういうものには適用をしないのだ、正当な理由のあるものとしてこれは当然除外をされるのだということは、提案者からも御説明はありましたけれども、これは他の法律などの関係から考えてみましても、当然除外すべきものは除外するということを明定する必要があると私ども思っておるのであります。これは衆議院におきまして、倉卒の際に立案されたことでありますから、こういう当然明らかにしなければならぬ法律上の文言さえも入れることを私は失念をされたのじゃないかと思うのであります。でありますから、そういう立法技術上当然補足しなければならぬようなことは、提案者責任において、本委員会においてその欠点が指摘されました際には、すなおにこれを受け入れて、反対、賛成とはこれは別であります、それ以前の問題として、提案者の方から当然修正をして本委員会審議にゆだねるべきであったと思うのでありますけれども、その点につきましても提案者の方から明らかにされていない。これは私は、もしこの委員会で可決され、本会議成立をみるということになりますれば、この法律の重大な欠陥として、私は後世にこの委員会悔いを残すことになると思うのであります。  それから、前回も私、指摘いたしたのでありますが、この点も総理答弁を通じましても明らかになりませんでした点は、提案者は、公安条例によって集団示威運動等規制を行なうことになっておるのであるから、内閣提出道路交通法案は全く集団示威運動等には関係のないものであるということを、一貫して主張、答弁を繰り返して参られました。ところが、そうなりますと、二十四府県公安条例が制定されており、二十一府県には公安条例がまだ制定されていない、こうなりますと、道路交通法成立するといたしましても、これが集団示威運動等に対する規制根拠法にならないのでありますならば、公安条例を持たない二十一府県におきましては、集団示威運動等は、これはもう無制限、無規制ということで許可されることに相なろうかと思うのであります。こういうことに相なりますると、憲法十四条で定めますように、何人も国民たる者は法のもとに平等でなければならぬということがうたわれておるのにかかわりませず、道路交通法集団示威運動等の取り締まりに関係のない法律であるという提案者の御説明了承いたしましたならば、そういう不均衡が起こってくる。このことにつきましては、総理答弁を通じてみましても明らかになりませんでした。私は、公安条例を持たない二十一の府県、五百幾つの市におきましては、集団示威運動等憲法の保障する表現の自由の行為を行なうのであるから、これは何ら規制を加えないで野放図にやりほうだいということにしておいてしかるべきものと了承はいたしておりますけれども、この点について、行政府の長である総理大臣からも、提案者である佐々木さんからも、明らかに聞くことができなかったのであります。  そういう意味からも、なお質疑を続行して明らかにしたいと思っていたところなのであります。先ほど占部委員からも御指摘になりましたが、憲法九十五条との関係についてもまだほとんど質疑が行なわれておりません。今日までの質疑によって、この法律国会関係法だと、こう言われるのでありますけれども、それなら、国会法の一部を修正することによって、議長都公安委員会なり警視総監に対する要請権を付与するような修正にとどめるべきであったと思うのであります。そういう手続をとらないで、実際に具体的にこの法案審議を進めて参りますと、議長警察権範囲外、それは当然東京都の警察において治安保持に当たらなければならない千代田区の国会周辺に限られておりますが、しかも、議長要請することによって、東京都の公安委員会なり警視庁に対して一つの——これまでの警職法第五条でありますとか公安条例第三条による権限のほか、本法成立によって、四条の二項あるいは五条の二項等において、新たに警察権限を与えることになる。警察権限を付与するということになりますれば、都民はこの法律に従わなければならぬ義務を課されることになる。しかも、両院議長要請によって警察力が出動する、警察行動が開始されるということになりますならば、経費の負担はひとり東京都の都民がこれを負わなければならないことに相なるわけであります。そういう意味から申しましても、私は、明らかに憲法九十五条が規定いたしております、すなわち地方団体特別法手続をとる必要がある。それが憲法九十五条である。この法律案は、近接の埼玉県や神奈川県の警察官に新しい権限を与えるものでもありませんし、新しい義務を課するものでもないのであります。ひとり東京都にのみ、公法人である東京都の行政機関に対して一つ責任義務を負わせることに相なるのであります。こういう見地からいいましても、私は当然憲法九十五条の定める特別法手続をとる必要のあるものである、こういうふうに私ども確信しておるのでありますけれども、この問題について十分な論議をかわさない間に、委員長において質疑打ち切りを取り上げられたものでありますから、はなはだ私どもとしては不満にたえないのであります。今後こういうことを繰り返すようなことは、心を傾けてしない、こう言っておられますから、これはやむを得ないのでありますけれども、十分尽くすべきは尽くし、足らざるところは補いをして、国会権威をかくのごとき法律によって高めるというのではなくて、自分たちのお互いの自律権範囲において国会権威を高めていくように努めるべきではなかったろうかと、質疑打ち切りがあまりに早いものでありますから、いまだに悔いを持っておるのであります。委員長におかれましては、将来、委員会運営について、国会権威を高める上からも、審議権を公正に行使させる見地からも、十分留意されることを重ねて私は望みたいと思うのであります。
  5. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 委員長から椿君にお答えいたします。ただいまの御発言よく了承いたしました。なお御意見の点につきましては、委員長の本会議における報告等におきましても、十分その趣旨のほどを述べたいと思っておる次第であります。   —————————————
  6. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ただいま委員長のもとに、加賀山之雄君から、本案に対する修正案提出されております。よって本修正案議題に供します。  まず提出者から趣旨説明を願います。加賀山君。
  7. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 本法律案は、その提案理由説明や、質疑の中で、提案者はいろいろと述べておられますが、その最大の動機となったものが、昨年十一月二十七日のあの不祥事件の発生にあることは明らかであると思うのであります。静穏なるべき国会構内までが、心なき人々によってじゅうりんされたのみならず、警察側集団側に、それぞれ数百名の重軽傷者を出したのでありまして、われわれは、二度と再びこのような事態が起きることを絶対に防止しなければならぬと考えるものであります。その後の集団関係者の中には少しの反省の色もないのは、まことに残念であるのみならず、一部の者は、あの事態をもって成功であったとさえ称しているのであります。こうした社会風潮の中で、われわれが考えねばならぬことは、何としても国会を外部からの無法な圧力から守り抜き、あくまでも審議の公正を期せなければならぬということで、これは、民主政治を尊重し、議会中心主義をとるものの信念であり、われわれ国会議員たるものの責任であると確信するものであります。本法案は、かかる意図に基づいて立案されたものであることは明らかであり、その趣旨は認めるものではありますが、法文の内容は未熟、不徹底のきらいがあり、遺憾ながら本案にそのまま賛成いたしかねるものでございます。以下それら不備な点について申し上げたいと思います。  第一は、この法律目的が、国会議事堂周辺の静穏を保つことにより、国会議員登院国会審議権の公正な行使確保することになっておりますが、国会審議権の公正な行使確保することが最後にして唯一の目的であって、議員登院確保はその条件にすぎない。この二者を並べて規定したところに、かえってその目的の厳粛さを弱める結果になっているように思います。また国会の公正な審議支障を来たすほど議員登院が妨げられるような事態が起きるなら、それは当然に、本法律目的から、審議権確保のために一定の措置がとらるべきであって、議員登院確保ということは、国会審議権確保の中に含まれていると解釈すべきであって、特に二者を並べる必要は認められないのであります。  第二は、本案第四条において国会議員登院国会審議権の公正な行使が著しく影響されるおそれのあるものとして、国会議事堂周辺道路屋外集会集団行進または集団示威運動等があげられておりますが、これは、学生生徒その他の遠足修学旅行、体育または競技及び通常の冠婚葬祭等、慣例による行事は当然含まれないはずであります。これらは東京都の公安条例でも明らかに除外規定を置いております。修正案におきましては、その疑念をなくするため、第三条を「(定義)」と改めて、「集団示威運動等」の限界を明らかにした次第であります。  第三は、この法律案におきましては、両院議長が、国会審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがあるとして、都公安委員会に、その許可取り消し、または条件変更要請いたしましても、都の公安委員会は、これに対して必要な措置を講ずるように義務づけられてはおりません。この第四条と第五条は本法律案の核心であり、表裏をなすものと考えます。真に国会審議権の公正な行使確保せんとするならば、議長が明らかにそれが乱されるおそれありとして要請したことに対し、それは形式だけのもので、多少の尊重をすれば事足りるとするものではありますまい。もちろん、議長は軽々にかかる判断をなし、またおざなりの要請をするというようなことは考えられませんから、万一かかる要請があった場合、これを受けて、公安委員会がその要請にこたえ、責任をもって必要な限度においての措置を講じなければならない。かくしてこそ、初めてこの法案趣旨が生きることになると思うのであります。以上の理由により、われわれの修正案におきましては、両院議長要請に対しまして、都公安委員会は、その責任を持って許可取り消し、または条件変更を考慮せねばならないことといたしました。  最後に、第八条は、国会議員登院を妨げた者に対する罰則でございますから、当然にこれを削除いたしました次第であります。  以上が修正案趣旨説明でございます。
  8. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 本修正案に対し、御質疑のある方は御発言を願います。
  9. 塩見俊二

    塩見俊二君 私は、ただいま加賀山委員から御提案になりました修正案につきまして二、三御質問を申し上げたいと存じます。  私の質問の第一点は、本法案の全条文から「国会議員登院」という言葉を削除せられた点でございます。ただいまの御説明によりまして、大体御提案趣旨了承いたした次第でございまするが、まことに重要な問題であると考えますので、一言お答えをいただきたいと思うのであります。時間がございませんので、私は例を引いてお尋ねをいたしたいと思います。たとえば、昨年の十一月二十七日に起こりましたような国会周辺に非常に混乱が生じ、そのために、国会におきましてはいまだ本会議なりあるいは委員会、こういったような国会審議というものは現実には行なわれてない、また行なわれる予定になっておるが行なわれてない、目下国会議員は続々と登院中である、かような場合におきまして、先ほどの御説明では、これは当然、国会審議権行使の中に不可分一体として国会議員登院が入っているのだ、従って、こういう場合に、両院議長警視総監に対しまして制止または警告要請ができるのだ、こういうふうに御説明をいただいたように私は理解をいたしたのでありますが、そのように了解をしていいかどうか、お伺いをいたしたいのであります。
  10. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 先ほど趣旨説明で申し上げました通り国会議員登院国会審議権確保のための必須条件でございますから、これを守るためには、それに支障を及ぼす場合には、当然に私は国会議員登院というものは含まれてしかるべきで、含まれなければならないと考える次第でございます。
  11. 塩見俊二

    塩見俊二君 ただいまの点は私も了承いたした次第であります。  そこで、次の問題についてお答えをいただきたいのであります。第二点は、この学生生徒その他の遠足、修学行、その他公安条例許可を要しない対象としている集団行為、こういうものにつきましては、本法におきましてもやはりこれを削除する、いわゆる集団示威運動から削除する、かような御提案であったわけでありまするが、本法公安条例との関係を考えてみまするに、本法の第四条第一項、あるいは第五条第一項におきましては、もともと修学旅行等公安条例許可対象になっていない問題でありますので、私は本法とは全く関係のない問題だと思うわけであります。本法とこれらとの関係は、もっぱら第四条第二項及び第五条第二項との関係であるわけであります。そこで、こういったような学生遠足、あるいは修学旅行等国会周辺に参りまして、平穏にその目的を達する。これはいささかも本法がこれに対して規制を加えるものではありません。さらに許可を得て国会構内の参観もまたできるわけでございます。本法との関係といたしましては、要するに、これらの修学旅行あるいは遠足というふうな名目をもって国会周辺に集まりましても、これが突然集団示威行動に変貌する、そのために、国会議員登院なり、あるいはまた国会審議権の公正な行使、これに非常に脅威を与える、また現実に阻害するおそれがある、こういうふうな事態になりました場合に、議長警視総監に対しまして難行または制止要請をする、かように規定をいたしている次第であります。従いまして、提案者におかれましては、こういったような遠足なり、あるいは修学旅行目的をもって参りましても、これが今申し上げましたような集団示威運動に変貌して、ただいまのような事態になった、さような場合におきましては、やはり議長警視総監に対しまして、これを警告または制止する要請をする、こういうことはお認めになるでありましょうか、その点一つお伺いいたします。
  12. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 特にこの削除規定を設けました趣旨は、第四条で「国会議事堂周辺道路において屋外集会集団行進」というものを取り上げました。そうしてそれがまた第六条にゆきますと、「その他の名義をもってする集団示威運動等も含む」ということで、非常にその点がはっきりしていない点があるのでございまして、この法律が都の公安条例との関連を持っておりますことは明らかでございますので、都公安条例規定しながらこの法案で明記しないことは、いかにも、都の公安条例ですら除外しているものが含まれるのじゃないかという疑念を生ずるので、趣旨説明で申し上げました通り、その疑念をなくするために明記しようとするものでございます。それで、それが突如としてほかの目的に━━初めはそういった名義で行なわれようとしたものが、途中においてさようなことになる、つまり、ここで言っておりまする本来の集団示威運動ということになりました場合は、これは事柄の性質上当然第五条の規定が生きてくるというように私は解釈をいたしております。
  13. 塩見俊二

    塩見俊二君 時間もございませんので、もう一点だけ簡単にお尋ねをいたしたいと思いますが、修正案の第三の問題点でございます。議長公安委員会に、許可取り消しまたは条件変更要請するという、そういう場合に、現在の法案におきましては、必ずしも公安委員会義務づけられないという建前になっているわけでありまするが、修正案では、明らかにそういう要請があった場合には、許可取り消しまたは条件変更をしなければならぬ、かような規定になっているわけであります。私はこの点につきまして、こういうことになりますると、立法府にある議長が直接にこの公安委員会という行政権を指揮する結果になる。すなわち、立法行政というものが波乱をし、混同され、三権分立の憲法若木精神にも反するのじゃないか、かような疑いを持っているわけでありますが、この点についての御所見を伺いたいと思います。
  14. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 原案によりますと、するようにしなければならないと、きわめてこれは法文上使い分けがはっきりしていそうでございまするけれども、きわめてその点、私はあいまいな点があると思うのでございまして、両院議長が、国会審議権の公正な行使が著しく阻害され、または阻害されるおそれがあると明白に認めた場合、要請をいたします。その要請に対して都公安委員会は、答弁中には、これは極度に尊重するという御答弁がございましたが、これは、はたしてこれで足りるのかどうかということでございまして、もちろん議長みずから警察権を指揮するということはできませんが、そのために公安委員会なり警察に対してそれを要請する、そうしましたら、その要請を受けて、これは当然に公安委員会はこれに対する措置を考えなければならないというふうにするのが、第四条、五条の表裏建前からして私は当然であろうと思うのでございます。ただ、議長はもちろん行政権を指揮することはあり得ないのでございまして、その「必要な措置」は、「必要な限度において」と私どもは加えておりますが、必要な限度において公安委員会が自主的に判断をし、必要な限度において措置をとる。どういうことをせいということは議長によって具体的に指示をするわけではございませんから、行政権を指揮するということにはならないと私どもは考えるのであります。
  15. 椿繁夫

    椿繁夫君 加賀山先生お尋ねをいたしますが、修正点の第二、都の公安条例で「学生生徒その他の遠足修学旅行、体育又は競技」、「通常の冠婚葬祭等慣例による行事」、これを除外されることは、法律の体裁上から当然だと思うのでありますけれども両院議長連名によって要請をすると定めてございますが、この両院議長がいつの場合でもそろっているということではないのであります。先ほど申し上げますように、緊急集会——たまにしかございませんけれども法律の体裁から言いますと、緊急集会の場合、両院議長がこれは一方が欠けるのでありますから、この際のことをなぜお考えいただくことができなかったか。他の法律によりましても、緊急集会の場合にはこれこれという定めのある法律を、幾つか私、承知いたしておりますが、いつの場合でも、緊急集会の場合を法律の体裁としてはちゃんと明定をいたしまして、補完できるようにしておるのでありますが、この修正案に、こういうこまかいところまで気を使っていただいておりますのに、その点が欠けておるのはどういうことでございましょうか。
  16. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 この両院議長連名の問題につきましては、確かに緊急集会の場合のことは当然出てくると思うのでございまして、事重大でございますから、これは本来であれば、本物の議長であるのが私は正しいと思うのでございます。ところで、この質疑の最終段階におきまして、この点について提案者から、その場合は当然に事務総長が議長の職務を行なうという条項によりまして、その場合は衆議院の事務総長が議長の職務そのままを行なうということの解釈で考えているということでございますので、私どもといたしましては、特にこの点には触れなかった次第でございます。
  17. 椿繁夫

    椿繁夫君 この衆議院の正副議長が欠けております際に、事務総長が権限を代行するという解釈の上に立っておられるようでありますが、私どもはこの見解を異にいたします。そこで、重ねてお尋ねをいたしますが、第五条の一項中「措置を講ずるようにしなければならない。」を、「必要な限度において、その集団示威運動等についての条件変更し、又はその許可を取り消さなければならない。」、こういうふうに義務づけられようとこの修正案はしておるのでありますが、提案者は、単に議長には要請権を与えるだけで、その要請を受けた都の公安委員会あるいは警視総監は、自主的な判断によって、はたして議長要請されるような条件が整っておるかどうか、かかって自主的な判断にゆだねておるのでありますけれども、こういうふうに修正をされますと、明らかにこれはもう義務づけることになってしまいます。その際の議長責任というものが私は明確化されなければならぬと思うのであります。こういうふうにきめてしまって、国会議員登院審議権の公正な行使が明らかに妨害されたときには、議長要請しなければその責任をどうするか。逆に、済んでみると大したことはなかったというときに、議長要請をしておったそのために——現在の都の公安条例は違憲の判決を数々されておる。しかも最終結論は最高裁において四月の末にならないと出ないというような情勢でありますから、私どもは、この最高裁の最終判決が出てからでもいいじゃないかという主張を繰り返してきたのでありますが、こういうふうに修正されますと、なおさらこの議長責任というものを私は明確にしなければならないと思うのでありますが、その点について修正案提案者はどういうふうにお考えでありましょうか。議長責任の所在について。
  18. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 これは私、提案理由趣旨説明でも申し上げたところでございますが、ただいまの法律では、議長要請をすることができるだけである。これにつきましては、公聴会におきまして、大学総長といえども、大学の構内で非常に混乱が起きようとするときには要請ができるはずである、というお話があったことを記憶しておるのでございまして、ここに特に法律をもって議長要請権を設けますゆえんのものは、国会審議権の公正な行使が著しく阻害されるかどうかというきわどいときでありますから、議長要請はそれに基づいて慎重になされるはずである。先ほど軽々にそういうことがなされようとは思わないということを申し上げましたが、それを受けて、公安委員会は、単に一応の尊重というだけでなくて、公安委員会は、法律により議長要請があったものに対しては、真剣に考えてその措置をとる、これは法律を作る以上当然のことに属すると私は思うのでございます。そのために、たとえば、議長要請をそれほど必要でないときにいいかげんにやった、必要なかったのではないかというようなことが起きれば、これは当然私は政治的責任を負うべき事柄に相なろうと思うのでございます。こういうふうにして責任をお互いが重くすることによって、私はこの法律がさらに慎重に運用されるであろうということを期待して、かように修正をいたした次第でございます。   —————————————
  19. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ほかに御発言もなければ、修正案に対する質疑はこの程度にとどめまして、これより国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案につきまして、原案及び修正案を一括して討論に付します。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。米田君。
  20. 米田勲

    ○米田勲君 私は、本委員会審議をいたして参りました国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案に対し、日本社会党を代表して強く反対をいたします。  本法案は、一見、何人も首肯させるような名称こそ用いておりますけれども、その正体は、本法条文でも明らかなように、憲法に保障せられている国民の基本的な権利、すなわち表現の自由並びに請願権に対して、新たなる警察権力をもって強い規制を加えようとする、きわめて反動的な性格を持つ法案なのであります。しかるに、提案者は、本法案は単に議長要請権をうたったものであって、決して国民の権利に対して新たなる制約を加えたり、警察官に対し現行法のワクを越えて新たな権限を与えようとするものでもありませんと、極力、本法案の正体を隠蔽するがごとき答弁を繰り返していたのにかかわらず、連合審査第三品目に至り、突然この前言を翻し始め、再び本委員会審議に返されてから、重要な答弁の食い違いを鋭く追及され、ついに三月四日に至り、これまでの答弁を訂正し、陳謝するに及び、法案の反動的な正体が浮き彫りにされるに至ったのであります。本法案には、審議の過程でも強く指摘いたしましたように、条文形式の上でも幾つかの欠陥や不備があるにもかかわらず、提案者たちは何ら自主的に修正しようとする真摯な態度も見られず、ただただ党利党略にとらわれて、正しい主張を黙殺して強行通過させようとしているが、こんなことでは参議院の知性を疑われるのではないかと危惧するものであります。しかし、ここでは、先刻、椿委員からの発言もありましたので、条文形式上の不備を再び指摘することは割愛いたします。  さて、本法案の致命的な欠陥の一つは、立法原則を無視していることであります。それは、国権の最高機関である立法府において新たに作られようとするこの法律案が、下級機関の定めた東京都公安条例を基礎とし、その法的効力の大部分を条例に依存しているということであります。だから、かりに東京都公安条例が改廃されると、本法の法的効力はそれにつれてほとんど効力を失ったり、あるいは拡大もしくは縮小せざるを得ない変形的な、不安定な性格を持っているのであります。このような構造と形式の法律は全く前例がないことでもわかるように、立法原則にもとるものであると言わなければならない。そればかりでなく、その基礎となり、法的効力をもっぱら依存している都公安条例が、最近相次いで違憲判決を受けているということは重大な問題であります。提案者は、われわれの追及に対して、新潟県公安条例が最高裁で合憲判決を受けたことをもって、都公安条例もまた最終的には最高裁で合憲判決を受けるであろうとの予想に立っているようではありますが、新潟県公安条例の合憲性承認のため、最高裁は、その判決文の中で、二つの原則を定立しております。すなわち、憲法に保障する表現の自由を公安条例が原則的に認めているか、それとも一般的許可制によって抑制しているかどうか、また、規制基準が一般的抽象的か、それとも明白かつ現在の危険の原則に立って規制を限定しているかいなかによって、合憲かどうかが分かれることを明らかにしておりますが、都条例は、その判決の中に示された原則に反しているとして、地裁の違憲判決が相次いで出されているのであります。かかる問題の部公安条例を、まだ最高裁の違憲判決が出ていないのであるから有効であると称して、四月中旬に予想される最高裁の最終判決を待つことなく、これを基礎とし、これに依存して本法案を立法化するばかりでなく、都公安条例よりもそう違憲の条件を増大していると思われる条文を持つ本法案を立法化しようとすることは、はなはだしく慎重さを欠くばかりでなく、合理性にも乏しく、さらに、合憲性についての重大な疑義を持つものであると、言わなければなりません。  次に、条文の主要な点について、重大な欠陥と反動性を指摘いたしますと、  まず、第一条、第二条を通じて国会議事堂周辺の静穏を保つということが、国会議員登院国会審議権の公正な行使確保するということとともに並列して、本法目的それ自体になっていることは、第三条以下の条文と相対照するとき、重大な憲法上の疑義があります。国会周辺の静穏を保つという目的を達成するために、第三条に示す国会周辺の公道地域における集団示威運動、陳情、請願等の行動が、事実問題としては著しく規制もしくは禁止することのできる法的根拠を本法によって与えようとしています。しかし、憲法に保障されている国民の権利としての表現の自由や請願権などに対して規制をすることの許されるのは、明白にしてかつ現在の危険の原則が適合する条件の兵備される場合にのみ限られることは、言うまでもありません。しかるに、国会周辺の静穏を保つということで、国会周辺の公道における表現の自由、すなわち、集会、言論、集団行進集団示威運動などや国会に対する国民の請願権が、明白かつ現在の危険の原則の充足を何ら考慮することなく一般的にこれを規制もしくは禁止することは、明らかに違憲と言わなければなりません。  また、第四条一項に基づく両院議長都公安委員会に対する要請、すなわち、集団示威運動等許可取り消し条件変更は、表現の自由に対する規制、禁止を明らかに意図した要請であります。しかるに、要請が発せられる時点においては、まだ集団示威運動が行なわれる数日以前で、何人といえども国会議員登院国会審議権の公正な行使に著しい影響を与えるかいなかの判断を正確になし得るものではありません。かりに判断をいたしたとしても、それは、あくまでも推測であり、一つの想定にすぎません。かかる推測や想定は、もちろん明白かつ現在の危険の原刑を充たす要件は全く兵備されておらないのであります。従って、表現の自由を規制できる条件はないということであります。それなのに、国民の基本的な権利である集団示威運動などに対し規制を加え禁止をする要請を発することは、憲法上許されないことであります。かかる憲法上疑義のある要請議長になさしめようとする本法案は、不当であり、かつ、不法であると言わなければなりません。  次に、第四条二項は、両院議長警視総監に、集団示威運動等に対し、警告制止要請ができることを規定しているが、条文の「国会議員登院国会審議権の公正な行使が著しく阻害され、」は、川口に阻害の事実が発生しているから、集団示威運動といえども制止要請がなされることは当然であり、制止警察権発動は違法ではないと思います。しかし、その後段に併記されている一又は阻害されるおそれがあると認められる場合の条件設定は、規制基準が全く一般的抽象的に拡大されております。かかる拡大された規制基準で、表現の自由、集団示威運動等に対し、流血の惨事を惹起することも容易に予想できる状態をも顧みず、制止要請が行なわれ、それが第五条二項と州結んで制止警察権発動を法的に根拠づけるということは、憲法上の問題からいっても、現行警職法の建前からいっても、市大な疑義のあることはきわめて明瞭であります。一昨年の改正警職法案審議をめぐって、国民世論が激しく批判と反対を浴びせたのも、警察権発動の条件を緩和することは、国民の権利に対する大きな脅威であったからであります。しかるに、本法案の第五条二項のごとく、現行警職法のワクを越えて警告制止警察権の発動を許す法的根拠を与えていることは、表現の自由、請願権の行使に対する市大な圧迫であり、憲法に違反する立法と言わねばなりません。かくては、民主政治の逆行であり、ファシズム、暗黒政治への道に通ずるものであることに思いをいたし、あくまでもわれわれは反対しなければなりません。  また、第六条の陳情、請願が集団的であり、示威的であることを理由にして、すべて集団示威運動とみなして規制、禁止の対象とされることは、国民の政治に対する関心と要求の道を封殺しようとするものであり、第七条、第八条の条文が、特に集団示威運動を敵視し、他の法における刑罰とのバランスを破って、これに重い罰を加えようとしていることも、本法に一貫して流れている特権意識、反動性、非民主性を露骨に見ることができます。特に、働く階層の国民は、現在の政治に対して幾多の不平不満や願望を持っておるのであります。これを端的に表現する有力な手段として集団示威運動や請願行動に訴えるのは当然のことでありまして、憲法もまたこれを最大限に保障しているとこるであります。しかるに、政府や保守党の諸君は、かかる集団示威運動や請願運動は有形無形の圧力を加えるものとして一不法視し、これを排除しようとしていることは、きわめて遺憾であります。すべての国民に愛情の目をもってその幸福を願う政治を目ざすというのであるならば、働く階層の国民の政治に対する願望や要求を端的に表現される集団示威運動や請願運動にも、むしろ積極的に耳を傾ける態度であるべきで、かかる違憲の悪法をもってこれを封殺しようとすることは、権力支配の政治を強化しようとするものであると断ぜざるを得ないのであります。かかる悪法案に対し、われわれは良識ある国民とともに強く反対をし、長く抵抗の闘いを続けて、国民の基本的権利を防衛し、真の民主政治を実現させなければならないと、新たな決意をここに固めるものであります。  以上、主張を明らかにして反対討論を終わります。(拍手)
  21. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 塩見君。
  22. 塩見俊二

    塩見俊二君 私は、自由民主党を代表いたしまして、国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案に対しまして賛成の討論を行なわんとするものであります。  以下、私は、本法案に対する賛成理由を明らかにいたしますとともに、反対のおもなる論拠に対しまして、所信を明らかにいたしたいと存じます。  まず、賛成理由の第一点といたしましては、本法案が、国会に関する現行憲法の精神を明らかにいたしまして、その機能の確保をはからんとする点でございます。旧憲法と新憲法の違っておりまする最も重要な点の一つは、主権が国民の手に移り、国民を代表する国会が国権の最高機関であることが明らかにせられた点でございます。従いまして、国会における審議権の公正な行使確保するということは、旧憲法時代にも増しまして新憲法要請するところであり、集団的暴力等をもって国会審議権の公正な行使が妨げられるというようなことは、わが国の民主政治を危殆に陥れるものでありまして、憲法の精神に根本的に違反するものであると考えるのであります。  本法案の第一条におきまして、国会が国権の最高機関である性質にかんがみ、…会議員登院国会審議権の公正な行使確保する目的を明示し、また第二条におきましては、何人もこれを妨げてはならないという宣言をし、さらに本法案の各条章にわたりまして、国会議員登院審議権の公正な行使確保するための規定を設けられたのであります。これは私は、著しく新憲法の精神に則して民主政治確保を明示したものでありまして、衷心より賛成の意を表する次第であります。  賛成理由の第二点は、本法案の内容についてでございます。本法案は、国会議員登院国会審議権の公正な行使が著しく阻害されたり、あるいはまた阻害されるおそれがある場合に限りまして、両院議長東京都公安委員会あるいは警視総監に対しまして、必要な措置をとることを要請する権能を与えることといたしているのでございます。都公安委員会警視総監は、おのおの現行の公安条例、警職法等の規定に基づきましてその権能を行使するほかに、警察官は、この要請にこたえまして、あるいは警告制止等の新しい権能が与えられることになったわけでございます。しかしながら本法案に対しまして、仕上ややもすれば、あまりに微温的である、かような御批判もあるようでございます。現に、イギリスやアメリカ、あるいは西ドイツ等におきましては、一定の広範な地域を指定いたしまして、この地域におきましては一切の集団行為を禁止する等の、そういった厳格な規定が設けられているのでございます。しかしながら本法におきましては、両院議長公安委員会あるいは警視総監に対しまして、必要な措置要請をするということにいたしているのでございます。これは一方におきましては、国会審議権の公正な行使確保する、国会議員登院確保するという目的を達成しながら、基本的な人権でありますところのあるいは表現の自由、その他国民の自由の規制を最小限度に食いとめんとする、提案者の配慮に基づくものであると考えるものでのりまして、現在の段階におきましては、まことに中庸を得た適当な法案であると考える次第でございます。  次に私は、反対論のおもなるものにつきまして、私の所信を明らかにいたしたいと存じます。  反対論の第一点は、本法案が現行憲法の各条章に違反するのじゃないか、かような御議論であるのでございます。まず第一に、たとえば表現の百出等に対しまして、事前的な禁止事項にするというような結果になりはしないかという御議論があるわけでございます。しかしながら、この法案におきましては、議長の実害ありと認定する場合、すなわち公安委員会なり警視総監に対しまして議長要請する場合におきましては、国会周辺という特定の地域にその地域が限られている、あるいは集団的な示威運動が、国会議員登院あるいは国政の審議権の公正な行使を妨げるというふうに、事態を限定いたしているわけであります。また両院議長は、両院議長連名をもって要請をしなければならないというふうに、危険の明示あるいは地域の明示、あるいは職権行使の明示等が十分に行なわれているわけでございましていわゆる事前措置、事前防止ということには私は相ならぬのじゃないかと思うわけでございまして、憲法にいささかも違反すると考えていない次第でございます。  また反対論の第二点といたしましては、現行憲法の第九十五条の規定に違反をするのじゃないか。すなわち東京都というこの特定の公共団体に対してのみ適用される法律である。従って、住民投票の結果を得なければ本法案は制定ができないのじゃないか。かような御議論であるわけでございますが、本法案は国会周辺というきわめて特定の地域における集団デモ行為という、これまたきわめて特定の事象に対して適用されるばかりでございませんで、東京都の都民のみならず、一般国民が、すべてこの地域におきます一般国民がその対象になるわけであります。また東京都自身に対しまして、その機構やあるいは運営等につきましても影響を与えるものでございませんので、私は憲法第九十五条に違反するものではないと確信をいたす次第であります。  また次に、反対論の論点は、現行の東京都公安条例、これを基礎にして本法案を制定をしたのはまことに妥当を欠くではないか、かような議論であるわけでございます。なるほど現行の公安条例は違憲の判決を受けたこともあるわけでございます。しかしながら、同時にしばしば合憲の判決も受けておるわけであります。また現に最高裁の最終決定を待つ段階にあるわけでありまして、少なくとも現状におきましては、部の公安条例憲法に基礎を置く法形式の一つとして明らかに現存をして、有効に存在をいたしておる次第であります。従いまして、この公安条例を基礎に置くことにつきましては、私はいささかも憲法に違反をするものではないと考えるわけでありまして、むしろこの都の公安条例がしばしば違憲の判決を受けておる、何となくこの公安条例に対しましては従わぬでもいいじゃないか、そこまではいきませんにいたしましても、とにかく法を軽視するというような観念がややもすれば行なわれる。そのためにしばしば東京都公安条例の違反が起こっておる次第であります。従いまして、かような議論、かような思想、それこそ私はむしろ集団的な暴力行為をもちまして国会周辺混乱に陥れる、そういうふうな考え方の温床になりはしないかとも考えておる次第でございます。  以上、私の賛成理由、また反対の論拠に対しまする所信を申し述べた次第でありまするが、とにかく本法案は、一方におきましては国会議員登院と国政の公正な審議権行使、これを確保いたしますとともに、他方におきましては、国民の基本的な人権、これの抑制を最小限度にとどめた法案であると考えるわけでありまして、現段階におきましては、まことに妥当な法律案であると考える次第であります。私は、本法律穴の制定を機会に、ますます国会がその機能を完全に発揮いたしまして、国民の負託にこたえるというふうに運営されることを期待いたしまして、私の討論を終わる次第であります。
  23. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 向井君。
  24. 向井長年

    ○向井長年君 私は民主社会党を代表いたしまして、本日まで審議をいたして参りました国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案は全く不必要と考えまして、反対をいたします。  私は、反対の理由を述べます前に、本法案の審議過程においての最終段階に現われた与党の態度について、まことに遺憾の意を表するものでございます。私たちは、去る第三十三国会の終末に、各党の申し合わせ通り、第三十四国会において慎重に審議を行なうことが申し合わされて、継続審議ということになったのでありますが、審議過程を顧みますと、実に四十時間有余の審議、なおまた、その間、合同審査三回あるいはまた公聴会等を行ないまして、長く審議したことは、私も率直に認めます。しかしながら、野党において各派ともまだ質問が残っている、なお、ただしたいことがあるという野党四派の意見があるにもかかわらず、質問打ち切り動議提案され、委員長に採択を迫り、数で押し切り、混乱を起こさしめたことは、まことに遺憾といわなければなりません。いま一つは、質問過程において提案者は、法体系、法体裁の不備を心の中では認めておりながら、みずから修正を受け入れろ度量のないこと、これは提案者は他院であり、無理かとも思いますけれども、本院の与党の委員諸君がこれに対して、根本的な修正でなくとも、法体系等の不備に対する再考慮も受け入れる態勢のなかったことは、まことに遺憾とするところでございます。私たちは本法案には反対ではありますけれども、引き延ばしを企図したり、あるいは党利党略のために処しているのではなく、実にまじめな気持で純真に審議をして参ったつもりでございます。私は、以上、本法審議過程を通じて、まことに遺憾の意を表して反対の理由を申し上げたいと存じます。  反対の理由は、条項にわたって列挙すれば数多くありますけれども、概括的に大別して五点を指摘したいと思います。  第一は、本法審議にあたって、わが党は冒頭よりたびたび繰り返し言っていることは、この法案が出されたゆえんのものは、昨年十一月二十七日のデモ隊の国会乱入事件が基因となったことはいなめない事実でございます。これに対して、衆議院においては加藤議長責任をとって辞任をし、デモ隊指導者も懲罰委員会に付託せられているにもかかわらず、院の管轄の責任両院議長にあるにもかかわらず、松野参議院議長は何ら責任もとらず、しかも反省の色が全くなく、この態度に対して、国民の声は、両院の問題でありながら片手落ちであると、非難の声が大きいことは周知の通りでございます。わが党のたびたびの追及に対しましても、駄弁を弄して責任を感じていないことは、まことに遺憾といわなければなりません。十一月二十七日の事件についての責任の所在を明確にし、再びかかる事態を起こさせないために、政府自体、国会議員の反省もあわせて国民世論に訴えべきであって、本法のような、国民の権利を抑圧し、規制をするような法律を撤回さるべきであると考えるのであります。  第二の理由は、国権の最高機関であるのは、現行憲法からいいますと、主権在民の精神に由来するものであります。国民が憲法で保障されている基本的人権を拘束することは、法体系として不備であるとともに、違憲性がきわめて濃厚であります。  第三の理由は、提案者は、国会審議権登院権を一体として不可分にあると言っておりますが、大きな矛盾が現われていると思います。たとえば第八条において、国会議員登院を妨げた者に対しての単独の罰則を設けているではありませんか。ことさら国会議員に対して特権的な法律を作ることは断じてあってはならないと考えるのでございます。これがもし認められますならば、当然、裁判官なり、あるいは検察庁初めその他の官職につくすべての人たちにも特別の法をもって保護しなければならないことになります。かかる特権は認めるべきでなく、現行の諸法規で十分であると考えるのでございます。  第四点は、本法において国民の表現の自由を規制するために、一定の国会周辺の道路を指定いたしておりますが、その地域外においてこのような行動が起こった場合についても、本法案の議長要請ができると提案者が解明している点は、全く地域を定めた意味がなく、広範囲規制しようとするところの意図の現われであります。いま一つは、両院議長要請権を認めながら、責任について何ら明らかでないのでございます。国民の行動を制限する権利を認めながら、何らの義務をも認めていないことでありますが、権利だけあって義務のない法律はあり得ないと考えるのでございます。  第五点は、この法律の発動の大部分は、きわめて違憲性の強い都公安条例を基礎としたものであって、これが成立の後は、東京都公安条例警察官職務執行法、軽犯罪法等に大きな権限を認めるための改正を行なう基因を作る結果となり、このことにより、国民の基本的人権は大きく侵害される可能性を持っておるのでございます。本法律案は、違憲性が濃厚であるとともに、その内容はきわめてずさんであり、全く法体系が整っておらず、断じて反対であります。  以上が反対の要点でありますが、本法のような、国民の権利を抑圧、規制することなく、国会審議にあたっては、まず政府自身並びにわれわれ国会議員と政党自体が心から反省をし、特に与党は率直に国民の世論に目を開き、また野党の貴重な意見に対しても耳を傾け、これを取り入れるところの度量があってこそ、真の民主政治であり、公正な審議確保でき、国民の負託にこたえることができると私は確信するものでございます。特に、良識ある参議院においては、かかる法律案は撤回さるべきであると考え、反対討論を終わります。
  25. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 北條君。
  26. 北條雋八

    ○北條雋八君 私は、ただいま議題となりました国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案につきまして、修正案及び原業に、それぞれ反対いたしまして、以下簡単にその理由を申し述べます。  その第一は、憲法二十一条によりまして保障されておりまする国民の基本的人権を尊重するということは、現民主主義、平和憲法の根幹であるということは申し上げるまでもないことでございます。しかるに、本法案におきましては、第四条におきまして、議長要請要件の規定が、たとえば「国会審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがあると認められる場合においては、」というふうに、はなはだ抽象的であるのを見てもわかりまする通り、現行警職法あるいは都公安条例における規制要件と比べまして、警察権を発動できる時点の認定範囲が自由に拡大できることとなりまして、直接、調査機関を持たない議長の主観によりまして、ある程度自由に判断することができ、従って、場合によりましては、度を越した事前抑制によって、憲法に許された国民の基本的人権を不当に侵害することがないと断じ得ないのでございます。もちろん、基本的人権と申しましても、憲法十二条にも明らかでありまするごとく、これを乱用したり、公共の福祉に反することは、厳に慎しまなければなりませんのでありますけれども、いやしくも永久の権利として保障された基本的人権を、あいまいな抽象的な要件をもって規制するような法律の制定は、最も慎重を期さなければならないとともに、万人がひとしく認めるものであることが望ましいのでございます。この意味におきまして、本法案は、その審議の過程においても明らかにされたように、条文に幾多の疑義、欠陥があったり、明確を欠く点が残されておりますから、軽率にこれが成立を強行するようなことがあってはならないと、かたく存ずるものでございます。  第二点は、本法案は法律のもとに制定された都の公安条例にその基礎を置いておりまして、立法の形式からいっても、本末を転倒し、まことに変則的な法律と言わざるを得ないのでございます。しかし、そのことはさておきまして、都の公安条例は、御承知の通り過去四回にわたりまして東京地裁において違憲の判決を受けておりまして、来たる四月には最高裁の判決があると聞いております。最終確定判決が下らない現在におきましては、同条例はもちろん有効でありますけれども、最終判決を目前に控えているこの時期に、国会におきましてそれと密接な関係のある本法律案を制定することは、国会すなわち世論が、これを合憲とみなしているという印象を強く与えまして、公平であるべき裁判の平穏を害する懸念がございます。時期的に見ましても問題があると思われますので、最終判決の決定するまではこれを差し控えるべきが当然だと考える次第でございます。  第三の点は、本法案が提出されるに至りました最も大きな動機は、何といっても昨年十一月二十七日の国会乱入事件でございます。そうして、あの大不祥事件が起こりました原因を、とくと探究して見ますと、これは過激分子の無軌道な暴挙及び一部デモ隊員の群衆心理的の行動に災いされた、複雑な原因を含む特殊な事件であると思うのでございます。もちろん、取り締まり当局である都の公安委員会並びに警視庁の措置におきましても、また集団陳情デモの計画運動に直接関係のあった各団体の主催者、指揮者、誘導者、一部国会議員の言動にも、まことに遺憾な点があったことは明らかでございます。先般の国会乱入事件に対しましては、国民のひとしくひんしゅくしたところでございまして、その批判のもとに、計画実施に参加した者も、また指導した者も、ごく一部の者を除けば一応反省している様子もうかがい得るのでございます。従って、再びかかる醜態を繰り返さないように、国民の一人一人が自戒して行動するならば、あえて本法成立をはからなくても、現行の警察官職務執行法、都の公安条例、その他の取り締まり法規を厳正適切に運用することによりまして、十分取り締まり得るものと思うのでございます。万が一にも今後の情勢において再び憂慮するような事態に立ち至ったならば、そのときには、単に国会周辺に限らず、もっと徹底した根本的取り締まり法をとくと検討することといたしまして、この際の立法に対しましては強く反対するものでございます。  次に、同志会から提出されました修正案は、本法のような取り締まり法規がこの際必要であるとの前提に立って、原案のあいまいさを幾分でも取り除き、本法発動に際しての議長責任をより明確ならしめようとするものと考えられるのでございますが、先ほど来申し述べました諸点についてこれを見るときに、原案同様の批判がそのまま当てはまると考えられますので、従いまして、原案の手直し以上の根本的考察をも加えた上の修正案とは受け取りがたいのでございまして、ここに修正案にも反対せざるを得ないのでございます。  以上が私の反対討論でございます。
  27. 高橋進太郎

  28. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 先ほど修正案趣旨説明で申し上げましたので、私は多くを申し上げることを避けますが、先ほど皆様に提案をいたしまして御考慮をお願いしました修正案自体につきましては、無所属クラブを除いて言及がなかったのでございますが、私は、万が一この修正案通りまして原案に修正が施されるならば賛成し、これがいれられないならば原案に反対いたす、かような立場で討論いたしたいと思います。で、いろいろの点から賛成、反対の御意見が述べられましたが、私は、きわめて常識的な考え方、これは非常に大事だと思うのでございまして、この国会審議権確保のための秩序保持ということは、これはもう何といいますか、絶対に必要なことである、私はかような確信に基づいておる次第でございます。従いまして、これが達成されるならば、何もなくて達成されるならば、わざわざこういう法律は要らない、かような考え方をいたしております。  この国会審議権確保のための秩序保持でございますが、私はこれには要因が二つあると思う。一つは内部的要因であり、一つは外部的要因であると思うのでございます。で、内部的要因は、これは国会議員みずからがこれの確保責任を負うわけでございまして、このために、第三十一国会におきましても、両党の首脳者が集まって、四者会談において申し合わせを行なっておる。それを読み上げますと、第一項には、「正副議長の党籍離脱の慣行を樹立すること」というのが最初にあり、第二には、「院内における議事の円滑なる運営を図る為」━━これは言葉をかえて言えば、国会審議権確保のための秩序保持ということでございましょう。このためには、「法規、慣例、申合せ、決議を厳に尊重し」と、こう言っておるのでございますが、この正副議長の党籍離脱につきましても、あの警職法提案当時、一時的に離脱をするということの申し合わせではなくて、これは明らかに「慣行を樹立すること」と相なっておる。にもかかわらず、参議院におきましては、いまだ一回も最近において離脱の形跡はございませんし、せっかくこの慣行が樹立しかけようとした衆議院におきましても、ただ一回こっきりで、ただいまの正副議長は党籍を離脱していない。すなわち、この申し合わせの第一項のこのポイントを明らかに無視をしておるのが現況でございます。その他、慣例、申し合わせ、決議も、申し合わせの点は、この点で「厳に尊重し」ということに反しておりまして、頭からこれは否認をされておるわけでございます。かような状態では、内部的から見た国会審議権確保のための秩序保持ということについては、私はきわめてさびしい感じを持つのでございます。  もう一つの要因は、外部からの問題でございますが、これは先ほどの討論で申し上げたように、あの十一月二十七日の事態は二度と再び繰り返すべきことではない。これはどなたにも考えられることでございます。で、当時国民がこぞって、これは困ったことだと考え、これは何かやはり考えなくちゃなるまいという感じなり信念を持ったと思うのでございますが、日がたちまして、その後こういうことが続かないということからだんだんその印象は薄れてきておるような印象を受けますが、私は絶対こういうことは二度繰り返してもらいたくないということで、それが先ほど申しましたお互いの議員だけの反省、あるいは外部の方の反省ということで達成せられるならば、私はこうした法律は全く不要である、かように思います。諸外国で実施されているということの例を塩見委員も述べられましたが、しかし、これはきわめて古い法律であって、現在は私は、国民の信念として、せっかく自分が民主主義の殿堂として、民主政治を行なう場所として選んだ国会を、みずからの手でこれを育てるということは、もう議会政治になれた国では信念になりつつあって、かような法律は不要になりつつあるというように理解をいたしております。私はそう早くなることを心から期待をいたすものでございます。  この内的、外的両要因については、ほんとうにわれわれも真剣に考えなければならない問題であると確信いたすのでございます。法的にいろいろの不備があり、法的にいろいろの疑念はありますけれども、それがもし、この審議権確保のための秩序保持についてほんとうに懸念があるならば、われわれは真剣に考えなければならぬ問題であると考えるのでございます。従って、そのような点について、この法律をさらに疑念をなくするために修正案提出いたした次第でございますが、何とぞ修正案に皆様方の御賛同を賜わらんことをこいねがいまして、討論を終わります。
  29. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  まず、加賀山提出修正案を問題に供します。本修正案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  31. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 少数と認めます。よって本修正案は否決されました。  次に、国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案、原案全部を問題に供します。本案を第三十三回国会衆議院提出の原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  32. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本会議の都合もございますので、暫時休憩いたします。    午後零時三十九分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕    —————・—————