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政府委員(
和達清夫君) ただいまのお尋ねに対してお答え申し上げます。
第一に、今回の
津波が遠い
地震によって起こった
津波であるということであります。このような例は、
太平洋におきましても、大西洋におきましても非常に珍らしいのでございますが、
ハワイだけが、過去において
相当に災難を受けております。
たとえば、一九四六年にアリューシャンに大
地震がありました。このときに
ハワイは、今回以上と私は
推定しますが、そういうような大きな
津波の害を受けたのであります。そのとき、
日本は幸いにして、それほどの大きな
津波じゃありませんでしたので、
被害はありませんでした。そういうようなことから、
ハワイは、
太平洋の真中に
ハワイ列島というものが、一つの大きな海の中の
堤防のように、どこから
津波が来ても、これが衝突して
相当の
津波を起こすところである。だから
ハワイは、
太平洋のどこに
地震が起こっても、
相当の
用意をしなくちゃならぬというために、その後
ハワイに、
太平洋の
津波センターというものを作りまして、そうして所要の国から
情報を集めて、その中でも、
日本は一番
地震をたくさん起こすところでありますので、
日本からの
情報は非常に重要視され、こちらも資料を送っておったのであります。こういうシステムは、当然そういう
中心はこちらに対しても、
津波のおそれある場合には、知らせてくるのが
常識でありますが、その点は、厳密なる
文書交換をもって行なっておるものでございませんので、実際にはそういうことを行なっておりますけれ
ども、
責任とかというような問題になると、ただいま簡単には申せないかとも思います。今回も、
ハワイの
情報というものは、前日のうちに数回入っておるわけであります。
チリに大
地震が起こったから、
太平洋に
津波は波及するだろう、今、南
太平洋のこういう島に、何時には
津波が来たというようなことであります。その際に、
ハワイ自身は、
津波の害が起こるとすれば、何時ごろだが、詳細は待て、不明であるというような
情報であります。数量的のものは、たとえば南の島で、波の高さが一メートルというようなのがあるというふうなもので、
津波が伝播してくるということは非常によくわかっておりました。私
どもの過去の
経験から、明け方四時ごろには、
日本に
津波が来るということは知っておりました。ですけれ
ども、
ハワイが
経験のあるところであり、
日本が、そういうのに一回も会わなかったというのが今回の不幸に会った
最大の原因をなしたんじゃないかと私には思えるのであります。
もし
日本が、
ハワイのように過去において、こういうことのために
災害を受けておれば、いかなるわずかな
情報でも、これを活用し、適切なる
警報を出すでありましょう。しかしそういうことがなく、まさかと思っておるときには、
相当な
情報が来ましても、やはり実際に
被害が起こるのは、もう少し様子を見て、もう少し
ハワイから、何か来るとか、
日本の中でも、そういう徴候が現われることを待つということのために、
警報を出すのがおくれたということが実際のようであります。
なお
津波の
警報組織は、前に申し上げましたように、国内あるいは近い海に、大
地震が起こりますと、
日本のどこかで必ず感ずるものであります。そういう
地震が起こったということからスタートしまして、そうして一分を争ってわれわれが作業をして、そうして
津波の
警報を出す仕組みにはなっておりますが、かえって余裕のある、そういう遠いものに対して、十分なる
体制ができていなかった。しかもこういうことは、何年に一ぺんか、何十年に一ぺんか、
用意なく起こることでありまして、
相当の
責任者を夜昼となく宿直させ、この
仕事をさせるということに非常に問題があるわけであります。私
どもが、この今回の遠い
地震について、
津波の
被害の重大なことを知りました上は、今後は、何年に一ぺんであろうと、何十年に一ぺんだろうと、そういう
体制を整えておかなければならないわけであります。この点も、よく
当局に理解願いまして、なかなかこういう不時に備えるという
仕事というものは、役に立つときが少ないので、十分なるこちらの
体制ができないものでありますが、今度は私
どもも、できるだけ
災害を防ぐという立場から、日ごろは、むだのようなことでもやらなければならぬということは、痛感いたしました。
それから
施設でありますけれ
ども、
日本としましては、そういう
津波が来るのを察知するのに、島が少し、南方あるいは東南方にありますので、そこらを活用し、あるいはこういう
津波は一度来ますと、
最大の波は二、三時間あとで来ることもありますし、また一度揺れますと、二、三日の間海は揺れておりまして、長い間、大きくなったり小さくなったりして、揺れているものでありますから、そういうことも、この担当者が海岸のその機械のところまでわざわざ行って見なくても、自分の部屋にいて、その動向がわかるような
施設をする。
それから
お話の国際の
情報交換という
体制を十分に確立しておくことというようなことであります。国際の
情報確立に関しましては、たとえば国際気象
機関条約、あるいは国際測地及び地球物理学連合、そういうようなことで、もう少し前から、この
地震、
津波の国際協力の重要性について考えて、しばしば相談をしておりますので、それらの国際的
組織からも、でき上がるとは思いますけれ
ども、わが国のように、あすにもまた、こういう
災害が起こるかもしれないところは、その国際的
組織の成立に、メンバーとして、十分推進するようにするとともに、現在において、
日本と重要なところとは即刻話し合いをしまして、この目的に有効なるような取りきめをいたしておきたいと思う次第でございます。