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1960-03-30 第34回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月三十日(水曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君            小酒井義男君    委員            金丸 冨夫君            佐野  廣君            谷口 慶吉君            鳥畠徳次郎君            三木與吉郎君            相澤 重明君            大倉 精一君            中村 順造君            白木義一郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   政府委員    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省海運局長 朝田 靜夫君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 廣瀬 真一君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有道副総    裁       吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     中村  卓君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件)  (日本国有鉄道の運営に関する件) ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○外航船舶建造融資利子補給及び損失  補償法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) それではこれより委員会を開会いたします。  まず、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  質疑の通告がございます。この際これを許します。相澤君。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 自動車局長にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、実は二十八日の夜九時四十分ごろ、横浜戸塚区吉田町地内の、いわゆる東海道でありますが、ここで横浜戸塚区和泉町の清和礦業砂利トラックが民家に飛び込んで、そして寝ておった呉服商本田栄助さんという方の奥さんと、そのめいの方が二人とも即死をしたわけであります。そして、その家は川のそばにありまして、川のところに砂利トラックが突き倒していった、こういう事故が起きたのでありますが、その事故の概要を聞いてみると、運転手酔っぱらい運転をしておって、この家の事故を起こす前に、すでにその前にやはり他の家に突っかけて、逃げるためにスピードを出していって、その次のところでそういう大きな事故を起こしたと、こういうことがあるわけであります。これについて、もちろん、これは公安委員会あるいは自治庁長官等関係も、あるいは警察庁長官関係もあるわけですが、私ども特に参議院の運輸委員会が、交通秩序について、昨日も東京都内鉄鋼あるいは木材関係出荷場等について、この自動車関係の現地を視察いたしたわけであります。その中で見られることは、これらの大物を輸送する、あるいは重量輸送を行なうのに、本来ならば当然運輸省営業権を持った、いわゆる認可をされた営業用自動車が行なうべきであろうと私ども考えておるのでありますが、それが自家用車白ナンバーによるところの積載の車がたくさん見受けられたわけであります。従って、運輸省がこれら営業車に対する取り締まり、あるいは自家用車なる名目によるところのもぐり営業、こういうものについてどういうふうに措置をしておるのか。この際一つ戸塚の、いわゆる東海道における死傷事故人命事故をも顧みて、今後そういうことのないように私ども希望をしたいわけでありますから、政府一つ御所見を承っておきたいと思うのです。
  4. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 砂利トラックの件につきましては、事故防止見地から、内閣事故防止対策本部でも、これらの事故防止について取り上げられて検討を加えておるわけでありますが、砂利トラックに関しましては、白ナンバー自家用の車が多いのでございまして、これらの砂利トラックが非常によくひんぱんに事故を起こし、また大きな事故を起こす。今回のこのような、家にぶつかりまして、その家をこわして川に突き落してしまうというような事故も起こし、また、昨年の新子安の火薬爆発事故も、砂利トラック運転手の過失と推定されるような状況でございまして、これら砂利トラック事故というものに関しましては、私どもも非常に関心を持っておるわけでございますが、最近事故も非常に多いので、これらの点につきましては、警察庁の方と十分に連絡をとって、砂利トラック違反事故のないように、交通事故をなくすような方向指導していきたいと考えておる次第でございますが、さらに、もぐりトラックが非常に多い。鉄鋼とか木材とか、そういうものの運送につきましても、黄ナンバー営業車で輸送するよりも、自家用白ナンバーもぐりの方が多いというような状況になっておるところもございますが、これらに関しましては、運輸省は従来、これらのもぐりトラック違反につきましては、輸送秩序確立という見地から、そのような指導方針をきめまして、もぐりトラック絶滅を期して取り締まりを実施して参ったわけであります。  試みに、昭和三十四年の取り締まり状況を申し上げますと、昭和三十四年中の違反摘発件数を申し上げますと、無免許営業のかどで摘発しました件数が七百七十五件、それから有償運送のかどで摘発しました件数が六千九百八十三件、その他の違反で引っかかりましたものが二万一千七百九十一件、合計二万九千五百四十九件、違反摘発件数があったわけであります。これは全国の数字でございますが、これらの違反陸運局陸運事務所摘発いたしまして、その処分をいたしました方法といたしましては、自家用自動車使用禁止処分をいたしましたのが四千四十三件、それから注意を与えて訓戒をいたしましたのが六千六十九件、その他が一万三千三百二十九件、これは簡単な聴取書をとったり、注意を与えたという程度のものが以上のような数字でございまして、これら処分をいたしまして、もぐりトラック絶滅を期しておるわけでありますが、まあ、もぐりトラックは非常に数が多いわけであります。これらのもぐりトラックを何とか絶滅を期したいと考えて、今度の予算要求にもその点も要求いたしまして、街頭取り締まり、その他の点に関しましても、少額でございますが、予算が認められましたので、これらの点を活用をいたしまして、もぐりトラック取り締まりにもさらに積極的な方針で進めていきたいと考えておりますが、今回、本国会に提案いたしております道路運送法改正法律案につきましても、これは白ナンバータクシー取り締まりもぐりトラック取り締まりと、両方のねらいを持っておりまして、違反行為に関しましては、罰則の加重というようなことも考えて、今後、道路運送法改正案が通過いたしまして施行になります暁には、さらに警察庁の方とも十分に連絡をとりまして、道路運送法違反行為を厳重に処罰していきたい、及び取り締まりを強化いたしまして、こういう違反行為のないような方向指導していきたい、こう考えておる次第でございます。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 たとえば、昨日の視察をいたしました東京木材運送業組合の中を調べてみますというと、自主的に組合を九十三社の方が作られて、七百二十一両の車両台数を持っておる。そうして少なくとも、年間三百万トン以上の輸送実績を上げておるのでありますが、この七百二十一両の車両台数を持っておるところに対して、白ナンバーの車が二百両以上もある。つまり、運輸省認可をもらわない、もぐり白ナンバー営業行為をしておる車が二百両以上もある。それが堂々と運送をしておるということに対する強い業界の、自主的に、できるだけ事故をなくそう、あるいは公示料金確定料金というものを守っていこうというにもかかわらず、そういうもぐり人たちが、いわゆる非常な大きな役割の中で果たしておる、こういうことを聞いたわけであります。また、一方において東京鉄鋼運送事業協同組合の現況をお聞きいたしましたけれども、やはり同じようなことがいわれておるわけであります。常に業界諸君が一生懸命に自主的に何とか交通秩序も守っていき、しかも運送に対しても、できるだけ利用者に迷惑をかけないようにと、こういうことをやっておるにもかかわらず、そういうもぐり営業というものがどんなにかじゃまをしているかということが、私ども視察委員に対して窮状が述べられたわけであります。このことを聞くと、一体運輸省というもの、自動車行政というものはどうなんだろうと、こういう点をちょっと心配をするわけであります。ですから先ほどのお話罰則強化というだけでこれが取り締まりができるものなのか、それともまだ、自動車行政の中に欠陥があるのか、こういう点をどういうふうにお考えになっているのか、再度一つこの点についてのお答えをいただきたいと思うのです。
  6. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 先ほど罰則強化の点で道路運送法改正契機として、また取り締まりを厳重に進めていきたいということを申し上げたわけでありますが、もぐりトラック関係につきましては、昭和二十七年ぐらいから貨物自動車輸送秩序確立方策というのを策定いたしまして、これらを陸運局陸運事務所に流しまして、取り締まりを進めて参ったわけでありまして、先ほど申し上げましたような摘発及び処分をいたしておるのでありますが、要しまするに、非常に今違反が多いのでありまして、各所に蔓延しておりまして、これは手のつけられますところから手をつけて摘発もし、処分も数千件の処分をいたしておりますのですが、ただいまお話のありました木材とか鉄鋼とかの組合等のところにおきましても、最近それほど取り締まりが及んでいない状況でありますが、要しまするに、陸運局なり陸運事務所なりの取り締まりに関しまする予算、それから人員等が非常に不足しておりまして、要するに車両の数は圧倒的に多いのに定員が少ないというようなことで効果が上がっておらないのですが、われわれが痛感しておりますのは、陸運局陸運事務所関係等におきましても、陸運事務所予算及び定員あるいは任免権等運輸省及び陸運局長が持っておりますが、仕事の指揮系統都道府県知事が持つというような形にもなっておりまして、陸運事務所の職員は頭が二つあるような形で、なかなかその点でも中途半端な落ちつかない不安な感じでおるというようなことでございますので、これら運輸行政機構の改革もぜひ今国会実現の運びにいたしたいと思いますと同時に、先ほど申し上げましたように予算人員等においても非常に僅少ではありますが認められましたので、これらを契機といたしまして、さらに道路運送法改正契機といたしまして、取り締まりを進めていきたい。これも重点的に、今後違反のしょうけつをきわめておるようなところから、こういう取り締まり措置を進めていかなければならないと考えておりますが、現状におきましては、取り締まりをいたしますが、違反があまりにも多くて、なかなかそれに追いついていけないという状況でございます。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 人手が足りない、予算が足りない、こういう点については、率直に業界諸君も、もっと政府はそういう点について真剣に考えてほしい、こういう要望をされておりますから、政府部内においても、特に運輸省もその点に力を私はやはり入れていただきたい。こういうことを申し上げておきたいと思います。  それから次にお尋ねしておきたいのは、駐留軍離職者ハイヤータクシー申請、それから個人営業申請事案にかかる問題ですが、陸運局も非常な努力をしておるようでありますが、しかし現実にはなかなかまだ認可というものが、昨年の東京都における百七十三台の認可以降にはないわけです。個人タクシーの問題についても、楢橋運輸大臣の言明以来、各所で非常な希望を持っておるわけでありますから、いつまでにこれがいわゆる認可ができるものか、できないものか、わからぬというような、ヘビのなま殺しのような状態にしておかないで、やはり認可のできるものは、もっと速度を早めて私は認可をしてやるべきではないか、こう思うのです。それから特に駐留軍離職者諸君は、いつも私は申し上げるのですが、三年も四年も失業をしておって、これにのみ頼っておるわけでありますから、普通の業者諸君申請するのとは私はおのずから違う。政府方針もそういうふうにはっきりしておるわけでありますから、これらについては全国的にも十分配慮してもらうとともに、特に大都市におけるこれらの失業者のいわゆる就職という問題とを勘案して、私はこの駐留軍離職者技術を生かす、こういうことに最善の努力をしていただきたいと思うのですが、今日の事案審査の上から、いつごろこれが解決のできるものなのか、局長一つ進行状況の御報告をいただきたいと思うのです。
  8. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 駐留軍離職者免許申請に関しましては、昭和三十二年の九月の閣議決定駐留軍離職者が自立のために組織する企業組合その他の事業団体については、その事業許認可について優先的に取り扱うという旨の決定がございまして、私どももこの決定に即しまして事案審査を進め、許認可行政をいたしておるわけでございますが、この方向で実は、たとえば東京におきましても駐留軍離職者関係免許申請事案につきましては、一般よりも早く審査を進め、及び一般よりも早く免許なりの措置をいたしたいと考えまして、そのように、たとえば東京では東京陸運局もいたしておったわけでありますが、ことに昨年の暮れにはそういうことで免許促進をはかりまして、およそ四十の会社につきまして審査をいたしたわけでありますが、同盟交通一社を昨年の暮れに免許するという結果を得たわけであります。これは私どもとしても、あえて同盟交通一社——単に駐留軍関係は一社と限るつもりはありませんでしたが、いろいろと審査をいたしました結果、第一に優先的に第一着手として免許するには、どうも他の会社につきましては、第一番目にするにはまだ踏み切れないが、同盟交通内容的にも検討を加えた結果、免許にふさわしいというふうに考えまして、一社免許したわけでありますが、さらに他のものに関しましても、これが却下されるような内容のものばかりあるわけではありませんで、これらに関しましては、他の一般申請ともにらみ合わせて審査をする必要があるのじゃないかという考え方に到達いたしまして、現在まだ免許却下決定をいたしませんで、一般の推移とにらみ合わせておるわけでありますが、神奈川等におきましては、これはそういう自動車運送協議会ワク答申というものがございませんので、これらに関しましては、随時審査の終わったものから決定をするという方策をとっておりますので、審査の終わりましたものから、できるだけ早い機会処理はしていけるものと思っておりますし、全面的にもそういう考え方でいけると思っておりますが、さらに個人タクシーの点につきましては、昨年の暮れに、東京は百七十三人の人に免許をいたしたわけでございますが、東京の特別区におきまする審査の模様を申し上げますと、申請件数が約六千九百件でございますが、そのうち現在までにすでに約五千七、八百件の聴聞を終了いたしまして、残り約千件ちょっとになっておりますが、これらに関しましても、すみやかに処理を進めるように、東京陸運局としては毎日鋭意審査をしておりまして、自動車運送協議会の昨年の答申の中には、本年六月末までに処分完了をするように望むということが書かれておるのでございますが、こういう本年六月末とはいわずに、これよりももっと早く処理をするように、鋭意努力中でありまして、東京陸運局長も、できるだけ早く処理をしたい、こう申しておりますので、この自動車運送協議会答申よりはもっと早く処理ができるものと考えておるところでございます。  そのほか、名古屋、仙台、札幌、高松、徳島、高知、松山というようなところにおきましても聴聞を完了いたしまして、目下審査中で、近日中に処分をすることができる見込みであります。それから京都、大阪、神戸の地区におきましては、本年の三月八日に免許申請を締め切りまして、目下審査に入っておる段階でございます。岡山市は、自動車運送協議会から四十両増車答申が三月十日付で出ましたので、これは現在免許申請受付をしておる状況でございますが、このほか、全国的に最近ハイヤータクシーの不足ということがいわれておりますので、これらの点に関しましては、ハイヤータクシーについて免許申請を全国的にできるだけ早く審査をして、増加をさせていくような方向で現在指導をしておるところでございます。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 今の局長答弁の中にある、ワクをきめておらない、たとえば神奈川とか、あるいは今の岡山市の受付を第二次行なっておるとか、こういうようなところについては、少なくとも神奈川のようなところには、すでにもう昨年末に聴聞が終わっているのや、あるいは個人申請というのはすでにほとんど聴聞が終了しておる、こういうような点から考えて少なくとも東京の特別区とにらみ合わせてということでないという局長答弁でありますから、できるだけ早い機会に、私はやはり免許をするという、こういう方針を堅持してもらいたいと思う。その考えでいけば、前回の委員会で私から申し上げたように、昨年までに終了したものは、少なくとも三月の末から四月の初めに、そうしてまたそれ以降のものは四月の末までには何とかこの処置をするように、こういう点について一つ再度私は局長の考慮を願いたいと思うのです。  それから今の東京の場合でありますが、東京の場合でも、駐留軍離職者のものと個人タクシー申請については、これは一般業界のものとにらみ合わせてという答弁でありますが、これはやはり少し問題があると思うのです。確かにこの答申は二千八百両ということをいっておるけれども、私はその二千八百両が絶対不変のものであると、どうしてもこの数をそれ以上は出せないのだという考え方はやはり誤りであろう。今の町を歩ってみればわかるように、私どもが駅を降りて乗りたいと思っても乗れない場合がたくさんある。特に雨の降ったときなんかは全然駅のそばへも寄りつかぬ。こういうようなことは、われわれ利用者に対するサービスというものが実際できないということは、やはり自動車行政の上の欠陥ではないか。申請者が大ぜいいるのに実際には車がない、こういうことになるわけです。従って、いわゆる既存の業者に対しての増車という問題については、なお資産内容とか、あるいは今までの経営上の問題とかを検討されて増車をされるのは、私もけっこうだと思います。そのことは当然だと思います。しかし新規の申請については、特に楢橋運輸大臣、今出席しましたけれども運輸大臣業界に新風を吹き込むということで、非常に大きな期待を持ち、しかも、自分の技術最高度に生かそうと、こういうことで個人申請をしておる人に対しては、聴聞が終って四カ月も半年もこれが放置されるということは、私はやはり非常な人道上の問題だと思うのですよ。それができないというならば、ほかに就職の道を考えなければならぬわけです。個人のいわゆる運転をする人ばかりでなくて、家族の身のことも考えなければならぬわけです。そういう生活の苦境というものを考えていけば、当然聴聞を終了した後には、従来の方針でいけば、一カ月以上たてば、少なくとも免許になるかならぬか、こういう態度を出し得るものだと私は思うので、従って、この駐留軍離職者申請事案の問題と、個人申請事案については、私は早急に解決点を出して、その上に立って業界増車についても検討されることは私はけっこうだと思う。そうしてこの二千八百両が絶対不変のものだ、こういうことでなくてもっと町の私たち自身利用者の困っておる実情というものは、運輸省は私は率直に認むべきではないか、こういうふうに思う。局長からもそういう点についての再度御答弁をいただくとともに、運輸大臣出席をしたのですから、あなたが言い出したことがいつまでたっても実現ができないということは困るわけです。ことにワク外の、ワクの設けてない、東京特別区以外の都市については、聴聞が終了したものについては、すみやかに免許を与える方針を私はこの際一つ述べてもらいたいと思うのですが、運輸大臣並びに局長答弁を願いたいと思うのです。
  10. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 個人タクシーの問題は、局長からもお答えしたかとも存じますが、やはり、できるだけ早く審査しろというので、今局長答えたそうですから……。今の趣旨に沿いましてできるだけ早くさせるようにいたしたいと思うのであります。ことに白タクとかいろいろな問題が出ておることは、需要供給のアンバランスからきておるのに根底がありますし、かつまた、非常なタクシーの少ないために不便を感じておりますので、引き続き増車をするように、先般私、道路公団の総裁の岸さんがその何をやっていますから、話し合いを進めておるのですが、できるだけ御趣旨に沿うように努力をしたいと思うのであります。
  11. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 東京の点につきましては、二千八百両の増強措置というのがございますため、この二千八百両の全体数字とにらみ合わせなければいけませんので、これらの点も十分に勘案しまして、できるだけ早く促進をはかりたいと思いますが、その他の地区等におきましても、先生のおっしゃいましたような御趣旨にのっとって、できるだけ早く聴聞が終わりましたものから審査を進め、措置をしていくというふうに持っていきたいというふうに思っております。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 先ほど相澤君の方から、当委員会の小委員会で昨日現場視察をやったことについて発言がありましたから、いずれこの点については小委員会において十分に検討を加えたいと思っておりますけれども、この際、関連をして大臣にお伺いしておきたいと思います。  きのう小委員会で深川の木場並びに鉄鋼トラック輸送現場について視察をいたしましたけれども、かねがね輸送秩序の混乱については、いろいろこちらも認識をしておりましたが、現場に行ってみて、全く紊乱ぶりに驚いた。はたしてこの状態局長あたりが御存じであったかどうか、これも私非常に疑問だと思うことなんです。そこで、先ほどの局長答弁では、人手が足らぬ、あるいは陸運事務所機構権限等にまで言及されましたが、そういうことでもう追っつかない現状になっていると思う。あそこに行ってみるというと、全く無政府状態です。いわゆる鉄鋼運送屋あるいは木材運送屋トラックも、公然と過重を、一つの何といいますか、規則として当局に了解を得ておる、こういうことも聞きました。さらにまに、二トン積みのオート三輪に六トンくらいの角材を積んでいるところを見ました。こういうことを放置して、道路交通法だけを先行させるということは、これは非常に問題だと思う。  そこで、これはかねがね問題になったのですが、これほどひどい状態が、東京運輸省のおひざ元に現にあるわけなんです。そこで、私はとりあえず、当面の問題として、運輸大臣としても業者ばかり責めてもだめでありますからして、いわゆる荷主の方の木材業者鉄鋼業者も集めて、そうしてこの際、交通の安全の秩序並びに円滑のために協力を要請する、こういう措置がとりあえず必要ではないかと思うのですが、それに対する大臣御所感を承っておきたいと思います。
  13. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ごもっともな御意見でありまして、そういう実態であれば、至急そういう手段をとりたいと思います。東陸局長とも相談をいたしまして、業者協力はもちろんのこと、各関係官庁とも打ち合わして、打開策を至急講じさせたいと思います。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 その御答弁を聞いて、私も同感で安心したわけでありまするけれども、要するに、これらの運送屋というものは、ほとんど旧態依然たる状態にあるのでありまして、運送業者みずからが荷主に向かってものが言えないという状態にある。非常に発見しにくいような、非常な巧妙の手段によって運送をやっている。こういうことを御勘案の上、ぜひとも今の御答弁のように、さっそく御取り運びを願いたいと思います。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣の今の誠意ある御答弁で、私も大倉委員と同じように、ぜひそれを促進してもらうことを要望しておきますが、一つの事例として、きのう私どもが現地を視察したわけですが、やはり見てもらいたいことが一つと、それから、特に白ナンバーにおける行為というものは、このトラックばかりでなくて、先ほども私が申し上げた個人タクシー申請をしておるのに、認可ができないというすき間を彼らは縫っているわけです。これは横浜駅の例を、地元ですから申し上げますと、裏と表の駅の出札口、窓口がありますね。その窓口のところに客引きがきている。そうしてこの出札にいって切符を買おうという人に、だんなさん、どちらに行くのですか、熱海なら私の車でと言う。それが夜おそくなるというと、ややそれが力ずくになる。しかも駅の両側に、表にも裏側にも白ナンバーの車がずらっと並んでおる。こういうことは、これはもう国鉄も管理上の問題もあるかもしれぬけれども、ただ単に国鉄を責めるばかりでは私は能がないと思う。これはやはり運輸行政欠陥がここに現われておる。従って、国鉄はやはり利用者あるいは市民の協力態勢を求めなければならぬけれども、同時にそういう自動車の認可問題というものが長引いておるから、利用者というものは、とにかくもう運輸省は何をやっておるのかわからぬ、こういう形で、とにかく安いならどっちでもいいわというようなことで、そういうものを利用する人が出てくる。それがたまたま新聞やラジオで報道されて、いかにも合法性を主張するようになってくる。これは明らかに運輸省のやはり行政指導というものがおくれておる欠陥がある、こういうことはいなめないと私は思う。ですから、また、そういう、お前はとにかく悪いことをしておると怒ってみたところで、食えなければ、やはり問題が出てくるわけですから、とにかく申請をしたものは早く認可をして、そうして大衆、市民からも愛される利用者になってもらうような、運輸行政を私はやってもらいたい。そういうことを一つの事例を参考にして私は申し上げておきますから、大臣も、たまには朝晩のラッシュ・アワーに、あるいはそういう白タクなり白ナンバートラック輸送、そういうところを見て、そうしていわゆる陸運局を督励して、認可というものをしてもらいたいと思うが、大臣それをやる気があるかどうか、答弁してもらいたい。
  16. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) やる気よりも、私もときどき、先般もある駅で、白タクが私を知らずに勧誘して、私が一喝を食わしたらびっくりして逃げたというようなこともありまして、今おっしゃるように、やはり需要供給のアンバランスからきているから、増車をするということは、もちろん必要でありますけれども、一面からいえば、取り締まりを厳重にさせなければならないということで、相当にこちらからも告発させておりますが、いろいろ御存じのように、陸運局の人員、その他の関係もありまするけれども、そういうことばかりも言っておられないので、自治庁長官等にもしばしば私からも話をしておるのでありまして先般も九州の小倉市において、ちょうど私が行っておるときに三名くらい切り殺された、白タクの連中が暴力団と結びついて……。そういう事案が起こりまして、あそこの福岡の陸運局の者を呼んで現場へいってやったことがいろいろありました。今おっしゃったような点も十分考えてやらないと、次第に白タクが暴力化してきておるという事態もありますから、今度の道路法等の問題によって取り締まりが相当強化されるとは思いますけれども、当面の問題としても、至急そういうものに対しての手配をいたしたい。  また免許の点につきましても、私からもしばしば督励をしておるのでありますが、いろいろ調査その他の、まあ実際にやっているものが慎重にやることもいいのですけれども、なかなかはかどらないので、その点は一段と一つ鞭撻させて御趣旨に沿いたいというように考えております。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 これは一つ国鉄にお伺いするのでありますけれども、今横浜白タクの問題が出ましたが、これはもう道路交通法取り締まりワク外状態が今起こりつつあるのです。あそこはおそらく国鉄の用地だと思うのですけれども、副総裁どうでしょうか、横浜の駅の裏表の駐車場付近は、あれは国鉄の用地であるかどうか、どうなんですか。
  18. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私もはっきりしたことをよく存じませんが、表の方は国鉄の用地であるけれども、裏の方は国鉄の用地でないというふうに聞いておりますが、なお詳しくはよく調べてみたいと思います。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 これは、きょうは時間がないようですから、調査をして報告してもらいたいと思いますけれども、私は、たまたま二、三週間前の「喫煙室」という雑誌を見ましたら、そうしたら、あそこの横浜の裏表の白タクの暴力団といいますか、そういう者がお互いに相対峙して一触即発の状態にある、こういうことが書かれておったのです。これは少なくとも国鉄の用地においてそういうような状態が起こっておるということを知らないということは、これまた不見識であるが、知っておったならば、それに対する何らかの措置を講じないということも、これまた非常に大きな問題だと思う。そこで万が一にも、あそこで両暴力団が衝突をして、そうして流血の惨事でも起こるようなことがあったら、善良なる一般市民に対する大へんな危害を及ぼし、迷惑をかけることになる。きょうは要望しておきますけれども、実態についてこの次の委員会にぜひとも報告してもらいたいと思います。
  20. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  21. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を始めて。  本件に関する質疑はこの程度にいたしまして、また後日継続いたします。が、これより日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  きのうに引き続き御質疑を願います。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 きのうの委員会運輸大臣、時間がないので途中でお帰りになったのですが、一番問題になったのは、この今回の日鉄法を改正をして、東海道幹線工事の担当理事を一名増員をする、この問題について、この大きな二千億になるところの担当工事をさせるのに、一人の理事をふやすだけで、はたしてこの仕事ができるのかどうか、こういう点について国鉄の原案なり、あるいは運輸省が閣議の中できめたことや、そういうことに対する質疑が行なわれたわけであります。そこで私は、この少なくとも国鉄がやろうとすることに対しては、運輸省としては当然それを促進をするのが立場であろう。また、実際に国内の輸送状況の隘路というものを打開するためには、何としても必要なことである。こういうことであれば、促進をすることは必要であるけれども、いかにもそのやり方が政治的にこだわり過ぎていはしないか。もっと技術的な面あるいは仕事の面ということを、担当する人の意見というものを十分尊重するような形はとれないのか、こういうところに私どもは疑義があったわけです。そこで、まあ運輸大臣が少なくとも今回のこの日鉄法改正の提案をするにあたって、これで担当常務理事を一名置くことによって、東海道新幹線工事というものが必ずできると、こう考えておるのかどうか。  それから、少なくともこの第二の問題点としては、五カ年計画の中で、理事をそうたびたびかえる必要がない。かえなくてすむと、こう思うが、前回の委員会では、鉄監局長に私が質問したのは、五カ年計画、この新幹線工事が終了したならば、その担当理事をまたやめさせるのか、こういう点を質問をいたしたわけであります。それはそうでなくて、やはり国鉄経営の実態の中からわれわれは考えていくんだ、こういうような御答弁をいただいたと思うのであります。そういう点について何か仕事が終われば、それではもう理事は必要がないからやめさせるのかという印象を受ける。そこで大臣の責任ある答弁を私は聞いておきたい。そして国鉄の支社制度というものを、昨年私は日鉄法改正の際に申し上げたように確立をして、業務の円滑化をはかるならば、当然今後の問題としても十分再検討をされるべき段階ではないか、こう思うんだが、運輸大臣はそういう点についてもどう考えておるのか、この点をまず最初に大臣から御説明をいただきたい。
  23. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 国鉄のいろいろな要望等もありますけれども、ただそれを無制限に監督官庁として聞くわけにいかないのであります。従って諸般を勘案して、その問題については大臣として裁定を下しておるのであります。従って、理事増員の問題につきましては、新幹線の工事関係については、今回の増員一名を含めた体制で特別の事情の変化のない限り工事を実施していくという方針であります。なお、工事がやんだ後に、その理事失業するかどうかというような問題がありますけれども、おそらく、そのあとにおきましては、営業その他の諸般の企業面において拡大いたしますから、それに更迭していくという考え方を持っていくつもりであります。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 支社制度の問題についてどうですか。
  25. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 支社をどうだって……。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 今言ったように、昨年の日鉄法改正で、支社制度の組織を強化し、そして輸送の確立をはかっていくということが提案をされて可決をしているわけです。ところが支社、監理局制度というものについても将来再検討すべきである、こういうふうに申し上げておったのであるが、運輸大臣は、今回のことを契機に、さらに考える必要があるのではないか、こういうことを尋ねているわけです。わかったか運輸大臣、それを一つ答弁してもらいたい。
  27. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 国鉄の支社の問題でありまするけれども、これは国鉄の全体の問題等を勘案してその問題はきめたいという考え方を持っているのであって、今直ちに支社をふやして、理事をふやす、これは今の場合はまだ考えておりません。
  28. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) この問題につきましては、昨日お答えを申し上げたのでございますが、支社制度全体につきまして、国鉄が現在検討しております。それで、先般支社が広島、新潟、四国にふえたわけでありますが、下部機構その他を含めまして、国鉄の運営体制というものは、今再検討の段階にあるわけであります。それでその結果、本社の理事、支社の理事というものに分かれておるわけでございますが、業務の分担その他によりまして十分今後の国鉄の運営のやり方というものを検討した後、あらためて増員の必要があれば国会にお願いをいたしたい。現在では検討の段階でございますので、運輸省といたしましては、国鉄のそういう問題に対する処理状況を見て判断をいたしたい、かように考えております。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 それから運輸大臣のやはり責任の問題になりますから、はっきりお答えをしておいていただきたいと思うのですが、外資を導入する場合に、前回の委員会でも私申し上げたように、大蔵大臣が衆議院において答弁をされたときには、若干不安がある、こういう点を言われて、鉄鋼あるいは電力の借款と同じように考えなきゃならぬだろうということで、兼松常務等を派遣して、国鉄の融資態勢というものを主張したのだけれども、どうも国鉄だけという、その主張点だけはなかなかうまくいきそうもない、こういうような印象を与えられた。そこで、少なくとも運輸省がこの世紀の大事業ともいうべき東海道新幹線工事を発足するにあたって、そして担当常務理事まできめて、責任を持って体制を作って仕事を進める、こういうからには、世銀借款の問題はもちろんであるけれども、これは政府の責任において、国鉄にその仕事を途中で変更させるようなことがあってはならないと思う。そこで、そういう場合のこともお考えになって、そしてこの必要な資金千七百二十五億というものを調達し、またそれに対するところの幹線工事というものが必ず計画通り実行できる、こういうふうにあなたはここで確約ができるかどうか、この点をはっきりしてもらわぬと、せっかくプランは作ったけれども、実際にはあとで金のやりくりがつかぬ、こういうことで、第一次五カ年計画が現在一カ年程度おくれている実情ともにらみ合わせて考えると、資金の調達というものは非常に大きな問題だと思う。こういう面で、運輸大臣の責任ある答弁一つ求めておきたいと思う。
  30. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 世銀の借款の問題は、前回でありましたか、お答え申し上げたのでありますが、大蔵大臣がまあどういう話をしたかは、私は正確なことは知りませんけれども、兼松理事があちらに参って、先般帰って参りまして、五月の末に世銀から技術者がこちらに来て、実態を調査するという、好転する方に向かっているのでありまして、この世銀借款等を勘定に入れて計画されておりますので、これは私としては、国鉄の今の計画を遂行せしめるということを責任を持ってお答えをいたす次第であります。政府においても、その点は責任を持ってやりたい、こういうふうに考えます。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 責任を持つというのだから、私もその点を信頼をしていきたいと思うのだが、いわゆる調査団が来日をされて、そしていろいろな資料を集め、話を聞いて、はたしてその通り、なにするかどうかということは、これはなかなか今の経済情勢の中で、むずかしい問題だと私は思うのです。しかし、国鉄に対するいわゆる資料なり、あるいはまた現状の分析からいけば、よもや間違いはないと私どもも思う。思うがですよ、しかしそれは、調査団が来たその結果でなければわからぬのですよ。いわゆる不確定要素というものがここにある。だから不確定要素があるから、工事は始めたけれども実際資金調達ができなかったからということでほうり出されては、これは困る。そのときに大蔵省が四の五の言われても、これは運輸省なり国鉄当局が困る。  そこで、やはり大臣の現在の計画を進めるにあたって、どんな場合でも、あなたがその責任をやはり政府として遂行させると、こういうはっきりした態度を持っていただきたい、こういうことが私の言っておることです。それから今まで愛知用水公団や道路公団の若干の事例もあるので、私どもとしては、これがひもつきである。いわゆる経理の監査、技術指導、こういう名目によって、この国鉄の計画というものを変更させられる、こういうようなことがあっては絶対にまかりならぬ、こういうのが私どもが常に主張してきたところでありますが、そのことも大臣は、そうお考えになっておるかどうか、この点も答弁を願いたい。
  32. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今申し上げたように、世銀の借款は、成立するという建前でいっておりますが、これが政府において責任を持つと言う以上は、大蔵大臣との間に私は話をつけて、大蔵大臣をねじ伏せても、一つこの問題は片づけるというような考えであります。  そこで、ひもつきじゃないかというが、ひもつきは絶対に反対でありまして、これをひもついた、植民地的といいますか、そういうような借款は、われわれは承認しない。あくまでも国鉄の自主性において運営していくという態勢をとりたい、こう思います。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 それからさらに、私はこれで質問を大体終わりますが、今回の、これだけの大工事をやるについては、やはり技術陣の動員というものは非常に私は大切なことだと思うのです。そしてまたこれに対する要員の配置というものは、そうただ頭で描いただけでは、なかなかできるものじゃないと思う。やはり技術人たちを十分生かして、その人たちの意思を尊重して、その仕事をやってもらうところに、初めて実際実ることができると私は思うのですよ。  そこで、この現在の国鉄の要員事情からいっても、かなり無理をしなきゃならぬことではないか、こう思うのです。そこで、この技術陣の動員、あるいはその要員の配置については、特段の私は考慮がなければ、これは現在の五カ年計画、あるいは答申のあった十一路線のいわゆる着工、それにかてて加えて東海道新幹線をオリンピック大会までに完成をするという今の計画というものは、私は、やはり破たんを来たすのじゃないか、こういう心配をするわけです。  ですから、ともすると技術院に対する比較的、冷遇とまでは言わないけれども、そういう面が考えられるので、その要員の配置について、特に一つ考慮を願いたいと思うんだが、運輸大臣は、そういう点を国鉄の首脳部に話をされておるのかどうか、あるいはまた、そういう考え方を持っておるかどうか、この点を一つ最後に答弁を願っておきたいと思う。
  34. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 国鉄当局が全力をあげて、しかも技術上の問題が非常に多いわけですから、全力をあげてやるべきことについて、もちろん弾力のある態勢をとってやるということについては、私も指示しますし、国鉄の聰明な十河総裁や副総裁もいるんだから、そういうことは、当然にやることと思いますが、なお一段、私からその点については、強く推進したいと思うのであります。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 きょうの大臣答弁は、きのうと少しニュアンスが違うと思うのです。私のきのうお尋ねした問題は、こういう大きな工事をやるのは、やはり人間がやるのですから、人間の問題が非常に大事なことになってくる。そこで国鉄の原案と、この提案してきたところの法律案とは、ずいぶん開きがあるがどうか、こういうことに対して、どうもはっきりしなかった。  そこで昨日は、大臣は大蔵大臣といろいろ相談してみたが、こうだったということであった。きょうは、国鉄の言うことをまるまる聞くわけにはいかない諸般の事情があってこうしたんだと、こういう御答弁です。  そこで、私はくどくは聞きませんが、ただ一点だけお伺いしたいことは、国鉄の副総裁一名、理事三名というのは、これはやはり必要だ、必要であるが、諸般の事情から、やむを得ずこういう工合になったのだというふうにお考えになっているのか。あるいは副総裁一名、理事三名というのは、あなたは必要はないというふうにお考えになっているのか。どちらか、これをはっきりしていただきたいと思います。
  36. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 副総裁をふやすということは、運輸当局としても、その必要なしということの見解に立っているのでありましてまた大蔵当局も見通しからいっても、そういうことはきかない態勢にある。理事一人ふやすことにつきましても、なかなか容易でない段階にあるのでありまして、従って国鉄としては、なるべくそういう機構を大きくすることよりも、やはり現在のおるもの最小限度において全力をあげてこれに対して仕事を完遂するということに邁進すべきであるということを強く総裁及び副総裁にも申しておるのであって、総裁、副総裁等も、そういうような意思を示されますし、私に対して、だいぶ懇願がありましたが、私は、実は拒絶をしたわけであります。それでやりなさいということを言っておるのです。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 どうも、大臣答弁を聞いておりますと、本末転倒しておるんじゃないかという感じがして仕方がないが、私はこの機構を大きくするということに賛成している立場から言っている。ただ理事一人ふやすということは大へんだということを言っておるが、そういう問題と、この東海道新幹線の工事を完遂するということと、どっちが一体優先なのか。新幹線を、どうしても完遂しなければならぬ、そのためには、こうこうこうしなければならぬと、こうなるべきはずだと思うのです。  ところが、今の答弁を聞いていると、どうも私の受け取り方が、新幹線は二の次で、まず理事一名を置くか置かぬかということが、飛び離れて、これだけが容易でない、こういうふうに聞かれるわけです。  そこで、どうですか大臣、この理事一人ふやすことが容易であるかないかは別として、これで大臣としては、十分新幹線の工事については、政府が責任を持ってやっていくことができる、こういう工合にお考えであるかどうか、もう一ぺん、お伺いいたしたい。
  38. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 私が申し上げるのは、理事というものも、これは新幹線の担任であって主体は、新幹線そのものでありますから、新幹線をやるについては理事一人で、現在は、また国鉄の幹部が、これに対して配置をうまくやって協力すれば、それによってなし得ると私は信じておるのでありましてまた、そういうことも国鉄当局も、最終段階において了承をして、この線であくまで結束を固めてやるということを申しておるのでありますから、私は、これでもって新幹線の工事を進めていくことについて確信を持っているということを申し上げます。
  39. 大倉精一

    大倉精一君 最後に質問しますけれども、確信がおありになることは、非常にけっこうだと思います。しかしながら、しょせんは人間のやることですから、どういう不測の事態が起こるか知れませんので、そうした場合に、機を失することなく対処してもらって、名実ともに世紀の大事業が完遂するような措置と責任を持ってもらいたい。  そういうことを重ねて質問して、もう一回御答弁願って、質問を終わります。
  40. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 新幹線の工事関係につきましては、今回の増員を一名含めた体制で、特別の事情の変化のない限り工事を実施するということに御了承願いたいと思います。
  41. 中村順造

    中村順造君 それでは、時間がないから、ただ一点だけお伺いしたいのですが、昨日から、いろいろ理事の増員の問題について、日本国有鉄道法改正についての質疑がかわされておりますが、きょうも大臣の非常に自信に満ちた答弁がありまして、東海道新幹線を含めて、さらに国鉄の経営全体を含めて確信がある、自信がある、こういうふうに、大臣はおっしゃっておる。  まあ、大臣考え方は、私もわかったわけですが、この際一つだけ国鉄当局の方に聞いておきたいんですが、きのうからの話をずっと総合して判断をいたしますと、何か国鉄当局が、当初要望した線と、最終的に決定した線が、明らかに違っておるということは、はっきりしておるわけです。私は、この理事の問題を含めて、こうして人事の問題一つにいたしましても、監督官庁である——これはまあ監督権があるわけでありますから、やむを得ぬといえばそれまででありますが、運輸省のきつい監督権の作用を受けなければならぬ、さらに国鉄の執行の予算上から見ましても、これまた運輸大臣なり大蔵大臣から、きつい監督権の発動を見、その作用を見る。しかも最終的には、それは意見が一致したと言われますけれども、この監督権の作用のもとに、国鉄がみずからの意見を撤回をする、こういう形で、最終的に意見が集約をせられなければならぬというのが実情であります。  ここで、まあ副総裁もおられますが、私が申し上げるまでもなく、国鉄は副総裁のものでもなければ、理事者のものでもない、まさに政府のものでもないわけであります。これは国民のものであり、しかも忘れてならぬのは、国鉄には四十数万の職員がこの中で働いておる。これらのことを総合して判断をした場合に、昨日来いろいろ論議をされておるように、予算の面では大蔵大臣なり運輸大臣の強い規制を受け、さらにこれは事実として実例があるわけでありますが、私は時間がないから、本席では省略をいたしますけれども、人事の問題にいたしましても、相当かけ離れた規制を受けなければならぬ、こういう実情にあるが、将来新幹線を含めて、あるいは国鉄経営全体を含めて、国鉄は、そのようなことでよろしいのかどうか、それがまた正しいことであるか、このようなことで、運営に十分自信が持てるかどうか、こういうことを一つ含めた上で、国鉄副総裁の御答弁をお願いしたいと思います。
  42. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 国鉄運営の責任を負わされております国鉄当局といたしましては、国鉄の将来をどうするか、経営をどうするかということについて、いろいろお願いしたいことは、政府にも、諸先生にもお願いいたしておりまするし、また国民の皆様にも、国鉄のいろいろ問題を訴えて、御理解を願うということについては、常に努力をいたしておるのであります。  しかしながら、私どもが仕事を進めて参ります上において、今先生のお言葉にもありました通り、国民の国鉄でございますので、国会でお定めになった法律あるいは予算の定めに従いまして全力を尽くすのが、われわれの責務であるというふうに信じております。
  43. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 他に御発言もなければ、これをもって質疑を終了いたします。  質疑を終了し、討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、付帯決議案についても、討論中にお述べ願います。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 今回の日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対する私ども社会党の意見を申し上げたいと思います。  日本社会党といたしましては、今回の、特に東海道新幹線工事につきましては、国鉄の輸送の隘路を打開し、また国内産業復興のために非常に大きな期待を持つものだと思います。従って、この東海道新幹線工事の完遂を早期実現することが最も必要である点について、次のような諸点については、特に考慮をしてもらいたいと思うわけであります。  それはまず第一に、この計画が、途中で挫折しないこと、従って、そのためには資金調達あるいは人員の配置等のすべての点について、計画性をもって完成をしてもらいたい。それから第二の問題は、この東海道新幹線の工事をやるがために、他のもの、一般の国鉄の業務がなおざりになっては相ならぬ。従って第一次五カ年計画の四年目を迎えておる今日でありますから、やはりこの五カ年計画は完成をされ、しかも国民の負託にこたえ得るような改正をとることが必要である、こう思うわけです。従って以上のことを実行するために、政府提案にかかる本法律案については賛成をいたすものであります。  そこで、以上の諸点を申し上げまして、付帯決議を提案をさせていただきたいと思うわけでありますが、委員長から御了承をいただければ、付帯決議の案文を朗読いたしたいと思います。
  45. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 付帯決議案の案文を朗読願います。
  46. 相澤重明

    相澤重明君 日本国有鉄道は、五カ年計画実施四年目を迎え、さらに東海道幹線増設工事の早期実現の必要に迫られている。又国鉄財政の現状は、真に憂慮すべき事態にある。よって政府並びに国鉄当局は、左記事項につき善処すること。  一、五カ年計画の完全実施と東海道新幹線の早期完成をはかること。  二、国際復興開発銀行からの外資導入については、国鉄の自主性がそこなわれることのないよう措置すること。  三、政府出資の実施並びに財政資金の貸付条件の緩和等の措置をはかること。  四、合理化に際し利用者に対するサービスの低下を来たさざるよう考慮すること。  五、業務量に応じ要員の適正なる配置を行なうこと。  以上であります。
  47. 江藤智

    ○江藤智君 私は自由民主党を代表いたしまして日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対し、ただいま相澤委員の御提案になりました付帯決議を付して、賛成をいたすものであります。
  48. 中村順造

    中村順造君 私は、日本社会党を代表いたしまして、この提出されました法案につきまして、ただいま相澤委員から読み上げました付帯決議をつけて賛成をするものであります。  この際、私は昨日来の論議から見まして、理事の問題、あるいは外資導入の問題、若干の問題はあろうかと存じますけれども、先ほど私が申しましたように、やはり国鉄は、国民のもので、国鉄の公共性を尊重するという立場から、これらの問題を含めて十分今後配慮されることをお願いして、賛成をするものであります。
  49. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 他に御発言もなければ、これをもって討論を終局し、採決を行ないます。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  50. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 全会一致と認めます。  よって、本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、先ほどの討論中にありました付帯決議案について採決を行ないます。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  51. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 全会一致と認めます。  よって、本付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書作成等につきましては、委員長に御一任願います。  運輸大臣より、発言を求められております。これから許します。
  52. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきましては、当委員会におかせられまして慎重御審議の上、ただいま可決されましたことは感謝するところであります。  ただいま、この法律案に関し、付帯決議がございましたが、運輸大臣といたしまして、この御決議の趣旨を尊重いたしまして、適当なる措置を講じて参りたいと存ずる次第でございます。どうもありがとうございました。
  53. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 吾孫子副総裁から、ごあいさつがございます。
  54. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいまは、大へん御理解ある御決定をいただきまして、ありがとうございました。また、深い御認識に基づいた付帯決議をいただきました。これをできる限り全力をあげて、御趣旨に沿うよう努力いたしたいと思います。どうもありがとうございました。   —————————————
  55. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  56. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を起こして。  それでは、次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。  質疑を継続いたします。
  57. 白木義一郎

    白木義一郎君 私も昨日、小委員会委員としてトラック状態視察して、非常に、相澤委員あるいは大倉委員等と感を深くしたわけですが、このやみトラックあるいは白ナンバーのやみタクシーの発生については、先ほど運輸大臣需要供給関係から起きてくると——ここに大きな原因が私はあると思うわけです。  そこで、局長の今までの答弁を総合いたしますと、何らかの取り締まりの面で、きびしくこの問題を取り扱っていこうと、こういうような御趣旨を承っているわけですが、これはもちろん、現行法を忠実に守らしていかなければならない問題ではありますが、この自動車行政については、根本的な考え方をいたしませんと、大衆に大きな関係があり、また、業者あるいはこれから商売をやりたいというような非常に大多数の国民に、深い関係のある問題なので、根本から行政面を考えていかないと、非常な大きな社会問題になるおそれがあると思います。  で、私は先ごろから、いろいろな面から、この自動車の営業免許については、個人に権利を返すべきだと、絶えず叫んでおることは、御承知のことと思いますが、そこで、運送法の改正にあたって、やみタクシーあるいはやみトラックを取り締まっていかなければならない。このことについては、いろいろ議論もあると思いますが、やはり何らかの形で取り締まっていかなければならないと思いますが、もう一つ、現在の状況では、過去の法律をもって、これを取り締まらんとする考え方に、多少無理が出てくるのじゃないかと思うわけです。そこで、昨日気がついたのは、トラック業者の協定料金、この協定料金が、現在やみタクシー、やみトラックによってくずされているわけです。あるいは需要供給のアンバランスから、この白ナンバー営業が起きている、私は、このように解釈をする次第でございますが、そのやみ営業を取り締まらんとして道路運送法改正しよう、それだけじゃなくて、一方、ここに、これから起きるであろう既存業者への増車あるいは新免許者への増車、これは、この取り締まりの面について、やはり対策を講じておかないとならないと思うのです。  そこで、増車を完了した暁には、この道路運送法によって、やみトラックあるいはやみタクシーを撲滅しよう、こういう当局のお考えですが、そういうことになりますと、ますますタクシーあるいはトラック営業権というものが、だんだん大きく評価をされてくると思います。現在タクシー一台が二百万円あるいは二百五十万円というようなやみ相場をうわさされておる営業権が、ますます将来拡大をされてくる、そこにやみタクシー取り締まりと並行して、会社の合併問題、いわゆる新免会社が、この際に増車を獲得して、ある台数を得た、そうして営業を始めた、同時に一台二百万円あるいは二百五十万円というような営業権をそっくり既存会社へ合併さしていくというようなことが起きる心配があると思うのであります。その面の取り締まりについて、どのような局長はお考えがあるか、お伺いをしたいと思います。
  58. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 白ナンバータクシーなり、もぐりトラックなりが、しょうけつをきわめて参りますことは、需給のアンバランスにあるということ、これはわれわれも認めておりまして、今後、東京等におきましても、先ほどから申し上げておりますように、二千八百両の措置に引き続きまして、また、タクシー等については増車措置をとるべく、自動車運送協議会への諮問を進めるというような考え方でおる次第でございますが、今、最後に白木先生のおっしゃいました会社の合併等の場合、運輸省措置というものに関しましては、ナンバー代二百万円とか申しておりますが、現在、東京におきましては、こういう認可されました自動車を切り売りするというようなことは認めておりませんので、会社が全体として、従来持っていた株主の手から他の株主の手に移るということがございますが、この場合に、あるいはある程度のプレミアムがついておるのではないかと思いますけれども、こういう会社の株主が移動するということにつきましては、現在の会社法から申しますと、これを阻止することはできないわけでありまして、これらの点に関しましては、われわれの方としては力が及ばないのでございますが、たとえば免許申請審査のときにも、十分その申請者が、将来とも自己の手において、まあ十分道路運送法を守って業務を遂行していくかどうかということは、でき得る限りわれわれとしては、審査をしておるわけでありますが、現在既存の会社の株式が株主の手から株主の手に渡りまして、会社の合併等の申請がございました場合には、まあ大体従来非常な違法行為のない限り、会社の合併は認める、しかし会社のたとえば三十両なり四十両なりの両数を認可されております会社が、その半数の十五両か二十両なりだけ切り売りをするということに関しては、これは認めない、こういうような方向で、われわれとしては考えておるのでございます。
  59. 白木義一郎

    白木義一郎君 その点が、実は私は心配するわけですが、個々の切り売りの場合は、当局として認めない。しかし株式の譲渡あるいは合併については、これを取り締まる方法がない、こういうようなことになりますと、大ぜいの個人タクシーを営業する希望者が多いさなかに、既存業者あるいは新免業者増車免許を下す、その会社が、そのままそっくり大会社へ買収合併されるようなことがあれば、これは個人タクシー希望している一般運転手が、どうしてもおさまらな。気分的にも、自動車行政というものに対して非常に不満を持ってくることはやむを得ないことと思うわけでございます。  そこで、需要供給のアンバランスということから考えますと、このトラックにしろ、あるいはタクシーにしろ、協定料金というものが長い間定められてきました。また営業権免許についての歴史的な推移については、私は詳しくありませんが、国鉄などの例から言いましても、国鉄さんは、遠距離逓減法あるいは暇なときは、安い料金で団体輸送をする、こういうような幅を持っておるわけですが、タクシーについては、逆に大阪等においては、深夜になると高くなる、あるいは遠くへ行くと三割増しになる、あるいは運転手の都合によっては、乗車拒否もできるというような、非常に矛盾な点が出てきて、それが結局バランスをくずして、そしてタクシー、あるいはトラックはもうかるものなり、あるいは大衆も安い料金の方がいいというわけで、いわゆる違法という問題が起きてきているわけで、ここに過去の社会情勢と、現在の社会情勢の比較から起こる、いろいろな法律の矛盾が起きてきていると私は考えるわけで、この点、取り締まりを強化することによってこの問題を解決しようとしても、このもぐり、あるいはトラックタクシーというような問題は、当分解決の見込みはなく、社会不安を増大していくのではないかというのが私の見通しですが、そこで新免業者申請については、前法務大臣の花村さんが社長として申請をしているとか、あるいは川口松太郎氏が社長となって申請をしているとかいうようなうわさも聞きながら、個人タクシーの営業を望む、将来の保障のない運転手諸君は、いつもせんせんきょうきょうとして、自動車行政を見守っている。現在の状態で言えば、取締まりを強化されるばかりで、大資本はどんどん太っていく。あるいは新免の会社は、許可を得ると同時に、それをプレミアムつきで大会社へ売り飛ばして、その利ざやをかせぐこともできる。  こういうようなことは、国民としてどうも片手落ちである。少くとも運送法をもって、やみタクを取り締まるならば、このような業者の不当行為についても陸運当局は、はっきりとした取り締まりの態度を明らかにしながら、この問題を進めていかなければならないと思いますので、その業者会社株式の譲渡あるいは合併という問題について、自動車局長は、何らか白ナンバータクシーに見合う取締まりの考えをお持ちになっているかどうか。この点を伺っておきたいと思います。
  60. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 私どもとしましても、会社が、運輸当局の免許をしました意図とは違いまして、免許されましたときと違った運営をされていきますようになりますことは望ましくないと考えておりますので、まあ、そういうことのないように、今後も指導していきたいと思っておりますが、会社の合併とかあるいは株式の譲渡とかというようなことに関しましては、会社法等の関係もございますので、これらの点に関しては、今後私どもとしても検討を加えて参りたいと考えております。  それから運賃に関しまして、深夜割増料金の問題とか、遠くへ行くと高くなるとか、あるいは乗車拒否とかというような問題もお述べになりましたが、こういう問題に関しましては、運賃に関しては、たとえば東京の運賃体系と大阪の運賃体系とは異なっておりまして、これらの点におきましても、たとえば大阪の深夜メーターの廃止論というのが出ておりますが、これらの問題に関しましては、いろいろと批判もありますので、現在大阪の方に検討するように申しておるところでございます。まあ遠くへ行くと高くなるということは、現在の運賃体系ではないわけでありますが、乗車拒否等がもしありとすれば、たとえば一日の走行距離の最高限度をきめておるのでございますが、それらの走行距離がぎりぎりのところまできておるタクシー運転手は、そのお客さんを運ぶことによって、走行距離を越えてしまうことがあるというような場合には、お断わりすることはあると思うのでありまして、これらの点に関しましては、それは断わらずに乗せた方がいいじゃないかという問題もございますが、ただ、それを無制限に許しますと、もう走行距離の最高限度をきめておる理由がなくなってしまうというような点もございまして、やはり神風タクシーを復活するようなことは、われわれとしては望ましくないので、走行距離の最高限度というものは守らしていきたい。こういうふうに考えておりましてそういう方向指導しておるのでございますが、今先生のおっしゃいましたようなことについては、今後検討を加えていきたいと思っておる次第でございます。
  61. 白木義一郎

    白木義一郎君 私としては、当局にですね、実際の実情をよく認識した上で、だれもが納得するということは、なかなかむずかしい問題にしても、それを望んで、事を運んでいっていただきたいと、こういう気持で申し上げているわけでございますが、このやみトラックの発生についてもですね、現在までは、トラック業界が一方的に、運賃の料金協定をしておる。これは過去の統制経済の遺物のような気がしているわけです。そこでトラックが足りない、輸送に不便である、そこへ安い料金で運送してくれるものが来た、じゃさっそく、安かろう、よかろうというわけで、もぐりトラックが発生してくるというようなことも、行政面において担当されておるあなたが、深く考えてやっていっていただかなければならないと思うのです。  ぜひとも白タク取り締まりと同時に、業者の違法に対する取り締まり、現在の法律では、違法にはなりませんけれども、今度の増車に限って、どうしても既存業者と新免と、それから個人タクシーに、公平に増車したいという線を当局はくずさないような現状なので、そこで新免会社、あるいは赤線、青線の転向業者が、新免会社として申請した場合に、増車されると、そのままそっくり、大きな会社へプレミアム付で売り飛ばすということが、実は私の住んでいる近所に昨年あったわけです。十台ばかりのタクシーが、いつの間にか、近所へ会社を作り、きたない板べいで、ろくすっぽ車庫もないようなタクシー会社ができて——実は私の家では、非常に便利をしたんですが——それがいつのまにか姿を消して、大きな会社へ吸収されている。片方で、個人タクシー審査が、遅々として進まない。片方で、いつのまにかタクシー会社ができて、またそれが、あわのごとく大会社へ吸収されているということが、目の前で行なわれている以上は、私としても、この問題に真剣にならざるを得ないわけですから、どうか一つ会社の合併から起きる権利の譲渡、これは別に陸運当局から権利を買ったわけじゃない、ただもらう権利ですから、それをプレミアム付で売るというようなことに、そこからいろいろ大衆は疑惑を持ち、行政について、不安と不信の念を、どうしても起こさざるを得ないということも、一つ考慮されて、あくまでも、不信を買わないように、また大衆の希望を裏切らないような考えでもって、行政に当たっていただきたい。  もう一度、株式譲渡という合法的な面から起きる心配、これについてお尋ねをしておきたいと思います。
  62. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 既存業者に対しまする関係におきましては、監査というのを励行しておりまして、特に今度の増車等に関連いたしまして、特別監査を各社について実施いたしまして、違法行為のあるようなもの、あるいは望ましからざる経営をしているようなものについては、増車の場合にも、十分その点に、検討を加えた考慮をして、増車、あるいは増車をしない措置を講ずるというふうに考えております。  監査は、毎年やっておりますが、特に東京におきましては、さらに要件を加えた監査をいたしておるのでございますが、今の株式譲渡その他につきましては、先ほどから申し上げておりますように、全般的には株式の譲渡等は、これは株式会社の特質といたしまして、これを禁止するとか何とかいうことはできないのでありますが、今度の新規免許等におきましては、やはりそういう点、たとえばプレミアムをつけて、免許された会社の全両数を売ってしまうというようなことは、これは私どもとしても、非常に望ましからざることと思っておりますので、これらの点に関しましても、ある程度の措置をやはり研究しなければならないと考えておりますが、その一つの方法といたしましては、たとえば免許をいたします場合に、三年間の期限を付する、で、三年間で譲渡するとか、そういうたぐいのことが起りましたら、それはそのまま、期限が来ても失効してしまう、こういうような形のことも考えられると思いますので、それらの点は、今後免許をいたしますときに、十分考慮した上で措置をいたしたいと考えておるのでございます。
  63. 白木義一郎

    白木義一郎君 新設会社免許については、その内容調査には、正確を期することは非常にむずかしいだろうと思うのです。一定の申請条件を備えてくれば、ある程度の会社には増車をせざるを得ない。  そこで、会社ができて、増車された。そうして、すぐそれが、いわゆる株式の合併譲渡という形で、既存業者が吸収していくというようなことは、現行法でもっては、絶対にこれは防げない。それと同時に、片っ方では、個人タクシーの許可については、三年間に、その免許を譲れない、営業権を譲れない、あるいは子供へも、その権利を譲渡できないというようなことも聞いておるので、非常に不公平な扱い方という点を感ずるわけですが、一つぜひ、個人タクシー会社との取り締まり関係について、私も研究を続けていきたいと思いますが、ぜひとも一つ当局でも、慎重に研究を重ねていっていただきたい、このように望んで、私の質問を終ります。
  64. 国友弘康

    政府委員国友弘康君) 今、三年と申し上げましたのは、個人タクシーについて三年でありますが、個人タクシーについてのみならず、新規免許会社等についても、そういう措置考えておるのでございますが、さらに、こういう公平な扱い、不信を買わないような行政措置ということについては、私どもも十分考え措置をしていきたいと思っております。
  65. 中村順造

    中村順造君 昨日の当委員会で、国鉄の東北線電化につきまして問題があるということを指摘をいたしまして、最後に相澤委員から、その点について、国鉄当局から資料を一つ出してきょうの委員会で報告をせよ、こういうことになっております。多くの時間は要しないと思いますが、国鉄から一つ資料を出していただきたいと思います。
  66. 中村卓

    説明員中村卓君) 昨日、御質問のございました東北線の福島までの電化につきまして、当方で一応調べましたことにつきまして、御報告申し上げます。  福島地区の電化につきましては、大体本日、三十日に開通式をやるということで、いろいろと準備を進めて参ったわけでございますけれども、たまたまあそこで使います交流の電気機関車につきまして、若干故障が今まで多かったというような点がございまして、非常にわれわれとしては遺憾に存じておるわけでございますが、これに対しましては、片方におきまして、メーカー及び郡山工場で、非常に修理を急いでいると同時に、しばらくの間は、一部の貨物列車につきましては、蒸気機関車で牽引するというようなことを考えまして、できるだけ余裕を持った電気機関車の運用をやろうというふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つ、それに関連いたしまして、いろいろと労働関係で問題があったわけでございますけれども、これも幸いに、今暁、統括制御につきましては、五月末日までは、別に一名の機関士を乗務させるということで、労使の間に妥結を見まして、一応紛争は解決したわけでございます。  そういうことで、一応本日は、すべて故障ある機関車は別といたしまして、開業式は無事に済んだというふうに考えております。
  67. 中村順造

    中村順造君 私は、今の説明聞きまして、あなたはきのうの委員会を、どういうふうに認識されておるか、それをちょっと疑わしくなったんですがね。少なくとも交流の機関車については故障がある、しかも、これはよそから持ってきた機関車じゃない、新しく何千万という金を使って国鉄が購入した機関車なんだ、それが一回も使わずに、どんどんと次から次に故障していくというから問題になったんで、その点の資料を出してもらいたいと、——私は私なりに、ここに持っておるわけです、持っておるが、これは、私の認識であって、おそらく天下に通用するかどうかわからんから、権威のある国鉄から、その点に関する資料を出せと、こういうことになって、委員長も、その点は確認されておるわけです。もう少し具体的に、どの程度の内容で、どの程度になったか、具体的にここで説明して下さい。
  68. 中村卓

    説明員中村卓君) この交流の電気機関車につきましては、実は国鉄といたしましても、相当慎重を期しまして、昨年三両試作をいたしまして、相当実地的な試験をやって、いよいよそれでいいだろうということで量産に入ったわけでございます。ところが、今まで北陸線の電化なんかのときに使いました電気機関車につきましては、いわゆるイグナイトロンとかなんとか、いわゆる整流器に問題があったわけでございますけれども、今回はそういうことでなく、ごくわずかと申しますか、むしろ、ふだん気がつかないような、メイン・トランスとかいうところの絶縁状態が悪かったということがおもな故障の原因のようでございまして、これにつきましては、私どもも製作監督、あるいはまたメーカーの方も、設計なり何なり、工作なりという問題が、いろいろあろうかと存じますが、とにかく、現在のところ二十九両、今日現在で配置がございまして、そのうち七両が故障で休んでおります。先ほど申し上げましたように、三十一日——明日には、一応これが三十二両になるという予定でございますが、やはり故障両数が、七両ないし八両あるだろうということを前提といたしまして、とりあえずの計画は組んでいるわけでございます。
  69. 中村順造

    中村順造君 きょうは、先ほどお話がありましたように、この東北線の電化が、宇都宮から福島まで開通して、地元では当然、非常に画期的なことであるということで、たまたま今の時間で祝賀会をやっているわけです。それから、国鉄当局としても、開通式を盛大に挙行されて、非常に意義のある日なんです。しかも、この宇都宮から福島まで交流電化で成功したと、こういうことで、非常に対外的にも、しかも国民も、これに対しては重大な関心を持っておる。  しかし、国内でそういうふうに、非常に意義のある催しがいろいろ催されておるけれども、私の心配しておるのは、その内容です。国鉄の経営の全体の内容が、それに、国鉄が実際に、開通式おめでとうと言うまでの内容になっておるかどうか。これは将来もあることです。いわゆる近代化、合理化、いろいろ電化が、どんどん進んでいくが、将来もあるから私は心配するんですが、内容が伴っておらん。そういう今までのような考え方で、ただ開通式をやれば、おめでとう……。開通祝賀会をやれば、おめでとう……。そういうことでなくして、ほんとうに国民の——先ほども私が申し上げておるように、国民のための国鉄とするなら、内容の伴ったものにしなきゃならん。あなたの今の説明で、二十七両中何両かと、こういうことです。  私は、その数字をとやかく申しませんけれども、少なくとも普通の常識からいえば、新しく購入した機関車が、それほどに——三分の一に及ぶほども購入したものが使用不能になる、しかもその原因はわからん、きょうから電化の開通を行なう、内容は、蒸気機関車がまだ走っておる、こんな不細工な格好で、電化が完成しましたと言う、その国鉄の感覚に、私は疑わしいものがあるという…。私はここに資料を持っておるが、故障の機関車は、明らかに初めから故障だとして使わないのなら、まだ影響は少ないと思うのです。その機関車が、完全なものとして使っているところに、認識の問題がある。三月一日から今日まで——何日までですか、三月の一日から三月の二十一日まで、これを完全なものとしてあやまって使ったために、救援列車を八回運転しておる。その間に、お客さんはどれだけ迷惑をしておるか。これはただ電化という、はなばなしい陰に隠れておるからこそ、それが表面に出ないのです。それを本委員会の資料を出せといえば、その具体的な数字は言わずして、ただ、遺憾でございます、今後研究します、イグナイトロンがどうだ、こうだと言われても、それは皆さんわからん。国民にも、それはわからんわけです。  そうでなくして実際に、ここには故障がある。おそらく国鉄の営業なり、運転という常識からすれば、非常に膨大な事故件数であり、しかも故障件数である。このことに将来とも問題がある。  私はただ、この福島の東北線の問題だけをとらえても、こういう不都合がある。かつて交流電化を国鉄が、はなばなしく打ち出したときに、北陸線でまだこの何倍かのことがあったといわれる。私は、当時議席を持っておらないから、こういうふうな場面で、私はこのことを発表することはできなかったけれども、今日は、もう少し国鉄は近代化、合理化し、しかも国民が、それに対して大きな期待を持っておるのでありますから、それに忠実に、その期待に沿うような努力が、誠意がなければならん。ややもすれば近代化、合理化すれば、職員の労働条件を圧迫したり、あるいは不必要な節約に名をかりて、不必要ないわゆる圧迫を加える、こういうことが表面に出るだけであって、真に国民の国鉄の経営として、私は完璧でないということを指摘しておるわけです。この点に対して、あなたは国鉄の常務理事として、どういう考え方でおられるか、もう一回お答えを願いたい。
  70. 中村卓

    説明員中村卓君) 先ほど、ちょっと御説明申し上げましたように、本問題につきましては、北陸線の前例がありますので、非常に慎重に計画を組んだわけでございます。昨年三両の試作をいたしまして、これを、いろいろとテストいたしまして、これならもう大丈夫だろうという一応の技術的な自信を得た上で、いわゆる大量生産に入ったわけでございます。  ところが遺憾ながら、実際に配置して使ってみますと、先ほど申し上げましたように、主要なところではございませんが、案外気がつかなかったような、メイン・トランスの絶縁が悪いとかいうようなことがおもな理由で、故障車が続出したということは、まことに申しわけない点でございまして、この点につきましては、われわれの方の製作監督あるいはメーカーの方の工作、設計という面に、いろいろな問題があろうかと存じますので、ただいま調査中でございます。  われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ慎重にやろうということで、試作までしてやったわけでございますけれども、遺憾ながら、その結果が、実際に量産に入ったときに、思わしくなかったということでございます。この点につきましてはまことに申しわけないと思っておる次第であります。  今後につきましてもできるだけこういう新しい動力車——特に動力車を入れる場合におきましては、十分慎重に研究もし、またあるいは試作もして、国民に御迷惑のかからないようにしていきたい、そういうように考えておるのであります。
  71. 中村順造

    中村順造君 それでは最後に私は、国鉄当局に要望しておきますが、私の聞いた範囲では、この種のメイン・トランスの故障の問題は、原因がつかめない、こういうお話です。国鉄には、相当な技術陣を持ったスタッフがあるのですが、原因がつかめない。ほぼ大体今の時点において判断をするなら、こうではなかろうかということが、大体八〇%ぐらいの確信を持てる程度だ、こういう話を聞いておるわけです。  そこで福島機関区に配属になった機関車だけで、私はメーカーによって異なるのかということを一応頭に入れたのですが、そうでもないらしいのです。三菱で三両納めたうち一両が動かない、それから日立で九両納めたうち三両が動かない。それから東芝で十両納めたうち四両動かない。これは三月二十日ごろまでの資料ですけれども、いずれにしても、膨大な費用をかけて、くどいようですけれども、近代化、合理化ということについては、多くの国鉄の費用を使うわけですから、それが、そういうふうに工作上の欠陥か、あるいは製作上の欠陥かわかりませんけれども、こういう実質、もう三分の一以上の不良個所がある、こういう実態からみて、早急に国鉄は、その原因を早く発見をして、そうして列車が途中でとまるとか、救援列車を運転しなければ動かない、こういう国民に迷惑の及ぶことのないように、すみやかにこの対策を検討して、対策を練って、そうして、そういう不都合のないようにせられることを私は最後に要望して——これは将来実績も残ることでありますから、もし将来問題があるなら、再び私は国鉄に、この問題について、あなたの方に質問しようと思います。
  72. 中村卓

    説明員中村卓君) ただいま中村先生の御注意、まことにごもっともでございまして、私どもも、ぜひそういうふうな趣旨に従って、今後も慎重に、この問題については当たっていきたいと思います。   —————————————
  73. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 次に、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。    〔委員長退席、理事江藤智君着席〕
  74. 小酒井義男

    小酒井義男君 ただいま議題にされました外航船舶の利子補給の問題につきましては、数年前に、非常に大きな問題を起こしたものでもありますし、また、これだけ巨額の財政投融資を行ない、あるいは利子補給まで行なうということについては、国民の中には、いろいろ私は割り切れぬ感情を持っている人があると思うのです。現在国としても、やらなければならぬ仕事はずいぶん多いわけです。国民としても希望しているものが実現しない、そういう中で、相当多額の予算が私企業の、特殊な性格は持っておりますが、事業の利子補給として使われることになるのですから、私は納税者である国民の納得が得られるような説明がぜひ必要だと思うのです。  そういう立場から、二、三質問をいたしますが、わが国の外航船舶による外貨の収入というような点で、この利子補給が行なわれている額と、そうして国として得るところの、そういう利潤、利益ですね、そういうものについて、少しわかりやすく、こういう事情があり、これだけの外貨を運賃収入によって得られているというような関係から、これだけのことが必要だというように、一つわかりやすく説明がしていただければ、非常にありがたいと思うのです。
  75. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) ただいまの御質問の御趣旨、まことにごもっともと存ずるのでございますが、御質問の趣旨に沿いまして、お答えをいたしたいと存じますが、今申されますように、利子補給、三十五年度の予算として四億五千万円程度計上しているのでございますが、これにつきましては、私どもといたしまして、日本の海運というものが、貿易及び産業に非常な関連を持っていることでもございまするし、また海運自身が、戦前におきますような、商品貿易じりの赤字を補てんして、なおかつ余りがあったというような、国民経済上、果たします役割につきましても、非常に大きな意味を持っておるものでございますから、そういう機能を早く、戦前のように、国民経済に対して貢献をしてもらいたい、こういうふうに考えているのでございまして、今までの状況からいいますというと、海運だけの国際収支から眺めまするというと、きわめて戦前の姿と、ほど遠いものがございます。昭和三十一年、三十二年度におきましては、海運関係の国際収支からいいまして、運賃だけでも二億六千万ドル程度の赤字を出しておるような状況であります。  この原因は、貿易の伸びと、日本商船隊の整備のスピードとが合っていないという、なお船舶が、そういった貿易、産業の伸びに対応していないということを表わしておるわけでありまして、日本海運で積み取ります比率が、外国船と比べて、なお劣勢であるということから、国際収支のバランスは赤字になっておるような状況でございます。  これに対する対策としては種々ございますけれども、まず貿易の伸びに対応した日本商船隊の整備ということは、国民経済上からいいましても、なお今後続けていかなければならないと考えるのでございますし、また一方、この委員会でも御指摘がありますように、三国間の輸送を積極的に促進いたしまして、純粋の外貨獲得と、日本海運の伸長に資したいと、こういうふうに考えるのでございます。  また、こういった意味で私どもが、海運が、国際競争に立ち向かって十分競争に耐えていくためには、海運企業みずからの真剣な努力ということが前提でございまして、過去におきまして、ここ一昨年以来、私どもは経費節減を主軸にいたしますところの企業の合理化に対しまして、相当峻厳な態度で臨んでおるのでございます。こういった企業の特殊性といたしまして、国際的に自由な商業活動を要請されておりますような企業に対しましても、種々、こういう行政の締め方ということについては問題はございますけれども、今、御指摘になりましたような国内世論の批判というようなことも、私どもは頭に十分置きまして、言いずらいことも、強く主張をして、海運企業のみずからの力で立ち上ってもらいたいというふうに、方策を進めて参っておるような次第でございます。  最近の貿易の自由化とか、あるいは鉄鉱石の製鉄所側で、石炭の専用船を、輸出船として外国の船主に注文させて、それを日本の製鉄会社が用船をすれば、採算運賃は、非常に日本の国内で建造されまする計画造船よりもコストが安いというような事態が現われてきておるのでございまして、日本海運に頼らないで、むしろ外国船として日本に注文をして、それを製鉄所が長期用船をするというような形で、日本海運に依存しない方が、経済ベースからいうと、鉄鉱の合理化なり、コストの低下にもなるというような状態では、国際競争に明らかに負けていくような現象が、端的に昨今現われておるような状態であります。私どもが輸出船としてアメリカあたりからの注文を受けて、日本の造船所が作りますところの船の金利の負担の率を眺めてみますというと、輸出船につきましては、平均金利が五分一厘六毛というような状況であります。ハンプトンローズというところから石炭を積み出しまして日本へ持ってくる、約九千九百海里、およそ一万海里に近い輸送距離を通して運ばれている製鉄所の石炭の運賃ということでありますから、このコストダウンにつきましては、製鉄所側の合理化の上において運賃ということが、非常に大きなウエートを占めてくることは申すまでもないのであります。従いまして経済ベースから見ますと、日本海運に頼るよりも——、むしろ採算運賃はそれで低くて、現在八ドルくらいしております運賃が、七ドルを切れる、六ドル九十か六ドル八十くらいでやれるというような現象が出てくるのでございます。計画造船で参ります、市中金利で利子補給をいたしましても、九億五千万円では七分五厘までしか低下しないのでありまして、開発銀行の金利は御承知の通り六分五厘でございますから、平均金利負担は七分一厘になるわけであります。輸出船で五分一厘六毛と比べますと、約二分の金利の差というものが採算運賃で日本海運が競争できないというような事態がはっきりと現われてきておるような次第であります。大体私どもの計算をいたしましたところによりますと、金利一分違いますと、ハンプトンローズから日本に参りますところの採算運賃は、金利一分について二十八セント程度違うわけでございます。従いまして今申し上げますように二分の差が出て参りますと約五十六セント、六十セント足らずの採算運賃において競争に立ち向っていくことができないというような状況でありますので、しかもまた外国の各国の制度は、アメリカ、フランス、西独、イタリーというような各国ともに海運に対しましては、国際競争という特殊な場で行なわれます海運に対する特殊の助成をいたしておるような状況であります。従いまして日本の海運企業が戦後借金造船で今日まで参りまして、まことに企業体質の脆弱性を露呈いたしておりますのは、一にこういった借入金だけで新造船が今日まで続けられてきた。しかもその船舶は国民経済上重要な役割を果たしておるのであります。こういった各国の助成策と対応いたしまして、国際競争力付与のためには、企業みずからの努力を前提といたしまして、私どももこれに対して必要な助成措置を講ずべきである、またこれに対して金融機関が相当多額の設備融資をしておるのでありますから、金融機関にも協力を求めまして、三者三様の努力をもって日本の海運企業の国際競争力を広げて参りたい、こういうふうに考えておるのでございます。先ほどお尋ねがございました、大体日本の海運が運んでおります貨物の量は、約四千万トンでございます。輸出、輸入、三国輸送を合わせまして四千万トンでございます。その運賃は四億二千万ドル程度でございます。    〔理事江藤智君退席、委員長着席〕  以上のような趣旨で、私どもは国際競争力強化の上から見て、日本の貿易なり産業なり、日本の経済全体がこれによって強くなっていくというような観点からして、利子補給の復活をここに考えたわけでございます。
  76. 小酒井義男

    小酒井義男君 実はきょうは私は、この法律案について質問をする予定をしておりませんので、こまかい資料に基づく数字等については、あらためて次回にお尋ねをしたいと思いますから、総括的といいますか、質問にとどめておきますが。  次に、利子補給を昭和三十二年度から四年度までに建造された船舶をも対象とするということになったその理由ですね、これを一つ御説明願いたいと思う。
  77. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 御承知のように、計画造船の十三次、十四次、十五次というものにつきましては、利子補給を停止いたしておったわけでございます。今回これに対しまして利子補給をするということを考えましたのは、当時スエズ動乱で非常にブームがあって、その際に法律上は利子補給をしなければならないのでございますけれども、これだけ好況が現出して、海運企業も現行法の第十二条、十三条にいいますところの企業内容が改善されて参って、ある一定の率の利益をあげますと利子補給はしないことになっております。また十三条には、ある一定の利益率以上に決算の利益を計上しました場合には、これはその当期の利子補給はもちろんのことでありますが、過去に受けた利子補給も国家に返させるような制度になっておるわけでございます。そういうような事態が現われましたので、当時いろいろ問題がございましたが、政府としては利子補給をしないということで、形は海運企業あるいは市中金融機関から辞退をするという形をとったのでございますが、私どもとしてはそういうときには利子補給を遠慮してもらう、ただこの法律制度の上からいいまして、将来海運が不況になれば、もちろんこの制度の運用をするのだというようなことになっていたのでございます。そこで今度改正法律案によりますと、十三次から十五次までの分につきまして、利子補給を行ないます理由は、十三次から十五次までで約八十万トンばかりでございます。その内容も現在ニューヨーク航路あるいは欧州航路にわたりまして、日本海運にとって最も重要であり、かつまた国際競争の激しい定期航路に就航している高速定期船というものを初めといたしまして、優秀商船隊というものでございますので、国際競争力の観点からもちろんでありますが、海運企業の基盤強化の面からしても、これらの船舶について利子補給を行なうことが必要である、こういうふうに考えたものでございますので、法律に、はっきりとそういうことを規定をいたしたような次第でございます。
  78. 小酒井義男

    小酒井義男君 この好況時代の海運会社ですね、これはこの株式に対する配当などはどの程度しているんですか。というのは、それ以前、とにかくずっと計画造船があるわけですね、ところが財政融資にしても市中融資にしても、一向減っておらぬですね、表から見ますと。これは私の手元にあるのは昨年の九月三十日現在の融資総額残高という表があるんですが、これが減っていないんですよ。好況時代になぜもう少し融資を返すようなことができなかったものかどうかという気がしますから、私はそういう点をお尋ねしておるわけです。
  79. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 当時相当やはり減価償却等は、特別償却も含めましてやっていたのでございますが、もっと厳格にいって新船の建造よりも、好況においては、むしろ内部留保を厚くすべきでなかったかという御議論であろうと思うのでございますが、確かにそういう面は、私どもとしても考えなければならなかった問題と思うのでございます。ただその際の国際海運の動向からいたしまして、なお船腹の整備が必要であり、しかも先ほど来申し上げますように、国際収支の面からいいますと、そういった好況のときに外国船に支払う運賃の絶対額というものは、非常に膨大なものになって参りまするし、また日本商船隊の持っております船腹の量からいいましても、積み取り率が非常に下がってくるのは、貿易量がやはりそれだけ増大をしておった時期でございまして、そこでやはり設備投資になお使われた、しかし一方において償却も当時は、相当特別償却も含めて実行されたということでございますが、私どもとしては今御指摘のように、その際に内部留保を相当多額にやるべきでなかったかという議論に対しましては、考えなければならなかった問題であるというふうに率直に考えておるのでございます。
  80. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは外航船舶が不足で、今後も計画造船が続くことになると思うのです。従って返還がされないまま、さらに融資がそれに累増をしていくという傾向が、今後まだ続くんじゃないか、私はそういう心配があると思うんです。そうしてまたそれに並行して利子補給というようなことが続いていくと、国の財政の上にもいろいろまた影響が大きく膨張していくというような危険性が出てこないかどうか、そういう点はどうなんですか。
  81. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 今の御指摘の点は、確かに海運政策の大きな問題でございまして、昨年御承知のように、各方面で海運政策を論議されたときにも、大体どの対策案を拝見いたしましても、大体三つの柱を立てておられたように記憶するのでございますが、まず第一はやはり企業基盤の強化ということ、第二点は新造船のあり方、第三番目には船質改善というスクラップ・アンド・ビルドの問題でございますが、大体この三つの点が政党、経済団体、各種の審議会、協議会で提唱されました海運対策案を拝見いたしましても、大体そういうところに言及しておられるのでございますが、今の御質問の点は、その三つの柱のうちの新造船のあり方の問題でございます。私どもは従いまして、今日こういった従来の新造船方式というものでいいかどうかということも、きわめて活発に議論をされたのでございますが、一時企業と分離して、公団といったようなあるいは政府機関のようなもので船を作って、国民経済の要請に応えていくべきである、企業がこれ以上悪化するような新造船というものは、一つ別に切り離して国民経済に応えるべきだという考えも一部にあったのでございます。事実また私どももそういうような考え方を、昨年のある時期においてはしたのでございます。しかしながら各方面の意見を承り、また運輸大臣の諮問機関でありますところの海運造船合理化審議会の御答申によりましても、これはやはり世界の自由企業である、しかも国際的に自由な活動を本旨とする海運業に対してはとるべき方法でなく、企業みずからやはり責任を持って、企業の責任において建造をするということが、適当であるという結論を答申されているようなわけでございます。またそういう際に、それでは今後の新造船は、企業みずからが建造する場合におきましても、これ以上債務の負担が増大しないことを目安にして、建造すべきであるという方式を答申されているのでございます。原則として本船の採算が立ち、また企業基盤の強化に役立つようなものであり、しかもそれが償却前利益の限度ということを、文字通り適用しますと非常にむずかしい運用にもなりますが、ほぼそういった償却前利益を目安にして建造していけば、決して不健全な借入金にもならない、企業にも悪影響を及ぼさないのだという御答申を得ておりまして、こういう答申に基づいて私どもも三十五年度以降の新造船のあり方としては、そういう方向でいった方が適切だというふうに考えた次第でございます。
  82. 相澤重明

    相澤重明君 今の朝田海運局長答弁は、非常に重要な問題を実は持っているわけなんです。日本海運のあり方が、国際海運の中でどういう位置づけにあるかということと、いま一つは国際経済の動向というものと関連をすることなんです。今の答弁を聞いていると、とにかく企業の努力によって採算がとれるようになれば、そういう問題は心配はない、こういう御答弁をされているわけなんです。これは全く平面的に解釈するとその通りだと思うのです。しかし今日までの海運界の状況、歴史的な段階というものを私どもが調べた場合に、決してそんななまやさしい問題ではない、ということは、前回の委員会でも私は申し上げたように、この商船隊というのは実は国を代表するものなんです。一つの船というものは、外国に行った場合にはその国を実は代表するのです。ですから日の丸の旗を掲げていって、そうして日本の品物を外国に持っていく。これは明らかに各国が競争することなんです。日本だけが競争するわけじゃないのです。各国が競争する。こういうことから考えると、これは日本の国策の、いわゆる基本的な政策の方針というものがなければ、これは私は単にそのときのいわゆる企業努力というだけでは、解決のできない問題である、こう思うのです。ですから前回も楢橋運輸大臣に私が御質問を申し上げたように、たとえばNYKのこのニューヨーク航路の問題にしても、これはいかに日本郵船が自分で努力しても、自分の努力だけではなかなか済まない問題なんです。こういうことは、日本の外国との国際収支の改善という問題や、あるいは産業開発に対する大きな根本施策というものを立てないと、これは解決のできない問題だと思う。こういうことの私は一端を前回は指摘をしているわけです。ですから今運輸省が、今回のこの外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案を提案するにあたって、今の朝田海運局長のように割り切った答弁であったならば、これは将来は非常に重要な問題になるだろう。このままの経済状態が続いていけば政府の言う通りになるかもしれぬけれども、高原景気というものは果たして今年から来年以降継続するかということは、なかなかそうはいかぬ。むしろ大蔵大臣も一部言ったように、今年は設備投資というものが競争的に行なわれると、経済に過熱を来たすおそれがある。そうすると、現状については確かにある程度のことはできても、ことしの秋から冬にかけて、かなり金融引き締めというものが現実に行なわれる可能性もあるのじゃないか。こういうようなことまでの心配がすでに経済界の中では行なわれておるわけです。そういうことと、アメリカやイギリスやドイツ等の、私ども日本が競争しなければならぬ相手の国の人たちの経済状況というものを考えた場合に、手放しで好景気であると喜んでおれる事態ではない。従って、非常に慎重な、しかも国策として根本的な態度というものを、産船隊いわゆる外航船舶の問題については作っておく必要があるのじゃないか。私はこういう点を実は心配しておるわけです。ですから先ほどあなたもちょっと触れたように、昨年の秋ごろに一番世論として大きく出たのは、今の、ただ個人の所有というだけで、個人の企業努力だけにまかして果たしてこの国際競争の中に勝ち得ることができるのか。こういう点で、たとえば公団方式あるいは政府建造という問題が強い世論として現われて、私ども社会党もそういう点を検討すべきではないか、こういう点を実は主張しておったわけです。そういう点について今、朝田海運局長答弁を聞いておると、いや、これは国際的に自由競争の業種であるから、これはもう本人の企業努力に待つことにして、当面企業努力で採算が合うまで利子補給をしよう、こういうような提案に私には聞こえたわけです。そうすると、これは、そういうことを言っておるうちに、また私は来年の国会、あるいは次の国会にそういう問題が提案されないと、ここで海運局長答弁をすることはむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。そういう点について、少なくともドイツが戦後造船について、計画造船あるいは船舶建造について国民の貯金を無利子で、そうして国際競争の中に勝とう、こういうことまで国の方策としてやったことをわれわれは思い起こさなければならぬ。しかも今の日本の商船の保有量、船舶の保有量、あるいは造船の船台等の関係もあって、これらのことを考え合わせた場合に、必ずしも、仕事は確かに世界的に最高の水準をいっておるかもしらぬけれども、競争ではそんなに勝っておらない、だんだん転落しつつある。こういうことも考え合わせた場合に、それだけで割り切っていいのかどうか、こういう点について少し疑問を私は持っておる。その点について局長なりまた運輸大臣も、現実に冷厳な事実としてニューヨーク航路の問題が出ており、三国間の積み取りの問題についてわれわれは苦境に立っておる現状についてどう考えておるか。こういう点について、小酒井委員の質問に関連して御質問申し上げておきたいと思います。
  83. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) ただいまおっしゃいましたように、海運の利子補給という問題は、国内問題と違って全部相手方が外国である。しかも、その外国の各国が全部海運保護政策をとり、非常な低廉なる利子をもって、あるいは建造費等を援助してやっておる。それと、日本のように戦時補償を払わないために、非常に高い九分五厘あるいは六分五厘の金利を払って、二千何百億という借金を背負うて国際競争をしようとしておる。しこうして今御指摘のありましたように、海運の持つ日本の経済への大きな役割、つまり国策として、最前も局長が申しましたように、四億何千万ドルというような外貨をかせぐ、船賃をかせぐという大きな国の経済からいえば大事な問題がある。もし外国の競争に負けて次第に蚕食されれば、日本の海運は非常に痛手を受くるのみならず、日本経済全体に大きな影響を与える。ことに、四つの島で九千万の人間が、原料を仕入れて生産品を外国に送る、言いかえれば船は大きなパイプ・ラインでありますから、これをどうしても国際競争にたえ得る態勢に持っていかなければならぬということが、利子補給の行なわれた根本の原因であって、すべて対象は、今御指摘になりましたように、外国船との競争ということがこの問題の基本的考え方の根本ではないか。私はこういうふうに思うので、相澤議員と全く同感であります。従って、今おっしゃいましたような、今後においてなお苦しい海運会社が、なお借金を背負うて船を建造していくということは妥当であるか、あるいはむしろ国が船を建造してやって、その船を貸し与えてやって負担を軽減したらいいかという問題は、これは重要な一つの問題でありまして、一体その方式のどっちをとったらいいかということが、今議論の分かれ目に実はなっておると思うのであります。運輸省といたしましては、現段階においては、公団方式をもってやるよりも各企業会社に責任を持たせて、そして合理的な運営をさせていく方が自由競争の段階においてかえって妙味を発揮し、それが妥当ではないか。そしてこれに対する規制等は厳重にやっていく。同時に、利子補給の限界線というものもはっきりきめて、一定の利益率があがれば、それを国の方に返させるというような方式の法律もありますけれども、その率等を多少下げてやって、そしていくのがいいじゃないかということが、今日出しておる法案の骨子であるのでありまして、相澤委員のおっしゃいます通り、私もしばしば公団方式でやる方がかえって健全化になるじゃないかというような考え方も持ったこともありまするけれども、いろいろと公団方式等の弊害、あるいは現状の国際的な競争の建前からいくあり方等を勘案いたしまして、現状ではこの方式でいくということが妥当だと思っておるのでありますが、御指摘のように、国際経済の大きな変革等が来たり、あるいはいろいろな客観情勢の変化等においては、なお今後において施策が変わるかもしれませんが、当面はこういう政策のとり方である、実はこういうふうに考えております。
  84. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣の立場で、あるいは自由民主党の出身である立場でいけば、私はわからないわけではない。しかし、私ども考えるのは、少なくとも資本主義あるいは自由競争、こういう名前だけでは、国際競争というものはあまりにも冷厳なる事実だということを実は主張しておるわけです。そこで、そういう点から考えれば、確かに個人企業、こういう点についていけば、政府の言うこともわからぬわけではないけれども、これは他面においては独占企業化する方向に援助をする。しかもそれは国民全体の税金である。いわゆる政府財政投融資並びに利子補給という形のものは、これは国民全体の中からこの特定の業種に対するところの援助である、こういうことはもうはっきりわかりきっておることである。従って、私ども考え方からいけば、やはり国民全体の立場で援助をするものであれば、国民全体に返してもらう、国民全体の生活を向上させる、これが私はやはり基本的な考え方でなくてはならぬ。ですから一部の特定の者に利子補給をしていく、あるいは財政投融資を行なう、こういう形のものは、私はとらざるところである、こういう基本的な態度を私は持っておるわけなんです。ですから日本社会党としては、この当面の利子補給の問題については、実は反対の立場を持っておるわけなんです。というのは、そういう特定のもの、あるいは独占企業的なものに全体の国民が奉仕をすることは、これは当を得ておらないことである。しかも国際競争というものはあまりにも冷厳なものである、こういうことからいえば、むしろ政府がそこまで利子補給をし、そしてこの企業を育成をしようとするならば、国民に納得のいく、国民がなるほどよくやってくれたと、こういう形の、監督も厳重に行なわれ、そして国際競争にも十分耐え得る態勢というものを作るのが必要ではないか、こういう点でまあ共有船方式とか、公団方式というものは検討の価値のあるものと、こう私どもは実は主張し続けてきたわけです。そこで、しかしこれをお互いの党の立場もありますから、ずいぶん検討をしておる、確かに政府の提案のこともよくわかります。わかりますが、私はもし今のような形で利子補給を行なっていって、そして企業の採算がとれるというのが、それでは何年経過したならばそういうことが可能であるか、こういうことについても、詳しい資料というものを運輸省はお持ちだと思います。私はお持ちだと思いますが、これが先ほど申し上げた国際競争というものは、そう数字で簡単に割り出していつ不況がくると、こういうことが言えるものではないと、これはまあ第一の理由です。  第二の理由は、企業というものは、できるだけ表面はもうからないように、しかも損をしない、赤字をしないように維持していくのがこれは企業家の考え方だと思う。従って政府個人にその仕事をまかしてやれば、これはできるだけあるいは経営の内容についても実際には国に税金をあまり納めなくして済むように、しかも自分は赤字にならないように、自分がもうかるようにと、こういう形をとるのは、それは私はどなたも個人の立場になれば当然だと思う。そういうことがともすれば私鉄を初め大きな企業が、第三者的な立場で、いろいろなたとえば私鉄の場合に土地会社を作る、あるいは百貨店を作る、こういうような形で資産は実際には分かれておるけれども、根本を見れば資本系統というものは一つではないか。こういうところに、先ほど小酒井委員が言う株式の配当がそれでは一体あるのかないのか、こういう場合に対する、一つのものをとらえた場合には配当金までないと、こういう場合もあり得る。そういうことを作ることもできる。こういうふうになると、政府がせっかく心配をしておっても、実は企業の努力というものも実際に行なわれないのではないか、こういう心配をするわけです。また従って政府が果たしてこの企業努力というものをどの程度までお考えになっておるのか、こういうことについても国民に納得のいく数字というものは明らかにされなければならぬ。こういうふうに私は思うのですが、以上二点について政府の見解を一つ発表していただきたいと思う。
  85. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  86. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。
  87. 朝田靜夫

    政府委員(朝田靜夫君) 先ほど来非常なうんちくを傾けていただきまして、私どもが言いたいことをむしろ言っていただいているような気がするのでございますが、確かに先ほど御指摘になりましたように、高原景気というようなものが続くようなふうに私ども考えていないのでございます。下期について警戒警報が出るような見方もございます。私どもはむしろ下期といわず上期から警戒警報を出しておりまして、むしろ他の産業が数量景気なり何なりで好調でありましても、海運のみ不況ということが昨年一ぱい、あるいは一昨年の当時からいわれておって、そういうことがあり得るだろうかというような一部に疑問がございましたけれども、現実に他の産業が好調、海運のみ不況ということが昨年の実績でございます。従いまして、また高原景気のような考え方で割り切っているわけではございませんし、ただいま御指摘になりましたように、国際海運の動向といいますか、国際経済とのつながりにおきまして、まことに予測しがたい、しかも日本の国内だけで運賃を決定するというようなわけにも参りませんで、世界の海上の荷動き量と世界の船腹の総量との需給バランスによって運賃がきまって参るわけでございますから、その間に経済界的な理由を全然抜きにいたしましても、なかなかその点の見通しというのは何人も立てにくい、しかもおおせになりましたように、各国の助成策なり西ドイツの商船隊の建設にあたってとった措置というようなこともあわせて考えてみますと、当時の西ドイツの戦後の再建は、商船隊の建設、住宅の建設に無利子の融資を千三百億からの資金を投入して、国際収支の改善に当たったドイツに比べて、わが国の方が地理的、経済的な条件から見ましても、もっと海運国であらねばならないわけでございまして、そういった商品貿易に依存するよりも、むしろ日本においては海運国であるべきだというふうに私ども考えるのでございます。従いまして、手放しで割り切って利益が出るから公団方式をとらないで自主建造でやるんだという意味ではございません。その点は、私どももひとしく憂慮しておるようなわけでございます。ただ市況の見通しは、おおせになりましたように何人も予測することが困難であります。しかし今でも千二百万トンからの世界で繋船をしております。少し運賃がよくなりかけますと、そういう繋船された船腹は動き出しまするので、市況のチェック材料にもなります。また世界の造船界では二千五百万トンからの手持ち工事量を持っております。毎年々々八百万トンからの新造船の投入等を考えてみますと、他の産業界が好調でありましても海運のみ不況というような基本的な動向というものは、私はあまり大きな変化はないのじゃないかということで、むしろ心配をいたしておるような次第でございまして、またニューヨーク航路の問題につきましても、郵船会社一社とか、あるいは日本の海運会社一社で解決できる問題ではないということは、もうまことにおおせの通りであります。しかも、またしばしば相澤先生が御指摘になりますように、アメリカの法制と日本の法制との違い、あるいは国際慣行及びアメリカのアンチトラスト法的な傾向が強いために、ニューヨーク航路というものは本質上非常に海運同盟としては弱い本質を持っておりますので、なおさら日本の貿易産業、海運にとって重大な役割を果たしております対米航路の問題については、非常にそういった点から、航路の安定を阻害されやしないかということを、過般来大臣答弁いたしておりますように、内外船主に対しても協力してこの航路の安定をはかっていただくように、というような行政指導をして参っておるようなわけでございます。そこで、公団の問題につきましては、私ども自身、事務当局として昨年の夏ごろに、むしろ私どもの方から試案として出したような経緯がございます。私どもは非常に深刻に考え過ぎたかもしれませんが、政府機関によって船を作っていき、それを企業が健全になるまで保有をいたしまして貸し下げるなり共有なりということを考えたのでございますが、先ほど来申し上げましたように、国際的に自由な活動を要請されております海運というような業種でございますから、また一方においていろいろな批判もありましてそういったことをやるとかえって企業自身がそれに頼り過ぎてイージー・ゴーイングになりはしないか。あるいはまた国際航路の海運同盟におきましては、自社船でなければ加入ができないというような海運同盟もございます。従いまして政府機関が所有しておるような船ではその同盟において発言権もないし加入もできない、運航もできないというような制約もございまして、国際的にやはり自由業種として協定したところを持っておりますので、そういったいろいろな特殊性も考えて企業みずからの線においてやることの方がやはり望ましい、しかし企業がこれ以上悪化しないように、むしろ船を作ることが企業の基盤に役立つのだというようなものを選別して船を作らせていきたい、こういうように考えておるようなわけでございます。
  88. 相澤重明

    相澤重明君 私終りますが、あすいま少し根本的な議論をしたいと思うのです。  そこで特にこの間の配付した資料の中で、先ほどもちょっと言った鉄鋼業界等の人たちが持つ輸送船、こういうようなものについて見通しとして、現在の保有量と船隻の数、それからこれからどのくらい一体作ったならば、日本の輸入に対するところのいわゆる自主操作といいますか、そういうことができ得ると運輸省は理解をしておるか、これはともすると、やはり先ほど海運局長答弁したように外国船主による造船をさせておいて、そうして陸でいうところの闇タクシー、闇トラックと同じような形になる。こういうようなことはなかなか業界の中において不法なやり方であると私は思う。そういう点でそれらの内容について御報告のできるようにしてもらいたい。  それからいま一つは、資料的にはよく運輸省の小雑誌にこまかく載っておりますし、この間がり版で出したのもやや載っておりますが、いま一つ私の資料を提供してもらいたいのは、今まで賠償船の建造をしておるわけです。それで今まで賠償で支払った船舶がどういう形の航路に就航しておるか、これは各国の例を私はわかったら知らせてもらいたい。これはなぜかというと、先ほど申し上げたように国際航路の中で非常な大きな収入の問題になってくるわけです。ですから日本が建造をして賠償として支払った船が就航しておる実態をわれわれとしても見ておく必要がある。  第三点としては、こまかい英、独、米国等の数字は出ておりますけれども、東南アジアに対する、日本がこれから一番開発をしなければならぬ、またそれだけの価値のあるものと私どもは見ておるわけですが、その東南アジアにどのくらい配船、あるいは貿易の増大を見込んでいるのか。これに対する見通しというものも一つ資料として提出を願いたい。  以上のような点を、まだたくさんありますが、あした当面そうたくさん言ったところで資料の作成は困難ですから、それをとにかく出してもらって、あしたいま少し根本的なものをやりたいわけですが、今の形でいくと、これは率直に言ってこの利子補給は九牛の一毛に過ぎない。九億五千万や十億出してみたところで、決して今の海運界を起死回生の方向に向わせるものにはならぬ。従ってまあ仕方がない、三十二年度からの計画造船に対する利子補給をさかのぼってするということは、まあ今損をしたということで計算をして金を出すのだけれども、せっかく船を作ってくれたので幾らかそれじゃ分け前をということになりはしないか。国民はそれを一番心配しておる。やるならばもっと根本的な策を樹立して、そうして先ほど申し上げたように国際競争に勝てる確固たる方式というものを、共有船方式なり、公団方式なり先ほど私が例を申し上げたように。そうすれば疑惑がなくなる、造船利子補給に対する疑獄事件というものを再び国民は頭の中に描き出さなくてもいいと、こういうことになろうと思うから申し上げたのでありますから、そういう点を、政治献金を船会社がしているのは幾らか。船会社が政治献金を行なったやつを三十二年度以降のを一つ資料として提出してもらいたい。以上です。
  89. 大倉精一

    大倉精一君 この際資料を要求します。合理化審議会の答申にありますところの自主的な企業努力、この実績のわかる資料を明日出してもらいたい。
  90. 中村順造

    中村順造君 補足しますが、今相澤委員から要求しました政治献金の問題ですが、内容については経済再建懇談会にやったやつですね、これは政党じゃないと思いますが、いろいろ献金の手続はあるようですから、それも一つ含めて、三十年以降の政治献金の資料を一つ出していただきたい。
  91. 大倉精一

    大倉精一君 関連して。今の資料ですね。たしか昭和二十八年の問題が起こったときから、政治献金は経済再建懇談会ですか、この窓口一本でやるという申し合わせがあったはずなんです。だからその窓口から行った政治献金とその窓口を通さずに行った政治献金がわかったら一つ……。
  92. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  93. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。
  94. 中村順造

    中村順造君 私は委員会として海運局長にそういう資料を出せと言ってもちょっと無理だと思うのですよ。だからこれは自治庁を通していけば正規のやはり記録もあるし、自治庁がすでに発表したものもあると思いますから、委員会一つ取り寄せていただきたい。
  95. 小酒井義男

    小酒井義男君 私も一つ資料を要求したいのですが、本法の十二条、十三条で、一割以上あるいは一割五分以上の利益をあげた場合には利子補給を返すことになっておりますね。それが相当額あるはずです。これを一つ会社別の金額と、そうして返納、国庫に納付した日にちと、こういうものを一つ出してもらいたい。
  96. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 今まで要求されました資料は至急整えて、あしたの委員会の際に御提出願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会