○佐藤国務大臣 前半の御議論に私少し議論がありますので、まずそれから
答えさせていただきます。一九五八年をとって経済の動向を御
判断なさいますが、一九六〇年、従って、その近い一九五九年をやはり基準にとってお考えをいただきたい。五九年から六〇年にかけての経済の成長率は、確かに驚異に値すると申していいような、また
世界的な好況に向かっておる、この事実はございます。もちろんこれも手放しでいいというわけのものじゃないので、警戒は必要でございますが、社会党の諸君の御
質問を聞きますと、いかにも六〇年はだんだん不振の状況にいくのではないか、非常に強い警戒気分を出しておられる。この点は私
どもも手放しではございませんが、やはり希望を持たし、明るく経済を成長さす、こういう方向で物事を見ていただきたいという感じが
一ついたしておるのであります。
対米貿易につきましても、繊維品並びに雑貨と一口に言われますが、いわゆる雑貨と申しましても高級雑貨であります。高級品というところに私
どもは特に力を入れておる。それはもちろん御指摘のように、さらに機械輸出ということになれば、これは大へんけっこうなことであります。しかし、ごく少量ではあるが、すでに国産の自動車も
アメリカに行っておるというような実情でございますから、さらに業界の努力によりまして、私
どもは一そう機械輸出あるいは高級品の輸出等も努力する、こういうことでありたいものだ、かように考えております。こういう
意味から、私は、経済についていろいろの見方はあるが、楽観はいたしておりません。またもちろん景気に波がありますから、毎月々々わずかずつでも進んでいくというような状況をたどればよろしいのでございますが、あるいはそのうちには一、二月は落ちるようなことがあっても、年間を通じてみれば向上する、こういうものだと思います。そういう
意味で絶えず経済の
情勢に十分の注意を払って、そうして経済を拡大成長の方向へ持っていく。そのことが同時に国民生活の所得をふやすことであります。また大いにそういう
意味で生活自身を上げていくということに実はなると思います。
その前半はそれは別といたしまして、さらに後半の問題で、国内においての
地域的格差があるじゃないか、業種別の格差があるじゃないか、こういう点が今後の
日本経済の大きな課題でございます。
地域的の格差の問題といたしまして、十分に地方自治体等の財源をあんばいすることもなかなか困難でございますし、また地方に適当な事業を興さすということも、そのロケーション等の
関係からなかなか思うようにいかないものがあると思います。そういう場合におきましては行政全般の面として行政水準がやはり均衡を保っていくような方法を考えていかなければならない、かように実は私
ども考えております。こういう
意味から一面、地方、国を通じての税制の均衡をはかるような、再分配をはかるような努力が今続けられております。いわゆる税制審議会等においてこの点においていろいろ工夫されておる。また国の事業等の遂行におきましても、やはり地方産業を開発するに有利なようにいろいろ工夫しておるというのが現状でございます。