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1960-05-10 第34回国会 参議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十日(火曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————   委員の異動 四月二十七日委員平井太郎辞任につ き、その補欠として佐野廣君を議長に おいて指名した。 四月二十八日委員佐野廣辞任につ き、その補欠として平井太郎君を議長 において指名した。 五月六日委員平井太郎辞任につき、 その補欠として佐野廣君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君            小酒井義男君    委員            金丸 冨夫君            佐野  廣君            三木與吉郎君            相澤 重明君            中村 順造君            松浦 清一君            白木義一郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   政府委員    防衛庁教育局長 小幡 久男君    大蔵省主計局次    長       佐藤 一郎君    運輸政務次官  前田  郁君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 広瀬 真一君    運輸省航空局長 辻  章男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○運輸事情等に関する調査(日本国有  鉄道運営に関する件)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより委員会を開会いたします。  本日は、航空法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。念のため申し上げますが、本案は去る六日衆議院より送付されて参りました。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 しばらく欠席しておりましたので、少し質問いたしたいと思いますが、まず第一に、今回の航空法の改正について若干お尋ねしておきたいと思うのですが、それは、運輸省として国際競争にどう対処するかということが、航空問題に非常に大きな要素を持っておるわけでありますが、特にお話を、今までの議事録等を調べてみますというと、各国に対してできるだけ足を伸ばしていきたいということは言われておるようでありますが、さきに、外国から日本乗り入れを申し込まれておるやに聞いておるのでありますが、その航路の問題を、一体運輸省としてはどういうふうに考えておるのかということが一つと、それから具体的に、日本が今度は欧州に行く場合に、北極航路をとる場合の、いつ一体発足をさせるのか、こういう点について基本問題を一つ先お尋ねをしておきたいと思うのです。
  4. 辻章男

    政府委員辻章男君) 御承知通り、現在東京空港というものは、非常に東南アジアにおきまして、特に香港と並んで重要な地点でございます。また、世界的にも非常に重要な地点にありまして、各国から非常に乗り入れの希望が多いわけであります。これに対しましては、航空協定というものは大体相互主義になっておるのでございます。従って、向こうから三便入ってくれば、こちらからも三便行けるという権利はできてくるわけであります。ただ、日本航空の現在の力というものがまだ十分ではございませんので、権利をもらいましても、現実にはその権利が行使し得られない分野が多いようであります。私どもといたしましては、できるだけ相互条約のもとにおきまして、日本航空が伸びていけないような路線につきましては、できるだけ乗り入れ回数等を、外国機乗り入れをふやさないということを基本的に考えております。ただ、これも航空だけの問題でもございませんので、貿易関係あるいはその他一般の国際関係等にらみ合わせの問題がございまして、航空だけの見地からきめかねる場合も多々あるのでございますが、航空関係といたしましての基本的な考え方はそういうふうに考えております。  それから次に御質問がございました北極回り欧州航路の問題でございますが、これは、ことしの一月にDC8一機を追加発注いたしまして、これが大体来年の春ごろまでには入手できる見込みでございます。これが入手次第開始したい、かように考えております。大体来年の五月ないし六月ごろになるのじゃないかと、かように考えております。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 それからエアフランスとの提携というものは具体的にどういうふうになっておりますか。
  6. 辻章男

    政府委員辻章男君) これはエアフランスとは、東京欧州間の、パリ間の航空路につきまして、これは北回りも南回りも提携してやっていこうという協定が成立いたしております。時期は、すでに北回りの方が先に具体的な取りきめができておりまして、現在すでにエアフランス北極回り東京との航路につきましては、日本航空エアフランスとの共同運営ということに相なっております。将来、先ほど申し上げましたように、日本航空北極航路に就航いたしますれば、エアフランスとプールをやっていこうということになっております。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 スカンジナヴィア航空申し入れについては、許可をしないという方針なんですか、それとも、今後はなお折衝をするという方針なんですか、いかがですか。
  8. 辻章男

    政府委員辻章男君) 現在スカンジナヴィア航空から特に申し入ればきてないのでございますが、あるいは御質問の御趣旨は、北極回りスカンジナヴィア航空路に関しまして、一年ごとに期限を切っている問題についてのお尋ねかと思うのでございますが、これにつきましては、来年まですでにやれるような許可を出しております。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 私のお尋ねしておるのは、限定ということでなくて、今後国際交通というものは飛行機にたよる率は非常に多い。その場合にエアフランスと日航との協定というようなものが、具体的にスカンジナヴィアの場合も行なわれるのかどうか、こういう点をお尋ねをしておるわけなんです。
  10. 辻章男

    政府委員辻章男君) これはスカンジナヴィア航空が今後いわゆるエア・ユニオンなりあるいはその他のエールフランス等々とどういう関係に立ってくるかというふうな問題でもあるかと思うのでありますが、現在のところ、日本航空といたしましては、エールフランス以外と新たにそういう協定を結ぼうという意図はないようでございます。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 いま一つ政府お尋ねしておきたいのは、今後共産圏というか、ソ連あるいは中国朝鮮等との航路開通というものも当然問題になってくるであろう、こう思うのであります。そこで、現在のところは、香港経由欧州回りなりあるいはインド回りなりで航路とつているわけですが、これを直接日本から朝鮮の場合ならば平壌にいくとか、あるいは中国の場合ならば北京に飛ぶとか、ソ連の場合はモスクワに飛ぶということは、非常な時間の短縮と、しかも運賃が低廉で済む、安く済むわけであります。そういう問題について、政府としてはどういう研究をされておるのか。あるいはそういう隣の国との航路というものを設定しようという意思があるのかどうか、その点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  12. 辻章男

    政府委員辻章男君) ただいま御質問でございました、中共でありますとか、あるいは朝鮮、それからソ連、これにつきましては、私どもは、できるだけ早い機会に実現することを望んでおりますが、御承知のような一般的の国際情勢でございますので、そういう情勢が好転することを非常に望んでおる次第であります。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっとはっきりしないのですが、国際情勢が好転することを望んでおるということはどういうことなんですか。たとえば、それでは政府朝鮮から、航空協定を締結したい、相互乗り入れをやりたい、こういうふうな申し入れがあった場合、直ちにそれについて交渉に臨むという考えでおるのか。雪解けの今の国際情勢の問題が解決をするまでは、とにかくそういうことについては話ができぬ。いわゆる国際情勢の好転ということを、いわゆる見のがし三振じゃないけれども、少なくともそういう時期までほうっておこう、こういう考えなのか、一体どうなのか。その点をはっきり一つ答弁いただきたいと思います。
  14. 辻章男

    政府委員辻章男君) 航空協定も結びたいというふうな意思がございますれば、私どもの方は、航空関係としましては、喜んで協定に応じたいという気持でございまして、国際情勢の云々と申し上げましたのは、御承知のように、中共とはまだ国交がございませんし、朝鮮等につきましても、非常に今まではそういう一般的な空気が醸成されなかったというふうな点があったことをさしたわけであります。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 それから今の答弁ですと、相手から申し入れ受けた場合、いわゆる受動的の場合、従って、積極的にこちら側からそういう相手の国に対して申し入れをする考えがない、こういうふうに私は理解ができるわけです。ただ日本は、とにかく今の東南アジアなり欧州なりアメリカなり、そういうところは一応考えておるけれども、アジアの中についてはあまり考えておらぬ、こういう意思表示と私は理解をするのですが、そういうことですか。
  16. 辻章男

    政府委員辻章男君) そういうことではないのでございまして、私どもの方からも、でき得れば積極的にも出たいのでございますが、現在までの情勢におきましては、積極的に出ましても、なかなか妥結の見通しが立たないので、そういう行動に出ていないというふうになっております。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 どうも航空局長答弁ははっきりしない。まあそれはしかし、現状についてまだ十分打ち合わせがしていないからそうだろうと思うのですが、その点は了解します。もっと積極的に、日本国際航路については設定をし、そうして市場を獲得するようにすべきだという意見を私は申し上げておきます。  それから二つ目お尋ねをしておきたいのですが、それも今のような答弁だとほとんど問題にならないのですが、あなたが衆議院安保特別委員会で、アメリカ航空宇宙局観測用飛行機の問題について答弁をされておるのですが、一体運輸省としてはどういう見解なんですか。いま少し、私も衆議院安保特別委員会議事録を読んでみたのですが、どうもはっきりしない。運輸省としてはどういう見解を持っているのか、いま一回、これは運輸専門委員会ですから、それの答弁をしていただきたい。
  18. 辻章男

    政府委員辻章男君) 問題になっておりまするU2の飛行機の性格でございますが、私どもアメリカ合衆国の公用機であるというふうに考えております。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 公用機であるというだけですか。そういうような答弁の仕方が、私はやっぱり何か運輸省航空局としては、あまり触れたくない、言いたくないという、おざなりの答弁のように私には聞こえるわけです。だから、かえって混乱するのじゃないか。たとえば、今までの本委員会においても、小酒井さんから、あるいは委員長自身からもいろいろ質問をされておるように、議事録にはっきりしておるように、管制の問題についても非常な問題点を将来残すことがあるのじゃないかという点が思われるわけです。つまり航空交通管制について運輸省が掌握しておるにもかかわらず、一体自衛隊との関係はどうなのか、一体米軍との関係はどうなのか、米軍のいわゆる軍隊そのもの関係がないといわれる航空宇宙局との関係はどうなのか、これについてさっぱり見解がはっきりしない。この点を掌握している運輸省として、国の中心である、航空法監督官庁としての、やっぱりはっきりした態度こそ私は今日望むべきじゃないか、またこれを率直に言うことができるのは運輸省じゃないか、こう私は思う。これは、いずれこの次の機会に、防衛庁長官を呼んで、そういういろいろ尋ねなければならない点も出てくると思うのですが、私は防衛庁長官なんかに言を左右されてどうこう言う必要はない。事航空法に関する限り、これは運輸省が、国の政策のいわゆる監督権を持っておる運輸省こそものを言う資格がある。また、そういうふうにやってもらわなければならない。こういう考え方に立つべきであると思うのだが、あなたは一体どういうふうに考えるか。
  20. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは、おっしゃるように一航空法の問題につきましては、私ども主務官庁でございますが、いわゆるICAOその他条約の問題につきましては、もちろん運輸省も重大なる関係省ではございますが、外務省等との意見調整の問題があるように考えております。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、私の言うのは、運輸省日本のとにかく航空法の問題については、これを運輸省が他の官庁に対して、省庁に対して、運輸省としてはこういう法律考えを持っておるのだというきぜんたる態度というものがなければ私はいけないだろう。その政府中心、この航空法に関する限り政府中心運輸省である。こういうことを言っておるわけです。そういうような考えをもってあなたが臨まれるのか。今言った、いや条約関係であるとか、自衛隊関係であるとかいうような形で言われたのでは、やはり発言力というものも内閣の中で強い発言ができぬだろう、こういう私は心配を持っておるのですよ。そうでないと、やはり今まで、せっかく各委員が、航空管制の問題についても、あるいは庁舎の問題についても、定員の問題についてもここでもって議論をしても、やはり内閣に行けば、運輸省が何とか言ったって、これは各省の関係、最も大きいのが外国条約関係だと、こう言われてしまって、どんぴしゃり押えられてしまう。それでは私はこの委員会で、専門委員会十分うんちくを傾けて各委員が言っていることは、実際実現できないのじゃないか、こういう心配をするわけですよ。そこで、少なくとも権威を持った、事航空関係については運輸省政府中心である、こういうきぜんたる態度というものを持てるのか持てないのか、その点をお尋ねしているのです。いかがですか、航空局長
  22. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは先ほど申し上げましたように、航空法につきましては、私どものいわゆる運輸省の専管的な事項でございますが、条約関係につきましては外務省ともやはり意見調整をはからなければならぬ、かように考えております。
  23. 江藤智

    江藤智君 関連。ちょっと航空管制日本の空の航空管制について承りたいのですが、自衛隊との関係はこれははっきりしておりますが、アメリカ飛行機についての管制ですね、これは今どういうふうになっているのですりか。
  24. 辻章男

    政府委員辻章男君) これはお尋ね趣旨軍用機関係だろうと思うのです。一般のパン・アメリカンとか民間機の場合も特に異なった扱いはございません。管制は大体管制本部中央にございまして、飛行場管制、それから飛行場周辺進入管制、それからレーダー等誘導管制、これは大体飛行場管制とくつついているものでございますが、ですから大体大きく分けますといわゆる、それから進入管制飛行場管制、この三段階に管制が置かれております。それで中央のに関します限りはすべて運輸省で所管いたしておりますが一括してやっております。米軍提供をしておりまする飛行場管制、それからそれの周辺進入管制につきましては、提供しております飛行場につきましては米軍事務を委託いたしております。そういうのが大きな建前でございまして、実際にどういうふうになっているかと申しますと、御承知のように管制上は、計器飛行状態、それから有視界飛行と申しております。これは有視界飛行と申しますのは、天候のいいときに、いわゆる肉眼でもって物象を見て飛行機運航ができる状態でございます。それから計器飛行状態と申しますと、天候が悪くて計器によらなければ飛行ができないという状態でございます。それで計器飛行の場合におきましては、アメリカ提供しておりまする基地から飛ぶ飛行機も、全部の承認のもとにその指示に従って飛ぶわけでございます。ただ有視界飛行の場合には、これは物象だけをもって飛び得る状態でございまして、これはプランを、飛行計画を出発いたしまする飛行場に提出して飛ぶわけでございまして、これにつきましては、従って提供飛行場では、そこの飛行場指令官でございましょうか、のところへ提出すれば飛べる、そういうような大体仕組みになっております。
  25. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、日本飛行機でもアメリカ軍用機でも、いわゆる飛行場管制区域以外に出た場合、管制区といいますか、そういう管区の外に出た場合の飛行機は全部入間川センター承認というか管理のもとで飛んでおる、こういうふうに考えていいのですか。
  26. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは飛行場の外へ飛ぶということではございませんで、計器飛行の場合でございますと、たとえば米軍提供いたしておりまするAの基地からこれも同じ米軍提供いたしておりますB地区に飛ぶ際でありましても、やはりセンター承認を要するわけでございます。それから今度は有視界飛行の場合でございますと、提供しておりまする基地間を飛ぶ場合にはセンター承認は必要でございませんし、それからたとえば厚木なら厚木から羽田へ来ることがあるという場合にも、厚木の方へ出発のプランを出しまして、そこで飛行場指令承認が得られれば羽田へ飛ぶことができる。羽田に参りますれば到着届というものを出すということでございまして、日本側承認事項というものは関係ないわけでございます。
  27. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、センター、われわれが了解しているのは一飛行場から出て、たとえば次のBに行くときに、その途中の管制区を飛ぶ場合には、これはやはりセンター指示で飛んでいる、あるいは指示といいますか、報告の場合だけのこともあるかもしれませんが、大体指示で飛んでいると、こう思っているのですが、指示で飛んでいるのじゃないのですか。
  28. 辻章男

    政府委員辻章男君) センター指示ないし承認にかかっておりますのは、計器飛行の場合だけでございます。
  29. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、計器飛行の場合は、日本の空の場合には全部入間川センター承認を得るというか、指示によっていると、こう考えていいのですか。
  30. 辻章男

    政府委員辻章男君) さようでございます。
  31. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、事実だけでけっこうなんですが、U2というような場合に、非常に特殊のように思える飛行機ですね、こういう飛行機についても、やはり入間川のそういう承認を従来得ておったかどうか。
  32. 辻章男

    政府委員辻章男君) これはU2が計器飛行状態で飛べば必ず入間川承認がなければ飛べないわけでありますが、私どもああいう問題が起こりましてから、入間川データを調査したのでございますが、計器飛行状態で飛んだことはないようでございます。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 そこで江藤さんからもU2の問題が出たのですが、特に私は神奈川県の地元に住んでいるだけに一番やはり関心が高いわけです。しかもまだ現在厚木に三機ある、こういうことになると、これは私は非常に地元の、東京都を中心地元人たちがやはり大きな関心を持っているわけですから、そこで政府としては、アメリカに対して、一体軍事上の問題に使用するかしないか、こういう点、日米安全保障条約の問題と合同委員会との関係等について質問をする、アメリカ側の意向というものを確かめる、そうして発表するということになっておったわけでございますが、運輸省としてはどういう意思表示内閣の中でしたのでありますか。運輸省は一体航空法の問題で、これはとにかく今まで、今のあなたの答弁のように、計器の場合ならば入間川センターにこれは図面が出てくるかもしれませんが、それが出てこない、今までそういう届けもしていないという、こういうことになると、実際高層飛行をしている場合に、ジェットが上がっていって飛んじまえば全く捕捉のしようがないわけですね、実際は。そういうようなものについてどういうようなことをさせる、どういうふうにしてそういう国内飛行航路を安全に守ることができるかという運輸省考え方内閣の中に反映をして、そうして内閣アメリカに確かめなければならぬ、こういうことになろうと思いますが、運輸省内閣の中における態度というものはどういうふうにいたしましたか、それを一つお尋ねしておきます。
  34. 辻章男

    政府委員辻章男君) U2の問題につきまして、管制上の扱いといたしましては、特に異なった扱いをいたすつもりがございません。私ども計器飛行の場合には、今まではございませんが、今後計器飛行で飛ぶような場合には、やはりセンター承認を受けて飛ぶであろうと思いますし、そうでない場合には、それぞれその所要の手続をして飛ぶものと考えております。特に管制運輸省といたしましてU2の問題につきましての意見は持っておりません。
  35. 中村順造

    中村順造君 関連してお尋ねいたしますが、言われているところのU2ですが、これが日本の上空を飛ぶ場合、結局今、計器飛行だとか、いろんなことを言われておりますが、事実上の問題として、やはりそういう飛行機飛行する場合には、あらかじめどこかから指示があって、そうしてその高度なり、針路というものが出てくる、こういうことになっているのではないのですか、その点。
  36. 辻章男

    政府委員辻章男君) これはさっきも申し上げましたように、いわゆる計器飛行の問題におきましては、センター管制本部が高度その他を指定いたしますが、有視界飛行状態におきましては、そういう指示をいたしませんので、いわば物象を見て自分の思う通り運航ができる次第でございます。
  37. 中村順造

    中村順造君 そういたしますと、結局有視界飛行の場合には運航が勝手に思うままにどこでも飛べる、こういうことですが、計器飛行の場合のことを私はお尋ねしているわけですが、これはどこかからそういう指示があって、そうしてあらかじめそういう針路なり、高度をあけておくという実際的の措置が日常とられている、必ず……。U2は有視界飛行の場合のみ飛行するというわけではないと思います。計器飛行の場合を私はお尋ねしておりますが、そういう場合にはやはりどこかからの指示によって、いわゆる管制本部がそれだけのことを末端に指示をする、こういう仕組みになって日常やられているのではないのですか、その点はどうですか。
  38. 辻章男

    政府委員辻章男君) これはU2の計器飛行で飛んだというデータはございませんが、そういうふうな方法をとっているということも聞いてはおりません。また、私ども管制本部でもそういうふうな特別な方法とつているということは、報告を受けておりません。
  39. 中村順造

    中村順造君 U2に限定をされるとそういうことになるかもしれませんが、U2に限らず、そういう場合があり得るかどうかということなんです。あらかじめどこかからそういう指示があって、これこれの、こういう方向に対するこれこれの高度はあけておかなければならぬ、こういうことが全然ないのですか。それは今の管制本部としては、そういう日常の業務の中でそういう事実は、事実というか、今までのしきたりというか、そういうことは全然ないわけですか、計器飛行の場合に。
  40. 辻章男

    政府委員辻章男君) これはいわゆるスクランブル、国籍不明機を要撃するような場合におきましては、要撃機が出る航空路というものを優先的にあけております。それ以外にはそういう例はあまりないと記憶いたしております。
  41. 中村順造

    中村順造君 私はまだほかにも質問しなくちゃならぬ点があるから、この点についてあまりこだわりたくないのですが、何かこう奥歯にもののはさまった、隠されている印象を受けるのですが、要撃機といっても、これはおそらくそういう場面が今、日本にあるかどうか私もわからぬわけですが、日本から現実に、日本のそれは自衛隊飛行機が敵を攻撃するために出るようなことに日常なっているかどうかということが、私どもの常識的な判断ではそういうことはあり得ない。ただあり得ることは、国籍不明というたまたま表現がありましたけれども、私もU2に限らず、ある計器飛行の場合に、日本管制本部として特定の高度なり針路をあけておくということは、さらにそれがどこかからの命令系統でそういうことはあり得るのじゃないかという気がするのですが、これなんか隠されて、どうしても秘密で言われないということなら、それはそれでいいのですが、私はあり得るというふうに聞いているのですが、その点はどうですか。
  42. 辻章男

    政府委員辻章男君) 先ほど申し上げましたように、スクランブルの場合以外にはそういうことはないと記憶いたしております。
  43. 中村順造

    中村順造君 私はこの前この本委員会で小牧の事故のことについて、主として自衛隊飛行機の操縦士の方の側から見た責任の所在ということにつきましてお尋ねをいたしました。その場合次官も、それから防衛庁からこられた人も、専門的ないわゆる知識がないということで、私ども質問も非常に中途半端に終わったわけですが、こういうことが非常に大切な問題でもあるし、将来日本のこの航空業務といいますか、小牧の事故を、責任の所在ということを徹底的に究明するということも非常に必要だと思います。そういう見地から今日もそういう質問をするから、防衛庁の方でどなたか答弁のできるようにということをお願いをいたしておきましたが、防衛庁からどなたがお出になっておりますか。
  44. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっとお答えいたします。防衛庁教育局長小幡久男君がきておられます。
  45. 中村順造

    中村順造君 教育局長はたしかこの前私がお尋ねしたとき答弁に立たれた方だと思いますが、そういう前提で私はお願いを申し上げておったので、きょうはお答えできますか。
  46. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 説明員としまして運用課長も参っておりますので、専門的な担当にわたる点がありましたら、説明員からも御説明申し上げたいと存じます。
  47. 中村順造

    中村順造君 それでは二、三お尋ねしたいと思いますが、結局あの事故は族客機にジェット機が衝突したことになっております。それでああいう悲惨な事故になったわけですが、防衛庁の側から見られた、操縦士のいわゆるその当時の状況下における責任の所在を主とした判断というものは、どういう判断を下されているか、その点を冒頭まずお伺いしたい。
  48. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) その点につきましては、前委員会にも申し上げました通り、結局前方の注意をする責任が操縦士にもあるのではないか、その責任を果たしておったかどうか、こういう点に問題がかかっていると思っておる次第であります。その点につきましては、先般も申し上げました通り、当日は夜間で月明もありませず、比較的塵埃も低く地上に舞いおりる時期でございましたので、飛行機の灯火は見えましたが、機体そのものは見ることができなかったというふうな状況があったわけであります。なお滑走路に飛行機が出まして、管制官から前方はもう安全だから立ってよろしいという、権限ある管理による保証があったということがやはり何と言っても心理的には一つの前提になっているのであろう、こういうことが考えられます。  それからDC3は、先般当委員会の現地調査の御報告にもありました通り管制官の指示が誤った点は、DC3の着陸した直後にタクシー・ウエイがあると誤認されましてUターンを命ぜられた。それが実際はその背後にタクシー・ウエイがなかった。従って管制官が意図したより相当長距離逆行しなければならなかったというふうな結果になっておりますので、そういったことははなはだ異例であったということも、操縦士の目から見まして予期しなかったことではないかと考える次第であります。  それからなおDC3には、先日申しました通り、尾翼の頂上にアンチ・コリジョン・ライト、すなわち衝突予防灯というものをつけ得るしかけになっておる。それは規則にはなっておりませんが、もしそういうものがあれば、滑走路のまん中で赤いランプが点滅しまして、操縦士から見ましても、滑走路の中心に何があるということが光だけで非常によく判明したのじゃなかろうかというふうに考える次第であります。  それからなお当日、滑走路延長上にやはり工事の灯を誤認したという潜在観念が——前日あるいは数日前にそこで工事をやっておりまして、同様の灯をつけておつたというような観念が操縦士にありまして、そういうことが一つの潜在的観念になっておった。それに加えましてジェット機の制約された視野というふうなものが重なり合いまして、非常に不幸な原因が複合いたしましてあのような結果をもたらしたのじゃないかと、かように考えます。  私自身、遭難になりました翌朝すぐに現地へ参りまして、平野操縦士にも会ったのでありますが、今申し上げたような事情を操縦士から聞きまして、その言葉に偽りがあろうとは思われなかったのであります。従いまして、防衛庁としましては、操縦士につきましては、尽くすべきことを尽くしたというふうに感じて帰った次第であります。
  49. 中村順造

    中村順造君 今の答弁を聞いておりますと、大体内客はこの前からしばしば言い尽くされた内容だと思います。一つは、その当時の状況を非常に操縦士の側から見ますと好意的な一つの判断がなされておるということであります。責任あろうかと存じますと、こういうふうな冒頭からのお話でございますから、あなたのお考えと私の認識とは全然違っておるわけなんですが、しかし同じ議論を何回繰り返しても仕方のないことで、私はこの前の委員会の議論を繰り返す気持はありません。  具体的にそれではお尋ねしますが、有視界飛行だったということは、この前の委員会の経過からこれは何人も否定しておらないと思いますが、あなたの方も有視界飛行だと、こういうお考えですか。
  50. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 有視界飛行状態であったことは確かだと思います。
  51. 中村順造

    中村順造君 そういたしますと、先ほど説明の中にありましたように、たとえば旅客機の方のうしろの灯がついて、これは条件にならないという前提ではありましたけれども、灯かついておらなかったとか、あるいは工事にまぎらわしい灯が以前使われておったとか、こういうことが言われておりますが、これは全然私はその理由にならぬと思う。有視界飛行だとするならば、これはたとえ夕暮れにしても、言葉をかえていえば、明らかに前方を見る、あるいは周囲を自分の目で見て確認をして飛行をする、こういうことは条件だと思います。あなたの方で出された、従来使っておられるいろいろな教科書と申しますか、一つのあれもあるわけですが、そういうことに解釈していいと思いますが、そうしますと、その責任の上から見るならば、白昼起きた事故と見なしても別に誤りではないと思います。もしこれがかりに白昼四百メートル前方にあれだけ大きな旅客機がおり、しかもそれにもかかわらずあれだけの高速度で離陸をして衝突したと、そういうことを想定いたしますと、これはだれが何と言っても、ジェット機の操縦士の責任は免れないと思います。有視界飛行だという前提の上に立って話をするならば、どれだけそれは私が申し上げたこととあなたの言われておることと違うか、違えばその点を一つ説明して下さい。
  52. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) アテンションとしましては昼も夜も同じであると思っております。ただ、有視界飛行と申しましても、先ほど申し上げたような条件のもとにおいて、操縦士が当然なすべき前方の注意をしたにもかかわらず、やむを得ず見えなかったという事情があるかないかという点になりますと、昼と夜とはだいぶ違っておるのじゃなかろうかと思っております。ことに平野氏は飛行経歴二千四百時間でございまして、ジェット機だけでも一千時間の経歴を持っておりまして、むしろそういうことについては部下を教える立場の人間でもありますので、本人としてはそういうことはむしろ自分の生命に関することでもございますから、当然前方は立つ前に十分注意したはずであろうと考えられます。
  53. 中村順造

    中村順造君 結論的にあなたが言われているのはこれはおかしいと思うのですよ。その飛行時間の経歴だとか、あるいは他を教育する立場の人だ、こう言われるのですが、私はその点が納得できないのですよ。それほどの経験を持ち、それほどの重大な日常の仕事をしておられる人が、私流に解釈すれば、こういうあやまちを犯した、もしもそれほどの経歴を持たずして、それだけの立場でなかったとしたらまだまだ事故の可能性がある、こういうことも言葉を返せば言えるわけです。だからそういう条件のもとにあったという同情的に判断すれば別です。結果的には衝突したという一つの事実がある。万全の注意を払ったといっても払っておらなかったからこういう事故になった。自分の生命にすべてが影響することであるから、万全の措置をとったと、こう言いたいのでしようが、自分の生命は完全に保たれている、相手方には死傷者が相当あるわけですから、この点はあなたの言うことがどうしても納得できない。だから私はこの場合、ジェット機というものはそういうものなんだ。気象庁の発表しているように、有視界飛行で二十マイル前方の物体は見えるという条件の中で飛行した、これは前の委員会で明らかになっているにもかかわらず、これは衝突せざるを得なかったということならば、ジェット機というのはそういうものであるかということをお尋ねしたのです。まさにその通りならば、いわゆる大切な乗客を乗せる飛行機の着陸する滑走路の中に入れてはならない危険物じゃないかというふうにさえ私は言っている。あなたはその点についてはそういうものであるかどうかという認定はできなかった。ただこの場合、平野空佐がそういう場合に非常に経験を積んでいるとか、あるいは日常の立場が、それは空佐であるから、どういう仕事をしておられるか私は知りませんが、おそらく普通の下士官並みじゃない。それを一つの条件として、やむを得ない不可抗力の事故だったというふうに認定されることは理解できないが、この点はどうですか。
  54. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 気象庁の方からの御意見として、二十マイルの視界で物体が見えるという話がございましたが、どういう物体であるか、私は疑問に思っているわけでございます。二十マイルといいますと、おそらく地上で二十マイル先の飛行機の物体というものは常識上暗黒では見えないのじゃないかというふうに考えております。もう少し大きな物とか、あるいは灯火等は見えるかもしれませんが、飛行機そのものは地上で二十マイルの物体が見えるということは考えられないのでございます。それから平野操縦士は、飛行機の着陸するということを知っております。ただその着陸した直後、やがて管制塔から指示があるだろうというふうにしばらく待っておりまして、そうして管制塔から指示があって目を上げて見たときには誤認された光しか見えなかった。しかもその時間には通常ならば飛行機はUターンをしてすぐ近くの滑走路に入っているというのが、もし管制塔の指示が的確で、その直後に誘導路がありせば、すぐに消えたであろうというふうな推定というものは、人間としての平野君の心中にはあったろうと思います。そういったこともいろいろ総合いたしまして、前方を注意したにもかかわらず、結局その光を工事中の灯と誤認せざるを得なかったという点につきましては、注意したがそう見えたという点に、われわれは非常に同情を持っておるわけであります。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連して一点お尋ねをしたいのですが、この航空交通の規定の中に、有視界飛行気象状況のもとで飛行する場合には、他の航空機との衝突を予防するのは操縦士の直接責任であろうと考えられる。そのような状態のもとにおいては、管制塔の出す情報または指示は、衝突を防ぐために操縦士を援助するためのものであるというのがどこかにあるようですが、これに関連して今の答えられたことは、どういうに解釈をされるのか、御説明を願いたい。
  56. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 今の御質疑は、あるいはその管制官の指示というものは、アドバイスのようなものじゃなかろうか、こういう御質疑じゃなかろうかと思うのですが、これにつきましては、運輸省とも一致した見解を申し上げますと、一つ許可である、テイク・オフ・クリアランスだと、しかしながら、その許可は単なる禁止の解除といった漫然たるものではなくて、当然短時間内に飛び立ってもらいたいというふうな期待を込めた許可である、こういうふうに了解しておるわけでございます。従いまして、今おっしゃいました助言という言葉は、おそらくANCの指示か何かにあるのじゃないかと思いますが、もし当夜の状況に当てはめて考えますれば、管制官のそういった指示であろうかと思っておるのであります。
  57. 小酒井義男

    小酒井義男君 そこで管制官の指示の問題だけ触れられたんですが、この前段の、衝突を予防するのは操縦士の直接責任である、こういう前段の文はどういうふうに解釈したらよろしいですか。
  58. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 航空法では飛行中には操縦士の責任だという、ふうに書いてあるのでございますが、航空法では、法律そのものから見ましても、離陸と着陸、飛行と三つの概念をあげておるわけでございます。飛行中は操縦士の責任というふうに了解されるのであります。滑走、離陸あるいは着陸の場合には、少なくとも法律上は明記していない。従ってANCその他の国際慣習、そういったもので解釈をしておる。こういった解釈をしております。
  59. 小酒井義男

    小酒井義男君 このANCのこれは三〇一〇号といいますか、何かそういうこと、これが先ほどから言っておるような表現になっておるのですが、これは飛行中はということは、どこに明らかにされておりますか。
  60. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ANCはホエン・フライングという言葉を使っております。それから飛行中は全部操縦士の責任であろう、こういうふうに一応は解釈しております。
  61. 中村順造

    中村順造君 今の話も非常におかしい話で、そういう考え方が事故になると思うのですよ。飛行中は他の飛行機と衝突しちゃいかぬが、それ以外の場合にはあたかも衝突していいというような議論になる。だからこういう事故になるんですよ。いやしくも操縦席に着いたら、その着いたときからそういう心がまえなり、そういう考え方で操縦しなければならぬ。だからそういう操縦のやり方でやっておらぬ。それは今の小酒井委員質問であなたの考え方もはっきりしました。それはどういうような条文の解釈があろうとも、法律の解釈があろうとも、いやしくも操縦をする立場の人が、そういう考え方で高空にあるときには衝突しちゃいかぬから万全の措置をとるのだが、それ以外のときには、離陸あるいは着陸の場合はそうじゃない。こういうことを言うから滑走路上の事故が起きる。  それはそれであなたの考え方がわかったからいいが、さっきのことの続きですが、視界の問題、非常に端的に表現すると、客観的な条件を平野空佐のために非常に有利にあなたは判断されようとしておる、そういうことでしよう。それからもう一つは、あたかも責任の所在を他に押しつけるような印象を私は強く受けるわけです。管制官の指示がこうだとか、命令だとか、こうだとか、視界の、あなたが有利な条件に結びつけようとしてもこれは無理なんです。これは前の委員会江藤理事からその点は追及されたわけです、長時間、そのときに視界二十マイルということはどういうことかということから、気象庁の方からお答えがあったのは、少なくとも前方が見えるということなんです。前方の物体がですね、物体といっても私は何も針の穴を見る、こういうような非常識なことを言っていない。現実に見えるわけです。旅客機の灯というのは見えている。見えているが、平野空佐は残念ながら悲しいことにはこの際誤認をしている。他のことをいわゆる妄想して、これは明らかに工事用の灯を使っておったから、あれは工事用の灯ではないかという誤認をし、操縦者としての心がまえであるところのいわばまぎらわしい場合には一切の緊急手配をとるということをやらなかった点、明らかに灯は、物体は見えているわけです。二十マイル先でなくしてわずか四百メートル先で見えているが、これは工事用の灯を使っておったから、工事用の灯と彼は誤った判断をして、万全の措置をとっておらなかったからこういう事故になったわけです。そうでしょう。これは私は何か視界の二十マイル先でどうこうだということを言わなくても、四百メートルも先であれだけ大きな旅客機がおるのが見えたとか見えなかったとか、これは見える条件にあったことは、気象庁の方からちゃんとこの委員会で言われておる。あなたがいかに当時の条件を有利の方に判断しよう、こういうふうにしても無理なんです。だからこの点は私は冒頭にお尋ねしたときに、あったかどうか、こういうふうなまぎらわしいことではなくて、明らかにこれはジェット機の操縦士にも責任があるわけで、これは万人が、もし白昼ならそれたわけですけれども、そのときの条件にしても責任があるということは否定できないのです。この点はどうなんです。
  62. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先ほど申し上げた点にわたっている御質問でございますが、フライイングのときは全面的に操縦士に責任があると申しましたが、滑走中、離陸あるいは着陸の場合は法律には明記してございませんが、当然パイロットは前方を注意する責任があるといいますか、たしなみということはなければならぬことは、これは申すまでもございません。今おっしゃいました前方が見えたかどうかという点につきましては、やはり灯火は見えた。しかしそれは先ほど来申し上げましたような条件で誤認をしておられたという点につきましては、繰り返しますから申し上げませんが、尽くすべきは尽くしておったというふうにわれわれとしては考えざるを得ないわけでございます。
  63. 中村順造

    中村順造君 あなたはどうしてもはっきりされないのですがね。それはあなたにはっきりせよといっても無理なんです、ある程度。しかしもう少し、だれが見てもはっきりしたことはあなた認められていいと思う。万全を尽くした。その尽くすべきは尽くしたという表現は、どういうことなんですか。責任がないということなんですか、責任を認めた上での答弁なんですか。
  64. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 責任を認めた上で、その責任を尽くすべく前方を注意したが、遺憾ながらいろいろな不幸な条件が重なって誤認をする結果になった、こういう意味でございます。
  65. 中村順造

    中村順造君 いや、その誤認をしたということは、これは責任があるわけなんで、尽くすべきを尽くしたけれども誤認をしたから、こういうことなんだから、私はこれ以上この点をきょうあまり深くしても、あなたのこの前の答弁とやはり同じようなことで、今の尽くすべきは尽くしたけれども、誤認をせざるを得なかった。こういう条件としては私は責任はあると思う。まああらためて防衛庁長官なり大臣なり来られたら、その点責任の所在があるという建前から私はお尋ねしたいと思う。  もう一つだけこの点に関連して、小牧の飛行場に関連をしてお尋ねをしたいのですが、これはこの前の委員会でも、民間と防衛庁、自衛隊と共用しておるということがいけないのだということが強く指摘された。そこで分離をしたらどうかとか、あるいは分離しないまでも、安全保安に関する設備上の問題、これは非常に予算的な関係もあるわけですが、主計局長ですか、お見えになっておるようですからお尋ねしますが、運輸省からそういうふうなきわめて大事な要求がされた場合に、どういう考え方で今まで判断をされておったのか、この点を一つお尋ねしたいと思います。
  66. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 主計局長のかわりで、次長でございますが、御答弁申し上げます。  今の御質問でございますが、分離につきましては、これは具体的にいろいろと判断する必要がある問題が多いと思います。分離をすることが適当なのか、または、せっかく分離しても、あまり近い地点ではかえって弊害が多いということも考えられましようし、そういうような具体的な条件によっていろいろと考え方が出てくると思いますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、現在飛行場を一カ所作るということになりますと、百億近い金が要ることでございますからして、なかなか軽々な判断は困難かと思います。共同利用の現状において、できるだけ事故の発生を防止するような保安上の施設を考えて参る、それらについては、われわれも予算要求の際には十分一つ検討いたしたい、こう考えております。
  67. 中村順造

    中村順造君 飛行場を別に作ることが一番望ましいんです、この場合には。小牧に関しては、いろいろ周囲の都市の状況、衛星都市みたいなものもたくさんありますので、一朝有事の際には——ということもこの前お話がございましたが、これは分離することが一番望ましい。しかし、あなたも言われておるように、百億の金が必要である。だからなかなか困難だ。しかし分離を前提にして、それは望ましいけれども、今直ちにそれはできないとして、いろいろ運輸省から要求がされておるはずです。飛行場の維持改善のために——そういうものも従来の措置として全面的に認めるということは困難であったかもしれないけれども、大蔵省として、こういう問題は非常に大切であるから、優先的に配慮するという気持で今までもなされたかどうか、その点はどうなんですか。
  68. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 私たちも、その点は十分注意をいたしておるつもりでございまして、優先的に考えております。
  69. 中村順造

    中村順造君 私この問題に関する質問を終わりますが、これは今日まで優先的に考えられておつたということでありますが、必ずしもこの保安設備、安全設備というものが完璧だったとは考えておらないわけです。いろいろ具体的にいえば、指摘すればあると思いますが、将来とも交通事故、特に飛行機なんかというものは、きわめて近代的な設備なり装置をしなければ、非常に速度の問題それから行動範囲の問題等、これは大蔵省としても一つ将来とも格段の配慮をし、特に運輸省が要求でもした場合には、今までの考え方もそうであったかもしれませんけれども、将来とも一つ、これはあなたに対する私の要望なんですが、ここで結論を出そうといってもなかなか出ないんですから、要望しておきますが、一つ十分配慮をして、事故の起らないように、事故を前提として考えて、そうして配慮されるということを望んでおきます。
  70. 江藤智

    江藤智君 ちょっと関連して。時間もありませんが、一言教育局長にお尋ねしたいのですけれども、今度の事故につきまして、防衛庁の航空部隊に、小牧の事故を例として注意を正式にお出しになりましたか。
  71. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ただいまの御質問でございますが、今度の事件にかんがみまして、この事件を中心といたしまして、それのみにとどまらず、航空上の保安規則を十分に厳守するように空幕長から示達をしております。
  72. 江藤智

    江藤智君 運輸省は、非常に航空管制のことについては、とにかく厳重な注意をやっていると思うのです。で、今後はそういう錯覚もおそらくなくなるとは思いますけれども、しかしやはり人間のやることなんですからして、コントロール・タワーのミスが起こらぬともこれは限りません。で、今度の事故を考えた場合に、確かにこれは管制塔の指示が間違った、誤認をしたということは明らかに認めておるのですけれども、しかしたびたび言っておるように、あの場合に前方をもう少し注意をしたならば、あの事故は免れておったであろう、こういう判断をわれわれはするわけなんです。あなたは不可抗力という言い方なんです。しかしながら、とにかく当時は有視界飛行ができるのだし、四百メートル先の直線上にあるあれだけの物体であるし、それから、とにかく両翼には、必ず赤青の電気がついておったし、おそらくヘッドライトもつけておったであろうし、要するに一つの錯覚ですな。あなたはそれをもって正当な理由のように言われるけれども、これは同情しますよ、同情はしますけれども、修繕の灯であるであろうというような錯覚をもって正当づけることはできない。やはり十分にそこで注意をしておったならば、この事故は防止されたであろう、こう考えるわけです。だからしてコントロール・タワーの指示も間違っておったし、一方においては、前方の注意というものが、これはどうしても見えないような見にくい状態にあったかもしれない。あの程度であって不可抗力であると自衛隊がお考えになるならば、それに対する処置もこの際講じなければ、再びああいう事故が起こるわけです。でありますから、われわれの関心を持っておるのは、コントロール・タワーの方はそういう間違いのないように一つ十分やる、しかしながら、ああいうジェット機の場合であったならば、ああいう状態において誤認することも不可抗力なんだ、こういうことになるならば、またその対策を講じなければいかぬ。ただあなたのお話を聞いておりますと、人間のことだからして、ある同情というか、そういうことは言えるけれども、それによって、とにかくあれだけの事故を起こしたという責任がないということは、僕は言えないのじゃないか、またそれがないようなことだったならば、また対策を講じなければいけない。この点が当委員会においても非常に問題になっていることだと思いますからして、そういう点について、一つ今度防衛庁長官にお出まし願うことになりますけれども、防衛庁としても、だれでも内輪のそういう事故というものはかばいたいものです。人情としてはかばいたいけれども、やはりそこは冷静に、一つ事故を起こさないという面から、防衛庁としても一つ対策なりお考えをはっきりさせて今度お出まし願いたい、かように要望いたします。
  73. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ただいまの点につきまして一言申し上げますと、おっしゃるように前方の監視が不可能だという立場に立っておるものですから、心配いたしまして、運輸省の方に、管制官が今後は民間機が誘導路に入ったかどうかを現実に確かめるという手順を一つ加えてもらうということが、少しめんどうでも必要ではないかということを御相談しに上がったのでございますが、運輸省ではすでにその点は指示されておると聞きましたものですから、そこのところを事前に、今度は誘導路へ民間機が入ったかどうかということを現実管制塔で確かめられて、その上で警告をされるということになれば、今度のような事故はなかろうかというふうに考えております。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 教育局長の今の答弁で、大体悪いということはみずから認められたという判断を私はするわけですから、そう思っていいですね。お答えいただきたいのですが。
  75. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 私はそう思っておりませんのでございますが……。
  76. 相澤重明

    相澤重明君 どういうわけで思わぬ、それがけしからぬことなんです。運輸委員会が少なくとも航空法の審議の際に、小牧の事故というものは、あれは防衛庁が一方的な見解を新聞等で発表したというのはけしからぬ、こういうことで各委員は沸いたわけです。それがいまだに誤認をしたといいながらも、不可抗力であるとか、あるいはやむを得なかったことであるとかいうような言いのがれをしても、そんなものは自分のひとりよがりということなんだ。そんなことでは決して忠実な私は国会に対する答弁にならぬと思うのですよ、そういう点どうなんですか。これはあなたばかり責めたってしようがないけれども、これはいずれ赤城防衛庁長官をわれわれは十分一つ追及をするつりなんですが、あなたもっと率直に言っていいんじゃないですか、どうですか。
  77. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 今も申し上げましたように、操縦士の立場につきましては、私たちは申し上げたような考えを持っておりますが、さらに一点申し上げましたように、今後この種の事故がやはり起こらないような方法をどうするかという点につきまして、最も的確なさしずめできる方法は、今後管制官に、タクシー・ウェイに民間機が入ったかどうかということを現実に確かめてもらって、その上でテイク・オフ・クリアランスをもらうということにすれば、今後こういうふうなあやまちで飛び立つということもないし、そういったことになるんじゃないかと思いまして、結論は、その対策がまず実効があがるんじゃないかと考えておりますが、今回のことにつきましては、今までるる申しましたように、いろいろな不幸な原因が重なり合いましてまことに申しわけない至りだと思います。
  78. 相澤重明

    相澤重明君 申しわけないということだな。申しわけないということだから、これはもう真意はわかりました。  そこで、今までの考え方は、私どもも実は管制塔に上がつてもみたし、いろいろ名地の状況も実は調査をしておるわけです。そこで運輸省は全般的にいって航空の管掌の総元締めではあるけれども、事、軍といわれるような自衛隊あるいは米軍、こういうものについては、どうしてもやはり考え方が違っておるんじゃないか。だからもっと率直に私に言わしてもらえば、自衛隊の人は民間の航空の人よりも何でも優先権があるのだ、こういうような考え方を持っておるんじゃないかという点を心配しておるわけです。特にあなたは教育される指導者なんですから、そこでそういうようなことは今までなかったのか、それともこの事故を契機に、今お話しのように今後は運輸省と十分連絡をとって、そして管制塔の指示に従うのだ、こういうことにおなりになったのか、その点はいかがでしょう。
  79. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) すべて民間に優先してものを考えるという考え方は、今の防衛庁ではそういう方針で教育もしておりませんし、御心配はその点につきましては要らないと思っております。なお今後、今度の事件を契機に、率直に運輸省とタイアップしまして、管制官の待遇とか、あるいは定員等につきましても、私の方ではございませんが、御協力を得まして改善されましたら、われわれもなおかつ安全を倍加するんじゃないかというふうに考えております。
  80. 相澤重明

    相澤重明君 それから先ほど江藤委員質問に対してあなたはお答えになって、今回の事故を契機に、全軍に——まあ全軍ということだな、いわゆる自衛隊にそういうような事故を起こさぬようにと、こういうことであなたは命令をされた、参謀ですか何かがやったようでありますが、それは運輸省にもその文書は通告をしてあるのでありますか、そのままを差し上げてあるのでありますか。
  81. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 運輸省の方にはまだ差し上げてありません。
  82. 相澤重明

    相澤重明君 運輸省航空局長、そういう自衛隊が今後協力するようなことは口頭では話はあったと思うのですが、今防衛庁の教育局長が言うように、文書は出しておらないようでありますが、何かそういうものを文書で出してもらうというようなことを運輸省は言わなかったのかどうか、その点いかがですか、航空局長
  83. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは事故のあと直ちに防衛庁の方の航空関係者に口頭で、今後こういう事故の起こらないようにお互いに注意をしていこうということはいたしましたが、文書でどうこうしたということはございません。
  84. 相澤重明

    相澤重明君 そういうようなやり方が、その大体事故を撲滅するという考え方が足らない。防衛庁もしかり、運輸省もしかり。そこで少なくとも各省庁間の連絡というものがやはり公文書によってちゃんと取りきめをしたならした、事故対策はこうだということを私は決定をしておくべきである、こう思うのです。  そこで防衛庁の教育局長にお尋ねいたしますが、今後運輸省航空局にそういうものを出すお考えがありますか、いかがですか。
  85. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) もし私の方でそういうものを今後出しまして運輸省の方にお見せした方がいいというものがありますれば、写しを差し上げることはちっとも差しつかえないと思っております。
  86. 相澤重明

    相澤重明君 見せた方がいいと思うとは何事か、事故が起きたからそういうことをやったんでしょう。事故を今後起こさないように部下に命令を出したんでしょう。それならば当然航空関係についてはその大元締めは運輸省ではないですか、その運輸省にこういうもので私の方は事故対策としてやりましたということは当然の話ではないですか。なぜ、必要があればということではなくて、積極的に出す意思がないのか、出す意思がないのですか、どうですか。
  87. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 今度の命令は、航空法に関する施行規則その他を的確に順守せよということが中心趣旨でございますので、これは運輸省から見ても当然の趣旨であるものですから、特に運輸省に連絡申し上げておりませんが、今後そういった事故対策を運輸省で十分聞いてもらった方がいいということであれば進んで出したいと思います。
  88. 相澤重明

    相澤重明君 私は各省のなわ張り争いということを極端に反対をするものなんです。やはり政府は一体となって、そしてこういう事故か起きたような場合には、今後そういう事故を起こさない、こういう誠意を政府自体が持つということが一番大事なことです。それなくして、決してただ口頭でお互いに話し合ったくらいのことで事故の撲滅なんてできるものじゃない。そういう意味で、なわ張り争いをやっていることは思っており存せんよ、私はあなたのような方がそういう考えを持っているとは思ってない。しかし手続がとられておらないということは、やはりあなたの責任はこれは免れないと思う。そこであとで赤城防衛庁長官を呼んで質問する参考にもなりますから、何月何日どういう文書を出したということをこの委員会に提出して下さい、その資料を。そして私どもはそれによってさらに今後防衛庁長官にいろいろ質問をしてみたいと思いますが、あなたの立場上のことを聞いておつたわけですが、今後事故のないように希望をしておきます。資料提出について委員長から一つ要求して下さい。
  89. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまの資料についてできるだけ早く提出を願います。
  90. 小酒井義男

    小酒井義男君 先ほどちょっと有視界飛行の場合のことで防衛庁の教育局長から飛行ということだということをたびたび言われたですね、そうかなと思って実はおったのですが、もう少し、私の手元にある参考資料に目を通していきますと、今度はやはり同じような有視界飛行状態運航している場合は、衝突を防止するのは操縦士の責任であるという、運航という字が出てきたんですね、これはどうなんですか。
  91. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 失礼でございますか、何条でございますか。
  92. 小酒井義男

    小酒井義男君 三・五、三十五ですか、私の手元の資料にはそう出ているのです。それで、そう出てきたので、それじゃ運航という場合はどういう場合を一体さすのか、飛行運航とはどう違うか。
  93. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 航空法で私の了解しているのは、運航という言葉の中に飛行と着陸と離陸と三つあるのです。地上移動というやつがもう一つあるかもしれませんが。
  94. 小酒井義男

    小酒井義男君 地上で動いているときは運航に入りませんか。
  95. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先ほど申しましたように、飛行と着陸、離陸、それから地上移動が入りましたかどうか知りませんが、着陸、離陸は地上移動が含んでおりますから、着陸、離陸……。
  96. 小酒井義男

    小酒井義男君 飛行という言葉があり、運航という言葉がまた出てくれば、飛行運航とは同一でないからそういう表現がとられる。滑走路の上で動いているという場合は運航の中に入るのですね。そうですね。
  97. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  98. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて下さい。
  99. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵省に一つお尋ねをしたいわけですが、前回、四月二十六日の本委員会で、平島委員長から航空管制官の人たちの陳情があったその陳情文を読まれたわけです。それに対して航空局長なり関係者から答弁がありましたが、予算というものは非常に少ない、こういうところに根本原因があると私は思うのですが、大蔵省としては、運輸省から、航空局の提示された予算というものをどういうふうにお考えになって、また今年は予算というものを認めたのか、審議条件というわけではありませんけれども、具体的な予算の申請に対して、大蔵省がきめた経緯を一つ話してもらいたいと思う。大蔵省はなぜその予算を削ったのか、そのことを一つ話をしてもらいたい。
  100. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) もちろん予算の査定でありますからして、要求額をまるまるお認めするということはもちろんございません。しかし実を申しますと、先般の事故がありました以前に本年度の予算の査定ということが行なわれたわけでありますが、私どもかねがね航空の保安関係につきましては、できるだけ相手方の御要求の趣旨というものを十分に検討さしていただいて、そうして財源の許す限りお認めをするという方針で今日まで参った次第でございます。
  101. 相澤重明

    相澤重明君 もちろん財源の許す限りという広義な解釈をすれば、すべてがそうなんだよ。しかし具体的にこの航空管制を守つている管制官の人たちは、名古屋の場合であろうと、入間川の場合であろうと、衷情が述べられている。しかも施設についてもその通り、わずか二十八海里かそこらのものが実際に十分に掌握できないということまで明らかになっておるわけなんです。こういうようなことに対して、運輸省としては定員の問題や、施設のいわゆる補強について大蔵省に申請をしておるはずなんです。それをおそらく現在のような事故というものは予想されなかったためになたをふるったのではないかと私は思うのだが、そういうことなんですか。
  102. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) ただいまも申し上げましたように、今回の事故の以前にすでに予算の査定を行なっておつたわけでありまして、本年度のたとえば予算について申し上げますと、われわれとしても航空の保安施設については重点を置いて査定をしておるつもりであるということを実は申し上げたわけであります。一例を申し上げますと、たとえば例のVORというようなものの施設を名古屋に設ける、あるいはフライト、チェックの予算を、特にこういう時代でありますからして、われわれの方でも十分検討して、これをお認めしておる。あるいは高々度の飛行に関する管制に十分の施設費を認めるというようなことで、また管制官につきましても、運輸省の御要求というものをよく見まして、そうして従来定員を入れているつもりでございます。ああいう事故が起こりますと、率直に申し上げて、ともかく一番簡単なのは予算でございますからして、予算が足らぬとか何とかいうことをよく言われるのでありますが、私どもの立場からいたしますと、従来運輸省との関係におきまして、航空について、特に保安関係につきましては、われわれ事の重大性は十分わかっておるつもりでありますからして、ほかの経費以上に注意を払ってやって参ってきておるつもりであります。
  103. 相澤重明

    相澤重明君 注意を払って、よくその予算についても同情的に査定をしたということの結果が、現在においては、いかにも航空管制官の定員の少ないのには驚くだろうと思うのです。そしてまたこれらの人たちが給料が安くて、そして長時間重労働されておるということをあなたは御承知になっておるはずだと思うのですが、他はどこを見ましたか、その人たちに、どういうふうに実態を調べてあなた方は同情されましたか。
  104. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 私どもの担当官が羽田等は視察に参って実際の査定をやってきております。私ども管制官につきまして、特に事故があってああいう議論が出たようでございますが、従来とも非常に管制官について極端な予算の査定をいたしたとか、あるいは不足であるというようなことを特別には聞いて参ってきておりません。まあ要求を聞きまして、そうしてできるだけのことをして参っておるつもりであります。
  105. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、これはあとで、運輸省の問題になるわけですから、それはまたそのときに運輸大臣の意見を聞いてから最終決定をするわけですが、運転省力ら予算の措置をしてもらいたい、たとえば補正予算に、今度はこういう点を早く直したいから組んでもらいたいと、こういう要望があった場合には、あなたは今度の事故にかんがみ、それを当然しなければならぬと、こういうふうにお考えになりますか、いかがですか。
  106. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 仮定の御質問でございまして、運輸省がどういう御要求をお出しになるか私もわかりませんので、何とも申し上げかねますが、もちろん事柄によることだと思います。補正予算ということになりますと、御承知のように、財政法にも書いてありますように、緊急やむを得ざる事項であるとか、従来予見することができなくて、当初予算に組んでいなかったものであるとかいうような特別の事情にあるものを組むというのが補正予算の建前でございますからして、御要求の事柄によって検討させていただくよりほかにないと思います。ただ管制官の不足というような問題につきましては、実は私ども、新聞等にも多少出たように思いますけれども、しかし、運輸省と大蔵省との間におきましては、特に従来からもこれが不足だからというようなことはなかったと思っております。
  107. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 今のに関連して私からお尋ねしたいのですが、ただいま佐藤次長のお話ですと、担当官が羽田管制状況をごらんになったということでありましたが、私は入間川管制本部を至急ごらん願いたいと思うのです。これは、万一国際機に事故が起こった場合には、日本の信用に関する重大問題となると思いますので、わずかな金を惜んで莫大な賠償を払うという問題も考えられます。羽田はこれはいい方です、本部をぜひごらん願いたい。
  108. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 入間川の方も拝見いたしております。
  109. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、大蔵省は仮定の話をしても仕方がない。緊急必要なものあればということでお答えになりましたが、こういう点はあなたはどう思いますか。関口説明員は、館山の二十八海里ぐらいしか聞こえないという問題があるけれども、位置通報局というものを昨年度一応完成することができた、近く運用を開始すると、こう言っております。言っておるけれども、実際に平島委員長が担当者の陳情を受けた際に、小牧の事故以後の小牧管制塔の問題に関連をして、「紀伊半島南端の串本以西を航行する航空機とも交信可能であった無線通信機は老朽の為か或は修理調整の欠陥かははかり知ることは出来ませんが房総半島南端館山沖僅か二十八浬の地点にある大島上空の航空機とも交信不能の状態が日に何度となく起り更には梅雨期及び台風季節を控えて陸上電話線の浸水による回線不通の恐怖を胸に抱きながら日進月歩のジェット機に対し航空交通管制を行っている状態にあります」、どうですか、こういうことを担当者から実情を吐露されておるのですが、あなたはこの文章をどういうふうにお考えになりますか。あまり大したことじゃないと、こういうふうに感じますか。いかがですか。
  110. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 大事な機器がもし故障があるままに放置されておるというようなことでありましたら、これは当然至急に改められなければならないことだと思っております。機器の更新等につきましても、予算は入っておるわけでございますからして、それらの予算をどういうふうに配分されるか、あるいはまたその使い方のほかに、更新の費用が不十分であるならば、もちろん、予算のときにまた十分検討をいたさなければなりませんが、ただいまのような具体的な問題になって参りますと、運輸省の御判断で現在の更新あるいは修理の費用というものをどういうふうにお使いになるかということが、まず最初の問題ではないかと思っております。
  111. 相澤重明

    相澤重明君 簡単にお答えいただけばいいのです。運輸省からは、そういう問題については具体的に大蔵省に予算を査定をしてもらうのですから、要求をするはずなのです。だから、その場合に、こういうような緊急やむを得ざるこれをもし怠ったならば事故が起きる、こういうようなことを考えた場合には、当然予算を出すべきである、こう理解をしてよろしいかどうかということを聞いているのだから、それでよろしいとか、それは、ただ説明を求めなければならないということでは、私は納得ができない。こういう問題について、一体、本来ならば、当然話があれば、これはやっぱり早くやって事故をなくすべきだ。こういうお答えをいただけるかどうかということを私は聞いているわけです。いかがですか、いま一度お答えを願います。
  112. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) そういうことのないように、予算を支出できるものと考えております。
  113. 相澤重明

    相澤重明君 それで大蔵省はよろしい。  そこで、辻航空局長一つお尋ねをしたいのですが、あなたがこの間から答弁をされておるのを見ると、どうも運輸省監督官庁としての立場にこだわり過ぎている、こういうのが私は議事録の中にうかがえると思うのです。小酒井委員にしろ大倉委員にしろ、江藤委員にしろ、各委員あるいは平島委員長から質問をされておるのに、いや、病人は二人きりしかいない、六人というのは調べたが、間違いだ、そうして、定員もあまり少なくない、こういうような印象を受ける。これは印象だから、もっとも主観的なものになりますが、とにかく、航空局長自体としてはどうなんですか。定員は、この定員で十分仕事ができるとあなたは判断しているのかどうなのか。それとも、この事故にかんがみて、あるいは担当官の過労度の実情、立場を聞いて、やはりこれは今度直さなければならない、こういうお考えになっておるのか、一体どっちなんですか、お答えいただきます。
  114. 辻章男

    政府委員辻章男君) 私どもは、現在の勤務体制のもとにおきましては、現在の定員でやっていけると考えておるわけでございますが、今お話のございましたように、非常に飛行機のふえ方も、また交通量のふえ方も非常にふえて参っております。ところによりましては、現在の勤務体制では非常に困難だという事態が現われつつありますので、現在私ども、そういう人員の配置、勤務体制、また待遇等につきましても、部内で再検討いたしておる次第でございます。
  115. 相澤重明

    相澤重明君 それから、非常の場合に本省から人を派遣して事故対策をやる場合もあるし、仕事を手伝わせる場合もある、こういうようなことを、あなたはこの中で答弁されておる。そういうことを、今後もやっていくつもりなのか。今の話の、検討しておるということは、定員をもっと実情に沿うようにふやしていくと、こういう考え方に立って検討をされておるのか。一体一その検討というのは、何を意味しておるのか、いま少し明らかにしてもらいたい。いかがですか。
  116. 辻章男

    政府委員辻章男君) 検討いたしておりますのは、八時間の三交代制度、あるいは待遇の問題を、どういうふうにすべきか、そういうふうな点につきまして、検討いたしておる次第でございます。
  117. 相澤重明

    相澤重明君 それから、今待遇のお話が出ましたが、公務員の給与について、もう実際お気の毒であると。従って、一生懸命、からだを張って仕事をしておるこれらの管制官の人たちに、ほんとうに仕事を喜んでやってもらえるような給与引き上げについても検討をしておると、こういう理解をしてよろしいですな。いかがですか。
  118. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは、待遇を改善すべきだという方向で検討をいたしております。
  119. 相澤重明

    相澤重明君 まあ、きょうはまだ時期の問題があるから、あなたも、そういうふうにお答えが願われないだろうと思うんですが、きょうは公労協の仲裁裁定が出ておるのですよ。公共関係の職員の給与というものが引き上げられれば、公務員も、それに当然同じような形で引き上げなきゃならぬということは、あなたもおわかりだと思うんです。同時にまた、それよりも、さらに管制官の人たちの労働あるいは重要性、こういうものからいけば、当然さらにアップをすべき条件というものは、私はあると思うんです。そういうことが、また今まで各委員から質問の中で、あなたに質疑をされておると私は思うんですよ。  そういうことで、公労協の問題に、さらにプラスしたお考え方管制官の人たちには持つ考え方は、あなたは持てませんか。これはまだ人事院の勧告というものが出ない前だから、そういう仮定の話はできませんと、こういうことなのか、それとも、少なくとも担当局長として、もっとひとつ面倒をみてもらいたい、もっと真剣に、ひとつ考えてほしいと、こういうつもりで、あなたは大臣に言うつもりがありますか。いかがですか。
  120. 辻章男

    政府委員辻章男君) 公労協の裁定につきましては、私どもまだ存じておりませんので、額がどの程度かということにつきましては、何とも今お答えいたしかねる次第でございます。
  121. 相澤重明

    相澤重明君 航空局長の立場での答弁としては、まあその程度かもしれません。しかし、これはもっと部下のことを考えれば、率直に私どもこう思いますということを言っても、あなたが航空局長よけいなことを言うなといってしかられはしないと思う。むしろ運輸大臣に、そういうことを言ったことが、あなたはやはり管制官の人たちに、なるほどうちの局長はよくやってくれたと、そうして一生懸命に業務に励んでもらえると、こう私はなると思うんです。そういう態度こそ私は望んでおきたいと思うんです。これは希望いたします。  そこで、委員長一つ。大臣は、どうなんですか。出て来るのですか、それも来ないのですか。
  122. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記を止めて。    〔速記中止〕
  123. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それでは速記をつけて下さい。  質問は、一応本日はこれで……(相澤重明君「委員長、ちょっと今の点、ちょっと済みません」と述ぶ)
  124. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 相澤君。
  125. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣がお見えになりましたから、運輸大臣に、一言、苦言を申したいと思うのです。  それは、大体、専門の委員会のときに、ILOの問題も大事だけれども、やはり時間を、できるだけ都合をして出てもらいたいということ、これはあなたはいつもそういうことで、出ると言って誠意をもって答弁されておっても、やはり来るのがおそい。きょうは、もう十二時四十分過ぎです。  それで、実は航空法の審議を今まで私どもは精力的に進めて来たわけです。ところが、運輸大臣に、どうしてもやってもらわなければいけないことが、ここに出てきているわけです。きょう私が申し上げることで一後日のこの委員会で、そういう点をはっきりしてもらいたいと思うのですが、まず第一に、前回、小牧飛行場における自衛隊機と民間航空機との衝突事件、これについては、きょうは防衛庁の教育局長も来て答弁をしてもらったわけです。しかし、少なくとも日本国内における航空に関しては、航空法の建前でいけば、運輸省がやはり最高の責任を持っておるわけです、運輸大臣が。ところが、自衛隊の、この今回の事故についての部下に、いわゆる自衛隊としては今後事故を起こさぬようにと、こういう通知を出しておるということはわかったのですが、その通知は、運輸大臣のところに行っておらない。なぜ、運輸大臣は、あの事故にかんがみて自衛隊の問題について防衛庁長官に一そういうことを要求しなかったのか、こういう点が、きょう実は出たわけです。それで、防衛庁の方としては、必要があらば文書を出しましょうというようなことを言っておる。これはもう防衛庁長官がけしからぬ。そこで、この次の機会に、防衛庁長官を呼んでこの点は究明をするつもりですが、運輸大臣としても、当然あの事故が起きたのに、今後ああいう事故を起こしてはいけない、こういうことであなたは閣議の中でもかなり奮闘されたと思うのです。また委員会でも、そういう説明をされておるわけです。それだのに、ただ話し合いをしただけで能事終われりというようなことでは、私はおよそ意味がないと思う。やはり私は各省間の縄張り争いをさせるわけではなくして、岸内閣として、政府として今後事故をなくするということが建前だから、そういう点は、ぴしっと文書をもって交換をする、このくらいのことは必要があろうと、こう思うのです。そういう点について、まずあなたにお答えをいただきたい。——続けていきます——時間がないから。それをやってもらいたいということ。  それから二つ目は、この名古屋の人たちももちろんでありますけれども入間川センター管制官ですね。運輸省の職員が非常に苦労をされておる。それはおそらく四月二十六日の、この平島委員長が陳情を受けたことを当委員会報告をされたわけです。その陳情を読んでごらんなさい。全くこれはもう涙が出るほど、また、こんなことでいいのか、こういう専門員の運輸委員の人は、皆各位が思っておるわけですね。それについては、やっぱり問題は予算が少ないということ、予算が——運輸省航空局の予算というものが少ないから、結局はやりたいこともできない、人をふやしたくもふやせない、こういうことになっておる。そこで今大蔵省の主計局次長を呼んで話をしたところが、運輸省から予算が提出されるなら、それを検討して必要なものは出したい、こう言っているわけです。しかし必要なものとは何だ、こう言って、私は今のこの平島委員長が読んだ内容を読み上げて、こういう場合は、どうなんだ、こう言ったら、補正予算に組み入れる重要なポイントになるだろうということは言われている。私は、当然だと思うんです。そこで運輸大臣は、この今回の事故を契機に、航空局のこれらの重要な施設並びに定員の問題について、もっと積極的に大蔵省に話をして、そうして今後事故をなくする万全の対策というものを作る考えであるかどうか。このことを一つ私は大臣に、あなたの責任として一つお答えをいただきたいと思うんです。  以上簡単ですが、二つを一つお答えいただきたい。
  126. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 第一点の点は、防衛長官に強く私どもは事故の、つまり再び起こらないように、ことにジェット機とか、ああいうようなすばらしいスピードをもってやるものと民間航空との間におけるやはり危険性というようなことから、その辺の調整なり、注意なり、ことに先般何というのですか、事故を起こした何とか少佐というのですか、中佐というのか、あれは刑事局に送られているような状況でもあるので、初めは防衛庁としましては、そういうことは、自分の過失でないと言ったけれども、やはりそういうようなことが公正なる検察当局等の手によって摘発された以上は、防衛庁としても十分に一つ考慮してもらいたいということは強く要請しているのでありまして、文書によってそれを公式に出すということはおそらくやっていなかったかもしれませんが、しかし閣議においても、しばしば赤城長官ともそのことを話しているのでありまして、なおその点は、事務当局とも打ち合わせて、なおコンファーをしたい、こう思うのでありますが、第二点の点につきましては、私もしばしばその問題について聞いておりますので、事務次官を中心として、こういう事故防止の対策、それについてば今の御指摘になりましたところの問題等も、全般的に取り上げて、待遇の改善なり、施設の改善というようなことを項目的に取り上げて、逐次実現を期するように指示していこう。しかもその点については当然あるいは補正予算等におきましても、まあ、あなたから発言してもらってありがたいのですが、こちらからも要求をして、できるだけ改善したい、こういうように私は思うのであります。
  127. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それじゃ、ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  128. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を始めて。   —————————————
  129. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について提案理由の説明を願います。
  131. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  近年わが国の国内輸送の分野におきましては、自動車、航空機等の発達に伴いまして、国鉄の占めてきた地位は著しく変貌し、総輸送量に占める国鉄輸送量の比重は、年々低下の一途をたどっておりますが、国鉄の運賃制度は国鉄が陸上輸送において独占的地位を保つていた当時のままであるため、多くの不合理を生じております。  すなわち、このような事態に対処するためには、旅客輸送の分野におきましては、近代的車両を使用した優秀列車を極力増発する等、輸送の質的改善をはかる必要があります。このため本法律案におきましては、まず、現在の一等、二等、三等の三等級制を一等、二等の二等級制に改めることにいたしました。また普通旅客運賃の賃率につきましては、現在の四地帯制を二地帯制に改め、現行の大幅な遠距離逓減制をある程度是正することにいたしました。しかし、反面急行等の料金は、これを引き下げまして、急行列車等を利用しやすくするとともに、遠距離逓減の是正による旅客の負担増を緩和し、旅客の負担においては、従来とほとんど変わらないようにいたしたいと考えております。なお、これら急行等の料金は、本来付帯料金の性格を持っており、これに輸送の実情に応じた弾力性を持たせる方がサービスの向上に資するものと思われますので、この際、これを運輸大臣の認可事項といたしました。  次に、貨物運賃の分野におきましては、原価主義をとる他の輸送機関が著しく発達したため、原価に比べて割高な運賃を課せられた貨物は、他に転移し、国鉄には、運賃の割安な貨物が集中する傾向があり、このままでは貨物輸送の面の赤字は、年々増大する一方でありますので、これに対処するため、本法律案におきましては、普通等級の数を現行の十二等級から十等級に圧縮いたしまして、現在の大幅な負担力主義を原価主義で幾分修正することにいたしました。  このように、本法律案は、現在の運賃制度の不合理な点を是正することを主眼とするものでありまして、不増収、不減収を建前といたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  132. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 本案に対する質疑は、後日に譲ります。   —————————————
  133. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
  134. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣に、この際、緊急性の問題ですからお尋ねしておきたいのは、二つあります。  それは 一つは、神奈川県の三崎に城ヶ島に渡る橋を作ったわけです。その橋を渡る料金というものを運輸省が認可をしておる。で、これは、今まで城ヶ島の島民が本土の方に渡るのに、船を利用しておったときには、四円かそこらでもって渡れたわけです。それを今度はバスに乗るために、一人十円ずつ取られる。こういう不合理なことをやるということは、私は第一にいけないと思う。それからいま一つはバスは、往復をしても二百円ないし二百五十円——バスのこの橋を渡る料金は。ところが、一人十円ずつ取ったら、バスは幾人乗れるか。五十人乗り、六十人乗りから十円ずつ取ったら幾らになるか。これは明らかにもうけるにもはなはだしいということになるわけだ。こういうことはどうして、もっと実情を調査をして運輸省は認可をしなかったのか。こういうことは、今神奈川県では観光ブームとまで言われておりますが、実に、運輸省が簡単にこのバス会社の申請に認可をしたということはけしからんじゃないかということで、今、神奈川県知事も、ついに、船についての今までの料金のこともあるから、学童について、あるいは学生については、これをやめようじゃないかと、こういうところまでいっておるが、運輸省が認可してしまったものを、これはどうするんだという、こういうように非常に地方住民並びに地方自治体は困難を来たしておる。これは運輸省のやはり認可の仕方が私は悪いんじゃないかと、こう思うんだが、まあ大臣も、これは初めてだろうと思うんだが、一つその経緯を担当者もおりますから聞かしてもらうんだけれども、まず、大臣は、そういう、もし悪かったならば直すと、こういうことは一つ、私は当然言われていいんではないかと思う。これ一つ。  いま一つは、きょう仲裁委員会が公労協関係の仲裁裁定を出されたはずであります。その仲裁裁定の報告を、まあ官房長あたりおそらく持ってきているだろうと思うんですが、それを報告をしてもらうことと、それから一国鉄の特に副総裁も来ていただいたのは、大臣と国鉄の副総裁に、いわゆる仲裁裁定が出た場合には、当然それを実施をする、仲裁裁定を尊重をしてそのまま実施をする、こういうことは、従来政府が私ども答弁をしておったことでありますが、その通り、あなたもきょうは確約できると思うのですが、その意思一つお尋ねしておきたい。それでまた国鉄の吾孫子副総裁にも、そういう点についての一つ確約をしておきたい。こう私は思う。  緊急性の問題ですから。二つの問題についてお答えをいただきます。
  135. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) 第一の問題は、私も初めて聞くのでありますが、これはおそらく建設省と運輸省との共管になっておることだろうと思うのですが、城ヶ島の住民の人が、橋かできたことによって、非常なかえつていろいろな経済的負担等が加重をされるというようなことは、また十分に考慮すべき問題じゃないかと思いますから、運賃その他の点につきまして、十分に調査して、善処いたしたいと思うのであります。  なお、仲裁裁定の問題は、私まだ報告を、実は今受けておらないのでありますが、まあ仲裁裁定に対して、政府が尊重するということは、これはなすべきことであると思うのですが、裁定を一つ十分に検討いたしてみたいと思うのです。その上で何して——先般私、益谷副総理にも、給与その他の問題について、特に私の方が現業等の問題がありますから、その仲裁裁定が出たら、一ぺんよく協議して、閣内においても、できるだけやはり給与の面等について、時宜に適するような方策を協力しようということも申しておるような次第であります。なお担当国務大臣である釜谷氏とも、十分に打ち合わせて研究いたしたいと思います。
  136. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 本日午前中、仲裁裁定が出されました国鉄の関係では、今四つの組合がございます。四つの組合に対する裁定が出たわけでございますが、その中で、国鉄労組と当局に対する仲裁裁定が、多少の違いはございますけれども、大体同じでございますので、主文だけちょっと読ましていただきたいと思います。  「一、昭和三十五年四月以降の賃金については、新たに同月一日現在の基準内賃金の四%の源資(その額が一人当り平均八百円に満たないときは八百円、八百五十円を超えるときは八百五十円とする。)を加えること。  二、上記源資の配分については、労使当事者間の協議によってきめること。  三、年令別最低保障賃金については、さらに労使間において検討すること。」  こういう主文でもって本日裁定が出たわけでございますが、国鉄当局といたしましては労使関係の当事者として、裁定に拘束されるのは当然でございますので、この裁定の実施方につきまして、この裁定そのものの中にも、今後労使間で協議することというふうに書かれた問題がございますから、そういうような事柄につきましては、労使間で協議をさらにいたしまするし、また裁定の実施のための必要な措置につきましては、政府御当局ともよく御相談を申し上げまして、これの実施をはかるようにいたしたい、かように考えております。
  137. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄の副総裁の答弁は、大へんいいわけです。ただ運輸大臣、さっきあなたが、副総理が給与担当大臣ですから、副総理とお話をして解決したいという御答弁をいただいたのですが、私がちょっと心配するのは、やはり各省庁において、予算が若干足りないというような場合がくると、ともすると、まあ一つ今までの予算の中でやり繰りをやる、こういうようなことで、やはり頭打ちをされるおそれが非常に多いわけです。わけても今回の調停委員会が出る経緯から見て、大蔵省としては次官の意見が……ということを私聞いておるのですが、まあ今度の場合も、五百円くらいでとどめておきたいというような、最初から各省にワクをはめてしまうというようなことも、うわさに聞いておるわけです。それであっては、労使慣行を樹立する、しかも仲裁調停機関というものを尊重をして、政府は、労使の慣行というものをよくしていくという、従来の主張をやはり曲げることになってしまうと、実は私は心配するわけです。おそらく大臣の御答弁されたのは、そういうことじゃなくて、仲裁裁定は、政府としては尊重する、従って公労協でありますから、当然労使の配分については、協議事項になっておるから、吾孫子副総裁の言うように、これを忠実に履行をしていく、こういう答弁のように私はなるのは当然だと思うのですよ。  そこで運輸大臣は、そういう気持で副総理と話をされるのか、あなたの副総理と相談をするというのに、今言ったワクをはめられたのでは、これは重大な問題になってしまう、そういう点を一つ答弁願いたい。
  138. 楢橋渡

    ○国務大臣(楢橋渡君) これは、今給与担当大臣というものが、今度新しくできたわけです。益谷副総理が一あのじいさんが、とにかく一生懸命にやっているのですから、そこでこの間も、閣内でも益谷さんを、できるだけ私がヘルプといっちゃ何ですが、一つ助けて何しよう、相談してやっていこうというのですから、今あなたの言うような趣旨です。
  139. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それじや、本日はこれをもづて、散会いたします。    午後一時三分散会