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国務大臣(
楢橋渡君)
相澤委員からこの前
答弁を求められておりました点について
お答えをいたします。ハッチの開閉
作業につきましてですが、これについて御
答弁を申し上げます。
今回のハッチ開閉
作業の紛争に関しては、今後さらに次のごとく
措置をして遺憾なきを期したいと思います。まず、船内の
作業設備の安全につきましては、船舶安全法に基づき荷役設備の安全基準の省令を設けることといたしまして、その準備
作業を開始しております。
次に、
作業行動の安全及びその他の労働条件の向上につきましては、労働基準法の適切な運用及び強力な指導について、労働省に協議し、これに積極的に協力して、遺憾のないように
措置をいたしたいと思います。以上の諸
措置を早急に講ずるごとにより、本
作業に関する労働安全の面は
改善されるものと
考える次第であります。
ニューヨーク航路の安定のための対策いかんという御
質問でありまするが、ニューヨークの定期航路は、わが国貿易及び海運政策上肢も重要な航路でありますので、かねて政府におきましても、同航路の安定のため、グループ化等を指導し、これによって
日本船主間の過当競争の防止と
外国船主との協調を期待し、対米通商の健全な
発展に資するように努力してきた次第であります。しかるに、最近同航路におきまして、盟外配船の出現が出まして、一部また欧州系の船主の同盟脱退通告等が行なわれるに至りまして、航路の混乱のきざしが見えましたことは、きわめて遺憾でありまして、政府といたしまして、同航路の重要性にかんがみまして、事態の推移について重大なる関心を有するものであります。先般、この点について、私からも船主を集めて、いろいろと警告なり指導をいたしております次第であります。この
意味において、内外船主に対して協調をするように、
外国船主にも海運
局長をしてその点を指示——あまり、これは同盟でありますから、民主的なものでありますから、こちらから内政的に干渉するわけにいきませんけれども、お互いに自殺行為になるのだから、航路安定のために協調するように、こちらから示唆を与えて、
日本海運の健全な
発展について努力をいたしておるような次第であります。
なお、
相澤委員の御
質問の中で、
利子補給の復活のみでも海運企業の立ち直りができるかという御
質問でありますが、今回の
利子補給の復活は、
日本海運の国際競争力の強化をはかるとともに、企業基盤の弱体な海運企業の体質
改善対策として取り上げられたものでありますが、本施策は、企業みずからの努力による、経営全般にわたる企業強化
計画を実行することを
前提として、合理化問題についても強く指示して、約八十億ばかりの合理化をやったと聞いておるのであります。さらに、政府といたしましては、この問題に重大な
関係を持っておりまする金融
機関に対しましても、その円滑な実施が可能になるように特段の協力を期待しておる次第であります。
右のような種々の施策を総合的に講ずることによりまして、海運企業の基盤の強化が数年後には期待できるようになるだろうと信ずるのであります。
なお三国間の輸送助成金についての御
質問でありますが、三国間輸送助成金として、三十四年度予算において四億六千万円が計上されましたが、この助成金制度の創設とともに、わが国の三国間輸送活動は一段と活発化しまして、三十三年十二月には、三国間に活動するトランパーは五十万重量トンを数えました。油送船も二十万重量トンに達したのであります。その結果、三十三年度の三国間輸送量は五百九十万トンと、前年度の三割増しになったのであります。しかし、わが国海運の全運賃収入中、三国間運賃収入の占める割合は依然として一六%程度にとどまっておりまして、イギリス、ノルウエー等が、三国間において全収入の五〇%以上を獲得しておる点から見れば、はるかに遠く及ばない状態であります。このような三国間の輸送活動を促進することは、単にわが国の国際収支を
改善する上に寄与するばかりでなく、わが国の海運を先進海運国と同じ水準にまで高めるために、ぜひとも必要と信ずるものであります。このために、三十五年度予算案におきましては六億九千万円と増額計上されました。昨年度予算で成立した四億六千万円は、
運輸省令、三国間輸送助成金交付規則によりまして、近く交付されることになっておりますが、この場合の率は約三・四%でありますが、三十五年度においてこれを増強することによりまして、三国間の輸送の促進に大きな効果があるものと信ずるのであります。
なお、お尋ねのありました、今後の建造方式としての
公団方式はどうかというお尋ねでありますが、海運企業の経営基盤が脆弱な現状に照らしまして、今後、国民経済上必要な外航船舶の建造は、海運企業が立ち直るまでの期間、外航船舶を建造するための
公団を設けて行なうことが適当であるとの御意見でありますが、海運のごとく、国際間の自由競争が激しく、企業の自主性のきわめて必要な分野におきましては、企業みずからの
責任による自主建造を建前としておることが妥当であると
考える次第であります。しかしながら、同時に新造船がこれ以上企業
内容を悪化させることとならず、国際競争に耐え得るための条件を備えるように配慮がなされなければならないことは申すまでもないところであります。このためには、政府といたしましても、今回の
利子補給の復活を契機として、新造船の建造については、原則としてそれが債務負担を
増加させることにならないことを目安として、細心の注意をもって指導を行なう方針であります。
輸出船延べ払いの方式につきましてお尋ねがありましたが、輸出船の延べ払いの条件としては、現在は船価の七〇%、期間は六カ年までが、輸出貿易管理令による
大蔵大臣の包括同意の線として認められておるのであります。しかし諸
外国では輸出船につきまして八〇%、八カ年——たとえば
日本と競争相手たる西独のごときでありますが、程度のものでありまして、長いものでは十三カ年、ポーランド、ハンガリーは延べ払いを条件として供与しておる状況であります。従ってわが国としても、国際競争に打ちかつことができるように、ケース・バイ・ケースで、延べ払いを現在以上に長期のものとすることについて、
関係各省と話し合いを進めておる次第であります。
なお、お尋ねになりました造船用鋼材の価格についてでありますが、船舶の建造原価中において鋼材の占める割合は、三〇%ないし四〇%に達しております。しかるに現在わが国の鋼材価格は、造船用厚板について見れば、トン当たり四万八千五百円——百三十五ドルですが、1で、英国は四万一千八百円——百十六ドルに比べますと、六千七百円——約十九ドルの割高になっているので、この価格差をなくするための助成金について検討中であります。また、鋼材の自由化は、船価の低減に役立つもので望ましいので、これにつきまして
関係各省に要望しておるような次第であります。
なお、お尋ねになりました、わが国の船員の給与水準その他の待遇、特に厚生
施設に関する現況について、十分であるかということのお尋ねでありますが、船員の待遇全般について、簡単に十分とか不十分とか判断することは問題があるのでありますが、しかし、船員の労働基準、船員保険、船員の職業紹介等については、国際水準による、それぞれの法規が完備しておりますし、また、給与その他は、労使の団体交渉で決定されており、労働組合の
組織の欠けておる面についても、最低賃金法等で補完しておる次第であります。ただ長く家庭を離れ、労働の場と生活の場が一体となった特殊な環境で働いている船員労働条件の特殊性にかんがみ、内外の港における宿泊
施設その他の船員厚生
施設の完備は、特に重要であるにかかわらず、従来世界の海運国に比しまして、やや遜色があったのであります。そこで
昭和三十四年度におきまして四千万円、
昭和三十五年度におきまして一千万円の予算を計上して、とりあえず海外における船員厚生
施設の設置を補助していくことにいたしましたが、今後とも、できるだけこの方面に努力を傾注し、ILOの提唱する船員の厚生
委員会のような
組織については十分整備して行ないたいと思う次第であります。
以上、
お答えいたします。