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足鹿委員 問題はたくさんありますが、時間の制約もありますので
そのものずばりで二、三点
お尋ねをして終わります。
次に、農業の災害補償制度の根本改正について、今
国会中に改正案を提出する方針かいなかということであります。これは多言を要しない。しばしば言っておりますので、その
理由等については申し上げませんが、とにかく現在の制度が農民から喜ばれない。国は来年度において百十四億円の支出をし、農民も同額以上の負担を行なう。こういう大きな農業政策というものは、戦後における農地改革、農協法、農業災害補償法この三つの柱のうちの
一つであろうと思います。しかるにこれが今や崩壊の危機に達しておる。これに対して農林省は研究会を設け、四月ごろには制度改正
協議会を発足させて、ことしじゅうに検討して次の通常
国会などという、実に慎重なかまえのようであります。法律
そのものを書きかえるというような大作業でありますから、簡単にはいかぬと私は思う。しかし少なくともこの
国会中に法案を出して、そうして農民の動揺とふんまんに対して
政府の所信を明らかにし、
国会もその農民の
要望にこたえていく。そして継続審議等の方法を講じて、次の臨時
国会等に成立せしめますならば、すなわち
昭和三十六年米等から新しい制度によって
実施の見通しがつくと思うのであります。そうでない限り、今あなた方が考えておられるようなことでは、
昭和三十七年という二年先のことになります。その間にこの制度
自体はもうすでに農民の信を失い、崩壊の危機に面しておるわけでありますから、少なくともこれについては
大臣自身が決意をされて、その線に沿って
協議会の運営なり、研究会の検討なり、あるいは
国会の
協力を求められてしかるべきものではないかと思います。あらゆる政党あらゆる団体、すべて抜本改正に反対しておるものはありません。
内容については若干の検討
事項、
意見の相違もあるでありましょうが、抜本改正
そのものに対しては、もはやこれはゆるがすことのできない要件であります。これに対していかようにされますか。今
国会中にとにかく出すという決意の表明を私はこの際求めたいと思いますが、その点いかがでありますか。
それからこれに関連をいたしまして、農業法人化の問題であります。
昭和三十四年三月二十七日に農林水産
委員会は満場一致の議決をもって、
政府にその法的
措置を迫っておるのであります。この問題につきましては、現在高松地方裁判所において、税務署等との
関係に起きた問題が訴訟ということになって進行しております。とにかく農林省が、非公式でありますが、農地法の一部を改める、農協法の一部を改正するという方向を出しておられるということはわれわれも聞いておりますが、そのようなことではこの問題の
解決にはならぬが、少なくとも窓をあける、この行き詰まった過小農の経営規模を拡大し、生産性を高めていくための組合法人方式をわれわれは主張してやまざるものであります。とにかくこの
国会中に当面必要な農協法並びに農地法の一部に対して必要な
措置を講ぜられる御
意思ありやいなや。与党の中にはいろいろ御議論があるようでありますが、全国に起きた実地の姿すらも、その地名すらも知らずしておって、そうして反対だ賛成だというようなことを議論するということは、私は間違っておると思います。少なくとも
現地末端における法人化の熱意は、これについては実力行使も避けぬという声があります。
また所得税法の第十一条の専従者控除の点については、減税見送りのためにこの
措置をおやめになったようでありますが、青色申告の簡素化などということは全く問題になりません。問題はどの産業を通じても、自家労賃を必要経費に見ないなどということは、憲法に
規定された人権の侵害とも言えると思います。どこの世界に自分の投じた自家労賃をその事業の必要経費に認めないという制度がありますか。この点については明々白々たる事実でありますから、当然農地法、農協法の改正と相待って専従者控除に法十一条を改めるべき性質のものだと思いますが、この点について、農林、大蔵両
大臣から伺っておきたいと思います。
それから大蔵
大臣に伺いますが、たばこ専売事業の民営論が最近制度調査会等で検討され、世論とはなっておらぬようでありますが、公社の複数制が大体台頭し、盛んに論議されておるようであります。能率の向上をはかっていき、そして専売益金が国の財政に貢献しておるということはおのずから明らかでありますし、私
どもは公社の
自主性に対して、大蔵省が
予算制度の上から必要以上の拘束をするところに公社の官僚化が生まれ、そうして運営がいわゆる膠着
状態になって、従って能率も上がらないという結果を来たしておると思います。むしろこの際、専売制度
そのものを民営に移すか、複数制にするかということの前に、現在の専売制度というものが、明治年間にできた
一つの伝統を持って今日に至っておる。新しい時代の風をもっと吹き込むべきだと思いますが、とにかくそういう点は、農業技術の改善と相待って、農民へのしわ寄せとなっておる。
政府は畑作振興を叫んでおりますが、
昭和三十一年から今日まで、葉タバコの減反は実に一割八分の減反をしておる。許可制を握っておりながら、やめさせるときには天下りでこれをやめさせていく、どこの世界にそういう官僚的な運営がありますか。作らせるときには一々許可をする、何本植えたかということまで検査する。そうして、やめさせるときには、タバコが余ったから減反だという運営で、すべてのしわは生産者に寄ってきておる。こういう
事態に対して、大蔵省設置法十七条の二項によりまして、専売制度調査会が去年の四月に発足をし、現在まで検討を続けられておるようでありますが、大蔵省としては、特に
大臣としては、この問題に対してもっと公社の民主的な運営、自主的な運営を行なって、そうして現在の公社の持つ長所を生かしながら、もっと能率を上げていくためにはどのように専売制度を改善し、現在の運営の欠陥が農民にしわ寄せにならないようにすべきかということについての御所信を承っておきたいと思います。
それから、時間がありませんが、農地被買収者問題調査会の経費について。調査会に関する三十五年度の
予算措置とその
内容はいかがでありますか。われわれが仄聞するところによりますと、一千万円と見て、その一千万円は、
総理府
関係の方々へ繰り入れられておるようで、どうも実体が明らかでありませんが、そのうち明らかであるものは、委託調査費と名づけて、三百八十八万円、戸別面接調査として地主団体に交付するようにわれわれは聞いております。しかもその
対象人員は、一万五千人と昨年の際には
規定しておりますが、全国農地解放者同盟とその運動については、本
会議においても過日石田君がこの問題について論究されましたから、私は理屈は抜きにして、どこの世界にこういう利害
関係を持つ団体に、委託調査に名をかりてつかみ金をやることがありますか。事実この団体は、反当三百円以上の負担金を農民から取り、そうして大きな金額がいろいろな選挙に流用されたといううわさを起こし、おもしろからないうわさすらも一時あったことは御案内の
通りでありましょう。利害
関係を持ち、
政府に圧力をかけた団体に対して、委託調査に名をかりて三百八十八万円を出すなどというようなことは、金額のいかんにかかわらず、私は大いにこれは検討してもらわなければならぬことだと思います。大蔵
大臣はこの点等についても、少なくとも問題が問題だけに、十分御検討になってしかるべきだと思いますが、私が今指摘したことが間違いであるかどうか、間違いならばその
内容を資料その他によって明白に総務長官から御提示を願いたい。
それから経済企画庁長官並びに建設
大臣に伺いたい。これは通産、運輸とも
関係がありますが、国土の造成と臨海地域開発についての
政府の所信を伺いたい。
御案内のように、去年の四月一日の
国会の末期から先般の臨時
国会にまで引き続き継続審議になっております臨海地域開発促進法という法案が出ております。全十七条からなって、川島正次郎君外、
福田さん、あなたも
大臣になられる前は提案者の一人であられる。
福田総務長官も提案者の一人でありますが、閣僚に列せられてからは削られております。この審議を通じてわれわれが驚いたことは、この法
そのものが何ら具体的な
規定を持たぬ。特に漁民に対するところの補償の
規定すらない。しかも法第十六条には、特別の機関を設置する、そしてその特別の機関とは何かといって追及いたしますと、知らぬ存ぜぬである。ところが、去年の秋から臨海工業地帯開発公団の設置構想というものが、すでに民間からわれわれの手元に陳情になってきておる。これによりますと、
昭和三十五年の、法第十六条によって想定されるであろう、できるであろう、別な法律によってできるであろう運輸省、建設省、通産省の三省公団の収入支出の場合に、
政府出資金が二十五億円、借入金が百五十億円、その内訳は、資金運用部資金七十五億円、民間資金借入金七十五億円、合わせて百七十五億円、すでに去年の秋の臨時
国会中にこういう具体的なものが出ておる。しかもわれわれが
委員会で追及をしても、
政府は知らぬ存ぜぬの一点張りである。いよいよこの資料を示したときに、初めてその
内容を現わすなどというごときは、
国会を軽視し、侮辱するもはなはだしい。しかも議員立法であります。実態は、建設、運輸、通産の三省がなわ張りでけんかをし、
政府提案ができないために議員立法にすり変えたといううわさも飛んでおります。しかも全国四十数カ所の埋め立て予定地をここに図表で示しておりますが、この中で何ゆえに東京湾を除いたのでございますか。伝え聞くところによりますと、東京湾開発特別会社の構想もあり、三井不動産その他がすでに民間出資の
話し合いを進めておるといううわさすら飛んでおります。その
内容を私
どもは知悉いたしません。少なくとも農林、通産、運輸、建設、各省にまたがって、新しい国土の造成を行ない、しかも臨海漁民の生活権と居住権をも無視してこういう立法を行なう。われわれが審議に審議を重ねたところ、与党の
立場も一応認めて、修正案等については
話し合いを若干いたした段階で継続審議になって持ち越されておりますが、このようなものは、当然
政府の責任において調整立法として、あらゆる角度から検討し提出さるべき筋合いのものだと思うのでありますが、経企長官、また佐藤大蔵
大臣省、
関係の
大臣の御所見はいかがでありますか。
特に私が伺いたいと思いますことは、東京湾の埋め立て問題について、現在九百万の人口を包容するマンモス都市が、この計画によって進みますと、五百六十万も人口がさらにふえることになる。埋め立てが完了し、
施設が伴うまでに約二兆円、そして十数年後には五百六十万の人口が、さらに東京湾の半分以上埋め立てた場合には、そこに大きな民族の新しい移動が起きてくる。臨海地域開発でいくことそれ
自体には私
ども異論は持っておりませんが、こういう会社は利権会社的なにおいがきわめて強い。しかも地方自治体の
同意をも必要としない。
総理大臣が審議会の議を経て
協議すれば、それで言い放し、すべてのものがぐんぐん進んでいく、こういうファッショ的な立法を、しかも議員立法の名において出されておる。こういう問題に対して、われわれはきわめて真摯に国土開発
委員会において論議をしてみましたが、この問題に対するところの
政府の所信というものは一向に明確ではない。議員立法だから最後にはわかりませんといって逃げる。第十六条の公団はどうするのかと言っても、それは先ほど述べたような
経過で逃げを張る。そういう無責任な
態度で国土の造成や、しかも犠牲を伴う臨海地帯の開発が可能でありますか。しかも私が奇異にたえないことは、
政府与党の中において浅海漁業振興と臨海地域開発との調整に関する法律案の要綱というようなものがすでに配られておる。その法律
そのものを再検討し、
政府が責任を持って必要な法律を完備して提出するならともかくも、また別に、その矛盾した法律は法律として、浅海漁業振興と臨海地域開発に関する調整立法を考えるがごときは、矛盾撞着、全く無統制もはなはだしいではありませんか。このような利権臭のあるものを議員立法として——議員立法をわれわれは軽視するものでありません。立法権を持っておるわれわれとしては、議員立法なるがゆえに軽視するものではありませんが、少なくともこういう大きな問題に対しては、国が責任のある
立場に立って、
関係省をよく調整し、そうして民意を聞いて完全なものにすべきでありませんか。電源開発促進法を読んでみましても、明らかに損害に対する補償等相当な
規定がありますが、この法律には補償の
規定すらないのであります。全くむちゃくちゃであります。しかもその
内容は、十六条は別なところに逃げておる。窓口が経企長官だ、建設
大臣だという問題は次の問題であって、これらの点については、
政府は、議員立法なるがゆえに遠慮しないで、もっと練り直して、次の機会に
国会に提出する必要があるならば提出すべきものだと思いますが、これらの点について、建設
大臣、経企長官の御所見を承りたいと存じます。
それから、まだありますが、簡単にもう一点だけ触れます。自治庁長官に、未開発地域の開発促進事業についての国庫負担率の特例、この問題が今度の
予算のどこにどういうふうに並んでおりますか。現在の地方自治体は、
御存じのように、非常に財政窮乏にあえいでおります。私は鳥取県でありますが、
政府が昨年の七月出しました
国民生活の地域的分析という資料によりますと、全国平均の県民一人当たりの所得は八万一千九百九十九円、南九州はこの半額にちょっとの四万六千九百九十六円、次が東北で六万二千三百四十円、続いて山陰の六万四千四百九円、南関東は十二万一千八百二円、近畿が十万四千八十四円と、
国民の所得の地域格差は大きく開いております。担税能力その他の点についても自治体が行き詰まるのは当然じゃありませんか。これに対して当然考えられることは、このような後進地域に対して
一つの財源を与えるような
措置を国が講ずることは、私は当然だと思う。そういう点で、あなた方が検討されておったこの特例は大蔵省の反対によってつぶれたと私は聞いておりますが、その
経過、また見通し、どういうお考えでありますか。いろいろな立法を次から次と出しても、実が実らずにほとんど立ち消えの
状態になり、雲散霧消するというようなことでは、私は地方自治体の本来の活動をも阻害する結果になろうと思います。この点について自治庁長官の御所見を承っておきたい。
それから最後に
食管会計と米価の問題について伺いたいと思います。三十五年産の米価等につきまして、生産者米価は、生産費及び所得補償方式によって決定の方向が大体できかけておると思います。三十五年度中には消費者米価の値上げを必至とする
情勢が私は生ずると思いますが、大体
食管会計に赤字を繰り入れ、また消費者米価も上げないという決意は幾たびか聞いておりますが、最近の趨勢を見ますると、都市労賃及びパリティの上昇はもう避けられないと思います。こうした場合に、生産費・所得補償方式を米審が答申をしたときに、現在あなた方が考えておられるところの一万三百三十三円という
食管会計の米価は、暫定米価として、少なくとも一定の算定方式と決定方式に基づいて答申をされたものに対しては、これは
福田さんの公約でもあります。でありますから、六月ごろに答申が出るということでありますが、でき得る限りこれを早めて、そして権威のある、ゆるぎのない米価の算定の基礎を出し、それにはいろいろな要素を加えたり、押え控えをしないできちんとしたものを出すべきだと思います。その際にこの一万三百三十三円の食管の計上された米価は暫定として、補正等において、その答申案に沿った決定方式に基づき算定されたものによって
変更されるやいなやということであります。それから、その場合に赤字必至ということになりますと、当然採算性の
立場から値上げ問題が必ず出てくる。これに対していかように大蔵
大臣は対処されますか。少なくとも米価審議会が小
委員会を設けて今日まで熱心な検討をしておるのは、
昭和二十八、九年以降からの大きな作業であって、宿願であります。この問題は最終的な大詰めに来ておると思います。それをまた尊重というがごとき
言葉において、出た
そのものにも忠実でないということは、私は公約に反すると思いますが、そういう場合に値上げをするのかしないのか、また補正を組むのか組まぬのか、また先ほ
ども朝鮮米その他の輸入問題について申しましたが、そうした場合に
国民への
増配はどうするのか、現在一般
国民が心配をし、また農民が不安に思っておることは、もう四、五年すると米が余ってくる、こういう不安であります。どこからそういう声が出てくるか、私
どもはつまびらかでありませんが、自民党の政調の中にある検討会においては、そういう線も出たという話も仄聞しておりますが、ともかくも世界的な食糧その他の過剰傾向、また国内におけるところの農業技術の大きな進展、また食糧に対する消費生活の構造の変化、いろいろな条件によって米が余りつつあるのではないか、そういうことが近く出てくるのではないか、そうすれば食管制度もぐらつくのではないか、しかも現行食管法において、基準配給量は月の半分を約束しておるにすぎません。米が余り、
政府の買い入れが進むならば、もっと
増配をして、消費者にも安定した米価で消費せしめ、生産者も当然生産費及び所得を補償する方式によって、安定した農業経営を続けていくべきものだと思います。この
食管会計と生産者米価、消費者米価に対するところのお考え、答申が出た場合には、その線に沿って、増額を必要とするときには補正を組むか組まぬか、消費者米価をどう取り扱うか、
増配はするのかしないのか、この点を最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。一括して一人々々御
答弁をわずらわしたいと思います。