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政府委員(竹内
寿平君) 資料として調査いたしましたものを御
説明申し上げます。
東京都条例につきまして、合憲の判決、違憲の判決が出ております
事件を調査いたしまして、その成り行きを明らかにした表を出しております。
まず
東京都条例の中で合憲の判決はみなで四件ございます。その中の一件は合憲であるが一部について違憲であるという
意見が出ております。
第一の
事件は、荒川朝鮮人学校
事件というので、昭和二十六年三月一日に
発生した
事件でございます。これは罪名は公務執行妨害で起訴されまして、第一審は二十六年十一月六日
東京地裁で合憲の判決が出ております。これに対しまして被告控訴がありまして、二十七年六月十日
東京高裁でやはり合憲の判決が出て確定いたしております。
第二のケースは、大日本印刷デモ
事件といわれる
事件であります。これは昭和二十五年十一月一日に
発生した
事件で、やはり公務執行妨害で起訴されております。これについても傍論において議論されておるのでございますが、二十七年十二月二十二日、一審の
東京地裁で合憲の判決、次いで被告控訴で
東京高裁が三十一年七月十日に合憲の判決をいたしております。これも最高裁にはいきませんで、確定をみております。
第三のケースは、岩之坂上巡査派出所襲撃
事件といわれている
事件で、昭和二十七年五月三十日の
事件でございます。これは公務執行妨害、傷害と
東京都条例違反、この三つの罪名で起訴されております。これは第一審の
東京地裁では二十九年九月二十日有罪の判決が出て、これも合憲の判決になっております。それから二審は
東京高裁三十二年七月二十日の言い渡しで、これも合憲と判決されております。
事件はそれによって確定をいたしております。
それから第四のケースが巣鴨
事件でございますが、
事件は二十八年七月二十七日に
発生いたしております。罪名は条例違反、公務執行妨害、傷害という罪でございます。
〔
委員長代理
田中茂穂君退席、
委員長着席〕
この判決は三十三年八月二十九日に
東京地裁で一審の言い渡しがありましたが、一部について違憲、その他は合憲、その違憲の部分は、
集団示威運動については違憲であるという
判断でございます。この点につきましては検事控訴をいたしまして、目下控訴審に係属いたしております。
これが合憲の判決でございます。
違憲の方の判決を申し上げますと、第一は蒲田
事件、昭和二十七年二月二十一日の
発生事件で、これは条例違反、公務執行妨害、暴力
行為等処罰に関する
法律、銃砲刀剣類等所持取締法違反という罪名で起訴されておりますが、三十三年五月六日
東京地裁で、これは
東京都条例が全部違憲であるという判決を下しておりましてこれは検事控訴をして目下控訴審に係属中でございます。
それから第二の
事件はアリメカ大使館デモ
事件、勤評反対デモ
事件、警職法反対デモ
事件。この
事件で——いずれも三十三年四月一日、三十三年九月五日、三十三年十一月五日から十四日にわたる
事件——これは条例違反と
住居侵入で起訴されておりますが、三十四年八月八日
東京地裁で違憲の判決が出ております。この中の一部は、先ほどお話のありました最高裁に高裁から移送になっておりますので、本年の四月に他の
事件とともに最高裁で審理が行なわれる予定でございます。
それから第三の違憲判決のケースでございますが、全学連が米国大使館にデモをかけた
事件でございまして、昭和三十二年六月二十一日に
発生したものでございます。条例違反、公務執行妨害、傷害で起訴されております。三十四年十月十三日
東京地裁で、条例につきましては違憲であるという判決が出ております。これは検事控訴中でございます。
これが
東京都条例に関する調査の結果でございます。
なお、資料として提出いたしておりますのには、「その他の条例」というので、合憲、違憲の判決をあげております。こまかくは申し上げませんが、
合憲判決といたしましては、京都市の条例、新潟県の条例、徳山市の条例、佐賀県の条例、滋賀県の条例、長野県の条例、埼玉県の条例、小野田市の条例、広島市の条例、福井県の条例、神戸市条例、川崎市条例、神奈川県、愛知県等の各条例につきまして、それぞれ問題の
事件がいずれも合憲と
判断されております。その中で新潟県条例は、二十九年十一月十四日最高裁の大法廷で合憲の判決が確定いたしておりますし、徳山市のものは三十年五月十日最高裁第三小法廷で合憲ということが確定しております。さらに佐賀県条例につきましては、三十年二月一日最高裁第三小法廷で合憲の
判断が出ております。滋賀県の条例につきましては、二十七年九月三十日に最高裁第三小法廷で、上告趣意書を提出しなかったために棄却になっております。そういう形で確定しております。もう
一つ、同じような棄却の
決定になっておりますのは神戸市の条例がございます。その他は大体二審で確定をしておるかあるいは目下控訴中、上告中という
案件でございます。
それから違憲判決になっておりますものとしては、京都市のものが一審の京都地裁で違憲の判決が出ましたけれども、大阪高裁で合憲に変わっておりまして、ただいまこの
事件は上告中でございます。それから広島市の条例につきまして、一審の広島地裁では違憲の判決をしましたが、広島高裁は合憲の判決に直しております。これは上告中です。それからもう
一つ、岩国市のものにつきましては、一審の山口地裁岩国支部では違憲の判決をしましたが、広島高裁では合憲にこれを直しております。それから静岡県の条例違反につきましては、一審の静岡地裁が違憲、二審の
東京高裁が違憲の判決をしておりまして、これはいずれも違憲でございますが、この
事件は目下上告中でございまして、おそらくこの
事件も、先ほど申しました
東京都条例の一部のものもあわせて、最高裁で
判断されることと
考えております。