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1960-03-15 第34回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十五日(火曜日)    午前十一時二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            天埜 良吉君            江藤  智君            村上 春藏君            小酒井義男君    委員            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            相澤 重明君            大倉 精一君            中村 順造君            白木義一郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 楢橋  渡君   政府委員    運輸政務次官  前田  郁君    運輸省海運局長 朝田 静夫君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省船員局長 土井 智喜君    運輸省鉄道監督    局長      山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○運輸事情等に関する調査  (海運政策等に関する件)   —————————————
  2. 江藤智

    理事江藤智君) これより委員会を開会いたします。  本日は、まず日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する補足説明を願います。
  3. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内容につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  まず、第十条関係について申し上げます。本条改正は、理事定数増加について規定したものであります。現在、日本国有鉄道理事定数は十六人であります。十六人の理事のうち、一人は技師長、十一人は常務理事でありますが、常務理事のうち六人は支社長で、本社におりますのは五人でありまして、その業務繁忙をきわめております。ところで、東海道幹線増設工事昭和三十五年度から本格的になり、その業務がきわめて膨大でありますから、これを円滑に行なわせるためには、これを主として担当する常務理事を一名増員する必要がありますので、理事定数最高限であります「十六人」を「十七人」に改めた次第であります。  次に、第四十二条の二関係について申し上げます。本条改正のうち、第一項の改正は、国際復興開発銀行に引き渡す鉄道債券発行認可の特例について規定したものであります。現在、日本国有鉄道鉄道債券発行いたします場合には、日本国有鉄道法第四十二条の二第一項で、運輸大臣認可を受けることになっておりますが、国際復興開発銀行と締結する外貨資金借り入れ契約に基づいて国際復興開発銀行に引き渡す鉄道債券については、従来の鉄道債券発行の場合と異なり、鉄道債券が単独に発行されるのではなく、国際復興開発銀行との借り入れ契約に基づくものであり、発行額も同銀行からの借入金範囲内である上、利率、期限等発行条件も同銀行との借り入れ契約範囲内に定められているのみならず、その鉄道債券元利金支払いに応じて、その額に見合う日本国有鉄道国際復興開発銀行からの借入金及びその利息支払い義務が消滅することになっております。従って、事実上国際復興開発銀行との借り入れ契約の実行の一形式とも見られますので、この鉄道債券については運輸大臣認可を要しないことといたした次第であります。  第八項の新設は、国際復興開発銀行に引き渡す鉄道債券発行事務外国銀行等に委託することができることについて規定したものであります。日本国有鉄道国際復興開発銀行に引き渡す鉄道債券発行いたします場合には、この鉄道債券発行に関する事務外国銀行または信託会社に委託することが便利でありますが、日本国有鉄道法第四十二条の二第六項で規定いたします「銀行又は信託会社」は、法律解釈上、当然に日本法律により成立した銀行または信託会社をさすことになり、新たに、外国銀行または信託会社にもこのような事務の全部または一部を委託することができる旨規定いたしませんと、このような委託が不可能となるおそれがありますので、この点を明確にいたした次第であります。  第九項の新設は、国際復興開発銀行に引き渡した鉄道債券外国投資家が譲り受けた場合における外資に関する法律特別措置について規定したものであります。現在は外国為替及び外国貿易管理法により、一般に外国へ向けた外貨支払いが禁止されており、国際復興開発銀行との借り入れ契約に基づいて同銀行に引き渡した鉄道債券を譲り受けた外国投資家が送金の保証を受けるためには、一々外資に関する法律第十三条の二に規定する大蔵大臣指定を受けなければならないこととなりますので、円滑な事務処理をはかりますために、本項の規定を設けて、前述外国投資家がこの鉄道債券貸付金債権について、前述大蔵大臣指定を受けたものとみなして、同法の規定を適用して、その元金及び利息外国へ向けた支払いができることといたした次第であります。  次に第四十七条関係について申し上げます。本条改正は、丁、四十二条の二の改正関連して、日本国有鉄道国際復興開発銀行に引き渡す鉄道債券発行事務外国銀行等に委託することを運輸大臣認可する際、大蔵大臣と協議するごとについて規定したものであります。現在、日本国有鉄道鉄道債券発行に関する事務を、わが国の銀行または信託会社に委託することを運輸大臣認可する場合には、国の財政政策等に大きな関係を有しますので、大蔵大臣と協議いたしておりますが、外国銀行または信託会社に、日本国有鉄道国際復興開発銀行に引き渡す鉄道債券発行事務の全部または一部を委託する場合においても、同様に大蔵大臣と協議して運輸大臣認可することといたした次第であります。  最後に、付則関係について申し上げます。  付則第一項は、この法律昭和三十五年四月一日から施行される旨を規定したものであります。  付則第二項は、国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行日本輸出入銀行愛知用水公団等発行する債券利子に対する所得税の免除に関する法律の一部を改正する規定であります。現在、同法によりまして、日本開発銀行日本輸出入銀行愛知用水公団農地開発機械公団及び道路公団国際復興開発銀行からの外貨資金借り入れ契約に基づいて発行した債券について、所得税法施行地に住所を有しない個人、または同法の施行地に本店を有しない法人等支払いを受ける利子については、所得税が免除されることになっておりますが、これと同様に、日本国有鉄道国際復興開発銀行からの外貨資金借り入れ契約に基づいて発行した鉄道債券につきましても、その利子に対する所得税を免除する措置をとることといたした次第であります。  以上が本法律案内容であります。
  4. 江藤智

    理事江藤智君) これより質疑に入ります。  順次御発言を願います。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 質疑に入る前だけれども、ちょっと速記をとめておいてもらいたいと思います。
  6. 江藤智

    理事江藤智君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  7. 江藤智

    理事江藤智君) それじゃ速記をつけて。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 今回の日鉄法の一部改正で、理事十六人を十七人に一名ふやすと、しかも、そのふやすのは、東海道新幹線業務担当させる、こういうことが理事定数増加をするという目的になっておるようでありますが、昨年この設置法改正を行なって、理事定数を十名から十六名にふやしたのに、どうしてさらに一名だけふやさなければ東海道新幹線のことができないのか、その理由を先に一つ説明いただきたいと思います。
  9. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) ただいま逐条説明でもその点につきまして御説明申し上げましたように、東海道新幹線工事は御承知のように、今回提出してあります予算は二百七億円であります。それで今年度からほぼ全面的な工事にかかると—三十五年度から全面的な工事にかかるという態勢になりますので、その事務が非常に膨大になりますために、担当理事を置きまして、専門にその衝に当たらせるということの必要がありますために、この関係理事一名の増員をこの法律におきましてお願い申し上げておる次第であります。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、今の鉄監局長説明だと、東海道新幹線が非常な膨大な事業である、従って現状の理事では担当がし切れない、従って専門理事を任命をして担当させるんだ、こういうことになるというと、東海道新幹線が終わったらその理事は罷免をすると、こういうことに理解をしてよろしいですか。
  11. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) そのときの状態になると思うわけでございますが、東海道新幹線ができましたあとにどういう管理体制をとるかということにもかかってくるわけでありますけれども、それらに関連をいたしまして、終わったあとでその理事をどうするかということを、また国会に諮らなければならぬと思っております。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、非常に権威のない、理事定数をふやす——法律改正までして定数をふやさなければならぬという根拠はないわけですね。大体仕事が終わってしまえば、もうその理事は必要がなくなると、こういう暫定的なものであるという提案のように聞こえるわけです。そうしますというと、これは今の理事担当部門、それからその業務内容、こういうものをつまびらかにしてもらわぬというと、私は今の理事定数増加という法律案提案趣旨にはならぬ。そんな簡単なものなら、法律改正提案すること自体がおかしい、こう思うのですが、今のその全理事業務内容一つ明らかにして下さい。
  13. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 現在、日本国有鉄道理事定数は、御承知通りに十六人でございます。その十六人のうちの一人は技師長でございまして、十一人が常務理事でありますが、常務理事のうち六人は支社長であります。本社におります理事は五人でありまして、それぞれ担当を持っておりまして、その職務繁忙をきわめているわけでございます。その東海道幹線増設工事をやりますために、どうしても理事が一人必要であるということでございますが、それぞれの職務内容につきましては、国鉄総裁からお聞き願いたいと思います。
  14. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 新幹線関係業務というのは、国鉄としてはいろいろな新しい問題が出て参りますので、従来の五名の本社理事だけではとうてい満足な仕事ができない。従って、本来はでき得ればもっと多数の理事増員をお願いしたいということで、関係の向きにお願いしておりましたが、諸般の事情から、とにかく今回は一名増員をするということでこの仕事を遂行するように、こういうことで一名の増員をお願いすることになったわけであります。  現在おります五人の分担も申し上げますと、一人は、大体総務とか労務、人事、組織等対外関係仕事を合わせて分担いたしております。それからもう一人は、財務、経理業務担当いたしております。それからもう一人は、国鉄本来の業務であります営業、輸送というような業務分担いたしております。それからもう一人は、電気関係あるいは工作関係等技術担当いたしております。それからもう一人が、建設関係とか施設関係というような、主として土木関係業務分担いたしております。  それで、今度の新幹線建設ということは、これらの各常務分担しております仕事の全体に関係があるのでございますが、従来の国鉄業務のほかに、今回の仕事は何と申しましても画期的な仕事でありますので、技術的にも事務的にもいろいろな面で、国鉄としては全力を傾注してもなお間に合わないようなことをおそれているくらいの仕事でございますので、ぜひこの新幹線建設業務担当しますための役員増員していただきたいと思いまして、お願いを申し上げたような次第でございます。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 今の御説明は、各担当部門常務理事説明を受けたわけですが、そうしますと、建設関係はもちろんあるけれども、新幹線があまりにも大きな計画であるから、そこで専門にさせなければいかぬという考え方に立っているようでありますが、この技師長というのは、一体どういうことをやるわけなのですか。
  16. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 技師長は、現在の日本国有鉄道法によりますると、技術進歩改善について総裁補佐する、こういうことになっております。それで、新幹線関係につきましては、当然新しい、いろいろな技術の問題も出て参りますので、技師長にはそういう仕事をやっていただくことになるわけでありますが、そういう意味では技師長のような——技師長は今総裁に対する補佐機関ということになっておりますが、でき得れば東海道新幹線専門技師長に相当するような役員増員していただきたいと思っておるわけでございますが、それらのことは一どきにお願いしても非常に無理であるというような事情もございまして、今回はとにかく一名だけ役員を増していただきたいということをお願いしておる次第でございます。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 この日鉄法の十二条、十三条の関連を見ると、総裁のもとに副総裁技師長という者は、総裁補佐する重要なスタッフになっているわけです。従って、最も国鉄が大きな事業とか改革をする場合は、その最高のいわゆる相談相手だと思うのですね、技師長とか副総裁というのは。そういう点からいくと、こういう副総裁とか技師長というのが、全体のそういう業務というものを掌握をしていくことで、むしろあまり屋上屋を重ねるような形にしない方が仕事がうまくいくと思うのだが、副総裁技師長との権限、それからこの計画等の、そういう最終的な、総裁最終的国鉄に対する責任は持っておるけれども、その補佐をする立場のこの十二条、十三条の解釈というものは、あなた方はどういうふうにしているのか、その点をいま一度聞かしてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  18. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 十二条におきまする総裁、副総裁技師長並びに常務理事という役員の名称が出ておりますが、この中で、ほかの公団と特に違いましたのは、技師長という者が出ておる点の御指摘であろうと思います。この事業と違いまして、鉄道事業に特有の性格を持っておるわけでございます。これは単に国鉄だけじゃなくて、私鉄におきましても技術主任者というものを非常に重視しておりまして、その点、鉄道というものの進歩発達というものが、技術進歩発達に負うところが非常に強いという性格を現わしているものでございます。それで技師長というものは、執行機関ではございません。今言いましたように、鉄道改善進歩というものを推進する非常に高い地位にあるということを考えておるわけでございまして、この点では、副総裁技師長という者は、ただいま御指摘のように総裁補佐機関でございますが、おのおのその性格を異にしておるというふうに、われわれは解釈いたしております。それはこの法律にもありますように、副総裁は、業務執行について総裁補佐する機関である。それから技師長技術改善進歩につきまして直接に総裁補佐する機関であるという建て前でございまして、その両方の方々が協力をして、この鉄道の実際の面におきまして、また将来の進歩発達におきましても補佐をしていくという建て前になっておる。かようにわれわれ十二条、十三条の関係は読んでおるわけでございます。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、今の山内君の説明も、この法解釈の上からいって、若干の問題点があるわけだよ。つまり、総裁最高責任者であって、その責任者の一番重要なスタッフいわゆる相談補佐する人は副総裁であり技師長である。国鉄なるがゆえに技師長という者を置いているわけです。他の公団にはない。そういうことからいって、技師長というのは、レールを一つの業とするこの鉄道にとっては何としても一番重要なポストであるということで、他に例のないほどの職制をここにしいておるわけなんです。ですから、私の先ほど御質問したのは、総裁補佐する機関の副総裁、それから技師長、これだけ明確にいわゆる補佐機関というものがあるにもかかわらず、さらに東海道新幹線なるがゆえのこの担当者を特に置かなければならぬという理由は、どこに見出せるか。いわゆる最高責任者というものは、この技術等については技師長である。執行機関としては副総裁がおる。この人たちがやはり全責任を負っていく形になっておるわけですよ。名目的にはこの総裁が全部、実質的にもそうですが、しかし実際に総裁一人でやったところで、今言った二つの面がありますから、それをおのおの分権しておるわけですね。そうしますというと、今の副総裁技師長では荷が重過ぎる。従って、東海道新幹線担当常務理事を一人設ける、こういう議論に発展をしていくということになる。そこでそういう法解釈の面がとれるので、いま少し業務内容について伺わないと私はこれは納得できないだろう。それで先ほども本社における五人の常務理事職務分担というものがあったけれども、その中にもはっきりと、やっぱり施設建設担当者はおるのですよ。一人おるのです。だから、いわゆる運輸省法律案改正提案説明に、運輸大臣が、今の国鉄の五カ年計画なり十一路線の新線建設なりと合わせて、東海道新幹線事業をやるには、どうしても人が足りない。こういう提案だと私は思うのです。そうすると、今のそれでは総裁補佐する副総裁あるいは技師長という者が、それだけの能力がないのではないか、こういう形にまでその半面解釈ができるわけだ。そういう点が、実際に運輸大臣はどう考えているのか、一つ答弁を願いたい。
  20. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) いや相澤さん、それは手が足らぬから一人ふやそうということです、露骨に言えば。それはなぜかといえば、一つふやすということが、副総裁その他が能力がないという意味じゃない。もっと国鉄としては、もう一人副総裁をふやして、もっと新幹線というものについて充実させてもらいたいという要望がありましたけれども、しかし、今監理局の問題であるとか、その他いろいろな大蔵省当局考え等もありまして、そこでそういうものを今の段階では出すべき筋合いではない。従って、少なくとも、こういう画期的な事業をやるのだから、在来の担当理事だけでは手が回らないから、最小限度この場合一人だけふやして、そうしていこう、こういうことにすぎないのであって、また、おそらく工事発展して、いろいろいくようになって、どうしても手が足らぬということになれば、もっと理事をふやすということをお願いすることになるかもしれませんが、そういう意味なんです。ですから、今の法の解釈で、一人ふやしたから副総裁及び技師長能力がない。少なくとも彼らが計らい切れぬのでやったんだというのではなくて、その副総裁技師長のもとにやはりその理事スタッフとして働く、こういうことになると思うのであって、つまり通俗的にいえば、あれだけの大きな工事をやりますから、一人だけ理事をふやすということに実はお願いしておる次第でございます。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 いや、運輸大臣の言うことであれば、むしろ副総裁説をとった方がいいのです。あなたの言うことであるなら……。私はそうじゃないと思うのだ。今の副総裁技師長能力で私はやり切れると、こう見ているのですよ、逆に。だから、もし運輸大臣の言う答弁であるならば、副総裁を二人置く方が理論的に通るわけだ。しかし、私は今の副総裁技師長仕事はやれる。ですからその副総裁技師長のもとに、いかに配属して、新らしい幹線事業というものを遂行させるかという、この機構の問題なんだ。だから、その役員によってものがきまるというものじゃない、これは。私はそう思うのですよ。だから、もし大臣が、その役員を一人ふやせば仕事がスムーズにいくという考えなら、むしろそれを強化する意味で、副総裁説提案しなさいよ。どうです。撤回して副総裁説提案しなさいよ。
  22. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今の段階では副総裁を出す段階ではまだないのです。おそらく、相澤さんの言われるような事態が起こってくるとも思いますけれども、現段階で最もやはり仕事をスムーズにやるのには、新幹線に対する責任のある理事をここに専門的に一人置くということでスタートして、その後の仕事発展によって、客観的情勢によって、副総裁をふやすことが妥当であるという段階がくれば、大蔵当局にも了解を得てそうしたいと思います。まあ、一人理事をふやすことでも、なかなか大蔵省としてもやかましいのを、どうしてもこれはやはり仕事を貫徹する上において必要だということでありまして、従って、吾孫子総裁技師長能力のある方であることは、それは十分承知をいたしておりますし、非常にありがたいのですが、しかし、なおその能力を今までの仕事の上に、あれだけの大きなものであるから、もう一人ここに責任者理事一つふやしていただいて、そうして仕事を完遂したい、こういうことですから、どうぞ御了承願います。
  23. 中村順造

    中村順造君 今の理事の話で、関連して質問いたしますが、先ほど相澤委員からも指摘がされましたように、ただ役員をふやせば新幹線作業が進んでいく、こういうふうには私は理解できないのです。そこで、私は東海道新幹線建設について、理事が直接この建設をやるとは私も考えておりませんが、どういう構想で、その理事中心にして新幹線作業が進められるか、その点の質問一ついたしまして、承りたいと思います。
  24. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 御質問組織論でございまして、非常に根本的な問題であろうと私は思っております。東海道だけに理事を持ち、運営していくというお答えをすることが、今の御質問お答えになると思うわけでございますが、相澤先生のおっしゃいましたのは、組織をいたします場合に、現実の理事制度は、営業でありますとか経理でありますとか、そういう仕事の質によって分かれておる。東海道だけが仕事の対象によって理事を置くということに御疑問があるのだろうと思います。組織をいたします場合に、お説のようにそういう分け方がございまして、しかし、東海道新幹線工事というものを遂行していきます場合には、やはり建設工事でございまして、それぞれが全部連関をしておる仕事になってります。その点では、既存の、現在の国有鉄道の大きな組織を運営していく場合と、別に東海道新幹線というものが非常に、工事段階でございますので、連関しておるものが多い、仕事が多いというために、一人の人でやはりまとめていった方が、全部がスムーズにいくというふうに、われわれ組織考えてやっていくわけでございまして、その意味から担当理事を置きまして、東海道新幹線というものを一つ総合的に見ていくということをやった方が、この工事が円滑にいくというふうに考えて、そういう考え方新幹線工事をやっていくというふうに考えております。
  25. 中村順造

    中村順造君 今の私どもが理解をするところでは、国鉄と切り離して新幹線というものが進められるとは考えておらない。非常に広い意味で申し上げるのですが、そうしますと、今のお話を聞きますと、あたかも、新しい理事が一人増員をされるという前提に立つなら、その理事中心になって、この新幹線に関する問題については一切やる、こういうふうに理解をされるわけですが、そういうふうになるのですか。もう少し具体的に、新幹線を進めていくためには、たとえば理事が一人増員をされるという前提に立つならば、その理事中心にしてどういう機構でできどういう組織ができて、そうして新幹線作業が進めていかれるかということを、もう少しこまかく具体的に説明をしていただかなければ、ただ役員をふやせばそれでいいというようなことを言われても、私ども納得できないわけです。
  26. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 現在、新幹線関係組織といたしましては、本社には幹線局というのがあるわけでございます。それから地方機関としては東京、静岡、長野、大阪の各地に幹線工事局というものを置いて、それで仕事をやっておるわけでございますが、まあ、三十五年度からいよいよ東海道新幹線建設工事も本格的な段階に入って参りますので、やはりいろいろな面で、施設の面においても、あるいは車両その他の面においても、その他の問題についても、新しい角度で規格なり基準なり考え直さなきゃならぬというような問題もたくさんあるわけでございます。そういうようなことがありますので、新幹線建設のための専任の理事を一人置いて、本社幹線局組織につきましても、本格的な工事を遂行いたしますためにふさわしいようなものに強化していきたいというふうに考えておるわけでございますが、この新幹線担当いたします常務理事も、総裁、副総裁あるいは技師長というような者に対します関係は、これは他の常務理事ともちろん同じような関係にあるわけでございまして、新幹線の専任の担当理事が置かれたら、あとのものはその人にまかせっきりというようなことで考えておるわけではもちろんございません。新幹線の専任の常務理事という者を置きまして、新たにふえて参ります仕事をこなしてもらう。その人の総裁あるいは副総裁技師長という者に対する関係は、従来の他の常務理事同様であるというふうに御了解いただきたいと存じます。
  27. 中村順造

    中村順造君 関連質問でありますし、この問題だけがきょうの問題でもないわけですから、私も長々質問はやめたいと思いますが、今副総裁からお話がありましたように、現行のいわゆる幹線局あるいは地方における工事局、これらのものがやはり新しい理事のもとではどういうふうな形になるのか。それはもう全部整理統合されて、事、新線に関する問題としてはその理事に全部まかされるのか、こういう点はまだ説明されておらないわけです。さらに、今お話の中にありました工事あるいは施設、車両の問題、あるいはいわば経営面にも大きな問題があろうと思いますが、そういうものをどういうふうにするのか、その理事中心になってさばくのか。それとも、今最後にお話しになったように、それぞれの関連において技師長なり、あるいは副総裁総裁、こういうふうなつながりの中で運営されていくのかどうか、こういう点は説明されておらないわけですが、一応私はその説明を承って、必ずこの問題はきょう結論を出さなきゃならぬ問題だとは考えておりません。まあ聞くだけ聞いておきたいと思います。
  28. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 国鉄を運営していきますための最高の方針というものは、現在でも理事会というものが中心になりまして、理事会でもって意思決定を行なって、その理事会の決定された方針に従って、総裁以下、業務執行機関がそれぞれの分担をして仕事をやっていくという建前でありますので、この新しく置かれます理事は、新幹線建設関連する業務執行については、それを全部取りまとめるという責任の地位に立つわけでございますけれども、新幹線というような、新幹線建設という仕事は、国鉄にとって一番大きな仕事でありますから、それの根本的な方針その他については、当然理事会に付議されまするし、その席で、総裁以下、他の理事も全部加わってこれに参画するわけでございまして、ただ新幹線関係業務執行をこの専任の理事責任者となって担当していく、こういう建前でございます。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 さっきの中村君の質問に副総裁お答えになったように、幹線局あるいはこの工事区、そういう本社、支社、監理局における組織体はあるわけですね、現在でも。それで、特に幹線局長は、この重要な業務を現在までも計画もしただろうし、企画もしているだろうと私は思うのです。ですから、少なくとも幹線局長の重要なポストということは、私もよくわかります。しかし、それが今度は役員にならなければ幹線の仕事ができない、こういうことではないと思うのですね。新幹線に対する仕事というものは国鉄全体の仕事である。全体の中で、特にまあオリンピックまでに完成をしたいということですから、短期間に大きな工事をやるのだ、非常に作業も多いだろう、こういうことは理論的にわかりますがね。わかるけれども、国鉄全体の仕事というものは、さっきから繰り返しているように、総裁から、それから補佐する副総裁技師長という者がある。その下に理事がそれぞれの担当部門を持っているわけですから、一般の民間から入っている理事もあるのです。これはしかし理事会でいろいろな意見を言うだけにすぎないだろうと思うのですが、そこでこの専門的な者を、国鉄の出身の現在の局長なり、あるいはそれにふさわしい者をとにかく常務理事に昇格をさせる、こういう考え方じゃないですか。それとも全然別な考え方を持ってとるのかどうか、その常務理事に充てるというのは、どういう構想を持っているのか。その点を、では先に聞いておきましょう。
  30. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 現在まあ本社の中央組織として、新幹線建設のためには、幹線局というものができているわけでございますけれども、この組織を、いよいよ建設工事が本格的な段階に入ります以上、このままでは十分でない。従って、今の本社組織というものも、これの改編について今検討をいたしております。それで、今度専任の担当理事という者ができるわけでございますが、それはたぶん、まあ現在のやはりその道の専門家の中から選任されるということになると思いますが、建前から申しますれば、理事というのは必ずしも部内の出身者ということに限られるわけではございません。部外でも非常に適当な方があれば、そういう方をお願いするということもあり得るわけでございます。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 それじゃわかりました。今の答弁がわかったということなんですよ。そこで、この幹線局あるいは工事局を新幹線に投入するこの組織形態というものは、一体どう作られるのか、こういうことはいずれ理事会でも御相談になるだろうし、総裁、副総裁は、もちろん最高スタッフですから、そういうことの構想もあるだろうと思う。それをやはりこの委員会と出してもらいたいと思います。そうでないというと、なかなかそれは理解をしろと、いったところでできません。そこで、私は、もし、先ほどの運輸大臣答弁をされるようなことなら、この法律案改正を、副総裁を一人設けるという提案説明に、これを撤回をされて、再提出されてはいかがか。まあしかし、今までの副総裁の御答弁のようなことであるならば、その組織形態、それから今後の運営のあり方、こういうものについて構想があるだろうと思うから、それを一つ文書で出してもらいたい。そういう中でこそ初めて、理事というものがそれだけ必要であるのか、それとも現在の十六人の理事の中でそういう担当をきめることもできるのじゃないかということも考えられる。ですから、必ずしもこの役員を多くしたから仕事がうまくいくというわけのものじゃない。機構の問題と運営の問題とは違うわけです。そういう点をいま少し明らかにしていただくように、私はこの際要望をしておきたいと思うのです。  次に、運輸大臣にお尋ねをしておきたいのは、日鉄法改正の大きな部分は、今まで国内法についてのことが主でありましたが、今度は世銀借款——国際復興開発銀行の融資、これに対する鉄道債券の引き渡し、あるいは利子のいわゆる減税の問題、こういうようなことがこの提案説明の大きな問題だと私は思うのです。そこで前に、千七百二十五億の新幹線建設資金を必要とする。そして世銀からの借款は二億ドルと、こういう御説明をされ、そしてそのうち当面は一億ドルが大体できると、こういう御説明を運輸委員会でいただいておったわけでありますが、そのことは確実になっておるのかどうか、それが一つ。  いま一つは、私ども社会党としては、今までの愛知用水公団あるいは道路公団等の経緯からいって、国鉄の資金を融資をするからといって、それがひもつきであっては困る。こういう点は特に何回もしつこいぐらいに私どもは意見を聞いておったわけです。そのことはどういうふうに現在作業が進み、また了解をされておるのか。  第三の問題は、当時、五月ないし六月ごろ米国の調査団が来て、そして国内の実情を調査をして、最終的決定をされるということであったが、その日時は、もう三月ですから、具体的にきまったのか、それから来た場合の調査というものは、一体どういうことをやるのか、調査内容、こういうことについてもうおきめになったならば、そのことを発表をしていただきたい。  以上三点について、とりあえず運輸大臣答弁を願っておく次第であります。
  32. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 世銀の借款の問題は、先般兼松理下があちらに参りまして、いろいろと説明等をいたしまして、大体好転しておる様子でありまして、従って五月には向こうから、技術者でありますか、調査団が参りまして、その後においてきめるという段階になると思うのでありまして、大体、大蔵大臣その他のあっせん等もありまして、とりあえず一億ドルということで今折衝をしておる段階であります。  それから、しばしば相澤委員、その他の委員の方々からも発言がありました、ひもつきの問題でありますけれども、一切ひもつきは、これはないといいますか、そういうことは認めない方針でいっておるのでありまして、たとえば、経理の監督であるとか、あるいは特別に何かそれに対して向こうが発言権を留保するような、そういうような借款のやり方はやらないということで折衝せしめておるのでありまして、世銀の方もその点は了承いたしておるようでありまして、経理内容その他について、あるいはむずかしい、何か、端的にいえば、半植民地的な考え方的なことは一切やらずに、対等の借款としてやるという線に進んでおるようでありまして、五月に参るということを聞いておりますが、そのことにつきましては、国鉄当局から、どういうことになっておりますか、御報告させたいと思います。
  33. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 世銀の調査団は、五月の下旬、日にちは、ちょっと私今はっきり覚えておりませんので、後刻取り調べて申し上げたいと思います。五月の下旬から参りまして、大体三十五日間だったと思います。五週間か六週間ぐらいの予定で、今度の新幹線建設のための技術的ないろいろな面の調査を行なう、こういうふうに承知いたしておりますが、実はその関係の詳しい資料を今持っておりませんので、もし、もっと詳しいことがお入り用でございましたら、あらためて御説明申し上げたいと思います。
  34. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、五月のいつから幾日まで、それから調査内容、向ごうの人の希望があると思うのです。その調査内容というものは、どういうところをするのかという、その調査内容を明らかにしてもらいたいと思う。それはあとで文書で出してもらいたい。  そこで一つ運輸大臣に再度聞いておきたいのですが、大蔵大臣の努力で、ひもつきでない折衝の段階にあると、こういうことなんだが、これは国鉄独自の新幹線建設についての借款ということが、大蔵大臣と話をしてきまったのですか、そういうことでまた世銀も了承してくるということですか、その点いかがですか。
  35. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) これは、先般極東部長が参ったときに、国鉄当局と会いまして、いろいろと折衝した結果でありますけれども、何を申せ、やはり世銀の金を借りるということは、大蔵大臣の助言なり、話し合いをしてもらうことが、非常に有力でもあるし、また、それが妥当でありますから、大蔵大臣からも話していますが、今、話の折衝は、国鉄自身がもちろん責任者でありますから、交渉をやって、兼松理事がその担任者として、アメリカに二度ばかり参りまして、交渉をしている次第であります。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣、大丈夫ですか。私は一番心配するのは、先般の衆議院において大蔵大臣は、国鉄の世銀借款についてはなかなか困難である。そうして鉄鋼や電力の世銀借款とあわせ考えなければならぬだろう。こういう形で大蔵大臣は衆議院で答弁をしているわけですよ。今あなたのお話を聞いていると、兼松常務を二回やったから、大体下から見れば二階だから大丈夫だろうということなんだけれども、そういう頓知のような答弁じゃ困るのだがね。はっきりした、世銀の対象は国鉄新幹線のための資金、こういうものが一億ドルないし将来は二億ドル、こういうことであると断言ができるのか、それとも鉄鋼、電力等、民間需要の資金と一緒に日本政府が借り入れて、その配分を国鉄に出す、こういうことなのか、その点、運輸大臣はどういうふうに大蔵大臣と話し合いをきめてあるのですか。
  37. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) これは、もちろん国鉄自身の一億ドルという話を進めているのでありまして、その線に沿うて、向こうからも、世銀からも、日程等をきめて国鉄の調査に来るという段階になっておるのでありますから、鉄鋼その他のものとブロックして、その一部分としてやるということではなくて、世銀の借款の、御存じのように、対象となるものは、それぞれの借款を申し込む仕事についての厳密な調査をやり、それに基づいてやるのが妥当であるので、私の方の運輸省といたしまして、今日、国鉄でやらしておりますことは、国鉄自身の新幹線という独自のもの、つまり今言っている、大蔵大臣がどういうことを言ったか、私も実は記憶してないというか、知りませんが、鉄鋼その他とブロックして国鉄の問題を解決するのじゃなくて、国鉄国鉄としての新幹線という問題を折衝しているのであって、その折衝について、先方から調査団が来るという日程等の打ち合わせ等がありますので、それに基づいてこの問題がきまっていく、こういうふうに思うのです。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 きょうは大蔵大臣がいないから、私もその運輸大臣答弁は、答弁として承っておきたいと思うのですが、今の大臣のお話を聞いていると、希望的観測にすぎないような気がするわけだ。これはもちろん、国鉄国鉄独自の立場でこの新幹線に必要な資金というものを作らなければならぬ、こういうことで要請もし、現実に意見も述べておると思う。これはよくわかります。それからまた、その要請に基づいて調査団も来日すると思うのですよ。こういうこともわかります。しかし、要は昭和三十五年度の国家予算の中で、そうしてしかも世界銀行——第二銀行まで作られて、そうしてこの融資態勢というものを、国際資金としては確立をしようとしておるけれども、何としても、日本の借款については、非常にきびしい批判を持っているということは、現実の問題だと私は思うのです。そこで、政府がきめた民間の鉄鋼あるいは電力に対する融資の問題についても、なかなか大蔵省としては困難を来たしておる。そこで、国鉄だけの融資ということがなかなかむずかしいと、こういうのが大蔵大臣が衆議院で答弁をされておることなんですよ。だから、もちろん、国鉄国鉄の主張があるだろうし、運輸大臣もそういう希望は持っておるけれども、最終的に話し合いがきまったということであれば、これは希望的観測ではないわけです。ところが、今のような答弁であると、私は、運輸大臣は何か希望的観測を国会で答弁をされておるのじゃないかと、こういう心配をするわけですよ。おそらく、楢橋さんの政治力からいって、そんなことはないと確信するのだけれども、しかし、今のような答弁だと私はそういう心配がある。そこで、私は一つ大蔵大臣とあなたがはっきりした取りきめをされて、そういうことを一つ運輸委員会、これは専門委員会ですから、専門委員会答弁をしてもらいたい。これは今の答弁だけでは、私はちょっと納得できない。で、今のことを要望したいと思うのですが……。
  39. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 私の立場からまた申し上げますと、おそらく、世銀の借款という問題が、今相澤委員がおっしゃいましたように、相当にきびしくなっておるだろうと、大蔵大臣がそういうことを発言しておるのだろうと思いますが、少なくとも世銀が国鉄に対して、たとえば借款に対する熱意もない、また何もなければ、今まで聞いています——つい最近帰ってきました兼松理事を通じて、今日まで調査団を派遣するということが変更になっておらない以上、やはりその線を信じて、大蔵大臣との間にも、なお御注意等もありますから、私からも強く念を押しますが、その線に沿うてこの問題をやはり努力するということが妥当であると思うのでありまして、そういう線に沿うて、また大蔵大臣ともよく打ち合わせていきいたいと、こう思います。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 きょうの大体のところは、そこが一番ポイントなんですよ。新幹線が、はたして資金がそれだけできるのかどうか、こういうことが一番私は問題点だと思う。また、それをするためにこの日鉄法改正提案をしておるわけです。ですから、その根本のことがはっきりきまらぬと、なかなか私はやっぱり問題だと思うのですよ。国会ですから、この予算を通して、国鉄に大工事をさせるには、やはりそれだけのはっきりした態度をとらなければならぬわけですから、その点を運輸大臣に、今の大蔵大臣との協定、いわゆる話がきちっときまったことを、後刻報告をしてもらいたい。そうしてまたその次に、私は、利子を外人が取得する場合の特例措置というものも出されておるようでありますが、それらの点についてもこまかくまたあとでお尋ねをしたいと思うのですけれども、きょうは、先ほども申し上げましたように、前回の運輸大臣答弁、これを求めておりますので、きょうはこの程度で私はこの質疑を終わっておきたいと思うのです。
  41. 江藤智

    理事江藤智君) ちょっととめて下さい。    〔速記中止
  42. 江藤智

    理事江藤智君) じゃ速記をつけて。
  43. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 相澤委員からこの前答弁を求められておりました点についてお答えをいたします。ハッチの開閉作業につきましてですが、これについて御答弁を申し上げます。  今回のハッチ開閉作業の紛争に関しては、今後さらに次のごとく措置をして遺憾なきを期したいと思います。まず、船内の作業設備の安全につきましては、船舶安全法に基づき荷役設備の安全基準の省令を設けることといたしまして、その準備作業を開始しております。  次に、作業行動の安全及びその他の労働条件の向上につきましては、労働基準法の適切な運用及び強力な指導について、労働省に協議し、これに積極的に協力して、遺憾のないように措置をいたしたいと思います。以上の諸措置を早急に講ずるごとにより、本作業に関する労働安全の面は改善されるものと考える次第であります。  ニューヨーク航路の安定のための対策いかんという御質問でありまするが、ニューヨークの定期航路は、わが国貿易及び海運政策上肢も重要な航路でありますので、かねて政府におきましても、同航路の安定のため、グループ化等を指導し、これによって日本船主間の過当競争の防止と外国船主との協調を期待し、対米通商の健全な発展に資するように努力してきた次第であります。しかるに、最近同航路におきまして、盟外配船の出現が出まして、一部また欧州系の船主の同盟脱退通告等が行なわれるに至りまして、航路の混乱のきざしが見えましたことは、きわめて遺憾でありまして、政府といたしまして、同航路の重要性にかんがみまして、事態の推移について重大なる関心を有するものであります。先般、この点について、私からも船主を集めて、いろいろと警告なり指導をいたしております次第であります。この意味において、内外船主に対して協調をするように、外国船主にも海運局長をしてその点を指示——あまり、これは同盟でありますから、民主的なものでありますから、こちらから内政的に干渉するわけにいきませんけれども、お互いに自殺行為になるのだから、航路安定のために協調するように、こちらから示唆を与えて、日本海運の健全な発展について努力をいたしておるような次第であります。  なお、相澤委員の御質問の中で、利子補給の復活のみでも海運企業の立ち直りができるかという御質問でありますが、今回の利子補給の復活は、日本海運の国際競争力の強化をはかるとともに、企業基盤の弱体な海運企業の体質改善対策として取り上げられたものでありますが、本施策は、企業みずからの努力による、経営全般にわたる企業強化計画を実行することを前提として、合理化問題についても強く指示して、約八十億ばかりの合理化をやったと聞いておるのであります。さらに、政府といたしましては、この問題に重大な関係を持っておりまする金融機関に対しましても、その円滑な実施が可能になるように特段の協力を期待しておる次第であります。  右のような種々の施策を総合的に講ずることによりまして、海運企業の基盤の強化が数年後には期待できるようになるだろうと信ずるのであります。  なお三国間の輸送助成金についての御質問でありますが、三国間輸送助成金として、三十四年度予算において四億六千万円が計上されましたが、この助成金制度の創設とともに、わが国の三国間輸送活動は一段と活発化しまして、三十三年十二月には、三国間に活動するトランパーは五十万重量トンを数えました。油送船も二十万重量トンに達したのであります。その結果、三十三年度の三国間輸送量は五百九十万トンと、前年度の三割増しになったのであります。しかし、わが国海運の全運賃収入中、三国間運賃収入の占める割合は依然として一六%程度にとどまっておりまして、イギリス、ノルウエー等が、三国間において全収入の五〇%以上を獲得しておる点から見れば、はるかに遠く及ばない状態であります。このような三国間の輸送活動を促進することは、単にわが国の国際収支を改善する上に寄与するばかりでなく、わが国の海運を先進海運国と同じ水準にまで高めるために、ぜひとも必要と信ずるものであります。このために、三十五年度予算案におきましては六億九千万円と増額計上されました。昨年度予算で成立した四億六千万円は、運輸省令、三国間輸送助成金交付規則によりまして、近く交付されることになっておりますが、この場合の率は約三・四%でありますが、三十五年度においてこれを増強することによりまして、三国間の輸送の促進に大きな効果があるものと信ずるのであります。  なお、お尋ねのありました、今後の建造方式としての公団方式はどうかというお尋ねでありますが、海運企業の経営基盤が脆弱な現状に照らしまして、今後、国民経済上必要な外航船舶の建造は、海運企業が立ち直るまでの期間、外航船舶を建造するための公団を設けて行なうことが適当であるとの御意見でありますが、海運のごとく、国際間の自由競争が激しく、企業の自主性のきわめて必要な分野におきましては、企業みずからの責任による自主建造を建前としておることが妥当であると考える次第であります。しかしながら、同時に新造船がこれ以上企業内容を悪化させることとならず、国際競争に耐え得るための条件を備えるように配慮がなされなければならないことは申すまでもないところであります。このためには、政府といたしましても、今回の利子補給の復活を契機として、新造船の建造については、原則としてそれが債務負担を増加させることにならないことを目安として、細心の注意をもって指導を行なう方針であります。  輸出船延べ払いの方式につきましてお尋ねがありましたが、輸出船の延べ払いの条件としては、現在は船価の七〇%、期間は六カ年までが、輸出貿易管理令による大蔵大臣の包括同意の線として認められておるのであります。しかし諸外国では輸出船につきまして八〇%、八カ年——たとえば日本と競争相手たる西独のごときでありますが、程度のものでありまして、長いものでは十三カ年、ポーランド、ハンガリーは延べ払いを条件として供与しておる状況であります。従ってわが国としても、国際競争に打ちかつことができるように、ケース・バイ・ケースで、延べ払いを現在以上に長期のものとすることについて、関係各省と話し合いを進めておる次第であります。  なお、お尋ねになりました造船用鋼材の価格についてでありますが、船舶の建造原価中において鋼材の占める割合は、三〇%ないし四〇%に達しております。しかるに現在わが国の鋼材価格は、造船用厚板について見れば、トン当たり四万八千五百円——百三十五ドルですが、1で、英国は四万一千八百円——百十六ドルに比べますと、六千七百円——約十九ドルの割高になっているので、この価格差をなくするための助成金について検討中であります。また、鋼材の自由化は、船価の低減に役立つもので望ましいので、これにつきまして関係各省に要望しておるような次第であります。  なお、お尋ねになりました、わが国の船員の給与水準その他の待遇、特に厚生施設に関する現況について、十分であるかということのお尋ねでありますが、船員の待遇全般について、簡単に十分とか不十分とか判断することは問題があるのでありますが、しかし、船員の労働基準、船員保険、船員の職業紹介等については、国際水準による、それぞれの法規が完備しておりますし、また、給与その他は、労使の団体交渉で決定されており、労働組合の組織の欠けておる面についても、最低賃金法等で補完しておる次第であります。ただ長く家庭を離れ、労働の場と生活の場が一体となった特殊な環境で働いている船員労働条件の特殊性にかんがみ、内外の港における宿泊施設その他の船員厚生施設の完備は、特に重要であるにかかわらず、従来世界の海運国に比しまして、やや遜色があったのであります。そこで昭和三十四年度におきまして四千万円、昭和三十五年度におきまして一千万円の予算を計上して、とりあえず海外における船員厚生施設の設置を補助していくことにいたしましたが、今後とも、できるだけこの方面に努力を傾注し、ILOの提唱する船員の厚生委員会のような組織については十分整備して行ないたいと思う次第であります。  以上、お答えいたします。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 まだ答弁が抜けておるところたくさんあります。ざっと申し上げておきますから、運輸大臣聞いておいてもらいたい。  まず第一は、ハッチぶたの開閉の問題については、もちろん省令を早く出すということが必要。安全法の完全な適用、それから労働条件については労働基準法の適用、こういうことについてはわかりました。そこで、仕事の分野——仕事の分野についての私は、手数料といいますか、作業をしたものに対するところの報酬をどうするか、こういうことについて、当時、二千三百円を外国船舶は支給しておるのに、日本は船主と港運業者と労働者の間で紛争をして解決しておらぬじゃないか、これが外国船舶に荷物を取られる原因ではないか、また六大港を初めとして全国でストライキが起きた理由であると、こういうことを指摘をして、早急に解決するようにということを私は二月十六日の本委員会で申し上げた。それに対して運輸大臣は、関係局長を集めて措置をされたと私は思うのですが、そのことはどうなったかということを、やっぱり本委員会ですから回答をしておいていただきたい、これが一つ。  それから第二の問題としては、当時、私が、横浜港の中における山菊丸と高法丸の衝突事件というのが起きた、しかも毎年こういう事故が繰り返されておる、これについて運輸大臣はどう措置をしようと考えておるのか。こういう点を緊急質問として当時御提案をしておるわけです。それに対して、事故の内容はよく調べなければいけないと、こういうことをおっしゃっておったけれども、私は、むしろ毎年こういう事故が繰り返されることは、港作りについての再検討を必要とするのではないかと、こういう点を言外に含めて質問しておったわけであります。そのことの御答弁が抜けております。  それから次に、国際輸送の問題と三国間輸送等を含んだ多角的な質問をしたことに対して、お答えがありましたから、大体はいいわけでありますけれども、その中で特にニューヨーク定期航路というのは、私が前回も申し上げたように、日本の海運の収入の三分の一をこれは持っておる重要航路なんですね。そこでこの盟外配船という問題で、FIOの問題は非常に大きな論争の実は国際的な種になっているわけです。そのことで、しかも日本の郵船等を初めとして、関係の船会社が米国に喚問をされると、こういう事態に対処して、どう日本政府としてはこれを処理をしていこうとするのか、こういう大きな問題を実は投げかけておるわけです。そこで運輸大臣は、英国等を初めとする同盟側の人たちを呼んで協力を求めたと、こういうことを言っておるが、その中には、日本商船に対する運賃を当面減額をさせて、料金を安くして、そして国際競争に勝とうと、こういうことをきめたわけです。これは私は根本的対策にならぬじゃないかと、こういうことを指摘をしておるわけなんです。ですから、むしろ私からいえば、米国の独占的な考え方日本の商船隊なり、あるいは船会社に対して影響というものを受けることは不満である。もっと国際、いわゆる国連の中においてそういう点は討議をすべきではないか、それだけの確固たる信念を私は日本政府としては持たなければいけないと、こういうことまで当時実は言外に含めて御質問をしておるわけです。
  45. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 今の米国に喚問されておるという問題と、それから今のニューヨーク航路の同盟の運賃、盟外のものと欧州系のものとが脱退して、運賃協定をやめようという問題とは、別個の問題なんです。これは御存じのように、今喚問されておるのは、日本だけでなくして、世界の約七十何カ国全部喚問してやっているので、これに対しまして、今外務省その他がやっておりますいろいろな防御策といいますか、こういうことは、またあとお答えいたしますから……。  今おっしゃいました同盟の、つまりあなた今おっしゃっていますニューヨーク航路の同盟の脱退という問題が起こりますと、御存じのように、荷揚げの値段以下ぐらいまで運賃でこの前競争をして、ほとんど各船主が破産状態まで追いまれてしまう危険状態があるものですから、これを今防止させようということで、これは、政府が実際に関係してやることではありませんけれども、大きい意味においては、航路をやっぱり監督しておる関係もありますから、自主的に、そういうことの口実を作られて、同盟を脱退するようなことを日本側でやらないように、同時に外国側の船主も自重して、同盟を強化するように、それから同盟に入らないでこれを撹乱しようとするものをどうして押えるか、こういう問題について、今いろいろと工夫しておるのであります。これについてはまたお答えいたします。どうぞ、そういうことです。
  46. 相澤重明

    相澤重明君 それではあとで、そういう点をよく運輸省として、何といっても監督官庁なんですから、そういう問題を、国際問題なんですから、十分検討をされて報告をしてもらいたい。  私の申し上げたのは、米国が世界の各国の船会社を呼んで、それでいろいろいいとか悪いとかいう議論をする前に、少なくとも国際連合という機関があるのだから、その国際連合という機関の中において私はこういう問題は取り上げさすべきだ、ここまで実は強く主張をしておるわけです。しかし、これは従来の慣行というものもありますから、単に私が申し上げただけで直ちにそういう方向に行くかどうかということは、研究の余地はあると思う。少なくとも、この国際舞台の中でわれわれが低料金を押しつけられる必要もなかろう、また不当なそしりを受ける必要もない。こういうようなことで米国の喚問の問題については、私はもっと大きな政治性を発揮してもらいたい。  ニューヨーク航路の問題、三国間の航路の問題は、これは私も前に指摘をしておきましたが、これはもちろん、別個の問題だけれども、何といっても国際収支の改善に大きな役割を果たす海運の問題ですから、それは一つ運輸省としては、やはり単に当面同盟を脱退するものがあるから、料金を安くすれば競争ができるじゃないかというようなことだけでは、私は足りない、もっと根本的な問題を検討せよ、こういうことを言っておるわけです。それについては、運輸大臣も今言うように、よく検討されて出してもらいたい。  それから横浜港の問題については、これは運輸大臣も調べて、少なくとも神奈川県知事も運輸省に陳情に行っているはずですよ。だから、港の作り方について再検討を私はしてもらいたいし、運輸省の見解も述べてもらいたい。  それから次に、運輸大臣、あなたの答弁の残っておるのがたくさんあるのだ。それは国鉄新幹線の問題については、先ほど日鉄法改正の問題があったから、これはあとでやるとして、国鉄の金町駅の事故が起きたやつについて緊急質問でやっておいた、どうすればいいのか。ただ、なわを張って、そうして上がり下がりの乗客を分ければ、これで事故がなくなるなんというお粗末な考えでは困る。もっとなぜ定員というものと、それから実際の旅客の乗降というものに対しての根本的な施策をしないのか。これを、山ノ手線や中央線、京浜線、これら国鉄のドル箱のところをそういう緊急対策をやらぬことがいかぬ、こういうことを言っておいたわけです。そこで、そういう国鉄のもうかっておるようなところに対して、人を減らすことばかり考えておって、合理化政策ばかりやっておって、そうして運賃を払う旅客に迷惑が起こるようなことはやめてもらいたい、端的に言えばそういうことを私は追及をしているわけです。運輸大臣もそういう点、国鉄とよく話し合って、そうしてあと答弁してもらいたい。  それからその次に、自動車局関係について当面の問題は、離職者の人たちに対する閣議決定をいかに尊重するか、きょうは自動車局長が衆議院の諸君と一緒に現地を調査されておるから、自動車局長がおらないから別に言わないけれども、運輸大臣としては、これはやはりあなたが最高責任者なんだから、こういう点を……。
  47. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) やっているのですがね。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 やっていると言っても、三年も四年もかかって、今日までなおできないということは、関係者はそれはほんとうに困っているわけだ。だから、そのことは一般の業界の申請の事案と一緒にきめなければならないということは、私は納得できない。政府がきめたことをどうしてやらないのか、こういうことで私は離職者同盟の問題について、実は運輸大臣が一生懸命していることは知っているけれども、これはやはりやらなければならない。
  49. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) だいぶ片づけた。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 片づけたと言っても、まだ五月か六月だと言っている。
  51. 楢橋渡

    国務大臣楢橋渡君) 三十件までできた。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 そういう答弁では答弁にならない。そういうことでやってもらいたい。  その次は、志免炭鉱の配転の問題は、国鉄労使の中できまったことだけれども、もっと親心を出してやるところがありはしないか、こういう点を具体的に副総裁からいろいろ説明をこの前聞きました。しかし、だいぶその後の配転をされた中にも問題が起きているようでありますが、きょうはこまかく申し上げません。いずれ副総裁からその後の報告があると思っておりますから。しかし、大臣はそのことに対して責任があるんだから、やってもらう。  それから最後に、昨年の十二月十日の京浜第二国道におけるトラック事故による罹災者に対する国家補償の問題をどうするのか、これは岸総理にも決算委員会で話し、その後あなたに質問をして、あなたが少なくとも国務大臣として、そうして直接の担当ではないけれども、国務大臣として閣議の中であなたは発言をしてもらいたい、こういう私は要請をしておる。私もやろうと言って、あなたもお話しになったようです。しかし、その結果はいまだに何ら指示されておらない。ところが現地の京浜第二国道の周辺のあれだけの多くの死傷した人、あるいは家をなくされた人は非常に困っておる、今。そういう点について、やはりこれは政府が、単に自動車事故による天災であるから、これは仕方がない、こういうことでは、私は今の憲法上納得できぬ。こういう点を少なくとも岸内閣としても十分対処しなければならぬだろうということで申し上げておるのだから、政府が、閣議でお話し合いになったら、どういうふうに今後はすべきか、それから、当面罹災者の人たちにはどうするのが正しいのか、こういうことは政治ですから、やはり私ははっきりしてもらわぬと、住民は納得できないですよ。ですから、私はしつっこいように申し上げておるけれども、やはり関係者の気持を思えばこそ、私は涙をのんでも、やはりこれは政府に要請もしなければならぬし、ことごとに言わなきゃならぬ、こういうふうに私は思っておるわけです。ですから、政府もやはり国民の立場に立って、これらの被害者に対する救済措置というものができるならしてやって、できないならば、どういうふうにしたらば、まず満足がいけるようになるのか、こういう点を検討して、私は報告をしてもらいたい。  以上、まあまだ残っておるところがありますが、大体お約束の時間が過ぎましたので——これはしかし大臣答弁が足りないから私言っておるのです。答弁をすれば別に問題ないわけです。そういう点を後刻補足し、御報告願いたい。以上。
  53. 江藤智

    理事江藤智君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  54. 江藤智

    理事江藤智君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十五分散会