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参考人(
加藤政由君)
全般的なことから
組合といたしまして申し上げますと、
関東で大体
業者の数はどれくらいあるか、こら申しますと約千二百軒、所要の
トラックがどれくらいあるかと申しますと、これが全体で約三千五百台。それから
東京組合、
東京の中で
東京だけの
業者が約八百五十軒、
トラックの
台数が二千五百台、この八百軒余のうちで
東京組合で
自粛運動に入っておる
業者の数がこれは四百八十軒で、
トラックの
台数が千六百台でございます。
これは以前に非常に
神風トラック、
砂利トラックというようなことで騒がれましたのが、一昨年、三十三年の三月ごろでございます。それで私
ども組合といたしましては耐え切れなくなったので、五月から
輸送部会というものを設置いたしまして
自粛運動に入ったんでございます。それから昨年の三月に、なお
事故の
件数が減らないというようなことから、昨年の三月に
トラックの過
積みの問題に対しては
白線を引きまして、そうしてこれより以上積んではいかぬというようなことで、
白線を引いた
運動を開始したのでございます。それがようやく実を結びまして、最近では
トラックに倍
積みするような
積載量の
オーバーというようなものは、非常に
自粛されたというようなことを、これは
取り締まり当局も認めたことでございます。
それでしからばどうしてそのようないろいろな
事故が起こるか、こう申しますと、
トラックを持っておる
台数、いわゆるこの八百五十軒の
砂利業者の中で、それではどういう
トラックの
分布状態になっておるか、こら申しますと、千六百台の中で、大体一台しか持っておらぬ
業者、これが百三名、それから二台の
業者が二百二十二名、そのほか一番多いのは六十台—七十九台、こういうふうなことで、大
部分の
業者は一台、二台、三台というふうな
業者が非常に多いんでございます。そこでこれらのほかを推定いたしましても、わが
輸送部会に入っておる
組合員、約
半数でございますが、その中においても一台、二台の
業者が
半数近くある。ましてこの
自粛運動に入っておらぬ
組合員というものはやっぱり一台、二台の
業者だ、こういうことからいろいろな面の
徹底が期せられないというのが
一つは大きな
原因でもあると考えられるのであります。
その次に、最もこうしたことを大きく支配する問題というのは
経済事情でありまして、いわゆる
砂利トラックの一台で
砂利を積んできてそうして
幾らの
賃金が上がるか、こういうようなことが一番問題でありまして、少なくとも六トン車を運転して
砂利を
運搬するということに対しては、一日一万円の
運賃をかせがなければならないというのが
実情でありまして、その一万円の
運賃をかせぐにはどれくらい走らなければならないか、こういう
計算になるのでございます。そこでいわゆる過
積みをしたり
スピードを出して
走行キロを延ばしたりするというのが一番大きな
原因になるんじゃないかと、こういうふうに
組合側としては見ておるのでございます。そこでいろいろ
警視庁とも相談いたしまして、そうして、一挙に
規定通りのことを強制されることは、なかなか望めないことだ、どうか
一つ経済状態が立ち直るまで、幾分でも過
積みを許してもらいたい、しかし
スピードの問題は、これは厳重に取り締まってもらいたい、こういうことを種々
警視庁と連絡をとりまして、そうして実をあげてきたのでございますが、なおそれでも
事故件数は減つておらぬ。これは
警視庁の調べでございますが、
砂利の二月中の
事故件数は二百五十五件、そのうち
死亡者が六名、
負傷者が二十七名、こういうような数字が出ておるのでございまして、これはまことに私
どもといたしましては寒心にたえないのでございますが、何とか
業界といたしましては、法律に
違反せずに、また正当の
運賃をもらって、そうして食つていけるようにというのが私
どもの
希望でございますが、なかなかその
通りにいかないというのは、いわゆる
先ほども申し上げましたように
零細業者が非常に多いということと、また一面にはそうした者の団結がはかれないことと、それから次には
過当競争、そういうようなことが重なって、そうして
積載違反をやったり、
スピード違反をやったりして
事故が起きているんだ、こういうふうに私
ども見ておるのでございます。
そこで何としても
経済状態を回復しなければならない、たとえばはなはだこれは申し上げにくいことでございますが、
砂利業者は一台、二台の
トラックを持っている人々は、
採算ということに対しては大体一日の水揚げを一万円にしろ、こういうことが主でありまして、それに対するガソリンの
消費量とか
タイヤの
消費量とか、そういうものを
計算に入れずに、いわゆる
月賦を払うためには、どうしても一万円の
収入をあげなければならないんだ、それには三百キロも走ってそらしてやれ、こういうような
実情にあるのでございまして、これらからも
事故の
件数はなかなか減らないんじゃないか、こういうふうに見ておるのでございます。そこでわれわれといたしましては、どうしてもこの
経済状態を何とかして、そうして
採算のとれる
価格にもっていかなければならない、こういう見解をもっておるのでございます。
以上後ほどの
質問に答えることにいたしまして、大体の
意見といたしましては、私
どもの考え方としては、
事故を絶滅するには
スピード違反を厳重に取り締まってもらうこと、それから
道路をもう少しよくしてもらうこと、それからわれわれ
業界といたしましては、至急に
経済状態の回復をはかること、この三点に尽きるんじゃないかというふうに考えております。以上御
質問にお答えいたしたいと思います。