○小沢(貞)
委員 一カ月もたって後に、最近また炭住街にこういう集団的な、デモをやった
あと戸をこわしたり、入浴中の婦人の着物を持っていって、いじめたりというようなことで、最近の情勢は百数十名の第一次の集団疎開の人が帰るどころではない。私たちが行って真剣に訴えられることは、また集団的に疎開しなければならないというような情勢になってきているわけです。一体どうしてそういう情勢になったかということを現地に行って判断してみると、こういうことです。第二組合のできたときには三千何名でしたが、それが二十日ばかりたつ間にだんだんふえていって、今では五千二百何十名という工合に、第二組合がだんだんふえていっているわけです。第二組合がふえるのを防ぐのは、戦術としては、就業する者の留守家族を不安がらせる、それにいやがらせをするよりほかに手はないということで、急に炭住街の留守家族に対するあるいは家庭の婦人に対するいやがらせ
行為が始まってきたわけです。そういうことが一つの理由です。もう一つの理由は、これは私なりの判断ですから間違っているかもしれませんが、この炭労の争議の勝敗というものが、だんだん見通しがついてきた。従って全国から集まってくるオルグが現地に行って、これは
警察官の方から聞いたんですから間違いないと思うのですが、自由労務者という腕章で、一部のあまり好ましくないような人々が、大阪から幾人、兵庫から幾人という工合に入ってきて、そういう人たちが十日なり十五日のオルグが終わったならば、帰りがけの駄賃としてやっていくのだというような点もあるのです。争議の形勢からだんだんこういうことになって参りました。従って現地の
警察に聞いてみても、新組合の幹部の身辺は特別に擁護しなければいけないとか、会社の重要
施設に対しては特別保護しなければいけないとかいうような恐怖の状態が一段と出て参ったわけです。だから、ここで
警察が実際はしっかりしてもらわなければならぬにもかかわらず、
警察はしっかりしておりません。今
警察庁長官は、
警察とすみやかに連絡願って直ちに処置すると言われるが、それさえできれば、こういうことは起こっていかないわけです。
警察にいかに頼みに行ったって、
警察はやってくれないわけなんです。そこにいけないところがあるのです。
警察が直ちに
現行犯として逮捕してくれるならば、
あとは暴力肯定の思想が増長せずして、こういうことはだめだということになる。それをやっていない。私たちは、どうしてこういうことが今長官の耳にそういう格好に入っているかというと、私たちが行くときは、門司さんや何かと一緒ですが、最初九州管区の局長、それから福岡県警の本部長と会ってみたら、だいぶ大丈夫になりましたということなので安心して出かけて行ったら、あくる日は実態が違うわけです。その管区局長とか本部長の報告を受けているものだから、今のような答弁しかしていないわけです。だから私はそこに根本的な誤りがあると思います。その誤りを是正してかからないと、具体的な適切な処置を講ずるといっても具体的にできないと思うのです。どうしてそういう実態になったかと言えば、私はこうだと思うのです。おそらく、大牟田市でも社会党の市長であるし、労働組合出身の社会党の議員がたくさんいる、過去においてたびたび争議があったので、争議には介入してはいけないぞということで、
警察は常に争議に介入することは――これはなかなかむずかしい問題だと思います。労働争議に
警察がどういうふうに介入することがいいか悪いかということは、なかなかむずかしい。あるいは福岡県の知事が社会党の知事であるということや、労働組合出身の議員が多いということで、
警察がだいぶ遠慮しすぎているのだ、この点が必要以上にあるのです。そうして労働争議の範囲を逸脱した暴力に対してもなおかつ拱手傍観をしている、こういう実態じゃないかと思うのです。門司議員が今言われたように、現に私たちが、たしか二十二日の午前八時半、朝早く見て行こうということで新港住宅街の入口へ行ったらば、百人か二百人くらいのピケに阻止されて、国
会議員だと言っても入れてくれないわけです。その二メートル、三メートルと離れないところに福岡県警の検問所があるのです。検問所ではこん棒をちゃんと持って、十人くらいの人がただ並んで見ているだけです。それでわれわれはやむなく引き返さざるを得なかった。そこでは何らの措置も考えていない。道路交通法上の道路になっていないわけです。そういうことが平然と行われている。今度は四山炭住街へ行った。そこは熊本県警の領分だが、組合の人に言って何とかそこのピケをあけてくれと言ったら、わかりのいい親方がいて、それじゃ国
会議員は入れてやらなければいけないということでようやく入れば、今度は親切にも、パトロール・カーをつけて私たちを
案内してくれた。それで私たちはこの間のデモで住宅が破壊された、戸が破壊されたというところを見せてもらいたい、こういうことでパトロール・カーに乗って、こわしたところを見て回ったわけです。そういうふうに現実にこの間のデモで家がこわされている、その犯人というものは全然放置してあって、何にもしてないというところに問題があるわけです。ここを一つ考えていただかなければなりません。
そこで私はどうしてそういうことかと言うと、福岡の地検へ寄ってちょっと名前を忘れましたが、その人に聞くと、こういうことなんです。この三月二十八日のあの大乱闘のときの逮捕状が発せられて未逮捕の者が日労に十七名、新労に二名あって、新労の二名の一人は入院、一人は病気だ、こういうことだが、旧労の十七名はデモの中に入っておるかどうかして、つかむこともなかなか困難だということです。それから
あとで行って聞いてみると、なに、給料をもらいに来ているではないか、本部で堂々と電話をかけているじゃないか、そういうことです。それをつかまえないためにこういうことになっている。それで、その十七名か何かの、三月の一月前の逮捕に一生懸命になっておる。それで炭住街に
事件が数十件あるけれ
ども、目下のところ、三月二十八日の三川鉱の乱闘
事件の検挙に全力をあげております。こういうことです。だから炭住街に起こっておる
事件については今のところ手が回らないのか、あるいは無視しているのか、あるいは意識的にやっていないのか、手が回らないと言っている。それは三川鉱の最初の乱闘の検挙の方に一生懸命熱を入れております。こういう格好ですから、てんで頭から、炭住街で起こるいろいろの
事件については、手をつける意欲がないのではないか、こういう工合にしか受け取れないのです。だからたとえば私たちが行った二、三日前ですが、全労のオルグが二、三十名、旧労の七、八百人から千人の者に取り囲まれてしまった。そういう中で
警察があわてて飛んできた。飛んできたところが、旧労の人に
警察は介入してはいかぬぞといわれて
警察は引き下がり、みんなそこへすわり込んでながめている、こういうことです。これは確かな場所と具体的なことは忘れましたが、十三名のうち十名かけがをしている、こういうことなんです。まるで旧労に支配されている
警察であるかのごとき実態だから、こういうことになってしまうのだ。その辺を一つはっきりしていただかないと、こういうもののめどはつかないと思うのです。だから柏村長官の言われる適切な処置とか連絡をしてもらうとかいうことは、もうさんざんやりほうだいにやっているのです。なおかつみずから自衛しなければならないということと、それからきょうも五十名からの婦人が陳情に来なければならぬという実態なんです。だから中間の報告が悪いのです。もっとはっきり言うならば、そこの本部長を更迭するなり何なり決意をしなければ、そんなことはできないと思うのです。その辺を具体的に、もっと治安確立についての御答弁をいただきたいと思うのです。私は昨日だか一昨日だか、石原国家公安
委員長にこういう実態であるという申し入れをいたしました。国家公安
委員長は何か忙しいらしいので、それならば
警察庁長官なり
刑事局長なり担当警備局長なりが直ちに行って、実態を把握していただく、そういうことが必要ではないかと思います。その辺の御見解を一つ……。