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1960-03-22 第34回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十二日(火曜日)    午前十時四十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平島 敏夫君    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君            小酒井義男君    委員            佐野  廣君            谷口 慶吉君            鳥畠徳次郎君            相澤 重明君            大倉 精一君            中村 順造君            松浦 清一君            白木義一郎君   政府委員    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省自動車局    長       国友 弘康君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○外航船舶建造融資利子補給及び損失  補償法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査) ○臨時船舶建造調整法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件)   —————————————
  2. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) これより委員会を開会いたします。  本日は、まず外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案補足説明を願います。
  3. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案につきまして、過日政務次官から提案理由説明を申し上げたのでございますが、それにつきまして私から補足説明をさせていただきます。  御承知のように外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法は、昭和二十八年に制定をされまして、昭和三十一年度までこの法律に基づきまして利子補給契約及び損失補償契約を締結されて参ったのでございます。ところが、昭和三十二年度におきまして、当時スエズ動乱によりまするところの海運界における一時的ブームというものが現出いたしましたために、日本海運事業も逐次企業内容改善されて参ったのでございます。そこで当時締結されておりました利子補給契約支給を、こういったブームのときにやることもどうかというので停止されて、その後予算措置を講じられなかったのでございます。その後こういった市況が、御承知のように急激にスエズ動乱解決から世界最大不況といわれるまで下って参ったのでございますが、この間におきまして日本船腹がどのくらいまで回復したかといいますというと、昨年の十一月現在におきましては五百八十一万総トンにまで回復いたしたのであります。そのうち外航船舶が四百八十七万総トンということでもって、官民一致努力によりまするわが国商船隊の整備が、この程度まで回復して参ったのでございます。そこでこういった不況に突入いたしまして、好況時に比べますというと約三分の一、昭和二十八年当時の不況に比べますと、なお一割程度悪いというような状況でございます。世界係船船腹量にいたしましても、昨年の十一月当時は一千二百万トンからの世界的係船船腹があるというようなことでございまして、昨年の世界海運市況については、英国海運会議所不定期船運賃指数をながめましても、平均は七一・九という程度にまで低落いたしておるのでございます。従いまして、このような状態で、日本海運企業不況に立ち至りますというと、体質もろさというものを露呈いたしまして、依然として資本構成比率は、自己資本が二二・六%、借入金が、他人資本が七七・四%ということでありまして、わが国の産業中最も悪い部類に属するのでございます。この根本原因は、御承知のように戦後の新造船がほとんど借金造船であった。自己資本を完全に喪失いたしました結果、新造船をいたしまして、国民経済要請にこたえるためには、すべて借金で船を作って参らねばならなかったということが一大原因であります。従ってそのこともまた企業体質もろさがここに原因しておるわけでございます。その金利自体が、国際金利に比較いたしますると非常に割高でもありまするし、その支払いの絶対額につきましても異常に膨大なものになっているのでございます。昨年九月期の決算当時の支払い金利は、年間にいたしまして二百七億という額にまで達しているのでございます。このままこういった状態を放置いたしますると、貿易の自由化なり、あるいは最近起こっております鉄鋼会社によります石炭専用船の問題なりと関連をいたしまして考えてみますと、ますます競争が激化して参るということにおきまして、わが国海運界の健全な発展を期待できない、こういうふうに考えられるのであります。  従いまして、昨年、各方面から海運対策を討議され、それぞれ対策を提唱されているのでありますが、すべてこういった日本海運企業基盤もろさ体質脆弱性ということが、ことごとくこういった借入金及びその利子支払いということに最大公約数として現われたという意見を提唱されているわけであります。もちろん、各政党あるいは経団連、経済同友会、海運造船振興協議会といったような各方面の御意見も参しゃくいたしましても、あるいは運輸大臣諮問機関でありまする海運造船合理化審議会の御答申によりましても、この点をまず第一に取り上げて、日本海運企業強化対策ということにしておられるのであります。  そこで、私どももそういった方面の御意見をもとにいたしまして、昭和三十五年度より海運企業合理化をはかっていくということを前提といたしまして、企業みずからの力で建て直しをしていくということはもちろんでありますので、そういうことを前提といたしまして、利子補給金支給復活することにいたしたのでございまして、来年度予算にもその経費を、九億五千万円ばかりの利子補給復活経費というものを計上いたした次第でございます。この利子補給復活に伴いまして、今議題になっております外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部について改正をする必要がございます。  その改正点の第一点は、過日御説明申し上げましたように、相当全体的に申し上げますならばシビヤに締めていこうということが随所に現われているのでございます。その第一点は、現行法では一定額以上の利益会社が計上いたしました場合に、利子補給金相当額を国に納付をすることになっているのでございますが、その利益計算の仕方でございますが、その会社決算において計上いたした利益というものをそのまま認めて参る建前になっております。しかし、私どもの方として海運企業に対して監査をやりまして、法律上必要な勧告あるいは監督なり改善命令といったようなものを出すために、現行法でも監査をすることになっているのであります。その監査をいたしまして、不当な経理があるということが明らかになりました場合には、運輸大臣がその是正を勧告する建前になっているのは、今申し上げ通りでありますが、今回の改正措置によりまして、さらにこの勧告を行ないました場合に、その勧告に従いまして再計算した利益の額を利子補給金額納付の基準といたしまして計算をし直して、利子補給金国庫納付に遺憾のないようにするということであります。  改正の第二点は、日本開発銀行に対しましても現行法では利子補給をできるような建前になって、その条文もあるわけであります。ところが、日本開発銀行に対します利子補給は、この法律ができました昭和二十八年当時、わずか一カ月半やったにすぎないのでありまして、その後は、開発銀行が三分の支払い猶予、たな上げ措置開発銀行みずからがとって参りまして、利子補給一般会計からするということは一カ月半やったのみでありまして、その後は全然しないで、たな上げという形で、銀行みずからがそういう措置をとってきたのであります。で、補助金等臨時特例等に関する法律によりまして、毎年開発銀行に対する利子補給規定を適用させないように今日までそういう措置をとって参っておるのであります。こういう実情から、私どもは今回の改正におきまして、こういった規定を削除するということにいたしたのでございます。  改正の第三点は、当分の間、損失補償契約を締結しないということにしたのでございますが、この点につきましても、現行法では船舶建造融資につきまして損失補償契約を結ぶことができることになっておりますが、昭和三十五年度におきましては、これに必要な債務負担行為もしておりません。といいますことは、現在の金融事情のもとにおきまして、政府損失補償契約をしなくても、建造に必要な融資ができるというような状態でもありまするし、先ほども申し上げましたように、海運企業合理化なり強化計画を推進して参りまして、企業力に応じた新造船というものを認めて参ります建前からいいましても、政府損失補償をしなければ船ができないというような状態でもありませんので、この制度の活用が将来必要となりました場合には別でありますが、当分の間、そういう損失補償契約を実施することを停止いたしたのでございます。  改正の第四点は、現行法では、利子補給が従来停止をいたしておりました期間の間にできました船舶建造されました船舶につきましては、利子補給契約というものを結ぶことを予想いたしておりませんので、今回の利子補給契約は、いわゆる十三次計画造船以降十四次、十五次というものにつきましても利子補給契約を結ぶことができるという必要がありまするし、予算におきましても、こういうことで経費を計上いたしておるのでありますので、今回の利子補給、こういった復活に伴いまして、三十二年度から三十四年度までに建造されました船舶についても利子補給契約を結ぶことができるということをはっきりと明確に規定をいたしまして、現行法がそういったことを予想しておりませんので、ここに改正をすることにいたしたのでございます。  以上が補足説明の概要でございます。
  4. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) なお、本案臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、これより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 委員長ちょっと。この法案の質疑に入る前に、この前私から運輸大臣質問をした中で残っておる問題がありますが、それはきょう運輸大臣が見えぬようですから、見えたときになお御報告を願うことにして、この船舶関係ある問題で、見本市船の問題について運輸省としてはどういうふうに考えておるか。今まで運輸省の中で討議がされたことがあるならば明らかにしてもらいたいと思います。もし、なければないでけっこうです。運輸省がそういうことを知らないなら知らないでけっこうです。これはあらためて運輸大臣に私の方から質問したいと思うのですが、もし、わかっておれば、そのことを一つ答弁をしてもらいたいと思います。
  6. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 見本市船は過去におきましても実施されておるのでございますが、私どもといたしましては、通産省外務省とも協議をいたしまして、昨年も南米に派遣をされた見本市巡航船に、海運の面からこれに協力をする必要な具体的な問題を解決して、見本市船目的といたしておりますものについて、うまくいくように、内部でも相当努力をいたしておるのであります。これにつきましては、海運会社の保有いたしております適格船を提供いたしまして、それに見合う、もちろん用船料改造費等につきましても海運会社に支払われておるのでありますが、現在の定期船不定期船、そういったようなものの中から選択をいたします場合にも、なかなか使用運航状況からして、むずかしい問題もございます。そういった点もできるだけこれは協力するという建前で、今日まで進んで参っておるのでございます。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 協力してきたというのだが、その三十五年度の考え方はどうなんですか。積極的にやる予定なのか、それとも、やはりなかなかむずかしいので、これは関係省協議をするというその努力なのか、一体その方向はどっちにあるのか、それを明らかにしてもらいたい。
  8. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 三十五年度の計画につきましては、まだ具体的に事務的にも折衝を本格的にいたしておりません。なお通産省外務省とも最終的に、あるいはもっと具体的に話をしなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、三十五年度については、具体的にも事務的にも話は進んでおらぬと、そうするというと、三十四年度は話はあったけれどもできなかったと、こういうことで、結論的には、運輸省としては熱意があまりないと、こういう理解の仕方に私はなると思うのですが、そういう形ですか。いま少し、もっと運輸委員にわかりやすく、運輸省はどういうふうに熱意を持っておったか、こういう点があればそれを披瀝してもらう。私は、少なくとも国際収支改善に非常な役割を果たすこの見本市船の問題について、通産省外務省がかなり積極的であるにもかかわらず、運輸省があまり進んでおらぬ。これははなはだけしからぬと、こういうふうに思うのだけれども、今の説明を聞いておると、何かやるようなやらぬような、コンニャク問答みたいになってしまう。それであるならばあるでよろしいけれども、一応三十四年度の進めてきた過程をいま少し具体的に説明してほしい。
  10. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 三十四年度の見本市巡航船につきまして、私の説明が少し不十分でありましたが、この点につきましては、やろうと思ってできなかったというのではないのでございまして、三十四年度におきましても十分協力をして、その実現努力をした。従ってその実現も見ておるのであります。昨年度は南米大阪商船あとらす丸を派遣いたしております。この点につきましても、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましても、使用船舶あるいはその用船料、あるいは見本市全体の計画経費にいたしましても限度があるので、できるだけの協力をさせて実現を見たのであります。三十五年度におきましては、豪州ニュージーランドについて今計画があるのでございますが、これにつきましても、日本郵船所有船をこれに充てるように、今具体的な話を進めておるということでございまして、決して熱意がないというような問題では私どもはないと思うのであります。ただ、昨年にいろいろ問題になりましたのは、見本市船建造をする、見本市船を作ってこれを専門に就航させよう、こういうことにつきましては、運輸省はいささか議論をしたということはございますが、実際の見本市巡航船につきましては、いまだかつて運輸省熱意がなくてやめになったということもございませんし、私どももそういったような気持はないのでありまして、十分協力をいたしておるつもりでございます。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、それでは二つほどなお聞いておきたいと思うのですが、東南アジア開発については、昨年度私ども国会、参議院が特に現地に行ったわけです。そこで今年度、三十五年度の岸内閣としても、東南アジアについては非常な力を尽くすことになっておるということは御承知通りなんです。そこで、東南アジア方面についての見本市船の問題はどうなのか、これが一つ。  それから三十五年度、いわゆるこの見本市船ですね、船の建造について、今言われたように、運輸省は従来なかなか意見がまとまらない。しかし、通産省では、一つ運輸省が一はだ脱ぐならば、私どもは積極的にやりたい、こういうことを通産省は言っておるはずです。また、外務省も、ぜひ一つやりたい、こう言うにもかかわらず、一番大元締めである運輸省が船の問題について熱意を示さない、こういうようなことはまことに私は遺憾だと思う。昨年のそういう意味からいって、今年はどういうふうに事務当局としては考えているのか。もちろん、まあ三十五年度の中における国家予算全般については、これは運輸大臣の責任があるのだけれども事務当局として、今年度はこの見本市船建造するような方向が出ておるのか、それともまだ協議中である、目下お互いに検討しておると、こういうことなのか。この二点について一つお答えをいただきたい。
  12. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 三十五年度におきましては、先ほど申し上げましたように、豪州ニュージーランド計画に上っております。その問題につきまして、具体的な実施方法について協議をいたしておる段階であります。従いまして東南アジアにつきましては、過去において一度やったことはございますが、三十五年度においては方面を異にして計画は進められることになっておるのであります。見本市船建造の問題につきましては、私ども先ほど少し触れましたが、予算通産省から要求をいたしておったのでありますが、これについては、議論をいたしまして私どもといたしましては、そういった船は専門に一年じゅう各地を歩いて、見本市船として就航することも十分大きな意義があるかと思いますが、船の運航経済の上からいいましても、あるいは使用効率からいいましても、現在の日本の船の適当なものを選んでやった方が経済的にいくと、こういう考えで私どもはおるのであります。従いまして、そういった計画に対処するのに、海運会社が保有いたしております船を、適格船を選んでそれに充てますならば十分その目的は達成される。だれが保有し、だれがそれを運航し、船員の管理をどうするかというきわめてむずかしい問題もございますので、むしろその三カ月なら三カ月の間、就航をその方面に向けてやった方が経済的にいく、こういうふうに私どもは考えておるのでございます。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 これはまあ局長に高度な政治問題を話しても……。これは政治の問題を議論すれば、いろいろあると思う。局長に御答弁を求めても無理だろうと思うのです。が、しかし、これは、船というものは外国に行った場合にはその国を象徴するものです。各国に大公使館を置くのと同じようなもので、船というのはその国を象徴するものであるから、決して、単に船会社のものであっていいから悪いからというだけのものではないはずだ。そういう意味で、私ども国際社会の中における日本のこれからのおつき合いとして、あるいはその経済交流の重要な部面をなすものとしては、やはり再検討すべきではないか。むしろ運輸省のそういう考え方が実は非常にネックになっておるのではないか、こういう点を私は心配するわけです。いずれ外務、通産等関係人たちとも運輸省一つ相談をして、そうしてこの基本的な問題を私は出してもらいたい。  それから特に南米については、先ほど答弁があった通り、私もよく承知をしておる。今年はソ連に対する日本見本市というものを開催をする予定になっておる。中国見本市というものは昨年東京で開催されたわけであります。従って極東の地域における見本市というものは、これからは非常に広い意義を持つものに私はなると思う。ソ連中国あるいは朝鮮、あるいはインド、ビルマ等、こういう面で東南アジアに対する私ども日本のいわゆる進出というか、経済基盤を作ることについてのこの大きな問題を、私は見本市船の問題についてやはり一つ考慮しなければならぬ段階にきておる、こういうように思う。従って、あとでまた、いずれ運輸大臣にもその所信をただそうと思っておりますが、事務当局としても積極的にこの問題を推進してほしい、こういうことを要望してこの問題については終わります。  それでは次の問題に入ります。次の問題は、先ほど提案外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部改正案関連でありますが、前回私が造船利子補給法の問題について運輸大臣に申し上げたのは、この十億足らず利子補給で、実際に今の海運界というものを起死回生をさせることができるのかどうか、こういう点について、少なくとも私どもは最低二十億なり、あるいは三十億なりの利子というものは必要とすべきである、こういう骨子を運輸省自体でも考えておったのではないか。にもかかわらず、対大蔵省との折衝関係もあったかもしれぬけれども、この十億足らずの九億幾らという資金で、そうしてこの当面の苦境に立っておる造船界に対する利子補給船舶に対する利子補給というものが可能であるのかどうか、こういう点をいま少し、どうして大蔵省との折衝の中で運輸省意見が通らなかったのか。それからまた、これで最小限度どの程度までやれるのか、こういう点をいま少し事務的にでもけっこうですから、説明してもらいたいと思う。
  14. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) ただいま御指摘の点につきましては、私どもも、この利子補給の九億五千万円で十分だとはもちろん思っておりません。御指摘になりましたように、運輸省予算要求におきましては、市中銀行に対しまする利子補給といたしまして約二十一億円、金利を五分まで低下させるという意味におきまして、その市中金利との差額を補給いたしますとするならば、現行は御承知のように九分四厘九毛でございますから、五分までの補給をいたしますと二十一億円要るわけであります。開発銀行に対しまする、先ほども御説明をいたしましたが、利子補給をいたしますとするならば、六分五厘の金利を三分補給いたしまするならば、約四十億円に上るわけであります。従いまして、財政、市中あわせてそういった利子補給をいたしますと、合計六十億になるのでありまして、この線に沿って私ども予算要求をいたしたのでございますが、何分にもこの問題は、過去にいろいろ経緯があった問題でもありまするし、きわめて困難な事情が歴史的にもつきまとっておる問題であります。また、最近海運会社の業績が少しよくなってきたじゃないか、あるいは海運市況が底をついて、上昇傾向をたどるのじゃないかというような議論が、いろいろ予算折衝過程に行なわれたのでございますが、私どもは、そういった市況の本格的な好転というものは望めないんだということを説明をいたしました。現に二月の英国海運会議所不定期船運賃指数は七七・一ということが数日前に判明をいたしておるのでありまして、昨年の秋に八〇台に載せた指数が、すでに数カ月後には七〇台になったというようなことにつきましても、海運不況状態相当長期的様相を示しておるということも言い得るのではないかと思うのであります。従いまして、こういった不況のもとで、利子補給が九億五千万円程度で、国際競争に耐えていけるのかという御質問に対しまして、私どもといたしまして、非常に痛いところをつかれておるのでありますが、これで決して十分であるとは思わないのでありますが、財政の全体の負担限度といったようなもの、あるいは先ほど申し上げましたような困難な事情といったものも手伝いまして、やっと復活するのが精一ぱいであったということが言い得るのではないかと、今顧みてそう思うのであります。しかし、この九億五千万円といえども国民の血税でまかなわれるものでありますから、私どもといたしましては、海運企業が、峻厳な態度で建て直しの計画を実行してもらいたい、こういったことを前提にいたしまして、相当企業みずからが立ち直る力を培養していくということの効果が上がるのじゃないかと、私どもは期待いたしておるのであります。また一方、この金額は九億五千万円でありましても、市中金融機関に対しまする協力要請をしやすくなり、金融機関におきましても、政府がここまで踏み切って、額は九億五千万円といっても、海運政策の筋を通したのでありますから、金融機関におきましても、それぞれの協力をしていただきたいということを要望いたしておるのであります。市中銀行におきましても、その点については目下十分厚意を持って検討をしていただいておるような次第であります。従いまして政府も、利子補給を九億五千万円計上いたし、企業はもちろんのこと、みずからの力で強化計画を実行していく、金融機関もまたこれに対応して、応分の協力を願うという、三者三様の努力でもって、不十分とはいいながら、国際競争に耐えていきたい、こういうことを念願いたしておるのでありまして、額につきましては、当初予算要求の六十億を切って、それが九億五千万ではとうてい足りないのじゃないかという御質問、ごもっともでございますが、そういう財政負担限度等もあわせ考えて、できるだけ最大の効果が上がるように持っていきたい、こういうふうに考える次第でございます。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 事務当局の言う苦衷はわかるわけですね。しかしそれならば、今世界造船界の中で、日本が非常に一時は進出したが、今どのくらいの地位を保っているか、こういうことをわれわれは検討してみる必要があると思う。少なくとも英国に比べて、そうひけをとらなかった造船界も、今日では資金難、あるいは合理化政策のために、非常な苦境に立って、五位、七位というふうに転落しつつある。これはいかにわれわれが否定すべくもできない現実の問題だと私は思う。その一番大きなものは、やはり何といっても、今までの戦時中からの債権のたな上げを、われわれやはり強く主張しておったわけですが、これといま一つは、根本的な造船界に対するところの施策というものを立てない限り、これは今の造船界が恒久的な安定策というものを作ることはできない。そこで私は前に、造船界に対する鉄鋼需給安定策というものは一体どうするのか、英国と日本と比較した場合に、鉄綱の価格というものも調整をしなければならぬ。あるいは貿易・為替の自由化によるところの大量の輸入というものがあっても、米国の業界の不振がきたならば、その余波というものは直ちに日本が受けなければならぬのじゃないか。こういう点についての恒久対策というものは一体どうするかというようなことや、あるいは今民間の船台が一応ふさがっているにしても、なおかつ、中小企業の船台というものは、自転車の電動機等も修理しなければならぬというところまで追い込まれている苦しいところもある。こういうことを前回私は申し上げたわけなんであります。そういう恒久方策というものを考えないで、その場当たりだけの、いわゆる利子補給、しかもまあ実に考えてみれば六分の一か七分の一にしかならぬ利子補給で、根本策が立つのかどうか、こういうところをいま一度私は運輸省に検討してもらわなければならぬのじゃないかと思う。運輸省が積極的にその施策を遂行しようとしても、大蔵省に問題があれば、むしろ大蔵大臣に出席を求めて、運輸委員会としてのやはり態度を明らかにすべきではないか、こういうことも実は申し上げておいたわけです。  そこで、今の御説明によりますると、九億五千四百万円で、とにかく当面利子補給を延長をしていきたい。今日の事情で、すでに今申し上げたような非常に好況であった造船界が下降線をたどり、世界的にはだんだん日本の地位は下に下がっている、こういう点。さらに、今年度から三十六年のやつを四カ年延長をして、どの程度まで運輸省としては、世界造船界の中で標準をかちとれると思うのか。こういう点をいま一度資料的に一つ説明をしてもらいたいと思う。
  16. 水品政雄

    政府委員(水品政雄君) ただいまのお話は、海運界の今後の見通しについてということでございますが、なかなかこれはいろいろな要因がございますので、的確な見通しということはむずかしいのでございますけれども、現在大体確実に想定できるであろうと考えておりますのは、受注量の面といたしましては、三十五年度においては六十五万トン程度の受注が可能ではないかというような見通しを持っているのでございます。その内訳は、輸出船につきまして約三十万トン、国内船その他賠償船等で三十五万トンというふうな見通しを持っておりますが、三十六、七年度につきましては、現在の見通しといたしましては、三十五年度とあまり変わったような要因がまだ出て参りませんので、大体三十五年度程度の受注が、今の状況では一年続くのじゃなかろうかというような見通しを持っておるのであります。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、そういうことでいったならば、国際社会の中におけるわが国造船業界の位置というものはどの程度になるのか、そういう点をあなたの方では資料をとっているでしょう。これはもう国際的にも発表されているのだから、この四カ年計画を実施した場合に、今あなたの言うのは、三十五年度が大体六十五万トンくらいになるだろう、あるいは三十六、七年はほぼそのままだろう、こういうようなことで、三十六年から四カ年間利子補給をやると、そういうときに、どのくらいの位置づけに日本造船界がなるのか、そういう点はいかがですか。もしなければ、またあとでもう一度資料を作って提出をしてもらいたいと思うのですがね。
  18. 水品政雄

    政府委員(水品政雄君) 詳細につきましては、後日資料で御説明申し上げたいと思いますが、世界造船界における日本造船界の位置が、どの程度になるかということにつきましては、御承知のように、三十二年以降本年度まで、ほとんど建造量においては世界の第一位を占めておるわけでございます。しかし三十五年度におきましては、とうてい一位は困難と思いますけれども、それは従来の受注残がございますので、三十五年度におきましては千百三、四十万トン建造が可能な見通しでございますが、三十六年度ころになると、相当ランキングが低いものになろうかということを非常にわれわれ心配しておるわけでございます。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 それから先ほども申し上げましたように、鉄鋼の価格調整の点について、前回大臣が、大体造船界の必要な鋼材というものは三〇%ないし四〇%で、日本と英国と比較した場合、日本の場合はトン四万八千五百円、英国の場合は四万一千八百円、こういう差があるわけです。このような差を考えた場合に、やはり日本造船界が割高になるということは事実なんです。そこでそういう鉄鋼需給の安定を一体政府はどうするのか、こういう点について質問をしておいたわけですが、この点については、運輸省事務当局としてはどういうふうに考えるか。
  20. 水品政雄

    政府委員(水品政雄君) 鉄鋼需給の安定というか、量的なものは、御承知のように、現在ちっとも国内的にも困っておらぬのでございますが、問題は、今お話のございました価格、六千七百円ほどの英国との価格の差の問題でございますが、これにつきましては、これも何とかその差額の補給その他の方法を講じたいと、こう考えまして、現在すでに通産省ともそういう問題についていろいろ、方法の問題で話をいたしております。しかし、非常にむずかしい問題でございますので、それはそれといたしまして、一方、世界の市場から安い鋼材を買ってくるというような、鋼材の輸入の自由化とでも申しますか、そういうようなことにつきましても並行して検討いたしております。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 それからいま一つ。その点についてはなおインドにおけるルールケラーだったか、富士製鉄のあの鉱石輸入の問題も、これは非常に将来の鉄鋼の問題には大きな影響を持つわけですが、そういう日本の鉄鋼界における長期計画、こういうものも実は通産省はすでに出しておると思う。そこでそれらと運輸省とが一つ検討した資料を私は出してもらいたい。少なくとも四カ年間の法律延長というものをさらに考える場合には、単に四カ年ばかりでなく、少なくとも十年くらいのものでなければ、四年間の目安だけをやってみてもこれは意味ないことです。こういうことにもなるから、そういう資料を一つ作成して出してもらいたい。  それからその次にお尋ねをしておきたいのは、今のような形で検討は進めても、直ちにこれが鉄鋼の単価、いわゆる鋼材の価格差というものはそう直らぬと私は思う。そこで、政府先ほど説明を聞いていると、利益があがった場合、利潤が出た場合には利子補給をやめる場合もあり得る。従って業者自身としては、利子補給を受けるから、結局はできるだけ独立採算という形で合理化政策というものは進められてくると思う。そこで合理化政策が、単に機械等だけならば私は問題ないと思う。ところが、ともすると、経営者の立場からいけば、それを人員にしわ寄せをされるおそれがある、つまり労働者にしわ寄せされるおそれがある。こういう問題について、きわめて私どもは慎重な検討を要すると思うのでありますが、政府としては、その造船会社に対してこの利子補給をする場合の条件というもの、そういうものについて、どういうふうな話し合いをしているのか、もしその話し合いがされてきまっているならば、きまっていることを一つ発表してもらいたい。あるいはきまっておらなければ、どういう方向であるかということを一つ発表してもらいたい。
  22. 水品政雄

    政府委員(水品政雄君) 利子補給と造船会社の問題については、直接的な関係ございませんので、そういう観点についての労働対策ということは、実は何も現在やってもおりません。計画はしておりませんが、建造量の低下に対する雇用問題、これは非常に重要な問題でございますので、建造量の確保というようなことが中心になりますが、一方、雇用関係の問題につきましては、業界に特別委員会等を作らせまして研究し、いろいろ協調、連絡をとらしております。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 私の一番心配しているのは、実は造船界は好況のように見えてそうではない。そこで、利子補給政府がするから、やはり監督、監査というものも厳重にするものは当然なんです。また、国民の血税を補給をするわけですから、そういう面ではやはり監督上の立場は運輸省にあると思う。そこで業者自身は、そういうことを理由に、ことさらに、やはり労働者にしわ寄せをされるおそれがあるという心配を私はするわけです。いま一つは、そうでなくとも、現在の造船界というのは、場合によると人員整理をしなければならぬということが考えられはせぬか。もっと積極的な施策を講ずることによってのみ、今の労働量、こういうものを増大することができる。日本の国内における労働者の就職というものはきわめてむずかしい。特に中小企業の場合の、全く定員化されておらない者については、若干雇用量があるかもしれないけれども、一般的にいう責任ある雇用量というものは、なかなかそう進んでおらない。こういう面をあわせ考えていくと、非常に造船界の問題について私は問題点が含んでいる、こういうように実は見ているわけです。こういう点について、運輸省がどういうふうに雇用量を増大しようとする政策を持っているのか、あるいはそれを安定させようとしているのか、こういうことは、やはり監督官庁としてなおざりにできない私は問題だと思う。ですから、私どもは、利子補給されるものについては、当初の計画よりは非常に少ないということで、意見はあるけれども、とにもかくにも、一歩前進をしたということは私はけっこうなことだと思う。しかし、その半面、そういう運輸省の大きな任務というものを、私はどういうように遂行されるかということを、やはり具体的に暦年度というか、計画的なそういうものを、できれば私は出してもらうのが、運輸のこの専門委員会としてのやはり仕事ではないか、こう思うので、そういう点についておわかりになったならば、一つ答弁をいただきたいし、あとでそういう雇用の増強等の問題についてお考えがあれば、資料を一つ提出してもらいたい、こう思うのです。
  24. 水品政雄

    政府委員(水品政雄君) 利子補給は船主の方に参る金でございますので、まあ直接造船所との関連はございませんが、もちろん、船主経営が強化されまして、建造量がふえるという結果が出てくる意味合いにおいて非常に関連があるわけです。しかし私ども、今造船所の雇用問題を造船対策の第一の項目として検討はいたしております。われわれの方針といたしましては、御承知のように、非常に熟練を要する仕事でございますので、少なくも熟練工、これは大体において常用工でございますので、そういう人たちの配置の転換等せずに、今後の造船経営が成り立つように、少なくもその程度建造量の確保という観点の研究をいたしておりますし、また一方、御承知のように、臨時工というような方々も大ぜいいるわけでございますが、そういう方々についても、今日失業等のことの起こらないように、さっきも申しましたが、業界が中心になっていろいろ協力をいたしております。これは幸いに造船以外の関連といいますか、造船外の工業あるいは産業界も非常に好況でございますので、この点も割合によく今まで運んでいるように見受けております。一方、造船企業体質改善という観点に立ちまして、造船以外の部門に進出ということも、われわれ勧奨いたしております。これも御承知のように着々といろいろ進んでおりまして、大ていの造船所が造船以外の仕事に積極的に進出をし、そして少なくも現在の雇用の確保に万全を期するというふうな進み方をしておるのでございます。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 それから私は、先ほどちょっと話の出ました、今後の問題として、特別対策委員会等を作って検討をし、あるいは推進をしていきたい、このことは非常にけっこうなことだと私は思う。そこで船主、造船業者、それから労働組合、それに政府関係、こういうようなところを入れて、これはやはり単に今までの特別審議会というものと違って非常にユニークなものだと私は思う。ほんとうに全般的に海運造船関係の問題について検討を進めることができる、話せる場所だと私は思う。そういう意味で、そういうような人たちをもって十分意見を交換をし、そしてほんとうに日本造船業が発展をするように、私は運輸省努力をしてもらいたいと思う。そういうような形で特別委員会を作って、一つ推進をしてもらうことを要望して、私は本日はこの程度にとどめます。
  26. 松浦清一

    ○松浦清一君 政策的な問題は、運輸大臣が御出席になった委員会でお伺いをすることにして、少し事務的なことについてお伺いをしたいのですが、海運局長にお伺いをします。経済企画庁の来年度の貿易の見通しによるというと、今年度に比べて輸出が一一%ふえて輸入が九%ふえる、大体そういう見通しを立てていますね。それにもかかわらず、海運国際収支において二億四千万ドルほどの赤字が出るということが見込まれておる。こういうふうに伝えられておるのですが、その根拠を一つ説明をしてもらいたいのです。
  27. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 経済企画庁の三十五年度の輸出、輸入の見通しに基づきまして、私どもの方で海運関係国際収支の見通しを算定いたしたのでございます。三十五年度の見通しといたしましては、国際収支、まあ一応IMF方式と言っておるのであります。各国ともに採用いたしております国際収支計算の仕方でございます。これで運賃におきましては七千二百万ドルの赤字、受けの方が二億一千七百万ドルで、払いの方が二億八千九百万ドル、差し引きいたしまして七千二百万ドルの赤字が運賃において現われて参るということでございます。港湾経費につきましては、船腹もふえて参りまするし、外国諸港において支払わなければならない港湾経費がかさんで参りますために、支払いが一億九千六百万ドル、受けが二千八百万ドル、差し引きいたしまして一億六千八百万ドルの赤字、従いまして運賃と港湾経費と合計いたしますと、これを海運関係として国際収支をながめてみますと、合計いたしますると二億四千万ドルの赤と、こういうことになるのであります。これは従来——三十年、三十一年、三十二年というような運賃の高い好況のときには、御知のように、外国船に運賃として支払わるべき絶対額も多くなって参りまするし、運賃が高いものでありまするし、輸入量等も非常に多くなって参りますから、従いまして積み取り比率も悪くなり、外国船に支払わなければならぬ運賃の絶対額というものは非常に多くなっておるわけでありますから、そういった三十一年度、三十二年度等におきましては、運賃だけでも二億六千万ドルあるいは二億五千万ドルの赤字を出しておるということでありまして、これはやはりそういった貿易が発展をいたしまして、日本船腹がそれに対応できないということでもって、なおこういった国際収支の観点からするならば、船腹が不足である、貿易に並行してそれだけの船腹整備が伸びていないということが言い得ると思うのでございます。来年度の見方につきましては、いろいろございますが、大体定期船は御承知のように運賃率というものが一定しておりまして、割合に安定をいたしております。しかし過日来御指摘のありますようにニューヨーク航路の航路安定の上に非常に重大な問題が起こっておりますけれども、一応安定をするように努力もし、そういうふうに持っていきたいと思うのでありますから、割合に就航船腹に応じて本年度と同じような見込みが立ち得るのじゃないか。一方、不定期船におきましては、貿易の自由化等に関連して、相当悲観的な見方もありますけれども、来年度に関する限りは、大体五%アップくらいの運賃等を見込みまして、今申し上げましたような海運関係国際収支をはじきますと二億四千万ドルの赤字と、こういうことに相なるわけでございます。
  28. 松浦清一

    ○松浦清一君 戦争前の六百万トン船腹を保有しておった時代における国際収支状況を御記憶であればお教えを願いたいのですが、黒字、赤字の関係を知りたいので、見当でいいです。あなたの頭の中におそらくあるでしょう。
  29. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 当時こういったIMF方式の算定をいたしておりませんけれども、実質収支からいきますと、大体一億円の黒字であったというふうに記憶いたしております。
  30. 松浦清一

    ○松浦清一君 大体のことでしょうけれども、戦争前の日本海運が国際海運収支において一億円、今の金にすると四百億くらいになるでしょうか、そういう黒字の態勢であったものが現在赤字であるということは、その主要な原因は、先ほど説明があったように、日本の持っておる船腹の不足に原因するのでしょうが、そのほかに原因がありますか。船腹が不足をしておるということだけが主要な原因であるか、そのほかに、なお、前に黒字であったのに今赤字であるということは、そのほかに数えられる原因があれば御説明を願いたい。
  31. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 先ほど申し上げましたように、船腹が貿易の伸びに対応して整備されていないということが一つの原因でありますと同時に、その年度におきます運賃の市況の問題もあると思うのであります。それと輸入量が、昭和三十三年度におきましては六百万トンばかり——経済の調整期に入っておった時期でありますので、消極的にバランスするということもあり得るわけであります。貿易量がうんと伸びて、それに対応する船腹が足りなくて、バランスがとれないということに結局はなると思うのでありますが、それと同時に、運賃の高低ということが、赤字を出す絶対額において非常に大きな要素をなしておるというふうに考えます。いま一つの原因は、三国間の輸送、これはまあ純粋に、といいますと言葉が変でありますが、これは純然たる外貨獲得であります。かせいだものが全部受けに立つわけでありますから。この三国間の輸送というものがもっと促進されなければ、海運国としての実質的な力にはならない。御承知のようにイギリス、ノルウエー等におきましては、運賃の半分以上は全部三国間の輸送においてかせいでおるわけでありまするし、ノルウエーにおきましては八五%といったような数字もございます。船腹の半分以上がすべて三国間貿易に従事して、海運を独立産業として外貨獲得に努力をしておるということから見ますというと、なお、日本海運サービスの輸入国であるという地位を早く脱却しなければ、この国際収支の安定は期せられない、こういうふうに考えておるのであります。
  32. 松浦清一

    ○松浦清一君 今の世界船腹状況の中において、日本が来年度に二億四千万ドルの赤字が出ると予想される。その赤字を、どれくらいまで船腹を増強すれば、全部を克服することはできないとしても、半分くらいでも克服ができる見通しがありますか。つまり、御答弁いただきやすいようにもう一ぺん説明しますと、海運局長日本計画造船の目標というのは、戦争前の状態に返すために努力しているわけでしょう。この運賃の赤字を黒字に転位するために今努力しているわけでしょう。日本船腹をふやしていくのと同様に、比率は違うかもしれぬけれども、ほかの国も船腹を増強をしつつあるわけですね。だから、日本はどの辺までいけば、戦争前の世界船腹量に対する日本の保有船腹量の比が追っつくかということなんです。その計画をどの辺に持っていくかということなんです。
  33. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) これは長期経済計画できまったものはございます。しかしその編成をいたしました当時とだいぶ経済事情も違っておりますので、企画庁等におきましても、この検討をさらに続けておられるわけでありますが、当時の計画を編成しました考え方は、これ以上国際収支を悪化させないということでもって、ただいま御指摘になりましたように、戦前にまで戻すという大きな理想が掲げられてなくて、その当時の国際収支状態を悪化させないという、きわめて消極的な目標を立てましても、保有船腹量は六百九十万トンということになっておるのであります。そのうち内航を差し引きますというと、毎年、年間五十万トン建造量は必要とするということに計画はなっておるのでございます。しかし、その後の経済の成長率あるいは貿易の伸びといったようなものから考えますと、この規模は非常に少ないように思われるのでありますが、現在といえども、そういった、非常に見方によっては低い目標を立てましても、年間五十万トン建造量は必要だということになっておるのでございます。  ただいまの、戦前の状態と同じように回復するのには、船腹は一体どのくらいあればいいかという御質問でございますが、この点につきましては、まあいろいろ国際収支の見方からして、先ほど申しましたような戦前の黒字にまで回復するためにどれだけ船腹が要るかという計算の仕方もございますが、非常にラフなお答えで恐縮でありますけれども、戦前は六百二、三十万トン保有いたしておりましたときに、世界船腹は約六千数百万トン、そういたしますというと一割であります。一割の保有船腹世界第三位の海運国であるといわれておったわけでありますから、それから非常に、まあ大ざっぱな見当を申し上げて恐縮でありますが、ただいまは五%であります。五%で世界第五位であります。一億一千五百万トンから世界船腹があるわけでありますが、それに対して、先ほど申し上げましたように五百八十万トン、この三月で五百九十万トンくらいの保有船腹になるわけであります。そうしますと、五%で世界第五位でございますから、戦前のような状態に、一割にまで戻そうとすれば、それの倍の船腹量でなければ一割にならない。その間において、世界船腹総量というものはふえて参りましょうから、それに対応して約一割というようなことが、戦前の保有船腹世界船腹との比率から見れば、そういうような考え方ができるのじゃないかというように考えるのであります。
  34. 松浦清一

    ○松浦清一君 これは海運局長にお伺いするのは間違いでしょうけれども、経済企画庁あたりの説明を聞く必要があると思うのですがね。一般の鉱工業生産の戦前に比べての上昇率はどのくらい——四倍くらいになっているんじゃないですかね。今おわかりにならなければ、またこの次、ついでのときに教えてもらいます。とにかく、鉱工業生産の上昇率に比べて海運の上昇率が非常に低いということは、これは間違いのない事実だね。それを鉱工業生産の上昇と貿易の上昇の線に沿って日本船腹を増強していかないというと、海運国際収支の赤字を克服することができないわけだね。だから、そのためには一千万トン以上の船腹を保有する必要がある、そういう大体見通しを承ったが、それでけっこうです。  それで、最後にちょっと伺っておきたいのですが、きのうの海運造船合理化審議会にあなた御出席なさったのですね。そうして今の問題になっておるニューヨーク航路に関する問題だとか、石炭専用船に関する問題、そういうことについての御説明をされたと承っておる。そこで説明された通りのことを一ぺんここでちょっと御説明願いましょう。それから私はまたこの後に聞きます。
  35. 朝田静夫

    政府委員朝田静夫君) 最近のニューヨーク航路の問題につきまして、昨日海運造船合理化審議会で御報告を申し上げておいたのでございます。これは御承知のように、最近におきましてニューヨーク航路にマルティシー二ーというアウト・サイダーが出て参りまして、それがそれに対抗いたしまして、同盟が、御承知のようにニューヨーク航路はオープン・コンファレンスという、脱退も加入も自由な同盟でございまして、非常に同盟自体としては弱い同盟でありますが、それに対して、アウト・サイダーが出てきても対抗手段のないような海運同盟にとどまっているわけにはいかないということで、同盟のメンバーでありますところのバーバーという北欧系の船主が脱退通告をして参ったのでございます。そこで、そういったことに対して、海運同盟としては、同盟自体が対策を講ずるのでございますけれども政府の立場といたしましては、従来からこういった同盟に対する状況活動に対しては不干渉主義をとるということが、各国ともとっておる政策でございますので、日本政府といたしましても、この点につきましては、同盟不干渉主義ということであるべきだと思うのであります。従ってそういう態度はくずしておりませんが、ニューヨーク航路は、御承知のように対米貿易の上から見ましても、海運の定期航路におけるニューヨーク航路の地位からいいましても、きわめて日本国民経済の上に重大な影響を与えるということは否定できない事実でございます。従いまして、日本政府としても、同盟の対抗手段については、干渉はいたしませんけれども、この航路が安定するということが海運、貿易、両面から見ても非常に必要であり、日本の経済全般から見ても、最も重要な問題であるというふうに考えまして、この航路安定については重大な関心を持つのだということを、去る二月二十九日に日本船の航路担当業者の、九社の社長を運輸大臣が呼びまして、みずから日本船自身も自粛するように、積み取り制限その他につきましても自粛をして、外国船主と協調して、この航路の安定に努力をせられたいということを要望されたのであります。そういうことで数日後、私が外国船主にも同様にそういった事情を報告いたしまして、日本政府の意のあるところを伝えておいたのでございます。ただ、そこで採用いたしました、同盟自身がアウト・サイダーに対して対抗手段として考えましたいわゆるフィデリティ・コミッション・システムというのがございますが、これにつきまして、四カ月、同盟の船に積んで、アウト・サイダーの船に積まなければ、運賃の九・五%の割り戻しをするというのが、このフィデリティ・コミッション・システムというのでございます。その方法をもって、アウト・サイダーに対抗し、日本船は積み取り制限等も厳重に順守するということで同盟脱退を食いとめよう、そうして航路の安定をはかろうという意図があるのであります。これに対しまして、運輸省といたしましては、海上運送法に基づいて、こういったフィデリティ・コミッションというものを承認する方針であるということをはっきり言明をいたしておるのであります。  ただ、ここに問題がありますことは、アメリカにおきますところのこのフィデリティ・コミッションの取り扱い方が、非常な独禁法的傾向の強い国でありまするし、国内事情、米国の事情からいいましても、なかなかこれが認められるかどうかということには疑問があるわけでございます。これにつきましても、外交機関を通じて、航路の安定について米国政府協力願いたいということを、適当な方法と時期において伝えているような状態でございます。一方、先日来この委員会でも問題になりましたように、このニューヨーク航路の安定を阻害する、混乱するきざしと別の問題といたしまして、アメリカの独禁法的傾向の強い表われとして、日本船の十一社がワシントンの裁判所に呼ばれておるわけです、召喚されておるわけであります。世界各国七十一社に及ぶ海運会社が、独禁法あるいは商船法の違反の疑いがあるかどうかということをきめるために、裁判所において召喚をされておるという事実がございまするし、米国の国会の上院、下院におきましても、アンタイ・トラストの小委員会でありますセラーズ・コミティというところでも、この違反の疑いがあるかどうかという調査もされております。またボナーズ委員会というのもありまして、これも国際慣行に従った同盟のあり方ということも検討されているような、二つの委員会で問題を取り上げておるということでございまして、要するに、日米両国の海運政策なり海運関係の法制が違うところに、非常にこの航路の安定をはかる上にむずかしい問題があるということを報告いたしたのでございます。  第二番目の、ただいま御質問がありました石炭専用船の問題につきましての私の報告は、最近鉄鋼会社において、貿易の自由化等に対処されて、鉄鋼の輸出をする上におきまして、国際競争に耐えていくために、製鉄所の石炭を運びます際に、専用船を外国の会社から発注させて、日本造船所で建造をいたしまして、そしてそれを長期に製鉄会社が用船をするという問題でありますが、その後いろいろな製鉄所側におきまする考え方の推移はございますけれども、当初の考え方といたしましては、そういった米国内におきます会社から日本造船所に対して発注を、船舶建造の発注をいたしまして日本造船所は輸出入銀行の四分の金利で輸出金融を受けるわけでありますから、そういったものをコスト計算をいたしますというと、非常に安い運賃で石炭専用船を利用できる、こういうところから問題が出たのでございます。  そこで、私どものこれに対しまする事務的な採算運賃の比較をした資料を、昨日の合理化審議会に提出をいたしまして御説明申し上げたのでありますが、それによりますというと、この計画として考えられておりますものは、石炭専用船は四万五千トン、デッド・ウエートにいたしまして四万五千トン、一万五千馬力、船価が二十一億九千万円、乗り出し費用を入れまして二十一億九千万円、この際に、石炭専用船をもし計画造船の条件で作りますというと、財政資金が五割、市中金融からの借り入れが五割ということで、財政金利が六分五厘、市中が九分四厘九毛でありますが、利子補給をいたしました場合には七分五厘になるわけであります。従いまして、利子補給をいたしましたときの計算をいたしてみますというと、平均金利は七分一厘になるのであります。ところが、輸出船でやりますというと、輸銀の融資は、契約船価から、頭金の、通常三〇%でございますが、頭金の三〇%を引きまして、なお造船所の利益、減価償却費等を差し引いた残りの八〇%以内が、輸銀の四分の金利融資を受ける対象になるわけでございます。従いまして、こういったもので計算をいたしますというと、頭金が、前払い分としての頭金が、大体米国内におきます金利は五分でありますから、まあそれを五分五厘と計算をいたしましても、平均金利は五分一厘六毛、こういうことになるのであります。そこで、日本財政資金を使い利子補給をいたしましても、平均金利は七分一厘、輸銀の融資を利用すれば、これは五分一厘六毛だと、こういうことで、運賃の低下ということは、外国船におきましては可能であるけれども日本船においてはなかなか採算がとれない、こういう矛盾が起こってくるのでございます。そこで、それでいきますというと、日本船で採算運賃をそれではじいてみますと、初年度が七ドル八十セント、五年平均でいいますると、われわれの計算では七ドル三十六セント、ハンプトンローズと日本の石炭運賃を、今申し上げた平均金利で採算運賃をはじいてみますというと、そういうふうに七ドルをどうしても割ることができない、こういう計算になるわけでございます。ところが、輸出船につきましては、先ほど申し上げましたように、平均金利が五分一厘六毛でありますので、初年度の採算運賃は七ドル二十六セント、五年平均でいいますと六ドル七十四セント、七ドルを切ることができるわけでございます。従いまして、製鉄所側が一万海里に及ぶ日本とハンプトンローズの長距離の海上輸送におきます運賃部門というものは、鉄鋼のコストの上から見て非常に大きなウエートを持っておりますので、そういうところに着目をされたことだろうと思うのでございますけれども日本海運を育成助長していく上において、こういう政策の矛盾を来たしておるのじゃないかというようなことで、海運自身を輸出と考えないところに政策の矛盾なり不足をするところがあるのだという御意見が、昨日の合理化審議会で討論の際に一部の人から出た御意見であります。  そこで、こういった点が、先ほど相澤先生からも御指摘がございましたように、利子補給の九億五千万円で足りるのかという問題とも関連いたしてくるのでありますが、こういうはっきりと数字の上で現われて参りますというと、私どもとしては、日本海運国際競争力の上においてなお不十分であるということが現実の問題になってきたと思うのであります。それに対する対策は、合理化審議会として、四月に入ってなお検討した上で結論を出そう、こういうことになっているのがきのうの審議会の模様でございます、
  36. 松浦清一

    ○松浦清一君 時間がありませんから次回に譲りますが、最後に申し上げておきたいことは、先ほどから相澤委員からも御指摘がありましたように、日本海運国際競争力に耐え得るだけの力を持っておらない。もっと助成をしなければいかぬじゃないか、こういうことはまことにもっともな話で、また世間が、一体、日本海運はどうしてそんなに弱体なのかという、根底をなす理由について十分周知されていないところがある。そこで衆議院あたりで変な反対的な質問が飛び出したり、海運の恒久的な強化策に対して水をかけるような議論が起こってくるわけです。つずめて言えば、結局五千億にあまる利子補給が打ち切られて、そうして三千億に近い借金をしょって、先ほど海運局長おっしゃったように、二百億に余る利子を払わなければならぬ、こういうところに、日本海運国際競争力に耐えられない弱さがあるということは、これはもう簡単にいってもよくわかる理由なんですね。一方、財政資金をたくさん使って船を作って、わずかでも利子補給をして助成していくということを考えているのに、今御説明があったように、日本海運の中核ともいうべきニューヨーク航路がこのように混乱してきて、その上に製鉄所あたりが製鉄コストの引き下げのために専用船を作る、こういうふうなことになってきますと、一方において助成をしながら、一方において手放しで混乱をさしているという状態になると思うんですよ。だから定航同盟がゆさぶられているということに対して、全力をふるってこの方策を講じなければ、今の専用船のごとき、輸出船として安い金利で船を作るということを、その許可権を持っている運輸大臣が簡単に許可をするというようなことがあってはならぬ、もし許可してやらせるというのならば、それと同じ運賃で運べるだけの路線コストになるように、利子の引き下げをやるとか何とか、そういう政策を考えなければならぬ。まあ、こういう話をやっておると、私は三時間でも五時間でも話があるので切れ目がありませんから……。  最後に臨時船舶建造調整法の適用期間の延長についての問題に触れておきますけれども、このことを簡単に許可するということが、臨時船舶建造調整法第三条一項の規定によって、「国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。」が許可する条件になっている。これはおわかりの通りですね。それを十分慎重に検討されて、その辺のことを簡単に扱わないように一つしてもらいたいということを申し上げておきます。それからこのあと続いて臨時船舶建造調整法に関して運輸省の告示第四百三十二号の第二号、第四号にも、こういう種類の船を簡単に許可してはならぬ。特に第五号のごときは、「当該船舶建造によって、わが国商船隊の公正なる海外活動に著しく不利な影響を与えるおそれのないこと。」が条件になっている。これは明らかにそういう不当な形において船を作り、そうしてわが国海運界を混乱させるというようなことは不当である。こう私は判断いたしておりますので、簡単に許可するようなことがありますと、ちょっと問題が大きくなります。それだけ申し上げておきます。終わります。
  37. 白木義一郎

    白木義一郎君 きょうは町に話題になっているタクシー問題について、東京陸運局長に出席をしていただくようにお願いしたのですが、理事会の決定でその必要なしというようなことになったので、まことに残念に思っておりますが、また他の機会に来ていただくことにいたしまして、自動車局長さんにちょっと簡単にお伺いしておきたいと思いますが……。
  38. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止]
  39. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記を始めて。議題としました海運関係質疑は、一応きょうはこれで打ち切りまして、またこの次に質疑のある方は質疑していただくことにいたします。   —————————————
  40. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) なお、次に白木君が発言を求めておられますので、これを許すことにいたします。
  41. 白木義一郎

    白木義一郎君 それでは、自動車局長さんにお伺いしたいと思いますが、今町で問題になっておりますタクシーの許可の問題について、簡単に急いでお伺いしたいと思いますが、今回の審議会の増車答申に対する意見について、運輸省あるいは局長として全国的に増車問題についてどういう方針とどういう意見をもって進められていくか、もう一度はっきりお伺いしておきたいと思います。
  42. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) ハイヤー・タクシー関係の増車につきましては、自動車運送協議会に諮問いたしまして、その答申に基づきまして増車措置をいたしておるわけでございますが、現在東京都、名古屋市、福岡市、仙台市、札幌市、高松市、高知市、徳島市、松山市、それから京都、大阪、神戸、この地区におきまして自動車運送協議会の答申を得まして、免許及び増車の認可の措置を進めておるわけでございますが、この自動車運送協議会の答申を得ます地区以外におきましても、需給状態をよく見まして、現在は全国的に申しまして、やはりハイヤー・タクシー関係においては両数がまだ不足しておると考えておりますので、これらの点につきまして全国的に具体的な、その都市々々の事情に応じまして増車の措置を考えていくという方向で進んでおります。
  43. 白木義一郎

    白木義一郎君 増車についてはすでにおそきに失する感がありますが、それについて当局として、この増車の内容をどのようにやっていくか、地域々々によって差別が起きると思いますが、たとえば既存会社へどのくらいとか、あるいは新免会社へどのくらい、個人免許については大体このような方針でいきたいというようなことをはっきりと一つ御明示願いたいと思います。
  44. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 増車につきましては、新しく免許を法人その他にいたしますものと、個人、一人一車制の個人に免許いたしますものと、既存業者への増車の認可があるわけでありますが、これらにつきましては、全国的な方針というものは申し上げられませんので、やはり先ほど申し上げましたように、その都市々々の事情に応じまして措置をしなければなりませんので、その都市に応じました適当な配分というものが、今後措置をされます場合に、審査を終了いたしました上で、その数字がきめられると思っております。福岡の地区におきましては、百六十一両免許をいたしまして、この場合新免をいたしましたものは、法人等につきまして八十五両、個人が十四両、既存業者への増車が六十二両、このような比率を示しておりますが、これはしかし各都市において違う状況があると思っております。
  45. 白木義一郎

    白木義一郎君 その中で、特に既存業者にこの際増車をする理由を一つあかしていただきたいと思います。
  46. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) ハイヤー・タクシー事業は、やはり公共性を持った事業でございまして、従来既存業者がハイヤー・タクシー業を経営しております場合に、その既存業者が陸運局の指導方針等にものっとって十分な輸送サービスをしております場合には、これは新しく免許を受けます者に対して審査をして免許及び却下をきめますと同様に、既存業者に対しましても十分監査をいたしまして、従来のそのタクシーを経営しておりました実績を考えまして、やはり既存業者へも増車をするのが、大体タクシー行政をやっていく上において妥当なことであると考えておりますので、その方向でわれわれとしては進んでおります。
  47. 白木義一郎

    白木義一郎君 既存業者に当然の権利として、この際も与えていくという、それが妥当な考えであるということについて、妥当であるか妥当でないかということは、これは問題になりますが、次に、東京では百七十三台の個人タクシーが走りだしておりますが、その現在までの営業成績あるいは運行の状態、指導監査状態、そういうようなことがわかっておりましたらお聞かせ願いたいと思います。
  48. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 百七十三両、昨年末に免許をいたしまして走りだしましたのでございますが、その運営の状況につきましては、概して良好だと考えております。ただ、二、三の事業者につきまして、車庫の位置の変更等の場合に無届けであったというような——間違いました。無認可であって、移転しておったというような事態はございましたが、収入等の面におきましても、実働一日一事当たりの収入は、平均五千十円ほどあげておりまして、勤務時間等におきましても、大体適正なる運営をなされておりまして、これらの点においては、個人タクシーは比較的良好な成績をあげていると考えております。
  49. 白木義一郎

    白木義一郎君 それでは、この良好な成績をあげている個人タクシーの免許にあたって、どういう審査の基準で当局はその免許を許したかどうか、それもちょっとお聞きしておきたいと思います。
  50. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 個人タクシーにつきましても、やはり道路運送法第六条の免許基準に基づきまして審査をいたしまして免許をいたしまするのは当然でございますが、個人タクシーという性質にかんがみまして、その個人に対しまして、道路運送法に基づきますタクシー運営が十分にできるかどうかというようなことも審査いたしました。その場合には、自動車、車庫、営業所等の諸施設、それから資金の関係、事業用自動車の運転資格の有無及び運転の技術、自動車の整備能力、人物、一般教養及び順法精神、健康の状態というようなこと等につきまして審査をいたしておるわけでございまして、これらは道路運送法第六条の免許基準に基づきますものとして考えて措置をしておるわけでございます。
  51. 白木義一郎

    白木義一郎君 そうしますと、既存会社で増車したその車に乗る運転手に対しては第二種の免許を持っていれば直ちに就業できる。個人営業については、そのような厳格な審査が与えられ、狭き門を突破しなければ営業ができない、非常に不公平な感じをわれわれは強く持つのですが、その点局長の見解を承りたいと思います。
  52. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 既存のタクシー会社に雇用されます運転手に関しましては、経営の責任というものは会社が持っておりますので、その自動車を運転して旅客にサービスするという点だけ運転手としては専念しておればいいと考えるのでございますが、一人一車制の自動車、ハイヤー・タクシー個人営業の場合には、これはやはり一つの事業を経営しておるのでありまして、事業を経営する以上は、事業経営に関しまする能力というものも、われわれとしては見なければなりませんので、そういう点におきまして、事業経営の能力を持つ人でなければ個人タクシーは免許になり得ないのではないかと考えますので、その点、会社に雇用されます運転手とは違った扱いをいたしておりますが、その差はあってしかるべきものと考えておる次第でございます。
  53. 白木義一郎

    白木義一郎君 その差は、憲法の第十四条で、すべての国民は、法のもとに平等である。人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において差別することは許されてない。ところが、今度の免許にあたりましては、個人営業は四十才以上とか、あるいは長年の無事故だとか、あるいは相当な貯金通帳を持っていかなければ許可を与えられない。これでは、タクシー運転手としての性質上、これは不可能な審査基準であって、ますますそういう資格のない連中は、働かなければならない、生活しなければならないという立場から、いわゆる白タクの方向へ進まざるを得ない。こういうような実情になっております。そこで、現在までの百七十三台の個人のタクシーの営業状況、大へん良好であるというようなお話があったわけですけれども、そこで、運輸大臣は、今回のタクシー問題については、あくまでも個人の営業に希望を持たしているという声明を発表していらっしゃいますし、また、先ほどの陳情者に対しては、非常に業者から圧力があるので、にらまれているので、実は困っているのだ、板ばさみになって困っているというような泣きごとも民衆の前で大臣が発言しているわけですが、そこで次には、大阪陸運局で、今汚職で業者並びに係長が捜査を受けております。その状態局長として報告を受けておられると思いますが、ちょっとそれを聞かしていただきたいと思います。
  54. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 憲法十四条の問題を先生がおっしゃいましたが、この点に関しましては、われわれは憲法十四条は守らるべきものだと思っておりますが、タクシーの免許は、国から与えられた権能でございまして、これらの点において審査をすることは、これは妥当なことである、適法なことであると考えております。  大阪陸運局の捜査につきましては、従来運輸省といたしましては、機会あるごとに部下職員の職務執行の厳正と綱紀の粛正について、陸運局その他を指導して参ったのでございますが、今度大阪陸運局で、昭和三十二年の七月から十月ごろの免許処理の事項に関しまして、これは貨物自動車運送事業の関係でございますが、それらの事項に関しまして被疑事件が発生いたしました。この点はきわめて遺憾と考えておるのでございますが、目下の状況では、局の課長が一名起訴されまして、係長が一名処分保留になって出所しております。それから大阪陸運事務所の係長が一名逮捕になって、取り調べ中でございます。先ほど申し上げましたように、いろいろな機会に、運輸省のような事業監督官庁においては、世の疑惑を招く機会も多いから、そういうことのないようにという指導もいたし、従来から通達も出し、昨年の八月には、特に自動車行政関係職員の服務の厳正を指示する等、常日ごろ十分注意を払っておったのでございますが、今後におきましても、この種の事件の絶滅を期するために、峻厳な態度をもって部下の職員を指導いたしたいと考えておる次第でございます。
  55. 白木義一郎

    白木義一郎君 そこで、町で話がかわされているのは、このタクシー免許については非常に高額な権利金をうわさしております。あるいは二百万円とか二百五十万円とか、これを陸運局の役人が審査にあたり許可の権限を持つということは、どうしてもそこにそういう疑惑が起き、また汚職の温床になるということを、大衆は皮膚で、あるいは感覚で感じております。そこで、今憲法の十四条の問題が起きましたが、これについて、宝くじでさえ百万円あるいは二百万円という問題については、公開の抽せん制度をとっております。また、住宅に対しても、これは住宅難から起こる権利金あるいは保証金という問題が起きておる関係上、過去においていろいろなうわさがまかれました関係上、これも公開の抽せんの席上で公正にやり、初めて民衆はそれで納得しておる。こういうようなことを考えますと、今回の増車については、そういう、過去の問題ではありますけれども、汚職の容疑が起きておる、当局の中に起きておるということを基本にして、どうしてもこの問題について民衆が納得をしていない。そこで非常に当局は既存業者に対して同情的である、また大臣もいじめられておるというようなことではありますけれども、非常に不審な点が多い。たとえば私の近所に、あるタクシー会社が去年の秋ごろからできました。私のところは非常に便利になりましたが、原っぱに板塀で囲って、そうしてぼろぼろの事務所を一つ設けて電話一本設けて営業しておりましたが、いつのまにかそれが姿を消してしまった。今それを調べておりますが、おそらく覆面で免許を得て、そうしてしばらく状態を見て親会社に吸収された。この間タクシー運転手に聞きましたところが、私の会社は親会社と同列の資本でやっておる。その子会社としては五社、全部で百六十一車持っている。それから暮れに臨時増車がなされた。運輸事情の逼迫によって臨時にタクシーを走らせたけれども、これがうちの会社で一台許可になって、そのまま年末あるいは年始に引き続いて現在もそのまま営業を続けておるというようなことを皆聞いておるわけです。そういう点について非常に不明朗な行政が行なわれているように思うので、この際、大臣あるいは局長は、公正な立場から、この免許については大衆の前で、またテレビを通して、そうしてあくまでも政治というものは公正に行なわれいくのだ、公平に行なわれていくのだということを強調すべきじゃないかと思うのですが、厳正なる通達を出しておると言いますけれども、すでにこういう事件が起き、また警察当局で尋ねましたところが、このトラック免許については絶対的な確実性がある。今度のタクシー免許についても陸運当局を追及しろという投書がひんぴんとしてきておる。当局としては確信をもって今度の増車問題にからんだ汚職を相当な態度をもって追及しておるというような、捜査二課長のお話を私は聞いてきましたので、ますますこれは大きな国民に不審を持たす問題になってきておりますので、その点についてあくまでも十四条の精神にのっとって、この際公平に、そういう公開抽せん方法というような、いわゆるガラス籍の中で、一事務官が百万円あるいは二百万円といわれるような高額な金額を得るような免許については、あくまでもそういう立場で公正にやるべきじゃないか、こう長い間考えたのですが、その点について局長意見を伺っておきたいと思います。
  56. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) タクシーの免許等に関しましては、先ほどから申し上げましたように、世の中の注目を浴びておりますので、これらに関しましては、われわれとしては厳正公平に措置をするように指導しておるわけでありまして、先生の今おっしゃるのは、大阪の事件でございますが、不幸にしてこのような事件がまず貨物関係から起こって参りましたのでありますが、われわれとしては、厳正に扱うように非常な努力をしておりまして、ことに、今度の東京の増車のごとき問題に関しましては、全国民の注視の的になっておりますので、先生のおっしゃるように厳正、公正な扱いをいたしていきたいと考えておりますが、ただ、抽せん等のことに関しましては、道路運送法の第六条の免許基準もございまして、これらに関しましては、私どもこの免許基準に基づいて免許の審査をいたさなければなりませんので、抽せんで措置をするというようなこともできません。やはり、先ほど申し上げましたように、事業の経営能力、施設その他の面を十分に審査をし、それもできるだけ早く措置をするように、今促進の方法も研究いたしているのでございますが、そのように、できるだけ早く審査をして措置を進めていきたい、厳正に措置を進めていきたいと考えております。
  57. 白木義一郎

    白木義一郎君 厳正に公平にと言われますけれども、この免許基準については、「運輸大臣は、免許の申請を審査する場合において、前二項に掲げる基準を適用するに当っては、形式的画一的に流れることなく、当該自動車運送事業の種類及び路線又は事業区域に応じ、実情に沿うように努めなければならない。」、そこで実情は既存業者に対しては、合法的ではありますけれども、われわれの考えでは、育成保護のような立場できておったわけです。そこで、もっと早く増車の手続あるいは手配をすれば、こういうような白タクあるいはやみタクのような問題は起らなかったのですが、それをどうしても引き延ばしてきたというように勘ぐって考えているわけですが、そこでこの際、既存業者に対して、はっきりと増車の基準あるいはその内容がはっきりといたしていない。納得できないというような点から考えまして、十分既存業者は利益をあげてきた。しかも、運転手の状態あるいは労働管理等については、先年の神風タクシーではっきりとその内容が暴露されて、しかも、いまだに十分な車庫も持たないというような会社も多いわけですから、この際、既存業者は現在のままの状態で置いて、あくまでも今回の免許については、必要な台数は全部個人に返還をすべき——許可を与えるのじゃなくて、個人に返還をすべき性質のものであろうと私は考えているわけです。弁護士にも研究してもらいましたし、また、検察当局にもこの問題の意見を聞いたところが、皆この憲法第十四条に抵触する疑いがあるというような意見も述べているわけですから、この際一つ、自動車局長は公平に、いわゆる民衆が納得する、大衆がやむを得ない方法であると納得する行政措置を講ずるために、いろいろな点をあげて、あなたはそういうことはできないのだとおっしゃいますけれども、すでに住宅については抽せんという公平な方法をとっているのですから、あくまでも公平という方向へ進んでいきたい気持を持ってこの問題に当たっていられるのか、はっきりと一つ意見を述べていただきたいと思います。
  58. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 先ほどから申し上げておりますように、既存業者への増車に関しましても、その施設あるいは運営の状況等につきましては、監査を十分にいたしておりますので、その監査の結果に基づきまして増車措置をするし、不適正なものについては増車をしないと、こういうような方向で考えておりますが、ただいまの公平ということは、まあ抽せんが公平であるかどうかという問題に関しましては、住宅の割り当て等の場合とは異なりまして、現在の道路運送法がやはり第六条に免許基準というものを定めておりますので、われわれとしては、法律を運用する上において、免許基準に即したものでなければ、適合したものでなければ免許できないと思いますので、現在のところ、抽せんというようなことは考えられないのでございます。ただ、この第六条の第三項に規定してございます、形式的画一的に流れることなく、実情に沿うように努めよという条項に関しましては、個人タクシーの免許等に関しましては、特にこの点を十分考慮して措置をいたしておると申し上げることができると思います。
  59. 白木義一郎

    白木義一郎君 そういうお答えを聞くと、ちょっとまた申し上げたくなるのですが、この問題については、当委員会では、どちらかというと冷淡なような感じを私は受けるのですが、それについてこのいろいろ条文、法律を適用し、あるいは運用していくのは実はわれわれ人間なんです。で、人間の心次第でその法律が左右されて悪用されるというようなことも現実に起きているわけです。それを私が大阪陸運局の汚職という問題で申し上げているわけです。あくまでもその基準通りに、法律通りに施行をしていけば、こういう事件は起きないと、こう思うわけですね。そこで、まあ当委員会の先生方もいろいろな立場がおありでしょうけれども、何ら住宅の問題と差別がないと私は思うのです。そこで、公平にやるというのは、一応はその一定の基準を設けて、審査の上で事を運ばなきゃならないのは当然ですが、あくまでも陸運当局の内部において、そういったような免許の権限を与えたということについて、すでにそういう疑問が、あるいは問題が発生している最中なので、この際一つ局長の慎重な配慮を願って、そういうやり方もあるのだと、大衆が納得するような方法もあるのだということを一つ行政面において現わしていこうというような立場で当たっていただきたい。時間の関係もありますので、また別の機会でさらにお聞きをしていきたいと思いますので、その点についてもう一度お答えを願いたいと思います。
  60. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。   [速記中止〕
  61. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 速記をつけて。
  62. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 私どもは公務員として、できる限りの努力をし、実際一生懸命やっておりますので、むしろ世の中で公務員ほど国のために働いている者はないと思うのであります。そういう点から、実際、先生のおっしゃる厳正公平に扱うということは、もう非常に注意してやっておりますので、まあ、たまたま大阪のような事件が起きましたけれども、これは、われわれとしては、これをまた契機として、こういうことを絶対に起こさないように今後指導もし、個々の具体的な事案を処理する上におきましても、十分注意してやっていくつもりでおるのでありまして、まあ、われわれのやり方を、そういう曲がったようなことは絶対にしないということを申し上げたいと思うのであります。
  63. 白木義一郎

    白木義一郎君 先ほど委員長から御注意がありました点について、反省もいたし、今後注意をしていきたいと思います。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 時間がないから、私は質問しなくていいと思っておったのですが、やはり、今の白木君の意見が出るというのは、自動車行政に対する事務があまり進んでおらぬ、こういうところに各方面からのやはり強い意見が出るのだと思うのです。しかし、東京陸運局では増員までして一生懸命やっているということも、われわれは十分承知しておるが、私は何といっても理解できないのは、たくさん出しておる人たちと、それから年数がかかっておるということ、こういうようなことについては、行政上の苦悩はわかっても、国民感情としては、これはなかなか許すことのできないことだと思う。そこで自動車局長はですね、やはり行政監督庁としての立場で促進をして、段階的でもいいから、早く免許のできるものは免許する、できないものはできない、これはもう当然その法に基づいてやるわけですから、そういうことで、てきぱきと仕事を進めていくことが大事なことだと思う。  そこで私は一つだけ、そういう点で、部分的に一つお答えを願っておきたいのは、昨年の十二月三十一日までに聴聞の終わったような事案については、認可をすることができないのかどうか、もう三月も下旬になっております。こういうことになるというと、これをほうっておくというと、少なくともまた半年以上が延びてしまう、こういうことになるわけです。そこで、昨年の十二月までの未処理の件数というものは、できればこの年度内にでも処理をするようにして、そうして一月からの以降のものを、この前のお話のように四月なら四月にやると、おそくとも、ことしの答申のできるように、六月までには全体片づける、第一回として。そういう形で陸運行政を進めてもらいたいと思うが、局長答弁を聞いておきたいと思います。
  65. 国友弘康

    政府委員(国友弘康君) 東京の問題と、その他の、たとえば神奈川とかという問題とは、事案の処理に関しまして相違があるのでございますが、東京につきましては、たとえば個人タクシーに関しましては、六千三百五十四件の申請があります。これは、このうち事案の審査を非常に促進することをはかりまして、現在五千百六十件ほど審査を終了したのであります。これは非常な努力で終了しつつあるのでありますが、いまだ未聴聞のものがございます。これに関しましては、やはり二千八百両の増車のワクというものがございますので、これら全体的な措置ともにらみ合わして考慮しなければなりませんので、現在東京陸運局を督励して、できるだけ早く結論を出すように努力しておるわけであります。神奈川等につきましては、こういう増車の当然両数というものがございませんので、これに関しましては従来とも随時免許をしてきたわけであります。今後も審査の終わりましたものから随時措置をするという方向で、できるだけ早く促進をしたいと考えておりますが、東京の今の問題、それから神奈川につきましても、たとえば個人タクシーの申請が千百四十七件ほど出ておりまして、まあこれらの審査に忙殺されておりますので、いささか時期が一般の方から考えれば、大へんおくれておるというふうに見られる現象を呈しておりますけれども、これはさいぜんから申しましたように、東京陸運局では非常に努力をいたして促進方をはかっておりますので、これらに関しましては、できだけ早く結論を出すように、東京陸運局でも措置をすると思いますし、私どもの方としてもよく十分連絡をとって督励して参りたいと思います。
  66. 平島敏夫

    委員長平島敏夫君) 委員長から自動車局長にちょっと一言つけ加えておきます。  白木君の御意見相澤君の御意見、なお、今日までたびたび委員の方々から御意見が出ましたように、非常におくれておるということです。これに対してはみな非常に関心を持っております。できるだけ早く、許可するものは許可する、しないものはしないように取り計らっていき、なおかつ、法律に従って公平に厳正にお取り扱い願うことを私からもお願い申し上げておきます。  それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後零時五十二分散会