○
政府委員(
山内公猷君)
国鉄のあらゆる
企業活動が、ことごとく
赤字を出しておるわけではございません。
たとえば
貨物の
賃率につきまして御
説明申し上げますと、現行で御
説明をいたしますと、
貨物の
賃率は現在十二
等級に分かれております。七
等級におきまして指数九五という数字を持っております。これが一応
原価とんとんのところでございます。それよりも六級、五級、四級というふうなところがもうかっておるわけであります。このもうかっておる
利益分を八級以下の物資につきまして、何といいますか、地ならしをしてやってきておるということでございまして、
運賃法の建前といたしましては、全部で総括的に
原価をまかなうということになっておるわけであります。
ところが、ただいま御指摘のありますように、
国鉄の現在の
輸送情勢が、そういう
高級品が、
先ほども申し上げましたように
国鉄の
独占制が破れましたために、
自動車でありますとか、その他の
交通機関に流れていってしまう、そしてふえますものが
原価を割っておる低級の
貨物でございます。そこに大きな問題があるわけでございまして、それで、まあ非常に今度の
改正も、そう大きな変化ではないわけでございますが、ある程度
高級品を下げ
下級品を上げるということをやったわけでございます。
〔
委員長退席、
理事江藤智君着席〕
完全に、それではこれで、
自動車にいったものが返るかといいますと、われわれとしては、今の
自動車の
運賃と
鉄道の今回の
運賃を比べまして、完全に返ってくるということは考えられませんが、従来のようにどんどん
高級貨物が減っていたというものはある程度防ぎ得るというふうに考えておるわけであります。
また
採算線区、非
採算線区の問題にいたしましても、
採算線区におきまして
利益を上げ、非
採算線区の
赤字を消し得るというのが、われわれの一応理想的な
経営形態でございまして、北海道あるいは四国というような非常に僻陬の地におきまして、これを
採算に合うような
運賃というものは非常に高くなっております。これは、
国鉄の
運賃とその
地方の私鉄の
運賃というものをお比べになればわかるわけでございますが、ところがこの
国鉄全体といたしまして、そういった面で不つり合いがきておるというのが大きな問題になるわけでございます。
もう
一つ鉄道建設の問題、ごもっともでございます。ただしかし、
鉄道建設につきましては、やはりこれは
公共性がありますので、私
どもは何でも
鉄道を引くということを現在考えておるわけでございません。
鉄道建設審議会におきましても、昨今、その点に非常に議論されておるところでございまして、私
どもは、
国鉄が
交通手段を与えるといたしましても、国が
道路を作り、
自動車の
交通の利便を提供するにいたしましても、ひっきょうそれは国の富が投下されるわけでありまして、投下された国の資本というものが、国民に対して最も効率のよい
輸送手段を選ぶべきではないかという検討をいたしておりまして、先般
鉄道建設審議会でも非常に、不十分な研究ではございますが、
一定限度以上の
輸送量のある場合には
鉄道建設がいい、
一定限度以上の旅客の
輸送がある場合には
鉄道の方が有利である、それ以下では
自動車の方が有利であるというような資料も、非常にラフでありますが、御提出申し上げまして御批判を受けております。この点は、われわれ
交通の面におきましても、非常に未開のまだ分野でございますとともに、
地域的に
交通というものがありますために、その
地方地方の
経済というものを十分調べないと結論が出ないわけでございますが、一応そういう
考え方で
鉄道建設というものは、単に
鉄道を引かなければならぬというのではなくて、
バスに置きかえられるものは、
バスに置きかえた方がいいということを考えております。
ただしかし、
国鉄をして
鉄道をどうしても引かなければならないというところには、やはり
国鉄の
公益性からいいまして引かなければならないわけでございますが、ただそれには、
国鉄というものが、現在
利益を相当上げておれば、当然の責務であると考えておりますが、御指摘の
通り非常に財政状態が不如意でありますので、国において、少なくとも
鉄道建設費の利子補給程度はやってもらいたい、進んでは
鉄道建設に対する出資を政府から願いたいということで
努力いたしておりましたが、本年度の予算におきましては、残念ながらその実現を見なかったわけでございますが、この点は
鉄道建設審議会におきましても、再三再四にわたりまして建議はいただいておるわけでございまして、ぜひとも実現をいたしたいというふうに考えております。