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1960-03-08 第34回国会 参議院 議院運営委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月八日(火曜日)    午前十一時十八分開会   —————————————   委員の異動 三月五日委員後藤義隆君、佐野廣君及 び北畠教真辞任につき、その補欠と して高橋衛君、重政庸徳君及び吉江勝 保君を議長において指名した。 三月七日委員重政庸徳君及び高橋衛辞任につき、その補欠として佐野廣君 及び後藤義隆君を議長において指名し た。 本日委員吉江勝保君及び中村順造君辞 任につき、その補欠として北畠教真君 及び豊瀬禎一君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋進太郎君    理事            塩見 俊二君            田中 茂穂君            阿部 竹松君            光村 甚助君            向井 長年君            北條 雋八君    委員            天埜 良吉君            石谷 憲男君            鹿島 俊雄君            北畠 教真君            後藤 義隆君            佐野  廣君            鈴木 恭一君            徳永 正利君            鍋島 直紹君            松野 孝一君            村上 春藏君            占部 秀男君            椿  繁夫君            豊瀬 禎一君            安田 敏雄君            米田  勲君            永末 英一君   衆議院議員            佐々木盛雄君            長谷川 峻君   事務局側    事 務 総 長 河野 義克君    事 務 次 長 宮坂 完孝君    議 事 部 長 海保 勇三君    委 員 部 長 岸田  実君    委員部副部長  若江 幾造君    記 録 部 長 佐藤 忠雄君    警 務 部 長 渡辺  猛君    庶 務 部 長 小沢 俊郎君    管 理 部 長 佐藤 吉弘君   法制局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君   衆議院法制局側    法 制 次 長 三浦 義男君   —————————————   本日の会議に付した案件国会審議権確保のための秩序保  持に関する法律案(第三十三回国会  衆議院提出)(継続案件)   —————————————
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより議院運営委員会を開会いたします。  国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 椿繁夫

    椿繁夫君 前回資料をお願いいたしましたが、まだいただいておりませんので、重ねて要求をいたしたいと思います。登院と公正な審議権確保法律案をお互いに審議しておるわけでありますが、何もないときに出席をしない、長期にわたって出席をされない議員登院を促し、審議権をもっと十二分に発揮していただく必要もありますので、それについて、あまりたくさんの人の資料要求してもどうかと思いますので、衆議院本名程度、本院で五名程度理由なく長期にわたって欠席しておる人の順位をつけてお願いしたいと思っておるのです。前回お願いしましたけれども、まだいただいておりませんので、重ねて要求をする次第であります。
  4. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ちょっと委員長から椿さんにお尋ねいたしますが、理由なくと言うとむずかしいのですが、どうですか。この前のときには、要するに長期にわたる欠席者を十名ないし五名ということでしたが、それでもいいわけですな。その理由まで調べなくちゃならぬのですか。
  5. 椿繁夫

    椿繁夫君 その理由は、たとえば公務のために出張をしておられるとか、あるいは海外旅行のための欠席であるとかいうふうな、院の許可を得て欠席しておられる人は別という意味であります。
  6. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) わかりました。
  7. 安田敏雄

    安田敏雄君 三月四日の本委員会において、提案者であります佐々木議員から、米田さんの質問に対しまして趣旨弁明が行なわれました。私はあの佐々木さんの弁明を見まして、これまでの本委員会審議及び議運地方行政・法務の連合審査会審議してきたその過程からいたしまして、先日の時点では、佐々木さんがとった態度というもの、さらにはあの趣旨弁明につきましては了解いたしますが、これから審議するにあたりまして、あの弁明につきまして責任が今後はたして持てるかどうかということを、まずもってお伺いしたいと思います。
  8. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 責任をもって申し上げたわけであります。
  9. 安田敏雄

    安田敏雄君 それならば、今後この法案審議する際に、今後も質疑応答が相当繰り返されていくということも想像できるわけでございますが、そういう時点に達した場合において、また再び誤解があるからというような理由によって見解を変えられるようなことがありますと、審議が非常に停頓するし、委員会審議の権威にも関係するわけでございますが、そういうようなことが再び先日のようにまた繰り返されるのかどうか。こういうような点につきましてはっきりしたお考えを伺いたいと思うわけであります。
  10. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 今御指摘の件は、去る三月四日午後の当委員会において、私が従来の誤解を一掃するために申し上げましたことに関連してのお話だと思います。その限りにおきましては、私もまた提案者一同よく相談をして皆様にもお約束を申し上げた次第でありまするから、この私の趣旨に変更を来たすようなことはございません。
  11. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこで提案者にお尋ねいたしますが、提案者は、この法案か、国会議員登院国会の公正な審議権確保するということ、あわせて国会周辺静穏を保つためということを、常に説明しておられるわけでございますが、今日の段階においてもそのお考えに変わりはないかどうか。
  12. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) もとより変わりはございません。
  13. 安田敏雄

    安田敏雄君 先日の趣旨弁明では、その上に、ただいま変わりがないと言ったそのこと以外に、後段の方におきましては、警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるものであり、その権能発動に伴って国民権利を拘束し、国民義務を課するものであります」。こういうことを一つ発展段階として国民を対象にして国民権利関係する問題として述べておるわけでございますが、この点もあわせて新しい段階といたしまして確認できるかどうか、お答え願いたいと思うのであります。
  14. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいまの御質疑は、本法の第一条の(法律の目的)に関して、「国会議事堂周辺静穏を保つことにより、国会議員登院国会審議権の公正な行使確保」するという点と、本法五条第二項におきとまして、要請を受けた警視総監が、必要な限度において警告制止を行なうことができるという規定についてのことであろうと思います。前段はその通りでありますが、後段につきまして、前回私が申し上げましたのは、第五条第二項につきましては、従来の警職法以外に、本法において新たに警告制止の諸、要件を与えたわけでありまするから、従って、その限りにおいては国民権利義務規制するものである、こう申した次第であります。
  15. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこでお尋ね申し上げますが、先日の米田委員質疑に対しまして、あなたがあのような趣旨弁明を申されたわけでございますが、これは、従来やって参りました連合審査会以前における議運質疑応答とは、全く別の新しい角度に立ってあなたが弁明されているというふうに受け取れるわけでありますが、その点はどういうことになりますか。
  16. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私はもう過去のことについては繰り返すことを避けたいと思いますが、御質問でありまするから、ちょっとだけ申し上げておくわけでありますが、私自身はそう矛盾したことを申し上げたとは思わなかったわけであります。しかしながら、さらに具体的な問題になって参りまして、皆様にも誤解を招いたこともあったので、従来私の言ったことを、全部新しいこの私の釈明と変えていただきたい、こういう意味におきまして、当議院運営委員会理事会におきましてもお諮りをした上で、できた文言でございますから、過去のことを私がここで申しますと、また弁解をするのじゃないか、こういうふうなお話になりますから、先ほど私が申しましたこと、つまり三月四日にここで私が釈明いたしました点、これが私の真意であったというふうに御了解いただきたいと存じます。
  17. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、従来三月四日以前においては、常に提案者佐々木議員は、単にこの法案議長要請権だけである、そうしてまた同時に、要請を受けた側においては、すなわち東京都の公安委員会並びに警視総監においては、その権限発動自主的決定だということを、先日以前においては常に主張しておられた。ところが先日におきましては、先ほど私が申し上げたように、「警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるものであり、」こういうように発展してきたわけなんです。そうしますと、どうもそこの食い違いがはっきりしないわけなんでございますが、この点についてもう少し具体的の解明をいただきたい。
  18. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) まだ、だいぶ誤解がある、六うでありまするが、第五条第三、項につきましては、結論だけを先に申しまするならば、これは警視総監自主的判断によって、警告制止をやろうがやるまいが、それは自由でございます。議長はそれに対して要請するだけのことであります。しかし、職権を与えたわけでありまするから、しからばその与えられた職権というものの根拠法規はどこにあるか、こういうふうな御質問でございましたら、第五条第二項に該当する、こういうふうに申すわけであります。しかしながら、この第五条第二項に基づいて警視総監警告制止職権発動するかどうかということは、もっぱら警視総監自主的判断によるものでございます。
  19. 安田敏雄

    安田敏雄君 どうもそこのところがおかしいので、先日も米田さんの質疑に対しましてあなたは趣旨弁明をしておられます。新たにこれは国民権利を拘束し、国民義務を課するものであるというように、一つの何か人権関係するような問題までもこの弁明の中で発展しているわけです。私どもはこれを見て、それ以前の発言について、委員会あるいは連合審再会においての審議経過をあなたが一応取り消したというように考えておるわけなんです。この点はどうなんですか。
  20. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) あまり過去にはさかのぼりたくないと思うのでありまするが、私は三月四日午後の当委員会において釈明をいたしましたことは、そのときに忽然として新らしい解釈を持ち出したものではございません。同趣旨のことは、少なくとも連合審査が始まって以来というものは、終始主張して参ったわけでございます。しかし、米田委員の御質問等におきましては、その前の当議院運営委員会においてはこれとは違ったような発言をしておるのではないか、こういうふうなお話でございましたので、私といたしましては、別に違ったことを言っているつもりではないが、しかしながら、いろいろ皆様にも誤解を与えたり、私の釈明も不十分の点があったと思うから、一つ従来のことを全部ここであらためて確認を願いたい、こういう意味におきまして、当議運理事会におきましてもその文書等も諮った上で御了解を得たと、私は解釈をいたしておったわけであります。従って、その文言の中の、たとえば「警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるものであり、その権能発動に伴って国民権利を拘束し、国民義務を課する」という言葉につきましても、この受ける印象が、権利を拘束し、国民義務を課するということは、私、提案者としては、あまり適当な表現ではないのかとも思いましたけれども、せっかくの大体のお話がついておるようでありまするし、またこのことに間違いがあるわけではございません。その権能発動に伴って、その限りにおいて国民権利義務影響があるわけでありまするから、従って、これでもけっこうのことでありまするから、私もその通りに了承したようなわけでございますから、私の主張は決して変わっているわけではございません。
  21. 安田敏雄

    安田敏雄君 私は、先日のあなたの趣旨弁明を率直に受け取っておるわけなんです。そうしますと、何かそれ前の委員会連合審査会審議状況が一応新らしい段階に立っているわけであります。一応私どもといたしましては、前の論議中心点であった問題をあなたが取り消したようにこの文は出ているわけなんです。そうしますと、これは、あなたが本会議で、昨年の十二月二十五日に占部議員質疑に対しましていろいろ答弁をしておりますが、そのときの問題までも発展してくるわけなんです。そうしますと、そのときの関係委員会における関係との問題において、本会議にまで一体あなたは責任を負うのかどうか、こういうことになるわけなんですけれども、この点はどうですか。
  22. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、本会議におきましても、ただいま私が述べたことと異なったことを申したとは考えてはおりません。また、少なくとも、参議院における連合審査が行なわれまして以来、数回にわたる委員会におきましては、終始三月四日の私の釈明と同じ趣旨のことを反復して参ったのであります。ただ、米田委員その他の方から、この前のこの議院運営委員会で言っておることとは少し話が違うじゃないか、こういうふうな御追及がございましたので、その前のことを訂正するというか、釈明するというか、そういう意味において三月四日の時点において私の釈明を申したわけでございます。従いまして、その本会議で私が申したことまで訂正しようとか取り消そうとかいうような考え方は毛頭持っておりません。私が意地を張るわけじゃございませんが、私の申しておることは、決して今日まで変わったことを申しておるわけじゃありません。ただ、皆さん誤解を与えたり、私の釈明が不十分であって、皆さんに御迷惑をかけたりしておる点を、三月四日の時点においてあらためて確認をしてもらったに過ぎないわけであります。
  23. 安田敏雄

    安田敏雄君 それではお伺いいたしますが、あなたは連合審査会において、公安条例第四条あるいは警職法五条の場合と、それから本法五条二項に基づいて必要な措置がとり得るということを、新らしい問題として発言しているわけなんです。こういうことがその前の議運には全然言ってなかったという点で、あなたは米田議員追及を受けたわけなんです。そこで趣旨弁明をしたわけです。ところが、本会議においても、前の議運のときと同じようなことをあなたは申しておるわけでございます。ちょっと速記録を読みますけれども、「この要請がなされたときは、公安委員会はこれに対応して必要な措置を講ずるようにすることとし、また、警察官は、その集団示威運動等主催者責任者参加者に対して、必要な限度において警告を発したり、その行為制止したりすることができるようにいたしたのであります。しかしながら、これらの要請を受けた公安委員会警視総監がいかなる措置をとるかは、もっぱらその自主的決定にゆだねたのであります。」それからさらに、最後の占部議員質問に対しまして、「この法律基本的人権をしばるものであって、治安関係法律ではないかという御質問でございます。私たちは全く見解を輿にいたしておりまして、さような治安関係法規であるとは考えません。ただ、一般警察権について議長要請する権限を与えたのにすぎないのでありまして、その議長よりの要請を受けた公安委員会ないし警視総監がいかなる措置をするかは、それぞれに与えられた独自の権限に基づいて自主的決定をする次第でありまするから、決して治安関係法規ではございません。」こう言っている。それからさらに、「東京都の公安委員会あるいは警視総監に対して適当な措置をとるべきことを要請をするわけでありまするから、これは三権分立の精神から申しましても、議長はただ要請をするにとどまるわけでありまして、要請を受けた公安委員会警視総監がいかなる措置をとるかということは、もっぱらそれぞれの自主的決定にゆだねられたところであります。」、こういうようにあなたは申しておるわけなんです。ところが、連合審査会におきましては、新たにそうでない発言をしておるわけなんです。これが米田さんの追及にあって先日のような趣旨弁明を出してきたわけなんです。しかもこれは、このような質疑連合審査会までの間における議運における論議焦点だったわけです。ですから、それを先日の趣旨弁明で一応取り消したということになるとするならば、当然本会議までもこれは及んでいかなければならぬと思うわけでございますが、この点はどうなんです。
  24. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 少しあなたの御説明の中に誤解があるようであります。私は今読み上げられた速記録を取り消さなければならぬ個所はどこにも発見できません。私の言ったことと今日同じことをここで聞かれても同じことを繰り返すだけのことであります。議長はただ要請をするだけ、それを受けた公安委員会警視総監自主的決定をするのだ、それはむろんその通りであります。それからまた、治安関係法規ではないかというお説でありまするが、私たちは、そうではなくて、これは国会関係法規である、これは見解の相違かもわかりません。そのことを私たちは今ここで訂正しなければならぬとは少しも考えませんし、三月四日に私が申し上げたことは、そんなことを含んで訂正したのではございません。
  25. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、先日の弁明後段に、「警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるものであり、」こういう句があるわけなんです。これについて一つ具体的なあなたの考え方をお示し願いたい。
  26. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私の申し上げておるのは、第一五条第二項に基づいて警察官警告制止職権を与えたことになります。しかし、そのことと警視総監自主的決定ということとは、同一のことではないわけであります。なるほど第五条第二項によって警告制止職権を与えました。しかし、与えられた職権発動するか否かは、もっぱら警視総監自主的判断とその決定に待つわけであります。
  27. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ちょっと関連して。佐々木さんの今の答弁ですが、私もこの項に関連して、現行刑法の全部の個条をあげ、また警察官職務執行法の具体的な個条をあげて質問した際に、あなたが今答弁されている言葉内容は違っておったはずです。と申しますのは、私ども焦点としてあなたにはっきりただしたところは、議長要請権公安委員会ないしは警視総監の自主権の問題と同時に刑法警職法をあげましたのは、現行法規以外の新たな規制をこの法律によってするかどうかをただした。その際に、あなたは、占部委員質問、その他の委員質問に対して単なる要請権だけであって、法律全体を通じて新たに権能を与えたり国民権利義務を拘束するものでないという答弁をしております。もちろん、あなたがおっしゃっている法律の四条ですか、議長要請権のところだけを取り上げると、あなたのおっしゃっていることは必ずしも帝強付会ではない。しかし、五条に起こってくる内容が問題です。だから、要請権に関する限りはそうですし、またあなたがおっしゃっているように、「ようにしなければならない」というのが、法律用語として期待性であるということは一歩譲歩しても、五条の二項によっても、一項によっても、本来の職権のほかに、この法律は新たに警察官に対して権限を与え、国民権利義務を拘束しようとしているということが、法律の条文に明らかに書いてあるにもかかわらず、提案者は全然そのことを否定してきたでしょう。それを、あなたの先ほどの答弁によりますと、私の答弁食い違いはないけれども、従来の答弁確認する意味において、理事その他の方々がお話し合いになった趣旨で、私は必ずしもあの言葉は適当と思わないけれども、ああいうふうに弁明しました、こういうことですね。そうすると提案者は、この法律が、当初から、議長の、要請権、すなわち四条だけで、五条のそのほかに新たに制止警告をするということはお気付きにならなかったのか。気付いておりながら、その新たに現行法規以外の規制をこの法律全般がするものではないという答弁が、どこから出てきたのか。ただいまの本会議における速記録を見ましても、議運における答弁とほとんど、てにおは以外は同じなんです。その点の、議長要請権だけを取り上げるとその通りになる。ところが五条においては、この法律議長要請権だけではない。五条においては、従来の職権のほかに新たに職権を与え、従って国民権利義務に対して、あなたの言葉通りに、拘束をする、規制をしている。この関係を、あなたは、従来の答弁と、今もなおその後の答弁食い違いを絶対に間違いないと、こうおっしゃるのですか。その関係をもう少し明らかにしていただきたい。
  28. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、もうすでに少なくとも三月四日の私の釈明によって、この問の問題は皆さんに御了解を願って解決済みだと思っておったので、あまり前のことに遡及して触れたくはございません。しかし、お尋ねなれば、不本意ながら私の主張を繰り返さなければなりませんけれども、ここに誤解があったと思うのでありますが、それは、新しい職権を加えるものでないと私は主張してきたのであります。というのは、私は、職権内容というものは本法において警告制止以外にはないわけでありますし、警職法におきましても警告制止以外にはないわけでございます。従って、別にことさらに新しい職権を加えたものでない、内容においてはちっとも変わらない、こういう趣旨を私は強調したかったわけであります。しかしながら、それを発動する要件は少し異なっているじゃないかといわれれば、なるほど要件は異なっていると思います。つまり従来は、警職法の第五条におきまして、まさに犯罪が行なわれようとするとき、またその犯罪行為によって人の生命財産に危害を加えようとするとき、そのことが非常に急を要すという場合においては制止することができるという職権がございますが、それに置きかえるに、今回は国会議員登院国会の公正な審議権行使、これが阻害されるという場合になるわけでありますから、発動する要件は確かに異なっておる。従って、その限りにおいては、従来の警職法になかったことではないかと言われますならば、なるほどワクを越えたということも言えると思うのであります。しかし私たちは、従来は警告制止ワクを越えて警官が勝手なことができるのだというようなことではないのだ、そういう意味においては、新しく国民権利義務影響を与えるものではないのだ、こういうことを私は強調したかった。ところが、発動する要件というのが異なっておるじゃないか、その点を御指摘になって、そうして、これはワクを越えておるのではないかと言われるならば、確かにワクを越えておると認めざるを得ない。そこで、しからば根拠法はどういうものかとおっしゃいますならば、この警告制止規定を見ますと、公安条例の四条や警職法の第五条並びに本法の第五条第二項、これが根拠法規になるであろう、こういうことを申したわけでございます。しかし、私はもうすでに釈明したあとで、解決済みのことでありまするから、あまり私の我を張りたくはございません。しかしながら、まあ聞かれますならば、私はそういう矛盾したことは言っていないつもりでおったわけであります。    [阿部竹松君「議事進行について」と述ぶ〕
  29. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 阿部君。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 佐々木代議士は、理事会でまとまったことであるし、お話をしたくない、これはごもっともだと思います。理事会で確かにあなたの釈明文通りこれは各会派一致したことで、この問題については触れまいということも約束しました。しかし、いろいろお話を承っておりますと、あなたは、やはり心から釈明した条文通りに御理解になっておらないし、納得しておらないように、僕には聞えるわけです。たとえば読んでみましょうか。いろいろ話をあなたがやって参りまして、最後にこう書いてあります。「これは私の間違いでありまして、本法は、第五条第二項において、議員登院審議権確保のため、議長要請があった場合には、必要なる限度において、警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるものであり、その権能発動に伴って国民権利を拘束し、国民義務を課するものであります。」こう書いてあります。ですから、この文句の通り解釈しますと、あなたが本会議その他において、合同審査会までの答弁と、これにマッチしないわけですね。ですから、安田委員等のお尋ねするところは、これはこれで了解したのだが、あなたの前回までの話がすっかりひっくり返ったから、その前までのことはどうなるのかと————これは事務総長にお尋ねしなければなりませんが、あなたのお説でいくと、本会議答弁はそれは取り消す考えはごうもございません、こういうことなんです。本会議占部議員質問に対してのあなたの答弁がこれと一緒であるならばいいのですが、われわれが読んでみると全然違うのです。そうすると、委員会では取り消しました、ところが本会議では取り消しません、こういうことになると一体どういうことになるか、ということについて安田委員がお尋ねするという趣旨発言しておる。委員会と本会議との関連ですから、河野総長にもお尋ねしてみたいと思うのです。ですから、そのあたりを明確にしていただきたい。堂々めぐりをしておるから、まとまったようだけれどもまとまらぬような状態で、四日の委員会をまた繰り返しておるようですから、提案者の方には御苦労ですが、明確にして  いただければ、議事進行がスムーズに  いくのではないかと思います。
  31. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 佐々木盛雄君の発言を求めます。
  32. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 議事の円満な進行ということも大事なことでございますが、さりとて、私も議員として責任をもって答弁したことを、そう片っ端から円満な進行の犠牲になって前言をくつがえすことは不本意であります。ただいまお読み上げになりました本会議における私の答弁に関する限りにおきましては、本日また聞かれても同じことをこの時点において御答弁する以外にないわけであります。そのことまで含めて私は訂正をするというような考え方は少しも持っておりません。また、そのことで少し誤解があるのじゃないかと思うのでありまするが、つまり由主的判断というものは、もっぱら警視総監が行なう、あるいは公安委員長が行なうのだということと、第五条第二項によって従来の警職法になかった新しい要件が加わってきてその場合に警告制止職権発動できるのだということとは、おのずから別のことだと私は思うのです。私は、過去にまでさかのぼって取り消さなければならぬという字句は、ただ、いまお読み上げになった限りにおきましては少しもないと思うのです。私は決して我を張るわけでもない。どうか先の方に進んでいただきたいと思うのです。しかし、次から次へと前書を取り消せ、取り消せといっても、私はある程度妥協する限界点というものがあるわけでありますから、どうかもうこの辺のところで一つ了解願って、次の問題についてお進み願いたいと思います。
  33. 阿部竹松

    阿部竹松君 本会議委員会のことについて、これは河野事務総長にどうしてもお尋ねしなければなりませんが、その前に私は、提案者佐々木代議士に妥協しなさいとかどうしなさいということを言っているのじゃない。本会議から連合審査までに至る過程において、あなたの答弁は終始一貫して、国民義務を課するものではないということを論じてきたのですね。しかし、新たにこういうことで了解して下さいということになったから、いずれがほんとうか、本会議で言ったことがほんとうであるか、理事会でまとまったのがほんとうであるか、どっちかにしなければならぬわけですね。私は、理事会でまとまったことは、うそでした、とあなたが言ってもいい。僕たちの気に入ったような案文を作ってくれと言っているのじゃないのです。従って、終始すっきりと、社会党が賛成しようが、自民党が反対しまいが、法案というものは終始一貫同じでなければならぬ。それぞれの会議に出て、本会議委員会とで言うことが違っては、とても論議することができなくなるから、僕たちはどちらの方でもいいわけです。ここをあなたに取り消せ、妥協しなさいと、こうも言ってはおらぬ。論旨が違う、根拠が違うじゃないか、趣旨が違うということで申し上げておるのです。あなたに妥協してくれと一言も言いませんし、どちらか一方に筋を通してくれと言っているのです。
  34. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻来私が釈明申し上げていることが私の真意でありまするから、これで私としては筋が通っていると思っております。この間ここで私が読み上げましたのと、ただいま本会議の私の答弁とを対照していただきまして、別にそこに大きな食い違いがあると私は考えないのであります。私は別に、特に牽強付会のことを言っているとは思っておりません。    〔塩見俊二君議事進行」と述ぶ〕
  35. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 塩見君。
  36. 塩見俊二

    ○塩見俊二君 先ほどから安田委員豊瀬委員の御質問を伺っておったわけですが、その御質問内容につきましては、この前の理事会におきまして決定をいたしまして、そうして前の委員会の最終段階佐々木議員発言せられた、その内容で私は全部問題は解決いたしておると思います。また理事会でもそういう申し合わせで、この問題につきましてはあらためて論議をしない、こういうふうな申し合わせになっておったわけであります。それがただいままた新しい問題として本会議がどうとかいうことが問題になったようでありますが、これは佐々木議員も明らかに本会議答弁とは食い違いがないということを言っておられますので、もしこの点について疑義があれば、具体的に速記録等を調べて、その後に問題にしていただきまして、とにかくこの問題は、理事会申し合わせ通り、一応最終段階における釈明で私は解決しておると思いますから、これで打ち切りまして、次の問題の御審議に入っていただくように願いたい。
  37. 安田敏雄

    安田敏雄君 議事進行発言がありましたが、私、くどいようでありますが、先日の問題についてもう一ぺんその真意を聞きたいと思うのです。この間の弁明趣旨を見ますと、前提があるわけであります。最初からあなたの弁明を読みますと、「この法律が新たに国民権利を制約あるいは規制するものであるかどうか、また警職法ワク外、公安条例ワク外にわたってまで警察権を発動できるような根拠規定をこの法律が含んでおるかどうか、」、いわゆる現在の公安条例警職法にプラス・アルファしてその権能が発揮できるのかどうかと、こういう質問を従来の委員会で繰り返してきたわけであります。そうしたらあなたは、そういう「御質問に対する私の答弁は、御質問趣旨を、もっぱら警察行為発動形式である警告または制止の態様についてのお尋ねかと誤解して、本法は何ら新たにこれらの規定を含むものではありません」とあなたは言っておった。これを打ち消して、今度は、「ありませんと申し上げましたが、これは私の間違い」ですと、はっきり確認しているわけなんです。そうしますというと、この冒頭の前提の方が根拠になって、今度あなたは後段の方にいきまして、警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に付与したのだと、こういうことを言っておられるわけなんです。そうしますと、どうしてもこれを見ますと、これを率直に解しますと、公安条例あるいは警職法ワク外に警察官権限を与えるということを認めておるわけなんです。ですから私どもは、従前の委員会において、あなたの発言というものはすべて取り消したというようにこれは思われるわけなんだ。またそうわれわれ確信しているわけなんです。ですからその点のことを私は追及しているわけです。その点はどうなんですか。
  38. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、前書を取り消して、全然別個のことに置きかえたというふうには考えていないのです。私自身としては、皆様方には十分了解をしてもらえなかったけれども、今もあなた自身が指摘されましたように、こういう趣旨のお尋ねかと誤解をしてこういうふうに申し上げておりましたが、この点は私の誤解に基づくものであるから、従って私の答弁が間違っておったわけなんです。でありまするから、その限りにおいて訂正をするというわけでありまして、私はここでも申しておりまするように、警告制止職権を何ら越えるものでないから、その限りにおいては何ら国民権利を制約するものでないという趣旨のことを私は説明をいたしたかったのであります。しかし、本法五条の二項において警察官警告制止職権発動することができるようになったわけでありまするから、その限りにおいては、すべて国民法律を守らなければなりませんから、その意味においては確かに国民権利義務影響を与えてきた、こういうことを言うわけでありまして、私の申したことが決して矛盾をしておるとは私は考えていないわけであります。    [占部秀男君「議事進行」と述ぶ〕
  39. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 占部君。
  40. 占部秀男

    占部秀男君 佐々木さん、安田委員の言っておることは、あなたが先日発言された、自分がお尊ねを誤解して、本法は何ら新たにこれらの規定を含むものではないと言ったことは、これは間違いであって、「議長要請があった場合には、必要なる限度において、警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるものであり、」云々と、こういうように言われた、それと同じようなケースが本会議のときにでもあったのじゃないか。つまり私の質問に対してあなたが誤解をされて答弁をされたような点があったのじゃないか。そういうような点については、やはりこれと同じように取り消す一取り消すというか、そうじやなかったのだということを言ってもらわなくちゃ困るということを、安田さんも言っているわけであります。そういう点について一つ……。
  41. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 佐々木盛雄君の発言を求めます。
  42. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) しかしながら、ただいま安田委員がお読み上げになったことは、今、私にお聞きになっても同じことを繰り返すだけのことであります。従いまして、そのお読みになりました限りにおきましては、私は何ら訂正したり前言をくつがえす必要はなかろうと考えております。
  43. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ちょっとお諮りいたします。理事会におきましては、先ほど塩見君からお話のように、この問題につきましては御相談申し上げ、各派ともこれで一応この問題についての了解点に達した、従ってこれを基礎にして今後の質問ということになります。ので、従って前にいろいろな言葉のあやなり何なりで、この点はどうだったというようなことは、この問題に関する限りはこれで一つ了解を得たと、こう思っておったわけであります。しかし、いろいろそこいらの誤解もあるようでございますから、一応休憩いたしまして理事会におきましてもう一ぺんこの取り扱い等を相談したいと思いますので、暫時休憩したいと思います。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 休憩前に……。委員長の提案には賛成でありますが、確かに委員長の今お話の中に出て参りましたが、理事会では、もうこの問題には触れませんということについては意見の一致は見ました。ただそこで問題になるのは、最前若干発言の時間で申し上げた通り提案者の四日の午後の発言というのは、提案者が心から理解して賛成しているものだと僕は思います。しかし、わが党の委員質問提案者答弁、これを伺っていると、どうもほんとうに心から御理解なさっていないような気もいたしますので、それを御検討いただきたいのと、もう一つ、私ども理事会に出た者として、佐々木議員の間違った点の修正答弁については、全部修正されるものだと、ひいては本会議でこういう趣旨発言があったら本会議の分まで修正されるものだというふうに理解しておった。しかし、お話を承っていると、本会議の分については修正しません、こういうお話でありますから、もし本会議趣旨委員会趣旨と違うと大問題になるので、総長にその間の答弁を求めようとしたが、総長は席にいないようでありますから、総長と連絡をとって、本会議委員会関係も十分審議して、午後の劈頭に御答弁を願います。
  45. 向井長年

    ○向井長年君 ただいまの委員長お話は賛成であります。ただいま阿部理事からも言われました、佐々木さんのこの間の御答弁で読まれましたもの、あれをもう一回部屋に帰って明確に提案者として考えていただきたい。そうしませんと、あいまいな形で委員会を開いても同じだと思いますから。
  46. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これにて暫時休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。    午後零時九分休憩    午後一時五十一分開会
  47. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 議院運営委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国会審議権確保のための秩序保持に関する法律案を議題として質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  48. 安田敏雄

    安田敏雄君 提案者にお伺いいたしますが、三月四百の釈明後段における「国民権利を拘束し、国民義務を課するものであります。」という趣旨からいきますと、この問題につきましては、従来の委員会等においての経過から、あなたの趣旨弁明は一応了解するにいたしましても、昨年の十二月二十五日における本会議において、占部議員質問に対しまして、あなたは、速記録を見ますと次のような答弁をしているわけであります。「お答えいたします。第一に、この法律基本的人権をしばるものであって、治安関係法律ではないかという御質問でございます。私たちは全く見解を異にいたしておりまして、さような治安関係法規  であるとは考えません。ただ、一般警察権について」、次が大切でございますが一「議長要請する権限を与えたのにすぎないのでありまして、そ  の議長よりの要請を受けた公安委員会ないし警視総監がいかなる措置をするかは、」云々という言葉があるわけであります。さらに、それに続いて、「それぞれに与えられた独自の権限に基づ  いて自主的決定をする次第でありまするから、決して治安関係法規ではござ  いません。」、こういう答弁をしておるわけでございますけれども、この先日の趣旨弁明を見ますと、委員会論議の中においての弁明としては了解いたしますが、本会議のこの答弁とこの弁明とは、少しくどうしても食い違っておるというように考えられるわけでござ  いますが、この点をもう一度具体的に御説明順いたいと思うのであります。
  49. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 午前の当委員会においてもお答えをいたしたわけでございまするが、ただいまお読み上げになりました本法案の提案当時の私の答弁を、今訂正をするとかあるいはそれを撤回するというような意思は、私は毛頭持っておりません。それは、基本的人権を制限するものではないか、従ってこれは治安関係法規ではないかと、こういうふうな御質問でございましたので、本法によって新しく基本的人権に制約を加えるものではないという趣旨を申したわけでありまするし、また、議長要請権が生まれまするけれども議長からの要請があったからというて、公安委員会警視総監がどういう措置をとるかということは、もっぱら公安委員長警視総監自主的決定に基づくわけでありまするから、決してこれは新しく基本的人権に制約を加えるようなものではなく、従って治安関係法規ではないという趣旨のことを御答弁申し上げたわけであります。私の考え方が食い違っていない証拠に、提案理由の中にも、ここにありまするが、明らかに私はそのことを申し上げておるわけであります。本法の要点を列挙いたしましたその中におきまして、「警察官は、集団示威運動等主催者、統括者、責任者または参加者に対して、必要な限度にお  いて、警告を発し、またはその行為制止することができるようにいたしたのであります。」と言って、ここでも明らかにそのことを私は指摘をいたしておるわけであります。従って、今御指摘の点は、訂正する意思は持っておりません。
  50. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、十二月の本会議におけるこの答弁の一番中心点になるものは、一般警察権について議長要請をする権限を与えたのにすぎない、それ以外の権限は与えておらぬということをはっきりと申されておるわけなんです。ところが、先日の趣旨弁明によりますと、後段の方で、「本法は、第五条第二項において、議員登院審議権確保のため、議長要請があった場合には、必要なる限度において、警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるものであり、その権能発動に伴って国民権利を拘束し、国民義務を課するものであります。こういうようにあなたは言っておるわけなんです。どうしてもこの点において私は食い違いがあると認めておるわけなんだ。あなたは、全然食い違いがないと言っておるわけだ。この点をもう少し明らかにしてもらいたいと思う。
  51. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、今もこれを読んでみましても、少しも食い違っていないと思うんですが……。「ただ、一般警察権について議長要請する権限を与えたのにすぎないのでありまして、その議長よりの要請を受けた公安委員会ないし警視総監がいかなる措置をするかは、それぞれに与えられた独自の権限に基づいて自主的決定をする次第であります。」、これは少しも私は訂正する必要はなかろうと思う。ここで言う一般警察権というのは、一般警察権発動について議長要請する権限を与えたのにすぎないのであります、こういうのでありまするから、決して私の言っておることと矛盾はしていないと思います。しかも、議長のこれは要請権でありまするから、議長は単に要請をするだけでありまするから、従って、議長が警察権を発動するわけじゃないのであります。
  52. 椿繁夫

    椿繁夫君 それは、佐々木さん今お話通り本法警察官の出動を要請する権限議長に与えると同時に、あなたの「必要なる限度において、警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるものであり、その権能発動に伴って国民権利を拘束し、国民義務を課するものであります。」、議長に警察の出動要請権を与えるとともに、このような権限本法五条二項は与えるものであるということを、この間の四日のこの委員会のしまいに、あなたは説明を追加されて、そして、これまでそのような印象を皆さんに与えておったことは、説明の不十分「私の答弁の不十分により皆様に御迷惑をおかけいたしましたことをおわび申し上げます。」と、こう言っておられるのですから、安田君の御指摘通り、本会議のあなたの御説明並びに御答弁は、これとは違っているのであります。
  53. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、少しも矛盾していないと思うのでありまするが、もう少しそれを具体的に御指摘願いたいと思います。
  54. 椿繁夫

    椿繁夫君 これは、去年の十二月二十五日の本会議占部議員質問に答えて、あなたは、「この法律基本的人権をしばるものであって、治安関係法律ではないかという御質問でございます。私たちは全く見解を異にいたしておりまして、さような治安関係法規であるとは考えません。ただ、一般警察権について議長要請する権限を与えたのにすぎないのでありまして、その議長よりの要請を受けた公安委員会ないし警視総監がいかなる措置をするかは、それぞれに与えられた独自の権限に基づいて自主的決定をする次第でありまするから、決して治安関係法規ではございません。」と、こう言い切っておるのであります。これによりますと、本法は、あなたの当時の御説明では、議長に警察出動の要請権を与えるにすぎない、何ら国民基本的人権あるいはその表現の自由等について制限、規制を加えるものではないという趣旨の御答弁であります。ところが、だんだん審議をいたしておりまする間に、いや、そうじゃないと、五条二項のごときは、「警察官は、自らその職権行使するほか、」——「ほか」とは一体何ですか、「ほか」とは。本法の成立によって、これまでの警職法あるいは都公安条例、道路交通取締法など以外に、新たな警察作用を起こさせる権限を、この法律は与えることが明らかになったんであります。それで、あなたもそれをお認めになったんであります。でありますから、前回議運の最終のときに、あなたはこういうふうに言っておられる。ですから、その本会議の御説明と、この間の趣旨説明といいますか、訂正の御説明、説明の付加といいますか、この場合は、「その権能発動に伴って国民権利を拘束し、国民義務を課するものであります。」と、こう言っておられるのでありますから、これは非常な違いなんであります。これは、あなたを追い詰める意味で申し上げておるのではないのであります。本会議に御説明になりました当時はそういうおつもりであったが、審議がずっと進むに従って、専門家等もこの審議に入ってくるに従って、このような権限本法の成立によって起こってきておる、国民権利を一部拘束する内容が明らかになってきた。その結果、あなたの前回の最終の説明になったものと、こういうふうに理解しております。ですから、明らかに去年の十二月二十五日の本会議の御説明とは内容が変わってきておる、こういうことを申し上げておるのであります。ですから、このように修正されることが適当であろうと、こういうふうに申し上げておるのでありますから、そうだというふうにお認め願えれば、ずっと次の審議に入るわけであります。
  55. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ただいま椿委員は、議長権限というものと、それから警察官権限というものを混同されておるのじゃないかと思うのであります。私の申し上げておるのは、まず第一に、この本会議における私の答弁の要旨は、その冒頭に私が申し上げておりまするように、これは治安関係法規ではないか、これが重点の御質問だったので、決してこれは治安関係法規ではないのだ、議長が単なる要請をするにとどまるのだ、そうして具体的にいかなる警告制止措置をとるかということは、もっぱら警視総監公安委員会がやることである、こういうことを言ったのでありまして、これは議長要請権の問題であります。一方、第五条の第二項というものは、警察官に与えられた職権なんであります。議長職権じゃないわけであります。でありまするから、しからば議長からの要請を受けてどういう措置をとるかということは、警視総監自主的決定によってすればいいわけであります。極端なことを申しまするならば、議長要請通りの行動をとらなくても、この法律上はかまわないわけであります。あるいはまた、議長の期待しておるのと違ったような措置をとっても、これはいたし方ないことなんであります。しかし、そのときに警告制止をできる職権五条二、項によって与えられておるのです。でありまするから、しからばその警察官警告制止をするときの根拠になるところの法規というものはどこか、こういうふうに具体的にお聞きになりますならば、もとより警告制止規定があるのは、公安条例の四条であるとか、あるいは警職法五条であるとか、それはもとより根拠法規になることは当然のことなんでありまするが、並びに、この五条の二項というものも当然その根拠法規になり得るのだ、そういうことを私は申し上げたのでありまして、私の申し上げたことは、少しも矛盾もしていないし、取り消す必要も少しもなかろう、こう思っておるわけであります。    〔塩見俊二君「議事進行」と述ぶ]
  56. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 池見君。
  57. 塩見俊二

    ○塩見俊二君 午前中の議事の経過、それからまた、その後の理事会におきましてこの問題を扱ったわけでありまするが、この本会議における提案者答弁につきまして、ただいまのように一つ一つお互いに論争していく、こういうふうなことでなくて、午前中にも阿部理事から提案がありました通り、この問題は事務総長の意見を聞くのだということで、午前中あるいは午後の理事会はそういうふうに決定いたしたわけでありますので、委員長におきましてそういった取り扱いをいたされるようにお願いいたします。
  58. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは、ちょっと委員長から……。今、塩見君からの発言がありましたが、実は、これは正確に議論すれば、いろいろ受け取り方、提案者の気持と、それから質問者のまた質問等、若干食い違いの点もあると思うのです、それはまあなかなか気持の上で。表現ですから……。従って、そうなりますと、速記録等によって一字一句を吟味していって、それをはっきりさせないと、あるいは解決という意味にならぬと思います。しかし、最終的には、本会議であろうと委員会であろうと、提案者の一応最終的に統一した見解をこの問題については表明したわけですから、従って、この部分はこれならこれと照らしてどうか、あるいは、この部分はどうかということを議論しますと、これは今までの御質問一つ一つについて当たっていかなければならぬので、理事会におきましては、一応そういうものもひっくるめて、まあ最終的な提案者見解を表明したと、こう了解いたしておりますので、従って、いかがでしょうか、もし一つ一つということになりますると、今本会議の問題、あるいはその他の個所にもあるかと思いますから、これはまたその取り扱い等については、理事会であらためて速記録を基礎にして一つ一つ吟味していくなら吟味していかざるを得ないと思いますので、一応これはこの程度にして、もし午前中、阿部委員質問にもありました通り、本会議委員会との関係を事務総長に聞いておりますので、その点についてお尋ねをすることにして、保留ということではないですが、そういうような形で、一応この問題をお取り扱いをいただきたいと思いますが……。
  59. 椿繁夫

    椿繁夫君 わかりました。そうすると、こういうふうに理解をすればよろしいのですね。提案者のこの三月四日の当委員会において示された最後の御発言を、本会議委員会を通じての最終的な結論として受け取るということですね。その上に立って、何回か重ねておりますこの委員会速記録並びに十二月二十五日の本会議速記録の扱い、この最終的な提案者の意思の表明と相反し、あるいは矛盾する個所がある場合の取り扱いを、事務総長としてはいかにされるおつもりでありますかという問いに対して、お答えをいただきたい。
  60. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ちょっと委員長から椿さんに申し上げますが、それは事務総長に聞く問題でなくて、私の了承しているのは、阿部委員発言は、事務総長が、本会議の説明と委員会での答弁とが、もし食い違った場合においての効力の問題、あるいはそれらの食い違いの問題というものは、事務上、国会法の規則や何かから見て、どう取り扱うかという御質問であろうと思います。従って、今の御質問趣旨については、むしろ、これは事務総長に対する質問ということは不適当である。ただ私の申し上げましたのは、提案者が最終的に申し上げた点が最終的な見解であり、従って、その見解の上に立って今後の議論をしていただく、こういうのが一応理事会での申し合わせでございます。から、そう御了承をいただきたいと思います。こういうことです。
  61. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) またこれは後ほどになって誤解が生まれるといけないから、私はあらかじめ申し上げておくわけでありますが、先刻来承っておりますと、三月四日に私が読み上げました一番最後のくだりのところで、「その権能発動に伴って国民権利を拘束し、国民義務を課するものであります。」と言ったことが、やや私の真意を誤解をされておるようでございます。私は、このことを基本的にくつがえすわけじゃございませんが、まあこういう意味でありますから、その点をよく御理解を願いたいと思います。これは、警告または制止をなし得る権能を新たに警察官に与えるものでありまして、その権能発動に伴って「国民権利を拘束し、義務を課するという意味でございます。でもし警察官権能発動するといたしまするならば、それに伴って、という意味でありまするから、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。警察官に新たな権限を与えるけれども、これは要請に基づいて直ちに発動されるかどうかということは、おのずから別問題なんであります。これは警視総監が自主的に判断するということでありまするから、その点はよく御了承を願っておきたいと思います。
  62. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ちょっと委員長から……。いかがでしょうか。先ほど提案者からも説明がございましたが、委員長が先ほど申し上げた通りに、この問題については、御了解によりまして一つ進めていただきたいと思いますが……。大体これは私一個の考えではない。理事会におきまして大体そういうような申し合わせの趣旨で、提案者から最終的な説明があり、何時に、一応そういうようなことを基礎にして、問題の取り扱いを一応理事会としては解決をいたした。こう考えておりますから……。
  63. 阿部竹松

    阿部竹松君 理事会決定したことは、三月四日の佐々木提案者弁明追加の問題をめぐって、これで一切、本件の国民義務権利を課するものであるかどうか、プラス、マイナスのことについては了解しているわけです。ただ問題は、しからば本会議まで影響するかどうかということについて、午前中、安田さん、あるいは椿さん、あるいは私なりからお尋ねしておったわけなんです。そうすると、佐々木さんの方では、それは何ら昨年提案したときの趣旨というものは今と一つも変わっておらぬ。四日の私が追加弁明したのと同じじゃないか、矛盾しておらないということをおっしゃっているわけです。私どもの方では、そう言っても、三月四日に佐々木さんが追加したのと、それから十二月に本会議趣旨説明したのとは違います、という立場に立って論争がなされているわけですよ。ですから、本会議趣旨と三月四日の趣旨と、この点まで網羅して、一切がっさいオーケーということであれば、これはもう理事会決定通りでよろしいけれども、私どもの方は、どうも十二月の本会議と三月四日の委員会内容が違うというように了解している。佐々木さんの方は同じだと言っている。このあたりが解決せぬ。それから、私が午前中、河野事務総長にお尋ねしたことは、佐々木さんは、違っておりません、本会議答弁の条項については取り消しませんとおっしゃいますが、私どもは違うという観点に立って、もしそういう場合には、一体どちらが有効であり、どちらが無効になるのか、あるいは食い違いが起きた場合に、一体どういう事務的な処置をとるのか、ということを河野総長にお尋ねしているわけです。だから、単に河野総長にお尋ねしても、こうなってきますと、なかなか問題が解決せぬわけです。従いまして私は、佐々木提案者が、十二月に言ったことも、あるいはその後、当委員会で言ったことも、一切三月四日の追加答弁に尽きるんだということであれば、これは簡単に解決して、あとは事務的に委員長がなされるか、あるいは事務的措置をとることは事務局がやられるのか、あるいは提案者みずから事務的措置をとってやられるか。それは事務上の問題ですから、やはり根本問題として、一切がっさい同じであるということに意見の一致を見るかどうかというところに問題があるような気がします。
  64. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 委員長からお答えしますが、私の申し上げていることは、こういうことです。午前中の論議を聞いておりますけれども、要するに、質問者は、本会議における発案者の趣旨と、それから三月四日に行なった趣旨とにおいて食い違いがあると言っている。それから提案者においては、食い違いがない、こう言っておりますことは、問題は、要するに質問者の方においては、提案者が五月四日に言っていることと、それから本会議における答弁との表現の仕方から見て、どうしてもこれは食い違いがあると、こう見ている。それから提案者の方は、自分の言っていることは、最終的には三月四日のことではあるけれども、今質問者の言っている本会議における私の趣旨は、そういう趣旨のことを言っているんじゃない。こういうことで、そのこと自体では少し食い違いがあるわけなんです。従って、委員長了解している点におきましては、提案者が最終的に三月四日にこの委員会において表明せられたのを、もしこの問題をかりに質問者も言っておられるとするならば、これは提案者も、この問題に関する限りにおいては、三月四日表明せられたものを最終的な見解として取り扱って差しつかえない、こういうふうに了承しておるわけです。従って、もし将来本会議等におきましての質問で、明らかにそういう問題等があり、同時に、それらについて委員長が報告の必要があるとするならば、これは委員長が、委員長報告なり何なりにつきまして、その点は明らかにしていきたいと、こう思っております。いかがでしょうか。そういうことで問題を進めていただいたらいいと思いますが。
  65. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、提案者が三月四日の分の解釈はこうですと言って、また追加説明を付加されたようですがね。しかし、それはそれとして、三月四日の佐々木提案者発言通りに、あらゆる点の表現の相違とかあるいは精神的相違を直す、三月四日に一本に統一すると委員長のおっしゃることは、その統一する作業を議運理事会でやる、こういうことですか。
  66. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) いや、もし必要があって、今言う通り、明らかに本会議なり何なりにおいて、三月四日の趣旨と私は違っているとは思わないのですけれども、また提案者もその点は違っていると思わないといっているけれども、それが明らかに三月四日に表明せられたこととこれが違うということならば、それは三月四日の表明ということに統一する。それから同時に、連合審査会においても、これはすでに提案者があれと同一の趣旨答弁しておられるわけでありますから、従って、単に議運委員会ではない、連合審査会においても同じことをやっておるわけでありますから、それがこの問題に関する提案者の最終的な表明と見て差しつかえない、こう思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  67. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういう趣旨で三月四日の佐々木追加提案説明に一切まとめる、その作業の、違った点があるかないかということは、議運理事会でやると、そういうことでわかりました。  そこで、事務的にはどうなるか。これはやる、やらぬということは、やはり議院運営委員会なりあるいは理事会あるいはそれぞれの機関できめるでしょうが、総長に、午前中の問題と合わせて、どういうことになるか、事務上の処理問題として御説明を伺っておきたい。
  68. 河野義克

    ○事務総長(河野義克君) 午前中、阿部委員からただいまのような御質疑があったそうでございますが、私はこの席に出ておりませんで失礼をいたしました。  それで、ただいまいろいろ応答のありましたように、提案者が本会議で述べられた内容と、委員会で三月四日に釈明をせられた内容が違うかどうかということは、私がかれこれ申し上げるべき筋合いではございませんが、阿部さんの御質疑に即しまして、本会議における提案者発言と三月四日の釈明が、かりに違っておったならば、そういうことはどういうことになるか、仮定の問題としてお答えを申し上げます。  国会で、一般に発言を取り消すとか変更するとか言いますが、その態様は、厳密に言いますと、三つあるかと思います。一つは、法規的と申しますか、会議録の上で訂正なり削除なりを何らかの形で表わさなければならないものと、もう一つは、後になって取り消された内容会議録の上にそのまま残るとともに、新たにこういうふうに変更されたという内容がやはり会議録の上に残っていくもの、その二つの態様があろうと思います。会議録の上で削除されたり訂正されたりいたしますのは、国会法の第百十六条によって議長発言の取り消しを命じたもの、あるいは本院規則の第五十一条によりまして委員会において委員長発言の取り消しを命じたものがその一つであります。それからもう一つは、本院規則第百五十八条によって、発言者が会議録が配付された日の翌日の午後五時までに発言の訂正を申し出る、それによって会議録が訂正される。これは発言の字句に限られますけれども、訂正を申し出た場合に、そういうことがなされる。これが会議録が削除ないし訂正される場合のことでございます。今日の場合、それが問題にならぬことは申すまでもないわけでございます。そうすると、残る問題は、そういった法規上あるいは形式上の問題ではなくて、会議録の上に現われないけれども趣旨が違うから、実際上、前の発言趣旨をかくかくに変更したいと、こういう問題でございます。これは、要するに議案を審議していく審議の必要に即して生ずる問題でありまするから、議案を審議している会議体において、その実態がはっきり委員各位に徹底すればよいことでございます。本国会になってからは、本委員会において審議されております現在の段階におきまして、本委員会におきまして第五条の二項がどういう内容を持つと提案者としては考えているかということが、委員各位に周知せられ、徹底をしておればよろしいわけであります。これと本会議関係でございますが、本国会といたしましては、初めから委員会審議から始まっておりますけれども、実際上、前国会において聞いたことが耳に残っておる関係もございましょう。そういうことがありますならば、本会議における本案の委員長報告がなされる際に、委員会審議に当たった委員長から、その問題の解明、すなわちその問題の解釈委員会審議の過程においてかくかくになったという経緯を、本会議に対して報告せられれば、委員外の議員の方々もよく了知せられるわけでありますので、本会議の議事の進行にも何ら差しつかえないことであると、かように考えるわけであります。いずれにしましても、ただいま問題になっている本会議委員会との関係におきましては、その本会議というものは前国会のことでございまするから、会期不継続の原則等から言いましても、形としての訂正とか、そういう問題は生じないように存じております。
  69. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、提案者にお伺いいたしますが、この第五条二項は、議長要請によって連鎖反応的にこれは効力を発するということになるわけなんですか。そういうふうに了解していいですか。
  70. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 原子力じゃないですから、連鎖反応という言葉が非常に妥当かどうか、ちょっと了解に苦しむわけでありますが、議長は、先刻来申し上げますように、要請権だけであります。しかも、議長警告を発しろとか、制止をしろとか、そういう具体的なことを、警職法第何条に基づいて、ないし公安条例第何条に基づいて、いかなる措置をとれということを要請するわけではないのであります。おそらくは議長が、この状態は国会議員登院と国政の公正な審議ができない、だから何とか善処してほしいということを要請するにすぎないのであります。従って、議長要請権というものを、すぐさま五条の二項に結びつけてお考えになりますので、議長国民権利義務を拘束するのだ、こういうふうに直結してお考えになるところに、私は誤解が生じてくるのじゃなかろうかと思うのであります。これは、警察官にそういう警告制止権限を与えたのにすぎないのでありまして、議長警告制止権限を与えたわけじゃございません。
  71. 安田敏雄

    安田敏雄君 今の点は、理事会の打ち合わせもあったし、ただいま委員長の御発言、事務総長の発言もありましたので、一応これは理事会であとの問題として、次の問題に入っていきます。  そこで、去る二日の公聴会におきまして、公述人七人に来てもらったわけなんです。私どもは、この法案審議をこれから続けていくに際しまして、公述人の参考意見というものはきわめて尊重しなければならないということになるわけです。従って、あのときに公述人に対しまして質問した中で、この法案治安関係の立法であるかどうかという点について聞きますと、大体五人の方は治安関係の立法である、こう言っておる。その法の客観的性質の中から考えても、治安関係の立法だということを答えております。さらにほかの二人は、治安関係を含んだ立法であるということを言っておるわけであります。そうしますと、どうも公述人のこの答えによりますと、私どもが今まで提案者質問してきたいろいろの過程から申し上げましても、治安関係の立法だというようにどうしても解されるわけなんですけれども、この点について提案者はどういうように考えておられるか。
  72. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私もあのときの公述人の御意見もかたわらで拝聴いたしたわけでありまするが、公述人は、まあ警察官権限にも関係のある部面も出てくるのだから、そういう意味からいえば治安関係法規とも言えるんじゃないか、こういうような御趣旨でなかったかと思うわけなんです。しかし、そういう御意見もそれはあってもけっこうだと思います。学者の御意見でありますから、いろいろな御意見があると思います。しからば提案者はどういう考えを持っているかということになれば、提案者は、これらの多くの公述人とは反対の見解を持っておるわけでありまして、これは、国会の周辺という限られた区域において、しかも国会議長、しかも国会の中におけるところの国政の公正な審議権、しかもそれを要請するものが議長である、こういうことでありまするから、明らかにこれは国会関係法規である、従って、抽象的な概念としてどちらに分けるかというならば、やはり私たちは、これは国会関係法規とでも言うのが妥当ではなかろうか、こう考えておるわけであります。
  73. 安田敏雄

    安田敏雄君 それならばお尋ねいたしますが、国会周辺静穏を保つため、あるいは国会議員登院と国政の審議権の公正な行使というようなものでございますが、これがかりに乱れたというような場合におきましては、これは公共の安全と秩序等を維持するということに対して、同一な意味を持っておるものか、相通ずるものか、こういう点について御説明願いたいと思うわけであります。
  74. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それは、第一条、第二条に関連してのことではなかろうかと思いまするが、まあ広い概念で言いまするならば、確かに公共の安全を破壊されるという範疇の中に入れてもいいんじゃないか、あるいはその中に含まれるものと解釈してもいいんじゃなかろうかと思います。
  75. 安田敏雄

    安田敏雄君 それならば、またこの問題が国の公安にかかわるという問題にも通じますか。そういう点を御説明願います。
  76. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) さように考えます。
  77. 安田敏雄

    安田敏雄君 提案者は、この法案があくまでも国会関係法だと、こういうことにきめつけておるわけでございますけれども議長警察権の問題はまた別にいたしまして、議長警察権の及ばない国会周辺に対しましてこの法案が効力を発生するように仕組まれておるわけであります。そうしますと、どうしても治安関係影響が出てくる、特に三月四日のあなたの最終発言におきましても、国民権利を拘束し、国民義務を課するものだと、こういうふうなことになって参りますと、最終発言といたしまして、どうしても治安関係あるいは治安を含んだというように考えられてくるわけでございますけれども、この点はどうなんでございますか。
  78. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは、考え方によっては、学者の意見であるとか、あるいは公述人の多数意見か少数意見か知りませんが、そういうふうにごらんになってもけっこうだと思うのです。しかし、私といたしましては、どちらに比重を置いて考えるかというと、これはやはり国会関係法規として考えるべきであるという私の見解を明らかにしたにすぎないわけでございます。しかも、もう先刻来、話が解決したと思いますから、これは繰り返しませんけれども、もとより直接に議長権限がすぐさま国民権利を拘束するというふうに私は申しておるわけではないのでありまして、議長は単なる要請権にすぎません。それを受けた公安委員会警視総監がいかなる措置をとるかということは、それぞれ自主的判断に基づいて適法な措置をとるということでございます。
  79. 安田敏雄

    安田敏雄君 先ほど、この国会議事堂の周辺の静穏が保たれるようにすること、あるいはまた国会議員登院国会審議権の公正な行使という問題は、公共の安全、秩序あるいはまた国の公安につながる問題である、こういうふうに認められたわけです。そうしますと、少なくとも立法府の最高権威者である両院の議長は、国の公安に関係するようなこれらの問題を処興する場合においては、なぜ東京都の公安委員会やあるいは警視総監に対して要請するのか。むしろ都道府県の警察を監督指揮するのは警察庁なんです。従って、その警察庁は国家公安委員会の管理下に置かれているわけです。そういう意味からいきますと、あえて東京都の公安委員会警視総監要請するのではなくて、むしろ国家公安委員長や警察庁の方に対しまして、この関係をつけていくことの方が、立法の趣旨からいっても、もしこういうような一名デモ禁止法と新聞紙上では言っておりますけれども、そういうようなものを立案するとするならば、その方が手続上順、当ではないかというようにも考えられるわけです。従って、特に都道府県の公安委員会は、国家公安委員会と緊密な連絡をとらなければならないということも警察法の中にも規定してございますし、あるいは都道府県の警察は警察庁の監督指揮を受けるという問題になってくるのです。こういうような問題までも配慮されて立法されるのが、私は常識かと考えるわけでございますが、それをあえて東京都の公安委員会あるいはまた警視総監を直接引き出して、これとの関係を結びつけるということにつきましては、少しく納得がいかないわけでございますが、この間の御説明を願いたいと思います。
  80. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻も申し上げましたように、国の公安にも関係のあることでもございまするが、しかし国会周辺という地域は東京都内のことでもありますし、その警備の責任を持っておりまする警視総監、また本法は集団デモに対する規制を加えるわけで、従ってこれは公安委員会がこういう事務を扱っているわけでありまするから、従って東京都の公安委員会要請することが最も妥当である。また事務的に申しましても、緊急を要する場合においては、直接議長から警視総監や公安委員長要請したからといって、決してこれは立法府が行政府に深く立ち入るというわけのものではなかろうと思います。
  81. 安田敏雄

    安田敏雄君 この法律の効果としてねらっているのは、東京都の公安委員長警視総監ではないはずなんです。東京都の公安条例そのものにあるということは、はっきりしているわけなんです。そう思いませんか。
  82. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ちょっと今の御質問趣旨がはっきりのみ込めなかったものですから、失礼ですが……。
  83. 安田敏雄

    安田敏雄君 この法律は、一応文面の中では、東京都の公安委員会並びに警視総監要請の対象としている。しかし、これが一ぺん施行されますと、法の根底をなすものは東京都の公安条例なんです。公安条例があるからこそ、引き出しになるのが警視総監東京都の公安委員会になっておるわけです。このゆえをもって、この法律のねらいというものが、東京都の公安条例が引き当てになっておるかということを聞いているわけです。
  84. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その引き当てというのはどういう意味か知りませんが……。
  85. 安田敏雄

    安田敏雄君 前提でもいいです。
  86. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) もとよりその公安条例に該当する部分については、公安条例を前提といたしております。また、警職法の場合もあれば、あるいは本法五条二項ということもあるわけでございます。
  87. 占部秀男

    占部秀男君 関連。安田委員のお尋ねしているのは、これは警察法規国会法規かという問題についてお尋ねしているのですが、ただいま佐々木さんの御答弁では、警察関係法規でもあれば、国会法規であるとも考えられるけれども議長要請するという問題や、議員登院確保するということや、それから国会の公正な審議権を保つというところにウエートを置いて、国会法規である、かように考えるのだと言われたと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
  88. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そうです。
  89. 占部秀男

    占部秀男君 それでお尋ねいたしたいのですが、佐々木さんが四日の日に釈明されました、今問題となっておる新しく付与されるというこの権能、これはやはり内容は警察関係権能である、かように考えるのですが、その点もよろしゅうございますか。
  90. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) そうでございます。
  91. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、そうなると、この法律の中で、警察官がみずから職権行使する、こういう点や、新しく加えられた権能というものは、いわばこれの内容は警察作用である、こういうことから、今、佐々木さんの言われるように、この法案が警察関係法の性格も含むという点については、私もその通りだと思うのですが、もう一つの点の、だからといって、国会法規の性格も含むという点は、ちょっと私としては受け取れないのです。その理由として、佐々木さんは四つあげられたのですが、まず議長要請ということを非常にウエートを持って考えられて、これは国会関係法規だと、こう言うのですが、この議長要請というのは、一体、国会法に基づく要請でございますかどうか。その点一つお伺いしたい。
  92. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国会法には、院外の静穏の保持についての規定はこの本法が成立すればこれによって与えられるわけでありますが、それ以外にはないと思います。
  93. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 占部君に申し上げますが、安田委員質問がまだ継続しているわけです。それですから、もしあなたが多岐にわたって御質問ならあなたにあとでお許しいたしますから、一つ安田君の質問を完結させようじゃないですか。
  94. 占部秀男

    占部秀男君 全部が関連してくるのだが、だから、そのことを今やっているんですが……。
  95. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 条文が短かいものですから、関連というと、どれも関連してくる。いいんですよ、いいけれども、今言う通り、そういうことで質問趣旨が非常に統一的でなくなることをおそれているわけですよ。それで、私は、どこまでも委員長としては、やはり質問者本来の質問を尊重しながら議事を進めていきたいということを念願するものですから……。
  96. 安田敏雄

    安田敏雄君 提案者国会法規であるというのはどうも……。私の考え方は、むしろ国の公安に関係があることだと言うならば、国家公安委員長あるいは警察庁の方に対してこれは要請すべきであるというように思うが、ところがあなたは、東京都には公安条例がある、しかもこの公安条例は治安立法なんです。これがあるからこそ、これを前提に東京都公安委員長並びに警視総監に対して要請するようになっておると、こう言っておる、それでいいですか。
  97. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、東京公安委員会あるいは警視総監に直接議長から要請することの方が妥当だと思います。その理由は、もう先刻述べた通りであります。
  98. 安田敏雄

    安田敏雄君 理由は何ですか。
  99. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) もう前に述べましたが、要するに、これは国会のことでありますが、国の公安に関係のあることは当然でありまするけれども、問題は、国会審議権確保ということが主たる目的なのであります。その目的達成のために、国会法の十九条でありまするか、議長の代表権というものに基づいて、議長が当該の東京都の公安委員会あるいは警視総監要請するということが適当であろうと、こう思います。
  100. 安田敏雄

    安田敏雄君 その東京都の公安委員長警視総監要請するのは、公安条例東京都に現実に存しておるから、それを前提にして要請しておるわけですか。
  101. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 公安条例に関します限りは、お説の通りでございます。
  102. 安田敏雄

    安田敏雄君 どうもわからないわけなんですけれども、そうしますと、この議長警察権というものが、国会の周辺といいますと院の外ですね、院の外へ及んでいくわけなんです。その院の外で現実に議長要請によって効力を発生するのは、東京都の公安委員長あるいは警視総監の指示に従って、警察官が周辺の道路において制止あるいはその他の行為をするわけです。そうしますと、東京都の公安条例がどうしても強い根拠になっておるわけです。そこで、東京都の公安条例は治安立法だということは、これはだれが見ても明らかであるわけなんです。その治安立法を根拠にして発動されるということになれば、どうしてもこれは治安立法だというふうに考えられるわけなんです。この点は一体どういうようにお考えになっておりますか。
  103. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 治安法規だとかあるいは国会関係法規だということについては、いろいろ御説は、この間の公述人のようにあると思います。しかし、先刻申しまするように、警察官職権に関することも含まれておるのだからあるいは治安関係じゃないかと譲ったり、あるいは、公安条例にも関係があるのだから治安関係法規と見た方がいいんじゃないかと、ごらんになることは御自由かと思います。しかし私たちは、どちらに重点を趣いておるかというと、先刻来申し上げておるように、国会関係法規として取り扱いたいということを申しておるにすぎないわけでございます。
  104. 安田敏雄

    安田敏雄君 この国会審議を通じましてはお互い見解が相違するというようにあなたはお答えなんですけれども、実際においてこの法律が施行されますと、これは治安立法としての性格を持って国民大衆に対しまして規制をしていくわけなんです。私はそういうように思っておる。立法された暁においてのあなたの考え方はどういうようなことになりますか。
  105. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 同じことを繰り返さざるを得ないわけなんです。私は、今、治安関係法規国会関係法規、こういう二つのカテゴリーがあるかどうか知りません。知りませんが、もしそのどちらかに分けろとおっしゃいますなれば、われわれは、これは国会関係法規として扱った方がいいと、こういうわけであります。それじゃ治安に全然関係がないのかというと、警察官職権にも関係があることでございまするから、治安関係であると言えば言えないこともなかろうと思います。そうおっしゃることがとても間違ったお説であるとも私は思いません。しかし、われわれ提案者の気持というものは、これはやはり国会審議権確保ということが主たる目的であるのだし、場所も国会周辺というように限定しているのだし、身分も国会議員ということに限定しているのだから、これは国会関係法規として扱うべきじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  106. 安田敏雄

    安田敏雄君 どうも提案者は、提案者の気持としては国会関係法案だということを常に主張しておるわけなんです。しかし、この法案国会で可決されて効力を発生するときになりますと、議長要請によって、国会周辺の集団示威運動が、静穏を保つために規制を受けるわけです。まあ一部か全体かわかりませんけれども、とにかく国会周辺において、この法案のあとに図示してある範囲内における集団示威運動が、静穏を害するおそれのあるときには、これは自動的に規制を受けるわけです。そうしますと、どうしてもこれは治安関係法律だというように、法の客観的な性質から言っても必然的になってくるわけです。そういうことをあなたが想定しておるとするならば、あるいはまた、あなた自体がそういうようにお考えになる方もあると、こういうことを言っておられるわけなんです。従って、そういう面からいきますと、あなたにしても実はこれは治安関係法律だというようにお考えにならんですか。
  107. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 繰り返して申しまするように、私はあなたとは見解を異にしております。従って私は、治安関係法規ということに重点を置くよりも、国会関係法規として扱うべきだと考えているわけであります。それから今お言葉の中に、議長要請権発動されたとしたならば自動的に国民のの権利義務規制するような「とになるというお話でありますが、自動的にとはわれわれは考えておりません。議長要請権にとどまるだけなんです。それを発動するかどうか、あるいは発動しないかもしれない、あるいはどんな発動の仕方するか、ことごとくは、かかって要請を受けた公安委員会警視総監側にあるわけであります。
  108. 永末英一

    ○永末英一君 この法律は「国会審議権確保のための秩序保持に関する」と書いてあるので、国会審議権確保内容はどういうことか見てみますと、第一条には、国会議員登院国会審議権の公正な行使確保することを目的にして、国会議事堂周辺静穏を保つことによってその目的を達する、こういう建前になっておりますが、提案者は、国会審議権確保ということは国会議事堂の周辺を静穏にしただけでいいというようにお考えですか。
  109. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 法律の目的は、国会議員登院国会審議権の公正な行使であります。その手段としては、当然、国会議事堂周辺静穏を保つことが必要である、こういう立場であります。
  110. 永末英一

    ○永末英一君 私がお尋ねしておりますのは、国会審議権の公正な行使をするためには、国会議事堂周辺静穏を保つだけでいいということを頭に置いて、これが書かれてあるのかどうかということです。
  111. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国会審議権の公正な行使確保するのには、いろいろな手段や方法が必要だろうかと考えます。しかし、特に近来の国会周辺静穏ならざる事態を考えまして、ああいう事態ではとうてい国会審議権の公正な行使確保ができない、ああいう事態はぜひともなくしなきゃならぬ、もっと国会の周辺というものは静穏な状態に置きたい、そのことが、国会審議権の公正な行使確保する大きな、要素でもあると、こう考えておるわけであります。しかし、国会の周辺の静穏だ、けが唯一無二の国会審議権の公正な行使確保の手段であるとは、別に考えておるわけじゃございません。
  112. 永末英一

    ○永末英一君 第二条に移りまして、「何人も、」というのはどういう意味だということが、この委員会質問がございましたときに、倫理規定であると。しかし、法律がきめられておる場合に、「何人も、」といえば、これは日本国民全部にかかるんだろうと思いますが、この法律規制をせられるものは、ここに書き上げられておるような、いわゆる集団示威運動等を行なう者に限っておるわけであります。「何人も、」ということを書けば、この法律あるいはこの法律以外に何かひっかかってくる一連の法令体系というものを予想していなくてはならない。従って、倫理規定というような言葉だけでこの「何人も、」ということを書いたという御答弁でございますが、先ほどから議論になっておりますように、もしこの法律が拡張解釈せられるということになりますると、この「何人も、」がひつかかって、いろいろなことで国民権利義務が侵害されるおそれがあるわけでございます。倫理規定という説明でございますが、あらためて、積極的なこの「何人も、」を入れられた意味をお伺いしたい。
  113. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私は、この「何人も、」ということは、革にいわゆる集団示威運動等をやる人だけに限っておるとは思いません。すべての人々ということでありまして、直接デモに参加する人々以外の人々でも、すべて日本国民である者は国会の周辺の静穏を保つようにしなきゃならん。こういう倫理規定でございます。しかし、これには何ら罰則の規定はないわけでありまするから、あなたのおっしゃいまするような国民権利義務に非常な影響があるとは考えません。やはりこれは倫理規定であると考えております。
  114. 永末英一

    ○永末英一君 私が申し上げますのは、この法案の最後にいろいろな罰則がございます、その罰則を適用せられるのは、物理的に集団示威運動等をやっている者が直接の対象になろうと思いますが、あなたが倫理規定だと申されますけれども、ある一つの事件が犯罪だといわれる場合には、それに対して教唆をする者もあれば、あるいは共犯の疑いをかけられる者もある、あるいは着手以前に予備行為としてやられる者もある、そういう者を「何人も、」というので引っかけられては困る、こう思うので、不必要な規定ならば削除願いたいと思いますが、あなたの御趣旨を重ねてこの点に関してお伺いしたい。
  115. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私たちは、国会が国権の最高機関である地位にかんがみまして、すべての国民というものは国会の尊厳を保持する必要があると考えます。そういう意味におきましては、単にデモに参加する人のみならず、一般の日本国民に、国会議事堂周辺というものは静穏を保つようにしてくれということを、まあ訓示的に国民の倫理観に訴える、こういうことでありまするから、ぜひとも私はこの規定を置いてこの法の趣旨を徹底いたしたい、こう考えております。
  116. 永末英一

    ○永末英一君 そういたしますと、まあ、あなたは倫理規定だとかあるいは訓示だとかという話でございますが、具体的な事案にかからない者については、この二条の「何人も、」を発動しない、こう解釈してよろしゅうございますね。
  117. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻来印しておりますように、刑罰規定に関しては七条、八条でございます。単にこれは倫理規定にすぎません。
  118. 永末英一

    ○永末英一君 この第二条におきましては、「国会議員登院国会審議権の公正な行使」ということが書いてあって、ただいままでの提案者の説明では、国会議員登院国会審議権の公正な行使というのは、これは一つのことである、いわゆるワン・セットである、こういう説明がございました。しかしながら、国会議員登院国会審議権の公正な行使とは、概念上明らかにこれは別個のものであって、一つのものではございません。しかるにかかわらず、提案者は、絶えずこの二つをワン・セットに置いておるということは、具体的にこの第二条以下を考えます場合に、一体この法案が法益として守ろうとしておるのは、国会審議権の公正な行使なのか、国会議員登院なのか、こういうことをはっきりさせなければ、私は非常な波乱を起こすと思う。そこで、佐々木君は、今までは一体のことであって、絶えず二つの問題が一致しておるという考えを披瀝しましたが、私の今申し上げました観点から一つ答弁願います。
  119. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは御指摘のように、国会議員登院国会審議権の公正な行使、いわばワン・セットになっておるわけであります。これは国会審議権というものの内容を二つに分ければ、国会を構成する議員登院ということがまず前提でございます。それから、その議員が公正に審議権行使することができる。これは二つのものは不可分一体の原則に立っておると考えます。
  120. 永末英一

    ○永末英一君 まあ、これまでの審議の過程において、この法律は特に国会構内外におけるいろいろな行動を規制するということが目的であるということになりますと、ただいまの提案者の説明の国会審議権行使ということは、これは国会内のことであるし、それに関係づけて国会議員登院が必要である、こういう説明ですが、具体的にこの法律が守ろうとする法益は一体何か、国会議員登院でしょう。
  121. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国会審議権確保であります。
  122. 永末英一

    ○永末英一君 国会審議権確保ということは、これは国民だれも確保しなくていいと言う者はいないと思うのです。しかし、私ども法律としてこの法案発動した場合には、国民基本的人権の上に刑罰をもって処さなくてはならぬ、こういう場合に、審議権の公正な行使が法益であって、そして国会議員登院がそうでないと言いながら、しかもあなたはワン・セットだと言われておる。しかも、具体的にわれわれがある事件の判定をしていく場合、たとえば、あとでお尋ねしますが、議長要請権発動しようとする場合には、一体どこをけじめにしていかれるか。けじめというのは、守るべき法益です。それは、国会議員登院が容易であるか容易でないかを、目の前に現われておる、もしくは現われようとしておるある一つの現象について判断を下そうとしておると私は思うのです。それならば、直接に、こんなことを書いてありますけれども、この法律の目的としておるところは、国会議員登院を容易ならしめるにある。ちもろんその登院というのは、国会審議に参加するために登院する場合もありましょうし、あるいはまた国会審議関係なく登院する場合ももちろんあると思います。しかしながら、特に具体的な法益として守ろうとしておるのは、明らかに私ども国会議員登院をめざしておる、しかしそれは、国会審議権関係のある場合の登院である、このように了解をしておるのでありますけれども、あなたはどうお考えですか。
  123. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先ほども申しましたように、これは国会審議権というものを分析いたしますと、国会議員登院と、そうして審議権を公正に行なうということ、この二つが内容であろうと思います。単に国会議員登院だけができましても、登院はしたが、さて、審議ができないような状態に置かれるということもあり得るわけであります。従って、この二つのものがまあ相互に関連した一体のものである、こう考えます。
  124. 永末英一

    ○永末英一君 国会審議権の公正な行使というのは、国会議員登院とは概念上別個のことだと最初私は申し上げました。すなわち、国会審議権の公正な行使を行なうのは、特に院内の活動として、国会活動としてそれぞれのものはやるわけでございますけれども、あなたの御説明を伺っておるとワン・セットだ、ということは、何か国会議員登院審議権の公正な行使とがたえず不可分一体になっておって、逆に言うと、国会審議権の公正な行使をやるということは、国会議員登院、それがすべてであるかのように思われる。私が申し上げたいのは、国会審議権行使ということは、国会議員登院よりも、もっと幅の広い、もっと大きな範疇を含んでおる概念であるということを、あなたは認められるかどうかをお伺いしておる。
  125. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 国会議員登院ということも、もとよりこれは必要な審議権確保する要件であります。同時に、登院はできたけれども公正な審議が行ない得ないような状態に置かれるという場合も予想されるわけであります。従って、登院した議員というものが常に審議権を公正に行使し得るような状態に置くということ、この二つのものは不可分の関係にあると思います。
  126. 永末英一

    ○永末英一君 国会議員登院ということは、具体的に物理的に申せば、ここに書いてある斜線の入っている所を歩いてきて国会議事堂の構内に入ることが登院です。審議権の公正な行使というものとは全然別個の概念です。そうじゃございませんか。私の申し上げたいのは、この法案発動する場合には、一体どこにけじめを置いて発動するのか。登院を妨げておる事態において発動するのか。あるいは審議権が公正に行使されておらない状態に対して発動するのか。一体だと言いますけれども、明らかに物理的には違った社会現象をさしてここに書いてあるわけです。と申しますのは、一体どっちかということをはっきりしなければ——国会審議権の公正な行使というようなことを言いますと、非常にあやふやな、ぼんやりしたこれは概念です。こういうものを理由にしてこの法案発動するということになりますと、非常な混乱を起こすおそれがあると思うので、お伺いをいたしたい。
  127. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ここで申しまする国会議員登院ということは、単に社会党だとか自民党だとかの党務を帯びて、その党大会だとかそういう会合に出席するというようなことは含まれておるのではないのであります。ここでいう登院とは、審議を行なうための登院なんであります。でありまするから、この国会審議権の公正な行使のために登院をするわけなんであります。二つのものは、これは不可分一体のものであります。
  128. 永末英一

    ○永末英一君 何べんお伺いしてもよくわからないのでありますけれども、第三条以降においてこの法案発動する場合には、国会審議権の公正な行使が単独で発動することはありませんね。
  129. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ありません。
  130. 永末英一

    ○永末英一君 ないということになれば、やはり登院の不可能という、あるいは困難という現象がつけ加わらなくてはこの法案発動しない、このように解釈してよろしゅうございますね。
  131. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) その通りであります。
  132. 永末英一

    ○永末英一君 それでは、三条に対する疑点を明らかにいたしたいと思いますが、この三条におきましては、いわゆる別表に図示してある道路をまあ国会周辺という工合に規定しているように思います。そこで、一体、国会議員登院というのは、この法律に書いてございます別表の道路上に議員が入ったときから発生する、こういう御見解ですか。
  133. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それはどうも必ずしもその場合だけとは限らないと思います。
  134. 永末英一

    ○永末英一君 私は法律上の解釈をお伺いしているのであって、それは、郷里から国会議員登院しようと思って出てくる、それも登院であるということは社会的通念です。しかし、この法律考えておるのは、別表に書いてある所に議員が行かなければ登院という事態は判定できない、こういう意味だとわれわれは思うのですが、どうですか。
  135. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先ほど申しておりまする、国会審議権が阻害されたり、著しく影響を受けるという限度においての登院という意味でございます。
  136. 永末英一

    ○永末英一君 提案者の御答弁は、私が申し上げておることと関係のないことを言っている。私が申し上げるのは、わざわざ別表を書いて斜線を引いて、これを本法のいわゆる国会周辺道路だという場合には、しかも、先ほどあなたのお答えになったように、この法律は、国会議員登院が不可能もしくは著しく困難と見られるようなときに、提案者の頭の中では国会審議権行使関係づけて、その法益を守ろうと、こういうのだとすれば、この道路上に国会議員が上ってこない場合には登院とみなさないということにならぬのと違いますか。
  137. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 当然それは登院をするのですから、今この中に図示してある所を通らずして、空中から降りてくるというわけにはいかないですから、やはり物理的にここを通ることになると思います。
  138. 永末英一

    ○永末英一君 それでは、この斜線の書いてあるところ、まあいろいろ考えられたと思いますが、大体歩いてくるとすれば、ここを通らなくちゃならぬと思います。ところが、それぞれの道路について長いものもあれば短いものもある、こういう区域を定められた標準を伺いたい。
  139. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) この議事堂周辺の道路はいかなる基準によってきめたかという御質問趣旨でもあろうかと思います。この法、案の目的に照らしまして、議員登院審議権の公正な行使確保のために必要な最小限度ということにとどめたわけであります。すなわち、道路について申しますれば、議員登院するにあたってぜひ通らなければならない道路、言いかえまするならば、議事堂敷地の境界に接する周辺道路及び直接議事常に至る道路のうち、必要最小限度のもの、その中には一部の国会用地も含まれておりますが、それに限って規定をいたした次第であります。国会の用地について申しますならば、一般の通行の用に供しておりまする道路、それから議員会館前の広場の公衆の出入りの多いところを主として規定いたしたのでありますが、そのほかにも、国会周辺道路に接する国会用地で管理上万全を期することのできないというところ、たとえば尾崎記念会館の敷地であるとか、あるいは国会図書館の敷地等のものも若干含めることにいたしたわけでございます。
  140. 永末英一

    ○永末英一君 逆に、この法律が予定しております集団示威運動等は、この国会周辺の道路以外のところでは一切規制は受けない、これが提案者趣旨ですね。
  141. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法に関しての御質問ならば、その通りであります。
  142. 永末英一

    ○永末英一君 そこで申し上げたいのは、一体、公安委員会に対して示威運動の許可申請をいたします場合には、集団というのはどこかに集まらなければならない。そうしますと、国会の周辺以外のところでも集結するということは、当然社会通念上考えられる。と  ころが、あとあとこの法案によっていろいろなことが発動して参る場合には、この法案によって国会周辺道路以外のところで、その集団示威運動等に対して規制が加えられるということは、この法律は予想しておりませんね。
  143. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ありません。
  144. 永末英一

    ○永末英一君 はなはだ重大なことでありますが、それでは第四条に移りますが、第四条においては議長要請権を書いております。権利が認められたら、当然義務が付属いたします。両院議長は一体どういう義務を負うか、お答え願いたい。
  145. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法に限りましては、別に議長義務というものはありません。要請権規定をいたしておりますが、議長にどういう義務があるかということは規定しておりません。
  146. 永末英一

    ○永末英一君 これまでの審議を通じて、本法案が明らかに今までの都公安条例以上に警察力に対する新たな義務づけをやっておるということは、これは提案者も認めておる。といたしますと、今までの都公安条例が違憲であるかどうかということは、裁判所で争われておりますが、まだ確定はいたしていない。これは事実と認めましても、この法律自体、一体、憲法に違反するかどうかを考えなくちゃならぬ段階に来ておるわけです。そこで私は、今の問題を提出いたしましたのは、憲法違反のおそれがあるかもしれないというのは、憲法に認められておる基本的人権、表現の自由を、議長要請によって制限し得るような道を開くということが、この四条の規定なんです。そこで、そういう重大な要請をするような権限を両院議長に与えたのであるならば、両院議長はそれを振りかえに何らかの責任を感じることを、提案者考えられなくては、うそだと思いますが、あなたはそんなことを全然考えないでいいとお考えですか。
  147. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは私はあなたと見解を異にするわけでありまして議長は策参両院の審議権を公正に行なうための責任をとらなければなりません。そういう立場から国会議長として要請をするにとどまって、要請をしたから、それに従って当然義務が生じてくるとわれわれは考えないわけであります。
  148. 永末英一

    ○永末英一君 議長といえども行政機関です。行政機関にある権限を認めた場合には、その権限行使に対しては一定の責任を与えていることは事実です。責任があれば何らかの責任を果たすべき義務もまた生じて参ります。要請権を与えた場合には、要請をするのに勝手な判断で要請をしていいということをこの法律が認めたということですか。
  149. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それは少し何か非常に飛躍した御意見だと思います。従って、議長が勝手なことができないため、またそのようなことがないためには、両院の議長が相談談して意見の一致になったときに、初めて要請することになっておるわけでありますから、少なくとも国権の最高機関の議長の良識から判断をいたしましても、そのような勝手ほうだいなことができる権限を与えるものではございません。
  150. 永末英一

    ○永末英一君 少し違った角度からお伺いいたします。この都公安条例第三条によりますと、緊急の必要があると認めた場合に、今まで認めておるいろいろな許可条件に対する変更を公安委員会がすることができる。都公安条例によっても合法的に行進ないしは示威運動を許されている一つの示威運動があった場合に、両院議長がそれに対してその許可条件の変更を都公安委員長要請をする権利を、この法律は認めております。そういたしますと、私が伺いたいのは、公安条例ですら緊急要件を付したのは、無制限にやれば憲法違反になるということをおもんばかったからです。しかるにかかわらず、この場合には、緊急要件というものは、はっきり出ていない。そこで、一体、緊急、要件というものをあなたがお認めになるかならぬかはお答え願うといたしまして、それだけに、その要請発動には慎重でなくてはならない。しかるにかかわらず、要請はしっ放しで、何らそれに対する責任はないと、こういうような法律を、一体、国会が作っていいのかということを私は疑問に思うのであります。その二点についてお答え願います。
  151. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 議長要請権発動するときは、御説のように議長が自由自在に勝手なことがやれるというわけのものではないのであります。まず第一には、これは要請する基準というものもかなり明確になっておると思います。それは、国会審議権確保するということがまず第一の前提の条件であります。第二には、その審議権行使というものが著しく影響を受けるという場合であります。第三には、衆参両院の議長の意見が一致をするという場合、これだけ三つのしぼりというか、三つの安全弁が設けられておるわけでありますから、従って、議長が、あなたの御心配なさいますように、そう手当たり次第に要請権発動するというものではございません。
  152. 永末英一

    ○永末英一君 先ほど第三条の設定の前提についてお伺いしたのでありますが、私が申し上げたいのは、集団示威行進が国会を目がけて進んでくる、そこで第三条に規定した国会周辺道路に至らない場合に議長要請権発動するということは、提案者はお考えですか。
  153. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) それは、そういう場合も、事前の場合はあります。この四条一項とか二項においてそういう場合もあります。
  154. 永末英一

    ○永末英一君 佐々木さん、先ほど三条に関連して伺いましたのは、国会議員登院が不可能もしくは著しく困難だという判定の下せる場合は、国会周辺道路上でなくては、そういうのはわからぬというようなあなたのお答えです。従って、逆にひっくり返せば、集団示威行進等がその国会周辺道路に来なければ、一体どうなるかわからぬのはあたりまえです。ところが、あなたの今の御答弁では、事前では、そこまで来なくても要請することはあり得る。一体、無限に認めるということになるのではないですか。
  155. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは第四条第一項の場合は、もうしばしば御説明申し上げておりまするように、これは事前、事前と申しましても一日であるとか二日であるとかという余裕があろうかと思います。なぜならば、許可の取り消し、条件の変更が要請できるわけでありますから、まさに一触即発という第二項の直前の場合とは違うわけであります。
  156. 永末英一

    ○永末英一君 第四条は、「行われることにより、」、こうなっておる。この「より」の因果関係の判定については、当該デモ行進が国会周辺道路に来ない場合でも、あるのだ、これがあなたのお考えです。私が先ほどお伺いしたのは、周辺道路をこのように限定をしたのは、明らかにそこに集団示威行進等が来ることによって物理的に国会議員登院の阻害をされるということが、これは、要件であったと思う。ところが、今あなたの吉われるように、そこまで来なくても、大体どこかで何か示威運動の計画がある、これをあらかじめ前日ででも、今のあなたの答えを借りますと、前日ででも、阻害するおそれがあると認めて、議長があらかじめ要請するということをこれで認めるとすると、言うなれば、何も具体的な事案が起こらぬのに、しょっちゅう要請するということをこの法律が認めるのですか。そういう趣旨ですか。
  157. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 先刻来、私が答弁しておる通りでありますが、一つ法制当局からも正確な御意見を聞いていただきたい。
  158. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 私から補足します。今の問題にお答えします前に、一応事柄を二つの点において明らかにしておきたいと思います。  第一には、四条一項の問題の場合と、四条二項の問題の場合でございます。四条一項の場合におきましては、これに書いてございますように、「国会議事堂周辺道路において屋外集会、集団行進又は集団示威運動が行われることにより、国会議員登院国会審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがあると認められる場合においては、」、それから第二項の場合は、「示威運動等が行われ、又はまさに行われようとする場合において、その行為により国会議員登院国会審議権の公正な行使が著しく阻害され、又は阻害されるおそれがあると認められる場合においては、」、こういう二つの場合がございます。それで、四条の一項の方に掲げてございますように、「著しく影響を与えるおそれがあると認められる場合」といいまするのは、道路において示威運動が行なわれなければなりませんけれども、それが行なわれることによって、登院と、審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれがある、こういう場合でございます。それから第二の場合は、道路において示威運動が行なわれておる場合が一つ、それからもう一つの場合は、まさに行なわれようとする場合において、その結果、登院審議権の公正な行使が著しく阻害され、または阻害されるおそれがあると認められる、こういうことでございますので、これを前提にしてお考え願いますれば、道路上に来ました場合も該当する場合がございまするし、それからまた、集団示威運動等が道路にまさに入ろうとするような場合において、このただいま私が申し上げましたような、これに該当する場合におきましては、また要請ができる、こういうことになるわけでございます。
  159. 永末英一

    ○永末英一君 私が申し上げておりますのは、第四条第一項に書いてある、すなわち具体的にこの法案が守ろうとしているような法益に対する侵害があるかどうかという判定を、一方的に議長がやっておいて、そうしてその示威行進について著しい規制を加えるということが行なわれた場合に、実は示威運動をやるというようなことは一つ考えてなかったのだ、しかるにかかわらず、それが規制をせられるという道を議長要請でやれるということが、この第一、項の趣旨です。従って、そういうような噴火な、憲法に関係ありと認められるような行為議長に認めている法文が、要請権能だけを認めて、その議長責任を全然考えてないということは、片手落ちだ、憲法に対して片手落ちだと私は思うのですが、提案者はどう考えるか。
  160. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) ごもっともな御意見でございまするが、その点に関しましては、この第四条第一項によりまして、要請権はございまするが、どこまでもこれは国会審議権が阻害されあるいは影響を受ける、こういうような限度におきまして議長がそれを認定いたしまして、公安委員会発動を促すに過ぎないのでございましてその認定に基づきましてどういう判断を、議長がそういう要請をいたしましたことに基づきましてどういう判断をいたしますかは、全く公安委員会自身にまかせてあることでございまするので、責任の問題につきましても、それは公安委員会独自の判断なり責任において善処されるということを、この法案考えておるわけでございます。
  161. 永末英一

    ○永末英一君 議長はこの法律によって、法律行為として要請権を持つに至る。ところがその要請権の判断の基準というものは、幾ら御説明を伺っても、はなはだあいまいもことしておる。提案者は、この法律が成立することによってそういうような影響を与えるおそれがあるかないかということを判定するために、一体、国会の部局のいろいろな改正が必要であると考えるかどうか。
  162. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私はそのような改正は必要であるとは思いません。
  163. 永末英一

    ○永末英一君 先ほど私の質問に対してあなたはお答えにならなかったが、それほどの権能を与え、憲法に関係のある判定をする権利議長に与えておいて、そうして議長のその措置に対する責任というものは、政治上の責任ではございません、法律上の責任が発生すると私は思うのですが、あなたの御見解はいかがですか。
  164. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 法律上の責任は、本法に関する限り発生することはないと思います。
  165. 永末英一

    ○永末英一君 この点は、あなたはないと言われるのですから、またあとで適当な機会に確かめることにいたしまして、第五条第二項の一番上に「警察官」がある。第四条においては、具体的な示威運動が行なわれ、または、まさに行なわれようとする場合に、両院議長警視総監に対して必要な措置要請する。第五条の第二項は、とっぱじめに、警察官に対して権限を認めて、こういうことになっている。全然違うことなんです。第四条において、警視総監に対して要請をするというのなら、警視総監に対する措置を期待すれば足りると私は思うのでありますけれども、なぜここに個々の警察官、これを制歩並びに警告するのは、議長要請にこたえて警視総監措置をして、そうして集まってくるであろう警察官一人一人に権限を与え得ることになる。私は行き過ぎだと思うが、あなたの御見解はどうですか。
  166. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ここで申しまする「警察官は、」ということは、もとより警視総監を含めた警察官のことであります。
  167. 永末英一

    ○永末英一君 警視総監を含めたところに重点があるのではなくて、この法律は、直接に、ここに集まってくる何百、何千あるいは何万という警察官一人々々に権限を与えることになる法律条項であると思いますが、あなたはどう思いますか。
  168. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは御承知のように、警職法五条規定にも照らし合わせて見ていただくとわかりますが、警職法五条も「警察官は、」ということになっておるのであります。本法におきましても「警察官は、」こういうふうにいたしたのであります。
  169. 永末英一

    ○永末英一君 警職法警察官職務執行に関することが書いておる。この法律国会周辺における静穏を保つためのことが書いてあって、しかも議長のやる権限としては、いわゆる要請権だけを認めたというのが四条の建前。しかるに五条において、一ぺんに警察官に対する授権をしているということを私はお伺いしているのであって、何も警職法関係ない。なぜならば、警視総監要請をしてその措置を求めるというのは、その運用いかんによっては、あるいは憲法に違背する行政行為が起きるかもしれないというおそれがあるので、それらのことについては、公安条例においても、「必要な限度において」、ないしは「公共の秩序を保持するため」というような制限を付加して、警視総監にその権限を委任しているのであって、警察官個々にはしていない。しかるにかかわらず、この法律警察官個々に授権をしているのは行き過ぎだと思いますが、あなたはどう思いますか。
  170. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私はそのようには考えませんけれども、さらにこれも詳しく法制局から意見を聞いていただきたいと思います。
  171. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) ただいまお話の点は二つの点が考えられまして、現在公安条例の四条で規定してございまするように、警視総監に直接権限規定を付加する、こういうことも考えられます。それからもう一つは、警視総監をひっくるめました一般警察官という、警察法に基づきまするその機能に着目いたしまして、警察官をとらえまして、警察官自体に権限を与える、こういう二つの方法が考えられると思います。この法案におきましては、緊急その他の事情等も考慮いたしまして、警職法と同じような立て方にいたしまして「警察官」ということでとらえました。
  172. 永末英一

    ○永末英一君 法文の建前はまことに私は不備だと思います。いずれまた、やることにいたします。  次に第六条は「請願、陳情その他の名義をもってする」云々、これは一体どういう意味かという質問に対して、提案者は、念のための規定である、こういう答弁でございます。しかしながら、具体的に請願、陳情その他いろいろな行為がございますけれども、それが集団示威運動に化するか化さないかということの判定は、それぞれの一件一件の事案に徴して非常に困難であると私は思います。公安条例では、請願、陳情、その他どういう名義をもってしょうとも集団示威運動になるものについては、集団示威運動は事前の許可を必要としておりますから、許可がないということによってそれを取り締まる、これが公安条例の建前になっている。ところがその第六条は、請願陳情、どういう名前であろうとも、「示威運動等も含む」といいますけれども、示威運動になるかならぬかという判定権を一体これで議長に与えたことになるのですか。
  173. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは別に議長にこういう権限を与えたというわけのものじゃないのであります。議長にこういうものを認定する権限を与えたというわけじゃございません。
  174. 永末英一

    ○永末英一君 第六条までの法文においては、「集団示威運動等」ということで、屋外集会、集団行進または集団示威運動を含めてこの法文は取り扱っている。ところが第六条で、どういう名前であろうとも、集団示威運動に至るものについては同様に取り扱うのだという規定なんです。そこで議長は、請願が出てくる、陳情が出てくる、いろんなものが国会に対して国民の正当な活動が行なわれる場合に、議長は絶えずそれが示威運動になるかどうかということを考え、そうしてあらかじめ第四条——あなたの御解釈によるような第四条を発動して要請するという、とんでもないことを議長にやらせようとするのか、それを伺っている。
  175. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) これは申すまでもないことでありまするが、念のための規定でありまして、請願や陳情の名義をもってするものであっても、それが「集団示威運動等」に該当する行為であれば本法の対象となることはもちろんのことでありまするが、これは疑義を避けるために注意的に言った言葉でございます。
  176. 永末英一

    ○永末英一君 私が最初説明しましたように、公安条例において許可のない集団示威行進は、これは公安条例が勝手に発動してくるわけです。念のためなんて言います。けれども、不必要なんです。要らんのです。念のためであっても書いたとするならば、何らかの積極的な意味合いがなくちゃならぬ。その積極的な意味合いを一つ伺いたい。公安条例が別にあるんでしょう。
  177. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 請願や陳情という名前で多くの場合に集団示威運動等は行なわれるものであります。しかしながら、かりにそういう名前でなくても、ほかの名前をつけてやる行為であっても、実質的に集団示威運動等とみなされるような行為という意味でございます。
  178. 永末英一

    ○永末英一君 提案者はあとからものを見ておられる。つまり請願や陳情という名前の社会的な行動が集団示威運動になったときだけのことを考えておられる。ところが、普通われわれこの国会の運営をしております場合に、集団示威運動にならない請願や陳情その他も一ぱいあるわけなんです。そこで、こういうような規定をすれば、いかなる請願であろうと陳情であろうと、これがいつ集団示威運動に化けるかもしれないということを予想して議長は対処しなければならない。そこで、議長はそういうつもりで、いつも請願や陳情を見ておれと、こういうような意味合いを含んでおるかどうかということを聞いておるわけです。
  179. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 頭からそういうような猜疑的な眼でもって見ておるわけではありません。
  180. 永末英一

    ○永末英一君 そういたしますと、この六条は要らぬ規定ですね。念のためなんて、念を入れる必要はないです。先ほど申しましたように、公安条例はあるし、そうして公安条例に書いてあれば、集団示威運動の許可を求めていなくてやろうとする場合は、これは公安条例違反になるわけだから、念のために書いてあるが、何もほかに意味がなければ削除した方がいいと思いますが、書く必要がある積極的な理由を聞きたい。
  181. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) お説のように、念のための規定であることはその通りであります。従って、こういう規定がなくてもいいじゃないかという御議論も成り立つかもわかりませんが、私たちは、法律というのは間違って運用されては困りますから、会心には会心を入れて徹底する必要がございまするし、また最近の動向等から見まして、単に請願、陳情という表面の看板を掲げなくても、ほかの名前をもっていたしましても、実際上それが集団示威運動等行為に該当いたしまする場合にも、やはりこの法の対象となるものであるということを申したわけでありまするから、やはりこの第六条の規定というものはなければならぬ規定であると考えております。
  182. 永末英一

    ○永末英一君 はなはだ妙な質問でおそれ入りますが、集団示威運動というのは、本法に、いわゆる法律的にはどういうことを言っているのですか。こういう質問でいけなければ、少し説明をしますと、私の解釈では、都公安条例によって許可を得たもの、これが集団示威運動である、許可を得ないものはそういう社会通念によるそういう行動は許されないので、都公安条例が直接に発動して参る。ところが、本法は、それを知っておりながら、なお念のためにこういうものを規定しているというのが私にはわからぬから、要らぬのだろうと思うが、従ってあなたの言う、何べんも同じ言葉でございますけれども、集団示威運動と六条に書いてあるのかどういうことを言っているのか。
  183. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) ここで申しますると、集団示威運動には、いわば届出をして許可を得た場合もあれば、あるいは違法のと申しまするか、許可を得なかったり、あるいは許可条項に違反をした場合、両方ともこの場合には含まれるわけであります。しかしまた、これについても一つ法制当局の意見を徴していただきたいと思います。
  184. 永末英一

    ○永末英一君 最後に一つ事務総長にお伺いしたい。この法律を見ておりますと、両院議長なるものは、はなはだ神様のような明断をもって、あらかじめ、もし都公安委員会に集団示威運動の許可の届け出があれば、これが一体、議長登院に差しさわるかどうかというような神様のような予断の能力を必要としておったり、あるいは、ただいま問題になりました第六条において請願や陳情というような、国会法あるいは規則に認められている通常の国会への国民の活動がある場合にも、いつこれが集団示威運動に転化するかしないかという判断をしなくちゃならぬ、とんでもない神様のような能力を両院議長要求しておるように私には思えるのでございますが、事務総長は一体、こういうことが今の参議院の事務の統括者としてどうやれば行なえるのか、腹案があればお伺いいたしたい。
  185. 河野義克

    ○事務総長(河野義克君) この法案が現に審議されている過程でございますので、私からいろいろ申し上げることが妥当かどうか存じませんが、御質問でありますので、法案が成立したときのことを考えて申し上げますれば、この法律議長にどういうことを期待しているかについていろいろ御発言がございましたが、それはさておきまして現実問題といたしましては、議長は院外におきましては特段の情報機関を持ちません。従いまして、外部における議長の信頼すべき情報機関、通常はこれは警視庁であろうと思いますが、そういうところからの情報に基づいて、この法律によって何らかの措置要請するかどうかを判定せざるを得ないと思います。その場合において、通常、集団の行進をするとか、集会をするとか、集団の示威運動をするとかいうときには、都の公安条例に基づきまして、主催者等から都の公安委員会に、大体の人数とか日時とか進路とか目的とか、そういう要件が短められておりますが、その要件に応じました許可願いを出すわけでありましょうし、そういう国会周辺に関連する集団行動の許可願いの書類の内容は、議長の方に通報せられることを期待しておるわけでありまして、そういうことに基づいて議長は判断せざるを得ないかと考えておるわけであります。
  186. 永末英一

    ○永末英一君 これで最後にいたしますが、そこで、今までいろいろ質疑いたしましたような点から察しまして、現行の諸法令、都公安条例を含めて、これが運用によってもし議長が一議長は今までも、提案者が認められておられるように、さまざまの場合に都公安委員会とか警視総監に対していろいろの要請をしております。従って、この法律がなくても要請する実体的な行為はあったと私どもは承知いたしております。にかかわらず、今説明がございましたように、非常に事務的にむずかしい、つまり国会自体の行動としては事務的にも操作のむずかしいような法律をなおさらここで作って、そうして、先ほどあなたの御説明では、権限は受けるけれども責任はない、かような行動を国権の最高機関である議長にやらせようというような法律を作らなければ、一体、国会議員登院は困難になって国会審議権の公正な行使はできないと、このようにお考えですか。
  187. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 本法がかりにない事態においても、もとより実体的に議長公安委員会とか警視総監要請されたって、それは一向かまわないことだと思います。しかし、本法において広く一般国民にも、国会周辺静穏を保つべきことを倫理規定であっても国民要請をしたり、あるいは議長に万一の場合に要請権を与えたということになりますると、議長のその権限も、まあそれだけ権威づけられるというか、おごそかにせられるわけであります。従いまして、私は、こういう本法において議長要請権がない事態よりも、要請権を正式に法文の上で明記された事態の方が、はるかに国会審議権確保する上からいって適当な措置であろうと考えます。
  188. 椿繁夫

    椿繁夫君 だいぶ法案の核心に触れて審議が進んで参りましたので、私ども審議促進に協力する意味で、ちょっとこれまで明らかになっていなかったごとについて、きょうは明らかにしておきたいと思うのですが、議長警察権の範囲ということが言われて、二月十八百の本委員会でありましたか、門のさく内、それからこの議事堂内部、これが議長警察権の及ぶ範囲である。それは、だれがどこでおきめになりましたか、と、こう聞きました、ら、昭和二十四年十月十九日、衆議院議院運営委員会できめました。こういう御答弁でありましたので、当日の議事録を取ってみましたら、どういう間違いか、きまっておらぬのであります。土井委員が「棚内ならば議院内、棚外ならば議院外です。」と、こう発言をし、石田博英委員は、「議員宿舎、国会図書館は議院外ですか。」と、こう聞いておる。大池事務総長は、「当然議院外です。」と言っている。そうすると大村委員長は、「それでは議院内外の問題は次会に御決定を願うことにいたします。」と、こう言って終わっておるのです。この前、佐々木さんは、これできまったようなお話であったので、会心のためと思って調べてみましたら、当日きまっておらぬのであります。これはどういうことになっておりますか。
  189. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) 私、衆議院の方の議院運営の方を担当いたしておるわけでありまするが、事務局においてこの院内警察権の及ぶ範囲ということにつきまして調査を依頼いたしました。それにつきまして正式回答が参ったのでありまするが、それによりまして、院内警察権の範囲については、昭和二十四年十月十九日の議院運営委員会において、門さく内は院内、門さく外は院外とし、議員会館、議員市舎等は院外とする旨の解釈が確定したという返事でありましたし、またその当時、議院運営委員でありました椎熊君などにも意見を徴したわけでありますが、それはもう、すでに確定した解釈である。こういう話でありまするし、現に衆議院議院運営委員会におきましては、この解釈を今もとっているわけであります。これによりますと、今のように十月十九日の議院運営委員会において、あるいは明確に速記録に載っていないかもわかりませんが、現に衆議院において行なわれておりまする慣行は、たしかに院内、院外の解釈をそのように決定いたしているわけであります。しかし、なおこれにつきましても詳細に調査をいたしたいと思います。
  190. 椿繁夫

    椿繁夫君 これは私は速記録をもって今申し上げているのであります。ですから、二十四年十月十九日にきまっていないことは、これは委員長宣告でありますから、これはもう明らかなんであります。そこで事務総長にお尋ねをいたしますが、この前の委員会では、衆議院議院運営委員会議長警察権の範囲がきまって、参議院に御連絡がありましたかと聞きましたら、記憶がないということであります。ただ議長としては、議院運営委員会というような公的な機関においては論議をいたしておりませんけれども、実際に議長警察権の範囲というものはこれは定めにゃいかんことであるから、腹の中には持っております、という意味の御答弁がございました。これは私の調査不十分のために独断的なことを申してもいけませんから、何かこの佐々木さんの答弁に関連して、起こったときはこれはきまっていない、それでもなお議長警察権の範囲というものはここではきまっていないのですが、議事党及び門のさく内ということが何かはかの法規できまっておりますか。
  191. 河野義克

    ○事務総長(河野義克君) 議長警察権の及ぶ範囲はかくかくであるということを法規として定めたものはございません。
  192. 椿繁夫

    椿繁夫君 ございません。そういたしますと、議長警察権というものは一体、常識的にはこの議事堂の中であることは、これはわかるのであります。常識的に佐々木さんの言われるように、そこら辺の門のさく内ということは、何かこれはきめておく必要があるのじゃないかと私は思うのです。きまっていないのです。佐々木さんは言っているけれども、なんぼ調べてこれ以上のものはないと思う、議事録でありますから。「それでは議院内外の問題は次会に御決定を願うことにいたします。」——次会になかった、調べてみたところが次会には……。しいて求めますというと、議員会館は議長警察権の外であるということは言っておりますけれども、門のさく内は議長警察権の範囲であるということは、これはさまっていないのであります。次会も一何だったら読みますよ。そこで  一体これは、その門のさく内ということが論議になって結論が出ていない。もしこの例でいきますと、昨年の十一月二十七日に淺沼書記長がとにかく多数の請願者を紹介するために入ったことで、前加藤衆議院議長は独断で議長権限において懲罰委員会付託をやったのであるが、議長警察権の及ぶか及ばぬかわからぬところに入ったというゆえをもって懲罰委員会に独断で付託するというふうなことも越権でありまするし、法律上の根拠が何らないということになる。これは一体、佐々木さんも議運のベテランだが、こういうふうにきまってないんですよ。あなた、なんぼお調べになってもきまってませんよ。大体ここから私はまずみぞをさらえて、それから議長警察権の及ばない範囲の静穏と示威運動の制限をすることによって、国会議員登院確保、公正なる審議権確保ということに入っていかぬと、前のみぞがこれは明らかになっていない。大へんなことでありますから、淺沼さんほか五名の懲罰委員会付託が、法律上の根拠がないのに越権しごくであるというふうなことは、もうこの程度でおきますけれども、他院のことでありますから……。そういうことになっているのですよ。これは一体、今委員長はどう下輩になりますか。こういう経過で、議長警察権の範囲というものが明らかになっていない。衆議院でも、本院でも、今お説の通りになっていない、法律上の根拠はどこにもないということになっておりますが、これは適当な機会にきめなければならぬとお考えになりませんか。
  193. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 椿委員から委員長にせっかくの御質問でございますが、私も十分その点は調査いたしておりませんので、これは十分調査をいたしてからお答えいたします。
  194. 椿繁夫

    椿繁夫君 それもまあ後刻問題にすることといたします。一応常識的に、門のさく内に議長警察権が及ぶものとして、本法議長警察権の届かない、及ばないところに示威運動が来ないように、来ても静かなようにということを、これは定めようとしているのであります。斜線、いろいろ線を引いておりますが……。そこで、私は先ほど安田委員の御質疑に関連して発言を求めたかったのでありますが、議長要請権を定めるというのなら、国会法の中に、周辺の静穏を保つために都公安委員会もしくは警視総監に対して議長要請することができるという一項目を加えることにして、こういう新しい法律を起こす必要がないのじゃないかという気がする。ところが、いや、そうじやいかんのですということをしばしば提案者は繰り返しておられる。そこで、この法律をずっと通覧いたしますと、結局、この都の公安委員会警視総監警視総監以下の一般警察官というものに、これまでの法律以外の警告制止権限を与えることになっていることは、もう明らかなんです。ですから、私は別に、治安関係法規がどうやとか、それを議運にかけるのはどうやということを言おうとしているのではありません。ただ、これをすなおに、色めがねをかけないで見ると、これは結局、東京都の公安委員会並びに警視総監以下に一つの新たな権限を与えて、そしてその二方において議長要請ができる、要請があった場合に、その権限行使ができる、こういうことになっているのでありますから、ほんとうは東京都の固有の仕事なんだ。本来の東京都が受け持つべき仕事なんだ。こういう点について提案者はどうお考えになりますか。議長には警察権はない。警告制止権限議長にあるわけではない。議長要請することによって、その仕事に新たに付与されるもの、権限を与えられるものは東京都の警視総監以下の警察官である、東京都の公安委員会であるということについては、これはどうお話になりましても間違いないと思うのですが、どうですか。
  195. 佐々木盛雄

    衆議院議員佐々木盛雄君) なるほどこれは、地域はその東京都の区域内でございます。地方公共の秩序を維持するということは、もとよりこれは地方公共団体の事務でございます。しかし、この場合の地方公共の秩序というものは、その都道府県区域内にかかわる公共の秩序を意味するものでありまして、本法五条第二百項の場合におきまする警察の機能がどうであるかということとは別個の問題であると私は考えます。それで、警察の機能というものは、警察法だとか、あるいは警察官職務執行法規定されておりまするように、地方公共の維持にとどまらないで、広く公共の安全と秩序の維持にあるということは、もう御承知の通りであります。従いまして、本法は、条や二条の規定趣旨からも明らかなように、憲法に規定する国権の最高機関としての国会の機能の万全を期することを目的といたしておるわけであります。従いまして、警察官権限規定というものは、警察が本来持っておりまする公安の維持という機能に着目をいたしまして、それに必要な限度において警告制止権限を与えるものでありまするから、これは東京都というより、地方公共団体の事務に関するかどうかという問題とは、その性質を少しく私は異にしておるのじゃなかろうかと、こういうふうに考えるわけであります。従って、まあ後ほど皆さんの御質問の中にも、あるいは憲法九十五条の特別法に該当しはせぬかというようなことにも関係してくるかと思いまするが、私はその九十五条の特別法には該当しないという考え方に立っておるわけであります。
  196. 椿繁夫

    椿繁夫君 これは一条、三条では、国会の周辺、とにかくこの本法が適用される地域を定め、四条の一項においては公安委員会、二項においては警視総監、三項においては東京公安委員会五条の一項におきましては警視総監を初めとする警察官に対して権限の付与をしている。埼玉県の警察官や神奈川県の警察官にこの権限を付与しているのじゃない。でありまするから、これは私は法制局長に伺いたい。衆議院の法制局次長がお見えになっておりますけれども、これはこれまでいろいろ御意見を承りましたから、参議院の法制局長にお尋ねをするわけでありますが、あなたがごらんになりまして、この法律東京都以外の公安委員会及び警察官に新たな権限を付与するものとお考えになりますか。それと、この法律を純粋の警察法規治安関係法規とお考えになりますかどうか。この二点についてあなたの意見を一つお聞かせ願いたい。
  197. 斎藤朔郎

    ○法制局長(斎藤朔郎君) 第一の御質問でございますが、この法律案東京都以外の公安委員会または東京都以外にある警察官に新たな権限を付与しておるかどうかということでございますが、それはそうじゃない、こういうふうに考えます。  第二点は、この法律治安関係の立法であるかどうかというお問いでございますが、治安関係の立法という、「治安関係」という言葉のとり方によっていろいろ問題はあろうと思いますけれども、一般社会の秩序を維持する法規の性質を持っておるかどうかというような意味解釈いたしますれば、これは、何と申しましても、目的は国会審議権確保にあるといっても、その手段として実行されることにつきまし出ては、一般社会の秩序を維持するという面もございますから、私は率直に言って、国会関係的の色彩ももちろんございますが、治安関係立法で全然ないと私は申せないと思います。そういう二つの面がどうしてもあるということは、承認せざるを得ないと思います。(「これは問題だ」と呼ぶ者あり)
  198. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 占部君にお願いしますが、実は先ほど、あなたの方の理事お話で、きょうは四時ごろまでということでしたが、また次に延ばしてよろしゅうございますか。
  199. 占部秀男

    占部秀男君 今の点が僕の質問中心点ですから、もう時間がないから、この次にしましょう。
  200. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 議事の都合により、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会