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辻原分科員 今、前にこの問題についてただして、総理からかなりはっきりした答弁を得ておる
八木委員の方から
お話がありましたので、その点重ねては申しませんが、この問題についての
政府の答弁をただしたのは、ただ単に社会
労働委員会だけではありません。岸内閣成立直前、私の記憶によりますと、石橋内閣の当時、岸さんが臨時に総理の代理をやっておられたときにも、私自身もこれを
予算委員会でただして、かなりはっきりした答弁を得ております。従って、そういう経過から
考えてみますと、どうも審議室長なり厚生
大臣のお
考えは若干テンポがおくれているような感じを免れません。このことは同時に、私は岸内閣の
同和対策に対する政策であるというふうに、もし
関係地区なり
一般が認識するということになれば、これは片やにおいて非常に
同和対策を推進するんだと称しておりますけれども、実態はこうなんだということを
一般に暴露する大きな証拠になる問題ではないか、こういうふうに思うので、もう少し
一つ単にそのときどきの答弁ということではなしに、なぜ総合機関を設けろと
一般が要望しておるか、このことについて研究をいただきたい。それはなぜか、多くを申し上げませんけれども、現にこれは長い間、何十年同じようなことを繰り返してきているのです。しかしいまだに大した実効は上がっておりません。それでどこに欠けるところがあったかというと、今も
八木君が触れられましたように、この部落問題というのは、長い歴史の背景に生まれて、今日そのしわ寄せがいわゆる貧乏あるいは環境の不健全、こういうところにきているわけなんです。だからこの根源を正していくことは容易なことではないわけです。単に環境改善だけじゃなしに、教育面において、あるいは
経済的な諸問題を解決するための
経済政策の上において、総合的な
施策をとらなければ解決しないのです。ですから各省ばらばらのそのつどつど問題を取り上げるという行き方では、これは百年河清を待つにひとしい。ですから今、少なくとも時代が進展をいたしまして、どこにもこういったあらゆる悪条件が重なっている
地区というものは見当たらない今日において、部落だけが取り残されておるということについては、これは今日における日本の一大悲劇なんだ。それを解決するために
政府が強力な
施策をやるということは当然のことじゃないか。そういう
意味合いにおいて、われわれは総合的な強力な機関を設けなさい、各省がその年度年度の
予算の中の端っぽをちょっとつまんではこれを
同和対策だと称するがごとき
やり方ではだめなんだ、だから早く総合機関を作って強力にこの問題を進展させなさいというのが私たちの本旨なんだ。どうかこの点については、閣僚懇談会でいろいろ検討しているならば、まっ先にこの総合機関設置についての有無、時期あるいはその内容を検討していただきたいと思います。
次に、私は
同和対策に対する
考え方も厚生
大臣あたりと議論をいたしましたならば、非常に私も参考になりますし、
大臣も参考にしていただけると思いますが、遺憾ながらその時間がございません。ただしかし、先ほどちょっとお言葉の端にございました、いろいろやっているのだ、
予算もこれだけ取りました、下水、水道あるいは隣保館、共同浴場、共同便所、こういった問題を解決するという
お話がありましたが、私の頭の中には、この問題の取り上げ方が、ただ単なる環境改善だけに終始しているように聞こえる。それではいかぬと思います。根本的な問題はやはり
経済生活の向上にあるのです。
失業の解決にあるのです。そういう認識のもとに
大臣としても、
所管の問題はもとより、その他の問題についても関連をして取り上げていただきたいということを希望いたしておきます。ことしの
予算面から見ますと、かなり最近与党である自民党の側でも、この
同和対策を大きく取り上げるというので、
同和対策特別委員会を設けられ、当初私どもが聞くところによりますと、本年度モデル
地区を設定して、それを中心に約六十億ぐらいの
予算でもって強力に進めようという話であった。期待をして待っておったのでありますが、結果落ちついたのは、いろいろ
予算案をひっくり返して総合してみますと、金額にいたしますと六億五千万約十分の一になっている。こういうところにもこの問題に対する熱意のほどがうかがわれると思います。与党内部において熱心な推進者もおりましたけれども、
政府全体の熱意のほどはこういう程度にとどまっているということを慨嘆せざるを得ません。しかも先ほども言いましたように、その
予算たるや、ほとんど環境改善であって本質的な問題には触れていない。これを各省別に見ますと、
予算上はっきりしておるものは、
厚生省で一億三千万円、
農林省においてはわずか二千四百十万円、それから文部省においては五百九万円、
建設省においては住宅
対策として千百戸分、これだけがはっきりしている。その他は
一般的な
施策費の中に組まれているようであります。概括してみれば以上の点にすぎません。
そこで、これらの問題よりもさらに根本的に重要な
施策である
雇用の問題、それから
職業訓練の問題、零細企業の
対策の問題あるいは農漁村の人口問題、こういう各般の
経済的諸条件を解決するについていかほど
政府は努力しているかということについて、具体策があるならば
一つ取りまとめて審議室長から伺いましょう。なお
関係各省が出られておるようでありますから、それについて各省の所見があればこの
機会に承りたい。