○国務大臣(岸信介君)
国会周辺の秩序、静穏を維持するのについて、適当なる方法を定める必要がある、警職法のときの経験にかんがみて、何らかこれについて両党で特別
委員会を作って
一つ審議しようじゃないかということを両党の党首が申し合わせたことは、今
お話の
通りであります。しかし、この点については、再三
自民党側から
社会党に、そういう特別
委員会を作るように申し入れたのでありますけれども、不幸にしてそれは実現しなかったのであります。問題は、全然別個の新しい事態に処するために、
議員の一部から
議員提案の形においてこの案が提案されたということでありまして、実はあの申し合わせのように、両党が
委員を出して特別
委員会において
審議して、そうして成案を得たということであるならば、おそらくこの案が提案され、その
結論の
通りに出ているならば、この案が提案されて一週間もたたぬうちに
両院を通過したのであろうと思います。しかし、不幸にしてそれが実現できなかったために、なかなか御
審議もいろいろ御議論が出ているわけでありまして、そういうことから申しますというと、あの条項が全部私は実現されたとも思いません。それから、
議長、副
議長の問題についてあのときに印し合わせをいたしましたことも、実は、もちろん私は
自民党の総裁として、鈴木
委員長はおそらく
社会党の
委員長として会われたのでありますけれども、両党とも、この
参議院というものについては、一方からいえば
自民党であり
社会党であるけれども、やはりある
程度の独自性というものが認められている、両党とも私はそうだと思う。そうでなければ、
両院制度というもののやはり意義がなくなって、全然もう
社会党あるいは
自民党の総裁が言うままに、
衆議院も
参議院も全部動くのだ、それは動く問題もあります。しかしながら、いろいろ議事の運営であるとか、あるいは
議案に対する
意見であるとか、その他
審議の過程においてのいろいろな問題については、やはり
参議院は
参議院の独自の
立場を持っておって、それを尊重することによって、私は
両院制度というものが円満に運用ができるのだ、意義を発揮できるのだ、こういう
意味において、
社会党でもそうであったようでありますが、私の方でもそういう
意味において、あのときの申し合わせを全部そのままこの
参議院に、すぐ、ここで申し合わせたからこれでやろうという
結論を出すという情勢ではなかったわけであります。従って、今お読みになりましたように、やはり
参議院の自主性というものは認めて、しかもその趣旨をなるべく達するように努力しようじゃないか、こういう申し合わせになったわけでございます。まあ、そういうことでございます。その後両党の党首で申し合わせたのでございますが、いろいろまた政治的の政党の間の変遷もございまして、ただ鈴木
委員長と私とが申し合わせたことについて、それが全然
関係のない会派の人々をもこの
通りやるということは、まずむずかしい
事情も最近起こっている状況でございます。しかし、私は趣旨として、これがそのまま実現できるかどうかは別として、この申し合わせた趣旨というものは、
国会政治というものの公正な運営及びその信用を高むる上から、やはりその精神は尊重していきたいというのが私の念願であります。ただ、それが形式的にそのままいけるかどうかという、すぐいけたかどうか。その後の
事情を一切無視して、そのまま、こういう申し合わせがあるのだから、形式的にこれを押しつけるということは
考えずに、そのように盛られている精神をお互いに尊重していくようにしていきたいと、こう思っております。