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1960-02-19 第34回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十九日(金曜日)     午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長 小川 半次君    理事 上林山榮吉君 理事 北澤 直吉君    理事 西村 直己君 理事 野田 卯一君    理事 八木 一郎君 理事 井手 以誠君    理事 田中織之進君 理事 今澄  勇君       青木  正君    井出一太郎君       岡本  茂君    加藤 精三君       川崎 秀二君    久野 忠治君       倉石 忠雄君    小坂善太郎君       櫻内 義雄君    周東 英雄君       田中伊三次君    綱島 正興君       床次 徳二君    橋本 龍伍君       藤本 捨助君    古井 喜實君       保利  茂君    松浦周太郎君       水田三喜男君    山口六郎次君       山崎  巖君  早稻田柳右エ門君       足鹿  覺君    淡谷 悠藏君       岡  良一君    木原津與志君       北山 愛郎君    島上善五郎君       滝井 義高君    楯 兼次郎君       辻原 弘市君    堂森 芳夫君       永井勝次郎君    横路 節雄君       鈴木  一君    廣瀬 勝邦君       門司  亮君  出席国務大臣         外 務 大 臣 藤山愛一郎君         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君         文 部 大 臣 松田竹千代君         農 林 大 臣 福田 赳夫君         通商産業大臣  池田 勇人君         運 輸 大 臣 楢橋  渡君         建 設 大 臣 村上  勇君         国 務 大 臣 赤城 宗徳君         国 務 大 臣 石原幹市郎君         国 務 大 臣 菅野和太郎君  出席政府委員         総理府総務長官 福田 篤泰君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君  委員外出席者         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月十九日  委員久野忠治君、足鹿覺君及び佐々木良作君辞  任につき、その補欠として犬養健君、河野密君  及び廣瀬勝邦君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員犬養健君辞任につき、その補欠として久野  忠治君が議長指名で委任に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計予算  昭和三十五年度特別会計予算  昭和三十五年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 小川半次

    小川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 最初赤城防衛庁長官お尋ねをいたしたいのでありますが、昨日並びに本日の新聞報道等によりますと、フィリピンクラーク米軍基地におきまして戦闘機演習が行なわれ、これに対して日本チームまたはオブザーバー派遣要請されておる、かように報じておりますが、そういう要請を受けられた事実があるかどうか。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういう事実があります。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 その事実とは、具体的にはどういう要請でありますか。要点でもお聞かせを願いたいと思います。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 大体太平洋の地域の諸国空軍フィリピンクラーク・フィールドで共同研究をしたい、主催はSEATOの主催ではございません、米第十三空軍フィリピン空軍主催太平洋関係諸国空軍共同研究をしたいから日本参加しないか、こういうことでございます。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 その要請に対して防衛庁はいかような態度、方針で対処されますか。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 予算関係やらその他整備その他の関係、いろいろ勘案いたしまして、防衛庁としては航空自衛隊参加しない、こういう態度を決定いたしました。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、オブザーバーその他も一切派遣をしないということですか。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 オブザーバーを含めて、参加しない、こういうことでございます。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 本日の新聞によりますと、防衛庁参加辞退する、こういうふうに報道しておるのであります。それによりますと、航空自衛隊は昨年の同じ演習にはオブザーバー四人を派遣した、こう報じておりますが、昨年派遣をし、このたびは辞退をする理由として、次のように報道しておる。「『安保国会野党側をいたずらに刺激することは得策でない』との赤城防衛庁長官らの意向をうけて参加しないことにしたもの。」こういっておるのです。実は参加はしたいが、いろいろな事情で辞退をしたのだ、こういうふうな意味にとれるのでありますが、その辞退理由をこの際明確にしていただきたいと思う。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 昨年もオブザーバー四人を派遣した程度でございます。でありますから、予算をやりくってわざわざ行くほどの効果があるかどうかということを検討してみますと、それほどの効果もなさそうであります。こういうことでやめるということにいたしたわけでございます。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは次に安保改定の問題に入って伺いたいのでありますが、政府は今回の改定によって、事前協議条項が設けられることをもちまして、自主性の確保の一つの論拠だといっております。先般来の当予算委員会における質疑によっても明らかでございますように、むしろ自主性どころか、軍事的なまたは外交的な従属固定化ではないかとも疑われるのであります。そこで重ねて第六条の実施に基づく事前協議条項につきまして、主としてお尋ねを申し上げたい。  まず最初赤城防衛庁長官に伺いたいのでありますが、第六条の実施に関する交換公文によりますと、「合衆国軍隊日本国への配置における重要な変更、同軍隊装備における重要な変更」という言葉があります。この際主管大臣として、軍隊装備ということに対して具体的に例示をしてもらいたいと思います。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 アメリカ軍隊装備に関する重要なる変更ということに該当するものを例示してみろということでありますから、例示申し上げます。  一つ核弾頭であります。それから二番目といいますか、もう一つは中長距離ミサイル持ち込み、これはどういうふうに期間が短くてもそれを含む、こういうことになっております。  それからもう一つは、今の中長距離ミサイル基地の建設、こういうものがアメリカ軍隊装備における重要な変更該当するものということにしてあります。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 そこで藤山外務大臣に伺いたいのでありますが、条約第六条の実施に関する交換公文は、国会において批准対象になるかならないかということであります。憲法七十三条第三号の規定するところには、内閣のこの事務、「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会承認を経ることを必要とする。」かように規定しておりますが、一般的には文書による国際約束はその全部該当するものであると解すべきだと思うのであります。特にこの第六条に基づく交換公文は、その条約そのもの内容を補完するためのきわめて重要な公文だと思うのであります。従って当然批准対象になるべきものだとわれわれは考えるのでありますが、この点につきまして伺いたい。  なお、事前協議内容条約本文規定せずに交換公文の形式にされた理由はどのような理由に基づくものであるか。前段で述べましたものと関連をして、この際明らかにしていただきたい。
  16. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 条約第六条に基づきます交換公文は、批准対象国会の御承認を得る手続をとっております。  それからこの事前協議というものを交換公文にどうしてしたかということであります。協議事項がたくさんございます。こういうような特殊のものにつきましては、そういうものを取り出しまして別個に交換公文で明らかにいたすことが適当だと考えたわけでございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 事前協議拒否権があるのかないのか、今までの当委員会の審議を通じても明確になっておらない。国民の不安はその点にあると思うのであります。協議とは同意を必要とすると解すべきものだとわれわれは主張もし、これは妥当な考え方だと思っておりますが、ただいままでの経過を見ますと、ただ単に相談をする程度のものではないか。アメリカ側日本側の意に反した行動をとらないだろう、こういう日本側の一方的な判断と推定に基づいて行なわれておるように思うのであります。もしこのような危惧すべき事態が現実に起きてきた場合には、一体どういうことになるのか。たとえば米華条約米韓条約を見ましても、米国台湾との間の相互防衛条約によりましても、その条文の中に、「右の相互合意または合意事項という用語は、一方の当事者同意がなければ他方の当事者はそれに反するような行動をとり得ないことを意味している。いずれの当事者拒否権を持っていることは解釈上疑義がない。」こういうことになっておるのであります。特にこの台湾米華条約にこういう規定がなされたことは、蒋介石政権がちょこちょこと大陸方面へ向かって独自の行動をやる。大陸反攻等の恣意的な行動を起こしておる。こういう場合にアメリカがずるずると引っ込まれる危険性をあらかじめ除去しておくために特にこの条項が設けられておるのではないか、こういうふうにいわれておるのであります。特にこのような明確な言葉が用いられておるにもかかわりませず、なおアメリカにおきましては上院議員中国内戦に巻き込まれる危険性があるとして、この条約承認に反対をした事実もある。特に民主党のモース議員はその代表的な一人でありますが、モース議員要請上院外交委員会上院に対するその報告書中に次のごとき「上院の了解」という一文を挿入しております。「第二条及び第五条の規定は、その他の領域についても適用されるという第六条に述べられておる相互合意は、米国上院の助言と承認を要するものと解釈されなければならない。」これはダレスさんが了解いたしませんために実現はしなかったようであります。また米韓条約によりましても、一九五三年十月一日のものによりますと、武力攻撃を阻止するために協議合意によって適当な措置をとるものとしておる云々、こういうふうに米韓条約あるいは米華条約によりましてもはっきりと事前協議の場合における合意という言葉を使っておる。それはむしろアメリカ立場に立って、ずるずると大陸戦闘に巻き込まれないための配意がそこに表われておる。今回の日本の場合におきましては、これに反して全くそれらの点が明確にされておらないという実情は、特に自主性を確認されたということを言われますけれども、事実はこれらの両条約条文と照らし合わせてみましても、いかに従属性が高められておるかということが明らかであろうと思うのであります。  そこで交換公文中の「装備」とは具体的に何をさすのか、またその「重要な変更」とはどういうことを具体的にさすのか。ただいま赤城長官から二、三の事例をお示しになりましたが、この点について藤山外相の御見解を伺いたいと思います。
  18. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 協議がととのいます場合には話し合いが成立する、いわゆる意見が一致する、合意になるということはこれは当然のことでございます。今回の条約におきましても、特に事前協議としてうたったわけでありまして、事前協議するということは、合意が達成されなければならぬ、協議が成立しなければならぬ、こういうことにあるわけであります。そうしてわれわれはそういう前提のもとに今回の話し合いをやってきたわけであります。しかもアメリカとしては、協議が成立しない以上は日本意思に反して事を起こさない、実行しないということを話し合い過程においてもずっと進めて参ってきたわけであります。それが岸・アイク共同声明でさらに確認されておるわけでありまして、私どもといたしましては、事前協議をもって十分今回の目的を達し得るというふうに考えております。  装備の重要な変更ということにつきましては、ただいま防衛庁長官のお答えの通りでございます。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 たとえば一つ事例を申し上げますが、赤城長官例示されたものとは別に、たとえば長距離爆撃機B47が大陸間爆撃機B52にかえられる場合、これは重要な変更の中に入るものかどうか、また現在は有人機が中心でありますが、これが無人機にかわるということは、昨日の公聴会の際に論述が行なわれております。軍事科学の異常な進歩によって情勢は一変するということが公述されておることはお聞きであろうと思います。そういった場合はあらかじめ装備内容をきめておるのか、あるいはそのときの情勢によってさらにそれが追加されるものであるのか、それらの点について装備の重要な変更ということについて、この交換公文を取りかわすにあたってどのような話し合いをし、検討を加えておるのか、その点を内容的に明らかにしていただきたいと思います。
  20. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今回の交換公文におきます装備は、核兵器の問題を主題といたしておるのであります。先ほど防衛庁長官も言われましたように、核弾頭あるいは核兵器を用いる、運び得る運搬用具と申しますか、中長距離ミサイルあるいは核兵器基地を作るというようなものが重要な装備だというふうに話し合いをいたして決定いたしておるのでございます。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 核兵器そのものを、またそれに関連する施設ということはよくわかりますが、その他の場合はないのでありますか。施設があっても、またミサイル等核弾頭を付したミサイル持ち込みがあっても、また原爆、水爆等持ち込みがあっても、それを飛行機によって目的地に達する場合もありましょうし、私は軍事上のことはあまりよくわかりませんが、それは関連して非常に重要なものであろうと思う。私が先ほど述べましたように中距離の爆撃機大陸間の爆撃機にかわるという場合、有人機無人機にかわっていく場合、それは核兵器持ち込みとは密接不可分関係にあると思うのですが、今明らかになっておるのは、核弾頭装備したものとそれに必要な噴射装置等施設を指すのだというのでありますが、今私が例示したものについてはいかがでありますか。具体的に一つ言って下さい。
  22. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今の御例示爆撃機が非常に優秀になったものが該当するかということですが、これは該当に入っておりません。核装備をして持ち込むということになればこれは該当するので、核弾頭ということに含まれます。それから有人機無人機にかわった場合も装備の重要な変更か、こういうことでありますが、これも核弾頭をつけるかつけないかによっての判断であって、有人機無人機にかわったからといって、それだけでは装備の重要な変更というものに該当はいたしません。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 時間がありませんので、あまりこれに時間を費したくないのでありますが、もし事前協議議題核兵器持ち込みの問題が供せられた場合、政府はこれを拒否するのでありますか。三十二国会の当委員会において、わが党の加藤勘委員の質問に藤山外相は当然入るということについての御答弁があっただけであって、拒否するかしないかということについては明確でないようであります。いかがでありますか。
  24. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この点は総理がたびたび言われておりますように、核兵器持ち込みを許さない、また自衛隊は核武装しないと総理がたびたび言われておりますので、それによっていくわけであります。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 そのことはよく存じておりますが、それに関連して日本がこれを拒否いたしましても、あるいは軍事行動機密性といいますか、そういった観点から国民の知らない間に秘密裏に持ち込まれないとも限らない。そうした場合は事実上合意を余儀なくされるような事態に立ち至るのではないか、こういうことになると思うのであります。従って核兵器持ち込みについては、別に禁止規定を明確に設ける必要があったのではないか、こういうことも国民は考えざるを得ないと思うのであります。だんだん兵器が進歩して参りますと、軍の秘密という点において、昨日も公聴会でわれわれは全く未知の重大な事態についての論述を聞いてびっくりしておるわけであります。そういう場合は後日においてそれが発見されたという場合はいかようになるのでありますか。だから当然禁止規定というものを条約そのものの中に入れるべき性質のものではないか。御答弁がはっきりしておるわけですから、そういう点が私どもとしては納得がいかないのでありますが、いかがでありますか。
  26. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 条約を締結します以上はお互いに条約を守っていくということが、あらゆる条約の上において当然であるわけでございます。今回の条約も特にアメリカ日本との信頼関係の上に立って締結される条約でございます。従いましてわれわれとしましては、先ほど来申し上げております理由によりまして日本政府意思に反して行動をしないという以上は、われわれはそういう事態があろうとは想像いたしません。
  27. 足鹿覺

    足鹿委員 時間がありませんので次に移ります。  日韓交渉の現段階はどういう情勢でありますか。
  28. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知通り日韓会談というものは相当長期にわたって継続をいたしておりまして、昨年来の問題につきましては御承知いただいておると思っておりますが、一月の二十七日から会談を再開いたしております。しかし同時に日韓会談と並行いたしまして、私どもとしては釜山におきます漁船乗組員早期帰還ということを最も主題にしてまず考えなければならないと思うのでありまして、この点につきましては先般来非常に強い態度をもちまして韓国側要請をいたしております。韓国側もいろいろの理由をもうまして、なかなか意向を示して参りませんでしたけれども、最近ややわれわれの強い要望に対して、それにこたえるような考え方のもとに協議を進めております。まだ最終的に協議が決定いたしませんから、今日確たることを申し上げることは適当でないと思いますけれども、近くあるいは漁船員送還と大村の収容所釈放人送還ということが考えられるようにやや進んで参ったように思っております。日韓会談そのものにつきましては、今申し上げましたように先月二十七日から再開をいたしておりまして、処遇の問題でありますとか、その他の問題について逐次委員会等を開いて進めて参りたい、こういうことを今進行させておるわけでございます。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 拿捕漁船並びに乗組員早期送還の問題はあとでまたちょっと触れますが、竹島の領有問題は日韓会談ではどういう状態でありますか。
  30. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本竹島につきましては、数年前国際司法裁判所に提訴するというようなことを韓国側に申し入れをいたしましたけれども韓国側はこれに応諾いたしませんでした。その後、日韓会談という話し合いの場においてこれを解決するという考え方をわれわれは持っております。ただ日韓会談の一番主要な点は、御承知通り李ラインの問題ではないかと私ども思っております。従って日韓会談過程におきまして、ただいま申し上げましたような処遇委員会でありますとか、あるいは文化財の委員会でございますとか、いろいろな委員会がございますが、まずもって一番大事な李ラインの問題を解決したいというのが日韓会談の進行中における一番主要なわれわれの目的であり、これが解決しない以上は、他の問題にもなかなか触れていはないという立場をわれわれ日本側としてはとっております。竹島問題等につきましても、むろんこれは重要な問題でございますから、われわれとしては李ラインの問題と並行して、今後の会議において話し合いでもってできるだけ解決するように努力したい、こう思っております。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 竹島は、御存じのように島根県の隠岐島から西北約百五十七キロといわれておりますが、一九〇五年に日本の領有が決定しております。一九五二年に韓国主権を宣言しまして、自来領土標まで立てて、日本漁船が近寄る場合には発砲を受けたという事実等もあるやに聞いております。大体二十三万平方メートルにすぎない二つの島からなっておりますが、その周辺は、御存じのように最も重要な漁場でありますし、島自体にも目下燐鉱石試掘権日本人が持っておるという事実もあります。三万円程度だと聞いておりますが、税金はずっと払っておる。ところが、この問題で韓国主権の宣言をし、立ち寄ることもできないという実情から、事実課税を受けることは不当であるということになって、政府並びに島根県を相手取って訴訟が起こされておることも御存じであろうと思います。われわれは、日韓交渉話し合いが円満に解決することを望んでやまない者の一人でございますが、そういう事実から見まして、今までの経過から見て、現地には実力解決という声すらも非常に高まっておることは御案内の通りであります。ところが、今度の新安保条約によって日米協定が行なわれる。米韓協定はすでに発効して現在実施されておる。こういう場合には、アメリカとしてはそのいずれにも協力をしなければならない立場にあろうかと思います。にもかかわらずそのような不法な事態が出ておるものに対しても、今日までアメリカ側がその仲介の労をとったとか、あるいは紛争解決のためにいろいろ協力をしたとかいうことは、われわれは不幸にして何ら聞いておりません。李ラインの問題に関することはもちろん基本的なものでありますから、竹島一個の問題では解決がつかぬことはよく承知しておりますが、少なくともそういう事態にあるということをよくお考えになりまして、すみやかなる話し合い解決をされんことを、特に沿岸住民立場でありますわれわれは強く御善処を要望しておきたいと思うのであります。そこで最近は、警備艦「くろがね」も武装装備を厳重にするとか、いろいろな措置政府においても海上保安庁を通じて行なわれておる。そういう措置政府みずからがとられておるということは、話し合い解決が困難な見通しに立っておるのではないか、そういうふうにも現地側の人々はとらざるを得ない。そういう点もあわせてよく考えていただきたいのでありますが、この拿捕漁船並びにその乗組員早期送還について、最近朝鮮米を大韓民国から五万トン買付交渉があり、政府、外務省も大体これを了承したように伝えられておりますが、事実であるかどうか。台湾からは十五万トン、ビルマは先般四万五千トンで妥結しておる。朝鮮米が他の南方等の米に比して良質であるということは、われわれよく存じておりますが、良質のものが不足しておる現時点において、入ってくること自体には、われわれは何ら異議を差しはさむものではない。が、しかし、そういう場合には、食管会計の基本的な需給計画とにらみ合わせ、そうして余分なものが入ってくるならば、そのものについては増配の声が強いわけであります。五年続きの豊作といわれて、増配要望は満ち満ちている。そういう増配に回すとか、とにかくもっと総合的に考えて行なうべきものであろうと思います。そのときの政治情勢なりその他の理由によって突然にそういう問題が次から次と出ていくということは、需給計画の上からいっても、私は問題であろうと思います。もっと計画的に、必要なものは必要なような措置をとるべきだと思いますが、この点について、農林大臣は、外務当局朝鮮米輸入の問題について話し合いをされたか、またどういう状態にあるか、今後どう善処されるか、両大臣から御答弁願いたいと思います。
  32. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 竹島重要性につきましては足鹿委員意見を同じくして、全く同感でございまして、島が小さいからといって、決してこれをないがしろにするものではございません。これが正当なる解決をみるように、われわれとしても努力して参つらなければならぬのでございます。日韓間の話し合いというものは、できるだけ両国でつけて参りますことが必要でございますが、今お話のありましたように、アメリカも両国に関係いたしておりますから、必要があればアメリカにも援助を求め、あるいは話し合いの中間に立ってもらうこともあろうかと思います。が、しかし、原則として、われわれはできるだけ両国の間で話し合いをして、なるべく他国の力によって解決する以前に両国の話し合い解決したいというのがわれわれの希望でございますから、今日まで特に頼んではおりません。が、しかしながら日韓の問題につきましては、アメリカも相当関心を持っておるわけでございますから、あらゆる意味において両国間の問題を相当重要視して、あっせんの労をとるような、いろいろ忠告もいたしてくれております。御承知通り、例の財産請求権の問題が困難になりましたときに、アメリカ一つの解釈を出しまして、そして両国がこれを承認したという事態もございます。従いまして、非常に困難な場合には、そういうことも最終的には考えられる場合があるのでございます。現在日韓会談が進行いたしておりますから、そういう意味において、われわれとしては両国の間で解決して参りたい、こう思っております。また釜山の抑留漁夫の問題は、われわれとして一日も早く解決しなければならぬと考えております。そうして貿易再開をそれによってやっていくということが必要だと思うのでありまして、そういう意味から言いましても貿易が再開されれば、ノリでありますとか米でありますとかというような問題は、当然取り上げられてくるわけでございます。しかし、今日の段階では、釜山の漁夫が帰らない限りは、私どもそういう話を進んでいたすべきものではないと思っておるのでありまして、むろんこの米を買います等の問題につきましては、韓国に限らず、その他の諸国に対しましても、農林省は一定の計画をもってやられるわけであります。その範囲内で、できるだけ調節をしていただきまして、そうして外交方面の二国間の関係にも資するようにお願いをいたしておるわけでございます。
  33. 福田赳夫

    福田国務大臣 日韓会談に関連いたします米の輸入の問題でございますが、私も外務大臣から、今度は日韓会談がうまくいきそうだ、抑留者も帰れるようになるし、また貿易再開ということも考えられる。しかしそのかわり米を輸入しなければならないというような問題が今提起されておる、こういうことを聞いておる次第でございます。米を買うにいたしましても、その数量をどういうふうにするか、また価格をどういうふうにいたしますか、さらに玄米で買うのか、精米で買うのかというようなこまかい技術的問題もありますが、しかし要は、米を買うということがきまって、そのほかの問題は何らの効力がないのだということではこれは私どもは一顧の価値もない問題である、かように考えておる次第であります。それで日韓会談全体といたしまして、しかし事が抑留漁夫の人命、人権に関することでございますので、私どももこの問題を真剣に取り上げないわけには私はいかないのではあるまいかというふうには考えておるのでございますが、お話のように内地米の需給の問題もあります。さようなことを勘案いたしまして、また先ほど申し上げましたような技術的な角度のいろいろな検討をいたしまして結論を得たい、かように考えております。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 これから二、三問主として農林大臣並びに関連して大蔵大臣に伺いたいと思います。  最初に、昭和三十五年度の農林予算の性格と、福田農政の方向とでも申しますか、この問題について伺いたい。来年度の農林予算は従来と比べまして大幅にふえておる。たっぷり予算だとか、あるいは黄金予算だとかいう自画自賛すらも出ておるようでありますが、よくしさいに検討してみますと、従来にも増した総花予算で、重点がぼけておる印象はぬぐえないと思うのです。総額千三百十九億円は前年度の当初予算に比して二百五十六億円の一広数字上の増になっておる。二四%であります。一般会計総予算に比べますと、大体比率は八・四であります。昨年が七・五でありますから、大体一%弱ということになろうと思います。ところが食管会計の赤字補てんが百十二億、災害復旧が四十七億、これは当然増でありまして、むしろ災害復旧等は足らざるうらみすらある。これを百五十九億と見て差し引きますと、九十七億の増ということにならざるを得ない。一般会計総予算の七・四%にすぎぬのでありまして、むしろその点からいきますと、〇・一%去年よりも比率としては落ちておるのではないか、こういう批判もあえて牽強付会な解釈ではないと私は思うのであります。そこで、農政の曲がりかどにありまして、新しく進むべき農政の新路線は一体何かということであります。特に現在大きな問題を伴っております自由化対策、本年の十月には大豆のAA制切りかえはもはや実現をする、こういうどたんばに来ておりましても、大豆の輸入自由化対策としては、予算に一応見られるものとしては、七百万円の生産改善費にすぎない。また政府が新政策の芽だといって非常に喧伝をしておられます共同化の促進対策といたしましても、新しく計上されましたものを拾ってみますと、一億二千万円程度になるようであります。従来からあったものの増額を除いて新しく農政の芽として共同化等で出されたものを拾ってみますと一億二千万円、こういうことでは、実際総花的ではありますが、重点がぼけておる。そのぼけておる理由は農林漁業基本問題調査会にげたを預けてその結論を待つということに最終的にはなっておるのではないかと思うのであります。あとで基本問題には触れますが、伊勢湾台風等の未曽有の被害にこりて、政府は本国会に治山治水緊急措置法案を提出するそうでありますが、事実であるかどうか。その要綱等を仄聞するところによりますと、昭和二十八年の大災害の当時に比べまして——あのときの災害が契機となって当時の内閣は治山治水対策協議会を設置して、総事業量を一兆八千億円、国費一兆七千三十億円の計画のもとに緊急五カ年計画を立て三十一年から事業が開始されましたが、結局三年間に一千百三十六億円の支出を見たのみで、その後は予算がつかずに、基本対策も協議会という審議機関も自然消滅してしまっておるのであります。政府が治山治水五カ年計画を立てて、審議機関まで設けて目標を立てたものが、うやむやのうちになくなってしまっておる。一体その原因はどこにあるのか。これは大蔵大臣に伺った方がよいと思いますが、いつも計画到れのきらいがある。特に今度の治山治水関係の緊急措置法等で見ますと、今度の計画も、当初年度は治山八十七億、治水五百八十億、前期五カ年で治山が五百五十億、治水が三千六百五十億、十年で治山一千三百億、治水は九千二百億円として、三十一年度の場合の計画を相当上回るものであるように聞いておりますが、事実っであるかどうか。これを二十八年の治山治水計画とその対策協議会のその後の自然消滅の経過から見て、また同じ轍を繰り返すのではないかという疑念を持たざるを得ない。これは先例があります。これに対していろいろな案があるそうでありますが、昨日あたり政府が決定されたと伝えられておるところの案によりますと、当初の案を相当ゆるめて、閣議決定において将来の責任を持つということになったように聞いておりますが、閣議はその内閣の存続中については責任を負うでありましょうが、次の内閣の場合には、法律その他に比べますと責任の継続が希薄になってくることはやむを得ないと思います。特に八十七億の治山計画も、当初の計画は百十億円であったということをわれわれは伝え聞いておる。ところが去年と八十七億を比べてみますと、去年の治山対策費よりも五億円ふえただけではありませんか。これが鳴りもの入りの治山対策だといって宣伝をされる内容と言えるでしょうか。少なくとも伊勢湾台風その他の大災害によって、治山治水問題については政府は総力をあげてきたはずであります。ところが、あにはからんや、中身を調べてみれば、治山においては、昨年より五億円増というに至っては、あぜんたらざるを得ません。一体ほんとうにそのような計画であるのかどうか。またこの計画を実施していくために、必要な財政支出を将来に向かって保証する措置が必要だと私どもは思います。そうでなかったならば、権威はないと思うのです。ところが、ただ単に閣議で決定をするという程度の緊急措置法が、はたして何ほど将来に向かって保証するか。財政法にとらわれないところの継続費の支出の点を明確にして、政府が政治責任を負うべきものだと私どもは考えておるのでありますが、この点につきまして、大蔵大臣農林大臣また建設大臣等はいかように対処されますか、最初に伺っておきたいと思います。
  35. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 治山治水の十カ年計画でございますが、これは今の規模といたしましては、治水において九千二百億、その前期五カ年で四千億、また治山は千三百億、海岸が千五百億、それで治山の方は、前期五カ年で五百五十億ということになっております。これはいずれ閣議決定をして正式にその十カ年計画を承認するということになると思いますが、まだその段階にまでなっておりません。しかし準備はついております。  また、ただいまお尋ねになりましたように、治山治水の緊急措置法というものは本日閣議決定をいたしておりますから、近く国会に提案するという運びになると思います。その概要等については、主管大臣の方から御説明があることだと思います。  ところで、二十八年災に際して治水計画を立てたにかかわらず、それが途中において十分計画が遂行されておらないではないか、今回もまたそういうことになるのではないか、こういう御心配でございます。もちろん今回の治山治水対策につきましては、これを裏づけをする財政計画の必要であることは御指摘の通りであります。  ところで、御承知のように治山治水ということと、災害対策費は支出の面におきましては相当性質の似かよったものがあるのでありまして、総体の予算編成の場合においても、それらの点を十分勘案してこれに対する対策を立てていくつもりでございます。ところで三十五年度に計上いたしております治水予算なりあるいは治山予算等で見ますと、前期五カ年に対しては、治水の場合だと一二%の平均伸び率で、計画の四千億を遂行ができる、かように考えております。また治山の方は、一二%をやや下る率を基準として継続いたしますれば五百五十億を完成することになるのでありまして、こういう意味で、特に大きな災害等に見舞われない限り、今回の前期五カ年計画はこれを遂行し得る財政的な見通しは立て得る、かように実は考えておるのであります。  ただいま治山対策についてわずか五億しかふえておらない、こういうお話でございましたが、あるいは補正を含んだ場合の金額について言われるのではないか。当初予算に比べますと、治山対策では十二億の増であります。補正を含む場合において五億の増、こういうことになっておるのでございます。その点は何か数字のとり方が違っておるのではないか、かように考えております。
  36. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま治山費がふえておらないというようなお話でございますが、御指摘の初年度八十七億円というのは、これは民有林についての事業総額でございます。それのうち、国費が六十一億円で、地方費が二十六億円、それから別に国有林の勘定があるわけでございますが、これが国費として三十四億円ある。でありますから、国の経費総体といたしますと、民有林関係の六十一億円と、三十四億円の合計額である九十五億円、かようなことに相なります。それで民有林の八十七億円は、これを前年度の同じ金額に比べますと二十二億円の増加でありまして、前年度は六十五億円でございます。非常な増加をしておるわけであります。この八十七億円を毎年平均の比率でいきますと一一・七%になりますが、一一・七%の速度で五年間続きますと、これがちょうど五百五十億円になるのでありまして、このくらいの増加は財政上支障はない、かような判断をいたしておる次第でございます。  なお将来のことにつきましては、近く治山治水緊急措置法、これを提出いたしまして、これで五カ年並びに十カ年計画を確定したい、かように考えておる次第でございます。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま御答弁がありましたが、直轄事業は二億八千万円にすぎないのであります。県には四五%を起債で認めて、従来の交付公債制度をやめて現金で交付するという形になっておるようです。市町村あるいは地方公共団体の財政の現状から見て、明らかに補助率その他で後退をし、その事業の進度率は、現在お二人からお話がありましたようなわけには参るまいと私は思う。特にこの緊急措置法の中心でありますのは、閣議において決定というようなことで、国家百年の大計ともいうべき治山治水の権威ある継続支出が、将来に向かって保証できるかどうかということは重要な問題であります。もっと真剣に御検討になってしかるべきものだと思いますが、それは意見でありますから、出されたものを拝見した上で、また別の機会に検討したいと思います。
  38. 村上勇

    ○村上国務大臣 先ほどの御質問にお答えいたします。昭和二十八年に策定いたしましたものが、どうもその後出たり引っ込んだりいたしまして思わしくなかったのであります。従いまして、今回昭和三十五年度を初年度とするいわゆる治水事業の緊急五カ年、あるいは十カ年計画というものを策定いたしまして、本年度、いわゆる三十五年度初年度の予算は、その事業費で、先ほどお示し願いましたような五百八十億を計上いたした次第であります。しこうして今回の治山治水緊急措置法案によりまして、先ほど大蔵大臣の御説明にありましたように、治水事業におきましては、緊急五カ年計画としては四千億円、それから十カ年は九千二百億でありますが、これらを確実に年度割で予算をつけていくためには、どうしても治山治水緊急措置法案によってその規模を閣議で決定して、その予算措置を講じなければならないということにいたしておりますので、従来のように何ら法の措置のないいわゆる単なる計画と違いまして、私どもといたしましては、今回のこの法案によって五カ年計画あるいは十カ年計画というものが確実に実施できるものと考えております。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 五カ年間の各年度において行なうべき事業量の基準というものについて計画の概要を御発表願えますか。それは時間がありませんから、なるべく資料でいただけるものは資料としていただいてけっこうです。
  40. 福田赳夫

    福田国務大臣 お答えいたします。昭和二十八年に治山治水の十カ年計画を立てましたのは御承知通りでございます。そのときの考え方は、昭和初期におきましては、大体、荒廃地が九万町歩くらいなところなんです。そこでそれを十カ年で解消したいというのでやったのでございますが、当時は三十六万町歩くらいの荒廃地があったのであります。実際三十四年度までそれをやってみますと、財政上の関係等もありまして、なかなか予定の通りいかなかったのであります。わずかに六万町歩くらいしかできない。従いまして、三十五年度初めにおきましては三十万町歩くらいの荒廃地が残るということになる。ところがその後災害等が起こりまして、新たに荒廃地が出てきました。それらを勘案いたしますと、今日の荒廃地の実際面積は三十二万町歩くらいになるのです。これを十カ年間で消していこう。こういうことでございます。それを前期、後期に分けまして、前期には五百五十億円を、後期には七百五十億円を、かような計画になっております。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 その計画を資料としていただけますか。私の計算によりますと、前期五カ年は三〇%程度の進度率になるでしょう。ところが今までの伸び率から計算をしてみますと、大体従来が二・七%、十カ年を通計して八・七%程度にしか進まないのではないかという考えを私は持っておるわけであります。でありますから、あなた方がその金額を算出されました基礎となるべきもの、また年度別の計画進度率というものを資料として治山治水関係で御提示を願えますか。その程度でこれは打ち切っておきます。
  42. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは資料として差し上げます。
  43. 村上勇

    ○村上国務大臣 できておりますが、今各地方とも打ち合わせておりますから、なるたけ早い機会に資料として提出いたします。
  44. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、前期五カ年の工事を遂行するための予算的な伸び率は治水が一二%、治山は一一・八%程度であると思います。この数字はあるいはちょっと違うかもわかりません。一二%をちょっと割っておるかもしれません。従いまして、特別の事情がない限り、これらの予算措置は可能だ、かように考えておるわけであります。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題は非常に大きな問題でありますが、時間をこれにかけたのでは先に行けませんから、またの機会に、分科会等でこまかく伺います。  そこで二十五年度の農林予算の特徴は、従来の食糧増産対策費という大きな費目を農業基盤の整備強化という名目に変えておられます。これは従来の食糧増産対策の看板を書きかえたにすぎないのでありまして、別に新味はないと思います。しかし、与党あたりにも五年後には米が余るとか、世界的な食糧過剰傾向等の問題がありまして食糧増産対策という名目ではまずい、こういうふうにお考えになったものではなかろうかと思うのです。ところが、名目は変わりましたが、その内容を申し上げますと、先年から特別法によってできました土地改良特別会計による国営事業は、早期完成による経済効果を期待して国営から団体営に至る一貫施行ということになっております。七カ年間に法律によっては完成することになっておる。ところが残事業量を見ますと、福田さん、八・六年ですね。なかんずくこの水系別の一貫施行の県営事業の残年量は十六年分残っておるのですよ。こういうことで、食糧増産対策費を農業基盤整備費と看板を変えても、事態が前よりも悪化しておるのです。真にこの国際的な過剰傾向なり農政転換にあたって、日本農業の生産基盤を整備していくという信念と具体的な対策があるならば、この残事業に対して、まずこれが早期完工の施策を具体的に織り込むべきですよ。これは私は重要な問題だと思う。こういうものにこそ国庫負担行為を要求して、大蔵省もそういうものに対して目を開くべきであろうと思うのです。ジェット戦闘機の六年先の分に多額の国庫債務負担行為を一面においては認めておりながら、七カ年と法律によって規定された完工年度が、団体営、県営事業に至っては十六年もまだ残量があるということで、一体面目がどこにありましょうか。こういう問題こそあなた方が真剣に考えられるならば、はなやかな総花予算もけっこうでありますが、少なくとも農業基盤整備費とうたったからには、そういう農業生産の基盤条件である土地の改良とかあるいは造成とかそういうものに対しての残事業をもっと一掃していく、そのために必要な措置を国庫債務負担行為等に求めるべきではなかったかと思います。その点について、大蔵大臣は常に引き締められる立場に立っておられますが、私の言うことが無理でありますか。この現状をいかに御判断になって、どのように対処される御所存でありますか、大蔵大臣に伺っておきたい。
  46. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 計画が相当おくれておる、その事実は認めます。私どももこの原因等についてどういう点に、そういう計画遂行上にそごを来たしておるか、いろいろ研究をいたしております。足鹿さんは専門家でいらっしゃるからいろいろ事情もよく御承知のことだと思いますが、これを遂行するという点から、新しいものはなるべく取り上げないで、今までの計画のものをできるだけ早く進めていく、こういうことも一つの方法でございましょう。しかし、同時に新規事業は全然とらないというわけにも参りません。そういう意味から、予算の配分上やむを得ない状態が今日出ておる、かように私ども思っております。ただいま法律で七カ年とはっきりきめた、こう言っておられますが、法律的には大体七年原則というような意味ではないか、とかように私思っております。事情はただいま申し上げた通りであります。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 負担行為はどうですか。
  48. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 どうも事柄の性質上負担行為というわけにはいかないのではないでしょうか。継続費としてのものはある程度認められておる、かように私考えております。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣の御答弁は次の機会に保留しておきましょう。とてもこれでは問題にならぬことは、あなたはよく御存じだろうと思うのですが、とにかく干拓の場合も、まだ魚が泳いでおる地帯がある片方には、すでに償還が始まる。こういう状態では、経済効果、経済効果と大蔵当局は常に言われるが、実に非経済効果的な不経済なやり方であります。こういう点についてはもっと目を開かれるべき性質のものだと思う。これだけのことを申し上げておきたい。それから開拓営農関係にしましても、六百戸の間引き対策等を初め、若干のこうやくばり政策が行なわれておりますが、パイロット・ファームの根釧と上北とその隣部落におる既入植者の実情を対比なさったら、これはもう日本の今までの開拓政策というものが、根本的な練り直しの段階にきておるということにお気づきであろうと思います。すみやかに法の改正その他必要な措置をとられるべき性質のものであり、相当期待をしておったが、何ら見るべきものがないということについては、私はきわめて遺憾の意を表明しておきます。     〔委員長退席、八木(一郎)委員長代   理着席〕  さらに次に聞きたいのは、開墾建設事業の残事業についてであります。これは実に四百億という巨額の事業量が残されております。これを一体どう処理するのかということでありますが、現在法に基づいて農地開発機械公団が活動をしておりますが、現在は半ば休止状態の地域もあるのではないかというふうにわれわれは見ておるのであります。そして赤字が漸増しておる。人件費その他は変わりはないが、事業がないから設備その他が遊んでおる。その一つ事例を申し上げますと、目下百二十七台の大型機械が遊休状態にある。浚渫船等を合わせて三百三十五台の、農地開発機械公団が所有しておる、アメリカ等から巨額の経費を投じて購入した高能率の機械が遊んでおるのです。そこで三十五年度においては八百万円の赤字が補てんされる予定のように聞いておりますが、この遊休の米国製のパワー・ショベルであるとか、その他のものが六台売却されておる。購入価格七千万円のものが六千万円で売却されておるという事実もあります。売り先はどこか、まただれがそれを買ったのか、農林大臣にも私はいつも機会あるごとに申し上げておりますように、もっとこうした機械器具が——せっかくアメリカから世銀の借款や見返り円の立場から買われたものが遊んでおるという手はないでしょう。もっと真剣に考えられてしかるべきものだと思う。施設を持ちながら遊ばすという手はないでしょう。この問題について農林大臣は、所管大臣としてどのように考えておられますか。今後の土地の造成、土地の改良、特に開墾建設事業等に対する御所信はどうでありますか。あとでこの売却先は資料として御提出を願いたいと思います。
  50. 福田赳夫

    福田国務大臣 今後の農政をどういうふうに持っていくかということを考えてみますと、どうしても機械力を持ち込むことを考えなければならぬというふうに存じておる次第でございます。さような考え方から三十五年の予算におきましても大型トラクター、中型のトラクター等を政府の助成のもとに農村に導入するということを考えておる次第でございますが、そういう考え方に従いまして、機械開発公団の保有する機械も遊びのないようなことにならなければならぬというふうに考えております。  なお御注意がありましたので、機械開発公団の機械がどんな状態になっておるか、よく検討した上で、遊びのないようにいたしたいと、かように考えております。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 こまかいことは別の機会に譲ります。それから農村金融の問題でありますが、それの一番端的な現われとして、農林漁業金融公庫の状態を検討してみますと、その出資金は借入金よりも下回っております。三十五年度においては出資金は借入金の三九・五%に下がっておりますが、二十六年の事業開始当初は特別会計として、二十八年にこの公庫は発足したと記憶しておりますが、その当時に比べますと、来年度は最悪の状態です。大へんな状態であります。とにかく補助も締めるわ、金融に回せというのは、大蔵省多年の御主張であったはずなんです。とするならば——われわれはそれを承服いたしませんが、そういう一つの基本線を貫かれるとするならば、当然制度金融の一番の中核をなしている金融公庫の政府出資等は、思い切ってやるべきではないですか。当初に比べて最悪の状態になるのを知らぬ顔するという手はないでしょう。このことは結局低利融資の貸付が困難になり、そしていろいろな経済効果を早期に上げなければならない事業が事実上に停頓する結果になるわけです。農村の資金需要は相当あるはずであります。にもかかわらず、こういう状態では、政府は一方補助金等整理に関する方針を昭和二十九年に打ち出して以来、いわゆる補助金の整理をなされ、ちっぽけなものは切られることは私はあながちそれをすべて悪いとは言いません。少なくとも融資をしてやるのだということであるならば、唯一の制度金融としてのこの問題に対する対処は当然あってしかるべきだと思います。念のために申し上げておきますが、二十六年度に本制度が出発したときには、政府出資が七五、二十八年に公庫に切りかえたときが六〇%、そしてだんだん低下の一途をたどって三十五年には三九・五という最悪の事態に直面をしております。少なくともこれらの点については、欠陥は欠陥として率直に認められ、適当な機会においてこれに対処されるべきが私は至当だと思いますが、その点いかがでありますか。
  52. 福田赳夫

    福田国務大臣 今回の予算におきまして、農林漁業金融公庫の貸し出しワク、これを三十四年度は四百三十億だったのを今回は五百十五億円と八十五億円激増さしたわけなんです。そして農村の近代化等の需要にこたえていこう、こういう考え方でございますが、しかしその結果、この会計の収支におきまして若干悪化していることはお話の通りでございます。これらにつきましては農林金融全体といたしまして各種の問題もありますので、お話のような点も考慮しながら十分今後検討するという考えであります。
  53. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 補助金等の整理について必要なものはやってよろしいというお話で、御賛成いただきましてありがとうございます。農林漁業金融公庫についての資金の総ワク、これは農林省と十分連携をとりまして所要の金額を確保したつもりでございます。  ところで出資の比率が借入金と比べてみると、非常に少ないではないかというお話でございます。なるほどその通りになっておりますが、農林漁業金融公庫の融資金利と申しますか、貸付の金利、これを現状のまま維持できる範囲の出資を実はいたしたわけでありまして、大体五分五厘程度の金利をこれで確保できておるわけでございます。最近は金利自身が、一般的には、開銀あたりが六分五厘が最低でございますが、それなどから見ますと、農林金融については、農業の実態、漁業の実態等から勘案いたしまして、特別に低金利な融資をしておる。こういうところから、平均は五分五厘になっております。それをまかなうのに必要な限度の出資がされておるということを御了承願いたいと思います。
  54. 足鹿覺

    足鹿委員 別に補助金を切ることに、全面的に賛成したわけではないのです。零細な、検討をしてみて明らかに問題があるというものに対してやられるということには、あながち私は全面的にとやかく言うものではないという趣旨であります。誤解のないように一つお願いしておきます。  時間がありませんのであれでありますが、次に、これは農林大臣に伺いたいのであります。農林漁業基本法制定について、どのように考えておられますか。農林漁業基本法の制定の声は、農民団体から多年にわたって要望があり、その要望に押されて、政府与党も、一時基本法を制定する準備に入るかのごとく見えた。ところが昨年の国会において、農業基本問題調査会というものを設置して、二カ年間に調査をするということで、当面を一応糊塗しておられますが、三十四年七月七日の第一回総会において、総理大臣は、調査会長に対する諮問として、「農林漁業に関する基本的施策の確立に関し、貴会の意見を求める」こういう諮問が発せられ、今日まで、特に農業構造の問題の検討に入っておると伝えられておりますが、大体今日までの経過を見ますと、生産力の低い農業は、国民所得増大の大きなブレーキになっておる、適正規模農家を育成して、貧農を切り捨てていくべきである、従って、適正自作農主義によって農業経営を企業的に確立をするという、大体基本的な方向が出てきておるようであります。われわれはもってのほかだと思います。現在六五%の過小農経営が日本農業の実態をささえておる。そこに生産の停滞が起きて、ここに大きな問題が発生しておるのであります。これにどうメスを加えるか、どう対策を立てるかということが、私は基本であろうと思いますが、とにかく議論は別といたしまして、あなたが就任当時、あるいは岸総理が公約された所得均衡の方式が、このごろ影が薄れて、所得増大論に内容はすりかえられつつある。これはおおうべくもない事実であろうと思います。こういうことで、はたして農業基本法制定の結論に達するのかどうか。少なくとも基本法の一番中心のねらいは、農業と他産業との所得の均衡ということが、これは、国民的課題ともいっていい大きな問題として取り上げられたわけであります。しかるに、均衡論を漸次かげに押しやり、増大論に向かっていく。その一つの根拠を、われわれがあの資料から見ますと、一般の経済の成長率が七・二%と大体見ましょう。そうして十年後に所得を倍増せしめるという場合におきましては、過去の趨勢から、農業所得を引き伸ばしてみても二・五%の割合であります。それで十年間に所得は一・四倍前後にしかならないのであります。これをかりに最大限度見込んで、三・二%の増加率を十年間かかってやるという場合に、これを修正して考えてみた場合におきましても、農地の開発、改良のために約八千億、耕種改善に三千億の資金を確保しなければなりませんが、過去十カ年間に、支出されました資金は、前者で二千億、後者で四百億、締めて二千四百億程度でありますから、過去十カ年間の実績の四倍ないし七倍の資金をあなた方が投入されなかったならば、所得の均衡はできないのであります。これは、もうはっきり数字が示しておるのであります。そういう点から、調査会の資料によりますと、非農業所得と農業所得との格差一〇〇対二九・五が縮まる可能性はきわめて薄いといっております。また経済成長率を七・二%と見、農業成長率を二%と見、非農業成長率を七・八%と見て、十年間に農村人口を百六十万人減じたとした場合の格差は一〇〇対二四・五で拡大する。また農業所得を一〇〇対四六・五に拡大しようといたしますならば、十年間に驚くなかれ四百万人の農村人口を他産業へ吸収していかなければならぬのであります。現在の状態からいたしましたならば、とうてい想像もできません。従来の残事業が、水系別の県営、団体営で、十六年分の残事業があるという体たらくをほったらかして、農業基本問題調査会は一体何をしているのです。机上の空論や、象牙の塔で議論することは、決して私は悪いとは言いません。言いませんが、少なくとも非現実的な作業をし、しかも所得均衡を放棄して増大政策に切りかえるというがごときは、私は本末を転倒しておると思う。第三次岸内閣の公約を、みごとに裏切る方向へいっておるのじゃないですか。この点に対しましては、私ははっきりと岸さんにも聞きたいのでありますが、きょうはその機会でないようでありますから、とにかく農林大臣に伺いたい。農業基本法を制定するのかしないのか。その構想は、現在の基本問題調査会の運営なり検討なりの結論から出るのか出ないのか。調査だけに終わったのでは、われわれが消極的ではあるが、やむを得ざるものとして、昨年の通常国会においてこの成立に一応の同意をしたのは、全国の農民が大きな期待を持っているものに、公式的な反対をすべきではない、少なくとも基本法制定に向かっていくべきものであるという、そういう観点に立って建設的に同調したのであります。そういう点からも、この際基本法をどうするのか、現在の調査会の運営はこれでいいのか、そういう点について御構想を承りたい。
  55. 福田赳夫

    福田国務大臣 政府は、現実の問題といたしまして、ただいま所得倍増計画を立案検討中でございます。この所得倍増の長期経済計画は、過去の日本経済が歩んできました足取りなんかを考えてみますと、一応十年間ということが想定されるのでありますが、十年間に倍の規模の日本経済が実現するということにつきましては、私はそう困難はなかろうというふうに存じております。ところが、問題はそこにあるのではない。問題は、そういうふうに拡大され、強化された日本経済の内容が、はたして社会的に、政治的に、経済的に見て、均衡のとれた内容のものであるかどうかという点にあるのでありまして、政府が今長期計画を策定いたしておるゆえんのものは、その内容におきまして、均衡のとれた経済の姿を実現するにはどういう方策が必要であるか、そこに重点があるのでございます。特にその間におきまして、農業と非農業との間の所得の格差の問題、これはほっておきますと、相当大きな問題になることでございますが、それをあらかじめこういうふうな手段で解消していくのだというところに、困難な点があるわけであります。私、今農政に取り組んでおりますが、もとよりさようなことを中心にいたしまして、いかにせば今後伸びいく日本経済の中で、農業も肩を並べて伸びていけるかという方途を、ここに打ち立てていかなければならぬという点にあるわけでございます。  それで、今基本問題調査会が、それらの問題も検討しております。また経済企画庁を中心といたしまして、全体の長期計画ということも検討されております。しかし、私はその結論を待つまでもなく、ただいま申し上げましたような基本的な方向というものは、もうすでに固まった政府考え方でもありますし、またそういうことを実現するためにはこういう施策をとらなければならぬということは、その結論を待つまでもなく自明なことである。すなわち一方におきましては農業の生産性を大いに向上する。同時に日本経済を拡大する、その拡大した経済の中に農業人口というものもこれが活躍できるような素地を作っていくということ、これはいろいろの御意見もありましたが、過去三十一年から三十四年、これは比較的農家の経済の安定した時期でございますが、この時期のことをとって考えましても、農業生産は四・三%の増加をいたしております。さらにその上、農村から都市への人口移動というものが相当行なわれておりまして、さようなことを考えますと、相当高い農家所得というものが実現されているというふうに考えるわけであります。あなたが今言われましたが、七・二%、十年間ということは、これは総所得なんです。問題は総所得にあるのではななくって、一人当たりの国民の所得がどうなるかという点にあるのでございます。そういう角度から考えますと、過去の趨勢等も勘案して農業所得が平均の所得倍増計画下における一人当たりの所得、また生産性と言ってもいいかもしれませんが、五何がしの比率を実現できない、かように私はあきらめてしまう必要はない、必ず実現できるし、またさせなければならぬ、かように考えておるわけであります。それで基本問題調査会の方は本年度から始まりまして、法律によりまして来年度一ぱいということになっております。その審議の経過を見ますと、この夏ごろ一応の方向を農業関係について出す。さらに引き続いて漁業関係、林業関係等の検討を遂げて、年度内にその結論を出すということに相なっておる次第でございます。  農業基本法をどう扱うかというお話でございますが、私は基本法という、法律というような形式的なものが最大の問題ではないのであって、問題は基本法というか、農業の基本政策をいかにし、それをいかに基本政策の線に従って実現するかという点にある。今基本問題調査会はそういう法律というものを乗り越えたその背後に横たわる実質的な問題につきまして取り組んでおるという段階でございまして、その実質に沿いまして法律の整備が必要であるというならば、これは基本法という法律を制定して一向差しつかえないのであります。問題はその背後にある実質的政策をどうするか、それを熱意を持って実行する方途はどうであるかというところにあるのではないか、かように考えるわけであります。
  56. 足鹿覺

    足鹿委員 問題はたくさんありますが、時間の制約もありますのでそのものずばりで二、三点お尋ねをして終わります。  次に、農業の災害補償制度の根本改正について、今国会中に改正案を提出する方針かいなかということであります。これは多言を要しない。しばしば言っておりますので、その理由等については申し上げませんが、とにかく現在の制度が農民から喜ばれない。国は来年度において百十四億円の支出をし、農民も同額以上の負担を行なう。こういう大きな農業政策というものは、戦後における農地改革、農協法、農業災害補償法この三つの柱のうちの一つであろうと思います。しかるにこれが今や崩壊の危機に達しておる。これに対して農林省は研究会を設け、四月ごろには制度改正協議会を発足させて、ことしじゅうに検討して次の通常国会などという、実に慎重なかまえのようであります。法律そのものを書きかえるというような大作業でありますから、簡単にはいかぬと私は思う。しかし少なくともこの国会中に法案を出して、そうして農民の動揺とふんまんに対して政府の所信を明らかにし、国会もその農民の要望にこたえていく。そして継続審議等の方法を講じて、次の臨時国会等に成立せしめますならば、すなわち昭和三十六年米等から新しい制度によって実施の見通しがつくと思うのであります。そうでない限り、今あなた方が考えておられるようなことでは、昭和三十七年という二年先のことになります。その間にこの制度自体はもうすでに農民の信を失い、崩壊の危機に面しておるわけでありますから、少なくともこれについては大臣自身が決意をされて、その線に沿って協議会の運営なり、研究会の検討なり、あるいは国会協力を求められてしかるべきものではないかと思います。あらゆる政党あらゆる団体、すべて抜本改正に反対しておるものはありません。内容については若干の検討事項意見の相違もあるでありましょうが、抜本改正そのものに対しては、もはやこれはゆるがすことのできない要件であります。これに対していかようにされますか。今国会中にとにかく出すという決意の表明を私はこの際求めたいと思いますが、その点いかがでありますか。  それからこれに関連をいたしまして、農業法人化の問題であります。昭和三十四年三月二十七日に農林水産委員会は満場一致の議決をもって、政府にその法的措置を迫っておるのであります。この問題につきましては、現在高松地方裁判所において、税務署等との関係に起きた問題が訴訟ということになって進行しております。とにかく農林省が、非公式でありますが、農地法の一部を改める、農協法の一部を改正するという方向を出しておられるということはわれわれも聞いておりますが、そのようなことではこの問題の解決にはならぬが、少なくとも窓をあける、この行き詰まった過小農の経営規模を拡大し、生産性を高めていくための組合法人方式をわれわれは主張してやまざるものであります。とにかくこの国会中に当面必要な農協法並びに農地法の一部に対して必要な措置を講ぜられる御意思ありやいなや。与党の中にはいろいろ御議論があるようでありますが、全国に起きた実地の姿すらも、その地名すらも知らずしておって、そうして反対だ賛成だというようなことを議論するということは、私は間違っておると思います。少なくとも現地末端における法人化の熱意は、これについては実力行使も避けぬという声があります。  また所得税法の第十一条の専従者控除の点については、減税見送りのためにこの措置をおやめになったようでありますが、青色申告の簡素化などということは全く問題になりません。問題はどの産業を通じても、自家労賃を必要経費に見ないなどということは、憲法に規定された人権の侵害とも言えると思います。どこの世界に自分の投じた自家労賃をその事業の必要経費に認めないという制度がありますか。この点については明々白々たる事実でありますから、当然農地法、農協法の改正と相待って専従者控除に法十一条を改めるべき性質のものだと思いますが、この点について、農林、大蔵両大臣から伺っておきたいと思います。  それから大蔵大臣に伺いますが、たばこ専売事業の民営論が最近制度調査会等で検討され、世論とはなっておらぬようでありますが、公社の複数制が大体台頭し、盛んに論議されておるようであります。能率の向上をはかっていき、そして専売益金が国の財政に貢献しておるということはおのずから明らかでありますし、私どもは公社の自主性に対して、大蔵省が予算制度の上から必要以上の拘束をするところに公社の官僚化が生まれ、そうして運営がいわゆる膠着状態になって、従って能率も上がらないという結果を来たしておると思います。むしろこの際、専売制度そのものを民営に移すか、複数制にするかということの前に、現在の専売制度というものが、明治年間にできた一つの伝統を持って今日に至っておる。新しい時代の風をもっと吹き込むべきだと思いますが、とにかくそういう点は、農業技術の改善と相待って、農民へのしわ寄せとなっておる。政府は畑作振興を叫んでおりますが、昭和三十一年から今日まで、葉タバコの減反は実に一割八分の減反をしておる。許可制を握っておりながら、やめさせるときには天下りでこれをやめさせていく、どこの世界にそういう官僚的な運営がありますか。作らせるときには一々許可をする、何本植えたかということまで検査する。そうして、やめさせるときには、タバコが余ったから減反だという運営で、すべてのしわは生産者に寄ってきておる。こういう事態に対して、大蔵省設置法十七条の二項によりまして、専売制度調査会が去年の四月に発足をし、現在まで検討を続けられておるようでありますが、大蔵省としては、特に大臣としては、この問題に対してもっと公社の民主的な運営、自主的な運営を行なって、そうして現在の公社の持つ長所を生かしながら、もっと能率を上げていくためにはどのように専売制度を改善し、現在の運営の欠陥が農民にしわ寄せにならないようにすべきかということについての御所信を承っておきたいと思います。  それから、時間がありませんが、農地被買収者問題調査会の経費について。調査会に関する三十五年度の予算措置とその内容はいかがでありますか。われわれが仄聞するところによりますと、一千万円と見て、その一千万円は、総理関係の方々へ繰り入れられておるようで、どうも実体が明らかでありませんが、そのうち明らかであるものは、委託調査費と名づけて、三百八十八万円、戸別面接調査として地主団体に交付するようにわれわれは聞いております。しかもその対象人員は、一万五千人と昨年の際には規定しておりますが、全国農地解放者同盟とその運動については、本会議においても過日石田君がこの問題について論究されましたから、私は理屈は抜きにして、どこの世界にこういう利害関係を持つ団体に、委託調査に名をかりてつかみ金をやることがありますか。事実この団体は、反当三百円以上の負担金を農民から取り、そうして大きな金額がいろいろな選挙に流用されたといううわさを起こし、おもしろからないうわさすらも一時あったことは御案内の通りでありましょう。利害関係を持ち、政府に圧力をかけた団体に対して、委託調査に名をかりて三百八十八万円を出すなどというようなことは、金額のいかんにかかわらず、私は大いにこれは検討してもらわなければならぬことだと思います。大蔵大臣はこの点等についても、少なくとも問題が問題だけに、十分御検討になってしかるべきだと思いますが、私が今指摘したことが間違いであるかどうか、間違いならばその内容を資料その他によって明白に総務長官から御提示を願いたい。  それから経済企画庁長官並びに建設大臣に伺いたい。これは通産、運輸とも関係がありますが、国土の造成と臨海地域開発についての政府の所信を伺いたい。  御案内のように、去年の四月一日の国会の末期から先般の臨時国会にまで引き続き継続審議になっております臨海地域開発促進法という法案が出ております。全十七条からなって、川島正次郎君外、福田さん、あなたも大臣になられる前は提案者の一人であられる。福田総務長官も提案者の一人でありますが、閣僚に列せられてからは削られております。この審議を通じてわれわれが驚いたことは、この法そのものが何ら具体的な規定を持たぬ。特に漁民に対するところの補償の規定すらない。しかも法第十六条には、特別の機関を設置する、そしてその特別の機関とは何かといって追及いたしますと、知らぬ存ぜぬである。ところが、去年の秋から臨海工業地帯開発公団の設置構想というものが、すでに民間からわれわれの手元に陳情になってきておる。これによりますと、昭和三十五年の、法第十六条によって想定されるであろう、できるであろう、別な法律によってできるであろう運輸省、建設省、通産省の三省公団の収入支出の場合に、政府出資金が二十五億円、借入金が百五十億円、その内訳は、資金運用部資金七十五億円、民間資金借入金七十五億円、合わせて百七十五億円、すでに去年の秋の臨時国会中にこういう具体的なものが出ておる。しかもわれわれが委員会で追及をしても、政府は知らぬ存ぜぬの一点張りである。いよいよこの資料を示したときに、初めてその内容を現わすなどというごときは、国会を軽視し、侮辱するもはなはだしい。しかも議員立法であります。実態は、建設、運輸、通産の三省がなわ張りでけんかをし、政府提案ができないために議員立法にすり変えたといううわさも飛んでおります。しかも全国四十数カ所の埋め立て予定地をここに図表で示しておりますが、この中で何ゆえに東京湾を除いたのでございますか。伝え聞くところによりますと、東京湾開発特別会社の構想もあり、三井不動産その他がすでに民間出資の話し合いを進めておるといううわさすら飛んでおります。その内容を私どもは知悉いたしません。少なくとも農林、通産、運輸、建設、各省にまたがって、新しい国土の造成を行ない、しかも臨海漁民の生活権と居住権をも無視してこういう立法を行なう。われわれが審議に審議を重ねたところ、与党の立場も一応認めて、修正案等については話し合いを若干いたした段階で継続審議になって持ち越されておりますが、このようなものは、当然政府の責任において調整立法として、あらゆる角度から検討し提出さるべき筋合いのものだと思うのでありますが、経企長官、また佐藤大蔵大臣省、関係大臣の御所見はいかがでありますか。  特に私が伺いたいと思いますことは、東京湾の埋め立て問題について、現在九百万の人口を包容するマンモス都市が、この計画によって進みますと、五百六十万も人口がさらにふえることになる。埋め立てが完了し、施設が伴うまでに約二兆円、そして十数年後には五百六十万の人口が、さらに東京湾の半分以上埋め立てた場合には、そこに大きな民族の新しい移動が起きてくる。臨海地域開発でいくことそれ自体には私ども異論は持っておりませんが、こういう会社は利権会社的なにおいがきわめて強い。しかも地方自治体の同意をも必要としない。総理大臣が審議会の議を経て協議すれば、それで言い放し、すべてのものがぐんぐん進んでいく、こういうファッショ的な立法を、しかも議員立法の名において出されておる。こういう問題に対して、われわれはきわめて真摯に国土開発委員会において論議をしてみましたが、この問題に対するところの政府の所信というものは一向に明確ではない。議員立法だから最後にはわかりませんといって逃げる。第十六条の公団はどうするのかと言っても、それは先ほど述べたような経過で逃げを張る。そういう無責任な態度で国土の造成や、しかも犠牲を伴う臨海地帯の開発が可能でありますか。しかも私が奇異にたえないことは、政府与党の中において浅海漁業振興と臨海地域開発との調整に関する法律案の要綱というようなものがすでに配られておる。その法律そのものを再検討し、政府が責任を持って必要な法律を完備して提出するならともかくも、また別に、その矛盾した法律は法律として、浅海漁業振興と臨海地域開発に関する調整立法を考えるがごときは、矛盾撞着、全く無統制もはなはだしいではありませんか。このような利権臭のあるものを議員立法として——議員立法をわれわれは軽視するものでありません。立法権を持っておるわれわれとしては、議員立法なるがゆえに軽視するものではありませんが、少なくともこういう大きな問題に対しては、国が責任のある立場に立って、関係省をよく調整し、そうして民意を聞いて完全なものにすべきでありませんか。電源開発促進法を読んでみましても、明らかに損害に対する補償等相当な規定がありますが、この法律には補償の規定すらないのであります。全くむちゃくちゃであります。しかもその内容は、十六条は別なところに逃げておる。窓口が経企長官だ、建設大臣だという問題は次の問題であって、これらの点については、政府は、議員立法なるがゆえに遠慮しないで、もっと練り直して、次の機会に国会に提出する必要があるならば提出すべきものだと思いますが、これらの点について、建設大臣、経企長官の御所見を承りたいと存じます。  それから、まだありますが、簡単にもう一点だけ触れます。自治庁長官に、未開発地域の開発促進事業についての国庫負担率の特例、この問題が今度の予算のどこにどういうふうに並んでおりますか。現在の地方自治体は、御存じのように、非常に財政窮乏にあえいでおります。私は鳥取県でありますが、政府が昨年の七月出しました国民生活の地域的分析という資料によりますと、全国平均の県民一人当たりの所得は八万一千九百九十九円、南九州はこの半額にちょっとの四万六千九百九十六円、次が東北で六万二千三百四十円、続いて山陰の六万四千四百九円、南関東は十二万一千八百二円、近畿が十万四千八十四円と、国民の所得の地域格差は大きく開いております。担税能力その他の点についても自治体が行き詰まるのは当然じゃありませんか。これに対して当然考えられることは、このような後進地域に対して一つの財源を与えるような措置を国が講ずることは、私は当然だと思う。そういう点で、あなた方が検討されておったこの特例は大蔵省の反対によってつぶれたと私は聞いておりますが、その経過、また見通し、どういうお考えでありますか。いろいろな立法を次から次と出しても、実が実らずにほとんど立ち消えの状態になり、雲散霧消するというようなことでは、私は地方自治体の本来の活動をも阻害する結果になろうと思います。この点について自治庁長官の御所見を承っておきたい。  それから最後に食管会計と米価の問題について伺いたいと思います。三十五年産の米価等につきまして、生産者米価は、生産費及び所得補償方式によって決定の方向が大体できかけておると思います。三十五年度中には消費者米価の値上げを必至とする情勢が私は生ずると思いますが、大体食管会計に赤字を繰り入れ、また消費者米価も上げないという決意は幾たびか聞いておりますが、最近の趨勢を見ますると、都市労賃及びパリティの上昇はもう避けられないと思います。こうした場合に、生産費・所得補償方式を米審が答申をしたときに、現在あなた方が考えておられるところの一万三百三十三円という食管会計の米価は、暫定米価として、少なくとも一定の算定方式と決定方式に基づいて答申をされたものに対しては、これは福田さんの公約でもあります。でありますから、六月ごろに答申が出るということでありますが、でき得る限りこれを早めて、そして権威のある、ゆるぎのない米価の算定の基礎を出し、それにはいろいろな要素を加えたり、押え控えをしないできちんとしたものを出すべきだと思います。その際にこの一万三百三十三円の食管の計上された米価は暫定として、補正等において、その答申案に沿った決定方式に基づき算定されたものによって変更されるやいなやということであります。それから、その場合に赤字必至ということになりますと、当然採算性の立場から値上げ問題が必ず出てくる。これに対していかように大蔵大臣は対処されますか。少なくとも米価審議会が小委員会を設けて今日まで熱心な検討をしておるのは、昭和二十八、九年以降からの大きな作業であって、宿願であります。この問題は最終的な大詰めに来ておると思います。それをまた尊重というがごとき言葉において、出たそのものにも忠実でないということは、私は公約に反すると思いますが、そういう場合に値上げをするのかしないのか、また補正を組むのか組まぬのか、また先ほども朝鮮米その他の輸入問題について申しましたが、そうした場合に国民への増配はどうするのか、現在一般国民が心配をし、また農民が不安に思っておることは、もう四、五年すると米が余ってくる、こういう不安であります。どこからそういう声が出てくるか、私どもはつまびらかでありませんが、自民党の政調の中にある検討会においては、そういう線も出たという話も仄聞しておりますが、ともかくも世界的な食糧その他の過剰傾向、また国内におけるところの農業技術の大きな進展、また食糧に対する消費生活の構造の変化、いろいろな条件によって米が余りつつあるのではないか、そういうことが近く出てくるのではないか、そうすれば食管制度もぐらつくのではないか、しかも現行食管法において、基準配給量は月の半分を約束しておるにすぎません。米が余り、政府の買い入れが進むならば、もっと増配をして、消費者にも安定した米価で消費せしめ、生産者も当然生産費及び所得を補償する方式によって、安定した農業経営を続けていくべきものだと思います。この食管会計と生産者米価、消費者米価に対するところのお考え、答申が出た場合には、その線に沿って、増額を必要とするときには補正を組むか組まぬか、消費者米価をどう取り扱うか、増配はするのかしないのか、この点を最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。一括して一人々々御答弁をわずらわしたいと思います。
  57. 福田赳夫

    福田国務大臣 まず農業災害補償制度の問題でございまするが、この制度が幾多の欠陥を露呈しておるという点につきましては、私もかねがねさように考えておるのでございまして、これを根本的に改正したいというふうに存じております。ただいま事務当局で検討した結果等を基礎にいたしまして、民間の有識者等の意見も聞いております。近くさような意見等もまとまるはずでございますので、これを国会の各位等をも含めました一つの研究機関にはかりたい。なるべくその結論を早く得まして、今国会にはこの改正法案を提出できるように努力をいたしたい、かように考えております。  それから、農業法人の問題につきましては、これまたお話のような考え方に従いまして検討を進めて参ったのでございまするが、ただいま農林省といたしましては一つの試案を得ております。その試案につきまして、これまた関係各方面と意見を調整中でございまして、この調整が終わりましたならば、これまた法律案といたしまして今国会に提案をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  消費者米価、生産者米価という問題につきましては、その両者とも私はなるべくすみやかに米価審議会の御審議の結論をいただきたい、かように考えております。その結論を尊重して実行米価をきめていきたい、かように考える次第でございます。  なおまた需給の状況等から見て配給をふやすかというお話でございまするが、すでに昨年の十一月に三十四年度産米の豊作状況を前提といたしまして増配を行なっております。この増配をずっと維持するという見通しにつきましては、当時と少しも変わりません。なお検討の結果余剰がありますれば、これを増配に回すということはもちろんでございます。
  58. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 だいぶ速射砲的にお話しでございましたので、あるいは問題が落ちるかと思いますが、農業共済につきましては、ただいま農林大臣からこの災害共済についての基本的な問題は検討中であるというお答えがありましたが、こういう制度自身につきましては、やはり長期に物事を見ていただかないと、十分制度が生きてこないのではないか、かように私は考えております。  農業経営の法人化の問題につきましては、農林省でも根本的に考えておるということであります。税の問題としてこの点が最近非常にやかましくなって参っております。いろいろ私ども大蔵省関係でも納税者の便宜をはかるような措置を講じ、青色申告の簡素化等についても努力いたしておりますが、根本的には個人企業と法人企業との間の税負担の均衡をとるということ、この一事に尽きるだろうと思います。ただいま税制調査会において根本的に調査いたしておるのも、そういう点でございます。自己労働を除くべきだということを言っておられますが、外国の例等ではあまりそういう点はないようでございます。これは議論にわたりますから差し控えさしていただきたい、ただいまの取り扱い方だけを御了承いただきたいと思います。  次に、専売の問題でありますが、たばこ専売についてのただいまの取り扱い方は御指摘の通りです。専売制度調査会ですか、ここでただいま取り扱っております。大体三月末くらいには答申が出るのではないかと思います。この答申を出す非常に近い機会に、主管大臣である大蔵大臣が、個人的意見にいたしましても、述べることは適当でないのじゃないか。むしろ審議会の自由な答申を待つ、これが望ましいのではないかと思います。しこうして、今までの審議の経過等におきましては、ただいま御指摘になりましたように、専売制度はなかなか長い歴史を持っておりますので、その複数化だとか、その他の新しいものを考える前に、現在の制度自身でもなお変えるべきものがあるのじゃないか、こういうような意見が一部出ておることは事実でございます。それらの点について私から是非を申し上げることは、民主的に審議会が答申いたしますのに悪影響があるかと思いますので、この際は差し控えさせていただきたいと思います。  次は議員立法に基づく臨海土地造成の問題でございます。これにつきましては、前国会時分にいろいろ論議をされたのであります。大蔵省自身の考え方を申しますならば、民間でできるものはなるべく民間、あるいは地方団体において処理できるものはなるべく地方団体自身において処理していただくということが望ましい。だから、そういう観点に立ちますと、特殊な公団等を作ることについては、私どもはなお十分検討を要するのじゃないか、こういう感じがいたしておるのでございます。しかし、問題はどこまでも議員立法でございまして、先ほど出されましたパンフレット自身につきましても、私ども実は関係がないのであります。十六条については、将来埋め立てを予定するような場所を一表にして議員諸公の審議に幸いするようなものを作りたいというような話も伺っておりますが、具体的にはそういう問題は出ておらないのであります。私ども大蔵省自身としては、ただいま申し上げますように、民間でやり得るものはなるべく民間、また地方団体でやり得るものは地方団体でやるということが望ましいのじゃないか、こういうような基本的考え方をいたしております。いずれにいたしましても、その法律案の今後の御審議に待つ以外には方法がないように思っております。その予算計上はおそらく私案だと思います。私どもの方に全然関係のないことであります。  次に、未開発地域の問題、これは自治庁長官からお答えするだろうと思いますが、国庫負担法の改正等の審議の議論がございますが、御承知のように、国自身が国庫補助、国庫負担いたします場合に、やはり自治体にいたしましても非常に段階があると思います。今交付団体、不交付団体、その二つに分けておりますが、その交付団体のうちにおいても相当の差等があるのじゃないか。そういうものを一律に国庫負担法でやることが適当なりやいなや。これを今度二重等にいたします場合に、現行の補助率を一体どういうように変えていくか、そこらにいろいろ問題がある。総体としての国庫負担額に変わりがなくて、再分配の方法でございますれば、区分をすることの困難さはあると思いますが、国自身の負担から申せば、その点には大した差はないわけであります。おそらく実情に沿うようになり得るのじゃないかと思います。そういう点はなお検討を要することではないか、かように考えております。  米の問題についてお話がございましたが、生産者米価、これは米価審議会において十分審議されることです。同時に消費者米価等も審議される。その意見を尊重する。——尊重するというような答弁では困るというようなお話ですが、実はそれ以外にお答えのしようがない。問題は、やはり経済原則は立てていかなければいかぬのじゃないか。もちろん主食でありますから、生産者米価にしても消費者米価にしても、政治的考慮の払われることは当然だと思いますが、本来はやはり経済的に米価は決定される。そうしてやはり消費者米価というものが考えられる。しかる上で政治的な考慮が払われるということにならざるを得ないのではないか。今日、三十五年度の米価等については一応の予算が計上してございます。これが数量その他の変化によったら一体どうなるか。ただいまのところは食管会計の予備費で一応まかない得るのではないか、私どもかように考えておりますが、もし必要ならばそのときに改めて考える、こういうことでございます。
  59. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 臨海地域開発の促進法につきましては、大蔵大臣から大体お答えになったと思いますが、ただ一つだけ、政府提案にするかどうかというお尋ねがあったと思いますが、御承知通り、あれは議員立法でありまして、ただいま特別委員会で慎重に御審議なさっておりますから、われわれとしてはあの法案の成否をお待ちしておる次第でありまして、政府提案にするという考えはただいまのところは持っておりません。
  60. 村上勇

    ○村上国務大臣 お答えします。臨海地域開発促進法案につきましては、ただいま大蔵大臣並びに企画庁長官からお答えした通りでありまして、私どもといたしましては、この法案が成立すれば、建設省としては、円滑に、遺憾のないように推進して参りたいと思います。  それから、工業地帯開発公団につきましては、実は運輸、通産、建設三省におきましてこの公団の構想を作成いたしまして、三十五年度からその成立を見るべく努力いたしたのでありますが、伊勢湾台風等による財政支出の増大によりまして、財政的な理由から明年度以降に延ばすということにいたした次第でございます。それで、地盤等の調査ぐらいは始めてみたい、かように思っております。なお公団の性格その他につきましては、十分慎重に検討する必要があろうと思いまして、目下検討中であります。
  61. 石原幹市郎

    石原国務大臣 お答えいたします。未開発地域の開発促進に対する国庫負担率の問題でございます。大蔵大臣から先ほど概略申されたのでありますが、私も、あなたが述べられたような構想でぜひこういう考え方を推進したい。この考え方を取り入れなければ、今の地方団体の現状から申しましたならば、国土の平均的総合開発発展ははかれないと私は思っております。ただ、これはまだつぶれてしまったわけではないのでありまして、こういう考え方の補助の方法は、翌年度清算と申しますか、前年度にでき上がった事業量について翌年度考えるということになっておるのでありまして、ただいま大蔵省を初めいろいろの関係団体と折衝中でありまして、東北開発、あるいはそれに続いて九州開発、あるいは四国、北陸各地にこういう問題が起こっておるのでありまするから、この際むしろ全国的に貧弱団体のいろいろの公共事業の補助率の引き上げをはかりたい。むしろ貧弱団体こそ公共事業を伸ばしてやらなければならぬのでありますが、現実はそれがなかなか消化し切れないという状態でありますので、この問題につきましては今後とも努力を続けていくつもりで、まだつぶされ切っているわけではないのであります。
  62. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 お答えいたします。もちろん正式には、調査会が発足しまして調査会できめられると思いますが、政府といたしましては、調査の問題がきわめて公正に行なわれなければならないという観点から、中央調査所というような権威ある調査機関に一括して委託して、三百八十八万円をお願いいたしたいと考えております。旧地主団体あるいは旧地主に資金を渡しまして調査を依頼するということは全然考えておりません。
  63. 八木一郎

    ○八木(一郎)委員長代理 この際午後二時まで休憩いたします。     午後一時三十四分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  64. 小川半次

    小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  田中織之進君より議事進行について発言を求められております。この際これを許します。田中織之進君。
  65. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この際、本予算委員会の議事運営について、私ども社会党の立場から一言申し上げまして、委員長初め、特に政府側の善処を求めたいと思うのでございます。  申し上げるまでもなく、本通常国会の最大の課題は、昭和三十五年度の政府関係予算の審議であると考えるのであります。本委員会は、その立場から今日まで審議を進めて参りました。昨日で公聴会も終わったわけでありますけれども公聴会等におきましては、従来の予算委員会としては前例のないほど多数の委員の出席がありまして、非常に有益な公聴会を持つことができたのであります。しかしこの公聴会に、特に予算案に対する国民の声を公述人を通じて直接国会として聞く場合であるにもかかわりませず、関係大臣等の出席が一人も見受けられないというような実情であります。さらにこの国会のもう一つの重要課題である新安保条約に関する特別委員会が設置せられまして、本日その委員会が開会をせられておるようでございますが、安保条約、これまた国の百年の運命に関する重大な問題でありまするので、これに対しましても十分国会として審議しなければならぬことは当然でございますけれども、私どもの社会党といたしましては、少なくとも衆議院の段階において二十五年度の本予算の審議中に、安保条約に関する委員会を並行的に開きまするならば、予算委員会の開会に非常な支障を来たす。特に本委員会といたしましても外務大臣に対する質疑がほとんどの委員からなされているわけでありまするが、そういう場合にも、これから民社党の鈴木君からの質問が行なわれて、外務大臣の出席を要求しておるようでありまするが、現に安保特別委員会が並行的に開かれておる関係から、外務大臣の出席がないというような状況であります。  私は、そこで特に委員長、並びに予算担当の大蔵大臣もおられるわけでありまするから、この際申し上げておきたいことは、今後予算案が本委員会において議決するまでの間は、政府といたしましても、また政府与党といたしましても、この予算委員会の審議というものがあらゆる委員会に優先して、実質的な審議の効果を上げられるような努力をされることが、私は当然の責務であろうと思うのでございます。それにもかかわらず、ただいまの委員会委員の出席にいたしましても、きわめて蓼々であるばかりでなく、特に政府側の出席は、委員会の開会がアナウンスされてから三十分、一時間を経過いたしましても、委員部を通じて委員長の方から特に各政府委員室に連絡をしなければ関係大臣が出席しない。こういうようなことでは私、委員会の審議というものは順調に運ばないと思う。こういうような政府の不熱心な態度であることは、当然予算案が、あるいは衆参を通じて年度内に成立することが不可能だというような事態も私は起こりかねないと思うのであります。万一そういう不幸な事態になった場合には、責任はあげて政府並びに与党にあると言わざるを得ないと思うのであります。従いまして今後の委員会の審議にあたりまして、本日から安保特別委員会も開かれることと思うのでありますけれども、私ども社会党が政府並びに与党に申し上げたように、予算案の衆議院審議中は、衆議院における安保特別委員会の開会を強行するというような態度を改めない限り、私は本委員会が、われわれ委員の出席要求をしておる大臣が一人欠けても、また与党の責任において委員会の定数が満たされない場合には、われわれはこの委員会の開会に応ずるわけには参らないと思うのであります。そういうことが結果的には予算案の年度内成立が不可能だ、委員会として一応きめておるスケジュールがすでに一日ないし二日間ズレるような情勢にありますが、それがさらに三日、四日とズレていくということになれば、勢い予算案の年度内成立が不可能だという事態に逢着いたすのであります。この際その意味において、委員会は成規の委員の出席と、関係大臣並びに政府委員が必ず出席するということを実行してもらわない限り、委員会の審議にわれわれは十分協力するわけには参らないので、この際委員長並びに特に政府側に重大な警告を発して、特に関係大臣の出席、与党側の委員の出席等については委員長において善処されんことを望む次第であります。
  66. 小川半次

    小川委員長 ただいまの田中委員の御発言の件につきましては、委員長としてもっともと思う点もあり、なおまた理事会において御相談して善処すべき点もございますので、後刻理事会を開きまして御相談の上、今後の方針につきまして善処したいと思います。  質疑を続行いたします。鈴木一君。
  67. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 文部大臣が見えておりませんので、それじゃ運輸大臣から御質問申し上げたいと思います。  国鉄の経営の問題でございますが、私から申し上げるまでもなく、国鉄は、国の動脈ともいわれ、陸上輸送の根幹をなしております。最近は、自動車あるいはまた航空機の進出が著しく、その分野が圧迫されつつはありますけれども、依然としてその役割は大なるものがあると思います。昭和三十二年に、国鉄では、輸送力増大のために国鉄整備五カ年計画を決定、本年度はその第四年目に当たるのでありますが、その計画遂行はどういうふうになっておるのか、運輸大臣にお伺いしたいと思います。  五カ年計画の進捗状況を検討してみますと、幹線輸送並びに電化、ディーゼル化、車両の増加はまだ五〇%までに達しておりません。全体としては六七%より進んでいないように見受けられます。しかも、この国鉄の経営の内容について検討いたしてみますと、事業収入については、五カ年計画の当初計画に比較すれば収入減は大きいが、修正計画に比較すればやや計画通りに収入が入っております。三十五年度では、計画を上回る収入が予定されております。しかしながら、一方支出の面では、経常費、利子等の支出が非常に多く、設備資金財源の自己資金のワクは、このために狭まっております。当初五カ年計画では、昭和三十二年の一三%の運賃値上げにより不足財源の充足を行ない、将来収益の期待可能なものへの投資は借入金をもってまかなうこととし、借入金は昭和三十二年度以降毎年三百十五億にとどめることとし、計画が立てられておりますが、これに反し、借入金はその予定を上回り、年々増大しております。すなわち、借入金の状況を見ますと、昭和三十二年で二百五十五億、三十三年で四百六十億、三十四年で六百十億、三十五年では実に八百二十二億というふうに激増をしておるわけでございまして、外部資金への依存度が高まり、元利支払いはふえる一方であり、換言すれば、国鉄の資金勘定は、一にかかって借入金がどれだけできるかということによって決定されるようになっております。運輸大臣は、国鉄経営の監督の立場から、五カ年計画遂行にあたってその見通しはどうか、問題点はどこにあるのか、そういう点について詳しくお伺いしたいと思います。
  68. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 ただいま鈴木委員の御指摘のように、国鉄は、経営の面において非常な重大な段階に来ておりまして、ことに五カ年計画について御指摘のありましたように、五カ年計画は、初めの計画よりもおくれておるのであります。昭和三十五年度の予算を含めまして、四カ年の実施額は、当初計画に対しまして、六百九十五億円だけが不足する結果となっておりまして、最終年度である三十六年度の予算においても、大幅な財政資金の投入を行なわなければならない段階でありまして、五カ年計画の達成は半年ないし一年おくれざるを得ざる段階に来ておるのであります。しかしながら、今御指摘になりましたように、五カ年計画は昭和三十二年四月の運賃を値上げいたしますときに、わが国の経済発展、国民生活の向上のため、最低限の老朽施設の取りかえなり、輸送力の増強なり、近代化というものを約束し、それに基づきまして策定したものでありますから、これは経営の合理化によって極力増収と経費の節減に努めまして、資金の捻出をするように国鉄当局を督励しておるのでありますが、財政資金の計画等につきましても、最終年度であります三十六年度の末までに、できるだけおくれを取り戻すように実はやっておるのであります。  なお、御指摘になりましたように非常な借金を背負っておって、借入金の利子は、御指摘の通り年々増大いたしまして、三十三年度は、六年前の二十七年度に比しまして実に三倍半に及んでおるのであります。また、そのほかに年々百億円の増加する人件費等をかかえておりますので、国鉄の経営が悪化しておるような状態であります。従って、こういう場合でありますけれども、やはり公共性から、新線建設等の問題が答申され、これをまた実行せざるを得ない段階になっておりますので、新線建設等につきましては、実は利子の相当額の補給を国で支出したいということを考えて、その点について折衝しておるような状態であります。
  69. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 公共企業といえども、国鉄もやはり経営体でございます。しかも、あくまでも合理的な原価主義に基づいた経営をやっていく、これが建前であろうと思います。そうしますと、どうしてもここに自己資金のワクをふやさなければ、とうてい経営を維持し、国鉄法の第一条にあるような精神は貫けないだろうと思う。どうやって国鉄の自己資本を造成していくか、こういうことに対して大臣の御見解を伺いたいと思います。
  70. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 御指摘のように、国鉄がどうしても公共企業体としてやる以上は、やはり独立採算的な立場をとらなければならない。鈴木委員御存じのように、国鉄は、公共割引という点から、約五百億の公共割引を国家の要請によってなされておるのでありますが、一方に運賃の問題が国民の生活に及ぼす影響等が重大でありますし、いろいろな諸般の情勢から商業べースに基づく運賃的体系はなかなか実現し得ないというような状態に立ち至っておるのでありますから、やはりできるだけ経営を合理化し、経費を節減し、そうしてやはり黒字になるような線についてこれを強化していく。こういうことでやっていく以外はないのでありますけれども御存じのように先般の延期しております暫定割引の例を見ましても、暫定割引をもとの姿に直すということでも、国会その他の方面においてもいろいろと議論がありまして、非常に困難を来たしておるような状況でありますので、一体国鉄というものをどうするか、公共企業体として、あるいは独立採算としていくという場合において、運賃その他を一体ノーマルな商業べースに乗せ得るような客観的態勢にあるかどうかというような問題、また公共としての一つの性格からいっても、ある程度まで犠牲を忍ばなければならぬとすれば、国がこれに対してどういう考え方をもって扱うかというような基本的な問題にぶつかっておりますので、経済企画庁長官を中心としまして、関係大臣等において、国鉄の根本的な問題について、閣内において協議しつつあるのでありまして、どうしてもこれは国が取り上げて、国鉄という問題をどう持っていくかということを追及して、その実態を中心として、やはりここに国鉄の経営あるいは公共企業体としての態勢を整える必要があるという段階に追い込まれておる次第であります。この点について、国会方面においてもいろいろと御協力をお願い申し上げたいと思うのであります。
  71. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 大臣の御苦心のほどはわかりますけれども、国の方で国鉄のあり方について一つ取り上げてもらいたい、こういうことでございましたが、これは国鉄でありますから、当然国が取り上げるのがあたりまえで、今ごろになって、まだ国鉄運営の根本的な態度が究明されてないということは大きな問題だろうと私は思う。その間、ますます借入金は多くなり、利息はふえていく。結局、とどのつまりは運賃を値上げして収支のバランスをとる以外にないということになるだろうと思います。私が、しろうとでございますが、国鉄の経営を拝見して、やはりどうしても自己資本が少ないと思うのです。現在までどのくらい国が国鉄法に基づいて出資されておるのか。また大臣の考えでは、もうどのくらいあればこの五カ年計画を円満に遂行できるのか、その辺の事情を一つお聞かせ願いたいと思います。
  72. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 その点監督局長から説明いたさせます。
  73. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 国鉄が昭和二十四年、国家組織からコーポレーションの組織に移ったときに、現有財産は現物出資になっております。金銭的な出資は八十九億ということであります。
  74. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 現物出資じゃなく、いわゆる現金出資と申しますか、そういうものがもうどのくらいあれば、当分国鉄の経営は持ちこたえられるのか、国鉄の経営はよくなるのか、そういう点をお伺いしたいのです。
  75. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 その点ちょっと簡単に御説明いたしましたが、詳しく申し上げますと、当時帝国特別会計というのがございまして、特別会計そのものがコーポレーションになったのでございます。その際、政府の方から新しく国鉄に出資したのは八十九億、金銭的なものは八十九億という意味でございます。
  76. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 もうどのくらい政府が現金で出資したらば国鉄の経営はよくなるか、そういうことをお伺いしたいのです。大臣答弁して下さい。
  77. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 今の国鉄の段階で、一体どれだけ資金を出したらよくなるかというお話でありますが、さいぜん申し上げますような、大きな、たとえば新線建設を今度やるのにつきましても、四十億近くの赤字になるというものでありますから、そういう赤字になるものは一つやめたらいいじゃないかという議論もありまするけれども、これはやはり地方の開発その他経済後進地域の開発等の問題がありまして、やはりやらなければならない。鈴木さんのおっしゃいます、現在どのくらい金を投入したら合理的にいくかという問題は、非常な問題でありまして、今、金額をどのくらい出したら国鉄がうまくいくかというようなことについては、ちょっと答弁しかねると思いますが、私の考えといたしましては、新線建設等については、できるだけ利子補給というような問題も、鉄道審議会等の答申もありますから、これも一つ政府の方でのみ込んでもらいたいということで、いろいろ折衝もしておるような段階であります。また国鉄の財源は、御存じのように、一番大事なことは運賃の問題でありますが、運賃の問題がやはり収入の一番大きな根源でありまするけれども、この運賃を、フランスやあるいはイギリスのように、国が一方に補助し、あるいは商業べースによってやらせるというような態勢がなかなか作れなくて、五百億近くも公共割引を、普通の商業べースからいえばしなければならないというところに国鉄の経営のむずかしさがあるのでありますので、そういう問題を、やはり根本的に一つ取り組みたいと思いまして、私、運輸大臣になりましてから、さいぜん申し上げましたように経済企画庁長官等も交えまして検討中であります。
  78. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 そういうふうな根本問題がはっきりしていないから対策も立たないのだろうと思いますが、検討中なものをはっきりしたことを言えといっても、これは無理だと思いますから、早急に善処を要望いたします。  それで次に進みます。国鉄は、私から申し上げるまでもなく、公共企業体として独立採算制を強く要望されておるわけであります。しかしながらその反面、先ほど大臣も言われましたように、事業の国家的性格からいたしまして、採算無視の赤字線の営業、新線建設、運賃等の公共義務負担等、公共的な義務が非常に多く課せられておるわけであります。外部資金依存をなるべく軽くしまして、国鉄経営発展のために国として十分な資金的な配慮が必要と思うのであります。その具体的な対策の一つといたしまして、私から私見を申し上げてみたいと思います。  通行税は大体現在二十億くらいあると思いますが、すでにこの税金は存在の意義を失っておると私は思っております。これを全廃して国鉄資金へ繰り入れるということも一つの方法ではなかろうかと思いますが、こういうことについて大臣は御検討になったことがございますか。あるいはそういう希望を持っておっても、大蔵大臣がうんと言わないのでできなかったのか、そういう点一つ聞かせてもらいたいと思います。
  79. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 通行税をやめて国鉄の方へ繰り入れるという案は私も賛成でありますけれども、国家財政その他等の関係がありまして、運輸省といたしましては、大蔵当局ともその問題について協議をいたしておりまして、今この国会までに解決する段階には至っておりませんが、その問題については、鈴木さんのおっしゃったような点でいけば国鉄にとって助かると思うのであります。
  80. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 政府出資のことはこれ以上触れません。  その次に、新線建設の負担が一番大きいと思います。国鉄の経営の中では。これについて新線建設特別会計というふうなものを考えまして、一応分離して考える。これに対して利子補給をするというようなことが国鉄の現状からして望ましいことではないかというふうに考えられます。このことは予算編成の事務折衝の段階では考えられたそうでありますが、大蔵省がうんと言わなかったために流れてしまったというふうに聞いております。しかるに、今回の予算を見ますと、造船には利子補給を復活しておるわけでありますが、造船にするくらいならば国鉄の方に利子補給するのが当を得たものではないか、国鉄の方が優先順位ではないか、こういうふうにも考えられます。これは一体どういうわけで立ち消えになったのか、あるいは大蔵大臣は国鉄一家の出身でありますから、その方に対しては遠慮されたのか、そういう点を一つ、今後の国鉄の運営を検討するために必要でございますので、事情をお聞かせ願いたいのであります。
  81. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 国鉄の経営について根本的にいろいろの問題があると思います。ただいまおあげになりますように新線建設、これはなかなか工事も進捗しないし、新線が建設されてもそれが利益を上げるまでには相当の年数がかかる。そういうものを取り上げてこれに補助ができないかというお話でございますが、国鉄はもうからない線ばかりではございません。相当もうかっているところもあるわけです。非常にもうかっているところの利益で、もうからない赤字線をまかなっている。その利益で新線建設を遂行していくということが望ましいことであります。一面に公共割引の話がただいまも出ております。運賃なども、定期にしても非常に、ときには実費を割っているとか、あるいは貨物運賃等についても特別割引等が要求されているとか、こういうものについて合算すれば、それはときに五百億をこすかもわからない。そういう面もありますが、問題はやはり公共企業体として経営いたしております限り、そこで採算をとっていくといいますか、収支を償うようにしないと、国でこの赤字を補てんするということは一体何か。国はやはり税その他の歳入でまかなうわけです。そういたしますとそれこそ同じように国民の負担なんです。国民の負担という点を考えますれば、やはり利用者が適正な運賃、料金を払っていくということが望ましいのではないか、かように考えます。  ところで基本的な問題で、ただいままでの投下資本に対してどのくらいの利益が上がっているかということが、根本の問題でございましょう。おそらく二%程度ではないかと思っております。そういたしますと、あらゆる事業の面から見まして経営の合理化その他をはかり、適正利潤というものを上げていくことが必要だ。その四%ないし五%程度のものは利益が上がるようにしていく。そうしてその上がったもので必要なる改良をしたり、あるいは新線建設をしたり、あるいは従業員の待遇改善をしたり、また客貨のサービスをよくする、そういうところに力を入れていく。将来の客貨の数量の増加というふうなことが考えられますので、それぞれ長期計画を立てて、そしてその長期計画に対してはときに借入金等もいたしますが、それは長期においては採算がとれていく、こういうような考え方で運営が行なわれておる、かように私考えております。
  82. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 時間がございませんので国鉄の問題はこの程度にしますが、一方には公共性というものが強く要求されている。片一方にはまた採算制というものも強く要求されている。この二つの矛盾した要素をどこで調和するかということが、国鉄運営のために非常に大きな問題だと思いますが、もう少し国鉄経営のあり方に対して徹底的なメスを入れて、国民が納得するような形において成案を作られて、実行されんことを強く要望いたしまして、国鉄関係の方はこれで終わります。  次に文部大臣にお伺いします。私から申し上げるまでもなく、最近世界の顕著な動向の一つといたしましては、イデオロギーや政治経済体制の対立の中にも共通性を探し合い、話し合いにより共存の道へ進もうというふうなことが、現在の世界の顕著な動向の一つであろう、こういうふうに考えます。しかもこの共存のための話し合いは、格式ばった公的な会談ではなくて、一国の代表が半ば公的に半ば私的といったような形で会談し、ひざを交え、相当腹蔵なく意見の交換をして、大きな成果を上げておるということでございます。これは人類の平和のためにまことに喜ばしい現象だというふうに私は考えております。  これに引きかえてわが国の政治の現状は、外交とかその他の重要な問題になりますと、意見がことごとく対立するばかりではなくて、その間に何らの話し合いの余地も残されていない。いたずらに対立抗争に明け暮れしておるというふうなありさまは、政治に参与する一人として、また国民の一人として、まことに残念なことだというふうに私たちは思っております。ことにこのことが一昨年実施されました勤評問題を契機といたしまして、国家百年の計ともいうべき重大な国策である教育界まで波及いたしまして、教育の中立性の保持さえ危ぶまれるような状態になりましたことは、われわれとしては心から残念に思っております。かく相なった原因につきましては、政府にもあるいはまた日教組側にもそれぞれ言い分があるだろうと思います。しかしながら私は今このよって来たった原因については、ここで触れないつもりでございます。ただ私の念願することは、これから先一日も早くこの教育界の混乱をおさめ、すべての教育関係者が安んじて、しかも積極的に創意と工夫をこらしてその職場に精を出し得るというような環境を作りたい、こういうことでございます。  聞くところによりますと、文部大臣は先般記者会見をされまして、勤評問題解決のために日教組と話し合いをする、そういう用意があるという見解を発表されたようでございますが、これは全く時宜を得たことでありまして、私は心からその文相の勇断に対して敬意を表するものでございます。どうかこの席からはっきり文相の所信を国民に伝えていただきたい。
  83. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 お話のように、当節はいろいろのむずかしい問題も、胸襟を開いて話し合うことによってきめていくということがはやりのようであります。話し合いできめるということは、まさに今日の合言葉のようになっておると私は思う。しかしそれは必すしも今日でなく、本来人間と人間のことであるから、話し合いによってきめるということが本筋であると私は考えております。しかし今のお話の、末端における日教組と私は勤評問題について話し合いをすると言うたことはないのであります。新聞は私の言わないことを書いたわけであります。おそらくそれも今日の話し合いの合言葉に刺激されてのことであろうと思います。しかし私は就任以来だれにでも会うという方針をとって、それを実行いたしております。従って日教組の諸君が、今お話にもありましたが、そう大ぜいでしかつめらしい格好で来るのでなしに、ほんとうに話し合うというような気持で来る場合には、むろん私は会うつもりでおります。しかし交渉団体のような格好をしてむずかしいことを言われたのでは、私もそれにはむろん応じていくわけに参らぬ。そういう場合は言ってもむだであると思う。しかし私は教育界の実情は、現在の状況では満足でないという考えを持っておりますので、できるだけその正常な姿に返していきたい。真剣に熱意を持って、寝ても起きてもそれを考えておるわけであります。
  84. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 どうも日本新聞は信用ならないことになるようです。  先般日教組の中央委員会におきましても、従来の絶対反対というような方針に、これは私の見解でございますが、反省をしたようにも見受けられるわけであります。そして何らかの話し合いの糸口を求めておる、こういうような状態でありますので、おそらく今文相が希望されたような形で、しかつめらしいのではなくて、ゆっくり人と人とがひざを突き合わせて話し合ってみようというような形でくるだろうと思いますから、どうか一つじっくり話し合いをしてもらいたい、こういうふうに考えます。  それから文相にお伺いしたいことは、現在行なわれておる勤評というふうなものは、これでいいのだというお考えなのか、やはりもう少しこれは考えてみる必要があるというふうなことなのか、その辺の見解もお漏らし願いたいと思います。
  85. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 大体今の勤評でおおむね各府県とも行なわれておるのでありますが、しかし何事によらず完璧なものというのはあるものじゃない。私は就任以来、文部省から海外に行く場合には、特に勤評の問題も、外国で行なわれている実態をよく調査し、その資料も持ってくるように命令して、その資料もいろいろな方面から多分に受けました。それとわが国の勤評のあり方とも比べてみましたときに、いろいろさまざまの型がありまするけれども、わが国のよりもなお複雑なものがあります。ですが、私は就任当初において申しましたように、悪い、これはいけないということがはっきりし、それで確信を持った場合には、これを改めるようにするということを申しましたと同じように、悪いということがはっきりすれば、それは何でも悪いことを改めていかなければならぬのは当然であると思いますが、現在のところは、今直ちにこれをどう改めるという考えは持っておらないわけであります。
  86. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 そうしますと、話し合いをしてみても、全然勤評問題についての解決の余地というふうなものはないような感じを受けるわけであります。文相の認識が現行のもので別に悪いと思わないというようなことであれば、会ってみても話し合いの余地というようなものは出てこないような感じがするわけであります。これは私の感じでありますから、もし間違っておったならばお教え願いたいと思うわけでありますが、日本の勤評が取り上げられた動機は、勤評そのものとして、公務員でありまた同時に教育専門職である教員の勤評はどういう形であるべきかというふうなことがいろいろと多くの衆知を集めて議論されて、しかもまた勤評を受ける教員側の方も十分それに参画して、これでいいのだということでできたのではなくて、何か突如として持ち出されてきた。愛媛県の場合でも地方財政の赤字を解消する手段として出され、また日教組の一部の人だと思いますけれども、かなり指摘されているように政治的な偏向も私はあったと思います。そういうようなものの対策として出されてきたのであって、純粋な勤評という形で問題が取り上げられたのじゃないような感じがするわけであります。ですから、私は別に純粋な勤評そのものを否定するものじゃございません。どういうような勤評がいいかということを、もう少し時間をかけて、できたならば内閣にでも勤評問題の審議会でも設けて、相手方である勤評を受ける教員の代表も入れて、一年でも二年でも時間をかけて審議してみる。そうしてその結果に対してはお互いに意見がまとまるならば、責任を持ってこれを順奉していく、こういうふうな形に勤評をもう一回——面子もあってなかなかもとへ戻すということはできないかもしれませんが、一つそこはこの通り紛争が起きておるわけでありますから、もう一歩下がって静かにみんなで考えてみる、こういうふうにお取り計らい願えないものかというように考えるわけでありますが、文相の御見解を伺いたいと思います。
  87. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 あなたの御質問の態度やお言葉で、私も質問応答ということよりは、話し合いをするというような気持で話をしたいと思うのです。まことに勤評ということは、やはり受ける方はいやなことであり、これを勤評する側になってみてもいやな面もあろうと思う。しかしいかなる場所においても、昔からどこの国でも勤評はやっておることでありますし、昔は学校においては校長先生はえんま帳にそれぞれ記入してやったこともあり、昔は視学というようなものもある。そういうようなものが一たんなくなったところで、勤評はどういう動機からか、とにかくお話のように、愛媛県から赤字を埋めるために始まったというようなことでありますし、もしこれが文教の問題としてのみ研究されておるならば、もっとこの問題は早くから実施しておるのではないかと私は思うのでありますが、残念にもこれが政争の具に供されたようなうらみがあるので、今日のような状態になったのではないかと私は考える。しかし何事も完璧なものはないのでありますから、私はこれまででもどういう勤評がいいのか、日教組の方にも言うた。どういう案があるのか、出してみなさい、また多くの人々にもこの問題を話し、最近にも校長先生や学校の教員にいろいろな話を聞きました。する方の側もされる方の側も困るという人々のあることも知っております。さればといって人事の管理の上において、やはりこれは必要なことである。今ほかに道はないのである。今行なわれている勤評を直ちに変えるという考えはないのでありまするが、すばらしい妙案でもできたらまた考えてみたいと思います。
  88. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 くどいようでございますが、今の勤評は文相はすぐ変える必要はないというふうにおっしゃっておりまするが、しかし何といってもこれだけ大きなトラブルがあるわけでありますから、できたら審議会のようなものを設けて、第三者を入れ、また当事者も入って、時間をかけて勤評問題を結論を急がず十分討議してみる。そういうふうなお気持はないか、もう一回お伺いしたいと思います。
  89. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 やはり長い間これについていまわしい闘争があったことでありますから、よく一つ研究をいたしたいと思います。
  90. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 勤評の問題はそれくらいにいたします。  その次に、これも私新聞記事から拾ったのでございますから、あるいは間違いかもしれませんが、十六日の記者会見において、専従制限の問題についても意見を述べられたように書いてあります。現在岐阜県ではすでに実施され、愛知においても準備中でありますし、山梨、福井、秋田あたりでも、実施のアドバルーンが上がっておるわけであります。また東京、愛媛でも行政指導の形で行なわれておるというふうな話を聞いておりますが、この問題はこのまま放置すれば、また第二の勤評問題に発展するおそれもあると思うのです。これに対して、新聞発表によりますと、文相は慎重な態度をとるように各県に要望し、また自民党にも先ばしらないよう要望するというふうなことが書いてありますが、私はこれは非常に賢明な策だと思います。文相はILO条約批准された場合、在籍専従制を検討したい。そうして在籍者の専従制限の禁止を考えておられるように、特に毎日新聞の記事を見ますとそういうことが伺われるわけでありますが、文相のお気持はどうですか。
  91. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 専従の問題についても私の言ったことと違うことが新聞に出ております。岐阜県におけるようなことはむだなことだといったような、そういう言葉は用いておりません。この問題についてはたびたび文教委員会においてお答えした通りでありまして、私の方から特別にこれをやれ、あるいはやるな、そういったような指導はいたしておりません。しかしこれは今各省間にいろいろ意見が違うのであります。私としては八十七号条約批准するにおいては、やはりその精神が何ら法律にひっかかるところなく、渋滞なくすらすら貫かれるようにするのがほんとうではないか、かように考えておるのであります。
  92. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 貫かれた場合、在籍者の専従問題はどういうふうなことになりますか、具体的に一つお聞かせ願いたいと思います。
  93. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私は在籍者の専従というようなものは、これが貫かれる場合は双互不介入の原則から見て、それはなくなるのがほんとうじゃないか、これは私きりの考えです。これからいろいろ調整していかなければなりませんが、私の考えとしてはそういう考えであります。
  94. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 そうしますと専従する場合は教員をやめてやる、こういうことになりますね。
  95. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 大体そういうことになります。
  96. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 もう一つお伺いしたいと思いますが、その際一応教員をやめて専従します、それでまた今度専従をやめて教員に戻りたいというような場合は、復職というものを認めるのか認めないのか、やめてしまったらもうそれきりだ、こういうことなのか、その辺もお聞かせ願いたいと思います。
  97. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 まだそこまで至っておらないので、その場合のことはまだよく考えておりませんが、これまた考えておくべき問題だと思います。
  98. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 それでは考慮の余地はあるというふうに解釈していいのですね。その在籍者がやめて専従をやった、また専従をやめて戻りたいという場合は考慮の余地があるのかどうか。
  99. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 これは研究いたしますが、事実上むずかしいのではないかと考えられます。
  100. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 もしそうだとすると、教員の中から組合の専従を希望するという者はだんだんなくなると思いますが、これは想定でございますから。そうしますと、一部部外者が組合へ入ってきて組合の幹部になっていくというふうな可能性も強くなってくる。その場合でもいい悪いは人によってもいろいろあると思いまするが、そうなってくると組合員の意思というふうなものが、組合に反映されないというふうな組合の運営になる可能性も私一方にはあるだろうと思うのです。確かに文相の考えられておることはすっきりしておるかもしれません。しかしまた実情に必ずしもそれが合っているかどうかということになると、かなりこれは考える余地も私あると思うのですが、その点について決してあげ足をとるとかそういうことではなく伺っておるわけです。
  101. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 ただいまのお話、いろいろな方面から組合役員が入ってくる、教壇に立った経験者が少なくなっていくというような場合には、組合の役員として事情に精通した者の必要というようなことも考えられるので、この点はよく検討いたします。
  102. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 非常にこの点は私大事な点だと思いますので、どうか一つ慎重に各方面の意見なり現実の姿も十分尊重されて、慎重な配慮を願いたい、こういうように希望しておきます。なおこの問題については、時間もございませんので、別の機会にお伺いしたいと思います。  最後に私、文相に要望いたしたいと思いますが、学校教育、特に高校、中学、小学校の教育は、単に一人の教師と一人の生徒というふうなあり方ではだめであって、やはり校長を中心とした教師陣が、それぞれの長所、短所というふうなものを補い合って、融和した一団となって全生徒の中に溶け込み、学校の中においても、あるいはまた校外におきましても生徒を指導するとともに、管理者たる教育委員会とも円満な関係に置かれて、初めて真の教育の目的が達せられるだろう、こういうふうに私考えます。教師の間に、あるいはまた教師と校長の間に、さらにまた教師と管理者の間にトラブルがあったのでは、よき学校教育というものは私不可能だろうと思うのでございます。勤評はそういうふうな意味で教育界の大きなネックであったと私思います。どうか一つ日教組の代表と何回でもお話し合いになり、腹蔵なく意見を交換されて、勤評問題が解決されて、教育界が平和になって政争の波が立たないような御配慮を、担当大臣として特にせられんことを強く要望いたします。
  103. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 お話のように、およそ教育に従事いたしておる者は、校長といわず、先生といわず、あるいはPTAの関係者といわず、その社会のいろいろの教育関係の人々すべて融和一体となって、教育の実を上げていかなければならぬということに対しては、まさに同感でございます。その方向に向かって指導して参りたいと思います。
  104. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 肥料問題について通産大臣農林大臣お尋ねいたします。私から申し上げるまでもなく、現在の硫安業界は輸出赤字六十億をかかえ、この赤字を硫安輸出会社に対する売掛金として処理しておりますものの、さらに在庫の増大等によりまして、すでに無配会社も数社に上っておるわけでございます。これに加え、国際競争はますます激化の傾向にあり、国内の五十四ドル四十五セントの平均価格ではとても国際競争には太刀打ちできないというような段階に今きておると思います。従って第二次合理化計画に見られる五年後の三十九年度にはトン当たり四十七ドル五十一セントまで下げるという政府の合理化政策では、とても国際競争に太刀打ちできないのみならず、赤字はますますふえる一方ではないか、こういうふうに考えられるわけであります。このような業界の現状に対しまして、メーカー側からは輸出の赤字がいよいよ増大するような悪循環をやめるために、国内価格の引き上げをはかるとともに、激化する国際競争に太刀打ちするためには現在業界だけの合理化ではとうていどうにもならないから、西欧並みの二重価格制を採用し、国家が補助金を出すべきだというふうな意見も、業界の全部とは言いませんけれども一部からあるようでございます。また一方需要者側は低コスト・メーカーに集中生産させるとともに、一方におきましては製鉄メーカー、あるいは石油化学のメーカー、こういうところに新しく廃ガスを利用して硫安を作らせて、そして日本の硫安工業の質的な変化をはかることによって低コスト生産をはかるべきである。そのためには現在の肥料二法を廃止すべきである、こういうふうな意見も消費者の方から強く出ておるわけでございます。これらのことは三月に開催される肥料審議会で大いに議論されることだろうと思いますけれども、御承知のように肥料審議会はそれぞれの利益と立場に縛られた方々の審議会でもありますから、なかなかここでは名案というふうなものが出てこないのじゃないか、こういうように私は考えております。  昭和二十九年の今の肥料二法案が国会に上程されましたときの事情は、私から申し上げるまでもなく当時東南アジア諸国の市場の国際競争において、国内メーカーの価格では全然太刀打ちができない安い価格で外国が落札した、わが国のメーカーも国内価格をはるかに割ってこれと対抗した、いわゆる出血輸出をしておったわけであります。これが国内の消費者たる農民を刺激し、肥料問題がやかましく取り上げられ、その結果二法の制定ということになったと思います。これにより向こう五カ年間十五ドルのコストを引き下げて国際価格並みにするとともに、赤字は国内消費者に転嫁しないということで輸出会社が作られたのであります。私はこの二法の審議に際しまして、この段階ではかかる中途半端な官僚統制をやることは、かえってメーカーの自主的な合理化意欲を阻害し、コストの高いメーカーを温存する、真の体質改善にはならない、後日必ず悔いを残すのではないか、こういうふうな考えからいろいろと法案の審議をしたわけでございますが、私としてはあの法案を流したい、こういうことで参議院で審議しておったわけでございますが、会期の大幅な延長のために一部修正で通ってしまったわけであります。はたせるかな第一次合理化計画の結果は、生産数量は確かに予定を上回ったのでありますが、コストは当初の目的の十五ドルダウンは十ドル程度にしか下がらない、しかもこれに要した資金は計画が三百七十九億円に対しまして六百十七億円も使っておるわけであります。このうち計画では二百二十七億の国家資金を出すということであったわけでありますが、実績はわずかに三十五億しか出てない。また輸出会社の赤字は設立当時は若干増すけれども、合理化が進むにつれてだんだん減りまして、合理化計画が終わる五年後には大体なくなる、こういうふうな御説明があったわけでありますが、昨年はゼロになるどころか六十五億にもなっておる、こういうふうな状態でございます。そこで今度は第二次五カ年計画によって四十七ドル程度に下げるということでございますが、これもまことに甘い考えじゃないかというふうに私は考えております。計画を見ますとあくまでも既存工業の設立温存が中心に考えられ、これに一番手っとり早い石油のガス化をやらせるということに重点が置かれておるようであります。そして新鋭メーカーの取り上げはほとんど考えられてない、こういうふうな状態でございます。これでは結局第一次合理化計画の二の舞をするのじゃないか、こういうふうに私は考えます。現在欧米諸国の硫安生産事情を見ますと、燃料の流体化が極度に進んでおりまして、八〇%から九〇%に達しておると言われております。そしてまた製鉄、石油化学メーカーがあるいはまた安い天然ガスを使用して安い硫安を製造している。これに比べて日本の場合は現在その流体化がわずか三〇%程度でありまして、第二次五カ年計画が終わる三十八年度にやっと八〇%くらいになっていく。こういうわけでありますから、おそらく日進月歩する化学工業のことでございますから、さらに欧米の方ももっともっと新しい方向に進むだろう、こういうふうに考えるわけであります。こういうふうに考えますと、この辺で政府はほんとうに腹をきめてこの硫安工業界の体質改善を抜本的に考える時期が来てやしないかというふうに私は考えておるわけでございますが、これに対する担当大臣の御所見を伺いたいと思います。
  105. 池田勇人

    ○池田国務大臣 硫安業界の状態はただいまお話の通りでございます。七、八年前に比べますと十ドル程度の値下がりがいたしております。また今後三十八年を期して流体化原料によりますものを八十数%と見ておりますが、これに対しまして今の状況から四十七ドル程度で、最近の海外における入札は、昨年が四十四ドルあるいは四十二ドルという程度でありますので、よほど根本的な対策を講じなければならぬと考えております。通産省におきまして考慮しておると同時に、硫安工業界におきましてもその根本的対策につきまして今検討を加えておる次第でございます。
  106. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま通産大臣から申し上げた通りの見解を持っております。
  107. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 具体的にお伺いしたいと思いますが、消費者団体の方が要望しております製鉄メーカーや石油化学のメーカーに硫安を製造させる御意思があるのかないのか、そういう点を一つお聞かせ願いたいと思うのです。
  108. 池田勇人

    ○池田国務大臣 ただいまのところまだ石油の方からのガスは大したことはございませんが、今後相当起こってくると思います。製鉄所の分につきましては八幡、富士—これは広畑でございます、日本鋼管、この三社につきましては現在の肥料会社と提携いたしまして、製鉄所の廃ガスの利用につきましてやらせておるのであります。今後増設せられまする鉄鋼によるガスにつきましては、なるべく既存の業者と提携させて、そしてコストの引き下げをやっていきたい考えであります。
  109. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 既存の業者と製鉄業者とタイアップしまして、廃ガスを利用させるということも、私一つ考え方だと思います。また現にそれをやっているところもあるわけでありますが、そのコストを見ますと、製鉄会社そのものがやっているものよりも高いわけなんですね。これではやはり先ほど申し上げたような国際競争に勝ち得る肥料は作られないと思いますし、また、日本の農民に対して安い肥料を供給するというふうな国家的使命も果たせないと思うので、やはりいろいろいきさつも摩擦もあるかもしれませんけれども、製鉄業者に対してこの際硫安を作らせるというふうに踏み切るのがほんとうじゃないか。将来必ずそういうふうになるのじゃないかと思いますが、どうせやるなら今のうちに踏み切った方がいいというふうに私は考えておるわけでございますが、その点いかがですか。
  110. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御説は承っておりまするが、従来肥料を増産して、そうしてまた合理化をして、そうしてまた今後も合理化をしてやっていこうというものを、今すぐ製鉄の方から出るからやめてしまえということも、政治としていかがなものかと考えております。
  111. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 今のような形でのろのろ合理化をやっていったのでは、とうていほんとうの意味の体質改善ということはできないと私は思います。この席で大臣からはっきりした答弁が得られないかもしれませんが、どうか肥料行政を担当する担当大臣として、その問題は一つ真剣に考えてもらいたい、こういうことを要望しておきます。  それから輸出会社の赤字は、先ほど申し上げましたように現在六十五億ということになっておりますが、これをどういうふうにして処理するつもりなのか。第二次合理化計画でこれを解消するというふうなことも、これはおそらく不可能で、今のような合理化で進むならば、やはり年々この赤字は累増するというふうに私は考えるわけであります。メーカーは法律に基づいて、こういうふうな輸出会社を作って輸出しておるわけであるから、むしろその赤字は当然政府が負担するのがあたりまえじゃないか、こういったような意見もあるようでありますが、どういうふうにお考えになりますか、これもお伺いしたいと思います。あるいはまた国内のマル公を今後上げて、そのマル公を上げることによってこの赤字をなくしていくつもりなのか、政府のこの赤字に対する対策というものをお伺いしたいと思います。
  112. 池田勇人

    ○池田国務大臣 輸出会社における赤字の六十数億というものもよく存じております。しかしこれをなくするために国内の消費者価格を上げるという考え方は毛頭ございません。やはり合理化によりまして徐々にこれを減らしていこうというのがわれわれの考え方でございます。
  113. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 合理化法のねらいの一つは、今までは硫安メーカーのコストというものはつかめない。そこで法律に基づいてこれを調査するんだということにもあったと思うのですが、はたしてメーカーのコストを政府の方で適正に、正確に把握しているかどうかということに対しは、私たちも相当疑問を持っておるわけでございます。メーカーの方から出してきたコストをそのままただうのみにしていはしないかというような感じもするわけでございますが、一体どのくらいの人員でこのコストの調査をやっておられるのか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  114. 池田勇人

    ○池田国務大臣 従来各社から出てきておりまする計算を一応通産省で見ておるのでございまして、お話の通りに償却の問題とか金利の問題、多種多様でございますので、ただいまごくトップ・レベルの専門家に調査を依頼いたしまして、また調査方法等を今検討いたしておる次第でございます。統一的にほんとうの原価計算をしてみたいというので、今進んでおります。
  115. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 この点は特に私、重要な問題だと思いますので、コストのとり方によっては赤字がもっと少なくなるということにもなるでしょうし、また国内価格にも相当の影響もあるだろうと思いますから、この方面に対しては大いに一つ力を入れて、単にメーカーいじめというようなことでなしに、正しい意味でメーカーを育成し、また日本の肥料工業の体質を改善するというような国家的見地から、このメーカーのコストの調査に対しては最善の努力をしていただきたい、こういうふうに要望いたします。  それから、昨年から操短に入っているわけでありますが、一律に八%の操短をやっているようでありますが、これによってコストは一俵当り三十円くらい上がるだろうというふうに言われております。これは中共関係の輸出がとだえたためにやむを得なかった措置であり、たしか肥料審議会でそういうふうなことを申し合わせした、その線に沿うてやられたのだろうと思いますが、こういうふうに一律に何でもかんでも八%操短するというふうなやり方はまずいのであって、むしろ合理化のおくれている、あるいはまた合理化のできない、しにくい、高いコストの工場を操短して、合理化の進んだそういうところは操短しないというふうに指導するのがほんとうじゃないかと思う。やはり業者の代表も入って審議しているこの審議会では、こういうふうな画一的なものは出てくるわけでありますが、そうじゃなくて、やはりもっと高い立場に立って合理化のおくれているところを操短し、進んでいるものはそのまま作らしていく、こういうふうに指導するのがほんとうじゃなかったか、こういうふうに私は思うわけでありますが、その点はいかがですか。
  116. 池田勇人

    ○池田国務大臣 肥料審議会の答申によりまして操短をすることにいたしましたが、それによって二十円も上がるというようなことはございません。支持価格というものは昨年より少し下がったように考えております。  それから、高能率のところと、あるいは必ずしもそうじゃいというところ、高能率のところだけやって下の方はやめてしまえ、こういう抜本的な策を講じたらいいじゃないか、こう申しましても、なかなかこれが、弱体でどうもこうもならぬという折紙をつけるところまでいっていないのです。これは日進月歩の技術の問題でございますから、非常に悪いと思いましたところ、東北のある会社は急によくなりましたし、こういう点がありますので、いましばらく全体を見ながらやっていくことがいい方法じゃないかと私は考えております。
  117. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 この前の肥料審議会でも問題になったと思いますが、三十四年十一月十四日という日にちが書いてありますが通産省のこれは、試案だと思いますが、硫安工業の不況に対する基本対策についてというものが、どこから入手したかわかりませんが、審議会の一委員がこれを取り上げていろいろ議論をしたわけであります。これを見ますと、製鉄の廃ガス、あるいはまた石油工業の廃ガスを利用して硫安を作っていく、そうしてそういうものを前面に出しながら、コストの高い、どうにもならないメーカーに対しては、お互いに金を出し合って、スクラップを買い上げていくというような案があるわけでありますが、これは全部が全部ではありませんけれども、この構想はなかなかいい構想だと私は思います。どうしてこれが途中で立ち消えになったのか、むしろ、池田通産大臣ならばこのくらいの抜本的な対策はできるのじゃないかと私は思うわけでありますが、どうか一つその間の事情をお聞かせ願いたいと思います。
  118. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほどの御質問の場合に、能率の上がるところを多く仕事をさす、非能率のものは少なくするという考え方はある程度織り込んでおります。御承知通り、五、六年前は電解法と固体原料法が主でございました。昨年は電解法は一七、八%で、ほとんど流体原料と固体原料でおのおの四割以上になっておる。今度の操短にしても、流体原料の八八%を動かす。それから固体原料の方は七七%、こう分けてはおるのでございます。また今の硫安工業につきましてのお話の点でございますが、私はああいうやり方を新聞で見ました。あとから聞いたら、事務当局の言うのに、これはまだ早いので、ほんとうにやはり業界の意見その他を聞いてやらなければ、こういうものを一たんやってあとへ返すというわけにはなかなかいきません。それからまた、先ほどの製鉄によるガスなんかにつきましても、さあすぐ製鉄会社から今度硫安工業へ出るかというと、技術面その他でなかなかやっかいな点があるのでございます。私は諸般の事情を見ながら、業界の知恵を借り、われわれとしても勉強いたしまして、先ほど申し上げましたように、大体これならいけるんじゃないかということを業界と通産省自体でおのおの考えてみたいというので進んでおります。
  119. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 これは私の見通しですが、第一次五カ年計画も結局中途半端なものになった。おそらく外国の事情と比べて、第二次五カ年計画も第一次と同じような結果になりやしないか、こういうふうに私は考えるわけでありまして、既存のメーカーをただ生かしていくというようなことでは、日本の硫安工業のあり方からして、そういうことではとうてい日本の農民に対して安い肥料を供給し、また余力を国際競争に向けても太刀打ちできるというような硫安工業界の体質改善はできないように私思うわけであります。諸般の事情を考慮してというふうな大臣答弁でございますが、私これは非常に失望いたしました。おそらくこの案は大臣も御相談になって、これで一応いこうということに腹をきめたが、業界からの反対もあったというので引っ込めたのかと私は思ったのですが、大臣も知らなかったということであれば、これ以上この問題を掘り下げて追及することもできませんので、肥料問題に関する質疑はこれで終わりたいと思いますが、何といっても農家の現金支出の四割も占め、また農産物価格の三割を占める肥料でございます。あくまでも日本の硫安工業は日本の農民のために、農業生産のためにあり、しかも余力があるから外国に出すのだというふうな形でなければならないと思うのでありますが、もう少し政府は既往にとらわれず将来を見通して、ここで一つそれこそ抜本的な対策を講ぜられんことを強く要望しておきます。以上で肥料問題は終わりたいと思います。  さっきから赤城さんだいぶ退屈そうでございますから、赤城さんに一つお伺いしたいと思います。  先般のこの予算委員会におきまして、北山氏がMSA援助による自衛隊装備が中古化し、更新しなければならないではないかというような質問に対しまして、赤城長官は艦船が一番おもなものである、その他は大したことはないのだということを言明されておりますが、はたしてその通りでございますか。
  120. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自衛隊の全装備品に対するMAP供与品の割合は相当多いのであります。しかしこれを更新しなくちゃならぬというものにつきましては、先ほど申し上げましたように、一番大きいものは艦艇だ、こういうふうに申し上げたのであります。飛行機等は逐次新しいものが入っている。あるいはこちらで生産しておりますので、MAP等によって、古くなったとかなんとかで更新するというようなことにはあまり影響ないわけであります。
  121. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 そうしますと、艦船以外のものはまだ十分使える、こういうことなのですね。
  122. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 MAPで供与を受けたものは武器、車両、通信器材、弾薬、こういうものでございます。その中でたとえば武器等におきまして、特車等につきましては更新しておるものもあります。大体において先ほど申し上げましたように十二分に使用にたえ得る、使っている、こういうことでございます。
  123. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 一部更新したと言われますけれども、どの程度更新されたか、もう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  124. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 非常に詳しいお尋ねでございますが、装備局長から大体お答えいたします。
  125. 塚本敏夫

    ○塚本(敏)政府委員 ただいま長官からお答えいたしましたように、艦艇がおもなるものでありまして、大体昭和四十年度末までに耐用年限に達すると見られますのが艦艇で二十四隻、二万七千トン、それからその他のもので二十八隻、九千トン、大体こういうような状況になっております。警備艦の十八隻、これは三十八年度に貸与協定によって返還することになっております。こういうものは、大体老齢艦でありますので、その更新対策といたしましては、三十四年度におきまして、まず警備艦のDE千四百五十トン、この二隻を予算に御要求申し上げております。  それからその他MAP器材につきまして特に装軌車、施設器材、これらのものは装軌車が八三%、それから施設器材が大体七〇%程度の稼動率でありまして、こういうものにつきましても、ある程度はいろいろ修理をするということを考えております。まあ大きなものは長官が申し上げましたように大体艦艇であります。
  126. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 日本側からアメリカに対して戦車とかあるいはその他の装備について、従来のものが非常に古くなったので、これを更新してもらいたいというふうなことを申し入れしたことはありますか。
  127. 塚本敏夫

    ○塚本(敏)政府委員 車両等につきまして、従来こちらでもらいましたものが相当古くなりまして、特に一万三千両ばかり更新してもらいまして……(鈴木(一)委員「戦車も入っておりますか」と呼ぶ)もちろん入っております。実際一万三千両にかわりまして新しいものをもらいましたのが一万二千台くらいになっております。そういうものはそのつど向こうに要求しまして、向こうにありますものは更新してもらう、こういうように相なっております。
  128. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 それはいつごろやられたのですか。
  129. 塚本敏夫

    ○塚本(敏)政府委員 車両の更新の交換は三十三年度にやりました。
  130. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 昭和三十三年八月二十七日の日米合同委員会において、日本側からアメリカ側に対して特に陳腐化したタンクを新式なものにかえることを強く希望した、最近数年の間に日本側に提供された八百六十一台のタンクは、部品の欠乏により活動し得ない状態にあることが日本側から明らかにされた、同様に日本の陸上軍の他の設備についても言えることが明らかにされた、こういうふうなことがニューヨーク・タイムスに出ておるわけでありますが、三十三年にこれをかえてしまったというと、これは三十三年八月にこういうふうな申し入れがあったわけでありますから、そうすると、現在持っておられるものも、ただ格好ばかりで、全然ものの役にも立たないということになりはしないかというふうに思うわけでありますが、いかがでありますか。
  131. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三十三年の八月に安保委員会で、装備の近代化ということで話し合った事実はございます。今御指摘の数字等につきましては、私もよく確かめておりませんけれども、そういう話し合いがありました。タンク等が非常に部品等において不足しておったり何かしておって、まあ率直に言うと雨ざらしになっておるというような御非難もありましたので、そういうものを整理して使えるようにしたい。でありますので、現在におきましては、ごく少数はあるかと思います。しかし、倉庫がありませんから、雨ざらしにしているからといって、別に使えないものを外に置くわけではありませんが現在におきましては、十二分に効率的に使っておる、こういうように申し上げて差しつかえないと思います。
  132. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 そうすると、三十三年八月の会議でこういうふうなことを申し入れしたという事実はないのですか。
  133. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 申し入れというよりも、安保委員会でそういう話が出まして、その後更新しておるものは更新しておる、こういうことになっております。
  134. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 それでは、先ほどの話では三十三年度まで大体やったというわけでありますが、この八月以降にやったということなんですか、その装備改定は。
  135. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 車両の交換等は三十三年に完了いたしておる、こう承知しております。それから、その後の近代化の問題は安保委員会で相談いたしまして、今のジェット戦闘機等について装備を相談しておる、こういうことに相なっております。
  136. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 そうすると、今後はなるべく自力で装備を増強しなければならない、向こうからはあまり援助はない、こういうふうなことになるわけでありますが、われわれの心配することは、現在持っているいろいろな装備がもうほとんどだめになってしまって、それが結局今度の安保改定を契機として大きくその問題が取り上げられて、そうして国民生活に大きな脅威を与えるということを心配して私はお伺いしたわけでありますが、そういうふうなことはないのですね。
  137. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 アメリカ国会予算の都合等もありまして、MAPの無償援助は減る傾向にあります。しかし全然まだ打ち切ったというわけではありませんで、たとえばM41の戦車のようなものはまだ援助を受けております。そのほかにも援助はありますけれども、方向といたしましては、無償援助はだんだん減ってくるという傾向であります。これを有償援助に切りかえよう、コスト・シェアリング方式でいこうじゃないか、こういう話が去年の暮れあたりから非常に強くいわれております。コスト・シェアリングということになると、日本の分担もあり、向こうの分担もあるということになりますから、今のお話のように、それで予算がぐっとふえてくるのではないかということがあると思います。しかしこれは日本予算の範囲内におきまして、向こうでやはりコストをシェアーするというもの等をにらみ合わせてやっていくようにいたしておりますので、そのために予算を特にふやしていかなければならぬということには相なっておりません。しかしいずれにいたしましても、無償援助等が減る傾向にあります。従って予算のといいますか、計画の線におきましても自主的にやるものがふえるという傾向にあると思います。ですからそういうものは、国産したりあるいは輸入にたよるほかないと思いますが、それにいたしましても再々申し上げておりますように、予算全体の規模に対し、あるいは国民生活の面に対し、圧迫するというようなことまでして、装備をしていったりしていこうという考えは持っておりません。均衡のとれたような形でやっていきたい、こう考えております。
  138. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 農林大臣のころの赤城さんは、非常に私信頼に足ると思っていたのでありますが、どうも最近、防衛庁長官になってから、白を黒とも言うような面もあるし、どうもそこに信用ができないのですね。日米合同委員会の議事録や何かをもし見せられるものなら、われわれに出していただいて、今おっしゃったことがほんとうなのかどうか、あるいはうそなのか、私どもは検討してみたい、こういうふうに思うわけでありますが、そういう書類を国会に出すわけにはいきませんですか。
  139. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 日米安保委員会はまだ二回くらいしか開いていないと思います。私の就任前であります。特に秘密というものもないわけでございますけれども、やはりお互いの両方の間の話し合いのものを公開するということはちょっとできかねると思います。それから合同委員会の方は、行政協定の問題などで始終話し合いをしておるわけであります。これは議事録としては出せませんけれども、大体内容は発表しても差しつかえないことでございます。議事録そのものは出せませんけれども内容につきましていろいろお尋ねがありますならば、これを出すことにいたしても差しつかえないと思います。
  140. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 これで私の質問を終わりたいと思います。なお農林大臣に対してもお伺いしたいことがたくさんあったのでありますが、午前中に足鹿委員からいろいろ質問がありましたので、私は重複を避けて、また別の機会にしたいと思います。聞くところによると、所得倍増計画というものを自民党内閣が取り上げたというのは、あなたの発案だというふうにも聞いておるわけであります。そのあなたが日本の産業の中で最も弱い面を所管する農林大臣になっておるわけでありますが、日本の農業の所得倍増というふうなことに対しても、もう少し真剣に取り組んでもらいたい。これは先ほど足鹿委員からも言われましたように、どうやってみたところで四百万人くらいの人を農業から外へ出してみても、他産業との均衡はなかなかとれない、こういうような状態になっておるわけであります。そういうふうな非常にむずかしい農業でございますから、単に総花的に予算をつけて、去年よりも多少ふえたのだ——しかしそのふえた内容から食管赤字会計と災害関係のものを引いてみるとほとんど大したことはないようであります。そういうふうな問題に対して、単に選挙の宣伝だ、党の宣伝だということでなしに、一つもう少し真剣に取り組んでもらいたかった。先ほどの足鹿委員との問答を聞いてみまして、私は非常に失望したわけでありますが、いずれこの問題については農林委員会なりでお尋ねすることにいたしまして、きょうの私の質問はこれで終わりたいと思います。
  141. 小川半次

    小川委員長 次会は明二十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十二分散会