運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-09 第34回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月九日(水曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 大平 正芳君    理事 稻葉  修君 理事 臼井 莊一君    理事 簡牛 凡夫君 理事 木村 武雄君    理事 西村 力弥君 理事 長谷川 保君    理事 小牧 次生君       木村 守江君    竹下  登君       濱野 清吾君    八木 徹雄君       金丸 徳重君    栗原 俊夫君       山崎 始男君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松田竹千代君  出席政府委員員         法制局参事官         (第二部長)  野木 新一君         文部政務次官  宮澤 喜一君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君         文部事務官         (社会教育局         長)      齋藤  正君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         文部事務官         (初等中等教育         局特殊教育主任         官)      辻村 泰男君         厚生事務官         (医務局医事課         長)      江間 時彦君         厚生事務官         (児童局養護課         長)      立山 春男君         労働事務官         (職業安定局職         業訓練部長)  有馬 元治君         日本芸術院院長 高橋誠一郎君         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 三月八日  委員大原亨君及び金丸徳重辞任につき、その  補欠として勝間田清一君及び佐々木更三君が議  長の指名委員に選任された。 同月九日  委員佐々木更三君及び松村謙三辞任につき、  その補欠として金丸徳重君及び濱野清吾君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月四日  高等学校の授業における生徒の編成及び教職員  配置の基準法制化に関する請願外一件(芳賀貢  君紹介)(第七〇二号)  同外二件(中島巖紹介)(第七〇三号)  同(八木昇紹介)第七〇四号)  同(山中日露史紹介)第七〇五号)  同外一件(内田常雄紹介)(第八二七号)  同(大橋武夫紹介)(第八二八号)  同外六件(大原亨紹介)(第八二九号)  同外三件(大平正芳紹介)(第八三〇号)  同外三件(加藤常太郎紹介)(第八三一号)  同(賀屋興宣紹介)(第八三二号)  同(田邉國男紹介)(第八三三号)  同(竹下登君外一名紹介)(第八三四号)  同外三件(藤本捨助君紹介)(第八三五号)  同(堀内一雄紹介)(第八三六号)  同(渡邊良夫紹介)(第八三七号)  同外二十八件(山崎始男紹介)(第八三八  号)  幼稚園教員給与全額都道府県負担に関する請  願(山本猛夫紹介)(第七五五号)  小、中学校学級編成基準適正化に関する請願  外一件(中島巖紹介)(第八七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  公立学校学校医公務災害補償に関する法律  の一部を改正する法律案起草の件  社会教育に関する件      ————◇—————
  2. 大平正芳

    大平委員長 これより会議を開きます。  公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。本件につきましては去る二月二十六日以来理事会において御協議願っておったのでありますが、この際その案文並びに趣旨について説明を聴取いたしたいと存じます。臼井莊一君
  3. 臼井莊一

    臼井委員 公立学校学校医公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案につきましての趣旨を申し上げます。  このもとの法律公立学校学校区の公務上の災害に対する補償を行なうとともに、当該補償に要する経費についての費用負担に関し必要な事項を定めたものでありますが、この法律の中で学校医だけがこの補償対象となっておりますものを、さらに学校歯科医及び学校薬剤師にもこの法律を適用せしめようというために、この法律を一部改正したいという趣旨でございます。簡単でありますが、趣旨説明を終わります。
  4. 大平正芳

    大平委員長 ただいまの趣旨説明に対する質疑次会に行なうことにいたします。     —————————————
  5. 大平正芳

    大平委員長 ただいまの趣旨説明に対する質疑次会に行なうことにいたします。
  6. 大平正芳

    大平委員長 次に盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案国立学校設置法の一部を改正する法律案高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題とし質疑に入ります。質疑の通告があります。順次これを許します。西村力弥君。
  7. 西村力弥

    西村(力)委員 この前の委員会におきましてもわが党の長谷川委員から、身体傷害者立場に立った非常に人間的な愛情のこもったいろいろの御意見が出されておりましたが、私はやはりそういう立場に立ってあたたか味と潤いのある政治政策というものが進められなければならないということ、これはだれでもが否定しないことであると思うのでございまするが、その際盲人職業というものは伝統的にあんまはりきゅうというような職業が選ばれ、それが盲人諸君自活自立基礎になっておる、しかしそういうのが漸次普通人によって侵かされてきておる、せっかく身体傷害を克服して自立自営しようとする盲人立場を苦しめるような状態に追い込んでおる、それで新しい職業分野の開拓、その訓練教育、こういうことを考えなければならぬということが長谷川委員趣旨でございました。私は過日その点について盲人諸君といろいろ話してみたのでございますが、そうは言うもののなかなかそう簡単には受け取るわけには参らない、そのときいろいろ話し合った結果一つの問題として考えた点は、これはもちろん憲法の第二十二条で、すべての人が職業選択する自由を保証されているわけでありますが、しかしその職業選択の自由もある場合においては制限を加える、たとえばふろ屋営業法とかいう、ああいう法律では人口について距離が何メートル以内は許可しないとか、そういうふうな規制もできておりまして、衛生上の観点公共福祉観点、さまざまな点から、その選択の自由も、優先するものがはっきりあればそれを制限することも可能だということになるわけですが、この際職業選択の自由というのは、これだけの仕事しか盲人としてできないというならば、その限定されている職業というものを盲人のために優先的に保障してやる、こういうことが職業選択の自由ということの保障にはならないか、こういう考え方であります。これは相当無理な憲法解釈になりますが、そういう考え方が立たないか、その点は法制局の人に来てもらって一応の見解を聞きたい、こう思うのでございまするが、ただそういう考え方に立った場合に、普通人盲人と競争する場合に盲人の決定的なマイナス部面を補うべく、いろいろな盲ろう教育、それからあんまはりきゅう免許、そういうような場合において当然考慮されなければならぬじゃないか、こう思うわけなんでございます。私が今申したような趣旨を生かして、盲人自立しようという気持を大いに援護してこれを助長してやるという立場から、今起きている現象に対して、盲ろう学校教育盲人の更生というものを願っている文部省立場、それからそういうものを免許する厚生省立場、こういう点からどういう工合考えられておるか、まずその点を一つお尋ねをしたいと思うわけであります。
  8. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 盲人職業許可営業になるとすれば、これはある程度許可権裁量行為で百人に優先することが可能であろうと思います。しかしそうだからといって、請願者職業の自由を全部禁止するというわけには参らぬと思うのです。いずれ厚生省から御見解があると思います。
  9. 立山春男

    立山説明員 私児童局養護課長でございます。盲児ろうあ児をお預かりしている方の施設でございます。養護学校文部省の方で実際問題としてはおやり願う。私の方ではむしろ生活指導という方面中心となっているわけであります。一方あんまはりきゅうというようなことが大体職業中心となっていることは御承知の通りでございます。ただこれだけに限ることは不可能であり、あるいはほかのものよりもこれだけ優先させることは、問題はいろいろあろうかと思いますので、今後検討いたしたいと思っております。
  10. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 実は今の西村委員の御質問は、厚生省医務局の力で免許営業しているわけなのですから、その場合に盲人については資格がありまして、都道府来知事が資格認定すれば盲人許可ができる、盲人職業はりきゅうあんま関係については当然やれるという建前になっているわけなんです。ですからその点は今後よく厚生省とも連絡をとりまして、できるだけ盲人を優先していただくように十分検討してみたいと思います。
  11. 西村力弥

    西村(力)委員 この点は児童局養護課長の直接担当ではないと思うのです。医務局関係部課長に出席願ったと思うのですが、まだ見えていない。これは聞くところによりますと、戦前におきましては、むしろ盲人の場合よりも普通一般人免許の場合には、その実習期間というか、そういう期間一般人の場合には延ばして、むしろ認定基礎条件というものを、苛酷というか、厳重にした、そういうことで、盲人立場を守ったというようなことをも聞いておるのですが、そういうようなことはございませんか。
  12. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 そういうことは私は聞いていません。
  13. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは後ほど医務局の人が参りましたらお尋ねしますが、盲人の場合、普通盲ろう学校教育をやれば、これは公の立場から十分に設備もよく、あるいは人間的な育成も兼ねてやれる。ところが一般人養成の場合には、その点は非常にルーズになる危険性を伴うのではないだろうか。こういう点からいいまして、相当そこに問題点をはらむのではないだろうかと思うわけでございます。  文部省としては、そういう盲人である場合には、正規学習をして学校で公的にやっている。一般の人は非常にルーズな立場養成される。その際、資格は同じで競争させられるというような現象を認められておるかどうか、認めておるとするならば、これに対して文部省としてはどういう方策をとっいるか。また医務局厚生省方面申し入れなんかやっているかどうか。こういう積極的な動きをなさっているならば、それを聞かしていただきたい。
  14. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 盲学校ろう学校ではお説の通り相当政重教育もいたしておりますし、将来はりきゅうあんま師になった場合に、それにふさわしい資格が備えられてくる、こう思うのでございます。ただ一般施設になりますと、その点がお話のようにルーズになりがちでございます。そこで文部省としても厚生省にそういう施設認定にあたっては、十分その内容等を吟味して、厳重に施設認定していただきたい、こういう申し入れをしておりまして、この点は厚生省同感でございますので、できるだけ一般はりきゅうあんま養成施設が、内容が貧弱で設備が乱に流れないように十分に監督していただくように、この点は厚生省も原則的には了解しておるのでございます。
  15. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは法制局の人はおりますか。——医務局も来ていないのですね。  それでは次に、文部省としては盲ろう学校関係小中学校高等学校というもの、——そういう学部がありますが、小中学校義務制で、一方高等学校義務制でないという、こういう違いははっきりしていますけれども、しかし教育というものが最終の目的を達するためには、小中学校だけ盲人教育をしておっぽり出しても、どうにもならないということになるわけです。高等学校を履修して、初めて資格要件を備えるということになるならば、そういう実態上からも盲ろう学校小中学部高等学部というものは、やはり同一観点に立っていろいろな施策を行なわなければならない。義務制であるなしという一つの限界はあるけれども、そういうような形式的なことをこえて、教育目的を達成するためには必要だ、高等学校もやはり義務制と同様に、それと全く同一程度に取り扱わなければならない、こういう工合に思うのですが、大臣はどうでしょうか。
  16. 松田竹千代

    松田国務大臣 お話のような方針で、文部省同一な扱いをしていかなければならないという考え方でやっております。
  17. 西村力弥

    西村(力)委員 この点については大蔵省見解はどうです。大蔵省はまだ来ておりませんか。——一体そういうことは事務局委員部が怠慢であるのか、当委員会がなめられているのか、これはまことにけしからぬと思う。事前に通告しておいて、時間も定刻を一時間も過ぎておる。こういう時期になって来ないというのはとんでもない話だと思います。
  18. 大平正芳

    大平委員長 お答えいたします。大村主計官地方行政委員会の方に呼ばれております。法制局の方はただいま参りました。厚生省医務局も間もなく参ります。全部委員長の手落ちからでございまして、私の責任でございますから、どうぞお許し願います。
  19. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 今大蔵省から見えるはずでございますが、大蔵省と私ども折衝の過程をちょっと御参考までに申し上げておきたいと思います。  大体大蔵省もただいま大臣が御答弁になりましたと同じ趣旨で、小、中学校と同じような方向で就学奨励を進めて参っております。今日までのところ高等学校については教科書給食費交通費寄宿舎雑費等小中学校と同じ措置をいたしておるわけでございます。ただ残っておりますのは、寄宿舎食費がまだ解決していないのであります。これは毎年一品ずつ、一点ずつという文部大蔵約束がございますので、来年はぜひ残っておる寄宿舎食費については措置したい、こう思っておりますので、この点は大蔵省も多分了承していただけるものと考えております。
  20. 西村力弥

    西村(力)委員 大蔵省を弁護するがごとき御答弁でございますが、毎年一品ずつごちそうを出してくれる——今一品という工合に聞きましたが、一品じゃないでしょうが、そういうようなことで了承しているのではどういうわけなんです。
  21. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 これは高等部はまだ義務制でございませんが、私ども理想義務制並みにしたいという理想を持って今日まで処理して参っておりまして、この点は大蔵省も大へんよく約束を守っていただきまして、毎年一点ずつやっていただいたので、私は来年は残っているものをやっていただけると確信しておる次第であります。
  22. 西村力弥

    西村(力)委員 義務制ではないけれども、実際上義務制と同様に取り扱わなければならないという主張で向うは了承した。ところが一品ずつ出してくるということを交渉するときには、義務制でないということは矛盾撞着しているように聞こえるのですけれども、まあ金庫番との折衝は私ども知っておりますけれども、楽じゃないと思いますが、こういう点は強く主張していっていただきたいと思うのです。今のお話によりますと、今度の宿舎費補助については何か雑費だけで、別なものは加わらないということですが、そこはやはり小中学校と変わりがあるのですか。別なものというと食費ですか、また雑費とは宿舎費補助のことですか、これは一人どのくらい、そして項目は何々、小中学校と対比した場合にどういう工合か、その点を一つ……。
  23. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 今度の法案にお願いしましたのは、寝具の購入費、これは一人当たり単価六千二百二十五円です。高等部一年在学寄宿舎生六百十三人の六割で、対象は三百六十八人でございます。それから日用品等購入があります。これは高等部在学生寄宿舎生の全員二千五百五十三人の六割、すなわち千五百三十一人でございまして、金額は一人当りの単価二千五百四十八円でございます。
  24. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、来年はこのほかに何か食事代も加わる、こういうことになるわけですか。
  25. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 さようでございます。
  26. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう工合に進められることを私ども非常に願っておるわけなんでございます。とにかくこういうお気の毒な人々が、ことにそれに加えて経済的理由でいろいろ就学困難な者に対しては、やっぱり裸のままのそういう人を受け取って、全部教育して、それに職業能力を与えて世の中に出していく、こういう気がまえをもってやってもらわなければいかぬじゃないか、こう思うのです。大臣はどうですか。
  27. 松田竹千代

    松田国務大臣 私も全く同感でございます。それゆえに、私は就任当初から特殊教育全般に対して、特に一つの大きな柱として飛躍的にこの方面教育に力を入れるようにということを命じまして、施策を打ち立てたのでありまするが、実積は私の理想を去るほど遠いものでありましたけれども、しかし今回は一段と振興程度を上げ得たと私は思うておるのであります。私の基本的な考えは全くあなたと同様でありまして、生まれながら重荷を背負うてこの世に出て参った者に対しては、特に力を入れて、そうしてまだ就学もしていない者も多くある、そういう者もみな就学せしめるように努力し、就学した以上はこれに対して十分な力を注いで、りっぱに世の中の役に立ち、自立できるように進めていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  28. 山崎始男

    山崎(始)委員 関連。今大臣の方から非常に思いやりのあるお気持を聞きまして、われわれも安心するんですが、ただ私この問題で関連してちょっとお聞きしたいのは、専攻科に対しては国の思いやりというものが今まで全然ないのですね。ところが今お聞きしますと、高等部の方は、義務制ではないが、職業人として完成させるための一貫的な考え方から、食費の方も来年度は出すという非常にけっこうな答弁をいただいたのですが、悲しいかな、専攻科というもの、特殊学校専攻科に対する思いやりというものが今まで全然実現しておりません。この問題に対して一つの例を今の西村委員質問から関連して考えますと、あんまはりきゅうという言葉が出ましたが、なるほど高等部で盲なら盲で、あんまという勉強はそこで履修ができる。しかしはりというものは専攻科あと二年行かなければ、たしか免許がとれないはずだと思うのです。それならば現実職業立場から見ました場合に、今日はあんまだけではおそらく食っていけないような事態じゃないかと思う。一つの卑近な例を言いますと、熱海あたりに昨今行きますと、いわゆる目あきのあんま、俗に言うパンマというのがいまして、盲ろうあんまはりきゅう職業分野まで侵して入ってきておる現状なんです。そうすると、こういうあんま免許は持っておるが、はりは持っていないという非常に気の毒な人、そしてはり免許でもとろうと思って専攻科に行っておるこの連中は、ほとんどが相当の年令の人ばかりじゃないかという気がする。中にはずいぶん妻帯者もいるだろうし、高令者もおるはずです。ところが職業の面からいうとはりをやらなければこれまた食っていけない。しかし国は専攻科二年に対しては全然何も見ていない。小、中という一つ義務制、それを飛び越えて高というものに対して、今の御答弁からしますと相当思いやりのある御答弁をもらったのですが、私はその考え方というものは専攻科までいかなければ片手落ちじゃないかという気がする。それについて当局の、特に文部大臣あたりは、私の想像では専攻科までやってやりたいというお気持があると思うが、文部大臣はそれに対してどういうお考えを持っていらっしゃいますか、一つお聞かせ願いたい。
  29. 松田竹千代

    松田国務大臣 高等学校に対しても気持としては義務教育と同様、いなそれ以上というような気持をもってやらなければならぬと思っておる。従って専攻科におるはり師に対しても同じような気持がわくわけであります。ところが、これは今あなたの言葉で示唆を受けたわけではありませんけれども、何んと申しますか、あんま師なりはり師なり、これを雇う方、需要家の方の気持ですね。正規学習によって技術を修得した盲人の方が、技術においては普通の目あきの者よりも優秀な場合が多いやに私も考えておるのでありますけれども、しかし需要がなければ自活していけないわけでありますから、この方面をどうするかということになると、非常にむずかしい問題になりまするし、従って限定された職業界だけではどうしても不十分だから、盲人であるがゆえに、あるいはろう人であるがゆえに特に、向いておる仕事もあるわけであるし、また目あき以上の技能を発揮する場合もあるのでありますから、どうしても一面においてはそういう新しい職場を開拓していくということにも力を注いでいかなければならぬというふうに考えておるわけであります。
  30. 山崎始男

    山崎(始)委員 私がお聞きしておるのは、新しい職場の問題ももちろんですが、専攻科まで国の恩典というものを及ぼしてもらいたい。今お聞きしましたように、高等学校は小、中と比べて食費だけしかないということなんですが、専攻科には教科書恩典もなければ、給食費恩典も何にもない。要するにゼロだというのが今日の実態なんです。それに対してあんまはりきゅうという合言葉のごとく、この二つの免許を持っておらなければ、大体はあまりはやらないような時勢になってきておる。そして専攻科に行っておる者は妻帯者であって、おまけに援護を必要とする家庭の人が、私はおそらく相当おると思うのです。ずいぶん多いんじゃないかという気がするのです。食っていかなきゃならぬという気持と、国の恩典というものがさっぱりないじゃないかという、この矛盾ですね。これは局長の方から事務的に、どういうふうなお気持を持っていらっしゃるか、将来そこまで拡充をして、一貫した特殊教育の完成をはからんとするお気持なのかどうかということを一つお聞かせ願いたい。
  31. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 まことにお説ごもっともでございまして、実は私ども高等学校と並んで専攻科を要求しておったわけでございますが、何しろ今日までのところ高等学校寄宿舎食費の方にまだ十分に援助の手が伸びない状態でございますので、高等学校の方が一応解決したら専攻科の方に進みたい、かような気持を持っておるわけでございます。
  32. 西村力弥

    西村(力)委員 盲ろう学校の小、中学部高等学部は、法制上からは義務制と非義務制に分けられておるが、高等部を出なければ自立能力も取得することができないという事情から、同一のものとして扱っていくのだという文部省立場としてのお話がございましたし、それに対して大蔵省側もそれを了承しておるという話が初中局長からございましたが、その点はよろしゅうございますか。
  33. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。盲ろう学校就学奨励の問題につきましては、特にその学校へ通っている方の家庭環境その他を考えまして、従来からもこの点につきましては予算的にも特別に配慮を加えてきて参っておるのでございますけれども、やはり全体の財政事情もございますので、逐次改善を加えていきたい。そういう考え方で、文部省当局とも御相談をして参ってきておる状況でございます。
  34. 西村力弥

    西村(力)委員 私の質問は、文部省同一立場から奨励施策を講じている、その点は大蔵省も了承しているのだという話でございますが、その点はいいか、ほかのいろいろなことではなく、その点に対する答弁を私は求めておる。
  35. 大村筆雄

    大村説明員 盲ろう高等部につきまして、小、中の義務制と同じ工合に扱っている、この点がいいかという御質問だと思いますが、盲ろうにつきましては、もちろん小、中学校までは義務制でございますけれども高等科を出ないとなかなか社会に出ても就職にも困るという点も実は現実にもございますので、普通の高等学校と同じような扱いではいかぬという点もございます。また盲ろう者の特別な家庭の環境というものもございますので、ある程度小、中学校に準じた配慮を加えていかなければならぬ、そういう気持で私ども考えております。
  36. 西村力弥

    西村(力)委員 その点、やはり形式的には義務制と非義務制に分かれておる、これはわかるのです。ところが、高等部を出なければ自分が自立する力がない、教育の最終点はそこに求めなければならぬ、小、中学校ではだめだ、こういうことになるのですから、やはり文部省としては、同一立場からはっきり義務制に準じて一体として考え施策をやる、その点大蔵省も了承したという話が先ほどあった。そこが財政上の理由——われわれからいうとわずかな金ですから、籍口しておると言いたいのですが、そういう点から、一年ぐらいおくらして一つずつ追っかけて解決していく、こういう約束ができているのだと文部省は言うんですよ。そこのところをはっきりしていただきたい。大蔵省立場も。やはり本気になってそういう身体障害者を守るという立場が前提ならば、能力をつけなければ何も守ったことにならない。そういう点からいって、やはり基礎的な考えとして了承しているんだ、こういう工合にやってもらわなければ困る。
  37. 大村筆雄

    大村説明員 お答え申し上げます。具体的に紙に書いたものでちゃんとお互いに文書を交換して約束しておるのかとおっしゃいますと、それはしておりませんと申し上げるほかないのでございますが、実際問題といたしまして、考え方におきましては、文部当局も私どもも同じ考えでこの問題については当たっておる、かように申し上げ得るかと思います。
  38. 西村力弥

    西村(力)委員 それではあなたを責めるようでございますが、今度の法律によりますと、高等学部に対しては宿舎費の一部を支給するということになっておりましたが、小、中学部と同じとすれば、その中に食事の費用も含めていくのが当然なんです。財政上の理由と言われますが、その食事代を削ったことによって幾らの金が節約になっておるのか。それは一兆五千何ぼという中から見てどれくらいの金かというと、これは微々たるものじゃないかと思いますが、そういうところからも財政上の理由というきまり文句は——こういう基本的な考え方が、小、中学校と同じように取り扱うのだという立場に立てば、わずか千万もつかない、百万台の金じゃないかと僕は見ているんですが、それは食事代を削った金はどのくらいの金ですか。
  39. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 国庫補助額で二千七百万円です。
  40. 西村力弥

    西村(力)委員 それは食事代だけですか。
  41. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 さようでございます。
  42. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、ことしは、それは来年に回して一応段階的に実現していくという立場からやむを得ないことになるかもしれぬが、来年はやはり財政上の理由をこえて実現を期すように努力願えますか。
  43. 大村筆雄

    大村説明員 小、中学校と比べまして、高等部におきますところのそういう援護対象の範囲が、現在なお足りないという面がただいまの御質問にもございましたので、この点につきましては、来年度も文部省当局と御相談の上、できるだけ実現できるように、私どもも研究して参りたいと思います。
  44. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは文部省側にお尋ねしますが、この盲ろう学校養護学校、そういうものを充実するために、これから大蔵省側折衝して逐次でも何でも実現して参らなければならぬという保護政策、就学奨励政策、これは希望的なものをずっと並べていくとどういうものがございますか。
  45. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 これは小、中、高等学校を通じて、学用品の支給という点については、まだ解決されておりません。それから小、中学校につきましては、今回修学旅行費を見ましたが、高等部専攻科の問題、それの修学旅行費の問題は解決しておりません。
  46. 西村力弥

    西村(力)委員 今大村さんお聞きになったと思いますが、そういう点については金はかかるでしようけれども、大いに一つ愛情を持って処理していただかなければならぬ、こう思うのでお願いします。   それじゃ最初に戻りますが、法制局おいでになったが、先ほどから連絡が不十分でおいでにならなかったのでもう一度申し上げなければならないことになりますが、これはこうなんです。憲法第二十二条だったと思うのですが、職業選択の自由が保障される、  こういうことになっております。ところが盲人職業分野というものは非常  に限定されておる。そういう限定された職業、それでなければ生きていけないという人々に対しては優先的に保障されることが、憲法第二十二条の解釈として、ある程度肯定されるのではないだろうかということなんです。憲法の二十二条の条項がそうあろうとも、たとえばふろ屋の営業法には何メートルの距離とか何とかで営業を許可しないというような規制も、衛生上の観点からそれは認めておる。そういう基本的な権利の上に、公共の衛生とか福祉の問題が優先してくる場合においては、そういう工合に制限も認められるわけなんですから、これでしか生きられないという限定された人々には、優先的に職業選択をできるような工合にしていく、こういうことが憲法解釈としてある程度肯定できないかどうかということなんです。
  47. 野木新一

    ○野木政府委員 ことは憲法解釈の問題でありまして、慎重にあらゆる方面から検討してみなければ、最終的な結論はなかなか出しにくいと思いますが、ことに私も、問題の点をあらかじめ聞きまして、十分部内で検討してきてここでお答えする段取りになっておりませんので、ここでは一応の見解を述べる程度になると存じます。憲法二十二条は「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と書いてあります。御質問の御趣旨は、盲人等の職業分野が狭くて非常に気の毒だから、盲人だけにある一定の職業分野を優先的に確保することが可能であるかという論点になるようでありますが、これは非常にむずかしい問題になるのでありまして、あらゆる角度から検討してみなければならないことは先ほど申し上げた通りでありますが、私、ただいまの見解としては、直ちにいいとまで断言するのは、やはりちゅうちょせられるような気持であります。ほかの職業について若干の制限があるという場合、一定の資格を設けておるという場合には、そういう資格を打つ者でなければ、その職業を営むことに危険がある、そういう点で資格を設けておる。ふろ屋の制限というのも、ふろ屋だけを保護するものでなくて、ふろ屋が乱立されると、公衆衛生に害を生ずる危険がある、そういう点から、乱立を防ぐというのが立法趣旨になっておるのだろうと存じます。ところが今御説のところは、ある職業一般の人にやらせると、何か社会福祉上害があるから、一定の資格の者に限るとか何とかいうような観点からの制限ではなくて、ある特定の分野の人を保護するために、ある分野の人だけ、ある職業を確保しようというのでありますから、普通行なわれている公共の福祉による職業の制限と非常に異なる角度の制限になっております。従いまして、これはあらゆる面から相当慎重に検討してみなければならないと思いますが、脱会のところの考えでは、今直ちにいいとまでなかなか甘い切れないような感じを持っておる次第でございます。
  48. 西村力弥

    西村(力)委員 私自身も、はっきりそういう工合に言い切ることはできないので、今お尋ねしているわけなんです。ただ選択の自由というならば、限定されたものは選択できるということが保障されなければ自由じゃないじゃないかということなんです。盲人はそこしか選択する自由がない。しかもそこに行ってみると正常人が一ぱいになって選択されないということになったら、盲人にとっては憲法二十二条の選択の自由が保障されないじゃないかという、少しおかしい論理で僕も自信も何もないが、そういうことを私が言うのは、そういう身体障害者が必死になって生きようとする立場を、すべての施策で守っていかなければならぬという立場で言うているのであって、なまじっか憲法学者になったつもりで言うているのではないのです。その点御研究願いたい。  厚生省の医事課長がおいでになりましたから伺いますが、盲人職業分野であるあんまはりきゅうというのが正常人によって侵蝕されつつある。それの認可許可ということを厚生省のあなたの方で担当していらっしゃると思うのですが、その場合にあなたの方で考えてみまして問題点というのはないですか。
  49. 江間時彦

    ○江間説明員 問題点はないかという御質問趣旨がちょっとわからないのですが、もう少し具体的に……。
  50. 西村力弥

    西村(力)委員 問題点がないかということは、あなたは必要条件さえ整えばどんな身体状況でも許可を与えていくわけですが、そのことによって現実盲人職業の場を失っているということ、それから盲人の場合ですと、学校教育という公的な機関で、設備もある基準に従った設備のもとに、その教師も十分に資格要件を整えた教師がついて、しかも学校教育という場において全人的な教育をやりつつ職業教育をやる、こういう形で盲学校あたりの出身者は資格を得ていくわけです。ところが普通一般の場合にはそれに対比してあまいか辛いか。同等であるにしても、そこに盲人立場をある程々優遇するような点からの考え方が生まれてくるかどうかという点です。そういう点についてお尋ねしたいのです。
  51. 江間時彦

    ○江間説明員 お答えいたします。あんま盲人の専業にさしてくれという陳情は、われわれ再三再四聞いておりますが、これに関しまして憲法二十二条について法制局部長からお話になった通り、われわれも慎重に検討しているところであります。いろいろむずかしい問題がございます。ただいずれにせよ、はっきり言えますことは、厚生省医務局で所管しておりますあんまはりきゅう法、この法律はあくまでも医療従事者といいますか、医業類似行為といいますか、そういうような身分制度を規正する、主として医事ないし公衆衛生的な観点から規定した法律なのでございまして、一定の資格要件を備えたならばその人に免許を付与しなければならないということになっておりますので、いわゆる盲人福祉的な観点からこの法律を運用するということは、形式的には非常にむずかしいわけでございます。ただ現状を申し上げますと、ただいま全国数を持って参っておりませんが、全国のあんま師はり師きゅう師、これらを通じてみまして、終戦後は盲人の従事者に比較しまして晴眼者の数が若干ふえておったのでございますが、この二、三年来は盲人と晴眼者の従事者の数の比率がほぼ同じくらいのところに推移し  ている。どのようにしてこの従事者が生まれてくるかと申しますと、結局盲人関係でありますと文部省が所管しておられる盲学校を卒業して試験を受ける、それから晴眼者でありますと、われわれが認定いたしました養成施設を卒業して試験を受けて免許を受けるという形で新規の従事者が生まれてくるわけです。確かに戦後かなりこういう種類の養成施設がふえたことは事実でございます。われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、あんまはりきゅう法というのはあくまでも医事関係立法でございまして、福祉立法ではございませんけれども、なるたけ先生がおっしゃったような趣旨に沿うような運用をしたいと努力いたしております。  それから、このあんまはりきゅう法に基づきまして中央審議会というものが設けられております。学校の認可を受けます場合にはわれわれは中央審議会にはからなければならなくなっておりますにで、学校の乱立主として晴眼者の学校の乱立でありますが、この問題につきましてやはり問題が多うございますので、昨年の六月でございますか、正確な月を忘れましたが、とにかくこの中央審議会から今後は晴眼者の新しい養成施設を認可しないでくれというような要望がありまして、われわれといたしましては、地域的に特に要望されるもの以外については認可は与えないというようなことで進んでおります。しかしながらこれにはいろいろ問題があるのでございまして、いかなる養成施設厚生省の認可を受けられるかということは厚生省できめました省令に規定してありますので、省令の人的、物的要件を満たしたならばどうしても認可せざるを得ないというのが実態なのでございます。そこら辺いろいろむずかしい問題がございますので、とにかくわれわれといたしましては、晴眼者の学校が今後ともあまりたくさんできないように大いに注意しておるところでございます。
  52. 西村力弥

    西村(力)委員 今後なるべく認可しないというような方針、それのよしあしは私は申し上げませんが、今認可しているそういう民間の養成施設設備基準というのは、文部省盲学校設備基準と同じであるかどうか。  それから、あんまならあんま資格修得の実習期間は、文部省関係盲学校では三年です。そうでないと盲学校出の人は資格を得られないということになる。その点は一緒であるかどうか。これは一緒でないとすれば困ったことだと思う。しかも公的な機関よりも民間機関は設置基準と設備状況というものが大体程度が低いということ、これは一般的に言えると思うのです。同じ基準を作っても、そこに一応の格差というものが出るのじゃないかと思うのです。その点は医事課長どうですか。
  53. 江間時彦

    ○江間説明員 御質問の第一点のあんま師はり師きゅう師、柔道整復師になる基準が文部省厚生省が違ってないかという点であります。これは法律、省令とも共同所管でありまして、基準は全く同一でございます。でございますから、その点の食い違いはないはずでございます。そこで問題の実態でございますが、盲学校と晴眼者の——これはほとんど全部が私立の施設なのですが、これとの質的な問題でございます。この点につきましては、私恥ずかしながら盲学校をまだ見学したことはございませんので、両者を比較する能力はございませんが、最近は物的、人的基準をきめております認定規則というものの水準を著しく上げたわけでございます。三十三年の三月の末に上げておりますので、現在は一応われわれが認可しておる学校の基準というものはこれに合っているということになっております。この基準は実を言うと、非常に厳格に適用いたしますと、私立学校の採算が非常にむずかしくなるというぎりぎりのところになっておるわけでございます。そこら辺で、いろいろ晴眼者の施設の格差はございますが、それほど悪い施設ではないのじゃないかとわれわれは思っております。もし現在われわれが認可している施設に不都合がありましたときには、われわれはどんどんこれの取り消し処分を行なうということをやっておりまして、現に昨年でございますか、一校ばかり認可の取り消しをいたしました。
  54. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど、修得の期間というか、学習期間というのは、民間の場合には二年で盲学校は三年の高等学都を出なければならないので差があるじゃないかと言ったところが、その点は一緒だというのですが、はっきりしないのでありますが……。
  55. 江間時彦

    ○江間説明員 盲学校の方は私は所管でございませんのでよく存じ上げませんけれども、これは高等学校同一学校だというふうな考え方ででき上っているものだろうと私は思っております。それで文部省関係養成施設出であんまだけになろうと思えば、高等学校卒業者も中学校卒業者も二年間学校に行かなければならぬということになっております。すなわち主としてその相違は文部省高等学校出であるという一つの特性に基づく相違ではないかと私は推側いたします。
  56. 西村力弥

    西村(力)委員 盲学校といえば高等学校として一般教養も含めてやりますし、また晴眼者と違って学習上の不便もいろいろあるから期間もよけいかかる、そう言えばそれまででありましょう。そう言えばそういう理屈も立つけれども、一方は二年で実務だけずっとやって修得する、一方盲人が三年だということは、理屈があるという工合に私も思うのですけれども、そこに納得できない点がある。盲人が三年で資格を得るのに晴眼者は二年だという工合にしたのじゃ盲人が困る、これは率直にそう感ぜざるを得ないのです。そういう点は何とか一方が三年なら一万もやはり三年というと工合同一にできないものかどうか。そういうことは盲人学習という事実、そういうものを側面的に援護していくような姿になるのじゃないかと思うのですが、厚生省にはそういう考え方はありませんか。
  57. 江間時彦

    ○江間説明員 法律の二条にはっきり修業期間というものが書いてございまして、法律改正をしてあんまを三年にするということも考えられるかもしれません。実を言うと、現在の二年の教科課程というものは、こまかく観察して参りますと、修得しなければならない中身に比べて少し長目になるというような印象を私は持っております。たとえて申しますと、解剖学の時間は医学上の数倍も修得するというようなこっけいな点もございまして、ここら辺は、期間を長くするということよりも、むしろ現在の省令の時間をもう少し合理化するという方向に進めるべきじゃないかと私は考えております。
  58. 西村力弥

    西村(力)委員 全く逆になるわけです。そういうギャップのある盲学校の生徒あるいはそういう立場の人々を守るという立場から、文部省はその点についてはどう考えますか。
  59. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 はりきゅうあんま資格を得るのにどの程度基礎的な教育及び技術が必要かという問題にも関連するると思うのでありますが、私ども盲学校三年間の間にできるだけ職業教育中心にやっております。もちろん高等学校ですからある程度の普通教科も人間教育として必要なわけでございます。ですから、厚生省のお考えはできるだけ技術教育という線にしぼっておられる点が一つ、それから盲人ろう人の場合には身体的なハンデキャップがございますので、いろいろと時間がかかるという点もあろうと思います。高等学校が三年で、はりきゅうあんま養成施設が二年ということでバランスがとれているかどうかという点に私はかかると思います。この点については今後厚生省とも十分よく御連絡をいたして検討してみたいと思います。
  60. 西村力弥

    西村(力)委員 私の希望としては、盲学校学習の範囲からいっても、身体的状況からいっても長い期間がかかるという理屈はわかるのですが、一方は二年で免許を受けて資格を得て、一方は三年かかって資格を得るということになると、これは盲人立場を守るどころか、逆に悪い方に追い込んでいるという印象を受けざるを得ない。ところが医事課の方では、今の二年でも長いのだから短くしようと考えているのだ、こういうことになるとすれば、これはますます盲諸君が追い込まれてくることになるのではないだろうか、この思うのです。その点は一つ十分に、各種学校とはいいながらも、公的な立場に立つ一般教養の面なんかも含めた基準というものが、やはりそれにも相当要求されていかなければいかぬじゃないか。一般人養成施設においても、二年くらいやっていた娘さんが、これは全部というわけではない、そういう人に済まないから言いませんが、ある場合にはむやみやたらにつかまえて、映画のおかしな話を盛んにされまして、私も合わせてはおりますけれども、楽じゃない場合があるんですよ。ミーちゃんハーちゃん級というか、ああいう映画の話をされる。それはそれでいいけれども、つかみ方がむやみやたらだ。そういうことになりますから、あなた、二年でもよけいだなんということは実際うそですよ。もう少ししっかりした腕をつけるという工合にいかなければいかぬじゃないか、こう思っておるのです。それとともに経営上の採算の問題から設備というものをこれ以上要請することはできないということも言われましたが、しかしその点は公的な盲学校なら盲学校がこれだけのものを設備してやらなければいかぬというような要請をしているのに合わせるという方向が、やはりこういう医療類似行為というか、そういうものの質を上げるためにも必要じゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  61. 江間時彦

    ○江間説明員 私が合理化と申し上げたのを、先生は修業期間短縮というふうにおとりいただいたようであります。私が申し上げているのは二年より短くしたいという意図は毛頭ございません、現在の二年というものは法律にはっきり書かれているわけでございますが、その範囲内でむしろ科目相互間でそういうふうな修業の中身を合理化していきたい、そういうふうな意味で申し上げたのであります。ただ御指摘の、ほんとうに三年間修業しなければあんまとして不適格であるかどうかという点につきましては、近くさっき申し上げましたあん摩、はりきゅう、柔道整復中央審議会で、あんま施術というものが人体にどういう影響を及ぼすかという問題を検討することになっておりますので、それに合わせまして、場合によっては検討していただこうかと思っております。
  62. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは今度は問題を最後の問題に移しますが、盲ろう学校の子供を世話し教育する、施行規則の何条かにある、そういう任務を持っておる寮母の勤務状態を見ますと、朝の六時ごろから起きて、子供の洗面からなにから全都世話をして、子供が学校に行っている間は洗たくをしたり部屋の掃除をやったり、つくろいものをやったりして、子供が帰ってくればまたその世話をする、夜寝かしてからもおしっこに起こしたり、さまざまやっておる。四六時中ほとんど気の休める間もなくやっておるのが寮母の勤務の実態なわりであります。それはそういうかわいそうな子供に対する愛情の現われとして賞賛されるべきだという工合に思うのですけれども、しかし近代的な労務管理というものは、それだけで処理するわけにはいかぬと思うのです。実際はそのためにうちに帰るのは一週間に一ぺんあるかなしという状態で、しかもそのことによって超過勤務とか特別の措置というものは何もない。こんな状態に放置されたままにあるわけなんです。これをやはり早急に勤務条件を確立してやって、それに符合した人員の増加なりあるいはオーバー労働に対するペイの問題とかいうことについてやはり早急に解決しなければならぬのじゃないか、こう思うのです。そういう点に対して文部省側はどういう工合考えられておるか。
  63. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 寮母という特殊な勤務状態でございますので、普通の職業と違いまして、子供たちのめんどうを見ておるわけですが、学校へ行っている間はまた別の仕事があり、また帰ってからはいろいろ子供の世話があるという普通の職業とは異なった特殊な職業であることは御指摘の通りでございます。ただこの場合に、私どもは定員といたしましては現在のところ相当数見ておるつもりでございまして、盲学校については寄宿舎生五・四人に一人、ろう学校の場合は八・六人に一人、こういう実情でございます。この程度で十分かどうかという問題が一つと、それからいま一つは、就業時間が非常に断続的な勤務でございますので、この問題をどう解決するかという点については今後一つ十分研究してみたいと思います。
  64. 西村力弥

    西村(力)委員 これだけの配置をして十分であるかどうかは今後検討だと言われまするが、実態は今私が申したように、一週間に一ぺんくらいしか帰れないとか、結婚することもできないし、恋愛することもできない、そういう気の毒な状況にあるわけなんです。そういう実情ですから、やはりもっとこの人たちの勤務条件を、たとえば一週間四十八時間なら四十八時間という工合にきめて、そういうところから人数をはじく、あるいは勤務がオーバーにならないようにいろいろの措置をやっていく、そういう工合に根本的にはっきりきめていく必要があるのじゃないか、こう思うのです。この点は厚生省の児童養護施設の場合にも同じような問題があると思うのですが、厚生省としてはこの問題についてどう考えますか
  65. 立山春男

    立山説明員 大体の事情は今文部省からおっしゃったようなことに似ておるわけであります。ただ、これは盲児、ろう児だけでなくて、ほかの児童福祉施設一般に通ずる問題として、この労務管理と申しますか、職員の勤務体制というものは非常にむずかしい、そして微妙な問題があると思います。ただ私ども盲児、ろう児の扱いをしておる施設の職員から申しますと、朝はやはり子供の日課がございます。子供が起きる前に起きて、子供を起こして、それから朝食さして学校へ出す、それからまた午後になると学校から帰ってくる、その午後を家で見てやる、いわば親がわりになり、お母さんがわりになって見るという格好でございますから、勤務形態からいっても断続勤務というわけであります。それからもう一つ、ほかの職員と違いますのは、土曜と日曜がかえって忙しいのであります。こういう子供が自分の施設におりますところについては、たとえば代休というようなことをもっとはっきりさしていきたいと考えております。ただ公立と私立という関係では三対二くらいであります。そうすると地方公務員法のあの条例に基づいて大体の格好はつけてやる。それからいわば超勤に当たる給与でございますが、ここらあたりが非常にむずかしい問題になりますので、今のところは勤務の状態と合わせて特効というような形で補っているのが大体多いようであります。まあ文部省の方と大同小異というような形であります。
  66. 西村力弥

    西村(力)委員 今の最後の、超過勤務なんかに対しては何という名目で金を出しておるのですか。
  67. 立山春男

    立山説明員 それはその時間だけを計算せずに、特別勤務手当ということで出している、そういう形が多いようでございます。
  68. 西村力弥

    西村(力)委員 文部省では、盲ろう学校で今いう特勤という考え方の措置をやっておりますか。
  69. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 文部省の場合にはいたしておりません。厚生省の養護施設の場合には子供は学校へ行っている子供もあり、行かない子供もおるわけであります。だからもう少し複雑なわけです。文部省の場合には学校へ行っている間はすべて学校におまかせするから、寮母はその間は手があいているわけであります。帰ってきますと今度は一緒になりますけれども厚生省施設ですと年中子供がいるわけですから、そこが違うわけであります。
  70. 西村力弥

    西村(力)委員 あなたは実情を知らないだろうと思う。盲学校では五・何人、ろう学校では八・何人、それだけの子供を持った奥さんが、子供が学校へ行ったからといって亭主も子供もいないから遊んでおられるかといったら、それはとても遊んでいられないでしょう。子供たちの洗たくや何かさまざまやって、主婦としてのその時間の仕事というのはあるわけです。だから盲ろう学校でも子供を学校にやったから、あと学校から帰るまで昼寝でもしているかというとそれはできない、母がわりだとすればそれはできない。普通の家庭がそうじゃないですか。奥さん稼業というのは亭主のいない間は遊んでいるほど余裕はない。五人も六人も子供がおったらそんなことはできやしない。実情はそうでしょう。ろう学校の寮母だってその通りです。子供を持った一家の主婦という立場仕事というものはやはりその間に重なっておる、こう見なければいかぬだろうと思う。そうしますと勤務時間というものは断続的だというけれども、ほんとうに朝の六時から夜の九時までずっとあるし、そのあとの小使をさせたりふとんをかけたりする、そういうようなことは断続的かもしれぬけれども、朝の六時から夜九時までというのはやはり継続勤務だ、こういう工合にはっきり見て問題を考えていかなければならぬと思うのです。どうです内藤さん、あなたは子供は何人おいでですか、奥さんをそれほど遊ばしていますか。
  71. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 盲学校ろう学校の場合には、給食等はそういうまかない婦は別におるわけであります。ですから私はうちの家内とは多少事情が違うと思う。うちは雇っておりませんので、……(笑声)ですから必ずしも比較にはなりませんけれども、ただお話のように、仕事内容が一定してないということと、それから時間的に区切りがつかないという特殊な職業だと思うのです。しかも精神的な負担が多いと思いますので、この点については事情をもう少しよく検討いたしまして、できるだけ人並みの生活ができるようにいたしたいと思います。
  72. 西村力弥

    西村(力)委員 寮母に関する資格要件なんかももう少し厳重にするというが、そういうことをやることは必要だと思うのだ。そういう資格の整わない人が母がわりになった場合には、四六時中子供に影響しますから、やっぱり相当慎重な資格要件を付することも必要だと思うのです。そういうことをやっても、そのあとの勤務条件というものをきちっとして、そしてその人たちが疲労こんぱいせず、あるいは不満とかというものがなく、子供たちに対してほがらかにやっていけるような工合にしていかなければいかぬと思うのですよ。一体文部省としては寮母というものの資格はどういう工合に見ておるのですか。
  73. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 別に今資格の制限はいたしておりません。身分的には公務員特例法で教育公務員に準ずる扱いをしているのであります。
  74. 西村力弥

    西村(力)委員 準ずるというのはどういうことですか。
  75. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 教育公務員ではございませんけれども教育公務員と同じ待遇なり同じ身分が保障されているわけでございます。
  76. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますると、実態は同じといっても、どこに比しているのかということにもなりますが、教員の俸給表が適用になるかということもありますが、そうしますとやはり寮母といえどもこれこれの勤務時間だということをはっきりきめて、それから人数はこれだけ必要だということにして、勤務の緩和をはかっていかなければ、疲労すれば子供に対していい顔をしようと思ったってできないことになってしまう、一生懸命愛情を持った扱いをしようたってできないことになるのだから、そういう身分条件をきちっとして、勤務状況をはっきりして、そこから問題の解決にいくというような工合に、この問題については早急に考えを一定にきめていただかなければいかぬ。これは厚生省関係も同じような状態でありますので、両々相持ってこの点については早く結論をつけてもらわなければならぬ、こう思っておるわけなんです。今後検討するということでございましたが、初中局長、検討はいいが、どういう手順でいつごろどういう工合に持っていこうとするのか、この場合、善処しましょうというだけの答弁ではちょっと放置できないのじゃないかと思うのですよ。
  77. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 今寮母の勤務の実態は調査しておりますので、調査結果を持ちまして、適正な勤務条件に改めたいと思います。
  78. 西村力弥

    西村(力)委員 今度身体障害者雇用促進法というのが出ますね。あれでは盲人職場見込みというのはどういう工合考えておるか。雇用の義務づけ的なあれをやっていくわけですが、あの法律によって盲人職場というものはどんな措置を予想しておるか、こういうことです。
  79. 有馬元治

    ○有馬説明員 今度提案しております促進法によりますと、重度障害者に対する特別の保護規定がございます。それは職種を指定いたしまして、その職種については特別の雇用率を設定する、そういう規定がございまして、この規定の活用によりまして、盲人についてはこの規定を発動いたしまして、雇用率を設定して就業を確保していきたい、かように考えておるわけでございます。ただ先ほど厚生省からも説明がありましたように、盲人あんまはりきゅうという商売は免許制になっております。請願者等の競合の問題がありますのと、それから自営業という領域がございますので、雇用率の設定だけでは解決しにくい問題がございます。しかし、これは厚生省と緊密な連絡を保ちながら盲人あんま等の職業の確保をぜひはかって参りたい、かように考えております。
  80. 西村力弥

    西村(力)委員 この法律あんまはりきゅうばかりじゃなくて、盲人としてやり得る仕事というものを労働省としては見つけ出して、そういうところに相当義務的な雇用の要請をするという工合にいく法律じゃないかと思うのです。あんまはりきゅう自営業を中心としてそれをどうこうというのではなくて、盲人なんかに開拓していく新しい職業分野をどう考えているか。
  81. 有馬元治

    ○有馬説明員 盲人の新しい職業分野の開拓でございますが、これは促進法の規定にもそういった新しい職業分野への開拓に関するいろいろな研究調査を政府はやらなければならぬという義務規定がございます。今までの盲人職業といえばあんまはりきゅう、マッサージというふうにきめられておったわけですが、これだけに限定せずに、もっと新しい職業領域というものを研究調査して開拓をしていくという努力は絶えず重ねて参りたいと思います。
  82. 西村力弥

    西村(力)委員 これからの話じゃなくて、この法律の別表によると、両眼視力が〇・一以下のものとか、一眼の視力が〇・〇七以下のものとか、盲人もちゃんと障害者の中に入れて、こういう人々に新しい職業分野を開拓し、またそういうところに向くように訓練するということですから、今から調査するのじゃなくて、やはりこういう盲人諸君もこういうところには必ず行き得る、こういう見込みを立てておるのじゃないだろうかと思っておったのですが、そういうことは全然ないのでございますか。
  83. 有馬元治

    ○有馬説明員 身体障害者雇用促進法は御承知のように盲人だけが対象じゃないものですから、盲人だけに限定されて議論されますと、現在のところ盲人の適職といいますと、やはりあんまはりきゅう、マッサージというのが一番考えられるわけですが、この点もなお今後適職領域を研究いたしまして広げていく努力をいたしたい、かように考えております。現在のところそれ以外の適職は何であるかというふうな御質問だろうと思いますが、現在のところ、こういう適職を盲人に開いていくというふうな具体的な話はちょっと今いたしかねるわけですが、今後の研究調査に待ちたいと思います。
  84. 西村力弥

    西村(力)委員 その他の身体障害者の場合ですと、職業の幅というのは非常に広いです。けれども盲人の場合は狭い。だからこういう法律ができたならば、まっ先に盲人職業分野を開拓して、それの見込みというものが立ってなければならぬのじゃないかと私は思っておったのですが、これから新しい職業分野を見つけ出して、それに適するように労働省としては、職業訓練に盲人訓練の課程を入れるかどうか。そういう場合に文部省の機関である盲ろう学校が今せっかくあんまはりきゅう、音楽なんかを中心にやっているが、文部省のそういう公的な施設と、労働省の盲人対象とする職業訓練、これが二本立になるということは、私たちはあまり好ましいことではないと思う。これはやはり文部省系統の盲ろう学校でやるのが一番正しいのじゃないかと思いますが、そういう点については労働省の考え方は一体どうなんですか。
  85. 有馬元治

    ○有馬説明員 盲ろう者についての職業教育というのは、文部省と、現在厚生省免許制のもとにやっておる施設にお願いをいたしまして、私どもは就職の確保という観点から、そこの終了者についてできるだけのめんどうを見ていきたい、こういう考え方でございます。  新しい適職をどういうふうに見つけ出していくかという問題は今後の研究といたしまして、その新しい適職に見合う新しい訓練はどういうふうに進めていくか。これは文部省厚生省と競合しない範囲において、労働省といたしましては訓練法に基づきまして身体障害者の訓練という形で進めて参りたいと思いますが、あくまでも既存のものと競合して進めていくということは避けて参りたいと思います。
  86. 西村力弥

    西村(力)委員 これで私は終わりますが、今の問題はやはり競合しない範囲で労働省が職業訓練としてやる分野もあるかと思うのですが、そういうことはなるべく一つの体系の中に一本化するという方向が私たちは望ましいと思うんです。そうなると文部省としても、やはりろう学校の中に新しい職業を身につけさせるコースというものは当然に考えられていかなければならない。それを主として、国民としての普通の教育を受けながら職業を身につけるという方法をとっていく、こういう意気込み、努力が要請されてくると思う。大臣どうですか。労働省や何かと競合する危険性が出て参ったのですが、いろいろな場合、たとえば盲人であってもうんと年がいって学校に入れることができないというような人々に職業訓練をするのは、やはり労働省の職業訓練所という工合になるかもしれませんが、主体はやはり学校のときから全部のそういうお気の毒な人々を収容して、そこに教育職業修得、こういうものを盲ろう学校中心としてやっていく、こういう発展の方向を考えていかなければならぬのじゃないかと思うのですが、文部大臣としてのセクショナリズムではなくて、どういうふうに考えておりますか。
  87. 松田竹千代

    松田国務大臣 ただいまのお話については、私がどうすればいいという経験をまだ持ちません。いろいろ職業関係その他なかなかむずかしい問題が伏在しておると思いますので、これはよく検討いたしたいと思います。
  88. 山崎始男

    山崎(始)委員 関連、今寮母の問題が西村委員から出たんですが、特殊学校の事務職員の問題です。これは普通の学校の事務職員の配置と同じような定員が配置されておるのですか。それとも別個な観点から動員した配置の状態になっておるのか、どうですか。
  89. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 事務職員につきましては、原則としては一般の事務職員と同じ配置をしております。
  90. 山崎始男

    山崎(始)委員 ところがどうもわれわれ聞いておりますのに、特殊学校の事務職員というものは、生徒児童自体が生活保護法の適用を受けておる家庭であるとか、その他援護を要するような家庭が非常に多いというようなことから、事務量が普通学校より非常に多い。毎日々々無理をする。それで専門の事務職員というものの数が足らないもんだから、いわゆる普通の先生方がずいぶんそれを手助けをしている。この現象特殊学校には非常に多いのだということを聞いておるんですが、文部省の方はその実態というものをどういうふうに見ておられるんですか。
  91. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 お説のような点が私もあろうと思います。ただ盲学校ろう学校の場合には教員数が実は非常に多うございまして、できるだけ子供たちに親切にお世話をするという建前で、小、中学校では十人に一人の割合で置いておるわけであります。ですから相当子供のお世話をしていただくわけでございます。そのお世話の中にいろいろ生活面の点も入ってくるかと思うのです。こういう観点から事務職員がやる分と先生がお世話する分と含まれておりますので、その辺の限界がなかなかわかりにくいのではなかろうかと思います。就学奨励の面から先生がお世話していただく分はこれは先生にやっていただいているんですが、学校の事務の分は事務職員がやる。その辺一応の区分はございますけれども、混淆して参る点もあろうかと思っております。
  92. 山崎始男

    山崎(始)委員 この点は一つもう少し実態を御調査願って——私が聞いておる範囲では、普通の先生方はその仕事の方に時間をとられて、非常に勤務時間が長くついているというふうに聞いております。われわれも特殊学校であるだけに、ちょっとしろうとでは想像もできない面があちらこちらにあるんじゃないかという気がするんです。これは御要望いたしておきますけれども、よく実態を調査してみて下さい。  それから、これは直接の関連ではございませんが、この際ついでにお聞きいたしておきますが、免許法の関係特殊学校の教諭が、今年の四月一日から資格が切れる先生があるということを聞くんですが、日本全体で一体どのくらいの数字があるんでしょうか、その点一つ模様を聞かしてもらいたい。
  93. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 私正確に記憶しておりませんが、普通の小、中学校を含めて全体で五百人くらいではなかろうかと思っております。盲ろうの場合はほとんどその該当者はないように聞いております。
  94. 山崎始男

    山崎(始)委員 その五百人ばかりの先生があと一単位か二単位足らぬばかりに四月一日から資格を失うというこの実態は、やはり五百人にしても私はこういう特殊学校であるだけに、そういう先生のいわば職の問題につながる。これに対して文部省としては、四月一日までに何か適当な行政措置をして、資格を失わさないように便法を講じられる御意思があるのかどうか、一言お聞かせ願いたいと思います。
  95. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 盲学校ろう学校についてはただいま御答弁申しましたように、ほとんど該当者がない。ただ一般小中学校につきましてはそういう事態があり得ると思うのです。すでに免許法が改正になりましたのはたしか昭和二十八、九年だったと思うんですが、経過期間として三十五年の三月三十一日まで認められておるわけなんです。これは法律上の措置でございますので、現在のところ私どもとしてはやむを得ないんではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  96. 西村力弥

    西村(力)委員 これで終わりますが、文部大臣の先ほどの御答弁はまことにはっきりしていて大へんけっこうだと私は思います。文部大臣としてのセクト的なお立場なんか出ないでけっこうだと思うのです。しかし私は先ほど申した通り考えておるわけであります。  そこでもう一点要請だけしておきたいと思うことは、盲ろう学校の先生方は児童の就学勧誘とか、あるいは問題が起きれば、生徒が集まってくる地域は広いんだから、しょっちゅうあっちこっちに行かなければならぬ。そういうことはほとんど旅費がないままに行なわれている。だからこの前は一般教員でも修学旅行についていくのは千円しかもらえないという話をしましたが、ことに盲ろう学校なんかについては、そういう点はやはり特段に考慮されてしかるべきだと思うんですが、それだけを十分考えていただくことをお願いしまして私は終わります。
  97. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案に関連いたしまして、私もきわめて簡単に伺いたいと思います。  先ほど来西村委員からいろいろ詳しく御質問があり、私もこの前伺ったのでありますが、この前伺ったときに大臣ちょうどお見えになりませんでした。まず第一に申し上げておきたいのは、労働省の職業訓練部長もいらっしゃいますが、アメリカ等の実績を見ますと、ほとんどすべての職業、これを実際にやっております。この間も申し上げたのでありますけれども、アメリカのライト・ハウスの工場に参りましたところが、エレベーターを運転しておる人も全盲の娘さんでありましたし、ミシンを踏むのも普通のミシンを踏んでおる、あらゆる物を作っております。それからトウの編みもの、日本では竹の編みもの、こういうものも非常なスピードでやっております。それから織物でも手芸品でも、工業的なもの、たとえばブラシを作るというようなものでも、全部やっております。ですからこの間も私は文部省の方にこの同の質問で申し上げたのでありますが、今まで盲人にはあんまはりきゅう、音楽というようなことであったその教育方針を全部変えて、あらゆる職業に晴眼者と同じようにやるのだという方法をとる必要がある。そういう方針を新たにとる必要がある。何も文部省と労働省の職業訓練の方と競合せぬでもいいと思うのです。生徒については盲ろう義務教育学校あるいは高等学校等におきまして訓練すればいいし、すでに成人して社会に出ております者に対しては、あなたの方でやればいいし、別に競合する必要は何もないと思うのでありますけれども、いずれにいたしましても方針は私は今お話のような狭いものではなくて、あらゆるものをやる。向こうへ行って実際に調べてみますと、ゲージ類からはかりまで、全部盲人用のものができております。それで少し訓練が進めば、さらに今のミシンを踏むなりその他晴眼者と全く同じようにやっておる。ですからそういう考え方等について根本的に変えていく必要がある。これは文部省大臣もそういう方針を来年あたりぜひ打ち出して、この間もお願いしたのですけれども、来年あたりそういうモデル学校を作ったらどうか。そういうことなどは非常に新しいことでもあり、盲人等に非常な希望を与えることですので、ぜひそういうふうにしてもらいたいと思うのであります。  本日私特につけ加えて伺いたいことは、盲人ではございますけれども、全盲ではない、弱視、半盲という諸君、こういう諸君が相当あると思います。これも私は実物を見てきたのであります。実際やっておるところを見てきたのでありますけれども、これは厚生省の方にもぜひ聞いていただきたいのでありますが、非常に特殊な眼鏡を作っておりまして、いわゆる弱視者がそれをかけることによって、非常にたくさん救われて、晴眼者と同じ教育を受け、同じ職業の訓練を受けて、社会生活ができるということが、アメリカに参りますと現に行なわれておる。私、きょうはいなかの方にその資料をみな置いてきてありますので、数字を持っておるのでありますけれども、きょう申し上げられませんが、どのくらいのパーセンテージの者が盲人扱いから晴眼者扱いになるかという数字が、これもアメリカで出ております。文部省あるいは厚生省、労働省でも、そういう点をお調べになっているか。今、アメリカで工夫しておりますのは、特別な非常に大きく見せる、虫めがねをくくりつけたようなたぐいのものをつければ、晴眼者と同じように教育して扱えるのでありますけれども、こういうことをお調べになっているかどうか。今、盲学校に入っております諸君のうちで、いわゆる半盲がどのくらいの数字あるか。また厚生省でお調べになっている、一般の国民の中で盲人として扱われておりまする人のうち、どのくらい半盲、弱視の人々があるか。実際においては、あんまはりきゅうをやっている者の中では弱視者があると思うのです。つえなしでも歩く人もありますが、そういうのがどのくらいのパーセンテージあるか、お調べになっておれば、お知らせいただきたい。
  98. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 今お話しのは強度の弱視になると思うのですが、強度の弱視は、盲学校では〇・〇四%でございます。
  99. 長谷川保

    長谷川(保)委員 厚生省の方ではお調べになっておりますか。
  100. 立山春男

    立山説明員 実は私の力では、目が思い、あるいは弱視でどうかなるというのは病院の対象にいたしております。何も見えないから、社会的な生活をどうして与えるか、あるいは家庭側でどういう訓練をするかということであります。そういう業務を抱きかかえておるものでありますから、その中ではそういうものはわからぬわけであります。それから成人の部については、私ちょっとここで責任を持って言いかねますが、視覚障害ということで昭和三十年にとった数字がございます。これは私の方でなくて全部社会局でとりましたが、十八才未満が一万五千人、十八才以上が十七万九千、概数でございますが、大体そういうことでございます。
  101. 長谷川保

    長谷川(保)委員 労働省の方では、この統計は何かありますか。
  102. 有馬元治

    ○有馬説明員 この詳しい統計は、私の方は今までとっておりませんので、厚生省の資料を基礎にして行政を進めていくわけであります。ただ、先ほど長谷川先生のおっしゃった職業適性の問題は、先ほどもお答え申しました通り、従来の観念にとらわれず——どももアメリカの断片的な資料は取り寄せております。たとえばUSスチールにおいて二万近くの職務分析をした結果、身体障害者も健常者と同じようにフルに使える、こういう資料もございます。従いまして、私ども考え方というものは、盲人あるいは身体障害者一般につきまして、健常者と同じように作業ができるような職務分析をし、分業態勢を作って、産業界に復帰さしていく、こういう基本的な考え方でやっておりますので、先ほど、今すぐ答えられないと申し上げたのですが、従来の既成概念だけにとらわれずに、新しく職業を開拓していきたい、かような気持でおります。また現に訓練所に入所しておる訓練者の中には軽度の盲ろう者もある程度おります。これを初めから重度の盲ろう者と同じような考え方で扱わずに、むしろ一般の健常者に近い方へできるだけ引きつけていって適職を見出していくという方針で訓練所を運営して参りたい、かように考えております。
  103. 長谷川保

    長谷川(保)委員 こういうような気の毒な諸君に対しましては、当然国家としても種々の保護立法をし、保護制度を確立しなければならぬと思うのでありますけれども、しかし保護にはおのずから限界がある。だから何と申しましても正常者と同じように働くという道をつけてやることが一番いいことだ。これは中心厚生省になりましょうけれども、ことに経済的に恵まれない諸君もありますから、こういう肝心には今のような特殊な眼鏡を考えてあげるということが非常に大事だと思うのでありますけれども厚生省の方ではそういう特殊な眼鏡を考えたことがございますか。こういう非常に強度な弱視者も見えるようにしてやる眼鏡の研究をしたことがありましょうか。あるいは今日国立の医療機関でそういうようなものを作っているところ、研究を進めているところがありましょうか、伺いたい。
  104. 立山春男

    立山説明員 私ども児童福祉施設の方ではそういうような研究をいたしておるところはありません。ただ医療機関とかそういう関係ではあるいはやっているのではないかと思いますが、はっきりしたことはわかりません。さっきおっしゃった職業適性の方は、社会局の力でいろいろ適性の面を、三十年に、こういうものが適当だということをやっております。
  105. 長谷川保

    長谷川(保)委員 たよりない御答弁ですが、こういうことは文部省とも力を合わせて進めてもらいたい。そういうことによって正常な教育を受けられる人が多くなるのではないか。また正常な職業につく人が多くなるのではないか。やはり国の全体の政策としてほうっておかれたので、最近になって就学奨励等の努力がなされてきましたけれども、それでも今日盲人就学率は、これは二十三年に義務になって三十年にようやく一応完成したという形でございますけれども、それでもなお五〇%足らずしか就学しておらない。これを何とか乗り越すには、この点をぜひ進めていただいて、盲人の諸君が一般の普通の学校に行けるといいと思うのであります。同時に難聴の入々、これは難聴のゆえにあであるとかおしであるという諸君があると思うのです。この難聴で、ろうあと今はされている者の中にも、適正な補聴の道をつけてやれば、ろうあとして扱わなくてもいい諸君が相当あると思うのですが、こういうことのパーセンテージを調べたことはございませんか。
  106. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 ろうが〇・〇五%ですが、強度の難聴が〇・〇八%でございます。ですからろうよりは少し多いという状況でございます。
  107. 長谷川保

    長谷川(保)委員 厚生省の方でこの点調べられたことがありますか。
  108. 立山春男

    立山説明員 これがおもしろい統計になっておりまして、全数がつかめないことは非常に恐縮でございますが、四才から四十才までを国勢調査に共づいてとったのがございます。この数が大体七万六千九百十九ということになっております。上下入れて八、九万というところではないか。これは強い難聴だけであります。
  109. 長谷川保

    長谷川(保)委員 難聴の子供さんたちが中学生程度になって、社会に出るというようなことになって参りますと、今のろうあ学校では非常に社会環境が狭くとじ込められておって、社会人として立っていくためには、やはりできるだけ一般中学校あるいは高等学校に入れてやるということをしませんと、成人いたしましてからの生活が、なかなか困難だということが私は考えられると思うのです。でありますから、この点もやはり補聴器等を十分用意いたしまして、中学生あたりから、子供たちにできるだけ一般の中学へ入れる、一般高等学校へ入れるというような工夫をしてやることが非常に大事である、こう思うのであります。今日ろうあの中学校では、職業というようなことが中心になって、それが重んじられているのではないかと考えられますけれども、その点は、今ろうあの中学校ではどんなふうにやっておりますか、ちょっと文部省の方から……。
  110. 内藤譽三郎

    内藤(譽)政府委員 小学校中学校義務教育でありますので、主として普通教育でございます。ですから、先ほども申しましたように、高等部で主として職業教育中心にやっておる。ですから、高等部を出ないと一人前の人間になれないということから、高等部までの進学奨励義務制に準じてやっておるわけでございます。
  111. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私の耳にするところでは、事実は必ずしもそうではないようです。私の聞き違いであるかもしれませんが、そういう気がする。中学校高等学校と違っておるかもしれませんが、いずれにしましても、やはり十分補聴器を用意して、難聴の子供たちを普通の職業教育に持っていくということに努力する必要があると思うのであります。きょうは関連的な質問でございますし、同僚も待っておりますので、一つ大臣、こういうことはおわかりになると思いますから、ぜひこういうようなかわいそうな子供たちのために、特別な補聴器を用意し、あるいは特別な環境を用意して、普通の子供として普通の学校に行けるように、少しは困難があっても、ことに上級にいくためには、普通の学校に行けるようにというような配慮を今後してほしい。そういう政策を今までおろそかにされておった。厚生省、労働省ともにこういう方面に格段の努力をしていただきということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  112. 大平正芳

  113. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は時間をあらためてちょうだいいたしまして、大臣に総括的にお伺いいたしたいことがあるのでございますが、きょうは時間もありませんし、関連いたしまして一点だけ大臣のお考えを伺っておきたいと思います。  先ほどからの質疑応答の中で、大臣が特殊な子供に対して、十分あたたかいお気持を持っておられるということがわかりました。私はそういうところから、世の中のだんだん暗さがとれてくる、平均に明るくなってくるのだろうと思います。ただ私は、けさNHKの第一放送の対話の中で、ぜひこの機会にお伺いしておきたいと思うようなことを聞いたのであります。それは江東地区でありましたか、中学の子供、連続十六回にわたって放火をしておるというようなことに関連しまして、こういう特殊児童に対する措置をどうするかということで、大学の先生と警視庁の少年補導関係の係官との間の対談でありました。それを聞いておりますと、結局そういう特殊児童は、いろいろ家庭事情、状況、あるいは住んでおるところの環境、それから学校における行動などをしさいにわたって常時観察していると、あらかじめ発見し得たのではないか、こういうようなことでありました。私の聞き方が、あるいは不十分であったかもしれませんが、そういうように聞こえました。そこで結論といたしましては、そういう子供を教えている学校の先生が、もう少し気をつけてくれたならば、ああいう子供も、あれだけ大事を起こさずしてあらかじめ予防方法を講ずることもできたであろうけれども、何としても先生も忙しいことであるからということで話は終わったのであります。私もそうして下さればよかったとは思います。けれども、今学校の先生は、五十人もしくは六十人というような多数の子供を抱えておって、特殊なそういう子供に対して、特別な目をかけるだけの時間的余裕もないでしょうし、また能力的にも、そういう子供に対する特殊な観察方法、指導方法を講ずるだけのあれはないのじゃないかと思う。そこで、ちょうど盲ろうあといったような先天的に、身体的に特殊な児童に対するあたたかい制度も出て参り、またお力も入れておられるようでありますが、それはよろしいのでありますけれども、それと同時に、後天的といいますか、環境的に特殊な児童になりかけている、あるいはなっているような子供に対する何かの方法を考えられておりましょうか。これは今回の連続放火犯というようなことばかりではありませんで、一、二年前にも、これは高等学校の生徒でありますが、大へんな殺人罪を犯したような子供もありました。そればかりでなく、そういう特殊な児童、罪を犯しやすい環境に置かれているような子供は、相当数あると思います。それに対して社会的にも気をつけなければいけないけれども、まあ学校の先生がやってくれればというようなことであります。私もそう思いますので、大臣はそういう子供に対して、むろん今日までもいろいろ措置は講ぜられておると思いますが、今後どうするというお考えであるか、お伺いいたしたい。
  114. 松田竹千代

    松田国務大臣 今お話のように、特殊の事情、特殊の周囲の環境、そういったものから精神的に、心理的に異常児ができているのを、早期に発見することができるならば、ああした罪を犯すようなことを防止できたのじゃないかというお話ですが、私どもも、今日の社会においては、特に四囲の環境その他いろいろな社会事情家庭事情から、そういう子供ができる原因のいろいろあることも承知いたしております。これに対して精神医学的あるいは心理学的な学者の方面からも特に研究を進めて、こういう問題に対処しなければならぬかと思っておりますが、今のところは、そういう児童に対しては、厚生省の教護院の方で、そういう児童を発見されるならば、そういうところに収容して保護していくという制度を今までとっておるわけでありますが、今後さらにこういう方面は特別の注意を払って、適切な方法を講じなければならぬ、かように考えております。
  115. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 厚生省の方で、そういう設置をとっておられることは、私も承知いたしております。問題は学校の中で指導してほしいということが、けさの対談の中では強く私の耳には響いたし、またそうありたいと思います。そこで、そういう子供に対して何か特別な指導、そういう子供を専門に扱うような先生を配置するとか、あるいは数をうんと少なくしてしまって、そういう子供に対して手が回るような学級編制にしておけば、それが一番いいでありましょうけれども、それまでには若干の時間を要するといたしますると、学校に一人くらいそういう専門の先生を置いて、そうしてそれに対する指導方針、観察方法というものを講じられることも私は大切のように思われる。今の段階におきましては、せめてそういうことでも今の社会の期待に沿うような措置が文部省としても必要ではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  116. 松田竹千代

    松田国務大臣 アメリカあたりも早くから各学校に特別にそういう方面のことを担当するサイコロジストがおって、そういう方面の児童に特に注意をしておるということを伺っておりまするが、日本におきましてはまだそこまで完璧にそういう子供に対する用意ができておりません。その方向にやはり進んでいかなければならぬと思いまするが、何分にもすし詰め教室等においてこれが解消に重点を置いてやっておるようなわけでありまするが、それにいたしましても、お話のような件は大切なことだと思いまするので、その方向に向かって一つ研究を進めていきたい、かように考えております。      ————◇—————
  117. 大平正芳

    大平委員長 社会教育に関し、調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。小牧次生君。
  118. 小牧次生

    ○小牧委員 私は日本芸術院の問題について高橋院長、それから社会教育局長、それから文部大臣に若干の質問をいたしたいと思います。  もちろん私は日本芸術院の問題についてお伺いをするにあたりましても、芸術については門外漢でございまして、全くのしろうとであるわけでございます。従いまして特殊な芸術界——こういう芸術の問題についてはその自主性を尊重しなければならないということはもとより当然のことと承知いたしておるわけでございまして、これに不当な干渉を加えようとか、別に他意があって御質問を申し上げるわけでないことを、あらかじめとくと御了解をお願い申し上げたいと思います。というのは、私の同僚にもこういう問題について関心を持っていろいろ努力をされた方がおるわけでありまして、特に前に参議院の文教委員長をしておった相馬助治君が私の同じ党でありまして、いろいろな機会に芸術院の内部についてのことを承っておりましたが、まだ解決を見ないような問題もあるように聞いたものでございますから、冒頭申し上げたような気持で若干の質問をいたしたい、かように考えるわけであります。     〔委員長退席、稻葉委員長代理着席〕  さらに私が御質問を申し上げるのは、日本芸術院は御承知の通り文部省設置法の第十条あるいは第十四条、あるいはまた第二十五条、こういうような規定によりまして、たとえば文部大臣の所轄のもとにこれが置かれておる、また社会教育局は日本芸術院の予算その他の事務についてつかさどるというような規定もあるわけでありまして、こういうような根拠からも、私といたしましては関心を打たざるを得ない、こういう立場であることをまず御了解をお願い申し上げたいと思うのであります。  そこでさっそく具体的な問題に入ってみたいと思うのでありますが、昨年来日本芸術院会員の増員の問題についていろいろ問題があったように聞いておりますし、また専門の雑誌にもその判の経緯が掲載されておるのを私も読みましたし、さらにはまた先ほど申し上げました参議院の相馬助治君がいわゆる相馬書簡なるものを出したということで、その書簡も拝見をさせていただいておるわけでございまして、そういう点から御質問をいたしてみたいと思うのでありますが、まず第一には、この日本芸術院については、日本芸術院令というものがあることは御承知の通りでありますが、これによりまして会員が百名以内、こういうことにきめられておるようであります。これは政令で定められておりますから、これはその通りに現在なっておると思うのでありますが、ただ問題はこの百名以内の中で、政令の第二条に日本芸術院に左の三部を置く、第一部、第二部、第三部とかように示されておるわけでありますが、この政令に基づいてさらに日本芸術院会則というのが設けられておる。この会則は日本芸術院会員の総会による議決、こういう形になっておりまして、第一部の美術が五十名以内、第二部の文芸が三十名以内、第三部の音楽、演劇、舞踊、これが二十名以内、合わせて政令にある通り会員は百名以内、こういうことになっておるように私は理解をいたすわけでありますが、この最後に申し上げた一部、二部、三部の定員、これは昭和二十五年五月三十日の総会の議決、かように私は了解をいたしておりますが、その以前は一体どういう内訳になっておったのか、さらにまたその根拠についてあるいは歴史的な経過なり何か御承知でございましたならば、まず高橋院長からお伺いをいたしたい。
  119. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 私が芸術院に入りましたのは昭和二十三年のことでございまして、あまり古いことは存じませんが、これは御承知のことと存じますが、帝国美術院が発展いたしましたものでございまして、最初は美術家だけのものでございましたが、その後になりましてただいまお話の文芸界の人たち、それから芸能界の人たち、こういうような者が加わることに相なりましたので、今日に至りまするまで美術家偏重と申しますか、美術家の数が芸術院会員中におきまして五十名という多数の人がおりまして、他の両部門はこれに比べましてはなはだ少ないということに相なっておることと存じます。
  120. 小牧次生

    ○小牧委員 高橋先生は経済学のみならず美術関係にも非常に造詣が深い方であります。今お聞きいたしました通り、昭和二十三年ごろから院長の職にあられて、十年以上この職におられるわけでありますが、そういう経験から、今の総会の議決による会員の各部あるいは各科の数、こういう点について、今第一部の美術家偏重の傾向のようなお話がございましたが、何か御所見をお持ちになってはおられないのでありますか。それをまずお伺いしたい。
  121. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 芸術院内におきましても、また私といたしましても、三部制をとっておりまする以上は三部ともに大体同数であってほしいと願っておるのでありますが、ただいまも申しましたようないろいろな伝統がございまするので、五十人、三十人、二十人ということに相なっておるのでありまして、二部、三部におきましては、相当増員を要求する声がこれまでも一部にございましたことと存じております。この要求は私どもといたしましても、まことにもっともなことであると考えておるわけです。
  122. 小牧次生

    ○小牧委員 一部、二部、三部、特に二部、三部の方に増員の要求があったというような御答弁が今ありましたが、それもさることながら、私が相馬君からいろいろ承るところによりますと、第一部の中においても部の中にいろいろな分科があって、これが不均衡であるからこれを是正してもらいたい、あるいはまたそれができなければ、全体として何らかもう少し公平な割当ができるような増員ができないかどうかというような希望が相当あったように私は聞いておるのであります。特にその第一部の美術部の関係の内訳を見ますと、これは御承知の通り六つの分科に分れておるようであります。第一には日本画が十六名、それから洋画が十四名、彫塑が九名、工芸が七名、書道が二名、建築が二名、こういう内訳になっておるようでありますが、この第一部の内訳を考えてみました場合に、合おっしゃる通り第一部の美術に非常に偏重されておる。同時に、さらにその内部において日本画なりあるいは洋画といういわゆる絵画、この面に非常に片寄っておるということがこの数字から見ても一目瞭然であろうと私は思うのであります。従いまして私が聞くところによりますと、この中で書道の分科の芸術院会員をしておられる豊道春海氏が二人では非常に少ないし、書道界の発展のためにもいろいろ支障があるから、何とかこれをふやしてもらえないかどうか。当時この二人の中の一人であった尾上柴舟先生がなくなられて、最近その一人が補充されたように承っておるのでありますが、その間豊道会員が一人で書道界のいろいろな問題を処理していかなければならない。きわめて困難であるから補充すると同時に、さらに非常に少数である書道科の定員と申しますか、割当を何らかの形でふやしてもらいたいということで、高橋院長にも御依頼を申し上げ、そして今度は国会の方にも昨年でございましたか、衆議院と参議院の方に請願書が提案されておったようであります。衆議院においては本委員会臼井莊一委員請願紹介議員となって提案をされ、参議院も議員の方が紹介議員となって提案をされまして、これが両院ともに採択になっておる、こういう事情を承っておるのであります。しかるに、今高橋院長も増員の声があるというような、院内におけるそういう会長の方々の御意見等も御承知のようでありますが、今日までこれが何ら進展を見ていないということについて、私は不可解な念を禁じ得ないのでありますが、これについてまず高橋院長から御意見を承っておきたいと思います。
  123. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 先ほども申しましたように、増員の必要を特に感じておりますのは二部、三部でございます。まだその声がそれほど高まっているというところまでは参っておりませんが、相当この要求はあることと存じておるのであります。最近豊道春海氏の主張しておられますことは、二部、三部をふやして一部と均衡を保たせるということではなく、第一部内におきまして書道の会員二人のところをさらに何人かふやしてもらいたい、こういう御要求であります。豊道氏が私にお話しになりましたところも主としてそこにあったと存じます。将来もし芸術院会員の数が増員されるという場合には、全体についてむろん考えてみなければならぬことになるのでありましょうが、書道の会員だけをふやしたいというお考えであるならば、これは一部内でできることではないだろうか、ただいまお話のございました日本画十六名、洋画十四名云々ということは、これは内規にすぎないのでございますので、二部三部におきましても事実こういうような分科が成立しておったのでございまするが、だんだんこれが破れて参りまして、最近におきましては能楽界の会員がなくなりましたのに歌舞伎俳優をもって補うというようなことが、しばしば行なわれておるのであります。第二部におきましても同様であります。こういうようなことはほんの内規であるのでありますからして、増員を待つまでもなく、第一部内部のお話し合いで何とか豊道さんの御要求が通るようなことになりはしないかということも申したのでございまするが、なかなかやはり内規が力強いのでありまして、豊道さんの御要求も通らなかったことと存ずるのであります。しかし内情を申しますと、豊道さん、一向内部においてはお話しになっておらなかったようでございます。こういうことは第一部長とよくお話し願いたいということをたびたび私申したのでございますが、一向第一部長とのお話し合いもなく、直ちに総会に対して要求されるとか、あるいはまた請願の態度をとられるとかいうようなことでございましたので、選考委員会などを行ないます場合には、今までごく少数の者が選考委員となりまして選考しておったのでございまするが、今度は全員選考委員となったのでありまして、その中には書道とか日本画とか洋画とかいうような区別は表面はいたしておらないのであります。ただ選考委員会は各部に分かれまして部で選考する、こういうことに相なっておるのでありまして、まだこれまでの伝統はなかなか強いことと存じまするが、二部、三部においてだんだん科分けが破れて参りましたと同じように、一部におきましても次第に科の分岐というものがやわらいでくるのではないかと考えております。一部六科ということがいかにも多過ぎるというような意見なども一部にございます。学士院の方は百五十人の会員でございまするが、これは二部七科に分かれております。こちらの方も第一部のごときは何とかもう少し少なくなりやしないか。それで私これはただほんの頭に浮かびましたところを総会でも申したのでありまするが、たとえば平面芸術と立体芸術というふうに分けてみたらどうか、そうしまするならば、書道のごときはやはり平面芸術でございまして、日本画、洋画と同じ科に属するというようなことになって、そこで融通などがよくつくようになりゃしなかろうか、こんなようなことも申したのであります。つまり科本位でなく部本位でいこうという考えは、芸術院内部におきましてもだんだん強まりつつあると申せると思うのでございまするが、しかしその一面におきましてまだなかなか伝統の勢力の強いこともむろん認めなければならぬのでございます。
  124. 小牧次生

    ○小牧委員 ただいまいろいろ御答弁がありましたが、先ほど冒頭に申し上げました通り、これは芸術界という特殊な社会でございまして、私どもがよくわからない伝統なり慣習も相当強いかと私も考えております。しかし今日政治の大衆化なりあるいは芸術の大衆化というようなことが叫ばれておる時代でもあり、また大衆化されないものはそれほどの価値はないものだと私個人考えておりますが、そういう立場から今御答弁をお聞きいたしまして考えてみますと、第一部の中に六つの分科がありまして、その内訳がどういうふうにきまったのか、十何年も芸術院の院長をしておられてよく御存じないようでありますけれども、あるいは慣習なり伝統が強いのでというようなお話がありますから、そういう関係から、先ほど申し上げたような内訳になっておろうかと思うのでありますが、もしその事実をそのままに認めるとするならば、非常に少ない定員の会員の属する科というものの意見は、ほとんど多数決によって葬り去られるということがずっと続かざるを得ない。これはその運営上から見ましても明らかに民主的でない、非民主的な運営にならざるを得ない、こう私は考えておるわけであります。同時にまた書道会員のお話がございましたが、私が開くところによりますと、当時の第一部の部長は朝倉文夫先生だったと聞いておりますが、個人的な立場であったかどうかは存じませんけれども、一応第一部長である朝倉文夫民の了解を得てああいう行動に出られた。ただし第二部長であった——今もそうであるかもわかりませんが、久保田万太郎氏、この方は、他の部の問題であるからどうも自分は意見を述べるわけにはいかない、こういうような意見を述べられた。また第三部長には結局交渉はなさらなかった。こういういきさつから考えますと、これは不十分ではあったかも存じませんが、一応豊道会員としては筋を通して当時の第一部長であった朝倉さんに話をされた、こういういきさつから見て、まあある程度の手は打たれたのではないか、かように私は考えるのであります。  さらに文化大臣に伺いますが、そういういきさつから、昨年のたしか十月六日でございますか、文部省において松田文部大臣、当時の福田社会教育局長、高橋芸術院長、当時の参議院の相馬文教委員長、四者が出席をいたしまして、今私が申し上げておる増員の問題についていろいろ協議をなさったように承っておりますが、その際に文部大臣としては、増員の件には大体同感である、それは第一部の内部において、あるいはまた現在の定員である百名以内において不均衡の是正ができるならばこれに越したことはないでしょうが、これは先ほどの院長からの御答弁通りなかなかむずかしい。伝統が強いと言われる通り、確かにむずかしいようであります。従って、大臣は私が聞いたところによりますと、こう言っておられるようであります。違っておったら遠慮なく一つ御訂正を願いたい。日本の人口は今や一億に近い、百人や二百人の芸術院会員があってもよいと思う、日本学士院はたしか百五十名だ、従って政府としては明三十五年度において三十名程度の増員を認めたい、予算措置も講じたいと思うから、高橋院長も協力をしてもらいたい、こういうふうに大臣も意見を述べられたと思うのでありますが、大体これと同じような意見を述べられたのかどうか。それからこの定員をふやすには、法律によりますと年金を支給することになっておる、その他事務的な予算もあるでしょうが、定員をふやす権限はどこにあるか、この二つをお伺いいたしたいと思います。
  125. 松田竹千代

    松田国務大臣 第一問は大体お話のようであった記憶いたします。
  126. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 年金等は予算措置がなければできませんし、それから定数につきましては御指摘の通り政令の事項でございますから、内閣できめるものでございます。従いまして権限としてはともに文部省関係省と協議してきめるという事柄でございますが、これは日本芸術院あるいは学士院という国の栄誉機関というような性格から見まして、それぞれの機関の意思を伺って取り運ぶことが適当であろう、かように考えます。
  127. 小牧次生

    ○小牧委員 齋藤さんにお伺いしますが、適当であろうという御答弁でありましたが、この文部省設置法及び日本芸術院令、こういうのを見ますと、日本芸術院は栄誉機関であり、それから大臣に建議することができるというので諮問機関だと思う。従いまして最終的には予算措置を講ずる文部省にその権限がある、こう考えるのが至当だろうと思う。もしそうであるとするならば、先ほど私が文部大臣が述べられた意見をここに申し上げましたが、大体そういうような意見を述べたように思う、とこう大臣は言われたわけであります。そのときに高橋委員長も同席しておられたわけでありますが、その権限のある文部省なり社会教育局の方から、このむずかしい問題を取り扱うのに三十名はあるいはどうかと存じますけれども、とにかくある程度ふやしたらどうかという、これは芸術院にとってはありがたい意見ではないかと私は思うのですが、こういうことを大臣の方から言われておるにもかかわらず、高橋委員長は今日まで、すでに三十五年度の予算はもうきまったわけですが、大した動きをしておられないように私は聞いておるのでありますが、一体どうなんですか。
  128. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 先ほどの御質問の初めが、やはり私への御質問であったように存じまするので申し上げますが、私の言葉がまことに足りなかったので恐縮でございまするが、豊道会員は、朝倉文夫氏が第一部長をしておられまする際には同氏に話をされ、賛成を求められましたことは事実でございます。しかしその後になりまして、間もなく部長がかわりましたので、私は特に新しい第一部長とよくお打ち合わせ下さるようにということを再三申し上げたのであります。それから久保田第二部長の名前が出ましたが、これは私はっきりは申し上げかねまするが、おそらく豊道さんの名で会見を求められたのではなかったのではないか。農林省嘱託の方に三宅という方がございまして、この方から久保川氏に話があったように記憶いたしております。それで久保田氏は、先ほどお話のございましたように、これは第一部の問題であるので、一部の方で話をしてくれろということを、たしか電話であったと思いますが、返事をいたしました。それで第三部長には何の話もなかったと存じます。これだけを申し添えておきます。  で、ただいまお話のように、大臣、参議院文教委員長相馬氏、文部省社会教育局長、これに私が加わりましていろいろ御懇談をいたしたのでありまするが、その際には豊道氏は見えておられませんでした。私聞いておるところでは、豊道さんも加えて話をするということになっておったのでありまするが、豊道さんは見えませんで、先ほど申し上げました農林省嘱託の三宅さんという方がその席に入ってこられました。これは相馬さんのお書きになりましたものがかなり流布——と申すほどでもないかもしれませんが、一般に知られておるようでございまするが、これにはだいぶ間違いがあるように私は存じておるのでありまして、その際に三十人増員という話は出ましたのでありまするが、各部に十人ずつ割り当てるというような話などは全然なかったように記憶いたしております。あるいは私が聞き落としたのかと存じまして、その際に列席しておられました福田社会教育局長などにも聞いたのでありまするが、さような話はまだ出ておらぬ、こういうことでございました。それで芸術院内の空気を察しますると、増員に対して決して反対するわけではないのであるが、これは非常に重大なことでありまするので、いかなる時期においてこれを行なうべきであるか、その当時におきましてはまだ会員の補充すらできておりませんので、かなりたくさんの十何名かの会員の欠がございましたのでありまするが、それがまだ補われずにおるという状態でありましたので、まず総会においてはこれを急いでやらなければならないのではないかというようなこと、それからとかく芸術院に対しましては、これは主として私の考えでございまするが、いろいろな非難などのある際でございます。とかく運動が行われがちであるという際に増員をするというようなことは、少し待ってみなければならぬのではないかという考えも私にございました。それからまた増員するとなれば、どれだけ増員すべきであるか、三十人といたしまするならば、これをいかに割り振るかということ、先ほど申し上げましたように、十人ずつ各部に割り当てるというようなことでありますると、やはり均衡の問題からよほど考えさせられるところのものがある。これは慎重を期さなければならぬのであって、昨年の総会においてこれを議するということは、まだ早過ぎるのではないか。もう少し時期を待って、そうして芸術院自身の考えで増員の案を立てべきではないか、こう私も考え一般の諸君もそういうふうに考えておられまして、決議の結果はああいうことに相なったことと存じます。
  129. 小牧次生

    ○小牧委員 ただいま高橋委員長の御答弁の中に、三十名の増員といった場合に、十名ずつ一部、二部、三部に割り当てるのはどうかとか、云々というお話がありましたが、なるほど相馬助治君が出しましたその書簡の中には、そういう文句が出ておるようでありますけれども、私はあえてそれを今取り上げてはおりません、一回も申し上げた覚えはないのです。その点は一つまず御了解を願いたいと思います。私は大臣がそのくらいの増員はよいのではないか、こう言われた、そういうことを大臣にお伺いをいたしましたし、さらにまたそのときに大臣が言われた中に、高橋さん、あなたの腹一つでどうにでもきまると思う、政府の腹は大体できておるから大いに努力して下さい、私からあなたに頼むから、こういうようなことを大臣も言われた。これも松田さんから聞いてみないと、あるいは忘れておられるかもしれませんが、よくわかりませんけれども、そういうことでどちらかと申しますと文部省の方が割合にこの問題については積極的である。ところが前の社会教育局長であった福田繁氏は当時、これも事実であるかどうか私は本人に確かめてはおりませんが、この問題については高橋委員長は消極的であり、むしろ反対の態度ではなかろうかと思う、とこういうようなことを言われたというので、これは私の記憶違いかもわかりませんが、相馬君があなたにお会いした際に、福田社教育局長がこうあなたのことを言っておるといったが、いや絶対にそんなことはない、それは何かの誤解だ、こういうようなことを言われたというやりとりがあったように聞いておるわけであります。いずれにいたしましても、文部省の方がどちらかというと予算もつける方であるし、また権限もある立場にある、そういう文部省がむしろ賛成で積極的であるのに、肝心の芸術院長であるあなたがどういう理由か、その伝統の強さに引きづられておられるのか、あるいはまた何らか特殊な事情があるのか、あるいはまた先ほど申し上げたような第一部の中には初め十六人か十四人ときまればなかなかこれを変えることはできない。そういう仕組みになっておる。  従ってこれは多数を持った科の意見というものは絶対的だ、これは一目瞭然だ、こういう勢力にあなたが引きづられて自主的な解決ができないというのであるかどうか、率直にお答え願いたい。
  130. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 先ほど来申しておりますように、私といたしましては決して増員に反対であるということはございませんのでありまして、相馬氏と交詢社で会見いたしました際にも、たしか相馬氏の私に対する最初の質問は、増員に対しては芸術院は反対であるというふうに聞いているが、どうか、こういう御質問であったように覚えております。その際、私は直ちに、決して芸術院は増員に反対するわけではないということを申し上げたのでありまして、私といたしましてもむろん増員に対します適当な時期が参り、増員の案が芸術院で立ちますならば、こういう要求を提出いたしますのにやぶさかならざるものでございます。
  131. 小牧次生

    ○小牧委員 大臣に端的にお伺いします。芸術院はああやって何も増員に反対ではないというふうに高橋さんは今おっしゃいましたが、これについて大臣はどうお考えですか。
  132. 松田竹千代

    松田国務大臣 芸術院長である高橋さんは増員に対して反対でないということをただいま拝聴しましたけれども、これはもっともだと私は思います。芸術院の会員に推薦されることを望んでおる人もあるのでありましようから、ふやすことには賛成である、反対でないという態度をとられることは当たりまえだと思います。
  133. 小牧次生

    ○小牧委員 私は一番最初に申し上げたつもりですが、こういう特殊な芸術界の問題について不当に干渉しようとは思っていない。ただ前の記録を読んでみると、先ほど大臣にも確めた通り、決して大臣も反対の態度ではないようです。今もおっしゃる通り、いろいろ伺いますと衆議院や参議院に請願書が出まして、そういうところに持ち出して、そういう芸術界に干渉をするのはけしからぬとかなんとかいったような話も一部にあったように私は聞いております。従って私は冒頭にそう申し上げたのでありますが、やはり私が考えますには、特殊な社会でありますから、何らかの示唆と申しますか、もっと強い協力の態度と申しますか、そういったものを文部省の方でもお持ちになって、これらの要望を聞き入れて、もっとこれを民主化し、合理化していくというような強い態度をお待ちにならないといけない。この問題だけでなくて、芸術新潮二月号を読んでみますと、第一部長であった朝倉さんが非常なふんまんを漏らしておられる。どこまでこれが真相をついておるか、その辺は私は門外漢でありますから、わかりませんが、これは「矛盾だらけの機構」「展覧会屋になり下った芸術院」というような見出しで出ている。私は面識はございませんが、朝倉さんは権威のある人だと考えている。そういうようなわれわれ文教委員会としてはちょっと特殊な問題でございますが、こういう文部省の所管の中で、こういう機関の中でやはりこういう批判があるということはわれわれも関心なしとしないのでありまして、やはりこういう問題をいつまでもずるずると引っぱっておって、伝統が強いとかあるいは反対はないのだ、賛成なんだと言いながら、いつまでたってもこういう問題が解決されないということは、どこかに欠陥があるのではないかということをしろうとながら考えさせられるのでありますが、これについて大臣はどうお考えですか。
  134. 松田竹千代

    松田国務大臣 私も今お話になったようなことを聞いてはおります。しかし大体において芸術院の運営は芸術院が自主的に運営して参っているのでありまして、行き過ぎた介入をするような考えは持っておらない。しかし増員をするにつきましても、やはり予算措置は国会にお願いして協賛を得なければならぬわけでありますから、そういう点で芸術院の現在のいろいろの事情をなお詳しく聞いて、そうして自主的に改むべきものは改めていってもらうように、そうして円満な解決と申しますか、増員の問題につきましても、各部科等についてのとりきめは芸術院においてやることでありますから、その配分とかいうようなことについては、おのずから芸術院においてやってもらわなければならぬ、かように思うのであります。従って私は今日の時代になっては芸術院の総意によって増員を要求せられるような場合には、もちろんそれに応じて三十五年度の予算にはもう間に合いませんが、翌年度の予算においてはさらに予算措置を講じて、増員の運びに持っていきたい、かように考えております。
  135. 小牧次生

    ○小牧委員 大臣のお考えは大体わかりました。高橋院長にお伺いしますが、総会は年に一回院長がこれを招集する、こういう規定になっているようでありますが、ただし必要があるときは臨時にこれを招集することができる、かように日本芸術院というものは規定されておりますが、この年一回のほかにこの問題について総会をお開きになったことがあるのかどうか。また先ほどの御答弁では、まだなかなか時期がこないとかいうようなお話がございましたが、院長に開くような御意思があるのかどうか。ただいま文部大臣の御答弁を聞いておりますと、いろいろ適切な御答弁がなされているようでありますが、院長はどういう態度ですか。
  136. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 この問題に関しまして臨時総会を開くというような要求がございまして、これが規定に矛盾しない限りにおきましてはむろん招集する考えでおりますが、ただいまのところではまだそういう要求も出ておりませんのでございます。年一回ときめたというわけではございませんで、総会も昨今は二回ないし三回開いておりますのでありまして、まだこういう増員の要求が出ますれば、むろん会議にかけるつもりでおります。先ほどお読みになりました相馬さんの文章の中などで、何か私が努力すればできるというふうにしるされておるようでございまするが、私といたしましてはやはり全員全体の総意に従って動くということをしなければならぬものと考えておりまするので、一々自分の考えを説いて回るというようなことはいたしたくないと存じます。論ずべきことがあるならば総会の席上において論じたい、こう考えておるのでございます。ただいますぐに増員を行なうということにつきましては、先ほど申し上げましたような事情によりましていたしたくないと考えております。いましばらく時期を待つべきものと考えておるのであります。
  137. 小牧次生

    ○小牧委員 この芸術院会員というのは、芸術界に功績のある、非常に芸術性の高い優秀な人が選ばれなければならない性質のものでございまして、かりに私が今増員の問題を取り上げましても、だれでもかれでもそういう人が今たくさんおるんだというようなことで申し上げておるのでは決してございませんが、やはり運営上、少数の分科に属しておる人は——これは政党でも同じです。少数野党は非常に辛い立場に立たされておるので、なかなか意見は通らない、多数決をもって押し切られたならばほとんど意見が採用されないというのが今日の実態だ。芸術界の内部がどういう状態であるか、私はあなたほどは存じないわけでありますが、今おっしゃるようなお気持でいくとするならば、先ほど申し上げた通り、日本画、洋画のところで、すでに五十名のうちの三十名を占めておる。もしこれらの分科に属する会員の皆さんの中に、いや、そういうのはもうあまりやらぬでもいいじゃないか、ほかの分科の問題でこれをふやすとかふやさぬとか、おれたちには関係がないからどうでもいいじゃないか、こういうことでやられたならば、こういった少数の方々の意見というものはいつまでたっても採用されないのじゃないか。従って、私が最初申し上げた通り、高橋院長におかれましても、増員の問題はなかなか困難であるかもわからないが、できるならば内部の不均衡を是正する方が先決問題だと言われたと聞いておりますが、一体どうです。
  138. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 私もむろん内部におきまして、科本位でいくのは考えものだということは、会議のたびごとに実は申しておるのでありまして、部本位でいくべきもの、それで、第一部におきまして美術家としてりっぱな人であるならば、それが日本画であると洋画であるとを問わず推薦すべきものではないかということを申しておるのでありまして、それに対して正面切って反対せられる方はこれまでになかったようであります。  それから、多数の力をもって少数を圧迫するということは、少なくとも芸術院に関する限りにおいてはないと私は存じます。特に一部の中の第一科、二科が多数を占めておるからといって、その力で押していこうということは、これまでには現われておらないのであります。たとえば会員推薦の場合などにおきまして、当選せられた会員は、他の科の票数によるものが相当多いのでありまして、これは科本位でいこうという方々から申しまするならば、どうもこういうよその人の票によったのはどうかということなどを漏らされる方もありまするが、今日におきましては、先ほども申しましたように全体が選考委員となって選考いたしておるのでありまして、芸術家としてりっぱな人物であるならば、書道であると日本画であるとを問わずこれを推したいという考えがまことに一般に行き渡っているのじゃないか、特に自分のところだけの勢力を張ろう、そうして少数を圧迫しようなどということはいささかもないように私は感じておるのでございます。
  139. 小牧次生

    ○小牧委員 高橋院長はそういうふうにおっしゃいますけれども、事実は必ずしもあなたがおっしゃる通りにはなっていないのです。先ほど申し上げた「芸術新潮」の二月号に朝倉文夫氏が書いておるのでありますが、「いわゆる多数決制度が敷かれていますから、数の原則として、どうしても多数は少数を呑んでしまいます。」こういうところからもうすでに、妙な言葉を使って「モヤモヤが胚胎しますよ。」と言っておられる。そうして、今までの第一部の内部の科の員数の分け方にいたしましても、第一部に増員十名として、たとえば、日本画十五人、洋画十五人、彫塑十人、工芸十人、書道五人、建築五人とし、せめて五人単位にすれば、分科会も成り立ち、諸事うまくいって、もやもやも一掃されるのではないかと言っている。これも一つの意見です。あるいはまた、日本画や洋画、こういうものが将来合流して絵画科一本となるべきではないか、世界じゅうにこんな分け方をしている国がどこにありますか、というようなことまで、これは朝倉文夫氏の言葉だろうと思うのですが、書いてある。従いまして、そういうことはないとおっしゃいますけれども、いろいろ各方面の意見を聞いたり読んだりしてみると、実際は、洋画、日本画というような絵画を中心とする日展組の勢力に押し切られて、現在の芸術院は押しまくられておる、これに牛耳られておるということすら、こういう雑誌の中にも書かれておる。はたして今日の芸術院の内部がそうであるのかどうか、私は十分わかりませんが、いずれにいたしましても、自分の属しておる科を減らそうということを自分の方から会員の皆さんが言われることは私はないと思う。その問題はなかなか困難だと思う。特にこの規定によりますと、芸術院会員は終身のものです。なくなるまでこういう名誉ある地位が保障されておることですし、年金も国から保障される。また会員になれば、非常な権威者になっていろいろな分野に活躍ができるという非常に重要な地位にあるわけでありますから、従いまして、私は当初申し上げた通り、できるならば今申し上げたような合理的な分科の人員の再配分と申しますか、そういうことが望ましいけれども、なかなか実際は今申し上げたように困難であるから、適当な会員候補者がどの程度おられるか、その点はよく存じませんけれども文部省の方でも大体若干の人員はふやしていった方がいいのじゃないかというような意見を述べておられるから、こういってあなたにお伺いをいたしておるわけでありますが、あなたのお考えをもう一度今振り返ってみると、伝統が強いとか、これは総会の皆さんの御意見できめなければならないことだとか、これは一応表面はまことにごもっともだ。しかしながらその根底になる仕組み自体が、出発から、あなた自身も御存じないように、ずっと以前からそういった分科に属する方々が、たくさんの数を占めてやってきておられる。これではいつまでたってもそういう合理化しようとか、あるいはもう少しふやしてもらいたいとかいうような意見は、これはおそらくそういう方々の中から総会を開いてくれということもなかろうし、またかりに取り上げてみても、実際その希望は実現されない。実現は困難ではなかろうかと思う。この際やはりこういう客観的な情勢を院長として十数年もその地位におられる経験の豊富な高橋さんから、会員の皆さんによく話をして、そういう希望のいれられない少数の科に属する方々の仕事が十分できやすいように、若干の増員ができるような努力、配慮が、私は院長として望ましいと思うのですが、いかがですか。
  140. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 科を全然こわしてしまう——二部、三部同様に一部の科をこわして、部一本でいくということには、いろいろ困難がありますことを、先ほども申したのでありまするが、たとえばわずか二名の会員しか出ていない書道とか建築というようなところで言い出したこと、あるいは推薦した会員候補を、多数の力を頼んで押しつぶしてしまうということは、全然ないのでありまして、最近におきましては書道から推薦されました鈴木翠軒氏が、一部の多数の支持、投票を得まして、当選せられましたことも御承知の通りであります。わずか二人でありますが、これがりっぱな会員たる資格のある人と考えましたので、多数の諸君が票を入れたことと存じます。りっぱな芸術家で何人も異存のないような人が候補にのぼりまするならば、おのずから多数の票が集まることと存じます。
  141. 小牧次生

    ○小牧委員 私は今の書道の欠員であった方の一名を補充するという問題のいきさつについては申し上げておりませんが、ただ書道の分科の定員を増員してもらいたいというような問題について、当初申し上げた豊道春海氏が大臣に陳情書を出され、それから衆参両院に請願書を出されて、採択をされたという問題について、たしか去年の秋ごろだと聞いておりますが、総会が開かれた際に多数の力で葬り去られた、特に国会になんか持ち出してけしからぬじゃないか、そういうような意見が陰であったというようなことも先ほど申し上げましたが、そういうことで、事実は今私が申し上げた通り、多数の力をもってそういう切なる希望が葬り去られた実があるということを、私は聞いておるのですが、一体いかがですか。
  142. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 これは多数の力で葬り去ったというよりも、むしろこういうような問題は内部において意見を固めて、そして芸術院全体の名において要求すべきものではないか、こういう考えが強かったように存じておりまして、多数の意見をもって豊道氏の意見を押しつぶしてしまったとは申すことができないのでありまして、ただ今はその時期でないということに相なったものと存じております。
  143. 小牧次生

    ○小牧委員 それは多数の力をもって押しつぶしたのではないとおっしゃいますが、結果的にはそういう数でもってほとんど孤立無援で何らいれられるところがないという結果で終わってしまったということになったと思うのです。  そこで、もう時間もたちますから終わりますが、重ねて申し上げるようでございますけれども、これはやはり院長の方でそういうようなことを会員の皆さんや、そういうところに出して話をされたことはあるのですかないのですか。どうなんですか。
  144. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 請願をするということにつきましては、私は豊道氏から一言も相談を受けておりません。御相談がありますれば私の意見も述べたであろうと思うのでございます。よけいなことを申すようでありますが、豊道氏は私の近所におられまするので、しばしば私のところにおいでになりまして、いろいろ御相談をおかけ下さるわけでありますが、この請願問題につきましては一言も申しておられないのであります。これは昨年末の総会の際に豊道氏が申されたことによりますると、三宅君という人が元文部次官をしておりました有光次郎君に話をし、有光次郎君から私に話をして、私の同意を求めた。それで私はそれに同意したというようなことが豊道氏の口から述べられたのでありますが、これは私はなはだ意外でありまして、あるいは私の話の仕方が悪かったので、有光君がそういうふうにとったのかと存じまして、その後有光氏に面会を求められましたときに、あなたは私の話をどうお聞きになったかと申しましたところ、自分はあなたの話をことごとくノートしておったので間違いはないつもりであるが、請願云々についてあなたの賛成を求めたというようなことは全然ないのである、自分のノートにはいささかもしるされておらぬのである、その点をよく豊道さんに申し上げた、こういうことであったのであります。これも私と豊道さんの間柄だけでございますが、ほかの会員、ことに辻第一部長とも話がしてございません。従いまして私といたしましては全くこれは寝耳に水でありましたので、いよいよ請願が出ましたという報を受けまするまでは、他の諸君の意見などを聞くいとまもむろんなかったのでありますが、一々会員を訪問いたしまして意見を問うということは、先ほど申しましたようにいたさなかったのでありますが、何かの会がありました際に、これにつきまして意見を十分に聞いているつもりでございます。一般の諸君の意向は先ほど申しましたように、こういうことはまず芸術院の総意を固めて、そうして要求すべきものである、いきなり一人二人の会員だけの考えでもって請願などをされることはどうであろうかという意向が強かったように存じております。
  145. 小牧次生

    ○小牧委員 確かに当初の関係におきましては、今高橋院長が申されたことであろうと思います。直接的には話はなかったかもしれませんが、ある人を介しまして、元文部次官の有光さん、そういうところからの話があったように聞いておりますが、それはそれといたしまして、確かに豊道さんですか、そういう方がこれらの問題を取り上げられた、その経過なり方法については不十分なところもあったように私も思います。しかしながらすでにこれらの問題が取り上げられて、あなたのお耳に入って、しかも昨年の八月十二日には豊道春海氏はあなたに呼ばれて芸術院会館に行っておられる。そうして辻第一部長とももちろん会われたのじゃないかと私は聞いておりますが、その後文部大臣の部屋でも先ほど申し上げるようにあなたも立ち会っていろいろ話をしておられる。さらにはまた当時の参議院文教委員長であった相馬氏も相当これに関係をして、あなたとも数回会っていろいろ問題の要点を話をして要請をしておられる。こういうことから見ますと、前のいきさつは確かに不十分な点があったかもわかりませんが、今の段階においてはすでにあなたの頭の中ではこういった問題がいろいろ取り上げられておる。現在においては、文部省の方の意見も大体このようだというようなこともおわかりになっていると私は思う。これについては先ほど若干御答弁がございましたが、私といたしましては重ねて言うようでありますが、初めのいきさつは確かにそういう不十分な点があったけれども、今の段階においては、これは十分あなたが取り上げられて、芸術院の会員なりその他の適当な方々に話をされて、一体これはどうしたらいいかということについての結論を出されるべき段階にきておると私は思う。大臣もいろいろ協力するような意見を先ほど述べておられましたから、従いましてこれは芸術院の問題でございますから、これ以上は強く申し上げられませんけれども、適当な機会にあなたが正式に聞かれたという立場において、この問題を内部的に不均衡を是正するのが妥当であるか、あるいはまた若干増員をいたしまして、そうして第一部、第二部、第三部にどういうような配分が適当であろうか、いろいろあなたのお立場におかれての御意見をお諮りになって、私は今後の芸術界進展のために、また芸術院の運営についても責任ある行動をとられるのが至当であろうと思うのでありますが、最後に高橋院長の御意見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  146. 高橋誠一郎

    ○高橋説明員 私はこの問題につきまして、すなわち豊道さんが請願を出されましてからこのことを私知りましてから、機会あるごとに——機会と申しましても主としてこれは部長会議でございますが、総会は容易に開かれないのでありますが、部長会議はかなりひんぱんに開かれますので、その席でこのことをたびたび申しておるのであります。部長諸君が増員にいずれも賛成せられますならば、さらにまた第二の方法を講じよう、こう考えておったのでありまするが、第二部長などは、第二部としては増員に決して反対するわけではない、むしろ増員を要求したいということを繰り返して申しておるようでありますが、しかしやはり今その時期でないということは三部長いずれも同意見であるように存じまするので、私といたしましてはいましばらく時期を待つのが適当であろうと考えまして、もし次の総会にこの案が出されまするならば、その際また諸君とよく御協議いたしたいと存じておりますが、今芸術院全体の意見をまとめてこれを提出するかどうかということは申し上げかねるのでありまして、総会を待ち、全体の意向が盛り上がって参りますのを待ちまして、私としてはなすべきことをなして参りたいと存じておるのでございます。
  147. 稻葉修

    ○稻葉委員長代理 次会は明後十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開催することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時五分散会