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1960-02-26 第34回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十六日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席分科員    主査 早稻田柳右エ門君       青木  正君    上林山榮吉君       櫻内 義雄君    西村 直己君       三浦 一雄君    飛鳥田一雄君       井手 以誠君    岡  良一君       河野  密君    多賀谷真稔君       横路 節雄君    大貫 大八君    兼務 淡谷 悠藏君  出席国務大臣         法 務 大 臣 井野 碩哉君         国 務 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         国防会議事務局         長       廣岡 謙二君         防衛政務次官  小幡 治和君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  山本 幸雄君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         調達庁長官   丸山  佶君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   鐘江 士郎君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     柏原益太郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 吉岡 英一君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   新保 実生君     ————————————— 二月二十六日  分科員岡良一君及び河野密委員辞任につき、  その補欠として多賀谷真稔君及び飛鳥田一雄君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員飛鳥田一雄君及び多賀谷真稔委員辞任  につき、その補欠として河野密君及び岡良一君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  第三分科員淡谷悠藏君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所、会計検査院内閣総理府経済企画  庁を除く)法務省及び大蔵省所管  昭和三十五年度特別会計予算総理府及び大蔵  省所管  昭和三十五年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田主査 これより会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算中、内閣総理府所管昭和三十五年度特別会計予算中、総理府及び大蔵省所管を議題といたします。  質疑を続行いたします。横路節雄君。
  3. 横路節雄

    横路分科員 最初に確認をしておきたいことは、F104の一機当たり年間維持費ですが、今、私のところにいただきました資料では、機上通信機等維持費を含んで四千万円、燃料費が八百八十万円、人件費が五百五十万円、合計五千四百三十万円、これで間違いございませんか。もう一ぺん答弁して下さいませんか。
  4. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 これは、もちろん予想でありまして、33、86等のように実績が出たものでありませんが、われわれが考えておることには間違いないと思います。
  5. 横路節雄

    横路分科員 次に、長官お尋ねしますが、F104の価格について、ここへ出していただいたわけです。一番終わりの資料ですが、ここに複座機として一機当たり百四万七千二十七ドル、ノックダウン単座機二十機が百二十八万九千九十三ドル、それから百六十機分として、一機当たり百十万八千五百三十二ドル、この数字には間違いございませんね。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 間違いございません。ただ、出しました資料の中で、もちろん御承知だと思いますが、単座機百八十機の平均単価が百十二万八千五百九十五ドルになっていますが、その下の内訳ノックダウン機と百六十機と別々にしてみればということになっていますので、その点御了承願います。
  7. 横路節雄

    横路分科員 長官お尋ねしますが、アメリカ負担分は七千五百万ドル、日本負担分は一億九千三百九十万五千六十二ドル、円に換算をして六百九十八億五百八十二万二千三百二十円、こうなっている。予算書を見ますと、六百九十八億でいっているわけですね。こういう場合には、防衛庁の慣行としては、この百万単位は落としてしまうのですか。それとも、きちっとそれは全部予算書に載せていますか。この点はどうなんですか。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 予算書には千円以下は切り捨てますけれども、それ以上は、予算書に出ておるものと思ってます。
  9. 横路節雄

    横路分科員 それでは、一般会計の五十四ページT号国庫債務負担行為防衛本庁航空機購入の中の七百四十一億五百三十八万七千円、このうちに、今お話しの千円以下は切り捨ててあるけれども、六百九十八億五百八十二万二千円のところまでは入っている、こういう意味でございますね。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 さようでございます。
  11. 横路節雄

    横路分科員 装備局長お尋ねしますが、実は、このF86Fの契約書、これを、きのう私が質問する直前に、資料要求していたのをいただいたので、これを見て質問ができなかったわけです。きのう帰りましてから、あらためてこの契約書を見たわけですが、この契約書を見ますと、たとえば、第三次の契約書でも、どこでもそうですが、この第十四条に「航空機製造請負代価は、乙が航空機製造のため、支出若しくは負担し、または支出若しくは負担すべき経費を次の区分および次条に定める計算基準に従い精算し、これに総利益を加えた金額」とする、となっていますが、この総利益というのは、F86Fのときには幾らを見たのか、それから、F104のときには幾らを見ているのか、この点についてお尋ねします。
  12. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 86の一次、二次、三次の総利益、私ちょっと資料を持ってきておりませんので、すぐ取り寄せます。
  13. 横路節雄

    横路分科員 それではどなたか資料を取りにやっていただきたいと思います。  装備局長お尋ねをしますが、これは、総体何億何千万というものを利益として見ているものですか、パーセントできまっているものですか。きまってないで、そのつど、そのつど総体金額で見ているんですか。その点はどうなっているのですか。
  14. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 総利益の中には、一般管理費と、それから純利益と、両方に分かれております。一般管理費と申しますのは、いろいろな経費及び金利——大部分は金利でありますが、それが一般管理費に入っております。ですから、これは従来の実績を見まして、それによって算定する。それから利益は、航空機原価計算をとりまして、それによりまして日銀統計一般産業利益率から割り出して、それによって当該会社が大体どれぐらいの配当ができるかというようなことをめどにいたしまして、計算逆算して計上するということであります。ただ、その最高限原価計算要領にきまっておりまして、予算の範囲内において具体的に業者折衝においてきめるということでありまして、一次、二次、三次を通じて全部一定の比率がきまっている、こういうものではありません。
  15. 横路節雄

    横路分科員 今の装備局長お話で、なるほど、軍需産業に対する防衛庁の総利益の出し方が私は今初めてわかった。一般管理費というものは、なるほど金利その他を見る。しかし、ここにあります価格形成付加費用ということになると、一般利益株主にどれだけ支払いすることができるか、株主にどれだけの利益を与えることができるかということを逆算をして、会社利益を踏んで、それを飛行機価格中に織り込むのだということになると——これは普通の産業もそういうことになるでしょうが、そうすると、新三菱重工とか川崎重工とかいうものは、どれだけ配当しているのですか。私調べておりませんが、どれだけ株主にやっているのですか。今あなたのお話ですと、それだけの株主配当するものを見込んで逆算をして、それを利益として出している。これはどれだけ配当をしているものでしょうか。装備局長長官に、私がなぜこれをお尋ねしているかというと、これからの軍需産業全般に関係しますので、F104のときにどれだけ見込むのか、これから契約をするときの算定基準にもなるので、私はお尋ねしているわけです。F86Fのこれを実はいただいたので、私は一晩検討して、今お尋ねしているのです。委員長、これは資料を取り寄せていただいて、F86Fの第一次、第二次、第三次における総利益分がどうなっているのか、それからF104の場合においては大体どの程度見ているのかということについてお尋ねをしておきたいと思いますので、ぜひこの点は、あと資料を取り寄せていただきたいと思う。なお、私は、この資料をいただいて、この契約書で、航空機費用、値段というものが一体どういうようにして算定されるのかということを、私も不勉強だから、初めてよくわかったわけです。  そこで、これによりますと、外人パイロットを雇用するような契約にもなっておりますが、F104のときには、外人パイロットは雇用するのですか、しないのですか。
  16. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 外人パイロットは、F104の場合におきまして、やはりある程度の期間必要ではないか、かように考えております。
  17. 横路節雄

    横路分科員 何人ぐらい採用なさる予定ですか。
  18. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 当初は、大体二人ぐらい必要ではないか、かように考えております。
  19. 横路節雄

    横路分科員 装備局長お尋ねします。この契約書を見ますと、準備費として、資材受領補助者派遣費あるいは海外渡航費というものがここに組まれてありますが、当然F104の場合にも、同じように資材受領補助者派遣費あるいは海外渡航費というものが組まれると思うのです。この点は、三十五年度予算には組んでないのでしょうね。これは組んであるのですか、ないのですか。もしも組んであるとすれば、幾ら組んであるのですか。
  20. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 資材受領者につきましては、これは従来33、86におきましても、防衛庁予算としては組んでおりませんで、あくまで、これは資材受領者補助費ということで、その実際の実務を担当します契約会社が行っておるわけでありまして、その契約単価の中に入れてある、こういうことでありまして、防衛庁予算としては組んでおりません。F104につきましても、防衛庁予算としては組んでおりません。
  21. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、防衛庁予算では組んでいないが、しかし、会社の方の中で組んであるから総体経費だ、こういうわけですね。これは資材受領補助者派遣費海外渡航費も同じですね。その点、重ねてお伺いします。
  22. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 資材受領者につきましては、防衛庁予算に組んでおりませんが、海外渡航につきましては、これは防衛庁自体でいろいろ価格の実態を向こうに行きまして調べる必要があろうかと思います。そういう面におきまして、そういった仕事のための海外渡航費、こういうものは別途に考えなければならぬ、かように考えております。これが組んであるかどうかは、経理局長からお答えいたします。
  23. 横路節雄

    横路分科員 経理局長、御答弁願います。
  24. 山下武利

    山下政府委員 海外渡航費としては組んでございません。
  25. 横路節雄

    横路分科員 装備局長、今の経理局長お話では、海外渡航費は、防衛庁としては組んでいないそうです。
  26. 山下武利

    山下政府委員 ただいま申し上げましたのは、特にF104の調査のための渡航費として組んでないということを申し上げたわけでございます。一般海外渡航費の中で、もし必要があればまかなえるであろうという推察のもとに、掲げていないわけでございます。
  27. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、このF104の、お出しになった積算基礎がまた違うのですよ。私は、F86Fの第三次生産契約書に基づいて御質問した。ここには資材受領補助者派遣費として七百三十九万二千円を限度としてやる。これは、いわゆる飛行機価格の中に入るわけです。海外渡航費は、この中に、これはわずか八十七万九千円ですが、これも会社の中に入っているのですね。だから、そういうもので契約なすっているのに、そのほかに、また防衛庁海外渡航費の中で見るということになれば、この実際の価格にこれだけ余分にくっついているということになりませんか。それでお尋ねをしているのです。
  28. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 会社側海外渡航いたします分につきましては、全部F104の経費に組んであります。
  29. 横路節雄

    横路分科員 それはその通りなんですが、しかし、F104の調査その他のために別途に組んであるということになれば、それもやはり一般経費の中に入るべきだと私は思う。それでお尋ねしておるのです。  次に、F86Fの第三次計画を見ましても、直接経費として、ロイアルティとして四億一千百二十二万一千円を限度として出すようになっている。これは第一次、第二次、第三次とも同じなんですね。きのうお話しになりました千四百四十万ドルですかは、これに当たるわけですね。約五十一億六千万か五十二億六千万ぐらいになりますか、これは新三菱並び川崎重工が、この二百機の注文の中で、いわゆる向こう会社に支払いをする技術援助に基づくところの特許使用料といいますか、そういう形で払うわけですね。その点、一つお答えいただきたいのです。
  30. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 ライセンスロイアルティは、きのう申し上げました固定費の中に入っております。
  31. 横路節雄

    横路分科員 全部ですか。
  32. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 全部ではありません。
  33. 横路節雄

    横路分科員 それは幾らぐらいになっているのか、お尋ねいたしたい。
  34. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 その点、きのう申し上げましたように、固定費内訳につきましては、ロイアルティライセンス開発費その他につきまして、内訳発表することを差し控えさせていただきたい、かように存じております。
  35. 横路節雄

    横路分科員 私も、この点は、何も技術上の秘密事項についてお話をしてくれと言っているわけではないのです。千四百四十万ドルといいますと、五十一億六千万が幾らかのはずなんです。それについてお答えをいただきたいというのですけれども、これはロッキード会社の方からカナダに売ったり、西ドイツに売ったりして、日本の方の分はいささかまけてもらっているので、国会でそういう答弁をすると、商売上うまくないということになるのでしょうが、何かカナダ西ドイツの方に気がねをして、国会でこれが答弁できないということもおかしいことだと思う。これはやがて、こういうふうにみんな契約書を作るのだから、この中にはっきりうたうのでしょう。それなら、どうしてこういうことが答弁できないものでしょうかね。長官、うまくないものですか。数字だけはきちんとおっしゃったらどうでしょうか。
  36. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 西ドイツカナダに気がねしているわけではないのです。いろいろ価格折衝中に、特に低めた要素がその中に入っておりますので、これがあまりはっきりしますと、西ドイツカナダの方で、今までの契約に承知できないということになり、あるいはこっちの価格を上げるということになり、商取引上の秘密道徳といいますか、そういうことでありますから、申し上げないだけであります。でありますから、契約をしたときとか、そういう時期に達すれば、これははっきり申し上げていいと思うのですが、今まだ契約ができておらないときでありますので、少しの期間差し控えさしていただきたい、こういうことでございます。
  37. 横路節雄

    横路分科員 長官お尋ねしますが、これは新聞記事ですが、ワシントン二十三日発UPI共同アメリカ国防省の一当局者が二十三日に語ったところによると、現会計年度の対日軍事援助計画は、ロッキード調達初年度援助に二千五百万ドル、その他すべての軍事援助に約六千五百万ドル、あとの方は別にして、ロッキード機調達初年度援助に二千五百万ドル、こういうように新聞は報じているわけです。これは三分の一ですね。そうすると、これは事実でございますか。アメリカ側としては、現会計年度日本に対して二千五百万ドルは補助する、これは間違いございませんか。
  38. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その通りでございます。
  39. 横路節雄

    横路分科員 それから、これも念のために装備局長お尋ねしておきたいのですが、昭和三十三年度の決算の検査報告の二十八ページに、会計検査院から「航空機製造請負契約にあたり処置当を得ないもの」として防衛庁があげられて、そこに「これに一工数当り加工費四〇七円を乗じて算定することとしている。」こうなっているわけです。ところが、第三次のF86Fの生産を見ると、一工数当たり加工費は五百円になっています。今度F104の場合には、この一工数当たり加工費幾らになるのでしょうか。こういう点について、まだ検討していなければ検討していないでけっこうですが、検討していれば、幾らかということについてお話をしていただきたい。
  40. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 一応予算上見積もった数字はありますが、契約前でありますので、これは業者ネゴをしてきめることになりますので、そういう点で、まだ発表は差し控えたいと思います。
  41. 横路節雄

    横路分科員 しかし、実際の単価はこういうものを基礎にしてやったのではないですか。これは会計検査院から出ているこれを見ると、一工数当たり加工賃四百七円に、時間どれだけをかけて、この時間が多いとか少ないとかいうことが問題なんです。これがやはり賃金の単価でありませんか。こういうことについてまだ折衝の過程にあるものが、たとえば練習機については一機当たり幾らだ、あるいはノックダウンについては幾らだ、百六十機については幾らだという計算はできないじゃありませんか。どうしてそういうことをおっしゃるのでしょう。
  42. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 今われわれがやっておりますのは、あくまで予算積算上の単位であります。この予算通りますれば、大体来年の暮れか、来年度の末になるかと思いますが、実際担当会社ネゴをしまして、契約をするその場合に最終的にそういったレートもきめるわけであります。そのレートがきまれば、あとはそのレートによって工数実績をチェックいたしまして、そのレートにかける、そういうような段階になるわけでありまして、このレートは、今予算できめたから、それが業者にそのまま適用される、必ずしもそういう性質のものではありません。
  43. 横路節雄

    横路分科員 長官、今お聞きのように、単価はそれぞれきめたが、その基礎になる工賃、一工数当たり加工費四百七円、それは第三次では五百円になっているわけです。それについてまだはっきりしないのだ。そうすると、今出しているのは予算上の単価であって、実際にやってみるとまた動くだろう、これでよろしゅうございますか。これは予算上の単価だから、また、一機当たり金額並びに総体金額については動くのだ、こういうものなんですか。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 昨日申し上げましたように、これは九九%大体動きません。予算に見積もった単価で、それ以下において動くことはあろうと思いますが、それ以上にはほとんど動かせないつもりでございますし、動かないと思います。
  45. 横路節雄

    横路分科員 先ほど私が読み上げました新聞報道記事ですが、アメリカは現会計年度で対日援助計画としてロッキード調達初年度援助に二千五百万ドル、これについては先ほどここで御答弁になった。そうすると、来年度からの予算にはこういうことになるのですか。この二千五百万ドルはアメリカ側は二八%でしたね。日本は七二%です。そうすると、アメリカ側負担は二千五百万ドルが二八%だ。それに見合う七二%の分を来年度予算に計上することになるわけですね。その点はどうなんです。
  46. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 日本側負担分昭和三十六年度から四年にわたって予算化するわけでございます。つまり、国庫債務負担のものを予算化する、その年度割につきましてはまだ決定的なものを持ちませんが、この間この委員会でも申し上げましたように、三十六年度は、関連機材を除いては五十六億くらいが予算化する予定でございます。その後の年度については、まだ大蔵当局と最終的な話し合いになっておりません。
  47. 横路節雄

    横路分科員 経理局長お尋ねしたい。なお装備局長に、先ほど私の方で言いましたF86Fの第一次、第二次、第三次の総利益、それからF104の利益を一体どういうように見込んでいるか。今数字がきておればここでお答えいただきたいし、もう少し時間がかかれば、これから経理局長お尋ねしたいと思いますが、装備局長、いいですか。
  48. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 F104の総利益をどれくらいに見ているかを発表しろということでございますが、これもやはり担当会社とこれからネゴに入るわけでありまして、この総利益を初めから向こうに知らせますと、ちょっとネゴに差しつかえますので、公表することは差し控えたいと思います。
  49. 横路節雄

    横路分科員 装備局長、今、長官は、これは九九%動かないのだと言うのですよ。だから、あなたの方で単価を組んだときは、そういうものを全部きめて組んでいるのじゃないのですか。そういうものがきまっていないのですか。それじゃ、長官がおっしゃる、このロッキード単価については九九%きまっているということと——そういうことを全部ひっくるめて単価を出しているのじゃありませんか。私は何も会社にどれだけもうけさせるとかなんとかでなしに、あなたの方できまっているのでしょう。これは軍需産業全般についてきちっときめているでしょう。あなたの方でどうしてもF104について言えないというならば、F86Fの第一次はどう、第二次はどう、第三次はどうと出してくれれば、あと私の方で重ねて聞きますから、まずその資料を取ってからお尋ねしていきたい。  経理局長お尋ねしたいのですが、実は私きのうあなたにお聞きをしておきたいと思っておきながら、ちょっと資料が不足だったので聞かなかったのですが、二十四日のどの新聞の夕刊にも、アメリカ軍事援助額について初めて公表という題で出たわけです。アメリカ国防省は、二十三日、米国が過去十カ年間に供与した軍事援助額と、それから六〇会計年度の推定を国別発表した。これによると、日本が五 ○—五九会計年度の十カ年にアメリカから受けたMSA軍事援助資金割当額は七億一千百万ドル、六〇年度は八千五百九十万ドル、しかし、実際の引き渡し額は過去十年間五億六百万ドル。五億六百万ドルということになると、千八百億円ちょっとになるのです。あなたが、きのう私に答弁したところでは、十年間に四千四百億円になるのだ。あまり数字が違うものですから、新聞社の方でも取り上げたところもあるわけです。これはアメリカ国防省国別発表した過去十年間が五億六百万ドル、約千八百億になりますが、これとあなたの四千四百億ではあまり違うものですから、実は、これはきのう資料を整えて御質問したいと思ったのですが、資料をちょっと他へ置いてきたものですから、きょうあらためてお聞きしておきたいと思います。
  50. 山下武利

    山下政府委員 実は、今お話しになりました新聞発表でございますが、この金額につきまして、私の方でも、さっそくわれわれの方に知らされておる資料とつき合わせまして、いろいろ作業をやってみたのであります。今お話しにありましたように、確かに数字に相当の開きがあるということは事実でございます。ただ、考えられますことは、われわれの受け取っております例の船舶貸与協定、これに基づいて船を相当受け取っておるのでございますが、これを差し引きますと、だいぶ差が縮まって参ります。しかし、結論として、最後にやはり八百億余りのものが合わないという数字が出て参るわけでございます。これはほんとうの想像でございますが、若干年度のずれということもありますのと、それからもう一つ、わが方は米軍価格に基づいて評価をしておるのでございますが、アメリカ側は、供与をした際に再評価をいたしておるというふうな場合もあるのであります。その再評価額というものは、わが方に知らされていないといったようなずれがあるのではあるまいか。それからまた、アメリカの政府は、支出予算上の措置といたしまして、ものによっては無価格、あるいは米軍価格を著しく下回った価格で供与されたものが相当あると考えられているのでございます。しかしながら、これは一応の想像でございまして、また、向こうとつき合わせたわけではございませんので、詳細の内容は今のところわからない状態でございます。
  51. 横路節雄

    横路分科員 経理局長お尋ねしたいと思うのですが、今の問題、あなたの方では、アメリカから武器の供与を受けた場合に、これこれの金額だといって渡される。その金額が十年間で四千四百億になった。向こうの方では、十年間に千八百億円しか日本にやらないと言っておる。これはずいぶん違うわけです。そこで、今お尋ねをしてみると、あなたの方では、アメリカ軍が日本に供与をした場合には、再評価をして渡したらしい、しかし、それについては知らされていない、だから、ずれがあるということになると、これは年度別のずれといっても、なるほど、日本会計年度向こうとまたがっている場合もあるでしょうが、しかし、十年間のトータルという点からいけば、そう、ずれはないわけです。だから、四千四百億円供与されたのだと受け取っているのと、向こうの方が千八百億円しか供与してないのだというのとは、ずいぶん違うと思うのです。私たち日本アメリカから四千四百億円ももらった、しかし、やった方は、千八百億しかやってない、同じものについて開きがいかにも多過ぎるのじゃないか。この点、もう少し防衛庁が自主性をお持ちになられて、こういう機会に、アメリカ側と交渉してないならば、されて——どうしてこんなに違うものでしょうかね。長官、何かお話がございますか。どうしてこんなに違うのですか。
  52. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今経理局長から御説明申し上げた中で、ちょっと御理解を得られなかった点があるような気がいたしますので、申し上げます。私の方で四千四百二十三億円というふうにこの額を申し上げたのでありますが、アメリカ側では、御指摘のように千八百億ということになっています。それはMAPの中で、私の方では船舶貸与協定によって二十数隻の船の供与を受けています。これも私の方ではMSAの中に入れてあるわけですが、向うでは入れてない。この額が五百九十億円あります。それから警察予備隊の発足当時から日本に貸与されたものがあります。これは二十九年のMSA法の改正によってMAPに切りかえられたものがあるわけであります。これもアメリカ側ではMSAの援助には含んでおりませんが、私の方の計算ではこれを含んでおりまして、これが約一千百五十億円、ですから、四千四百二十三億円と申し上げた中で、五百九十億円と千百五十億円を差し引いて、その差額が二千六百八十三億円でありますが、アメリカ側では千八百二十一億といっています。そこで、八百六十二億円の差がそこにあるわけであります。これが、今、経理局長の申し上げたように、評価の差額によるのではないか、この点は、もう少し確かめてみよう、こういう計算になっております。
  53. 横路節雄

    横路分科員 経理局長お尋ねしますが、この四千四百二十三億円というのは、きのう御答弁がありましたように、一九五〇年度から一九五九年度までで、そのうち、一九五九年度の分は第二・四半期までなのです。ところが、アメリカの五億六百万ドルというのは、きちっと会計年度までです。それで、もちろん不確定な要素もございましょうが、その後第三・四半期の分については大体わかるでしょう。おわかりございませんか。できれば、この四千四百二十三億は第二・四半期までの分なのですから、第三・四半期はどうなるか、それが一つと、それから第四・四半期で予定されている供与される分はどれだけなんだ。それで大体アメリカでいう五億六百万ドルの総体金額と、どういう関係があるのかということがわかりますので、第三・四半期までは結論が出ていると思いますから、それが幾らなのか、第四・四半期の見通しはどうなのか、それを一つお知らせをいただきたいと思います。
  54. 山下武利

    山下政府委員 第三・四半期までの実績は、目下集計いたしておりますが、まだ今のところできておりません。
  55. 横路節雄

    横路分科員 大体の……。
  56. 山下武利

    山下政府委員 大体のところも、今のところよくわかりません。もうすぐわかると思います。第四・四半期までの見込み数は、昨日申し上げましたように、三百三十九億というふうに考えております。
  57. 横路節雄

    横路分科員 経理局長、第四・四半期まで、年度全体で三百三十九億というお話でございましたが、ちょっと私数字を……。
  58. 山下武利

    山下政府委員 三十四年度の全体の見通しが三百三十九億円でございます。
  59. 横路節雄

    横路分科員 今のお話で、この四千四百二十三億円に、あと百四十五億円を足してやれば、ちょうど四千五百六十八億円というものがこの十年間に供与されたということになるわけです。そういう意味では、先ほど長官から八百六十億というようなお話でしたが、約千億ですね。私は、この点について長官にお考えをいただきたいと思うのは、われわれが相手の好意を受け取るにしても、これは四千五百億円だ、こういって受け取るか、いや、これは二千億円だといって受け取るかは、ずいぶん受け取る方で違うので、やはり、こういう点については、日本に渡された場合の、いわゆる供与したものについて再評価をしたそれについて知らされていないというのですから、それであるならば、これは、私はそういう点は正確に明らかにしておく必要があると思う。これは分科会ではできないかもしれませんが、できれば予算委員会の全体の総括質問が終わるくらいまでの間には、ぜひアメリカ側と話をされて、そういう意味で軍事顧問団も来られているのでしょうから……。あまりにも私は金額の受け取り方が違うと思うのです。  次に、長官に一つお尋ねしておきたい。これもその日の新聞記事なんですが、アメリカの陸軍の「参謀総長は二十三日、対外軍事援助計画を審議中の米議会で、『米国は日本にある重要な補給所を今後も維持し続ける。朝鮮で戦闘が再発した場合、在韓米軍はこれらの基地に依存しなければならないだろう。』」だから、朝鮮で戦闘が起きれば、日本の基地で補給するというわけです。まさに、在日米軍は、朝鮮における米軍の戦闘作戦行動の補給基地であることが明らかになった。これはこの間から論議している事前協議の対象ですね。明らかに、在日米軍は、朝鮮における戦闘作戦行動部隊の補給部隊なんだということが、これではっきりしている。アメリカ議会で証言をしたから……。そうすると、補給とか移動は事前協議の対象でありませんというような、のんきなことをいっておられるものでしょうか。これは補給ですから、移動ですから、どうぞあなたの勝手におやりなさい、こういって、在日米軍が、日本の基地を補給基地としてどんどん朝鮮へ移動していき、戦闘に参加する、折り返し日本におけるアメリカの基地が攻撃された、そうしたら、日本は、この条約に基づいて直ちに共同作戦をとる、これではあんまりひどくありませんか。これで、補給部隊の移動については全然事前協議の対象にしないんだという今までの政府側の答弁を、同じように繰り返しますか。アメリカ国会アメリカの陸軍参謀総長が述べているのですよ。これでもなお、この補給並びに部隊の移動については絶対に事前協議の対象にしないのですか。重ねて私はお尋ねしておきたい。
  60. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事前協議の対象の第一は、日本国への配備ですから、日本から移動する場合は、直接戦闘作戦行動に関係ないものは事前協議の対象になりません。それから補給の点でありますが、補給も事前協議の対象になりませんけれども、直接作戦行動と密接不可分な補給ということになりますと、これは事前協議の議題となる、こういうふうに考えられます。
  61. 横路節雄

    横路分科員 今の長官答弁を、私も一つ大事に記憶しておきたいと思う。今までこの委員会で論議した場合に、これはいつも防衛庁長官にはお尋ねをしておりませんでしたが、御承知のように、総理あるいは外務大臣は、私が直接聞いたら、戦闘作戦行動だけが事前協議の対象になると答えている。補給はどうなんですか、部隊の移動はどうなんですか、それは日本に対して来るときは、移動であるから、事前協議の対象になるが、日本からそれが移動する場合、撤退する場合は、その撤退等があるいは朝鮮であり、台湾であり、フィリピンであっても、事前協議の対象にならない、こういうように言ったわけです。しかし、補給ということは重大です。だから私はあのときに、二つに分けて聞いているはずです。たとえば、板付の飛行場なら板付の飛行場から直接飛び立って相手方を爆撃するときは、戦闘作戦行動だから、それは対象になる。横須賀から行った場合はどうなるか、横須賀から直接飛び立たない限りそれは事前協議の対象にならないと言っている。しかし、今長官のお答えで、とにかく戦闘作戦行動に重要な関係のある補給については、これは事前協議の対象になる、こういうように御答弁されましたから、一つこの答弁だけは大事に記憶しておいて、あらためて特別委員会でよく議論をしたいと思っております。新たに、事前協議の対象について、長官は、外務大臣や総理大臣とは別に、ワクをお広げになった。私どもは、補給部隊の移動等は当然事前協議にあるべきだと思ったのですが、総理や外務大臣は、それをそうでない、こういうお話をなさっておったのですが、今の長官答弁はよく承っておきます。  次に、装備局長、まだわかりませんか。私これで終わりたいのですが……。
  62. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 86の一般管理費利益でありますが、一次が二億九千万円、二次が六億八千万円、三次が十一億三千六百四十万円であります。
  63. 横路節雄

    横路分科員 これはパーセンテージでいくとどれくらいに当たるものですか。
  64. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 これは各契約別に違うと思いますが、詳しい各契約別のパーセンテージはあとで提出したいと思いますが、大体のところ、一二から一八くらいのところを上下しておると思います。これは総経費に対してであります。
  65. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、今装備局長からお話ございまして、私も艦船について前にお尋ねしたことがありますが、そのときも、大体一二%だ、こういうお話で、今一二%から一八%であるということであると、当然F104についても大体一二%から一八%くらいの間、こういうことになりますね。大体のところです。
  66. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 大体そういうことでありますが、契約をこれ以下でやることもあり得るということを御了承願いたいと思います。
  67. 横路節雄

    横路分科員 私の質問はこれで終わりますが、長官に最後に私の希望だけを述べておきたいと思います。  これだけ膨大な、千四百八十億円に上る防衛庁予算については、私どもは、もっと国会に対して資料を整備して出していただきたい。これはきのうも申し上げましたように、長官、他の省の予算をごらんいただくといいのです。ほんとうにこまかに予算を出しているわけです。これはやはり防衛庁が、ともすれば昔の、たとえば戦争中における臨時軍事費、そういう支出には、何んでもかんでも国会議員は協賛をしなければならない、戦争前のそういうしきたりが、なお今残っているのではないか。そういう意味で、われわれ国会議員が、この防衛庁予算について国民の代表として論議ができますように、今回はまあこれで、私たちも資料を要求するところはいたしたのでありますが、もっともっとお尋ねをしたい点がたくさんあるわけです。どうかそういう点、防衛庁予算については将来十分留意して、国会の審議が十分できるように、資料等を整えていただきたいと思うのです。これだけ申し上げまして、私の質問は終わります。
  68. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田主査 引続きまして、淡谷悠藏君。
  69. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 赤城防衛庁長官にお伺いしておきたいのですが、次期戦闘機について、この予算国庫債務負担行為として要求されております総額は幾らでございましょう。
  70. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 六百九十八億でございます。
  71. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 あなたは、先日の二月二十二日ですか、私の一般質問のお答えとして、現在、国庫債務負担行為として八百九十六億要求しておりますと、御答弁なすっていらっしゃいますが、どっちがほんとうなんですか。
  72. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この間そう申し上げたとすれば、この間のが間違いでございます。六百九十八億でございます。
  73. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは言い違いだと思いますので、率直に認めます。ただ、そこでお聞きしたいのですが、この予算委員会の段階で、しばしばロッキードその他の飛行機などの値段も動きます。私、正直に、御答弁にあった通りの値段で算定してみますと、非常に、御要求の国庫債務負担行為の総額とは違ってくるのであります。それが結局、昨日、一千ドル以下のドルは繰り上げたり、繰り下げたりする、端数の関係上、これは違ってくるのだという御答弁がありました。きょうは詳しい御説明があったが、一千ドル以下の切り捨てということは、非常に大きな差が起こるのですね。やっぱり防衛庁予算というのは非常に大きいのですから、一億、二億という数は問題にならぬかもしれませんが、その点は今後一つ十分に御注意下さいまして、最後の端数までお出し下さいませんと、えてして審議が延びますから、これは事務当局の方にも強く要望申し上げておきたい。  今度出されました資料複座機単価百四万七千二十七ドル、ノックダウンの百二十八万九千九十三ドル、それから百六十機の国内生産単座機百十万八千五百三十二ドルという数字は、もう動かぬでしょうね。こっちから突っ込まれると、しょっちゅうあっちへ動き、こっちへ動きしておったのでは、とても審議はできませんから、最後的な、決定的なものであるかどうか、一言確かめておきたいと思う。
  74. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 昨日来、いろいろ食い違いができたことの御指摘がございましたが、複座機単価が百四万七千ドルだといいますのはいろいろ積み上げた価格複座機の分だけに分けてみて、二十機あるとすると、それが単価になる。それから全体の単価として百十二万ドルも、初めから、百十二万ドルという一つの単価を作って、それに二百機をかけていったということじゃないのでありまして、総額が出て、それを二百機で割ってみると百十二万ドルになっているということは、御了承願えると思います。そういう形で、予算の上では千円以下は切り捨てておりますが、積算の上では、こまかい数字を積み上げて総額が出て、総額の中から一機当たりを出せばこういうふうになる、複座機の場合はどうなる、ノックダウンの場合はどうなるというふうに、逆に計算した額を申し上げたのであります。でありますから、百四万ドルに二十機をかける。百十二万八千ドル、これを九千ドルときのうやったので相当違ってきましたが、これに百八十機ということによって価格の相違が出てきている。これは変わりません。計算するときにも、これ以下になるかならぬかは別といたしまして、変わりないつもりであります。予算積算価格としては、正しい価格だと申し上げて差しつかえありません。
  75. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今横路委員からも質問がございましたが、どうも事務当局の答弁を聞いておりますと、まだ変わりそうでしようがありません。これは商売上のかけ引きがあるから、ロッキード社が、西ドイツカナダ等の取引の関係もあるので、今言うことがまずいということで、決定的な線はまだお出しになっていないで、的確な御答弁はしておりません。どうも予算単価であるからというので、予算をとるために一応七百億というものを出しておいて、その七百億に合うように、内部で単価をいじくり回しておるような形が非常に多いのであります。いわゆるどんぶり勘定で、防衛庁のどんぶりは非常に大きいのですから、腹がけどんぶりから金をつかみ出して、そばを食べるようにはいかない。何としても、一機々々積み上げた、根拠のある価格で全体を割り出しませんと——ワクはどこも動かさずに、単価だけをいじくって、何とかつじつま合わせようという形にしますと、予算本来の形から見てもおもしろくないという。少しくどいかもしれませんが、私はその立場に立って、以下御質問を申し上げたいと思います。  今度の国庫債務負担行為の内容、特に航空機に限りますが、航空機工業の内容を見ますると、「七百四十一億五百三十八万七千円を限り」としてあります。この内容を検討してみますると、この中には、二十八回国会と三十一回国会で実際使用しなかったものが入っておるようであります。二十八回国会の百九十三億四百四十八万三千円のうち、負担行為を実行しなかったものしとて二十八億九千二百三十五万、それから三十一国会の三十一億八千二百五十二万九千円の負担行為のうち、実行しなかったものは一億三千三百四万六千円、合計いたしまして三十一億二千五百三十九万六千円が、実行されなかった債務負担行為として繰り込まれておるように書いてありますが、この三十億二千五百三十九万六千円というものは、いかなる飛行機を購入するために残されたのか、この点を御説明願いたいと思います。
  76. 山下武利

    山下政府委員 ただいま淡谷委員のお話しになりました数字は、本国会に提出になっております、財政法第二十八条による昭和三十五年度予算参考書類という中に載っておるのでございます。これによりますと、二十八国会、すなわち三十三年度予算でございますが、これで要求いたしました百九十三億四百四十八万三千円のうち、二十八億九千二百三十五万円、及びその次の三十四年度予算で要求いたしました三十一億八千二百五十二万九千円のうち、一億三千三百四万六千円、合計三十億二千五百三十九万六千円が、国庫債務負担行為を実行しなかった額というふうに載っております。これの内訳を申し上げますと、初めの三十三年度予算のうちで、ジェット中間練習機というのを今富士重工で国産しておりますが、それに取りつけます分のエンジンとして、イギリス製のオルフューズ・エンジンというのを取りつけます。それの十一台分をその年度契約ができませんので、あらためて三十四年度予算で取りつけ直しましたものが五億一千七百九十六万八千円ございます。それから同じく三十三年度予算で、P2Vという海上自衛隊が使います対潜哨戒機四十二機の生産分といたしまして、国庫債務を要求しましたが、その中で、飛行機に積みますところの官給品を、全部一括して国庫債務で計上しておったのでございますが、その中で、相当部分のものが三十三年度中に契約に至らなかったというものがございます。これが二十三億七千四百三十八万二千円、合計いたしますと、ここに書いてありますところの二十八億九千二百三十五万円になるわけでございます。それからもう一つの項目で、一億三千三百四万六千円、これの方はやはり三十四年度予算でございますが、先ほど申し上げましたジェット中間練習機のオルフューズ・エンジンの前払い金の分を、国庫債務負担行為で要求しておったのでございますが、これが実行する必要がなかったということで、不使用ということになっております。
  77. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この債務負担行為の残りの額七百十億七千九百九十九万一千円、これは大体次期戦闘機の費用と考えてかまいませんか。
  78. 山下武利

    山下政府委員 ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのですが、ただいま申し上げました、三十三年度予算並びに三十四年度予算でとりました国庫債務負担行為の不使用になった分というものは、次期戦闘機と何の関係もございません。
  79. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ちょっと私の質問の仕方が悪かったのでしょうが、七百四十一億五百三十八万七千円というのは、航空機購入に充てられた国庫債務負担金の金額であります。そのうち前から繰り越しになっております債務負担行為の三十億二千五百三十九万六千円を引きますと、七百十億七千九百九十九万一千円というものが残ります。これは大体次期戦闘機のために使われる国庫債務負担行為かという意味です。
  80. 山下武利

    山下政府委員 ただいまお話の七百四十一億五百万円と申しますのは、三十五年度予算で要求いたしております航空機購入費の債務負担行為でございます。先ほどから御説明申し上げましたところの、不使用にいたしましたところの二十八億九千二百万円は、国庫債務負担行為の繰り越しということではございませんので、これは実行しないでそのままになってしまったということでございます。
  81. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 実行しないでそのままになったと申しますけれども、さっきあなたがお持ちの「財政法第二十八条による昭和三十五年度予算参考書類」の三十二ページには、「航空機購入」としての説明の中に、「実行しなかった。」というのが出ているのですね。従ってこの金額の中には入っていないわけです。八百十七億六千五百八十九万三千円の中には、今の三十億何がしは入っていないのですね。
  82. 山下武利

    山下政府委員 入っておりません。
  83. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうすると、八百十七億六千五百八十九万三千円という昭和三十六年度以降支出予定額と、七百四十一億五百三十八万七千円という、この予算の中に盛られております航空機購入の事項との関連はどうなります。
  84. 山下武利

    山下政府委員 八百十七億六千五百八十九万三千円と申しますのは、この三十五年度予算の成立を見越しまして、三十六年度以降に国庫債務負担となるところの予定額というものでございまして、従いまして、三十五年度予算で要求いたしておりますところの七百四十一億五百万円というものは、当然この八百十七億六千五百万円の中に入っておるということでございます。
  85. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それはわかりますけれども、それならば、八百十七億六千五百八十九万三千円から七百四十一億五百三十八万七千円を引いた残り、これは一体予算書の中のどこへ出てきているのです。
  86. 山下武利

    山下政府委員 それはここにありますように、三十四年度までに成立いたしました国庫債務負担行為に基づくところの、国庫の負担となる三十六年度以降の見込み額ということでございます。
  87. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今のあなたの御説明の三十億幾らは、七百四十一億の中に入っていないとしますと、七百四十一億五百三十八万七千円は、全部次期戦闘機のための負担行為ですか。
  88. 山下武利

    山下政府委員 七百四十一億五百万円の中で、次期戦闘機として見込まれておりますのは、先ほど来御説明申し上げております六百九十八億五百万円でございます。その残りは、他の機種の航空機の購入に伴うものでございます。
  89. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 三十六年度以降の債務負担行為によって見込まれております他の機種とは、何々ですか。
  90. 山下武利

    山下政府委員 三十五年度航空機購入費七百四十一億五百万円の内訳を申し上げた方がいいかと思います。詳しく申し上げますと、陸上自衛隊につきましては、ヘリコプターH19二機、海上自衛隊につきましては、同じく対潜哨戒用ヘリコプターS58六機、P2V対潜哨戒機分の官給品等が入っております。航空自衛隊につきましては、次期戦闘機のほか、ジェット中間練習機二十機の継続生産、及びH19ヘリコプター三機の生産でございます。
  91. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは長官にお伺いしたいのですが、この間の一般質問では、大蔵大臣は、あなたのおっしゃった六百八十九億円ですか、このほかに、十七億円の装備品、器材費を見積もる、こういう答弁をしておるわけです。七百十六億にしていますが、これは今の答弁と食い違います。どういうことです。
  92. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 器材整備費が百三十四億七千万円ありますが、その中に、航空機、特にF104関連器材として十七億入っているわけであります。
  93. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 十七億は、航空機購入ではなくて、器材整備の方に入っておるのですね。それじゃ、この七百四十一億の内訳を伺いましたけれども、さっき話しました六百九十八億以外は、全部別な飛行機に使うのだ、こう理解してかまわないわけですね。確かめておきます。
  94. 山下武利

    山下政府委員 お話のように、七百四十一億五百万円の中で、次期戦闘機としては六百九十八億五百万円、それ以外のものは、次期戦闘機以外の航空機の購入に見込まれておるのであります。
  95. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この間の大蔵大臣の答弁ですが、「今御質問の百六十万ドルというお話、ちょっとこれは私には理解できないのですが、先ほど来防衛庁長官がお答えいたしておりますように、最終的に百十二万ドル、さらにアメリカから七千五百万ドルという援助がございますので、それらを差し引いて参りますと、日本の政府の負担する予算、これは先ほど申しました六百九十八億、これに部品等を加えて七百十六億」とはっきり言っておるのです。これも大蔵省の方はあしたここに呼びますので、この食い違いは明日明らかにしたいと思います。どうも大蔵大臣と防衛庁長官との答弁が、少し食い違っておるが、あした大蔵省が見えてから、この食い違いを直したいと思います。今ここで防衛庁長官だけにお答え願ってもしようがない話でありますから……。  そこで、お聞きしたいのは、この積算基礎ですが、赤城防衛庁長官は、ノックダウンをしました飛行機の総額を二十機で千六百万ドルとお答えになっておる。そうしますと、一機が八十万ドルです。この八十万ドルという価格も、別に不思議な価格とは思わないのですね。前から、七十五万六千万ドルだとか、八十万ドルだとか、九十万ドルだとか、百四万ドルだとか、百十二万ドル、百十五万ドル、百二十万ドル、百三十万ドル、百六十万ドルに至るまで、非常に幅広いロッキード機価格が、時期的に違っておりますし、時間的にも違って答えておりますので、一機八十万ドルというのも、あまり不思議じゃないと思う。きょう出されました、確定的だというこの価格の中には、このノックダウンする価格として百二十八万九千九十三ドルとありますが、これなども別に根拠のないものを積み上げたのだと思えない。八十万ドルと百二十八万九千九十三ドルという、大体四十八万九千九十三ドルの積み上げは、具体的にはどうなっておりますか。
  96. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 きのうも申しましたように、ロッキードの庫出価格、これはノックダウンのほんとうのどんがらであります。これの経費が千六百万ドル、詳しく申しますと、千五百九十六万四千ドルになっております。まだ下はついておりますが……。そのほかに、固定費が百六十万三千ドル、エンジンが四百四十万ドル、その他の経費を合わせまして……。
  97. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その他の経費とは何ですか。
  98. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 こまかい経費があります。
  99. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この間横路委員に答えたのがありますね。
  100. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 それは答えておりませんが、技術費、ロイアリティ、輸送費、一般管理費、そういったものが入ります。これを合わせますと二千五百七十八万一千ドル。これにもはしたがありますが、でき上がりでそういうような価格であります。
  101. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 一機当たり幾らになりますか。
  102. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 一機当たり百二十八万九千九十三ドルであります。
  103. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは、八十万ドルという長官のお答えに付加される部分をお聞きしているわけなんですが、これは全部の価格でしょう。この全部の価格のあなたの御説明と、長官の八十万ドルとの有機的な関係はどうなるのですか。
  104. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 さっき申しましたロッキードの庫出しのどんがらの価格千五百九十何万ドル、約千六百万ドル、これを二十機で割りますと大体八十万ドル。それに今私が申しましたような付加費用を入れますと百二十八万九千ドル、こういうことになります。
  105. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 付加品の資料あとでお出しを願いたいと思います。それからさっき横路委員から質問がございましたF86Fの問題ですが、あの中にはノックダウン機が入っているはずですが、どれくらい入っておりますか。
  106. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 七十機と三十三機、計百三機であります。
  107. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ノックダウンしたF86Fと国内生産機との価格は同じでございますか。
  108. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 ただいま手元に資料を持っておりませんので、調べてからお答え申し上げます。
  109. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 きのうは何と答えましたか。ほとんど明快みたいにこの答弁はしてあるのですよ。それが質問されなければ——全然ノックダウンされたものと国内生産との差がわからないのですか。きのうの答弁はごまかしですか。きのうはほとんどその問題に触れないで、国内における生産費の合理性を説明した。アメリカ負担分まで引き出して説明した。きょうノックダウンを聞かれますと、わからない。一体きのうの答弁に根拠がありますか。
  110. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 昨日86について申し上げました日米分担は、総額でありまして、その内訳につきましては、昨日は答弁いたしておりませんので、内訳の点につきましては、ただいま資料を持ち合わせておりません。
  111. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは次期戦闘機にも関係があります。しかも総額を平均したあれを単価で出して、具体的な積み上げの根拠を持たないような説明では、なかなか私は納得がいかない。次の戦闘機のノックダウンの問題、国内生産との関係がありますから、資料を出すまでは質問ができませんから、即刻お出しを願います。
  112. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 資料は提出いたします。
  113. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 すぐに出してもらいます。質問のあれがあります。
  114. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 全体の価格はすぐ出ますが、従来の86につきまして、ノックダウン一般の国産機との価格の分析をしたのがすぐ手元にありませんので、少し時間がかかりますが、御了承願います。
  115. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 アメリカとの間に、F86Fの生産についての協定ができておるはずです。これはあるでしょう。その内容の提示はできませんか。これにはノックダウン価格なども出ておるはずなんですが、そうじゃないですか。協定は、一体何回やりました。
  116. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 アメリカとの交渉は、全部ものでやっておりまして、ノックダウン機幾らというような分けた計算は、アメリカとの交渉の場合やっておりません。F86が全体でどれくらいかかるか、その中でアメリカがどれくらい負担するかということで交渉いたしておりまして、一々ノックダウンにどれくらいというような交渉をやっておりませんので、その点は分析しなければ出てこない。全体につきましては、価格はわかっておりますが、一々のノックダウン機幾らというような分析は、少し時間をいただきたい、かように思います。
  117. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 アメリカとの協定は、一体いつやったのです。
  118. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 第一次のアメリカとの生産協定が三十年の六月三日です。
  119. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そのあとで、もう一ぺん協定を直しておることがありましょう。
  120. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 第一次が、ただいま申しましたように、三十年の六月三日に調印いたしております。それから第二次が三十一年の四月十七日、それから第三次が三十二年の四月九日、こういうように調印をいたしております。
  121. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 三次にわたる協定をやっておるようですが、これは当初から、三百機国内生産をやるという趣旨には変わりありませんか。
  122. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 大体一次、二次、三次と分けて、全然独立した契約をやったわけでありまして、形式的には、やはり一次、二次、三次、独立でありますが、大体の予想は、三百機を作るというような予想であります。
  123. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大体の予想が三百機を作るならば、別に一次、二次、三次と分ける必要はないのですが、どうしてこれを分けてやらなければならなかったのです。単価でも狂いましたか、あるいは生産の時期でも狂いましたか。三次に分けた理由をお答え願いたい。
  124. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 33につきましては、日本の戦後初めての航空機生産でありまして、そういう点で、日本がどの程度やれるかということにつきましても、まだそうはっきりした見通しもなかったわけであります。そういう意味合いにおきまして、なるべく区切ってやる。なお、日本の財政的見地から申しましても、一応区切ってやりまして、その実績を見た上でさらに検討の余地を残そう、こういうことで、区切ってやった次第であります。
  125. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもお答えがちょっと納得できない。機数は、第一次において何機でしたか。
  126. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 一次は86は七十機、二次が百十機、三次が百二十機であります。
  127. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 きょうお出しになりました資料には単価をはっきり盛っておるわけなんですが、この単価算定の基礎は何だったのですか。ノックダウンが違うか違わないかわからない、国内生産ノックダウン価格に合わせて契約したので、その点がどうも不明朗なのです。問題は、ノックダウンが何機あって、これが幾らにできて、これに合わせて国内生産幾らであったのか、この点がどうも不明朗なので、質問が継続できなくなるのです。その点は、今の次期戦闘機の問題にしましても、ノックダウンするロッキード単価は百二十八万九千九十三ドルで、国内生産が百十万八千五百三十二ドル、と申しますと、約十八万一千ドルの違いがあるのです。そうしますと、F86Fでもこういう比率であったのか、その点を確めないと、現在なお生産を継続しておりますこの問題についても、非常に疑点を持たざるを得ない、その点は一体どうです。
  128. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 86は、当初の七十機、一次契約分は全部ノックダウンであります。ただ単価につきましては、そういったノックダウン、あるいは国産、こういうものについてどの程度の違いがあるかということでありませんで、全体としてどれくらいかかるか、こういうことで検討したわけであります。
  129. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そう申しますが、なおさらむずかしくないでしょう。第一次の七十機が全部ノックダウンであれば、一体この七十機に対して幾らお払いになりましたか。
  130. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 七十機につきまして払いました総額は十八億八千三十七万九千円、これだけであります。これは資料で提出してあります。
  131. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それを機数で割ったら、すぐノックダウンは出るのじゃないですか。やってごらんなさい。
  132. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 これは、一次、二次、三次と償却の仕方が違うわけでありまして、治工具は、ほとんど一次、二次で全部償却しておりますが、そういう関係で、治工具の割掛と諸経費の割掛と固定費的な部分、そういう割掛が入っておりますので、そういう割掛を全部計算し直さなければノックダウンだけとして金は出ない、こういうことになります。
  133. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 第三次は、全部国内生産航空機でしょう。そうしますと、第三次は一体幾ら払いましたか。
  134. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 第三次はまだ確定いたしておりません。まだ実績が出ておりません。生産を続行いたしておりますので、生産が終わってから、実績によって契約に基づいて払う、こういうことになります。
  135. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 第三次には、ノックダウンは入っていますか。
  136. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 第三次は、ノックダウンは入っておりません。
  137. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 国内生産ならば、全部契約なしに生産しているのですか。見積りもなしに、契約もなしに、価格もきめないで生産しているのですか、百二十機は。
  138. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 契約はやっております。それでその最高限度は九十八億五千八百万円、こういうことで契約はいたしております。
  139. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 このトータルは百二十機ですね。
  140. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 百二十機であります。
  141. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは、私はこの件に関して質問を保留いたしますので、あとでこのノックダウンと国内生産に関する費用のトータルを、資料として一つ出していただきたい。  そこで防衛庁長官にお聞きいたしますが、この間の御答弁で、第一次防衛計画は百三十機の飛行機を作るとおっしゃっている。百十機が大体完成したというふうにお話がございましたが、そうしますと、第一次の防衛計画では、あと二百機の航空機生産が済めば、これは第一次の達成ができるものと了解してよろしいですか。
  142. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 第一次は千三百機……。
  143. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 単位が違っていました。訂正します。
  144. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そのうち、千百程度が目的達成の予定であります。あと二百機をやれば第一次計画が達成するのじゃないか、こういうお尋ねでございますが、これは千三百機をそのまま第二次で踏襲するかしないか、今検討中でございます。第一次計画を変更したいと考えておるわけでございますから、今千三百機を固執しているわけではありません。
  145. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは、この前の長官の御答弁に基づいて私質問しておるわけなんですが、千三百機のうち千百機までが完成した、あとは二百機を作るつもりだと、この前御答弁があった。そこで不思議にたえないのは、三百機を予定してグラマン機を作るとおっしゃっておった。それがどうして二百機になったのかということを御質問申し上げましたら、去年の十一月の六日に変わった、こうおっしゃる。官房長官がそうおっしゃっておった。広岡事務局長、あなたも聞いておった。十一月六日は源田さんの帰った日です。しかも、時刻まで問われて、二十四時間以内にきまった、こう言っていましたが、そうすると、このころには、もう千百機というものは大体完成しておったのです。それが、第一次防衛計画は、もしグラマン機として三百機を作るならば千四百機になる。それがどうして、変更したという名前で二百機にしたか。この辺は、実に防衛計画がずさんなものに思われるのですが、一体グラマン機を製造する場合は、千四百機が目標だったか、千三百機が目標だったのですか。これは、早い話ですが、防衛計画の権威のために聞いておきたい。
  146. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛計画は、ずさんなことはありません。初めFXは、次期戦闘機を生産する場合には三百機予定しておりました。しかし、結果におきまして、この間申し上げましたように、FXは二百機ということにしました。それは、正確には、二百機にきめたのは十一月六日です。防衛庁側としては、その前から、三百機とは考えておりましたが、二百機にしたいということで進めておったわけであります。正式に二百機にきめたのは、十一月六日の国防会議できめた、こういうことを申し上げたわけであります。
  147. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大へんこれは気の毒な話ですが、加藤防衛局長にお聞きしたいのです。防衛庁は、いつから一体、次期戦闘機二百機に踏み切りましたか。あなたの答弁、とってありますよ。
  148. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 正確な日にちは記憶いたしておりませんが、大体源田調査団が出発する前後だったと思います。
  149. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今までの答弁を総合いたしますと、三百機を二百機にしたのは、主として財政上の見地からも考えてといわれておる。一体、防衛庁の方が先だったか、財政上の措置が先だったのか、どっちですか、長官。それは大蔵大臣にも聞いてみたいと思う。
  150. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛的の見地からいたしまするならば、次期戦闘機を三百機ということに対しまして減らしたいというのは、ミサイルの時代にも入っておりますので、そういう方面にも転換していこうか、それには三百機でなく、二百機程度が適当でないかという考え方であります。また、財政面からも考えまして、次期戦闘機を三百機ということよりも二百機程度、この点につきましては、国防会議等におきましても実はずいぶん大蔵大臣と議論をしたのですが、落ちついたところがそういうふうになった。両方の面から二百機にした、こう御了解を願って差しつかえないと思います。
  151. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうすると、第一次防衛計画は、最初は千四百機になるつもりだったのですね。十一月になってから二百機に変わった。変わらなければ千四百機になったのです。あなたは、ずさんではないとおっしゃいますけれども、こういう点を根拠にして、私はずさんだと言っておるのです。ミサイルでやるのは、これからの話でしょう。そうすると、もう千百機が完成しておるのであれば、予算的にいっても、ミサイルをはめ込む場所がないではないですか。これは一体どうなんです。
  152. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、大体三十五年末において千百十七機というふうに考えております。これに三百機を足せば、千四百機になるのではないかという御意見のようでございますが、その間の飛行機の消耗を見ていかなければなりません。三百機作りましても、三百機が全部出動するものでないということは、昨日も横路委員の質問に対しまして——F104を二百機作りましても、三十七年から始まって四十年の間には、相当数の減耗を見ていかなければならぬ、その減耗を計算に入れなければならないわけであります。
  153. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これはまだ速記録が出てきませんから確かめられませんが、たしか昨日私が聞いたところでは、損耗ができても二百機は増さないというような御答弁だったように思います。前の方は損耗を見て千三百機を考え、あとの方は二百機、幾ら戦闘機を作りましても、全然損耗は考えないで二百機ということは、第一矛盾しているんじゃないですか。
  154. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 三百機の際は、完成いたしましたときには三百機全部使えるという計算ではございません。初めからそういうことです。二百機の場合も同様です。どうしても飛行機の場合は、損耗を見なければなりません。
  155. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃ加藤局長に一つお聞きします。これもあなたの御答弁からの質問ですから、むずかしいことはないと思うので一つ即答を願いたいと思いますが、F86の国内の消耗が十七機と聞いております。これはどこで消耗したのですか、具体的に配属部隊と場所をお聞きしたい。
  156. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 F86Fの国内の消耗は十一機でございます。MAP供与の方が十六機でございます。合計二十七機でございます。先日三十三機と申し上げましたのは、予算積算上の根拠といたしまして、昭和三十四年末に三十三機というふうな計算をしておったのでございますが、実際に損耗いたしましたものは二十七機でございます。そのうちでMAP供与のものが十六機、国産のものが十一機でございます。損耗いたしました場所は覚えておりませんが、年度別にはわかっております。消耗いたしましたのは、昭和三十一年に一機、昭和三十二年に十二機、昭和三十三年に八機、昭和三十四年が現在までで六機でございます。
  157. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもあなたの御答弁では、この間は——詳しく言いましょう。「消耗いたしましたものは三十三機でございます。」とはっきり答えているんです。数字は書きかえができるかしれませんが、飛行機は書きかえるわけにはいきませんからね。この点は根拠を示してお答え願わないと、こっちの質問の方向が全然別の方にそれていきます。それからさらに、「三十三機のうち国産機は何機で、供与を受けたものは何機ですか。」という私の質問に対して、「国産の方が十七機、供与を受けましたものが十六機でございます。」と、明確に予算委員会であなたは答弁しているんですよ。それが違いましたでは、簡単にはおさまらぬじゃないですか。これは委員会の質問だからいいけれども、実戦ではどうなります。数を間違えましたで一体済みますか。
  158. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 その点はあやまる以外にないのでございますが、あの当時持っておりました資料予算積算上の資料でございまして、三十三機となっておりました。そのうちでMAP供与のものが何ぼかということを聞きましたところが、十六機でございました。これは間違いないことでございます。そこで、三十三機から十六機引いた十七機が国産の消耗機数である、こういうふうに私判断したわけでございまして、三十三機が予算積算上の根拠であったのを、あたかも実際上消耗した機数であったようにお答えしたのは、私の間違いでありました。
  159. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 はっきりお取り消しになれば、あと飛行機を調べたらわかるでしょう。そこでお聞きしたいのは、それじゃMAPの方に行きましょう。供与された総数は、百七十九機というのは間違いありませんね。
  160. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 百七十九機でございます。
  161. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これもやはり局長の答弁ですが、三十四年度末の現勢F86Fは、三百四十九機というのも間違ありませんね。訂正をするなら、さっさと訂正しなければむだ骨ですから……。
  162. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 三十四年度末は——二月一日現在におきまして三百四十六機、年度末には、消耗数を考慮に入れまして、三百四十九機になるだろうという見込みを立てております。
  163. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 想像はよろしいのですが、現実に三十四年度末は、F86Fが三百四十九機と押えてかまわないのですね。
  164. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 これは、今申し上げました通り予算積算上の根拠といたしましては、ある程度の消耗を見ておるわけでございますが、その基礎に立てば三百四十九機ということでございます。
  165. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは現実には何機あるのですか。
  166. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 二月一日現在では二百四十六機でございます。
  167. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 すでに三機減っておりますが、それは落ちたのですか。
  168. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 これは二月一日以降におきまして生産のできるものを加えなければなりません。
  169. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 三十四年度末は三月までですから、六機を加えて、それじゃ三月一ぱいでは三百四十九機になるのですね。
  170. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 本年の三月末日における推定の機数が、三百四十九機でございます。
  171. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この間の御答弁で、供与のうち事故による消耗十六機というのが出ております。きょうもこれを認めております。これはいつ現在ですか。
  172. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 先ほど御説明いたしました通り、今までの二十七機の消耗は、年度別には三十一年度に一機、三十二年度が十二機、三十三年度が八機、三十四年度が六機でございますが、この二十七機のうちの十六機が各年度別に何機かということは、今ちょっと手元に資料を持っておりません。
  173. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 年度別は要りませんが、あなたが十六機と押えるというのは、いつを基準にして押えるのかというのです。これは年度末というけれども、昨年から現在までに消耗したものがあるでしょう。いつ消耗したのですか。
  174. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 二十七機、現在消耗しております。そのうちの十六機がMAP供与のものでございます。
  175. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは時点は現在ですね。
  176. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 そうです。
  177. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃ一つお伺いしますが、現在の時点におけるF86Fの現存数はどうなります。
  178. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 先ほど申しました二月一日現在におきまして、三百四十六機でございます。
  179. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは想像じゃありませんね。
  180. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 想像じゃありません。
  181. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 わかりました。そこで供与されたF86Fの、この教材に回したものというのが九機ございますが、これは現在数には入っていないんですね。入っていますか、入っていませんか。
  182. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 教材に回しました九機は、現在数に入っておりません。  それから申しわけないのですが、二月一日と申し上げましたが、二月二十一日でございます。
  183. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田主査 淡谷委員にちょっと御相談いたしますが、どこかで区切りをつけて、昼飯にしたいと思いますが……。
  184. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私はまだたくさんあるのですが、ではこれだけ一つ確かめておきたいのです。防衛庁答弁というのは、極東の範囲みたいに変わりますから、確かめておかないと、あとでとんでもない目にあいますので確かめておきます。  返還をしたもの四十五機、これは一体何月に入ったものですか。——それでは今からお願いしておきますが、休憩を願って、その間に資料を整えておいていただきたいのです。さっきのノックダウンされましたF86Fの価格と、国内生産価格とを出してもらいたい。それからもう一つは、今の四十五機という返還をしたF86Fがいつ入って、どこに保存されておったかということ、返還した日はわかっておりますから、これを一つお調べを願いまして、なお保留をして休憩したいと思います。
  185. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田主査 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時四十九分開議
  186. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算中、皇室費国会、裁判所、会計検査院内閣総理府、法務省及び大蔵省所管昭和三十五年度特別会計予算中、総理府及び大蔵省所管昭和三十五年度政府関係機関予算中、大蔵省所管を議題といたします。  質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
  187. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 午前中請求いたしました資料、できましたら、いただきたいと思います。
  188. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 午前中お尋ねがございまして、お答えいたしませんでした資料が整いましたので、お答え申し上げます。  まず第一は、返還いたしました四十五機でございますが、これは昭和三十二年の四月、五月、六月の間に供与を受けたものでございます。供与を受けまして、木更津の補給処に置いておりましたものでございます。  第二点でございますが、MAP供与の十六機の減耗の年月でございます。これは三十一年に一機、三十二年に十機、三十三年に四機、三十四年に一機、計十六機でございます。なお、これに関連いたしまして国産の方の減耗の年度別を申し上げますと、国産の方の十一機の減耗は、昭和三十二年に二機、昭和三十三年に四機、昭和三十四年に五機、計十一機、これを合わせまして二十七機になる次第でございます。
  189. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 86Fのノックダウン機と、純粋の国産機との価格を出せということでありますが、これは非常にいろいろな数字が錯綜いたしておりまして、特にまた、米側の援助の内訳、特に治工具がどれくらいこっちにきたかという仕訳を全部しなければならぬわけであります。概数になって非常に恐縮でありますが、ある程度そういった意味合いにおいて概数を申し上げますと、治工具が、大体一次の組立用として参りましたのが三百五十万ドル、それから技術援助費が大体五十万ドル、それからイニシアル・ぺイメントが百万ドル、合計五百万ドルぐらいが一次にかぶさっております。そういうものを引きますと、大体ノックダウン機だけの価格が出ると思います。これを引きますと、一機当たり約一億二千八百万円ということになります。三次は全部国産でありますので、これは総額を機数で割って、大体間違いないと思います。これが一億一千九百万円ということになります。
  190. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 塚本装備局長お尋ねいたしますが、大体ノックダウンの方が、国内生産航空機よりも高くなるというのは通例でございますね。
  191. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 大体ノックダウンの方が国内の生産機より高くなります。
  192. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今度、次期戦闘機について部品を見積もりますが、この二割の部品は、ノックダウン機も、あるいはまた練習機なども、一般の戦闘機と同じ率で見積もることになっておりますか。部品は全部見ますか。
  193. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 初度の予備部品は、全体について二割を見積もっております。
  194. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛局長に、さっきの飛行機の問題でもう少しお尋ねしたいのですが、さっきお答えがございましたF86の、三十二年の四月、五月、六月に供与を受けましたものが、一回でも使ったことがございますか。
  195. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 使ったこと、ございません。
  196. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 使わないままに何年くらい置いたのです。
  197. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 三十二年の四月、五月、六月の間に供与を受けまして、返還をいたしましたのが昨年の三月でございますから、二年足らずでございます。
  198. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この二年足らずの間に、多大の国費を使って国産をやっているのですが、国産と供与された航空機との間には、それほど性能の差がありますか。片方は金が必要だ、片方は金が要らない、その金が要らない方の飛行機を四十五機も、使わないで二年間もほったらかして、多大の国費をかけて、また新しくこしらえるというのはどうも納得がいかないのですが、その点はどういうようなことなんです。
  199. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 返還をいたしました四十五機につきましては、国産のものと同じ性能のものでございます。
  200. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 いや、私が聞いているのは、なぜ同じ性能のものがあるのに、二年間もこれを全然使わずに、供与を受けていながらこれを使わないでほったらかしておいて、そうしてまた、その四十五機を埋めなければならないで国産をするかということが、どうもわからないんですがね。一機一億二千万円以上もするのを四十五機も返してやって、それをまた作る。向こうからの供与ならば、金は要らぬのでしょう。予算を伴わなくてもいいものを、しいて四十五機分も返してしまうというのは、どうもその気持がわからぬのですがね。
  201. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 これは、昨年私の方の大臣からも御説明ございましたが、一番の問題はパイロットの養成が思うようにいかなかった。それは二十九年に航空自衛隊ができまして、逐次ジェットのパイロットの訓練計画を立てまして進めたわけでございます。ところが、ジェットの教育訓練につきましては、今まで経験がございませんでしたので、大体アメリカ資料をもとにいたしまして訓練計画を立てたのでございまするが、それが思うようにいかない技術上の問題が一つと、飛行場の取得が容易でございませんでした。そういうこともございまして、いろいろな計画上の諸元におきまして、経験がございませんでしたために、実行可能と思ったことが実行できなくて、パイロット計画通りできない。そこで、三十三年の春ごろと思いますが、米国の方から四十五機を返さないかというお話がございました。私どもといたしましては、今はパイロットがおくれておる、しかしながら、逐次この条件が改善されて参りまして、近い将来にはこれは十分こなせるようになるのだということで、もし将来、飛行機が足りなくなった場合におきましては供与等について考慮してくれ、また、飛行機も逐次新しいものが出て参りますので、新しい改良された機種の整備につきましての援助をしてもらいたいというふうな希望条件をつけまして、四十五機を返したわけでございます。
  202. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは、防衛計画である以上はパイロットなり、飛行場の関係なども、全部考慮に入れてやっておると思うのですが、これは明らかに、第一次防衛計画の失敗と見てよろしゅうございますか。防衛庁長官、あなたの責任じゃありませんが、これは前防衛庁長官のだれだれでしょうから、あっさり答えていただきたいが、これはどうですか。失敗でしょうか、成功でしょうか。
  203. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 成功とは言えませんが、失敗ではありません。
  204. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 まあそんなことはいいとしまして、加藤防衛局長に一つお願いしますが、この間あなたがお答えになりましたうちで、現勢の航空機ですね。これはさっき話しましたF86Fは訂正されましたが、F86Fが三百四十九機、F86Dが五十四機、T33Aが二百五十九機、T6が百五十四機、T34が百三十七機、C46が四十七機、Tジェットが四機、ヘリコプターが十機、その他三機、これは予算の編成上必要があって出した数字でしようが、三十四年度末としてF86F三百四十九機、これはこの間の速記録に載っておりますが、これは御訂正になりますか。三十四年度末でかまいませんが……。
  205. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 今おあげになりました数字は、三十四年度末のわれわれの方の推計として申し上げた数字でございます。
  206. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この合計は千十七機になると思いますが、これまた相違ないでしょうか。私の算数が間違っているかもしれませんが……。
  207. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 千十七機でございます。
  208. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これに対して千三百機を目標として、未完成のものが八十三機というお答えがありましたが、これもまた間違いないでしょうか。
  209. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 千三百機というのは、第一次計画におきまする昭和三十七年末のわれわれの方の推計の数字でございます。三十五年から七年までの間には、もちろん、生産したものも相当消耗するものと考えておったものでございます。今お尋ねになりました八十三機という数字につきましては、はっきりした記憶はございません。
  210. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それは千百機と限定しまして、千百機から千十七機をとると、あと八十三機が残るわけなんですね、千百機の計画では……。
  211. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 三十五年度予算に計上してありまするものと、供与を受けまするものとを見込みまして、三十五年度末の飛行機の総計が、千百十五機というふうに計算をしておるわけでございます。
  212. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 未完成のものは、F86Fが二十八機、F86Dが五十九機、Tジェット機が十六機、ヘリコプターが八機、合計が百一機と伺っておりましたがね。
  213. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 F86Fについて申し上げますと、昭和三十五年は四十三機の生産でございます。それから減耗を見込みまして、二十八機の増というふうに、一応の見込みを立てておるわけでございます。F86Dにつきましては五十六機——これは三十四年度末でございますが、供与を受けますものを、大体年度末に五十四機というふうに推計をいたしまして、さらに米国より六十数機の供与を受ける、その中の減耗を見ますものですから、五十四機が五十九機ふえまして百十三機になる、こういうふうに考えておるわけでございます。T33につきましては、御承知のごとく、生産は完了いたしました。二百五十九機が漸次減耗いたしまして、二百五十二機になるわけであります。七機の減を見込んでおるわけであります。
  214. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 減の方はあとから伺います。
  215. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 増の方は、F86Fにおいて二十八機、F86Dにおいて五十九機、Tジェットにおいて十六機、ヘリコプターにおいて八機でございます。
  216. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 百一機でございますね。
  217. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 ちょっと計算しました。それだけの計算では百一機でございます。
  218. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 減の方は、この間の御答弁では、T33が七機、ほかにT6が四機、T34が一機、合計十二機となっておりましたが、これは変更ありますか。
  219. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 減の方は、今おっしゃいましたT33が七機、T6が四機、T34が一機、C46が一機でございまして、合計が十二機になります。
  220. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうすると、今の計画数字と少し合わないですが、千十七機がありまして、それから大体八十八機ふえる勘定になるんですがね。この数に変わりはありませんか。これは金の方のこともそうですが、航空機など、一機でも大へんな違いですから、確かめておきたい。
  221. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 お答え申し上げます。先ほど御説明いたしましたF86Fが二十八機、F86Dが五十九機、Tジェット機が十六機、ヘリコプターの八機を増加いたしまして、百十一機でございます。百一機と申しましたのは間違いでございます。それから十三機減がございますので、差引の増が九十八でございます。三十四年度末が千十七機の予定でございますから、これに九十八機を加えまして千百十五機、こう計算をいたしております。
  222. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そこでお聞きしたいのは、F86Fの国産機は、現勢では大体何機ございますか。     〔主査退席、上林山主査代理着席〕
  223. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 国産の三百機の計画のうちで、現在までにできておりますものが二百四十八機でございます。その二百四十八機の中から十一機減耗いたしておりますので、二月二十一日現在におきまして、二百三十七機と相なります。
  224. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうも御答弁と少し合わないのですが、百機違っていませんか。これは間違いならば間違いで、はっきり御訂正願いたいのですが、どうもこの前の御答弁数字が合わないので、伺っているのですが、二月二十二日の速記録の三ページをごらん下さい。「現在はF86Fが、三十四年度末でありますが、三百四十九機」これは積算はどうなりますか。
  225. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 三百四十九機と申しますのは、三十四年度末の推計でございまして、この三百四十九機の中には、国産のものとMAP供与を受けましたものと入っているわけでございます。そこで二月二十一日現在におきましては、先ほど申し上げましたごとく、国産のものが二百三十七機でございます。それに対しまして、MAPの供与を受けましたものが百九十機です。これを合計いたしまして三百四十六機。これからさらにあと九機ほど生産予定でございます。それに減耗を予算積算の根拠として若干見ておりますので、三十四年度三月末日は三百四十九機となります。MAPの方は、御説明いたしましたごとく、百七十九機の供与を当初受けました。この百七十九機のうちから、四十五機を返還いたしました。それから九機を用途廃止をいたしまして、教材に充てておりますので、五十四機減でございます。そのほかに十六機減耗いたしております。そこで現在が百九機。百七十九機の残りの百九機と、国産の二百四十八機のうちの減耗の十一機を引きました二百三十七機を合計いたしました三百四十六機が、二月二十一日の数字でございます。三月末日には若干の狂いはございましょうが、一応予算積算上の立場からいたしましては三百四十九機、こういうふうに押えているわけでございます。
  226. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 さっきの私の質問でお答えになりましたのは、三月の末と二月の現在で、どうも数が少しおかしくなっているのですが、二月の二十一日現在で総機数は何機とお答えになりましたか。
  227. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 二月二十一日現在で三百四十六機でございます。
  228. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 くどいようですが、ちょっと私の数字と合わないので、もう一ぺんお聞きいたしますが、このうち、MAPの供与を受けましたものは、現在それでは百九機しかないわけですか。それから現在F86Fができ上がったものは二百四十六機ですか、お答え願います。
  229. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 二月二十一日現在でとりまして、でき上がりました国産機が二百四十八機でございます。それからMAPの方が百七十九機供与を受けましたが、そのうち、四十五機を返還いたしました。それから九機を用途廃止をいたしまして、教材にいたしました。これで五十四機でございます。それに減耗が十六機でございます。合わせますと七十機。百七十九機から七十機を引きまして、二月二十一日現在が百九機、こういう計算でございます。この百九機と二百三十七機——二百四十八機から十一機今までに減耗いたしておりますから、これを合わせましたものが三百四十六機。それで年度末が二百四十九機と推定いたしております。
  230. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうしますと、第一次計画が最終的な段階になった場合は、総航空機数は何機になりますか。
  231. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 これは御承知のごとく、昭和三十七年度末におきまして約千三百機、こういうのが第一次計画でございます。そのときは、御説明しておりますごとく、千三百機をもちまして、戦闘機隊を二十七隊、輸送機隊を三隊、偵察機隊を三隊、三十三隊の計画であったわけであります。昭和三十七年度であります。
  232. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 パイロットの養成は、これに伴ってどういうようにやる計画ですか。
  233. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 パイロットの養成につきましては、昨年の春に計画を検討し直したことは、申し上げたと思います。その変更した計画に基づきますと、三十四年度の年間の養成が百六名でございます。これは大体順調に進んでおると思っております。
  234. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この第一次防衛計画の最終年度に見合わせまして、大体どれくらいのパイロットを養成するつもりなんですか。
  235. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 第一次防衛力整備計画におきましては、三十七年度末に千三百機、そのうちで実用機を約九百機、それから練習機を四百機余り考えておったわけであります。練習機につきましては、学生の養成の定数等が変わりますので、パイロットといたしましては確定をいたしておりません。また実用機につきましても、当初の計画はございましたけれども、途中におきまして、なかなか三十七年度末の計画が立てがたい。三十三隊の計画も、御承知のごとく、すでに戦闘機隊が二十七に対しまして現在十隊でございます。そういう状況でありますので、逐次計画を修正して参っております。
  236. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは以前米国からの供与の航空機を返したときの例のように、航空機はじゃんじゃんできていくけれども、さっぱり伴なわないといったようなことに多大な予算を組むということは、大へんむだだろうと思うのです。一人のパイロットを作るために、一体どれくらいの経費を要する算定ですか。
  237. 小幡久男

    小幡(久)政府委員 お答えいたします。F86Fのパイロットを養成いたしますのに、大体三千四百万円でございます。
  238. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それは年間ですか、でき上がるまでですか。
  239. 小幡久男

    小幡(久)政府委員 でき上がるまでです。
  240. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それからもう一点お聞きしたいのですが、この航空機製造の債務負担行為だけは盛ってありますけれども、これに伴う維持費などの配慮は、その年々にやるつもりですか。もし年々にやられるつもりであっても、大体加重していく予算を考えまして、二百機のロッキード機に対しまして、維持費はどれくらいの見通しであるか。この間横路委員の御質問に十分な御答弁がなかったように記憶いたしますので……。
  241. 山下武利

    山下政府委員 ロッキードF104に関連いたしまして三十五年度予算に計上してございますのは、本体、要するに、ロッキード生産関係といたしまして、六百九十八億五百万円を国庫債務に計上いたしました。なお、それに伴いまして関連器材、すなわち、地上整備用の器材でありますとか、あるいは教育用の器材でありますとか、そういうふうなもので、三十五年度中に契約を要するものを、十七億四千七百万円計上いたしてございます。
  242. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 油のことですが、一番多いのは油なんです。大体ロッキード二百機に見合う油というのは、どれくらいと見ておりますか。
  243. 山下武利

    山下政府委員 ロッキード一機当たりの年間に消費いたします燃料費といたしまして、これはほんの概算見積もりでございますが、八百八十万円程度と考えております。
  244. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その油は国内生産になりますか、輸入になりますか。
  245. 山下武利

    山下政府委員 輸入品でございます。
  246. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 数量にしてどれくらいでございますか。
  247. 山下武利

    山下政府委員 一機当たり年間約五百五十キロリットルと考えております。
  248. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛庁長官にお聞きしますが、多大な外国産の油などを使うのですが、こういう点につきまして、国防会議では十分な検討を遂げられていますか。輸入する可能性、あるいは輸入先、あるいは財政上の措置、こういうものに対して、十分の御審議がございましたか。
  249. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 別に、油の消費量等については、こまかい論議はしませんでした。
  250. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そういたしますと、この戦闘機ができたときは——再来年から始まるのでしょうが、維持費その他で、また国会の論議があることは御覚悟でございましょうか。
  251. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 論議はあるだろうと思います。
  252. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 このジェット、次期の戦闘機ですが、これを作るときに、防衛庁長官が、三十五年度予算に頭を出したい出したいとしょっちゅうおっしゃっておった。これはどういう理由で、今年じゅうに頭を出さなければと、ああいうふうなあせりがあったのか、どうもわかりかねるのですが、速記録を見ますと、今年じゅうに出さなければ困る困ると言っていらっしゃる。どういう必要からですか。
  253. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一つは、国防の見地からです。もう一つは、次期戦闘機についての話が始まったのは、三十二年ごろであります。第一次計画に載っておりまして、三十三年の四月に内定したのも御承知の通りです。懸案になってずっときておるのですから、今年の予算に盛らぬというと、また一年おくれます。その間、戦闘機による防空の空白をあとまで延ばしたくない、こういう関係から、今年の予算にこの要求が間に合うようにしたいという考えを持ったわけであります。
  254. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今年の予算に盛る場合と、三十六年度からの国庫債務負担行為にした場合と、実際において違いありますか。
  255. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一年違います。
  256. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうしますと、具体的に次期戦闘機を製造する時期は、三十六年度の初めからというふうに理解してよろしいのですか。
  257. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三十五年、今年の四月から生産が始まって、三十七年の三月からできてきて、四十年の一月に二百機でき上がる、こういう計画であります。
  258. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今年の四月からもう生産が始まるのですか。
  259. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国会において国庫債務負担行為の承認を得られますれば、契約ができるわけであります。生産に着手できる段階に入るわけです。
  260. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうしますと、ただいまの御答弁と食い違うじゃないですか。どうしても今年予算に頭を出さなければならないからというのは、国庫債務負担行為をやると一年おくれるとおっしゃる。しかし、現に三十五年度の四月からやれるとしたならば、おくれるはずがないじゃないですか。
  261. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三十六年の予算に今年のように国庫債務負担行為を要求するということになれば、ちょうど一年おくれます。
  262. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 国庫債務負担行為は、実際やるのは三十六年度からでしょう。今三十五年の予算を審議している。それを今年の四月から生産に入るのです。三十六年度国庫債務負担行為をやりましても、三十五年度から金は要るじゃないですか。あなたのおっしゃったのは、去年の十二月です。十二月には、大体予算に盛りたいと言っているのですが、国庫債務負担行為でいわゆる頭を出したいという意味ですか、具体的な数字で出したいという意味ですか。
  263. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 昨年の十二月ごろに考えましたことは、少しでも予算の方に上げたい、予算化したい、そしてあと国庫債務負担行為にしたい、こう考えておったのでありますが、財政全体の関係その他からして、予算に計上はしません。三十六年度以降四年間にわたる国庫債務負担行為ということで審議をお願いしたのであります。
  264. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 三十六年度からの国庫債務負担行為では、現実には三十五年度予算では国費は出せないのですね。
  265. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 金は出せませんが、債務負担行為が承認できますならば、契約はできるわけであります。
  266. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 契約と同時に生産が始まるようなお話ですが、それに対して、融資その他で国が援助しようというのですか。国庫債務負担行為というものをカタにして国費の融通をやろう、財政負担をやろうというのですか。
  267. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 別にそういうことは考えておりません。
  268. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 新三菱とそれから川崎とに対して、F86、T33、その他の飛行機生産するために、かなり多くの融資がなされております。今度のロッキードF104Cにいたしましても、当然融資の要求があると思いますが、融資なしに、あなたのおっしゃる通り、ことしの四月からこうした機種の生産ができると思っておりますか。融資は全然やらなくてもよろしいのですか。
  269. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 104の生産は、御承知のように、アメリカ側の援助七千五百万ドルがあります。大体当初におきましては、ロッキードで作業する分が多いわけであります。複座機ノックダウン機、それから治工具の一部、こういうものはロッキードで作業いたしまして、それを三菱に持ち込む、三菱も準備作業をやるわけでありますが、そういう準備作業が整いまして、実際に生産に入りますのは、三十六年の初めごろからでありますから、その間は、三十五年度中はロッキードの方で大体作業をやりまして、その分については米側負担分でまかなっていく、こういうことになります。ただ、日本側業者に対して政府からの融資があるかどうか、これはMSA資金である程度の融資はあろうかと思いますが、これは三菱なり川崎のロッキードを作るための設備資金でありまして、将来そういった点はある程度の融資はあろうかと思いますが、事前に前金としてそういう融資をする、こういうことは考えておつりません。
  270. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛産業の設備維持の資金法がありますが、これによって出すといったような構想はないのですか。融資は今のところ全然考えてない、こう見てよろしいですか。
  271. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 防衛産業の融資制度というのはありませんので、さっき申しました小麦の資金、MSA資金、これが融資になります。この分につきましては、ある程度考慮いたしたい、かように考えております。
  272. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛産業の設備維持のための融資制度はあるでしょう。これは調べればありますよ。これはきのう私は通産大臣に質問したばかりなのです。これは通産省の規則であります。——おわかりにならなければよろしいけれども、しかし、国庫債務負担行為によって、また非常に多くの融資が行なわれまして、他の産業を圧迫することがなきように、これは防衛庁長官に十分なる御注意を促しておきたい。同時に、契約を結ばなければ確かな単価は出てこないということは、これまでしばしば伺ったのですが、この春契約を結びましたら、このたびの委員会でなされました価格の問題の点で狂いが生じますか、生ずる可能性がありますか。
  273. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 国内担当会社との契約は、今年度末あるいは今年の末くらいになるかと思いますが、ただその前のロッキード側に対する指示、及び三菱に対するそういった準備の指示はいたさなければならぬと、かように考えております。
  274. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ロッキードに対しての契約は、ことしの末になるのですか。
  275. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 ロッキード日本政府とは、直接契約することはありません。これは全部三菱とロッキード契約するわけでありまして、それは予算通りますれば、三菱とロッキードは早急に契約する、こういう段取りになる、かように考えております。
  276. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その場合に、新三菱と川崎が、主従の関係で当事の会社になるわけですが、エンジンはどこで作りますか。
  277. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 当初の複座機及びノックダウン機の四十機分のエンジンは、アメリカ側で作りますが、あとの百六十機の分については、国産いたしたい、かようにいたしたいと考えております。
  278. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛庁が官給して新三菱にやるということを聞いておりますが、その通りですか。
  279. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 国内のエンジン・メーカーは、大体石川島になるのではないかと考えますが、そこに防衛庁から発注いたしまして、それを三菱に官給する、こういう段取りになると思います。
  280. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 石川島は、航空機製造事業法の許可を受けていない会社ですが、これはどうします。
  281. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 石川島は、現在他のジェット・エンジンの製造事業法の許可を受けておりますが、今度の場合には、新たにまた製造許可を受けるということになると思います。
  282. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 石川島との契約はいつやります。
  283. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 予算通りまして、準備ができ次第やりたいと思います。
  284. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 採算の基礎といたしまして、エンジンの単価はわかっておりますか。
  285. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 大体予算上は見積もっております。大体二十万ドル以上でありますが、その限度につきましては、これから契約するものでありますので、差し控えたいと思います。
  286. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 エンジンのメーカーはたくさんあると思いますが、石川島に選んだ理由は、どういう理由です。
  287. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 さっき申しましたように、石川島に決定しておるわけではありませんので、ほかの国産メーカーでもできる場合におきましては、もちろん、国産メーカーも選定の上でいろいろ検討いたしたい、かように考えております。ただ現在のジェット・エンジンの製造能力は、大体石川島だけ、かように考えております。
  288. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その場合は、防衛庁が単独にやりますか、通産省と打ち合わせた上でやりますか。
  289. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 航空機製造事業法によります指定でありますので、通産省がやるわけでありますが、その場合に防衛庁にも相談がある、かように考えております。
  290. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛庁としては、エンジンにつきましても、やはり見積もりもとらずに、入札もせずに、随意契約できめたいおつもりですか、それとも一般から入札をとりまして、値段の上などで十分に競争させた上でやるおつもりですか。
  291. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 これは御承知のように、このエンジンを作りますには、外国の会社ライセンス契約をとらなければなりません。そのライセンス契約がとれるかどうかというのが第一条件でありまして、もちろん値段が非常に高いという場合は、防衛庁としても考えなければならぬ、かように考えております。
  292. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 高いか低いか、何を基準にしますか。この前の航空機の本体の注文の際にも、あなた方は仮の見積もりを新三菱からとりましたけれども、川崎からとっていない。川崎なしでは仕事ができないのに、川崎からは見積もりもとらないで、新三菱一社からだけ見積もりをとっている。安いから、高いからということは、比較するものがなくて一体どうして比較しますか。価格の検討をするならば、公に入札をやって、安い方にやるというのが常道じゃないですか。どうして防衛庁だけに限ってあらゆるものが随意契約で、しかも検査院あたりからは高過ぎるという批難をいつも受けるのでしょうか。これはあなたのおっしゃる秘密があれば別ですけれども、ないならば、ほかの役所と同じように、堂々と入札さして、価格の点でも競争さして、安いものに注文を出すのが、防衛庁としては義務だろうと思うのですが、その点は今度の場合どうですか。
  293. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 さっきも申しましたように、航空機製造事業法によりまして、通産省で製造能力、従来の製造実績、外国会社との提携の可能性及び設備の状況、こういったものを判断いたしまして、さらになお防衛庁の意見も聞きまして、通産省で決定するわけであります。その決定に従いまして、防衛庁としましては、大体輸入値段との均衡がとれる程度——これはもちろんある程度高くなるわけでありますが、めちゃに二倍にも三倍にもなる、こういうような価格でありますれば、これは考慮の余地がないわけでありますが、ある程度輸入値段に輸入経費、その他将来の維持のためのロス、そういった点を考慮いたしまして、その程度の値段でできれば問題はない、かように考えております。     〔上林山主査代理退席、青木主査代理着席〕
  294. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 エンジンの場合、輸入値段の方が、国内生産よりも高いのですか、安いのですか。私たちは、今まで航空機は外国製の方が国内製よりも安いと聞いてきたのだが、今度追及してみますと、どういうことか知りませんけれども、F86Fもあるいはロッキード機も、はるかに国内生産よりも高いのですが、エンジンの場合はどうですか。
  295. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 これは予想でありますが、輸入の場合より、国内でエンジンを国産した方が高くなる。これは量産の問題でありまして、数量の問題に非常に関係があるわけであります。そういった点で、やはり国産の方がある程度高いのではないか、かように考えております。
  296. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 電気機器はどういうふうにして発注しますか。
  297. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 電気機器等搭載機器も、できるだけ国産をいたしたい、かように考えております。
  298. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その会社の指定をしておられますか。
  299. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 現在まだ会社の指定は、もちろんエンジンと同じようにありません。
  300. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは防衛庁が直接に契約をしますか。新三菱を通して下請の関係に立てますか。
  301. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 これはいろいろ搭載機器の性質によるだろうと思いますが、大部分は官給にいたしたい、かように考えております。
  302. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大部分は官給にするというのは、あなたの方で直接に契約を結んで、そしてあなたの方からその機器を新三菱へやる、こういうわけなんですね。さように理解してよろしいですか。
  303. 塚本敏夫

    塚本(敏)政府委員 官給ということはそういうことであります。
  304. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 防衛庁長官に一言言っておきたいのですが、どうもこの審議を通しまして、特に次期戦闘機の価格について、二転三転したことは非常に残念です。それから航空機の機数等につきましても、さっき加藤防衛局長がここで訂正したように、あまりにも国会に対する答弁に責任を持たない答弁をすることは、いたずらに審議を長引かせることになると私は思う。特に今度は、今までの予算では例を見ないほど多額の国庫債務負担行為が組まれまして、しかも航空機価格がまだ決定を見ない、あるいはエンジンその他のものも決定を見ないままに、この大ワクが付議されておる。これは非常にあぶないことだと思うのです。しかも、さっき横路委員から指摘がありました通り、問題のF86Fにつきましても、三十三年度会計検査院の指摘で、明らかに工数その他のものが過大に見積もられているということが出ているのです。油の点もやはりそうです。やり方によっては、まだ一割、二割の削減ができるような方法があるだろうということが指摘されている。まことに憂慮にたえない。いたずらに先を急ぐだけではなく、国情、国力に応じてやるならば、特にこの間藤山外相が言った通り、今度のアメリカとの新安保条約というものが、自衛隊の増強を義務づけていないならば、過去にかんがみて、防衛庁予算というもの、防衛費のあり方というものは、この際一新しなければならないと思います。その点に対する赤城長官のお覚悟のほどを聞いておきたい。
  305. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 次期戦闘機の価格の決定を見ないうちに予算の要求をしているではないか、価格が非常に変わっておるという御指摘でありますけれども、これは建前といたしまして、御承知のように、国会で御審議願い、国会の議決を得ませんければ、正確に契約ができないわけでございます。でありますけれども、私どもといたしましては、その前に、国内生産をしてきたもの等と、しさいに価格の点について話をしまして、これならば予算を要求し、御審議を願うに差しつかえない、こういうことで出しておるわけでありますので、御審議を願うための価格、あるいは予算価格といいますか、それについては、答弁の中に御了解を得なかった点もあるかと思いますけれども、これは別にそう始終変わっておるということではございません。その点御了承を願いたいと思います。  それから防衛庁予算の点に触れまして、たとえば飛行機の機数等について御質疑があったわけでありますが、この席で、突然なものですから資料を十分用意してなかったうらみがあって、はっきり御了解を得なかった点があったのを遺憾に存じます。少し前もって御要求願っておけば、正確なものを出して、時間も長引かなかったのではないかと思っております。  防衛予算につきましては、会計検査院の指摘も毎年あります。私どももこれについては注意を払っているわけでありますが、この点につきましては、決して全部よくなっているとは申しませんが、会計検査院の指摘されている件数は、逐次毎年減ってきております。減ってきているから、それでいいというわけには参りません。私たちといたしましても、国の防衛を担当し、また国民の税負担においてまかなっておるのであります。これは防衛費ばかりではないと思います。国全体もそうでありますが、特に防衛費につきましては、慎重に、また正しく経理をしていく、こういうことが必要であります。お話の点もよく頭に入れて、なお今後注意して参りたい、こう考えております。
  306. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私の質問は、大体この辺で終わりますけれども、たださっき大臣にも念を押しておきましたが、基本的な債務負担行為において、まだ大蔵大臣と防衛庁長官との間に数字の差があるのであります。これはあなたは、航空機の購入費が六百九十八億、器材費は別に器材費から払うというのです。大蔵大臣の方は、器材費は航空機の購入費の中から出すんだ、こういう答弁です。この点は、明日大蔵省の場合にももう一ぺん伺いますが、これは防衛庁でも一つ十分御考慮の上、今までも訂正しなれておりますから、あまりこだわらずに、明日、違うなら違う——防衛庁長官にも気の毒ですけれども、多分あなたはまた御訂正なさるだろうと思います。これは御訂正なさらなければ数が合わない、数字が合わない。こっちも一生懸命苦労して、数字の違い、機数の違いなんか出しますと、すぐ、変わりましたじゃしようがありませんから、今のこともありますし、あらためてこれは御注文しておきます。明日大蔵大臣との間に話し合いがつきまして、あなたの方から、間違っているなら間違っているということを、はっきり言ってもらわなければ処置がつかない。きょうは食い違ったままで終わります。  もう一つ、基本的な防衛費の組み方、特に防衛庁のやり方について、やらなければならないものは仕方がないでしょうけれども、いたずらに随意契約が非常に多いことであります。それから直接仕事を担当する名義人のもとに、二段、三段の下請がついているということであります。ただし、これは航空機だけじゃない。あっちこっちの飛行場の建設につきましても、あるいは油にしましても、下請関係なんというものが非常に多いのです。特に土木工事などに至っては、三段、四段の下請がありますので、最後の連中は、半分以下の労賃を払われて、防衛庁の仕事の下請をやって倒産した実例がありますよ。私はいつか機会がございましたら、決算委員会の方で、あなたにこの実例をお目にかけたい。これは、表面は責任者があっていいかもしれませんけれども、このためにどんなに間違った工事が行なわれ、間違った製品が納められているか、枚挙にいとまがない。今度油をたくさん使うそうでありまするけれども、油のタンクの不正工事、この不正工事によって漏れた油の行方、あるいは中古エンジン、これは、件数が減ったと申しますけれども、大臣、あなた農林大臣のときのように五万円、十万円の間違いじゃないのです。一つ間違えれば七百億という予算に関係のある間違いなんですから、この点は、従来のやり方に対しても基本的に検討を加えまして、こういう間違いがないように、できるならば、あまり必要のないような国庫債務負担行為などはあっさりおやめになった方がよろしいのじゃないかと思いますが、これは私の一つの意見として申し上げて、質問を終わります。
  307. 青木正

    ○青木主査代理 西村直己君。
  308. 西村直己

    ○西村(直)分科員 短い時間、ちょっと一点だけ法務大臣と法務省、それから大蔵省にもお聞きしたいのであります。問題は、大蔵省にむしろ中心があるべき問題じゃないかと思いますので、実は大蔵大臣にと思いましたが、一応法務関係の方から御説明願い、それに対して大蔵省の主計局関係からでも返事をもらいたい、こういう考えでおります。  その一つは、全国にわたっております刑務所の移転の問題であります。これについての構想と申しますか、基本的な考え方を、大臣あるいは関係局長からちょっと御説明願いたい。簡単でよろしゅうございます、内容は大体知っておりますから……。
  309. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 今全国に刑務所は五十数カ所ございますが、その中で二十六カ所ほどが、あるいは設備が狭く、また老朽しておるというようなところから、改築なり移転なりを考えなければならぬものでございます。そのうち十カ所を、まず第一次計画として、今まで毎年予算をとってやって参ったのでございますけれども、予算面におきましては、毎年少しずつの予算しか大蔵省から認めてもらっておりませんので、その第一次計画を終えるにすら数十年を要するというようなことで、このままで参りますれば、百年河清を待つようなことになるわけであります。そこで本年、大蔵大臣にもいろいろ話しまして、各地の実情を見ますると、都市のまん中に刑務所がございまして、都市の発展の上からも、あるいは都市計画の上からも、これを他に移して、そこを処分することの方が都市のためにもより有利であり、国家的見地からも、また刑務所行政から見ましても有利だということから、御理解を得まして、国庫債務負担契約によりましてその実行をいたすことになったのであります。本年は名古屋市と福岡市、二カ所を、国庫債務負担契約をいたしました。五年間に名古屋は十億、福岡は五億というような契約を、国会に承認をお求めいたしまして、その御承認を得ますればその契約をいたしまして、名古屋と福岡は、これで都市の中央から他の場所に移転できることになったのでございます。この行き方ができましたので、今後こういった方法によりまして、今まで検討しておりました刑務所の移転計画というものは非常に進捗することとは思いますが、しかし、名古屋とか福岡というような、財政に余裕のある都市においてはこの仕方も実行できるのでございますけれども、そうでない都市においては、こういう実行はなかなか困難ではなかろうかと考えておりますので、明年度以降におきましては、またさらに方法を研究しなければならぬと思っております。実は特別会計でいたすことが一番いいんじゃないかと思って、この点をいろいろ研究したのでございますけれども、非常に財政上難点がございまして、実行困難でございますので、やむを得ず、国庫債務負担契約によりまして実行することにいたした次第でございます。
  310. 西村直己

    ○西村(直)分科員 確かにこれは長い問題なんですが、一応形は国庫債務負担行為の形で、予算へ話のついた分から、年度的に予定して予算面に出てくるけれども、実際、裏から見ますと、たとえば特定の市に対して、お前の方で刑務所をすっかり作ってこい、そうしたらいつでも移って上げますということと、何も変わらぬのですね。これでは、あまり知恵がないことを、法務省は大蔵省にのまされたのと変わりないんですね。今まで刑務所の移管というのは、北海道から九州までずいぶんある。これに対してちびちび予算を与えて、百年河清を待つようなことをやって、ことしから切りかえて、うまいようなことに表面の形はなっておりますけれども、実際は敷地の坪単価を三万なり四万なりに計算して、債務負担行為に移る前に、土地を手に入れたらお作りして差し上げましょう。そうすると、地方の財政から見ると、その間の金利負担はどうするか、できないことを法務省としては大蔵省にのまされたような感が少なくないんで、これは少し財政を見さえすれば、子供だましみたいな感じがするもんですから、この機会に公開の席で、むしろはっきりその意見を申し上げて大臣の御意見なりを伺い、同時に、大蔵省も、こういうようなちゃちな国有財産を転換する場合に、高踏的なことでごまかしていく。これは、地元民には何も関係のないような国家の施設なんです。地元で、長い間、明治以来何十年となく、建物を移ってもらいたい。そうすると、結局は、お前の方でそれじゃその部分だけに値するものを作れば、移ってやるというのと何も変わらない。こんなままで、だんながあぐらをかいて、お前からやるなら移ってあげましょうというような政策では、これは政策にならぬのじゃないかというのが私の考えなんでございますが、大臣、どうでございましょうか。
  311. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 名古屋、福岡のような都市でございますと、この計画を喜んでおります。というのは、五年後には必ずそれだけの金を国庫からもらう契約ができますから、安心して財政計画が立てられますので、進んでそういう仕事をやりたいという気持を持っておりますが、お話のように、都市が小さくなって参りますと、こういった形ではなかなかむずかしいんではなかろうか。従って、年々こまかい償還計画を立てまして、契約も、翌年には立てかえた金をすぐ払ってやるというような国庫負担契約をこれからは結んでいかなければ、なかなかむずかしい都市もできるんじゃないか。この点につきましてはまだ大蔵省の了解を求めておりませんから、明年度予算の編成にあたっては、こういう点も一つ大いに努力していきたい。しかし、この計画でいく都市もまだ相当はございます。しかし、今申したように、小さな、財政負担能力の少ない都市ではなかなかできない。都市でできなければ、場合によりましてはその都市のある県とか、その敷地が鉄道の敷地とかいう場合には、国鉄とか、そういうものとの国庫債務負担契約もできると思いまするから、そういう方面に向かっても明年度以降は考慮して参りたい。しかしこれは、まだ何分大蔵省の了解を求めておりませんから、われわれとしては、極力そういう方向に向かってやりやすいようにしたいと考えております。
  312. 西村直己

    ○西村(直)分科員 その点ですが、名古屋とか福岡は喜んでおられるという話は、これは表面の話でございまして、実際からいくと、刑務所へ入る人のお座敷を地元でまずぜん立てをして、それができ上がらなければ移れない。その間、地方としては、事実上立てかえになりますね。立てかえになった場合の金利負担というものが起こります。それから立てかえる間の金利負担以外に、何といっても、地元寄付というものも相当起こってくる。あいた土地が時価で売れるかどうかというと、小切手を売るような工合にいかないたくさんの事情があろうと思う。そうすれば、国家の施設を、ただ地方でもって一応立てかえさしておいて、金利負担をさして、しかも売れない土地を換金処分していたような格好にしておくということになると、私は、実際問題としては、刑務所移管の問題は解決しないのではないか、こう思うのです。現に名古屋の方は、災害がありますと、また年次が延びてしまうというような声が相当あるわけです。北海道の旭川あたりでは、とてもやれない。静岡しかり。こういうような点で、私は、じみな刑務所という問題でありますけれども、国全体をあげての問題からいうと、率直に言えば、大蔵省のお考えが法務省をややなめているような感じを受ける。また、受け取る方の法務省も、それでもって喜んでおられるようじゃ、国民が迷惑するのではないか。その点については、大蔵省、どうなんですか。この問題は、国有財産の取りかえっこなんですね。取りかえっこではあるけれども、実際上は地方の負担において取りかえっこする。取りかえっこされた地元は、しょうがない、いやなものがどいたんだから泣く泣くがまんをしようという、押えつけをしておる、こういう結果になっておる。こういう問題は、率直に言うと、選挙の投票とか、そういう問題には関係しないから、割合におかれておるのですけれども、「毎日」なんかにもその問題が出ておったが、私はよく心を落ちつけてみると、実にこっけいな問題じゃないか。もう少し知恵を出して、国家もあぶら汗出して、犠牲負担のもとにおいてやってやらなければ、政策にならぬじゃないか。この点を、公開の席で、もう少しはっきり議論しておきたいと思って申しておるのであります。その点について、大蔵省の次長、一つ考え方を述べて下さい。
  313. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 お答え申し上げます。今の建て交換の問題でございますが、私どもとしては、地元の方も希望になっておるし、国としてもそうしていただくことが非常に都合がいいというような、いろいろな条件が合ったものに対してこういう方法をとって参りたいというふうに考えておりますので、われわれが法務省なり、あるいは地元に非常に迷惑をかけて、押しつけるというようなつもりは持っておらないのであります。その点は一つ御了承願いたいと思います。
  314. 西村直己

    ○西村(直)分科員 その場合に、大蔵省あたりは、地方負担の問題は、移転の間の問題は、起債ででも解決しようというお考えですか。金はどこかから探してこいというお考えですか。
  315. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 地元の方で、どういうような手段で資金をお作りになるか、その辺までは、われわれといたしましては深くタッチしておらないわけでございます。起債の問題等、いろいろな問題はあるかと思いますが、われわれとしては、地元がどういうふうな資金調達をされるかというところまでは、実はタッチしておらないわけでございます。
  316. 西村直己

    ○西村(直)分科員 そこが問題なんですな。やはり地方財政計画というものを持っておられる市でしょう、都市ですね。それに対して、そういう大事な問題で、しかも国営の施設を動かすのに立てかえ払いをするというときには、地元の資金計画というものを知らないというのでは、これはやっぱり大蔵省は不親切じゃないか。国の予算編成その他のときでも、お前の方は十分だ、いや十分でないといってけんかを始めるのですから、そこまで立ち入った政策でないと何となく素朴に考えたときに、政策にならぬのじゃないか。それじゃ、銀行で高利で借りてきてもいいのか。何でもいいから金を作ればいいんだ、こういうことになれば、やはり地方財政計画を乱すもとにもなりはせぬか。こういうことは、もう少し大蔵省の方は奮発して、この問題はじみだけれども、やれるような政策にしてやってやらなければいけないのではないか。私はむしろ法務省のバック・アップの意味で、きょうは大蔵省に方針として提議しておいて、返事はよろしい。あなたは次長ですから、大臣の方針、あるいは来年度以降の予算についてまだ方針を立てる段階でないというならいいですが、どうですか、その点は。地方がどこから金を作るかは御自由であります、ただこういう計画にお乗りなさい、いやならという、この程度では財政家としてもおかしくはないですか。どうでしょう。
  317. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 交換の相手方になりますものが地方団体でありまして、そういう場合に、そういうような資金的な配慮をしてやらなくちゃ政策にならぬじゃないかというお話でございますが、一応国としては、不要用地の財産を、それが場合によっては地方公共団体でなくてもよろしいと思いますが、払い下げまして、そのかわりに、国の必要とするものを取得できるということを考えましてやっておるので、相手方の資金計画まで十分なめんどうを見てというところまでは、ちょっと考えておらないわけでございます。
  318. 西村直己

    ○西村(直)分科員 これは一つ 大蔵省でよく考えていただきたいんですよ。こういうことは、あいまいもこで、むしろほかの問題になると大きな問題になるが、地方がどこからでも金を作ってきて立てかえ払いで——一応国家の施設ですからね。しかも刑務所が移転して、刑務所自体が生産性があるとか、あるいは経済基盤というような問題ならば、またいろいろあるでしょう。たとえば鉄道のようなものでも、交換する場合には利用債という問題が出ていますね。これは生産性があるから、利用債というもので金利を地元が負担してやっていくということで、しかも、これははっきりした名分を立てて、地方債のワクの中に入ってやっている。大蔵省も知っておられてやっている。だからこの刑務所移転については、大蔵省が地方財政のワクをはっきりしないで、ただ土地と何とを交換して、できたものをお世話してお入りなさい。そうすれば法務省としてはいいところへ入るのだし、地元もどこかが喜ぶ。なるほど表面から見るとそうなるが、実際受ける地元からすると、とてもたまらぬじゃないか。国家の施設をただ交換して、金は地元で作っておけ、あとで移ってやる、そして土地を払い下げてやる。しかも、その土地が時価でしょう。たとえば、かりに銀座のまん中に刑務所があったら、坪百六十万円で換算しようという管財の方針、そういうむちゃな計画では地方で受け入れられないのは当然です。そうなれば、結局百年河清を待つという、従来の法務省の政策から一歩も前進してないことになる。それを法務省の方は、逆に、役人の立場でしょうが、ことしはうまい手口が出たといってそういうことを宣伝されるけれども、政策としては宣伝される効果はない、こう思うものですから言っておるわけです。そういう問題は、今後もだんだんと出てくると思います。人の時間を拝借したようなときに立ちましたから、一つよく御検討願いたい。法務大臣にも——この問題は、単に局長諸君が苦労して、なかなか大蔵省が強いですから押えつけられちゃって、その辺で泣き寝入りのような格好になっておりますけれども、これは政策になっていないということだけ申し上げればけっこうでございますから、問題を提起しておきます。
  319. 青木正

    ○青木主査代理 飛鳥田君。
  320. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 これはあとで、いろいろ行政協定等にからんで伺うことになると思いますが、問題が非常に緊急を要しますので、ここで一つ伺っておきたいと思います。  調達庁の長官は、神奈川県にあります田奈という駐留軍の火薬庫について、最近何かの通報を受けておられるかどうか、これから伺いたいと思います。
  321. 丸山佶

    ○丸山政府委員 田奈の弾薬庫に関しましては、近く閉鎖する予定をもって、まず、この人員整理関係の通報を受けております。なお、それに伴う作業につきまして、いろいろ突貫作業と申しますか、非常な労働強化あるいは危険な作業を急がしておる、このような事情のことを承知しております。
  322. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 田奈の弾薬庫を閉鎖して、そこにある弾薬、主として五十七ミリの砲弾、その他もありますが、合計約六千箱の火薬をアメリカ軍はどこへ移動しようとしているのか、御存じでしょうか。
  323. 丸山佶

    ○丸山政府委員 その関係で、当方で現地を調べさせ、また、現地軍と折衝させました報告を受けておりますが、六千箱の弾薬につきまして、これは信管付の五十七ミリの砲弾でございますが、その信管部分を切断する作業を目下やっておる。信管を除去した弾薬は池子の弾薬庫に移す見込みだ、このような報告を受けております。
  324. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 それで、私の伺いますことが明らかになってきました。まず第一には、六千箱の火薬について、信管の除去作業を基地内でやっておる、こういうことが一つ、信管をはずした火薬をトラックに積んで、繁華な横浜市内の目抜き通りを通って逗子の池子の弾薬庫にこれを輸送しておるという事実、この二つの点について順次伺いたいと思います。  この信管除去の作業について、田奈にあります駐留軍労働組合約百二十五人の人々は、非常にこれが危険である、こういう決議をいたしまして、ストライキを行なうスト権を確立しておるという事実があります。一体これについて、真実危険な作業であるかどうかということについて調査をせられたのかどうか、ただ米軍の説明を一通り聞いて、多分それならば危険はなかろうという程度で済んでいるものかどうか、これから伺いたいと思います。
  325. 丸山佶

    ○丸山政府委員 先ほど申し上げましたように、この作業のために非常な危険が伴う問題、並びにそのために非常な労働強化の状況がある、こういうようなことの話を受けましたので、現地の事情を調べ、また米軍折衝をしたわけでございます。その結果の報告が手元に参っておりますが、この切断作業に従事しておる特別な労務者、十三名という報告が参っております。これの作業に関しましては、軍としては、安全度の点からあらゆるすべての措置、施設を準備しておるので、安全については心配がない、なおまた、その勤務時間につきましても、報告によりますと、大体平常の勤務状況によって実施しておる、このように私は報告を受けております。
  326. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 この点については、神奈川県の原労務調整課長あるいは佐々木渉外部長等が、やはり同様米軍折衝をしたという話を聞いておりますが、しかし、現実にその作業の部面を相当長時間にわたって立ち会って調べてきたという話は聞いておりません。おそらく調達庁の方も同様であろうと私は思うわけです。と申しますのは、その作業に直接関与をしておる労働者自身が、スト権を確立する決意までしている。こういう点から見ましても、一番よく知っているのは、作業をしている人じゃなかろうか、こう私たちは思うわけです。従って、もしこれが引火をする、爆発をするというようなことがありますと、この前ありました東洋化工の爆発よりも、もっと激しいものであります。この約六千箱がはねますと、広島に落ちた原爆程度の爆発力がある、こういうふうに町ではいわれておりますが、こういう非常に危険な問題であるだけに、ただ危険でないと思ったという程度にとどまらずに、もっと進んで、この砲弾処理については、共同管理、共同の作業管理のようなものができないものでしょうか。ことに田奈の弾薬庫は、かつて日本の軍隊が使っておりまして、そんなに程度の高い設備はしてないはずです。今までも労働組合は、しばしばその設備の不完全さについて警告を発しておるのが、労働組合の態度でして、それだからこそ、米軍もこれを今度廃止することにしたのですが、そういう老朽な施設の中で、日本の官憲が立ち会わないで、ただ米軍があぶなくないというだけで一体いいだろうか。なぜ立ち入って、その現実に信管を切っていく作業、あらゆる設備、こういう問題について、共同管理的な行動に調達庁は出られないのか。この周辺の人々は非常な恐怖を感じております。なるほど周辺における人々は農家でありますから、家は密集はいたしておりませんが、しかし非常な恐怖を感じておる。そのそばには住宅も最近建ち始めました。こういう点から考えてみると、米軍自身が廃止しようとするほど老朽になっている施設、そしてその中で作業が行なわれている。これに対して、調達庁は共同管理あるいは共同作業監督のようなことをやれるのか、やれないのか、こういうことを私は伺いたいと思うわけです。
  327. 丸山佶

    ○丸山政府委員 弾薬の処理並びに弾薬を貯蔵する倉庫の維持管理、これは軍自体としても最も重要な問題としておりまして、最善の注意を払っておることはもちろんでございます。なお、横浜市内の先般来火薬関係の事故にかんがみまして、神奈川県庁においても、またわれわれとしても、一そうの注意を喚起しておる次第でございます。従いまして、この取り扱いにおいては最善の注意を払って軍がやっておる、このように、最近この問題が耳に入りましてから、現地の事情を調べさせた報告によりましても、受けておるわけでございます。しかしながら、なお、その状況をさらに安全度を確保するという意味においての調査をしていきたいと私は思っております。お話のありました共同的の管理方法という問題に関しましては、実はその施設内における作業処理というものは、一応軍側の責任において、軍側の権限のもとにやられるというので、その責任の一端まで当方が負うというところまでは参らぬかと思いますけれども、実情の調査、それによってなお改善を要する面がありますれば、私としては一そう十分な注意を払い、措置をしたいと考えております。
  328. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 くどいようですが、六千箱になんなんとする火薬というものは、周囲住民の何万という人々を傷つける可能性を持っているわけです。普通の場合とは違うだろうと私は思うのですが、この周囲住民何万という人々の生命、身体に関する問題について、アメリカ軍が多分よくやっているだろうという程度で、日本政府としては責任は果たせるでしょうか。ボン協定などを見ますと、基地の中におけるそういう問題については、少なくともドイツ国政府が定めている水準よりももっと厳格なものである。駐留軍の自治的な規則制定を認めるけれども、ドイツ国政府が定めた法規の水準以下は認めないということを、はっきり書いてあるわけです。日本では何もそういうことを考えずに、ただアメリカさんが一生懸命やってくれるでしょうというだけで、何万という人々の生命にかかわる問題を放置していいかどうか。もしはねたらどうしますか。はねたときの責任は、あなた方多分いいと思ったのだけれども、アメリカ軍に手違いがありました、これでいいだろうか。だれだって、火薬を扱うのに、手違いがあっていいと思っている人はありません。だがしかし、やはり手落ちというものは、どんなに努力をしてもあるものです。そういう場合に、一人の目よりも二人の目、二人の目より三人の目が、これをよけい監督をした方がいいのではないだろうか。こういうふうに考えますと、今も現に行なわれつつある田奈の弾薬庫における危険作業、こういうものについて、調達庁はなぜもっと積極的に出ていかないのか。米軍に対しても、あなたの方でも手落ちはないでしょうけれども、私の方でも監督官を派遣します、こういって、監督官を派遣して、そして作業に無理があれば、それは無理です、また作業の施設に不十分な点があれば、ここはこうしてほしいということを、なぜ言おうとしないのか。そういうことを申し出て、米軍が拒絶をしたというならば、話は別です。申し出ても多分米軍は拒否するだろうなどということで、勝手に自分であきらめてしまう必要が一体あるだろうか、こう私は思うわけです。従って、くどいようでありますが、調達庁は、通産省の火薬取り締まりその他に関するエキスパートと、あなた方のレーバー・オフィサーとを、ともに出して、現実に危険作業を今やっておる田奈の弾薬庫の中に派遣し、監督するということを、アメリカ軍に申し入れる意思がありますか、どうですか。基地管理権の問題として、これは非常に重要な問題じゃないだろうか。権利、権力、権能を絶対に基地の中で米軍が持つというその規定に縛られて、もしそれが爆発すれば、周囲数万の人間を傷つけるようなそういう危険物に対して、日本政府は指をくわえて見ていていいのか、こう考えないわけにはいかないわけです。田奈の弾薬庫はやがて閉鎖されるでしょう。しかし、そこにある六千箱は池子の方へ運び込まれます。もしこの池子の弾薬庫で間違いがあったならば、逗子の市民、鎌倉の市民、横浜市の金沢区の市民は、大部分消し飛んでしまうはずです。大部分けし飛んでしまうようなこんな危険な施設を、何ら日本政府が関与せずして維持管理させるということについて、長官はどうお考えでしょうか。当然こういうものの維持管理については、調達庁の官僚あるいは通産省の人、こういう人を常時そこに派遣をして、米軍と共同して管理する。あるいは軍の秘密ということもあるでしょう。だがしかし、その出かけていった人は、日本国の官吏として秘密を守る責任を負えばいいのです。民間人が入っていくのではないですから、当然そういう人々を出して、危険なきょうに政府としては全力をあげるということを考えるべきじゃないだろうか。そういうことをやる意思がありますか、ないですか。これを伺いましょう。
  329. 丸山佶

    ○丸山政府委員 弾薬の保管、維持、並びにただいまお話のあります作業に関する安全度の確保ということは、軍並びにわれわれといたしましても、最も重要な関心を払って、最善の方法を考えておるわけでございます。ただいままで、現場の調査の報告によりますと、特別な作業場を作り、その作業場の中に一発々々運び込んで作業をするのである。三メーターと五メーターの土のうを作って、その中で作業しておる。作業員十三名のほか、軍の監督者四名が入って、この作業に従事しておるが、それ以外の者は、この付近に立ち入りさせない。現在の状況においては、安全度において最高の状況においての作業を進められておる、このような現場報告を受けております。しかしながら、お話通り、なお、これにおいても不足あるいは欠点があるやいなや、それの是正措置ということにつきましては、なお現場の実情を見まして、私としては措置いたしたいと考えております。
  330. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 なお現場の実情を見まして処置をいたしたいと思いますとおっしゃっているのですが、危険作業は今も進んでいるのですよ。状況をなおよく調べましてなんて言っているうちに、はねちゃったらどうしますか。そして今、一つの仕切りに運び込んで、周囲には土のうを積んで、一つが爆発しても他へ影響がないようにやっておる、危険はないとおっしゃったのですが、長官一つ行って見て下さい。田奈の弾薬庫の中の弾丸を運びます道路を、まず見ていただかなければならないわけです。手押し車のようなものに乗せて運ぶ。あるいはベルトコンベアの上に乗せて運ぶのですが、運びます場合に、道が悪いと、ごとごとゆれて落ちて破裂したり、いろいろな事態が生ずるわけです。現に保土ケ谷にあります日本カーリットが先年爆発を起こしましたが、それも弾薬を乗せて運んでいく途中で、がたがたゆれますために、車輪の間で火花が出て、それが引火した。こういうのが原因でしたが、田奈の場合にも、中の弾薬を運びます通路というものは、そんなにりっぱではありませんよ。ここにもまず危険があるわけです。それから周辺に土のうを積んでと言いますが、土のうを積んだような程度のもので、周囲への誘爆を防ぎ得るかどうか。行って見て下さい。私は、基地の中ですから入れませんが、中にいる労働者諸君から話を聞いてみて、非常に危険な状況にありはしないか、こう感ずるわけです。現実にはねてしまったら困る。そういう意味で、至急この問題について、あなた方が現地に係官を派遣して監督してほしい、こう考えないわけにいかないわけです。そういう点で至急御処理をいただくように私の方からお願いをいたします。  防衛庁長官もお見えになって、もう大体私の申し上げていることは御了解をいただけたと思いますが、日本には弾薬庫がたくさんあるわけです。この弾薬庫については、アメリカ軍が多分安全の度を強化するように努力するだろうというだけで、ほうっておいていいものかどうか。これに対して、日本の側から当然官憲を派遣して、軍の秘密にわたらざる範囲においては共同管理すべきでないか。火薬庫の安全度、またどのくらいのものをしまっていいか、こういういろいろな点について、共同管理をすべきじゃないだろうか。施設等についても、日本の基準にほんとうに適合しているかどうかを、現実に検査する必要がある。こういう意味で、危険物に関する限り、日本人の人命に関することですから、共同管理をなさる意思はないのか、こういうことを一つ長官に伺いたいと思います。
  331. 丸山佶

    ○丸山政府委員 繰り返して申し上げるようでございますが、田奈に関しましては、ただいままでの調査のところ、現在としては安全度を確保する措置にある、このような報告でございますが、お話通り、万全を期すべき問題で、念には念を入れるべき問題と心得ておるので、なお、私のところからも直接人を派遣して、調査の上、措置すべきことがあればしよう、このように思っております。
  332. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 共同管理の申し出をされますか。
  333. 丸山佶

    ○丸山政府委員 一般的に申しまして、軍の施設内におけるすべての作業、その管理状況、これは御承知の通り、軍側の専属になっておるわけでございます。また、その弾薬等の危険物の処理、これはわれわれ日本側のみならず、そこにおる、またそれを使用する、それを管理する軍自体の、最も関心を持つものでございますので、それに関して軍側としては最高の注意を払って、危険防止に努めておることはもちろんでございます。しかしながら、多数あるそういうような危険物の作業処置、それが、日本の関係法令あるいは安全度合に関する一般の処置、これらに関して欠くるところがあるようなものがありますれば、日本側としては、その是正措置に関して申し入れて、是正をはかるということが当然と考えております。先般来からもこの問題に注意を払っておりますので、調達庁としましては、それらの危険物の所在する施設、あるいはその付近の状況、実情を調べまして、それぞれ適当な措置を考えたいと思っております。
  334. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 防衛庁長官のお答えをいただく前に、今の丸山長官の話で疑問が出ましたので、伺いたいと思います。日本の諸法規に照らして危険だと思われるような、その安全度が低いと思われるようなものについては、申し入れをする、こうおっしゃったのですが、一体低いか低くないかをどの程度に調べていらっしゃるのですか。軍の基地内に立ち入って、基地内にある火薬庫あるいは弾薬の貯蔵庫、こういうものが、日本の安全基準に合っているかどうかを現実に調べていらっしゃるのですか。そして調べることについて、米軍は同意しているのですか。そういう事実がはっきりしないで、ただ申し入れをします、申し入れをしますなどと言ってみたところで、ナンセンスじゃないだろうか。一つ何月何日にどこどこの弾薬庫に立ち入って、どういう調査をしたか、そしてそのときに、安全度をどの程度に確認したか、こういうことを一つ、あなたの御存じの限りでけっこうですから、今ここでお答えをしていただきたい。その点について私たちは非常に疑問を持っているわけです。
  335. 丸山佶

    ○丸山政府委員 個々の施設のそれぞれの該当個所につきまして、いつ、だれがどういうことをしたかということは、今のところ、具体的な記憶も私にはございませんが、基地そのものは、御承知の通り日本政府が米軍に提供しているものである。調達庁は、その責任担当の官庁でございます。そのために、各地方には局を置き、また大きな基地の近辺には事務所も置いて、その基地の状況がいかになっておるか、それに対して是正措置の必要があるかいなかということは、絶えずわれわれの関心事でございます。従いまして、われわれが基地の状況をどうなっておるかということについて調べるときに、軍側がこれを拒否する、あるいは立ち入らせないということは、今までのところございません。これから、先ほども申し上げましたように、なお、この危険物の状況に対する現状確認等の問題について、われわれが調べようとしても、それに対しておそらく拒否されるというようなことは、私は考えておりません。従いまして、この問題についての注意は続けていきたいと思っております。
  336. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 非常にあいまいなお答えですが、国民の生命、身体に関することを、そんなことでいいかしら。私は別に長官をいじめるつもりはないのですが、しかし、現実に日本の調達庁が中へ入って、火薬庫の設備あるいは弾薬貯蔵庫の設備等について、精密に検査をされた実例なんかないんじゃないですか。また、そんなことをしようとすれば、米軍は拒絶しているのじゃないですか。現実にそういう記憶がないとおっしゃる。こういうことですが、一体今の行政協定、権利、権力、権能を基地内において彼らが持っている。これについて立ち入って調べようとすれば、当然合同委員会の議事録か何かに、その協定が載っていなければならないはずですよ。それなしで、のこのこ出かけていって、オーケー、見せてやろうと、アメリカ軍が言うと考えていらっしゃるほど、あなたはお人よしではないはずですよ。一体、この危険きわまりない池子の弾薬庫あるいは田奈の弾薬庫、こういう米軍の弾薬の貯蔵庫について、何らかの合同委員会の議事録があるのですか。合同委員会においてこういうことが議題になったことがあるのですか。あったら、その合同委員会の開かれた日時と議事録を見せていただきたい、こう私は思います。いかがですか。
  337. 丸山佶

    ○丸山政府委員 基地内の立ち入り、あるいはその中の特別施設に関しまして、先ほども申しましたように、日本当局の権限ある官庁が、正当の理由をもって立ち入りし、調査するということに関しましては、格別の取りきめがなくてもできるはずだと私は考えております。また、私の経験をもってしても、それらに関して格別の軍事的の理由ある場合はいざ知らず、一般的にそれらを拒否されるということは、今までもなかったと考えております。しかしながら、われわれとしては、もし正当と認められないようなことにおいて、向こうが立ち入りを拒むというような事態がありますれば、もちろん合同委員会において取りきめて、協議をもって処置するということになりますが、ただいまの記憶では、それらの弾薬庫の立ち入り調査等につきまして、格別の合同委員会の取りきめが今まであったとは記憶いたしておりません。
  338. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 それでは、今まで再々お調べになっていらっしゃるということですから、私の知っている範囲でけっこうです。まず田奈の弾薬庫について、その安全度あるいは貯蔵量、こういうものについて、お調べになった報告書を私にいただきたいと思います。さらに池子の弾薬庫、この弾薬庫は日本最大の弾薬庫です。この日本最大の弾薬庫の安全度、さらに設備、さらにそれの運営の方法、こういうものについてお調べになったというお話ですから、それのきちっとした御報告をいただきたいと思います。しろうとの私が知っているより以下の報告なんかいただいても、私は承知いたしません。これは何十万という人々の生命に関することだからです。  そこで、先ほど問題はとぎれてしまいましたが、制度として、こういう危険きわまりない弾薬庫、貯蔵庫等について、米軍と共同管理をする、こういう申し入れを米軍になさる意思があるかどうか、これは最高の責任を持っていらしゃる赤城さんに伺いたいと思います。
  339. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 弾薬が非常に危険を伴うことは、申すまでもありません。しかしながら、これを法律的な意味において管理権を共同で持つということは、非常にむずかしい問題だと思います。しかし、実際そういうふうに危険なものでありますから、この安全度等につきましては、お互い協議しあって、調達庁等において、安全度に欠けているという点があるならば、それを是正するような措置を米軍に申し入れて、そういう方向に持っていくというようなことは、当然やるべきだと思います。
  340. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 そこで、私も疑問を持ってちょっと調べてみたのですが、いろいろな行政協定に基づく特例法があります。たとえば水道法に関する特例法、電波法に関する特例法、公衆電気通信法に対する特例法、税法に対する特例法、こういういろいろな特例法がありまして、そうして基地内に対する適用を除外しているわけです。たとえば水道法に関する特例法を見ますと、水道法の適用を基地内の専用水道については一切いたしませんと規定しております。そういうふうにいろいろな特例法があって、基地内についての日本の法規の発動を停止しているという実例の中で、珍しいことには、火薬類取締法という法律の適用除外の特例法がないのです。たしかなかったと思います。もしそうだとすれば、当然日本の政府は、この火薬類取締法の適用を基地内においても行なうという前提に立っておるのじゃないだろうか、こう考えざるを得ないわけです。もし行政協定によって、権利、権力、権能を基地内において米軍が持っておるから、一切の法律の適用が除外されるというのならば、何も水道法における特例法を設ける必要もないし、公衆電気通信法に対する特例法を設ける必要もない。その他の特例法を三十も四十も作る必要はないわけでしょう。そういう観点から考えてみますと、日本政府は、火薬類取締法あるいはその施行法については、基地内に適用があるという立場に立っているとしか考えられないわけです。そうだとすれば、今長官は、基地内については、向こう側が権利、権力、権能を持っておるから、法律的にはどうにもできない、こういうお話でしたが、どうも政府の今まで出してきた法律、そういうものから出てくる考え方と、今のお考え方とは、ちょっと矛盾するような気がします。火薬類取締法等が基地内に適用除外されてないという立場を堅持していただいて、共同管理を堂々と申し込んでいただいていいのじゃないか。これは人間の生命に関する問題でありますから、妙に遠慮なさらないでいいと私は思うわけです。もしそれができないとすれば、これは現行行政協定の完全なる欠陥じゃないだろうか、こう私は思います。また横道に話がそれますが、池子の弾薬庫に行ってみて下さい。あの周辺には、逗子という大きな市がある。山を一つ越して、山といっても小さな山ですが、こちらには鎌倉市がある。そしてこちらには横浜市の金沢区がある。この弾薬庫の周辺には十何万の人が住んでいる。二十万以上でしょう。これについて政府は全然無関心でいて、基地内の権利、権力、権能はアメリカ側にあるからというだけで済ましていいのか、こう私は考えるわけです。  まず第一に伺いますが、この火薬庫に対する共同管理の申し入れということはできないという点について、現行行政協定の欠陥であるとお考えになっているのかどうか。かりに欠陥であると考えていらっしゃるのならば、その欠陥を除去する意味で、先ほど丸山さんがおっしやたように、話し合いででもそういう道を開く努力をなさるつもりかどうか、こういうふうに二つに分けて、きっちりお答えをいただきたいと思います。これは赤城さんに伺いたいと思います。
  341. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今の水道の管理と違って、弾薬でありますから、基地内に火薬等取り締まりの規定が適用されるというふうには、私は考えておりません。なおよく調査してみます。  第二の点で、非常に危険である、共同管理をするという申し入れをするかどうかということでございますが、厳格な意味で共同管理ということは、向こうの武器弾薬でありますから、非常にむずかしいと思いますけれども、しかし、安全度を確保するということにつきましては、協議の申し入れをし、そういう点では、共同で安全度を確保するという措置をとりたい、こう考えます。
  342. 青木正

    ○青木主査代理 今参議院で決算委員会をやっておりまして、決議をやるので、全閣僚待っておりまして、防衛庁長官に顔を出してくれということですので……。
  343. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 今現に田奈で問題が進行中なんですから、申し入れをすると言明していただきましたら、それでけっこうです。それに間に合うように一つやっていただきたい。申し入れが一日おくれたために——そんなことはないと思いますが、かりに一日おくれたために、爆発がありましたら、あなたは人殺しの汚名を着ないようにお願いしたいと思います。これをお願いして、けっこうです。  それでは、続いて丸山さんに伺いますが、こうしてできた、一応信管を切り取った弾薬を、米軍はトラックに積んで池子の弾薬庫に運んでいるわけですが、この運びますのについて、日本の規定を守らずに、どんどん運んでいるという事実があると私は思うのです。こういう点については、調達庁は申し入ればできませんか。
  344. 丸山佶

    ○丸山政府委員 その事実の具体的なこと、実は私今承知しておりませんが、もしそういうことがあるならば、当然申し入れができると思います。
  345. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 それじゃ一つの例を申し上げておきますが、火薬類取締法等によって、弾薬の移動については、当然都道府県知事の許可を得なければならないわけです。知事が許可をいたしますについては、幾つかの条件をつけます。神奈川県でも、神奈川県知事は、田奈から池子に運びますについて、幾つかの条件をつけました。第一には、火薬という文字を明確に表示すること、そしてそのトラックのまわりは赤いきれでカバーをすること、シートをかぶせること、そして積載は一〇〇%に積んではならない、八〇%以下に積まなければならない——これは弾薬ですから当然です。満載したのではたまりません。さらに車と車とは十分以上の間隔を置いてもらわなければならない、こういう条件もつけたそうです。ところが、こういう条件は一つも履行されていない。わずかに火薬という文字をこれに付しているだけです。トラックに一ぱいに積んで、そうして十分間隔どころか、連続して、ぞろぞろキンギョのうんこのようにつながって、横浜市内の目抜き通りを通っていくのです。現に私の住んでいる横浜市の磯子という通りも通っております。もし破裂すれば、私の家などは吹っ飛んじゃうでしょう。こういう形で池子へ運ばれていって、毎日々々何十台というトラックが、この道をひんぱんに往復しているわけです。こういう点について、調達庁はもっと親切に調べて、文句を言ってもらわなければ困るのじゃないだろうか、こういうふうに私たち横浜市民はみんな考えております。一体こういう点についてお調べになっていらっしゃるのかどうか、また違法な点——違法というのも大げさですが、違反の点があるとするならば、これに対して警告をしていただけるのかどうか、したのかどうか、こういうことを伺いたいと思います。
  346. 丸山佶

    ○丸山政府委員 問題になりましたところの信管除去の五十七ミリ砲弾の運搬は、私どもの聞いておるところ、まだ運搬を始めていないということであります。しかしながら、今後運搬されることがありましょうし、その他のもので現在運搬しているものについて、今お話のように、知事の付された条件に違反しているというようなことがありますれば、これは警告をして、是正措置をとるのが当然と思いますので、その措置をいたしたいと思います。
  347. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 私は田奈の弾薬と申し上げたので、五十七ミリ砲弾とは申し上げておりません。五十七ミリ砲弾は今信管を切っているわけです。これは信管を切っておりますから、他の弾薬よりも、幾らか安全度が高い。ところが、それ以前に、今まで格納しておいたほかの弾薬を、先にどんどん運んでいるのです。しかも、そのやり方について、今申し上げたような幾つかの違反事実がある。もうすでに輸送が始まってから一週間以上たっております。今まで幸いに問題がなかったからよかったようなものの、もし問題があったら大へんじゃないだろうか。調べて抗議を申し込みますなんという悠長なものでいいかどうか。さっき私が申し上げましたが、もう一度これを繰り返して申し上げないわけに参りません。一体この通行する権利は、行政協定の何条に基づくものなんですか。現行行政協定の二十五条の二項の路線権に当たるのですか。それとも三条の出入に関する一切の権利、権力、権能に当たるのですか。どっちでしょう。
  348. 丸山佶

    ○丸山政府委員 基地と基地との間を行ったり来たりするその権利は、そのことは当然許されるべきでありますので、行政協定では、今お話のように、三条の規定と存じます。
  349. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 そうすると、路線権ではないということですね。
  350. 丸山佶

    ○丸山政府委員 二十五条に規定しております路線権は、この三条によりまして基地の出入に関するもろもろのこと、これらを含めたものを路線権と解しております。
  351. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田分科員 大体田奈の弾薬庫の問題について、住民が非常に心配しております点について申し上げました。どうぞ先ほど来お約束の通り、至急善処していただくようにお願いをいたします。  なおほかに、行政協定等にからんで、この問題をもう少し深めていきたいと思いますが、それはいずれ他の機会に譲らしていただきます。
  352. 青木正

    ○青木主査代理 多賀谷真稔君。
  353. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は、昨年のこの予算委員会の同じ第一分科会で、調達庁が総理府の内部の局としてありました当時に、官房長官赤城氏に質問をいたし、その言明をいただいております点について御質問いたしたいと思います。そこで、防衛庁長官がおられませんので、一応調達庁長官からお答え願いたいと思います。  占領中における米軍の不法行為による損害の賠償について、これは大きな社会問題を惹起いたしまして、そうしてこの被害者たちは、全く貧困と、さらにまた、それによって健康を害して、非常に悲惨な生活にあえいでおるわけです。その問題につきましては、かねてから政府においても調査をして、そうして今まで見舞金として支給をしている分については、さらに額を増して支給する、さらに支給漏れについては調査の後に支給する、これらの問題は、ともに法律事項によって行ないたい、こういう言明をいただいておるわけでありますけれども、本年度予算を見ますると、実際は支給漏れについてのみ、今まで支給した見舞金程度のものを支給するやに聞いておるわけであります。一体どうしてそういうように政府の政策が変化したのか、こういう点についてお聞かせ願いたいと思います。
  354. 丸山佶

    ○丸山政府委員 お話通り、一昨年来、占領時代に米軍等の行為によりまして身体、生命に被害を受けられた方々、これに対する措置として、占領時代並びに占領時代から平和条約の発効に移ります際に、見舞金をもって一応の措置をつけてありましたが、これと同種類の事故に関しまして、平和条約発効以後、行政協定に基づいての補償に比較して均衡を失する、なおその見舞金すら受けていない者がある、この措置を要するという問題が国会においても論議されまして、昨年この実態を調達庁が調査するということで、調査をいたして参ったわけでございます。その調査の結果に基づきます措置といたしましては、まず支給漏れの方々には支給することが至当であろう、この支給の措置は、来年度三十五年度においてぜひ実行するということをもって、その予算を組んだ次第でございます。すでに支給された方々の額が、少額に失しておるという均衡問題につきましては、いろいろ内部で議論を重ねられましたが、この決定は見ずに、三十五年度においては、支給漏れの方のみの措置にとどめるということになった次第でございます。
  355. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 昨年調査をされました結果の御報告を願いたいと思います。
  356. 丸山佶

    ○丸山政府委員 調査の結果は、該当人数といたしまして、十二月二十日現在の資料でございますが、八千六百五十四名となっております。このうち、すでに見舞金を支給された方々が六千六百四人、何らの見舞金も受けなかったというお申し出の分が、二千五十人になっております。
  357. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は、政府が調査されたその意義については今お話がありましたように、二つあると思います。一つは、支給漏れの方々に対してさらに支給するという面、もう一つは、すでに支給された人々と、行政協定の、すなわち講和発効後における占領軍の行為によって損害を受けた人々との支給金額について、非常な差があるからその均衡是正という面と、二つあったと思うのです。そういたしますと、支給漏れの方々に支給するというのは当然なことであり、けっこうなことでありますが、事務的に申しましても、すでに支給した人々との均衡是正の問題が起これば、今お示しの支給漏れの二千五十名の今度支給される方々は、もう一度支給を受ける、こういうことになる。事務的にも非常に煩瑣になるわけです。現在すでに若干の見舞金が支給されております方々も、けがの状態が依然として進行しておる。こういう方々は非常に困っておるわけです。ですから、一日も早くこの問題を解決してやらなければならない、かように考えるわけですが、一体なぜ支給漏れの分だけがこの予算に計上されておるのか、これをお聞かせ願いたい。
  358. 丸山佶

    ○丸山政府委員 不均衡是正の問題といたしましては、御承知のことと存じますが、占領時代が六期に分かれまして、その都度その都度、見舞金の額も変わっておるわけであります。これに関しまして、二十七年並びに二十八年、すなわち、平和条約発効のときに、これらに関する是正措置というものを一度やったわけでございます。そのことによりまして、なおこの際、これを手直しするということに疑義があるということが、まず第一点でございます。それからなお、占領後の状況におきましては、行政協定によりまして特別に民事特別法という法律を作って、国の補償義務を定めた次第です。占領時代に関しましては、法律的に国の補償義務があるのかどうか、これに関しましては若干の裁判例もございまして、補償義務がないという判決も出ておるような次第でございます。なお細部にわたりますと、その是正措置がどの程度にすべきか、救済を要するとしても、いかなる人々にも該当者には同一の救済でよいのか、現在の所得増強等の関係も考慮をするというようなことが問題点であります。さらに、その時期々々によっての金額の差異は、そのときの貨幣価値ということによるわけでございます。一般の補償体系といたしまして、その貨幣価値に基づくものを後に是正するということが、原則的にとられておらない。このような事情のもとに、三十五年度においては、支給漏れの方のみの措置にとどめるということになった次第でございます。
  359. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 占領中に、アメリカ軍の行為によって損害を受けた者は、請求権があるわけですか、ないわけですか。補償要求の請求権がありますか。
  360. 丸山佶

    ○丸山政府委員 先ほどの答弁の中にも申し上げました通り、請求権並びにこれに関しまして、国に補償義務というものはありやなしやということのいろいろ議論がありましたが、裁判の例によれば、これに関しては国に補償義務がないという判決が出ております。
  361. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 その判決は、平和条約の十九条の(a)項で、日本国が、この条約の発効前における、日本領域において連合軍が行なった行動から生じたすべての請求権を放棄する、こういう平和条約十九条の(a)項に基づいて請求権を失っておるわけでしょう。どうですか。     〔青木主査代理退席、主査着席〕
  362. 丸山佶

    ○丸山政府委員 判決理由の詳細について、今詳しく資料を持ちませんが、この十九条(a)項によりまして国が放棄をしておる、これがお話通り第一点であります。しかしながら、国が放棄したことに関しましても、これは国が戦争に負けて独立を回復する、こういう現在の法制体系を越えた、一つの国のやむを得ざる最高の処置ということであるので、直ちにそれによって個人々々の請求権が国に向かう、国がそれに応ずべき義務とはならない、このようなのが判決例かと思っております。
  363. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 判決例はそうですが、政府の考え方を聞きたいと思うのです。この個人の請求権というのは、平和条約の十九条の(a)項によって失われたわけです。このことを確認されますか。
  364. 丸山佶

    ○丸山政府委員 個人の連合国に対する権利は、それによって失われたものだと考えております。
  365. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 政府が個人の請求権を放棄さしたということによって、直ちに国に法律上の請求権が及ぶ、私は、こういう点については、なかなか問題があろうと思う。しかし、政治的に解決してやらなければならない問題です。これは当然、国として政治的に義務を負わなければならない問題でしょう。国民の個人の請求権を国が放棄さしたのですから……。それは、そのことによって、直ちに国が損害賠償の請求権の対象になるという法理論が、可能であるかどうかは問題があるとしても、政治的には、国は個人の請求権を放棄させたのですから、これは当然政治的に解決してやらなければならぬ政治的義務があると思うのです。ですから、ドイツにおいても、イタリアにおいても、そういうように占領中に占領軍によって受けた損害の補償は、ドイツ政府並びにイタリア政府がかわってしてやる、こういうことになっているわけです。ですから、私は、当然国としてはそういう立法措置をとるべき政治上の義務がある、こういうふうに考えるわけですが、長官はどういうようにお考えですか。
  366. 丸山佶

    ○丸山政府委員 お話通り、この関係におきます法律論はむずかしいものと思いますが、政治的にこの問題は、日本の国として解決すべき問題だと考えております。それによりまして、私は、占領時代並びに平和回復の前後におきましてとられた見舞金の措置、これが一つの、国がとられたそれに対応する方策だろうと思います。
  367. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 第一、その額の僅少なことと、その額が支給される時期が非常におくれた。これはもう御存じのように、インフレ時代ですから、昭和二十年あるいは二十一年ごろの損害賠償が、大体最初は一人当たり五百円もらっている。しかし、その支給も、そのとき支給しているのではない。その後に支給しておる。支給時にはかなりインフレになっておる。やはり当時の状態では、一日々々貨幣価値が変わっていった状態ですから、当然その処置を誤らないように、当時の物価に応じて適正に支払われるのが当然だと思う。しかも、これだけのものを、私は行政措置で行なうべきものではないと思う。本来、法律で行なわなければ国民に周知しません。ですから、今度初めて調査をされて、二千五十名という調査漏れを発見されたという。しかも、これも法律が施行になって、そして占領中における損害の賠償が行なわれるのだということになりますと、まだ数はふえる、かように考えておるわけですが、これは、こそこそとやる性格のものではない。当然法律事項として補償さるべきものです。それをなぜ今まで放置されて、法律事項にされなかったのか、これをお答え願いたい。
  368. 丸山佶

    ○丸山政府委員 この見舞金を支給する措置、これはお話通り、閣議決定に基づく行政権の処置として行なわれました見舞金という性質のものにおいては、私はそれで差しつかえないものと考えております。もちろん、これの周知徹底等の努力は、法律によると閣議決定の行政権措置によるといなとにかかわらず、十分周知徹底をはかってやるのが至当だと思っております。従いまして、今回決定しました支給漏れの方に対する処置も、前回同様、閣議決定の行政権措置で差しつかえないものと考えております。ただ、法律という問題に関しましては、先ほどイタリアあるいはドイツの例をおあげになりましたが、国がやはり政策として、補償金をこれらに対して新たに認めるということになりますならば、これはやはり法律を要するだろうと思っております。その意味で、別途の政策が国にとられるということになりますと、法律が必要になろうと考えております。単に、従来の見舞金措置という性質に考えていくならば、従来通りのような方法をもって——もちろん周知徹底には十全を期すべきでありますが、それで差しつかえないだろう、このように思っております。
  369. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 例の海外からの引き揚げられた方々に支給したのは、お見舞金だったでしょう。これは何も政府の補償金じゃないですね。補償義務を政府が考えたわけではないでしょう。どうですか、あれも見舞金でしょう。
  370. 丸山佶

    ○丸山政府委員 申しわけありませんが、引き揚げの問題に関することは、私明確に存じておりませんので、今お答えいたしかねます。
  371. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 阿波丸事件、これも遭難者の方々に、政府は当時お見舞金を出した。これも法律事項ですよ。
  372. 丸山佶

    ○丸山政府委員 阿波丸事件、あるいは引揚者に関するお見舞金の処理に関する取り扱いを、私十分に存じておりませんので明確にお答えできませんが、私が申し上げておりますことは、見舞金措置の性質のものをもってするならば、予算が成立し、行政権のもとにおいて決定された法律事項で差しつかえないものと考えております。これを国の義務と認めて、その施策のもとに行なうということになりますれば、私はやはり法律を要するものだ、このように考えております。
  373. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 阿波丸事件の見舞金支給のように、あれは特定の範囲の人に支給するのに法律をもってした。今度のように、全国どこにもそういう事件が起きておる。きわめて広範です。しかも対象は不特定の人です。こういう、法律でなくて行政措置でやるということ自体に問題がある。支給漏れは、知らないのだから当然ですよ。こういったことは、義務があるとかないとかの問題じゃない。阿波丸事件だって、義務があるかどうかということは、法律にうたってないのです。ただ政府は見舞金を支給するという、たしか二条か三条かの簡単な法律です。ですから、そのことは、国家賠償の義務があるから法律にするのだ、義務がないから法律にしないという性格のものではないと私は思う。やはり膨大な予算が要る場合には、当然法律にして、しかも、この支給の対象というのは広範で、どこに隠れておるかわからないのです。これはどこから考えても、当然法律事項ですよ。これをこそっと行政措置でやるというところに、今まで問題があった。なぜ法律事項にされないのか、あなたの説明では納得がいかない。
  374. 丸山佶

    ○丸山政府委員 私は、見舞金であるから法律にはならないのだとまで申し上げておるわけではございません。見舞金の処置をする場合に、法律ではいけないということまで申し上げておるわけではございません。見舞金の性質の措置、これはやはり行政権の措置、予算の成立を待ってでき得る事項だと申し上げておるのであります。前回もそういうことで処置をしております。不特定多数の人のお話において、周知徹底の面において遺憾だというお話でございましたが、行政権の処置によりましては、そのとるべき方法によっては、十分に周知徹底をはかり得るものだと考えておるわけでございます。
  375. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 調査をされまして、すでに支給したのが六千六百余名、支給漏れのものが二千五十名、これで一体周知徹底したと言えますか。現に三分の一が支給漏れじゃありませんか。こういった、こそくな態度がいけないのだと私は思う。これは不特定多数だから、はっきり法律にして、周知徹底をする必要がある。こういった、こそく的な態度を持っておるところに、私はこの問題が解決しない原因があると思うのです。これは事務当局が責任を持ってやらなければならない問題ですよ。あなたは、行政措置でも周知徹底できると言われているが、現に調査したところでは、今まで支給している分の三分の一くらいの支給漏れと出たじゃありませんか。これは法律を出せば、なお支給漏れが出ますよ。
  376. 丸山佶

    ○丸山政府委員 法律でなくても、周知徹底の方法は十分にとれると思います。現に調査をやるについて、別に法律の手段によって調査をしたわけではございません。法律によりますれば、官報による、あるいは新聞、あるいは行政官庁のこれに対する周知徹底が十分にいく。しかし、行政権措置によってやる場合においても、それぞれ同様な措置によって周知徹底を十分にはかり得る、このように考えております。
  377. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私がその数字をあげて説明をしても、行政権で十分周知徹底できる、こう言われましたが、あれだけの費用を使って、わざわざ調査のために予算を組んでやったから出てきたのです。ただ見舞金を支給しますといって、こそっと見舞金を支給していたのでは、これだけ出てこない。現に調査してみたところが、今まで支給したものの三分の一ぐらいの数字が出たというのですから、これは当然法律にすべき問題であろうと思う。法律の問題についてはかつて官房長官当時の赤城さんが、法律が適当である、こういうふうに思うということを言われましたから、あなたに質問をしてもいたし方ないので、大臣が来られるまで待ちますけれども、しかしこれは、事務当局にも責任の一端はあるのではないかと思う。しかも、今申しましたように、外国でもやはり立法事項として片づけておる。こそっと片づける性質のものではない。これは法律としても、かなり多くの法律が国会に提出されておりますけれども、相当重要な法律になります。ですから、当然事務当局としては、立法をするという建前で、政府に対して、あるいは大臣に対してその意見を述べられるべきが至当である、こういうように考えるわけです。  次に、現在の行政協定のもとにおける賠償の額についても問題があるのですが、これは人が死んだ場合、千日分という基準です。しかし、これは実際に裁判をやりますと、千日分以上の場合が多いのです。これはやはり、裁判をやってみたところ、政府が出した支給金額よりもよけい出さなければならなかった。ところが、被害者は、一回一回裁判をやらなければ多くもらえない。こういったことは、非常に矛盾しておりはしないかと私は思うのですが、これは占領中だけの問題ではありません。現在、講和発効後においても現実に行なわれている問題ですから、御答弁願いたいと思います。この千日分という基準は再検討をする必要があるんではないか、こう考えますけれども、どういうようにお考えですか。
  378. 丸山佶

    ○丸山政府委員 死亡の場合の賠償金額に関しましては、お説の通り、世の中のことを、類型の事例について、全部千日分というような基準でやっておるものではありません。裁判による例でも、それよりも非常に多くなる場合もありますし、また場合によっては、もっと少ないのもございます。また、一般的なと申しますか、話し合いで解決される場合でも、その額の大小は非常にあるのでございます。従いまして、政府がここに最も公正な一つの基準を作るということになりますと、いろいろ関連の法令その他も参照してみる。この千日分は、たしか労働関係法令のある基準をとったものと承知いたしておりますが、もとより人命のことと申しますと、本来ならば、なかなか金額換算ということもできがたい性質のものである。それを、何らかここに金額をもって見積もらざるを得ないという状況におきましては、一つのある基準を設ける。それがただいま申し上げましたように、法体系の類型のもの等における基準が千日分となっておる、これを採用しておるものでございます。
  379. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 政府の支給された額と、裁判所の決定額が、たまに違うということならばよろしいのですが、とにかく政府は千日分くれた、訴訟をすれば必ず千日以上になる、こういったばかげたことはないと思うのですね。裁判所の方式は裁判所の方式だ、政府は政府だ、常にそれが違う。訴訟をする力があれば、なるほど千日以上もらえる、泣き寝入りした者は千日だ。これは額の低い場合もありましょうけれども、裁判が常にそういうホフマン方式ならホフマン方式をとっておるとするならば、これは国においても考える必要があるのではないかと思うのです。政府が支給する額を不満として訴訟をすれば、その裁判の判決はほとんどがそれよりも高い、こういうようなことは、何らか調整をする必要がありはしないかと思いますが、どうですか。
  380. 丸山佶

    ○丸山政府委員 裁判に付されれば、必ず額が上がるとも私は考えておりませんが、確かに、お話のように、ホフマン方式ということの採用によりまして、現在政府がとっておるものよりも上がる例を私も承知いたしております。しかしながら、先ほども申し上げましたように、一つの行政官庁が、行政基準で最も適切に、かつ敏速に処置していく基準といたしましては、やはり私は、今のところ、この千日分ということが至当であろうと、現在は考えております。
  381. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は、これはどうも被害者の方々にも非常に気の毒だと思うのです。人命の評価をするわけではありませんけれども、裁判所と政府が、これだけ見解の違うものはないのです。とにかく訴訟をすれば、大体千日分より多くもらえるのです。そうして労災と不法行為による場合と、これを一律に見たところにも問題があると思うのです。要件が違う。ですから、必ずしもこれを一律に扱う必要もない。こんなに裁判所の判決と政府の支給金額が違うということになると、被害者の方々は非常に気の毒だと思う。今までのように、政府は政府だ、裁判所は裁判所だ、不満ならば裁判所に訴えなさい、今までの例を見たら、裁判におかけになったら大てい上がります。これでは裁判にかけることを奨励しているような状態。これは何らか調整をしておく必要があるんじゃないかと思う。裁判所でそういう方式をとっておるなら、政府もそういう方式をとる。一体どういうようにお考えですか。依然としてこれでいいとお考えですか。
  382. 丸山佶

    ○丸山政府委員 補償額の基準につきましては、常々検討は加えてあるわけでございますが、現在のところ、より以上のりっぱな基準ということの結論には到達いたしておりませんので、ただいまのところでは、やはりあの線でよろしいと考えております。
  383. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私は、これは十分検討をする必要があろうと思うのです。政府は、労災の千日分というものをもって、人命がなくなった場合には千日分やればいいんだという態度でおる。被害者の方は、訴訟をすれば必ず上に上がる。しかも、これが一回や二回ならいいのですが、ずっと現実に行なわれておる。そういたしますと、国鉄等の場合はどうなりますか。これはどういう方式をとっておりますか。
  384. 丸山佶

    ○丸山政府委員 担当の部長から御説明いたさせます。
  385. 大石孝章

    ○大石政府委員 お答えいたします。国鉄等の他の官公署あるいは公社等の補償の仕方は、必ずしも、当庁のように労災の基準で、収入日額の千日分を支給するという方式ではないようでございます。ですから、個々の事情によって、いろいろ事情をしんしゃくしてやっておるようでございますが、先ほど、うちの長官からお答えいたしましたように、私どもの方の基準は、なるほど米軍の不法行為によるものもありますが、中には過失相殺等の対象になるようなそういう事案、そういうことを統一的にやろうとすれば、どうしても現在の単一方式がよろしいだろうというふうに考えておる次第でございます。
  386. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そうすると、交通事故等で、過失がありましても、あなたの方は必ず千日分出されますか。
  387. 大石孝章

    ○大石政府委員 私どもの方の算定は、まずその損失の額を算定しまして、それから過失相殺等の割合を検討いたしまして、控除するものは控除するというような方式でいたしております。しかしながら、大体におきまして、できるだけ被害者御本人の有利になるような方式を、計算上も採用いたしておるような次第でございます。
  388. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 しかし、過失相殺によって引いておるわけでしょう。控除しておるわけでしょう。
  389. 大石孝章

    ○大石政府委員 おっしゃる通りでございます。
  390. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そんなら意味がないじゃありませんか。米軍の不法行為だけでなくて、被害者の方に過失があっても千日分支給するんだというならば、意味がある、そういう理論なら……。米軍の行為によって行なわれた場合には、その損失を見るというのなら、私は一律にするという意味もあると思う。しかし、過失相殺するというなら、意味がないじゃないですか。なぜ千日分にして置いておくか。一律にする意義がないでしよう。
  391. 大石孝章

    ○大石政府委員 先ほど申し上げましたのは、私ども実務上から見ます被害者の対象が種々広範でございますので、その場合に、なるほど先生の御説のように、いろいろな方式を定めておいて、そうして、そういうような適用をはかった方がよろしいという意見も考えられますが、請求しますいろいろな事案を見ますと、それをむしろ補償方式は単一にしておいた方が、適用や何か、きわめて都合がよろしいという考え方に立っておるわけであります。
  392. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 国鉄やその他政府機関においても、賠償の方式はさまざまだということはどういうわけですか。なぜその統一ができないのですか。
  393. 大石孝章

    ○大石政府委員 その補償方式が、政府機関の間においてまちまちであるということにつきまして、私詳しく申し述べることができませんが、ただ現在の段階では、おそらくその基準になるものは国家賠償法の規定だろうと思います。国家賠償法の中に、きちんと補償の額といったような基準を定めてないのが基本的な原因ではなかろうかと存じます。
  394. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 政府機関の内部においてもまちまちだということでありますので、どうもふに落ちぬわけですが、国家賠償法の請求権に基づく賠償の場合はどうなりますか。
  395. 大石孝章

    ○大石政府委員 当庁のように、労災の方式を大体の基準といたしておるようでございます。
  396. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 しかし、各政府機関は別だというわけですね。政府は大体調達庁と同じだけれども、政府機関は別だ、すなわち、国鉄等の政府機関は別だ、こういうわけですか。
  397. 大石孝章

    ○大石政府委員 そのように存じております。
  398. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 いやしくも政府機関であれば、賠償方式ぐらいは統一しておく必要があるのじゃないかと私は思います。あるいは全部、裁判にゆだねるなら裁判にゆだねる。裁判方式でいくなら裁判方式でいく。どうも補償を受ける方でも、こういう不愉快なことはないですよ。そうして訴訟すれば高くなるかもしれぬというような、こういった政府の補償方式というものは、きわめて不親切だと思うのです。あるいは一律で、若干裁判よりも得をする人があるかもしれない。しかし、裁判にかけても政府の方でも、大体同じであるというような、こういう方式でなくちゃならないと思うのです。これは非常に重大なことだと思うのです。政府は、労災ができる前はどういう方式をとっておったのですか。
  399. 大石孝章

    ○大石政府委員 労災以前の方式につきましては、私詳しく存じておりません。
  400. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 どうもこの点についても私は納得できない。すなわち、政府としては、やはり統一した補償方式というものが考えられてしかるべきではないかと思うのですね。ことに政府機関においては、同じように扱わなければいかない。この千日分というものも、今や十分考え直さなければならない段階がきておる。この千日分というのは、終戦直後、すなわち、昭和二十二年から千日分という状態です。ところが、あのときに、変な話ですけれども、一般国民は戦争中にずいぶん自分の親族を失ったりして、人間が爆撃にあったりしたものですから、人命に対する評価といえば、変な話ですが比較的薄かった時代、また国力がそれほどなかった時代、会社の経営も余裕がなかった時代の千日分なんです。ところが今、千日分というのは、現在退職金をもらった方がずっといい、そういう事故によってなくなったよりも……。退職金の方が、千日分をこえるのが幾らもありますよ。これも私は、再検討する時期がきておると思うのですね。これはあなたの方だけの問題ではない。そのもとの労災問題もそうですが、とにかく人命を失ったという最大の不幸を償うのに、まだ生きておる人よりも低いという状態なんですね。これは私は、十分検討する必要があると思うのです。そうして基本的人権の尊重だといわれるけれども、これが依然として、あの日本経済が窮迫した時代の千日分というものが慣行的に行なわれ、法律的にもその改正がなされていないというところにも、非常に問題があると思うのです。もと終戦直後、二十二年から二十三年に労災保険ができたころの千日分というものは、当時の評価からいいますと、かなりの額でした。ところが、今日、経済は復興して、そうして会社でも年金制度ができたり、あるいはまた、退職手当がかなりの額に達するようになりますと、千日分というのは非常に低い額なんですね。ですから、こういった点についても十分検討しなければならぬ。それとあわせて、人命の問題についても、依然として千日分というのはおかしい。それが証拠には、あなたの方で千日分出しても、それの三倍あるいは二倍くらいの金額を支払わなければならぬという判決を裁判所が下す場合があるでしょう。現実にあるはずですね。そういう状態になっておる。わずかの差じゃないのです、かなりの差が出ておる。ここにもやはり問題がありはしないか、こういうように私は考えるわけです。そこで、防衛庁長官見えませんか。
  401. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田主査 今、再々呼びにやりましたが、参議院で討論、採決しておりますので、済み次第参ります。今、小幡政務次官が来られましたので、どうぞ。
  402. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 これは実は赤城官房長官が、当時調達庁が総理府にあったときで、所管長官であったわけです。またくしくも防衛庁に調達庁が移って、その所管防衛庁になったものですから、これは逃げられない状態になっておるわけですが、そこで、昨年の同じ予算委員会の第一分科会で明確に答弁されておる。その答弁は、占領中の占領軍の不法行為等による損害賠償はきわめて低かった、だから講和発効後における占領軍の不法行為等による損害の賠償に比べて均衡を失するから、これはぜひ不均衡を是正したい、それがためには、調査が不十分であるから調査をする、それに調査費を組んでおる、その調査昭和三十四年の六月から七月くらいに調査が完了する、その際は立法事項として、自分はその損害補償について、国会調査の結果をまとめてそういう法案を提出したい、こういうことを明確におっしゃておるのです。ところが、それがなされていないのですよ。ですから、私は聞いておるわけです。一体これはどういう状態で——いやしくも国会ではっきり断言をしておきながら、その調査結果も出た、そして明らかに不均衡であるということもわかった、しかるに、法律案は出されない、そしてその不均衡是正の点については何らの考慮も行なわれていない。これは人権の問題だと私は思うのです。これが行なわれていないのは一体どういうわけであるか、これをお聞かせ願いたい。
  403. 小幡治和

    小幡(治)政府委員 実はお説の通りでございまして、防衛庁といたしましては、今度の予算において今まで未支給の人たちに対する問題を片づけますとともに、不均衡の是正という問題についても、ぜひ一つ解決いたしたいという気持でいろいろ折衡もいたしたわけでございますが、残念ながら、未支給者の分だけは今度の予算で解決するようになりましたけれども、不均衡是正の面については、調査の面でもう少しやらなくちゃならぬ面も一部残っておるようでございますし、また、いろいろこれに対する政府部内の議論というものもあるようでございまして、そういう点についてもう少し検討を進めて、われわれとしては具現化に向かいたいという気持でおるような次第でございます。
  404. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 次官、なかなかお上手に答弁されましたけれども、すでに支給した方々の調査が一部残っておるということはないんですね、それはありませんよ。もう金額もはっきりしていますから、これはないですよ。支給漏れの分についてはあるということもありますけれども、事実は違っておる。これは何十億という数字ではないんですから、要は、政府で出す意思があるのかないのかということになると思うんですよ。先ほどから言っておるんですが、諸外国ではいち早く、講和条約発効後にドイツでもイタリアでも、はっきり、国がかわって補償するからということを明記しておる。こういったことは、政治においては重大なことです。これは取り残された人々なんですから、そういった声なき声を聞くということは政治の要諦ですよ。これが放置されておるということ。しかも、これは莫大な予算を伴うものじゃない。先日からこの予算の分科会で、ロッキード数字が合わないとか合うとか、金額が違うとか言っておりますが、ロッキード購入のはしたの金額でも十分まかなえるんですよ。これは私は、きわめて重大な問題だと思う。そこで防衛庁長官がおいでにならなければ、私は、この質問は留保したいと思うんです。次官に赤城長官答弁した言質をもって質問するのは非常に気の毒ですから、私は、この予算の分科会において、はっきり赤城長官から御答弁願いたいと思う。昨年の予算分科会ではっきり答弁をなさっておるんです。しかも、私は簡単に質問をした。そうしてはっきりした言明を得ておるのです。ですから、やはり同じ長官が大臣ですから、私は長官からはっきりした答弁を得たいと思うのです。私は、赤城さんを非常に信用しておった。そうしてああいう柔和な方ですし、庶民的な政治家ですから、私は、こういったことは必ずやっていただけるものだと信頼しておったわけです。それを今度の予算では、わずか八千万円程度の支給漏れの方についてやるのだという。これは愛情のない政治です。私はこの点はどうしても承服できない。ですから、大臣が見えてから私は質問をしたいと思います。
  405. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田主査 ちょっと多賀谷委員に御相談いたしますが、赤城大臣も早く来たいといっておられるようですが、先ほど申し上げたように、参議院の方で討論、採決中で、もうじき終わると思います。それで、あすは、防衛庁長官は横須賀でウイジングトン提督と会談をする約束になっておりまして、あすは出られないとのことであります。従いまして、恐縮でございますが、もうちょっと待っていただきたいと思います。
  406. 小幡治和

    小幡(治)政府委員 ただいま赤城長官からじかに聞きたいというお話であります。まことにごもっともと思いますけれども、赤城長官も、私先ほど御答弁申し上げました通り防衛庁としては、また長官としては、ぜひ不均衡是正をやりたいという気持で相当折衝もされましたし、いろいろ議論もされたんですが、不均衡是正の問題については、一度とにかくそのときの条件といいますか、情勢によってやった以上は、それをまたすぐ是正するということも、ほかのいろいろな案件と比べて、なかなかむずかしいというふうな大蔵省の方の強い意見もありましてここがうまく両方の意見がぴったり合うというところまで行き得なかった。これはわれわれとしては、非常に残念だと思っております。なお、今度の予算では、そういう意味で間に合いませんでしたけれども、大臣も、またわれわれといたしましても、お説の通りの気持を持っておりますので、今後さらに折衝して、そういう議論の上で合わないところはわれわれの議論に統一していただくようにして、全力をあげて御趣旨のように持っていきたいということで努めておるということを申し上げて、一つ御了承を得たいというふうに存じております。
  407. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 私はこの予算審議でなければ申しません。あるいはまた、予算の編成前なら、あるいは了承します。編成が済んで予算が出されておるのですから、その言葉はどうも了承できない。そうして長官の話や今の次官の話を聞きましても、待っておれないのです。待っておれないというのは、政府だっていつ変わるかわからぬのですよ。赤城さんが次の予算編成期におれるかおれないか、第一わからない。ですから、私はどうしても長官から聞きたいし、そうして一度支給を追加したものについては、なかなか追加がしにくいという理論は、そのことは依然として残るのです。一度追加したらできないという性格のものだといわれるなら、これはまた別の角度からわれわれは検討しなければならぬと思う。期待があるような、ないようなお話をされるということは、私は不謹慎だと思うのです。調査をして、調査結果が出たときに行なわなければ何にもなりません。まあ長官が来られるまで待ちましょう。
  408. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田主査 防衛庁長官が来られましたので、質疑を続行願います。多賀谷真稔君。
  409. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 赤城防衛庁長官お尋ねいたします。先ほどから、調達庁の長官並びに政務次官と質疑をかわしておったわけですが、実は問題は、赤城長官自身の言明にも関係があるので、長官がおいでになるまで一時中断をしておりました。それは昨年、やはりこの予算委員会の第一分科会において、当時調達庁が総理府所管で、官房長官がおやりになっておりましたので、官房長官としての赤城さんに私は質問をしました。それは、占領軍が不法行為等によってわが国の国民に対して人命に被害を与えた場合の損害の補償について、第一には、講和発効後において、同じように占領軍が不法行為等によって損害を与えた場合の補償金額と著しく均衡を失する、その不均衡を是正してもらいたい。この是正については、今調査をしておるので、その調査の結果十分善処したい、しかも調査の結果は、その支給の是正については法律をもってするが適当であると思う、こういう御答弁をいただいておるわけです。ところが、本年の予算書を見ると、支給漏れの人々にのみ支給するんだ、しかも見舞金を支給するんだ、こういうことで、額の是正という面については何ら触れられていない。これは非常に遺憾であるとともに、法律もお出しになっていない、これはもってのほかではないかと思うのです。そこで、なぜそういうようになったのか、しかも、調達庁の所管防衛庁に移ったそうですから、長官から一つ十分な御答弁を願いたい、こういうように考えるわけです。
  410. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 進駐軍による日本人の身体に対する被害等につきまして、御指摘のように二つの問題があります。一つは、補償といいますか、見舞といいますか、そういうものから漏れた者が相当あるわけであります。これにつきましては、本年度調査費等を置きまして、漏れた者の調査を続けていきまして、大体判明いたしました。従いまして、これにつきまして補償金にするか、見舞金にするか、これは言葉上いろいろありましょうけれども、これにつきましては、本年度予算に八千万円を計上いたしまして措置をとるつもりであります。もう一つは、そのときどきにおいて適当と思う見舞金を出したわけではありますけれども、結果から見まして、非常に不均衡を免れないような状態になっております。私といたしましては、官房長官といたしましても、防衛庁長官といたしましても、この方面の調査をすべきであるということで、ことしの予算折衝におきましても財政当局と相当協議をして、実は調査費程度は大体計上されておったように、うかつにしておったのであります。しかし、結果において、予算として計上されておりません。これにつきましては議論もあります。一たん見舞金でも出したのであるから、それを一々是正するような措置をとるのは不適当だという議論をする者もあります。しかし、そういう点も含めて、やはり出すべきものならば出すというふうに、調査をすべきでないかというふうに私考えておりますが、残念ながら、調査費が予算として提出されておりません。この点につきましては、なお私といたしましてもその方向に検討、協議を続けていきたいと思います。  そこで法律を出すか出さないかという問題でありますが、私は、こういう問題は法律でもって解決すべきであると思います。でありまするから、ただ出し方につきましては、政府提案にするか、また両党ともいろいろこの問題には関心を持っておりますから、議員提出の法律案として出すか、こういう点が残っておる問題であります。提出の方法は、いずれにいたしましても、私は法律で出すのが適当である、こういうように考えます。
  411. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 そういたしますと、議員提案ですればあとから予算がつけてもらえますか。両院で話し合って、大体出すことにすればいいですか。
  412. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 予算を伴う法律案は差し控えてほしい、こういうふうに内閣でもなっております。しかし、私は調査費等のことはよく財政当局と相談しなければ——今の予算の中に含まれていやしないかという気がするのですけれども、この点も、私検討いたしたいと思います。
  413. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 しかし、大体調査は一応なさったわけでしょう。また、法律を施行して、請求期間も長くすればできるわけですからね。請求する期間を長くすれば、漏れなぐできると思うのです。ですから、大臣がそういうお気持ならば、支給しないということじゃなくて、議員立法でもいいようなお話をされれば、われわれすぐ話し合って出したいと思いますがどうなんです。政府としては率直のところ、十分受け入れる気持はあるのですか。
  414. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは、財政当局とよく話し合ってみないと、今断言できません。ただ不均衡の方は、調査が済んでないのです。今までの調査費は、漏れた方を調査しておった、こういうことになっておるのです。それで予算折衝当時も、調査費を一つ置いて不均衡を調査してみたらどうだ。ところが漏れたものの調査をもう終えたのだから、それ以上調査費を置いて継続していくのはまずいと大蔵当局は言うわけです。だから、その調査費は、今度は不均衡の方へ向けて、とにかく調査をするということで、その方向へ持っていけないかという折衝をしたわけです。あけてみたら、どうも入っていなかったようです。まことに残念なんですが、そういうわけで、財政当局の意向をよく確かめませんと、不均衡の方までに手を伸ばしていくことは、現在お答えできない状態です。
  415. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 事務当局でいいですが、不均衡の調査というのは、どういうことを調査するのですか。
  416. 丸山佶

    ○丸山政府委員 先ほどお答え申し上げたと思いますが、御承知の通り、占領時代の期間は約六期に分かれまして、その各期ごとに見舞金の金額が違っておるわけであります。それを一応二十七年、八年に追給措置も行なわれましたが、その結果に基づいても、なおかつその六期の間には段階があるわけです。従いまして、その段階をそのままにしておいていいのか、これをどういう基準、方式によって調整をするか、こういうものが一つの事項でございます。もっとも調査といいましても、検討を要する事項が大部分でございます。
  417. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 不均衡の調査というのは、一般の被害者の方々の調査じゃないようですね。ですから、この調査費というのは、そう要らないんじゃかいかと思うのです。大臣も、政府が出すか、あるいは議員提出の法律案とした方がいいか、こういうような話までおっしゃいますならば、われわれも大臣の気持がよくわかりましたから、議員同志でそういうように手続をしたい、こういうように考えますから、その際はよろしくお願いしておきたいと思うのです。  そこで、ドイツあたりでも、やはり占領中にも一回は支給しておったのです。ところが、額が不均衡だというので、あるいは占領軍の担当者から却下されたというようなことで、例のドイツの占領損失補償法ですか、こういう法律を出しておる。全然支給しないのじゃないのです。占領中もやはり支給しておる。その額が非常に少ないということで、講和条約発効後、一九五五年十二月ですから、講和条約を結んだ直後に、もう法律を出しておるのです。そういう親切さがあってしかるべきじゃないか、こういうように考えるわけです。大臣の方は、法律事項として、そういったものは補償をすべきだという考えであります。そのことが十分わかりましたから、あとは議会の方で手続をとり、党の方で折衝をいたしますから、財政当局の方はよろしく大臣の方からお伝え願って努力してもらいたい、このことをお願いしまして、質問を終わります。
  418. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田主査 明二十七日は、午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会