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1960-04-13 第34回国会 衆議院 文教委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十三日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 大平 正芳君    理事 稻葉  修君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 武雄君 理事 栗原 俊夫君    理事 西村 力弥君 理事 長谷川 保君    理事 小牧 次生君       坂田 道太君    進藤 一馬君       谷川 和穗君    濱野 清吾君       八木 徹雄君    金丸 徳重君       高田 富之君    受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         文部政務次官  宮澤 喜一君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会経済部長)  小沼  亭君         専  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 四月十一日  委員竹下登辞任につき、その補欠として江崎  真澄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員江崎真澄辞任につき、その補欠として竹  下登君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員鈴木一辞任につき、その補欠として受田  新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  理事西村力弥君同日理事辞任につき、その補欠  として栗原俊夫君が理事に当選した。     ――――――――――――― 四月八日  義務教育課程の改訂に伴う設備費に関する陳情  書  (第五八五号)  義務教育施設整備充実等に関する陳情書  (第五八六号)  高等学校の授業における生徒の編成及び教職員  配置の基準法制化に関する陳情書  (第六五〇号)  へき地教育振興法の一部改正に関する陳情書  (第六五一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  学校教育教科書問題)に関する件      ――――◇―――――
  2. 大平正芳

    大平委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、学校教育に関する件について調査を進めます。  まず教科書問題に関し質疑を許します。小牧次生君。
  3. 小牧次生

    小牧委員 先般私が教科書の問題、特に検定の問題についてお伺いいたしましたが、その際の内藤初中局長答弁の中に、教科書検定にあたっては非常に誤記誤植が多い、従って調査官としては、特にこの問題に力を入れて、あたかも校正係のような努力をしておる、またそういうことで、調査官検定にあたっての主観が介入するようなことはないようなことを言っておられたようであります。私は時間のために一応検定の問題はあれで終わったような形になっておりましたが、あの際にお聞きいたしたのは、そういう問題ではない。あくまでも各社から出された原稿内容に対する調査官考え方、これを中心としてお伺いをいたしたつもりでおります。従いまして、あの際には、四十名の調査官の氏名とその経歴を公表願いたい、お示しを願いたいということを御要望申し上げたわけでありますが、その資料はお持ちになっておりますかどうか。  さらに先ほど私が申し上げた誤記誤植が非常に多くて、これを直すのに調査官は多大の労力を費やしておる、こういうことは、たくさんの調査官を置くということは、たくさんの経費を要するということにもなるわけであります。人数が少なければそれだけ予算も少なくて済むというわけで、局長答弁を聞いておりますと、非常に誤記誤植が多くて、調査官をたくさん置かなければ、誤字誤植の間違いを訂正することはできないというふうに私は聞き取れたわけであります。もしそうであるとするならば、何も文部省調査官人数をふやして、誤字誤植訂正させるというような措置をとらなくてもいいのではないか。たとえば、それぞれ発行会社には相当牧の人もおるわけでありますから、そういうところに文部省の方で話し合いをして、訂正の係を置いてもらうとか、自発的にそういうことがないような事前措置発行会社の方にしてもらう、あるいはまた業者の団体であるたとえば教科書協会、そういう機関に、業者経費の負担において専門家を置いてもらう、そうして誤記誤植がないように、その絶無を期するような措置をとるべきではないか。重ねて申しますが、誤記誤植が多いからそのためにたくさんの調査官を置いておるというような印象を受ける答弁があった。そこで私はこういうことをお伺いいたしておる。これについて局長の御見解を承りたい。
  4. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 この前の委員会教科書調査官略歴と名簿の一覧表を出せというお話でありましたので、その用意をいたしております。すぐお手元に届くと思っております。  それから教科書誤記誤植が非常に多い。同時に教科書内容が正確でなければなりませんので、その正確性を欠いておるという点が非常に目立っておるのでございます。そこで教科書会社においてもそれぞれ専門家がいらっしゃるはずでございますので、私どもとしてはもっと丹念に検討していただきたいという希望は持っております。それぞれ専門家を配置していらっしゃるので、各会社にそういう御要望は申し上げますけれども、そうかといって、完璧なものが当然提出されるはずでございますが、この点はいかんともいたしかねるのであります。もちろん調査官任務は、誤記誤植正確性を欠いておるというだけではございません。一番大事なのは、もちろん内容が正確でなければなりません。誤りがあってはならないのでありまして、この点は特に注意をして見ておるのであります。子供たちに間違った概念を与えることは教育上大へんな問題でございますので、この点には特に注意しておる。誤記誤植の多いことも事実でございまして、調査官の方が私にいつも不満を述べておりますのはどうも校正屋のようだというようなことをしばしば申しますので、この点をこの前申し上げた次第であります。ただ検定基準は先般御指摘になりましたように教育内容、程度、範囲、組織配列等もございまして、そのほかにあまりに地方的なものも検定基準には合格いたしませんので、十項目にわたりまして必要条件検定いたしますので、教育上適切であるかどうかという判定が必要でございます。そこで四十人と申しましても、これは各教科に分属されておりますので、小、中学校でも約十科目ほどございますし、高等学校に至ってはさらにこれが細分化されておりまして、それぞれ専門知識を要しますので、社会科で申しましても地理の方もあれば歴史の方もある、歴史でも日本史の方と西洋史の方がある、こういうふうにそれぞれの分野がございますので、この四十人では私は決して十分だとは思っておりません。非常に大へんな御労苦でございますので、四十人が多いというふうには考えていないのでございます。もちろんこれだけでも十分でございませんので、さらに現場の先生、あるいは特殊な専門知識を必要とする場合には、大学のそれぞれ特定の専攻をしていらっしゃる先生方に御依頼いたしまして、約五、六百名の調査員を委嘱しておるような状況でございます。四十人の調査官と五、六百名の調査員両方調査をお願いいたしまして、審議会審議会みずからも調査され、その両方意見を参考とせられて、最終的な決断を下される仕組みになっておるのでございます。
  5. 小牧次生

    小牧委員 いろいろ御答弁がありましたが、なるほど私も誤記誤植訂正することだけが調査官仕事だとは考えておりません。しかしどうも答弁から受ける印象は、誤記誤植誤字訂正に力を入れ過ぎて、そちらの方に労力をさかれて、そちらの方が今の調査官仕事の大部分であるというような印象を受ける。そうなると、従来いろいろ検定について問題があるのは、次第に思想統制を加えて、国家統制方向へ持っていきつつあるのではないか、こういうことでいろいろ論議が戦わされておる。この段階において、多少問題の焦点をそうそうというようなお考えで言われておるのではないかという印象も受ける。そこで今検定審議会があって、たくさんの権威のある方にいろいろ審議をしていただいておるわけでありますが、そのほかにたくさんの調査官を置いて今言われるような仕事をしておられるのでありますが、数年前に政府の方から教科書の法案が出た。これに対して当時社会党の方からも対案が出された。これらの内容を今思い出しながら考えてみますと、いずれ将来この調査官制度というものはやめて、そうして第三者からいろいろ誤解されたり、危惧の念を持たれることのないような公正な機関を設置して検定の問題に当らせるべきではないか。たとえば学識経験者その他の方々を、国会同意を得て文部大臣が任命して、この人々によって構成される機関によって教科書検定をやっていただくとか、何らかそういう方法考えてみる必要があるのではないか。当時の社会党の案にもたしかこれが盛られておったと私は思うのでありますが、この点について松山文部大臣のお考えを承りたい。
  6. 松田竹千代

    松田国務大臣 文部省として現在委嘱しております調査員なり、また文部省内に四十名の調査官を置いておるということは、これらの人々を選定するにあたっては、きわめて慎重に適当な方々をということを主眼にやっておることでございまして、従って公正な立場において検定任務を果たしてもらっておると考えておるわけであります。お話のように、さらに国会承認を得てそれぞれの専門家を委嘱するというような手続をとるまでもなく、現在でもそういう今申し上げたような観点から特に慎重を期してやっておる次第でございますので、今直ちに今お話のような新たなるやり方をとる必要もなかろうと考えておるわけであります。
  7. 小牧次生

    小牧委員 これは先般の委員会でも私は申し上げたのでありますが、原稿を出されて検定をする際に、調査官の方でいろいろ口頭で指示をされる、あるいは場合によってはメモで指示をされるというようなことで、ここで取り上げて一々申し上げるような具体的な資料になるようなものがない、こういうことで私もはっきりしたものをつかんで申し上げておるのではありませんが、何といっても検定の問題については、各新聞あるいは週刊誌等を見ましても、今私が懸念するようなことがいろいろ問題にされておる。これは言葉表現はどのようなものであったかわかりませんが、出犯業者の人を呼んで調査官の方がいろいろ指示をするにあたっては、相当きつい態度で臨んでおる人もある。これは現にそういうことを私は聞いておる。そうなると検定に合格してもらうためにはやむなくそれに屈服をしなければならない。こういう状況でありますと、何といっても検定者調査官考え方というものがどうしてもそこに強く押しつけられにじみ出ていく、こういう結果になることを私は先般の委員会で申し上げた。今大臣は、今直ちに調査官制度をどうするという考えはないというようなお話でございましたが、やはり国のそういう権限のあるところで考えておる考え方なり思想なりというものが、一方的に教科書内容に現われていくということは避けなければならない。そのためにやはり権威ある学識経験者その他国会同意を得るとか、こういう形で選ばれた人によって検定をされるということが一番望ましいのじゃないか、こういうふうに考えたから私は今それを申し上げたのであります。  数日前に出された「朝日ジャーナル」でありますか、あれには、調査官村尾次郎氏と和歌森教授との対談が克明に記録されております。ここで一々これを取り上げて論議をするわけではございませんが、その中にも、やはり私どもとしては直ちに村尾調査官の御意見をそのまま肯定するわけにはいかない表現の個所も私は多数あるように思うのであります。これはまあその人の考え方でございますから、それはそれまでだということになるかもわかりませんけれども、いずれにいたしましても、検定をする人の考え方というものが非常に強く、しかもこまかく、厳重にそれを抑えていくというような機構になっておるということを考えなければならぬ、これを私は申し上げておるのでありまして、現在また中学校教科書ですか、それがもうすでに検定出願中であると聞いております。またこの検定にあたって質問をすれば、誤記誤植が多くて調査官側も非常にこれに苦労しておるというようなことを答弁されるのじゃ、これはどうにもならない。従ってそういうことの起こらないような処置をまず第一に文部省としても講じて、初めて僕らと応答すべきである。これは当然なことだと私は思う。いつまでたってもこの問題で質問をすれば、また誤記誤植が多くて非常に困っておるというような答弁では困るので、こういう制度をとって、誤記誤植をなくすると同時に、検定の仕方についても、内容についても、押しつけられたという印象を受けないような方法を何らか考えるべきではないか、こういう意味で私は今申し上げたのでありまして、再度この点についての御答弁を願いたい。
  8. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 専任調査官制度をしく前は、全部調査員を委嘱いたしまして行なったわけでございます。ところがその結果どうしても片手間でございますので、ただいま申しましたように、誤字誤植はもちろん、内容の不正確、あるいは組織分量等についても適切を欠いておるといったような点がしばしば指摘されましたので、調査官制度を置いたわけでございます。しかし調査官が自分の主観で、一人できめているわけではございませんので、社会科で申しますと十人ほど調査官がおるわけでございます。この十人が全部で一冊の本を調査審議し、その統一意見をまとめまして審議会におかけする、同時に調査員の方からも調査意見書が上がってくるわけでありまして、その調査官報告調査員意見をあわせて審議会審議されておる。審議会も八十人ほどおりまして、それぞれ各教科に十数人の者が配置されておるわけでございまして、その中でも慎重に審議され、審議会委員方々もみずから本の原稿をごらんになって、一々意見を付していらっしゃるわけでございます。しかもその審議会で多数の意見の一致を見ておるわけでございまして、この審議会において多数決でやったというような例は私は聞いておりません。皆さん方納得のいくように、時間を十分にかけて、統一された見解を出されておる。この統一された見解を出されたものに対して、調査官がそれを指示する、こういう形になっておりまして、皆さん方の御承認を得たものを指示しておる、こういうわけでございますから、調査官主観によって検定の事実を左右されるということはないものと考えておるのでございます。今後中学校検定が始まるわけでございますが、今お話のように皆さん方納得のいくように十分御説明いたしたいと思っておりますが、今日までのところ、調査官が説明いたしましてほとんど納得をしていただいておるわけでございますが、もちろん著者と根本的に見解の相違する場合もあります。ですからこういう場合に再度申請される道があるわけでございます。どうしても著者の方がお譲りにならない場合は、審議会にかけてさらに検定を求めておる、こういうような事情でございますので、調査員個々の人がいろいろと審議会の決定について指示する場合には、十分注意していかなければならぬと思っておりますが、できるだけ著者出版会社の御理解と御協力を得るように努めて参りたいと考えております。
  9. 小牧次生

    小牧委員 検定の問題についてはもう多くを聞きませんが、最後にお伺いしたいのは、よく世間ではM項パージとかあるいはさらにN項パージとか、こういう言葉を使っておる。私も最初はよくわからなかったのでありますが、M項というのは村尾次郎N項というのは内藤初中局長、こういう話であります。どこからそういう名前が出るのか詳しく存じませんが、やはり検定態度についていろいろな批判があって、そこから生まれてきたのではないかと思う。  そこでここに配付されました調査官略歴を見ますと、村尾さんというお名前が載っておりますが、東大の助手とか富士短大の教授というような簡単な略歴になっておりまして、この資料に関する限り、これ以上のことをたくさん知る由もないのでありますが、このM項云々というのは、何かこのほかにこういう名称がつけられるような根拠でもあるのですか、いかがですか。
  10. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 村尾君にそういうような個人的な権能もないと私思っておりますし、またそういう御非難を受けるような方でないと思っております。文部省調査官として任命するにあたりましては、慎重に審議もいたし、りっぱな方だと私は考えておるのでございます。従って先ほど来申しましたように、村尾君個人が検定しているわけじゃございませんで、あくまでも合議制をとっておりますので、そういうことはあり得ないのでございます。審議会へ出す原稿につきまして検定基準というものがございますので、私はその検定基準を逸脱してはいないかという点には絶えず配慮をいたしておるのでございまして、調査官についての指導、監督権を持っておりますので、私自身も疑問の点についてはさらに調査をお願いする場合があり得るわけでございます。検定基準には絶対条件が三項目必要条件が十項目ございます。その基準を逸脱しているかどうかという点については絶えず私関心を持っているようなわけでございまして、私が検定事務にタッチしているわけでもございませんし、この点は何らかの誤解だと思っております。M項パージに至っては同じようでございます。
  11. 小牧次生

    小牧委員 先ほど申し上げた朝日ジャーナルの四月十七日号を見ると、片や村尾次郎、片や和歌森太郎と写真を出して、「対立する「M氏」の見解と学者の主張」と書いてある。これは私はそう権威のない週刊誌とは思っておりません。これは朝日新聞社の関係のものじゃないかと思うのですが、特に今申し上げた社会科でも十人の調査官がいて、その中で村尾次郎氏の名前を出して、しかも対立するM氏とこう書いてある。そしてこの対談内容を見ると、ほとんどこのM氏すなわち村尾氏が言うような歴史観歴史教育、こういう点についての見解が相当強く述べられておるし、同時にいろいろ私どもが聞いてみますと、たくさんその村尾調査官名前が出てきておる。非常に強い態度会社の方から出頭された方にいろいろ話をされる。これは私が面接立ち会ったわけではありませんから、あるいはただのうわさで、間違いであるかもわかりませんが、そういうことを聞いておる。そこで合議制でやっておられるとか、いろいろなお話がございますが、それらの内容について公表できるものかどうかお伺いします。
  12. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 これの内容は非常にたくさんございますので、A意見にいたしましても、B意見にいたしましても、検定基準に照らして詳細なものでございますので、これは一々公表するわけには参らぬと思うのでございます。
  13. 小牧次生

    小牧委員 そういうところにいろいろな批判も生まれ、また秘密主義ではないか、証拠が残らない、従っていろいろ言ってもそういうことはないとかいうことになってしまうのですが、しかしながら依然としていろいろな週刊誌新聞その他を見ると、それと逆な記事がたくさん書かれておる。これは私どもは非常に遺憾とするわけでありますが、私どもはそれらの資料について、はっきりしたものを持っていないで申し上げるのはどうかと考えますから、これ以上は追及はいたしませんけれども、先ほど来私が申し上げるような検定に対する態度について、制度について、もう少し納得のいく、合理的な機構なり制度を検討されることが望ましいのではないか。といってよく言われるように、さらに国家基準を強化するとか統制を強化するとか、そういう方向へ持っていかれるということは、これは私の今申し上げる趣旨に反するわけでありまして、私はそういう措置には反対をいたすわけでありますから、そういう点は一つ誤解のないように、そういう線で御検討を願いたいということで、検定の問題は一応これで終りまして、採択販売の問題についてさらに文部省の御見解公取委の御見解を、承っておきたい。  そこで、先般の文教委員会におきましても、同僚の議員の方からいろいろ概括的に教科書採択販売についての御質問があり、答弁があったわけでありまして、多少私の質問は重複する点があるかも存じませんが、その点は御了承を願いたいと思います。  新聞週刊誌の報ずるところによりますと、小学校教科書については七月に展示会を十日間開いて、これによって採択が決定される、そこで各教科書会社においては猛烈な宣伝競争が行なわれる。従って三年分の巨額の宣伝費を一挙に投入して、そうして千載一遇のこの機会に勝利を占めたいということで、週刊誌その他にそれらの内容がいろいろ記載をされておるわけであります。昭和三十年にはちょうどこれと同様の問題が起こりまして、国会において、行政監察特別委員会その他において激しく論議をされた過去の事実があるわけでありますが、現在のこれら新聞紙あるいは週刊誌等が報じておるこの教科書業界の当面せる問題について、文部大臣は御存じでありますか、いかがです。
  14. 松田竹千代

    松田国務大臣 私はあまり詳しい報告は受けておりません。従ってあまり詳しいことは知りません。教科書採択販売についていろいろ激しい競争が行なわれておるということはうすうす知っておりますけれども、詳しいことは存じません。
  15. 小牧次生

    小牧委員 大臣はうすうすは知っておるが詳しいことは知らない、こういうお話で、はなはだ心もとないのでありますが、それでは重ねてお伺いをいたします。今のような状況のもとにおいて推移するならば、あるいは忌まわしい問題が将来起こらないことを確信を持って御答弁が願えるかどうか、お伺いいたします。
  16. 松田竹千代

    松田国務大臣 将来のことについて、私は必ずしも確信を持ってこれらのことについてお答えすることはできませんが、忌まわしいことがかりそめにも教育界において行なわれることのないようにということだけは厳に注意をし、指導していきたいと考えております。
  17. 小牧次生

    小牧委員 それでは順次局長その他にお伺いいたしますか この問題について先般の委員会白井委員からもいろいろ御質問がございました。その際に内藤局長は、文部省としては通達を出しておる、こう答弁された。同時に、まだ検定が終わったばかりであって、見本木も出ていないし、激烈な競争はあるはずはない、こういう答弁をされたように私は記憶いたしております。ところがこれに対しまして公取委の方の方々の御答弁を聞いておりますと、たしか、いろいろ事前運動が行なわれておって十分注意しておる、こういう御答弁であったと私は思うのでありますが、そうなると、この現実の事態の把握、認識について、文部当局公取委方々把握の仕方が違っておる、こういう印象を私は受ける。これについて内藤局長のお考えを承りたい。
  18. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 本年は、小学校教科書が全部印刷がえになるために展示会が行なわれるわけでありまして、本年度競争が激烈になるであろうことは私どもも心配しておるのでございます。それで教科書審議会でも、不公正な取引のないようにという文部大臣あて建議が出ております。この建議を受けまして、本年の一月十二日付で初中局長名をもちまして、都道府県にもまた教科書業界にも、不公正取引のないように警告を発したわけでございます。検定が終わりましたのはつい最近でございます。ようやく見本本が提出されまして、それを文部省が許可してからセンターに送るなり、あるいは見本本関係者に配付するなりする段階になるわけでございます。現在のところ、各教科書会社はほとんど編集に追われっぱなしで、それほど激しい競争が行なわれるはずもないし、行なわれてないだろうというふうに思っておるのでございます。特に中学校編集がようやく終わって、検定出願が終わったような状況でございます。こういう点を考えてみますと、見本本が出回るのがこれからでございますから、これから競争が激烈になるであろう。特に四、五、六、この三カ月間におきましては、相当競争が熾烈になるのではなかろうか。この点は私どもも心配し、教育会議でも委員長会議でも注意を喚起しているようなわけでございます。現在それでは競争が激烈かというお尋ねについては、私どもは、まだその階段にはなってない、こう申し上げたいと思います。
  19. 小牧次生

    小牧委員 それは把握の仕方でございまして、一応そういう把握の仕方もあろうかと思うのです。だがしかし、現在そうなっていないという御答弁の表を返せば、それでは私が指摘申し上げるように、非常に激しい教科書競争でありますか、販売競争が予想されるということにもなろうかと思うのでありますが、これについてはいかがでございましょう。
  20. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 そのことは実は懸念しておるわけでございまして、来年全部小学校教科書が変わりますので、本年の展示会におきまして相当競争が激烈になるであろう、このことはかねて私どもも心配しておるのでございます。
  21. 小牧次生

    小牧委員 これについては先ほどの御答弁の中でも、先般でも、いろいろ通達を出しておる、こういう御答弁があったわけでありますが、ここで申し上げるまでもなく、そういうことではたして今一般に懸念されておるようないろいろな問題、特に公正取引委員会が規定をいたしております特殊指定の中のいろいろな規定に違反する行為が防げるということは、私はむずかしいと思うのです。いかがです。
  22. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 数年前までは確かに相当公取の特殊指定がされるような事態があったことは、私否定いたさないのでございます。しかし最近は経済的にもだんだん復興して参りますし、社会秩序も整備されて参りましたので、数年前、かつてあったような事態がまた再現されるとは私どもは思っていないのであります。ただ何分にも全教科書が一斎に改正になりますので、競争が激烈になることは予想しておるのであります。その競争の激烈の結果、御指摘のような事態が絶無だとは私どもも思いませんけれども、少なくとも数年前にあったようなああいう忌まわしいものはだんだん影をひそめているように思うのでございます。
  23. 小牧次生

    小牧委員 私は、今内藤局長がそういう御答弁をされるが、本気でそう言っておられるのかどうかきわめて疑わしいと思う。かりにその事例をあげろと言われるならば、これは枚挙にいとまがない。おそらく昭和三十年のころを相当上回るいろいろ激烈な競争が起こり、従ってこれに付随していろいろな問題が起こるであろうと私は予想をし、あなたとはその見解を異にいたしております。  そこで私は、そういう立場からさらに問題をお伺いいたしてみたいと思うのでありますが、しからば今検定が終わって、採択に入らんといたしておる小学校用の教科書を発行する会社、これが特に当面激しい競争をいたしました。しかも先ほど申し上げたように、十年に一回、さらには三年に一回というようなこの千載一遇の機会に巨額な宣伝費を投じて猛烈な競争をする、今すでにそれが行なわれておる。しかもいろんな新聞や雑誌を見ましても、七月に展示会が行なわれるときにはもうすでに勝負は終っておる、こういわれ、これがもう常識となっておるようであります。従いまして私は具体的に今、小学校川の教科書検定に通って、その競争に入らんとしておる教科書発行の会社の名称、その数をここでお示しを願いたい。
  24. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 小学校教科書原稿審査のときに出しました会社が三十社ございます。これを一々お読みしましょうか。(小牧委員「読んで下さい。」と呼ぶ)日本書籍、東京書籍、大阪書籍、大日本図書、中京出版、教育図書、開隆堂、学校図書、二葉、三省堂、教育出版、信濃教育会、教育芸術社 光村図書 啓林館、音楽之友社、春潮社、文学社、日本文教、教学、大和図書、三浦、日本教育図書、日本図書、若草、帝国、大誠、国際、教育図画研究会、日本書院、まあこのうち大きなところは最初に申し述べました大体十社くらいです。日本書籍、東京書籍、大阪書籍、大日本図書、中京出版、それから学校図書、二葉、教育出版、この辺が最も多く一般的に出しておる、この辺でございます。
  25. 小牧次生

    小牧委員 そこで大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、大臣は今申し上げるような教科書採択販売の問題について、実際にはどういうふうにして行なわれておるかということを御存じでしょうか。いかがです。
  26. 松田竹千代

    松田国務大臣 よく存じません。
  27. 小牧次生

    小牧委員 どうもこういう大事な問題を、よく知らないと、これは正直な御答弁でございますが、非常に大事な問題でありますので、もう少し詳しくわかるように、大臣も御勉強を願いたいと思う。それでは初中局長にお伺いをしますが、どういう仕組みになっておりますか、お伺いをいたします。
  28. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 教科書原稿検定に合格いたしますと、それによって見本本を提出されるのであります。見本本を提出されて、文部省でいいということになりますと、それを常設展示場に出すわけでございます。これが四月以降に常設展示場に出ますし、全国で六百カ所ほどの教科書センターがございますので、センターには全部一部ずつ出て参ります。そのほかに約一千くらいの臨時分館がございます。ですから臨時分館に教科書が送られるわけでございます。それ以外に見本本を随時送ることができるようになっておるのでありまして、小、中学校の場合ですと千部なり千五百部程度は各会社が随時出せるようになっておるわけでございます。それから高等学校の場合は、センターのほかに高等学校は独自で教科書の選定を従来からいたしましたような経緯もございますので、高等学校には見本本は二千部くらい出回っておるのであります。ですから七月の一日から十日間展示会がございますが、この前に常設展示場で十分見ていらっしゃるわけですから、その十日間のときには最終決定をするというようなことになるわけでございます。結局四、五、六と三カ月間にわたってそれぞれ教科書会社が自分の教科書のPRを行なうわけであって、これは私当然だと思う。せっかく何千万、何億という金をかけた教科書でございますから、自分の会社の適切な宣伝をすることは差しつかえないと思う。あくまでも私どもは不公正な取引が行なわれてはならぬという点に着眼をして注意をいたしておるわけでございます。ただ本年は、私が先ほど前のような事態がないであろうと申しましたのは、一つは、経済的にだんだんと一般の生活が向上して参りましたし、社会秩序もよくなったということのほかに、教科書業界は膨大な宣伝費を持っているというお話がございましたけれども、今日のところ小学校中学校教科書の改訂で非常に苦しい立場にありますので、お話のような膨大な宣伝費をお持ちになる余裕のある会社は私はほとんどないのではなかろうかと思うのでございます。
  29. 小牧次生

    小牧委員 私が今ここでいろいろ取り上げて御質問申し上げるのは、申し上げるまでもなく問題は児童、生徒の教育に関する教科書の問題であり、さらにはまた公正取引委員会ではっきりと規定をされ、その規定に基づいて、いやしくも採択、販売について不公正な行為があってはならないとされておるがゆえに、私はこの文教委員会で取り上げておる。公正取引委員会の経済都調整課の方で編さんをされた「教科書業における特殊指定の解説」の前書きにこういうことが書いてあります。少しくどいようでありますが、一応読んでみます。「公正取引委員会においては、昭和三十一年十二月二十日、委員会告示第五号をもって「教科書業における特定の不公正な取引方法」を指定した。この指定は、教科書業界に特有かつ顕著な不公正な取引方法として、第一には、教科書業者はその発行する教科書の販売に当って、教科書の選択に関与するものに対して、直接間接を問わず、金銭、物品の提供、供応などの利益供与を行うこと、第二には、第一にあげたような経済行為を、教科書発行業者が販売業者に対して行うこと、第三には他社の中傷、ひぼうその他の不正手段をもって、他社教科書の選択を妨害すること、の三点を規定した。この特殊指定は独占禁止法の目的となっている“公正かつ自由な競争の促進”によって一般大衆の利益と国民経済の民主的で健全な発達をはかることを目的としているのであって、教科書業界がこの指定を契機として真に公正な競争秩序を確立することができれば、その事業の文化性に鑑みて社会的意義は大きいといわねばならぬ。かかる目的が達成されるか否かは業界各位の十分な理解と協力なくしては達成されるものでなく、かつまた、業界と密接な関連をもつ教育関係者の真の理解協力がなくしては到底万全を期しうるものではない。」ここにはっきりと、この特殊指定のよって来たるゆえんのものを規定をいたし、明らかにいたしておる。ところが先ほど来いろいろ申し上げる通り、この規定に反し、そうして健全な発展が阻害されるような問題がいろいろ指摘をされておりますので、私は質問を申し上げておる。たとえばこれは三月二十一日号の週刊文春でありますが、選挙によく似た教科書あっせんが出ておる。内藤さんの写真もここに出ておるわけですが、何もあなたがこれにどうという意味ではないが、こういうものをずっと沈んでみますと、教科書の今回の売り上げは、これは需要者がきまっておるから大体百五十億円、しかもその冊数においては二億三千万冊、こういうふうに出ておる。これはいいといたしまして、これらの限られた需要があるわけで、これに向かっていろいろな、公正取引委員会において特殊指定と規定をされておるものに触れる事例がたくさん引例をされておる。たとえば教科書の地方採択については、地方採択のボスを使うとか、あるいはまた手みやげを持って自宅訪問をするとか、さらには酒食の供応あるいはまた白表紙見本本に金をつけるとか、一番多く取り上げられておるのが業者の本社や支社への招待あるいはまた説明会、研究会、講習会、こういうものに旅費あるいは宿泊費等を出して禁ぜられた勧誘をやるとか、いろいろとこういう雑誌に取り上げられておるわけであります。どういうところからこういう新聞や雑誌社の方がこれらの問題を記載されたか、その根拠については私は存じません。しかしながらそれらをこれほど取り上げてやられるところには何らかの根拠があるのではないか、こう私は考えるわけであります。  そこで公正取引委員会の方にお伺いをいたしたい。これらの事態に対拠するために、公正取引委員会においては三十の会社を調べたというお話でございますが、事実でございますか。
  30. 小沼亭

    ○小沼説明員 各社呼びましていろいろ実情を調べたのは事実でございます。
  31. 小牧次生

    小牧委員 どういうことをお調べになったのか、どういう調べ方をされたのか、私は詳しくは承りませんが、ただその中で一番中枢をなすであろうと思われる会社仕事としての営業部、おそらくそういうところが担当するのであろう。これは常識で考えられるわけでありますが、おもなる事例として、その営業部の組織というものがどうなっておるのか、そこまでお調べになったのか、二、三の事例をあげて御答弁を願いたいと思います。
  32. 小沼亭

    ○小沼説明員 一応公取の方においで願いましたのは、営業関係の重役でございまして、三十社でございます。その場合、営業部の組織、それから出ておる全国駐在員、支社、そういったようなところにつきましてお聞きいたしたわけであります。
  33. 小牧次生

    小牧委員 ちょっとよくわかりませんでしたが、私が御質問申し上げたようなことを御存じであるか、お調べになったのか、いかがですか。営業部の組織がどうなっておるのか、いかがですか。
  34. 小沼亭

    ○小沼説明員 調べております。
  35. 小牧次生

    小牧委員 それでは一つその内容について簡単に二、三の事例をお示しを願いたい。
  36. 小沼亭

    ○小沼説明員 これはいろいろ会社の内部組織でございますので、三十の会社一々をここでただいま用意いたしておりませんので、もしあれでございましたら、後刻資料組織図その他をお届け申したいと思うわけでございます。
  37. 小牧次生

    小牧委員 それではさらに具体的にお伺いをいたしますが、結局、問題は、先ほど私がいろいろ取り上げたようなことに関係をしてくるのでございますから、その中でまず第一にお伺いをいたしたいと思いますが、宣伝のやり方、たとえば禁ぜられておる事前行為、事前運動、これがまず第一には問題にならなければならないと私は考えるわけでありまして、これについては、おそらく地方の方に支社なり、あるいは出張所なり、そういうものが設けられて、末端においてそういうことが行なわれるのではないか、こう私は考えますので、その支社、出張所の人員なりあるいは組織ですか、これをお示しを願いたい。
  38. 小沼亭

    ○小沼説明員 これも先ほど申しました会社それぞれの資料でございますので、やはりはっきりした資料でお届け申した方が正確だと思いますが、そのようにさせていただきたいと思います。
  39. 小牧次生

    小牧委員 会、そういうことをここで十分御存じなければ、それもやむを得ないと思いますが、概略文部省はいかがです、御存じありませんか、お伺いいたします。
  40. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 御質問の趣旨が明らかでなかったのですが、公取の支所なんですか、教科書会社なんですか。
  41. 小牧次生

    小牧委員 私は公取をお伺いしておるのではなくて、教科書会社の営業、宣伝、組織、これを中心に御質問を申し上げておるのであります。従いまして、先ほど公取は三十社を調べたというようなことでございましたのでどういう調べをされたかということについていろいろお伺いをいたした、今はっきりここで資料を持っていないのであとから出すというようなことでございましたので、それでは、末端における出版会社発行会社の支社、出張所、こういうものがあるであろうから、その組織人数は一体どの程度のものか、これも公取の方としては一緒に資料を出したいということでございましたが、内藤さんは専門家だからよく知っておるのではないかと思ってお伺いしたわけです。
  42. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 今手元に資料がございませんが、駐在員については大体各社で総数千名くらい地方に出しておるのでございます。各社それぞれ出張所なり持っておりますが、会社直属のものにつきましては今ここに資料がございませんので、後刻お届けいたしたいと思います。
  43. 小牧次生

    小牧委員 それではさらに公取委の方にお伺いをいたしますが、公正取引委員会としては特殊指定運用の立場から各都道府県における教科書採択方式あるいは手続について、専門的な立場からいろいろ御研究なさっておられると思う。いろいろ県によって違うと思いますが、どういうようなことになっておるのか、これを御説明を願いたい、同時に現在のそれらの採択手続方式が合理的に行なわれておると公正取引委員会はお考えになっておられるのかどうか。同時にまた公正に行なわれておるとお考えになっておるのかどうか。御意見をお伺いしたいと思います。
  44. 小沼亭

    ○小沼説明員 採択の方式につきましては、各府県それぞれ多少違っておるようでございますが、現在行なわれておる採択方式は一応それで正しいのではないかと思われます。それから合理的であるかどうかという点でございますが、これは理想を申しますれば切りはないと思いますが、一応現在行なわれておるところで公正に行なわれればこれは差しつかえないのではないか。それから公正に現在採択されているかどうかという点でございますが、この点が一番問題はございますが、必ずしもすべてが不公正な方法と申しますか、そういうものが一般的に行なわれておるということを現段階ではそこまで公取としてはつかんでいない。ある程度公正な採択が行なわれておる。すべてが売り込みのいろいろな弊害を伴なった方法で行なわれておるとは考えておりません。
  45. 小牧次生

    小牧委員 すべてが公正に行なわれておるとは考えていない、こういうことですか。
  46. 小沼亭

    ○小沼説明員 その逆でございます。
  47. 小牧次生

    小牧委員 そこのところをもう少しはっきりした言葉でお答えを願いたい。
  48. 小沼亭

    ○小沼説明員 原則として公正な採択が行なわれておる。中には公正でないものもあるかもしれませんが、公正に採択されておると思っております。
  49. 小牧次生

    小牧委員 その前に、この採択の方式あるいは手続についての御見解がありました。現在のこの方式については、私は必ずしもあなたのお考えのように考えていない。従って採択の手続なり方式については、もっと合理的に行なわれなければならないし、従って合理的でない点があるために公正でない採択が行なわれておるのではないか、こう考えておりますが、しからば、さらに公取委の方にお伺いをいたしますが、先ほど私が文部省にも御質問を申し上げた際に触れたのでありますが、七月一日から最終の展示会が十日間行なわれる。しかしその前に常設の展示会もあるという話でございますけれども、すでに新聞紙、雑誌等の報ずるところによりますと、追い込み戦に入って四月、五月がその山である、かようにいわれておると同時に、最終の展示会の前には、また、正式の採択が決定される前には、実際上すでにもう実質上の採択は決定をいたしておる。これはいずれの週刊誌新聞を見ましても、そう書いてある。そうなると、あなたの今おっしゃるようなことと違うと私は思う。ここをどう考えておるか、大事な点であるから重ねてお伺いをいたしたい。
  50. 小沼亭

    ○小沼説明員 七月の展示会が行なわれます際にすべてきまっておるというようなことが、新聞にいろいろ報道されておるようでありますが、いろいろ事前運動と申しますか、講習会その他の方法が行なわれておるわけでございますから、これにいろいろな公正取引を伴わないような意味での事前のいろいろなそういった宣伝活動が行なわれておるということで、ある程度各学校その他で腹づもりができておるということは、予備知識としてはあり得るかもわかりませんが、それだからといって、七月一日からの展示会前にもうすでにきまっておるのだということを、われわれとして断定するのは、ちょっと行き過ぎではないか、こう考えております。
  51. 小牧次生

    小牧委員 私は何も断定をいたしてはおりませんよ。それは聞き違いのないようにお願いいたしたいのですが、そういうふうに書かれておる。だから何も根拠がなくて、たくさんの雑誌や新聞にそう書かれるはずはないではないか、こういう意味で申し上げたのですが、あなたの御答弁を聞きますと、断定はできない——これも先ほどちょっと同じようなことで触れましたが、断定はできないが、そうなっておるかもしれないというふうにも聞き取れるわけでありますが、それでは方向を変えて文部省にこの点をお伺いいたします。
  52. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 先ほど来申し上げましたように、常設展示場でございますから、新しい教科書がつきますれば、それは絶えず研究しておるわけでございます。そこで七月の一日から十日間常設展示会が開かれるわけでございますが、その前に、すでにどういう教科書が本年出ているかはもう大体わかっているわけでございます。そこで最終的な決定はこの十日間に確定するわけでございます。それ以前に確定的事実はございません。ただ先ほど来由しましたように、どういう教科書が出て、ことしは大体どういう傾向のものだ、うちのはどういうものをとろうかという意向は、一応は内々相談をされておると思うのでございます。その事実と、展示会の十日間で確定したという事実とは、若干そこに食い違いが出てくるのは当然だし、また確定行為はそれ以前にはあり得ない、こういうことを申し上げたいと思います。
  53. 小牧次生

    小牧委員 それは私も七月の展示会で決定をされる前に確定されるということは申し上げておりませんよ。もしそういうような表現を私がしたとすればそれは間違いで、またそういう印象を与えたとすれば言い方がまずかったので、そうではなくて、その前に実質上決定をしたと同じようなことが行なわれておる。こう私は申し上げている。これは私の見解を申し上げるならば、先ほど申し上げたが、採択の手続の方式についていろいろな問題点がある。要約すれば、一体どこに採択権があるのか、あなた方はおそらく現在も機構教育委員会にある、こうおっしゃられるでありましょう。確かに形式的にはそうなっておるようであります。しかしながらその複雑な方式をいろいろ調べてみると、形式はそうなっておるが、横の方からいろいろな線が張られておって、たとえば教師あるいは選定委員、あるいはその他たくさんの方々関係をされて、どこでどのようなことがあったかは存じませんが、そういうところでもいろいろな選択が行なわれておる。従って実質上は、形式とは別に、ほかの形でいろいろ選択、推薦が決定をされるのではないか、こういう考え方が相当あるわけであります。それを一体どう考えておられるかということでお伺いをいたしているのですが、いかがですか。
  54. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 採択関係につきましては、現行法は確かに私どもも不備な点があろうと思っております。と申しますのは、教科書の臨時措置法という用紙不足の当時発足した機構を現在でも続けているわけでございます。教科書法案のときにこの問題は解決いたしたいという私どもの念願でございましたが、不幸にして教科書法案が流れましたので、現在は現行法の中でできるだけ適切な運営をはかっておるのでございます。教育委員会採択権があると申しましたのは、これは地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって、地方教育委員会教科書に関することということが明示されておりまして、それ以外のところには明示されていないのですから、教育委員会採択権がある、こういうふうに解釈しているのでございます。  そこで現実はどうしているかと申しますと、大体七割以上が郡市単位で共同で採択をいたしているのでございます。県によっては何種類かを選定いたしまして、その中で各学校にまかせておるところもありますし、また市町村ごとにやっているのもあるというように、採択がそういう点ではばらばらになっているとは言えますけれども、現行法のワク内で、それぞれ地域の実情に合うような方法採択が行なわれている、かように考えているわけでございます。
  55. 小牧次生

    小牧委員 私は多かれ少なかれ、現在の教科書業界の実情にかんがみまして、問題点はやはりここにもあると思う。従って採択の権限の明確化、その所在を明確にするための努力が必要ではないか、そういうことを文部省あるいは公正取引委員会におかれましても、早急にやはりいろいろ研究される必要があるのではないか。従ってそれには文部省だけでなくて、十分広く各界関係者意見を聞いて、それこそ民主的な、しかも合理的な方法を研究して、そうしてこれを公表するというような将来の態度が望ましいと思うのでありますが、現状では今間に合わないし、そうなっていないためにいろいろな問題が起こっており、また起こりつつある。そこでそれに関連いたしまして、その問題と関連する問題をさらに文部省公正取引委員会にお伺いいたしたいのであります。  まず各出版会社の持っておる駐在員の制度の問題であります。これについてはたしか文部省は通達をもって制限をしておられるように私は記憶いたしておるのでありますが、もしそうであるとするならば、その人数あるいはその前歴、こういう点について基準を一つここで明らかにしていただきたい
  56. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 先ほどお話がございましたように、顔をきかして、採択に影響のあるような方は駐在員として適当でないと思う、こういう点から教育関係者は除外したわけでございます。当時全都除外したのではないで、一部例外を認めました。それは引揚者であるとか教職経験が数年で非常に短かいという特別の者を除いて、一般的に教育関係者は御遠慮いただいたわけでございます。自今は、各会社が駐在員を置かれる場合には、氏名と略歴文部省にも届けていただくし、また文部省はこれを関係の府県にも明示いたしておるのでございます。ですから、どういう方々がどこの会社の駐在員であるということは各教育委員会にわかっている仕組みになっておるのでございまして、現在のところ、総数で約一千名近い者が駐在員になっておるようなわけでございます。     〔委員長退席、長谷川(保)委員長代理着席〕
  57. 小牧次生

    小牧委員 全部の会社について私はお伺いをいたしませんが、大体おもなる出版会社において実際はどのぐらいの駐在員を置いておるかお示しを願いたい。
  58. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 今、会社別のはちょっと用意いたしておりませんけれども、先ほど申しましたように、全部の教科書業者で約千名程度でございますから、一社がそう多いというわけでもないと思います。
  59. 小牧次生

    小牧委員 先ほどの御答弁の中でいろいろ通達を出しておると言われておるわけでありますが、その通りに各出版会社の方で行なっておるかどうか、それはいかがですか。
  60. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 そういう覆面の駐在員がいて教科書の宣伝行為をやりますと、先ほど来御指摘になったようないろいろな弊害が出ますので、各府県に、何会社の何がしが駐在員である、こういうふうに御連絡を申し上げております。最近は駐在員の数もふえておりますので、やみの駐在員というものは、かりに出回ってもそれは各学校なり教育委員会は相手にしないものと思っておりますから、大体守られておると私ども確信しておるのでございます。
  61. 小牧次生

    小牧委員 それでは公正取引委員会にも同様なことをお伺いいたしたいのでありますが、お調べになった結果、おそらくこういう点も三十社をお調べになったときにも触れられたと思うのでありますが、この実情は今文部省が言われておる通りになっておるのかどうか、お伺いをいたしたい。
  62. 小沼亭

    ○小沼説明員 大体、文部省局長のお答えになったような状況になっております。
  63. 小牧次生

    小牧委員 それでは、さらに引き続きお伺いをいたしますが、取り上げますといろいろな問題があり、また予想される。これについては、内藤局長の方ではまだそういうところまでいっていないというような多少違った見解を言われたようでありますけれども公正取引委員会にお伺いをいたしたいのは、公正取引委員会は、先般の文教委員会において、相当激しい競争が予想される、これには十分注意をしておる、こういう御答弁があったことを記憶いたしておりますが、この現実の事態に対処するために、当面の責任者としての公正取引委員会はどういう行政上の指導をし、また警告なりあるいは注意なり、そういったことをされ、あるいはまたされようと考えておられますか、お伺いをいたします。
  64. 小沼亭

    ○小沼説明員 これにつきましては、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、発行関係の営業担当重役その他に公取へ来ていただいて、こういった特殊指定されておるものについては、不公正な取引に陥らないようにという意味の御注意といいますか、御指導といいますか、そういった事務的な措置をとっております。  それから、展示会のある七月に入ります前にかなり激しい競争が行なわれる。そのために不公正取引に陥ることが懸念されるという点につきましては、文部省とも御相談しまして、できれば通達と申しますか警告と申しますか、そういったものを教科書会社その他に対していたしたい、こう考えております。
  65. 小牧次生

    小牧委員 どういう人に注意をしたいとか警告したいとお考えになっておりますか。
  66. 小沼亭

    ○小沼説明員 教科書会社の社長あてに文書で出すという考えでおります。
  67. 小牧次生

    小牧委員 これは私見でありますが、例年検定が行なわれ、採択が行なわれるということは通常のことでありまして、従って、今発行会社の社長、代表者ですか、そういう方々に発したいとかいうようなことでございますけれども、しかしながら、会社の発行責任者なり代表者というものは、私は、そのくらいの警告を発せられるということはもう十分なれっこになっていて、そのくらいの覚悟はしておるのではないかと思う。これもたしか「文春」にそういうような記事が出ておる。そういうことは平気の平左衛門だ。これがはたしてそうであるかどうか私は聞いたわけではありませんが、そういうふうにも書いてある。従って、それだけで実際効果が上がるとあなた方は思っておられるのかどうか、一つはっきりお答えを願いたい。
  68. 小沼亭

    ○小沼説明員 警告を発しましても、必ずしも、全面的に目的を達成できるということは考えておりませんが、まあ特殊指定をされて、漸次以前のような状況ではなくなりつつあると考えておりますので、ある程度効果はあると考えております。
  69. 小牧次生

    小牧委員 それは警告を発し、あるいは注意をして、全然効果がないことはないでしょう。何らかの効果はあると思うのでありますが、しかしながら私が言うのは、公正取引委員会の特殊指定というこの規定に反するような行為がたくさんなくなるというようなことにはならないのではないか。もっと、もう一歩進んで、何らかの警告なり行為が必要ではないか、こういう意味で私は申し上げておる。たとえば、先ほどちょっと触れました第一線の駐在員、こういう駐在員の方々にも、あるいはまた営業、あるいは地方の支社なり出張所、そういうところの担当者と申しますか、直接そういうところでやっておる関係者、そういうところに直接警告を発する必要があるのではないか。あるいはまたこれは公正取引委員会の人員にも関係はございますが、むしろ進んで公正取引委員会の方々が地方に出て参りまして、十分監視をする。警告を発すると同時に監視をするというような制度、やり方、こういう点がもっと考えられなければならない問題ではないか、私はしろうとでございますが、そういう気がする。これに対するお考えを承っておきたい。
  70. 小沼亭

    ○小沼説明員 お説のことはまことにごもっともと思うのでございますが、実際上公取から直接指導員、現地駐在員なり支社へ文書まで出すということもかえってあれでございますので、やはり会社に対する警告というようなものは、どこまでも会社一本でやって、それを末端に流していただいて徹底をはかっていくという方法をとりたい。それから実際公取の職員が出向きまして、必要なところで監視するということも確かに必要でございまして理想でございますが、まあ地方と申しましても大阪、名古屋、福岡それぞれ十名程度職員がおって、それがいろいろな仕事をやっておりますので、必ずしもそういった教科書関係の監視にそう人を出すということは、非常に事実上困難だと思いますが、あらゆる機会を通じて趣旨の徹底をはかりたいと思います。公正取引の行なわれるような趣旨の徹底をはかりたいということについては努力を惜しまない考えでございます。
  71. 受田新吉

    受田委員 関連して。公正取引委員事務局の機構というものは国家行政組織法の規定に基づいてなされておる。これは機構の上で公正取引委員会が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の上で生まれておるのでありますが、今小牧委員質問でお答えになられたことで、全国に名古屋、大阪、福岡と三個所の地方事務所がありますね。そういうところの職員を動員しても、第一線の警告の実態調査をやることはなかなかむずかしいとお考えなのですか。
  72. 小沼亭

    ○小沼説明員 できるだけの措置はいたしますが、全国を回りまして末端までそういった監視を徹底さすということは事実上非常にむずかしいと考えております。
  73. 受田新吉

    受田委員 公正取引委員会の事務局職員の総数及び地方事務所の職員の数をお示しを願いたいのです。
  74. 小沼亭

    ○小沼説明員 事務局職員は二百三十八名でございまして、そのうち三十名が地方におるわけでございます。大体大阪が十五名、名古屋、福岡が十名といったふうな数字になっております。
  75. 受田新吉

    受田委員 人数が少ないという理由もありますけれども、こうした重点的な問題のある事件については、これまた重点的にその職員を動員してその公正を期するという努力をされなければならないと思います。そこで公正取引委員会としては警告を府県に発せられており、また事実上幾つかの被疑事件をつかんでおられるということでございますが、その警告を発せられる際に文部省と連絡をとってやられておるか。文部省は、この間内藤さんの御説明によると、第一線にそう問題が起こっているとも思わないというようなきわめて安易な気持のようでございます。そういうことの連絡はいつも通牒を出すときにやっているか、あるいは共同通牒というような形でやっておられるかどうか、これを一つ……。
  76. 小沼亭

    ○小沼説明員 今回の採択問題につきましては、先ほど将来の方向として警告したいと申し上げましたので、まだ警告を発しておりません。従来警告を発しましたものは、昭和三十三年にいわゆる白表紙という問題で警告を発したことはございますが、このときには文部省とも十分連絡をとりまして、公取の独自の警告でございますが、事前の連絡は十分とるということをやっております。
  77. 受田新吉

    受田委員 行政機構の関連において文部省との共同通牒を発して、特に公正を期するための熱意を示させるという努力をされる必要があるかないか、これも一つ伺いたい。
  78. 小沼亭

    ○小沼説明員 これにつきましてはただいま一事務官として即答は申し上げかねますが、できるだけ文部省と協力していくということについては公取として問題ないと思います。
  79. 受田新吉

    受田委員 公正取引委員会の見解は、そういう文部省との密接な連絡による通牒で警告を発するという努力をしたいということですが、事務官であられても、きょうは公正取引委員会を代表されたお方でありますので、責任ある御答弁だと思います。  そこで文部大臣にお伺いしますが、文部大臣教育の中立確保をはかるための文部大臣でなければならぬ。時の内閣によって、自民党のときには自民党の文教政策、社会党のときには社会党の文教政策というような考え方をあまり露骨にお出しになると、教育の中立確保が侵されます。従って文部官僚の行き過ぎにとらわれず、文部大臣は常に高い立場から祖国日本の文教の中立確保ということを常に念願して文部官僚の行き過ぎ——その補佐のやり方に、大右曲りの人間が存在しているような場合には、その官僚の独善を弾圧してでも文教の中立確保をやるという熱意を持っておられるかどうか、お伺いしたい。     〔長谷川(保)委員夫代理退席、委員長着席〕
  80. 松田竹千代

    松田国務大臣 不肖ながら文部大臣として日本の文教を預かっておりますので、この文教の問題についてあくまでも中立性を確保していきたいという熱意は十分に持っておるわけであります。従って私の部下の意見によってこれが左右されるというようなことはないということを申し上げておきます。
  81. 受田新吉

    受田委員 文教の中立性ということは、内閣が変わるごとに変更されないという原則を貫く精神でなければならぬと思うのであります。その意味では今のあなたの御発言は非常に適切であると思います。あなたが日教組の代表者ともすなおな気持で会って、懸案を解決したいという努力をされるという点に対しても私は敬意を表しておるのです。そこで、一言関連でありますから長くは申し上げませんが、今度の教科書というもの——この教科書の中立性というものは侵してはならないことなんです。時の政府の鼻息が教科書内容の上に現われるということは大へんなことなんです。従って今採択の話に及んでおりますが、検定採択とあわせて一つ、二つお尋ねしておきたいのです。検定調査官も——後ほど小牧委員からお尋ねがあると思いますので、私ちょっと触れておきますが、調査官教科書内容を審査する基準も、これもばく然として抽象的なんです。従って調査官考え方で手きびしくもやれればゆるやかにもやられるおそれがあると思うのですが、そのときに文部大臣は常にある先入観である方向づけを持って調査に当たるということがないように、あなたもこの調査官を集めて訓示をたれて、その調査官の独善を防ぐというような熱意をお示しにならければならぬと思う。いかがでしょう。
  82. 松田竹千代

    松田国務大臣 先ほど申し上げた趣旨にのっとって教科書検定するにあたり、調査官人々も、もとより公正な見地に立って、厳正な中立を守って、とらわれた考えによって検定をするというようなことはないと私は確信しておる。私は一部の人々には会いましたけれども、まだこれらの人々を全部集めて訓示をするようなことはやっておりませんけれども内藤初中局長は始終その任に当たっておるわけでありまして、私は内藤局長を信頼し、常に私の趣旨を体してそれらのことに注意を払ってくれておると信じております。
  83. 受田新吉

    受田委員 学習指導要領の中にある規定と、それから実際の教科書検定の際の調査官の言動とを比べてみますと、基準内容というものが抽象的であるだけに、そこに少し行き過ぎをなし得る公算があると思うのです。内藤局長御自身が今非常にあなたの信頼を受けておるので、あなたの御趣旨を体してやっておるとなれば間違いないです。しかしながら、最近週刊誌新聞検定の問題でこれだけ騒ぎ立てられ、N項M項と言われ、N、Mというなぞの言葉などで文部省の内部に巣食ろう反動的な人材がひそんでおるというような批判をしておる人もあるのですが、こういうような書きぶりで天下の有力な大新聞批判をし、あるいは週刊誌が書いているというところには、N、Mがどれがどれになっておるか知りませんが、しかし、そういうなぞの人物が、あるいは有力なる人物がひそんでおるというような批判を受けることは、文部大臣としてよほど注意しなければいかぬと思うのですが、いかがでしょう。
  84. 松田竹千代

    松田国務大臣 ジャーナリズムがどういうことを言うからといって、そういうことは私は歯牙にかけない。そういうことは主としてコマーシャリズムに左右される点が多いのでありますから、そういう点は申し上げておりますような態度で、私は内藤初中局長は反動的とも思っておりませんし、きわめて進歩的な考え方を持っておる方であり、進歩的というよりもあくまでも公正な態度をもってこの職務を執行しておると考えております。
  85. 受田新吉

    受田委員 自民党の文部大臣としてはそう言わざるを得ない。私は別に内藤さんがN項と申し上げたのではない。あなたは即断される傾向がある、こういうことも御注意を願いたい。私は少なくとも文部省という役所はどの役所よりもきれいな役所で、また文部省のやっている仕事はきれいでなければならないと思う。道徳の徹底を強く訴えておられるが、教科書の販売については全く驚くべき事態が発生して、公取自身でさえも不正な行為があることをすでに耳にしておられる。そういう教科書の乱売戦というものを天下の有力な大新聞が書き、週刊誌が取り上げておるのです。文部省が道徳を提唱されており、道徳の権化といわれる内藤初中局長がおられても、天下にこれが横行しておるということは、文部省が不道徳省ということになる。言うておられることと、実際に言動をせられ、行政の任に当たっておることとは逆なんです。この教科書が十年に一ぺん交代されるというので、この機会が書き入れどきだといって、不正、不当な過当競争をやってでも勝ち抜かなければならぬという競争を、適当にやっているなどといって大目に見ておられるという気持が私にはわからない。そこで、文部大臣教科書の不正競争、不当売り込み競争がこれほど新聞に書かれ、報道機関によって喧伝されている事実については、あなたはこれは確かに何かあるということをお考えでないですか。
  86. 松田竹千代

    松田国務大臣 この教科書の販売について、一定の数の教科書が出される、また多くの出版会社がある。一定の数の教科書が一定の時期に出されるについて、多数の出版会社がある場合に多くの仕事をとろうとして競争されるということはこれはあたりまえのことであって、今日の自由経済のもとにおいて当然のことであろう。しかし、その競争はあくまでも公正でなければならぬということこれまた言うを待たない。従ってそれらに対してはすでに文部省は一月の何日かでありましたか、通牒を発して、これらのことに対して厳正な立場に立ち、そしてあくまでも公正を期してやらなければならぬということをいっておるような次第でありまして、かりそめにも文部省といたしましては、言葉をつかまえて言うわけではございませんけれども、不道徳省であるというような印象を持ってもらうような態度には出ておりません。どこまでも文教の府であり、同時に道徳の源泉であるという考えを持って私は立っておるわけでありまして、そういうことを言われること自体がまことに私は奇異の感を受けるくらいであります。世間でどういうことを言われましょうとも、それは競争するのでありますから、商売人のやることに対してはいろいろ説をなすこともありましょう。しかし私は厳然たる事実を見るまではそういうこともなかろうというふうに考えていくことこそ当然のことであると思う。世の中にはそういう不正行為がしばしば行なわれておる事実があります。しかし教科書のことに対してはかりそめにもそういうことがあってはならぬ、どこまでも公正に取引をすべきである、そのために厳正に注意をいたしておるのでございます。
  87. 受田新吉

    受田委員 その厳正なる通牒は府県の教育委員会に出されておりますだけか、ほかのところにも出されておりますか。
  88. 松田竹千代

    松田国務大臣 教育委員会並びに教科書会社に対しても出しております。
  89. 受田新吉

    受田委員 現場の学校長以下教職員にもすべて徹底するような措置があるかどうか。
  90. 松田竹千代

    松田国務大臣 読んでみましょう、通達が出ておりますから。「管下の学校、地方教育委員会並びにその他の採択関係者に対してこの趣旨を十分徹底させ、採択の公正が一そう確保されるよう御配慮願います。」。
  91. 受田新吉

    受田委員 けっこうです。その徹底を期する通牒が現場の先生方にも徹底をしておるということになればこれは問題が起こらないわけです。不道徳省という汚名を受けなくて済むわけです。私は今あなたに不道徳省という言葉を差し上げたわけじゃない。そういうおそれがあるということを言ったのであって、あなたはとかく即断されるおそれがある。通牒通りにやればそういうことになる。ところが現実にすでにいろいろな新聞や報道機関によって喧伝されておる。十年に一度の書き入れどきだといって各社が争って不当な競争をやって売り込みをやっておる。適当な買収をやって物品を贈っておる。そして教育長とかいろいろな有力なボスをつかまえておるということが現実に批判をされておるじゃないですか。従ってあなた方としてはそういうことはあり得ぬことだからというので、それを目をつむってごらんになるという考え方じゃなくて、そういう事実があるならばその事実に対して適当な処断をしなければいかぬ。調べた結果、不届きなことがあるならば適当な行政処分をするということがあっていいじゃないですか。そういうことが今ないはずだというような軽い気持であられるから、教科書という大事な文明のかてがそういう汚れたことによって取引されるというおそれがある。御見解はいかがですか。
  92. 松田竹千代

    松田国務大臣 不正の事実をはっきり把握するまで不正があるであろうというような考えを持つこと自体が私は好ましくないと考えるということを先ほど申し上げたのであります。事実を見れば確実に不正な行為が行なわれたということ、むろんこれに対しては厳正な態度でもって処罰すべきものは処罰するということは当然であります。いろいろ新聞雑誌その他に言われておるということですが、先にもいろいろ問題を起こしたことがありまするから、それらの事実を取り上げて、そういうことをなからしめるために、注意を喚起するためにやはり世論も起こっておるのであろうと私は考えております。
  93. 受田新吉

    受田委員 大臣としてはそういうことのなからんことを希望するということは、あなたのお気持は私は愛すべきものだと思うのです。しかし現実に、今十年に一度の書き入れどきというこの時期を失せず、その警告をもう少し徹底しなければいかぬ。そうして第一線にも教育委員会の職員等も動員して、そういうことを十分徹底させる努力をされる、公正取引委員会と歩調を合わせて、今あなたの御懸念されるような事態が起こらぬように努力をされる。これは大急ぎでやらなければいかぬ。善は急げということがあります。大臣、私あなたの野人的な、公正な文教の府の長官であることを、ほんとうはひそかに心から喜んでいるのですよ。そのあなたの力で、この十年に一度回ってくるこういう問題が公正に行なわれるように、通牒をさらに徹底させる、最近こういう風評が立っているから注意せよと再通牒するとか、市町村の教員の一人に至るまで徹底するようにさらに熱意を示される。公正取引委員会と共同通牒を出されるとか、こういう努力を重ねられて、御懸念の点を絶対になくするようにやっていただけませんか。やっていただけますか。
  94. 松田竹千代

    松田国務大臣 最大の注意を払って、そうしてそういう忌まわしいことの起こらぬように適切な処置をとっていきたい、かように考えます。
  95. 受田新吉

    受田委員 公正取引委員会というりっぱな国家行政組織法に基づく機関がある。お宅もやはりそういうことなんでしょうが、双方の、行政機関同士の共同通牒ということになるとより一そう効果的だと思うのですが、いかがでしょう。
  96. 松田竹千代

    松田国務大臣 そういうことも考えていきたいと思います。
  97. 受田新吉

    受田委員 関連ですからこれでやめます。
  98. 小牧次生

    小牧委員 それでは引き続き公正取引委員会にお伺いいたします。  先ほど警告を発したいというような御答弁がございましたが、いつどこへ公正取引委員会としては警告を発したいお考えであるかお伺いいたしたい。
  99. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 警告をいつ出すかということは、私事務局長でございますから、ここで私が公正取引委員会を代表してお答えはできませんが、先刻来の議論を伺っておりまして、至急にこれは出してみたい。それから出す対象といたしましては、私の考えるところでは、発行会社の社長あるいは教育委員会、こういうものを対象にしたい、こう考えております。
  100. 小牧次生

    小牧委員 これに関連して業者公正取引協議会、こういう機関がございますが、これらに対しても、これはもちろん今会社とかそういう話がございましたが、自主的にいろいろ規制をしようというような目的のために設けられておる機関でありますから、そういうところにも適切な警告が行なわれてしかるべきではないか、かように私は考えます。  そこで先ほど受田委員質問に対して大臣がいろいろ答弁をされた、そういう事実があればそれを確かめてから云々というようなことで答弁をされておりますが、そういう事実が起こってからはたして間に合うのかどうか、これは私は非常に疑問を持っておる。なるほど答弁態度を聞いておりますと、非常に力を入れて熱心に答弁をしておられる。だがしかし、文部省は一体どういうことをしたかというと、一回通牒を出しておる。公正取引委員会の方では、今御答弁の通り、至急に適切な警告を出したい、こういうことなんです。ほんとうに文部省自身は熱心に取り組んでおられるのかどうか、多少の疑念なしとしないのであります。初中局長の御意見伺いたい。
  101. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 この点については私どもも非常な関心を持っておりまして、従来とってきた措置を一応申し上げますと、まず第一に顔をきかすような駐在員を排除する、こういう措置を第一段にとったわけであります。それからその次に、講習会を開催いたして、その講習会につきまとういろいろな弊害がありますので、五月、六月の採択時期には講習会も教科書会社主催の講習会は開かせないようにする、これが第二でございます。それからさらに献本の制限をいたしております。無制限に献本を出すようなことは差し控えまして、教科書センターを中心にそこに教科書を展示さして、それからりっぱな教科書を選ぶように、こういう指導をいたしておるのでございます。特に教育委員会関係者や教職員の理解と協力なくしてはこれはいかないと思います。そういう点から、教科書のセンターごとに教科書の研究組織を作らしておるのでございます。各教科別にそれぞれ各会社内容について十分調査し、検討を加えてそれぞれよい資料を作る、その資料に基づいて選定委員が選定をされるように、こういう指導をいたしておるのでございます。  そのほかに不公正な取引については厳重に監視するということでございまして、これは文部省が直接いたしておりませんが、府県に支払い委任をいたしまして、府県の職員をして現場の不公正な取引を十分監視するような機構をとっておるわけでございます。  先ほど来通達の話が出ましたが、私どもも非常な関心を持っておりまして、教科書審議会にこの点を諮問いたしまして答申を得たので、一月の上旬に教科書の公正な採択が確保されるようにという通達を出しましたし、また教育委員長会議あるいは教育会議にもしばしば出席いたしまして、このことは口のすっぱくなるほど私どもは申しておるのでございます。今後の措置といたしまして、さらに近い機会に教育長の会議あるいは委員長の総会もございますので、あるいは都市の教育長の会議もございますので、あらゆる機会に公正な採択が確保されるようにできるだけ努力をいたしまして、御期待に沿いたいと考えております。
  102. 小牧次生

    小牧委員 大体文部省のお考えはわかりましたが、現在お話しの通り見本本は制限をされておる、それから講習会、研究会あるいはまた駐在員、これらについても制限が行なわれておる。ところで説明会についても、いろいろな経費の補助とかあるいは供応とか選択を勧誘するようなことが付随して行なわれる危険性があるということもしばしば指摘をされておりますが、こういったものはやめたらどうかと私は思うのでありますが、いかがですか。
  103. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 講習会や研究会は一がいに悪いとは言えないと思うのであります。りっぱな著者が自分の見解を述べて教育上の参考にしていただくということ自体私は悪いことではないと思うのです。教職員もできるだけ研修の機会を受けたいという希望もあるわけでございます。ただこの場合に、経費を補助したり、そういったようなことは厳に慎んでいただくように通達も出しておるような次第でございます。講習会を全廃するという一つの御意見もあろうかと思いますけれども、そのことによって角をためて牛を殺すような結果になってもならぬと思いますので、その辺は弊害の伴わないように厳重に指導し、監督すべきではなかろうかと考えておるのでございます。
  104. 小牧次生

    小牧委員 ただいまの御答弁は私の質問を少し勘違いをしておられますから訂正をいたしますが、私は何も研究会や講習会をみなやめたらどうかとは決して申してないのです。それにはいろいろな制限が設けられておる。従って何もこれはやめろとは私は申さない。ただ説明会、こういったものはいかがか、こういうように私は申し上げている。自主的に行なわれる研究大会とかあるいは講習会あるいはまた編著者自身がいろいろ出ていって講習をやるとか、こういったものはある程度は必要だ。内容を明らかにしなければならない。そういう点は制限がされておるからとにかくといたしまして、直接の説明会とかそういったものはどうかという私は意見を出してお伺いをいたしておるのでございまして、間違いのないようにお聞き取りを、願いたいと思うのですが、いかがでございますか。
  105. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 この講習会あるいは研修会の内容にもよりけりだというお話がございましたが、教科書会社として十分な責任を持ってりっぱな教科書を作った場合に、これが趣旨徹底をはかるということは当然ではなかろうかと思うのでございまして、私ども一がいにそれがいかぬというのではなくて、弊害が伴わないような方向に十分指導して参りたいと考えておるのでございます。
  106. 小牧次生

    小牧委員 そこでさらに公取委にお伺いをいたしますが、あなたの方から前に発行された「教科書業における特殊指定の解説」これは数年前出たものでございますけれども、やはり重要なことが公取委自身において指摘されておる。それは特殊指定の内容の第一項の趣旨目的というところを読んでみますと、「したがって教科書発行会社間における競争展示会または常設展示場に各社の創意創案に基づく優れた教科書見本本を出品し、内容と価格によって競争が行われるべきものである。」これはまことに当然である。「しかしながら」これからあとが私は非常に大事だと思う。これは公取委自身が書いたものですから御了承願いたい。「しかしながら競争の実態は内容、価格による競争というよりはむしろ教員等の選択関係者に対する選択勧誘の競争、いわゆる売込み競争に重点がおかれていると言っても過言ではない状態である。したがって現在教科書採択される条件としては内容が優れ、価格が安いのみでは採択されるとは限らず、それに選択勧誘手段として金銭、物品、きょう応等の提供が伴なわなければ必ずしも採択されないというのが現状であろう。特に最近はこのような教科書の選択の勧誘運動が激化し競争の主体とさえなりつつある。」はっきり公取委自身が、これは三、四年前でありますけれども、ここに重要な問題点を指摘をいたしておる。従って、受田委員も、大臣にいろいろあのような質問をされたと思う。大臣は、そういう事実があれば、これを確かめて云々、こういうお話がございますが、過去において公正取引委員会においてはどういうものを指定違反として指摘をし、取り上げ、違反行為として処理をされたか、その事例を一つ承っておきたいと思う。
  107. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいま私どもの方の事務当局で書いた注釈書をお読みいただきましたが、そこは一番重要な問題でございまして、教科書内容のいいものが安く手に渡るということは、父兄にとっても非常にいいことであります。内容競争していただきたいというのが公正取引委員会がこの特殊指定をした理由であります。そうしてこの競争が非常に激化しておる。その当時見ておるのは、この特殊指定が三十一年でございますが、その前に、昭和二十七年と二十九年の二回にわたって公正取引委員会が独占禁止法の不公正な取引方法の禁止という条項から見て、教科書の売り込み競争が相当ひどいというので警告を出しました。その結果、教科書業界も受けて立ってこういう特殊指定に協力されたわけであります。そこでこの特殊指定違反の事実があるか、こういう御質問でございますが、こういう特殊指定をいたしまして、教科書業界が、あるいは御質問される方の側からいいますと、三十一年以降、十分あったのではないかと言われますが、かなり自粛されまして、法律違反、すぐ独禁法違反のケースに持ち込むということはあまりないわけでございまして、ただ、正公取引委員会が目に余ったとして、この特殊指定以後に公正取引委員会として警告したのが、発行業者文部省に見本の原稿を出しておる間に、それを印刷いたしまして白表紙をつけて各学校、採択関係者に配りまして、そうしてこれの批評を求めてお礼をするというような格好で売り込み競争をやりましたから、これは特殊指定以後日に余るとして公正取引委員会が正式に警告をしたケースでございます。  それからその他は、公正取引協議会の内部でわれわれといろいろ協議しながら指導された、そうして直ったケースがやはり九件ございます。その一、二の例を申しますと、たとえば社会科の地図をある県に採択してもらうために、その県の地図を特に刷りまして、そうしてそれを無償配付してその教科書をとってもらうというようなことをしたり、あるいはまた教師用の指導書を無償でつけて売り込みをするというようなケース、あるいはまた熊本県下で起こったケースでございますが、他の教科書会社教科書を中傷誹謗するというようなことがございました。これはいずれも特殊指定から見ますと、特殊指定違反として審判を開始し、審決をしていくべき筋のものでございますが、これは審判を開始いたしますと非常に時間がかかります。その間に直していただけば所期の目的が達せられるのでありますから、その教科書協議会の中でお話し合いになり、そうして協議をして自粛をしていただく、こういうケースが約九件ございます。これが今日までの事情でございます。
  108. 小牧次生

    小牧委員 それでは文部省にお伺いをいたしますが、もし、今後公正取引委員会においていろいろ調査をされて、ある府県において公正取引委員会の特殊指定の違反があるというようなことがわかった場合、そういうときには、文部省としてはそういう地域における採択について、採択の決定についてどう考えるのか、そういう違反の事実があった場合に、当該地域における採択の決定についてどういう態度をとろうとするのか。たとえば採択のやり直しとか何とか、そういうようなことをそういう場合にはとり得る可能性もあるのか、考えがあるのか、その辺を一つお伺いいたしたい。
  109. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 その事実を見なければ何とも申しかねますけれども、著しく不公正な取引をして公共の秩序を害する、あるいは教育に重大な悪影響があると認めた場合は、文部大臣として適切な措置を講ずる考えでおります。
  110. 小牧次生

    小牧委員 おそらくそれは、そういう不公正な取引による採択ということであれば、私はこれはやり直しだというふうに考えますが、善処したいということでございますから一応その点は了解をいたしますが、さらに公正取引委員会としては今申し上げたような特殊指定の違反という事実があった場合には、すなわち独占禁止法の違反というところに持ち込むかどうか、いかがですか。
  111. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 これは私の考えからいいますと、もちろん独占禁止法違反として独禁法の手続によってやるのが望ましいと思いますけれども教科書業の一つの特殊的な事態、あるいは教科書採択関係者として、先生もおられましょうし、いろんな問題がございますから、できるならば私はそういう行為を未然に防ぐという措置をとりたい、こう考えております。
  112. 小牧次生

    小牧委員 先ほども話がありましたが、いろんな週刊誌なり新聞紙等に、特殊指定に違反するような内容の記事が相当出ておる。私は公取においても御存じだろうと思う。従って、これらの問題についてどの程度今公正取引委員会としてはお調べになっておるのか、お知らせを願いたい。
  113. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 それは先般の委員会で臼井委員の御質問に対してもお答えいたしましたが、二月以来、関係小学校教科書発行会社約三十社につき営業、編集の責任者をわれわれ呼びまして、そして今販売の実態について調査を行なっておるわけであります。そこで、その販売の実態の調査の過程において問題のありそうなものはどしどし警告していきたい、こう考えます。
  114. 小牧次生

    小牧委員 その問題は先ほどもあなたの部下の方からお伺いをいたしました。私がさらにお伺いいたしたのは、それだけでなくて、もっと末端における各都道府県の実態、どういうことが行なわれておるかということをお調べになっておるかどうか、これをお伺いしたい。
  115. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 それはまだ現在私どもの役所で非常に人数が足りないものですから、都道府県の末端までは今調査はいたしておりません。
  116. 小牧次生

    小牧委員 人数関係で都道府県の末端までは調査はしていないということは、先ほどの、三十社の責任者その他を呼んでいろいろ調べたということだけで、全然調べていないという意味でございますか、お伺いいたします。
  117. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 現在の段階では、都道府県の末端の事情までは私ども承知しておりません。しかし私どもも地方事務所がございますから、地方事務所を通じてその各府県の模様もある程度キャッチし得る、こう考えております。
  118. 小牧次生

    小牧委員 ちょっと一番最後の言葉がはっきりしませんでしたが、キャッチしようとしておるのか、キャッチしたというのか、はっきりお答えを願いたい。
  119. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 これから私ども本局の調査に即応して地方事務所にもいろいろ地方の事情を調べていただこう、こう考えております。
  120. 小牧次生

    小牧委員 それでは、まだこれからやろうというお答えであるわけですね。それでは重ねてお伺いをいたしますが、これは先ほども何回も何回も申し上げておるのでありますけれども、これも新聞その他の記事から私が見た問題でございますが、四月十日の産経新聞の朝刊には、実弾戦術のうわさが広まっておると書いてある。お読みになったかどうかわからないが、もしお読みになっておるとすれば、至急そういう点についても公正な取引を期するために全力をあげなければならぬのじゃないかと思う。ただ、調べていないと言われますから、これ以上はこの問題について追及もできませんが、さらに、先ほど申し上げた三月二十一日号の週刊文春の中には、すでに大阪においてある会社専門委員の方十数名に一万円を配っておる、あるいは名古屋で不正売り込みが行なわれた、こういうことが書いてある。こういう雑誌が出るというのは、その日付より少なくとも早くそういうことがあるわけでありますが、お読みになっていなければやむを得ない。こういう点について、もうある程度の日がたっておるが、どういうわけで至急にお調べにならないのか。先ほど大臣はそういうことは全然歯牙にかけないとかなんとかいう表現もありましたけれども、少なくともその機関である公正取引委員会としては、あなたの委員会が発行しました特殊指定の解説の中にも、はっきりと、具体的な実例をあげなくとも、こういうことを指摘されておる。それが現状であろう、こういうふうに書いておられる。こういう点について、全然御承知にならないのかどうか、重ねてお伺いいたします。
  121. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 その雑誌は、私もこの前この委員会にお呼び出しを受ける前の日に初めて見ましたけれども、その事実を公正取引委員会が承知しておるかというと、はなはだ遺憾でございますが承知しておりません。しかし、私どもとしては、そういうものが出ておる以上は、誠意を持って、私どもの特殊指定違反のないように努力したいと考えております。
  122. 小牧次生

    小牧委員 さらにいろいろ取り上げてみますと、枚挙にいとまないのでありまして、あるところでは昨年の展示会で学校の教科主任にワイシャツが配られたとか、その他いろいろなことがここに出ておる。ところが、善処するとか努力するとかいっておられるのでありますが、ただそれだけではもうどんどん日がたってしまって、実際の売り込み合戦は終わってしまう、こういう危険性があるから私どもは申し上げる。大臣は、そういう事実を確かめてから云々と先ほど言われたのでありますが、私は多少大臣見解を異にして、公取の出しておるこういうところにもいろんなことが書いてあるから、あるいはこういうこともあるのではなかろうかと思って御質問を申し上げておるのでありますが、一体文部省においては、初中局長はこれをどう考えておられるのか、これらの問題について、そういうことがあるとかないとか、どう考えておられるのか、お伺いをいたしたい。
  123. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 過去においてあった事実は私どもも、あるものは聞いておりますし、またうわさも聞いております。しかし本年度の採択につきましてはまだ聞いておりません。近く教育会議あるいは委員長会議もありますので、その機会に地方の実情も十分聞き、適切な措置を講じて参りたいと考えております。
  124. 小牧次生

    小牧委員 私もいろいろこういう点で御質問を申し上げておるのでありますが、私は、こういうことはおそらく業界の諸君はもう知っておるのではないかと思う。同時にまた公取委の方も、私は、実は知っておられるのではないかと思う。具体的にどこでどういうことがあったということではなくて、やはりそういうことがあるだろうということは知っておられるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  125. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 御質問のように、私どもは特殊指定を出しましてからも、約十件ばかりの問題があるという事実からいたしましても、そういう行為は行なわれるであろうということは十分予想して、私どもとしては先刻お答えをいたしましたように、着々調査を進めておる次第であります。
  126. 小牧次生

    小牧委員 こう言っては何ですが、膨大なそういった事犯がおそらく行なわれておるのではないかと思う。それでは一体どこでどういうことが行なわれているかと言われると、私も何も調査機関を持っているわけでもありませんし、そこまでどうということは申し上げられませんけれども、少なくともこれだけいろいろな新聞や雑誌に書かれておるのは、これは何らかそこにあったと思う。でなければ、もしこれを否定するならば、こういう雑誌や新聞を発行された責任者と対決しなければならないことになりますので、それ以上は追及できないかもわかりませんが、もしそうであるとするならば、何とかこれはでき得る限りの次善の措置をとらなければならぬ。いろいろ全力をあげたいとか、善処したいというようなお話があり、通達とか、あるいは調査とかいう御答弁言葉もありましたけれども、私はそれ以上にもっと——これは何と表現していいかわかりませんが、たとえていえば、もっと業界の実態を見きわめて相当検討しておられるのではないかと思う。現在の教科書業界は九十社から百社余りあり、大きいものから小さいものまで種々雑多であるようであります。しかもそれだけの数になりますと、いろいろな流れがあろうかと思う。政党の中にもいろいろある。人間の集まり、会社の集まりでありますから、いろいろな流れがあるのではないかと思う。従ってそういう実態を十分見きわめておいて、そうして公正取引委員会なり文部省の方と十分緊密な連絡をとって、不公正なことが行なわれないような、一歩高い政治的配慮と申しますか、措置がなければならぬのではないかと思う。大臣はそういう事実があったことを確かめて云々と言われますけれども、もしこのまま事態が推移するならば、あるいは九月、十月ごろにはいろいろな問題が出てくる危険性があるのではないかと思う。出てこなければ全く幸いでありますが、出てくれば、また再び国会においては三十年の行政監察特別委員会のああいうような問題を引き起こしてしまう。これは事問題が児童、生徒の教育に関する教科書の問題であって、普通の商品とは違う。あくまでもこういうことが起こらないようにわれわれはしなければならぬ。私どもはこういう非常に真剣な気持を持ってこの問題を取り上げている。こういうもう一歩高い、文部省公正取引委員会の何らかの措置というものが緊急にとられるべき段階に今きているのではないかと考えておりますが、これについての大臣の御所見を一つ承っておきたい。
  127. 松田竹千代

    松田国務大臣 文部省といたしましては、いやしくも教科書の問題について、忌まわしいことが起こらないようにということに重点を置いて、適切な指示を与え、指導して参り、また今後もしていくつもりでございます。もとより公正な取引を期する点については公正取引委員会があることであるし、また不正な事実があるならば、これを摘発する役所もあるわけでありますから、文部省としては、あくまでも忌まわしいことがあるであろうというような疑いを持ってかかることは避けたい。しかしそういうことをなからしめるために、あなたのお示しになったようないろいろの記事も、やはり戒心を要することの一つとしてわれわれは考え、今後も厳に適切な指導を通じて不正な行為の行なわれぬように努力して参りたい、かように考えております。
  128. 小牧次生

    小牧委員 何といっても文部省としては、これらの問題の直接の関係者は初中局長である。これは皮肉を言うようですが、検定内容とか、あるいは勤評とか、あるいは専従制限とか、こういう点にはきわめて熱心だ、ところが私どもが横からながめておると、これほどいろいろ騒がれているのに、どうも事採択販売といった問題の処理については、前に言ったような問題に対する態度とはどうも熱意が違うのではないかという気がする。どう考えてみても、何となく——ここに公取委の方もおられますが、これは公取の方の仕事ではないか、あちらの方にまかしておいたら何とかするだろうというような気配がどうもあるように私には受け取れる。こういうときにこそ、ほんとうに文部省自身がもっと積極的に乗り出して、公正な取引が実現できるような、さらにもっと進んだ努力が見受けられるようなものがなければならぬのではないかと思う。どっちかというと、通達は出した、善処する、努力すると口ではいろいろな言葉を言われますけれども、どうもはたから見ても、何らそういう気配が見えない。従ってたとえば公正取引協議会とか、そういう教科書の公正を期する団体もある。あるいはまた教科書会社もある。そういうところを率直に意見を聞いて、——これはわれわれしろうとですが、いろいろ聞くのであります。たとえばお互い激しい競争をするために足を引っぱりあって、下手をすると、あらをつっつき出して、お互いに共食いというようなことになりかねない。こういうようなことを聞くのでありますが、これは問題です。そういうことを何らか一歩高い態度を持って公正な取引が行なわれるように、あなたの方で話し合いなり、何らか適切な措置を講じて善処する。そういう意味で私は要望を申し上げるのでありますが、単なる善処とか努力ということでは、私どもまたこういうことを指摘しなければならぬ。こういう危険性を強く感ずるので、今大臣にもお伺いをいたしましたが、初中局長の一つ御意見を承っておきたい。
  129. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 教科書公正取引につきましては、私どももかねてから重大な関心を持っておりまして、私は教科書の出版業界の社長さんの集まりにもいつも出向いて、このことは口のすっぱくなるほど申し上げておるのであります。教科書業者の中でも、公正取引委員会の中に教科事の業者にお集まりを願って、公正取引の懇談会ができているわけでありまして、そこで十分に検討もされているわけであります。それから根本的には、私ども検定をいたしますと、検定した中でどれをとるかは採択者の一応自由になっているわけでございます。そこで各教科書のどこが長所であるか、短所であるか、こういう高い立場に立って研究が進められ、内容によって公正な採択ができますように、教科書の研究事業を各府県に積極的に今日指示いたしているわけであります。このためには若干の補助費も出しているようなわけでございます。今後採択関係者であるところの教育委員会及び学校の教職員、それから出版業者方々、双方に対して厳重な注意を喚起し、不正な事件の起きないように努力いたしたいと考えております。
  130. 大平正芳

    大平委員長 長谷川保君。
  131. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 先ほど来小牧委員から熱心に教科書の問題が公正に取引されるようにと追及されたわけでありますが、私もそれについて十分伺いたいことがあるのでありますが、本日は時間の関係もありますので、この際資料を四つばかり次会までに出していただくように要求いたしたいのであります。第一は教科書業における特殊指定の解説、これは先ほどお話公取委の方のものの印刷物を資料に出していただきたい。それから第二は、どうも非常に複雑で、先ほども内藤初中局長からお話がありましたが、私どもに十分よくわからない。一つここで教科書編集から検定採択、発行、供給に至るまでの関係を、系統的に図式にでもして出してもらいたい。それから第三は、過去五年間の十大教科書発行会社教科書の、販売数、その金額、これを一目でわかるようにグラフで出してもらいたい。これは私できると思う。私も実は資料を持っていないわけじゃない。しかし私の資料が正確かどうかということを確かめたいと思いますので、権威のある資料を出してもらいたい。第四に、その十大発行社の社長名と営業責任者、編集、販売の責任者、さらに事情を調べてみますと、この発行会社と大きな印刷会社とが同一系統の資本であるという傾向があります。その十大発行会社と印刷会社関係、その印刷会社の社長及び営業責任者の名前、これを出してもらいたい。私どもがこれを要求いたしますのは、先ほど来小牧議員が非常に熱心に追及されましたように、何とかして今回から来年、再来年にわたるこの教科書の発行のときに不正がないように、先ほどもお話がありましたように、非常に腐敗した世の中でありますけれども教育関係はせめて清潔な、汚れのない手によって一切がなされるように心から念願をしたい、こういうことでこの関係を調べてみたいと思うのであります。そういう関係にいろいろな問題がからんでくる。私も実はいろいろ調べまして、幾つかの資料を持っております。ただ私どもが願うところは、今申しましたように、罪人をあげることではない。何とかして、先ほど大臣も言われましたように、そういうことがないように、この際大きな警告を発したい。そのためには少しは御迷惑があっても、私どもが握っておりまするいろいろな問題、きたないうわさがあります問題を、当委員会におきましてある程度までこれをえぐり出しまして、そしてこの問題をあくまで清潔に保ちたい、こう思うのであります。これは先ほどは採択の問題だけでありましたが、検定の問題も考えなければならない。それからこういう問題とからみまして、本省にもうわさがいろいろ飛んでおる。このことを大臣はやはりよくお考えいただきたい。それらの点について次の委員会で私は御迷惑がかかるかもしれませんけれども、これははっきり伺いたい。それで一切そういううわさの根がないように、全部きれいにしてやっていただきたいと心から念願いたしますので、大へん御迷惑でありますが、次の委員会までに、なるべく早く今の資料を出していただきたい。できましたならば委員会前に私にはその資料を見せていただきたい。それらについて質問をいたしたいと思います。
  132. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 ただいまの資料要求のうち、十大会社とおっしゃいましたが、その十大会社は、あなたの方で御指定いただければありがたいと思うのです。もう一つ、発行部数等につきましては、これは一応会社の了解を得なければならぬかと思っております。特に営業政策に関するものでございますから、その点は会社側の了解が得られるという前提で一つお考えいただきたいと思います。それからもう一つ印刷会社の話が出ましたが、印刷会社を自分で、同一資本で持っておるところは問題ないのですけれども、そうでないところに、どこの印刷会社に契約しようとこれは御自由ではなかろうかと思うのです。そこまでこれを調査される御意図はどういう御趣旨なんですか。
  133. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私は同一系統の資本で、裏はらになっておるようなものがあるということを、調査しておる間に見つけました。そこでそれらの関係を知りたい。それから十大会社と申しましたのは、先ほどのお話に、約三十ある発行会社のうちで大きなものが十ほどあるということでした。私どもから申し上げてもいいのですが、あなたの方で言われたその十ほどを出していただきたい。先ほどのお話の印刷会社出版会社との関係は、出版会社だけの営業責任者を調べたのでは、つまり裏はらになっておりますために、いろいろな販売に関しますこと、あるいは売り込みに関します費用の出場所がわからない。表面は出版会社だが、印刷会社の方から金が出ておるという事実があるように思われる。そこに非常に巧みな収賄関係、汚職関係を隠しておるのではないか、どうも私それが疑われてならないのであります。その関係がありますので、それを知りたい。これはこの次の委員会でさらに質問したいと思います。      ————◇—————
  134. 大平正芳

    大平委員長 この際理事辞任並びに補欠選任についてお諮りいたします。  理事西村力弥君より理事辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 大平正芳

    大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次にただいま一名欠員となりました理事補欠選挙を行なわなければなりませんが、先例により委員長においてその補欠指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 大平正芳

    大平委員長 御異議なしと認め、委員長理事栗原俊夫君を指名いたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十七分散会