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1960-04-07 第34回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月七日(木曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員谷口慶吉君辞任につき、その 補欠として苫米地英俊君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            江藤  智君            村上 春藏君            小酒井義男君    委員            佐野  廣君            苫米地英俊君            鳥畠徳次郎君            大倉 精一君            中村 順造君            松浦 清一君            白木義一郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   政府委員    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省航空局長 辻  章男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省航空局航    務課長     亀山 忠直君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○臨時船舶建造調整法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○運輸事情等に関する調査  (名古屋空港における飛行機事故に  関する件)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ただいまより委員会を開会いたします。  本日は、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案につきまして、質疑を行ない、討論採決を行なう予定でごごいます。  そのあとで、名古屋空港における飛行機事故の結果について、報告を聴取いたします。  それでは、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。  別に御質疑はございませんか。——ないようでございますから、質疑を終局し、討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に、御発言もないようでございますから、討論は終局し、採決を行ないます。  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に、賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 全会一致と認めます。  よって、本案は、全会一致をもって、可決すべきものと決定いたしまし、  なお、議長に提出する報告書作成等につきましては、委員長に御一任願います。
  4. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案につきまして、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。本法の趣旨に沿うように極力努力いたします。   —————————————
  5. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、運輸事情等に関する調査議題といたします。  去る三月十六日の名古屋空港における飛行機事故について、その結果の報告を願います。
  6. 辻章男

    政府委員辻章男君) 私から、事故後の問題につきまして、簡単に申し上げたいと思います。  事故が起こりましたので、さっそく省内に、事務次官を長といたしまして、事故対策本部を設置いただきまして、ここでいろいろ善後策検討いたしまして、現在までのところ申し上げるような点について、主として航空局で、いろいろ事務的な検討を進めまして、案を得次第、対策本部で御討議願って、実行に移そうというふうなことをいたしております。その項目といたしまして第一番にあげられておりますのは、管制組織の問題でございます。これは、ここで申しまする管制組織を再検討しようという意味は、現在御承知のように、航空局管制をやっておるのでございますが、諸外国では、いろいろとやり方がございます。大体大別しまして、三つ種類に分かれると思うのでありますが、一つは、たとえばイタリアのように全部空軍がやっております、民間につきましても。それから欧州のスカンジナヴィア方面では、全部軍の飛行機も、すべて文官管制官がやっております。それからアメリカは、これは軍人は退役いたしておりますが、連邦航空局というものを作りまして——これは航空を所管しておりまする行政大臣のもとでもなし、また軍のもとでもない、大統領直轄連邦航空局というものを作りまして、俗にFAAと申しておりますが、これで軍人、それから文官一緒になりまして、一元的にやるというふうな組織、大体三つ組織があるようでございますが、これらを、なお調査いたしまして、一つ根本的に、どういう制度が日本では一番いいかということを検討したいという趣旨でございます。それから第二点といたしまして、これは現行の組織のもとにおきまする管制の運用の改善の問題、これは管制官の配置でありますとか、あるいはその管制規則の問題でありますとか、そういうふうな点を検討しようということであります。それから第三番目には、管制官の待遇の問題、それから技能向上、これらの点について検討を加えたいということであります。それから第四番目は、飛行場につきまして、理想といたしましては、民間飛行機防衛庁関係飛行機を分離することが望ましいことは申すまでもないことでありますが、現実問題といたしまして、今直ちに分離ということは困難な面もありますので、共同使用する際に、なおどういうふうに共同使用の体制をやることが、航空の安全の側から見て、一番望ましいかというふうな点から、その改善を考えていきたいということでございます。それから第五番目には、管制の機械切な施設の増強、それから一般に飛行機航行につきましては、無線の機器を中心としました航行援助施設があるのでございますが、これらの問題の整備についても、この際、あわせて検討いたしたいというふうな、この五点を、おもな点といたしまして検討しようということになっておりまして、目下私どもの方で、いろいろ担当課において、事務的に検討を加えつつあるという段階でございます。それから遭難者に対しまする弔慰、あるいは負傷者に対しまするお見舞の庁でございまするが、これにつきましては、私どもの方から大蔵当局の方に、今回の事件特異性にかんがみまして、国としても、この際、弔慰方法を講ずべきではないかということを申し入れいたしております。この点につきまして、いろいろ前例を調べたのでございますが、国鉄その他の公社等におきましては、弔慰前例はあるのでございますが、国が弔慰したということは、非常に前例がないようでございます。大蔵当局も、この際は何とか、そういう方法を講じようということで、その方向のもとにおいて、今金額その他について折衝いたしておるような次第でございます。  それから、なお事件のその後の点でございますが、これは、新聞紙上等でも御承知かと思うのでございますが、私どもの方の村手管制官が逮捕されまして、これは先日、処分保留のまま身柄は釈放されております。それから防衛庁の衝突した自衛隊横に乗っておられましたパイロットにつきましては、書類が送検されたということを伺っております。  大体、簡単でございますが、以上のようなことでございます。
  7. 江藤智

    江藤智君 事故原因について、前回においては、詳細に調査をしておるんだから、その結果を待って説明するというお話だったんですが、その後、事故原因について、御説明あったんですか。
  8. 辻章男

    政府委員辻章男君) この前、本委員会におきましても申し上げたと思うのでございますが、実地検証でさはございませんが、事実、ああいうふうな状況下飛行機を置きまして、綿密に検討したいということを考えておるのでございますが、これは、まだ実施されておりません。  ただいまのところ、私ども管制官誤認一つの大きな原因であったと、それから衝突いたしました自衛隊パイロットが、前方を十分の注意をもって確認しておれは、前方飛行機を識別し得られたんではないかというような点につきまして、重大なる疑いを持っておりますが、先ほど申し上げましたように、まだ実地調査まで至っておりませんので断言いたしかねるのでありますが、現在の段階では、そういう疑いを十分持っております。
  9. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  10. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて下さい。
  11. 江藤智

    江藤智君 前回委員会で、この問題をとり上げたときは、事故の発生直後でしたから、調査の結果を待って詳しい説明を聞くし、それに対しての対策検討しようと、こういうことになっておったと思うんです。  それできょう、その結果を御報告をお願いするわけですから、まず御説明願うのは、事故原因を承るのが、まず第一じゃないかと思っておったんですが、その事故原因をおいて、対策お話がすぐ出たものですから、もう少し事故原因について、はっきり御説明を願いたいと思います。われわれとしては、新聞その他では、もちろん見ておりますけれども責任のある方面からのお話というものは、まだ聞いておらないのですから、その点を、現在の調査のできておる範囲でけっこうですから、いま少し、はっきり聞かしていただきたい。
  12. 辻章男

    政府委員辻章男君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、事故原因は、一つは、私ども名古屋管制塔におりました管制官誤認一つの大きな事故原因であると考えます。それから自衛隊機発進に際しまして、前方に十分な注意があったかどうかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもは、相当の疑いを持っておりますが、これが過失であったかどうかという点までは突きとめておりません。しかしこれは、本人も供述しておられますように、誤認があったということは事実でございまして、問題は、その誤認に、本人注意が不十分であったか、十分であったかどうかという点だけが残っておるわけでございまして、私どもといたしましては、私どもの主管しておりまする管制官のミスがあったということにつきましては、特に責任を痛感しておりまして、先ほど申し上げたような点について、再検討している次第でございます。
  13. 江藤智

    江藤智君 誤認というだけでは、どうも、もう少し具体的に言ってもらわないと……。まあわれわれが推量すれば、全日空機滑走路から、すでに出てしまって、滑走路があいたと思って、発進命令を出したということだろうと思うんですけれども、その誤認というだけでは、そんな程度説明なら、これだけ長く時日を置いて説明を受けるまでもない。その当時の事情を、できれば資料か何かで、はっきりされて、説明されるのが当然じゃありませんか。これまでの大きい、いろいろな陸上あるいは海上の事故であっても、まあこれほどの事故でなくても、相当詳しい事故原因というものは説明しておるのに、これだけの大事故で、世間を騒がしておるのに、ただ、ここで誤認だけだという程度のことじゃ、あまり誠意がないように思うんですよ。
  14. 辻章男

    政府委員辻章男君) それじゃ、ちょうど今事故の現場に参りました亀山航務課長が来ておりますので、航務課長から、詳細に御説明申し上げます。
  15. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) 事故の直接調査を担当いたしました亀山でございます。大体今まで判明したところの結果を詳細に申し上げます。  事故は、三月十六日の十九時大体三十七分ごろと推定いたしますが、これは、こまかい時間は、はっきりいたしませんですが、簡単に経過を追って説明しますと、DC——全日空の五〇一八DC3型が、ちょうど定期便名古屋へおりようとして、この飛行機が十九時三十六分ごろ着陸いたしております。そのまま滑走を続けまして、タワーの方では——ちょうど滑走路誘導路が十一本ございますが、それがちょうどDC3の五〇一八が、着陸いたしました方向から見まして、大体二番目の誘導路の附近を通過しましたころ、タワー管制官の方では、これがちょうど三番目の誘導路のところを通過したというふうに誤認をいたしております。それで、百八十度回ってターミナルに帰ってよろしいという指令を出した。DC3のパイロットの方では、そのままいわれた通り百八十度旋回いたしましたが、その位置が、ちょうど三番目の誘導路に達していないところでありましたので、二番目の誘導路のところまで引っ返そうというところで、そのままちょうどランウェイ中心線ランディング・ライトをつけたまま百八十度バツクして帰ってきた。管制官の方は、——これはここに錯誤が起ったのでございますが、三番目の導誘路の入口を過ぎたものとばかり思い込んでしまった。縦って、時間的にもう誘導路の中にDC3は入ったものと誤認をいたしました。それで、ちょうどそのDC3が着陸しました直後、E86Dを一台滑走路の端に、ちょうど離陸位置に入れまして待機させておったのに、そのまま離陸許可をいたした。F86Dの方のパイロットは、やはりDC3がおりる経過は、ずっと眺めておりまして、着陸してから飛行機うしろから眺めますと、赤、青の光——尾燈、それから上にアンチ・コリジョン・ライトという衝突予防の光がありまして、この光は確認しております。ちょうどタワーから、DC3に対して百八十度回れといわれて、DC3が百八十度回った時期まで、それを見ておりました。それで、あのまま誘導路の方に入ってしまうのだなということで、ここでまた、錯覚を起こしました。それで、もうじき離陸許可がおりるであろうということで、そのまま前方を見ないで操縦室内の計器その他をいろいろ点検をいたしました。そのまま離陸許可がおりたところで、発進をいたしました。しばらく飛行機が安定したところ、前方を眺めますと、前に二つ光が見えた。これは明らかにランディング・ライトでございます。そのときに、F86Dのパイロットの頭に浮かびましたのは——ちょうど滑走路左わきのところで、工事をやっておりまして、この工事夜間工事で、その工事照明燈を照らして、いつもやっておった。この照明燈は、ちょうど下を向けないで、こう向けますと、ランウェイの端にいる飛行機に対しまして、かなりじゃまになるということで、前々から、そういう注意パイロットの平野二佐は——小牧飛行場防衛部長でございますが——そういう工事担当者に、しばしば文句をいっておったそうでございますが、そのDC3の光を見たときに、初めは、あの工事の光か、またこっちを向いているじゃないか、あした、またうんと文句をいってやろうということで、離陸をそのまま続行しておったところが、だんだんその光が強くなる、これはおかしい、滑走路の上に、何かあるらしい、しかし何かあれば、離陸許可が出るわけがないだろうというようなことで、疑心暗鬼しておりましたところが、DC3の頭が見えた。それで、そのまま避けようがなくて、プルアップと申しまして上に引き上げまして、引き上げ切れずに、DC3にぶつかった。DC3のパイロットの方は、F86Dが直進してくるのに気がつきまして、あわてて滑走路の外に出ようとして、そのまま左に大きく旋回しましたが、かわし切れずに、結局翼の中ほどから胴体にかけて、ちょうど四十五度くらいの角度で、きれいに両断されております。  大体、事故の発生した経過は、このようであります。従ってこの事故の構成から申しますと、管制官錯誤で、そういった錯覚を起こしたと同時に、パイロットの方の錯誤というものも、これはあったものと私は考えております。  ただ、これからの調査と申しますのは、事故担当者としまして、その錯誤が、ほんとうにやむを得なかったものであるかどうかというような点について、それから、さらに時間的な経過、これは大体、われわれが計算してみまして、離陸を始めてからぶつかります間に、十二秒くらいの時間があると推定いたします。およそ十二秒の間に起こりました、これは、非常にむずかしいことでございますが、パイロットの心の動きというようなものを追うということも、一つのポイントとして重要だろうと思います。その点が、まだちょっと抜けております。  大体、経過は、以上の通りであります。
  16. 江藤智

    江藤智君 いずれこの問題については、当委員会からも、九日の日に実地検証に行かれましょうから、詳しくお調べになると思いますけれども、私が第一に感じますことは、これだけの重要な、とにかく予防措置といいますか、保安というものが、たった一人の錯誤だけで、簡単に起こるという格好においておるということが、一番問題じゃないか。  そこでとりあえず、今、いろいろ根本的なことも言われておるようですが、とりあえず私は処置をとることは、確認といいますか、列車運転にいたしましても、進行確認の場合は、必ず応答をやっておるのですね。進行と言えば、進行オーライと言って、必ず確認をやっておる。だからして常識的に考えて、滑走路を出たと思ったと、そうして、もう進発すれば、今度は、その進発命令が出たから、今のように大丈夫だろう、こうだろう、だろうで、これほどの高速度の、しかも重大な事故を起こす運行をやっておったということが、実に意外ですよ。ですから、滑走路を出たなら出たというときに、今度は操縦士からタワーの方に、少なくともそういう確認の通知があって、しかる後に進発命令を出すというようなことをやらしておるのが当然のことなんです。そういうことを、一体、これまでは、やらしてなかったのですか。
  17. 辻章男

    政府委員辻章男君) その点につきましては、従来から視界が悪い場合には、そういうことをタワーの方から飛行機パイロットに申しまして、ランウェイをあけたら、必ず通告するような措置をとれということは、一般的な訓令として伝えてあったのであります。  当時の状況としましては、御承知のように非常に視界がいい状況で、そういう必要がないというふうに判断してやったわけでございます。しかし、こういうような問題が起こりましたので、実は追っかけましてさっそく、夜間の場合それから視界が悪い場合は、必ず飛行機の方にタワーから通報いたしまして、ランウェイをあけて、タクシー・ウェイに入った場合には、そのことをタワーに知らすという措置をとれということを、各飛行場管制のところに、全部通告いたしまして、実施させております。
  18. 江藤智

    江藤智君 どうも、視界がいいということ——晩の七時過ぎでしょう。そうして工事照明灯飛行機ランディング・ライトさえなれた人が見間違えるような視界ですよ。それが当時視界がよかったという説明の仕方は合わぬじゃないですか、理屈に。
  19. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは、当時の気象データなんでございますが、それによりますと——亀山課長データを持っておりますので報告させますが、常識的に考えまして、非常に視界が悪いというふうな状況ではないように私ども感じております。
  20. 松浦清一

    松浦清一君 江藤さん、ちょっと……。  今のその視界は、何メーターくらいであったか聞きたいと思います。
  21. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) 当時の気象状況晴天でございまして、晴天と申しますのは、雲量が二以下でございます。月はございません。視界は、二十マイル以上でございます。二十マイル以上と申しますのは、ほとんど見える限りという状況でございます。
  22. 江藤智

    江藤智君 この三月に、そして暗くなって電気なんか照らしているときに、それは、なんですか、雲がなくても——雲や何か、むろんないのですよ——だけれども、そんなに見えますか、夜ですが。
  23. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) かえって暗夜の方が……。実際、この間検察庁が検証に参りまして、私も立ち会って見ておりましたが、月があるよりも、DC3のランディング・ライトようなものはかえってはっきり見える、むしろ暗夜の方がはっきり見える。  それから申し落としましたが、工事の灯と間違えたというのは、現実に工事の灯があったわけではございません。当日は、工事の灯はございません。またランウェイの方にも向いておりません。ただ、そういう先入観で、あの辺にあったはずだという先入観を、ジェットパイロットは起こされたわけでございます。従いまして、当日はございませんでした。
  24. 江藤智

    江藤智君 この問題については、そういう議論を今するのが目的じゃないが、とにかく視界がよかったというけれども、夜で、とにかく誘導路さえ間違えておるときでしょう。そういうのを、昼間の視界と夜の視界とを同じに考えて、そのときは、視界がよかったというふうに航空の方じゃ言っておるのですか。
  25. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは、先ほど申し上げましたように、目で見まして確認が困難と思う場合には、従来は飛行機無線によりまして、ランウェイを出た場合には通報するような措置をとれという一般的な訓令を出しておったわけであります。  従いまして、その視界がよくて、それが自分の肉眼で確認できるかどうかという判断は、管制官にまかしておったような形に相なっておるわけでございます。
  26. 松浦清一

    松浦清一君 関連してちょっと聞かして下さい。  この二十マイルの視界というのは、光ですか、物体ですか。この辺のところで、何が二十マイルくらい見えるということになっているのですか。これはあとで、判断資料で、私は考えていただいてもいいのですがね。
  27. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) あの辺としては山がございますが、大体山の形とか、そういうものもぼんやり見える、それから、やはり灯がたくさんございますですが、そういった灯の見えます距離でございます。そういったところで判断しております。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと関連して。今、工事をやっていなかったという話ですね。工事灯があったのだという誤認だったというのですが、あの辺には、どんな工事灯がついておったのですか。先ほどのお話だと、こっちの方を向いていて、じゃまになるというお話だったのですが、どんなあかりだったのですか、工事灯は。
  29. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) 普通のフラッド・ライトと申しまして、通常工事をやりますときに照らしております普通の光でございます。いわばほかの灯としましては、サーチ・ライトとか溢光灯と称します羽田のフィンガーについている灯と同じ種類の灯でございます。それが下に向けて、ここで作業するというふうになっておりますが、これが、こういうふうに、もし角度を変えますと、これがたまたま、じゃまになることがあるのではないかということでございます。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、飛行機あかりとは、全然違うのではないですか。
  31. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) 光の質は、若干似ておりますが、強さとか、そういった点では、かなり違っております、これは、普通のあかりでございますから。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、こちらを向くと、何かパイロッドの目がくらむとか、そういう視界じゃまになるという光なのか、あるいは飛行機と同じような光で、視界といいますか、目がくらむというようなものじゃないのですか。じゃまになったというのは、どういう意味なんですか。
  33. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) じゃまになったという事実が、確実にあったわけではなくて、じゃまになるといけないから、こういうふうに向けるなという注意をしておったのだそうでございます。これは、防衛庁の方でやっております仕事でございまして、私らは、それまであまり深く知りません。
  34. 江藤智

    江藤智君 もっと答弁に、私ははっきり自信を持っていただきたいのは、今のように視界が、見える限りあったと言いますね。滑走路というのは、まっすぐ直線でしょう。その直線の上に、あれだけの大きな飛行機がとまっているか、とまっていないかということが、見える限りの視界があったら、どうな人だってわかりますよ。  だから、やはり夜だから昼間より、よほど視界は悪いのだ、見えなかったんでしょう。だからして、それは昼間と同じように見える限りの視界があったのだという説明は、僕は、無責任だと思うのですがね。
  35. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) これは、はっきり申しますと、私らが見たところでは、DC3の光も、はっきり見えたということでございます。  ただ、先ほど申しましたが、ジェットパイロットは、ちょうどDC3が着陸しまして、すぐ離陸位置に着きまして、そして見ておりまして、このときには、DC3のランディング・ライトは、相当強い光でありますが、探照灯を向けておりまして、これが前方に向いておりますので、わからぬわけです。従って赤、青の翼舷灯と尾灯だけで、これは確認しております。これは、非常に弱いものでございます。それをこれが、こういうふうに曲がったのを確認したわけでございます。自後、曲がったときに、パイロットはそれで、前方の監視をやめまして、というのは、もうじき離陸許可がくるのではないかということで、許可がきたら、すぐ離陸しようというところで、もっぱら飛行機の内部に目を注ぎまして、いろいろな計器の点検とかエンジンの調整、そういう方に専念して、従って、DC3が前方を向いたときには、大体、供述によりますと、これは前方を見ておらなかったというふうに、私らいえるのではないかと思います。
  36. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、視界という定義が、ちょっとわれわれが考えたのと違うと思うのです。  私らが言ったのは、夜のようなときは、これはやはり視界がきかない、物体が見えないのだから、そういうときは、やはり確認を特に厳正にすべきだというようなつもりで、まず視界の問題に触れたのですが、あなた方の視界の定義というのは、灯が見えるという、その距離によって視界がいい悪いと、こう言っておられるのですね。もう一ぺん言いますと、要するに物体が見えないようなときは、視界がやはり悪いのだから、確認も、特によくせにゃいかぬと、こういうふうに思ったのですが、しかも、先ほどの航空局長の話では、視界の悪いときには、確認するように従来も言ってあったのだ、しかし、このときは、視界がよかったから確認しなかったのだ、こういうお話なんですから、それじゃ、夜だから視界が悪いだろうと、私は言ったのですけれども、あなた方が視界がいい、見える限りだと言われますから、そのところは、あなた方は、光が見えるのは、見える限りだ——それはいいでしょう、雲や何かなければ。しかし、物体は見えない、そういう場合がいいと言われるのなら、私はわかるのです。
  37. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) この点については、ちょっと申し添えますが、確かに昼間でいう視界夜間でいう視界とは、だいぶ違います。従って、物体の形そのものをはっきり見ることは不可能であって、ただそのためにランディング・ライトとか、それから翼舷灯というもの、あるいは衝突防止灯というものをつけておりまして、通常ならば、その灯が確実に確認できない状況である、かなり遠くても確認できない状況である、そう申し上げたわけであります。
  38. 村上春藏

    ○村上春藏君 その自衛隊機がスタートしようという、その位置から、今の事故を起こした位置までの距離、それから管制、いわゆる指令ですね、指令を出すところ、管制官の方の位置から事故を起こした位置までの距離は、どのくらいありますか。
  39. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) スタートを起こしたところから、ぶっつかりました位置までは、大体四百メートルぐらいでございます。大体、タワーから事故を起こしましたところまでの距離が九百五十メートルでございます。それから事故を起こしました——発信してぶっつかりましたまでが、四百メートルでございます。
  40. 村上春藏

    ○村上春藏君 そうすると、発信するときに、前方自衛隊機が見ていなかったわけですね。四百メートルの距離では、どうにもならぬわけですね、発見したときには、もらすでに。見ていなかったということになるのじゃないですか、同時に管制官の方も、一キロ以内の距離で、その時間なら、今の旅客機が、今のコースから外れたということは見えるはずです。だから、これも双方に、非常に誤りがあるということですね。双方だと思うのですが、その点は、どらですか。
  41. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) お説の通りでございます。これは管制官の方も、タワーDC3の動きも私も見ましたが、これは、かなり明確に視認できます。同時に、先ほど申し上げました通り、平野操縦士の証言によりますと、やはりDC3が回りますときには、結局このまま誘導路の中に入ってしまったものというふうに錯覚を起こしまして、自後の行動を見ておらなかったということが明らかであります。
  42. 江藤智

    江藤智君 いずれにしましても、事故防止について、その資料が何もないのですな。少なくとも、そういう見取り図ぐらいつけて、そうして、はっきりしたもので、事故防止並びにこれに対してとったとりあえずの処置、そういうものが出ておるものとして、われわれは今考えて、きょう質問するつもりだったんですけれども、そういう資料がありませんから、至急それを作って出して下さい。  そらしていろいろとりあえずの処置、それから根本的な、もう少し時間をかけなければ解決できない処置もあるでしょうけれども、少なくとも、とりあえずの処置というものがあってしかるべきじゃないか、とにかく誤認々々でいっているわけです。  こういう交通の安全ということについて、多少知識があるものについては、全く、これは驚くべきものですよ、こういう事故が、簡単に起こったということは。たとえてみれば、飛行機の離着陸の時隔ですね、時間の間隔、それを資料としていただいたのですが、普通羽田あたりで二分ですか。
  43. 辻章男

    政府委員辻章男君) 今お手元にございますように、羽田等におきましては、非常に視界のいい場合におきましては、二分間隔程度でやっております。
  44. 江藤智

    江藤智君 そこで、この場合、着陸をして、そうして発進までの、いわゆる発進許可を与えたまでの時間が、非常に少なかったように思うのですが、幾らになっておりますか。
  45. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) 大体二十一秒でございます。
  46. 江藤智

    江藤智君 そうすると、たった二十一秒で発進命令を出した……。
  47. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) 着陸しまして、百八十度ターンして、かえるといいましてから、二十一秒でございます。
  48. 江藤智

    江藤智君 その一事をとっても、普通二分と、しかも非常な発着の激しいところでも一分何秒をおいているのですね、ところが、その管制官が二十一秒くらいの間に、いかに錯覚があっても、そういう命令を出し、そうしてそれをうのみにして、前方を注視もしないで飛び立つということができるような、とにかく安全の度合いというものは、これは実に寒心すべきことです。  それから、その責任はどっちなんですか、前方注視の。いわゆるパイロットの方が主体の責任者なのか、あるいはもう発進命令が出たら、その発進をした方の責任なのか、これは、私が申しますのは、かりに間違った命令を出しても、信号を実際に確認し、汽車の場合では、機関士の責任ですよ。いかに、昔駅長が発進命令を出しても、必ず信号機を注視して、青か赤か見て、出て行くのが機関士なんですね、この場合には、コントロール・タワーの方は、たとえば駅長が発進命令を出したようなものであって、やはり前方注視というものは、パイロットの方が責任だ。従って、どちらが責任の主体なんですか。
  49. 辻章男

    政府委員辻章男君) 後の質問の方からお答え申し上げますが、これは、あの場合に発進命令ではないのでございまして、発進してもよろしいという許可的な通知でございまして、これは私ども、そういう許可がありました際に、前方注意義務というものがないとは考えておりません。これは、当然どういう場合でありましても、前方注意義務はあると、こう考えております。  それからもう一つ、先ほどお話がございましたが、非常に二十一秒程度でおかしいじゃないかというお話でございますが、これは、お手元に差し上げました資料にも関連するのでございますが、これは何と申しますか、飛行機滑走路に到着いたしまして、誘導路のちょうど入口にぴたっと偶然とまった。すぐに誘導路に入ってしまいますれば、滑走路はあくわけでございまして、これはもう、それが確認できれば、五秒でも十秒でも、あいておれば、出せるわけでございます。
  50. 江藤智

    江藤智君 途中で言うようですが、あなたが、そういう説明をされるのが、こういう保安というものに対しての認識が不足なんですよ。実際、必ずある余裕というものが、絶対必要なんです。保安というものに対しては、あいたら、とたんにすぐ出していいというものじゃありませんよ。列車の信号ごらんなさい。必ず青とダイダイと赤があって、間に一区間おいているのですよ。あなたの行き方でいったら、そのセクション通ったら、もうとたんに入ってもいい、そうすると、ダイダイでどんどん汽車を発車させるという筆法です。だから、そういう説明をするのが、あなたのこういう問題に対する認識不足なんです。何も、あなたを攻めるわけではないが、きょう申し上げることは、この問題について、私、深くきょうは入りませんが、この研究された結果、とりあえずの処置は、どういう処置をとった、それから根本的な処置は、こういうふうにとったのだというふうに、まず事故原因と、その対策について、もっとはっきり系統立った一つ資料を作って御提出願いたい。きょうは私は、この程度にいたしておきます。
  51. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。    〔速記中止
  52. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。
  53. 大倉精一

    大倉精一君 関連して、ちょっとお尋ねしたいのですけれども管制官がいる塔の中から、全日空機ですか、飛行機に対する視界は、どうでしたですか、よく見えたような状態だったか、見にくかったというような状態ですか、明かるさ。
  54. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) 見ることは、可能でございます、見えます。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 私、資料を出してもらって、そして現地を見てきて、その上で、質疑一つ重ねることにしたいと思うのですが、ただ一点だけ、今までの報告で気がついたことは、きわめて短い間隔をおいただけで、この指令が出ておるということ、先ほども江藤委員からも指摘されたのですが、そうすると、従来の管制官の扱いが、そういう扱いをしておったのだという印象を私は受けたのですが、そうなんでしょうか。
  56. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは、飛行場の効率的な運営から申しますれば、先ほど江藤先生の御注意もございましたけれども、全然、もうあき次第、どんどんという意味でもないのでございますが、安全な状況にあれば、できるだけ早く発着させるという方針で参ってきております。  ただ、あの場合に、ちょっと言いわけのようになりますが、これは、ここにございます二分間隔ということになっておりますが、これは、一時間というふうな時間をとりまして、ある程度平均的に考えた最大許容量でございまして、ここにございますように、滑走路中にありまする誘導路の数によりまして、飛行機が、滑走路から誘導路へ入る時間というものが変わって参るわけでございまして、たまたま誘導路の入口に入って、すぐに入るという場合と、ちょうど誘導路誘導路の中間にとまりまして、ある程度滑走路をのろのろ進行しまして入る場合とで、時間が変わってくるわけであります。  できるだけ安全な限度において、できるだけ早く発進させるというふうにいたしております。
  57. 大倉精一

    大倉精一君 私はね、非常に問題にしておるのは、何分間間隔ということは、これは平均であって、特に発着速度が非常に高いジェット機と、それからプロペラの飛行機と共用しておる飛行場、さらにまた、特に軍用機が圧倒的に多いという飛行基地になっておるような飛行場、こういう場合と、だいぶ違うと思うのだな。  あの当時の新聞を見ますというと、全日空機が七時二十分着陸、それから自衛隊飛行機の訓練の発進計画が七時三十分、こういう計画だったように新聞に出ておりました。そこで、全日空機の着陸が、十分間おくれたということだとすれば、それで早く自衛隊飛行機発進指示をしないと、という、こういう心理が、私はあったと思うのです。またその当時の新聞を見ますというと、自衛隊の飛行訓練は、発進時刻が、計画より十分おくれれば、これは訓練を中止することになっておるらしいのですね。これはあとから、いろいろ聞きたいと思うのですけれども、そうしますというと、十分全日空機がおくれて、そして、ぐずぐずしておるというと、もう、その訓練を中止しなければならぬ、こうなるというと、あとから非常に文句が出るらしいですね、自衛隊の方から。こういうようなところで、非常にあせって発進指示をした、こういうところに、大きな原因があり、しかも見習いであって、何の指導的な補助者もついていない、自衛隊の方からも来ているのでしょう、管制官が。そういうことで、非常にあせらされたのではないかという懸念が非常にあるのですが、あなたの方の御調査の結果、どらですか、その辺の状況は。
  58. 亀山忠直

    説明員亀山忠直君) 管制官の話によりますと、そういう心理状態もございましたそうです。これはやはりジェットが、さっきのお話通り長いこと地上で停留すると、燃料の消費が多くなる、従って自己の飛行時間が短縮されまして、所期の飛行の目的が十分果たされないということは、常時言われておりまして、やはり、できるだけ早く発進させようという気持であったことは、管制官が述べております。
  59. 大倉精一

    大倉精一君 これはやはり、そういう共用の問題と、それからまた大蔵省あたりの認識不足による予算の問題があると思うのです。ですから今度、こまかに飛行場を見てきたら、防衛庁、大蔵省も呼んで、この点を追及しないというと、大蔵省は、さっぱり自分の責任でないという格好で、あぐらをかいて、ほっかぶりしておりますけれども、これは、大きな責任になると思うのです。ですから、ぜひ今度大蔵省も呼んでもらいたい。
  60. 中村順造

    ○中村順造君 私は、先ほど来いろいろ質疑を承っておりまして、さらに明後日は、本委員会から調査に行かれるということでありまして、具体的な内容については、調査の結果、先ほど小酒井委員からお話がございましたように、また重ねて質疑が行なわれると思います。  従って、その中で、事故のほんとうの原因というものが判明すると、このように考えておりますが、私どもが、非常に常識的に考えます場合には、交通事故というのは、この事故につきましても、新聞、それから今の質疑等を基礎にして考えますと、やはり三つ原因があるように考えられるのです。  一つは、管制官責任ということもありますが、さらに、この定時に飛行機の運航が行なわれておらなかったのではないか、何らかの事情で、時間的に若干の狂いができて、汽車でいう定時運転ということができなかったこともこれは一つの大きな原因だと。それから非常に重大な原因は、何といっても、最終的に衝突をした側の、いわゆる防衛庁パイロット責任というものは、きわめて重大だと思う、これはまた後刻調査の結果、そのことが判明しまするならば、本委員会で、また関係者を呼んで調査をするということも残された手段としてはあると思いますが、私は非常に心配しておるのは、管制官の側の立場から考えてみまして、新聞紙上なんかで見ますと、見習いで、まだ若い前途有望な方だということが書かれておりましたが、管制官の現在の実情も承りたいのですが、大体、どのくらいの経験年数なり訓練を積まれておったのか、それから待遇等の関係は、この管制官、この人の場合の待遇等の問題は、どうなっておったのか、承りたいと思います。
  61. 辻章男

    政府委員辻章男君) 当時、あの飛行機に、担当いたしておりました管制官は、運輸省で採用いたしまして、六ヵ月の研修を終えまして、それから管制本部の方で、十一ヵ月の勤務をいたしまして、それから名古屋に着任いたしまして三月たったばかりの者でございます。
  62. 中村順造

    ○中村順造君 待遇の問題は、どうですか。
  63. 辻章男

    政府委員辻章男君) なお、待遇の点は約一万円を少しこえる程度の給与であります。
  64. 中村順造

    ○中村順造君 経験は、正規の一つの研修の時日を重ねておるということで、問題がないと思いますが、私は、こういう重大な仕事を担当しておる人が、一万円程度だという待遇、これは、まあ非常に、たとえば汽車のような、レールの上を走るものでも、信号を扱うということは非常に大事な仕事でありまして、私どもの常識では考えられないわけなんですが、一万円程度だということになりますと、年は、どのくらいか知りませんけれども、ましてや、生活環境なんかもはかり知られるわけなんです。少なくとも、こういう重要な仕事をする年配になって一万円程度で、それで、りっぱな生活環境が保たれるとは、常識で考えられないわけです。重要な仕事をすればするだけ、生活環境は、なるべく整えてやるということが、きわめて重要なことだと思います。自動車はさておきまして、汽車なんかのようにレールの上を走るものを対象に考えた場合でも、やはり重要な場合には、それなりに、十分満たすというわけにはいかないにしても、それなりの配慮が加えられておるわけです。  国鉄においても、そのようなことは、若干考えられておるわけですが、この点は、当局としてどのように考えておられるのか、一万円前後で、その程度でやむを得ない。それからまた、どうしても、この問題は解決できない、他からの監督作用があって、できない。こういう実情かどうか、一つ承りたいと思う。
  65. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは、従来私どもの念願としましては、こういう管制官という非常な特殊な業務でございますので、何と申しますか、特別の職種を作っていただいて、また待遇等につきましても、一般公務員の俸給表とは切り離しました別個の優遇した俸給表を適用してもらいたいということで、実は二年間くらい人事院なり財務当局等とも折衝を重ねたのでございますが、私どもの微力のせいもございまして、やはり一般の公務員との均衡の問題があるというふうなことで、実は、現在は航空交通管制本部と、それから東京、名古屋、大阪、この飛行場で、非常に忙しい飛行場管制本部などにつきまして、管制官手当という特別の手当支給が認められておるのが現状でございます。  先ほども対策で申し上げましたように、私どもとしましては、今回の事故にかんがみまして、管制官技能向上と待遇改善の問題につきまして、なお関係の方と折衝して、向上をはかっていきたい、かように考えております。
  66. 中村順造

    ○中村順造君 まあ、いろいろな実情で、やむを得ない、こういうお話でございますが、私は先般、当委員会からジョンソン基地ですか、アメリカから譲渡になりました管制設備、あるいはその他のものを、担当議員と一緒に視察に参りました。内面については、私はしろうとでありますから、よくわかりませんけれども、労働条件の立場から考えますと、非常に労働条件が悪い。何か、穴ぐらの地下室のようなところで、しかも何か、アメリカの兵隊と一緒に仕事をしておるというようなことで、非常に気分的にも私自身が、やはりあまりいい気分がしなかった。その中で、同じような仕事を外国人とともに、これは、アメリカ人に限らないわけですが、外国人としなければならない。しかも労働条件たるや、まことに悪い。気分的にも、実際問題として健康の保持ということからいたしましても、あのような状態で、タワーの場合は、若干その面は異なると思いますけれども、そういう労働条件の中で働き、しかも給与については一万円そこそこ、こういう問題もあろうと思います。  従って、生活環境も十分整わないということで、やはり非常に大切な仕事をしておる、責任のある仕事をしておる、願わくは、経験年数も積み、さらに十分な、その道の一つの権威者になって、そういう大事な仕事をしていくということが、私どもとしては望ましいわけなんです。  しかし、今これは見習いでありますから、たまたま六ヵ月、十一ヵ月、三ヵ月、こういうふうな経過をたどっておるわけでありますけれども、それでなくしても、やはりああいう労働条件なり、ああいう待遇、しかも、どこからつれてきてもよろしいというふうな、内容のものではないということから、どうしても、私どもが望んでおるような条件の人を得ることができないのではないか。今航空局長は、いろいろな問題があって、やむを得ない、こういうことでありますけれども、まあ、労働条件については、若干やむを得ない面も、それは仕事の性質上あるかもしれませんけれども、少なくとも待遇の面においては、安心して長くその道に勤めることができる、こういう配慮が私はなされなければならぬと思う。ただ一たんの失策を責めて、お前は、錯覚によって、いろいろな間違った指令を出した、こういうことを言うのは、比較的容易だと思う。人の落度をとらえてとやかく言うのですから、容易だと思いますけれども、抜本的な問題は、将来の問題として、どういうふうに考えるか、こういうことを、ある週刊誌に出ておりましたけれども管制官の、管制官の側から見た多くの不満が述べられております。これを読みまして、ずっと視察に参りまして、私も、なるほどと同じ感じを持ったわけでありますが、こういう点について一つ、どういうふうにお考えになっておるか。それから、もう一つだけ、これは、事故を起こしたという人間の心理的な面を心配するわけでありますが、当時の直接の管制官は、今どういうふうな実情にあるのか、その点を一つ、あわせて二点だけお尋ねいたしますので、お答え願いたい。
  67. 辻章男

    政府委員辻章男君) 管制官の待遇の問題、技能の向上につきましては、私ども、なお改善に努力いたしたいと思っております。  それから特に管制本部の、執務しておりまするところが、地下室でございまして、非常に環境も恵まれないということは、まさにその通りでございまして、この点につきましても、何とか別個のところで、地上の、一般の執務できるような、快的とまでは言えなくても、少くとも通常の事務室のようなところに、早急に移転を考えたい、かように考えております。  それから事故を起こしました村手管制官のその後でございますが、釈放になりましてから、非常に落ち着きも取り戻しまして、また非常に本人責任感の強い方でございまして、遺族のところ、あるいは負傷者等を見舞って、今現在、静養中でございます。
  68. 中村順造

    ○中村順造君 それでは私、最後に要望なんですが、今申しましたような観点から、抜本的な管制官の将来の問題、あるいはいろいろ需給の関係もあろうと思いますから、それらの面も十分考慮して、管制官の待遇の改善あるいは労働条件を整える、こういうことには、格段の一つ御配慮をいただきたいと思います。  それから、事故を起こした当事者である管制官につきましては、これは、私は非布に、先ほど申しましたように、官制官の失策だけで起きた事故ではないというふうに判断をいたします。従いまして、基本的に、その人が管制官としてのいわゆる適格性と申しますか、適性に欠けておるということなら別でありますけれども、一たんの事故ということを、ややもすると交通事故というのは、重大な事故を起こした者は、再び犯さないというのが、大体その人の経験になるわけでありますから、私は、このことによって、本人の将来がきわめて不利になるということのないように、一つ要望いたします。
  69. 大倉精一

    大倉精一君 参考のために、関連して聞きたいのですけれども自衛隊管制官と、運輸省の方の管制官との給与、待遇は、どういう工合になっておるか、おの比較表がありますか。あったら参考のために出してもらいたいと思います。
  70. 辻章男

    政府委員辻章男君) 今手元にその資料がございませんが、調べまして、資料として提出させていただきたいと思います。
  71. 大倉精一

    大倉精一君 それは一つ、あさってまでにぜひお願いしたいと思います。  それから、この前の委員会のときに、私の質問に対して運輸大臣がこういう答弁をしておられます。すなわち「次官を長とする対策委員会等を作りまして、こういう事故を絶滅するための根本的な施策を検討して参りたいと思うのでございます。」こういう答弁がありましたが、この答弁に対して、どういうように今進んでおりますか。次官を長とするもので根本的な施策を考えたい、こういうことを言っておりますが。
  72. 辻章男

    政府委員辻章男君) その点につきましては、大体五項目につきまして、今われわれの方で検討いたしております。  その第一が管制組織の現行のやり方にとらわれずに、各国のやっておりますようなものを根本的に調べまして、理想的なわが国に適した管制組織を考えてみるというのが第一点でございます。第二点が管制の現行の、現状の組織のもとにおきまする管制の運用の改善の問題でございまして、これは管制官の配置でございますとか、あるいは交代制度の問題でございますとか、そういうようなものにつきまして検討する点でございます。それから第三番目が管制官の待遇及び技能向上の問題でございます。それから第四点が防衛庁との飛行場共同使用というものが、やはり現実問題としては、今直ちにやめるわけには参りませんが、この場合に、どういうふうにして円滑に事故を起こさないでやっていくかという点を再検討しようということになっております。第五番目が管制の機械的な施設、それからこの際、航行援助施設、これは航空路等におきます無線施設等の問題でございますが、それらの管制及び航行の援助施設の整備の点を取り上げたい。  この中には、実は先ほどお話がございましたような入間川の管制本部の問題も、あれは施設といたしましては、通信施設が圧倒的に多いのでございます。これらを管制本部の移転の問題も含めまして、管制施設及び航行援助施設の整備の問題ということで、今事務的に、いろいろ検討しておる段階でございます。
  73. 大倉精一

    大倉精一君 今の報告は、検討中であるか、あるいはその問題のある部分は、すでに結論が出て、関係各省と折衝に入っておられるのか、どういう段階にあるのですか。
  74. 辻章男

    政府委員辻章男君) まだ、私どもの方で検討段階でございまして、各省との折衝には、入る段階には至っておりません。
  75. 大倉精一

    大倉精一君 それは、早くやらなければいかぬと思うのですけれども、いつごろ各省との折衝の段階に入っていくのですか。
  76. 辻章男

    政府委員辻章男君) 今、日時をお約束する段階に至っておりませんが、私どもといたしましては、できるだけ早い機会に、成案を得たものから、逐次各省との折衝に入りたい、かように考えております。
  77. 大倉精一

    大倉精一君 これは、あまりむずかしい問題でなくて、検討と言ったって、そんなに長く検討する必要もないような問題ですから、早く成案を得て、各省と折衝をするように要望したいと思います。  それから、もう一点最後に、今度の資料の中に、「名古屋空港に於ける事故に鑑み航空輸送安全確保に関する要望書」というものが名古屋空港協議会から出ております。さらにまた同じく愛知県議会の議長の橋本繁蔵さんからも来ておりますが、これは運輸省も、ごらんになっておりますか。ごらんになっておったら、これに対する所見を一つ伺っておきたいと思います。
  78. 辻章男

    政府委員辻章男君) 拝見いたしておりますが、その所見でございますが、できるだけ御要望に沿うように検討したいと思っておりますが、今なお、結論は得ておりませんので、検討いたしまして、また結論を申し上げたいと思います。
  79. 大倉精一

    大倉精一君 これは、よほど真剣な要望だと思いますので、当然今度の視察の場合にも、こういう陳情書、要望書があると思います。従って、なるべく早い機会に、この要望に対する当局の見解あるいは措置というものについて、報告ができるように、措置をしてもらうように要望しておきます。
  80. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 この機会に、二、三ちょっと局長にお尋ねしておきたいと思います。  事故原因、理由、それらにつきましては、いずれ二日か三日のうちに、現地調査によって、大体の答えが出るということで、一応われわれは、本日はこれで了解いたしておきますが、根本問題といたしまして、今度の事故が起きたということにつきましては、われわれの考えでは、何といっても、わが国におきましては、航空事業というものは陸運交通——鉄道あるいは自動車と比較いたしますと、非常に立ちおくれであり、非常に歴史も浅いというような関係が、今日必ずしも事故原因をなしているということは言えぬのであります。  いわゆるその歴史を考えるときには、今後これらを管制の面におきましても、あるいはさっきの五項目の中の一つ一つ、あるいはその他の問題につきましても、相当法的に改正をしなければならぬ。そうして、再びこういう災害を起こさないような一つの固い信念、考えを持ってもらいたいと、かように希望するものでありますが、今のところでは、何かしらぬ自衛隊あるいは運輸省というような関係、もう一つは、被害者に対する見舞金といいますか、弔慰金といいますか、何かしらん、そこに人情的に見舞金や弔慰金もできるだけ少ない方がいい、あるいはまた、運輸省と自衛隊との関係から見るというと、できるだけ自衛隊の方へ転嫁した方が楽だというような、いわゆる縄張り根性でもって、この問題を検討し、またその原因を究明するというようなことがあっては、はなはだ遺憾なことである、こういうふうに考えるものでございますが、今日までの調査、あるいはそれらにつきまして、局長はどういうようなお考えで、こういう点の調査に当たっておられるか、御心境をお漏らし願いたいと思います。
  81. 辻章男

    政府委員辻章男君) 今おっしゃいます通り、私ども交通事故原因を究明いたしまして、今後の事故の予防に役立たせるようにすべき使命を持っている局でございますので、たまたま今回の事件につきましては、私どもの監督下にあります管制官誤認というものが、大きな一つ事故の要素になっていることにつきましては、深く責任を痛感している次第でございます。  ただ私どもが、管制官のそういう点がございましても、それを情においては、忍びがたい点もあるのでございますけれども、今後の事故の予防をするという見地から、そういう情を、ある程度離れまして、厳密に、厳正に事故原因を探究して参りたい。防衛庁と私どもの方と、原因のなすり合いをするというような、そういう態度をとろうとは毛頭考えておりません。
  82. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 それでは、重ねてお尋ねいたしますが、私のお尋ねいたしたいところは、先刻、大倉委員からも、できるだけ早く、こういうものは訂正するものはせいという御質問があったが、これと、私も同感でありますが、これはやはり、訂正するということは、法の改正によって、これは訂正するというような以外は、方法がないと思うがいかがでしょうか。
  83. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは、いろいろ今検討いたしておりますもので、法律の改正に関連するものもございます。  たとえば先ほど、第一点で申し上げましたような管制組織の問題等の検討いかんによりましては、これは、運輸省の設置法なりその他の法令の改正を待たなければ実現できないものもあるのでございますが、しかし、管制の運用の改善等の問題につきましては、法律の改正を待たずして、できるものも多々あるわけでございまして、法律改正を要するものは、法律改正をいたさなければなりませんし、また予算の要るものは、予算をつけなければならぬわけでございますが、これらは、いろいろ入りまじっておるのでございますが、まあ大多数のものは、法律の改正までやらなくても、省令等の改正、あるいは予算等の増額等によりまして、実施できるのではないかと、かように考えております。
  84. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 それでは、その点は大体わかりましたが、最後に、もう一つお尋ねしたいのは、やはり見舞金、弔慰金の問題なんですが、先刻局長から、できるだけ一つ手厚い見舞金なり弔慰金を差し上げたいというお気持は、十分われわれは了解できるのでありますが、大体今のところで、今日までのかような事故の発生の場合のものと比較いたしまして、今度の犠牲者に対しては、大体どのくらいのう慰金とか見舞金というものが、差し上げていいというような限界というものは、どういう点にありましょうか。多少御検討しておられますか、どうですか。
  85. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは先ほども、ちょっと申し上げたのでございますが、国が、こういう場合に弔慰金を差し上げるという前例が、非常にないものでございますので、私どもも、非常に苦慮しておるのでございますが、まあこれは、国鉄と運輸省とは多少組織が違っておるのでございますが、まあ洞爺丸等のときの例を一応頭に置きまして、いろいろ検討しておりますが、まだ、これは最終的には結論を得ておりませんが、洞爺丸程度までは、少しいきにくいんじゃないかというふうな今空気でございます。
  86. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 洞爺丸の、あの当時の遭難状況と、今度の飛行機の災害というものとを比較すると、どういう点が、洞爺丸と比較いたしまして、あれの程度までは支給できない、差し上げられないという理由は、どういうところにあるのですか。
  87. 辻章男

    政府委員辻章男君) これは洞爺丸の際には、実は弔慰その他の点につきましては、まあ国鉄以外には、どこも一応、個人的なものは別にしまして、なかったのでございますが、このたびは、これは全日本空輸株式会社の乗客でございまして、全日本空輸としては、今のところあの事故に関しまして、全然責任はないと思うのでございますが、非常に手厚い弔慰方法を講じていただいております。  まあ、こういう際に、法律論を持ち出しまして恐縮なんでございますけれども、これは、洞爺丸の際も同様でございますけれども、あの弔慰金を出しました際には、国鉄は、あの問題については、国鉄の責任ではないという態度をとっておりまして、ただ、責任があるから出すのではなしに、一応弔慰の形で差し上げる、もし将来、国鉄に責任ありということできまった際には、賠償金の内金としてお認め願いたいということを申し上げ、皆御了承を得て出しておった次第でございます。今度国が出します場合にも、やはり国の責任が確定した場合には、その賠償金の内払いという形で、おおさめ願いたいということにいたしたいという政府の意向でございます。それ以外に、全日空の方からとりあえず弔慰のことで、相当の金銭が出ておりまして、これが国に賠償を請求されるという法律的な可能性もありますので、それらをにらみ合わせまして、国としてはある程度考えませんと、金額がきまらないわけであります。そういう点で、少し洞爺丸のときと、事情が違うような気がいたします。
  88. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 大体の御説明はわかりましたが、最後まで、こういうようなお気の毒な御家族に対しては、誠心誠意、全日空との交渉の衝に当たって、何か一つ、そこにうまい関連をもって、できるだけ弔慰あるいはお見舞を申し上げる、こいうことに手配をしてもらいたい、かようにわれわれは考えておるわけでございますが、この表で見ますと、名古屋が五万一千九百という回数になっておりますね。これは大体数字から見て、われわれのしろうとが考えても、まず、ここに大きな問題が一つあるのじゃないか、かように考えるのであります。  未だ原因その他については詳細調査中ということで、その点は了解できますが、かような数字から見た場合に、一つの大きな理由、原因というものは、これは、しろうとから考えても、割合に判然としておる。こういうものに対しては、最後まで原因、理由が究明できなくても、答えが出なくても、順次、時間的に早く解決して、緩和するなり、あるいはそれぞれコントロールする、そうして事故原因を、一つでもなくするということにお考え願えませんか。この点、一つお尋ねいたします。
  89. 辻章男

    政府委員辻章男君) こういう共用飛行場におきまする軍用機の離着陸の回数につきましても、先ほど申し上げましたが、飛行場防衛庁共同使用する際の検討項目に加えまして検討していきたい、かように考えております。
  90. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。    〔速記中止
  91. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。  それでは、先刻御注文のありました資料を御提出を願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十二分散会