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1960-02-04 第34回国会 衆議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十四年十二月二十九日)( 火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 の通りである。    委員長 小川 半次君    理事 上林榮吉君 理事 北澤 直吉君    理事 西村 直己君 理事 野田 卯一君    理事 八木 一郎君 理事 井手 以誠君    理事 田中織之進君 理事 今澄  勇君    理事 佐々木良作君       愛知 揆一君    青木  正君       井出一太郎君    江崎 真澄君       岡本  茂君    川崎 秀二君       北村徳太郎君    倉石 忠雄君       小坂善太郎君    櫻内 義雄君       周東 英雄君    田中 角榮君       綱島 正興君    橋本 龍伍君       林  讓治君    船田  中君       古井 喜實君    保利  茂君       松浦周太郎君    三浦 一雄君       水田三喜男君    山口六郎次君       山本 猛夫君    吉田  茂君     早稲田柳右工門君    阿部 五郎君       石村 英雄君    大西 正道君       岡  良一君    加藤 勘十君       北山 愛郎君    栗原 俊夫君       小松  幹君    河野  密君       坂本 泰良君    島上善五郎君       楯 兼次郎君    成田 知巳君       伊藤卯四郎君    鈴木  一君 ――――――――――――――――――――― 昭和三十五年二月四日(木曜日)     午後二時二十分開議  出席委員    委員長 小川 半次君    理事 上林榮吉君 理事 北澤 直吉君    理事 西村 直己君 理事 野田 卯一君    理事 八木 一郎君 理事 井手 以誠君    理事 今澄  勇君       青木  正君    井出一太郎君       江崎 真澄君    岡本  茂君       川崎 秀二君    久野 忠治君       倉石 忠雄君    櫻内 義雄君       重政 誠之君    田中伊三次君       床次 徳二君    橋本 龍伍君       保利  茂君    松浦周太郎君       三浦 一雄君    水田三喜男君       山口六郎次君    山崎  巖君     早稲田柳石工門君    淡谷 悠藏君       岡  良一君    北山 愛郎君       小松  幹君    河野  密君       島上善五郎君    楯 兼次郎君       辻原 弘市君    堂森 芳夫君       永井勝次郎君    横路 節雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  岸  信介君         法 務 大 臣 井野 碩哉君         外 務 大 臣 藤山愛一郎君         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君         文 部 大 臣 松田竹千代君         厚 生 大 臣 渡邊 良夫君         農 林 大 臣 福田 赳夫君         通商産業大臣  池田 勇人君         運 輸 大 臣 楢橋  渡君         労 働 大 臣 松野 頼三君         建 設 大 臣 村上  勇君         国 務 大 臣 石原幹市郎君         国 務 大 臣 菅野和太郎君         国 務 大 臣 中曽根康弘君         国 務 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    大堀  弘君         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  西原 直廉君  委員外出席者         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 二月二日  委員愛知揆一君及び田中角榮辞任につき、そ  の補欠として久野忠治君及び重政誠之君が議長  の指名委員に選任された。 同月三日  委員林讓治君、船田中君及び吉田茂辞任につ  き、その補欠として田中伊三次君、床次徳二君  及び山崎巖君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員石村英雄君、大西正道君、加藤勘十君、栗  原俊夫君、坂本泰良君、成田知巳君、伊藤卯四  郎君及び鈴木一辞任につき、その補欠として  辻原弘市君、永井勝次郎君、堂森芳土君、横路  節雄君、淡谷悠藏君、木原津與志君中崎敏君  及び西村榮一君が議長指名委員に選任され  た。 同 日  委員阿部五郎君が辞任した。     ――――――――――――― 一月二十九日  昭和三十四年度一般会計予算補正(第3号)  昭和三十四年度特別会計予算補正(特第2号)  昭和三十五年度一般会計予算  昭和三十五年度特別会計予算  昭和三十五年度政府関係機関予算 は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  昭和三十五年度一般会計予算  昭和三十五年度特別会計予算  昭和三十五年度政府関係機関予算  昭和三十四年度一般会計予算補正(第3号)  昭和三十四年度特別会計予算補正(特第2号)      ――――◇―――――
  2. 小川半次

    小川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算及び昭和三十四年度一般会計予算補正(第3号)、同特別会計予算補正(特第2号)以上五案を一括して議題といたします。
  3. 小川半次

    小川委員長 まず提案理由説明を求めます。佐藤大蔵大臣
  4. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 昭和三十五年度予篇編成基本方針及びその骨子につきましては、先日本会議において御説明いたしたところでありますが、予算委員会において本日から御審議をお願いするにあたりまして、あらためてその概要を御説明申し上げたいと存じます。  まず、財政規模について申し上げます。  昭和三十五年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも一兆五千六百九十六億円でありまして、昭和三十四年度当初予算に比べ千五百四億円、補正(第2号)後の改定予算に比べ七百十五億円の増加となっております。また、財政投融資につきましては、総額五千九百四十一億円で、前年度の当初計画に比べ七百四十三億円、改訂計画に比べ三百十五億円の増加となっております。  次に、一般会計について申し上げます。  まず、歳入のうち租税及び印紙収入は一兆三千三百六十六億円でありまして、前年度に比べて千六百六十四億円の増加となっております。  これは、現行税法に基づく、租税収入の前年度に対する増加額が千六百六億円見込まれますほか、原重油等に対する関税暫定減免措置改訂または廃止による増収五十八億円を加えた額となっているわけであります。  なお、租税制度の改正及び税負担の軽減につきましては、災害対策等財政需要増大を考慮し、今回はこれを見送ることといたしましたが、引き続き税制調査会において検討を続けることといたしております。  次に、租税外歳入につきましては、専売納付金について、たばこの売り上げの増加等により、前年度に比べ百三十八億円の増加を予定して、千三百六十四億円を見込んでいるのを主といたしまして、合計百六十億円の増加を見込んでおります。しかしながら、他面前年度剰余金受け入れが百六十八億円にとどまり、前年度に比べて六百三十七億円の減少を見たほか、経済基盤強化資金受け入れ二百二十一億円及び日本銀行特別納付金二百五十一億円が皆減となりますため、これらを差し引きますと、歳入全体としては前年度に比べ七百十五億円の増加となっております。  次に、歳出のうちおもな経費につきその概要を申し述べることといたします。  まず、社会保障関係費は、千八百十七億円を計上しておりますが、これは前年度に比べて二百七十六億円の増加であります。  そのおもなる内容といたしましては、国民年金関係で、前年度中に発足いたしました無拠出福祉年金支給月数増加及び昭和三十六年度より実施予定拠出制年金準備等のため、合計二百八十九億円を計上することといたしております。  さらに、国民保険計画予定通り昭和三十五年度末に達成することといたしまして、このために必要な経費増額いたしますほか、生活保護児童保護結核対策等、各般にわたり経費増額して施策充実をはかり、また、失業対策拡大充実を期するため格段の措置を講ずることとし、石炭鉱業離職者対策についても、その万全を期することといたしております。  次に、文教関係費でありますが、昭和三十五年度予算額は千八百三億円を計上し、前年度に比べ百五十七億円の増加となっております。  昭和三十五年度におきましては、前年度より実施いたしましたいわゆるすし詰め教室解消五カ年計画をさらに推進することとして、所要措置を講ずることといたしておりますほか、義務教育費国庫負担金等においても、昇給原資等例年増加のほか、標準化法実施等による教職員数増加等を考慮し、大幅な増加を行なうことといたしております。  右の義務教育費関係増加のほか、国立学校関係におきましても、四十七億円の増加を予定し、その拡充をはかっておりますが、特に教官研究費の大幅な増加を行ない、基礎研究充実をはかり、また、理工系学生の増募、研究施設充実等に意を用いることといたしております。  科学技術振興につきましては、昭和三十五年度には、二百五十二億円を計上し、前年度に比べ二十七億円の増額を行なっております。  このうち、原子力平和利用関係につきましては、昭和三十五年度におきましても、既定計画にのっとり、研究態勢整備研究促進をはかることとしておりますほか、その他の各省試験研究機関につきましても、その施設及び研究の実情に応じ、それぞれこれを推進するため所要予算措置を講ずることととし、また、新たに特別指定研究促進につきまして予算を計上することといたしております。なお、特に研究者待遇改善民間における研究助成等に配意し、さき国立学校運営経費増額等と相待って、科学技術の各分野における均衡ある進展を期することといたしております。  恩給関係費は千三百億円で、前年度に比べ七十一億円の増加となっております。この増加は、主として昭和三十三年度に行ないました旧軍人恩給年額改定に基づくものであります。  次に、地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金といたしまして、合計二千八百六十五億円を計上することとしております。これは昭和三十五年度国税三税収入見込額の二八・五%に相当する額と、今回新たに計上することといたしました臨時地方特別交付金三十億円とであります。  地方財政は、ここ数年来、交付税率等につきまして、国及び地方を通ずる財政健全化努力を続けて参りました関係と、特に昭和三十五年度におきましては、経済の好況に基づく地方財源増加等によりまして全体として著しく改善されてきておりますが、なお、昭和三十五年度におきましては、昭和三十四年度において実施いたしました国税減税に伴い、住民税減税となることをも勘案し、地方財政基礎をさらに強固なものとするため、当分の間臨時地方特別交付金を交付することといたしております。このほか、地方債関係では、地方起債ワク拡大特別会計にかかる直轄事業分担金現金納付化等地方債処理合理化をはかることといたしております。これらの措置により、地方団体行政水準の向上と住民福祉増大が大幅に進められることと期待いたしております。  次に、防衛関係費につきましては、自衛体制整備のために最小限度必要と認められる額を計上することとし、防衛庁経費は、前年度に比して百二十九億円を増加して、千四百八十五億田一を計上いたしております。しかし、他方、防衛支出金は、安保条約改定に伴い在日合衆国軍交付金の皆減等により百十六億円を減少することとなりますので、防衛関係費全体としては十三億円の微増にとどまっております。  公共事業関係は、総額二千八百八十九億円を計上いたしておりますので、前年度に比べまして三百四十九億円の増加となっております。  昭和三十五年度において、特に重点を置いておりますのは、申し上げるま、でもなく災害復旧及び国土保全対策でございます。すなわち、災害復旧につきましては、五百八十一億円を計院し、所定の年度割に従い災害復旧促進をはかりますほか、災害を未然に防止し、国土保全のための諸施策を強土に推進することといたしました。このため、新たに治山治水にかかる長期計「画を樹立し、今後十カ年間に、治水車業については九千二百億円、治山事業については千三百億円、合計一兆下百億円に上る事業遂行することといたしました。このうち、緊急に実施を要するものにつき、四千五百五十億円に及ぶ前期五カ年計画を作成することといたしております。  昭和三十五年度においては、この計画を目標として、治水特別会計仮称一を新設いたしますほか、国有林野事業特別会計治山勘定を設けることといたしております。  このほか、道路及び港湾整備につきましては、それぞれ既定計画に従い、その整備促進をはかり、所要予算措置を講じておりますほか、土地改良林道開発漁港整備等につきましても、それぞれ事業重点的遂行に必要な予算措置を講ずることとして予算額増加を行なっております。  住宅対策につきましては、従来とも住宅不足解消努力を払ってきたところでありますが、昭和三十五年度におきましては、一般会計におきまして、前年度に比し、三千戸増の公営住宅等建設を予定し、所要経費を計上することとし、これにより引き続き既定計画推進をはかり、あわせて不良住宅地区解消推進を期することといたしております。このほか、財政投融資の面におきまして、住宅金融公庫及び日本住宅公団に対し前年度当初計画に比し三十二億円増の七百十四億円の資金確保いたしておりますので、政府施策住宅全体といたしましては、前年度当初計画に比べ一万戸増の二十二万一千戸の建設を予定いたしておる次第であります。  貿易振興が、経済安定成長のために欠くことのできない条件である点にかんがみ、昭和三十五年度におきましても、輸出の振興経済強力の促進のための経費確保には、特に意を用いておるところであります。すなわち、従前から進めております諸施策をさらに推進するのはもとよりでありますが、今回新たに、海外経済協力基金仮称)を設け、主として、東南アジアの経済開発に協力する体制整備いたしますとともに、いわゆる第二世銀べの加入を予定し、必要な予算措置を講ずることといたしまして、今後、長期にわたる対外経済交流の素地を培養することに努めております。  中小企業対策といたしましては、国民金融公庫及び中小企業金融公庫について合わせて千七百五十五億円の貸付を予定する等、主として財政投融資におきまして、特に資金確保につき配慮を加えておりますが、一般会計におきましても、中小企業設備近代化のための経費増額するとともに、商工会を中心とする小規模事業対策に本格的に乗り出すこととする等、中小企業経営改善を大きく推進することといたしております。  食糧管理特別会計における国内産米麦購入数量増加等によりまして、この特別会計事業につきまして昭和三十四、三十五両年度を通じて相当の損失が発生し、この会計において保有しておりました調整資金の枯渇が予想されることとなりましたので、これを補うため昭和三十五年度におきましてこの会計に百億円を繰り入れることといたしました。なお、このほか、この会計農産物等安定勘定欠損見込額を補てんするため十二億円の繰り入れを必要としますので、食管会計べの繰り入れ合計は、百十二億円となっております。  以上のほか、個々の事項についての説明は省略することといたしますが、農林漁業振興等につきましても財政投融資と相待って、所要予算重点的に計上することとしていることはさきに本会議で申し述べた通りであります。また、石炭海運等不振産業に対しましても、これらの産業重要性に顧み、石炭鉱業につきましては、その体質の改善離職者対策に配意し、海運業に対しては、その国際競争力を補うため、計画造船にかかる市中融資について、その支払い利子の一部を補給する等、所要対策を講ずることといたしております。  以上、主として一般会計について申し上げましたが、特別会計及び政府関係機関予算につきましても、一般会計に準じ経費重点的効率的使用をはかり、事業の円滑な遂行を期することとして所要予算を計上することといたしております。  なお、昭和三十五年度新たに特別会計の新設を行なうこととなりますのは、さきに申し上げました治水特別会計仮称)でありますが、既存の特定多目的ダム建設工事特別会計がこれに吸収されることとなり、また臨時受託調達特別会計廃止となりますので、特別会計の数としては一を減ずることになります。  また、政府関係機関としては、医療金融公庫仮称)を新設することといたしております。  次に、財政投融資計画概要について申し上げたいと存じます。昭和三十五年度財政投融資原資としては、産業投資特別会計二百六十億円、資金運用部三千四百十六億円、簡保年金千百五十億円が見込まれるのでありますが、別途、適正な規模において民間資金の有効な活用を考慮し、公募債借入金千百十五億円を見込み、原資総額を五千九百四十一億円と予定いたしました。  運用につきましては、わが国経済を一そう安定した成長発展に導くため、輸送通信部門等産業基盤強化及び住宅上下水道等生活環境整備並びに中小企業農林漁業及び地方産業対策重点を置いてその資金充実することといたしております。  最後に、昭和三十四年度予算補正(第3号)について御説明申し上げます。  さきに、昭和三十四年中に発生いたした災害復旧等のため、予算補正(第2号)を行なったのでありますが、その後、災害復旧費増加等の事情が生じたため、災害復旧費失業保険費等義務的経費追加を主とする補正措置を講ずることといたし、総額百三十九億円の追加を行なうことといたしました。  その財源としては、法人税酒税等租税自然増収及び租税外収入増加をもってこれに充てることといたしております。  この補正により、昭和三十四年度一般会計歳出入総額はそれぞれ一兆五千百二十億円となります。  以上、ごく簡単に概略を御説明申し上げましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして補足して説明させることといたします。何とぞ、すみやかに御審議の上、御賛同を願いたいと存じます。
  5. 小川半次

    小川委員長 次に順次補足説明を求めます。主計局長石原周夫君。
  6. 石原周夫

    石原政府委員 お手元に配付をしてございます「昭和三十五年度予算の説明」という書類がございますから、これをごらんいただきまして御説明申し上げます。  最初に一般会計の予算の規模、一ページの左側の下から始まるわけでありますが、現行税法の場合におきます租税印紙収入の三十四年度に対しまする増加の見込額、これが千六百六億であります。税外収入も同じく三十四年度に対しまする増加見込額が百六十倍であります。  以下内訳はまた別に申し上げますが、そういたしますると、収入の自然増加額千七百六十六億に対しまして、前年度剰余金が六百三十七億減少、経済基盤強化資金受け入れが二百二十一億減少、これは前年度におきまする補正第一号の関係でございますが、日本銀行特別納付金世界銀行並びに用際通貨基金に対して出資をいたしました際に、日本銀行の所有しております金を再評価いたしまして、その評価益特別納付金として徴収いたしましたものが減に相なります。これが二百下十一億の減に相なりますので、差引で六百五十七億、それに原重油等に対しまする関税の減免措置改訂等による増収が五十八億ございまして、合計十百十五億というものが増加に相なりまして、総額一兆五千六百九十六億という数字に相なるわけであります。  この一般会計予算規模国民所得と対比いたしますと、そこにごらんのように三十一年、三十二年いずれも一四・五%という割合でございましたが、三十三年度一五・八%になり、三十四年度当初に見込みました国民所得、これに対しまする当初予算、この関係は一五・九%でございましたが、補正を含めました最近におきまする用民所得の数字について見ますと一五・五%に相なっております。今回は国民所得十兆四千六百億という計数を立てまして一兆五千六百九十六億、一五%というふうに国民所得に対する割合は低下をいたしておるわけであります。以下重要施策といたしましては、国土保全及び災害復旧対策の推進、社会保障関係施策の推進、文教及び科学技術の振興、農林漁業の振興、二ページから三ページに書いてございますが、中小企業育成強化、貿易の振興及び経済協力の推進、地方財政健全合理化という七本の柱を立てたわけでありますが、これを計数的にごらんをいただきます。と、四ページから五ページにわたりまして、重要経費別に対前年度予算額の比較がございます。全体といたしましては、七百十五億九百万円、五ページの一番下にございます数字でございますが、重要事項順に申し上げますと、第一の社会保障関係費が四ページの一番上で二百七十六億七百万円、これは補正の関係がございましたので当初予算と比較をいたしますると三百三十八億九百万円という増加に相なっております。文教関係の費用が百五十七億千百万円、科学技術振興の関係が二十七億二千百万円、国債費が二百七十四億八千六百万円の減、恩給関係が七十億九千九百万円、地方交付税は二百六十三億八千二百万円という本の交付金のほかに臨時地方特別交付金二十九億八千四百万円、防衛関係費は十二億五千九百万円、賠償等特殊債務処理費は八十三億一千六百万円の減、公共事業はカッコ内の数字は特別失業対策事業費並びに臨時就労対策事業費を含みました数字でございますが、含みました数字で申し上げますると三百四十九億三千七百万円、これは前年度の補正の関係がございますので、当初の比較で見ますと五百六十五億八千七百万円増加に相なるわけであります。その下のものは、そこでごらんになりますように治山治水百二十九億、道路整備が九十七億。港湾、漁港、空港で二十七億、農業基盤整備で六十億、災害復旧におきまして十二億、災害復旧は前年度補正の関係がございますから、当初で比較いたしますと百九十九億七千六百万円、大体二百億前年度当初予算に比べまして増加いたしておるわけであります。住宅及び環境衛生対策費七億八千八百万円、農業保険が六億四千万円、貿易振興経済協力費が七億五百万円、中小企業対策費が九億八千八百万円、食糧管理特別会計への繰り入れが百二億、予備費は、前年度補正をもちまして八十億予備費を追加いたしましたから、それが減になりまして八十億の減、前年度当初通りであります。雑件が百六十億の減に相なっておりますが、それはまん中の大蔵省のところをごらん願いますと二百五十二億百万円の減になっております。これは先ほど申しました国際通貨基金及び世界銀行に対します出資額、これの減がありましたので、その減がここに現われておるわけであります。  特別会計は、先ほど申し上げましたように臨時受託調達特別会計が減になりまして四十の特別会計が三十九に相なっております。新しく治水の特別会計ができましたが、これはダムの特別会計を吸収し、国有林野の関係に治山勘定が新設されましたが、そういうわけで受託調達が落ちましただけ会計数が減少したわけであります。  政府関係機関収入支出予算は下から三行目のところにございます医療金融公庫、これが新設に相なったわけであります。  その次に財政投融資の表がございますが、これは後ほど理財局長から申し上げますので、以下一般会計の歳出につきまして重要費目の順に御説明申し上げます。  十ページに生活保護費がございます。生活保護費は前年に比べまして十三億四千五百万円の増加に相なっておりますが、これは三十四年度予算におきまして前年度不足分の関係あるいは災害の関係がございますから、それを差し引いてみますと十九億四百万円の増加に相なるわけであります。これは、扶助人員につきましては百四十六万七千人、保護基準につきましてカロリーの改訂をいたします関係、被服費その他の内容改善をいたしますことによりまして、三%の引き上げをいたしました。出産扶助、葬祭扶助の改訂も合わせまして、この関係で五億四千二百万円というものが増加いたしておるわけであります。国民年金を支給いたしますに伴いまして、生活保護費が十七億三千三百万円その方に移りまして減少いたしましたが、老齢加算の制度を作りますのと、身体障害者の加算及び母子加算、これは二つとも従来からあったものでありますが、増額いたしまして、その関係で十四億三百万円の増であります。医療扶助につきましては、大体実績に基づきまして十五億八千二百万円の増、保護施設の事務費が九千七百万円の増、それが今申し上げました十三億四千五百万円の増加の大体の内訳であります。  次が児童保護その他の社会福祉費でありますが、これは前年に比べまして六億七百万円の増、しかしながら、これも同様に、前年度におきまして災害の関係がございますから、これを除いてみますと八億九千六百万円、約九億ほどの増加に相なるわけであります。内容のおもなものにつきましては、保育所の児童の間食費三円を見まして、これが二億九千万円、そのほかに養護施設の収容児童飲食物費の改訂、職員の給与につきまして改正措置を行ないました。そういう関係によりまして、十一ページの一番上にございます六億九千九百万円の増加になっております。そのうち保育所の関係が五億五千万円であります。原爆の対策につきましては、医療範囲を拡大いたしまして、医療手当及び交通手当を支給する、七千三百万円の増に相なっております。そのほか精神薄弱者の援護費の増加、中央児童厚生施設の設置費七千万円が主たるものであります。母子福祉の貸付金が、ごらんになりますように、前年に比べまして、一億円減に相なるわけでありますが、これは償還金が増加いたしますので、貸付金自身は前年度よりも増加をいたすわけでございます。  次に、社会保険費でございますが、政府管掌の健康保険に対しましては、診療報酬引き上げ後におきましても黒字がございます。保険料率を千分の六十五から六十三に引き下げる、そういうようなことに相なっておりますので、一般会計からの繰り入れば、前年度十億に対しまして、これを五億円にいたしました、日雇い労働者の健康保険につきましては、三割国庫負担と相なるわけでありますが、四億一千三百万円の増加であります。組合管掌の健康保険は前年通り一億円。三十五年底におきまする国民健康保険の皆保険バ最終年度に相なりますので、新規に楢加いたしまする被保険者が六百十八万人、これによりまして、年度末の被保険者は四千八百十一万二千人というごうに相なるわけであります。このための増加がございまして、三十八億九百万円というのが皆保険系統におきまする増加額であります。事務費の補助も、従来九十五円という単価でございましたが、これを百円に引き上げまして、六億九千五百万円事務費補助系統で丸えております。なお診療報酬の審査事務の手数料免除におきまして、国民健康保険団体連合会に一億円を新規に補助いたす経費が計上いたしてございます。  十二ページに参りまして、国民年令でございますが、福祉年金は第二年度に相なります。その関係で増加をいたしまするのと、拠出制の国民年金の実施準備に伴います事務費といたしまして、市町村交付金十六億計上いたしまして、合計いたしますると、前年に比べて百七十八億六千五百万円、百八十億ばかりが国民年金の実施第二年度ということで増加をいたすわけでございます。  失業対策費でございますが、まず吸収人員、これにつきましては民間の吸収が相当に多い関係、公共事業費の増加をいたしておりまする関係、並びに炭鉱の分につきまして、別途援護策もございまする関係を考えまして二十四万人、このうち一般失対が二十万人、特別失業対策、臨時就労対策事業、おのおの二万人ずつという計算をいたしたわけであります。単価につきましては民間賃金の状況、公務員給与の状況を考えまして、二十八円を引き上げまして三百三十四円、そのほかに年末手当分を一日増加いたしまして十四日分ということに相なっております。失業保険につきましては受給の人員を三十六万三千人と見込みまして、給付月額は七千五百九十八円、いずれも最近の実績に基づきましての計算でございます。政府職員の失業手当というものがございますが、これが三億ほど減少いたしております。これは国有林野関係の給付につきまして、今回直接国有林野事業特別会計におきまして支払いをいたすということに改めました関係で、減に相なったわけでございます。結核対策でありますが、これは昨年から始めました特別推進地区というものがございます。大体保健所を単位にいたしまして二百、これを倍の四百地区にいたしまして、件数にいたしまして八千件命令入所ということをやりまして、濃厚感染源対策、ここに重点を置きまして増加をいたしておるわけであります。増加額が九億五千二百万円、濃厚感染源対策費は下から二番目にございまして、前年三億五千九百万円が五億八千九百万円ということになっております。  義務教育費国庫負担金でございますが、八十八億二千万円の増加でございます。そこでごらんになりますように、給与費と教材費、ほとんど全部が給与費に相なるわけであります。児童生徒数は、来年は小学校が七十七万二千人減、十四ページに入りますが、中学校が七十一万四千人増、差し引きまして五万八千人の減に相なるわけであります。これに伴いまして教職員の数が千百一人増ということであります。このほかに例の標準化法と申しまする学級編制及び教職員定数の標準に関する法律がございまして、この関係で四千八百二十人学級編制の適正化のための増がございます。合計いたしまして五千九百二十一人、この人員の増加と、あとは自然のと申しまするか、昇給の関係、それに人事院勧告、恩給の関係、僻地手当の関係を見込みまして、今申し上げました金額になるわけでございます。  国立学校の運営費でございますが、これは四十六億六千万円の増に相なります。科学技術教育ということに一番の重点を置きまして、教官研究費約二割を増加いたしまして十一億四千九百万円、そのほかに理工系の学生八千人を増加いたすということの最終年度になるわけでありますが、千百二十六人を国立の理工系大学におきまして増加をいたします。それで学部を一つ、学科を十八作るということでございます。  文教の施設費が二十億七千五百万円の増加でございますが、これは国立の文教施設におきまして、今申し上げました理工系の増加に伴う関係の施設、それの増加、公立文教におきましては、いわゆるすし詰め教室解消、公立文教施設整備五カ年計画の第二年度であります。先ほど申し上げましたように、七十万人の中学生が増加をいたし、来年におきましてさらに増加をいたす関係がございまするから、まん中ごろにごらんになりますように、中学校が前年度十一億二千六百万円が三十一億二千六百万円、約二十億この中学校の分におきまして増加をいたしておる次第であります。  育英事業費でございますが、これは、三十四年に比べまして一億三千九百万円の増加でございますが、返還金額がふえまする関係で、貸付ベースといたしましては二億一千五百万円の増加に相なるわけでございます。  科学技術振興費は、二十七億円の増加になるわけでありますが、このうち原子力の関係におきまして二億九千百万円の増、これは原子力研究所におきまする国産一号炉及び動力試験炉の建設を進める、原子燃料公社におきまして引き続き探鉱並びに製練を進める、放射線医学総合研究所におきまする整備の関係、大学研究所におきまして原子燃料が要りますので、それを調達いたしまする関係、そういう関係で、今申し上げました二億九千百万円が増加をいたしておるわけであります。各省の試験研究機関は、十三億八千三百万円の増加になるわけでありますが、これは航空技研、金属材料技術研究所というような新しい現在まだ整備過程にありまする研究所の充実、電子技術の関係におきまして、通産省の主として試験研究機関、宇宙空間の通信技術研究のための電波研究所、あるいは北海道におきまして新しく工業開発試験所を作ります、こういう関係におきまして増加をいたしたわけでございます。第三番目に研究費の補助金、委託費、交付金の関係でありますが、八億二千万円増加をいたしております。これは文部省におきまするいわゆる科学研究費、この関係が六億九千万円、パーセンテージにいたしまして約三割の増加であります。そのほか新たに全日本科学技術振興財団を作りまして、七千万円補助をいたします。そういう関係であります。その他特別研究の促進調整のために新たに一億円の金額を科学技術庁に計上をいたしまして、年度中途に起こり得る研究の増加ということに備える。理化学研究所に対しまする出資は二千万円増加をいたしまして五億二千万円、科学技術情報センターは二千五百万円増加をいたしまして、一億一千三百万円、いずれも出資をいたすわけであります。  国債費は、国債の償還は、財政法に基づきまする三十三年度決算剰余金の半分で七十八億円、利子が百九十三億八千万円ということに相なるわけであります。  文官の恩給は国家公務員共済制度に昨年移行いたしまする工合になりましたから、その関係で十一億二千八百万円の減少に相なるわけであります。  旧軍人の恩給は前年に比べまして七十二億七千五百万円、増加額の第三年目であります。  遺族及び留守家族の援護費が九億五千百万円増加になっております。  次に、地方交付税の関係であります。地方交付税交付金は後ほど税収について申し上げると思いますが、所得税、法人税及び酒税の収入見込額の二八・五%で、二千八百三十五億三千百万円、前年に比べまして二百六十三億八千二百万円の増、そのほかに三十四年度において実施せられました所得税の減税に伴います住民税の収入額の減少を考慮いたしまして、あわせて地方財政の健全化を促進するという意味におきまして、三十五年度以降当分の間主税の百分の〇・三に相当する額を地方団体に交付するということにおきます臨時地方特別交付金が二十九億八千四百万円ということに相なるわけであります。三十五年度の地方財政につきましては、今申し上げましたように、交付税のほかに、特に臨時地方特別交付金を交付いたしますとか、三十四年度の所得税の減税に伴います住民税の減税は行なう。なお、地方財源の配分の適正化につきまして、地方交付税等にお芦まする所要の措置を講ずる。人件費などにつきましては、国家公務員に準じまして人事院勧告に当たりまする増額を予定する。地方歳入の関係におきましては、災害復旧事業を除きまして一般の地方債の増加を抑制いたしますとともに、先ほど申し上げましたように特別会計に属します直轄事業分担金につきましては現金の納付に切りかえるというような改正をいたしております。公営企業金融公庫におきましては、三億円出資金を増加いたすわけであります。  防衛関係でございますが、防衛支出金、これは十九ページにごらんになりますように、三本の柱からなっておりまして、現行の行政協定二十五条第二項(a)並びに(b)及び日米の相互防衛援助協定に基づきます顧問団の系統でございますが、二十五条(b)項の在日合衆国軍の交付金は皆減で百十一億落ち、(a)項の施設提供費は四億の減、軍事顧問団費が一億の減、差し引きまして今ごらんを願っておりますように百二十八億という防衛庁費の次に申し上げます増に対応いたしまして百十六億の減に相なるわけであります。  防衛庁経費は百二十八億五千九百万円の増でございますが、このほかに国庫債務負担行為が九百十八億六千五百万円、内訳は、そのほかに継続費といたしまして、艦艇の建造費六十五億五千四百万円ということになっております。国庫債務負担行為の九百十八億の内訳は航空機の関係で七百四十一億円、このうちロッキードの関係が六百九十八億でございますが、施設整備のために十八億八千万円、装備品の購入で百四十二億及び艦艇の建造で十六億七千二百万円、継続費が甲型警備艦と潜水艦の関係であります。やります内容は十九ページの右欄の下の方にございますように、陸上自衛隊が千五百人の増員をいたしまして、地区施設隊が五、建設大隊一増加でございます。海上自衛隊におきましては、艦艇七隻、航空機六機、そのほかにアメリカから供与を受けまする艦艇、航空機並びにP2Vの第三年目の国産化の年度になりますので十機の生産ができることになっております。人員は制服で二千四百一人、一般職員で三百五十一人増加をいたします。航空自衛隊は警戒管制のレーダー基地の自主的な運営の関係、新たに西部航空方面隊司令部、航空団一の増設を行ないます関係、航空機につきましてジェットの中間練習機二十機、ヘリコプター六機、そのほかに新しくF104百八十機、同じく複座練習機二十機、合計二百機の国産化に必要な国庫債務負担行為を計上いたしております。人員におきましては制服で三千四百八十六人、一般職員で五百十一四人の増加をいたしております。一賠償につきましては、二百四十億二千三百万円を計上いたしておるわけで一ありますが、この一般会計からの支出一を受けまして、四十二ページの左の欄の5、賠償等特殊債務処理特別会計、今ごらんを願っております二百四十億二千三百万円のほかに前年度剰余金を五十八億五千六百万円を受け入れまして二百九十八億七千九百万円、これをもちまして賠償等の債務の履行をいたす関係に相なるわけであります。  二十ページに戻りまして、公共事業の関係であります。公共事業は先ほど全体でごらんをいただきましたように、三百四十九億三千七百万円、二十一ページの一番右下のところにございますが、これが全体の事業別に分類をいたしました表でございますが、これを各個に申し上げて参りますと、まず第一に二十二ページでございますが、治山治水の対策事業費、この関係で治水事業であります。これは三十五年度予算の最重点施策として取り上げられたものでありまして、総投資規模九千二百億円の長期事業計画を立てるわけでございます。そこにごらんになりますように、前期五カ年、三十五年から三十九年におきまして四千億円、後期の五カ年におきまして五千二百億円、合計いたしまして九千二百億円という計画を見ているわけであります。この計画を実施いたしますために、治水特別会計を作りまして、すべての治水事業及びこれと密接な関連のあります直轄の伊勢湾高潮対策事業の施行をいたすわけでございます。三十五年におきます一般会計から特別会計繰り入れます関係は三百八十億八千八百万円、このほかに一般会計で1北海道開発庁の関係は一般会計で出るのでございますが、この工事の事務費が四億三千二百万円、合計いたしますと、一般会計に計上いたしております治水関係の費用が三百八十五億という数字に相なるわけであります。  うしろに回って恐縮でございますが、五十ページをごらんいただきますと、これを受けまして特別会計の大ざっぱな姿だけをごらんいただいております。  五十ページの一番右下に、一般会計より受け入れ四百三十二億という金額が載っております。これは先ほど申し上げました三百八十億八千八百万円という治水関係で一般会計繰り入れます金のほかに、伊勢湾の直轄事業分五十一億一千四百万円が加わりまして、四百三十二億という金が入るわけであります。  このほかに地方公共団体の負担金と電気事業者等負担金、これは多目的ダムの従来の系統でございますが、これが加わりまして、そのほかに受託工事に伴います収入が二十三億円、こういうものが入りますと、五十一ページの上から七、八行にございますが、財源合計五百五十六億八千三百万円という数字に相なるわけでございます。それを河川、ダム、砂防、伊勢湾というように分けてごらんをいただきますると、五十一ページのここにあるようになるわけであります。どういうことをいたすかと申しますると、治水事業といたしましては(1)の治水勘定と(2)の特定多目的ダム建設工事勘定、従来のダム会計を引き継ぎました分、この二つに分かれるわけでありますが、治水はさらに河川と補助ダムと直轄ダムはその次の特定多目的ダム建設工事勘定になりますが、補助ダムは治水勘定、それに砂防、伊勢湾というものが入りまして、特定多目的ダムの方は従来からの継続のダムの仕事をいたすということであります。五十二ページにその内訳がございますからごらんをいただきます。  それが治水関係でありまして、そのの次が治山の関係、二十二ページの右方の欄でございますが、治山の関係も治水とともに最重点施策の一でありまして、同じく長期計画を千三百億円、前期五カ年におきまして五百五十億、後期五カ年におきまして七百五十億ということに相なるわけであります。この実施は先ほど申し上げましたように、国有林野事業特別会計治山勘定を設けまして、民有林の治山事業、これは直轄、補助を合わせまして実施をいたすことに相なります。この場合におきまして一般会計から繰り入れますのは五十七億九千六百万円という金額であります。これを受け入れました関係を四十六ページでごらんをいただきますと、国有林の事業におきまする治山勘定の姿が出ておるわけであります。四十六ページの左の欄のまん中辺に治山勘定、これは今申し上げました五十七億九千六百万円を受け入れますほか、分担金の関係、四十六ページ右欄をごらんになりますと一般会計から五十七億九千六百万円を受け入れまして、地方公共団体の負担金収入以下ワクが六十一億一千三百万円というふうに相なるわけであります。やりますことは、左側にございますように、直轄治山事業費、直轄地すべり防止事業費、治山事業費補助、以下であります。伊勢湾高潮対策でございますが、前年の六十一億に対しまして、百三十五億という数字に相なっておるわけであります。仕事といたしましては建設省所管の直轄事業は治水会計、運輸省の直轄事業は特定港湾施設、従いまして補助の分が一般会計に残る、こういうことであります。道路の整備事業費でございますが、これは御承知のように前年度から、従来からございますので、特別会計一般会計から繰り入れます関係、九百七十六億という金を繰り入れるわけであります。このほかに北海道開発庁の分は一般会計で支出をいたしますから、この十一億九千二百万円という金が以るわけであります。この姿は、同じく四十七ページをごらん願いますと出ておるわけでありますが、これは従来と別に変わった点もございませんから、特に申し上げることもございません。  その次が港湾、漁港、空港の関係であります。港湾は前年に比べまして十八億九千四百万円、二十三ページの下から四、五行目のところでありますが、十八億九千四百万円の増額に絹なっておるわけでございまして、これも特別会計におきまして特定港湾の特別会計がございます。これで輸出港湾、鉄鋼港湾、石油港湾、石炭港湾、これらの充実をいたしておるわけでありまして、新たに鉄鋼港湾三港、石油港湾二港、石炭港湾一港、着手をいたします。一般会計に残っております方は、外国貿易港と重要鉱工業地帯におきます工業港の整備、新しく地方港湾二十六港、避難港一港というものを新規に着手いたすわけであります。漁港は五億一千五百万円を増加いたしまして、三十五年に新規着工四十九港。空港の関係は、東京国際空港の新滑走路の建設用地買収、大阪空港におきます用地買収の二億円というものがおもなものでありまして、地方空港といたしましては新たに四空港を整備拡充いたしまして、四億九千五百万円というのが地方空港のワクであります。  林道におきましては、林道と都市計画の系統でありますが、造林を一万八千町歩拡大をいたします関係と、それから三十四年度に引き続きまして、二万七千町歩の造林を農林漁業金融公庫からの融資によって行なうことにいたしまして、七億円一般会計から農林漁業金融公庫に出資をいたしました。林道が二億八千二百万円の増加で、なおこのほかに、いわゆる関連林道と申します民有林に関連いたします分を国有林の特別会計において行なうわけであります。都市計画は公共下水道の整備に重点を置きまして、大体三割の増加に相なっております。工業用水は四億三千万円ほどの増加でございますが、継続十一地区のほかに、新規に四地区が加わっておるわけであります。  農業基盤の整備費が六十億二千二百万円、これは当初予算と比較いたしまして、昨年度に比べますと五十四億の増加でありますが、愛知用水、八郎潟等の大規模な土地改良に力を注ぎますことと、開拓におきましては特に既入植地の振興対策に重点を置く。灌排におきまして、国営、県営、団体営の一貫作業をやらすという点、団体土地改良におきまして、畑地振興に重点を置くという点、それらが今回の重点でありますが、従来食糧増産対策事業費という名前でありましたが、今回は名称を事業の性質にかんがみまして改めまして、農業基盤整備費という名前にいたしておるわけであります。土地改良事業費におきましては、二十八億円の特別会計繰り入れを含みまして、三十四億円の増加に相なっておるわけであります。干拓におきましては、六十億円特別会計繰り入れまして、このうち八郎潟関係が三十億ほどの仕事に相なるわけでありますが、六十億ほど、一般会計から干拓関係で特別会計繰り入れを行なうわけであります。なお伊勢湾台風の経験にかんがみまして、干拓堤防の補強をいたします仕事を三年間でやるつもりで、今申しました六十億のうち四億が干拓堤防の補強工事であります。開拓の関係は、新規に入植をいたしますのは、三十四年度千七百戸を千戸に下げまして、重点を既入植不振開拓地対策に充てたわけであります。この開拓地対策として上がっておりますもののほかに、二十六ページにございますように、雑件におきまして三億六千三百万円・開拓者資金融通特別会計繰り入れを中心といたしまして、不振開拓地の対策の金を増額いたしておるわけであります。外資導入及び機械開墾の事業は、これは愛知用水それから上北、北岩手の開墾、根釧地区の機械開墾、篠津の泥炭地開発、今回は入植戸数百十九戸ということで、以上の開発事業を継続実施いたしておるわけであります。その他といたしまして、救農土木事業二億円、農業機械整備費一億八千…百万円、国営造成施設管理費四千百六十万円というようなものがおもなものであります。  災害復旧は、三十四年度の大災害のあとでございますので、増額をいたしておりますが、三十四年度に比べて二十億二千六百万円の増加、当初予算に比べますと約二百億、百九十八億八千九百万円増加になっておるわけでありますが、金額が二十八年災の割にふえなかったのは、過年災が三十四年度をもちまして完了した関係で、百二十七億の当然減少が出ました関係があるわけであります。三十五年度の予算計上方法は従来のいわゆる三割、五割、二割、直轄は半分、四年間で初年度二割五分、次年度四割、二年までに緊要工事以外のものを含みまして六割五分を完了いたすという計算にいたしておるわけであります。災害関連の関係は、三十四年度当初予算に比べまして八千八百万円、補正後に比べまして七億八千四百万円減少でございます。これは二十八年災の伊勢湾の対策事業費で伊勢湾の海岸堤防の災害助成事業、それが伊勢湾高潮対策の方に振りかわりました関係で減少になっておるわけであります。  鉱害復旧の関係は三億一千五百万円の増加でありますが、これは炭鉱離職者の吸収というところから相当顕著なる増額を見たわけであります。  国土総合開発事業の調整費は一億二千万円の増加でありまして、七億七千万円。  住宅及び環境衛生対策は三億四千九百万円の増加でございますが、これは建設戸数をいわゆる公営住宅におきまして四万九千戸、新しく不良住宅という柱を立てまして二千戸、合計いたしまして公営の系統が五万一千戸、前年度が当初に比べて一千戸減りまして四万八千戸ということでございましたので、三千戸差引増加をいたしておるわけであります。主力は、二十八ページにごらんのように、第二種公営住宅及び不良住宅に増加をいたしておるわけであります。なお住宅金融公庫にお吾まして十一万戸、前年度に比べまして八千戸増、住宅公団は前年同様に三万戸、これに対しまして、この公庫及び公団に対しまして財政資金五百十四億、民間資金二百億、合計いたしまして七百十四億、財政投融資の方の金額が出ておるわけであります。  環境衛生対策が四億三千八百万円の増加に相なるわけでありますが、これは下水道の関係及び簡易水道の関係であります。  農業保険が六億四千万円増加をいたしておりますが、これは家畜診療所の増設の補助金、共済団体の職員の給与の是正並びに共済連絡員手当という新規事項がございまして、実績に基づぐ計算をいたしておるわけであります。  貿易振興及び経済協力が七億五百万円の増加でございますが、これはいわゆるジェトロ、日本貿易振興会、これの仕事で二億七千九百万円、あと雑貨センター、コンサルタントの関係、巡回見本船の関係でついておりますほかに、アジア経済研究所、これを特殊法人に改組いたしまして出資を一億、このほかに事業費に対しまして特別の補助を一億五千百万円やっておるわけであります。経済協力の関係におきましては、コロンボープランに対する技術協力実施ということで、前年に比べまして一億一千万円ほど増加をいたしておりまするが、海外技術センターにおきましては、三十四年度に経費を手当いたしました西ベンガル、マラヤの運営のほかに、新規センターの設置といたしまして一億九千万円、また輸出入銀行にございました東南アジア開発協力基金を振りかえまして、海外経済協力基金という新規の法人を設けまして、主として東南アジアに対しまする経済協力の事業、資金の貸付等に充てるということでございます。中小企業対策は九億八千八百万円の増加でございまするが、これは中小企業設備の近代化補助金三億円を増加六たしまして、十三億円。小規模事業軒策費、いわゆる商工会の系統でありますが、これに経営改善の普及員の設置をいたしまして指導してもらう。それがその系統で四億四百万円、この二つが大きなものでございまして、なお新鉱床探査費補助、これが大体倍になっております。  次に、食糧管理特別会計の繰り入もで百二億の増加でございます。これ百食糧管理の米麦の関係におきまして、百八億円の損失が見込まれておりまするが、これは三十二年度で一般会計から繰り入れました百五十億の調整資会が大体三十四年度末までの損失補てんに充当せられますので、一般会計から百億円を調整勘定に繰り入れようということであります。農産物等安定勘定におきまして、御承知のようなカソショ、バレイショ、澱粉、テンサイ矯あるいは飼料、菜種というような系統におきまして、十二億円の損失が見込まれるものでありますから、それを合わせまして百十二億円、前年に比べまして百二億の増加に相なっております。  予備費は前年通りであります。  以下雑件のうちで幾つかの事項を拾ってこれはできるだけ簡単に申し院げまするが、移住関係が二億二千万円の増加であります。一万人という中南米諸国への移住者、このほかに期間の短い派米農業労務者一千名、ここでごらんを願っておきますのは、三十一ページの表の二段目にあります移住船運航費補助金という昨年まで外務省にございました金が、今度は運輸省に細みかえております。後ほど海運関係で申し上げますが、それが一点と、その次の三段目に移住者支度費補助金五千八百十万円、これが新規事項であります。なお産投会計から五億円日本海外移住振興株式会社に出資をいたします。  医療金融公庫は新たに十億円を出資いたしまして、このほかに財政投融資の方で二十億円、合計三十億の資金をもって発足をいたすわけであります。  国際開発協会、第二世銀と呼ばれるものでありまするが、これにつきましては、日本側の引受額がきまりまして、三十五年度は二三%でございます二十七億八千百万円というものを出資するわけでありまするが、現金出資を必要といたしまするのは五%に当たります六億四百万円、それだけを予算に計上いたしまして、残額は国債で出資をいたすわけでございます。この関係につきましては、法律案を提案いたすことにいたしております。  要保護・準要保護児童生徒対策、これは従来の教科書、修学旅行、給食、医療というようなことにつきまして措置をいたしておるわけでございますが、今回は特にグラントの廃止に伴います父兄負担の増加ということを考えまして、給食費の関係で従来二%見ておりましたが、四%まで要保護・準要保護の児童につきまして助成をいたすわけであります。三十二ページの右の欄にございますように、この関係で二億三千四百万円が五億五千九百万円というふうに増加をいたしておるわけでございます。  スポーツの関係は国体の施設費が増加いたしますのと、オリンピック東京大会のための準備の関係で、前年度の一億四千万円が二億八千万円というふうに大体倍になっておるわけでございます。  私立学校の振興でありますが、これは研究設備の助成、理科特別助成という従来からありましたものを相当ふやしましたほかに、私立学校振興会に三億円出資して、合計いたしまして七億一千三百万円の増加となっております。  畑作振興の関係であります。これは地力保全、病虫害防除、機械化の促進というようなことを見まして、前年は三億六千万円でありますが、それが九億三千二百万円というふうに五億六千八百万円の増加を見ておるわけであります。なお科学技術の振興費の系統で、畑作関係が同じく五千万円ほどこのほかにふえております。  畜産関係におきましては二億六千七百万円の増加でございますが、主として肉資源、家畜及び畜産物の流通改善ということに中心を置きまして、金額を見ているわけでございます。  水産業振興の関係は、特に漁業協同組合振興基金というものを作りまして、不振漁協に対します利子補給の財源の一部に充てまするために、一億円の無利子貸付金を行なっております。水産業振興では、前年の十一億四千万円が十二億一千万円に増加となっておりますが、その関係が主たるものでございます。  海運対策でございますが、これは外航船の利子補給でございます。これは外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基づきまして、新たに第十二次以降の計画造船、これの市中融資について七分五厘と市中貸し出し金利との大体の差を補給いたしますほかに、すでにあります利子補給契約の十次から十二次まで、これにつきましては現契約の補給率で措置を行なう。三国間輸送助成は二億円をふやしまして七億円。移住船運航は、先ほど申し上げましたように外務省所管から運輸省に移しまして、七千七百万円を計上しておる、こういうことであります。  石炭の対策関係でございますが、これは、カッコ内の数字は備考にございますように失業対策にございました炭鉱離職者の援護関係あるいは公共事業費の鉱害復旧、港湾特別会計におきます石炭港湾の関係、そういうものを含めました金額でございまして、カッコのない方が合理化対策としての助成の分と離職者対策の分であります。従来の整備事業団を新しく石炭鉱業合理化事業団というものに改組いたしまして、これに対しまして高能率炭鉱の造成及び中小炭鉱の機械化、そのための資金の出資をいたしますのと、及び非能率炭鉱の整理のため四億円を補助いたします。離職者の援護対策につきましては、昨年作りました炭鉱離職者援護会が行なう事業の補助、地方団体の行なっております緊急就労対策及び職業訓練の補助費、こういうものであります。  青少年対策につきましては、三十下ページから三十六ページにわたりまして、総理府、文部省以下、各省にわたりたくさんの項目に分かれておりますが、総額におきまして十三億四千八百万円、前年度の十億一千八百万円に比べまして、三億二千九百万円というものが増加に相なっておるわけでございます。  給与につきましては、三十五年四月一日から、いわゆる中だるみ是正、中級職員及び研究職員、医師につきましての人事院勧告に基づきます平均約四%でございますが、これの実施の分を見込んでおりますほかに、夏季手当を〇・一ヵ月増加する所存でございます。  歳入の租税及び印紙収入につきましては、後ほど別に申し上げますので、それ以外の収入について御説明申し上げます。  専売納付金が百三十七億八千八百万円の増でありますが、このうち日本車売公社の納付金が百三十六億八千九百万円の増でございます。これはたばこがふえまして、益金が増加したものでありますが、塩田の整理のために、なお三十二億円の赤字を生じます。その差額といたしまして千三百五十九億四千百万円という益金納付を見ておりまするのと、アルコール専売事業にお弐まして、前年に比べまして約一億弱増加を見ておるわけであります。  官業益金及び官業収入におきましては、七億六千八百万円の増加でございまするが、これは三十八ページの中ごろにございますように、印刷局特別会計の益金が一億四千万円、病院収入が六億二千八百万円というわけであります。政府資産整理収入は四十二億九千円万円の増加でございまするが、国有財産売り払い収入は、最近の実績ある穴は現在売り払いを予定されまする財産を見まして、九億一千七百万円の減であります。有償管理換収入が五十七億ふえておりまするが、これは、一般会計で持っておりまする接収貴金属でありまする銀、これを造幣局特別会計に銀貨製造のために管理換をいたします関係が五百四十一トン、五十七億三千万円、それが銀でふえまする関係であります。  雑収入におきまして二百七十九億四千万円の減でございまするが、これは、第一に日本銀行納付金が一億八百万円の増、そのかわりに日本銀行特別納付金二百五十億というものが、先ほど申し上げましたように二百五十億七千三百万円が再評価益といたしまして入れましたものが落ちます。そのほかに日本中央競馬会の納付金の増加二億七千万円、特別会計の関係におきまして受入金の増減がございます。貴金属特別会計は前年度におきまして、同じく接収貴金属でありまするが、金地金、銀地金を造幣局特別会計に管理換をいたしまして、一般会計に納めたわけであります。今回、先ほど申し上げましたように直接一般会計から移しまするので、二十四億四千八百万円の減であります。簡易生命保険、郵便年金の受入金が四億二千八百万円、これは昭和二十二年に歳入不足補てんのために一般会計から繰り入れました金の返還の分であります。  次に特別会計でございまするが、一般会計で大体御説明申し上げましたことの裏表に相なりまするので、特に申し上げることはございませんが、一点、食糧管理特別会計にはどういう見込みをしておるかということだけを申し上げます。四十三ページでございます。食糧管理特別会計、これは国内産米におきましては、集荷は従来通りのベースで考えるわけでありまするが、産米の買い入れ見込み五百八万トン、三千三百八十六万九千石、買い入れ価格は、三十四年の決定米価一万三百三十三円、消費者価格は現行価格の通り。国内産麦につきましては、三十五年の麦の買い入れ百三十一万トン、買い入れ価格は現行通りパリティ方式に上る。輸入米麦につきましては、米が二十五万七千トン、麦が二百三十四万九千トン、買い入れ価格は最近の輸入実績によって見ておるわけであります。数字は四十四ページに出ておりまするので、それでごらんを願います。  最後に政府関係機関、五十三ページでございまするが、日本専売公社につきましては、先ほどちょっと専売納付金のことで申し上げましたことで大体尽きると思います。  国有鉄道でございまするが、五十四ページにかけまして、特に申し上げておきますることは、資本勘定並びに工事勘定、東海道新幹線の関係で、財政資金、公募債のこれは財政投融資の方で申し上げまするが、国際復興開発銀行からの借入金四十七億円を見込みまして、工事勘定で新幹線二百七億、そのほかに幹線輸送と車両増備に中心を置きまして千二百五十二億、前年度が千百十五億でございまするから、百三十七億ほどの増加に相なっておるわけであります。  電電公社におきましては、五十五ページに相なりまするが、四百二十七億円増加をいたしまして千二百二億円、三十七万加入という加入電話の数を見まして、町村合併に伴う施設整備四十億円、農山漁村の電話普及四十三億円を合わせまして千二百八十五億という建設勘定の総額を見るわけでございます。財源といたしまして公募債、資金運用部、簡保から借り入れまする関係のほかに、新たに電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律というものを出しまして、加入申し込み者の実質的な負担は軽減されまするが、引受債券はふやすということによりまして四百八億円の受入金の増加を見ておるわけであります。なお、予算総則におきまして七十二億円の外資導入に伴いまする三万加入の増設のことの規定をいっておるわけであります。  以下の公庫の関係は、大体財政投融資の方の関係でごらんを願うことにいたしまするから、省略いたします。  一番最後に七十七ページ、三十四年度の補正予算、この概要を申し上げます。  これは総額百三十九億二千九百万円ということでございますが、災害復旧の関係と失業保険その他法令の規定に基づきまする過年度支出と申しまするか、おおむね過年度及び現年度の支出によりまする経費の分であります。財源といたしまして、法人税、酒税並びに雑収入の大体現在までに見込んでおりまする分で、現在までに入っております、あるいは確実に見込まれる分を計上をいたしました。  特別会計におきましては、交付税、譲与税が、主税の二八・五でいきまする関係のほかに、米の購入数量がふえますので、食糧管理特別会計に補正予算を組むという関係であります。  七十八ページの歳出のところでごらんを願いますると、そこに表がございまするが、三十四年度発生災害復旧事業費五十一億五千五百万円、伊勢湾高潮対策事業費七億円、公立文教施設災害復旧費一億一千五百万円、災害救助費六億八千五百万円、合計いたしまして六十六億五千五百万円という数字に相なりまするが、それが大体災害関係であります。第二次補正を出しました後におきまする査定の進行等によりまして、従来の数字をさらに補正をいたしまして出しました額であります。あるいは工事の進捗の状況を見ましてこの程度までは今年度出さなければならないというような金額で、六十六億円であります。地方交付税交付金は後ほど申し上げまする歳入の方の見合いで出る金でありまして、あとは失業対策費が三十四億六千九百万円、漁船再保険特別会計繰り入れ、これはいずれも三十三年度の清算で出て参りました一般会計からの繰り入れ使用額であります。食・糧管理特別会計の十八億は、三十三年度のすでに決算上出ました赤字に対しまして、三十四年度の見込みで調整をいたしました金額であります。  歳入といたしましては、租税及び印紙収入におきまして八十三億を計上いたしておるわけでありますが、これは法人税、酒税・物品税の主税の関係で、このうち物品税を除きまする法人税と酒税の合計六十八億に対しまして二八・五を乗じますると、先ほどごらんをいただきました交付税の額が出るわけであります。  雑収入といたしましては、指定預合の利子収入、資金運用部の補償金返遺金、特別調達資金、いずれも最近までの事情を見まして受け入れ予定額を貝込んでおるわけであります。  経済基盤強化資金も、現在までに預金部に預入をいたしておりました利子の額であります。  最後の特別会計といたしましては、先ほど申しましたように、交付税及び譲与税の特別会計六十八億を受け入れまする関係と、食糧管理特別会計の米の受け入れ増加に伴います分であります。  以上をもちまして補足説明を終わります。
  7. 小川半次

    小川委員長 主税局長原純夫君。
  8. 原純夫

    ○原政府委員 税の関係補足説明を申し上げますが、お手元の「租税及び印紙収入予算説明」という薄い冊子がありますが、ごらんを願います。これの三べージをおあけ願いたいと思います。これに予算に対応いたしまする税の成り立ちと申しますか、これの概略が出ております。便宜、下から六行目のところに、横に線がございますが、この線の上が一般会計の税の合計の金額でありますから、ここを中心に左から右に数字を読んでいっていただきます。  まず昭和三十四年度の当初予算額は一兆一千一百十二億円でございましたが、補正後その右のように、これは二次補正でここまでふえております。さらに三次補正をお願いいたしておりますもの八十三億円を加えますと、一兆一千七百八十五億円ということに相なりまするが、これが昭和三十五年度になってどういうふうになって参るかというのがその右に出ております。現行法による収入見込額といいますのは、この左の数字にいわゆる自然増収を乗つけた数字であります。その自然増収額は、二千九十六億円というのが三十四年度の当初予算に対する自然増収縮であります。それだけ乗っかってこういう数字になる。その右に参りまして、さらに税制改正による増収三十五年度税制改正はほとんどないの外ありますが、関税で、石油の関税を其本税率に近くするということで、五十七億円余り増収になります。合計いたしまして、改正法による収入見込み顧、つまり予算計上額でございますが、これは、一兆三千三百六十六億円ということに見積もっております。この対前年度比較は、二千百五十三倍円の増でございます。そのうち、繰り仮しますが、税制改正による増収が五十七億、自然増収が、当初予算に対して二千九十六億ということに相なってたります。  そこで、御説明を申し上げます要点は、この自然増収と申しますか、それを含む見込みはどうしてやっておるかということと、この改正の方針、趣旨はどういうことであるかということであろうと思います。  第一の税収の見込みでございますが、これは実はこの冊子の大部分がそ、の御説明のためにできておりますので、大へん恐縮でありますが、詳細は省略させていただきます。  一ページと二ページに、これにつきましての概略を出してございます。それから五ページ以下、各税の見積方法というところに、各税につきまして既往の実績からいろいろ将来を推計しましたやり方が出ております。毎年大体同じ型でやっておりますので、恐縮でございますが、どうかごらんおきいただきたいと思います。要約して申しますれば、最近までに知り得ております課税の実績というものを積算の基礎といたしまして、それをいろいろな条件を考えまして三十五年度に延ばして、みるということにいたしております。その延ばしますよりどころといいますのは、たとえば所得税、法人税等におきましては、主として経済見通しに出ておりますいろいろな計数、これはこの冊子でも一番最後のページに主要経済指標の見通しというのが掲げてございまするが、政府で決定いたしました見通しの数字でございます。これ、あるいは揮発油、砂糖というような間接税の課税物品になりますと、所管省の消費見込みあるいは輸入見込み、用途見込みというようなものをとるというようなことで、それぞれ税収の見込みに指数ないし係数を妥当するように、時間的な調整もいたしまして計算をいたしたわけであります。そとでもう一度三、ページの右から二番目の欄の二千百五十三億というところを、ざっと中身をごらんいただきます。もうほとんどが自然増収でありますが、一番大きいのが法人税の九百八十億、それから所得税の五百九十億円ばかり、この二つでもう総体の増収の四分の三が出るという、いつも景気のいいときの税収の顕著な型が出ております。もっともとの法人税九百八十億に対して、三十四年度におきましても補正で、合計三次補正まで入れますと、三百七十億ばかりの増収を見ております。その辺もお含みになって見ていただきたい。自余は間接税で酒税、揮発油税、物品税というあたりに、かなり顕著な伸びが見られるということでございます。  次に税制改正の中身でございますが、これの二十二ページにその要領が出ておりますのでごらんいただきます。先ほど来大臣から御説明がありましたように、今回の予算編成の実情に顧みまして、一般的な減税はこれを見送るということにいたしまして、税制調査会における検討はただいまも鋭意進めております。そこで三十五年度の対象としては、関税と酒税の二つでございます。関税につきましては、炭化水素油つまり石油類でありますが、これに対しまする税率が現在暫定減免ということで、一年々々本則の税率を使わずに免税あるいは減税措置を講じておりますが、最近における石炭事情等を考えまして、この本則に近づくということにいたしまして、一番大部分を占めます原油につきましては、現在二%の暫定税率、本則は一割というのをその中間の六%に持っていこうというふうに考えております。重油その他の揮発油、灯油等につきましては、現在あるいは免税あるいは暫定税率ということになっておりますが、そのページのまん中ほどにありますように、これを全部基本税率に持って参ろう、ただし農林漁業用のA重油及び肥料製造用の原油については、暫定減免税を続けるという考え方でございます。なお関税につきましては、暫定減免税が非常に品目も多いのでありますが、そのうち実情に応じて必要の少なくなったものについては整理して参るということから、その2にありますような電子計算機の一部について免税を打ち切るというようなこと、その他実情に応じて、所要のこまかい改正でありますが改正を若干考えております。品目としては、ラードあるいは小児麻痺のワクチン用のサルであるとか、あるいは石油化学用の触媒であるとかいうようなもので、税率の調整ないし新たな免税措置を講じたいというわけであります。  なお、その3にありますように、関税の税率は現在関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案ということで御提案申して、いつも形がおかしいということを国会でも御指摘いただいておるのでありますが、今回これをすっきりとして、こういう暫定減免税は関税暫定措置法というような名前のものに切りかえようということを考えております。  それから酒税でありますが、酒税につきましては、清酒の特級、一級、二級という紋別構成の一級と二級の間に準一級というものを作りたいということと、合成清酒が一級、二級という二級制になっておりますのを、もう級別なしの一本にいたしたいということの御改正を願いたいと思っております。趣旨は、清酒におきましては級別の違いが相当に開いております。特に一級と二級との間が、二級が一・八リットルで四百九十円でありますのが、一級は八百三十五円・三百五十円ばかり、非常に大きな開きがございます。この辺の税率の構成にはかなり沿革的なものがあって、最近の清酒の供給ないし消費の実情に合わないというような面がうかがわれますので、中間に一級設けて、上の一級からこっちに回るものがあると同時に、二級からも上がるものがあるであろうというふうに考えられますので、それらを酒屋さんともいろいろ協議をいたしまして、総体として税収に影響がないというような線で措置して参りたい。合成清酒につきましては、一級がわずかに全体の〇・六%ということになって、九九%が二級ということで売らされておりますのを、すっきりと一本にして、級別をなくしようというわけであります。いずれも増減収なしという見積もりをいたしております。  時間の関係もございまするので、これで御説明の要領を終わりますが、以下、二十四ページ、五ページあたりに、新しい年度におきまする直接税、間接税の比率の比較、それから国民所得に対しまする租税負担割合というようなものが出ておりますので、ごらんおき願います。  なお、三十四年度第三次補正財源といたしましての税収につきましては、先ほど主計局長から申しました通り法人税で五十億、酒税で十八億、物品税で十五億円を見積もっております。これは前回見積もりました第二次補正の際に見ました事情が、その後変化いたしましたのに基づいて、歳出所要額を考えてしかるべき額を計上したというものでございます。  簡単でございますが、御説明を終わります。
  9. 小川半次

    小川委員長 理財局長西原直廉君。
  10. 西原直廉

    ○西原政府委員 財政投融資関係を補足的に御説明申し上げます。財政投融資につきましては、御手元の昭和三十五年度予算説明の八ページ及び九ページに表がございます。  まず、原資の面でございますが――の九ページの合計のところの下の方にございますが、上段が五千九百四十一億、下段が五千百九十八億とございますように、上段、下段のうち、いつも上段が三十五年度計画でございまして、下段が三十四年度当初計画でございます。  三十五年度財政投融資原資は、総額で五千九百四十一億でございます。この内訳は、その左の方からずっと申し上げますと、産投会計で二百六十億、資金運用部資金で三千四百十六億、簡保年金で千百五十億、政府関係資金が、合計いたしまして四千八百二十六億、これに民間資金を活用するということで、公募債借入金が千百十五億、合計いたしまして五千九百四十一億ということに相なっているわけでございます。  このうち、資金運用部資金の中で、郵便貯金は約千三百億見込んでおります。また、この民間資金公募債借入金千百十五億のうちには、百十五億が満期償還になります国鉄債と電電債の借りかえ分であります。これは前年度の八百八十八億円に比較いたしますと、二百二十七億の増でございます。また実行額として見込んでおります九百二十八億円に対しましては、百八十七億の増加ということに相なっているわけでございます。  次に、この運用の面でございますが、運用の面につきましては、お手元のやはり予算説明の第4の政府関係機関と第5の財政投融資というところにそれぞれ説明がついておりますが、まず、災害復旧国土保全対策につきましては、財政投融資の面におきましても、資金重点的に配分するということについて考慮いたしたのでございます。この点は九ページの地方債のところでごらんいただきますように、全体の地方債は三十五年度におきましては、千五百億というふうに増加いたしておりまして、千百億に対して四百億の大きな増加に相なっております。このうち災害復旧及び国土保全関係のものは、この一般会計債という中に含まれるわけであります。一般会計債は五百六十億円、三十四年度の四百七十五億に比較いたしますと、八十五億円の増加でございますが、これはもっぱら災害復旧及び国土保全関係のものでございます。  また、治山治水事業充実を期するという関係から、治水会計及び治山勘定が設けられます。道路整備、特定港湾施設等の特別会計とともに、これら特別会計の直轄事業地方分担金につきまして、交付公債制度が廃止されまして、全額現金納付されることになりましたので、この切りかえを円滑にするという意味で、ここに新しく三十五年度から、直轄事業債というものが設けられまして、総額百六十億円の限度で地方起債を認めるということに相なりました。これが地方債関係における大きな改正でございます。  重要な点としての第二の点は、鉄道とか道路港湾、工業用水、通信施設等の産業基盤の強化に意を用いたことでございます。  国鉄につきましては、この予算説明の五十二ページにございますが、すでに主計局長からもお話がありました通りであります。  それから、これ以外に、大都市の地下鉄につきましても、帝都高速度交通営団につきまして、六十一ページでごらんいただきますように、相当の増額をいたしております。これはあるいは八ページでごらんいただいてももちろんけつこうであります。  また、この地下鉄につきましては、帝都高速度交通営団以外に、地方債関係があります。それで、地方債関係で、東京都及び大阪、名古屋市の地下鉄につきましては、前年度より三十八億円増の八十三億円の公営企業債をおおむね計上することといたしております。  それから、道路につきましては、道路整備五カ年計画の線に沿いまして、日本道路公団にりきまして先ほど説明がございましたように、名神道路建設促進をはかりますとか、その他の有料道路並びに駐車場につきまして整備をはかることになっております。これは六十ページをごらんいただきますと、六十ページの右側の(18)というところにございます。  次は、首都高速道路公団でございます。これは次の六十一ページの(19)というところにございますが、これにつきましても、新たに資金運用部から融資を行ないまして、東京都からの出資金等と合わせまして、高速道路、関連街路及び駐車場の建設推進することにいたしております。  このほかに、港湾施設及び工業用水につきましては、先ほどの九ページにございます地方債の中の一番下に公営企業債というのがございますが、この公営企業債におきまして、それぞれ七十五億及び五十五億を計上いたしております。これは前年度三十四年度比較いたしますと、約三十億及び二十億の増加と相なっているのであります。  それから電電公社につきましては、先ほど御説明がありました通りでありまして、海外の市場の情勢によりましては、外債発行が可能となりましたときには、これを合わせますと、全体として四十万個加入が達成される計画になっているわけであります。お手元の五十五ページにございます。  次は、住宅及び上下水道と生活環境の整備の点でございますが、住宅につきましては、先ほど御説明ございました通りでありますので、省略さしていただきます。水道事業につきましては、これまた地方債の中に含まれますが、上水道では、簡易水道を含めまして前年度より三十四億円増の二百七十二億円、下水道では前年度より三十億円増の九十億円を計上することにいたしておりまして、これによって生活環境の整備をはかることにいたしております。  第四に、農林漁業振興中小企業育成強化関係でございます。農林漁業につきましては、五十六ページにございます農林漁業金融公庫のところをごらんいただきたいと思います。ここにございますように、農林漁業金融公庫の資金を相当充実いたしております。これ以外に先ほどちょっと主計局長から御説明ございました特定土地改良、開拓者資金融通両特別会計に対する融資を増額いたしまして、生産基盤の整備拡充に努めることにいたしております。この両方の会計につきましては、四十四ページと四十六ページに説明がございます。また農林関係では愛知用水公団の関係がございまして、これに相当多額の資金を充当することにいたしておりますが、五十九ページの(9)愛知用水公団というところでございます。これは資金運用部資金のほかに余剰農産物の資金を投入することになっているわけでございます。  中小企業関係は、五十五ページにございます国民金融公庫と五十七ページにございます中小企業金融公庫関係がまず第一でございますが、それぞれおおむね一〇%程度の貸付規模拡大をはかっているのでございます。中小企業につきまして、このほか商工中金、不動産銀行もございますが、これは債権の引き受けを行なうこととして貸付原資充実を期しておりますが、この面でも相当貸付規模拡大することを期待されているのであります。これ以外に、中小企業信用保険公庫の活用を特にはかることといたしておりまして、中小企業信用保険公庫に対し、さらに十八億円を産投会計から出資し、これ以外に地方公共団体からの出資と相待ちまして、信用保証協会の保証ワクの増大をはかることにいたしているのであります。  次は、貿易振興とか、あるいは対外経済協力推進関係でございますが、輸出入銀行につきましては、前年度実績見込みを上回る貸付規模を予定いたしました。プラント輸出と重要な経済協力案件に対する資金確保するようにいたしております。石炭鉱業につきましては、合理化のための融資資金、それから海運業につきましては例の主機換装に対する融資を行なうということを新しく考えておりまして、いずれも開発銀行からこの資金を融通することにいたしておるわけであります。また、地方間の均衡ある発展という意味で、開発銀行におきまして地方開発のための融資を強化することにいたしております。  財政投融資計画で新しく計上されましたものは、医療金融公庫でございますが、これは先ほど主計局長から説明いたしましたので省略させていただきます。  以上申し上げました財政投融資資金計画額の合計は、先ほど申し上げましたように五千九百四十一億円と相なりますが、財政投融資運用にあたりましては、経済情勢及び民間金融の推移に常に注意し、適切な弾力的運営を期して参りたいというふうに考えております。これは九ページに書いてある通りであります。  なおこれにつけ加えまして、三十四年度財政投融資の実行状況でございますが、当初の計画額は五千百九十八億円でございました。その後災害復旧対策、あるいは年末金融対策等によりまして運用追加が行なわれまして、現在の計画は五千六百二十六億円と相なっているわけでございます。  この機会に三十五年度の国庫収支を申し上げたいと思いますが、現在のところ千八百億円の散布超過と見込んでおります。これは三十五年度の国際収支実質一億五千万ドルの黒字等の要因によりまして、外為資金で千五百十二億円の散布超過と見込まれておりますのがおもな理由でございます。これによって千八百億円の散布超過を見込んでおります。(「資料がないぞ」と呼ぶ者あり)れは別に小さな配布した資料がございますが、「昭和三十五年度予算に関する参考資料」それの第二表にあります。もとよりこの見込みは予算が大体その通り実行されるということを前提とする見込みでございますので、そういう点申すまでもないと存じます。  それから三十四年度の国庫収支は、やはりこの第二表のあとの方につい  てございますように、年度当初これは二千四百億円の散布超過と概算いたしておりましたが、その後の実勢では外為資金及び食管会計におきまして国際収支の好調あるいは国内米買い入れ数量の増大等によって、当初見込みましたより散布超過が大きくなると見込まれるのであります。その反面一般会計その他で現実の支出が四月以降にずれ込むものも見込まれますため、財政資金収支全体としては二千二百三十億円程度の散布超過に落ちつくのではないかと見込んでおります。  以上簡単でございますが、財政投融資関係と国庫収支の一応の簡単な見込みについて御説明いたしました。
  11. 小川半次

  12. 大堀弘

    ○大堀政府委員 「昭和三十五年度経済見通しと経済運営の基本的態度」という資料をお配りしてございますが、これにつきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  この表の説明に入ります前に、三十四年度経済動向につきまして一言簡単に申し上げてみたいと思いますが、御承知のようにあとニヵ月残しておりますが、三十四年度経済の見通しは、全般として非常に高い上昇を遂げたわけでございまして、経済の成長率で申しますと、実質で二%、鉱工業生産の対前年度比較の伸び率で申しますと、二七%の上昇に相なるわけでございます。このように、経済が急激な上昇をいたしましたにもかかわらず、割合に安定的に推移することができましたことは、一つには、過去におきます設備投資の累積によりまして、基幹産業などの生産能力が相当に増強されてきたということがあると思います。それと同時に輸出が顕著に増進いたしまして、輸入の増加にかかわりませず、国際収支が黒字基調を維持することができたということが一つかと思います。それに加えまして産業、金融の各面におきまする調整努力によりまして、ともかくもこういう高い成長が経済の行き過ぎということを招かずに、割合に高い水準で経済の均衡をはかり得た、これが三十四年の経済の特色か一と考えております。  三十五年度経済は、この三十四年度経済の上に、さらにゆるやかではございますが、堅実な上昇を続けていくものと考えております。経済の成長率で申しますと、実質で六・六%、鉱工業生産の伸び率で申しますと約一二%の伸びがあると考えております。この経済の成長率が一見三十四年度の一三%に比べますと鈍化しておるように見えるわけでございますが、この点は後ほど表について申し上げますが、在庫投資が前年度に比べまして横ばいに推移するという関係で、これが経済の成長率に影響しないという関係で、六・六%という数字に相なるわけでございまして、個人消費支出でありますとか、輸出あるいは設備投資などの最終需要につきましては、依然として堅実な上昇を続けておりますので、経済全体といたしましては順調な上昇過程を進むものと考えております。  お手元にお配りいたしております資料の九ページをおあけいただきまして、ただいま申し上げました判断の材料になります経済の需要の動向について最初に申し上げたいと思います。九ページの上に第一表「国民総生産と国民総支出」という表がございますが、これの、二つに欄を仕切ってございますが、下の方の欄、つまり国民総支出の内容についてごらんいただきたいと思います。一番左が三十三年度の実績、それから三十四年度の推定実績、三十五年度の見通し、その右は三十四年度の前年度比較と三十五年度の前年度比較の比率が書いてございます。  最初に、一番上の個人消費支出でございますが、この三十四年度のところをごらんいただきますと、六兆六千七百五十億、これは三十四年度の見込みでございますが、三十五年度は七兆一千六百五十億、三十四年度は前年度に比べまして、消費支出は七%の伸びでございますが、三十五年度は個人の可処分所得が若干上昇すると考えられますことと、所得のずれ等もございまして、来年度は七・三%の上昇を見込んでおります。  次に国内民間総資本形成という欄がございますが、これがいわゆる投資に該当するわけでございまして、その中に第一に生産者耐久施設とございますが、これが世間でいっておりますいわゆる設備投資でございまして、三十四年度は一兆七千九百億、こういう高い水準でございますが、三十五年度は約二兆円と見込んでおります。三十四年度は二一%の伸びでございますが、三十五年度は一丁七彩、いずれも約二千億円ずつ前年度に比べて設備投資の規模拡大されるものと予測されます。  次の在庫品増加、これが在庫投資でございますが、このところをちょっとごらんいただきますと、三十三年度が景気の停滞期でございまして、在庫がわずかに三百五十二億しかふえてないわけでございます。これに対して三十四年度が六千二百億在庫が伸びております。来年度三十五年度の見通しは六千億でございます。そこで三十四年度は三十三年度に対して五千八百億円以上の在庫の伸びがございまして、これだけで経済の成長率に五%ぐらい寄与しておる、こういう計算に相なるわけでございまして、三十五年度は三十四年度の横ばいでございますので、在庫の関係では経済の成長にほとんど影響しない、こういう関係に相なるわけでございます。  次の項目は個人住宅建設でございまして、三十四年度は二千八百四十億、三十五年度は三千四百五十億、これは年々コンスタントに上昇いたしておりますが、この二年間は特に風水害の復旧等もございまして伸び率が多少高く相なっております。二二%ないし二一%の上昇に相なっております。これが合せまして民間の投資の総額に相なるわけでございます。  次の欄が政府の財貨サービス購入でございまして、これは御審議いただきます中央政府の予算及び地方財政を合めました政府の財貨サービスの購入の予測でございまして、三十四年度補正を入れまして二兆三千九十億、三十五年が二兆五千五十億で、来年度は八・五%の上昇と相なっております。  それからもう一つの項目は、輸出帝び海外からの所得でございましてここにございますように、三十四年度は一兆六千二百億、三十五年度は一兆七千十百四十億、本年度輸出が非常に伸びましたので、前年度対比でこの項目としましては一九・七%上がっております。来年度は輸出はことしほどの大幅な伸びは見込んでおりませんが、しかし相当な伸びが期待されまして、全体としては九・五%の伸びでございます。  この四つの項目を合計いたしまして、そこにございますように、三十四年度が十三兆二千九百八十億、三十五年度が十四兆三千八百九十億、それから下にございます輸入と海外べの所得、輸入及び貿易外の支払いを差し引くわけでございます。輸入は三十四年度が一兆四千七百億、三十五年度が一兆六千四百十億でございまして、これを差し引きました一番下の合計国民総支出とカッコして書いておりますが、十一兆八千二百八十億が三十四年度でございまして、三十五年度は十二兆七千四百八十億、右の方に比較がとつてございますが、三十四年の伸び率は一四・九%の伸び率でございまして、これがいわゆる名目でございまして、実質は下に書いてございます一三%になるわけでございます。三十五年度は名目では七・八%の伸びでございまして、実質では六・六%に相なるわけでございます。  そこでちょっとページを戻していただきまして、八ページの「主要経済指標」という表をごらんいただきたいと思います。主要経済指標も欄が仕切ってございますから、二つ目の欄の一番上に国民総生産という項目がございますが、これがただいま申し上げました国民総支出に見合う数字でございまして、三十四年度が十一兆八千二百八十億、三十五年度が十二兆七千四百八十億、これがただいま申し上げました需要に見合った総生産でございまして、率もただいま申し上げました通り、右の欄に書いてございます。この国民総生産のうちで特に鉱工業生産と農林水産生産が下の欄に列挙してございますが、鉱工業生産は、昭和三十年を一〇〇といたしまして、三十三年が一四九・四となりますが、これが三十四年は一八九・八と非常に上昇したわけでありまして、これが前年度対比で二七%の上昇になるわけであります。主として機械、鉄鋼、その他各産業とも伸びておりますが、機械あたりは四六%、鉄鋼が三五%というような大幅な伸びをいたしております。これに対しまして、三十五年度の鉱工業生産水準は、ここにございますように二一二・二ということでございまして、前年度対比では二・八%という伸び、こういうふうに予測いたしております。  以下省略いたしまして、物価のところをごらんいただきたいと思いますが、一つ飛びまして、卸売物価でございますが、この年度比較のところをごらんいただきますと、三十四年度は三十三年度に対して一〇二・三と書いておりまして、二・三%の上昇に相なっております。これは一昨年の景気停滞期から上昇いたしまして、秋から昨年の四月まで上昇して参りまして、その後落ちついておりましたが、昨年の八月から十一月にかけて多少物価が上がっておりますが、その後若干反落をし、また現在は落ちつきを示しております。来年度の見通しといたしましては、現在のほぼ横ばいと考えておりまして、ここにございます一・一というのは、年度比較におきましてはこういうことになりますが、内容は大体横ばいという判同断でございます。消費者物価は、三十四年度一・三%の上昇でございますが、来年度は一・一%の予想をいたしております。  その次の欄に国際収支が書いてございますが、ここに書いてあります数字は為替ベースの収支でございまして、一番上の受取の次に輸出の欄がございますが、輸出の欄をごらんいただきまして、三十四年度は三十三億三千万ドルの見込みでございます。三十五年度は三十七億ドル、三十四年度は前年度に対して二二%の上昇でございます。額にして六億ドルもふえておるわけでございます。対米輸出あたりは五〇%増加をいたしております。来年度は本年度に対して一・一%、これは世界貿易の状況から見まして、この程度は伸びると考えております。  それから下へ参りまして、支払いの項のうちの輸入のところをごらんいただきますと、三十四年度の輸入は三十一億九千万ドル、三十三年度に比べましてやはり相当増加いたしておりまして、七億三千万ドルも増加をいたしております。来年度は生産の伸びに見合いまして輸入をはじいてございますが、三十五年度は三十六億一千万ドル、本年度に対して一二%の伸びを予測いたしております。  かくいたしまして、その他の項目を加算いたしまして、全体としての貿易の収支じりでございますが、実質収支じりといたしまして、三十四年度は二億五千万ドルの黒字、来年度は一億五千万ドルの黒字と予測いたしております。これはユーザンス等を除いた実質でございますので、ユーザンス等除きませんで、なまの形式収支をとりますと、下にカツコしてございますように、やはり四億ドル以上の黒字が出るというような予測に相なるわけでございます。  かような経済状況でございまして、雇用情勢は一般に好調でございます。その雇用者総数というところをごらんいただきますと、三十四年度は、前年度が二千八万人に対して二千百十二万人で、百四万人の増加、三十五年度は二千二百六万人で、前年度対比で九十四万人の増、かように推定いたしておりまして、石炭等一部を除きましては、おおむね雇用情勢は順調に推移するものと考えておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、概略御説明申し上げました。
  13. 小川半次

    小川委員長 以上をもちまして提案理由説明は終わりました。
  14. 小川半次

    小川委員長 この際お諮りいたします。総予算につきましては、国会法第五十一条によりまして、必ず公聴会を開かなければならないことになっております。つきましては、昭和三十五年度予算公聴会開会承認要求の手続その他開会に関する手続等は、先例によりまして委員長に御一任願いたい……。存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 小川半次

    小川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十四分散会