○藤山国務大臣
貿易の拡大をはかって参りますことは、
自由化にあたりまして、最も必要であることこれは申すまでもないわけでありまして、
日本といたしまして、一定の方針をもって進めて参らなければならぬわけであります。今日まで
東南アジア方面の諸国に対しましても、通商協定を作る、あるいは通商航海条約を作る、あるいはお互いに
経済ミッションを交換して、どういう物資を輸入し、あるいはどういう物資を輸出し得るかということを考えて参らなければならぬところにきたわけでございます。今後ともそれらの機能を活用して参ることは、これは当然のことであります。特に最近のような実情から見ますと、
東南アジアはむろんでございますけれ
ども、中近東あるいはアフリカ方面に新興国ができて参りまして繊維製品等
相当に過去において輸出されておりますが、独立国になって参りますと、それ自身の国の
貿易バランスということも考えられることでありますので、従って今までのような大英連邦の中における割当というわけに参らぬ点もございます。従って、アフリカ等の方面に対しまして、それぞれの国と
貿易協定を作って参る、そうして従来の輸出を確保するばかりでなく、伸ばして参るというようなことも考えて参らなければならぬと思っておるのでございます。ただ
日本が輸出
貿易の新市場を開拓して参りますと同時に、輸出を拡大して参りますためには、やはりそれぞれの国から
相当原材料を買って参りませんと片
貿易になるわけでありまして、アフリカあたりもそういう傾向がございますし、
東南アジア一帯もそういう傾向でございます。従って、それらに対しましては、やはりそれぞれの国の
経済開発ができ、消費水準が上がり、購買力がふえてくる、そうして
日本の商品を買う力がふえてくるということにもいたして参らなければならぬと思っております。また、そうした
経済協力によりましてできました原材料を
日本が買っていくということにして参らないと、なかなか
貿易の拡大ということは、低
開発国に対しましては困難だと思うのであります。そういう点について、できるだけ外交面上、力を注いで参らなければならぬと思っております。
また先進国に対します
貿易等の拡大につきましては、ただいま御指摘のありましたように、イギリスとは通商航海条約を締結する基礎になる話し合いをただいまいたしております。そうして、通商航海条約ができまして、ガット三十五条の援用撤回まで持っていかなければならぬと思っております。
日本が
自由化に伴いまして、それらの国に対する交渉も、比較的
日本の立場は有利にはなってくる。先ほど御指摘のありましたような低
賃金というような問題もございますけれ
ども、
日本自身の
自由化をして参ります立場からいいますと、こちらの主張が強くなって参ります。御指摘のように、ドイツの繊維製品とか陶器等に対する
自由化の問題につきましては、昨年七月以来東京で基礎的な交渉をいたしておりますが、ただいまボンで本格的にこれに取り組んでおるのでございまして、そういう面から見ますと、こちらが
自由化して参ります場合に、先進国に対しては
相当有利にこちらの主張が達せられる、こう思っております。
それから、ただいま御指摘にありましたようなカナダ、
アメリカ、メキシコあるいは豪州、ニュージーランドをくるめた何か太平洋
経済共同体というようなものが考えられないかという
お話でございます。現状におきまして、
日本の輸出
貿易を伸ばして参りますのは、
アメリカを主体とした
貿易にさらにプラスして、カナダでありますとかニュージーランドでありますとかあるいは豪州でありますとか、購買力を持っております国と伸ばして参らなければならぬと思うのであります。従って、過去においてミッションも出しておりますし、それぞれの国に対しまして、やっておりますが、今直ちにそうした国と何か
一つの
経済ブロック的なものを作るのがいいかどうかということについては、
相当研究を要する問題だと思っております。ただ、ヨーロッパ共同体ができましたり、あるいはアウター制度の問題もございます。そうした問題が、域外に対するいろいろな関税上の措置をしてくるというような問題については、それぞれ今御指摘のありましたようなカナダでありますとか豪州でありますとかニュージーランドでありますとかとわれわれの
経済的な立場はほぼ一致しておるわけでありますから、そういう面から見まして、十分そうした問題を将来とも考慮していく必要はあるのではないか、こう考えております。