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1960-05-19 第34回国会 参議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十九日(木曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   委員の異動 五月十八日委員堀木鎌三君辞任につ き、その補欠として谷口慶吉君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君    委員            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            三木與吉郎君            相澤 重明君            大倉 精一君            重盛 壽治君            中村 順造君            白木義一郎君   政府委員    運輸政務次官  前田  郁君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 広瀬 真一君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道常    務理事     磯崎  叡君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査自動車行  政に関する件) ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまより委員会を開会いたします。  昨日、委員長及び理事打合会を開き、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の取扱いについて協議いたしましたところ、本日質疑を行ない、二十四日、火曜日、参考人出席を求め、意見を聴取し、さらに質疑を行ない、二十六日、木曜日、討論採決を行なうことに決定いたしましたから、御報告申し上げます。  なお、本日は運賃法質疑に入る前に、若干運輸事情等に関する調査を行ないます。  次に、委員変更について御報告いたします。昨十八日堀木鎌三君が辞任され、谷口慶吉君が選任されました。   —————————————
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、参考人出席要求についてお諮りいたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお参考人の人選、手続等につきましては、委員長及び理事に御一任願います。  それでは、これより運輸事情等に関する調査議題といたします。
  5. 中村順造

    中村順造君 自動車局長にお尋ねいたしますが、内容は、青森弘前市の弘南バスのことについてでありますが、私先般、現地調査に参りまして、いろいろ実情調査いたしましたが、その中で、バス路線ですが、バス路線が、いわゆる会社の言っているロックアウトというような考え方で、非常に運行確保ということに不都合を来たしております。特に県民の非常に迷惑に及んでいる。一方では、労働組合ストライキが行なわれておりますし、さらにそれに加えて、今ロックアウトという考え方で、全面的なロックアウトではありませんが、就労意思のある者を拒否をするという形のロックアウトが行なわれて、そのために大体二〇%ないし四〇%ぐらいの確保ができない、こういう実情であるわけですが、ハイヤータクシーの場合ならいざ知らずですが、バス路線のそういう考え方経営者が立って、就労意思のある者を拒否をしてロックアウト、こういう考え方は正しいのかどうか、その点一つお考えを伺いたい。
  6. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) まあ労働争議解決については、経営者労働組合とが話し合ってきめるのが、これはもう原則でありまして、その方向で大体交渉が行なわれるべきでありますが、弘南バスの場合におきまして、一部のロックアウトが行なわれておるという状況も調べたのでございますが、このロックアウトについては、解釈がいろいろあるんでありまして、これらについては、まあ定説のごときもの、あるいはその他いろいろとございますが、会社側ストライキに対しましての対抗手段としてロックアウトをする、こういうような場合には、ロックアウトも可能である、これはハイヤータクシー事業でありましょうとも、あるいはまた乗合バス事業でありましょうとも言えることであると思いますが、まず私どもの考えまするところで、まあロックアウトを行なうような場合には組合員なら組合員会社とが、争議の状態にあり、また労働者の行なう争議行為に対抗する会社争議手段として、会社立場を有利なものとするためにロックアウトを行なうというような場合でありましたら、不適当ということも言えないのでございますが、これらに関しましては、その具体的な事情々々によって判定すべきであろうと思いますので、今私は、常識的なと申しますか、理論上、理屈上申し上げたのでありますが、具体的な事情につきましては、地労委等の問題もございますが、その判定をすべきところで判定をされるものだと考えておるのであります。
  7. 中村順造

    中村順造君 私は、この弘南バスの場合、労働争議でありますから、内容について、とやかく言っておるわけではないわけでありますが、少なくとも乗合バスというふうな業事内容は、あらかじめその地方県民に対して運行を示し約束をしたものであります。こういうふうに公益性の強い事業だということは否定できないと思う。  その場合、ストライキだからといって労働組合が、何時間かを継続してストライキをやる、さらに日常の業務の中で、会社側ロックアウトと称して、組合就労意思のある者すら就労拒否する、こういうことになりますと、これはストライキ手段なり戦術でありますから、この点、私はとやかく言うわけではないわけでありますが、一番迷惑を感じるのは、やはり県民なんです。そういたしますと、それがもし、合法非合法は別にいたしまして、会社側が、たとい合法的だといいましても、現実の問題としては、やはり行政全般の問題として、これは取り上げなければならぬ。  今自動車局長は、地労委問題等もあると、考えられると、こういうふうにお話しになりましたけれども、私は、会社の幹部と会いましたけれども地労委については、全然これは信頼ができない、こういう極端な発言をいたしまして、地労委介入拒否する。それから地元市長等も、やはり非常に心配をされまして、県民立場、市民の立場から心配をされまして解決努力をされておる。これすらも、会社が一方的に受け入れない態度をとっておる。重ねてこの争議対抗手段としてロックアウトをやり、さらに、これは会社も認めておりますが、暴力団介入させておる。こういう経営者態度なんです。これは会社が、現在暴力団はおらないと思いますけれども、私どもが視察した当時には、かなりの数がおりましたが、解雇しました。臨時雇を大体百名近い暴力団をその中に入れているわけですが、多少けが人も出ておりますが、そういう経営者に、公益事業の非常に大切なバス路線を、ただそれが争議手段対抗手段として許されておるという一片の見解だけで、これをそのまま放置されるということは、自動車行政なり運輸行政全体として多くの問題があるんじゃなかろうか、こういうふうに思いますが、私は、そういう場合には、たとえば既設の青森バスなり弘前バスあるいは近くにある国鉄バス等を一時的にでも乗り入れてでも、県民の不自由は解消しなきゃならぬ、こういう手段もあるのではないかというふうに考えておりますが、それらの面を含めて、一つこの際、御回答願いたい。
  8. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) この弘南バス株式会社は、青森県の要部地区における乗合バス及び貸し切りバスを担当しておる会社でありまして、弘南バスが担当しております地域は、青森県の西の部分を占めて、他の事業者は、青森市営が隣接しておりますのと、秋北バス弘前まで路線を持っておりますが、まあ大体その程度でございまして、ほとんど青森県の西北部は、弘南バス独占の形で運営しております。私どもといたしましても住民の足の確保ということは、これは絶対必要だと考えますので、長い期間、争議等でその足が乱されますことは望ましくないのでありまして、これらの点に関しましては、運輸省及び陸運局としても、その態度、対策を考慮しておったのでございますが、この本月十七日に弘南バス株式会社の社長及び弘南バス労働組合執行委員長あてに、仙台陸運局長からバス事業公益性にかんがみて、今回の争議のすみやかな円満な解決をはかるために最大の努力をするようにという要望書を手渡して、できるだけ早く、争議がすみやかに円満に解決するようにという措置を現在も鋭意講じておるのでございますが、地方労働委員会としても、このあっせんに乗り出すかどうかということに関しまして、本日、この十九日に態度決定することになっておりまして、これらの点に関しましては、陸運局長からも地方労働委員会あっせんその他の方途についての打ち合わせをいたしますと同時に、先ほど先生から御質問のありました他の隣接の既存会社バス乗り入れ等に関しましても、私どもこの長期の争議の行なわれております際に、他のバス業者に対しまして、必要な路線について臨時免許をいたしますことは、争議当事者のいずれか一方に有利な、または不利な結果をもたらすものとは考えられないので、争議介入にはならないと解釈いたしておりますが、十七日の日に陸運局長から地労委の会長に対しましても、このような労働争議のストによりまして、バス運行が停止となった場合の交通確保措置について臨時免許というようなものをすることが可能であるかというような意見照会もいたしまして、これらの点、その他の点に関しまして、地労委の方の態度決定及びあっせんに乗り出すことを鋭意現在交渉しておる状況でございまして、まず地方労働委員会態度決定と相待ちまして、私どもとしましても、他のバス業者の臨免その他の措置も考えていきたいと思っておるところでございます。
  9. 中村順造

    中村順造君 この問題、それぞれの措置がとられておるということでございまして、私は、これ以上あまり深く申し上げる余裕はないのですが、ただ、今局長お話の中にありましたように、津軽のあの地域における独占の形で弘南バスというのはあるわけです。同じような業者が、同一地域に入っておらない、こういうことから非常に私どもが見た印象では、会社が非常にわがままな態度をとっておる、地労委の点につきましても、私は青森にさきにおりまして、地労委あっせんを願うということから一緒に行っていただいたのですが、種々折衝の結果それも成功しない、こういうことで一つ独占的な企業の形になっておるから、そういう思い上がった考え方に立つでありましょうし、地労委介入も断わる、こういう態度に出ておりまして非常に常識がないと私は判断しますが、しかし、この仮免許臨時措置ということにつきましては、今日までかなり長くなっておりますし、さらにこれが将来長引くということになりますと、地元県民の声としても、それぞれ私は二、三話し合ったわけですが、病院の通院患者、それから学生、生徒の通学問題等、今日まで、かなり困った面があるわけです。仮免許臨時免許について、それは当事者組合側なり、あるいは経営者のどちらかが不利だとか、有利だとかいうことは、一応常識的には考えられるかもしれませんけれども、この場合、やはりこれはストライキであり、一方はそれに応じる対抗手段をとっている、こういうことになりますと、ただ、だからと  いって、そのままおくというわけには、この問題の本質からいって許されないと思う。これまで今、せっかく仙台陸運局長から、十七日というお話でございましたから、効果は、きょう、あすあたりから、ぼつぼつ会社も反省をする時期ではないかと思いますので、一つ弘南バスの問題に限っては、陸運行政全体の面から、厳重な監視なりあるいは関心を一つ当局の方で持っていただくようにお願いをして、私は、これに関する質問を終わります。   —————————————
  10. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 中村順造

    中村順造君 この今回提案されました運賃法改正でありますが、この内容について、私は二、三の点について質問いたしたいと思います。  まず、この鉄道運賃制度調査会答申というのがありまして、この内容に基づいて、いろいろな措置がされたと思いますが、この改正案の中に、答申されたことが、原則として全部採用され、またはした、こういう考え方で、今回の改正がなされているのかどうか。その点を一つ、まずお尋ねしたい。
  12. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 調査会答申は、非常に広範にわたるものであります。かつまた、非常に運賃の基準的なものを論議し、答申をいたしております。  それで、答申案にのっとって改正をいたしましたが、百パーセント答申案通りということではございません。答申案自体にも、その点は相当触れておりますが、運賃というものの改正が、従来国鉄運賃は、御承知のように、負担力といいますか、利用者負担力に応じてきめられておったものが多いわけでございまして、それが鉄道独占性を失いますとともに、ある程度原価に近づけなければならないということで、この調査会答申ができておりますが、それは急激な運賃というものの変更をいたしますために、そういう点におきましては、そう大幅な改正にはなっておりません。
  13. 中村順造

    中村順造君 この運賃決定の四原則がありますが、この点に対する考え方はまとまっておりますか。その点、一つお答え願いたい。
  14. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 国有鉄道運賃法第一条によりまして、四原則というものは、第一に「公正妥当なものであること。」、第二に「原価を償うものであること。」、第三に「産業の発達に資すること。」、第四に一賃金及び物価の安定に寄与すること。」。この四つの原則運賃決定する要素になっておるわけでございます。  これは日本国有鉄道に対する運賃決定原則でございまして、従来運賃は、どういうふうに決定することが合理的であるかということは、ある程度学問的には、原価主義負担力主義というものを調節して適用するということが——運賃のいろいろな学説がありますが、大体の傾向でございます。御承知のように、道路運送法におきましても、この二つの原則を並べて書いてあります。第一に原価を償う、それから利用者負担というものを考えて考慮するということでございます。それ、で、鉄道といいますものが、元来総括原価というものが、この原価を償うものであるというふうにわれわれ解釈いたしております。といいますことは、鉄道個々輸送種別ごと原価というものをはじきますことは相当困難である。不可能とは申しませんが、完全に個別原価というものを原価計算からはじき出すということは、ほかの一般産業におきます生産企業原価計算のごとく正確にはでき得ないものでございます。ただ、しかし、この総括原価方式で、負担力主義だけで運賃決定をいたしますということは、これは鉄道独占というものを前提として考えられることでございまして、従来は鉄道独占ということが大きな原因で、総括主義のもとに、個々運賃決定は、負担力主義が非常に強く現われて決定されたわけであります。  ところが、最近自動車、あるいは航空機という対抗機関が非常に発達して参りまして、従来のような独占的な、そういう運賃決定が困難になってきた。  そこで今回は、この総括原価という原則は、私ども解釈では、個別原価を否定するものではない。それで個別原価というものも考慮に入れて改正をしていかなければならないというふうに考えたわけでございまして、第一条のこの四原則にのっとって改正案を提出いたした次第でございます。
  15. 中村順造

    中村順造君 今のお話ですと、ちょっと理解に苦しむんですが、一つ原価の話から先に承りたいと思いますが、原価輸送する、こう原則はなっているんですが、実際問題としては、原価主義になったという理解が立ちにくいんです。従来のもそうですが、今回のも、私ども説明を聞いた範囲では、少なくとも、この半数に及ぶものが、これが輸送原価を割っている、こういう説明がなされたと思うんですが、この点は、原則と、実際された措置とは、なぜそれまでに食い違うのか。たとえばその原則は正しいとあなたの方で認められるなら、同じ回答をされるなら、この際、思い切って原価の……。少なくとも常識で考えて、半数原価に及ばない、こういうことでは、ちょっと理解ができないんですが、この点は、どうなんですか。
  16. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) ただいま申し上げましたように、鉄道企業という本質からいいまして、絶対的な原価主義というものはとり得ません。また運賃というものは非常に歴史のあるものでございまして、この運賃額のもとに、いろいろの日本の国の経済というものが動いております。  たとえばそれを全部原価主義でいきますと、通勤通学というものは、ほとんど問題にならなくなりまして、通勤通学は全部やめてしまう。貨物等級におきましても、一本等級になるというようなことでございまして、これは一つ方向を指し示したものでございます。従来非常に過度な負担力というものの運賃制度が行なわれておりまして、これが国鉄の、何と申しますか、運営というものに非常に困難を与えて参りましたので、漸次この個別原価主義という要素も取り入れて、国鉄経営というものに、将来の安定性をもたらしていくということでございます。  完全なる業種別原価主義というものは、本来鉄道というような企業にはとり得ないものであるとわれわれ考えております。第一条にいいますところの、第二の「原価を償うものであること。」ということは、これは総括原価主義を指しておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、総括的な総収入対総支出の原価でございますが、この中には、個別の原価を全然考えてはいけないという趣旨はないわけでございます。そのほかの第一、第三、第四というような条項を勘案いたしまして決定していくべきものであるというふうにわれわれは、この運賃法の第一条を解釈いたしておるわけであります。
  17. 中村順造

    中村順造君 それでは運賃原価の問題は、ちょっとたな上げにしておきましてお尋ねしますが、国鉄企業形態であるこの公共企業、それから独立採算、こういうことになっておると思いますが、その通りなんですか。
  18. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 日本国有鉄道法によりまして、鉄道公共企業体であり、かつまた能率的な運営をやるということになっておりますので、企業としての要素も持っておる、二面の要素を持っておるわけでございます。
  19. 中村順造

    中村順造君 そういたしますと、一方では、運賃の方では原価を割ったもので輸送しなければならぬ、これはあるわけですね、これはお認めになっておるわけですが、それからもう一つは、この前から言われております非採算線区がたくさんある、それから、なおその上に明らかに非採算だということがわかっておりながら、新線を建設しなければならぬ。  そこで、これは公共企業性を持っておるからやむを得ないと言えばそれまでなんですが、運ぶものについては、原価を割ったもので運べ、それから採算がとれない線区でも、それを新しく建設をしてやっていけ、なおたくさん従来からの赤字線区をかかえておる、それで国鉄経営というものがやっていけるのかどうか、だれが、そこを調整をし、めんどうを見るような仕組みになっておるのか、その点が、これはきわめて常識的な話なんですが、そういう要素を帯びておるなら、やっていけないはずだと私ども思うのですが、その点どうなんですか。
  20. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 国鉄のあらゆる企業活動が、ことごとく赤字を出しておるわけではございません。  たとえば貨物賃率につきまして御説明申し上げますと、現行で御説明をいたしますと、貨物賃率は現在十二等級に分かれております。七等級におきまして指数九五という数字を持っております。これが一応原価とんとんのところでございます。それよりも六級、五級、四級というふうなところがもうかっておるわけであります。このもうかっておる利益分を八級以下の物資につきまして、何といいますか、地ならしをしてやってきておるということでございまして、運賃法の建前といたしましては、全部で総括的に原価をまかなうということになっておるわけであります。  ところが、ただいま御指摘のありますように、国鉄の現在の輸送情勢が、そういう高級品が、先ほども申し上げましたように国鉄独占制が破れましたために、自動車でありますとか、その他の交通機関に流れていってしまう、そしてふえますものが原価を割っておる低級の貨物でございます。そこに大きな問題があるわけでございまして、それで、まあ非常に今度の改正も、そう大きな変化ではないわけでございますが、ある程度高級品を下げ下級品を上げるということをやったわけでございます。    〔委員長退席理事江藤智君着席〕 完全に、それではこれで、自動車にいったものが返るかといいますと、われわれとしては、今の自動車運賃鉄道の今回の運賃を比べまして、完全に返ってくるということは考えられませんが、従来のようにどんどん高級貨物が減っていたというものはある程度防ぎ得るというふうに考えておるわけであります。  また採算線区、非採算線区の問題にいたしましても、採算線区におきまして利益を上げ、非採算線区赤字を消し得るというのが、われわれの一応理想的な経営形態でございまして、北海道あるいは四国というような非常に僻陬の地におきまして、これを採算に合うような運賃というものは非常に高くなっております。これは、国鉄運賃とその地方の私鉄の運賃というものをお比べになればわかるわけでございますが、ところがこの国鉄全体といたしまして、そういった面で不つり合いがきておるというのが大きな問題になるわけでございます。  もう一つ鉄道建設の問題、ごもっともでございます。ただしかし、鉄道建設につきましては、やはりこれは公共性がありますので、私どもは何でも鉄道を引くということを現在考えておるわけでございません。鉄道建設審議会におきましても、昨今、その点に非常に議論されておるところでございまして、私どもは、国鉄交通手段を与えるといたしましても、国が道路を作り、自動車交通の利便を提供するにいたしましても、ひっきょうそれは国の富が投下されるわけでありまして、投下された国の資本というものが、国民に対して最も効率のよい輸送手段を選ぶべきではないかという検討をいたしておりまして、先般鉄道建設審議会でも非常に、不十分な研究ではございますが、一定限度以上の輸送量のある場合には鉄道建設がいい、一定限度以上の旅客の輸送がある場合には鉄道の方が有利である、それ以下では自動車の方が有利であるというような資料も、非常にラフでありますが、御提出申し上げまして御批判を受けております。この点は、われわれ交通の面におきましても、非常に未開のまだ分野でございますとともに、地域的に交通というものがありますために、その地方地方経済というものを十分調べないと結論が出ないわけでございますが、一応そういう考え方鉄道建設というものは、単に鉄道を引かなければならぬというのではなくて、バスに置きかえられるものは、バスに置きかえた方がいいということを考えております。  ただしかし、国鉄をして鉄道をどうしても引かなければならないというところには、やはり国鉄公益性からいいまして引かなければならないわけでございますが、ただそれには、国鉄というものが、現在利益を相当上げておれば、当然の責務であると考えておりますが、御指摘の通り非常に財政状態が不如意でありますので、国において、少なくとも鉄道建設費の利子補給程度はやってもらいたい、進んでは鉄道建設に対する出資を政府から願いたいということで努力いたしておりましたが、本年度の予算におきましては、残念ながらその実現を見なかったわけでございますが、この点は鉄道建設審議会におきましても、再三再四にわたりまして建議はいただいておるわけでございまして、ぜひとも実現をいたしたいというふうに考えております。
  21. 中村順造

    中村順造君 私の申し上げておるのは、建前として、先ほども申し上げたように、一方では非採算線区を従来から持っており、さらに明らかに赤字だということがわかっておっても、新線の建設を今度でもやるわけですが、それから今運賃の問題を一つだけ取り上げても、原価にはるかに及ばないものもたくさんある、私はそう申し上げたら、鉄監局長は、いやそれは、そう言っても、全部が全部赤字でない、それから貨物等級にしても、もうかるものもある、だから線区でも、もうかっておる線区もあるし、それから輸送してもうけになる品物もある、だからその心配は要らない、こういうことなんですね、そうですが。
  22. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 心配は要らないというわけではないのでございまして、そういう理論の運賃の構成になっておるけれども、それがくずれて参っておる、それがやはり収支相償うように運賃の面において是正をしていかなければならぬ、ところが今回の運賃で、完全にそうなるかといいますと、完全ではない、そう言っております。  ただしかし、漸次そういうところに近づくような運賃制度になりつつあるということでございます。
  23. 中村順造

    中村順造君 それは、不完全なものだということは認められておるようですが、なぜ——度合いもありますけれども、なぜそれを完全なものに、うんと前進をさせられないのですか。その点は、どうですか。
  24. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) この点につきましては、ただいまの運賃法でいいまして、産業の発達に資しますとか、物価の安定に寄与するというような社会的な影響を十分考慮してきめなければならないわけでございまして、何といいましても鉄道運賃というものは、産業の根幹をなしておりますので、この急激な変化というものは、産業界に大きな影響を与えますので、漸を追って修正をしていくべきものであるというふうに考えております。  そこで、運賃というものは、原価を償うものである、鉄道企業だけからいいますと、それだけでよろしいわけでございますが、そのほかの条件がついておるのは、単に鉄道企業だけのものではなくて、やはり社会一般ということの影響を考えつつ、運賃というものを構成しなければならないという第一条の趣旨にのっとっておるのでございます。
  25. 中村順造

    中村順造君 その完全なものにならないというのは、やはり物価の安定だとか、いろいろのものを考慮したものだ、こういうことですが、今回の運賃法改正については、説明されたのは、やはり不増収、不減収、こういう原則に立ってやったのだ、こういう説明があったわけです。  そうしますと、今私が初めに申し上げたように、建前として国鉄は、こういう建前にあるのだが、その点の矛盾は認められておるわけなんです。これは赤字線区を持ち、不採算線区を持ち、それから運賃原価に及ばないものがたくさんある。それを建前として認めておいて、しかもそれが完全なものに前進ができない。不増収、不減収という原則を立てて運賃法の改訂をやられる、ここがどうも、納得できないのです。これは今、利子補給の話もありましたけれども、これも、実現をしておらない。これは政府の怠慢か、当局の力の足りない点か、知りませんけれども、そういう矛盾があるにもかかわらず、前進をしない。  しかも、この運賃調査会答申内容を見ますと、まだかなりのものを私は要求しておると思うのです。この点が、どうも不増収、不減収という、なまぬるいもので、徹底した——徹底したまではいかなくても、もう少し、より前進ができるはずだと思います。この点は、なぜやらないのですか。
  26. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 今回の運賃法の一部改正は、従来の運賃改正におきますような増収を目的としたものじゃございません。運賃制度というものが、非常に戦後の経済のあり方が急激なインフレに見舞われましたり、あるいはいろいろ社会情勢というようなもので極端な、いびつなものに戦前よりもなっておるわけでございます。そういうものをまず正常な姿に直すというように努力をしなければならぬということで、今回の改正が考えられたわけでございます。  たとえば遠距離逓減というようなものも、戦前に比べますと非常に大幅になっております。かつまた——今回は法定事項から運輸大臣の認可にしていただくようにして提出しておりますが、——特別急行料金、急行料金あるいは準急料金というものも、戦前の基本運賃との、それらの料金との比較におきましては、非常に高くなっております。それは結局基本運賃というようなものが、戦後の経済におきまして運賃というものが、大幅に上がっていくというときに押えられてきた。それで、非常に運賃制度そのものが変わった。運賃のあり方として、正しくないとは言えないのでございますが、あまり好ましくない姿になっておるので、それをまず是正をするということでございまして、先生のおっしゃるように、鉄道経営というものの将来にわたって、これでもう十分やっていける運賃ができた——運賃額の問題でございますが——そういう趣旨ではございません。運賃制度というものを正しくするための制度でございますので、不増収、不減収という原則のもとに、各輸送種別ごとの負担のある程度の均衡を考凡て参りたいということでございます。    〔理事江藤智君退席、委員長着席〕
  27. 中村順造

    中村順造君 どうも説明が、私は納得できないのですが、中身は多くの矛盾がある。しかし出したものは不増収、不減収という原則——号して不増収、不減収——でなければいかぬのですか、その点を二つ、はっきり言って下さい。不増収、不減収というのは何です。矛盾を直せば、あるいは減収になる場合も——矛盾を直すのですから、減収にはならぬかも知れぬけれども、増収には少なくともなっていいのですが、その点、どうして不増収という言葉をおっしゃるのですか。あなたの説明のように、内容の矛盾を直すというならば、矛盾を直すと、当然妥当なものになる。そうすると増収にならなければならぬはずです、その点は、どうなんですか。
  28. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 先ほど貨物の例で御説明を申し上げましたが、もうかっている物も損をしている物もある。ところが、もうかっている物は、どんどん減っていって、もうからない物がふえる傾向にある。このまま置いておきますと、ますます鉄道というものが、働けば働くほど赤字を出すという結果になるわけでございます。そういった場合に、百円の収入がある場合に、将来その百円に対して、たとえが違いますが、現在は百円の支出をしていると仮定をいたしまして、将来この百円が、同じ量の運送をやっておりましても七十円の収入で百円の支出をしなければならないというふうな傾向になりつつありますために、将来とも、現在百円の収入があるものは百円でやれるようにということを考えての制度でございまして、その際、鉄道の収入が悪くなれば、運賃の値上げをしたらどうかということも、御議論にはあると思いますが、今般は、そういう運賃の値上げというものを考えないで、総体的にプラスマイナス・ゼロということで、負担の均衡ということと、将来の国鉄が、今申し上げましたように、働いても働いても赤字になるということのないという制度を、まず第一歩として考えていかなければならないということで、今回の法案を御審議を願っているわけでございます。
  29. 中村順造

    中村順造君 そういたしますと、私が尋ねているのは、不合理、矛盾を直す——たとえば運べば運ぶだけ損だという品物があれば、その点を是正する。それから値上げを私は認めるわけじゃない、これは誤解しないようにしてもらいたいと思うのですがとにかく矛盾を直す、その企業の形態からいって、そういう矛盾のないようにするということならば、これはきわめて自然的なことで、しかもそのことによって大きな改革がされる、こういう理解に立てるわけです。ところが、あなたの説明内容には、そういうまだ完璧なものではない、多くの不完全なものがある、それから形としては、それでもうかる線区もあるし、もうかる品物もあるから、これでいいのだ。しかも、それを不増収、不減収ということを前提に非常に固執されているようですから、私は納得できないというのです。  それがあなたの認めておられるように不完全だとすれば、よりこの答申にありますように、中身は前進できるものもあると思うのです。この点は、全然ないのですか。これですべてですか。
  30. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 御質問の趣旨は、よくわかっているつもりでございますが、たとえば先ほど貨物の例で申し上げましたように、なぜ完璧にしないか。たとえば七級が収支とんとんである。八級以下において損をしている。それで八級以下をそれでは原価そのものにする、送っても送っても赤字が出ないようにする、といいますことは、自動車貨物運賃と同じように、全体の品目を七級と同じ一本均一にすることになるわけでございますが、そういたしますと、結局七級以下の運賃の値上りというものが、相当大幅になるわけでございます。ところが先ほどからも繰り返して申し上げておりますように、運賃というものも、やはり一つの物の価格を形成する大きな要素でございますので、急激なそれに変化を来たすということは、社会的に非常に影響が多い。  そこで、そうした物資というものの運送といいますか、それは距離の移動による価値の増加でございまして、その増加価値の中で占める割合を見つつ、大きな市場価格に変動のないという限度を考えつつ、国鉄においては、そういう運賃制度を考えたわけでございます。そうしますと、結局それで限度がついて参るわけでございまして、それを現在高級品でドンドン国鉄から逃げている貨物の値を下げるという方向に使っているわけでございます。  先生のおっしゃるように、一本の運賃にしてやるということになると、非常に国鉄企業としては、原価がはっきりいたしまして、やりやすいわけでございますが、それは、やはり国鉄というものが、公共的なそういう制限の下に運賃というものができているので、やむを得ないのではないかと思っております。
  31. 中村順造

    中村順造君 内容等級については、また、具体的なものが示されておりますから、その点についてはやればいいと思うのですが、ただ、私は、国鉄企業全体から見て一つ運賃政策、それから企業のあり方、こういうものについてお尋ねしておるわけなんです。もう少し具体的に申し上げると、今回運賃の改訂がたとえばされたといたしまして、あなたの方の今まで説明された考え方は、これは将来ともそれでいいわけなんですね。
  32. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 将来永久にいいかどうかということは、永久にはこういう制度ではないだろうということは言えるわけでございます。ただ制度というものは、やはり相当慎重に考えなければならないもので、鉄道運賃調査会におきましても、二年にわたりまして十分御検討の上結論を出していただいたようなわけでございまして、そう軽々に一年とか二年とかいうようなことでまたこの制度が根本的に変わるというようなものでないと思います。
  33. 相澤重明

    ○相澤重明君 関連。鉄監局長先ほど中村委員に対する説明で、不減収不増収という原則、それについては統一的な賃率にするということはなかなかむずかしい、こういうことを言われておるのは、今回の提案は原価主義なのか、政策運賃を通すことなのか、その解釈を政府はどういうふうに行なっておるのか、いま一度それをはっきりしてもらいたい。
  34. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) これは先ほど申し上げましたように、運賃法第一条の第二項第二号の「原価を償うものであること。」、これは私ども総括原価主義であるというふうに考えております。ただいま御質問のような個々の運送種別の原価というものの方針を表わしたものではないと考えております。ただ個々原価を償うというふうに努力する、近づけるという、運賃構成の面におきましては、一般的な原則に譲っておるものであると考えておるわけであります。
  35. 相澤重明

    ○相澤重明君 私のお尋ねしているのは、政府の今回のこの賃率改訂にあたっての基本的態度原価主義なのか、それとも政策運賃でいくのか、そのいずれを主張をされておるのか、こういうことを聞いておる。
  36. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 運送種別ごとの原価主義ということは、ただいま御説明いたしましたようにとれません、それは一本運賃になってしまうことでございますから、それで従来とっておりますのは非常に極端な負担力主義でございます。その極端な負担力主義鉄道の財政を非常に危殆ならしめているというので、個別的な原価主義にある程度修正するということでございます。白であるとか黒であるとかいうようなはっきりしたものでは、運賃はとうてい作り得ないわけであります。諸情勢を考えつつ妥当公正な運賃を作るということが非常に重要であり、かつ困難なところでございますので、原価主義と申しますのは、総括的原価主義のもとにおきまして、従来の負担力主義の非常に強度に各種の運賃が作られておったものに、ある程度原価に近づけるような努力を今度はしたわけでございます。
  37. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、これはいずれ、今は関連質問だけですから、今の鉄監局長お話ですと、個別的集団安全保障ということと同じで、個別負担力の極度の制限というものを緩和をして、そしてある程度のいわゆる原価主義も含むということであって、鉄道の本来の使命からくる政策運賃というものについては基本的には変わっておらぬ、こういうように考えてよろしいのかどうか、その点をお答えいただきたい。
  38. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 言葉の意味が非常に端的でありますので、お答えしにくい点があるわけでございますが、鉄道運賃におきましても、全部が全部政策運賃ではないわけでございまして、政策運賃でありますものは、従来いろいろ議論されております国鉄の持っておる公用、公共負担という面において強いわけでございます。そういうものを国鉄というものがある程度負っていかなければならないということにおきましては、従来と変わったことはございません。しかし国鉄の財政というものがそれを許さなくなったときには、その負担というものをどうするかということは、この運賃以外の問題も相当あるわけでございまして、これには国鉄企業のあり方というものを根本的に政府において近く取り上げまして、恒久的な施策を講ずることになっておりますので、その財政問題として運輸省としては取り上げたいと考一えておるわけでございます。
  39. 大倉精一

    ○大倉精一君 今中村君の質問の答弁の中にたびたび出てくることは不増収不減収ですか、出てくるんですけれども、これはほんとうにそういう結果になるか、ならぬかということは、各品目別によるところの貨物等級ですね、これを最終的に決定して総合判断しないというと、そういう結論はわからぬのじゃないかと思うんだ。その等級は一全部整理されておるんですか。
  40. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私からお答え申し上げます。貨物等級表は千二百品目ぐらいございますが、私の方といたしましては、これは現場の末端において使う資料でございまして、すでに整備してございます。ただ今ちょうど印刷に回しておりまして、現物はまだちょっとでき上がっておりません。原稿その他はもちろん整備されております。それからその大体の骨子になる案は、制度調査会においてももちろん検討いたされております。
  41. 大倉精一

    ○大倉精一君 整備ができておったら、その資料を出してもらいたいと思うんです。それを検討しないというと、今の答弁がほんとうか、うそかわからないことになる。ですからほんとうに不増収不減収に今のところなるのか、ならぬのか、その資料を整備ができておったら、一つ拝見したいと思います。
  42. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 各品目ごとの詳細の正確な計算は、全部計算の過程を表わしたものはまだできかねますが、こういう計算でこうなるということは全部出ております。提出いたします。
  43. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、あれですか、計算の方法だけがきまっておるのであって、千何百種の品目については、この品目は何級だということはまだ整備されておらぬわけですか。
  44. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) それは全部計算されております。それはトン数ないしトンキロまで計算いたしまして、トンキロごとの運賃を旧運賃、新運賃全部かけ合わせまして、不増収不減収と申されましたが、一応貨物運賃では約一億五千万円程度の赤字になります。千三百億ぐらいの収入の中で一億五千万円ぐらいの赤字になる。旅客運賃につきましては約五千万円ぐらい黒字になる。両方相殺いたしまして一億円ぐらいの減収になるかと思います。三千億の収入でございますが、本来ならばこういう制度改正の作業をいたします場合には、差引ゼロにいたすのが筋でございますが、どうしても三千億ぐらいになりますと、ぴったり差引ゼロということになりません。その結果約一億円の赤が出るということに相なります。これは各品目について全部新旧の等級並びにトン数、トンキロを計算して積算したものでございます。
  45. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでこういう等級表の冊子か何かできておるはずなんですが、そういうものをお持ち願いたいと思います。できれば新旧等級の対比ですね、旧等級表だったらこれは何級、新しくはこれは何級と、こういうのがあったら提出願いたいと思います。
  46. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 多少鉛筆で書き加えた点で、完全な印刷物でない点がございますが、その点はあらかじめ御了承願いまして、原稿を作っておりますので、その原稿を急速印刷屋に今回しておりますので、ある程度鉛筆その他で書き入れたものでごかんべんを願いたいと思います。
  47. 中村順造

    中村順造君 今の不増収不減収とんとんだということは、これはそうはならぬと思うんです。鉄監局長どうです。今あなたの説明では、先ほどあったんですが、たとえば自動車と競争する、私鉄運賃と競争する、業態が競合する、そうして自動車には食われるという議論がされているわけですが、この改訂をすれば、これは説明のときにもあったと思いますが、そういうものが国鉄に返ってくる、こういうことなんでしょう。そうしますと、これははたして結果的に私は不増収だというわけにはいかぬと思う。今磯崎理事の話では、これはやはりそういう計算をしてやはりとんとんだと。しかし、これは三十三年度を基準にしてその数字がはじき出された場合には一億四千万円の赤字だと、こういうふうに言っておられますが、現実の問題は、この改訂のねらうところがそこにあるとするならば、自動車べ逃げたものが国鉄に返ってくるとすれば、これは決して不増収じゃないと思う。増収にならなければ意味がない。この点はうそだ。うそと一章えば失礼ですが、間違いじゃないかと思うのです。まあ、それはいいんです。私はそれを追及するわけじゃありませんから。そういう結果にならなければ、これは必然的にもそうなるわけです。もし、かりに自動車に逃げた貨物がこちらに返るとすれば、これは増収になると思うのです。  それからもう一つは、さっきの話の続きなんですが、少なくとも私どもの印象から見れば非常になまぬるい、行き届かないところの運賃改訂を出されているわけです、私から言わせれば。けれども、あなたは、これでやっていけると。私は、なかなか国鉄経営自体から見て無理じゃないか、こういうことを具体的に非採算線区その他を申し上げておるけれども、あなたは、もうかる線区がある、もうかる品物があるからいける。少なくとも軽々に運賃改訂なんかしょっちゅうやるべきものじゃない。これがきまるまでに三年かかったのだから、将来ここ二年、三年運賃改訂はあり得ない。こういうお話ですから、その点はいいが、話が一番初めに戻りますが、この運賃調査会答申の中で、私が申し上げたようにこれがなまぬるいというのは、やられていないものもあるのです。それはなるほど、旅客の三等級を二等級にするとか、あるいは遠距離逓減をやめるとか、あるいは貨物等級を少し内容を修正するとか、こういうことはやられております。それから急行料金の大臣の認可の問題等、これらのものが骨子になっておりますが、まだまだ従来からいえば大きな問題がこの答申の中にもあるわけなんです。これは御承知だと思いますが、定期・運賃の問題、それから通行税の問題、これは全然手が触れられておらない。これはやはり手を入れれば増収になる。だから、不増収だということにとらわれてこういうものに手を触れなかったのかどうか。これは物価に影響すると言われるかもしれませんし、また、国鉄公共企業だからやむを得ない、こういうふうに言われるかもしれませんが、少なくとも定期運賃なり、あるいは通行税の問題なりは、今までの経緯から考えて、ほかのものよりこれに手をつけるべきじゃないかと、こういう感じがするのですが、なぜそういう点に手をつけないのか、その点を一つお答え願います。
  48. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) まず、初めの上級貨物が引き下げられるから、不増収、不減収といいながら増収になるのではないかと、この点についてまずお答え申し上げます。鉄道貨物がトラックに転移するということは、運賃の問題も大きな要素であります。しかし、トラックにおきましては、ドア・ツー・ドアという非常に業者に便利な面が相当あるわけでございまして、その点では、鉄道は、この運賃ということだけでなくて、運送というものの近代化というものをあわせて考えないと、鉄道貨物がトラツクに転移していくということは防ぎとめられないものでございます。そこで、われわれは、昭和二十八年の改訂の際におきましても、上級貨物をある程度引き下げまして、これは当時の引き下げは、等級指数の最高限二百五十を二百に引き下げたわけであります。その結果、上級貨物のトラツクに転移するという状況に対する経験を持っているわけでございますが、その場合に、これらの上級貨物が全貨物に占める比率というものは、むしろ逐年やはり減りつつあるということでございます。そこで、従って、今川上級貨物を引き下げましても、その輸送量の増加を期待することはどうも無理ではないか。むしろ上級貨物が他の運輸機関に転移するのを防止する程度でございまして、今まで転移したものを取り返すという程度のものでございますので、先ほどからおっしゃっておりますところの原価というものには近づいていないので、不増収、不減収ということになるのではないかと考えております。  それから、定期運賃あるいは通行税というような問題につきましては、もちろん、これも社会に及ぼします影響が非常に大きいので、慎重に今後の検討をして参らなければならないと考えております。
  49. 中村順造

    中村順造君 慎重にはいいんですがね。適当の機会、こういうことが書いてあるから、いいんですがね。なるほど、貨物等級の修正というよりか、問題としては、やはり定期運賃が大きな問題にならなきゃならぬと思うんです。これは、私、なぜそういうことを申し上げるかといいますと、この答申の中にも書いておりますが、最近の通勤手当と申しますか、通勤のためのいわゆる電車賃、汽車賃というものは、大体事業者負担をするような、ほとんどがそういう形になっておる。それから公務員についてもやはり通勤手当というものを出されておる。そういう中で国鉄だけが非常に大幅な割引をするということは、これは直接と言ってもいいほどその事業者に対する国鉄の出血サービス、こういうことが一声えるわけなんですよ。これは特に最近ここ一、二年来そういう傾向にあるという現実を見るなら、まずこれに手をつけるべきである。それは、いろいろ抵抗や世論の多少の反撃はあると思います。あるけれども経営のあり方自体からまつ正直にやるなら、1不増収、不減収ということよりは、まだ先にこのことの方が大切じゃないか。通行税なんかも明らかにこの中に指摘しておりますけれども、今までの経緯から見て、この際これに手をつけるべきだ。今お話しのように、少なくとも向こう二、三年間は運賃改訂ということを考えられないとするなら、この際ここに手をつけるべきだと私は思う。そういう考え方についてどうなんです。
  50. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その点につきましては、国鉄が法規上認められておりますところの公共性以上の国家負担、たとえば、ただいま御指摘の定期で申し上げますと、運賃法においては五割以上は上げられませんので、五割は当然国鉄負担をするというのが法律の建前でございます。それが八割、九割という高率の割引をしておりますので、この五割以上の負担をしておる金額、あるいは特別の貨物運賃の特別等級と申しますもの、その他暫定割引というようなものを全部合わせますと、五百数十億の運賃は公共的な負担を負つておる。それで、国鉄公共企業体であり、公益を旨とすべきものでございますから、国鉄の財政状態が豊かであれば、これは当然国鉄負担すべきものであるということは言えると思いますが、御承知のように、非常に財政状態が悪く、しかもこういった社会政策的な負担を負つておるということは、国鉄におきまして今大きな問題になっております。それで、ただいま御指摘の定期運賃を含めまして、この公共負担というものをどう政府としては考えていくかということを、大臣は非常に考えておられるわけでございまして、運賃の問題も重要でございますが、そういう点においては本格的に運輸省において検討するばかりでなく、大臣の御意見でございますと、閣僚懇談会にその問題を持ち出して、真剣に国鉄の将来にわたって検討しなければならないという御決意でございますので、われわれもその驥尾に付しまして、この問題は真剣に解決すべく努力したいと考えておるわけでございます。
  51. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連して。たまたま今私がお尋ねしようと思ったところを御答弁があったのですが、かつて運輸大臣が関係閣僚の間で、国鉄のあり方を含んで輸送全般のあり方について検討中であると、こういう発言があったのですが、その経過についてお尋ねしたかったのですが、どういう経過になつ  ておりますか。
  52. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その問題は貨物の暫定割引の問題が契機といたしまして、国鉄運賃、あるいはその他のもの全体を大臣は取り上げるべきであるということで、両三度経済閣僚懇談会でも議論になりました。非常に問題がむずかしいのでまだ結論に達していないわけでございますが、経済閣僚懇談会におきましては、すでに取り上げられておるわけでございます。ただ結論がまだ出ておりませんので、大臣といたしましては、もっと強力にその問題を進めようという御決意でございます。
  53. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は、原則的に言うならば、その問題を政府は責任をもって先に結論を出さなければうそだと思うのですよ。今のずっと答弁を見ておりましても、非常に矛盾したところがある。たとえば国有鉄道法の第一条を見ましても、能率的な運営をやると書いてある。ただこの場合の能率的な運営ということは、私企業のような営利事業としての能率的なという意味じゃないです。これはずっとこの趣旨というものは、公共の福祉を増進するためにのみ能率的な運営があり得るのであってですね、このもうかるとか、もうからぬとか、盛んにそういう話がありますけれども、これは全然違うと思うのですね。それからまた、運賃法を見ましても、四つの原則をあげておられますけれども、これも第三項の「産業の発達に資すること。」、これはいかにも軽々しく取り扱われておる。その前の「原価を償うものであること。」、これを一生懸命声を大にして強調して、肝心の「産業の発展に資すること。」ということが非常に軽く扱われておる。これは今の国有鉄道のあり方からいって、そうなる運命にあるのですね、これは。ですから国有鉄道のあり方自体をやはりこの際抜本的に検討する政府はその責任があると思うのですよ。特に民間企業のトラツクと競争しよう、あるいは電車、バスと競争しよう。競争もけっこうなんですけれども、それだけでは国有鉄道と私企業と何ら選ぶところがなくなってしまう。でありますから、それが結論つかないと運賃を審議するなり、あるいはその他云々と言っても、本末を転倒するのではないかと私は思うのですが、お考えをお聞かせ願いたい。
  54. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 御指摘の通り国有鉄道法第一条の能率的な運営というものは、ただもうけることだけを考えて公益を眼中に置かなくていいという趣旨ではございません。これは常に議論されておるわけでございますが、公共性企業性というものを完全な姿においてマツチして国有鉄道というものは経営を行なえという、日本語では非常にむずかしい日本語でございますが、この能率的経営といいますことは、やはりまあ公共企業であるから、一つ一つ企業行為が楽に、能率を考えないでやっていいというわけではなく、やはり民間企業におけるように経済的に能率的に行なえという趣旨でございます。ただし、その目的は営利というものではないので、公共の福祉を増進するということを目的とするのだということで、私が御説明しなくても十分御了解をいただいておるところでございます。かつまた運賃法第一条の「原価を償う」ということだけを重視してほかは重視していないのではないかということでございますが、私たちはそうは考えておりません。現在の運賃制度そのものが、この「原価を償う」ということよりも、先ほど来御説明申し上げておりますように負担力主義によっておるわけであります。この負担力主義というものは、利用者の利便というものを十分考えての負担力主義ということでもあるわけでございましてそれは貨物運賃制度をお考えになられましてもわかりますように、国鉄における定期旅客制度というものをお考えになってもわかりますように、この「原価を償うものである」ということの、先ほど来の御質問と逆になりますが、非常に強くその面が現われてきておるわけでございます。ですから、この運賃法第一条は、繰り返して申し上げて申しわけございませんが、まず総括原価を償うということを一つのワクにしてその中においてこの第一号、第三号、第四号の原則によってやっていくのだというふうに考えておるわけでございます。  ただ、いろいろ運賃法以外に問題が多々ある、解決すべき問題がたくさんあるということは十分存じておりますので、運賃法改正だけで事足れりというわけではないわけでございます。これが第一歩でございまして国鉄の財政の建て直しは次々に根本的な問題について手を触れていかなければならないというふうに考えております。
  55. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ、きょうは関連質問でもあるし、時間もありませんから、どうこう言いませんけれども先ほどから原価を償う、原価を償うというお話がありますが、原価とは何だということだ、原価とは何だというのです。総合的な原価のことでございますけれども、総合的な原価というのは何かということ。そうしますと、極端なことを言うならば、さっき中村君が言ったように、赤字線を作るんじゃない、作らされるんだが、これも原価だな。それからあるいは定期の割引、これも原価に入るでしょう。これは本来ならば政府がめんどうを見なければうそですよ、この割引なんというものは。ですから原価というが、原価の中身は非常に疑問ですよ。これはそういうものを一部の運賃なり一部の料金なり、みんな負担しなければならない。そういう原価を、不当な原価を、そういうことをやはり国鉄自体として、まあこれは局長の責任じゃないかもしれませんけれども、政府が真剣にこれから取り組んで、その上に立って運賃を考えるのだ。そうしてトラックとの競合関係はいかにあるべきか、これをやらないというと、どうも私は国民諸君は納得しないんじゃないかと思うですが、まあ、それだけですが、お考えがあったら一つお聞かせいただきたい。
  56. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 繰り返すようで申しわけございませんが、原価原価といいましても、原価に二つあるということを申し上げております。私はこの運賃法にいう原価というのは、総括原価といいますのは、総収入対総支出というものが償い得るようにという趣旨だと解釈しておるわけでございます。そのほかに個別的な原価というものがある。その個別的原価というのは、鉄道企業においては生産企業におけるように正確に出ない。たとえば管理費が非常に多いということで、先生のような専門家に申し上げますのは……。
  57. 大倉精一

    ○大倉精一君 何が専門家だ。
  58. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 釈迦に説法のごときでありますけれども、ただ、あまりにもその個別原価というものは、非常に卑近な例におきましては、定期の面におきましてあれが原価を償なっておると常識的にも考えられないものがある。そういうものは今回問題にしておりませんけれども貨物の面におきましても、その他いろいろあるので、そういう明らかに個別原価を割っておるというものは、原価にまで近づけるというのではなくてなるべく考えられる原価に近いようにしておくということでございまして、その点微温的であるということは、われわれも認めておるわけでございますが、その二つの原価を考えて作業をしておるわけでございます。
  59. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあこの問題はまだ衆議院も上がってきておりませんので、こちらに回ってくれば、一つさらに詳しくお尋ねもしたいと思うのですが、最後にきょうは私ども議員総会がありますので、あまり長くできませんので、私はこれで保留しますけれども、こちらに上がってさましたらずっと突っ込んでお尋ねしたいと思います。
  60. 相澤重明

    ○相澤重明君 前田次官に一つ聞いておきたいんだけれどもですね、政府は、この今の鉄監局長説明ではないけれども公共性公益性企業性、こういうその解釈の中でですね、いわゆるこの公共性ということをあくまでも説明をされるのかどうか。国鉄の場合ですね、公共性ということをやはり政府は看板はずしていないと、こういう閣議で話がきまっておるのかどうか、いま一回その説明をしてもらいたい。
  61. 前田郁

    政府委員(前田郁君) 国鉄といたしましては、私どもはやはりこの公共企業性ということが根本になっておるんじゃないか、こう考えております。ただいま赤字の問題もいろいろございますけれども、一切これは建設審議会においても国鉄側からも、しょっちゅうお話があって赤字線が非常に多い、これをどうするのかということでございますが、結局は公共企業性というものがものを言っておるので、その赤字の問題もその見地から相当研究をしていかなければならぬじゃないか、こう実は考えておるわけでございます。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで次の委員会に私も質問をいたしますから、そのために一つお答えをいただいておきたいのですが、建設審議会の答申を政府は尊重をする、しかも公共企業性であるということになると、政府は赤字線ということも現実に了承しておるのであるから、十一路線建設については、これを着工するとなれば四十億の赤字になるということも、これはもうはっきりしておるわけですね。そういうようなことを、こういう賃率改正する際に国民の前に明らかにしなければならぬと思うのです。そういうことをまずどういうふうに政府は国民の前に明らかにするのか、それを一つこの次の委員会で答弁してもらいたい。  それからいま一つ、それは独立採算ということを、先ほども大倉委員から運賃法の問題で質問をされておるけれども、あくまでも独立採算というものを強行するつもりなのかどうか。もしそれを強行しないで、先ほどの言う国民の国鉄であるという建前で、公共性というものを含んだいわゆる政策運賃というものを持つならば、一体今のいわゆる固定資産税なり政府の補給金なりというようなものについてどういう見解をお持ちであるか、これを一つ基本的な問題として次の委員会にやはり答弁してもらいたい。  第三、それは今回の運賃率の改正が、当面の赤字を若干でも解消をする、不減収不増収という説明を、むずかしい日本語を言われておったけれども、それにしても、五千万からの貨物、旅客のバランスをとれば赤字になる、こういうことを言われておるのだが、次の国会で国鉄運賃についての改正を政府は提案をしない、今後運賃改正をしない、こういうことが言われるのかどうか、そのことについて政府の見解を明らかにしてもらいたい。  以上三つについて、あとこまかい点は次の委員会の際に各角度から私から御質問申し上げますが、基本的な問題ですから、そこは一つ前田次官から大臣によくお話しになって、政府の見解を明らかにしてもらいたい。以上です。
  63. 中村順造

    中村順造君 大体私はまだまだ質問したいのですが、時間もないようですから、たた要望しておきますが、この次はやはり今まで議論されたように、運賃の問題一つ取り上げても、やはり原価運賃だとか政策運賃だとか言われております。それから国鉄のいわゆる公共性企業性ということから見て、やはり非常にこれは政策的なものがあるわけです、なけらねばならぬわけです。そういう面で大臣にも今度は出ていただいて国鉄の、去年の八月だったと思いますが、やはり本委員会で、先ほど大倉委員から言われたように、国鉄企業そのものにもやはり根本的に考えなければならぬ面があると、こういうことも本委員会で言われておりますので、大臣に一つ出てきていただいて、それから私は、ちょうど今まで言いましたのが中途半端なことになりましたけれども、まだこの運賃の改訂については多くの問題を含んでおると思うのです。だから適当な機会がありますれば、また質問を続けてやらしていただくということで、きょうは保留して私の質問を終わりたいと思います。
  64. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 あるいは関連するようなことになりますが、この運賃改正自体は、先ほど説明もありましたし、また、いろいろ配付になりました資料を通覧いたしますというと、国鉄は旅客の面においても貨物の面においても、今回この運賃改正をもって増収をはかって、鉄道経営を好転させようということの意図はないように思いますが、それはそう解釈していいわけでしょうか、それが一点。
  65. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 繰り返してお答え申し上げますように、不増収不減収を建前といたしております。
  66. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうしておりますというと、今度の改正自体は、結局旅客のいろいろ、今日まで経営してきたいわゆる鉄道政策というものを、いろいろの時代的に次々に改善されてきておるが、それ全体的のバランスが非常にとれておらない。従って運賃自体の増加はしないという範囲においていわゆるバランスをとっていく。そうして現状に合った運賃制度であり、旅客運賃制度であり、貨物については、各等級が新しい観点に立っての産業及び国民生活必需の輸送というものについて適合するように改善をしていく。そうしてその総ワクにおいては下級品を上げる、それから非常に高いものを下げて、競争にも対処する。同時にまた、この方策としての原価主義、遠距離逓減法等の従来の負担力主義というものを是正していこうという方策のように私は見えるのですが、これは間違いないわけですね。
  67. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 旅客におきましてはおっしゃる通りでございます。ただ貨物の面におきまして鉄道自体の企業の要望からいいますと、先ほど来御説明しておりますように、まだこれはこれで目的を達したというものじゃございません。ただ繰り返して申し上げますが、運賃法第一条にありますように、貨物等級改正といいますものは、いろいろの社会的な影響というものを考えておるわけでございまして、これによってトラックに転移をしたものが完全にまた鉄道に返ってくるということは考えていないわけでございまして、ある程度トラックに転移するものが防げるであろうと、これだけではだめなんであって、鉄道輸送の近代化、荷主の要望に応じた輸送改善というものが相待てば、またある程度のそういう効果を発生するであろうということであるわけでございます。
  68. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 貨物についての問題ですが、いわゆる負担力主義、まあ距離でいえば、遠距離逓減法、また負担力主義貨物等級表というようなものが基本になっておるものが、自然原価主義というようなことに転移するということについては、世界各国において、今日の情勢はまさにさような線に沿っておる。言いかえれば、企業自体というものが、やはり原価を基本として考えられなければできないというおそらく考えで各国がこれにやっておることだと思われるわけで、われわれはその意味において、わが国有鉄道貨物運賃というようなものが負担力主義から原価主義にやはり是正するということは当然だろうと思います。  ところで、具体的問題で一つお伺いしたいのですが、最近の産業界の情勢において、特に科学進歩の結果、非常に新しい品目というか、そういうものがふえてきておるわけですね。新設品目に、ここにあげてあるのも拝見しましたが、こういう特殊のものだけではなしに、たとえばアルマイト製品であるとか、あるいはプラスチックというようなことで、建築用材から食料品から家庭用品からすべて、こういうものがそういうことになっておる。言いかえれば普通の炊飯器というようなものでも、昔ならば鉄製品、今日においてはアルマイト、その他、非常に軽量品であるとかというようなことに転移し、特に軽電機のいろいろなものが最近非常にふえてきておるわけですが、そういうものの貨物に対してのいわゆる等級というもの、言いかえれば軽量品に対する等級のごときはどういう工合にして是正されることになっておるのか、資料をいただいた範囲だけではわからないのですがね。私の考えとして疑問を持つのは、かりに不減収不増収の原則であっても、たとえば米を何がしかしげるというようなことになるならば、今日非常に負担力もあるでしょうが、いわゆる軽量品で、実費主義から考えて、貨車一ぱい積んでもあまり積めない。トン数だけのものを積めないというようなものが、今日やはり重量で全部計算されておりますね。そういうものに対する、いわゆるこれを調整するのは私は等級だろうと思うのですが、この等級については、今回はそういう点を考慮しておるかどうか、これは広範囲においてあると思うのです。たとえば貨車一車というような点から考えても、従来は相当の重量であったから、相当の運賃がやはりとれておった。ところがそれが今度は非常に軽量品になって一車かかっても、十三トンが八トンにも足りないというような状況に、これは相なるだろうと思うのですが、これに対してはどういうことになっておりますか、その点を一つちょっとお伺いしておきたい。
  69. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問でございますが、新設品目の中に約八品目を増加いたしました。私どもといたしましては、今の傾向から申しまして、負担力主義原価主義に近づくに従ってやはり品目数を増加していきたいという気持も持っております。が、最近の化学製品、その他の発達、一新製品の発売等の関係で、これだけをふやした。それらの点で軽量品が多いことも事実でございまして、軽量品につきましては、御承知通りいわゆる減トンの制度をとって、減トンと申しますか、軽量割引の制度をとる、これにつきましては、やはり千二百品目の全品目につきまして、通産省、農林省と共同調査いたしまして、貨車の積載率を計算いたしました。と申しますことは、もちろんおのおの重量の変化もございますし、また荷作りの変化もある、あるいは取引の単位が違ってきているというような種々の理由によりまして、今までの減トン制度を当然修正しなければいけない。ちょうど貨物の価格が上がったり下ったりしますと、運賃が上下いたしますように、やはり貨物の荷作りなり取引単位が変わってくると、当然軽量減トンに影響するわけでございます。これらにつきましては、もちろん全品目につきまして、新しい軽量減トンを作成しておるわけでございます。それらも提出いたします資料の中につけて提出いたしたいと、こう思っております。
  70. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 今軽量品目については減トン制度と言われますけれども、減トン制度というのは結局車扱いじゃございませんか。そうするというと、一般の小口扱いと車扱い以外のものについては、算級割増しとかいうことになっておりますがね、従来通りにやられるかどうか、その点……。
  71. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 車扱い以外の小口貨物につきましては、基礎賃率は今回いじらない。ただ割増しにつきましては、今の軽量減トンあるいは物の価格と同じように、その貨物自体の物理的性格なりあるいは取引単位の変化、あるいは荷作りというようなこともございますので、小口貨物につきましても、個々の品目につきまして、ある程度割増しその他の変更をすることもございます。しかしながら、小口貨物の全体の基礎賃率及び基準賃率は、今回変更いたさないということになっております。
  72. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうすると、実際の個々のものに対して今日この科学の進歩によって、また変更によって、非常に変わってきておる情勢についての個々の研究及び割増しというか、そういう点は是正される御意思でありますか。また、されないで、そのままでいくわけでございますか。
  73. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在の減トンなりまた割増しは昭和三十二年、もう少し、大部分のものは実は昭和二十八年、正確に申しますと、昭和二十七年の九月一日現在の重量荷作り等によって査定されております。ですから、その後八年の時日を経過いたしておりますので、これは法律問題としてでなしに、当然これは時期の経過によりまして、ある一定の年数が参りますとこれを修正する段階になっておる。ちょうど今回はたまたまこういう改正がございますので、これと一緒に修正いたすということを考えております。
  74. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そうすると、これは今回の改正でそういうものが考慮されるということに理解してよろしいわけですか。あらゆるものについてここに出した、あげられておるこの品目だけかどうか、そこはわかりませんが、おそらく従来のものについて、たとえば建物の窓ワクにしましても何にしましても、非常に品目、あらゆるものについて軽量的現象というものは、質の科学的進歩に伴って変わってきておると思っておるわけです。従って、この点は同じ改正をいたしまするならば、そういう点を一つ十分に調整をされてお取り扱いを願いたいと思うのです。  次に、今回の運賃改正を、ちょっと研究が不十分であるが、答申には出ておりますが、この営業キロの関係は改正はあるわけでございますか、ないわけでございましょうか、お伺いしたい。
  75. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 営業キロと申しますと、旅客キロの営業キロ……。
  76. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 貨物の連帯あるいは海陸連絡における通算キロですね。
  77. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) それは一切変更ございません。
  78. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十七分散会