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1960-04-05 第34回国会 参議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月五日(火曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君            小酒井義男君    委員            佐野  廣君            鳥畠徳次郎君            三木與吉郎君            相沢 重明君            中村 順造君            松浦 清一君            加賀山之雄君   政府委員    運輸政務次官  前田  郁君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省航空局長 辻  章男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○航空法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査) ○臨時船舶建造調整法の一部を改正す  る法律案内閣提出)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより委員会を開会いたします。  まず、委員派遣についてお諮りいたします。  ただいま本委員会審査中の航空法の一部を改正する法律案に関連し、名古屋空港使用状況及び管制状況について調査するため、委員派遣を行ないたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、派遣の日時、人選等につきましては、委員長に御一任願います。   —————————————
  4. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、航空法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案補足説明を願います。
  5. 辻章男

    政府委員辻章男君) 航空法の一部を改正する法律案補足説明を申し上げます。  航空法の一部を改正する法律案提案理由及び主要な改正点につきましては、さきに大臣から説明いたしましたが、私から若干補足いたしまして、順を追って説明させていただきます。なお、条文整理のための規定等の簡単なものについては、説明を省略させていただきます。  まず、第二条の定義関係改正てありますが、第一に進入表正面転移表面及び水平表面に関し、ヘリポート特例を設け、またこれらの表面の最大限を法律上明定する等、飛行場周辺安全表面こ関する規定整備し、第二にジェット機等高速大型機の就航に備え、航空路の上空以外の空域にも航空交通管制区を指定することができることとし、また公共用飛行場以外の飛行場についても航空交通管制圏を指定することができることとするため、航空交通管制空域に関する規定改正し、第三に、航空機飛行方法に関する規制を明確化するため、計器飛行方式に関する定義を設け、第四に、新たに免許事業とする利用航空運送事業定義を設ける等の改正をしようとするものであります。  第十六条及び第十七条の改正は、運輸大臣が行なら航空機及びその装備品修理または改造検査に関し、運輸大臣がその能力を認定いたしました事業場において、当該修理または改造を行なった場合には、検査を省略することにより、航空機安全性検査合理化をはかるための規定であります。  第十九条の改正は、従来航空整備士が行なっていた航空機整備確認につきまして、外国においては、航空整備士以外の一定の資格を有する技術者確認をすれば足りることとし、制度の合理化をはかったものであります。  次に、第四十九条及び第五十条の改正規定でありますが、これは、飛行場周辺における物件制限に関する改正でございまして、まず、現行法におきましては、飛行場周辺における物件設置制限は、飛行場進入表面または転移表面の上に出る物件に限られているのでありますが、最近における著しい航空交通の発展にかんがみ、今後は、水平表面の上に出る物件につきましても同様に物件設置制限をいたしまして、航空機離陸及び着陸の安全の確保をはかった次第であります。  第五十一条の改正は、航空障害燈に関する改正でございまして、航空の安全を確保するため、地表または水面から六十メートル以上の高さの物件設置者に対し、航空障害燈設置義務を課すこととする等、所要改正をいたした次第であります。  第五十一条の二の規定は、昼間障害標識に関する規定新設したものでありまして、昼間において航空機から識別することが困難であると認められる煙突、鉄塔等につきましては、航空障害燈設置の場合に準じて、昼間障害標識設置義務に関する規定を置いて、航空の安全をはかったものであります。  次に、改正案の第五十六条の二から第五十六条の四までの規定は、第一種空港等における安全表面特例に関する新設規定でありまして、運輸大臣は、第一種空港及び政令で定める第二種空港について、計器着陸装置による航空機精密進入の安全の確保及び高速大型機離陸または着陸のために必要な飛行の経路の確保をはかるため、延長進入表面円錐表面または外側水平表面を指定することができることといたしますとともに、これらの表面につきましてその表面の上に出る物件設置制限することといたした次第であります。  第五十八条及び第五十九条の改正規定は、航空日誌等航空機に備えつけるべき書類について所要改正を加えたものであります。  第六十条の改正は、無線設備設置しなければ飛行してはならない空域について、所要改正を行なったものであります。  第六十六条第一項の表の改正は、航空士を乗り組ませる義務に関し、規制合理化をはかったものであります。  第七十六条の改正は、航空機の機長の報告義務に関する規定整備いたしたものであります。  第七十九条の改正は、飛行場以外の場所における離着陸に関する規定改正でありまして、現行法では航空機飛行場以外の場所での離着陸は、やむを得ない事由がある場合に限られているのでありますが、航空の安全さえ確保されれば、必ずしもやむを得ない事由の有無を問う必要がないので、この要件を削ることといたしました。  次に、改正案の第八十一条の二の規定は、捜索または救助のための飛行に関し、特例を定めて、航空機捜索活動または救助活動を迅速に行ない得るよう措置したものであります。  改正案の第八十六条の二の規定は、爆発物輸送禁止に関する政正でありまして、現在爆発物禁止につきましては、第八十六条におきまして、その航空機による輸送禁止及びその航空機内への持ち込み禁止が法定されているのでありますが、最近におけるダイナマイト等航空機内への持ち込み事故の発生にかんがみ、航空運送事業者に、危険物の疑いある物件航空機から取りおろす権限を与えますとともに、さらに、運輸大臣において航空運送事業者に対し、これらの措置を講ずべきことを命ずることができることとして、航空の安全に万全を期した次第であります。  第九十一条の改正は、七千三百メートル以上の高さの空域において、従来飛行視程が五千メートル以上あれば曲技飛行を行なってもよかったのでありますが、これを八千メートルなければならないこととして、高速航空機航行の安全をはかったのであります。  改正案の第九十四条の二は、計器飛行方式に関する規定新設でございまして、まず航空機は、計器気象状態において飛行する場合は、計器飛行方式により飛行しなければならないことといたしますとともに、航空交通管制区または航空交通管制圏のうち、ジェット機等高速航空機が常時飛行する高度の空域等運輸大臣告示で指定する空域飛行する場合には、計器飛行方式により飛行しなければならないことといたしまして、航空の安全の確保をはかった次第であります。  第九十六条の改正は、飛行場内における航空交通管制に関する改正でありまして、飛行場内で飛行場工事等業務に従事する者は、その業務に関し、運輸大臣当該飛行場における航空交通の安全のために与える指示に従わなければならないこととして、飛行場内における衝突事故の防止をはかった次第であります。  第百一条の改正は、航空運送事業者免許基準に弱する女王でもりまして、従前規定に若干不備があったものを補いますとともに、利用航空運送事業を新たに規制いたしますために条文整理いたしました。  次に、第百二十二条の二の規定を新たに設けまして、利用航空運送事業経営しようとする者は、運輸大臣免許を受けなければならないこととし、航空貨物運送秩序確保することといたした次第であります。  なお、利用航空運送事業者運賃料金約款等につきましては、次の第百二十二条の三において定期航空運送事業者に対する規定を準用することにより、ほぼこれと同様の規制を加えることといたしました。  第百二十六条第一項の改正は、外国航空機航行に関する規定改正でありまして、従来の本条がイカオ加盟国不定期民間航空機の入出国航空権を認めた国際民間航空条約と幾分食い違いがあるように誤読されやすかったので、趣旨を明確化するために条文を書き改めるものであります。  次に、改正案の第百三十一条の二の規定は、外国人国際利用航空運送事業に関する新設規定でありまして、外国人利用航空運送事業を行なう場合、運輸大臣許可を要する旨を規定いたしますとともに、その運賃料金等に関する規制を定めたものであります。  第百三十五条の改正は、手数料に関する改正でありまして、航空機大型化に伴い、検査手数料最高限度額を引き上げるとともに、航空機または装備品修理または改造をする者の認定に関する手数料新設する等の改正をいたした次第であります。第百三十七条んお改正は、訴願に関する従来の規定が幾分明確を欠いておりますので、これを整備したものであります。  次に、第百三十七条の二の改正は、運輸大臣航空交通管制に関する権限の一部を防衛庁長官に委任するための改正でございます。  すなわち、従来、自衛隊飛行場については、航空法規定による航空交通管制は行なわれておらず、自衛隊において自主的に交通整理を行なっていたのでありますが、最近における航空交通輻輳事情にかんがみ、運輸大臣においてこれらの飛行場に対しても管制圏を指定することができることとするとともに、これらの飛行場に関する管制事務防衛庁長官が行なう場合には、運輸大臣においてその業務の運営を統制することといたしまして、航空交通管制一元的運用をはかった次第であります。  第百四十三条から第百六十条までの改正規定は、今次航空法改正に伴う罰則整備をはかったものであります。  次に、別表の改正は、最近における航空事情に照らしまして、事業用操縦士業務範囲を適正化したものであります。  最後に、附則でございますが、その第二条及び第三条は、本則の改正によりヘリポート安全表面に変更が生じたこと及び航空交通管制圏が指定されるべき飛行場が、公共用飛行場から運輸大臣告示で指定する飛行場に改まったことによります、いわば立法技術的な経過規定であります。  その第四条は、水平表面に関する経過規定でございまして、第四十九条第一項の改正により、水平表面の上に出る物件についても、進入表面または転移表面の上に出る物件と同様に、その設置禁止されることになりましたが、この法律施行の際、現に存する物件につきましては、法不遡及の原則から、改正後の第四十九条第一項の規定は、これを適用せず、もし、これらの物件航行の安全を阻害するときは、運輸大臣においてこれを補償の上、その除去を求めることができることとしたのであります。  その第五条は、航空障害燈に関する経過規定でありまして、地表または水面からの高さが六十メートル以上の物件は、新法第五十一条第一項及び第五十一条の二第一項の改正規定により、当該物件設置者において航空障害燈または昼間障害標識設置しなければならないこととなったのでありますが、この法律施行の際、現に存する物件につきましては、前条について述べたと同様の趣旨からこれらの規定を適用しないことといたしました。  次に、その第六条は、利用航空運送事業に関する経過規定でありまして、この法律施行の際、現に利用航空運送事業経営している者は、この法律施行後三ヵ月間に限り、免許または許可を受けないでも、なお従前通りその事業経営することができることとしたのであります。  第七条は、罰則経過規定に関する例文的規定であります。  最後に、第八条は、本法施行に伴い運輸省設置法の一部に所要改正を加えるものであります。  なお、この法律施行期日は、六月一日を予定いたしております。  以上簡単ではありますが、この法律案につきまして補足して説明を申し、上げましたが、何とぞよろしく御審議下さいますようお願い申し上げます。
  6. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 本案に対する質疑は次回に譲ります。   —————————————
  7. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 天埜良吉

    天埜良吉君 この法律有効期限はまだ昭和三十六年三月三十一日まであるのに、今これを延長したいということの理由は、ここに書いてありますように、「造船の場合におきましては、着工の数ヵ月以前に契約が締結されるのが通例」、こういうことになっていますが、どのくらい前のが多いのですか、その辺のところを一つお伺いしたい。
  9. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) その期間については、いろいろの場合がございますけれども、平均いたしますと大体半年くらいの場合が多うございます。と申しますのは、着工までに期間関係が、特に事前工事期間を要しますので、普通半年くらい大体かかっているようなことになりますので、普通の場合、今申しましたように半年ぐらいで着工する場合が多うございます。しかし、いろいろの場合がございます。
  10. 小酒井義男

    小酒井義男君 この法律が、これで現行法のままで消滅してしまうということになると、どういう問題が出てくるか、そういう点を少し説明していただきたい。
  11. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 過去の一例を申し上げますと、十分な建造能力を持たない造船所、つまり技術的にも、あるいは施設的にも十分な体制のない造船所が、外国船注文を取りまして、それも実は取ったか取らぬか、最後には明瞭でなかったのでございますが、そうして建造許可正式申請じゃございませんが、申請するというふうな非公式な申し入れをして、拒否をされたことがございます。そんなようなことは国際信義的にもいろいろ問題がございますし、輸出船なんかの場合に、そういうふうな十分な技術を持たない造船所が、外国事情を知らないことに事寄せて注文を取り、そして日本造船の価値を低下せしめるというようなケースがあるように思います。  それから国内船につきましては、現在財政投資をやって、わが国海運の再建にいろいろ努力をしている過程におきまして、船舶の非常に過剰なところへ向かって船を作るというような計画がないとは保証できないと思います。そのほか船質改善という観点からいろいろ問題になる。とにかく、船でさえあればいいというような建造が全然ないとは保証できないと思いますので、そういうような事態が起こり得る可能性があると思います。
  12. 中村順造

    中村順造君 この法律によりまして、今の日本造船——この前の委員会でも私ちょっと申し上げましたが、造船能力造船技術、こういうふうなものを一つ制限と申しますか、規制を加えるような形にはならないか。運輸大臣許可ということで、それらのものに自動的に規制をするというふうな形にはならないものかどうか。
  13. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) この法律自体では、御指摘のような技術の問題、施設の問題に規制を加えるというようなことはできないと考えております。また、あり得ないと思っております。
  14. 中村順造

    中村順造君 いや、今、小酒井委員の質問で、やはり運輸大臣許可によって、無制限と申しますかね、内容によってと、こういうような答弁がされておるわけですが、その基準というものがあるわけですか。
  15. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 不許可になし得る場合の基準を、海運造船合理化審議会の答申に基づきましてきめるように法律でなっておりますが、それの基準告示で出ております。四項目規定してございます。
  16. 中村順造

    中村順造君 それで実際問題として、この法律の適用によってやはり不許可になった実例がたくさんあるわけですか。
  17. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 実際問題としては、この法律で不許可になった実例はございません。さっき申しましたように、そういう計画がありましても、事前に、この法律のある関係で、途中でやめてしまうというようなケースはございましたが、実際に建造申請をして不許可にしたという例はございません。
  18. 中村順造

    中村順造君 この法律があるために、そういうことが結局規制を受けるわけですから、申請をしない。従って法律によって自動的に規制を受ける、こういうことになるわけですか。
  19. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) さようでございます。
  20. 中村順造

    中村順造君 その四項目内容というものはどういうものですか。
  21. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 臨時船舶建造調整法第三条第二項の規定に基き、同法第二条の許可判断の基礎となる事項という告示が出ております。これは昭和二十八年十月に出ております。その一項に、「当該船舶建造によって、わが国商船隊質的低下をもたらすおそれのないこと。」、二項に、「当該船舶建造が、それを配船しようとする航海区域又は航路における船腹需給状況からみて著しく過剰となるおそれのないこと。」、第三項に、「当該船舶の種類、船型、構造及び性能が、それを配船しようとする航路及びその輸送需要の性質に適応していること。」、第四項に、「当該船舶建造によって、わが国商船隊の公正なる海外活動に著しく不利な影響を与えるおそれのないこと。」以上四項目になっております。
  22. 中村順造

    中村順造君 この今の御説明では、この四項目というのは当然考えられることで、別に法律に基づいてこうしなければならないというような問題じゃないのじゃないですか。その点はどうなのです。たとえば商船隊質的低下とか、それから船腹需給とか、構造性能の問題とか、海外活動の不利にならないとか、これは別に法律規制しなければ、間接的な規制になるのですが、しなければならないという理由があるのですか、別に。
  23. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 以上申しましたことは、当然のことと受け取れるのでありますけれども、しかし、この法律がございませんと、そういう当然のことでも押えるということは、法的にはできなくなるわけでございますので、そういう意味合いにおきまして、この法律は必要と考えられます。
  24. 中村順造

    中村順造君 私が申し上げるのは、結局、日本造船技術造船能力、これは非常に世界的に高く買われております。それで外国の方にもその輸出をするというような条件下にもあると解釈して差しつかえないわけですね、現在の日本造船能力からいいまして。それがこの法律があるために、そういうことがやはり無制限だということはいけませんけれども、それはやはりある種の規制を受ける。しかも、そこにはやはり基準という、この四つ基準が設けてありますが、この四つ基準というのは、きわめて常識的な基準で、ただ心配されるのは、そういう面に運輸大臣監督権というようなものが介入して、今度は不自然な形になって、造船界における圧迫、こういうことにはならないのかどうか、その点が心配ですが。
  25. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 御指摘のような点は、過去においてはなかったと信じておりますし、それからまた、今後におきましても、この法律があるために、日本造船事業活動阻害をなす、あるいは技術いろいろ制約を与えるというようなことは、この法律自体では、そういう目的を持っておりませんし、そういうことは、もちろん運用をされておりませんし、御心配のような御懸念はないと思います。
  26. 中村順造

    中村順造君 さっき小酒井委員に対するお答えで、いろいろ造船界に及ぼす影響というようなものも言われたわけです。たとえば発注者側の条件とか、こういうようなことが今まで説明されたわけです。こういうことを根拠にして、やはりこの法律は、端的に申しますならば、日本造船に対する一つ規制をするものか、保護するものか、こういう法律の性格を私は聞いておるわけです。
  27. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) この法律目的は、先ほども申し上げましたように財政投資をやって、わが国海運経営基盤強化をはかるということに阻害をきたすようなことを排除したいという目的でございますので、ある程度の制約といいますか、そういうことはやむを得ないと思うのでございますが、そのおもな目的といたしましては、しかし、さっき説明申し上げましたのは、一方外国受注船等で、ことに小型の船等で、造船所事情もよく知らない、そういうような能力もないところが受注をするというような商談がありとすれば、そういう点はこの法律で排除できるわけでございましてそういう意味で、その造船所についてはあるいは相当な規制になるかもしれませんけれども、全体の日本造船振興の面からやむを得ないことである、このように考えます。
  28. 中村順造

    中村順造君 今の説明では、たとえばりっぱな船を作るだけの能力のない、いわゆる造船所がその受注に応ずる、こういうことは不都合だ、こう言われるわけですね。これは私もわかります。しかし、完全に能力があって、りっぱな船を作り、かつまた、そのことを通じて国の利益になる、こういう造船所がたくさんあるわけですね。これに対する圧迫にはならないか、こういうことを心配しているわけです。
  29. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) そういう場合につきましては、この基準に示すように、当然いずれの基準にもかかるようなケースは起こりませんので、造船所に対する圧迫というようなことはないと確信しております。
  30. 中村順造

    中村順造君 私も船のことはあまり詳しくわからないわけなんですが、言われているところの、現在の日本造船界と申しますか、その状況、これに対する現在の状況なり、将来の見通しについてはどういうお考えを持っておられるのか。
  31. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 造船界の現在までは、御承知のように、ちょっと建造量の御説明を申し上げたいと思いますが、造船建造量について、起工、進水、竣工というようないろいろの段階があって、いろいろその段階によって数字が違いますので、ここでは受注量で御説明申し上げたいと思います。  昭和三十年におきましては、国内船輸出船受注量合計は二百五十九万九千トン、約二百六十万トンでございましたが、それから三十一年には二百八十万トン、三十二年には百六十九万五千トンというふうに低下をいたしまして、三十三年には百十七万二千トン、そうして三十四年度では、まだ正確な数字が出ておりませんが、八十数万トンというふうに受注が減少いたしております。それで現在は工事量といたしましては、三十五年におきましても従来の受注残がございますので、造船経営に大きな障害が起こるというようなことがなく済ませる見通しを持っておりますけれども、このように受注が次第に減ってきまして、三十五年度、三十六年度におきましては、あるいは七十万トンを合計で割るというようなことも考えられまするので、そういうことになりますと、来年度に入りますころから相当不況の様相が濃くなって参るということを心配しておるわけでございます。
  32. 中村順造

    中村順造君 今のはまあこれは受注トン数ですから、現在どうだ、こうだという議論は成り立たないと思うのです。もちろん残もありますしね。造船界不況だとか、将来どうだとか……。しかし、将来のことを言えば、明らかに現在の状態から判断をすれば、日本造船界というものは世界一な造船能力を有し、造船技術を有しておりながら非常に見通しは暗いと、こういうことは今の情勢から判断すれば言えるわけですね。
  33. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) さようでございます。
  34. 中村順造

    中村順造君 そういう中で——私が心配しておるのは、現在三十六年まで効力があるわけですが、先ほどお話がございましたようにですね、これを、さらに大幅に四十年までも延ばさなければならぬだけの条件が別にあるのかどうか。それをどうしても——これは三十六年の三月ですから、来年一ぱいあるわけですね、法律の効力は。ところがこれをさらに四十年の三月三十一日まで延長したい、こういうことになりますと、もしこれが延長されて、まあ一般的な通念とすれば、きわめて常識的な判断によって規制をされる問題であって、これは問題はないと、こういうことは言えるかもしれませんけれども、全体の日本造船界から見て、特に輸出船というふうなものも考慮に入れる場合、あるいは国内船にいたしましても、向こうたとえば四年間、五年間という長い見通しに立ってこの法律を作用させなければならぬという、その判断はどこにあるのか。
  35. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 昭和四十年までこの法律の延長をお願いしたいといいますのは、まあそのくらいまでが、財政資金による建造によって、わが国海運の再建をはからなければならない一応の目安ではないかというふうに考えられますので、国が財政資金を投入して建造を続ける限り、その大きな方針に逆行するようなものがもし起こった場合に、国はある程度の規制する権能を持っている必要があるのじゃないかというような考えから、四十年まで延長をお願いをしておるわけであります。
  36. 中村順造

    中村順造君 非常に大事をとっておられるということはわかるわけなんですが、私、今の日本の造舶界全体の情勢から判断をして、一方では非常に見通しは暗くなる。これはまあその通りあなたもお認めになったわけなんですからね、造船界の情勢から言えばですよ。しかし一方では、やはり何らかの規制的な措置のできる法律をそのまま長期にわたってまた改正をする、こういうところに多少の矛盾があるのじゃないかという点が心配されるわけなんですが、その点はどうなんですか。
  37. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 大筋から申しますと、この法律はごく常識的な基準でやっておりますので、お説の通りだと思うのでございますが、さっきも申しましたように、この法律規制しなければならないというケースは、そう数は多くないと思いますけれども、非常に少ないケースでありながらやはり規制を必要とすることが起こり得ると考えられますので、こうした規制法律をどうしても持っている必要があるように考えております。
  38. 中村順造

    中村順造君 それは、先ほどからの説明では、現行この法律があるから、だから規制をしたということは実例はないと、こういう説明でしたね。しかし、法律があることによって間接的に規制をしておるということは事実なんです。だけれども、先ほどちょっとお話がありましたように、完全な姿に立ち直るまでは、こういうお言葉もあったわけなんです。これはまあいろいろ利子補給だとかいろいろな問題と関連して、非常に大切な問題だと思いますけれども、政策的に非常に長期の見通しを立てる必要があるかどうか、ということにも問題があるわけです。そのうちに日本海運業界がどうなるのか、あるいは世界の経済の動向がどうなるのか、こういう問題とこの造船というのは非常に密接な関連があるわけなんです。ただ、そういうことははっきりわかるわけなんですけれども、しかしその中で一つだけ、今の日本造船界の現状でいえば将来は非常に暗いということは、これはまた事実なんです。現在の時点においては。しかも造船を間接的ではあるけれども、規制する法律が、これまた長期に改正をするというところに私はちょっとわからんところがあるわけなんです。もう少し具体的に、一つは世界の経済の動向あるいは今の海運業界の将来の見通し、それから造船界におけるところの見通し、それらと関連をして、この法律を四ヵ年、五ヵ年という長期にわたって一挙に改正をしておかなければならぬという考えの、根本的な点を一つもう少し具体的に御説明願いたい。
  39. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 海運の再建の計画ということになりますと、ここで数字的に御説明をする準備をただいましておりませんけれども、利子補給の点等から考えまして、少なくも五年くらいはできるだけの財政資金を投入して建造計画を続けなければならぬというふうに考えられますので、それで、さっきも申しましたように、その期間はこうした規制の必要があるというふうに考えておるのでございます。
  40. 中村順造

    中村順造君 専門家が来られたようですから、私も長くあれなんですが、ただ私が言わんとするのは、この前、利子補給のときいろいろ議論がされましたように、やはり日本の国としては世界経済の中で、日本海運業界においても非常に隆盛をきわめる——遠く海外に飛躍をしていく。もう一つは、それに並行して、やはり日本はあまり外国から船を買っておるとは考えられないのですけれども、先ほど来申し上げましたように、日本造船能力造船技術というものは世界一だと評価がされている。これだけのものを持っておりながら、しかも日本海運は、政策の貧困とかこういうことは抜きにして、やはり現状、海運界は困っておる、われわれの期待に反して。しかも能力技術を有しておる造船業界も将来の見通しは非常に暗い。これでは国民の期待に反するし、また国の利益にもならない。海運業界はあげて非常に隆盛になるし、さらにそれに並行して日本造船界も非常に将来が明るいということをわれわれは期待しておるわけです。私はこの法律内容というものを詳しくここでとやかく申し上げませんけれども、いずれにしてもきわめて常識的なものではあるけれども、この法律があることによって何らかの造船業界は規制を受けるような感じがするわけなんです。さらにそれをここで一挙に四年、五年という長期にわたって改正しなければならぬ、こういうところに若干問題がありはしないかということでお尋ねしたわけなんです。そういうことでございますから、それについて、そういう心配はないのだと今ここで答弁されても、世界の経済がどうなるとか、あるいはそれに並行して海運界はどうなるとか、あるいは造船界がどうなるということは言えないと思います。しかしただ、法律上どうしてもそれだけの期間においてしなければならぬというその根拠をお尋ねしたわけなんです。
  41. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 造船所に対する制約規制という点についての御指摘と思いますけれども、これはさっきも申し上げましたように、非常に常識的な基準でやっておりますので、実際上当然の建造契約とかそういうことがこの法律でもって制約を受けるということはないのでございまして、非常に特殊な場合——さっき申しましたような、施設もろくに持っておらないというような造船所が、外国注文をとってきたというようなケースに対しては制約になりますが、全体の造船所がこれで規制を受けるとかいうようなことは、過去にもございませんでしたし、今後もそういうふうなことはないと確信いたしております。
  42. 中村順造

    中村順造君 では、最後に。結局私の認識の相違かもしれませんけれども、現在の日本の実情からいって、まあ過去、造船界が安定をしたという前提に立つなら、この法律を適用しなければならぬような造船所があるかどうか。あなたの御答弁の中を見ますと、あたかもあるような、この法律をなくすれば、そういう不都合が起こるような心配があるような御答弁なんです。結局安定した今日においては、そういうものは自然的に淘汰されておる、こういう判断をするから、非常に私の認識とあなたのお答えが違ってくるわけなんです。私は、もうすでに能力のない者が受注をして不都合を来たすというような、日本造船界にはそういうものはなのではないか。こういう考え方からお話を申し上げておるわけなんです。その点がまだ日本造船界が、私再三申し上げるように、世界一の技術を持ち能力を誇るなら、日本造船界にはそういうこの法律を適用しなければならぬような不都合はない、という判断なんですがね。あなたの御判断は、いやいやまだそこまではいっておらぬと、こういうことなんですか。
  43. 水品政雄

    政府委員水品政雄君) 日本造船界技術水準等がそういう仮定で申し上げておるわけじゃございませんが、たとえば漁船等は、御承知のように、漁船に対する深い経験を必要とするわけです。第一流の造船所が必ずしもりっぱな漁船を作れるという技術は持っておりません。ところが外国からの漁船の注文等が、工事量が不足になりますと、とにかく注文を何でも受けたいというようなことがどうしても経営上起こりますが、造船所として、りっぱな経験、技術がないような所に漁船の注文があって、相当話を進めるというようなケースも現状においてはないとは申されません。私の申し上げておるのはそういう点でございまして、そういう造船所にはそれぞれ特質がありましてそういうものならりっぱなものができるはずであります。
  44. 中村順造

    中村順造君 まあそれはわかりますけれども、私の聞く範囲では非常に高度な技術なり能力を持っておる日本造船界が、いわゆる工作機械の方に転換をするとか、あるいはいろいろな、船でなくして機械部門に転換をしなければならぬと、これはやはり国としても非常な損失だし、われわれとしても嘆かわしいことだと思うのです。だから結局望むところは、やはり世界一と評価をされておるなら、造船界はどんどん発達をさせると、こういうことを考えておるからこういうこと言ったわけです。
  45. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  46. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけてさい。  それでは本件に対する質問は、本日はこの程度にとどめておきます。   —————————————
  47. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 航空法の一部を改正する法律案に対する懇談に入ります。    午前十一時四十六分懇談会に    移る    —————・—————    午後零時二十四分懇談会を終    わる
  48. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 懇談会を閉じます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十五分散会    —————・—————