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1960-03-18 第34回国会 衆議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十八日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 大平 正芳君    理事 稻葉  修君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 武雄君 理事 高見 三郎君    理事 西村 力弥君 理事 長谷川 保君    理事 小牧 次生君       坂田 道太君    進藤 一馬君       竹下  登君    灘尾 弘吉君       濱野 清吾君    松永  東君       八木 徹雄君    金丸 徳重君       栗原 俊夫君    山崎 始男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         文部政務次官  宮澤 喜一君         文部事務官         (大臣官房長) 天城  勲君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      小林 行雄君  委員外出席者         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 三月十七日  委員金丸徳重辞任につき、その補欠として原  茂君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員原茂辞任につき、その補欠として金丸徳  重君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十七日  学校教育法の一部を改正する法律案山崎始男  君外七名提出衆法第一四号)  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律の一部を改正する法律案(  山崎始男君外七名提出衆法第一五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一七号)  高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一  部を改正する法律案内閣提出第七五号)      ————◇—————
  2. 大平正芳

    大平委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。金丸徳重君。
  3. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私はただいま議題になっております国立学校設置法の一部を改正する法律案関連しまして、若干お尋ねを申しておきたいと思います。実は私は文教関係の仕事は初めてであります。従ってお尋ね申し上げることがいかにも子供じみたことにわたるのではないかとみずから恐縮に思いながら申し上げるのでありますが、その点も一つ御了承の上お答えをいただければありがたいと存じます。  国立大学文部当局方針に従ってかなり地方に分散せられ、地方におきまする国立大学の設備などが強化されておりますることは、事実として私ともも承知いたしておるのであります。しかしながらそれにもかかわらず依然として最近の学校志願者実情にも見られまするように、どうしても都市有名大学に集中してきておるようであります。これは数からいうとそうでもないのでありますが、志願者の熱といいますか、質の集中化といいますか、それは依然として大都市、特に東京大阪あるいは京都、そういう旧来の有名国立大学に集中されているかのように思われる。この傾向をこのままにほうっておきますと、ますます学校社会面のいろいろな問題の種にもなるように考えられる。そこでこの機会に、せめて東京に集中せられるところの国立大学を、たとえば衛星都市に分散するというような方針を、これからさらに強くおとりになるかどうか、そういう方針をお持ちになっておられますか。またそういうことでありますると、今日までそれがどの程度に現われておりますか、一つお示しをいただきたいと思います。
  4. 小林行雄

    小林(行)政府委員 大学の国公私立を通じての現状を申し上げますと、学生定員等から申しますと、大体東京と関西、ことに大阪中心でその半分近くのものを占めておるというのが現状でございます。ことに東京私立大学等関係から、極度に集中しておるという状況でございまして、これは御承知のように教育の立地的な計画ということも一面考えなければなりません。御承知だと思いますが、首都圏整備の面から都市にあまり集中しないようにということで、今後大学を建てる場合には、主務大臣の、この場合には建設大臣でございますが、主務大臣の認可を受けなければならぬということになっておるわけでございます。私どもといたしましても、ただ学生東京に集中してくるという現状は、必ずしも好ましいこととは思っておりませんので、将来国立大学学生増募をするような場合におきにましても、それらの点に十分考慮を払いまして、できるだけ地方学生の増募を行なうというような方策をとって参りたいと思っておりますし、実は三十五年度で学部増学科増をいたしておりますが、それらの場合におきましても、大体地方国立大学の充実ということを考え合わせまして、学科増設等をいたしておるわけでございます。
  5. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 今後における新設増設などについては、地方に持っていくことを十分考えるという御方針のようでありまするが、私はそれをさらにもう一歩進めていただいて、現に東京都なら東京都にあるところの国立大学地方に分散する。かつて戦争時代疎開ということを行なわれたようでありますが、ああした大手術をする必要が生じてきておるのではないかという気がしてならないのであります。今入学期なんかに際しまして、世間の実情を見てみますると、もう中学卒業の時分から、国立有名大学を志望して、ある中学をねらって地方から上京してくる。高等学校に至ってはいわんやしかりであります。そういうことになってきますれば、それがなくとも、産業中心であり、政治の中心であり、交通文化中心であるということからいたしまして、東京都のごときは、年々二十万、三十万ずつの人口増を来たしておる。そのために交通量はますますふえ事故の原因を来たしておる。使用の水さえも足りなくなるのではないかというようなことを心配されているような状況下におきまして、私はそういうような非常な社会問題の種を根絶する、あるいは逓減するという意味におきましても、分散し得る国家施設というものはなるべく地方に分散する方針をとっていただきませんといけないのではないか。そういう意味におきましては国立大学のごときはそれに最も適するものの一つのようにも思われる。そうして今や交通通信発達して参りましたために、今考えられている首都圏整備圏内における都市のごときは、昔の旧東京市の十五区内ぐらいの便利さを持っている、文化発達さを持っておるものですから、そういう意味におきましては、私は衛星都市国立大学疎開するという方針方策も現実の面としてとり得る条件が整ってきたかのように思われる。大体こういうことにつきましてはどういうふうなお考えを持っておられるか伺いたい。
  6. 小林行雄

    小林(行)政府委員 国立大学もお説のように東京にありますものは、それぞれ伝統もあり歴史も持っておる大学でございまして、しかも学生のみならず教職員もかかえております関係上、これを簡単に衛星府県移転をするということは、事実上なかなか実現は困難ではなかろうかと思います。ただ御承知かと思いますが、たとえば昔の東京商科大学であります。これは一ツ橋にありましたものを国立移転をしたという実例もございますし、また目黒にありました電気通信大学を府中の方へ持っていったというような実際の例もございます。またそういった大都市のまん中にあるものを、できるだけ郊外地域へ持っていくということについては、実現可能な場合には将来も考えて参りたいと思っておるわけであります。
  7. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 伝統があり誇りがあるから、なかなか容易ではないという御意見のようでありますが、しかしそれは私はその地域に密着したものではないと思うのでありまして、一橋が一ツ橋のあそこになければならないということではなかったように思うのであります。蔵前があそこになければ蔵前誇りが、蔵前伝統が保持できないものじゃないと思う。もうすでにそういうことが実行されておるとしますれば、今の都市発達状況、それから交通通信その他の条件の進展の状況にかんがみて、思い切って百年後の将来を考えて、この辺で一つ大英断をもって——疎開などという言葉はよくない言葉であるかもしれませんけれども地方への分散をお考え下さるときがきておるんじゃないかと思うのです。文部省ではそういう考えをお持ちになっておられるように私も信じたいのであります。ところが実際は、たとえば私の県では、甲府に山梨大学というのがありまして、二、三の学部を置きたいというのが県民あげての長い間の熱烈なる念願であった、それがなかなか思うように進まないのであります。あそこは時間的に見ればせいぜい二時間であります。通信なんかは即時でやられておりまするし、旧市内とちっとも変わらぬところのようにも思います。従って東京大学の分教場が大いに強化されるというような意味における、強化の条件は整っておるように思うのであります。また東京近郊都市と称せられているところに教授の官舎を高層のビルででも建てて、住宅の窮屈なせせこましい東京などで研究に従事されるよりも、そういう広々とした、空気のいいところでゆっくり研究に従事せられ、調査に従事せられるということの方がより能率が上がるのではないか。しかももし必要があるとしますれば、僅々二時間をもって都内の中心地にまでかけつけることができるのでありますから、その点は実際は心配がないようにも思うのでありますが、こういうことについて将来そういう方針をとられ、そして実現に向かって御尽力下さる考えがあるかどうか。これは具体的に地域的なことになって恐縮でありますが、私は地元において切実にそれを長い間見ておりまするし、また自分でも深く念願しておるものですから、お答えをいただきたいと思います。
  8. 小林行雄

    小林(行)政府委員 地方大学をできるだけ整備をいたしまして、先ほどお尋ねにもございましたように、大学志願者大都市有名校に集中することをできるだけ妨げたいという気持は、文部省も強く持っておるわけであります。お話山梨大学学部あるいは学科整備等につきましても、地元であります山梨県のいろいろな産業その他の関連もございますが、そういったものも考え合わせまして、将来できるだけ私ども整備をして参りたいと思います。御承知のように山梨大学の工学部は、発酵等で非常に特色のある学部でございますので、そういった特徴もできるだけ将来伸張させていきたい、こういうふうに考えております。
  9. 大平正芳

  10. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の問題に関連してちょっと伺いたいのでありますが、今のお話通りに、交通機関が非常に発達したのでありますから、ずっと広範囲に考えていいんじゃないか。五年後に東海道新幹線ができれば、静岡までは一時間十分くらいで行けるということになるのであります。そういうことでありますから、これはよほど考え方を変えていいんじゃないか、こういうように思われるわけであります。  そこで私は何っておきたいことは、前会も伺いましたように、非常に大学入学難という問題が起こっております。従って、全国国立大学でもって、大学として学部を新たに置きたいとか、あるいはもっと学科増設したいとか、あるいはまた学生定員を増したいとかいうような要求が、相当文部省の方にはきているんだろうと思う。ただそれが財政上の問題その他においてできないという事情にあるんだろうと思います。そういう大学自体からきております要求はどれくらいあるのか、どんなふうにあるのか、それを伺いたい。
  11. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知のように文部省としては、科学技術者の急速な養成ということに最重点を置いておりまして、御承知のような八千人養成計画を三十五年度で達成するということにいたしたわけでございますが、個々大学からはそれぞれ地元との関連から、かなりの学科増予算要求を出してこられます。昨年の例を申しますと、全国国立大学から出て参りました学科増が、大体百件近くあったと思います。それを大体三十件近くまで認められたというのが実績でございます。
  12. 長谷川保

    長谷川(保)委員 全国大学から要求してきております今の百件近い学科新設等々、そういうものを大体要求通りやるとすると、どれくらい学生が増加するのか、その点わかっておりましょうか。
  13. 小林行雄

    小林(行)政府委員 大体四千ないし四千五百くらいであろうと思います。
  14. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先ほどのお話技術者を作るということも、これは国家として推進しなければならぬ緊急の問題だと思います。同時にまた入学難を緩和するということ、解決していくということ、できれば全員入学をさしていくということも、私は今、日本の国内に満ちた親たちの大きな願いだと思うんです。だからこういう点について、前会にも伺ったのでありますけれども、どうか当局はもっと真剣に取り組んでやってもらいたい。これは私は、親たち学生たちも非常な要求だということを常々感ずる。これは同僚の議員諸君もみな同様だと思います。よく、大学に行くことばかりがいいことじゃないからという話もあるのでございますけれども、私もそう思います。大学に行くことばかりがいいことじゃないと思いますが、同時にできれば一般全国民の子弟たちが受けられるということは、けっこうなことなんです。これはことに日本のような人口が非常に多いところで、いわば潜在失業の非常に多い国柄でありますから、何も急いで若い人たち社会へ出すことはない。できるだけ教育を十分にして、それから社会へ出せばいいと思うのでありますが、どうかそういう点でさらに一段の御努力をしていただきたい。大蔵省もいろいろやかましいでしょうけれども、しかし教育をすることは国家全体の経営として絶対損ではない、私は大きな得だと思いますから、ぜひそういう点に一段の御努力を願いたいと思います。  それからついでにもう一つ伺っておきたいことは、今度の法律で、今まで文部省令でやっておりました学生授業料減免猶予等法律でなされるということになるわけでありますが、最近におきまする学長がやっております授業料減免及び猶予内容、それからどのくらいの額がなされておるのか、そういう事情を承っておきたい。
  15. 小林行雄

    小林(行)政府委員 現在は、ただいまお尋ねのございましたように通達に基づいて個々学校減免をいたしておるわけでございますが、その内容を申しますと、大体これは経済的に非常に困難している学生で、しかも成績比較的優秀なものにつきまして、本人の申請に基づいて選考をいたしているわけでございます。現在は授業料だけについて減免をいたしておるわけでありますが、大体歳入予定額の五%程度の金額までを減免することができるというようなことにいたしております。ただ、それ以外にも、たとえば年度の途中で風水害その他の災害等で困難になったという場合には、そのときにそのつど特別に措置をいたしておるわけでございます。三十三年度の授業料実績を申しますと、大体六千八百万程度減免実施額になっておるわけでございます。
  16. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私はこの間、新聞で、どこかの大学入学が許可されたところが、親が死んだ。そこでその大学では授業料を免除して入学さしたという記事を見まして、最近心あたたまる思いをしたわけです。それだけの愛情をもって学生たちを導いて下さるということについて、非常に私は感激をしました。今、優秀なということと経済的困難ということを言われたのでありますけれども、経済的困難のために学業それ自体が優秀に進めないという諸君もあるだろうと思うのです。ただ経済的な援助をしてやって、その欠陥を補ってやるということで、その学生もまた優秀な成績を上げるということになる面もたくさんあると思うのです。でたらめな遊びばかりしているのは困りますけれども、必ずしも成績いかんによらないで、成績が必ずしもよくなくても、欠陥を補ってあげれば優秀な成績を上げるだろうという諸君に対しましても、大幅にこういう点をやってやるべきだと思うのでありますが、この五%は現在大体五%一ぱい使っておるわけですか。
  17. 小林行雄

    小林(行)政府委員 ただいま申しました五%は大体フルに活用いたしております。
  18. 大平正芳

    大平委員長 この際委員長より便宜上この席から、国立大学教官処遇の問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。  今の給与法建前からいきますと、公務員給与民間同種方々給与とのバランスをとるというようなところに基調が置かれておるように思うのでございますが、国立大学先生方に相当する民間同種の職業といえば私立大学先生ですが、私学はその財政上の制約もあり、また私学教授陣構成等からいって、国立大学がそれとのバランスをとるというような建前では何か非常に物足りない感じがするのですが、現在の給与体系を組織立てる上から申しまして、人事院大学教官の格づけを考えられる場合にどういう基準でおやりになっておるのか、その点まず伺いたいと思います。
  19. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院公務員給与を勘案いたしまする際には、ただいま御指摘がございましたように、民間同種のものとの均衡をはかるということを原則といたしております。従いまして昨年の人事院勧告、従って現在給与法改正法案として国会で御審議をいただいておるのでありますが、それあたりにおきましても各職種別に一応民間との対比をいたしておるのであります。しかしただいま御指摘のように、大学教授あるいは教官といった方々民間私学先生比較するということは、これは適当だとは思っておりません。従いまして国立大学教官処遇を端的に民間私学教官バランスするという考えはとっておらないのであります。これはただ公務員全体の格差を求めまする手段といたしまして、民間私学も一応とっておりますけれども教官に限りましては委員長から御指摘のような点もございますので、それはとろうとは思っておりません。むしろ公務員部内のバランスということで考えて参りたい。従前教官給与は見ようによりますと裁判官あたりバランスがとれておったという言い分もあるようでありますが、その後におきまする経緯等もありまして、現在は公務員全般とのバランスということで考えておる次第であります。
  20. 大平正芳

    大平委員長 その点はわかりますが、ただ教官というのは、その名の示すように給与法でも教育職というようなワクでくくられているように思うのですけれども、同じ教官といいましても、大学教官学生教育するというファンクションのほかに、いわば国全体の学術水準のにない手であるという役割があるわけだし、今のような時代になってくると、このあとの役割が非常に重くなってきたんじゃないかと思うのでございますが、そういうファクターは今の教育職給与の格づけの上に加味されているのですか、いないのですか。その点重ねてお伺いしたい。
  21. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 現在の教育関係の法規によりますと、ただいま御指摘になりました研究ということがあまり多く取り上げられていないようであります。従いまして従前人事院がものを考えます際に、研究という面よりも教授をするという面に重点があったことは否定できないと思います。ただ御指摘のように、事実問題として大学教授というものがわが国の研究の一番重要な点をになっておられる、これは国立研究所と同様にになっておられるという点がございますことは、これは認めなければならぬというふうに思うのです。そういうふうに思いまして、昨年の人事院勧告におきましては、研究者一般処遇をよくしなければならぬという観点から、むしろ研究職給与大学教授の線までできるだけ近づけるという点に重点を置いてやった次第でありまする
  22. 大平正芳

    大平委員長 大体お気持はわかりますけれども、この技術革新時代になってきて、今の世界は、大きいことを言うようですけれども、大体学術水準の競争というか、国力を判定する場合に一番大事な基準になってきておるような感じがするので、その研究学術水準維持向上ということに大切な役割を持っておる大学教授に対しては、単に研究手当を若干考えるとかいうようなこそくなことでなくて、本格的にこの職務を分析して、彼らがになっておる大事なファンクションというものを再評価して、それで給与体系上これを映し出すというような努力人事院としてはやるつもりがございますか、どうですか。その点くどいようですけれども、もう一度お尋ねいたします。
  23. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院といたしましては、各種の公務員給与ということにつきまして責任を持っておるわけでございます。御指摘のように、大学教授の非常に重大なる職責ということでございますので、この点は十分今後考えて参りたいと思います。しかしながら全般とのバランスと申しますか、そういう点も人事院としては度外視して考えるということに参らないであろうというふうに考えます。
  24. 大平正芳

    大平委員長 今後一そう慎重に御検討願いたいと思います。
  25. 臼井莊一

    臼井委員 ちょっと関連して。教官に対する給与私立学校同種類の給与体系比較してみる。そして必ずしもよくないというような見解が発表になっております。事案はそうでしょうけれども、今委員長が質問されたように、その点が教官給与の引き上げについて、やはり一つの障害といいますか、そういうものになっているように思うのです。ところが私立学校教授方給与そのものが非常に低いということは御承知通りだろうと思うのです。そういう私立学校教授の経歴というような、あるいは地位というようなものを産業界の者と比べると、非常にこれが低いことになっているのではないか。やはりそういうことも御調査になって、そして何かそこに参考意見のようなものでもつけ加えておるのでありますか。その点を一つお尋ねいたします。
  26. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 昨年人事院が勧告いたしました際につけました資料には、御指摘のように各職種別民間との対比ということを載せております。その表では、民間大学先生給与が低いから、その関係で、今御指摘のような点も出て参ったわけでございます。これは人事院といたしましては、やはり国全体の公務員給与をどうするかという問題でございますので、その全体比較をいたします際には、やはり事実問題として民間の低い給与というものがあるわけでございますから、それはもう問題にしないのだというようなことで比較するわけにも参らぬわけでございます。全体比較としてはそういうことをいたしますけれども、御指摘のように、民間大学教官給与が不当に低いものであるということはわれわれも十分心得ておりますので、今後そういうことにはこだわりなしに、公務員たる大学教官給与というものをよくすることを考えて参りたいと思っております。
  27. 大平正芳

    大平委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ、本案に対する質疑は終局いたします。     —————————————
  28. 大平正芳

    大平委員長 別に討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 大平正芳

    大平委員長 御異議なしと認め、直ちに採決いたします。  本案原案通り可決するに賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  30. 大平正芳

    大平委員長 起立総員。よって本案原案通り可決するに決しました。  なお、ただいまの議決に伴う委員会報告書作成等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 大平正芳

    大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  32. 大平正芳

    大平委員長 次に、高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。質疑通告がありますので順次これを許します。金丸徳重君。
  33. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、定時制教育及び通信教育のことにつきまして、二、三大臣及び局長お尋ねをいたしたいと思います。  新しい教育制度下になりまして、その大きなねらいの一つであります教育の機会均等、国民の学力の平均化といいますか、そういう問題をねらっての定時制教育通信教育の制度というものが非常に世間にアピールといいますか、実情に沿ったといいますか、効果を上げておると私ははたからではありますが見ております。この制度の一そうの強化といいますか運営の妙味を発揮願いたい、かように念願いたしておったのであります。その念願が達する一つの道として、苦労しておるところの教員諸君に若干ながらも手当が出されることになりましたことにつきましては、私はむしろ非常な感激を持って賛成申し上げたいくらいであるのであります。ただしかし、これは隴を得て蜀を望むということになるかもしれませんが、この制度をもっともっと強化する必要があるという意味におきましては、これだけでは足りませんで、さらにもっとかゆいところへ手の届くような配慮が必要ではないか、こう思うのであります。  そこでお尋ねをいたしたいのでありますが、この制度の運営上全国各地からこれについてはこういうことをしてくれ、こういう点についてなお政府に配慮を願いたいというようなことが再々言われてきておる。あるいは請願せられ、あるいは陳情せられ、あるいはまたそれぞれ現地におきまする要望となって現われてきておるのではないかと思いますが、それらについてざっとの概況を一つお示しをいただきたい。
  34. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 御指摘のように定時制、通信教育教育の機会均等という面からわが国の戦後の教育に大きな地位を占めております。そこでこのために昭和二十三年に発足するにあたりまして、私どもが一番苦労いたしました点は給与費の問題でございました。給与費につきましては十分の四を国が補助するという法律を制定いたしたわけでございます。ところがこの制度はその後シャウプ勧告によりまして地方財政で見るということになりましたので、この補助金は地方財政の当時の平衡交付金、今で申しますと交付税交付金の中に組み入れられた。この点がまだ解決を見ていないわけでございます。これは十分の四で計算いたしまして、約四十億に上る金でございますが、これを交付税から何とか引き抜きたいという希望が関係者の中に強いわけでござごます。ところが交付税率の方で最近は相当定時制を優遇しております。その後実は虐待されておったのですが、ここ二、三年来あの定時制の補助費をぜひ出してくれという強い要望がありましたので、自治庁とも交渉いたしまして、交付税の補償率は大幅に引き上げたわけであります。しかし、なおかつ地方財政が困窮しておりますので、この補助金をもう一ぺん復活してほしいという強い要望がございます。  その他定時制におきましては、特に設備の補助をしてほしいというので、これが約一億ほど設備費の補助をいたしておるわけでございます。それから定時制の建物の、特に独立校を作る場合の建物の補助をほしいということでございますので、この補助を約六、七千万建物の経費として公立文教費の中に組んでおるわけでございます。それから定時制の場合に、夜間で帰るときにおなかがすくので、ぜひ給食施設をしてほしいという御要望がございました。この点については定時制のために給食施設として手数百万円の補助費が出ておるわけでございます。  通信教育の方に参りますと、通信教育だけで普通課程も職業課程も卒業さしてほしいという要望がございましたので、普通課程につきましては全部通信教育だけで卒業のできるようにいたしたのでございます。なお職業教育課程につきましても、できるだけ通信だけで全部の高等学校の単位が取れますように努力をいたしておりますし、あるものにつきましてはそれが完成しておるわけでございます。  なお通信教育の場合には添削や巡回指導等の経費が非常にかかりますので、このために特に添削につきましては国から一千万円ほどの補助費を出しておるのでございます。そのほかに特に通信教育でございますと、教科書のほかに学習指導書というものが必要でございます。そこで文部省では教科手と学習指導書を合わしたような特別の教科書と申しますか、教科書のようなものを作る経費を予算に計上いたしまして、教科書とあわせて子供たちが学習しやすいようにする、こういう予算も実は組んでおるわけでございます。そのほかに特に最近はラジオ、テレビ等の普及が目ざましいのでございますので、特にラジオなりを補助手段にいたしまして、通信教育を振興するように、こういう趣旨から本年度は約一千万円ほどの通信教育に対するテレビの番組製作費及び電波料の予算を計上いたしたのでございます。ですからこの場合に、ラジオを聞いた場合には大体一年間に二十日間のスクーリング、面接授業がございますが、それの三分の一をラジオの場合には免除していく、テレビの場合には半分を免除していく、ということによって通信教育を振興していこうということで、実はさらに今学校教育法の一部改正を検計しておりますので、通信教育だけの高等学校もできるように準備をいたしておるわけでございます。大体私どもは今回の定時制、通信教育手当と、今まで申し上げましたような諸施策を合わせまして、不十分ではございますけれども、一応定時制、通信教育に対する態勢を固めたように思うのでございます。  なお学校教育法の一部改正をするにあたりましては、従来大企業等で技能者養成施設として相当りっぱな教育施設を持っておりますので、これも高等学校と同等程度のものは高等学校と認定いたしまして、ここで受けた教育高等学校の一部といたしまして、残ったものを定時制なり通信教育で単位を取れるような道も今検討いたしておるわけでございます。
  35. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 この方面にいろいろ心を配っておられる様子を承ることができましてしあわせに存じます。ただしかし現地で見ておりますと、やはり何となしに物足りない感じを持っておるようであります。といいまするのは、全日制の高等学校の生徒諸君が明るく伸び伸びと勉強しておるという——これは根本的な違いがあるのかもわかりませんし、それから先生方が、特に夜間勤務の先生方などは人知れぬ苦労を続けておるというようなこともあろうかとも思います。というようないろいろの条件が重なっておる関係からか、何とはなしに物足りない、一種のもどかしさをはたから見ましても感ずるのであります。そればかりではありませんで、現地の自治体の理事者などにおきましては、定時制もいいけれども、とても負担にたえかねるというような悲鳴を上げている。ある者は全日制に切りかえることを非常に強く要望しておるようであります。またあるところにおきましては、むしろこれは廃止しなければならぬのだというようなこともちょいちょい耳にすることでありまして、これは私は非常に残念に思うのであります。いかに全日制の高等学校が各地に分散といいますか、整備せられたといたしましても、なおかつ家庭の事情その他によって、夜間でなければ勉強ができないという子供たちは相当数ある。それらに対しましては、金がかかっても、めんどうでも、大へんでも、やはりそれだけの教育の機会は与えてやらなければいけない。ことに私どもは、そういう子供に限って非常な熱心さ、非常なまじめさをもって学問に取っ組んでおるという実情を見ますと、一そうその感を深くするのであります。今回のこの先生方に対する手当の若干の増によりまして一歩進めたとはいいながら、さらに給食の設備にいたしましても、あるいは校舎の問題にいたしましても、私が見たところなどでは、電灯料さえも相当にみみっちくやっておる。いわんや冬の暖房施設などにつきましては、ずいぶん苦労してみみっちく、節約に節約をしてやらなければならないような状態に追い込まれておるようなことを耳にいたすのであります。そういうことにつきましても相当あたたかい配慮をやっていただきませんと、せっかくの大事な制度というものがあるいは十分に実を結びかねる状態に置かれてくるのではないか、こう思うのであります。これは今後におきまする当局の御決意、御努力に待つ以外にありません。私がここでお伺いいたしたいのは、そういう文部省当局の御配慮にもかかわらず、なお定時制について、運営困難にして廃止の方向に持っていかなければならぬという傾向が全国的にあるやにも思いますが、その実情はどんなことになっておりますか。
  36. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 地方財政が困窮して参りますと、勢い定時制の方にしわ寄せがいくということは事実でございます。特に最近は小規模の定時制学校の統廃合が行なわれつつある、これは事実さようでございます。私どももあまり小さな規模の学校では、学校運営として適切な経営ができないと思うのでございます。実は自今未満の学校がおそらく千くらいあると思うのでございます。高等学校程度になりますと、ある程度の規模があってほしいと思うのでございまして、教員組織も十分であってほしいと思うのでございます。ですから、あまりに小さい、たとえば百人未満のような学校は、地域実情もございましょうけれども、統廃合して、できるだけ警備した独立校になるように指導をいたしておるわけでございます。実は人件費は、定時制につきましては、全額県費負担でやっておりますので、人件費の負担はさほどお困りのところはないかと思うのでございますけれども学校の経営費は市町村負担でございますので、関係の市町村がいろいろと協議してもなかなか出しにくい。ことに組合立になりますと、自分で立てた学校ほど熱が入りませんので、どうも小さな規模の学校におきましては勢いそういう事態が起こるということは、私はある程度やむを得ないかと思いますけれども、できるだけ一定の規模に整備いたしまして、今後普及をいたして参りたい。私どもは、むしろ定時制なり通信教育は何らかの形において義務制に持っていくべきではなかろうか、特に四ドイツやイギリス等の事例を考えましても、そういう方向に進んでおりますので、できるだけこれを普及し徹底するように、特に民間の企業の中にもできるだけそういう方向で指導して参りたいと考えておるのでございます。
  37. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 あまりに小さな高等学校は統合しなければならない、統合した方がより効果的であるということはよくわかるのでありますが、ただそういう方針をとられる手続過程におきまして、もしかするとそういう制度がまま子扱いにされているのじゃないかというふうなひがみを起こさせるような場合もあり得る。市町村当局で苦しまぎれにそんなことを品にする場合もあるようなことを耳にいたします。そういうひがみ根性を起こさせないためにも、統合を御指導なさる場合においては、それは決してまま子扱い、じゃま者扱いにするのではなくて、むしろこれを発展し、さらに強化するためにそういう指導方針をとっているのだという文部省のほんとうにあたたかい気持が現場に伝わるようにしていただきませんと、どうも統合方針に従って、小さいから廃止してしまおうというようなことでそれに便乗される心配がある。そこから私はせっかくのいい制度が芽をつまれ、あるいはしぼんでいくという心配を持つのであります。統合するような場合においては、ときによっては通学費を一部持ってやるというようなことで、これは決してまま子扱いにするのじゃないんだ、縮小する方針ではないのだ、むしろ強化していきたい、義務制にまで持っていきたい、その一つの土台として考えているんだということが、現場の生徒諸君にも教員諸君にも、いわんやその運営の責任を持っておる市町村御当局の方にもよくわかるようにやっておかれる必要があるのではないか、と私は思うのであります。そういう点についてはどういう御指導をとっておられるか。
  38. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 従来のところ、今日まで特に地方財政関係で統廃合が行なわれたことは私ども大へんに遺憾に思うのでございます。御指摘のような、教育上の見地からこれを発展し、充実するという趣旨から統廃合が行なわれるなら、これは一つの進歩であろうと思いますけれども、今日までの状態は、地方財政の困窮という点に原因いたしておりますので、私どもは必ずしもこれはよくないと思っております。むしろ私どもは、この機会に、積極的に、御趣旨に沿ったようなこれを発展充実するというような意味で指導して参りたいというふうに考えておるのでございます。特に今高等学校の定数基準を法制化いたしたいという考えも持っておりますので、この機会にも、できるだけ小規模のものは発展充実するような方向で指導して参りたい、こう思うのでございます。
  39. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 御趣旨はよくわかりました。そこで、これは私の勉強足らずかもしれませんけれども、先般御説明をいただきましたただいまの議案についての説明書によりますと、今度の経費ですが、三分の一は国小補助でやるけれども、あと三分の二についてはどういうことになるのか、説明の中に出て参っておりません。これは交付税の配分の関係でもってちゃんと見ておられるのか、その点はどうなっておりますか。
  40. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 御指摘通り、交付税の配分基礎に三分の二は入れております。
  41. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それはもうはっきりそういうことが自治庁との間にも話し合いがついて、現場の方にも、これはそれでふえておるのだということが伝えられることになるのでございましょうかどうでございましょう。
  42. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 単位費用が改正になりましたので、単位費用の増額分については、この分は入っておる、こういうふうに自治庁とも完全に了解しておりますし、現場の方にもこの趣旨は一そう徹底して参りたいと思います。
  43. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういう点で、いろいろとまた、せっかく先生に手当が出たけれども、そのために町村の財政が苦しくなるのだというふうな因縁をつけられないようにしておかれることが大切のようにも思うのであります。文部省の意図せられるところが現場までいく間に曲げられると、いうことは言葉がいけないかもしれませんけれども、いつか知らぬ間にぼやけてきてしまうという心配もあります。ことに平衡交付金、財政支出の基準というようなものは、ずいぶん長い間町村の事務をやっておる人たちでもわからなくて、何だかごまかされておるかのように考えたがるものでありますので、今度のことにつきましても、私はそういう点をぜひ御配慮願っておく必要があるんじゃないか、こう思うのでありますが、これはむしろお願いであります。  次に、大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、大臣は一昨日日教組の幹部諸君とお会いになりましたように新聞で承りました。大臣がいろいろお立場もあられるのにもかかわらず、非常な決意をもってこの挙に出られたことに対しましては、世間は非常に好評をもって迎えておるように、私は新聞及びラジオの解説等によって承ったのであります。最近の大臣のヒットではないかと、私は実は大臣に非常な親近感を持っております。といいますのは、私は教育の全くしろうとで、大臣は、今はもうずいぶんとベテランになられたのでありますが、文部大臣に御就任する前まではしろうとであったかのように思うのであります。もとはしろうとという意味におきまして私は非常な親近感を感じたのであります。その大臣が、非常な大事な時期に、大事な問題について重大な決意をもってお当たりになられる様子を見せていただいたものですから、私はほんとうにこれはいいことだと思います。そういうことからして、非常に世間で心配をしておるところの、教育界におけるこの重大な問題に一つの解決のめどといいますか、雪解けがきますることを深く念願するものであります。  そこで私がしろうとなりに非常に心配をいたしておりましたことは、学校の教師諸君、ことに私どもの年配から十年ばかり若くなる、その程度の年令層の人々は、今学校の校長なり教頭なり、その他教職の幹部の席におる人たちでありますが、この人たちが終戦後新しい時代教育を担当することになって、はたで見る目も痛々しいほどの精神的肉体的苦労を重ねておる。といいますのは、これは私から申し上げるまでもございませんが、戦争前の、教育勅語によって子供たちを教え込んできたということから百八十度転回しまして、新しい憲法、新しい教育基本法によって子供たちを訓育することになった。そこでは大転換が行なわれ、この年令層の人々は、かつて自分たちが教えたことがうそであった、間違いであったのだ、今度のことがほんとうのものだということについては、ずいぶん苦労しただろうと思う。そして新しい教育制度がしかれて、以来、月を積み年を経て五年、六年、ようやくにしてこの制度について、この国の方針について確信を持って教育に従事することになってきた。そうして非常に力強い、自主的な、張り合いのある気持でいよいよ教育に従事しかかったころに、残念ながら、世間の状態に、またしてもその基本にぐらつきが来たんではないかという心配を持たせるような状況が出てきた。この年令層の人々は、またしても変えなければならぬのじゃないかという心配を持ち、非常な神経過敏になりつつ教育のことに従事しているようであります。  そこで私は大臣にお伺いしたいのでありますが、ここ三、四年来世間で、たとえば教育委員会法の改正でありまするとか、その他勤評の問題に現われているようないろいろなことが事象としては出て参った。そして、むしろ国定教科書というようなものにあこがれを持ったり、あるいはまたひどいのになりますと、もとの教育勅語に一抹の郷愁を感じたりする者さえも現われてくる。この状況下におきまして、もう今の憲法なり教育基本法の根本の精神は微動だもしないのだ、教員諸君、安心してこの基本法を堅持してくれという、文部大臣としての確固たるお考えなり方針が現場の教員諸君に伝わることが望ましいのであります。私がはたで心配しておるだけで、ほんとうのものはそうじゃないのだ、お前たちの心配はよけいな心配なんだ、そう言われればそれだけのことでありますが、どうもそこに、何かまた根本がぐらぐら動きかけてきておるのじゃないかという心配を持っておる者が、現に私どもの友人にたくさんあるので、その点、確固不動である、微動だもしないのだという決意を一つこの席で、一昨日の今日であります、承りたいと思います。
  44. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 戦後のわが国の教育の基本的な方針は、憲法なりあるいは教育基本法に基づいて、それにうたわれておる事柄を根本義として教育をやっていかなければならぬということに対しては、今日何ら変わっておるものではありません。ただ、その憲法にうたわれあるいは教育基本法にうたわれておる教育の根本義を、実際教壇に立って児童に教える場合、これをわかりやすく説明する場合、重要な点をわかりやすく翻訳してやる場合に、これはなかなかむずかしいことであろうと思います。そこで、それに対して文部省としては、指導要綱なり何なりをつけ加えて、そしてその便宜に供するという方針をとってきておると思うのであります。しかし、御心配になるように、教育の基本的な観念については変わっているものではない、また変えるべきものではない、かように私は考えております。
  45. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大臣がその点重大な決意をもって、はっきりそういう表明をなされるそのお気持に、私は非常な信頼感を持つのであります。そこで、教育の中立性ということが、いろいろの事象からして、いろいろの角度から問題にされているわけですが、私は、教育が中立でなければならぬということはよくわかります。根本の問題で、大臣の決意を遂行する上に、その考えの土台であると思うのでありますが、ただ、現実の文教行政は、政党内閣下において政党人たる文部大臣のもとでやられるということからいたしまして、ともすれば、大臣が確固たる決意をもってこれに臨んでおる、教育の中立性は堅持すると言いながらも、何となしにやはり心配の種になる。そういうことから考えてみますると、たとえば、これはきわめてつまらぬ例になって、言ってはいけないかもしれませんが、一昨日会見をした場合におきましても、非常によいことであるのに、その時間を、一時間ばかりという希望に対して内藤初中局長が三十分にまけろというようなことを申し入れをしたということであります。これは新聞で見たのでありますから真相は知りませんけれども、そういうことに対して、もしかすると政党内閣下の政党人としての文部大臣のもとにある初中局長が、自分は中立の立場にある、教育の中立という考えを堅持すると言いながらも、おる場所が場所であり、立つ立場が立場であるだけに、何となしに色目をもって見たり、心配したがる。私も実は心配したものであります。そういうことについて大臣はどういうお気持を持っておられるか。わしは政党内閣下のこういう立場におるけれども、こういう場所におるけれども、わしの気持は全く白紙で、きれいなものであるということを世間に納得させるような、私のように心配する者にもなるほどそうだったかと言わせるだけの何か配慮があってほしいように思うのですが、どういう態度、どういう心持でおられるか、大臣から一つ承りたいのであります。
  46. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 灘尾文部大臣当時、教育二法案が国会に提出されまして、教育の中立性を堅持していかなければならぬ、子供に対して片寄った教育をやってはならぬ、あくまでもきれいな、童心に向かっては全く中立の立場において、政治的に偏向した、あるいは政党政派に偏向したような考え方をもって教育に臨んではいけない。この法律案を通過させるときに、私はたまたま八人のグループの一人でありまして、また文教委員でもありました。ちょうどそのときは半々でありまして、私が一人どっちかに加わることによって、どっちにでもなった。松田は八人組で、時の与党に反対だからもう出席はしない、あの法案は流れるんだといって、社会党の諸君はもう荷物を持って帰りそうになったときであります。そのときに私が出まして、やはり教育の中立性は確保しなければならぬという考えによって、私の一票が作用してあの法案が通ったことは事実であります。現実に記録に残っておることであります。そのときの気持も、私は十分によく考えて、教育の中立性はあくまでも守っていきたい、こういう考えで、その当時そういう決意をもってあの委員会に臨んだ。今もなおその当時と考え方は変わっておりませんということをもって御了承願いたい。
  47. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 金丸先生からの御忠告、ありがたくいただいておきます。実は私どもは、政党内閣下にあっても、やはり教育の中立性は堅持しなければならぬと考えておるのでございます。文部大臣が自民党に党籍がおありであろうとなかろうと、党の方から別にこまかくいろいろと干渉されるわけじゃございません。自民党にも文教政策はおありでしょうし、また社会党にも文教政策はおありでございます。そこで私どもは、日本教育の発展から考えてこれが正しい、これが中正であるということをいつも念頭に置いておるわけでございます。文部省にも、御承知通り教育課程につきましては教育課程審議会がございますし、また文教制度一般につきましては、特に重要な文教政策については中央教育審議会もございますので、いろいろな諸機関がありまして、それぞれ厳正中立に物事を判断されておりますので、私どもは文部大臣の御意図に沿うように努力しながら、一方においては公正な機関に十分諮って、行政が特定の政党の中に巻き込まれないように、あくまでも日本教育の伸展をはかって参りたい、かように考えておるのでございます。
  48. 大平正芳

    大平委員長 金丸君に申し上げますが、ただいま私ども議題にいたしておりますのは法案でございますので、一般質疑はあとで十分時間がございますから、法案に即した御質問を願いたいと思います。
  49. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 せっかくここまできたのですからあと一言だけ、話が中途になってはいけませんので……。内藤局長の御配慮といいますか、御苦心もよくわかります。ただしかし、先ほど申し上げましたように、やはり心配を持っておる者は、とかくその心配の目でものを見たがる。そういう目をもって見ることはよくないじゃないかと言われればそれまででありますけれども、やはり私は今ある自分の立場、今おる場所というものを十分腹の中に置いて、言動をなさることが必要じゃないかと思う。大臣の一作品の応答が、いろいろ世間から好評を博しておるのは、やはり何年か前におとりになったそれがもとになっておるのじゃないかと思います。私はさもありなんと思う。その逆に、内藤局長がいろいろ言われますのは、やはりそれなりの何かがあるんじゃないかと思います。そこで具体的に言いますれば、これは新聞の報道でありますから真実はわかりませんけれども、もし一時間の会見の申し出をされるという場合におきましては、大臣は非常に忙しいから三十分にしろと言われても、これはゆっくりお会いになった方がよろしいんじゃないかというような御忠告、御進言をなさることも、あなたの立場からいたしますと必要でございましょう。また二度という申し入れに対しては、三度でも四度でもというような配慮をなさる必要があるのではないか。これはずいぶんつまらないことですが、そういうことがほんとうは大事なんで、たとえば道徳教育のことが非常に曲げて考えられる——曲げて考えられるかどうかわかりませんけれども、そういうふうな心配を持つ。勤評にしてもしかりだ。あなたの言動というものは非常に私は大事なときだと思います。  それで、この今問題になっておるところの法案なんかの扱いその他につきましても、そういういろいろと考えられないような配慮というものを常に頭に置いておかれる必要があるのではないか。私どもよけいな心配をして、かれこれ申したくございません。ございませんけれども、しかし現場の小中学校先生方、特に苦労を続けておられるところの小中学校先生方は、そういう点非常に神経過敏になっておる、この事実だけは私はしっかりと腹の中におさめておいてもらいたい。そうでないと地方で講義をしていただいております純真な、熱心な、まじめな先生方から教育意欲を減殺してしまうという心配を持つ。それでは私は大へん残念なことだと思います。どうぞ一つこれはお願いをいたします。  また議案から遠ざかると委員長から御忠告を受けるといけませんから、以上だけで終わりますが、お願いをしておきます。
  50. 大平正芳

  51. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ただいま議題になっております問題について、実習助手の件でありますけれども、私ども各地の大学を回り、あるいは高等学校を回りまして、実習助手というものが非常に大きな働きをしておることを見るのであります。たとえばこれは私の友人でもあります、ある大学教授でありましたが、非常に優秀な高速度映写機を作りました。その研究室へ私参りましてそれを見ておりましたときに、非常にすぐれた教授でもありまして、もちろんその教授のアイデアがそれぞれ入っておるわけでありますが、当時のことでだいぶ前のことでありますが、同時にまた、わずかに小学校しか出ておりません実習助手が、非常にいいアイデアを教授に進言をして作っている。それが非常に小型で優秀な高速度映写機の重要な部門をなしておるという事実を見ました。またその研究所の中で、不完全な工作機械を使いまして実習助手の人が映写機の部分品などを作ってはやっていた。それを見まして、実習助手というものは実に大事だなということを痛切に感じたことがございます。今日も実習助手というものの重要さというものは、もうどこの大学に参りましても、あるいは高等学校に参りましてよく言われる。ところがその実習助手に対する給与、待遇等は非常に悪い、こういうような世の中が景気のいい時代になりますと、どんどんひっこ抜かれてしまう。そのために非常な苦労をしているのが現場の実情であります。これは文部省の方でも多分お認めになっていると思う。一体実習助手の重要性について、文部省はどういうようにお考えになっておるか、まずそれから承りたいと思います。
  52. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 特に理工科関係の場合におきましては、実習助手の手を借りなければ教育が円滑にいかないという点では、御指摘通りでございます。私どもも実利助手の待遇の面におきましても、あるいは定数の面におきましても、いろいろと今苦慮しておるのでございまして、御指摘通り待遇も十分ではございません。なお定数も不十分でございます。このたびの高等学校の定数基準を定めるに当たりましては、この点は十分考慮して参りたいと考えております。
  53. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そこでこの間もお話のありました政令に定める実習助手の問題でございますけれども大学を出た者はすぐ実習助手になれる。短期大学の者は三年でありましたか、それから高等学校は六年たたなければ、この政令で定めるというものにはなれないという形になるわけであります。一体今日実習助手——もちろん実習助手と申しましても、ずいぶん広い範囲になりますけれども、その経歴別から申しますと、実習助手の全体の数がどういうように分かれてくるのか承りたいのであります。
  54. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 大体高等学校卒が大部分でございます。
  55. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうしますと、この諸君学校を出て勤務いたしましてから六年たちませんとこれに当たらない。せっかく定めていただきます手当を受けることができないということになるわけであります。ところが現場を回ってみまして実情を調べてみますと、一つはただいま申しました、最近非常に世間の景気がいいというところから、ひっこ抜きがございます。もう一つはやはり給与、身分の問題が非常に大きな問題になってきている。一体実習助手の給与というものはどういうようになっているのか、承りたいのであります。
  56. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 実習助手は教員の場合に校長、教諭、助教諭、こういう三つのランクになっているわけであります。その助教諭のランクに入っているわけであります。ただ実習助手から相当資格をとった人はもちろん教諭に上がり得る道は開かれているわけでございます。
  57. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その助教諭というランクに入っていると、実際におきましては給与は初任給は幾らであるか、また最高給は幾らでありますか。これは高等学校出でいいです。
  58. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 ちょっときょう給与法を持って参りませんでしたので、法律を見てから御説明したいと思います。
  59. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私の調べたところによりますと、これが事実かどうかはよくお調べになっていただかなければわかりませんが、場所によって違うこともあろうかと思いますけれども、たとえば教育職の二の三等級ということでございまして、結局最高給が二万三千円だということを伺っております。また三十五、六才になりましても、大体一万五千円しかとれないというように承っておるのであります。もしそういうことでございますと、今申しました、非常に教育上重要な役割をしておりまする実習助手の諸君がここで生活が安定しておりませんから、三十五、六才になっても一万工、六千円しか給与がもらえないということでありますれば、結婚もできない、家庭も持てないということになりましょうから、この重要な職務をいたしまする実習助手が落ちつかないのはあたりまえ、落ちつかないばかりではありませんで、新たに実習助手になり手が最近は非常に減っているというのが実情のように承るのでありますが、この点はいかがでありましょうか。
  60. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 この給与法を見ますと、一号が七千三百六十円であります。それから最終が二万九千五百八十円でございます。こういうことになっておりまして、一般の職種に比べて私どもはこれが悪いというふうには考えていないのでございます。もちろんこれで十分だとは考えておりませんけれども、現在のところ大体三万が最高でありまして、最低が七、八千円、こういうところでございます。
  61. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ただいま申しましたように、実情から言いますと、三千五、六才で一万五、六千円というふうに実際に伺っておるのでありますが、そういうことであれば、家庭も持てない、前途実に暗たんたるものになる。従って初めは、たとえば母校の実習助手になるということで喜んで参ります高等学校の卒業生の諸君が。二、三年すると、だめだ、これはもう前途ちっとも希望が持てない、そこでこれじゃ家庭も持てないというようなことで、ことにこのような時代でありますから、他からひっこ抜きがくる、たとえば工業学校でございますれば、電気関係あるいは工場関係、会社関係等からどんどんひっこ抜きがくる、確かにその方がはるかに給与がいいのでありますから、それだから抜けていってしまう。また現にみずから実習助手として長年働いてきた諸君も、実際のところはどうも若い諸君に対してそれをしいてとめておくというような気持になれない、やはり前途を考えると、今のうちにいい方に行った方がいいだろう、こういうことになるということを実際の実習助手の諸君から伺うのであります。これは教育上、実にゆゆしいことだと思います。ことに理工関係の技術の教育をしっかりやろうというようなときには、実は容易ならぬことだと思うのであります。でありますから、この点について、もっと現状に即した給与制度を作ってやる必要がありはしないかということを、常々私は各学校を回りますときによく思うのであります。またそれを実際、教授やあるいはまた教諭や実際の実習助手の諸君から始終訴えられる。それでこれはもう長年にわたって私ほんとうに心の中にいつもあることで、何とかしないと、ほんとうの教育はできないぞ、こういうような技術的教育という段になりますと、ほんとうにこういう諸君がしっかりしてくれなければできない。また先ほど申し上げましたように、大学あたり研究室でございますと、新しい研究を進めて参る、あるいは発明して参るのに、この諸君が非常に大きな役割りをして参る。これがありませんと、やはり日本全体の技術の向上というようなことも、非常にそこに欠陥が出てくる。だからこの給与というようなものをもっと引き上げてやるという工夫をすること、それから同時に、そういうような重要なことであれば、身分を確立する必要があると思うのであります。  それで、まず第一に、給与の問題についてでありますが、私の聞くところでは、たとえば高等学校を出た諸君給与の問題が、今申しましたような事情で長くここに勤務しておらないというところからして、せっかくこの今回の法律を作りましても、高等学校を出て六年間はこの手当が受けられないということになりますために、その諸君に対して何らの恩典がないのであります。ところが、今日の実習助手の大部分の者は高等学校を出た者であり、ことに、おそらくその中の相当数が、まだ六年間勤務をしておらぬ人であるということになりますと、これは何の役にも立たぬという事態になるわけであります。そこで、「政令で定める」というこの問題は取らなければ、実際に生きないのではないか。ことに新しい諸君研究室なりあるいは学校の現場に受け入れることができないのではないかという、非常な疑問が出てくるのであります。この点はどうでありましょうか。一体六年未満の勤務の高等学校出の実習助手というのが——先ほどもお話がございましたが、実習助手の大多数は高等学校出だということでありますが、その中の何%くらいがそういう諸君であるか、その点をわかっていたら教えていただきたい。
  62. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 実習助手の待遇改善につきましては、御指摘通り、身分的な問題とあわせて、給与の問題も今後十分検討しなければならない問題と考えております。ただ、今最後にお述べになりました、どの程度がこれに該当するかというお尋ねでございますが、六割ちょっと以上が、大体この制度の恩恵を受けると考えておるわけでございます。
  63. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、少なくとも新たにそこに入って参りまする諸君の四〇%、今日働いております四〇%の諸君は、これを受けられないということになりますと、これは非常にやはり困った問題だ。そこで非常に大きな、いわば給与の差別が行なわれてくるということにもなる。いよいよこの諸君に対しては——たとい長くおっても本給がもともとわずかである。それから六年未満の者はこれが受けられないということになって参りますと、こういう時代におきましては、新たに入ってくる人はいよいよ少なくなってくる、あるいは来ても間もなくよそへ変わっていってしまう、こういうことに事実なるだろうと思うのです。ですから、この「政令で定める」ということを当然取るべきだと私は思うのでありますが、大臣、その点はどうでしょうか。大臣はこういうこまかいことはお考えにならぬかもしれませんが、しかし現実問題として、私はその点非常に困るのじゃないか。だから、「政令で定める」という、これを取って、実習助手にはだれにもこれがいけるというようにすべきものではないかと思うのでありますけれども、その点いかがでありましょうか。  それで、もう一つその前に伺っておきたいことは、私の調べたところによりますと、この「政令で定める」という者以外の、今の六年未満の、高等学校諸君、こういう諸君が、たとえば非常に長時間働くということになりましても、たとえば産振法によって、本来はやはり政令で定める者については産振法の手当が出るわけでありますけれども、ところが、実際において、現場で、たとえば、学校にしましても、あるいは水産学校にいたしましても、現場においてほんとうに——学校でたとえば牛が夜中にお産する。そういうときに、夜中にお産をするからそれを見なければならぬ。あるいは水産学校で魚をとってくる。それを加工しておる。それは時を待てない。そういうときに、現場でほんとうに働く諸君は、実はこの六年未満の若い高等学校出の諸君である。ところが、この諸君は産振法の手当も受けられない。それから超過勤務でありますけれども、これは府県によって違うかもしれませんが、超過勤務手当をくれといえば、これは教育職員だから出さない。こういうことになって、どちらの手当も受けられないということになっているのが現状であるということを、調べて知ったのであります。そういうことになりますと、実際には非常によく現場で働いている諸君については、産振法の手当もない。しかも超勤手当もない。こういう事態が起こって、第一線で非常に働いている諸君が報いられない。当然報いられるものが報いられないということになると思うのであります。まあ私の調査が間違っておれば別でありますが、どうでしょうか。実際において教育職員だから超勤手当を出さないということになっておるようでありますけれども、その点は文部省ではどういうふうにお調べになっておりましょうか。
  64. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 御指摘通り教育職員には超勤は出さない。というのは、勤務の態様が非常は複雑であり明確を欠いておる、こういう趣旨で出さないのであります。そのかわり本俸において一号、他の公務員に比べて初任給から上がっておるわけでございます。事務職員につきましては御指摘通り、超勤手当は出しておるわけであります。それで、産振法の場合も同じでございましたが、今回の定通手当につきましても、一定のところで資格を切りましたので、実習助手の中でも、大学出の者もございますし、短大出の者もございますし、高等学校卒もあるし、中学校卒もある、こういうものを一つ基準でいたしますと——これは先日申しましたように、学歴一年を勤務年限一年半、こういう換算の仕方でいたしたわけであります。実は、この定時制通信教育手当につきましても、大蔵省側では、実習助手に波及することには非常に難色を示したのです。それで、産振手当のいきさつもありましたので、まあ一つそこまでは譲歩してほしいということで、実は自治庁、大蔵省大へん難色がありましたけれども、やっとここまできましたので、御指摘の点もありますので、今後十分検討させていただきたいと思います。
  65. 長谷川保

    長谷川(保)委員 現場を実際に見てみますと、私はやはりこれは少し無理がある。これでは無理だ。やはり現場で非常に長時間働いて——なるほど教育職員は一号俸上がってはおりますけれども、これはやはり現場で働いている実習助手諸君の労苦というものの現実を見てみますと、私は今のような、四〇%に及びまするこの手当を受けられない諸君があるということではいけないのである。まずその諸君給与の改善をこの線でよくして上げる。そういうことによって今日、重要な実習助手が次々と引っこ抜かれていくということをせめても防ぐという手を打つべきであって、今さらここに「政令で定める」という言葉を置くべきではないということを痛感するのであります。  そこで、それはともかくといたしまして、先ほどの、もう一つの問題でありますところの、実習助手諸君の法制上の身分というのはどういうことになっているのか。それは確立しているものか。
  66. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 これは教育公務員特例法によりまして、教員に準ずる身分でございまして、事実上は教員と同じでございます。
  67. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ところが、なかなか事実はそういうようなことになっておらないのではないか、こういう点をさらに確立する必要があるのではないかということを思うのであります。  時間もあまりございませんから話を進めるといたしまして、次に事務職員の関係でございます。この間もどなたか質問なさったようですが、御答弁がなかったように記憶しております。あるいは私の記憶違いであるかもしれませんが、夜間制の、定時制の専任の事務職員の数というのは全国にどれくらいございますか。
  68. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 これは夜間と昼間と分けておりませんが、高等学校全体で事務職員の数は一万七百十一人でございまして、そのうち定時制通信教育関係の者が千八百八十二人でございます。
  69. 長谷川保

    長谷川(保)委員 夜間制は全然わかりませんか。
  70. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 この大部分が夜間でございます。
  71. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると千五、六百人というきわめてわずかの数のように考えられるわけです。今回のこの提案理由の説明を拝見いたしますと、この間も同僚諸君からお話がありましたように、また当局からお答えがありましたように、この理由といたしましては、定時制、定通制の先生たちというのはいろいろ非常に複雑な努力をしなければならない、そのための勤務の非常な過重というものに対するいわば手当である、さらにまた夜間に勤務するために家族等の生活等々にいろいろな支障を来たす、それに対する手当であるというように伺ったのであります。ごもっともなことでありまして、そういう意味で私どもはこの趣旨に賛成するのでありますけれども、また私どもが前から強く主張しておったところであるのでありますけれども、少なくともこの夜間勤務の者が大部分でありますところの事務員諸君にとりましても、何分にもこの生徒諸君が経済的な困難の多い諸君でございますし、従って家庭の事情もなかなかいろいろな問題がありましょうし、そういうことについての先生方努力というものも、また事務職員の努力も、やはりなかなか授業料が簡単には入ってこない等いろいろな問題で関係しましょうし、またそればかりではありません。実際におきましては、この事務職員諸君に、そういうような問題で生徒諸君はいろいろ相談を持ちかけるだろうと思う。授業料が払えないのはこういう問題があるのだ、今勤務しております事業場がこういう事情なんだ、あるいはまた家庭の事情がこうなんだ、でこういう問題をどうしたらいいかというようなことをずいぶんと御相談になると思う。またそれらのことについて先生の方は、教育の方に忙がしいので、おのずから事務職員がそういうようなケース・ワーカー的な仕事を相当しなければならないと思うのです。何分にも夜間の勤務でもありますし、同時にそういうこともありしますから、当然事務職員だけをこれから除外するということは無理ではないかという主張も、これは私は正しいと思う。少なくとも考慮しなければならぬ。それでこの間のお話でございますと、いわゆる事務職員に広げればそれが昼間にもいき、さらに一般の者にもどんどん広がっていく、それでは困るという話でありますが、少なくとも夜間の事務職員諸君、この諸君に対してはやはり昼間とは違った、提案理由の少なくとも前段の理由というものは当てはまるわけでありましょう。後半の理由も、私は実情を見ていけば相当あると思うのです。ことに最近のような、中小企業が非常に困難な——大体中小企業に勤めている諸君が多かろうと思うのでありますが、中小企業が非常に経営困難だというときには、こういう問題はことに多かろうと思うのです。そういう問題に親切に相談に乗ってやる、一々処理して上げる、助言をして上げるというようなことも、私ども聞いてみますと、みずから事務職員諸君が実際においてやっておるようであります。でありますから、この際にこういう職員を差別していくということは適当ではない。先ほどの実習助手と同じように、これにもやはり手当を与えるべきではないか。ことに私が思いますのは、俸給、給与というものはみなそれぞれの働きに応じ、学歴に応じ、勤務年数に応じて出しておりますから、この手当はたとえば日直手当あるいは夜勤手当が平等に一律に行なわれますように、やはり一律に出したらどうか、その方が合理的ではないかと思うのでありますが、その点はどうお考えになりますか。
  72. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 夜勤手当ということなら、私どもも全く長谷川委員の御説に同感でございます。しかしこの定時制通信教育手当と申しますのは、先般申し上げましたように、職場なりあるいは家庭のいわゆるホーム・プロジェクトと学校教育との関連が非常に複雑でございますし、またお話のように生徒の生活環境も複雑だ、こういう点で、その職務の複雑性と困難性に留意して出したわけでございます。たとえば通信教育ども、これも夜ではございません。しかしながら通信教育でスクーリングをやる場合に、方々巡回して回らなければならぬ、こういうような点で、全日制で学校へ集まってくる者を教えている場合に比べますと、はるかにその職務の性質も複雑であるし困難である、こういう趣旨でございますし、なお昼間の定時制も、学校数で申しますと、四割くらいあるわけでございます。ですから私どもの趣旨は、定時制通信教育の複雑性、困難性に基づいて出す手当でございまして、夜勤手当という趣旨ではございませんので、今回は事務職員を除外したわけでございます。
  73. 長谷川保

    長谷川(保)委員 お話は一応わからぬではありませんけれども、しかし同時に、私が今夜勤手当や日直手当というものを出しましたのは、一つの例として出したのでございまして、これは純粋の夜勤手当として出すものでないことは、趣旨はよくわかっておりますが、今申しましたように、少なくとも提案理由の説明の前段には、夜間勤務に伴うさまざまな困難に対する手当ということが書いてあるわけでございまして、夜勤手当でないことはよくわかっております。しかし今申しましたような全般的な立場から考えて、夜勤手当とはもちろん別個のものでありますけれども、ほぼ同じような性格に考えたらどうか。つまりその他の点については、俸給はみな分かれてそれぞれの俸給が与えられておりますから、こういうものはやはり一律に出したらどうか。少なくとも出してもいいという点が六分あるのじゃないか。十分とは申しませんが、六分くらいはそれがあるのじゃないかと思うのであります。そういう意味で、私は、こういうように学校が一体になって働いて参りまするときに、こういうものは、むしろ日直手当、夜勤手当が一律で出しておりますように、一律に出した方がいいのじゃないかと思うわけであります。まあこの点は後にまた私の方で別の考え方がございますから、意見として申し上げて、御参考に供しておきたいと思います。  一応これについての私の質問を終わります。      ————◇—————
  74. 大平正芳

    大平委員長 これから一般質疑に入りたいのでございますが、その前に稻葉修君、山崎始男君から発言を求められておりますので、これを許します。稻葉修君。
  75. 稻葉修

    ○稻葉委員 お尋ねいたしますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条、第七条には、教育委員の任命は、市町村長が議会の同意を得て任命する、罷免をする場合も同様、議会の同意を得て罷免するということが書いてありますが、私は法律の解釈はしろうとでございますので大臣にお尋ねしたいのでございますが、もしかりに市町村長が議会の同意を得ないで教育委員を任命したり、それから罷免をしたりした場合には、その任命という行政行為は有効ですか無効ですか。
  76. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私は法律のことについてはあなたよりさらにさらにしろうとでありまするので、よく決定的なものは持ちませんが、しかし任命権者といえども議会の承認、同意を得ないでみだりに罷免するというようなことはあってはならぬと考えます。従ってそれは有効か無効かということについては疑義の存するところではなかろうかと思いますが、そのときの事情にもよりましょうけれども法律に書いてあることに反しておるということが明らかであるならば、それは違法である、かように存じます。
  77. 稻葉修

    ○稻葉委員 内藤初中局長はその点についてどういう御見解を持っておられますか。
  78. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 違法のことは間違いございません。ただその効果が有効か無効かということについては同様でございます。
  79. 稻葉修

    ○稻葉委員 事案をちょっと申し上げますと、新潟県北蒲原郡紫雲寺町という町で、学校統合の問題で委員会は統合するということを決定し、議会もそれを認めて統合するということで進んできたのでありますが、一部落の分校を存置して、そこで学校へ通わせないで、部落で費用を出して勝手に授業をやっている。こういう状態では卒業証書を出していいのかどうかわからないというので、去年一年はもうことし限りだということで卒業証書を出したのでございます。ことしはもうすでに卒業式が迫っているけれども、統合してもらわなければ卒業証書は出せないというようなことで問題が起きました。町長は自分の選挙のときに分校は存置してやるというようなことを言ったものだから、その選挙公約に縛られて、そして教育委員会の決定、前の議会の決定をくつがえそうと努力をして委員を説き伏せにがかったけれども委員が言うことを聞かないものですから、三人罷免をして、新しく自分の言うことを聞く三名を任命した。ともに議会の同意を得ていない。議会を開いてやってみたところが、四対十一、一票棄権というような状態で、その町長の行為を不適当だとして否決した。従ってさっきあげました四条、七条によれば、明確に議会の同意を得なければ私は任命行為、罷免行為は無効だと思いますが、この点について県の教育委員会から教育次長がたしか文部省へ参りまして、文部省の見解を何っていったと思うのだが、文部省ではどういう返事をしたか。それはあいまいな返事をしているのではないか。あいまいな返事では問題は解決しない、非常に困りますが、私は当然これは無効だとはっきり返答をしてやるべきだ、こう思うのです。
  80. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 御指摘通りでございまして、この事案は、私どもは議会を招集してそこで罷免をする場合に同意を得ることになっておると思うのです。ところが議会が最初に同意をしなかったから、町長が専決処分で罷免をした。この事態も私は非常に行き過ぎだと思うのです。こういう事案が町長の専決処分を許されるべきかどうか、緊急性があるかどうか、こういう点について実は町長のはなはだしい行き過ぎだと思うのであります。  次にこの点がさらに次の議会で承認を求めたときに、今御指摘通り不承認、こういうことに相なったわけでございます。ところで新しい教育長が県の承認を求めて参った。そこで文部省としてはこの町長の処分が有効か無効かという点について自治庁と今協議中でございます。そこでとりあえずは新教育長の承認は待ったをかけて、自治庁とすみやかに協議いたしまして、結論が出るまではしばらく保留ということにいたしたのでございます。
  81. 稻葉修

    ○稻葉委員 それでは自治庁と文部省の法解釈についての見解は違うのですね。あなたは無効だ、自治庁は同意を得なくても任命行為、罷免行為ともに有効だといっておるのですか。
  82. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 まだそこまで決定的なわけではございません。ここのところは学説でもいろいろあるようでございますので、自治庁も慎重なわけであります。有効か無効かについてまだ自治庁も結論が出ていない、私どもは御承知通り無効ではないかと思っておるのですけれども、ここのところは今協議中のところでありますから、とりあえずの処置としては県の教育委員会は新教育長の任命行為についての承認を保留した……。
  83. 稻葉修

    ○稻葉委員 自治庁がそういう任命行為なり罷免行為なりを議会の同意を得ないでやったことは有効だと主張するその法上の根拠は第何条ですか、お聞きします。
  84. 内藤譽三郎

    ○内藤(譽)政府委員 この点今協議中でございますので、いましばらく待っていただきたいと思います。
  85. 稻葉修

    ○稻葉委員 卒業式が迫っております、早くきめてやらないと、卒業証書を出していいのか出さないでいいのか……。もうあしたあたりこれをきめないと困るのです。地方自治法の専決処分という権限も自治庁にはあるけれども地方教育行政の組織及び運営に関する法律は特別法だと思う。教育に関してはこちらが優先する、従って四条、七条という明確な規定がある限りは、文部省としては断然それは無効なんだという態度で早急に解決してもらう。  と同時に大臣にお尋ねしますが、五十二条をお開きになっていただきます。これは局長の今の御答弁にもあった通り、非常に不当だ、著しくばかばかしく不当な教育行政をやっておるわけです。それに対して文部大臣は措置要求の権限を持っておられるのだから、そういう親切心が大臣にはおありになりますか、おありになりませんか。
  86. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 文部大臣として親切心は努めて持って参りたいと考えます。
  87. 大平正芳

  88. 山崎始男

    山崎(始)委員 私は最後に委員長に一言御要望申し上げたいのです。といいますことは、先ほど本委員会におきまして、委員長みずから人事院瀧本給与局長に対して、大学教官の待遇改善の問題を御質問をされ、もっと考えなければいけないのじゃないかという意味の発言をなさっておられました。これに対して私は非常に敬意を表するのであります。日本の国の大学教官が、給与その他出張の旅費の状態あるいは研究費の状態、一切をひっくるめまして非常に不遇にあるということは、諸外国の例と比べましても明らかな事実なんです。実際いいまして、これはここ一年や二年の問題じゃないのです。私のたまたま知っております大学の歯科の教授ですが、日本でも技術的には相当有数の権威のある人なんです。この人なんかでも、個人的に会いますと非常にこぼしている。一年に三べんや四へん、東京大阪その他地方に学会がある。一年間の出張の旅費なんかでも、一ぺん学会に行ったらあとは自腹だ。大学教授でありながら、ほんとうにみじめな生活をなさっておる現実をわれわれは知っておるのです。本年度、聞きますと司法官としての待遇改善に十億あまりの予算要求もやったということを聞いております。ところが大蔵省は大蔵省で、人事院が勧告をしないのだから上げるわけにいかぬのだ、こういうことが理由らしい。先ほどからも給与局長の話を聞いておりますと、民間同種給与というものを比較するんだ、従って私立の大学校と比較するんだ。必ずしも私立の大学校と比較すること自体が正当とは思わないと言いながら、やはり給与の勧告をする建前上、民間のものと比較をするという一つの原則に、やはり気分の上ではこだわっている。自分みずから、私立学校先生比較するということは必ずしも妥当でないと言いながらも、やはり私はそれにつられているんだと思う。こういうことになると、私立の学校先生大学先生というものが、両方で首のつり合いっこをやっているような格好なんです。片方が首をつって、片方が足を引っぱっておる。いつまでたっても大学先生は、これは私立も国立も同様に上がりっこないと私は見ておる。聞くところによりますと、学術会議では大学先生の生活白書というようなものも出たやに聞いておるのであります。たしか本年の七月か八月ごろに人事院勧告があると思うのでありますが、大学先生のようにおとなしい人は平生黙っておる。私は文教委員会のようなこういう機関でこそ、そう急いでとは申し上げませんが、七月の勧告があるまでに、委員長から理事会にでもお諮りになって、大学先生給与はもとより、研究費にしても出張関係の旅費その他一切、生活白書が出ております大学先生の生活の現状というものをいま少しく、われわれ文教委員はもとよりですが、国民がもっと認識しなければいけないと私は思うのであります。そういう意味におきまして、私は本委員会において参考人を呼んでいただきたい。そうして少し先生たちの平生言えないことを、この委員会を通じてざっくばらんに、こういうふうに苦しいのだという実態を言うてもらいたい。そういう機会を作るよう委員長はぜひ御尽力願いたいと思うのであります。それでこそ、本日委員長給与局長に御質問をなさった最後の画龍点睛というようなことになるのじゃないかと思いますので、ぜひ委員長にお願いしておきます。
  89. 大平正芳

    大平委員長 承知いたしました。この問題は石井専門員にも終始御研究願っておりますので、そこで、できました資料は各委員に御配付申し上げて御研究願って、それで人事院総裁なり参考人を呼ぶ等の件につきましては、理事会にお諮りいたしまして、今国会中に適当な機会を見てやらしていただきたい、そう思います。  小牧次生君。
  90. 小牧次生

    ○小牧委員 間もなく本会議が始まるようでございますので、いろいろたくさん聞きたいことがあるわけでありますが、残念ながらできません。簡単に一つ文部大臣にお伺いをいたしたいと思います。  それは先ほども同僚金丸委員からも御質問がありましたし、一昨日の文教委員会において私が少し触れました、十六日の文部大臣と日教組の幹部との会見の問題であります。今日わが国の教育問題については、いろいろな問題が山積をいたしております。本日も同僚議員の間から問題点について熱心な審議が行なわれました。たとえば国立大学の充実の問題とかあるいは義務制の充実の問題、あるいはまたそのほか定時制教育の振興の問題あるいはまた大学教授を初め、一般教職員の待遇の改善、科学技術の振興など、いろいろな問題が山積をいたしておることは御承知通りであります。しかしこれと同時に、あるいは勤務評定の問題とかあるいは専従制度をどうするかという問題、さらにはまた最近問題となって参りました新学習指導要領の問題に関しまして、教科書の検定制の問題やら、教科書の内容の問題、こういう点について、これはもう相当政治問題化しておる問題であります。従いまして、これらの問題については、何とか文部大臣の方においても誠意を持って解決をしなければならないということで、日教組との間の会見に応じて文部大臣が乗り出して参られた。この態度については先般の委員会におきましても、私は心から敬意を表し、その解決を国民のたくさんの方々とともに強く期待をいたしておるわけでありますが、私どもはそういう会見の模様については、立ち会っておりませんので、ただほんの少しく新聞紙に載せられた以外には知るところがございません。本日は時間がございませんから立ち入ってお聞きはいたしませんが、一つ簡単にその日の会見の経過について御報告していただける程度においてお答えを願いたい。
  91. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 特に十六日の会見について御報告申し上げるほどのことはないのでありまするけれども、まずその日の会見の結果、お互いにほんとうにかみしもを脱いで話し合いができるような雰囲気を醸成したい、こういう気持であったのでありまして、その点については私は成果があったような気がいたすのであります。むろん具体的な問題についての話はその日は入りません。とにかく誠意を持って話し合いができやすいような状態を作り上げようというところに双方とも中心を置いて話し合ったということにとどまるわけであります。その点についてはともにそうしようという気持になったと私は思う次第であります。
  92. 小牧次生

    ○小牧委員 この前の委員会のときの私のお尋ねに対しても、裸になって誠意を持って話し合いを進めたい、こういう御答弁がございましたし、また今そういう気持で十六日の会合には臨んだというような御答弁でございまして、私も、行きがかりを捨てて両方が問題の解決に取り組むという態度が解決への大きな第一歩であるというふうに考えまして、一昨日もそのようなことを申し上げたわけであります。一昨日の会合においては大した話し合いもしなかったと言われましたけれども、何か日教組の幹部の方から問題点の提示がなされたやに新聞紙には報ぜられておったようでありますが、そういう提案がなされたのでありますか、いかがですか。
  93. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 書類をもって提案はなされておるわけであります。まだ寸刻のいとまなくしてこれを十分検討するのいとまを持ちません。しかしやがて十分に検討いたしまして次回の会談をやるときの用意をいたしたい、かように考えます。
  94. 小牧次生

    ○小牧委員 もう予鈴が鳴っておりますのでこの程度でやめますが、もちろんただ一回の会合で終わりとも考えませんし、さらにまたおそらく文部大臣におかれましてもねばり強くというこの間御答弁がありました通り、引き続き日教組の幹部との会合を続けられて、問題解決へ努力されるであろうと私どもは強く期待をいたしておるわけでありますが、この次の会合等について何らか話し合いがあったのか、またこれについての大臣の今の御心境について承りたいと思います。
  95. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 この次にはいつ会うというようなことははっきり定めておりませんけれども、いずれまた会うことは会うということになったわけであります。  心境と申しましても従来通りお答えいたしております通りの心境でございます。
  96. 小牧次生

    ○小牧委員 明確にそういう点をきめておられないようでありますが、当然組合側としても再び会見を再開して解決へ努力したいということであれば、そういう申し入れがあれば快くこれに応じて、大臣としては裸になって取り組んでいかれるつもりであるかどうか。その過程の進展に応じて、私どもも非常に大きな関心を持っておりますから、先ほど申し上げたような問題点をあげて、逐次大臣にいろいろ御質疑を続けていきたいと考えておるわけでありますが、これについての大臣のお考えをお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。
  97. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私もそのつもりでおります。
  98. 大平正芳

    大平委員長 次会は来たる二十二日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五分散会