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1960-03-11 第34回国会 衆議院 農林水産委員会農業法人等に関する調査小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十五年二月十八日 (木曜日)委員会において設置することに決した。 二月十八日  本小委員委員長指名で次の通り選任された。       秋山 利恭君    金子 岩三君       金丸  信君    倉成  正君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君       綱島 正興君    永田 亮一君      茜ケ久保重光君    足鹿  覺君       石田 宥全君    角屋堅次郎君       神田 大作君 同日  永田亮一君が委員長指名で小委員長に選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和三十五年三月十一日(金曜日)     午後二時一分開議  出席小委員    小委員長 永田 亮一君       金丸  信君    倉成  正君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君      茜ケ久保重光君    石田 宥全君       角屋堅次郎君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君  小委員外出席者         農林水産委員長 吉川 久衛君         農林水産委員  笹山茂太郎君         農林水産委員  赤路 友藏君         農林水産委員  中澤 茂一君         農林事務次官  渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      酒折 武弘君         農林事務官         (農地局管理部         農地課長)   中島 正明君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業法人に関する件      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより農業法人等に関する調査小委員会を開会いたします。  農業法人問題について、まず政府当局より今日までの経緯及び構想等について説明を聴取することといたします。渡部事務次官
  3. 渡部伍良

    渡部説明員 農業法人の問題につきましては、昨年小委員会におきまして私どもの方の一応の案を御説明申し上げました。それをもとにいたしまして、法律的な検討、それから関係方面意見を聴取いたしまして、大体関係方面意見は、非常に幅はございますけれども、私どもの方で聞けるだけの御意見は伺ったのでございます。目下それをもとにいたしまして法文整理をいたしておるような状態でございます。  まず最初に、この前に案を御説明申し上げましたが、多少の字句の修正はございますが、根本的な考えは変わっておりません。お手元に書類をお配りいたしたのをごらん願いたいと思います。  まず第一に、根本的な私どもの態度といたしましては「農地法基本理念を堅持しつつ農業経営合理化に資することを目途として、当面一定要件を備えるものに限り、会社その他の現行法による法人及び農業協同組合による農地及び採草放牧地使用収益権取得が可能になるよう措置するものとし、これがため必要な法律案を今通常国会に提出する。」、こういうことでございます。すなわち、農地法基本理念と申し上げますのは自作農主義でございまして、裏返して申し上げますれば、土地の兼併が発生することを防止し、不布地主発生を防止し、また高率小作料発生を防止する、こういうことに説明ができるわけでございます。と同時に、最近の農業技術の発達あるいは農産物の市場の発展に相応して、農業経営合理化でき、また近代化ができるというような点をねらったのでございます。  第二に、その内容について少しく申し上げますと、「二、農地制度措置を必要とする主要な事項は、おおむね次のとおりとする。」ということで、「(一)取得を認める権利は、賃借権及び使用貸借による権利とする。」、今後新しい法人ができる場合には、土地所有権はあくまでも個人に存置し、法人には賃借権及び使用貸借による権利を認めたことで十分農業経営合理化近代化に役立つ、こういうふうに考えるのであります。農地法自作農主義、すなわち土地自然人が持つという状態、これについては、もっと所有権考え方をゆるくした方がいいという考え方もありますし、また、これはあくまでも守らなければいかぬという考え方もございます。賛否両論ありますので、その結論農林漁業基本問題調査会等が将来にわたっての農業のあり方というものを検討いたしておりますから、それと見合ってきめる方がいいじゃないかということで、法人を認めましても、取得を認める権利は、賃借権及び使用貸借権利でよろしい、やむを得ない、こういうふうに考えておるのでございます。  そこで、(二)の「法人に対する農地等権利取得許可基準は、おおむね次のとおりとする。」、これは、農地法第三条の農地権利の移転の許可基準でございますが、まず(1)としまして、「農業及びその附帯事業のみを行なうこと。」、(2)としまして、「法人出資者又は組織員全員がその法人に対し農地等を貸し付ける者又はその世帯員であること。」、すなわち、法人出資者組織員は、いわゆる不和地主的なものは排除しよう、こういう考えでございます。(3)としまして、「法人耕作又は養畜事業に供する農地等は、次に掲げるものであること。」、(ア)としまして、「当該法人出資者若しくは組織員又はこれらの世帯員が現に耕作又は養畜事業の用に供している農地等」、それから、(イ)としまして、「当該法人出資者若しくは組織員又はこれらの世帯員以外の者が小作地又は小作採草放牧地所有制限範囲内で当該法人に対し貸し付ける農地等」、こういうことでございます。これは、あくまでも、現に耕作または養畜事業の用に供しておる農地法人に提供する、すなわち、自作農主義の現われであります。それからまた、(イ)は、自作農として持ち得る制限範囲内、こういうことを言っておるのであります。それから、(4)として、「法人事業を行なうのに必要な労力が主としてその出資者又は組織員労力により構成されること。」、これもまた自作農主義考え方を表わしておるのであります。  次に、しからばそういう法人がどれだけの面積を持てるかということでございますが、現行法におきましては農地法別表によりまして各府県ごと農地所有最高限度がきめられております。そこで、現行法人問題が出来した場合にもいろいろ問題になっておりまして、現行法でも法人法律的には土地所有権が否認されておらないじゃないか、別表最高限度範囲内においてはその範囲内で法人でも持てるじゃないかということでございますけれども、数人が寄って法人組織する場合には、それぞれの各人の持つことができる面積法人組織する人数をかけた面積、こういうふうにしようと思うのです。たとえば、所有最高限を三町といたしますと、三人が寄って法人組織いたしますと九町は持てる。五人が寄れば十五町は法人が持てる。現行法では、いかなる場合でも法人が持てるのは三町ということになっておりますが、新しく法人を認める場合には、それぞれの組織員の持ち得る面積人数倍、こういうことにいたしたいと思うのであります。  (四)といたしまして、「法人出資者若しくは組織員でその法人事業に常時従事するもの又はこれらの世帯員が、その所有する農地等当該法人に貸し付ける場合で当該法人が二の(二)の要件を備える場合は、」——従来は創設農地は他に貸し付けることができない、あるいは小作地を又貸しするということができませんが、そういう制限を除外して、創設農地所有者も、法人には賃借権使用貸借権利を認めることができる。これは当然のことでありますが、法律整理する、こういうことでございます。小作地の転貸の場合は(五)でございます。  こういうふうにして法人農地使用収益権利を認めましても、法人組織員状況が変わってくる場合がございます。すなわち、ある組織員は、法人組織することによって経営合理化され、労力が余り、その労力をほかに使っておったのが本業的になりまして、(二)の要件に書いておりますように農業に従事するという状態がなくなるような場合でございます。あるいはまた、組織員が死んだ場合、その相続人が都会のサラリーマンであるというような場合がございます。そういう場合には、自作農主義の建前をとる趣旨から、不在地主的なものが出たりするようなことを防止しなければなりませんので、その場合の措置を(六)、(七)、(八)で規定いたしておるのでございます。  この法人は、一に書いてございますように、現在商法で認められております有限会社なり株式会社なり合資会社、どういう形式でも法律で認められたる法人ならばよろしいということでございますが、さらに、農業協同組合につきましては、農業協同組合法という別の法律がございますので、これに所要の改正を加えまして、農業協同組合農業を行なうことができるというふうにはっきりいたしたい。これは、現存農業協同組合法で、農業協同組合農業を行なうことができるかできないか、禁止する規定はございませんけれども、行なうことについてはいろいろ疑義がございますし、また農業協同組合組織は十五人以上が寄らなければ組合を設立することができないことになっております。一般法人に認めるならば、協同組合農業を行なう場合には、現在の十五人以上の人が発起人でなければできないということを改めまして、五人以上の農民発起人となれば農業を行なう協同組合組織ができる、こういうふうに改めたいというのであります。  それから、最後に、こういう法人組織に関連いたしまして、農業委員会選挙選挙権をどういうふうにしたらいいかということでございまして、これは、農業を営むための農地使用権を認められた法人組織者または出資者のうちで法人事業一定日数以上従事する者で年令二十以上の者は、当然農業委員会選挙権、被選挙権を有する、こういうことを明らかにしよう、こういうことでございます。  以上が骨子でございますが、これに対する各方面の御意見を申し上げますと、やはり、法人は、なるほど当初は税金法人を作れば非常に安くなるということで発足した向きもあるようでありますけれども、実際に法人組織をやっていけば農業経営合理化なり近代化に非常に役立つということがはっきりいたしましたので、もしそういうことならば、ここに書いておりますような農地法上のいろいろな制限をもっとゆるめたらいい、特に法人取得する権利をなぜ賃借及び使用貸借に限るのかという点があります。また、法人経営面積をなぜ各組織員最高限かける人数倍に限制するのか、もっと経営規模を大きくして近代化合理化に資せしめたらいいという御意見がございます。また、それと対照的な御意見は、農地改革が行なわれてからまだ十数年を出ない、自作農主義のよさも非常にあるのであるから、やはりあくまでも自作農主義は非常にかたく守るべきである、自作農主義を軽々にやめるような方向制度を改正することは慎重にしなければならない、こういう御意見もございます。今法文整理をしておりますが、法律上のいろいろな書き方等につきまして、こまかい点につきましてはそういった両極端の御意見を調整して書きたいと思っておるのであります。成案を得ておりませんが、私どもは一週間か十日後には成案を得たいというつもりで目下法文整理努力しております。  ただ、結論的に申し上げますと、そういった各方面の御意見を総合いたしますと、先ほど申し上げましたように、現在農林漁業基本問題調査会で特に農業構造の問題が非常にやかましい問題になって、農業過剰就業状態の解消、言いかえれば農業人口を間引いて適正規模を与えるというような点が非常な論議の対象になっておりますから、そのためにはどういう施策を講ずるんだという結論が出るまでは、現在各地で起こっております法人を認めろという要求に対しましては、この程度でがまんしていただけるのじゃないか。現在、たとえば愛媛県の立間の農業法人等につきましては、まだ賃借権とか使用貸借権というところまでは認めておりません。最低限そこまで認めてくれればもっと楽にいろんな行動ができる、こういう意見もございますので、現在のところではこの案をもって法文化いたしたい、こういうふうに考えております。
  4. 永田亮一

    永田委員長 これにて当局よりの説明聴取は終わりました。  引き続き本問題について質疑を行ないます。石田宥全君
  5. 石田宥全

    石田(宥)小委員 ただいま農業法人化について御説明を伺ったのでありますが、前回伺った要綱よりは事務的には前進しておると思う。私はきょうは要綱内容には触れるつもりはございません。ただ、今次官からも話がありましたように、全国的にこの法人化についての希望と期待があまりにも大きいので、現存、すでに発足しているもの、立法化を待ってほとんど発足せんとする準備段階にあるものが意外に多いのであります。そういうときにあたって、すでに国会が開会されて相当日数も経ておりますし、また、本法案提案については閣議においても了解事項一つとなっておることでありますし、早急に立法化が行なわれて提案されなければならない問題であると思う。ところが、最近伝えられるところによると、政府部内においてもいろいろ疑義を持つような者もあり、民間団体においても必ずしもこれを歓迎しないような向き相当に現われて参っております。そういう状況でありますので、地方においてすでに踏み切っておるけれども立法化ができないために公然たる活動ができない、また、しにくい、そういうところの農民諸君や、あるいはまた、三十五年度から共同経営に移ろうとする準備態勢を整えておる農民諸君にとっては、はたしてこの立法化ができるのであるかどうかという点に疑惑を持って心配をしておる向きが多いのであります。ただいまの御報告によりますると、要綱としてはほぼこの線で法律準備に入りたいということでありますが、大臣もすでに旅行先その他でもこれは提案をすると言明をしておる。であるからまた閣議でも了解事項となったと思うのでありますが、これは省議としては決定を見ておりますか、まだ見ておりませんか。
  6. 渡部伍良

    渡部説明員 要綱といたしましては省議了解を得ております。法律案はまだ作業中でございますから、これはできるだけ早くやりたいい思っております。
  7. 石田宥全

    石田(宥)小委員 そうしますと、要綱案について省議決定を見ておるとするならば、今度は法律の成文を待ってさらに省議にかけて、そのあとで提案をする、こういうことになりますか。そういたしますと、今大体もう一週間くらいで立法化準備が進むであろうというお話ですが、大よそ今月の二十日過ぎには提案の運びとなるというふうに了解して差しつかえございませんか。
  8. 渡部伍良

    渡部説明員 私どもは三月の十五日を目途といたして準備いたしておりましたが、多少おくれております。私ども努力目標としてはできるだけ早くということでございます。
  9. 石田宥全

    石田(宥)小委員 そういたしますと、農林省の中で、当初は農地局の方は少し積極性を持っておったが、経済局の方はどうも消極的であったということが言われており、また、第一回の本小委員会でもそのような発言があったわけでありますが、私どもこれを勘ぐるわけではありませんけれども農協中央団体の有力な人たちにこれをはばもうとする動きが見られるようであります。考え方によっては、その法人そのもの農協に参加をするということになれば、むしろ農協を強化する要因をなすとも考えられるし、私たちはそのように考えておるわけでありますが、しかし、一部の農協の有力な人たちのこれに反対的な意向を述べておる人たち意見としては、法人というものが今後どのように発展するかということは別といたしまして、今の農村の青年の気がまえ等からいたしますると、相当数やはりそういう形態に進むのではないかという見方もされるわけでありまして、そういう際に、農協に参加しておるけれども農業法人自体の横の連絡というような法人協議会とかあるいは連合会とかいうようなものができてくると、農協か浮かび上がるというか、圏外に立たされるという点を心配しておるのではないかと思うのでありますが、これは今後行政指導のいかんによって解決のつけられる問題であろうと考えるのでありますが、そういうふうな反対的な動きに対しては、やはり、今後、政府としての心がまえというか、そういう点をよくお話しになって、反対意見を述べる者に対しては一応その理由も聞き、そうして今後の見通し等についてもよく話し合いをされて、これを阻止するような要因をなるべく少なくして、すみやかに立法が成立するように御尽力を願いたいと思うのでありますが、具体的にはどういうふうな折衝が行なわれておりますか。
  10. 渡部伍良

    渡部説明員 農業団体関係におきましては、御指摘のように、初めは、農業を営む特殊法人特別立法で作ろうというような考え、これは農林省の中にもございましたし、政党の方にもございました。それからまた、現在の農地法の解釈を変えたのでもいいじゃないかという議論もございます。いろいろな意見がございまして、それぞれの思惑でそれぞれの立場から議論されておったのでございますが、先般、私どもの方で、一応事務当局案をまとめまして、それを各方面に話し合ったのでございます。特に、農業団体関係におきましては、全国農業会議所で五人協議会というものを作りまして、名前を申し上げますと、堀本会長、内藤副会長、三橋副会長、荷見理事東畑理事、こういう人が申し合わせを作りました。それは、「一、会社農協等法人農業を営むことを認める。そのため法人農地賃借権使用貸借権利取得をすることを認める。二、自作農主義を貫き実質的不在地主等発生を防止するため左の措置を講ずる。(1)法人農業以外の事業は一切禁止すること。(2)出資者等法人組織員全員農地貸付者であること。(3)法人農業従事者法人組織員が大部分を占むること。(4)実質的に不在地主となり、又は在村の場合に於ても、法人の営む農業に事実上参加しなくなった場合は、農地の賃貸借を解約すること。なお解約をしない場合は国に於て買収すること。」、こういう内容を申し合わせいたしまして、農林省の方にも出して参ったのであります。大体私どもが作った案と内容的には一致しておるのではないかと思います。団体側の方の意見は、御指摘のように法人を作れば協同組合と別個に一つ組織ができるのじゃないかという心配も解消したようでございます。それよりも、現在各地で幾多の要望が強く出ておるのを多少不十分でも早くいたして実現した方がいい、こういうふうに申し出ておるのでございます。
  11. 石田宥全

    石田(宥)小委員 私ども社会党としては特殊法人法を作って用意しております。私どもは、理想としては特殊法人法を作るべきであるという考えでありますが、これはいろいろな政治情勢で必ずしも固執しようとは考えておらない。農業会議所並びにいわゆる五人委員会結論の御報告がございましたが、その結論からいたしますると、これは今次官から報告のあった事項とほぼ一致する。表現や何かで字句の点に相違があるとしても、ほとんど変わっていない。まあそれでいいのではないかと思うのでありますが、ところが、その中に農業会議所会長であるとかあるいは全中会長であるとかいう人々が参加されておってそういう結論を出されておりながら、なお内部に、全中会長意見というものは五人委員会結論になっておるけれども、必ずしも農協の中には全中全体の意思を代表し反映しているものではないというがごときことも言い伝えられておるわけでありまして、そうなると、これは全中そのものの中の問題ではあるけれども、しかし、そういうことがやはりこういう微妙な段階におきましては問題を生ずるのです。ですから、やはり、できるならば、せっかく統一した見解が明らかになって農林省にも文書をもって提出されておるということであるならば、その統一見解というものはそこに参加しておる各団体の代表の統一意思なんだから、やはりその統一意思もとに言動をなすように、これは何らかの機会にしかるべく意思統一をはからせる必要があるのではないか。おそらく次官の耳にも入っているだろうと思うし、また局長の耳にも入っておることだろうと思うのでありますが、私どもが、自分たちの方でちゃんと特殊法人法法案まで用意をしておりながら、なお諸般の情勢から一歩引き下がってでもやはり全国農民要望期待に沿わなければならないということを考えて慎重を期しておる段階において、そういう雑音が入ることによってこれの提案がおくれ——また、今国会というものは、御案内のように各委員会とも重大な法案はございませんけれども安保国会と言われているように、ああいう大問題がありまするから、そういうところの余波を受けてもしこれが成立しなかったというようなことになると、これは大きな問題だと思う。そういう点で、いろいろな隘路が、私が今指摘したほかにも相当あると思います。それについては、やはり今までの経過というものを一つここで確認する意味で御報告を願ったわけでありますから、その確認の上に立って、今御報告になりましたように閣議了解事項省議というものの上に立ってやはり早急に実現のために努力を願いたいと思うのです。  なお、この機会に、これは農地局長の方ですか経済局長の方ですか、法人の今まで踏み切っておる団体状況、数、それから準備態勢、これは、私、新潟ですから、新潟のことだけしかよく承知しておらぬのでありますけれども、もしこの立法化が行なわれたならば直ちに三十五年度の春の耕作から共同化をはかろうという受け入れ態勢というか、そういうものがずいぶんたくさんできておる。これはそういうことまで調査が行なわれておるか行なわれておらないか存じませんけれども、そういう状況を最近お調べになったものがあったならば一つお聞かせを願いたいと思うのです。
  12. 伊東正義

    伊東政府委員 今御質問の点でございますが、われわれ、でき上がっておる調査はあるのでございますが、今おっしゃいましたように気運のあるものの調査ということについては、実はまだ調査をいたしておりませんので、今資料として提出いたしかねます。
  13. 石田宥全

    石田(宥)小委員 それから、もう一つ次官に伺いたいのでありますが、今度の法人化問題というものは、先ほども説明の中にもありましたように、当初は税金対策関係で発足をした。しかし、やっているうちに、税金のことももちろんそれは無視できない要素の一つではあるのですけれども農業企業化近代化機械化というような日本農業体質改善経営構造前進というところに重大な意義のあることを農民が自覚をして、今申し上げたようなことで前進態勢になっておるわけです。ところが、農林省の中でももちろんそうでありまするし、あるいは一般学校方面文部省関係のそれぞれの機関等においても、共同化についての指導啓蒙、あるいはどういう点に長所があってどういう点は大いに伸ばすべきであるが、こういうふうな点を警戒しなければならないとかいったようなことについて、何らの指針がない。一つの何かよるべき道しるべのようなものが全然ない。民間団体からはそれぞれいろいろなものが出ておるけれども、これも目を通してみますと、まことに雑然たるものであって、これから一つやろうといって意気込んでおる青年諸君指針たり得るようなものはきわめて乏しい。これについては、せんだっての世界の農業生産者連盟へ出てきた石井英之助君の報告などを聞いても、やはり、世界的な農業経営方向として、委託栽培共同化方向だ、この二つが大きな問題だということを言っておりますが、そういうふうに世界的な農業の傾向として明らかになっており、しかも日本の若い青年諸君がそういう方向を目ざしてあらゆる努力、研さんを重ねておるときに、その担当の農林省は、そういうものについて農林水産委員会でその実態を調査すべきであるというようなことを言ってからその実態の数字的な調査を行なわれたにすぎないのであって、まだ、今何とかしようといって一生懸命になっておる農村青年に対しては何らの措置が行なわれておらない。これは立法化とうらはらの問題であって、当然、これに対して、試験場を通じてやるなり、あるいはまたその他の専門学校等においてもこれを正式に取り上げてその指針を与えるべきであると思うのでありますが、そういうものについては今のところまだ準備ができておらないように承っておるのでありますけれども、今どのようなことをお考えになっており、今後またおやりになる御方針であるか、承っておきたい。
  14. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、御指摘の通り、率直に申し上げまして、どの程度の規模で共同化をやればいいか、それが合理化近代化に役立つのかということの指針は作っておりません。たとえば、農機具を共同利用するのにはどの程度の規模がいいかとか、あるいは果樹の病虫害に対する共同防除ではどうすればいいいかとか、こういうふうな個別的なある程度の共同化指針に類するものは若干ありますけれども、それではやはり農業経営全体としての共同化指針には不十分なのでございまして、共同化をやる場合には、それが不十分だから、やはり法人組織なら法人組織をして、もっと経営それ自身の体制が共同化に適するようにしなければならぬということが観念的に考えられておっても、いわゆるここでわれわれが言っておる法人組織で収益権を共同化するということも、役所の方でこれを上からこうやれというのにはよほど自信がなければ言えないことでございまして、それらを暗中模索しておったのが今までの段階ではないかと思います。それでは不十分でございますから、法人問題についてもいろいろな消極論もございましたけれども、むしろ役所よりも農家の方が積極的にそういうことに目ざめてきておるのだから、それを助長するような方向に持っていかなければならぬのじゃないか、こういうことで法人問題も取り上げておるのでございます。御指摘のような点は、今後まだ各方面のお知恵をいただきまして、はっきりした指針を早急に作らなければならない、こういうふうに考えております。
  15. 石田宥全

    石田(宥)小委員 最後に一点。これは重要なことだと思いますので伺っておきますが、先ほどから繰り返して申し上げたように、省議決定要綱については行なわれた、それから、閣議でも了解を得たということであるけれども、どうも与党の中にも必ずしもこれを歓迎しない向きがやはりあるように見受けられるのであります。そういうことになりますと、与党の有力な人たちの方からブレーキがかかるという心配もなきにしもあらずだと思うのです。それで、ここで率直に承っておきたいのでありますが、ブレーキをかけられるおそれがあるとするならば、われわれはまたそのような対策も考えなければならない。やはり、次官でなしに大臣の政治的な責任の問題になりますので、そのことも考えなければならないので、ここで今後の見通しについて一つ率直に承っておきたいと思います。
  16. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、どういう問題につきましても積極論、消極論がございます。それで、特にこの農地法上の問題は、敗戦の結果、普通の状態ならばなかなか行なわれない農地改革が行なわれておるのでございますから、その後の経済の進展につれていろいろ複雑な問題ができてくる。しかし、やはり農地改革農民には非常にいい効果をもたらしておる。従って、それがよりよい効果を持つように発展せしむべきは当然であると考えております。御指摘のように、党の中にも消極的な意見を持っておる方々も、私の理解では、そういうことをやってはいけないという考え方ではなしに、やる場合にはいろいろな部面について十分利害の調節を頭に置いて法文を書け、こういうふうに承っております。従って、そういう部面につきましては、細目にわたっていろいろ御説明を申し上げて御了解を得ておるつもりでございます。結局、最終的には、法文ができて、いろいろ注意があった点はこれでよいのか、こういうことをごらん願わなければ、はっきりしたことは申し上げられませんが、大体皆さん方の御了解は得られるものと考えております。
  17. 石田宥全

    石田(宥)小委員 なぜそんなよけいなことを言うかといいますと、もう時代錯誤もはなはだしいような農地被買収者問題調査会設置法案のようなものを、前々国会でつぶされたものをまた意地になって出してくる、農林省も全体としては反対であり、農林大臣も必ずしもそれには賛成でないにもかかわらず、やはり党議とか閣議決定の前にはやむを得ずにああいうふうなうしろ向き法案を出すような事情もあるので、私どもはやはりそういう点を配慮しつつこれを前進させなければならないと考えるので、これを一つ承っておるわけでありますが、この点については、やはり次官を中心として、両局長とも信念を持ってこれを前進せしめ、本国会で必ず成立を期するという決意のもと一つ当たっていただきたい、これを要望申し上げて私の質問を終わります。
  18. 永田亮一

  19. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保小委員 私は当委員会は初めてなんで、あるいは前国会の小委員会等で質疑があったかと思うのでありますが、一つその点はないものと考えて御質問申し上げたいと思います。  日本の農林行政の中で、農地解放が、これは一つの与えられた力ではありますけれども、非常に革新的な大きな仕事をしたわけであります。それについて、私は、今度のこの問題が、非常に未熟であるし、ささやかでありますけれども、日本の農業の将来にやはり一つの革命をもたらすような気がするのでございます。また、そうありたいと思う。従って、先ほど石田委員からも指摘したように、党としては独自のものを持っておりますが、それはそれとして、せっかくこうして日の目を見ようとする革新的な方向をぜひ推進したい、そう思うわけでありますが、現在までこうして運んで参りました過程を通じてかなり反対もあったように伺っておりますし、また、現在でも一面にはかなりの反対もあるようであります。これは農民の中にもやっぱりあるのですね。これは理解が足らぬという点だと思うのです。しかし、それは私ども一つ努力で解決しなければならぬと思うのですが、今までこの仕事を進めていらっしゃる過程を通じて、最も代表的な反対意見の根拠と申しますか、端的に一つ聞きたいと思います。これは、やはり、こういったものを今後推進するには、反対の意見の根拠というものをわれわれ知っておかないといけないと思います。従いまして、私どもも新聞やいろんな文書をもってはある程度知っておりますが、あなた方が当局者として当面しておる最も強い反対意見の根拠を、御承知ならお伺いしたいと思う。
  20. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、農地法基本理念が、土地を持っておる者がみずから耕作するということになっておるわけであります。従って、法人形態にいたしますれば、今度の場合、私どもは、所有権は個人に残して、賃借権使用貸借権だけを認めるというふうに言っておりましたけれども法律成立の過程を見ましても、所有権法人に移さしてもらいたい、こういう意見相当強くあったわけでございます。しかし、法人組織する場合には、現に土地所有耕作するといわゆる自作農が寄り合って法人組織するけれども、それを組織した以後において、その人が死んで、その子供が土地所有権取得する、ところが、その子供が必ずしも農業に従事してない場合には不在地主ができたと同様な結果になる、その点は、これの始末の法制を準備しておかなければ、農地改革から十数年たった現在、時間的にはまだあまり長くたたないうちにもう農地改革の効果を結局くずしていくことになる、従って、軽々にそういう方向に行ってはならない、こういう意見がございます。ところが、そういうことを言われるけれども、——現在の状況で端的に、第一番に出ましたのは、法人化すれば税金が安くなるし固定資産や資本の負担が軽くなる、そういうことになっておるんだから、自作農主義に拘泥しておること自身が農家の所得の増加、生活水準の向上を阻害していくことになる、従って、なるほど自作農主義がいいとはいっても、弊害さえ防止できるならば、なぜ新しい形態をとってやらぬのか、こういう説得の過程があるのです。だんだん説得していきますと反対はできなくなるわけですね。また、感情的に、土地はとにかく個人が持っておらなければ、朝早く起きて泥まみれになって耕したりはしない、こういう抽象論になってくる。そういう人も議論の過程ではしばしば出てきました。結局、法人化によって農地法のいわゆる自作農主義のいい点が台なしにならないようにということ。その台なしにならないようにする点はいろいろ方法がございます。きつい制限を課すとか、もっとゆるくとか、幅がございますが、その幅のどこをとるかという議論に今は集中しておるのじゃないか、こう私どもは理解しております。
  21. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保小委員 農林省がこの問題に手をつけたのは、全国にかなりの数の自然発生的な法人ができたということからだと思うのです。省内に革新的な農政家がおって、日本の農業経営の基盤の過小に基因する諸問題を解決するためには——私個人は十数年前から共同経営化ということに対して熱意を持っておるのでございまして、特に多角経営をするためには、とても今の日本の農業形態ではできないのでありますし、機械化もそうですが、そう思っておったところが、偶然税金問題が起こってこの農業法人ということが問題になってきた。これはそれを解決する当面の問題だと思うのです。また、農林省の中でも日本の将来の農業経営をどのような方向に持っていくかというところまではいっていないと思うけれども、しかし、消極的ではあったが、少なくともこの自然発生的な農業法人の形から、いやおうなしに今後の日本の農業経営に対して全然今まで考えなかったところに足を踏み込んだと思うのです。そこで、今は追われる形で、起こった各地農業法人をどう収拾するかということでこれが一応具体化したのですが、その過程を通じて、今後の農業行政の上で、——もちろん農地法関係はあります。私ども農地法は非常に高く評価しているのです。現在のままの形ならばやはりくずしてはいかぬと思う。しかし、この農業法人を契機に日本の農業経営というものがもっと飛躍的な形になる場合には、私はあえて農地法にこだわる必要はないと思う。また、こだわってはいかぬと思う。そういう面で、そこまでは私は要望しませんが、農林省が現在この問題と取り組んでおる経過を通じて、将来の日本の農業経営に対して、これを一つの基盤として新しい方向に強く推進するような動きがあるかどうか。農林省という特定の機関に限ったわけではありませんが、消極面でなくて、積極的にこれを発展させようとする胎動があるかどうか、この点、いかがでしょう。
  22. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、御指摘の通りでございまして、経済の発展の当然ではないかと思います。ただ、役所が今そこまで積極的に胎動の方向を引っぱっていくとかあるいは大いに駆使するとかいうことができない理由が、これは私の個人的な考えになるかもしれませんが、要するに、経営共同化いたしますとそれによって多角化でき、あるいは新規の未墾地を開墾して規模を拡大して共同経営による労力なり資本の節約分をもっと消化して経営規模を拡大できるという可能性がないと、なるほどその共同化した限りにおいての効果はございますけれども、もうすでに、立間の場合等を見ましても、経営合理化ははっきりわかった、さあ残った労力をどう消化するかというところで別の問題にぶつかっておるのでございますが、そこで、この問題は、抽象的には過剰労力を他産業部面に持っていったらいいじゃないか、こういうことが当然言われるのでございますが、具体的にそれをどういう施策でどういう機関でやるかという見当がつかないと、法人化の問題も行政当局としてはすっきり割り切って大きな旗を掲げるという段階まではまだよう踏み切れないのでございます。先ほど申し上げましたように、人口を間引くとか過剰就労状態を解消するという方向についてすでに問題の所在は指摘されまして、それの解決の方法等についても基本問題調査会でやっておるわけですから、それが目標は六月末までに出すと言っておりますが、かりに一年おくれても、順序が立てば、その順序と並行して、農業法人問題も次の発展策というか次の法律改正を考えたらいいじゃないか、こういうように考えております。
  23. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保小委員 はからずも私が次に質問しようとしたことを先にあなたが答弁した形だったのですが、私は、日本の農村における二、三男坊問題が非常に重大な問題になっていると思う。私の持論では、これを解決をするには共同経営以外にないと考えている。これはいろいろな基礎を持っています。しかし、当面は、私は、こういった各地農業法人ができますと、これはむしろ労力の過剰が出ると思うのですよ。あなたがはからずも立間の方で出たとおっしゃったが、そうだと思うのですよ。しかし、日本の農業経営が全面的に共同化した場合には、私はむしろ逆に二、三男坊問題が解消すると思うのです。これは別な理論を持っています。ところが、今私は次に質問しようとしたのですが、そういう形の不徹底な農業法人化では、おそらく過剰労力が出ると私は思うんです。従って、これに対する対策が必要だということを聞こうかと思ったら、あなたは先に触れられたのですが、それはそれでいいです。  そこで、たとえばそれを農業法人化する、共同化する場合に、当面の日本の農民農地に対する意欲から、必ずしも所有権法人に持たせることも無理じゃないかと思う。ここでいわゆる土地の交換分合が問題になると思う。六人なり七人の者が共同しましても、依然として畑やたんぼがあっちこっちにあったのでは、効果が非常に薄い。それをやるためには、やはり土地の交換分合を促進して、少なくともこの経営体が一緒になるものは、全部でなくても、たとえば一反、二反、三反とあるものを、三反、四反と集めなければ、効果が非常に薄いと思う。これは非常にむずかしい問題でございますけれども、私は、ぜひこれをやるためには、法文とは直接関係ありませんけれども、せっかく新しい経営体が生まれるのだから、農業法人化に対しては、思い切った——今の個人々々ではできないでも、法人化する場合には私はできると思う。これに対して相当強いてこ入れをして、この土地の集約、いわゆる交換分合をやってもらわなくちゃならぬと思うんだが、それに対する当局の御決意はいかがですか。
  24. 渡部伍良

    渡部説明員 これはもうお説の通りでございまして、少し話が脱線して恐縮ですが、前にアメリカの占領軍の天然資源課におった農地改革を指導した関係者の人が、せっかく自作農にしたけれども、次の点を日本の農家は考えてないじゃないか、昔通りとにかく耕地が分散しておる、それは悪意的に表現すれば地主が小作政策から小作人の土地を分散しておったのを、そのまま受け継いで自作農になったようで、ちょっと理解できないと皮肉を言っている。しかし、それではいけないので、農林省では、耕地の交換分合、土地の集団化についてはある程度の補助金も用意してやっているわけでございます。ところが、御指摘のように、先祖代々といいますか、自分が長年耕した土地に対する愛着、あるいはまた、場合によると、その土地は水害にあいやすい、水回りが悪いとか、そういういろんなファクターがございまして、私の方でそういうことを合理的に解決しようと思っても、今までのところはなかなかめんどうだったわけです。しかし、御指摘のように、法人化が進み、共同化の利点がわかれば、当然補助金等はそういうところへ一そう便宜を与えるように優先的に使っていきたいと考えております。
  25. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保小委員 それと同時に、共同経営化をする場合には、土地の交換分合等とも関連して参りますが、経営主体が非常に資金的に脆弱なところに問題があると思う。そこで、五人や六人ではそう大きな期待もできない。——結局持たざる者が寄るわけですから。そうなると、せっかくできる農業法人に対してどうしてもかなりの資金的な裏づけをする必要があると思う。  そこで、経済局長にお伺いするのですが、現段階ではいろんな難問があると思うのでありますけれども、やはり、農林漁業金融公庫とか農林中金とか、そういった農民への経済機関がある程度現在までのいきさつを乗り越えて思い切った経済的な援助をする必要があると思う。また、これをしなければ実際の効果があがらぬと思う。今までの諸君は、苦しまぎれにやったのでありますから、ある程度の困難はお互いに覚悟し合っておりますから克服してきたのですが、今度法律ができまして、このできた法律によって作る諸君は、今までやったものとはやはり意気込みが違うと思う。従いまして、当面した困難を克服する力が弱いと思う。これはよほど考えないと、今までやったのがうまくいったのだから、法律によって作るものもよかろうと思うと、大間違いだと思う。よほど為政者の方で強力なてこ入れをしなければならないと思う。これは第一に経済的な資金の面だと思う。そういう意味において、こういうものができたあとにおいて、農村に対する金融機関がかなり思い切ったてこ入れをやっていくだけの、法案の改正その他は別でありますが、心がまえがあるかどうか、その点を一つ経済局長にお伺いをいたします。
  26. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 農業法人が正式に法律によって認められることになりますれば、もちろん、これが今後の活動は、相当経済的なてこ入れをしなければならないような問題があろうと思うのであります。その通りでありますが、もちろん、農業法人につきましては農業協同組合の部面があるというようなことで考えておるのでございますので、いわゆる協同組合系統におきまするいろいろの金融問題とか、あるいは購買、販売というような問題も当然のことといたしまして利用できるようなことになるわけでございますけれども、あるいはまた、実際の実行面におきましては、今までの普通の個人の農業者と違いまして、いろいろ問題があろうと思います。系統の組合の金融、また、そういう企業の面におきまして長期低利資金を貸すところの農林漁業金融公庫の融資というような、そういう面につきましても、実情に合うように、一つこういう面においても指導その他を考えていきたいというふうに考えております。
  27. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保小委員 質問を終わりますが、蛇足でありますが、せっかく生まれるのですから、一つ愛情を持って育ててもらわなければならぬ。これは非常に高く評価しているのです。従いまして、具体的なことは法案が出ましてからいろいろお聞きいたしますが、いずれにしても、先ほど言ったように、自民党のここにおられる若手議員は強力な推進力ですから、これは一つ自民党の若手の諸君と手を握ってやっていきますから、どうかぜひこれを今国会に提出するように御努力要望して、質問を終わります。
  28. 永田亮一

  29. 高石幸三郎

    ○高石小委員 農業法人の処理につきまして、昨年来非常な要望でございましたが、ただいまの説明で大体一歩解決の運びになりそうでありますから、事務当局に対して深い敬意を表する者でございますが、ただ、この小委員会の運営の仕方がそうであろうと思いますが、事務的の段階だからという意味でしょうけれども、この前もそうでしたが、今回も事務次官が御出席になっていらっしゃる。すでに省議決定したのに対して、事務次官がこれを全部代表されるということについても若干こちらとしては考えさせられるのですが、石田委員のおっしゃった通り、まだ変わるかもしれないという伏線ではないかというふうに心配しているのですが、その点はいかがですか。
  30. 渡部伍良

    渡部説明員 先ほども説明申し上げましたように、大筋についてはいいわけであります。あと法文化の場合に、積極的にやるかということと多少慎重にやるかというような点で両方から攻めてきているわけですから、多少の問題が残るわけです。ですから、先ほど申し上げましたように、一週間か十日たって法文がきちっとできますれば、いろいろな経過はあったけれどもこうだ、こういうはっきりした御説明ができるわけでありますが、現在ではまだその法文ができておりません。実は、今回は私出るわけではなかったのですが、特に小委員長の方から出てこいというお話でございましたから出てきたような次第であります。
  31. 高石幸三郎

    ○高石小委員 そこで、これはなかなか文章もうまくできて、農業法人問題の処理ということで逃げているようですが、要するに、法制化の問題があと残りますが、そうしますと、それはそれとして、一体、この農業法人の問題は、今、農地局関係農地法の改正だ、それから経済局協同組合法の改正だ、こういうことなんですね。そうすると、今後農業法人問題は一体農林省では普通のいわゆる個人の農家と同じように取り扱うのですか。
  32. 渡部伍良

    渡部説明員 現在は、この法人組織農業を営むことについて、農地法なり協同組合法なり農業委員会法なりに関係がありますから、それぞれの局がそれぞれの担当部面を整理しておる、こういうわけであります。この法律が改正されましてでき上がった農業を営む法人というものは、個人の農家と全く同じでございまして、個人の農家が農地法で支配され、協同組合法で支配されるのと同じことであります。
  33. 高石幸三郎

    ○高石小委員 そうすると、農業法人の法制化というものは解決していないのですね。ですから、当委員会として昨年議決した農業法人法制化すべしというこの問題についてはまだ答えていないということになりますね。その点はどうなんですか。
  34. 渡部伍良

    渡部説明員 今の農業法人の法制化を私どもは非常に広く解釈しております。農業を営む法人に関する法制の整備、こういうふうに解釈するわけです。最初こちらの委員会で決議をいただいたのは、おそらく、特殊法人による農業を営む法人を作れ、こういう趣旨であるというふうに承ったのでありますが、その後いろいろ検討した結果、それはもう少し先の段階結論を出さざるを得ないのではないか、特殊法人を作って農業経営を営ますということになれば、いろいろむずかしい根本的な問題がございますから、現在各所で起こっているいわゆる法人形態として農業経営を営むという急速な要望にこたえることができない、現在はその急速な要望を不十分であるけれども一応踏み出せる程度でやむを得ないのではないかという考えで、率直に申し上げまして、決議の趣旨とは多少食い違うかもしれませんが、現在の段階ではこれ以上は手がつけられない、こういうことで御了承願いたいと思います。
  35. 高石幸三郎

    ○高石小委員 そうすると、先ほど来法文整理しているということは、いわゆる農地法の改正あるいは農組法の改正を整理しているのであって、今のお話とは別に農業法人等に関する特別法でも作る気はないのですか。
  36. 渡部伍良

    渡部説明員 現在は、お話のように、農地法をどういうふうに整備して法人農業経営を営むことができるか、協同組合法をどういうふうに整備していけるかということでございまして、特別法で法人経営ができるというような作業は現存まだ考えておりません。
  37. 高石幸三郎

    ○高石小委員 そうしますと、今後農業法人の法制化ができたときには、だれが事務的に——大臣、政務次官は別といたしまして、だれが担当することになるのですか。今のように、やはりこの問題に関する限り次官が来なければいかぬということになるのですか。
  38. 渡部伍良

    渡部説明員 これは省の便宜の問題で、各局に非常に関係が深ければ官房でお世話をするということになりますが、特殊法人ということになりますと、法人一般経済局の所管になりますから、特殊法人をやるとすれば経済局が主になって、これは当然いろいろな既存の法律関係がございますから、その関係局と相談をしていく、こういうことになるのではないかと思います。
  39. 高石幸三郎

    ○高石小委員 今までは農業法人の法制化ということについては農地局がもっぱら対象になっておりましたが、こういった前提的な処置がとれると、あとは経済局が担当する、こう了承してよろしゅうございますか。
  40. 渡部伍良

    渡部説明員 現在法人が問題になっておりましたのは、農地法上の権利法人取得することについての農地法上の許可の問題でございます。従って、その問題が前面に出ているわけですから、当然いやおうなしに農地局農地法上どう処理していくかということが出てくるわけでありまして、農地局は逃げられないわけであります。しかし、いろいろな問題が起こされまして、新しい法人を作るということになれば、また新しい角度から取り上げなければいけない、こういうことでございます。
  41. 高石幸三郎

    ○高石小委員 そこで、ちょっとお伺いしたいのですか、昨年いわゆる再議命令の取り扱いについて勝浦町の農業委員会と若干の行き違いがあったでしょう。その場合、農地局の庄野管理部長がお出になって、この次のときは——ここにある文句で言いますと、秋までには法制化するからということで了承した、こういうことを私は聞いておるのですが、その庄野部長が勝浦の農業委員会に出られ再議命令の問題を解決するときには、農林大臣は承知しておるのか、農林大臣の命令によって行ったのかどうか、その点のいきさつお話を願いたい。
  42. 渡部伍良

    渡部説明員 もちろんこれは農林大臣も承知で行っておるわけでございます。ただ、従来の私ども農地法の取り扱い方は、自作農主義を非常に強調しまして、やはり自然人土地を持って自然人が耕すのが一番いい、こういう観念で指導してきておったわけでございますから、それで対処しようとしておったのでありますが、経済の進歩、それから農家の知識の進歩で、それでは工合が悪くなってきたということで、どうしても新しい方向で解決しなければいかぬ、それまで役所を信頼して役所の出方を待つ、こういうことが庄野管理部長の現地での意思表示になっているわけでございます。
  43. 高石幸三郎

    ○高石小委員 農地局長にお伺いしますが、庄野部長が農林大臣の命を体して特に局長の代理として行って法制化を約束してきた。これに対して、おそらくこのはね返りが、不満足であるがこういう暫定処置になったと思うのですが、こういう法制化問題をさらに延ばすことを現地の農業委員会は了承し、当事者はこれについてやむを得ないと承服するかどうか、一つ責任ある御答弁を念のために伺っておきます。
  44. 伊東正義

    伊東政府委員 私の方で今いろいろ考えております要綱につきまして、現地の当事者あるいは現地の許可を与えようとした農業委員会に直接には実はまだ話し合いをいたしておりません。全国農業会議所等を通じましての話し合いでございます。先生の、見通しはどうだということでございますが、私どもとしましては、その後いろいろ検討したのでございますが、現段階におきましては暫定的にこういう案でいこうということに一応きめておりますので、もし何かありますれば、また人を派して、実はこういう事情であるということを説明しまして、納得をしてもらいたいというふうに考えております。
  45. 高石幸三郎

    ○高石小委員 それから、農業団体の方の調整はついたというお話ですね。再々申し合わせの説明は先ほどお伺いしたのですけれども、いつごろ文書で出ておりますか。
  46. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、先ほどの説明がちょっと不十分だったと思いますが、農業法人問題の処理についてという案を各方面に配りまして意見を聞いておったのでありますが、全国農業会議所役員会五人協議会よりの三十五年二月十九日、「農業法人問題処理に関しては、農林省より内示のあった案により今次国会に於いて法制化し、これが成立をはかることを了承する。」というその内容が先ほど申しあげました骨子でありまして、農林省の案に賛成して成立をはかる、こういうことであります。
  47. 高石幸三郎

    ○高石小委員 各方面意見を徴したというその各方面農業団体はよくわかりましたが、ほかの各方面とはどこをさしておりますか。
  48. 渡部伍良

    渡部説明員 これは、農林省の中では、基本問題の将来の方向をじゃまするようなところがあるかどうか、あってはならないのですから、基本問題調査会の中の連絡小委員会。これは、率直に言いますと、だいぶなまぬるいという意見が大多数でありまして、消極的な意見は一、二あったと思いますが、まあまあ現段階においてはこういうことでやむを得ないということであります。それから、あとは、国会の各先生方——小委員会の先生方はここで説明を聞いていただいておりますが、農林部会とか、そのほかの方面に出しております。
  49. 高石幸三郎

    ○高石小委員 実は、こういうことをくどくお聞きするのはどうかと思っておりますが、与党の一人として特に申しにいくのですが、先ほど来、庄野部長の約束は農林大臣の命によってやったということですが、ところが、そのときの農林大臣は今の大臣でなくて三浦大臣であって、すこぶる法制化に対して異見があるように聞いております。そうすると、大臣たる三浦さんと議員たる三浦さんではなはだ困るから、あとであなた方困らないようにもう一ぺん発言しておるんですが、確かに農林大臣として承知しておるんですか。
  50. 渡部伍良

    渡部説明員 農業法人の法制化について検討するということは、確かに大臣の御了承を得ております。
  51. 高石幸三郎

    ○高石小委員 大体わかりましたが、せんだっての小委員会でもちょっとお聞きしましたが、かりに農地法の改正あるいは農協法の改正によって一応農業法人の問題が処理されたとすれば、現に係争中のものはどんなふうな解決をするものであるか、お聞きしたいのです。
  52. 渡部伍良

    渡部説明員 具体的な問題は現に高松裁判所係争になっておるかと思いますが、この法律ができれば、この法律によって法人経営をやっていただけばいいのではないかと思います。あと税金の問題はやはり裁判として残ってくるのではないかと思います。
  53. 高石幸三郎

    ○高石小委員 そうすると、これはこの前もぜひその点を御考慮願いたいと言っておいたのですが、要するに、税金の問題から発足したことは間違いない。そうすると、大蔵省なり国税庁との調整は、先ほどのお話の各方面には入っておらぬのですか。
  54. 渡部伍良

    渡部説明員 今の税金の問題は、この前もお答えいたしたと思いますが、法人問題がはっきり法制的にきまれば、これは別途国税庁の方にかけ合いたいと思っております。
  55. 高石幸三郎

    ○高石小委員 それから、いま一つ。大体農業法人が今まで問題になったところは果樹関係が多いということを聞いておるのですが、問題のおもなるものは、米とか麦とかいうものはいわゆる自作農主義を廃止しはしないかということを心配しておられる。実際問題として、現在の農業法人を待望する方は、そういった米とか麦とかいった方面関係はどんなふうになっておりますか、わかりませんか。
  56. 伊東正義

    伊東政府委員 私の方で過去に出ております農業法人を調べましたときに三百五くらいの数が出たのでございますが、その場合に、たとえば果樹が二百、その次に多いのが酪農で二十九というようなことで、果樹、酪農が大部分であります。普通作物はわずかに二十四というのが出ております。これは、機械の配備工合の関係とか、あるいは食管制度関係、いろいろあると思いますが、大部分は果樹、酪農というようなことでありますので、われわれの考えとして、将来伸びていくところはそういう商品生産性の強いところからではなかろうかというような判断をいたしております。
  57. 永田亮一

    永田委員長 この際お諮りいたします。農業法人問題調査の参考に資するため、当小委員会といたしまして新利根地域の視察を行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  なお視察の日時等につきましては小委員長に御一任願いたいと存じます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十二分散会