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1960-02-24 第34回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和三十五年二月二十日(土曜日)委 員会において設置することに決した。 二月二十三日  本分科員委員長指名で次の通り選任された。       青木  正君    上林榮吉君       櫻内 義雄君    西村 直己君       野田 卯一君    三浦 一雄君     早稻田柳右エ門君    井手 以誠君       岡  良一君    河野  密君       横路 節雄君    大貫 大八君 同日  早稻田柳右エ門君が委員長指名主査に選  任された。 ————————————————————— 昭和三十五年二月二十四日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席分科員    主査 早稻田柳右エ門君       青木  正君    上林榮吉君       櫻内 義雄君    西村 直己君       三浦 一雄君    井手 以誠君       河野  密君    横路 節雄君       大貫 大八君  出席国務大臣         法 務 大 臣 井野 碩哉君  出席政府委員         内閣官房長官  椎名悦三郎君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府総務長官 福田 篤泰君         国家消防本部長 鈴木 琢二君         総理府事務官         (宮内庁皇室経         済主管)    高尾 亮一君         防衛政務次官  小幡 治和君         大蔵政務次官  奧村又十郎君  分科員外出席者         衆議院参事         (庶務部長)  知野 虎雄君         参議院参事         (管理部長)  佐藤 吉弘君         裁判官弾劾裁判         所参事         (事務局長)  隈井  享君         裁判官訴追委員         会参事         (事務局長)  小林 健治君         国立国会図書館         副館長     岡部 史郎君         会計検査院事務         総長      大沢  実君         最高裁判所事務         総長      横田 正俊君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所会計検査院内閣総理府経済企画  庁を除く)、法務省及び大蔵省所管  昭和三十五年度特別会計予算総理府及び大蔵  省所管  昭和三十五年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が、第一分科会主査の職を行なうことになりましたが、何分よろしくお願いをいたします。  当分科会は、理事会の申し合わせによりまして、本日より二十七日までの四日間開会することになっておりますので、審査都合上、一応の予定といたしまして、本日午前中は、本分科会所管全部について説明を聴取し、午後は内閣総理府所管、二十五日は引き続き内閣総理府所管、二十六日及び二十七日は皇室費国会裁判所会計検査院法務省大蔵省所管審査をいたしたいと存じます。これは大体の予定でありますので、審査都合上、質疑の多いものがありました場合は、多少変更することといたしたいと思いますので、さよう御了承を願いたいと存じます。  なお、議事進行都合上、質疑をなさる方は、あらかじめ出席政府委員等要求の上、御通告下さるようお願いいたします。  それでは、昭和三十五年度一般会計予算中、皇室費国会裁判所会計検査院内閣経済企画庁を除く総理府法務省及び大蔵省所管昭和三十五年度特別会計予算中、総理府及び大蔵省所管昭和三十五年度政府関係機関予算中、大蔵省所管を議題といたします。  これより順次関係当局より説明を求めることといたします。まず、皇室費説明を求めます。皇室経済主管高尾亮一君。
  3. 高尾亮一

    高尾政府委員 昭和三十五年度皇室費歳出予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  本歳出予算に計上いたしました金額は、四億七千四百七十八万五千円でありまして、その内訳は、内廷費五千万円、宮廷費四億一千百二十八万五千円、皇族費一千三百五十万円であります。  これを前年度歳出予算に比較いたしますと、内廷費及び皇族費につきましては、前年度と同額となっておりますが、宮廷費におきまして一千九百三十六万二千円の減少となっております。  次に、そのおもなる経費につきまして、事項別に申し述べますと、内廷費は、皇室経済法第四条に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上いたしております。宮廷費は、内廷費以外の宮廷において必要な経費を計上いたしたものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費約二千四百万円、その他皇室用財産管理等に必要な経費約三億八千七百万円であります。皇族費は、皇室経済法第六条に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上いたすことになっておりますが、本年度は、秩父、高松、三笠の三宮家に必要な経費を計上いたしております。  以上をもちまして昭和三十五年度皇室費歳出予算説明を終わります。よろしく御審議あらんことをお願いいたします。     …………………………………
  4. 早稻田柳右エ門

  5. 知野虎雄

    知野参事 衆議院関係歳出予算について御説明いたします。  昭和三十五年度国会所管衆議院関係予算要求額は二十四億二千八百八十二万五千円でありまして、前年度予算額二十四億三千五百六十九万五千円に比較いたしますと、六百八十七万円の減少となっております。  次に、おもな事項について御説明申し上げます。  まず、国会運営に必要な経費といたしまして二十二億五千九百五十万二千円を計上いたしております。これは、衆議院国会権能を行使し、かつ、衆議院事務局及び法制局所掌事務処理するため必要な経費でありまして、議員歳費通信手当議員旅費議会雑費議員秘書手当立法事務費及び列国議会同盟分担金等議員に関する経費として十一億四千四百三十四万三千円、委員派遣旅費審査雑費及び証人旅費等国政調査に要する経費九千五百九十四万六千円、事務局法制局及び常任委員会職員に要する人件費旅費事務費、その他議案類印刷費光熱水料通信費議員会館等維持管理に必要な経費十億一千九百二十一万三千円を計上いたしてあります。  第二に、議会開設七十年記念に関し、必要な経費といたしまして八百七十八万八千円を計上いたしてあります。これは、議会開設七十年記念式典を挙行し、かつ、議会制度七十年史刊行に必要な経費でありまして、記念式典に関する経費七百四十二万五千円、七十年史編さん刊行に関する経費一千十五万一千円でありまして、所要総額一千七百五十七万六千円を衆参両院にそれぞれ折半して計上いたしたものであります。  第三に、列国議会同盟東京会議開催に必要な経費といたしまして六千六百十四万一千円を計上してあります。これは、本年秋開催されることとなっております列国議会同盟東京会議に必要な経費でありまして、会場等の設備に要する経費四千四百二十八万七千円、列国議会同盟評議員会議長夫妻及び同盟事務局職員等の来日に要する航空賃及び滞在費一千七百三十九万三千円、会議運営のために要する経費一千四百二十七万円、各国の出席代表等の接伴に要する経費一千九百七十六万八千円、所要総額九千五百七十一万八千円を衆参両議院にそれぞれ区分して計上されたものでありまして、六千六百十四万一千円を衆議院に、二千九百五十七万七千円を参議院に計上されてあります。  第四に、営繕工事に必要な経費として八千七百三十九万四千円を計上いたしてあります。これは、議長公邸の新営等の営繕工事にかかる経費でありまして、衆議院議長公邸新営費に三千四百八十九万円、本館昇降機改修費に二千九百四十五万円、陸橋上屋増築費に三百八十万四千円、各所営及び改修費に一千九百二十五万円となっております。  第五は、国会予備金に必要な経費として、前年度と同額の七百万円を計上いたしてあります。  以上、簡単ながら概略の御説明を申し上げました。     …………………………………
  6. 早稻田柳右エ門

  7. 佐藤吉弘

    佐藤参議院参事 昭和三十五年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、十五億六千五百四十六万円でありまして、これを前年度予算額十五億六千七百二万五千円に比較いたしますと、百五十六万五千円の減少となっております。  次に、この要求額をおもなる事項別について御説明申し上げます。  まず第一に、国会運営に必要な経費といたしまして十四億三千四百三十六万一千円を計上しております。これは、参議院国会権能を行使し、かつ、参議院事務局及び法制局所掌事務処理するため必要な経費でありまして、議員歳費手当旅費及び立法事務費等議員に関する経費五億九千八百六十六万三千円、国政調査に要する旅費及び審査雑費等、並びに事務局法制局及び常任委員会職員人件費旅費事務費、その他議案類印刷費光熱水料通信費議員会館等維持管理に必要な経費等八億一千五百一万一千円、国際会議出席等海外派遣に必要な旅費二千六十八万七千円であります。  第二に、議会開設七十年記念に関し必要な経費といたしまして八百七十八万八千円を計上いたしております。これは、先ほど衆議院から御説明のありました記念式典並びに議会制度七十年史の編さん及び刊行に要する経費のうち、参議院分として計上したものでございます。  第三に、列国議会同盟東京会議開催に必要な経費といたしまして二千九百五十七万七千円を計上いたしておりますが、これも先刻衆議院から御説明がありました第四十九回列国議会同盟会議東京において開催するため必要な諸経費のうち、参議院分として計上したものであります。  第四に、営繕工事に必要な経費として八千七百七十三万四千円を計上しております。これは、参議院議長公邸の新営、本館昇降機改修陸橋上屋増築並びに各所営及び改修費等でございます。  最後に、予備金に必要な経費として、前年度と同額の五百万円を計上いたしております。  以上、簡単でございますが、概略の御説明を申し上げました。     …………………………………
  8. 早稻田柳右エ門

  9. 岡部史郎

    岡部説明員 昭和三十五年度国会所管国立国会図書館予定経費要求について御説明申し上げます。  昭和三十五年度国立国会図書館予定経費要求総額は、十億九千八百二十三万二千円でありまして、これを前年度予算額と比較しますと、二億七千二百五十二万四千円の増加となっております。  次に、要求額内容を御説明いたします。  国立国会図書館管理運営に必要な経費といたしまして四億八千六百三十四万二千円が計上いたしてございます。これを前年度予算額に比較いたしますと、五千九百四十七万九千円の増加となっております。この経費は、人件費事務費図書購入費等管理運営に必要な経費でございますが、このうちには、予算編成にあたりまして重点として取り上げました科学技術関係資料整備拡充に必要な経費が含まれてございます。すなわち、科学技術資料整備関係経費は、前年度予算額に比較いたしまして二千二百八万二千円の増加となっております。その増加のおもなものは、科学技術関係資料購入費で約一千七百三十五万円、資料整備に必要な事務費といたしまして約百四十二万円及び整備要員として、十名の人件費約三百二十九万円でございます。  次は、国立国会図書館庁舎の新営に必要な経費といたしまして六億一千百八十九万円が計上いたしてあります。これを前年度予算額と比較いたしますと、二億一千三百四万五千円の増加となっております。この経費は、現在工事中の国立国会図書館庁舎の第一期工事八千坪を完成し、昭和三十六年九月中に移転を完了いたしまして十月に開館できるようにするために必要な経費でございます。この工事費五億九千五百九十九万八千円と、予定敷地内に残存する一部未買収地及び家屋購入費一千万円、並びに工事関係事務費五百八十九万二千円となっております。  以上、まことに簡単な説明でございますが、よろしく御審査のほどをお願い申し上げます。     …………………………………
  10. 早稻田柳右エ門

  11. 小林健治

    小林説明員 裁判官訴追委員会予算につきまして、私から簡単に御説明申し上げます。  裁判官訴追委員会における昭和三十五年度歳出予定経費要求額は七百六十九万二千円でありまして、これを前年度予算額七百四十四万九千円に比較いたしますと、二十四万三千円の増加となっております。  この経費は 裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し、増加となっておりますもののうち、おもなものは、給与改善による職員俸給並びに期末手当増加によるものでありまして、その他は前年度と同様になっております。  何とぞよろしく御審議いただきたいと存じます。     …………………………………
  12. 早稻田柳右エ門

  13. 隈井享

    隈井説明員 昭和三十五年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の御説明を申し上げます。  昭和三十五年度国会所管裁判官弾劾裁判所歳出予算要求額は八百二十七万八千円でございまして、これを前年度予算額八百八十三万五千円に比較いたしますと、五十五万七千円の減額となっております。これは、自動車購入費の削除による減と、人件費自然増加差し引き等によるものであります。  この要求額事項別に御説明申し上げますと、まず、裁判官弾劾裁判所運営に必要な経費といたしまして七百七十一万六千円を計上しております。これは、当所の運営に必要な裁判長職務雑費裁判員調査旅費並びに事務局人件費事務費等であります。  次に、裁判に必要な経費といたしまして五十六万二千円を計上いたしております。これは、裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に必要な旅費庁費等でございます。  以上、簡単でありますが、概略説明を終わります。     …………………………………
  14. 早稻田柳右エ門

  15. 横田正俊

    横田最高裁判所長官代理者 昭和三十五年度裁判所所管予定経費要求額について御説明申し上げます。  昭和三十五年度裁判所所管予定経費要求額総額は百三十八億三千三百九十三万三千円でございまして、これを前年度予算総額百二十三億九千五百二十八万六千円に比較いたしますと、差引十四億三千八百六十四万七千円の増加になっております。  この増加額内訳を大別して申し上げますと、人件費において十億三千六百四十七万二千円、裁判所庁舎の新営補修等経費において二億五千三十万六千円、裁判に直接必要な経費、いわゆる裁判費において一億百八万一千円、その他、一般司法行政事務を行なうために必要な旅費庁費等において五千七十八万八千円となっているのでありまして、この合計が前述の増加額となるのでございます。  次に、昭和三十五年度予定経費要求額のうち、おもな事項について、御説明申し上げます。  第一に、営繕費でございますが、裁判所庁舎継続工事二十二庁、新規工事十五庁の新営工事費といたしまして十億五千万円が計上され、そのうち、東京地方裁判所刑事部庁舎の新営工事費分は五億五千万円でございます。その他、法廷の増築裁判所庁舎補修等施設整備費として一億三千万円、営繕事務費として一千四百三十一万二千円、合計十二億四百三十一万二千円が計上されております。  なお、このほかに、実質上の営繕費として、裁判所書記官研修所施設取得のため、四億五千万円を限り、昭和三十六年度において国庫の負担となる契約を昭和三十五年度に結ぶことが認められております。  次に、訴訟の迅速適正な処理に必要な経費といたしまして、第一審の裁判強化し、裁判の適正と事務能率向上をはかるための経費といたしまして、判事二十人を増員するために必要な人件費二千七百三万五千円、訴訟促進協議会出席旅費等といたしまして五百二十一万三千円、書記官等超過勤務手当といたしまして九百八十八万九千円、自動車二十台の購入費として千五百六十一万円、事務能率器具図書及び資料印刷費等といたしまして一億三千九百十八万二千円、合計一億九千六百九十二万九千円が計上されました。  なお、このほか、簡易裁判所判事から判事へ三十名の組みかえが認められております。  次に、裁判費といたしまして、これは、裁判に直接必要な経費でありまして、国選弁護人の報酬、証人鑑定人調停委員等旅費日当、その他裁判に直接必要な旅費庁費等といたしまして十四億九千二百三十五万円、が計上されております。  次に、裁判官等待遇改善でございますが、裁判官管理職手当は前年度三百八十二人のほか、新たに百二十七人が増加して、合計五百九人分が認められるとともに、そのうち、八十七人について支給率一二%が一八%に増額されました。その経費といたしまして六千九十四万五千円、次に、裁判所書記官及び家庭裁判所調査官俸給の調整を、現行の八%から一六%に増額するための経費といたしまして一億九百四十九万九千円がそれぞれ計上いたされました。  次に、家庭裁判所整備充実に必要な経費といたしまして、家庭裁判所事件処理の適正円滑をはかるため、家庭裁判所調査官二十人の増員及び家庭裁判所調査官補から同調査官へ三十人組みかえに必要な人件費といたしまして千五百七十六万五千円が計上されました。  次に、調停制度充実強化に必要な経費といたしまして、調停委員日当四百四十円を四百八十円に増額するために必要な経費二千八百六十一万三千円、調停制度及びその運営に関する研究、調停委員の知識の向上調停制度普及徹底等を目的とする日本調停協会連合会の事業を助成奨励するための補助金として六百七十九万円、以上、合計三千五百四十万三千円が計上いたされました。  以上が昭和三十五年度裁判所所管予定経費要求額大要でございます。     …………………………………
  16. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 法務大臣が所用のため他へ出られますので、順序を変更いたしまして、次に法務省所管説明を求めます。法務大臣井野碩哉君
  17. 井野碩哉

    井野国務大臣 昭和三十五年度法務省所管予算内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。  昭和三十五年度の予定経費要求額は二百八十六億九千七十九万三千円でありまして、これを前年度の予算額二百六十五億四千百三十一万一千円に比較しますと、二十一億四千九百四十八万二千円の増額でございます。  増額分についてその内訳を大略御説明いたしますと、第一に、人件費関係の十七億五千五百二十七万二千円でございます。これは人事院勧告に基づく期末手当〇・一カ月分増額支給に伴う職員特別手当、及び給与べースの改訂並びに昇給等に要する職員俸給等増加されたためであります。第二に、営繕施設費の一億三千八百十八万八千円でございます。第三が、その他一般事務費としての二億五千六百二万二千円でございます。これは主として事務量増加等にスライドして増額したものであります。  特に、このうち増額されたおもなる事項経費について申し上げてみますと、第一は、現行不動産登記制度土地台帳及び家屋台帳制度を一元化するとともに、計量法施行法の規定に従い、昭和四十一年三月三十一日までに、不動産登記簿土地台帳及び家屋台帳の面積の表示を書きかえる作業に関するものであります。右作業は三十四年度より実施いたしておりますが、三十五年度より本格的に作業を実施するにあたり、それに要する経費増額分として九千九十二万九千円がございます。第二に、矯正関係収容者処遇改善経費といたしまして、収容者給与するところの日用品単価増額等に伴う増加分として五千五百六十万一千円がございます。第三に、在日朝鮮人北鮮帰還に伴う業務処理経費といたしまして、一千五十七万六千円が新たに増額されております。第四に、非行青少年対策の一環といたしまして、刑事局青少年課を新設するとともに、検事十名及び少年院教官二十五名を増員いたし、その機能強化充実をはかり、あわせて新たに全国百四十五カ所、主として地方裁判所及び同甲号支部所在地青少年担当保護司を一カ所に二名ずつ配置することになりました。それに要する保護司経費として、五百二十二万円が新たに増額されております。第五に、本年五月東京において開催予定されております、刑法における人権擁護に関するアジア地域ゼミナール会議運営に要する経費といたしまして、二百十三万七千円が新たに増額されております。  なお、このほか、機構の充実強化の面といたしまして、さきに申し上げました検事並びに少年院教官増員を       含めまして二百名の増員をいたしております。その内訳について簡単に申し上げますと、一、法務局における登記台帳事務事務量増加に対処し、その事務の円滑適正な処理をはかるため百四十二名、二、東京入国管理事務所羽田空港出張所ジェット旅客機乗り入れ等に伴う出入国者増加に対処し、その入国審査業務の適正かつ、迅速なる事務処理をはかるため入国審査官を十五名、三、人権侵犯事件調査処理機能強化充実をはかるため、人権擁護局専門調査官を配置するにあたり、その要員として三名、四、前記の青少年対策強化としての検事十名、並びに少年院教官二十五名の増員のほか、司法試験の円滑なる事務処理に要する要員として、司法試験管理委員会事務局に五名がそれぞれ増員されることになっております。以上が増加額大要でございます。  次におもなる事項経費について概略を御説明申し上げますと、第一に、外国人登録法に基づき、在日外国人登録及び指紋採取通常事務処理するために必要な経費といたしまして一億二百七十一万円を前年度に引き続き計上いたしました。第二に、法務局地方法務局等におきまして、法令に基づく登記台帳、供託、戸籍等事務処理するために必要な経費といたしまして四億四千二十五万二千円を前年度に引き続き計上いたしました。第三に、検察庁におきまして処理する一般刑事事件、その他各種犯罪事件の直接捜査活動に要する経費といたしまして四億九千百二十七万六千円を前年度に引き続き計上いたしました。第四に、拘置所刑務所少年刑務所少年院少年鑑別所及び婦人補導院昭和三十五年度の一日収容予定人員八万三千八百人に対する衣食医療及び就労等に要する経費といたしまして四十九億九千五百四十四万四千円を前年度に引き続き計上いたしました。第五に、犯罪者予防更生法更生緊急保護法及び執行猶予者保護観察法に基づき、刑余者並び執行猶予者を補導監督し、これを更生せしめるための補導援護に要する経費といたしまして三億九千四百二十七万三千円を前年度に引き続き計上いたしました。第六に、出入国管理令に基づき、不法入国者等調査及び審査事務処理し、被退去強制者につきましては護送、収容、送還する必要がございますので、これに要する衣食医療及び送還のために必要な経費といたしまして一億二千六百二十五万七千円を前年度に引き続き計上いたしました。第七に、公安調査庁におきまして処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費といたしまして六億一千五十四万九千円を前年度に引き続き計上いたしました。第八に、検察庁庁舎その他、及び刑務所少年院等収容施設の新営、整備等に要する経費といたしまして十億七千三百八十五万八千円を前年度に引き続き計上いたしました。  なお、このほかに営繕費といたしましては、法務局等の庁舎その他新営に要する経費として三億三千三百四万八千円が建設省所管予算中に計上されております。  以上が法務省所管歳出予算予定経費要求大要でございますが、このほか、名古屋刑務所及び福岡刑務所の移転に伴う施設取得にかかる、総額十五億五千万円の国庫債務負担行為を要求いたしております。  終わりに、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。昭和三十五年度法務省主管歳入予算額は六十四億六千八十六万五千円でございまして、前年度予算額六十億四千百二十一万六千円に比較いたしますと、四億一千九百六十四万九千円の増額となっております。その増額のおもなものは、罰金及び没収金並びに刑務所作業収入でございまして、過去の実績等を基礎として算出されたものでございます。  以上、法務省所管昭和三十五年度予算について、その概要を御説明申し上げました。よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。     …………………………………
  18. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 次に、会計検査院所管説明を求めます。会計検査院事務総長大沢実君。
  19. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 会計検査院所管昭和三十五年度一般会計歳出予算要求額は六億八千三百五十四万一千円でありまして、これは、会計検査院が憲法第九十条の規定により、国の収入支出の決算を検査し確認するため、常時会計検査を行ない、会計経理を監督し、適正を期し、かつ、是正をはかるために必要な人件費、物件費、検査旅費等の経費であります。  今、要求額のおもなものについて申し上げますと、一、人件費でありますが、五億六百四十八万七千円を計上いたしましたが、これは、職員一千百七十八人分の給与手当でありまして、要求額の七四%に当たっております。二、検査旅費として六千九百三万円を計上いたしましたが、これは、各省各庁から提出されます証拠書類の検査と併行して職員を現地に派遣し、実地について検査をするために必要な経費であります。三、物件費として四千三百十万八千円を計上いたしましたが、これは、事務上必要な備品、消耗品、通信費、印刷費及び光熱水料等の経費であります。四、庁舎施設整備費として六千二百二十二万四千円を計上いたしましたが、これは、現在、通商産業省が使用いたしております元会計検査院庁舎に移転することとなっておりますので、同庁舎を整備するために必要な経費であります。  次に、ただいま申し上げました昭和三十五年度歳出予算要求額六億八千三百五十四万一千円を、前年度予算額五億七千四百六十三万九千円に比較いたしますと、一億八百九十万二千円の増加となっておりますが、その増加のおもなものは人件費で三千八百十一万七千円、検査旅費で九十一万円、物件費で九百十三万九千円、庁舎施設整備費で六千二百二十二万四千円となっており、減額となったものは、外国旅費等百四十八万八千円でありまして、これを差し引きいたしますと、前に述べました通り一億八百九十万二千円の増加となります。  はなはだ簡単でございますが、会計検査院所管昭和三十五年度歳出予算要求額の概要の御説明を終わります。何とぞ御審議をお願いいたします。     …………………………………
  20. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 次に、内閣及び総理府所管説明を求めます。総理府総務長官福田篤泰君。
  21. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 昭和三十五年度における内閣及び総理府歳出予算案について、その概要を御説明いたします。  まず、内閣所管昭和三十五年度歳出予算計上額は十億七千九百四十三万二千円でありまして、これを前年度歳出予算額九億五千七百五十九万一千円と比較いたしますと、一億二千百八十四万一千円の増加となっております。内閣所管歳出予算に計上いたしましたものは、内閣官房、法制局、人事院、憲法調査会及び国防会議事務の執行に必要な経費であります。  次に、総理府所管昭和三十五年度の歳出予算計上額は六千三百七十四億八千六百六十五万六千円でありまして、これをすでに成立した昭和三十四年度予算額を今国会で成立した昭和三十四年度予算補正追加額との合計額五千八百五十億九百二万三千円と比較いたしますと、五百二十四億七千七百六十三万二千円の増額となっております。総理府所管歳出予算計上額は、総理本府のほかに公正取引委員会、国家公安委員会、土地調整委員会、首都圏整備委員会の四つの委員会と、宮内庁、行政管理庁、北海道開発庁、自治庁、防衛庁、経済企画庁及び科学技術庁の七庁の外局に関するものでありまして、そのおもなる経費を、以下予算要求書の順を追って事項別に申し述べますと、文官等に対する恩給支給に必要な経費百七十二億一千二百四万二千円、旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費一千四十億二千七百二十五万円、警察行政に必要な経費百四十一億八千四百九万七千円、北海道の開発事業に必要な経費三百五十七億四千六百一万六千円、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに必要な経費二千八百六十五億一千六百五十一万二千円、防衛本庁に必要な経費一千四百八十五億五千二百万円、科学技術庁に必要な経費百八億六千百八十万五千円等であります。  次に、その概要を順を追って申し述べますと、文官等に対する恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて、退職した文官等に対する年金及び恩給並びに国会議員互助年金法に基づいて、退職した国会議員に対する互助年金を支給するため必要な経費でありまして、前年度に比べ十一億二千九百七十六万三千円の減額になっております。  旧軍人遺族等に対する恩給支給に必要な経費は恩給法に基づいて、旧軍人及び遺族に対して恩給を支給するため必要な経費でありまして、前年度に比べ七十二億七千五百四十万七千円の増加となっております。  警察行政に必要な経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関の経費及び都道府県警察費補助に必要な経費でありまして、前年度に比べ四億九千三百六十四万一千円の増加となっております。  北海道の開発事業に必要な経費は、北海道における住宅、土地改良、開墾開拓、泥炭地開発、港湾及び漁港、空港等の事業に必要な経費と、治水事業、国有林野事業、道路整備事業、特定港湾施設工事等に必要な経費に充てるための財源の各特別会計への繰入金などでありまして、事業費については、その執行にあたって関係各省の所管に移しかえて使用されるものでありまして、前年度に比べ四十五億三千三百五十三万九千円の増加となっております。  交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに必要な経費は、地方交付税法及び交付税及び譲与税配付金特別会計法の規定により、昭和三十五年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の二八・五に相当する金額の合算額と、昭和三十四度に実施された所得税の減税に伴う道府県民税及び市町村民税の収入額の減少を考慮し、あわせて地方財政の健全化を促進するため、昭和三十五年度において所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の〇・三に相当する金額の合算額とを、地方公共団体に交付すべき地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金の財源として、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるため必要な経費であり、これをすでに成立した昭和三十四年度予算額と、今国会で成立した昭和三十四年度予算補正追加額との合計額に比べますと、二百七十四億二千八百六十万四千円の増加となっております。  防衛本庁関係に必要な経費は、内局及び付属機関、陸上、海上、航空の各自衛隊等の維持運営に必要な経費でありまして、前年度に比べ百二十八億五千九百六万一千円の増加となっております。  科学技術庁に必要な経費のおもなものは、日本原子力研究所出資金、原子燃料公社出資金及び試験研究機関等の試験研究に必要な経費六十一億四千五百三十三万五千円、科学技術庁の付属機関であります航空技術研究所、金属材料技術研究所及び放射線医学総合研究所の整備充実に必要な経費三十二億五千六百八十七万八千円、その他となっておりまして、前年度に比べ九億六千八百九十六万円の増加となっております。  なお、総理府所管につきましては、他に九百四十一億五千五百四万百四十五円の国庫債務負担行為を計上いたしております。その内訳のおもなものは、北海道開発庁におきまして、篠津地区泥炭地開発事業で、機械及び器具の借料について八千四百三十七万四千円、ただし、購入の場合には三億一千七百六十九万四千円でありまして、借り入れ、購入ともに為替相場に変動があったときには、その率に従った金額。防衛本庁におきまして、航空機購入、器材整備、弾薬購入、施設整備及び艦船建造について九百十八億六千四百八十五万八千円、科学技術庁におきまして、日本原子力研究所出資、核燃料物質の購入等及び航空研究施設整備について二十二億五百六十四万円、ただし、これについては、昭和三十四年度一般会計国庫債務負担行為に基づく日本原子力研究所への出資三十四億二千七百万円のうち、動力試験炉の炉体にかかる分、二十一億九千百万円について、昭和三十四年度内に債務負担となる行為を行なうに至らなかった場合においては、二十一億九千百万円を加算した四十三億九千六百六十四万円であります。  以上、申し述べました予算計上額のうちには、経済企画庁に関する予算計上額四十六億三千七十三万六千円が含まれておりますが、これにつきましては、他の分科会において御審議を願っております。  最後に、総理府及び大蔵省所管交付税及び譲与税配付金特別会計について御説明いたします。  本会計の歳入は三千百八十九億一千八百六十一万二千円、歳出は三千百八十三億九百十三万七千円になっておりまして、歳入は、一般会計より受け入れる収入と、入場税法、地方道路税法、特別とん税法の規定に基づき徴収する租税収入と、交付税及び譲与税配付金特別会計法の規定により、前年度決算上の剰余金見込額を本年度において受け入れる収入その他であります。歳出は、地方交付税法、入場譲与税法、地方道路譲与税法、特別とん譲与税法の規定により、おのおの定められた地方公共団体に対して交付または譲与するために必要な経費と、昭和三十四年度に実施された所得税の減税に伴う道府県民税及び市町村民税の収入額の減少を考慮し、あわせて地方財政の健全化を促進するため、特別交付税の交付の例により、地方公共団体に臨時地方特別交付金を交付するため必要な経費その他となっております。  以上をもちまして昭和三十五年度一般会計内閣及び総理府所管歳出予算計上額と、交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入歳出計上額の御説明を終わります。詳細につきましては、御質問に応じまして関係政府委員からお答えいたすことにいたします。よろしく御審議あらんことをお願いいたします。     …………………………………
  22. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 次に、防衛庁の予算の補足説明を求めます。防衛庁政務次官小幡治和君。
  23. 小幡治和

    ○小幡政府委員 昭和三十五年度防衛本庁予算につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十五年度の防衛本庁の歳出予算総額は千四百八十五億五千二百万円でありまして、これを昭和三十四年度の歳出予算額千三百六十億四千万円に比べますと、百二十五億千二百万円の増加となっております。  このほか、国庫債務負担行為として、航空機の購入について七百四十一億五百万円、器材の整備について百三十四億七千万円、施設の整備について十八億八千七百万円、弾薬の購入について七億二千九百万円、艦船の建造について十六億七千百万円、計九百十八億六千四百万円を計上し、さらに、継続費として昭和三十五年度甲型警備艦建造費総額二十九億六千万円、うち、昭和三十六年度以降の年割額二十六億九千五百万円並びに昭和三十五年度潜水艦建造費総額三十五億九千三百万円、うち、昭和三十六年度以降の年割額二十九億八千九百万円を計上いたしております。なお、昭和三十四年度予算に計上された継続費、昭和三十四年度潜水艦建造費につきましては、建造計画の変更に伴って建造費の一部を後年度に繰り延べるため、年割額を改訂することといたしております。  また、職員の定数につきましては、防衛本庁の昭和三十五年度の予算上の職員定数は、自衛官二十三万八千三百五十一人、自衛官以外の職員二万四千八百五十四人、計二十六万三千二百五人でありまして、これを昭和三十四年度の予算上の職員定数に比べますと、自衛官において七千四百十六人、自衛官以外の職員において九百八十九人、計八千四百五人の増加となっております。  以下予算内容について、組織別に申し上げます。  長官官房及び各局、統合幕僚会議、防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部、建設本部並びに調達実施本部の職員定数は自衛官七十三人、自衛官以外の職員三千四百四十五人、計三千五百八人でありまして、昭和三十四年度に比べますと、自衛官において三十人、自衛官以外の職員で百二十四人、計百五十四人の増加となっております。  陸上自衛隊につきましては、民生面に対する協力を推進するため、自衛官千五百人を増員して、地区施設隊、建設大隊及び施設大隊の新編を行なうこととしておりますので、このため、五方面隊、六管区隊、四混成団並びにその他の部隊及び機関を編成する陸上自衛隊の職員定数は、自衛官十七万千五百人、自衛官以外の職員一万三千四百五人、計十八万四千九百五人となります。  海上自衛隊につきましては、昭和三十五年度に増勢を計画している艦船といたしまして、新たに建造に着手する甲型警備艦一隻二千六百トン、潜水艦二隻千五百六十トン、中型掃海艇二隻、給油艦一隻、高速魚雷艇一隻、合計八千四百六十トンのほか、米国より高速救命艇四隻、揚陸艇十三隻、合計十七隻四百六トンの供与を受け、総計八千八百六十六トンの増加予定いたしております。この計画が実現いたしました暁におきましては、保有艦艇は四百五十二隻、十三万六千三百三十八トンとなる予定であります。また、昭和三十五年度中に増加する航空機として、米国から水陸両用救難機六機の供与を期待するとともに、昭和三十三年度より国内生産を開始いたしましたP2V対潜哨戒機十機の購入のほかに、ヘリコプター六機を購入することにしておりますので、これらにより昭和三十五年度末の海上自衛隊の保有航空機は二百十七機となります。以上の艦艇及び航空機の増加並びにこれに関連する陸上施設の拡充等に伴いまして自衛官二千四百一人、自衛官以外の職員三百五十一人、計二千七百五十二人を増員することといたしておりますので、従来の定数と合わせ、海上自衛隊の職員定数は自衛官三万六十八人、自衛官以外の職員三千百六人、計三万三千百七十四人となります。  航空自衛隊につきましては、昭和三十五年度において、米国より実用機F—86D六十二機の供与を受けるほか、実用機について前年度に引き続きF—86F四十三機並びにヘリコプター六機を購入するとともに、ジェット練習機について前年度に引き続き二十機を生産するので、従来の保有機数と合わせ、昭和三十五年度末の航空機総数は、実用機五百五十五機、練習機五百五十八機、実験機二機、計千百十五機を保有することとなります。このほかに実用機F—104J百八十機、練習機F—104DJ二十機の生産に必要な経費として国庫債務負担行為六百九十八億五百万円を計上いたしております。さらに昭和三十五年度は防空能力等を強化し、各航空団の配置と指揮機能の適性化をはかり、警戒管制機能の全面引き継ぎと相待って、全国防空警戒態勢の基盤を概成するため、第六航空団の新設、西部航空方面隊及び保安管制気象団を新編することとして、自衛官三千四百八十六人、自衛官以外の職員五百十四人、計四千人を増員することといたしておりますので、従来の定数と合わせ、航空自衛隊の職員定数は、自衛官三万六千七百十人、自衛官以外の職員四千八百九十八人、計四万千六百八人となります。  次に予算見積りの概要について申し上げます。  長官官房及び各局並びに統合幕僚会議運営に必要な経費は、防衛本庁七億千万円、施設整備費二億五千八百万円、施設整備等付帯事務費四百万円、計九億七千四百万円でありまして、昭和三十四年度に比べますと、防衛本庁において九千万円の増加施設整備費において五百万円の増加、計九千六百万円の増加となっております。  附属機関、すなわち防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部、建設本部及び調達実施本部の運営に必要な経費は、防衛本庁三十一億九千三百万円、施設整備費四億五千三百万円、施設整備等付帯事務費八百万円、計三十六億五千五百万円でありまして、昭和三十四年度に比べますと、防衛本庁において二億二千四百万円の増加施設整備費において四千六百万円の減少、計一億七千八百万円の増加となっております。  以上の経費のほか、技術研究本部に国庫債務負担行為として、器材整備六億六百万円、施設整備一億五千七百万円、計七億六千四百万円を計上いたしております。  陸上自衛隊の運営に必要な経費は、防衛本庁六百三十六億二千二百万円、施設整備費十億六百万円、施設整備等付帯事務費千八百万円、計六百四十六億四千六百万円でありまして、これを昭和三十四年度に比べますと、四十一億六千六百万円の増加となっております。このうち、防衛本庁において四十五億三千九百万円の増加施設整備費において三億六千九百万円の減少、施設整備等付帯事務費において三百万円の減少となっております。このほか、陸上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為に航空機購入一億四千四百万円、器材整備二十億七千百万円、弾薬購入三億六千万円、計二十五億七千六百万円を計上いたしております。  以上の内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢、すなわち昭和三十四年度末における火砲類、通信機等の装備、自衛官十七万人、自衛官以外の職員一万三千四百五人の維持に要する経費が、防衛本庁におきましては六百三十三億七千七百万円、施設整備費におきましては九億九百万円、施設整備等付帯事務費におきましては千六百万円、計六百四十三億三百万円であります。次に、増勢分の経費は三億四千三百万円でありまして、自衛官千五百人の増員に伴う経費であります。  海上自衛隊の運営に必要な経費は、防衛本庁二百六十五億二千百万円、施設整備費六億円、艦船建造費二十九億千五百万円、昭和三十三年度甲型警備艦建造費十八億千五百万円、昭和三十四年度乙型警備艦建造費二十億四千四百万円、昭和三十四年度潜水艦建造費十五億二千二百万円、潜水艦建造費一億八千九百万円、昭和三十五年度甲型警備艦建造費二億六千五百万円、昭和三十五年度潜水艦建造費六億四百万円、施設整備等付帯事務費一億千四百万円、計三百六十五億九千二百万円でありまして、これを昭和三十四年度に比べますと四十三億八千九百万円の増加となっております。このうち、防衛本庁において三十三億六千三百万円の増加施設整備費において二億三千四百万円の減少、艦船建造費において六億六百万円の減少、施設整備等付帯事務費において四千百万円の減少となっております。  このほか、海上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為に航空機購入十五億二千六百万円、器材整備二十億二千四百万円、施設整備六千四百万円、艦船建造十六億七千百万円、弾薬購入三億六千八百万円、計五十六億五千六百万円、また、継続費の昭和三十六年度以降の年割額として、昭和三十五年度甲型警備艦建造費二十六億九千四百万円、昭和三十五年度潜水艦建造費二十九億八千九百万円、計五十六億八千四百万円を計上し、あわせて昭和三十四年度潜水艦建造費について年割額の改訂をはかっております。この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢、すなわち、昭和三十四年度末における建造または引き取り予定のものを含めた艦船四百三十五隻、十二万八千八百二十トン、航空機二百三機、自衛官二万七千六百六十七人、自衛官以外の職員二千七百五十五人の維持に要する経費といたしまして、防衛本庁におきましては二百五十七億五千六百万円、施設整備費におきまして四億五千五百万円、艦船建造費におきまして二十二億千万円、昭和三十三年度甲型警備艦建造費におきまして十八億千五百万円、昭和三十四年度乙型警備艦建造費におきまして二十億四千四百万円、昭和三十四年度潜水艦建造費におきまして十五億二千二百万円、潜水艦建造費におきまして一億八千九百万円、施設整備等付帯事務費におきまして五千七百万円を計上いたしております。  次に、増勢分の経費といたしましては、昭和三十五年度に増加予定いたしております艦船二十四隻八千八百六十六トン、航空機二十二機、自衛官二千四百一人、自衛官以外の職員三百五十一人に要する初度経費を、防衛本庁におきましては三億八千万円、施設整備費におきましては一億四千四百万円、施設整備等付帯事務費におきましては五千六百万円、艦船建造費におきましては七億四百万円を計上いたしております。なお、建造工程が昭和三十六年度に及ぶ中型掃海艇、給油艦及び高速魚雷艇については、国庫債務負担行為に十六億七千百万円を計上いたしております。さらに、昭和三十五年度甲型警備艦建造費及び昭和三十五年度潜水艦建造費については、その完成までに四カ年及び三カ年を要する予定でありますので、昭和三十五年度歳出予算に計上した八億六千九百万円のほか、昭和三十六年度分三十億三千四百万円、昭和三十七年度分二十億四千六百万円及び昭和三十八年度分六億三百万円を合わせて六十五億五千三百万円を総額とする継続費として計上いたしております。このほか、増勢分の初年度維持費といたしまして、防衛本庁におきまして三億八千四百万円を計上いたしております。  航空自衛隊の運営に必要な経費は、防衛本庁三百九十五億二千万円、施設整備費三十一億二百万円、施設整備等付帯事務費六千万円、計四百二十六億八千三百万円でありまして、これを昭和三十四年度に比べますと、三十六億八千二百万円の増加となっております。このうち、防衛本庁におきまして五十四億二千百万円の増加施設整備費におきまして十七億千九百万円の減少、施設整備等付帯事務費におきまして二千万円の減少となっております。  このほか、航空自衛隊に属する分として国庫債務負担行為に、航空機購入七百二十四億三千四百万円、器材整備八十七億六千七百万円、施設整備十六億六千五百万円、計八百二十八億六千七百万円を計上いたしております。この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢、すなわち、昭和三十四年度末における航空機千十九機、自衛官三万三千二百二十四人、自衛官以外の職員四千三百八十四人の維持に要する経費として、防衛本庁におきましては三百六十八億九千五百万円、施設整備費におきましては五億六千百万円、施設整備等付帯事務費におきましては七百万円を計上いたしております。  次に、増勢分の経費といたしましては、昭和三十五年度に増加予定いたしております航空機百二十七機、自衛官三千四百八十六人、自衛官以外の職員五百十四人に要する初度経費を、防衛本庁におきましては二十億九千九百万円、施設整備費におきましては二十五億四千百万円、施設整備等付帯事務費におきましては五千二百万円を計上いたしております。  次に、増勢分の初年度維持費といたしまして、防衛本庁におきまして五億二千六百万円を計上いたしております。  以上をもちまして防衛庁予算概略説明を終わります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。     …………………………………
  24. 早稻田柳右エ門

  25. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 ただいまから、昭和三十五年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算につきまして、去る一月二十九日内閣から提出した予算書に基づいて御説明いたします。  まず一般会計歳入予算額は一兆五千六百九十六億七千四百七十万二千円でありまして、これを前年度予算額一兆四千九百八十一億六千四百九十四万七千円に比較いたしますと、七百十五億九百七十五万五千円の増加となっております。  以下、各部について簡単に申し上げますと、第一に、租税及び印紙収入の総額は一兆三千三百六十六億三千百万円でありまして、これを前年度予算額一兆一千七百二億四千百万円に比較いたしますと、千六百六十三億九千万円の増加となっております。この予算額は、現行の税法によって見積もった場合の収入見込み額一兆三千三百八億六千百万円に、今次の税制改正に基づく関税の増収見込み額五十七億七千万円、平年度六十五億九千八百万円を加えたものであります。  次に、各税目別内訳を申し上げます。  まず、関税につきましては、現行法による収入見込み額は八百三十七億二千四百万円でありますが、これに今回の税法改正に伴う原重油等に対する減免措置の改訂廃止による増収見込み額五十七億七千万円を加えた八百九十四億九千四百万円を計上いたしました。  関税以外の税目におきましては、昭和三十五年度に計上いたしました収入見込み額は、源泉所得税二千五百七十九億六千五百万円、申告所得税七百二十九億九百万円、法人税四千三百八十八億五千七百万円、相続税百十一億七千四百万円、再評価税三十一億八百万円、酒税二千二百五十一億一千八百万円、砂糖消費税二百四十五億四千六百万円、揮発油税九百五十一億九千四百万円、物品税六百四十九億六千四百万円、トランプ類税二億八千七百万円、取引所税五億七千万円、有価証券取引税四十九億三千八百万円、通行税三十五億二千四百万円、トン税六億七千五百万円、印紙収入四百三十三億八百万円であります。  以上租税及印紙収入の合計額は、一兆三千三百六十六億三千百万円となっております。  第二に、専売納付金は千三百六十四億一千二百十一万六千円でありまして、これを前年度予算額千二百二十六億二千四百七十七万六千円に比較いたしますと、百三十七億八千七百三十四万円の増加となっております。専売納付金の内訳について申し上げますと、日本専売公社納付金千三百五十九億四千九十二万六千円、アルコール専売事業特別会計納付金四億七千百十九万円となっております。  第三に、官業益金及び官業収入は百七十一億八千六百四十四万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、七億六千八百二十二万四千円の増加となっております。官業益金及び官業収入の内訳について申し上げますと、印刷局特別会計受入金七億二千二百三十二万四千円、病院収入百六十四億六千四百十二万一千円となっております。  第四に、政府資産整理収入は百九十二億八千二百四十三万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、四十二億九千百五万一千円の増加となっております。政府資産整理収入のおもなる内訳について申し上げますと、国有財産売払収入五十六億五百三十一万二千円、有償管理換収入五十七億三千七十四万一千円、地方債証券償還収入六十億五千百三十九万六千円等となっております。  第五に、雑収入は四百三十三億四千百八十一万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、二百七十九億四千九十一万一千円の減少となっております。雑収入のおもなる内訳について申し上げますと、国有財産貸付収入十九億九千五百五十一万四千円、日本銀行納付金百二十四億六千二百万円、日本中央競馬会納付金二十二億八百三十七万円、恩給法納金及文官恩給費特別会計等負担金六十億三千三百三十四万五千円、特別会計受入金二十億八千三百七十万円、授業料及入学検定料二十億四千七百九十六万五千円、懲罰及没収金三十九億二千九百十八万一千円、弁償及返納金二十一億四千七百五十三万五千円、矯正官署作業収入二十五億五千五百九十三万七千円、物品売払収入二十四億六千七百七十七万六千円等となっております。  最後に、前年度剰余金受入におきましては、昭和三十三年度の決算によって同年度に新たに生じた純剰余金百六十八億二千八十九万八千円を計上いたした次第であります。  次に、昭和三十五年度大蔵省所管一般会計歳出予算額は千六十四億五千八百八万三千円でありまして、これを前年度予算額千八百七十億四千二百八十三万八千円に比較いたしますと、八百五億八千四百七十五万五千円の減少となっております。  この歳出予算額をまず組織に大別いたしますと、大蔵本省七百四十八億八千九百四十万八千円、財務局二十九億四千二百九万円、税関二十六億二千七百二十八万四千円、国税庁二百五十九億九千九百三十万一千円となっておりますが、これをさらに組織別におもなる事項に分けて御説明いたしますと、次の通りであります。  大蔵本省におきましては、大蔵省設置法に定める本省内部部局所掌の一般事務処理する等のため必要な経費として、大蔵本省の項に十七億一千三百四十五万八千円、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法に基づく年金の支払いと、これに伴う事務費を国家公務員共済組合連合会等に交付するため必要な経費として、国家公務員共済組合連合会等補助及交付金の項に十八億九千九十二万三千円、国債償還、国債利子及び大蔵省証券発行割引差額の支払いに充てる財源並びにそれらの事務取り扱い費を国債整理基金特別会計へ繰り入れるため必要な経費として、国債費の項に二百七十四億七百二十八万八千円、国家公務員のための国設宿舎を設置するため必要な経費として、公務員宿舎施設費の項に十七億五千八百二十九万九千円、理化学研究所法に基づいて、科学技術の振興に寄与する事業を行なう理化学研究所に対して出資するため必要な経費として政府出資金の項に五億二千万円、造林事業に対して農林漁業金融公庫が長期低利の融資を行なうに必要な資金を同公庫に出資するため必要な経費として、政府出資金の項に七億円、新たに設置する医療金融公庫の行なう事業に要する資金の一部として同公庫に対して出資するため必要な経費として、政府出資金の項に十億円、国際開発協会の設立に伴い、同協会に出資するため必要な経費として、国際開発協会出資金の項に六億四百六十二万円、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約、及び、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の規定に基づく合衆国軍の駐留、並びに日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に関連し、わが方で支出を必要とする経費として、防衛支出金の項に六十億二千五百万円、賠償等特殊債務処理特別会計法に基づく賠償等特殊債務の処理に充てるための財源を同会計へ繰り入れるに必要な経費として、賠償等特殊債務処理費の項に二百四十億二千三百二十四万七千円、なお、予見しがたい予算の不足に充てるための経費として、予備費の項に八十億円を計上いたしております。  次に、財務局におきましては、大蔵省設置法に定める財務局所掌の一般事務処理する等のため必要な経費として、財務局の項に二十九億四千二百九万円を計上いたしております。  次に、税関におきましては、大蔵省設置法に定める税関所掌の一般事務処理する等のため必要な経費として、税関の項に二十一億一千九百九十六万九千円、保税地域その他関税法規上特殊の取り扱いをなす場所等において、税関事務の一部を処理するために派出する税関官吏に必要な経費として、税関派出諸費の項に五億七百三十一万五千円を計上いたしております。  次に、国税庁におきましては、税務官署の項に、大蔵省設置法に定める国税庁所掌の一般事務処理するため必要な経費として二百十八億五千三百六十二万三千円、直接税及び間接税調査事務等に必要な経費として十八億二千二百八十六万二千円、その他調査査察及び徴収管理事務等に必要な経費として八億三千四百八十六万七千円、計二百四十五億一千百三十五万二千円を計上いたしております。租税収入を確保するため、滞納の整理及び差し押え物件の処分等に必要な経費として、滞納整理費の項に五億三千三百六十八万六千円、内国税の過誤納金の払い戻し及び青色申告制度に基づく還付金に対する加算金に必要な経費としては、租税還付加算金の項に七億円を計上いたしております。  次に、昭和三十五年度大蔵省所管の各特別会計歳入歳出予算につきまして、その概要を申し上げますと、造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも七十九億三千四十九万四千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも十六億九千五百二十三万二千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、製造経費増加に伴う補助貨幣回収準備資金より受け入れの増加によるものであり、歳出におきましては、原材料地金購入に必要な経費等増加によるものであります。  印刷局特別会計におきましては、歳入六十九億七千五百七十五万三千円、歳出六十二億五千三百四十二万九千円、差引七億二千二百三十二万四千円の歳入超過となっておりまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において八億八千五百三万円、歳出において七億四千四百七十九万一千円をそれぞれ増加いたしております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、日本銀行券及び切手類等製品売払収入並びに雑収入の増加によるものであり、歳出におきましては、これに伴う製造経費及び工場施設等を整備するため必要な経費増加によるものであります。  資金運用部特別会計におきましては、歳入歳出とも千百二十二億三千四百四十万九千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも百五十億二千七百四十八万五千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、資金運用部資金の運用による利子収入の増加によるものであり、歳出におきましては、郵便貯金その他の預託金に対する利子の支払いに必要な経費増加によるものであります。  国債整理基金特別会計におきましては、歳入歳出とも四千六百九十億八千九十九万四千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも五百八十六億七千六百六十五万四千円の増加となっておりますが、その内訳は、債務償還費において四百九十八億四千七百六十四万二千円、国債利子、借入金利子及び短期証券割引差額において八十八億六千二百二十五万六千円の増加となっており、国債事務取扱諸費において三千三百二十四万四千円の減少となっております。  貴金属特別会計におきましては、歳入歳出とも二億三百六十七万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも二十四億四千五百八十四万八千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、貴金属地金売払代の減少によるものであり、歳出におきましては、一般会計へ繰り入れるため必要な経費減少によるものであります。  外国為替資金特別会計におきましては、歳入歳出とも二百三十億四百五十六万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも百七億六千二百六十四万八千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、外貨証券の運用益の増加によるものであり、歳出におきましては、融通証券発行割引差額に必要な経費増加によるものであります。  産業投資特別会計におきましては、歳入歳出とも二百六十九億三千四百十二万七千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも百二十一億六千百八十八万五千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、この会計に置かれている資金からの受け入れ及び一般会計より受け入れの減少によるものであり、歳出におきましては、産業投資支出の減少によるものであります。  経済援助資金特別会計におきましては、歳入歳出とも十二億二千八百五十四万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも五億二千五百三十三万円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、運用資金の回収及び前年度剰余金受け入れの増加によるものであり、歳出におきましては、援助資金支出に必要な経費増加によるものであります。  余剰農産物資金融通特別会計におきましては、歳入歳出とも六十九億三百四十六万七千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において六億九千百五十三万円、歳出において四十四億二千百九十一万八千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、運用資金の回収及び前年度剰余金受け入れの増加によるものであり、歳出におきましては、貸付金の増加によるものであります。  賠償等特殊債務処理特別会計におきましては、歳入歳出とも二百九十八億七千九百四十万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入歳出とも三十四億七千八百十一万四千円の減少となっております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、一般会計より受け入れの減少によるものであり、歳出におきましては、賠償等特殊債務処理費の減少によるものであります。  国有財産特殊整理資金特別会計におきましては、歳入一億九百万三千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入において一億四千二百五十六万五千円、歳出において二億五千百五十六万八千円をそれぞれ減少いたしております。減少いたしましたおもなる理由は、歳入におきましては、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法に基づく特定庁舎の処分による収入が減少したためであり、歳出につきましては、資金を効率的に使用するため本年度におきましては計上せず、全額昭和三十六年度以降の歳出の財源として持ち越すことにいたしております。  最後に、昭和三十五年度大蔵省関係の各政府関係機関収入支出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  日本専売公社におきましては、収入三千三十億二千八百四十五万七千円、支出千六百九十一億八千八百九十万八千円、差引収入超過額千三百三十八億三千九百五十四万九千円となり、これに昭和三十五年度における資産増加額二十九億八千三百五十四万七千円を加算した千三百六十八億二千三百九万六千円が事業益金となるのでありますが、これより固定資産増加額八億八千二百十七万円を控除いたしまして、専売納付金は千三百五十九億四千九十二万六千円となるのであります。  以下、たばこ、塩及びショウノウの各事業予算についてその概略を申し上げますと、たばこ事業におきましては、三十五年度における製造数量は千二百五十四億本、販売数量は千二百三十九億本でありまして、これを前年度に比べますと、製造において百二十億本、販売において百十二億本をそれぞれ増加いたしております。たばこ事業の予算額は、収入二千七百六十五億二千八百六十九万八千円、支出千三百六十一億七千四百三十四万四千円、差引収入超過額千四百三億五千四百三十五万四千円となっておりまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二百九十三億五千五百七十五万七千円、支出において九十七億四千三百二十三万五千円をそれぞれ増加いたしております。  塩事業の予算額は、収入二百五十六億五千五百六万七千円、支出二百九十二億六千八百二十七万一千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二十億二千八百九十一万七千円、支出において六億一千八百八十九万一千円をそれぞれ増加いたしております。  次に、ショウノウ事業予算額におきましては、収入八億四千四百六十九万二千円、支出八億三千二百四十四万二千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において五千九百三万四千円、支出において五千九百三十五万五千円をそれぞれ増加いたしております。  国民金融公庫におきましては、収入九十億四千五百六十三万二千円、支出八十四億四千百三十九万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十一億五千七百十八万円、支出において九億八千六百七十二万八千円の増加となっております。  住宅金融公庫におきましては、収入百十五億三千四百三十三万三千円、支出百十四億八千九百三十九万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二十億二千四十一万四千円、支出において二十一億三千四百二十二万三千円の増加となっております。  農林漁業金融公庫におきましては、収入百七億四十三万七千円、支出百一億八千六百四十七万一千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において二十億八百七十二万九千円、支出において十九億九千五十二万三千円の増加となっております。  中小企業金融公庫におきましては、収入百二十九億三千九百九十万四千円、支出百十一億五千五十万四千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において十八億六千五百九十六万六千円、支出において十二億八千六百六十四万八千円の増加となっております。  北海道東北開発公庫におきましては、収入四十一億四百二十七万円、支出三十億五千三百八十九万五千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において九億五千九百五十三万円、支出において五億六千七百二十二万五千円の増加となっております。  公営企業金融公庫におきましては、収入二十四億四千九百五万七千円、支出二十億三千六百三十三万九千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において九億三百七十三万三千円、支出において五億一千四百九十八万円の増加となっております。  以上申し述べました六公庫につきまして、それぞれ増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては貸付金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては借入金利息及び業務増量に伴う事務費増加によるものであります。  中小企業信用保険公庫におきましては、収入十六億四千百四十八万五千円、支出二十二億三千百三十八万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において一億九千六百六十一万三千円、支出において五億九百五十二万七千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、回収金、保険料収入及び貸付金利息の増加によるものであり、支出におきましては、支払保険金及び業務増量に伴う事務費増加によるものであります。  医療金融公庫におきましては、収入七千六百四十四万四千円、支出七千六百二十七万九千円を計上いたしておりますが、この公庫は、医療機関の適正な整備及び機能強化をはかるため、私的医療機関に対し長期低利の資金を融通することを目的として新たに設立されることとなったものでありまして、収入におきましては、貸付金利息を計上し、支出におきましては、人件費事務費並びに借入金利息等の経費を計上したものであります。  日本開発銀行におきましては、収入三百八十三億七千二百二十四万一千円、支出二百二十六億六千九百四十一万八千円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入において五十七億一千三百二十八万二千円、支出において三十九億一千百十三万二千円の増加となっております。増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、貸付金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては、借入金利息及び業務増量に伴う事務費増加によるものであります。  日本輸出入銀行におきましては、一般勘定の予算額は、収入四十九億四千百五十四万円、支出四十七億二千三百二十七万二千円、東南アジア開発協力基金勘定の予算額は、収入一億十二万一千円、支出千百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、一般勘定において、収入七億五百五十八万円、支出十一億五千六百十二万七千円の増加となっており、基金勘定において、収入七千七百十七万二千円を減少いたしております。一般勘定において増加いたしましたおもなる理由は、収入におきましては、貸付金利息収入の増加によるものであり、支出におきましては、借入金利息及び業務増量に伴う事務費増加によるものであります。  以上、昭和三十五年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について、その概要を御説明いたしました。
  26. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 以上をもちまして、本分科会所管説明は終わりました。  この際、暫時休憩をいたします。午後は一時三十分より再開をいたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時四十九分開議
  27. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算中、内閣総理府所管昭和三十五年度特別会計予算中、総理府及び大蔵省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。上林榮吉君。
  28. 上林山榮吉

    上林分科員 私は、まず第一にお尋ねいたしたいことは、政府がよく御承知の通り、日本の不幸というものは、いろいろありますけれども、第一に台風等による天然の災害、第二には交通事故による災害、第三には火災による災害、これはほかの国に見られる損害よりも、わが日本の損害の方が大きいことは、これはよく御承知だと思います。私は二、三年前にも、分科会で特にこういう問題を取り上げて、政府を督励申し上げたことがあります。  その一つは、交通事故の防止というものが、ある程度やりながらも不徹底であるから、政府に対策本部を設けて、交通事故の防止というものを徹底的にやらなければならぬというので、各関係省を動員してその対策本部が内閣に設置されたことは御承知と思います。それにもかかわらず、ここ二、三年間、私はじっとその成績を見ておりましたが、相当御苦労なさっておることはわかるけれども、効果は残念ながら上っておらぬ。これは一部局あるいは一役所において取り扱ったところで、効果の上げられない問題で、総合的に対策を講じていかなければならぬ大事な問題なんです。しかし、ほかの予算審議のはなやかさに比べて、とかくこういう問題が置き忘れられているような気がしてならない。私はそういう意味から、まず、交通事故に対する対策本部ができておったが、その後どうなっておるか、成績が上がらぬのはどういうわけか、少し真剣にお考え願いたい。これは運輸大臣なり警察にまかせるだけではだめであります。だから政府に、三年前だったと思いますが、対策本部を作ってもらったのです。成績が上がらぬのはどういうわけだろうか。これを私どもは真剣に考えておりますので、一つ具体案があれば承りたいと思います。
  29. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 お答えいたします。御指摘の通り、交通事故の災害というものは、人命の尊重という点から見ても、真剣に取り組まなければならない大きな社会問題だと考えております。またそのために、総合的な交通事故防止対策本部を総理府に設置いたしまして、御存じの通り、その会合を通じて、関係各省のそれぞれの者が、その分野においていろいろ真剣に討議を続けております。先週の木曜日もいたしました。細部の点については、しばしば幹事会を開いておるわけでございます。しかし何にいたしましても、激増する自動車その他の増加ぶりが、想像以上に大きいのでございまして、各官庁その他の者が必死の努力はいたしておるのでありますが、不幸にして事故発生の数字は、戦前戦後を通じ昨年度は最高という結果を見たわけであります。このたび、この中央における本部を中心にしまして、御承知の通り、新しい交通事故防止のための取り締まり法案と申しますか、すでに今国会に提案をいたしたわけであります。今後もできるだけの努力を払いまして、御指摘の点について、交通事故防止のために全力を尽くして参りたい、かように考えております。
  30. 上林山榮吉

    上林分科員 三年前に私が警告を発して、そうして発足した対策本部であったわけでございますが、ただいま長官の御報告を聞いて、また現実に、事実何人死んで、何人の負傷者が出て、一年にはこれだけの災害をこうむっておる、こういう統計を散見するときに、私はまことに遺憾であると考えておるのであります。そこで、最高潮に達した昨年度の統計を、参考のためにまず承ってみたいと思います。
  31. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 正確なこまかい統計につきましては、さっそく取り寄せまして御報告することにいたします。
  32. 上林山榮吉

    上林分科員 汽車が転覆したり、あるいは炭鉱で不慮の災害が起こったり、あるいは何かこぜり合いがあって負傷者が出ると、これも大事な問題であるから、問題にしなければならぬわけでありますけれども、非常に騒ぎが大きい。ところが陰に隠れて、その何倍、あるいは考えようによっては何十倍かの人命が失われ、あるいはからだが傷つき、あるいは物の損害を与えているにもかかわらず、継続的に起こる関係か知りませんが、これが真剣に取り扱いができぬということは、こういうところに政治の貧困があるのじゃないか。これはわれわれも反省しなければならぬし、政府ももっと積極的に、こういう問題については建設的なことを考えてやらないと、そのときちょっと考えて、この程度でよかろうというようなことでは、私はほんとうに遺憾であると思います。だから、法律を一つや二つ改正したりいじくったりするだけでは、この問題の解決はとてもできないのです。長官も一言触れられたようですが、激増する自動車の消化を秩序正しくどういうふうにやっていくのか、都会その他における道路あるいは待避場はこのままでいいのか、あるいは教育の部面にこれをどの程度取り入れなければならないのか、あるいは警察だけにまかさないで、いわゆる関係地域民はどういう心がけ、訓練をすればいいのか、自動車の運転手にはどういう規制を加えればいいのか、これは総合的にほんとうに考えて、長官、あなたとはお互い親しい仲ですけれども、この問題をあなたの在任中の一つの大事な仕事としてお取り上げになったらいかがですか。私は真剣にあなたに進言をいたしたいと思います。まず、これに対する結論的な答弁を伺います。
  33. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 上林分科員の御指摘の点、全く同感でございます。今後その線で全力をあげまして、総合的見地からこの問題に取り組んでいきたいと考えます。
  34. 上林山榮吉

    上林分科員 長官のまじめな、建設的な御答弁を伺いましたので、私はそれを信頼申し上げます。私どもも応分の協力を申し上げますから、ぜひ一つこの問題は真剣に取り組んでいただきたい。  二番目に伺いたい点は、やはり日本の不幸な災害の一つである火災の問題でございます。私は、火災で失われる日本の富、これは莫大なものだと思います。これに政府も意を用いられて、年々歳々少しずつではあるが、改善を加えられておる点は、私どももよく知っております。しかし、まだまだ不徹底である。その一例を申し上げますと、国家消防とかあるいは地方の公設の消防、こういうものの待遇改善というものも、もっとやってもらわなければなりませんが、俗にいう市町村の義務的な消防と申しましょうか、こういうような消防の待遇の改善、こういう点がまだまだ私は足りぬと思うのです。ことに、最小の労力をもって最大の効果をおさめる、いわゆる火災の災害を最小限度に食いとめるためには、言うまでもなく、地方は地方にふさわしい消防態勢が整わなければならない。ことに地方の道路に即したところの機械化というものを考えていかなければなりませんが、これに対する消防ポンプの購入、これは地方の自治団体あるいはその地域民は、自分で自分の地域を守ろうとして、苦しい中から新しい機械やポンプ等を購入しておるのです。ところが政府は、これにわずかの補助金を出しておるにすぎない。私はつまらない補助金の散布は自粛しなければならぬと思いますけれども、今申し上げたようなものに対する補助金の率なりあるいは増額なりというものは、これはもっと奮発していいのではないか。たとえば、各県から二十台なら二十台の消防ポンプを買いたいと言うてくれば、わずかに五台あるいは六台しかこれを許可していない。下の方は盛り上がっているのですよ。自分たちで大部分は整備いたしますから、一つ補助金を出していただければなおありがたい、またそれがなければやっていけないと言うて、下はもうはっきり盛り上がっているのですよ。これに水をさすようにやっておるというのは、これは長官並びに消防本部長、お二人から私は考えを伺いたいのです。消防全体に対して私はまだ改革すべき点を要望したいのですけれども、この一点だけにしぼってきょうはお尋ねをしておきたいと思います。来年度のことを言えば鬼が笑うかもわかりませんが、長官あるいは消防本部長は、大蔵省に対して、あるいは自治庁に対して、一つ相当思い切った処置に出られるように私は希望を付して、質疑をしております。
  35. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 いろいろな補助金も、それぞれ意味もあることでありますが、御指摘のような消防に関する補助は、非常に意味があり、かつまた、政府におきましても、当然要望に沿うだけでなく、むしろ政府の方から促進するというぐらいな積極的な気がまえが必要であろう。私は全く同感でございます。御承知の通り、消防施設補助金は、三十五年度は六億五千万でございます。補正前に比較しますと、約一千三百万の増加になります。もちろんこれでは不十分でございますが、この制度のできた最初の二十八年の二億五千万に比べれば、相当な増額にはなっておる。しかし御存じの通り、これではとうてい全国の要望には応じ切れない、こたえられない、貧弱なものであると私どもも考えます。今後もその増額に全力を尽くしていきたいと考えます。
  36. 上林山榮吉

    上林分科員 法務大臣と官房長官に特に承ってみたいと思います。御承知の通りに、皇室におかれて、皇孫殿下がお生まれになったことは、お互いに国民としておめでたいことだと存じますが、官房長官の談話に、これを機会に恩赦をする考えはない、こういう新聞談話を私は見たのでありますが、そういうお考えであるのかどうか。なお法務大臣は、当委員会において質問を受けたときに、これは男の方であるか女の方であるかわからないから、選挙違反等を含む恩赦というものは今考えておらない、こういうような答弁であったと思うのでございますが、現在はそのときと違ったお考えで、官房長官と同様に、今回は恩赦をする必要はない、こういうふうにお認めになったのかどうか、まずお二人から伺いたいと考えます。
  37. 井野碩哉

    井野国務大臣 お答え申し上げます。皇孫殿下が王子としてお生まれになりましたことは、まことにおめでたいことだと存じます。国民ひとしく喜んでおる次第でございますが、このお喜びに対して、恩赦の問題が当然起って参りますことは、あらかじめ先般の委員会でいろいろ質問を受け、またいろいろ陳情を受けておるところでも、明らかでございますが、その当時私が申し上げましたのは、まだ皇孫が男としてお生まれになるか、女としてお生まれになるかわからぬときに、こういう問題を申し上げることは不謹慎である、だからそういうことは申し上げないということを申し上げたのであります。今日王子としてお生まれになりました以上、この問題については、政府としてもはっきりした態度をきめなければならぬ時期だと思っております。  そこで私の考えといたしましては、皇室のことは、なるたけ慣例に従って処置することが適当である、こう考えておりまして、皇孫の御誕生につきましては、今まで恩赦をいたしました先例がございません。従って、今回もその先例に従うことが適当であるというふうに考えております。この点は総理大臣の権限でございますが、総理大臣にもいろいろお話を申し上げ、総理大臣も同じ考えを持っておられますので、私としては、はっきりこの際はそういうことをいたさない方が適当である、こういうふうに考えております。
  38. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 法務大臣のお答えですでに明らかでございまして、私から追加する必要もないと思いますが、お尋ねでございましたから、申し上げます。  昨晩の記者会見において、恩赦があるかどうかという質問がありましたので、それに答えて、ただいま法務大臣が言われたようなことを聞いておりますので、恩赦はまずないということを話したわけであります。別に官房長官談話として発表したものではございません。
  39. 上林山榮吉

    上林分科員 法務大臣は、当委員会で質問を受けた場合に、先ほど私が申し上げた通り、これは男の方か女の方かわからぬから、軽々にどうするということを答えることは不謹慎だと思うから、答えない、こういう前提のもとに言われたわけでございましたが、そのときの答弁は、やった方がいいと思う諸君は、これはやった方がいいという含みもあると思うかもしれない。やらぬ方がいいという考えを持った人も中にはあるだろうから、そういう人たちは、あるいはやらぬだろう、こういうふうに思ったかもしれない。きょうの御答弁を伺いますと、皇孫殿下の場合は先例がないから、できるだけ先例に従いたいと思うのだ、こういうことになったわけです。そういうことになりますと、これは最終的に、ただいまのお話では、岸総理もそういうお考えのようだ、こうおっしゃったのでありますが、これは総理が閣議でそういう話をされて、正式に政府の態度をそういうふうにきめたものかどうか、新しい日本の憲法における天皇や皇太子、あるいはその跡を継がれる皇孫殿下のことは、私は新憲法に従ってそれぞれ承知をしておるつもりでございます。そういう立場から考えても、天皇はもう言うまでもなく、国家の象徴であられる。国民統合の象徴である。皇太子はそれを継がれる。皇孫殿下もまたいつかの日にはそういうことになられることは、もうはっきりきまっておるわけです。だから、これを天皇や皇太子と同様に扱われることは、あるいはどうかと思いますけれども、軽い刑の者とか、その他いろいろなものを勘案されて、国民がひとしく喜んでいるのだというしるしをしたって、何にも私は遠慮はいらないと思う。これに対して何となく遠慮がましいことがもしあるとすれば、私は遺憾であると思う。これは新憲法の精神に従っていい例は作っていいんじゃないか、そういうような意味において、私は遠慮はいらぬと思っておるのでございますが、閣議決定あるいは総理の最終的決定の御意思であるならば、ただ前例がないからそれはしないのだ、そういう意味なのか、もっとそれを裏づける、国民が納得のいくようななにがあるのかどうか、これを私は伺いたいと思います。
  40. 井野碩哉

    井野国務大臣 別段まだ、閣議の決定とかそういうことはしておりません。これはまたその必要もないことで、総理大臣がおきめになればそれでいいことだと思います。従って、総理大臣には私の意見も申し上げ、総理の意見もお聞きして、今申し上げた通りに総理大臣もきめておられますから、政府としては、そういう意味で、恩赦はこの際やらないというふうに御了解をいただきたいと思うのであります。そこで、どういうわけで恩赦をやらぬか、国民がこんなに喜んでおるのに、新憲法のもとで、新しい考え方で先例としてやったらいいじゃないかという御意見のようでございますが、事皇室に関します点につきましては、新憲法と旧憲法の開きは、非常に皇室に対する扱いも違っておりますけれども、こうした皇室に対する問題は、できるだけ一つ先例にならって事を処していく方がいいというふうに考えておりまして、いろいろと理屈を申し上げて議論をする筋のものではないと実は私も考えておりますので、その先例に従って恩赦をいたさない、こういうふうに御了承をいただきたいと思います。
  41. 上林山榮吉

    上林分科員 何も私が理屈を言っているのではないので、私も素直な気持でこの問題を取り上げて、そして国民が納得のいく説明が願いたい、こういう意味で申し上げているのであって、何かとやかく一部の方面から言われるから、遠慮して、前例もないことだし、それならば今度はやめようかというふうに、総理もしくはあなたがそういうふうに思っているのであれば、これは私は遺憾だと思いますけれども、この問題はこれ以上御質問はいたしません。  次に、私は内閣官房長官あるいは総務長官も御関係があるかと思いますが、総理がおられないので、適当にお二人から、一つ、分科会でございますので、お答えをいただきたいと思います。というのは、私は、日本の官吏というものの実態といいましょうか、あるいは役人をやめたあとの問題といいましょうか、そういうような問題について、少しざっくばらんに私の意見を申し上げて、お答えを願いたいと思います。というのは、まあ日本の官吏は大体において優秀でしょう。そして役所をやめると、すぐ公社あるいは公団、あるいは政府機関の会社、こういうようなところに、向こうから懇望されていく人も中にはあるかもしれないが、総じて政府あるいは担当大臣が世話をして、就職の口を見つけてやる、こういう行き方じゃないかと思います。また、たとえば国鉄、専売公社、こうしたようなところの人々も、交通公社あるいは日本通運、こういうような方面に身売りをしている。これは有能な士で、同時に相手方から非常に懇望される場合はいいと思います。また、親心を持って、所管の大臣その他の人たちが将来を考えてやって、めんどうを見るのも、私は人情としてけっこうだと思っているので、決して必要以上に責めるわけでございませんけれども、どうもそういう傾向があまりに強いので、たとえば日通の料金を上げなければならぬ、あるいはまた、地下鉄の料金を上げなければならぬ、こういうときに、政府もお困りになるだろうし、その局に当たっておる者も、板ばさみになって困るだろうと思うのですけれども、そういうことをやって不明朗なものを感ずるわけです。やりにくいだろう、こう感ずるわけです。これをどういうふうにお考えになるか。そこで、もう一つ考えたいことは、あまり役所をやめさせるのが早いんじゃないか。あるいは事務次官などにしても、まだ有能の士ですよ。これをあまり早くやめさせる、そのために、結局どこかにめんどうを見てやらなければならぬということになる。私はもっと有能な役人は三年や五年は置いたっていいと思っております。ほかのところに、その人たちが自分で自由に仕事を見つけていくのならいいですが、政府と関係のあるところに、世間の誤解を受けるようなところに、こういう人材を早くやめさせたためにやるということはよくないと思う。ことに、早く局長とか次官をやめるものですから、全国区で参議院に出ようと考える。全国区で参議院に出れば無難だ。それは、役人の中のりっぱな方が政治家になるのもけっこうです。喜んで歓迎すべきであります。だけれども、安易な道を行こう——今、選挙法の改正がいろいろ言われているわけですが、これと並行して、役人であった人、公共企業体やあるいは役所の労働組合の委員長もよく参議院議員になるんだが、どうもこの傾向はいいことじゃないと思っておる。それぞれの地位を利用して、それぞれの組織を利用して参議院議員になることを考えることが最近多いようです。私は参議院じゃないが、衆議院にもたまにはそんな人がおるが、参議院に多いようですね。こういうような行き方は、日本の人事管理あるいは人事行政というものを、もっと再検討してみなければならぬのじゃないか。次官が行き詰まりだ、待遇もこれ以上上がらぬ、比較的若いうちに、転換した方が、民間人になるにも、あるいはまた、公社その他に入るのでも、あるいは参議院に出るのでも、この方が利口だという考えで転換していくことになるんです。だから、お前は事務次官としてりっぱだから二、三年がまんしろというくらいにしないといかぬのじゃないかと思う。これは官吏制度の根本に触れる問題であるので、根本的な検討もしなければなりませんが、今一私が言ったこういう問題について、ここではお互いに歯に衣を着せないで、この問題は言いにくい点もありましょうが、お示しを願いたい。
  42. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 上林山委員に御相談しますが、法務大臣は他に所用がございますが、よろしゅうございますか。
  43. 上林山榮吉

    上林分科員 けっこうです。
  44. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 高級官吏をもっとその職にとどめて腕を振わしめる方が人物経済の上においてよりよろしいじゃないかという御意見に対しましては、全幅の賛意を表するものであります。ただしかし、子供も大きくなって大学に入る、娘さんだと孫ができそうになって、なかなか今の待遇ではやっていけぬような状態なんです。それで長くその地位にとどめておきたいけれども、そういったようないろいろな事情のために去るんだろうと私は考えます。その問題の解決が唯一の解決ではないかもしれませんが、かなり共通した大きな問題のように考えられます。
  45. 上林山榮吉

    上林分科員 待遇が悪いから、子供も大きくなって学校にやらなければならぬから、その地位にとどめておこうと思うけれども、やむを得ず希望の通り転職さしているわけだ、こういう常識的な御答弁で、確かにそれも一つの見方だし、また実態だろうと思います。しかし、私どもが各省の事情をよく見たり聞いたりしておるところでは、本人が自発的にやめたくなくても、勧誘して、後進に道を譲らなければならぬという名目のもとに退陣させられておる場合も相当あるわけなんですね。この辺は、やはり官房長官や各省大臣がそれぞれ考えて、是正すれば是正し得る範囲でございます。待遇の問題は、これは官吏全体に響く問題でありますから、再検討を要すると思います。しかしながら、これはある程度は待遇の改善ができると私どもは考える。待遇の改善をやらなければいかぬ。ことに事務次官という立場になれば、数も少ないのであるから、相当待遇改善してやってよろしい。そういうような意味において、やはり物心両方面から、ある程度満足し得るような状態に置く、そうして無理なやめさせ方、あるいは就職の世話、その世話のために政府がプラスであるか、マイナスであるか、国民の疑惑を受けるか、受けないか、こういう点などもよく考えて、私は人事管理というものはやっていくべきものである、このように考えております。あなたとここで何も論争しようと思って申し上げているのではありませんが、一つこの問題も、ただ委員会であんな話があったがということでなしに、研究していただきたい、熱意を持って考えていただきたい、こういうように考える次第であります。そうでなければ、まだこの問題に関連していろいろな問題をここに持っております。具体的に言うとなんだと思いますのでやめますが、どうか一つ大局的見地に立ってこの問題を考えて、処置していただくよう要望いたします。
  46. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 私のお答えが不十分でありましたから、追加いたします。国家公務員法の百三条に、公務員は、離職後二年間は在職当時の仕事と関連するところに、——営利事業でございますが、そういう営利事業に入れないことになっております。しかし、特別の事情があって、人事院の方の許可があれば、例外的にその職につくことができる、こういう制限がございまして、お話しのように、きのうまで監督しておったところに、きょうからすぐ勤めるというようなことも過去にはございました。いろいろその弊害を醸成したので、この点に関する規制は、何年前でしたか、できておるわけであります。ただし、役所の延長である公団であるとか、あるいは公社というものは、これは純然たる営利事業ではございませんので、これはこの規則に拘束されないのであります。そういうわけで、離職後直ちに被監督の地位にあったところに入って、そうしていろいろ公私の混淆を来たすというようなことにつきましては、十分に気をつけておるというのが現状でございます。申し添えておきます。
  47. 早稻田柳右エ門

  48. 横路節雄

    横路分科員 官房長官にお尋ねをいたしますが、内閣官房の中に、報償費一億七千九百十九万三千円というのがある。この報償費というのはどういう金なんでしょう。この間参議院の決算委員会ですかで矢嶋委員の質問に答えて、外務省の中にある報償費の中から、昨年の夏ですか、岸総理が外遊されたときに随行された自民党の代議士の、いわゆる渡航費を千六百万円出している。この報償費というのは、これは何なんでしょうか。報償費というのはどういうものなのか。実は会計検査院の方も呼んでおりますから、あとであわせて聞きたいと思うのですが、まず官房長官に、報償費とは一体どういうものなのか、その点についてはっきり一つお答え願いたい。
  49. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 報償費は、国が国の事務、事業に関して功労があった者等に対しまして、その労苦に報い、さらに、そのような企業を奨励するというような意味において使用するものであります。また、国の事務、事業についての部外の協力者に対して謝礼的な、ないし代償的な意味において使われる経費でございまして、科目の立て方が単一な使途を示していないので、支出の態様といたしましては、庁費、交際費、謝金、調査委託費等の科目から支出されるものと、一見重複するように見える場合もあるのであります。しかしながら、報償費は、その沿革におきまして、従前の機密費の系統に属するものでございまして、その使途のいかんにかかわらず、きわめて高度の機密性を持っておるのでありまして、その趣旨において経理しなければならない性質の経費であります。もし、その機密が厳密に保持されるのでなければ、その経費の目的を達しがたいことを、いわば本旨とする経費である、こう申し上げた方がよかろうかと考えております。
  50. 横路節雄

    横路分科員 今の官房長官の御答弁では、労苦に対する報い、あるいは国の事務等に対して部外から協力した者に対するいわゆる代償、これも報いです。こういうものとしてやるのだ、しかも、それは従前の機密費と同じようなものであって、高度の機密性を持っている従って、外部についてはこの機密を保持しなければならないのだ、こういうお話だった。  それではお尋ねいたしますが、官房長官が先般参議院の決算委員会で御答弁になっている、外務省から出ている——外務省には約三億五千万円の報償費がある。その中から、先般岸総理が外遊されたときに随行した自民党の代議士に千六百万円の報償費を支出したのは、これは何です、労苦に対する報いですか、国の事務等に対する部外の代償的なものですか。国会議員である以上は当然でありませんか。それを、一体労苦に対する報いだとか、あるいは国の事務本来に対するところの代償的なものとして支出するということは、明らかに不当でありませんか。あとで私は——会計検査院事務総長いらっしゃっているんでしょう。今の官房長官の説明からすれば、明らかに不当ですよ。どうですか、会計検査院事務総長。きょうは一つ会計法、会計検査院法その他からお尋ねしたい。あなた一つ答弁して下さい。
  51. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。ちょっと昼食しておりましたので、お話の全容を、あるいは取り違えているかもしれませんですが、今度——今度といいますか、岸総理の外遊の際、随伴国会議員旅費を報償費で出したことの当否ということのお話であると思います。報償費の性質については、先ほど御質問あったかと思うのですが、いわゆる外交等の工作に必要な経費がここに含まれている、われわれはそう考えております。そこにおきまして、国会議員の資格で、国会議員としての職務のために外国へ旅行されるならば、これは当然国会所管旅費として要求されて出かけるべきだと思いますが、国会議員が一つの外交その他の目的で、岸総理のいわば何といいますか、話し相手という言葉は悪いかもしれませんが、そうしたブレーンとして行かれるという場合に、国会の方で旅費が出なければ、どこかから出さなければならないのではないか、こういうことになると、そうした工作の経費を報償費の中から出すこともあながち違法とはいわれないのではないかと思います。ただし、この問題は三十四年の支出でありまして、まだ会計検査院といたしましては三十四年の外務省の報償費の内容につきましては十分に検査いたしておりませんので、はなはだ失礼ですが、私の私見的なことにもなったかと思いますが、以上、お答えいたします。
  52. 横路節雄

    横路分科員 会計検査院事務総長には、なお、これからずっと質問していきたいと思うのですが、官房長官、先ほど官房長官から二つの事項についてお話をされた。労苦に報いるためのものである、国の事務に対して部外の者がこれに協力をしたための代償的なものであるということだ。そうすると、随行された国会議員に対する報償費の支出というのは、労苦に対する報いですか、国の事務に対するところの部外者の協力、その代償と解さるべきものですか、これはどちらに入るんですか。私は、どちらでもないだろうと思う。この点はどうなんです。
  53. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 国会議員国会議員としての当然の職責を果たすために海外へ旅行するのと違いまして、あの際は、欧米班と南米班、この二班に分かれてもらいまして、今後におけるわが国の通商貿易の基礎となる経済状況、あるいは外交政策の前提となります政治情勢等の調査を、特に尽力して調べてもらうというような意味合いで同行を願ったのでございまするから、従って、その労に報いる意味において、別に成規の旅費というような意味ではなく、ある程度の経費を報償費からお渡しした、こういうわけなんであります。
  54. 横路節雄

    横路分科員 官房長官、こういうやり方は、国のこういう予算に対する正当な支出である、こういうことが将来続けられていて、こういうことが積み重なって、これはよき慣行だとお思いですか、それとも、今度からは——この間は、さらに官房長官は、そうではなしに、どういうようにお話しなさったか、他の院のことですからわかりませんが、官房長官は、こういうことを続けていって、これが国の予算の支出におけるよき慣行が作られるとお思いになるのか、それとも、どうもこれはうまくない、だから、今回限りで、他のものについては、こういう場合においても、できるだけこういうことにはしない方がいいとお思いになるのか、いやいや、そうではない、またまた適当なときがあれば、労苦に報いるものとして国会議員には支出するのが正当だ、こういうようにお思いになるのか、どちらなんでしょうか。
  55. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 その前に申し上げておきますが、千六百万というのは間違いでありまして、ただの六百万円です。  前回の場合は、特に一緒について洋行したいという希望があったのではなくて、こっちの方から、ぜひ行ってくれというようなことであったと思います。そういう場合には、やはり余分ないろいろな苦労をかけるということになりますから、今後といえども、報償費から出して一向差しつかえないものだ。今回のアメリカの方は、やや希望がございました。必ずしも調印には欠くべからざる同行者とは考えません。それはちゃんと党の方から出してもらう、こういうことでございます。
  56. 横路節雄

    横路分科員 会計検査院事務総長にお尋ねしますが、私は、これはよき慣行だとは思っていないですよ。こういうことは、国会議員が行く場合、国会議員として国会から派遣されるならば、当然国会の費用で行くべし、そうでなければ、自分の費用で行くべきだ。報償費というのは、先ほどみずから言っているように、高度の機密を保持すべきものなんです。しかも、国の事務に対して部外者が協力した代償だと言っておるではありませんか。国会議員が国の事務に対して、みずから協力することは当然なんです。それをわざわざ機密費としての性格を持っておるものから出すということは、これは会計検査の上からいって、違法とは言えないかもしれないけれども、これは不当ですよ。事務総長どうですか。
  57. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 国会議員として行かれたとすれば、これは先ほど申しましたように、国会の方の予算旅費として行かれるのが当然だろうと思います。たまたま国会議員の職におられる方が、岸首相のブレーンとして行かれるということになりますと、その場合においては、民間の、財界なら財界の方が行かれるのと区別して考える必要はないのではないか、ただいま私見としてはそう考えておる次第であります。そういう意味におきまして、報償費から出してもやむを得ないのではないか、こう考える次第であります。
  58. 横路節雄

    横路分科員 官房長官にお尋ねしますが、ことしの予算の報償費一億七千九百十九万三千円というのは、どういう積算の上に立ってこの数字をはじいたのですか、そのことをお尋ねします。
  59. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 前年度から、節約額三%を引いたものだったと思います。
  60. 横路節雄

    横路分科員 官房長官、私が聞いているのは、一億七千九百十九万三千円というのは、どういう積算の基礎の上に立ってはじいたのですかということです。簡単に言えば、どこへどう使うのかということです。
  61. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 先ほど申し上げました通り、高度の機密性を持っておる費目でございまして、従って、積算の根拠を一々申し上げるわけにいきません。
  62. 横路節雄

    横路分科員 会計検査院事務総長にお尋ねしますが、あなたの方では、報償費については、たとえば三十三年度の決算その他については調査をしていますか。これは、たとえば官房長官から、報償費は高度の機密性を持っておるからだめだと言われているのか、あなたの方では全部一々領収書をきちっと調べているのか、その点はどうなんですか。
  63. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。報償費の内容にもいろいろありまして、つまり、外国使臣にある程度のおみやげを出すとかいうようなことは、普通の経費と同じように、当然支出の証拠書類全部整えて、明細も出ておりますから、十分検査しております。ただ、問題は、先ほどからお話しのありました高度の機密にわたるとして、たとえば、例でありますが、官房長官に交付されている報償費ということになりますと、どういう目的でそれが交付されたかということは、われわれ実地検査におきまして聴取いたしまして、そして、大体こういう方面に使ったという心証を得まして、われわれの検査を終えておる次第でありまして、詳しい個々の領収証書というものは、検査院で検査していません。というのは、そういうように、経費の性質上機密性を要するので、計算証明をするのは困難であるという各官庁からの要望その他もありますし、また、検査院としましても、機密的な経費は、たとえば積算内容その他詳しく証明されたとしても、これが必要であったかどうかという判定はきわめて困難でありますので、この点は、各省各庁の方に、ある程度責任を持っていただくといいますか、そういう意味において、詳しい書類はとらずに検査を済ませておる次第であります。
  64. 横路節雄

    横路分科員 事務総長にお尋ねしますが、これは莫大なもので、ここで一億七千九百万円、外務省本省で三億五千万、在外公館で、たしか二億七千万、今度は公安調査庁で約六億五千万近くのものがある。こういう約二十億近くのものを、会計検査院としては全然放置しておるのですか。これは法律のどこで、調べなくてもいい、そういうものについては領収書をとらなくてもよろしい、こうなっているのか、一つ条文によってお示しいただきたい。私も、会計法だとか、財政法だとか、予算決算及び会計令だとか、あなたの方の会計検査院法だとか、その他いろいろ見ましたけれども、領収書はとらなくてもいいのだというのは、どこでそうなっておるのですか。ただ慣例でそうなっているのか、その点を明らかにしてもらいたい。法律でそうなっているなら、法律を示してもらいたい。約二十億にわたるものですよ。
  65. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。会計検査院にどういう書類を出すかということは、会計検査院がきめることに法律上はなっております。これは会計検査院法できまっております。それに基づいて計算証明規則というのを会計検査院できめております。一般的には、それで領収証書その他を徴することになっております。ただし、その計算証明規則の中に、第何条だったかちょっと忘れましたが、会計検査院の指定によって、また、承認を経て特例を設けることができるという規定があります。それに基づいて、たとえば報償費でありますが、給与の証明のようなものは、一人々々の領収証書を徴しても、その真否はむしろ出先で調べた方が正しいというので、これは検査院の方から積極的に指定して、給与は個々の領収証書を必要としないこととしております。また、逆に、相手方から承認を要求してきた場合、その中に今の報償費がありましても、そうしたものは、領収証書を検査院に出さなくてもよろしい、その取り扱い責任者というか、そこに領収証書を出して、あとは実地検査のときに検査院で調べるということにしております。法的根拠としては、ただいま申し上げたようなわけであります。
  66. 横路節雄

    横路分科員 事務総長にお尋ねしますが、先ほどあなたのお話しの中で、たとえば、内閣官房の機密費一億七千九百幾らという中で、外国の使臣等に対しておみやげをやった、それは領収書がきちっと出ているが、しかし、官房長官に三千万いっているか、五千万いっているか、一億いっているか、それはわかりませんが、とにかく、この中から官房長官に相当な金額が渡されている。この点については、あなたが官房長官に会って「お受け取りになったのですか」、官房長官は「受け取りました」こういった程度になっているのでしょう。あなたは、さっき心証という言葉を使っておられたが、心証というのは、官房長官にお会いして「こうなっておりますが、五千万円受け取ったのですね」、「一億受け取ったのですね」、そこで官房長官は「そうです」、こう言うと、あなたは官房長官の顔を見て、ほんとうだなということで、心証という言葉を使ったのですか、それをちょっとお答えいただきたい。
  67. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。ただいまお尋ねの通り、いわゆる官房長官に渡ったということは、当然領収証書その他によって確認できます。それが何に使われたかということは、そのときの大体の説明によりまして、こうした方面にほぼ使われたのだろうという、いわゆる心証で、もうそれ以上は機密に属することで、検査をする必要もなかろうという考えで済ましている次第であります。
  68. 横路節雄

    横路分科員 事務総長にお尋ねしますが、そうすると、あなたの方では、たとえば昭和三十三年度の内閣官房の個々の報償費のうちで、官房長官に幾らいったのだ、あるいは外務省本省のところの機密費三億五千万のうちで、外務大臣にはどれだけいったのだ、こういうことについての数字は、あなたの方では確認しているわけですね。その点だけ一つはっきりしておいて下さい。
  69. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 報償費のうち、どなたに幾らいったかということは、証拠書類でわかります。
  70. 横路節雄

    横路分科員 事務総長にお尋ねします。これはまたあす、あさって聞いてもいいのですが、きょう聞いておいて、またあす、あさってお聞きしたいと思うのです。それは、法務省の中の公安調査庁の中に、公安調査官のいわゆる活動費というのがありますね。あれは五億五千万ですか、約六億近い金です。あれも個人に幾らいったかはわかるのですね。どうなっているのですか、関連してちょっと聞いておきたい。
  71. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 先ほどお答えしましたのは、報償費の点であります。今度の御質問の調査活動費、これは公安調査庁の各担当の責任者がそれぞれ受け取って、それをまたいろいろな調査活動に使用しておりますので、会計検査院の方で計算証明としてわかりますのは、どの調査官に、そうした金が幾ら渡されているかということはわかります。ただし、それが今度は末端のだれに幾ら渡したかということは、これは公安調査庁の実地検査のときに、向こうには書類がありますので、それを見ましてこちらとしては検査します、こういう次第であります。
  72. 横路節雄

    横路分科員 官房長官、実は私これをお尋ねしているのは、地方公共団体では、こういう金額については非常にやかましくなっているのであります。しかも、それぞれの都道府県議会においても、決算委員会において、一々領収書まで全部取り上げて調べているわけです。そういう意味で、報償費の問題については、これはもしもあなたの方で機密費なら機密費を組むならば、先ほど会計検査院事務総長から言われたように、外国から来た方に対するおみやげだとか、その他正当なもので支払わなければならぬものがある、私はこれは交際費だと思うのですよ。あなたの方でも交際費二千三百三十九万四千円というのがあるのですから、こういう中に交際費としてきちっと組むべきだと思う。この点を私は——きょうは大蔵大臣がおりませんが、この点は非常にルーズだと思うのです。先ほど会計検査院事務総長から言われたような点は、当然交際費で組むべきだ。どうしても政府の方で機密費として必要だというのであるならば、明らかにその項をあげればいい。報償金の中からそうやって使っておる。こういうやり方は、非常に私はいかぬと思う。やはり政府としては、この予算の編成あるいは予算の支出上からいって、私は厳重にその点は区別されなければならないと思うのです。なお、この問題は、他の方の防衛庁の中にも五千何百万か出てきますから、またそこで関連をして、あすまたお尋ねをしたいと思うのです。ただしかし、交際費の中に入るべきものその他を一括して報償金という名前で入れて、そういう自由に使えるというか、極端に言えば、あるいはもっと他の言葉で言えば、ルーズというか、そういうやり方は、私は非常に遺憾だと思う。官房長官、その点について何かお話がありますか。
  73. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 一応交際費としては、儀礼的な、あるいはまた、社交的な意味で外部に対して支出するような経費、こういったような定義を下しております。今物をやる場合には交際費の方がいいじゃないかというお話もございましたが、従来も、外国使臣等に対する贈与的なものは、報償費でまかなっておるのが慣例のようでございます。
  74. 横路節雄

    横路分科員 官房長官に次にお伺いをしますが、この内閣官房の中の予算の中に、情報調査委託費が二億六千七百五十一万円あるわけです。これは、私は正式にあなたの方に予算委員長を通して資料要求をして、ここに出ておりますから、念のために、出された資料について私は読み上げてみたいと思います。  最初に申し上げるのは団体名、次が責任者名、次が金額と、こうなっておるわけです。日本放送協会、責任者野村秀雄氏、金額千二百六十万円。放送協会に千二百六十万円を内閣官房は出しておるわけです。その次、内外情報調査会、責任者氏名、長谷川才次氏、金額千九百二十五万円。次、共同通信社、責任者氏名、岩本清氏、金額六百万円。次、団体名、海外事情調査所、責任者氏名、三留利八という方、金額三千三百四十三万円。今度はラジオ・プレス、責任者田中格郎氏、二百五十万円。次、内外事情研究会、責任者上村健太郎氏、金額千九百八十万円。これは、たしか前の内閣官房の副長官でしたね。その次、東南アジア調査会、代表者渡辺正氏、千八十万円。国際問題研究会、これは芦刈直己という方で、金額千百四十万円。国際経済調査会、北島織衛氏、金額千七百四十一万円。この方は、たしか大日本印刷株式会社の社長さんだと思いますね。アジア動態研究所、これは茂川秀和氏、金額八百三十六万円。国民出版協会、横溝光暉氏、これも三千二百三十六万円。民主主義研究所、秋山博氏、三千五百万円。その次の二つは、まだできてなくて、これから内閣調査室の方で御検討なさるようですが、日本ニュース社(仮称)、千八百万円。次、国際情勢研究会(仮称)、代表者もまだきまってなくて、金額は四千六十万円。合計二億六千七百五十一万円を、昭和三十五年度情報調査委託費として要求されておる。  私は一つお尋ねをしたいのですが、私の手元に、監修内閣調査室、委託編集内外情勢調査会、これは長谷川才次氏がやっている。これは私たちの手元にしょっちゅうきているからわかるわけです。これは千九百二十五万円ですが、あとの団体の方は、私たち見たことがないのです。あとの団体の方でどんなものを発行されているのか。ここに内外情勢調査会だけはなるほどきている。それを見ましても、なかなかいい資料です。しかし、あとの方は、どんなものを出されているのかわからない。きのうですか、内閣調査室の方から、御参考までに見て下さいといって私のところに持ってきたのがありますから、私も見ましたですよ。見ましてここにたんねんに記録してあります。中共資料、中共一九五九年の国民経済発展状況、二番目、東南アジア資料、ラオスの政変と国家利益擁護委員会の勢力伸張というように、東南アジアの資料が五件、中東資料が五件、ソ中関係史が一件、ソ連関係重要事項が一件、中共人民団体の資料、あるいは中華人民共和国組織別人名簿、その他ずっと出ております。しかしこれは、私がきのう、資料として出していただきたいと私の方から要求したら持ってこられて、一つ見て下さいということで、私はずっと記録してみたんだが、今私が読み上げましたこの団体が、何を出しているものか全然わからないのです。先ほど言いましたように、内外情勢調査会だけは出ている。そこで私は一つずつお聞きをしたいと思います。まず総括的なことを一つ官房長官にお尋ねして、それから一つずつお聞きしたいと思います。  なるほど、日本放送協会、共同通信等から海外の事情その他について聴取をされるというので、特別委託をされているという点はわかる。それから、内外情勢調査会というのは、千九百二十五万円も委託費を出されているが、なるほどここにわれわれはいただいている。やはり内閣調査室から出されたこういう資料によって、われわれも勉強する機会を得て非常にいいと思う。しかし、あとの団体については、やれ三千三百四十三万だ、やれ千九百八十万だ、やれ千八十万だ、千百四十万だ、千七百四十一万だ、三千二百三十六万だ、やれ三千五百万だ、こういう金が出ていて、国会議員の私たちにはこの内外情勢調査会だけが資料を出しているが、あとの方は、私たちがこういう機会にお尋ねしなければ、どうなっているかも全然わからない。そういう点について、総括的な情報調査委託費として、今私は具体的に——これはあなたの方からいただいた資料によるものですが、この点について、一体どういうようになっているのか、少し詳細に、こういう機会ですから一つお話をしていただきたい、こう思うのです。
  75. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 定期的に調査機関として外部に刊行物を出しておりますのは、今御指摘の長谷川才次氏のやっておる内外情勢調査会、ほとんどそれだけだったと思います。その他のものにつきましては、これは内閣の資料として調査を委託しておりまして、その委託して得た資料に基づいて、これを分析し、あるいは判断して、そして国政の重要なる参考資料に供しておる。長谷川氏のところのほかに刊行物は出しておらないと思います。
  76. 横路節雄

    横路分科員 これはずいぶん大きな数字ですね。今、官房長官お話しの内外情勢調査会というのは、国会議員全部に配って、相当広く頒布されておる。これで千九百二十五万円なんです。ところが、国民出版協会三千二百三十六万、民主主義研究所、秋山博氏、三千五百万、海外事情調査所、三留利八氏、三千三百四十三万、これは結局内閣調査室の外郭団体ですね。一つの調査所で年間三千五百万の費用といったら莫大なものですよ。これは、いうならば内閣調査室の外郭団体ですね、そういうように解釈してよろしゅうございますか。
  77. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 外郭団体ではございません。これは純然たる民間の機関であります。
  78. 横路節雄

    横路分科員 それではお尋ねしますが、国際情勢研究会というのは、これからお作りになられて、四千六十万円も本年中に支出しようとしている。これはどこが作るのですか。仮称となっている、責任者もきまっていない。そうすれば、当然内閣調査室が外部に向かって働きかけて、こういう機関を作ったらいいだろう、そのためにはこれこれの人員でやりなさい、予算も組みますよということではありませんか。団体を設立し、しかも代表者もきまって、仕事もきちっときまってやっているものに予算を組むというのならいいけれども、これは仮称じゃございませんか。これからお作りになるのではありませんか。そうすれば、今官房長官から、これは内閣調査室の外部機関ではないとおっしゃっても、この日本ニュース社、国際情勢研究会というのは、これから内閣調査室が働きかけて作らせて、そうしてこれに予算を支出するということではありませんか。これはそうではありませんか。一歩私が譲って、他の団体で、今までちゃんと仕事もやって、代表者もきまっていて、そうして内閣調査室でいろいろ検討した結果、なるほどあれは委託してもよろしいというのなら話はわかるかもしれないが、これは全然今できていないのでしょう。これは仮称であり、責任者もきまっていない。規約だって何だって、きまっていないだろうと思う。それを内閣調査室の方で働きかけて、予算をそれにつけたのではありませんか。明らかにこれは、内閣調査室の外郭団体をお作りになることではありませんか。この点はどうなんですか。
  79. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 これからこの仕事を受け持つ、いわゆる民間団体ができるわけであります。今準備中であります。それで、お尋ねであります国際情勢研究会、今までの委託先の機関と違って、四千万という数字はちょっと目立つ数字でありますが、これは広く公安調査庁あるいは防衛庁、それから警察関係、それらの情報というものを内閣に集めまして、そして実は少し高い見地から諸般の情報を分析し、これを総合判断して国政の参考に資するという、高度の情報分析、総合の機関というものが必要でありますけれども、この点非常に遺憾な状況に置かれておる。これは役人仕事では、なかなかいい点もありますが、まずい点もある。そこで、そういう機能を持った機関を民間団体として作りまして、それにこの機能を持たせる、そして国としてその結果を活用したい、こういう考え方であるのでございます。ただいま民間に適任者もあることでありますが、これを役人にするというわけにいかない。やはり民間機関として活用するのが適当であろうというので、いわゆる民間機関を作りつつあるということであります。
  80. 横路節雄

    横路分科員 今官房長官のお話を聞いていると、まさにこの団体は、内閣調査室でお作りになられた外郭機関ですよ。私、今官房長官の言葉をメモしましたが、官房長官の言った通り言ってみますか。官房長官は、今こう言ったのですよ。公安調査庁、防衛庁、警察関係の情報を収集して、高い見地から総合的に判断をして、国政の発展、そういうものに資したいと思う。それがあなたの考えじゃありませんか。しかし役人仕事ではできないから、これを民間団体として機能を持たせて、そこで得た結果について国が活用するんだ、これで何で内閣調査室の外郭機関でないと言えますか。今あなたの言った通り私はここで急いで速記したんですよ。お互いに言い間違いがあっては困るから、私もここで記録した。これは明らかに内閣調査室の外郭機関でありませんか。どうですか、また何かそれについて別なお答えがあれば、していただいていいんですよ。
  81. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 差しつかえない程度において国の諸機関の情報をそこへ提供して、そして分析をしてもらう。最後の結論としての判断は、これは国家がやります。国としての判断を民間機関にまかせるような、そんなでたらめなことは、できるはずのものではありません。まあ中間程度のところまではまかした方がいい。それから、その機関が何かそれに関連する仕事をやって、やはり機関が立ち行くような自活の方法を講ずることが望ましい、これだけではとうてい自活はできない、そういうふうに考えるので、そこで民間機関がよろしかろう、こういうわけなんです。でありますから、それらを総合してお考えになると、これはなるほど民間にやらせなくちゃいかぬという御判断に到達するだろうと思います。
  82. 横路節雄

    横路分科員 官房長官の今のお話を聞いていると、これはどう考えてもやはり外郭団体ですよ。そうでしょう。しかも、大事な防衛庁の情報ですよ。内閣の情報ですよ。警察の情報ですよ。公安調査庁の情報を提供するんですよ。しかも、それらの情報については、国会で私たちが要求しても提供しないんですよ。たとえば、秘密会にしてもいいから、国の情勢がどうなっているのか、一つ情報を明らかにしてもらいたいと言っても、政府側はしないのですよ、今までの慣例では。そういう大事な内閣官房でとられた情報、公安調査庁でとられた情報、防衛庁でとられた情報、警察でとられた情報を提供して、そこで分析をして、そしてそれに基づいてどういう判断をするか、それは当然国のやることですよ。そんなことまで民間が判断をして、それに基づいて行動をせよなんと言ったら、それは政府の機関ですよ。ですから、これはやはり内閣調査室の外郭機関ですよ。そうでありませんか。われわれ国会にすら出さないような大事な情報を、そういう機関に全部流して、そこで全部集約して分析をして、それを分析した結果を得て、政府がそれに基づいて判断をする、内閣調査室の外郭機関と言って当然でありませんか。何か違いますか、私の言うことが。
  83. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 秘密情報は、もちろん出しません。ただ、いいかげんにくずかごに捨てておるような情報をよく分析して、総合するところにまた貴重な情報が生まれてくる、そういったようなことを今までに一つもやっておらぬから、これはどうしてもやらなくちゃいかぬというのでやるのであります。
  84. 横路節雄

    横路分科員 今日は別に総括質問でも一般質問でもありませんから、分科会のこういう機会に、納得のいくまでお尋ねをしておいた方がいいと思いますが、今の官房長官のお言葉ですけれども、大事な情報は提供しないのだ、ちょうどくずかごに捨てていたようなものを提供して、そのくずかごの中に捨てていた情報を組み立ててやるのだという官房長官のお話は、ちょっと国会予算委員会の御答弁としてはいかがかと私は思うのです。これは先ほど官房長官が言われたように、官房長官は、事態の影響をおそれておっしゃったことだと思う。私が率直に官房長官にお尋ねしておるのは、ただ事の真相がわかればいいのです。私は、これは内閣調査室の外部機関だ、外郭団体だ、こう考えているのです。まさか大事な情報を提供しないで、それで何で総合的な判断ができますか。この点、官房長官の今のお言葉、くずかごに捨てた情報を組み立ててやるのだということは、どうもちょっと言葉としては、言い過ぎなのか足りないのか、どちらか知りませんが、これは一つ御訂正していただきたいと思います。それが事実だとすれば、そんなものに、大事な国費を四千六十万円もやるなどということはできないですよ。そういうものじゃないはずでしょう。くずかごに捨てたものをもう一ぺん拾うために四千六十万円。どうですか。
  85. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 少し言葉が足りなかったかもしれませんが、くずかごに捨てるようなものだけをと言ったのじゃありません。そういうものもあるのです。情報というものは、まとめて見ると意味をなしてくるけれども、片々たるピースが、昨日はこういう部分品がきた、今日はこういう部分品がきたということになると、それを総合して判断しないと、ついうっかりして、何だこんなものといったようなことで、くずかごではおしかりを受けるかもしれませんが、そのまま消化しないで捨ててしまうといったものが、多々あるように私どもは考えております。これはもっと分析し、総合するところに大事な情報調査機能が存在するということを痛切に感じまして、その問題を取り上げようということでございます。もちろん、すべて捨てるような情報だけではありません。相当の金額をそれに使うのでありますから、十分にその効果なり、重大性を考えた上でのこれは施策でございます。さよう誤解のないように願います。
  86. 横路節雄

    横路分科員 官房長官、これはいつできるのですか。
  87. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 これは予算でありますから、予算の成立後に初めて発足する、四月一日からやれるわけでありますけれども、慎重な準備が必要であると思いますので、二、三カ月おくれて発足するようなことになりはしないかということを考えております。
  88. 横路節雄

    横路分科員 お尋ねしますが、これはまだできていないのですね。責任者は予定されておるようなお話でございましたね。そこで私が官房長官にお尋ねをしたいのは、その責任者、代表者はだれなのか、大体全体の構成人員はどれくらいなものを予定しているのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  89. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 だれを責任者にするかということは、これは一番重大な問題で、見当はつけておりますが、今申し上げる段階に達しておりません。人数は四、五十名くらいになると思います。
  90. 横路節雄

    横路分科員 国際情勢研究会というのについてはややわかりましたが、日本ニュース社というのは、これはどういうのですか。これも千八百万円支出するように予算を組んである。これも仮称ですから、まだできていないのだと思うのですが、これはどういう機構でございますか。
  91. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 日本の情報というのは、まことに貧弱きわまる現状でございます。ことに、海外情報においては、まことにもってゼロと言ってもいいくらいなものではないかと私は思います。国際社会における日本の行動半径がだんだん広まる現状にかんがみて、どうしてもこの機能を拡充する必要がある。しかし、これは手をつけると非常に金がかかる問題でありまして、とても日本の現在の財政力では及びもつかぬという状況でございますから、ほんの苗床に種をまくというくらいの程度から発足しなければならない、そういう趣旨のもとにこれができるはずになっております。海外のいろいろな通信が日本に流れて参りますが、それをたんねんに取り上げて、これを分析、総合するという機能はほとんどない。しかし、日本に入ってくる海外の情報というものは、思ったよりはあるのですね。そういうものを不消化のままに排泄をしないで、それを吸収し、消化していこうというような意図のもとにこれは作られるはずであります。
  92. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、日本ニュース社というのは、海外から入ってくるニュースを集めて分析をして、これはやはり内閣でもらうのですね、この点はどうなっておりますか。
  93. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 これは内閣がもらうのです。それからまた、このニュース社がそれを活用して、適当に、営業政策の材料に使うことは別に拘束はいたしません。
  94. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、長官にお尋ねしますが、国際情勢研究会の方は、政府の方から防衛庁だ、内閣だ、公安調査庁だ、あるいは警察関係の情報を向こうへ送って、そこで分析をして、その結果を内閣に送ってくる、それについて総合判断をする、日本ニュース社の方は、自分で海外からのニュースを集めて、それを分析して送ってくる、こういうわけですか。その点ちょっとお聞きします。どうなっていますか。
  95. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 ちょっと訂正しておきます。ニュース社の方は分析をいたしません。集まってくる情報をただ整理して、政府の方に提供してもらう、こういうのであります。  それから国際情勢研究会ですか、それは調査室自身も、非常に乏しいながら海外の情報も幾分は入ってきます、あるいは国内情報も入ってきますが、それも一緒に総合して分析評価する。もちろん、その中には、日本ニュースからの情報も、分析、総合判断の材料になることは当然でございます。
  96. 横路節雄

    横路分科員 今の官房長官のお話で、私もなるほどこの機構がよくわかりました。そうすると、国際情勢研究会というのは、日本放送協会からきた情報がある、内外情勢調査会からきた情報がある、共同通信社からきた情報がある、海外事情調査所からきた情報がある、ラジオ・プレスからきた情報がある、内外事情研究会からきた情報がある、東南アジア調査会からきた情報がある、国際問題研究会からきた情報がある、国際経済調査会からの情報もある、アジア動態研究所の情報もある、国民出版協会の情報もある、民主主義研究所の情報もある、日本ニュース社の情報もある、それを内閣調査室で全部受けて、それを国際情勢研究会に出す。あわせて、それになお警察だ、防衛庁だ、こうやってそこに情報がいく。だから、内閣調査室で今まで二億六千万近くの金を使ってやってきたそれらのいろいろな機関は、いよいよ国際情勢研究会に全部総合されて、そこで判断をして戻ってくる、こういうことなんですね。内閣調査室としての最終的な機能を発揮するのが、国際情勢研究会なんですね。
  97. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 先ほども申したと思いますが、とにかく分析評価機能というものが非常にまだ低劣でありますから、それを高めようというのが、いわゆる施設のバック・ボーンであります。あなたの今言われるように、すべての、政府が集める情報をそこに全部提供して、そして最終の判断をそこでやらせるというようなものではありません。最終の判断は、政府においてやらなければならぬと思うのであります。それは当然であります。  それからまた、すべての情報をそこに提供する必要があるかどうかということも、これは程度の問題で、その点は必ずしもそこに全部総合してしまう、そこで全部最高の判断までやってしまう、そういったようなことは、だいぶわれわれの考えているところとは違うわけであります。あくまで補助的なものであるということを御了承願いたい。
  98. 横路節雄

    横路分科員 この内閣調査室は今では足りないというお話がございました。機能は十分発揮されていない。情報をとるにしても、分析するにしても、判断するにしても、非常に足りない。だから、それぞれ外部の機関に委託をしておる。そういう考え方の中には、将来はこの内閣調査室を、たとえば情報局とかいうような形にこれを広げていくというような考えはおありですか。それとも、内閣調査室でやって、あくまでも外部の民間の団体に依頼するのか。その点はどうなんですか。
  99. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 その点は今は考えておりません。
  100. 横路節雄

    横路分科員 官房長官にお尋ねしますが、新しい安保条約の第四条に、日本の平和と安全または極東の平和と安全について、両国政府は常時協議することになっている。この間も本委員会で、第四条のこれと、第六条のいわゆる事前協議とが問題になった。そのときに、官房長官もお聞きのように、第六条で事前協議というてみたって、今のボタン戦争のときに、そんな協議をすることができないではないか、こういうように同僚委員から御質問をいたしたところが、総理並びに外務大臣からは、第四条で常時協議をしているからいいんだ、こういう御答弁があったわけです。この問題はいずれ安保特別委員会で議論することになると思いますが、第四条における日本とアメリカとが常時協議するという場合、日本の平和と安全が脅かされるかどうか、極東の安全と平和が脅かされるかどうかというときに、常時協議するというときの日本側の情報は一体どこから持ってくるのですか。日本の平和と安全が阻害されるおそれがある、極東の安全と平和が阻害されるおそれがあるという情報は、一体内閣ではどこでその情報をこなしてやるのですか。常時協議するときに、いや、アメリカ側の情報は違う、私の方の情報はこうだ——アメリカの言いなりになるのだったら、事前協議なんて必要ないのですから、第四条でいう常時協議するというときの、情報がきて、まとめる機関はどこなんですか。実はこの間、時間がなくてお聞きしませんでしたが、官房長官、それはどうなんですか。
  101. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 その場合に、この調査室というものが相当な役割をすることができれば幸いだと思っております。
  102. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、他にございましょうか。官房長官にお尋ねしたいのですが、他に、たとえばこれから日米軍事専門委員会というものを作るというが、それに出ていくのは、外務大臣と防衛庁長官のようですね。しかし、外務省にはそういう情報等を持ってくる機関というのはないのですよ。これが内閣における最高の情報を集める機関です。防衛庁だって、ない。そうすると、今の幸いだという言葉は、何だがいろいろに受け取られますので、私は官房長官にお尋ねしたいと思うのは、ここでこなして、ここで総合分析をしてもらった資料に基づいて総合判断をしたのが、第四条にいう、いわゆる日本とアメリカとが常時協議をするときに、日本側から出す情報だと思うが、その点はどうなんですか。
  103. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 あくまでこれがお役に立てば幸いだと申し上げる以外にない——というのは、別に新安保条約の第四条に関連してこういう施策を考えたわけでもございません。ですから、もしこういうものができなかった場合には、外務省の情報なり、防衛庁の情報なり、あるいは公安調査庁、従来の内閣調査室、それらの機能をたよりにして判断をするということになったと思いますが、今回こういうように機能強化して参って、そしてよりよく役に立てば大へん幸いだ、こう考えております。
  104. 横路節雄

    横路分科員 それでは、官房長官にお尋ねしますが、第四条でいう常時協議するときの日本側の情報は、何によって得るんですか。第四条によって常時協議する——日本の平和と安全、極東の平和と安全が阻害されるおそれがある、こういう情報がアメリカ側の一方的なものであるならば、第六条の事前協議というものは無意味なんですよ。そうなれば、日本側においてこういう情報に基づいて、アメリカのそれは違うんだ、だから、いわゆる戦闘作戦行動はやめてもらいたい、出ていくのはやめてもらいたいとか、そういうための判断になる情報というのは、内閣全体としては総合的にどこに持っているんですか。
  105. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 ただいまのところは、内閣官房としてはそれだけの機能を身につけておるということはできまいと思います。各省の情報の連絡調整は総理府でやっております。それと並行して、調査室も若干情報を集めております。従来の機能を極端に活用して役立たせるということだろうと思います。
  106. 横路節雄

    横路分科員 今の長官のお言葉でわからないところがあった。情報を全部集めるのは総理府だということです。総理府ということになれば、総務長官にお尋ねするんですが、その点私の聞き違いであったかもしれないが、どうなんですか。
  107. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 情報はここでやるから、お前のところでやってはいけないというように、各省に別に禁じておりません。各省は各省の立場において、乏しいながらそれぞれ海外の情報は集めておるだろう。国内情報は十分だと思います。それで、それを総合調整するのは、総理府においてやっております。ただ、その中で、たびたびおあげになった公安調査庁とか警察、外務省、防衛庁、内閣調査室、こういうのがおもなる情報機関でございますが、農林省、通産省、大蔵省といえども、それぞれ各省の立場において内外の情報を持っておる、そういうものの連絡調整は総理府においてやっております。
  108. 横路節雄

    横路分科員 総務長官にお尋ねしたいのですが、私は実は総務長官に給与のことを質問しようと思っておったのですが、防衛庁からの情報がきた、外務省からもきた、公安調査庁からきた、内閣官房からきた、警察からきた、それをあなたのところでおやりになるんですか。それは総務長官の任務なんですね。その点はっきりしておいてもらいたい。そうなれば、これから安保特別委員会その他でもあなたに出てもらわなければならない。どうなんですか。
  109. 福田篤泰

    ○福田(篤)政府委員 お答えいたします。総理府には、御承知の通り、来年度予算として今までの広報関係を幾分強化して、広報室というものを設けました。今官房長官が言われたのは、各省の行政事務の調整という意味から総理府の名前が出たと思います。総理府というのは、広報関係では一応やっておりますが、いわゆる情報収集的なことについては総理府が当たっておるわけではないのでありますから、その点御了解を願います。     〔主査退席、青木主席代理着席〕
  110. 横路節雄

    横路分科員 私も総務長官と同じだと思うのです。まさか、総務長官のところで情報の収集その他の総合調整をやっているのではないと思う。ですから、官房長官にもう一ぺんお尋ねしたいのですが、それはどこの機関がやるのですか。私がこれを聞いているのは、第四条、第六条の関係があるから聞いているんです。だから、そういう意味で、長官も一つ慎重に御答弁願いたいと思うのですが、第四条、第六条で、常時協議をする、事前協議をするというときに、情報を一括持って、内外の情勢について的確に判断をする、その機関はどこなんですかと聞いているんですよ。今総務長官に聞いたけれども、総務長官は、それは事務的に情報を集めてやるという話であって、私もそうだと思うのですよ。官房長官、これはどこでやるのですか。新たに作るのか、防衛庁長官なのか、外務大臣なのか、官房長官なのか、だれなのかということなんです。
  111. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 新安保条約の協議の対象に関連する情報を一カ所に総合して提供するということにつきましては、まだきまっておりません。だから、その場合に、あるいは外務省、あるいは防衛庁、あるいは内閣調査室その他の情報に基づいて、適宜これをあんばい調整して協議をするということになるわけであります。その場合の協議の参考資料、海外情報に関する参考資料を、この部署が一手に引き受けるのだというのではございません。
  112. 横路節雄

    横路分科員 官房長官、しかし、新安保の第四条で、常時協議するんですよ。これが一番問題なんです。常時協議するときに、日本は対等だ、自主性があると政府の方で言うならば、当然、情報についても、自主的に自分で収集して判断した情報を出すべきなんですよ。それを適宜あんばいして、そのつどそのつど、防衛庁の長官なり外務大臣が出すんだ、そんなことはないでしょう。常時協議の機関に出す情報というのは、そういうものなのですか。そういうものならそういうものでけっこうです。きょうは長官がそういうものだと言うならば、第四条における常時協議なんというものは、ほとんど日本側としては無力だということになる。だから、長官のおっしゃるように、それは適宜出すんで、何もきまってないなら、それでいいですよ。もう一ぺん御答弁を願って、私も次に移りたいと思います。
  113. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 それを独占的に取り扱う機関というものは今定まっておらぬ、こういうことを申し上げておきます。
  114. 横路節雄

    横路分科員 なお、先ほどの、ここに出ている十四団体ですね。ここに出ている団体からはどんなものが出ているか。外部には発表できないものもあるわけですね。外部に発表できないものがあるとすると、これは全く、いわゆる特務機関のような格好になる。それとも、将来、内外情勢調査会のように、これを全部公にするのか。公にするといっても、それはできない場合もあるかもしれないが、こういうふうにきちっと出してくるのか。このうちの国際経済調査会というのは、私もちょっと名前を聞いたことがあるなと思ったのですが、この北島さんというのは、大日本印刷会社の社長さんでしょう。大日本印刷の社長さんが、国際経済調査会、これは何なんですか。これは印刷会社の社長さんですよ。一体、これはきちっと定期的に刊行物を政府に出しているのかどうなのか。なお、これらのものについては、われわれ国会議員に対して、こういう内外情勢調査会のように、これを頒布していけないのかどうなのか、この点はどうなっているんですか。秋山さんというのは、これはもと千葉県の経済部長でしょう。この人は、民主主義研究所というのをやっている。これに三千五百万も出しているが、一つだって、何を出しているのかわからない。将来とも、われわれ国会議員にはこういう刊行物は全然見せられないというのか、これはどうなんですか。
  115. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 刊行物を出しておらないから、従ってお手元にもいっておりませんが、調査結果をリポートとして政府に提出しております。その中には、あるいは外部に出しても差しつかえないようなものがあって、それを一つの雑誌なりパンフレットにまとめることが世の中のためにもなるといったようなことになりますれば、それはやらないものでもありませんけれども、とにかく、刊行物を有償で出すという仕事はやっておらないのであります。
  116. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、これは内外情勢調査会を除いたほかは、全く調査の委託研究であって、刊行物その他は出していない。タイプで打つもの、あるいは謄写にするもの、あるいは自筆その他で調査室の方に提出しておる。長官、その通りですね。
  117. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 さようでございます。
  118. 横路節雄

    横路分科員 会計検査院事務総長にお尋ねいたしますが、今、長い時間をかけて長官にお尋ねいたしました二億六千七百五十一万の調査委託費というのは、これは補助金ということになるのか、何になるんでしょうか。これは三十三年度の決算でもやっているのですから、あとであなたをまた呼んで聞きますが、これは、あなたの方の会計検査院の対象からすると、何の項目になるのですか、その点一つお答えいただきたいのです。
  119. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。委託費は、情報調査委託費、その他いろいろありますが、みな委託費としまして同じように検査しておるわけであります。といいますのは、委託先から、一つの委託した経費の明細書が添付されて証拠書類として会計検査院に提出されております。
  120. 横路節雄

    横路分科員 事務総長にお尋ねします。私も昭和三十三年度の決算検査報告書をざっと読んだのですが、こういう中で、たとえば航空機については、これだけ高いではないか、それは、それについての職工の人数、それから稼働した労働時間その他について不当な見積もりがあるんだ、だから何百何十円引け、こういうことをいっておりますね。こういうような調査委託の場合には、一つ三千五百万となっている。それはどういうようにして内訳をとるのですか。ただ三千五百万一括なのか、月別になっているのか、それとも、もっとこまかに、だれだれにどうということになっているのか。今のように、刊行物を出してないというなら、これは全く人件費ということになる。どういうことになっているのですか。
  121. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 各委託費の内容によっていろいろ違うと思いますが、私の記憶しております今の情報調査委託費のような場合だと、人件費の明細、つまり、だれの給料が幾らという明細、それから事務費の相当詳しいものがつきまして、そうして総額今月はこれだけだというふうに、毎月々々支出して、その証明が出ていたと記憶いたしております。
  122. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、事務総長昭和三十三年度の分は終わっておるわけだから、私の方で出してもらいたいと言えば、出せますね。今三十五年度ですから、昭和三十三年度の情報調査委託費の内訳がどうなっているものか、会計検査院として検査の報告を出してもらいたいのですよ。これはどうなんです。
  123. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 検査の結果、不当だ、つまり、人件費があまりに高過ぎるじゃないかというようなことがありますれば、その集積した額が多ければ、当然検査報告として検査報告書に掲載されることになると思います。そのほか、委託費の内容がどうなっておるか、明細を出してくれというお話ですが、こちらにももちろん資料はありますけれども、むしろ各省各庁の方からお取り願った方が、私たちの立場としましても、あるから出すということよりも、適当ではないか。会計検査院としましては、不当なことがありますれば報告いたしますが、その資料を全部会計検査院から提出するということは、私の一存ではちょっとここでお答えいたしかねます。
  124. 横路節雄

    横路分科員 官房長官、三十三年度の情報調査委託費の内訳について、もう会計検査院の方の決算も通ったのですから、この内訳を一つ出してもらいたい。うまくないですか。いいでしょう。
  125. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 これは遺憾ながら出せません。
  126. 横路節雄

    横路分科員 事務総長会計検査院の方に要求したら、当然あなたの方で出せましょう。あなたの方で決算報告が済んで出しているのだから、出してくれと言えば、出せますね。
  127. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 繰り返すようで恐縮でございますが、不当事項がありますれば、当然検査報告として掲げます。しかしながら、ただどういう書類があるから、ここですぐお出しするということは、私の一存では何とも申し上げかねる次第であります。
  128. 横路節雄

    横路分科員 事務総長にお尋ねしますが、それは出せないというものじゃないですね。出せないのだという法的根拠がありますか。なるほど、あなたの方は不当なものについては出すけれども、しかし、あなたの方の検査報告は、不当なものだけやっているのですか。そうでもないでしょう。だから、出せないという法的な根拠はないでしょう。ただ、あなたは事務総長だから、一存では今ここでお答えできない、そういうわけですね。
  129. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 もちろん、法的に出せないという何らの根拠はありませんが、しかし、ものの性質から私が判断いたしまして、つまり、検査院が不当とも何とも判断のできない事項の書類というものは、各省各庁が出せないということなら、検査院が出すということも、ちょっと困難ではなかろうかというふうに考える次第であります。法的根拠としては、別にございません。
  130. 横路節雄

    横路分科員 あなた、そんなことを言ったら、会計検査院法に触れますよ。あなたのところは独立した機関じゃありませんか。内閣の指図によって、これは出してはならぬと言われたら出さない、そういうものですか。あなたは先ほど予算説明で何と言ったか。憲法の九十条に従ってとか何とか言うておるでしょう。しかも会計検査院法に従って、あなたのところは独立の機関ですよ。独立の機関であるのに、何でそういうことを言うのです。ただ、あなたは事務総長として、帰ってから事務機関と相談すると言うならわかるけれども、内閣官房で出せないから私も出せないと言うなら、それでは独立機関じゃないではありませんか。私がそんなことを言うまでもなく、あなたの方は、独立機関ということが憲法にきちっと規定されており、会計検査院法にもあるじゃありませんか。いつ内閣直属の機関になったのですか。そんなことはないでしょう。
  131. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 決して内閣の手先になったとか、内閣が出さないから出さないと言うのではなくして、会計検査院に出している証拠書類そのものは、方々へ公表する筋のものではなくて、会計検査院といたしましては、その書類を検査した結果、不当な事項があれば、それは検査報告書に掲げる、これが検査院の責務であり、独立機関としての仕事ではなかろうか、こう考えるのでありまして、頼まれるから出さないというのじゃなくて、検査院から出す筋合いのものではないじゃないかと私は考えるということを申し上げた次第であります。
  132. 横路節雄

    横路分科員 事務総長、あなたが、私に言うよりも内閣に言ってくれと言うから、あなたもやはり遠慮したのだろうと思ってそういうように言うたのですよ。一つ帰って相談して下さい。  委員長、だいぶ時間も過ぎていますが、どうしますか。
  133. 青木正

    青木主査代理 ちょっと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  134. 青木正

    青木主査代理 速記を始めて……。  明二十五日は午前十時より開会することといたしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十七分散会