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1960-05-12 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十二日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 永田 亮一君    理事 丹羽 兵助君 理事 本名  武君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君    理事 小平  忠君       今井  耕君    金丸  信君       倉成  正君    笹山茂太郎君       田邉 國男君    高石幸三郎君       綱島 正興君    野原 正勝君       松岡嘉兵衛君    松田 鐵藏君       三和 精一君    保岡 武久君       赤路 友藏君   茜ケ久保重光君       足鹿  覺君    石田 宥全君       中澤 茂一君    西村 関一君       日野 吉夫君    松浦 定義君       中村 時雄君  出席政府委員         農林政務次官  小枝 一雄君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         農林事務官         (畜産局長)  安田善一郎君         食糧庁長官   須賀 賢二君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  立川 宗保君         農林事務官         (畜産局流通飼         料課長)    安井 三郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   亀長 友義君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  果樹農業振興特別措置法案内閣提出第四五  号)  農林水産物に関する件(米価問題)  農林水産業振興に関する件(乳価問題)  臨時生鮮食料品市場対策調査会答申報告聴取      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会答申についての報告を聴取することといたします。坂村経済局長
  3. 坂村吉正

    坂村政府委員 それでは、この前の三十一国会において成立いたしました臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法に基づいて調査会を設けまして、生鮮食料品市場対策についていろいろ調査して参りましたのですが、その答申を得ておりますので、その点を御報告申し上げたいと思います。  この法律は昨年の三月六日に公布になりまして即日施行になったのでございますが、その後引き続いて農林省においては委員の選考を行ないまして、お配りしてあります資料にございますように、委員専門委員の任命をいたしたのでございます。委員総計三十名、専門委員総計二十五名でございまして、お手元資料のような人たちをお願い申し上げたわけでございます。  その委員による市場対策調査会に対しましては、生鮮食料品卸売市場対策について今後どういう対策をとったらいいかというふうな問題を諮問をいたしたのでございまして、これは三十五年の三月五日までに答申をしなければならないというふうな法律でございますので、本年の三月五日に法律通り答申を得たわけでございます。  その間、総会合計三回開会をいたしまして、その総会の三回の開会の過程におきまして、生鮮食料品卸売市場の問題は青果物水産物畜産物とおのおのいろいろ特性がございますので、この三つの部門を、別に検討する必要があるのじゃないかということで、青果部会水産部会畜産部会三つ部会を作りました。青果部会水産部会においては、それぞれ三回の部会を開きまして、その後、青果水産につきましては、市場発展段階あるいは実際の取り扱い等において非常に共通の問題が多うございますので、青果水産合同部会合計三回開催いたしまして、そうして最終的な結論を得た、こういう結果になっております。それから、畜産部会は四回開催いたしておりまして、その中で食肉小委員会食鳥、鶏卵の小委員会の二つの小委員会を作りまして、それぞれ一回ずつ小委員会を開催し、これも最終的に取りまとめまして、あわせて三月五日の総会において答申を得たこういうようなことに相なっておるのでございます。  まず、この答申はお配りしてあります資料にございますように、「生鮮食料品卸売市場についての対策に関する諮問に対する答申」、こういうことでいただいておるのでございますがこの要点について簡単に御説明を申し上げたいと思います。  生鮮食料は御承知のように非常に大量集中取引を必要にする性格のものでございまして、こういうようなものが定のところに集まりまして、生産者消費者と両方の利益の調整をここではかるということが主体でございます。その生鮮食料品性格に合いますようなそういう基本観念でこの市場というものは考えていかなければならぬ、こういうことで、第一ページに書いてありますように、市場対策基本方針といたしましては、大量集中取引の推進と、取引適正化と安全の確保という問題、これに伴いまして、価格の公正なる形成、こういうような問題が当然一緒に考えられるわけでございますが、そういう基本的な問題を基礎にいたしまして検討いたしたわけでございます。それから、それと同時に、卸売市場が、今までは、下からと申しますか、自然発生的と言いますか、そういうような形で起こって参りまして、それを中央で取り上げてこれに対する指導監督をして参っておるのでございますが、生鮮食料品流通の安定というような面から考えてみますると、この卸売市場というものをむしろ計画的に整備をする必要がある、こういう考え方に立ちまして、卸売市場を、中央的なものにつきましては中央で、それから地方的なものにつきましては地方で、計画的に整備をいたしまして、市場施設その他についても計画的な整備をはかっていこう、こういう考え方基礎にいたしておるわけでございます。  そういう基本的な考え方のもとに、対策といたしましては、第一に中央卸売市場についての問題と、第二番目に水産物産地市場の問題と、それから第三番目にその他の地方的な卸売市場の問題、こういう三つの部分に分かれておるのでございます。  それから、畜産物につきましては、これは市場といたしましての発展段階青果水産物と比べまして非常におくれておりまするので、これについての特殊性を十分考えませんと現実に合わない、こういうふうな問題もございますので、畜産物につきましては八ページから以下に書いてございまするが、青果水産物中央卸売市場についての考え方に比べまして畜産物としてはこういう特殊性があるからこういう特別な扱いをしなければならない、こういう点を一応取り出しまして、その点についても一つ答申が出ておる、こういう内容になっておるのでございます。  そこで、対策のおもなる問題点について簡単に御報告を申し上げたいと思います。  その一番最初は中央卸売市場でございまするが、「中央卸売市場について  は、全国流通上重要な消費地集散地において青果物および水産物流通を集中せしめ、公正な価格形成を確保し、流通を円滑ならしめるに足る規模および内容を備えるように、市場施設整備ならびに取引機構および取引方法改善に重点を置いて充実整備すべきである。」、こういう答申を得ておるのであります。  その内容といたしましては、中央的なものにつきましては農林大臣が積極的に中央卸売市場整備計画を立てまして、これに基づいて市場及び施設整備をはかっていく、これに対しましては補助金の交付あるいは長期低利資金の融通というような問題を考えるべきであるということでございます。  それから、開設者につきましてはいろいろ議論がありましたが、こういう公的な性格のものでございますから、開設者地方公共団体に限定すべきであるという考え方答申をいただいておるのでございます。  それから、取引機構の問題につきまして、ここにおきましては卸売人仲買人の問題が大体中心でございますが、一つの問題は卸売人仲買人名称の問題でございまして、機能実態からいたしまして、名称を具体的にどうするかという問題は結論を得ておりませんけれども、名称については農林省検討すべきであるというまかされ方をいたしておるわけであります。  それから、卸売人単数であるか複数であるかという問題が、これは市場の問題の非常に大きな問題でございまするけれども、これも、この点につきましては、市場のあり方、それから、実際生産者消費者に対しまして安全な取引が行われる、あるいは監督の便宜から言いましても、卸売人単数であるということが、今後の方向としてはそういう考え方が適当であるということで、指導方針として、公共的な性格主体あるいは厳格な公共的監督のもとに置かれた単一主体とすることか望ましい、原則的な方向としてはこういう思想の統一をいたされまして、そして答申をいただいておるのでございます。ただ、実際問題といたしまして、現在あります市場あるいは既存の市場等におきまして複数のところもございまするし、こういうようなところは、現実指道守の場合にそういう単一方向でできるだけそういう線に沿うようにいろいろの指導監督を加えていくようにして、現状に非常に急激な変更を与えるとか、そのために取引の状態を混乱に陥れるというようなことが起こらぬように十分その点は慎重に考えなければいかぬ、方向としては単一という方向で考えていくべきであるという答申でございます。  それから、大体おもなる問題点だけを申し上げたいと思いまするが、四ページの終わりの方に取引方法の問題がございます。これは、あくまで卸売人委託販売原則をとりまして、そして出荷者との関係が公正に行なわれるようにというような趣旨で、ここには、競売原則であるとか、——競売につきましても、技術的に公正な価格形成ができまするように、いろいろのこまかい技術的の問題等につきましても新しく検討すべき問題が提起されておるのでございます。  それから、指導監督の問題では、今まで開設者でありまするところの公共団体農林大臣との間の指導監督権限等についていろいろ疑問の点もございまするので、そういう点につきまして権限明確化をはかって監督を強化する、こういうことでございます。  先ほど落としましたが、取引機構のところにおきまして卸売人の一番の問題は、やはり資格要件とか、その卸売人資産状況、そういうようなものについて十分厳重な監督をいたし、あるいは基準等も十分厳格にいたしまして、これか生産者あるいは消費者に対しまして迷惑をかけないようにという、そういう線を強調されておるのでございます。  それから、もう一つ、これらの市場の問題を今後運用していきまする場合に、農材省におきましては中央卸売市場審議会を設けまして、これはきわめて小人数で常時の顧問的な形で一つ審議会を設けて、そうして常時問題を相談していく、こういうような組織を持ったらどうか、こういうことか答申されておるのでございます。  以上が大体中央卸売市場の問題でございますが、次に、水産物産地市場の問題。これは消費地市場とは取引の状況等いろいろの問題も異なる点もございます。これにつきましては特に次の点に留意をいたしまして、大体、おおむね中央卸売市場と同じような考え方整備をすべきであるが、水産物産地市場については次の点を特に留意しなければならない、こういう点が答申をされておるのでございます。その一つは、「施設整備は、漁港整備の一環としてかつ、市場の周辺の加工、保蔵、輸送施設との関連の下に総合的に行なうことが適当であること。」、それから、二番目には、「市場機構における漁業協同組合系統組織の地位については、その機能が十分に発揮されるよう、各市場実態に応じ市場の既設、運営等に関し特別に配慮を与えること。」、それから、三番目といたしまして、「産地仲買人の業態の特殊性に即応し、適正かつ健全に業務か行なわれるよう指導監督を行なうごと。」  その他の一般の卸売市場につきましては、これはいわゆる各都道府県の区域内で非常に重要なものについては、都道府県知事中央卸売市場に準じまして整備改善及び指導監督措置ができまするように法的な整備をする、こういう問題でございます。  その他、流通改善事項について、一つ附帯事項といたしまして五項目の問題が要望いたされておるのでございます。  畜産物につきましては八ページ以下に書いてございまするか、これは、先ほど申し上げましたように、家畜取引というものと非常に密接な関係もございまするので、青果水産物とともに特殊な扱いをしなければならない、それから、実際問題といたしまして畜産物についての現在の市場としての発展段階が非常におくれておる、こういう点でございまするので、特にそれらの点を中心にいたしまして、ここにありますような問題点答申をされておるのでございます。  一つは、市場開設につきましては、「畜産物の商品としての性格、特に食肉卸売市場立地条件等による特殊性を考慮し、市場の適切な管理及び取引の円滑な運営を図るため、他の生鮮食料品と区分して中央卸売市場開設することについても実情に応じ考慮すべきである。」  それから、「卸売人組織については、各地域ごと取引実情および将来の発展方向等を充分考慮して定めるべきであるが、その際特に市場取引の公正と安全を確保するために、卸売人の数が単数であると複数であるとを問わず、独占または過当競争による弊害を生じないよう指事監督を行なうとともに、あわせて卸売人企業活動健全化を期するため事業資金のあっせん等必要な措置を講ずべきである。」  それから、取引方法といたしまして、「(イ)畜産物のうち市場における取引実情等から卸売人買取販売を行なう場合には、市場取引公共的機能をそこなわない範囲内においてその具体的方法を明確に定めて実施すべきである。」、それから、「(ロ)市場取引においてせりまたは入札以外の売買方法をとる場合にあっても、(イ)の場合と同様、取引の公正を確保するため必要な方法を講じて行なうこととすべきである。」、三番目に、「(ハ)市場における売買は、現物取引原則であるが、鶏卵等特殊の品目については、一定条件の下に例外的措置を講ずることができるよう検討するものとする。」  それから、中央卸売市場に対する上場の問題でございまするが、「中央卸売市場に併設されている屠畜施設においては、そこで処理された枝肉市場への円滑な上場が確保されるよう、適当な措置を講ずることを検討すべきである。」  競合市場についての調整措置でありまするが、「中央卸売市場指定地域内における枝肉取引施設及び家畜市場機能中央卸売市場機能と競合する場合には、適切な調整措置を講ずべきである。」  といいますることで、畜産物はまだまだ今後検討しなければならない問題があるのでございます。  以上が大体答申内容でございますが、この答申でおわかりでもございまするように、今後なお行政庁といたしまして検討しなければならない問題が相当残されておるのでございまして、こういう点につきましては、現在私どもいろいろ検討いたしておりまして、法律改正をしなければならない問題、あるいは行政指導としてすぐにでも実施ができる問題、こういうようなものを検討いたしておるのでございまして、法律改正をしなければならない問題につきましては、今後検討の上適当な機会に法律改正をお願いをいたしたいというふうに考えておるのでありまするが、すぐにでもいわゆる行政指導をやって生鮮食料品の円滑なる流通消費者及び生産者に対する安定した取引ができるというようなことのためにいろいろやっていきまする問題につきましては、現在できるだけすみやかにそういう指導を加えていくというふうに考えているわけであります。ただ、畜産物につきましては、いろいろ現在の市場法の特例的な事項につきまして、この国会法律案として提案をいたしまして御審議をお願いするように、政府の部内で今準備を進めておる次第でございます。  以上、きわめて簡単でございまするが、中央卸売市場法市場業調査会審議の経過と今後の取り扱い方針等について御報告申し上げました。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 ただいまの坂村経済局長報告に対して質疑はございませんか。ないようでございますから、次に移ります。      ————◇—————
  5. 吉川久衛

    吉川委員長 果樹農業振興特別措置法案を議題とし、政府に詳細なる説明を求めます。増田振興局長
  6. 増田盛

    増田(盛)政府委員 果樹農業振興特別措置法案に関する補足説明を申し上げます。  まず、経緯でありますが、果樹農業振興対策実施につきまして、農林省は、三十二年度におきまして振興局特産課園芸特産課に改めまして定員を一名増加するとともに、園芸振興調査会に対して果樹中心とする園芸振興基本的方向について諮問を行なったのであります。次に三十三年度におきましては、園芸振興調査会専門委員会におきまして果樹長期生産計画について調査審議を行なうとともに果樹農業現状問題点について分析検討が行なわれたのであります。さらに、三十四年度には、右の成果をも基礎といたしまして、果樹農業振興対策樹立のための作業を開始し、省内において慎重審議の結果、三十四年十一月十日果樹農業振興総合対策要綱を決定いたしました。右の要綱に基づき、果樹農業振興のための三十五年度予算要求融資要求等が行なわれ、また、果樹行政の一元化を中心とする果樹行政機構整備がはかられたのであります。これと並行いたしまして、かねて懸案の果樹農業振興特別措置法案作成か進められ、今国会会提出の運びとなったのであります。なお、現在審議が行なわれております農林漁業基本問題調査会の動向に関連してでございますが、本調査会審議方向に即しまして諸種の観点から本法案の構想が練られ、さらに果樹農業振興総合対策要綱考え方が練られましたことをつけ加えておきます。  次に法案の概要について御説明いたします。果樹農業振興特別措置法案の主要な内容につきましてはすでに提案理由説明の際に述べたところでございますが、若干補足的な説明をつけ加えさせていただきます。  本法案内容は、大きく分けまして、一は果樹農業振興資金貸付ということであり、二に国及び都道府県による果樹農業振興のための援助措置ということであり、三に果樹農業振興審議会設置、この三つから成り立っておると言えるわけであります。一に、果樹農業振興資金貸付に関して申し上げます。本法案におきましては、二以上の果樹農業者集団あるいはその組織する法人等果樹園経営計画作成し、これについて都道府県知事認定を受けた場合に、農林漁業金融公庫果樹植栽その他に要する資金——これらを総称して果樹農業振興資金というふうに呼んでおるわけでありますが、この資金長期かつ低利条件で貸し付けることとしているのであります。まず、いわゆる農業法人取り扱いでございますが、最近の農業法人法制化の動きに対応しまして、本法案対象として農業法人を追加する必要がありますので、別途上程中の農地法の一部改正法案の附則で所要の改正を施すことにしているわけであります。すなわち、農地法第三条第二項第二号の三に規定する適格法人たる果樹農業者というものを本資金貸付対象にすることにしているわけであります。  次に、果樹植栽資金貸付条件でありますが、果樹植栽資金金利は、本法案においては年七分以内となっているのでありますが、実行上におきまして、据置期間中は六分、償還期間中は七分とすることにしております。従って、果樹植栽資金貸付条件は、据置期間十年以内、償還期同十五年以内、金利据置期間中六分、償還期間中七分ということになるわけであります。さらに敷衍いたしますと、据置期間十年以内という点は法律に定められてある通りでございますけれども、果樹種類によりまして、さらにこの据置期間の十年以内の範囲内におきまして二ないしは三グループ程度に分けまして若干据置期間を異にする必要かあるのではないかと考えておるわけであります。  次に、本法案対象とする果樹種類政令にゆだねられているのでありますが、次の九種類を予定しております。柑橘、リンゴ、ブドウ、ナシ、桃、桜桃、ビワ、カキ、クリであります。お手元に配付してありますプリントに「改正事項」とありますが、これは「政令事項」でございまして、ミスプリントでございます。  次に、省令事項でありますが、果樹農業振興資金貸付を受けようとする者は、農林省令で定める手続により、果樹園経営計画作成し、これを都道府県知事提出して認定を受けなければならないのでありますが、右の農林省令で定める手続とあるのは、市町村長経由を考えているわけであります。次に、果樹園経営計画記載事項といたしましては、法第五条第二項各号に列記しておるのでありますが、第七号の「その他農林省令で定める事項」とありますのは、「果樹農業振興資金以外の貸付金償還計画」とする予定であります。次に、果樹園経営計画認定要件一つとして、樹園地面積等農林省令で定める基準に適合することとしておるのでありますが、これについては樹園地十町歩以上集団して所在し、立地条件か別に定める年平均気温、日最底気温降水量に適合するものとしているのであります。ただ、右の十町歩という面積は、必ずしも計画作成のときにすでに樹園地化されていることを必要とするものではなく、将来植栽されるものを含め、計画目標達成のときまで、おおむね十年以内の範囲内におきまして、十町歩以上集団化した果樹園形成されればよいものであります。また、この集団化、いわゆる法律に規定されております集団の度合いという言葉で表現しておるわけでありますが、集団化とは、必ずしも十町歩樹園地同一の場所に密着し連続した一かたまりの団地となって所在することを要件とするものではないのでありまして、樹園地数カ所にある程度分散して配置されておりましても、これら数カ所樹園地のすべてにまたかって同一果樹園経営計画作成され、また、これらの果樹園の分散の程度が、なおこれらについての共同防除その他の共同管理作業効率が十分発揮できる程度のものであればよいという趣旨でありまして、作業効率という面に着眼しまして相当弾力的に運用する余地があるものであります。なお、十町歩以上の集団は、果樹種類に限定するものではなく、病害虫防除等作業共通実施され、総合目的生産性の向上がはかられるものであれば、二種類以上を合算してもよいものであります。  二に、国及び都道府県による果樹農業振興のための援助措置についてでございます。国及び都道府県は、果樹園経営計画作成またはその達成のために必要な助言及び指導果実長期見通し及びこれによる果樹新改植適正化情報提供等のほか、広く生産から流通加工消費にわたって果樹農業振興のために必要な援助を行なうように努めることとしております。  三に、果樹農業振興審議会設置に関してであります。農林省附属機関として、果樹農業振興に関する重要事項について調査審議し、また関係行政庁に建議することができることとしておるのであります。周知の通り果樹農業につきましては、生産から流通加工消費にわたりまして困難な問題が山積しておりますので、審議会調査審議事項もこれら全般にわたる広いものとなろうと思うのでありますが、とりわけ果実長期的需給見通しはその重要なものと考えられるのであります。なお、審議会には、専門事項調査審議させるため専門委員を設けることができることとしております。なお、法律におきまして委員の数は十二人になっておるわけでありますが、大体、格関係方面からの委員の選定にあたりましては、一つ生産一つ流通加工等、もう一つはそれ以外の学識経験者、こういうふうに三つのグループに分かれまして、それぞれから適任者を選任いたしたいと考えておるわけであります。  最後に、果樹行政機構の強化についてでございますが今国会会におきまして農林省設置法の一部が改正され、果樹その他青果物に関する行政を一元的に振興局の所掌に属せしめられることとなりまして、いわゆる果樹行政の一元化が実現されたのであります。これと同時に、農林省組織令が改正され、昭和三十五年四月十六日から振興局に新たに園芸課が設置され、右の一元化された果樹その他青果物行政をつかさどることになったのであります。  以上概略を申し上げまして、補足説明にかえさせていただきます。
  7. 吉川久衛

    吉川委員長 これにて補足説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  8. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  乳価問題について経緯の説明を求めます。安田畜産局長
  9. 安田善一郎

    ○安田政府委員 最近の乳価及びこれに関連しました経過及びとりました措置につきまして簡単に刈り説明を申し上げます。  簡単に申し上げまするために、便宜印刷をいたしております。この印刷物は御配付申し上げてお手元にあると思いますが、結論は七枚目の別紙(二)というところにありまして、別紙(二)に続きまして別紙とは書いてありませんが八ページにございます、これが結論でございます。牛乳の問題に関しまする需給あるいは価格、さらには酪農、乳業、販売、消費というようなことに関しましては、御専門の皆さん方がお詳しいと思いますから、省略するかあとに御説明することにいたしまして、乳価関係でとりました措置についてこの七枚目以下をまず先に申し上げます。  別紙(二)は、そこに書いてもありますように、乳業大メーカーに中小メーカーの代表も入っており、かつ、乳業者の全体の広域連絡団体の社団法人日本乳製品協会を含めまして、まず農林省との間で申し合わせをいたしたものでございます。いわば紳士協定というようなものでありまして、業界は励行をすると言っておりますし、私どもも信頼をいたしております。と申しますのは、このものの性質でありますが、乳価に関しましては、農家の生産する生乳については酪農振興法にある程度の規定がございまして、行政官庁に権限的に付与されておるおもなるものは、売買当事者が取引に紛争がありました場合に、紛争のあっせん調停を行なう権限があることがおもでありまして、あとは一般に酪農、乳業等に関します行政措置その他の政策上から来る見解と要請というものが目下の法的な立場におきます農林省の立場だと思っておりますので、農林省と業界との申し合わせは以上のような性質と考えてみたいと思ったのでございます。本来乳価は売買当事者が交渉してきめる建前でございますので、紛争があれば調停をしますが、その前でもあっせん等をしてくれとか調停をしてくれということが具体的に出て参りますれば、第三者の立場で政策に基づいて行動するのが本来だと思いますが、目下酪農、乳業等の、特に消費等の関係につきましてはしかるべき体制が必ずしもありませんので、政策上からいたしました農林省措置ということでございます。  第一の点は、「当面における飲用牛乳価格の値上げは、少くとも五月分までは値上げを行なわないようにすること。」ということでございますが、これは、その申し合わせをする前に沿革がございまして、いろいろきまって参りましたことについて、この別紙(二)を申し合わせました段階ではしいて文章に書く要がないと認められましたことを除いてありますことを御了承願いたいのであります。従いまして、補足して、この文字にないことは、農林省なり、窓口としましては農林省畜産局長がその談話を出したり公表をしたりすることにおいてやってもけっこうだという申し合わせをしておるのであります。これは裏から読むのと表から読むのと多少意味が違うのでありますが、本体を直接に申し上げますと、再版品の飲用牛乳のうちで、今回の値上げが一部あります前におきまして一合一本十二円以下のものは、据え置きということであります。ただし、それは念のため三に書いてあります。十三円ものについては二に書きまして、一はそれ以外のものを含んでの措置という解釈でございますが、十四円ものにつきましては、六月から以降通年、年を通ずるという考えで一合一本一円の値上げをするのもまあ望ましくないがやむを得ない、妥当性もあるということであります。もう一つ、十五円もの以上のものは、業界も値上げを競争しない気持もあり、理由もあって値上げをしないので、これを了承いたしまして値上げをしないということであります。また、表から言いますと、農家の生産者価格は四月一日を中心にいたしましてかなりの価格改定、値上げを実施いたしまして、即刻支払いを四月以降続けておりますが、メーカーの売り値と小売価格は六月以降しか行なわないので、四月、五月は従前通り全部据え置きであるいう意味でございます。  第二の点は、六月以降もなるべく値上げをしないことに努力をしてもらいたいが、やむを得ず値上げをする場合も、一合当たりという意味ですが、一本当たり一円以内として、最高を一円として、十三円ものは通年変更しないという精神を失わないように、通年値上げをしないことを建前とするが、本年七、八月を中心として前後の六—十月の、夏季と言うと言葉の適切さをやや欠いておりますが、消費地等において需要が非常に多く、生産は減少が季節的に性質的に本来的にあるという時期におきまして、夏季事別価格として扱いまして従って、十一月以降は旧価格に復するという前提を置きまして、そのもとに、酪農、乳業その他の経済事情を勘案して、また天界と農林省と紳士的に打ち合わせをすることにしたいということであります。もちろん、牛乳の価格は、この場合、メーカーが売り、小売りが売り、消費者が買うというのが本来の姿で、自由経済が行なわれておるということもその前提でございます。  第三点は、右期間においても、というのは、要するに、本年の四月から来年の三月において一応終わります一年じゅうという意味でございますが、その意味において、いわゆる十円牛乳、主婦牛乳、職場の集団飲用牛乳、あるいは労農牛乳と言っておるところもごいざますが、こういうような廉価販売、その中にはもちろん学校給食用のものや駅立ち売りものも入ります。そういうものや、地方の都市の市乳で十二円以下に今まで売って参りましたもの、売れておるもの、そういうものは十二円もあり十一円もある場合は、そのままそれぞれの価格から値上げをしない建前であるということであります。  第四点は、前のページを御説明しないといささかよくありませんが、生産者の乳価の値上げと、それが増産、特に夏の間においてもむずかしいことであるが、極力増産をはかるということと、今回のメーカー価格消費者価格を極力最大限度に据え置きたい、維持したい、そういうために立てました対策で、現在とりつつあるものであります。いろいろこのほかにもありますが、特にこの三点、すなわち、夏季牛乳増産用の飼料の供給をする、国内産業の乳製品を出荷せしめまして、主要消費地の中小飲用牛乳メーカー、これは農協連や中小企業の行なっておる分であります飲用市乳業者、そういうものに政府が出荷促進をし、入手をあっせんする。これは飲用牛乳川の原料にも充てられるものであります。もう一つは、夏季日本の需給が供給不足である分について、計画的に乳製品を輸入して、これを大消費地の中小メーカーに与えることでございますが、その三つ対策を講じつつありますが、この一、二、三の点について業界と農林省が意見が一致した場合は——一致しない場合は、協力者、非協力者としまして、非協力者の関係においてはこの対策を講じないということにしてありましたのを、意見が一致すれば当然全部協力者になりますので、その分の趣旨を書いたのであります。  備考は、本文そのものを御提出いたしましたので、蛇足のようなことが書いてありますが、いろいろな経過をもって最終的な話し合いをして、五月七日に実質上の内容を終わり、九日に正式回答をと思っておりましたが、その前に、五月十一日に値上げをしてしまうという一部の有力業者及び関係小売商等もあって消費者の方に通知を出しておったものもありますので、それらを取り消しせしめるというような措置もありますし、各方面に周知徹底したり、大メーカー以外のものと同様に申し合わせるのが妥当であるという意味において、二日の余裕をもちまして所要の手続をとって、すでに内容を役所の方から公表をするということの要望がございましたので、公表をするのであります。これに直接折衝に当たりました者は、農林省畜産局長と参事官と一人の技官であります。  右のほか、この別紙の(二)をきめます前にすでに話し合いをつけたことがございまして、それがその次にありますように、「右の他農林省畜産局長と大乳業会社との間における申合」でありまして、乳製品につきましては、本年上半期の乳価あるいは関連事項について農林省の方針を三月一日次官依命通達をもちまして県庁に知らせ業界に要望を発しましたが、本年三月の価格より引き上げないで通年据え置きをする。それは有力乳業者の販売建値である。右力乳業者というのは、御承知のように雪印乳業会社その他であります。  また、中小メーカーがありまして、全国的統一団体等がございませんが、部分々々でございますが、大勢を支配し得てこれと話がつけば他もこれに同調するし、同調しない場合は競争上不利になって、結局実際は行なわれるであろうと思われる中小メーカーとか、全酪連、関西酪農、県酪連、その他の組織によりますメーカーがございますが、これも、東京、京阪神あるいは個々に農業団体等を含めまして右の申し合わせば同様に扱う、そういうことをいたしました。一番最後の中小メーカーとの申し合わせば昨日午後いたした状況でございます。  ここに至ります経過と生産者価格内容とをごく簡単に申し上げます。第一枚目でございますが、本年二月ごろから、農家の面におきましては農家の乳価をもっと引き上げたり地域・用途別の価格調整すべしという意見がありまして、乳業者との間に地域的に取引に応じましてそれぞれぼつぼつと交渉があるようでございます。紛争調停は、念のため申し上げますが、その当時から現在まで法律に従って出て参りましたものが一つもございません。また、農業団体方面からは、全国的なメーカーがおって商取引になっておるけれども、大メーカーの本社側に向かいまして農林省において適当な御指導を願いたいという要望がたくさんありました。そこで、いろいろ考えまして、三月一日に農林事務次官依命通達をもちまして各都道府県あてに指導通達を発しますと同時に、関係の団体、会社に対して、その趣旨に協力してもらいたいということを要望いたしました。県庁に出しましたものは、紛争調停が乳価取引等に出て参りましたときの酪振法のあっせん調停上の指導と考えております。その他、行政措置上は、地域的な業界に対する啓蒙指導、そういうことと考えておるのであります。農林省が民間に出しましたものは協力要請でございます。内容は二点ございまして、生産者価格は、三月までの様子を見ますと、米麦、青果物、園芸果樹等につきましても、また、畜産物の肉、卵等々につきましても、農業労賃につきましても、乳価がどうも割安であるように思われるという地方からの声もある、かたがた、牛乳の生産について、総体的に酪農は振興して生産物は増産されておりますが、増産の程度が少し停滞的であるかに見える消費は旺盛である、そういう見地に立ちまして、生産者価格は各地域において異なっておる現状であるけれども、適切に改定調整を行なわるべきものと考えられるとしたことであります。この意味は、従って、改定調整とは価格の引き上げ改定ということでございます。第二点は、生産者価格が上がった場合には、消費者価格あるいはこれに関連する価格はどういうことになるかということが当然出て参りますので、牛乳・乳製品のメーカー販売価格及び小売価格については、やはり酪農というものは長期的観点をもって考えるべきであり、現在世論的に批判もある中間マージンなどを、生産者価格が上がり下がりする場合に、今回は値上げでありますが、それに伴わずして、また今後の酪農乳業の方向に合わずして中間マージンが動くということがないようにせられたいということでありまして、やはり、ここに書いてあります通り、将来にわたる需要増進、将来の消費増進、学校給食等相当予算をもってやっておりますから、また、貿易自由化は酪農についてはいたさないということになっておりますが、やはり、農業の基本問題としては、酪農でも生産性の向上をはかり、農民所得の確保をはかり、外国との関係を考えるというような要もありますので、酪農経営の改善をはかるのも重要だが、生乳・乳製品の販売価格における合理化か必要と考えられるので、この値上がりを避けるよう最大限度の努力を払っていただきたい、そういうことか第二点であります。  そうして、四月一日を中心といたしまして生産者価格の値上げがございました。実質上価格協定を契約を改正しましてかえたところが大部分でありますが、四月一日以前に担当の高乳価にあり、すでにまた値しげ措置がとられたところは四月一日現在は値段の改定がございませんでしたけれども、それを含めまして、一部未定と称せられる四月一日にまだきめられなかったというものでも、農林省の見るところでは、実質上従来の価格を四月一日に改定をいたしましたものと同一水準で妥結しっつある情勢と考えられたのでございます。そうしまして、そういう意味の四月一日中心生産者乳価改定は、その別紙(一)のようでございます。  別紙(一)は県別に書いてありますが、内容を簡単に申し上げますと、北海道におきまして従前より一升二円の値上がりがありました。その内容を概略申し上げますと、従来の奨励金二円を基本乳価に繰り入れて、さらに奨励金として二円を追加するという内容を持っておるわけであります。東北は一升当たり二円八十七銭くらい。——これは県別でありませんで地域で達観してみたのでありますが、その内容を見ますと、従来の奨励金二円のほか一円を加えまして三円を従来の基本乳価に繰り入れて、さらに奨励金として、一円八十七銭何厘になりますか、一円八十七銭余を追加したものであります。関東は、一升当たり従来の奨励金二円を基本乳価に繰り入れて、さらに奨励金を三円追加してあります。静岡以東にわたりますが、東海とか関西、九州、——九州の一部には高乳価であまり上がってないところがありますが、西日本は達観してみまして一体に四円、従来の奨励金二円を基本乳価に繰り入れまして、奨励金として新たに四円を追加するというようなことが改正でございまして、県別は別紙の表でありますが、各地について見ますと、四月一日中心の値上がりは一升当たり二円のところから十二円のところがございます。十二円は昨年の夏のところのようであります。九州であります。これを、本年はなま牛乳として生産が約一千万石を突破するであろうという見通しを持っておりますが、各県別の生産量推定を出しまして、ウエートをかけまして、加重平均をいたしますと、この乳価は全国加重平均で平均三円十六銭値上げになるということになっております。  別紙(一)の表をごらん願いまして、要点をごく簡単に説明いたしますと、左の都道府県の欄は言うまでもなく都道府県でありますが、この中に売手と買手とがいろいろ分かれております。統一があるところも、やや違う取引があるところもあります。次の、右の方へいきまして、区分の欄は、昭和三十四年三月二十一日当時の乳価で、これが本年の四月一日以前まで続いておるのが大部分であります。特殊の例以外はそうなっておるというものでございます。これは基本乳価に奨励金二円が加わりまして、——この基本乳価は当委員会でいろいろ御批判及び御援助、御指導をいただきました当時の、約二年前の三浦大臣がおられましたときの、それ以前から一割値下げが行なわれた値段であります。奨励金というのは、それから約一年足らずたちまして、消費増進その他いろいろな措置を講じ、また酪農振興法の改正もありましたので、それらの影響もあったかと思いますが、昭和三十四年三月二十一日をもちましておおむね五%ばかり値が元へ戻って上がったというものであります。その基本乳価と奨励金の合計を乳価として酪振法等の上で取り扱っております。次の欄の三十五年四月一日は、四月一日が大部分でありまして、備考欄の一番右の方に決定の日とか未詳のところは「交渉中」と書いてありますが、今回きまった値段ということであります。基本乳価、奨励金はさっき御説明申し上げた通りであります。合計して乳価と私どもは心得ております。売り渡し場所が特別の場合は、庭先渡しは庭先渡し、工場渡しは工場渡しと書いてあります。BマイナスAの差引の値段はさっき御説明申し上げた通りであります。値上げがないとかごく少額だとか、また十二円も十円五十銭の値上げもあるところも表の下の方の九州地方等でごらん願えればあると思います。値上げがないところは、比較的高乳価で、時期をやや先んじて価格改定を行なった様子が見えるかと思います。  生産価格は、そのようにして、原則として四月以降、また一部はそれ以前から改正になりましたが、概数としまして、本年度は牛乳年間に一千万石を生産できると思いますが、そのうち農村の自家消費を除きますと、私どもの見方は約九百八十余万石が農家の販売量となります。これを平均的に一升三円十六銭にかけますと、約三十一億農家の所得増になると思います。  次は、ここ数日の間のことで、メーカー価格及び小売価格についてでございます。  協力要請をしたり対策を出しまして措置しましたことは申し述べましたが、賛成者と反対者といろいろあります。大部分のメーカー、小売等は、メーカーは農村価格が上ったから、小売は特に大消費地で配達人等の人件費が二割増その他の経費増で非常に苦しいということ等から、各秘の牛乳、乳製品を一律に引き上げる要望が強くありました。反面、主婦連等の消費者団体や小売業者の一部は、価格は維持せらるべきであるという、両者平行した意見がありました。その双方のウエートは値上げの方が多かったのであります。そこで、五月に至りますと、夏の需要増加、生産がちょっと落ちるという時期を迎えまして、飲用乳業者は原料手当をする時期でございまして、乳価値上げとか需給調整とかいうことが一そうやかましくなりますので、四月十四日に、配付資料の二ページの四項の昭和三十五年度上半期における乳価格対策要領を定めまして、価格については、従来のような趣旨を延長いたしまして、さらにこれを具体化いたしまして、(2)に書いてありますような要旨を出しまして方針を立てました。それを外へ出しました。第一点は、生乳価格はおおむね改定されたと思うので、需要期の七、八月中心のその前後の期間において異常な価格をまた実現しても、秋、冬においては季節的に本来的に牛乳は過剰になる、供給が需要を上回るという性質もあって、短期間に値段が動くことも不適当であると思われるし、また、年末、冬等に急激な値下がりが起きることは酪農の発展によろしくないと思われるので、不需要期においては異常な価格変動を生じるような悪影響は避けるのが望ましい、ということが第一点であります。第二点は、牛乳、乳製品のメーカー価格、また、さらには消費者価格である小売価格の水準を維持するような考えで、極力最大限度に価格の据え置きをしてもらいたいということを、さらに具体的に大臣の御指示を仰ぎまして明瞭にいたしました。それは、乳業者、小売業者の経営の合理化等を最大限度に期待いたしまして、できるだけ水準維持というような考えを通してもらいたい。明確に、価格据え置きをするということも最大限度の努力をしてもらいたい。牛乳・乳製品の種類や地域の実情によって少しずつのことは——自然に価格変動が行なわれている場合も含めてでありますが、やむを得ない場合でも、中間マージンは極力拡大しないように縮小が望ましい。また、そこに書いてありますように、安い牛乳、標準的な牛乳、大衆消費的なもので将来も日本の乳価の目安といたしたい、国際的に言うと日本の乳価はこんなところでぜひいきたいというようなものに見えるものとか、人工栄養の育児食である調整粉乳または脱脂粉乳というような、直接家庭にいくような主要な乳製品の値上がりは避けてもらいたい。また、これを県をして努力せしめると同時に、業界にも直接私どもの方から要望をいたしましたが、なかなか業界からは回答が得られません。しかし、事態は、要望を出すだけではいけないので、対策としましては、夏の最盛期に、脱脂粉乳約九百トンを中心にして、小麦粉とか魚粉とかその他のものを入れました牛乳増産用の飼料を特配するようにきめました。これは、例を北海道で申し上げますと、北海道の酪農家が雪印会社に牛乳を売りまして、バターを除いた脱脂乳を還元しておりますが、その値段より以下で供給をする。従って脱脂乳として還元していたものは、還元をしないで飲用牛乳用になる、脱脂乳も増産になる、これはまた当然でございますが、生産者価格の値上げと安い飼料特配をもちまして一般的増産をねらつたのであります。次の点は、特に大消費地域において夏季を中心として飲用牛乳不足が問題となりまして、当時大メーカーその他従来から中小乳業メーカーを中心とした市乳業者に原料を供給いたしておる者が、ストックも少なくなり、また自分で消費する必要もありまして、出荷をしないようになりました。荷がほとんど枯渇をいたしましたので、これは中小乳業対策としても必要で、消費者への牛乳供給対策としても必要なので、業者に慫慂いたしまして、脱脂粉乳約二百五十トンを、そのうち雪印分としてさしあたり百二十トンでございますが、政府あっせんによって中小メーカーに渡す。その値段は、昨年すなわち三十四年の比較的牛乳・乳製品の価格が低くなったときの値段で供給する。一ポンド脱脂粉乳は百五円ないし百十円というのでございましたので、その値段で供給してもらいたい。現在はそれより約一割、三月までに上っておる。雪印からは協力の話がありましたが、その後、数日前までは他は協力の回答はございませんで、今では全面的に協力をしてもらうことになりました。第三点は、そういたしましても、需要の旺盛と季節的な関係をもちまして牛乳不足が一時的にあるので、計画的にその不足分の脱脂粉乳を輸入したい。これは需給上見積もりまして千十トンくらいと今は押えておりますが、極力少なくして、さしあたり四百五十トン輸入して、これを需要の多い四大消費地域の経営上余裕のない中小乳業へ供給したいと思います。それから、夏休み前の学校給食は、いろいろ意見がありましたが、実施をしようということであります。  経過のおもなるものを申し上げますと以上でございますが、それをごく最近取りまとめまして、以上のように申し合わせて励行していただくことにいたしました。以上でございます。
  10. 吉川久衛

    吉川委員長 これにて乳価問題についての経緯の説明は終わりました。  本問題について質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
  11. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先に小枝政務次官にお尋ねしますが、今回の市乳一円値上げの措置は、一昨年の三浦農林大臣の時代、九月を一つの時限といたしまして市乳の一円値下げをやって、それを基準にしてその当時約一割の生産者乳価の引き下げが行なわれておったわけなんだが、この生産者乳価を一割引き下げたということは、市乳価格を一円下げた、十三円にしたということとのこれは均衡のとれた状態ではない、市乳価格というものは十三円というものを限度として、その後は、できるだけ業者間等の努力とそれから政府消費拡大等に対する適切な施策によって中間マージン等を引き下げて、そうして生産者乳価に対してはなるだけ短時間に値下げ分に対してはこれを復元させるように措置しなければいけないということで、当時乳価対策あるいは総合的な酪農振興対策というものが講ぜられたことは御承知の通りであります。従って、今回の突如として行なわれた市乳の一円値上げの措置というものは、当時の基本方針からこれを比較した場合非常に矛盾があるわけです。ですから、そういう点に対しては、やはりこの際政策的な立場から政府の方針というものを明らかにしてもらいたい。
  12. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 三浦農林大臣当時の生産者価格等を引き下げました経緯につきましては、ただいま芳賀委員お述べになりました通りで、われわれ農林省当局といたしましては、現在の経済情勢、また市乳の販売価格の情勢等すべてを勘案いたしまして、現実に不足する状態におきましてはまずこの程度で進むよりほかいたし方あるまいというつもりで努力をやってきたわけであります。なお、今後の見通しにつきましても、御承知のように、牛乳生産の増大をはかっていただかなければならぬ情勢にありますので、こういう将来のことも考え合わせまして、現在のような処置をとって進むことにいたした次第でございます。
  13. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう少しはっきりしてもらいたいのですが、結局、先ほどの局長の説明によっても、三十三年九月の生産者乳価の一割値下げ、その値下げ前の生産者乳価にまだ現在の生産者乳価は全体を見ると完全に復元していないわけです。ですから、復元していない状態の中でまた市乳一円の値上げをするということになれば、これは問題があると思うのです。われわれとしては、当時も、生産者乳価に対してはできるだけ早くこれを元の価格に正常化させる施策を進めるべきである、しかしそれを生産者乳価が上がったからすぐ市乳価格に転嫁するというやり方はうまくない、悪循環になるではないかということで、この点は十分論議済みの問題なんです。ところが、今回また、その以前の値下げが完全に復元しないうちに、すでに業者の圧力に屈して六月から十月までは一定期間内ですけれども一円の値上げを市乳において認めるということになりますと、これは政府として非常に弱腰ではないかと思うのです。こういう点をもう少しはっきりしてもらいたい。
  14. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 生産者の乳価が当時に比べましてまだ復元していないではないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、私どもの方といたしましては、完全にこれは復元しておる、かように考えておる次第でございます。詳細の問題につきましては局長の方から答弁いたさせます。
  15. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほどの局長の説明でいくと、平均三円十四銭生産者乳価は値上がりになっている。ですから、三円十四銭ということになると、一割値下げの時代から見てこれは完全に復元しているということには絶対になっていない。地域的にはそれは十何円も上がったところはありますが、しかし、平均するとまだ三円十四銭しか復元していないじゃないかということになる。そうして、生産も伸び需要も拡大しておるということになれば、これをまた市乳一円値上げに安易に転嫁するやり方というものは、これは非常に芸のないやり方じゃないかと思うのです。これがまた惰性になって、ずっと将来も市乳を上げていくということにならないとも限らぬ。そういう見通しはどういうふうに考えておりますか。
  16. 安田善一郎

    ○安田政府委員 私の先ほど御説明しましたことを敷衍して申し上げますと、芳賀先生の御質問も御了解願った範囲内ではごもっともと思いますが、同様の考えをもちまして、今後は、十分ではありませんが、生産から消費までの合理化をし、簡単に値上げ、値下げをする、また生産者価格を過去に復元する、というようなことの弊害は直しまして、長所はこれを推進するという立場で極力処理をいたしたつもりであります。第一に申し上げますと、一升当たり三円十六銭と申しましたのは、以前に一割値下げしたのを、昨年三月二十日に、五%復元させてあります。その上に三円十六銭上げてありますので、その計は、一割値下げが行なわれる以前を上回ることある尺度というところであります。基本乳価の取り扱いについても、相当程度農民の要望に合うように指導したつもりであります。  また、第二でありますが、先ほど生産者の手取りが年間で約三十一倍弱であろうと申し上げましたが、今回の値上げは、いろいろ苦労して、一部値上げ、大部分据え置き、乳製品は三月水準で維持する、こういうことで、そういう建前でいきますと、生産者価格が四月から上がりましたことに応じて——従来はいつもメーカー価格が小売価格を上げており、そういう要望も非常に強くありました。かりに業界の言う通りであったとしますと、小売は別として、乳業者の手取りは約二十四億円、すなわち三十一億円農民に払って二十四億円乳業者が受け取りになる。これが、申し合わせとして御説明したところによりますと、乳業者の受け取りは九億三千万、約十億でありまして、相当圧縮したつもりであります。農家に払いましたうちで、諸経費、いろいろのこともありますから、その三分の二くらいではどうだ。もう一つ、一円の末端価格の値上げは一部でございますし、十三円ものは夏季特別期間でございますが、取引の単位もありますと同時に、私ども、安く売っておるものは、何も一円ということには限らぬ、一円以内だ、大阪では十二円五十銭、十三円九十銭という牛乳があるということで、業界には強く指導をいたしつつあるわけであります。しかし、大都市の東京、大阪などの小売業の実態は、私どもが乏しい資料の中で客観点に見まするところ、平均して、小売は、一月の純益が東京で四万円強、大阪で五万円くらいと思います。それで、配達の勤労者等においては非常に人手を借りるということと、その労賃を何とかしないとむずかしいという点もありまして、今後企業のあり方についていろいろ合理化をはかることがあろうと思いますが、まだこの場においてははかれませんので、今後を期待いたしまして、その案も業界から出すと言っておりますが、たとえば、家庭が取りに行けば一合当たり二円安くするという目標などを出しております。しかし、そうでない配達するような場合のときは、大都市においては小売業のことも考えなくちゃならぬだろう。従って、第一に、生産者は、芳賀先生がおっしゃいますように、昔の価格以上には上回るように、またそれはおおむね達成された。そして、今後の分け分としては、生産者第一であり、乳業者、特に大メーカーは自粛すべきである、小売も合理化をはかるべきであるが、大都市は考慮を要するところも現状ではある、こういうことで処理をいたしておるのであります。
  17. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、今回の値上げ措置は、安い牛乳は値上げさせない、高いのはさせるというところにおもしろいところがあると思う。十円牛乳については、これは断じて値上げまかりならぬでしょう。集団飲用とか、工場牛乳とか、労農牛乳については、これは全然値上げをしてはいけない、十三円の普通牛乳については、原則は値上げしないことにして、そのかわり期限を切って六月から十月の間は十三円については一円値上げを認める、それ以外の特別牛乳等については、これは幾ら上げてもかまわぬと、そういう思想の上に立っていると思う。大衆向けの安い牛乳は、低廉であるからこれは上げてはいけない、それから、いろいろなものを加工した、そういう利益の多い飲用乳については、これは値上げをしても差しつかえないということになると、一体値上げのねらいというものをどこに置いているのですか。
  18. 安田善一郎

    ○安田政府委員 これは、当面自由経済のもとに消費者が買う場合は買われるということを前提にして、具体的なただいまのような問題を片づけることについて役所の方針を立てて、そして業界の協力を求めて実施せしめるようにしたということを、第一に御了解願いたいと思います。次に、内容につきましては、安いもののところまで将来は全面的に持っていきたい。そして、国際関係から見ましても、日本の乳価はそうむやみに高いものではないので、安い外国を輸入して消費増進をするのがいいじゃないかというようなことがガット会議等で相当問題になっておりますが、そういうこととで、業界が自分でできると言えば十二円以下の安い牛乳は維持してもらいたい。それを、できるといろいろ説得したり、意見交換した結果、できるということになったから、やっていただきたいと思っております。あわせて、そういう場合には、全部をやっているわけではありませんが、政府補助金等を交付してその奨励をねらっております。常総調整の価値も、それだけ特別に消費増進しているのだということをもちまして、将来の目安、外国との関係、そして大衆消費であるということ、また、業界が納得されて実施できるということ、そういうこと等をいろいろ考え合わせまして、そういうふうに実施したいと要望し、了解を得ております。また、高い方は、十五円以上のもの、あるいは十八円牛乳など皆様方よくお飲みになるかと思いますが、これは値上げをしないということで、十五円以上は値上げをしない。そうすると、問題はおのずから十三円と十円ものになると同時に、牛乳そのものが大衆性を持っているというところに非常にむずかしいところがありまして、芳賀先生正の御意見のような点も立つと思います。しかし、極力十三円ものを建値として上げない、将来また戻すのだということを約束させることによって、一時の夏季の需要状況は、もうけも圧縮させるのだから、話し合一いであり、当面のことをきめるのだからということであります。残りが、おのずから十円ものになりますので、企業経営も、あまり酪農振興が困るように乳業者が参ってもいけませんので、そのように考えておる次第であります。
  19. 芳賀貢

    ○芳賀委員 たとえば、十円牛乳と十三円牛乳は、これは質的にも全く同じなんです。そのうち十円の方は、これでやれるから値上げしてはいけない、それと同じ質の十三円牛乳は、これはなかなか経営か苦しいだろうから一円上げないさいということでは、これは論理が全く狂っていると思うのです。現実に十円はやれるじゃないか、だから、十三円の方は、やはり十円牛乳に比較した場合員まだ努力が足らぬからして、少なくとも現状維持の十三円でやれるというようなそういう強力の指導はできないものですか。
  20. 安田善一郎

    ○安田政府委員 簡単に十円、十一円牛乳と言いますが、大都市では生産者、乳業者、小売業を通じますのが圧倒的な数量でありますが、その水準を言いますと、大都市では、十三円が最低、一部十二円がある。地方都市では、十二円があり、十円もあるということである。ここに、大部分のものは、十二円以下は、配達方法を変えますとか、農業協同組合の処理加工品であるとか、中小メーカーの直売所であるとか、大量の職域にまとめて販売するとかという配給機精とか、その仕組み、やり方等が違って実現しておることが多いのが一つであります。もう一つは、地域がいろいろあるということである。そういうことで、北海道でも、北海道の牛乳を東京へ持ってくれば高くなります。岩手の牛乳を東京へ持ってくると、十三円、十四円、十五円、高いものは十八円になっておりますが、北海道の中の札幌市というものは御承知のように安い価格で売られておる。これは小売を千通じても売られて起る。これを要しまするに、まだ生産から末端販売までに企業の整備生産加工、販売の体制が牛乳は遺憾ながら未整備の点がございますし、乳価というものも名地域、各用途でいろいろ差がありまして、十分には大量生産市場機構が資本主義的にまた修正資本主義的によくできていないような点がありますので、御意見としてそういう点か出るのは、私もそう思う意見を一部持っておりますが、今後諸般のことを整備して基礎条件整備しないと、芳賀先生がおっしゃるようにいかない。今回は当面の措置である、こういうふうに御了承をお願いしたいと思います。
  21. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、この大メーカーと中小メーカーの廉価牛乳を扱っている販売比率を見ると、明治、森永は十三円以下の安い牛乳の販売比率は大体二〇%から二五%くらいです。それから雪印が四〇%から五〇%、協同乳業が六〇から七〇%の間、中小乳業は九〇から一〇〇%十三円以下の牛乳を扱っておるということになるのですからして、大メーカーは傾向としては比較的安い牛乳をだんだん扱わなくなっておるわけです。特別牛乳とか加工牛乳を中心に扱っておる。そして中小乳業が廉価牛乳を扱っておるという傾向が出ておるのです。こういうことになると、結局、今回のこの十三円牛乳に対する値上げ措置というものは、中小メーカーが非常に原料高になって経営が苦しいからやはりカバーしなければならぬという思想も幾分は加わっているかもしれぬが、しかし、大メーカーが次第に大衆的な牛乳を扱わないということについては問題があると思うのです。むしろサービス的に大衆牛乳を扱わせるように仕向けていくべきだと思うのですが、これはどうですか。
  22. 安田善一郎

    ○安田政府委員 基本的に、私どもも、芳賀先生の御意見のように行くのが目標であり、理想的であると思います。ただ、現状は、古い歴史を持ちまして、自由企業で、いい会社はいい土地をとってまず発達している。乳製品業者は北海道、東北、長野等の土地であとから発達している。非常に発達したものも一、二あります。中小企業は割合悪く、高い原乳を辛うじて買って、末端価格も原乳の倍ぐらいの価格にしかなっていないというところもあります。製品の種類も同様いろいろありますが、これは、企業の利潤統制、また製品の品目をどういうふうに製造させるかの統制を官庁からするわけには目下は参りません。指導をどの程度徹底したり理解をせしめてやるかということでございますが、その方針で、今回も、十分ではございませんが、今後もしたいと思います。苦しいところは助けて、企業の自由なところは自由にする。大きな牛乳メーカーといえども、消費者から注文があって明治、森永の牛乳がほしいというときには作らざるを得ないということも話し合いに出ました。安いものを少なくしちやいかぬ、もっと増せという指導もしましたが、作って売れるものしか売らない状況もございますので、今後は、消費者組織とか、消費者の認識とか、小売業の整備とか、それにつながって大メーカーをまたどういうふうに指導するとか、そういうことでやるよりしょうがないと思っております。その詳細については、御配付しました五枚目の六のその経過にかんがみまして、反省も私どもはする、今後未整備な制度その他の整備もさらに強化する要があろう、その対策研究は五月九日からすでに始めておりますということを書いてありますが、そのように考えておりまして、将来の基本的な目標としては芳賀先生と同様に思っておるわけです。
  23. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、今年度の需給推算なのですが、農林省としても大体一千トンくらい不足だという考え方の上に立っておるらしいのです。結局、その一環として最近脱脂粉乳の輸入を認めることになったようですが、建前はどういう目的で使うようになるのですか。
  24. 安田善一郎

    ○安田政府委員 私どもは、基本的には乳製品の輸入をしたくないと思っております。現実におきましては、学校給食等に安いものを加えて、生乳に換算すれば国内生産の一割以上が輸入されているのが現状でございます。そういう安いものを含めて、輸入統計によれば五十億円の乳製品がございます。今回の措置の点につきましては、国内生産の伸びが比較的少なくて需要がきわめて旺盛であるという需給のアンバランスを来たす時期は七、八月を中心にいたしましてその前後の二カ月にわたる期間でありますが、その後は年間千百万石で、農家消費は約一割、飲用牛乳は販売量のうちの五割をちょっとこえます。残りが乳製品という状況にあるようでございます。輸入の問題でございますが、これは、需給逼迫が生ずることが明らかな四大消費地域、京浜地区、中京地区、京阪神地区、北九州地区、そういうところの需要期のうちの七、八月分の需要にこたえ得るだけこれを計画的に輸入いたしまして、大メーカーを除いて中小メーカーの市乳業者にだけこれを供給する。外割の制度で行なう。輸入の時期がおくれるものは将来の乳価に悪影響しますから、これはキャンセルするように、そうして、割当は中小メーカー、農業協同組合に与える。そうすると、輸入品は今安いのですが、安いものがメーカーそのものへ行きまして、中小メーカーで安く売っておるところ、大衆品を作っておる加工会社、農業協同組合等、そういうところへ安い原料が行きますので、それが適当である。また、それをもって十円以下の牛乳を据え置きをする一つの補いにしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  25. 芳賀貢

    ○芳賀委員 輸入措置を結局原料高をカバーする方法としてやるという場合は認めても、一方において輸入で国産品の二分の一くらいの価格のものが入ってくる、一方においては市乳を一円上げさしてやるということになると、二重にメーカーを保護するということになると思うのです。これはどちらかの方法で片づくのじゃないですか。
  26. 安田善一郎

    ○安田政府委員 これも地域と企業別と申しますか業態別で考えておりますが、中小メーカーが比較的多いのは西日本でございます。東京は大メーカーの独占性が強い。昔は中小メーカーもありましたが、つぶれてしまったものが相当多い。そこで、大メーカーの方が一円上げると同時に、輸入をいたしませんと、大メーカーは中小メーカーに対して乳製品の供給業者でもあり、それこそ二重に利益を与える。だから、乳製品の価格を維持する上においても、安い輸入品を——半額ではございませんでもっと高いのですが、輸入して価格の維持をはかりますと同時に、中小メーカーを通じて大衆的な飲用牛乳で消費者の利益が擁護されるというふうに、輸入をすること自身も必要であるし、そういうふうに使うのがいい、こういうふうに考えております。
  27. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この用途が結局飲用の原料として輸入するということになれば、脱粉を原料としてこれを牛乳に還元するわけでしょう。そういうことになれば、国内においてもそういう還元牛乳というのは相当生産が増大しておるわけです。そういうやり方はやはり消費者である国民にも明らかにしておく必要があると思う。消費者は牛の乳ぶさから出た牛乳が配達になると思っておるのですが、実際は、そうじゃなくて、国産の脱粉とかあるいは輸入脱粉等が原料になって、それがまた牛乳に還元されたものが各戸に配達される場合も何割かあるわけです。そういうからくりを全然消費者は知らない。そういうことが簡単にコスト安でできるとすれば、何も一々そういう還元牛乳を配達してもらわなくても、家庭で牛乳を作れるということにもなると思う。だから、今度脱粉を還元牛乳の原料として輸入し配給するとすれば、この脱粉をどういうふうにして牛乳にするかというそのやり方についてもここで一応の説明が必要だと思うのです。
  28. 安田善一郎

    ○安田政府委員 お話しの飲用牛乳という中に脱脂粉乳をまぜているかいないかということでございますが、あるいは大衆の非常に大きな部分の方々がそうでないと思っておられるかとも思います。しかし、実情を申しますと、昔から中都会程度まで含めまして大都会の夏の飲用牛乳は約三割脱脂粉乳が国産であるかいなかは別として入っておるのが非常に多いのであります。三十一年だったかと思いますが、そのときは今回のような輸入も業界の手において無秩序に行なわれたこともあります。それを見越してまた雪印、協同牛乳、中小の乳製品製造業者は冬からぼつぼつと乳製品をためまして、二月からぼつぼつと五月、七月に至りますのを最盛期として売って参っておる。ことしは、二月過ぎ、三月になってから、大メーカーの乳製品業者も、自分の方で使うようにしたり、売らなかったりする度合いがひどくあります。そこで、政府あっせんで出荷せしめるようにしたのですが、これをさらにPRして実情をはっきりさせるということならばやる方がいいと思います。しかし、厚生省の食品衛生法には、飲用牛乳は、普遍牛乳、加工牛乳、乳飲料の三種類ありまして、そこにおのおの成分が書いてあります。普通牛乳は大体搾乳して機械にかけて処理加工したものであります。それとても脂肪を均一化したり固形分を調整したりしてその食品衛生法の規格に合うようにして牛乳製造業者は売っております。加工乳の方は、名前のごとく加工をしてありまして、これはいろいろなものが入っておる。ビタミンの場合もあれば脱脂粉乳の場合もあります。乳飲料は牛乳の成分の調整以外に他の成分をまぜておるものであります。それぞれには製造月日と製品内容を、売る場合にビンならビンに明示しなければいかぬことになって、家庭にそういうことで届いておるわけであります。また、輸入品でも国産品でも家庭で牛乳を作ったらいいではないかということになりますと、全脂粉乳、脂肪の入った粉乳を家庭で買って戻しませんと、貴重な脂肪もありません。脱脂粉乳に別にバターを買って戻してもこれは当然できるわけでございますけれども、新鮮度がない欠陥もある。栄養分の混入の度合いも違う。別々に製造したものを買って家庭でやりますと非常に高くなります。これは明らかに高くなります。家庭でやらなくても、製造業者がバターを買って脱脂粉乳を買って生乳のように還元しますとこれは非常に高くなります。バターの値段が別個に形成されておりますから……。そこで、おる部分だけ脱脂粉乳を入れるのがよさそうな状況でございますが、かりに輸入品の中へ脂肪の入った全脂粉乳を入れまして家庭で消費したり、牛乳製造業者にこれを渡して飲用牛乳にして販売させるような方法をとりますと、今回とりました措置よりは、いずれの場合でも非常に高いものになります。輸入品におきましても非常に高いものになります。だから、そういうものを、目下国内産業の保護という見地もありますが、そういう見地からいたしましても奨励をしたくない、こういうふうに考えております。
  29. 芳賀貢

    ○芳賀委員 とにかく、外国産の脱粉輸入によってまた牛乳を生産してそれを市乳として販売するということが相当積極的に行なわれると、これは相当影響か多いと思うのですよ。特に、脱粉にしても国産価格から見て非常に安いし、やはりこれは将来の自由化の問題等と切り離して考えることができないと思う。ですから、そういうちょっと小才を働かしたようなやり方でメーカー保護の粉乳輸入などということが持続的に行なわれると、これは悪い結果かできるのではないかと思うわけですが、これは継続的にずっとやるつもりでおるのですか。
  30. 安田善一郎

    ○安田政府委員 乳製品の輸入が千十トンくらいこの夏要ると思っておりますので、今緊急手配してあるのがそのうちの四百五十トンであります。これは四大消費地域用のとりあえずの輸入であります。この外に今度の乳価対策では中小メーカー用として四国地方やその他からも相当要望があるようであります。飲用牛乳用として要望があるのであります。アイスクリーム用の輸入の要望は強いですが、これは認めません。従って、飲用牛乳用として千十トンまでは、極力少なくするようにするがよいと思いますが、制限的に輸入していいんじゃないかという気持もありますので、なお研究中であります。持続的に今後入れるかということに対しては、国内増産が第一で、生鮮な牛乳、国内生産の乳製品で国内消費かまかなわれるようにするのが本旨ですから、その方針でいきたい。また、その間に生産費の低減もするようその施策も講ずる、こういう方向で、輸入が今後いつもくせになるとか持続して行なうということは絶対しない、そういう考えであります。  もう一つは、加工乳の問題がありましたが私は必ずしもこれは悪いとは思いません。私の家庭でも牛乳の中へ脱脂粉乳を買ってまぜて量をふやして大ぜいの子供に飲ましております。同時に、また、北海道や東北のような重要な酪農地域は加工乳というようなことは供給不足がちの夏分にも必要がないと思います。すなわち、他の大消費地のように生産に比べてこれを必要とする消費がありません。そこでは、むしろ、乳業事情を通じまして、酪農の自然的な適地でも生産物の販売処理上経済的に少し問題のあるところでは、乳製品がよく売れるとか消費面が多いとかいうのでなければ、生産者乳価に不利な影響を与えるということが多いと思います。その上に、国産脱脂粉乳を加工乳に原料として使うということは本年突然と思いつきで行なわれるのではありませんで、ずっと以前から、慣習的に、また科学的に衛生的な日取り締まりも厚生省で初めからそれを予想してやっておるものと私は理解しております。
  31. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今の局長の言うような論法でいくと、これはたとえば政府のお出しになった資料によっても明らかな通り、全国的に非常に生産者乳価の価格差がはなはだしいわけです。最高、最低では、最低は一升四十円、最高は七十円もしておるということなのですが、そういう飲用乳にしても、脱脂粉乳等を用いた加工牛乳はもう随時随所で作れるということになれば、これは原料乳と市乳原料乳との差というものはそんなにつける必要はないと思うのです。それからまた、地域的にたとえば北海道なら北海道は消費地が少ないですからしてほとんど原料乳に回るとしても、しかし、そこで加工された粉乳にしても、それがまた大消費地の方へ輸送されてそこでまた牛乳に還元されるということになれば、これは原料乳価の地域差というものは、このように極端になるというこういう傾向は十分調整できると思うのですが、その点はどうなのですか。  それから、もう一つは、大メーカーはほとんど全国的に集荷機構とか工場を持って経営しておるわけですからして、地域的にはある程度買い上げの乳価が違っても、しかし、これは全国的な経営の中で乳価の地域差というものはある程度圧縮も調整もできるとわれわれは考えておりますがそういう努力というものは全然行なわれていないし、この差というものはだんだん激化しておるような方向をたどっておるわけなのですが、こういう点については農林省として非常に指導性が弱いとわれわれは考えておるのですが、どういう対策を持っておりますか。
  32. 安田善一郎

    ○安田政府委員 お話しの点、まことに私も同感なものが多いのでありますが、業界の体制も、まだ酪農も乳業から消費まで日本はそこまで進んでいない。未整備の問題が多い。国や地方におきまする法律その他の諸制度もまだそこまで進んでおらないので、外国の例をとられましても、もっと進んでおるような、先生のおっしゃるような意見のお答えになるようなことで進んでおる制度を持っておる国も間々あります。それらについては急速に日本も各業態を通じての生産性の向上とともに体制整備検討する必要があると思います。これの研究は業界や学者を加えましてすでに農林省畜産局で始めております。しかし、現状としましては、乳価は自由経済のもとに当事者間で定まり需給に応じて形成される建前で、そういう制度はまだありません。なま乳を乳製品として北海道等で作って消費地で還元牛乳にまぜて加工乳の値段をつけると、牛乳の原乳と消費地加工乳の値段の地域差が縮まるというのは、目下と近き将来では逆なように思います。それは、乳製品やバターを別個に作りますと、なま乳を近距離で可能な範囲で動かして飲用牛乳として加工販売消費をして参るよりも、よほど高くなる。加工乳の方が高くなる。それから、生産者から消費者までの価格の各段階の差を圧縮することは理想でありまして、今度もできる限りの努力をいたしました。しかし、結果は十分ではございません。今後いろいろと努力をいたしまして、業界の方もそういう気持で努力をしていただきまして、先生方の具体的なよい御指導をいただきまして、そういうふうに進むのがよ  いと思います。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それから、これは制度上の問題にもなりますが、昨年の酪振法の改正のときも、やはり酪振法の内容一をもっと強力なものにして、たとえば制度の力によって生産者乳価については最低生産者乳価の支持制度を作るとか、それから、市乳とか乳製品等については、やはり最高の販売価格を設定して、その範囲において流通ができるようなところまで持っていくべきであるという意見は、ずいぶん前からこれは論議が展開されておるわけですが、そこまでまだいってないわけです。たとえば、今度の農林漁業問題の調査会答申等を見ても、今後の農業の生産構造の中においては、酪農とか果樹とか、そういう方に大きな生産転換をしていかなければならぬということもうたわれておりますが、これは将来の展望にもなりますが、乳価対策等についても何かしっかりした基本になるものがないと、ただ需給均衡だけをにらんで値段を上げるとか下げるとかいうことだけでは、全然前進がないのではないか。これは審議会等もあって何か検討しておるかもしれませんが、もう少し基本的な問題について精力的に取り組むというような熱意はまだ全然ないわけですか。
  34. 安田善一郎

    ○安田政府委員 御配付しました第五枚目の六は、その熱意を持って表わしておるのであります。過般の酪振法の改正のときは、まだ具体案が民間からも出ず、役所もまだ研究しておらず、国会でも、いい構想とアイデアを示して下さいましたけれども、さて、具体的にこれをどういう法文でどういう制度にするかということはなかったと思います。その後極力精力的に努力をいたしておりますが、特に最近はいつごろを目途にどこでどういう人が集まってその事項を研究するということをきめて出発しておりますが、事は将来に属しますので、今後一そうの御指導を賜わりたいと思います。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはまじめに話しておるのですが、ですから、農林省言当局でそういう制度の根本的な改正とかそれをやるという熱意に欠けておるとすれば、率直に言ってもらえば、われわれ立法府におるのだから、それはいつでも法律の制定もやりますが、しかし、政府自身もそういうことに対して熱意が欠けておっては、こっちが指導してあげたいと思ってもなかなか呼吸が合わぬです。だから、もう少し前進した体制というものを具体的に示してもらう必要があるのじゃないか、そのことを私は聞いているのです。
  36. 安田善一郎

    ○安田政府委員 五月九日に農林省畜産局内に酪農対策研究協議会会を設けて、すでに第一回の会合を行なって、芳賀先生のおっしゃるような問題を審議しました。これは毎週行なうつもりであります。夏が終わるころには草案ができるといいと思っておりますが、農林省独自の研究も調査もこれに加えまして、この研究協議会の委員の中のりっぱなお方やその他の方を加えて酪農審議会専門委員を置きまして、——かつてそういう運営をしたことはございませんが、置くと同時に、酪農審議会に案を具して諮問しまして、検討しまして、次の通常国会を目標に努力したいと思っておるわけです。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に、これに関連して飼料関係の問題もだいぶあるわけですが、きょうは時間があまりないから深く触れるわけにはいかぬが、たとえば、三十五年度の飼料の需給計画等については大綱がどういうことになっておるか、あるいは乳価問題や酪農振興等と関連して飼料の需給安定法等についても社会党の方からは安定法の一部改正法案をずっと継続審議で出しておるわけなのですが、これも政府や与党が無理解なものですからなかなか進んでいないのです。この際飼料対策に対する以前と変わったような内容とか問題点があればこの機会会に述べていただきたい。
  38. 安田善一郎

    ○安田政府委員 飼料の問題は、時間がないようでございますから、多くはこの次にお願いしたいと思います。しかし、短時間にして要点を網羅的に順序よく申し上げるだけの用意をいたしておりませんが、申し上げますと、飼料需要審議会は前年度の終わりに開きまして、本年度の需給計画をきめていただきまして、農林省はこれを採用して、食管飼料分の予算とか具体的な行政措置基礎にしております。それを見渡しますと、畜産振興のスピードも相当高い線もございますようで、その需給計画では供給面がいささか不足かもしれない、特に政府操作力というものにおきましてもっと大きくした方がいいかもしらぬと思いますけれども、それは目下の私の感じであります。従いまして、飼料審議会でも開催されましたときに、芳賀先生の御意見もかねてお伺いいたしましたので、審議会にはかりまして、従来のように年一回年度末に開くというようなことでありませんで年数回開くようにして、需給計画も扱えば、従来のように政府取り扱い数量だけを扱うのが諮問事項だなんということはしないようにしてもらいたい、価格の問題も扱いたい、配給ルートや品質の問題等扱いたい、未統制であったフィッシュミールその他のことももっと計画に載せてやるようにしたい、そういうことを申し上げまして御審議を願いまして、それは庶務幹事を受け持つ農林省で努力してくれることであるが、審議会としてはそういう運営をされることを農林省に要望するという点について、そういうふうにいたしますということで小枝政務次官からも回答をいたしました。また、価格状況につきましては、一昨年の暮れ近くでありましたが、主要なものについて行政措置をもって値下げを断行いたしました。その後は、御承知のように、国内農産物や飼料になる海外農産物は必ずしもその水準で動いておりません。むしろそれより値が上がっておるのであります。価格の抑制にはいろいろ苦慮いたしておりますが、従来の方針を変えておりません。その他配給ルートの整備等についても、例を言いますと、ただいまは、政府が輸入飼料を持って需給調整をいたしております際に、輸入港と飼料の製造業者や卸売り段階のような業者と畜産農家がある場所が非常に違っておりまして、輸入段階とか国内の元卸段階のようなところで需給調整価格調整をやっている現在の制度では、もっとこれをくっつけないと、——例を言うと、港から遠いところ、山の中、あるいはだんだんそれが平坦部になってくるに応じまして、飼料が安い高いの差があります。努力しても効果が出てこないところがありますから、それらの整備もいたしたい、輸入のもっといい買い方もしたい、食管の努力も飼料用に向かってもっとしっかりやってもらいたいということを具体化するように勉強中でありまして、これを具体化するつど実施に移したいと思います。
  39. 吉川久衛

    吉川委員長 午後二時より理事会を開き、理事会に引き続いて本委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後二時四十七分開議
  40. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産物に関する件について調査を進めます。  米価問題について質疑の通告がありますので、これを許します。石田宥全君。
  41. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 昭和二十五年度の米価についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、まず冒頭に、長官はとかく答弁に秘密主義をとっておられるようでありますので、しばしば誤解を招くおそれもあります。私は、きょうは農林大臣も不在でありますので、あまり突っ込んだ質問をするつもりはございませんから、ざっくばらんに御答弁を願いたいと思います。  まず最初に、須賀長官は、四月の四日に昭和三十五年度産米価の価格体系の変更についての談話を発表しておられるわけです。これは四月の四日という時期から見ていろいろに解釈されるわけでありますか、ときあたかも米価審議会におきましては小委員会を設けて算定方式についての審議が進められておる途上であります。そういうときに価格体系の変更の意思表示をされるということにはいろいろな憶測が行なわれるわけでありますが、いかなる意図のもとにその意思表示をされたか。たとえば、米価審議会の小委員会審議対象として、これを取り上げてもらいたいという意図のもとにやられておるか、あるいはまた、農家が種もみをおろし、あるいは植付の計画を立てるにあたって、それを参考とするというところに含みを持ったものなのか、どういう意図のもとに行なわれたか。同時に、そのことについては福田農林大臣と十分な打ち合わせの上に発表されたと伝えられておるのであるが、事実であるかどうか。この点を一つ伺いたい。
  42. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 四月四日に食糧庁当局の見解として発表いたしましたものは、御承知のように、もち米その他の加算金・価格差につきましてある程度の手直し、調整を必要とするという見解を明らかにいたしたわけであります。これを四月の初めに発表いたしました直接の動機は、三十四年産及び三十三年産のもち米の手持ちが相当大量にございます。これの売りさばきの促進をはからなければならないような状態に差し迫っておりましたので、まず三十三年産のもち米から消費者価格の引き下げをいたしたわけでございます。これを決定いたします際に、政府部内のいろいろ協議、打ち合わせの過程におきまして、三十五年産のもち米の生産者価格につきましても必要なる手直しはいたさなければならないという見解に立ったわけでございます。そうなりますると、先ほどもお触れになりましたように、農家に対しましても少なくとも一般的にはもみをおろしまする以前の時期におきましてその方針を明らかにいたしておきますことの方がいろいろ問題を起こさないのではないかという考え方に立ちまして、四月の初めの時期を選んだわけでございます。  なお、この際明らかにいたしました方針なり見解は、加算金、格差等につきまして、最近の需給事情からいろいろ考えまして手直しをいたさなければならない最小限度の事柄だけを特に取り上げて、それに対する方針を明らかにいたしたわけでございまして、政府としてはその際申し述べましたような方法によって検討いたしたいという趣旨を明らかにいたしたわけでございます。あえて米価体系の手直しというほど大げさなものではなかったわけでございます。  なお、この件につきましては、米価審議会との関係は、もちろん、私ども、この種の問題につきまして最終的に決定をいたしますものにつきましては、本年産米価をきめます段階におきまして米価審議会の方の御審議も十分にわずらわしまして、その結果によって最終的にきめて参りたいと考えておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、農家が作付をいたしますこととの関係もございまするので、それらも考え合わせまして、政府としては本年産の米からこの種の問題につきましては十分検討して参りたいという趣旨を明らかにいたしたわけでございます。  なお、問題の性質上、農林省の中におきまして十分検討いたしまして、これは対外的に明らかにいたしたわけでございます。私の一人の考え方で処理をいたしておるわけではないことはもちろんのことでございます。
  43. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいまの答弁でほぼ明らかになったわけでありますが、体系の変更ではない、しかしながら、これは、時期別格差の問題、陸稲に格差をつける問題、あるいはもち米加算の問題等について、それぞれ減額または廃止ということになれば、われわれはこれを価格体系の変更と考えなければならないと考えるわけでありますが、しかし、それはまあその考え方の問題でありますが、要するに、小幅の変更しか考えておらない、こういうふうに読み取れるわけでありますが、長官は、四月五日の日に全日本農民組合の代表と会見をされた際に、今度の手直しは価格水準を変更するようなものではない、こういうことを言っておるようですね。価格水準を変更するものではないと、こういう意味は、これもいろいろとれるわけでありまして、要するに、昨年の決定米価を維持する、こういうことにもとれるわけでありますし、あるいはまた、昨年の実行価格というものを中心として価格の水準は変更しない、こういうふうにもとれるわけですね。この価格水準の変更はしないのであるということの意味はどういうことを内容としておるのか、同時に、昭和三十四年度の実行米価はどの程度なのか、この点を伺いたい。
  44. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 昭和三十四年産米の実行米価は、当初米審で決定をいたしました際の決定米価水準と、——その当時はいろいろなものが見込まれておるわけでありますが、見込みと実績とが違いましたのは、早期格差、いわゆる早場米奨励金の見込みと実績がある程度違っておるわけでございます。その結果、これは概算でございますので、最終的に米の集荷が全部しめ上がりました段階で計算いたしますとなお若干違っておると思いますが、三千七日五十万石集荷といたしまして、大体一万三百九十円くらいの平均手取りに相なるものと考えられます。御承知のように、米審決定米価は一万三百三十三円でございましたので、その間の食い違いは時期別格差の食い違いでございます。時期別格差は、去年は非常に気象条件等がよかった関係等もございまして、当初予算を相当上回って出ております。その結果がさようなことになりました。  それから、私が四月五日の日に日農の代表者とお会いしました際に申し上げました趣旨は、この格差、加算金の手直しをいたすということは、これ自体その米価水準を引き下げようという意図をもってそういう手直しをするという趣旨のものではない、——繰り返し申し上げておりますように、早場早期格差にいたしましても、その他の問題にいたしましても、それぞれその制度ができました当時の状況と、現在実際に運営されております実際の姿とを考えてみますと、非常に不都合な、工合の悪い点が出て参っておるわけであります。それらの最近の情勢なり今後の需給事情に即しまして改めて参りたいという趣旨でございます。この事態によりまして米価水準を引き下げようという趣旨でこの問題を考えておるのではないということをはっきり申し上げておるわけでございます。米価水準につきましては、現在米価算定方式の検討が行なわれておりますし、本年産米価につきましては、その他いろいろな従来の米価算定の要素等も実際に固まって参りますに応じまして適正なる米価水準を発見するように現在努めておるわけであります。直接格差、加算金の調整として米価水準そのものを引き下げるということはつながっておらぬわけでございます。現在も私どもはそういうつもりで問題を考えておるわけであります。
  45. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 先ほどの答弁でも明らかなように、四月上旬に若干の手直しをする、しかも、内容的に、それぞれ、時期別格差なり、もち米加算なり、あるいは西南暖地早期米、陸稲等についての格差についての検討をするという意思表示が行なわれたわけですが、実際は、それがもう少し具体的に意思表示が行なわれておれば、作付なり種おろしをするのに、それを参考としてそれぞれ措置できるわけですね。ところが、その内容について全然触れられておらない。私どもが最近地方に参りますと、ことしのもち米加算というものは一体どの程度になるでしょうか、それによって作付計画を考えなければならぬのだ、こういうことをよく聞かれるわけです。ところが、私どもも内容的に数字的には何とも返答するわけにいかないわけです。末端の農家では、これは地方によって違いますけれども、二期作地帯ではすでに田植えが始まっておる。新潟県などは、今苗代の最中で、もう少したつと植付が始まるわけです。その植付計画の中で、もち米加算がどうなるかということによって相当計画変更をしなければならないわけです。ところが、今日の時点でなおどの程度どうなるのか全然われわれも見当がつかない。こういうことではいたずらに農民の作付計画を混乱させるだけなんです。そこで、今日の時点で長官が考えておられるその範囲、手直しすると言われるが、一体どの範囲に考えておるのか。それによって作付計画を変えなければならない事態が生ずるかもしれない、そういう意味で私は伺っておるのでありますから、率直に一つそれらの点を表明してもらいたい。
  46. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 ただいま御指摘のように、十分農家にも今回の政府考え方なり手直しの措置に対応いたしましてその準備を整えていただきますためには、実際に調整をされまする額等につきましてできるだけ早くその目安になるところをお示しをいたしますことが最も適当な措置であるということは私どもも十分に承知をいたしております。ただ、これは、基本の米価そのものにもその問題があるわけでございまして、御承知のように、米価は毎年七月になりませんと最終的に決定をいたしておらないわけであります。これは、最近の米価をきめまする手続等から考えまして、急ぎましても、どうしてもそういう時期に相なっておるわけでございます。予約を開始いたしますぎりぎりの線になりませんと、実際に米価が最終的にきまらない。ここにあげました問題も、いずれも基本米価とは別々の問題でございまするが、やはり、これを最終的に決定をいたしまするのには、それらの基本米価のあり方、大体の輪郭等も十分見当をつけまして、それらとの見合いにおきまして最終的に決定をいたさなければならない点も実際問題としてあるわけでございます。それらの点とからみ合います点もございますので、私どもといたしましては、この見解を明らかにいたしました当時からいろいろな計数によりまして対案を考えて参っておりまするが、これらのおのおのにつきましてこういうふうに考えておるということを数字によって申し上げまするのには、まだ政府部内の考え方といたしましてもそこまで十分に煮詰まっておりません。これは冒頭に御注意を受けました秘密主義ではないのであります。まだそこまで参っておりませんので、この点御了承いただきたいと思います。
  47. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 あと、米審の問題、それから米価決定の時期の問題等につきまして政務次官にもお伺いしたいと思うのでありますが、とりあえずこの問題で伺いたいのです。     〔委員長退席、本名委員長代理着席〕  そういたしますと、ただ検討を始めるということだけであって、どの程度にどうするということが全然きまっていないということは、これは何べんも繰り返しますように作付の計画に非常な悪影響を及ぼしておるわけです。そこで、もち米の点でもう少し伺いたいのですが、四月十五日から売り渡しの方は加算を取って売り渡しを始めましたね。この結果の売れ行きの状況は好転しておりますかどうですか。
  48. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 四月十五日から三十三年産のいわゆる古もちにつきましてとりあえず加算をはずしたわけでございます。現在では菓子とか原材料用に消費をされますのがおもなる消費筋でございまして、一般用にはあまり売れておりません。今はその在庫を極力さばくのに努力をいたしておる段階でございますので、順次さばけておるようでございます。極力三十三年産をさばいてしまいまして、三十四年産も引き続き販売に努めたい、さように考えております。
  49. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、酒米の問題ですが、昨年は田植えが終わって一番除草の時期になって地域指定か行なわれて、農民の間からずいぶん問題が起こったのでありますが、ことしはどういうふうな扱いになりますか。田植えが終わってから地域指定が行なわれたり変更されたりしては農民が非常に迷惑をするわけですが、ことしの対策をお聞きしておきたい。
  50. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 私、昨年の酒米の地域指定の経過を十分承知いたしておりませんが、もしそういう問題で生産者の側に御迷惑をかけたような実情かあるようでありますれば、十分その状況を検討いたしまして、調査をいたしまして、さような御迷惑をかけないように改善して参りたいと考えております。
  51. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、陸稲の格差の問題でありますが、最近畑作振興がやかましく言われておる情勢の中で、ほかの作物と陸稲との関係を、これは私から申し上げるまでもないのでありますが、お考えいただけば一目瞭然でございますように、ほかのいかなる作物を作っても、収支の状態は米とはもう比較にならないほど条件が悪いのです。どうしても畑作振興というものはできる限りやはり米に依存することが最も有利なわけです。ところが、これも突如としてこの陸稲の格差をつけなければならないということの意思表示が行なわれたわけで、陸稲地帯、ことに関東、東京周辺の畑作地帯が非常なショックを受けておるわけであります。これについては、米に格差をつけてもなおかつほかの作物よりもあるいは有利であるかもしれない。しかし、政府の大きな一つの農政の目標とされておる畑作振興というものとの関連において、陸稲の格差の問題は考慮されなければならない問題だと思うのです。そこで、この点は振興局長に伺いたいのでありますが、畑作地帯における陸稲とその他の農作物との利害関係というか、そういう点について、一体今後の畑作振興についてはどのような方向指導すべきであるとお考えになっておられるか、一つ伺っておきたいと思います。
  52. 増田盛

    増田(盛)政府委員 ただいま御指摘がありましたように畑作物の中におきまして陸稲栽培がきわめて重要なものであるということは言うまでもないことであります。特に、最近におきましては、陸稲に関しては栽培面積もおおむね二十万町歩に増大いたしております。そして、栽培技術の内容に関しましても、たとえば畑地灌漑との結びつき、あるいは陸稲栽培におきます災害等の回避を目的にする早期栽培等々、各種の方面からの施設あるいは技術の改善によりまして、逐次栽培面積が拡充し、畑作物としてきわめて重要性を帯びてきているわけであります。ところが、最近の情勢におきまして、やはり需給面におきましていろいろ問題が起こってきているわけでございまして、これを畑作振興の立場からいかに処置するかという問題は喫緊の問題であるわけであります。そして、私どもの見通しといたしましては、陸稲は本来陸稲としての性質がございまして、品質の問題に関しましても、品種改良にはいろいろ努力はいたしておりますけれども、やはり一定の限界がある。それから、反当収量にいたしましても、最近畑地灌漑と結び合わせましていろいろ研究もいたしておりまするけれども、やはり水稲に比してはなかなかその水準までは達し得ないという問題があるわけであります。従って、将来といたしましては、どうしても需給問題に左右されまして、私は、長い見通しをつけますと、面積の減少ということもあるいはやむを得ない場合もあろうかと思うわけであります。ただ、しかし、この場合に農家といたしていかなる作物に転換するかという問題に逢着するわけであります。現在、陸稲の平均反当収量から、推定いたしますと、大体全国平均いたしまして陸稲の反当粗収入というものは一万五、六千程度ではないかと思うのでありますが、これに匹敵する畑作物といいますと、そうたくさんないわけでありまして、これはもう御承知の通りでございますけれども、カンショ等に関してややそれに近いものがあるわけであります。それから、関東を中心といたしましては落花生等もややそれに近いものがあろうかと思います。それから、将来の問題としてはビートが大体それくらいの反当収量を考えられはせぬかというふうに考えるわけであります。そういう点に関しまして、どうしても需給の面からの圧迫があるということになりますと、一つは合理的な転換を考えるということであります。そして、また、もう一つは、そういうはっきりした転換策が整わない場合におきましてはやはり農家の収入に対するいろいろな減少にもなるわけでありまして、そういう点を十分に考慮しまして、やはり、私ども、この陸稲の作付転換というものがどうしても必要であるということになりますと、いろいろな要素を加味しまして措置する必要があるのではないかと思うわけであります。いずれにいたしましても、畑作振興の困難性、その必要性に比しましてきわめて困難な問題があるわけでありまして、私どもは、実は、畑作振興の基本といたしまして、各種の農作物の合理的な栽培、これの加齢性の向上、あるいはある程度の作付の転換、あるいは永年作物たる果樹への転換、あるいは有畜営農組織への転換等を考えることが基本問題であろうかと思うわけでありまして、その各種の考え方の中で陸稲の問題がいろいろ起こっているというふうに理解して、全体的に対処して参りたいというように考えるわけであります。
  53. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 小枝政務次官に伺いますが、基本問題調査会でもやはりオカボについては生産を抑制するか作付計画の転換をしなければならぬのではないかということを指摘しておるわけですね。しかし、今振興局長が言われたように、畑作振興というものを考えた場合に、やはりほかのいかなる作物も米に及ぶものはないわけですね。従って、畑作振興についての基本的な計画が樹立されて、そしてその農家経営が安定するような見通しがまず立てられなければならないのではないか。しかる後に生産の抑制なり作付の転換というものが考えられるべきであって、今ようやく畑作振興で立ち上がった陸稲地帯に突如として格差を設けて、ようやく伸びようとするところへ水をぶっかけるというような手はないと思うのですね。これは畑作振興としての重大な課題の一つであると思うのでありますが、それについて、これは政務次官もよく御勉強になっていらっしゃると思うのでありますが、所見を伺っておきたいと思います。
  54. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 この畑作の中における陸稲の問題でございますが、これは、先ほどから石田委員も御心配になっておりますように、畑作振興という立場から言いますと非常に大事な問題だろうと考えております。長官から先ほど来るるお話し申し上げておるようなわけでございまして、長官の談話をもって陸稲については多少の差を設けるような意味の発表をいたしておるわけでございますが、ただ、経済上のいろいろな問題からいたしまして、水稲と陸稲との品質の差、あるいは味覚の問題、いろいろな問題から多少の差をつけるべきではないかという考え方を表明したものと考えるのであります。しかし、御説のように、わが国の畑作問題というものが農業の基本的な問題に関連をいたす立場から考えますると、これは非常に重大な問題でございますので、御説のように基本問題調査会におきましてもそういう結論が出ておりますが、さらば畑作にどういう作付を将来取り入れるべきか、どういうふうにしてこの畑地地帯の農業を維持しあるいはこれを守っていくかという問題につきましては、今後に関するところの問題が多いのでございます。そういう立場から考えますときに、この畑作地帯における陸稲の問題は、要するに重大な問題と考えますので、われわれといたしましても、この問題はよく農業関係の方々の意見も聞き、むろん当委員会等における委員各位の御意見を尊重いたすこことはもとよりでございますが、米審等の審議の結果もございまして、これについては十分意を用いて慎重に一つ将来検討していかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  55. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、西南暖地の早期米ですか、これは食味か悪いということは前からわかっておったのですが、台風対策や農家経済上の見地から最近急速に拡大しておるわけです。従来種であれば、食味はそう違わない。しかし、収量が非常に少ない。そこに問題がある。これは、私は、格差をつけることの前に、むしろ品種改良を積極的にまずはかるべき問題ではないかと思うのでありますが、これは、振興局長、どうですか、西南暖地の早期米の品種改良というものはどの程度に進んでおりますか。
  56. 増田盛

    増田(盛)政府委員 御存じの通り、西南暖地におきます早期栽培というものが準備段階を脱しまして普及の段階に入りましたのが昭和二十八年ごろからでございます。その当時は、大体種もみは東区ないし北海道から持って参りまして、それを使用しておったわけでございますが、やはりいろいろ問題がございます。特に、今御指摘の食味あるいは歩どまりの問題、いわゆる品質の問題等を広く考えますと、この持っていく種もみ自体が、育成地では非常に品質もいいし味もいいというものであっても、これを関東以南の西南暖地に持っていきますと、出てきた米が育成地の味とは違った味のものが出てくるとか、いろいろな問題がございまして、やはり、私どもがそういう土台の上に品種改良を実施していくというためには多少の年限を要したわけでございます。しかし、従来いろいろ育成して参りました西南暖地早期米用の品種にしましても、現在まではとかくいろいろな品種上の優劣があるわけでありまして、評判の悪いものも相当あるわけでありますが、非常にいいものもあるのであります。たとえば、越路早生とか、コシヒカリ、それからホウネン早生、こういったものは比較的優秀であるという折紙をつけられているわけでございます。ただ、こういうふうに東北、北陸あるいは北海道系統の品種を西南暖地に導入するという場合におきまして、やはりその導入して参るところのその品種に対して、これを現在ある以上により優秀な品種に改良する、こういう点に関しましては、現在努力しておるわけでありまして、これに関しましては、たとえば宮城県の農業試験場の古川分場、これは農林省の指定試験地になっておるわけでありますが、本年ナツミノリという品種が新たに育成されたわけであります。それから、青森県の農事試験場の例の藤坂試験地、これはやはり農林省の指定試験地でありますけれども、ここでフジミノリというものが本年育成されたわけであります。こういうものが東北地帯を中心として育成されておる。それと同時に、もう一つは、これは昭和二十九年に鹿児島県に設置されましたやはり農材省の指定育成試験地があるわけでありまして、全く今度は西南暖地の中心地におきましてそれに相応した品種を育成していく、こういう新しい方針に基づきましてやり始めたわけでありますが、現在有望な系統のものが選抜育成されつつあるわけでありまして、大体仮りの名称を西南五号、同七号、同八号というふうに名前をつけているわけであります。 これは現在F3からF5くらいの段階まででありますから、これが完成するまでに三、四年かかるわけであります。大体現在の選抜の中間の過程におきましては、きわめて有望な品種である、こういうことになっているわけであります。  以上申し上げましたように、私ども、早期米の品種改良に対しましてはいろいろ努力をいたしておるわけでございまして、今後さらに優良な品種を作成するようにできるだけのカをいたしたいというふうに考えております。
  57. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、時期別格差の問題ですが、これは、前から議論しているように、単作地帯の保護政策の一環でありますが、もうすでに農民の既得権のような部分になっているわけですが、これも手直しをしようということが言われておる。これもまだどの程度かということははっきり答弁できないかもわかりませんが、伝えるところによると、八百円、六百円の最初の上の二仕切りをなくして、あとの四百円、二百円を二期または三期くらいに分けてやろうという意向のようであると伝えられているわけです。これに対しては、一体、大体のめどはどのように考えておられるのか。これがまた私どもの方の営農計画に今非常に大きな影響をしておる。たとえば、もみの乾燥施設をいたすにしても、これはやはり相当かかるわけです。施設だけでやはり十万、十五万はかかる。それに建物等を入れれば相当大きな額になるのですが、それを借り入れをして乾燥施設をやるかやらないかということで首をひねっておるわけです。時期別格差の八百円、六百円の上の方か切り飛ばされるようなことであるならば、しいて莫大な資金を投下する必要もないのではないかということが問題になるし、あるいはまた、脱穀調整にいたしましても、時期別格差との関連においてそれぞれその設備を持っておるわけであります。もし時期別格差がないということになれば、これは共同施設で十分間に合うわけです。そういうことで、今営農計画を立てるにあたって、時期別格差がどのように手直しがされるのかということについては非常に関心を持っておるわけなのでありまして、やはり、この際、ある程度のことは、農民に示唆を与える意味で明らかにしていただきたいと思います。
  58. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 時期別格差をどのように手直しをするかということは、先ほども申し上げましたように、われわれもいろいろな案を検討いたしておる段階でございまして、大体こういう方向でございますというところまではっきりと申し上げかねるのでございますが、私ども、ただいま申し上げましたようなことを一応前提といたしまして、大体一つの輪郭として考えております大筋の方向といたしましては、いろいろ時期別格差をつけておりますために、農作業の面等について現われておりますひずみと申しますか、無理が実際にいろいろあるようでございます。特に第一期の終わりまでに間に合わすためにいろいろ無理な脱穀調製をされる、労力等も特別に手当をされるというようなこともあるのでございます。しかしながら、そういうこともできるだけない方がよろしいわけでございまして、できるだけ作業を自然な形に戻して参るということはどうしても必要であるわけであります。ただ、しかし、そのために第一期そのものをすぽっとやめてしまうということになりますと、実際に今まで、時期別格差のよしあしは別といたしまして、農家にその制度によって相当な金が落ちておったわけでございますので、それらとの関係を完全に断ち切って制度の手直しをするということは、実際問題としてはなかなか簡単ではないわけでございます。従いまして、過去のそれぞれの経過なり実際の米代金の落ち方等につきましても、十分その実績なり歴史、沿革は考慮して参らなければならぬわけでございます。それらの点も十分織り込みまして、総体といたしましてできるだけなだらかに、また、できるだけ穏やかなものにして参るというような考え方検討をして参りたいと考えておるわけでございます。
  59. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 政務次官に伺いますが、今お話をお聞きの通りで、もち米加算の問題にいたしましても、農民が作付に迷うような状況でありますし、あるいはオカボについてもそういうことが言える。西南暖地の品種改良については、せっかく努力中であって、数年を出でずして相当なものができるという見通しのもとに研究は進められておる。時期別格差については、今私が申し上げたような理由から、やはり既得権のような気持で、いろいろな施設をやったり、いろいろ農業経営への計画を立てておるわけです。従って、今この時期でこれらのものに格差をなくし、あるいは格差をつけるというような措置は、はたして妥当かどうか。私は、やはり、少なくとも種もみを苗代におろす前に一応のめどというか、大体の考え方というものをある程度農民に示して、大体こういう考えでおる、従ってことしの作付というものはそれを目安にして立てらるべきだということを農民が考えた上で計画できるようにしてやることが、政府としては親切な措置ではないかと思うのです。従って、これからあとで伺いますけれども、まだいつきまるかわからない問題でありますが、そういうものを、今日の時点において、かりに一部分であろうとも価格の体系を変更するということを言われることは、私は少なくとも妥当ではないというふうに考えるのでありますが、一つこの点は政務次官の所見を伺っておきたいと思います。
  60. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 時期別格差の問題につきましても、大体先ほど長官から御説明申し上げましたように、農林省側の従来時期別格差に対して考えてきた方向を一応示したにすぎないものだと考えます。また、オカボ等の問題につきましても、実際の価格差の問題というよりも、ただその一部を筋を立てるためにこれを取り上げたという程度のものだと考えておるのでありますが、ただいま石田委員もお話しのように、時期別格差の問題は、ただ単に歩どまりの問題あるいは米の品種の問題というばかりでなしに、いわゆる時期別格差の設けられてきたいろいろな今日までの歴史、経過等につきましてもわれわれといたしましては承知いたしておるところでありまして、ただいま農家が作付をする以前にすべてこれを明らかにするということにつきましてはわれわれも確信を持たないわけでありますけれども、この格差その他の問題につきましては、これは非常に大事なもので、直ちにこれが農家経済に影響するところでもございますので、十分慎重に検討いたしまして、誤りのない方向へ持っていきたい、かように考えております。
  61. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 長官に伺いますが、米価審議会の小委員会かずっと引き続いて聞かれておるようでありますが、米価審議会諮問されておる米価算定の方式についての答申は、およそいつごろに行なわれる予定でありますか。
  62. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 米価審議会で現在小委員会を設けまして米価算定方式の検討をいたしておるわけでありますが、昨年の暮れに算定方式の審議に入りました際の考え方といたしましても、今後の米価算定方式について妥当なものを確立するということでございましたが、やはり三十五年産の米価から実際に当てはめることのできる算定方式を編み出すということを実際には意図して検討を進めておるわけであります。毎月相当詰めて検討を進めておりまして、過般の連休の間にも三日間連続して審議を進めたのでございますが、まだ大きな問題につきましてかなり議論が残っておりまして、今月の十六日に重ねて委員会を開くことになっております。その結果で今後の取り運びの模様か次第に明らかになって参つると考えますか、われわれといたしましては、本年産の米価の決定は、例年通り六月の終わりの米審の開催を目途としていろいろ準備をいたしておりますが、その時点とのかね合いにおいて考えますと、今月の終わりぐらいを一応の目安にして答申を出していただくことが望ましいというふうに考えておる次第であります。
  63. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 政府は、米価問題になると、さっきも長官が触れられたように、むずかしい問題になるといつでも米価審議会答申待ちということでそこへ逃げ込んでおられるのですね。毎年そうなんで、いつも米価論争が始まると必ず米審の答申を見てということを言うのですが、実は、米価審議会答申というものは、口先では尊重する尊重すると言っておるけれども、ほとんど尊重しておらないのです。これは政府の隠れみのになっているわけです。はなはだけしからぬのです。それで、私は、この機会に長官に要求しておきますが、米価審議会答申政府の決定との関係を、ずっと米価審議会が発足以来の答申内容と、それから政府がどの程度尊重したか、その政府の決定と比較対照したものを一つ資料に出してもらいたいと思う。  それから、今六月の終わりごろを目途としてということを言われたようですが、いつから六月の終わりごろになったのですか。これは、実は、予約制度か始まる前は出来秋に米価がきまっておったわけです。ところが、予約制度に踏み切ったときに、米価がきまってから農民か作付計画を考える余地を与えるようにということで、おそくとも五月中にはきめるということでやっていたのです。そういうことで、予約制度を実施するときに、本委員会でずいぶんこれは論争があって、依然としてやはり出来秋にきめるべきではないかという議論もあったけれども、そうではない、米価がきまった上で植付についての計画変更等の余地を作ろうということで、これはおそくとも五月一ぱいにきめるということであったのです。ところが、近年、いろいろな障害があったり問題が紛糾したりして、ついに麦価の決定と調子を合わせるようになってしまった。麦価はこれは法令に基づいて六月中にきめなければならないことになっておるけれども、米については、予約制度の発足と同時に、少なくとも五月中にということでこれを発足しておるのです。これは、長官、何かの考え違いかと思うのでありますが、これについては、大臣がそのうちに帰られるでしょうから……。それにしても時期は間に合わないと思いますけれども、これは、ことし間に合わなくとも、来年からは、さっき私が言ったように、少なくとも営農計画、作付計画というものは価格とにらみ合わせて変更のできるような余地を与えるという建前に戻さなければいけない問題だと思うのです。どうですか、政務次官、一つこの点をお伺いいたします。
  64. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 建前は石田委員のおっしゃる通りだと私も考えるわけであります。昨年の米価審議会も実は六月になったわけでございますが、昨年おそくなりました理由は、御承知のように、生産費・所得補償方式というようなむずかしい問題が出て参りまして、これをできるだけその中に取り入れてやるということで、いろいろ六月の終わりになったわけでございます。本年もなるべく早くやりたいと私どもも相談をいたしておったのでございますが、御承知のように、昨年の米価審議会におきまして、やはり、これらの問題を一つ根本的に検討して、結論をできるものならば出したいこういう意味から、せっかく今審議会におきましては小委員会も作られまして根本的な検討をいたしておる際でございまして、われわれといたしましても、でき得る限りそういう線に沿ってこの際やっていきたい、こういう考え方で進んでおりましたために、ただいま長官から申しましたように、六月の終わりになる、急いでもそういうことになるのではないかと考えておるわけでありまして、今後の問題につきましては、石田委員の申されますように、でき得る限り一つそういう方針に従って早くやるように準備をしていきたい、さように考えておる次第でございます。
  65. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 私からも若干補足をして申し上げますが、米価は、考え方によりましては、できる限り早く、少なくとも、もみおろし時期との関係において早目にきめるべきであるという御趣旨は、十分私どももわかるわけであります。ただ、実際問題といたしまして、米価のきめ方につきましては、私からあらためて申し上げる必要もありませんが、最近は、いろいろこまかい資料を組み合わせまして、検討いたしました結果を用いまして米価の算出をいたしておるわけであります。現在のような建て方をとりますと、たとえば生産調査の結果等が実際にまとまりまして使われます時期等を考えてみましても、やはりどうしてもいろいろな作業を急ぎましても今のような状況になっておるわけでありまして、もっとこれを繰り上げるということになりますと、そこらの点からも相当基本的な手直しをして参らなければならぬわけでございます。私どもといたしましては、現在のような米価のきめ方をとっております建前のもとにおきましては、実際問題として六月にかからざるを得ないというように考えておるわけであります。     〔本名委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それはそういう面も多少それこそ手直しをすればできるのですよ。たとえば、ついせんだって統計部でまとまった生産調査は昭和三十三年度のものしかまとまっていないでしょう。その基準年次をどこにとるかということは別としてもどの道やはりそう何もかもが資料が出そろうわけではないのです。ですから、そんなことによって左右されるものではないのです。それは長官不勉強ですよ。これはパリティ米価で、パリティというものを何月に切るかということになればそれは別だかもしれぬけれども、基準年次を何年にとるかということもそれももちろんあろうけれども、必ずしも六月などにならなくたって、五月の半ば、五月の十日でも二十日でもこれはできるのです。多少の点さえ考慮すればできる。そういう考えだとすればこれはとんでもない考え違いだ。どうですか。
  67. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 われわれといたしましては、生産調査の結果の点につきましても、できる限り最近年次のものを使いまして算定をするようにいたしておるわけなんであります。ことしの場合も三十四年産の集計結果を急ぎまして、これを実際にその中に織り込んで参るような準備を進めておるわけであります。従いまして、これは過去の例から見ましても、その直前の年次のデータは使用できます限り使用をいたしておるわけであります。そういう関係からいたしまして、従来のやり方は六月になっておるということを御了承を願っておるわけでありますが、この点につきましては、米価をきめる時期につきましてのいろいろな考え方もあるわけでございまして、なお私の方としても十分検討いたしたいと思っております。
  68. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 統計部長に伺います。私、はっきりした月日を忘れたのですが、三十三年度の米の生産調査は何月にできたのですか。それから、統計調査部の内容を充実すればもっと早目にその資料がまとめられると思うのですが、たとえば、三十四年度の分とすれば、三十四年中くらいにはできるような運びにいきませんかどうですか。
  69. 立川宗保

    ○立川説明員 三十三年の生産調査を印刷をいたしましてかような形で公刊をいたしましたのは昨年の秋でございます。でありますが、昨年公刊をしましたのはおくれたわけでありますが、米価審議会が開かれます前には三十三年度の生産調査の結果をまとめまして、三十四年度米価決定の資料に使われたわけでございます。その生産調査の結果はやはり米の最終的な処理が終わりますまでは農家に帳簿がございますし、その後その資料を取りまとめて点検し集計をし、まとめ上げるということに若干の時間がかかるわけでありますが、先ほども食糧庁長官からお話がありましたように、生産調査そのもの、ずばりを米価決定の資料といたしませんで、それをいろいろな角度から、たとえば都市均衡労賃でございますとか、あるいは都市と農村との物価差でありますとか、そういうような加工の過程がございますので、生産調査かいつまでにできるから米価審議会がいつということは、その内部にいろいろなクッションがあると思いますけれども、できるだけ、米の生産調査については、石田委員の御趣旨通り、力を尽くして早く結果を得るというように努力をしたいと思っております。
  70. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 どうも統計調査部も地方を回ってみると手不足なようですね。それから予算不足でなかなか思うように動けないということですね。この点でちょっと関連かありますから伺っておきますが、今までは二千六百戸の調査を行なっておったが、本年度からは五千三百戸と倍にふえた。ところが、地方の統計の諸君は今申し上げたように自転車やオートバイもきわめて不十分であり、人員も手不足で悲鳴をあげております。そこに持ってきて、今度は今までの倍の戸数を割り振られて、一体どうしようかということで困っておったわけです。どうも歴代の統計調査部長は気の弱い部長が次々と出てきて、予算獲得がまずいんじゃないか。もっと思い切って——これは一つ政務次官によく聞いておいていただきたいんだか、基本問題調査会などといって大世帯を張って、そうしてずっと長期計画を立てて日本農業の方向を定めるなんという大きなことを言っておるが、これはみんな統計資料に基づいて考えなければならぬことなんです。ところが、統計調査部が虐待されている。これはやはり政務次官あたりも特別に力を入れてもらわなければ困ると思うのです。聞くとこるによると本年度の米の生産調査については応急措置が何か話がついたということなんですが、これこそ手直しをされて調査の万全を期せられるべきことだと思うのですが、一体どのようにお考えなのか、伺っておきたいと思います。
  71. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 農業政策を確立するために農林統計の正確を期していかなければならぬということは、全く石田委員のお説の通りだと思うのでございます。そこで、ことしの米の調査の問題につきましては、先ほど石田委員も述べられたのでありますが、ある程度の予算も獲得はいたしたのでありまするけれども、十分でございませんので、食糧庁の方からも一部お手伝いをするというようなことで、この案を最初立てまして、その問題大体に軌道に乗ったように報告を受けておるわけであります。この問題については、当時、御承知のように、実は角屋委員からもずいぶんおしかりを受けて、われわれもいろいろ鞭韃せらたところでございまして、その後いろいろとその調整にも苦慮いたしておるのでありまして、なお今後におきましても、お示しのように、農林統計の正確を期する、迅速にやるという建前をもちまして、十分努力して参りたいと思っております。
  72. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 部長から具体的に……。
  73. 立川宗保

    ○立川説明員 これは一つ方法だけではなかなかカバーをし切れませんので、できるだけいろいろな工夫をこらしまして、各種の処置をもって対応するほかはないわけでございます。従って、一つ方法としては、できるだけ欠員は全部埋める。地方組織によっては、あるところは過員でありあるところは欠員であるというふうにでこぼこがあります。全国的にはパーパーでありますけれども、欠員のところは欠員だというようなところがありますので、過員はさておきまして、欠員の個所については、できるだけそれを埋めるというようなこともし、それから、統計調査部の内部において仕事の配置転換をやるということも講じ、さらに、いろいろ他の業務に援助するというような形をとっておりましたような者も統計の仕事に専任をするというようないろいろな方法を講じまして、さらに、米の生産調査は全体の業務の百分の一ぐらいの業務量でありますから、総業務量の中でいろいろ段取り、あんばいを考えまして、それぞれの事務所ごとにスムーズに仕事がいくように工夫をする、こういうようなことを考えたわけであります。
  74. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、これは非常に重要な問題だと思うのですが、今まで農林大臣は、三十五年の十月までは消費者米価は値上げしない、こういうことを言ってきました。しかし、その後これについての意思表示が行なわれておりませんが、本年の十一月以降の消費者米価については、従来通り据え置きにする方針なのか、あるいは若干値上げをするお考えなのか、この点を一つ政務次官から伺っておきたい。
  75. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 これは私から御答弁申し上げるのはきわめて困難な問題であるのでありますが、当時大臣からいろいろお話がありまして、私どもが聞いておる範囲では、十月までは消費者米価の値上げはやらない、その後の問題は情勢を見て検討するということだろうと考えておるのでありまして、しからば、十一月からは値上げをやるのであるかというと、そうではなかろうと考えております。確信を持って十月までは絶対にやらない、今後の問題は未定の問題だ、かように御了解をいただくのがいいのではなかろうかと考えておりますが、いずれまた、大臣も近く帰ることでございますから、そういう問題については所信を明らかにいたすことになるかと考えております。
  76. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大臣が不日帰られるわけでありますから、さらによくお尋ねをしたいと思いますが、次に、予約減税について伺いたいのであります。昨年は予算編成の中で、予約減税を取りやめるということで、予約減税を取りやめるかわりに石当たり七十五円の米価の値上げをするということがきまっておった。しかし、それに伴う資料がきわめてずさんでありまして、確信のある主張が通せなくなって、後にさらに一万戸についての米売渡し農家の予約減税廃止をした場合と廃止をしない場合の経済的影響についての調査が行なわれた。ところが、その調査もきわめてずさんなものでありまして、実際の農家側の調査や、あるいは実際の影響というものと非常な相違がありまして、猛烈な反対があって、ついに予約減税はそのままになって参りました。そのときに、やはり、食糧庁長官も大臣も、まあ本年度はこれは存続をする、こういうことを言っておられたわけでありますが、三十五年度については一体いかなる方針であるか。もし予約減税を取りやめるということでありまするならば、すでに相当事務的な準備が行なわれていなければならないはずだと思うのでありますが、これはどうお扱いになるおつもりでありますか。
  77. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 予約減税の問題は、ただいま石田委員御発言の通りの経過でございまして、いろいろこれに対する利害得失等も正確でなかったと言われればそれまででございますが、いろいろ調査もして参ったところでございます。ともかくも、私ども農林省当局といたしましては、三十五年度においては予約減税の問題を廃止するという考えは持っておりません。これを継続するという建前でただいまのところ進んでおるわけでございます。
  78. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 関連して……。本日は米価問題について石田委員の方から御質問があったわけですが、先ほど米の生産調査の問題で触れられました問題は、これは、過般本委員会においても、あるいは先般衆議院の内閣委員会においても特に私の方で取り上げた問題でございますけれども、この機会に、政務次官並びに関係の方々に、いろいろ質問の趣旨に基づきまして非常に努力をされてとりあえず当面の解決策として処理されたということについては御礼を申し上げたいと思うのですが、ただ、そういう質問の過程でも明らかになりましたように、また、石田委員からも御指摘がありましたけれども、統計調査機構のあり方、調査の体制というものについては、やはりはっきりした基本的な見解に基づいて今後とも一つ自信を持って推進をしていただきたい、こういうことを希望申し上げて、簡単に御礼を申し上げておきます。
  79. 吉川久衛

    吉川委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五分散会