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1960-04-07 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月七日(木曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 角屋堅次郎君    理事 芳賀  貢君 理事 小平  忠君       金丸  信君    倉成  正君       坂田 英一君    笹山茂太郎君       高石幸三郎君    綱島 正興君       野原 正勝君    松田 鐵藏君       三和 精一君    保岡 武久君       赤路 友藏君   茜ケ久保重光君       中澤 茂一君    西村 関一君       松浦 定義君    山田 長司君       小松信太郎君    中村 時雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政監理局長)  山口  酉君         農林政務次官  小枝 一雄君         水産庁長官   西村健次郎君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  立川 宗保君         農林事務官         (農地局参事         官)      正井 保之君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      岡崎 三郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 上瀧 ロク君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 四月七日  委員鈴木一君及び中村時雄君辞任につき、その  補欠として小松信太郎君及び中崎敏君が議長の  指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月七日  漁業協同組合整備特別措置法案赤路友藏君外  十七名提出、第三十一回国会衆法第四六号) は委員会許可を得て撤回された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  漁業協同組合整備促進法案内閣提出第六一  号)  中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六二号)  水産業改良助長法案赤路友藏君外十七名提出、  第三十一回国会衆法第四五号)  漁業協同組合整備特別措置法案赤路友藏君外  十七名提出、第三十一回国会衆法第四六号)  農林水産業振興に関する件(統計調査部の定  員問題)      ――――◇―――――
  2. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。ただいま国土総合開発特別委員会審査中の臨海地域開発促進法案について連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。  なお、開会日時等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じます。      ――――◇―――――
  4. 吉川委員長(吉川久衛)

  5. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 昨日に引き続いて御質問を申し上げたいと思いますが、このたびの漁業協同組合再建整備を実際に行なっていくためにはかなりの努力と指導強化していかなければならないと思うわけでありますけれども漁業協同組合整備強化に関してただいま組まれおります政府予算は、内容的には、駐在指導費巡回指導費、あるいは合併指導費、こういったものは大体どの程度のものであるか、まずお伺いしたいと思うのです。
  6. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 昭和三十五年度におきまして、指導、いわゆる駐在指導あるいは巡回指導につての国の都道府県に対する補助は二百九十五万円、これは旅費等補助でございます。そのほかに、合併奨励金、これを百二十五万円、こういうふうに計上いたしております。なお、そのほかに整備委員会費補助というものが七十四万五千円、こういうことでございます。
  7. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 ただいま、二百九十五万程度、その他合併奨励金百二十五万というお答えでございましたが、お答えになった長官がおわかりのように、北は北海道から南は九州の果ての津々浦々の新組合再建していく、指導していくには、これはまことにお粗末じゃないかと考えるわけです。私の郷里の長崎県だけとりましても、対馬、壱岐その他小さい島を考えましてもこの程度指導費が要るわけです。これは、本気再建整備をやろうとするならば、やはりこういった点についてもさらに深い配慮が必要じゃないかと思います。しかし、水産庁にはその他の予算費用もあると思いますから、ぜひこの再建整備のためにはそういった経費をできるだけ活用されまして遺憾のないようにしていただきたい、かように希望を申し上げます。  次に、協同組合再建をはかるにいたしましても、今後の沿岸漁業不振対策並びに漁業全体の振興対策に応じて、現在まであります協同組合をこのままの形で置いていいかどうか、再検討すべき問題がいろいろあることは、漁業制度調査会その他の結論によっても明らかでございますので、これらの問題についてもさらに十分な御研究と早急な結論を出していただくことを特に御要望申し上げたいと思います。  それから、整備促進法案の第十四条で、合併奨励措置というのがございますけれども、これについて都道府県知事勧告をすることができるようになっております。この合併ということは、机の上ではなかなかやさしいのでありますけれども現実の問題といたしましては相当困難な事情が入り込んでおることも、御承知通りでございます。そこで、この合併基準と申しますか、どういった基準に基づいて都道府県知事勧告をするものか、また、この勧告効力と申しますか、どの程度の効果を持つものであるか、そういったものについての政府の御見解を伺いたいと思います。
  8. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 御承知のように、現在漁業協同組合が非常に地区が狭い。これはいろいろ沿革的な問題、地理的あるいは経済的な問題がございます。そのために組合の力が非常に弱いということは御承知通りでございます。従いまして、組合強化するために、再建整備をすることももちろんこれは大事でございますけれども、やはり、それと並行して、そういった過小な組合合併さして大きくしていくということが必要であるということは、もう当然であります。ただ、漁業協同組合合併の場合におきましては、これは地理的なあるいは経済的な特殊性というのが組合々々によって非常に違います。御承知のように、農業協同組合とはその辺の事情が非常に違うと思います。従って一定の抽象的な基準というものをこれに当てはめてみても、なかなか現実にはそれは動かないという場合が多いわけであります。従って、これは、都道府県知事が、この組合整備強化指導は従来からもやっておりますし、これからも一段とこれを熱心にやっていただくわけですが、その場面におきまして、この組合とこの組合合併した方がよろしいという場合に、その内容あるいは財務内容その他を調べて、そうして慎重にそこをやっていく、こういうことが一番現実的じゃないかと考えております。  そこで、合併の場合に一番妨げとなるのは、実は漁業権の所属の問題であります。そこで、私の方では、十五条におきまして、漁業権行使について、その合併によって従来の組合員漁業権行使する権利が不当に侵害されることのないように、そこを決議権行使について特例規定を設ける。これをしませんとどうしても合併がうまくいかないということで、この措置を法的には特例を設けまして、合併を促進して参りたい。  ただ、それと合併の協議をすべき旨の勧告というものの法的な効力、これは私どもは性質上法的拘束力をつけるのは適当でない。しかし、都道府県知事都道府県知事の任務としましていろいろやって合併勧告をした場合、これは実際問題としてこれが相当働いてくる、こういうふうに期待しているわけであります。
  9. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 ただいまの御答弁でございましたが、現地の実情に即して都道府県心事に全権を委任するというお考えのようでございますけれども本気合併勧告をしてその実効をあげていくためには、やはりその裏づけが必要ではないかと思うわけであります。その裏づけとしては、先ほど御説明にありましたように、合併奨励金として百二十五万円があるわけであります。しかし、百二十五万円の奨励金で一体何をしようとしておるのか、ちょっと私常識を疑うわけですけれども、この点、どういうお考えでこの合併奨励金をお組みになったか、一つお伺いしたいと思います。
  10. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 合併奨励金というのは、今御指摘のありましたように、非常に額が少ないということでありますが、これは、たしか農協整備の場合に、やはり合併にこれくらいの金が出た、大体それにならっているわけであります。私どもとしては、この金をもって合併をするという意味合併奨励金というものを出すのは適当でないし、そういう考えは持っておらないわけであります。ただ、合併する場合におきましていろいろ事務的な費用がかかるというものについて、それを助成していく。しかし、合併は、あくまで、組合として将来健全に発注していく場合どういう地区でやるべきかということの上に立って大乗的な見地からお互いに判断していく、こういうことだろうと思います。  それから、どうも基準がないではないかということでありますが、私どもは、先ほど申しましたように、具体的な組合ごとにそれは判断すべきだと考えております。現在の漁業協同組合相当数はまだ依然として旧市町村のまたその一部というのがありますので、これらをせめて旧市町村区域くらいにしたい。新市町村区域では、漁協ではなかなかそこまでいけぬと思います。大体そういう目安を持って進めていきたい、こう思っております。
  11. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 ただいまの長官の御答弁に対して、私、非常に不満でございます。どうしてかと申しますと、金だけで合併をさすべきでないということは私も同感です。しかし、それならば本気水産庁指導をやっておるかという問題とにらみ合わして考えていかなければならない。ですから、百二十五万円の合併奨励金で、大体どのくらいの組合合併して、大体どういう補助をするのか、一つ承ってみたいと思います。
  12. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 先ほど申しました合併奨励金百二十五万円は、組合合併一件について十万円、それの二十五件について二分の一補助、こういうことで百二十五万円を組んでおるわけであります。この一件十万円というのは決して十分でないかもしれませんけれども、やはり合併に伴いいろいろ必要な事務費がそこに生じます、それを補助する、こういう趣旨でございます。
  13. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 二十五の組合について十万円ずつ二分の一補助をするというお話ですけれども、現在組合で五十人以下の組合というのがかなりの数があるということも御承知通り。また、必ずしも組合員の数だけで組合の強弱を論ずることができないかもしれませんけれども漁業協同組合合併というものは、農協合併とは確かに事情が違いまして、これは容易なことではないのですから、これをほんとう本気でやろうとするならば、もちろん金額の多寡だけど論ずべきではないと思いますけれども、やはり、ほんとう実情に即したこういった奨励措置をやるなら、やるだけの裏づけをしなければならないと思います。農協は十万円だったから漁協もという、いろいろバランスで考えられる大蔵省的な考え方というものは、漁協の場合、ちょっと現実を知らない人の議論じゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。この点は、すでに予算は通過しておるのでございますから、これ以上申し上げませんけれども、来年のこともございますから、真剣に御検討いただきたいと思います。  それから、次に、第十一条で青色申告の問題がございますけれども、いわゆる法人税特例措置構ずる場合に、三十五、三十六年度の青色申告をすることが条件になっておるわけでありますけれども、現在までに漁業協同組合青色申告をしておられる組合がどのくらいあるか、また、不振組合の中で現在青色申告をしている組合がどうなっているか、伺います。
  14. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 先ほど倉成委員から、例の合併奨励金はわずかな金でやろうということで非常に熱意がないということでしたが、私の申し上げた趣旨は、合併奨励金を渡してそれで合併が足れりというわけでは決してないのであって、実は、その背景と申しますか、根底には、やはり県を中核とする系統団体もそこに加わりました指導体制というものが必要である、こういうふうに考える。それがまず基本になります。その点につきましては、先ほども申し上げましたような予算で決して十分とは申しませんけれども、今後においてこの指導体制強化については私どもとしては十分努力して参りたい。さらに、今年度におきましても、予算成立後でありますけれども、その他の、この予算に限らず、たとえば不振組合等につきましても、水産庁の方からも調査にいって少し臨床的に調べてみるというようなこともいたしまして、いろいろな面をあわせまして、できるだけこれを推進して参りたい、こういうふうに思っております。  それから、青色申告の問題でございます。私の方で千二百くらいの漁業協同組合につきまして税法上の申告をどう取り扱っているかということを調査しましたところ、税法上の申告納税をしている組合がそのうちの約八割、そのうちでまた青色申告をしている組合が六割、従いまして、青色申告している組合が千二百組合中五百程度あるというあれが出ております。しかし、不振組合のうちどうなっているかという調査はしておりませんので、そういう数字はちょっと今持ち合わせておりません。
  15. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 青色申告の問題は、特に不振組合で問題になるわけですね。御調査数字がないということですからこれ以上申し上げませんけれども、三十五年度について青色申告はいつまでにやることになっておりますか。
  16. 林田説明員(林田悠紀夫)

    林田説明員 青色申告提出の期日につきましては第十二条に規定してあるのでありますが、最初提出しようとする青色申告書にかかる事業年度昭和三十五年の四月一日以後最初に開始する事業年度である場合には、三十六年の一月三十一日までに提出ができるということにいたしてあります。
  17. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 三十五年度に青色申告を実際にするということになりますと、不振組合相当の準備をしていかなければならない。提出期限の問題も、ただいま御答弁がございましたけれども、さらにいろいろ御研究いただきたいと思います。これは、よほど積極的に指導しないと、不振組合でもう債務が非常に多くて組合の機能が停止しているというようなところがかなりあるわけですから、そこで、この法人税法特例措置を得させるというためには積極的な指導がいるわけです。巡回指導費六十二万三千円、こういう経費も、長官お話では金額だけではないと言われるかもしれませんが、一応常識的に判断してあまりに形だけ、項目だけをあげまして、これで対策が終われりとする考え方、そういう認識の仕方に私は問題があるんじゃないかと思います。これは、やはり、本気でまた現実実情をよく承知してこの予算をお組みになったとすれば、私は、水産庁沿岸漁業の実態に対する認識について、いかに統計資料をたくさん積み重ねて数字の羅列をされても、その調査というものに血が通っていないと思うのです。ですから、やはり、こういう法律の条文に少なくともいろいろな恩典をお書きになってこれを漁獲協同組合再建のために資しようと本気でお考えになるならば、それにふさわしいだけの指導体制予算の裏打ちが必要でございます。  そういった意味で、私は、少なくとも委員会の審議としましてはこういうことは慎重にやるべきだと考えるわけでございますけれども、もう一度お尋ねしたいと思いますが、こういう指導体制、あるいは現実の全漁連漁連あるいはその他水産庁府県を含めての現在の指導体制がこれで十分であるかどうか、こういうことについて一つ政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  18. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 これは昨日も申し述べたところでございますが、ただいま倉成委員御発言のように、漁業協同組合は他の協同組合に比べましても非常に立ちおくれておる感が深いのであります。なお、組織の問題、その他業種の問題、いろいろ多岐多様にわたりまして、きわめて複雑でもあります。また、中小漁家の所得の問題、そういう点におきましても他の産業に見劣りするところが非常に大きいのであります。かれこれ考えまして、私どもといたしましても、今日のわが国の漁業協同組合につきましては一そう指導強化する必要があることを痛感いたしております。従いまして、これは、農林省自体の力をもってこれに対して極力指導陣営強化いたしますのみならず、あるいは県、あるいは団体等にもその指導員を委嘱するというふうないろいろな方法を考えまして、将来この指導陣営強化に完璧を期していきたいと考えております。
  19. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 ただいまお答えがございましたけれども、元来、水産庁仕事内容をいろいろ検討してみますと、いろいろ対外的な国際的な折衝、あるいはいろいろな許可、認可、そういった仕事、そういったことを別としますと、大体資本漁業等自力でもってかなりやっていくことができるわけです。そこで、実際自力でやっていくことのできない沿岸漁民をいかにして生活を安定さしていくかということが水産庁仕事として至上的な一番大事な仕事一つじゃないか、かように私は考えておるわけでありまして、そういった意味において、今後の水産行政あり方について特に十分な御検討をいただきたいと考えるわけであります。  そこで、次に、時間がございませんから端的にお尋ねしますけれども水産庁においてはどの部局沿岸漁業中心としたいろいろな施策について御担当になっておるかということを、部局、それから課、こういうのをお尋ねしてみたいと思います。
  20. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 部といたしましては、大体沿岸漁業については漁政部でございます。なお、生産基本施設であります漁港部というものも当然これに関連して参ります。これは漁政部が全体的に沿岸漁業関連しているわけでございます。そのうちでも、漁政部のうち沖合い漁業というものもありますけれども、まず、組合の問題なり金融の問題からいくところは協同組合課であります。物的な面というか、生産基盤強化とか漁場の改良とかいうようなもの、あるいは水質汚濁の問題、こういうものは同じく漁業振興課、それから、ちょっと言い落としましたけれども、そのほかに、漁政部の中で、たとえば許可面の問題、それから漁業制度、この面といいますと、漁政課、それから漁業調整課、それから企画室企画室は現在漁業制度の改正につきましてここがもっぱら中心となってやっておるわけであります。ここが中心となって調整課あるいは振興課組合課、これらの課が全部漁政課に協力しましてやっております。なお、申し落としましたが、調査研究部研究第二課におきましても、沿岸漁業関連いたしまして、ことに水産業改良普及事業関係、これを担当してやっております。  先ほど倉成委員から御指摘がありましたように、水産庁行政の最も重点は、やはり、沿岸漁業振興沿岸漁民をどうするか、このきわめて困難な問題にあることは当然でありまして、われわれとして、その方向についていろいろ考え、そこに重点を置いていろいろ施策をやって参るわけでありますけれども、この面につきましては、単に行政のみでは片づかない、大きな政治で片づけなければならない問題が非常に多いと思います。ただ、われわれとして遺憾に思いますのは、海洋漁業の面、遠洋漁業の面が、現に行なわれております日ソ漁業等でたまたまジャーナリズムに非常に大きく報道されるために、あたかも水産行政はその面に向けられておるというような印象を与えますけれども水産行政の本質は沿岸漁業振興にある、こう思っております。  なお、現在のような機構がいいかどうかという御批判もあるいはあるかと思います。これはわれわれとしても前から検討はいたしておりますが、ともかく、一つの課とか一つの部に統合したから事務が円滑にいくというわけにも参りませんので、各部課の連絡を緊密にしつつ、従来よりも一そう総合的に関連を持ちつつ行政を進めて参りたい。たとえば、率直に申し上げまして、従来漁港部仕事というものは沿岸の問題と離れがたちであったというようなことはよろしくないことでありまして、御承知のように、漁業協同組合不振原因漁港負担金のために不振になっておるということもあり、これでは何もならないと思いますので、その辺に関連して全体を総合的にやって参りたい、こう思っております。
  21. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 ただいまの長官の言葉をそのまま御信用申し上げて、これ以上申し上げませんけれども水産庁ほんとう沿岸漁業中心とした施策を真剣に今後御検討いただきたい。なお、ちょっと触れられました漁港政策あり方につきましても、日をあらためて詳細にお伺いをしてみたいと考えております。  最後に、水産試験研究機関の問題でありますけれども、先般長官お答えの中に、改良普及事業との関連で現在の試験場が十分なセンターになり得ないというお話がございましたが、現在の地区試験場あるいは府県試験場あり方についてどういうふうなお考え方を持っておられるか、現状と将来のあり方お答え願いたい。
  22. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 水産行政でもう一つ非常に大きな課題は、試験研究機構をどうするか、これは国の研究所も含めまして、大きな課題でございます。これについてはわれわれの方でもいろいろ検討はいたしておりますが、これはいろいろ影響するところが大きいものですから、慎重にやって参りたい。そこで、この問題は、単に国の研究所の問題でなく、やはり府県試験場の問題も考えて参りたい。この前申し上げましたように、改良普及事業というものを強力に推進するためには、やはりそのセンターみたいな方向考えいくべきじゃなかろうか。しかし、まだ私の方で成案は得ておりません。御承知のように、府県試験場現状を見ますと、いろいろな加工、たとえばカン詰等もきわめて旧式な機械をもってカン詰を作っておる。民間カン詰等商品価値がすべて進んでいるのに、そういうものでは何にもならないのでありまして、やはり、その辺のところを大きく反省しまして、真に漁民のためになる指導センターというような意義を大きく前面に打ち出していく。ただ、先ほど申しましたように、機構の問題というのはいろいろの面に関連しますので、慎重に進めて参りたい、こう思っております。
  23. 倉成委員(倉成正)

    倉成委員 試験研究機関については、長官から今後十分検討するというお答えでありますから、あらためて御質問申し上げたいと思いますが、ただ、一言申し上げておきたいのは、そもそも、試験場を設置した最初目的というものは、漁民生活をよくするということが最初出発点であったと思います。しかし、だんだん制度が固定化して参りますと、その試験場の本来の目的が忘れられて、ただ試験場としての形態を整えて維持していくのが精一ぱいだ。これは予算関係一つ大きな問題点だと思います。端的な例を申し上げますと、試験場予算が足りないために、その予算業者から求めて試験研究をする。そうすると、試験研究の結果は一部の業者にだけ利用される。民間漁民には縁の遠いものだ。決してこれは悪いとは申しません。しかし、本来ならば、ほんとう試験研究の結果が広く公開されて一般漁民の福祉に役立つようにあるのが試験場の本来のあり方じゃないかと思いますので、これらの点につきましては当局においても具体的にいろいろ試験場のデータをお持ちと思いますけれども、私も若干の試験場について承知いたしておりますので、あらためて御質問申し上げたいと思いますが、これも一つ真剣に再検討していただきたいと思います。  沿岸漁業の問題は非常にむずかしい問題でありまして、とにかく抽象的にこうだという結論を出すことがむずかしいということは私も十分承知いたしております。しかし、この再建整備法に関連しましていろいろ同僚各位並びに私から御質問申し上げたゆえんのものは、農協において開拓政策についてのいろいろな再建をやろうとしたときに、最初出発点において非常に中途半端で、その当時においては、予算関係、大蔵省との関係、いろいろそういう関係でやむを得なかったと言えばそれまででありますけれども、中途半端な施策を講じて、従って、三、四年たってまたあらためて同じことをやらなければいけないというようなことを繰り返しておるのでございます。そして、そのときにはすでに担当者が変わってしまって新らしい人がその衝に当たるということになってくるわけでございますから、この漁協再建整備法の出発にあたりまして、そういった前車の轍を繰り返さないような配慮が必要だということを特に強く申し上げておきたいのであります。それから、沿岸漁業振興対策というものは、いろいろな統計数字、あるいは抽象的な方向というよりも、これもまた農業の場合と同じく、現実の漁村、漁民の中に、いろいろな工夫をして、完全ではございませんけれども一つ自分たちの生活をよくしていこうという努力がなされている。そういういろいろ全国各地に芽ばえております芽を、一つあたたかい目で盛り立てていただきたい。そして、これをもし普及できるものなら全国の適応できるところに普及していく、こういう施策が今後の施策として非常に大事なことと思うのであります。ですから、幾ら法律の条文を書きましても、また法律説明がうまくても、その裏に、こういったものに持っていきたいという現実的な一つの構想なり実感がこもっていなければ、法律も死んだものになりますし、指導もまたほんとうの生きた指導になっていかないということを申し上げたいのであります。  いろいろ申し上げたいこともございますけれども、時間がございませんからこの程度にとどめますけれども、今後十分沿岸漁業対策について御検討、御研さんをいただきたいと思います。これで質問を終わります。
  24. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 角屋君。
  25. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 今回政府から提案されて参りました漁業協同組合整備促進法案、並びにわが党から出しております同じく整備特別措置法案に関連いたしまして、いよいよ法案の集約の段階にありますので、二、三の点について御質問申し上げたいと思います。  御承知のように、きのうは、本法案に関係のあります参考人、全漁連の片柳会長、あるいは北海道の安藤会長、あるいは中金の楠見理事長、この三人に来ていただきましていろいろ貴重な御意見も承ったわけです。その際私も質問を申し上げたのでございますけれども、やはり、本法案をして真に成果あらしめるためには、基本的に沿岸漁業振興というものを抜本的に進めなければならぬことは当然でございます。そこで、政府がかねがね提唱しております所得倍増論の関連におきまして、昨年、水産庁の方で、農林漁業基本問題調査会に、資料として、今後十年間の水産物の需給の見通しと生産量の伸び、こういうことに関連をいたしまして、遠洋漁業では、昭和三十三年を基礎にして一九二・一、沖合い漁業では一二五・九、沿岸漁業では一〇八・七、こういう数字を出しておるように承っておるのでございます。そういう数字を見てみましても、いわゆる沿岸漁民生産の伸び、従って所得倍増に対する期待というものがほとんどこういうふうな形では達成できないという状態に相なるわけでございます。しかも、最近の工場等の各地における進出、こういうふうなものから関連をいたしまして、沿岸漁業の漁場の喪失というものが現実にだんだん出て参っております。今次国会でも臨海工業地帯の法案等が非常に重要な論議の的になっておりますけれども、この際政府にお伺いしたいのは、一体、沿岸漁業振興という問題について、明るい展望を持って対処されるという考え方であるのか、あるいは、これはやはり防衛的な性格であって、他産業の伸展とともに逐次押されていくという考え方を持ってやっておられるのか、この点であります。この辺のところが、今後沿岸漁業振興の問題と関連をして、政府基本的な見解の問題だろうと思うのです。  農林省の予算等を見て参りましても、たとえば水産振興として沿岸漁業関連する部面を拾って参りますと、漁業生産性の向上として三億六千五百万円、そのうち沿岸漁業振興対策の拡充として三億四千百万円、さらに水産改良普及事業の拡充として二千四百万円、この程度予算規模をもって沿岸漁業振興に資しようとしても、なかなか今日の困難な沿岸漁業の実態から見るとこれは遅々として前進しないということであろうと思う。この際、今後の沿岸漁業振興というものに対して、政府として抜本的にどういう考え方、どういう構想に基づいて進めようとするのか、まずこれをお伺いしたいと思います。
  26. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 沿岸漁業について政府はどういう見方で進めようとしているかというお尋ねでございますが、いわゆる防衛的と申しますか、あるいは悲観的な見方と申しますか、そういう見方と、あるいは今後も伸びるという非常に楽観的な見方、この両者の面があると思います。と申しますのは、非常に防衛的な面も考えなくてはいけないが、やはり伸びる面も十分考えられる、こういうふうに思っております。今御指摘のように、漁場の荒廃、あるいは漁場の壊廃、あるいは埋め立ての進行により漁場がなくなる、あるいは工場排水、汚濁水による漁場の荒廃、こういうものにつきましては、われわれといたしましても、できるだけ漁場を確保する、それにはやはり一定の国土計画のもとにおいて漁場をはっきり確保していくという努力は今後もなされなければならないと思っております。昨年水質の保全に関する法律と工場排水の規制に関する法律がようやく成立いたしまして、この汚濁水に対する対策の第一歩が踏み出されたわけであります。これにつきましてはもっとわれわれも努力していかなければならない、私はこう思っております。しこうして、先ほどお話のありましたように、沿岸漁業というものは、片や漁場はそういうふうにして失われていく、しかも生産の方は伸びないというようなことで、今後ますます悲観的な方向にのみ進むかと考えますと、そこは私は必ずしもそう見る必要はないと思います。一方におきましてそういう漁場の荒廃なり漁場のつぶれることもございますけれども、漁場の改良、造成、生産基盤の増強ということは、従来と同じやり方ではいけない部分もあるかもしれませんが、いろいろ工夫によりまして漁業生産基盤強化ということはまだまだやる必要がありますし、やる余地があるように思っております。そういうことをいたしまして、片や防衛的な面もありますけれども、積極面をもっと一段と進めて参る。しかし、それのみをもってしては、いつまでたっても漁民の経済的地位は向上しないわけでございますから、そこは、やはり、単に漁場を作る、あるいは生産基盤強化するだけではなくて、できたものがいかに多く漁民に還元するかということを考えていかなければならない。それには、今後、水産物、漁獲物の商品価値の増大ということ、これにはいろいろ魚価対策その他着手したものがございますけれども、この面をもっと進めて参らなければならない、こう思っております。  それも考え、いろいろ考えます場合におきまして、結局、これらのことをやっていくものは何かと申しますれば、やはり漁業協同組合であろう、こういうことになるわけでございます。漁業協同組合をおいては他にないわけでございます。制度面の改正につきましては、目下漁業制度調査会でだんだん議論が煮詰まって参りまして、今後どういう制度にいくべきかという結論がおそらく今年じゅうには出てくる、こういうふうに期待しております。その制度の改正に伴いまして、漁業協同組合の任務は今後いよいよ重大になって参る。それには、やはり、現在のように三千の沿海の経済事業をやる組合の中に七、八百も不振の組合があるという調子では困りますので、これを強化して参りたい。そうして、片や生産増強なり漁民の経済的地位の向上の対策、これも、私は、現在をもってこれで足れり、もうこれでしようがないのだというふうには決して思っておりません。もっともっとこの面についても今後拡充して参りたい、こういうふうに考えております。
  27. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 これは、漁業全般を取り扱っておられる長官の立場として特に悪条件下にある沿岸漁業の問題を今後どうするかというお考えについては、これをもって沿岸漁家の人々がなるほどそういうことであれば明るい見通しを持ってわれわれもいけるということには率直に言ってならないと思う。先ほども申しましたように、資料として提示しておると私が考えております沿岸漁業の十カ年間の伸びというものは一〇八・七、わずか一割も伸びない、そういう現状のもとにおいて、政府が提唱しておる所得倍増の一環として沿岸漁業に従事する漁家の所得倍増をいかにして達成しようとするのかという点については全然明らかにされておらない。その辺のところはもう少し具体的に一つ水産庁としてのお考えを承りたい。
  28. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 沿岸漁家層は、実は、昨日、一昨日も申しましたように、漁業企業体のうちの八六%を占めております。ところが、漁獲金額はわずか一八%程度であるというところに、端的にその低生産性が露呈されておると思います。従いまして、これをどう向上させるかということがわれわれの最大の課題であろうと思うわけでございます。それを具体的に何も明らかにしてないじゃないかというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、漁業制度調査会において、漁業法だとか水産協同組合法、いわゆる漁業基本法の制度改正、これは沿岸漁家の地位の向上ということがいかにして達成されるかという方向において現在検討されておるわけであります。これが不日制度改正となって現われて参りました場合には、基盤としての基本制度はそこで確立するというわけでございます。それを、物的な面あるいは人的な面、――物的な面は、生産基盤強化としまして、沿岸漁業振興の諸施策のさらに一段の推進、あるいは漁場の造成というようなもの、それから、物的な面のみでは足らないわけでありますので、人的な面としましては、改良普及事業というものを今後もっと推進して参りたい。ただ、この点につきましては、改良普及員を豆をばらまくように置いても、それでは効果があがらないのであって、やはり、それには、先ほどから申し上げましたように、府県試験場というようなものをこれの指導センターにするというような方向で有機的に一つ指導体制を確立するということ。もちろん、この点につきましては系統団体の活動というものも強く要請されるわけであります。これと相待って人的な面においても沿岸漁業振興を推進して参りたい。最後にと申しますか、最も重要な問題として、これらを総合的に結びつける中核体としまして漁業協同組合整備強化、これは組織の面の強化をやる、こういうふうに考えております。
  29. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 沿岸漁業振興の問題に関連して、日本経済の全体の産業構造の中における沿岸漁業の占める地位、あるいはそこに就業すべき人口の密度、こういうふうなものをやはり基本的に考え、しかも零細な漁家の全体としての経営の近代化とか共同化とかいう新しい方式というものを、やはりだんだんと啓蒙等を伴いながら推進していく、こういうような形の中で、総体的には生産の伸びというものはそう大きくは期待されなくても漁家個々の所得としては前進をしていくという体制をやはり抜本的に考えていかなければならないのじゃないか。これは単に沿岸漁業だけで解決できる問題ではなくて、日本の経済全体、産業構造全体の中の再配置という問題とも関連すると思いますけれども、そういうことを抜きにして先ほど来水産庁長官が申し述べられたようなことをいかほど申されましても、現実にはやはり答えとしては確信あるものとはならないのじゃないか。この点は本法案に関連して積極的な面としてお伺いしたわけでありますけれども、この程度にいたします。  ただ、工場の沿岸への進出という問題に関連して少しくお伺いしたいと思うのですけれども、こういう問題に対して、漁場確保の立場からこれに対抗していくという法的根拠というものは、どういう法律でどういう内容によってなされるのであるか。
  30. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 ちょっと御質問  の趣旨がわかりかねる点もございますが、端的に申して、埋め立て等による漁場の喪失というものに対して法的にどう対抗していくかという問題でございますが、御承知のように、公有水面につきましては、現在のところ、公有水面埋立法というものがございまして、それによって、埋め立て権者が認可を受ける場合において補償というような方向で参るほかない、こう思っております。
  31. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 これは先日も申し上げましたけれども沿岸漁業自体の立場から見て、将来ともにこれは沿岸漁業の漁場として確保すべきところというものについては、確保できるような法的根拠と措置というものがやはり必要じゃないか。そうでないと、経済の発展と見合ってどうしても沿岸漁業そのものは防衛的な性格にならざるを得ない。将来ともに漁場を改良しそこに安定した生活が持てるのだという根拠には、やはり出産の場である漁場というものがどうしても確保されなければならぬと思う。そういう点、やはりもっと積極的な意味における沿岸漁場の確保に関する法的措置というものについて水産庁でも真剣に検討すべきではないか、こういう感じを私は率直に言って持っているわけです。  次に、最近言われております貿易の自由化あるいは為替の自由化ということと関連して、これが漁業全体にどういう影響があるか、特に沿岸漁業にどういう影響があるかという問題はなかなかむずかしい問題でありますし、同時に、水産庁でもよりより協議されていることを私ども承知しているわけですけれども、たとえば、そういう問題に関連をして、従来本委員会でも問題になった韓国ノリなら韓国ノリの輸入問題、こういうものを取り上げてみましても、最近の動き等を見ますと、これに関連する輸入業者は二億万枚から入れたいということであるようでありますが、しかし、これは国会における農林水産委員会の共同決議等で一億万枚以下というふうな決議の趣旨とぶつかっているということ等もございます。沿岸漁業の問題については、そういう貿易自由化や為替の自由化との関連が非常に大きく影響を持つのではないかと思います。これについて、沿岸漁業の立場から見て、このことがいわゆる明るい展望に立ち得るのか、そうでなくて積極的な生産基盤の確立をはかった以降でなければこの窓口は開くべきでない、こういう見解に立つのか、一つ簡単にお答え願いたい。
  32. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 貿易の自由化と水産業との関係、これは率直に申し上げていろいろむずかしい問題があります。実は、ガットの総会に農林省からも代表が行きました場合にも、日本は水産国ではないか、水産国が水産物の輸入を押えるとは何事だという空気が各国の間に強かった。こういうことも一つ念頭に置く必要があると思っております。ただし、日本の水産業と申しましても、日本の漁業は非常にバラエティがあります。ことに、沿岸漁業沿岸漁家というものは農家よりももっと経済的な力も弱いという事態につきましても、そういう特殊事情があるということも十分考えなければならぬ。われわれとしましても、そういう点も勘案しつつ、この貿易の自由化についてただ手放しで抽象的にこの問題に対処しているわけには参らない、こういうふうに考えておりますが、まだ最終的な結論は出ておりません。
  33. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 法案の中身に入りまして一昨日来の質問でもいろいろ出ているわけでありますが、昨日の参考人の意見とも関連をいたしまして、資金計画の問題でございますけれども、本委員会において福田農林大臣並びに小枝政務次官からも、今後少なくとも総額五億円ということを目途にして、政府もそのうち二分の一は最低限確保するように万全の措置を講じたい、こういうお考えに承っているわけですけれども、この際、きのう楠見中金理事長から出ました点ですが、出資の金が、これは結局返らないということであるのか、あるいは返るのであるかという点が明らかにならなければ、当面三千万円は気前よく出したけれども、あとあと出す分については、これはなかなかそう気前よくもいかない、こういう意味の御意見等も出ておりました。同時に、全漁連の会長もしくは北海道の会長の方からは、全国的な漁連の今日の財政状況から見て、当面、政府の一億の貸付に対して民間が一億二千万円になるか一億五千万円になるかは別として、このことについては最大限の努力をしてやりたいということであるけれども、今後の資金造成ということについては、なかなかこれは困難が伴う、こういうお話等もあったわけでございます。そこで、政府の貸付ないしはそれぞれの民間の出資について、長期の本基金の運営の終末においてどういうふうな処理になるというお考えのもとにこの法案が立てられておるのか、率直に一つお伺いをしたいと思う。
  34. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 昨日楠見理事長のお話で、まあ返らないものは困るということをおっしゃった。これはいろいろ含みがあるお言葉だったように私は聞いております。理論的に申し上げれば、これは出資でありますから当然返る、こういうふうに御了解いただいていいのじゃないか。ただ、そのほかにいろいろ含みがあることもあるようでございますので、その点につきましてはわれわれの方としても十分考えていかなければならない。ただ、今の御質問は、おそらく将来この基金が、何といいますか、脱皮しましてほかの姿に発展していくような場合においてどうなるのかということであろうと思います。私どもとしましては、やはりそういう方向を頭に描きつつこういう制度考えたわけでございますが、その際においても、せっかくこういうものができた以上は、できるだけその経済的基盤も強いものとして、さらに発展さす方向において努力して参りたい、こういうふうに思っております。
  35. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 今の長官お話で、基金方式の将来の発展の展望という問題について、水産庁から本委員会に出されておる資料の中では、この今日の漁業団体の指導体制というものが、やはり農業団体に比べて非常におくれておる、従って、この基金方式を、一応漁業協同組合整備が所期の目的を達した場合においては指導事業の母体として考えて参りたい、こういう構想を私は資料としては明らかにされておると思うのですが、そう受け取ってよろしいわけでございますか。
  36. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 大体そういう趣旨でございます。
  37. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 次に、漁業協同組合整備をやるにあたって、政府のこの基金方式と、私ども考えております農協整備促進と同じような考え方における国・県の指導体制でやる方式、こういうことの問題についてはいろいろ論議が重ねられてきたわけですけれども、ただ、この場合に、基金方式でやるにいたしましても、いわゆる駐在あるいは巡回等の指導体制の問題、あるいは零細なる漁協合併をする場合の合併奨励金等の取り扱いの問題、こういうことに関連をして、提案された政府の側では、当面こういう指導体制については従来やってきた一般会計の予算措置する、こういう方式でいくということであるけれども、行く行くは基金の仕事の一部としてこれを持っていきたい、こういう構想のように判断をしておるわけであります。問題は、やはり、かりに基金方式でやるということにいたしましても、この所期の資金が十分に充実しなければこれはなかなかできないということももちろんあります。しかし、本来、こういう指導体制に準ずるものは、やはり、国の責任において、あるいは地方自治体が協力する中においてやるべき性格のものであろうと思うのです。こういう指導体制の問題についてさらに見解をこの際承っておきたいと思います。
  38. 西村(健)政府委員(西村健次郎)

    西村(健)政府委員 私どもとしまして、指導員あるいは合併奨励金というものをこの基金で必ずすぐ来年度からやるというふうには別に考えておりませんけれども、この基金の将来における脱皮した姿というものをイメージに抱きつつ考える場合には、やはり基金でもそういうものをやれるということを一つ考えておく必要がある。これはもちろん資金量との関係もございます。私どもとしましては、資金量が充実した暁においてはそういうことも考える。もちろん、国としては、国の事務としてもこの組合整備強化ということは重要な事務でございますから、これは当然考えていくべき問題である、こう思っております。
  39. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 大体集約の構想というのがまとまったと承っておりますので、この際いろいろ質問はございまするけれども、最後に一点だけ、きのうの参考人に対する質問と関連をしてお伺いをしたいと思います。  そのことは、きのうも申し上げましたように、漁業協同組合整備の促進について政府が今日までじんぜん日を送ってきたということが言えるかどうかということは、率直に申し上げればそういうことになるわけですけれども、そういうことを待っておれない都道府県において、自主的な立場から、たとえば北海道初め長崎その他において県独自の立場でこの問題に乗り出し、所要の利子補給等を行なってきた。私は、こういう先進県の先覚的な英断というものに対してはやはり深く敬意を表しなければならぬと思いますが、同時に、こういうところについては、それだけやはり悪条件にあるということも当然考えていかなければなりません。従って、本法案が成立をする暁においては、そういう関係県の従来やってきた独自の措置というものに見合って、やはり国の方でそういう地域の整備というものがさらに前進するような予算的な配慮が、率直に言って考えられていいんじゃないか。これは、きのう北海道の漁連の会長にお伺いしましたところ、昭和三十一印の四月から三十三年までに利子補給として千三百二十二万九千円の金を払ってきたということを言っておりまするが、これに見合っての都道府県に対するこの種の仕事をやるための助成というふうなことに対してはどう考えるかと言ったら、非常に遠慮して答えられておりました。これは謙虚にお答えになったと思いまするけれども、私は、過般私どもが農業法人に関連をして視察をいたしました新利根の開拓農協あるいは新生の開拓農協をたずねた際にも、そういう今日問題になっておる農業の共同化あるいは近代化ということについても先進的な役割を果たしてきたところについては、従来はそういうことを措置なされずにやってきたのであるけれども、今日の段階になってみれば、それに見合っての助成措置というものをやはり考えるべきではないか。これは視察した人々の一致した見解でございます。そういうふうなことをいろいろ考えて参りますと、この際、そういう先進的なところについては、本事業を進めるにあたっても十分配慮していくと同時に、そういうところについての別途のやはりあたたかい措置というものが配慮されるべきじゃないかと思いますが、この点については一つ政務次官からお答えを願いたいと思います。
  40. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 ただいま角屋委員の御質問になりました、従来特に中小漁家の発展あるいは組合整備発展のために努力した地域に対して、特別に今後の施策について配慮すべきでないかという御質問の要旨であったと考えますが、これはもう、角屋委員おっしゃるように、これまで熱意を持って努力をせられたところは、それだけまた基礎においても発展をいたしておるわけであります。今回いろいろわれわれの方で考えておりますこういう組合整備強化をはかろうということも、そういういろいろな漁業発展のために政府がやっていこうとする仕事に十分役立つように基礎を作りたいということにあるのであります。御承知のように、政治は、すべて、打てば響くやり方をしなければ、とうていその所期の目的を達せられないと思います。従いまして、そういう熱意のありますところに対しましては、遡及してどうこうというわけには参りませんけれども、当然、われわれとしても、その熱意にこたえ、相呼応いたしまして伸展し発展するような施策をとるべきであると思いますので、御説のように、私ども、そういう地域に対しては、その成果を期待いたしまして、すべての施策を大いに進めていきたい、かように考えておるわけであります。
  41. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中正〕
  42. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 速記を始めて。芳賀貢君。
  43. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 法案審議の過程で大体問題点が明らかになりましたが、さらにこれを要約して政府に再度所信をただしておきたいと思うわけであります。  第一の点は、政府の案によりますと、基金制度を作りまして、基金の運用益を中心にして整備組合の強力なる再建を促進するということの意図は明らかになっておるわけでありますが、今年度の基金造成の予定計画等を見ますと、国から貸付金として一億円、それから関係団体の出資金が約一億五千万ということで、合計二億五千万にすぎないのであります。しかも、整備組合の対象になると予想される組合数は四百六十にも達するようなことでありますし、それらの組合の欠損金は約四十億円にも及ぶのではないかとわれわれは判断するのであります。従って、これらの欠損金に対する利子補給を基金の運用において行なうということになれば、この二億五千万程度の基金造成ではこの仕事はできないのであります。従って、この際、各委員の質疑の中にもありましたが、少なくとも、昭和三十六年度を目途にして、最低にしても五億円以上の基金が造成されるという見通しがつかなければ、この事業は進めていけないというふうに判断されますので、この基金を明年度を目途にして五億円以上造成する、しかも、この基金の造成については政府が主体的に努力をしてこの達成に努めるということが明らかにならなければいかぬと思うのですが、この点に対する政府の見解を明らかにしてもらいたい。
  44. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 ただいま芳賀委員の御質問の、本年度のこの基金の予算は一億円であって、これでは二億もしくは二億四、五千万円にしか達しないので、十分その目的を達するに足りないので、一つ来年度五億円を目途として政府が全力をあげてその実現に努力をするようにとの御発言につきましては、私どもも、当初水産当局において計画を立てましたところも、大体五億円程度の基金がなければ目的は十分に達せられないという見解に立っておったわけでございまして、ただ、財政当局と予算関係上こういうことになっておるのでありまして、ただいまの御発言につきましては、われわれの方におきましても全力をあげて一つ実現するように努力をいたすつもりであります。
  45. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 次に、整備計画の指定日の問題でありますが、政府の案によると、昭和三十五年から四十一年まで、結局最終の指定日は七年後というようなことにもなるわけでありますが、これでは、不振で運営ができないような組合再建整備計画を、中には七年後にようやく立てるようなことでは、これは非常に遺憾な事態が生じてくると思うので、かりに法律では政令で指定日をきめるといたしましても、やはり、その方針というものは、少なくとも三カ年以内くらいにすべての対象組合が完全なる整備計画を樹立できる、計画の樹立を終わるということで政府あるいは上級の漁業団体等あるいは都道府県等がこれに積極的に当たるということになれば、三年以内に整備計画の指定は終わるようなことになるのではないかと考えられますが、この点について、あくまでもだらだら七年でやるつもりであるか、やはり三カ年以内くらいでぴっしりやるつもりであるか。これは先ほど言いました基金の造成の問題あるいは指導に当たる巡回指導員とか駐在指導員等の経費の問題等にも関連いたしますので、その点も十分配慮して責任のある御答弁を願いたいと思います。
  46. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 私どもの提案いたしておりますところの整備計画の樹立期朝間は七年ということにいたしておるのであります。しかし、ただいま芳賀委員御発言のごとく、できるだけ早期に立ち直りを実現せしめるということは全く同感であるのでございます。従いまして、私どもといたしましても、法律によるところの整備計画の樹立は七年でありましても、これを三年間を目途といたしまして計画の樹立を終わるように指導に努めたいと考えております。
  47. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、そのような方針で政府が三年以内を目途として指導を行なうということであれば、基金の造成はもちろん、この実施に当たる指導員の駐在あるいは派遣、またそれに要する経費というものが当然裏づけされなければならぬのです。今までの政府答弁によると、何か基金に指導員経費を依存するようなことを言っているが、そういうことではいけないと思う。これは従来も一般会計の中から水産庁の方で実施に移しているわけですから、われわれとしては、不振組合あるいは一般の漁業協同組合等に対する指導体制というものは国本来の行政の中において当然やるべき筋合いであると考えるので、整備組合に対する駐在指導員、巡回指導員等の諸経費については、やはり基金だけに依存するということでなくて、原則としては政府行政責任において一般会計の中で十分の経費を計上して強力にこれを実施する、こういうことでなければいかぬと思いますが、いかがですか。
  48. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 整備計画の樹立と実施の指導に当たる駐在指導員または巡回指導員の設置費、活動費等につきましては、基金が充実をいたしました暁にはそういう道を開いておくということもいいと思いますけれども、原則としてはこれを一般会計から支出するように将来努力いたすつもりであります。
  49. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 ちょっと今の点不明ですが、基金の内容が充実した場合、基金にこれを切りかえるというのですか。それはおかしいと思うのです。
  50. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 切りかえるという意味ではないのであります。そういうものを運用することができる道はあってもいいと思いますけれども、原則としては一般会計から支出するように処置するのが必要であると考えているわけであります。
  51. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 次に問題になるのは、超不振組合です。たとえば、政府基準から言うと、欠損金の自己資本に対する比率が一五〇%以上、そういうような基準がありますが、この超不振組合政府調査によっても大体八十六組合もあるということなんで、こういう徹底的に不振な組合の救済、再建ということも、やはりおろそかにできない、と思うのですが、これはやはり法律の規定の中にもこれを十分整備組合としても取り上げ得るような措置を考究して、そうして、これらの組合は単に普通のやり方だけではなかなか再建整備計画にも乗りがたいと思うのでありますが、不振の原因というのはもう明らかになっておるわけでありますから、整備計画に乗せられる条件の付与という点に対しても事前に強力な措置というものが必要であると思いますが、建前は、あくまでこれらの超不振組合も  この法律に基づく整備計画に乗せて、そうして遺憾ないようにする、そういう大方針というものが明らかにならなければ、これは全国にわたる不振組合においても何か意欲に欠ける点があるのではないかと思いますので、この点を明らかしておいていただきたいと思います。
  52. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 不振組合はこれを整備計画によって救済するような処置をいたしまして、この超不振組合をそのまま放任していくということは、私どもといたしましてもよくないことだと考えますし、こういうものも不振組合同様にすみやかにこれが立ち上がることができるような処置をする必要があると考えて、ただいま芳賀委員御発言のように、政府といたしましても善処いたしたいと考えております。
  53. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 最後に、ちょうど一緒に審議しておる中小漁業融資保証法の一部改正法律案にもこれは関係があるわけでありますが、この整備組合の条件緩和をやる場合、この中小漁業融資保証法関係の求償権の問題等についても、やはり何らかの援助措置、利息の減免とかあるいは延滞金等の減免措置というものが整備計画の内容の中に実は明らかになる必要があると思うわけでありますが、政府の方では、その融資保証法の一部改正の中でそれは十分救済できるというようなしばしばの答弁はありましたが、われわれとしてはまだ信じがたいような点もありますので、われわれが指摘している問題については今回の融資保証法の改正の中で必ず不安のないようにこれが処理できるという確信があれば、ここではっきりしておいてもらいたいと思います。
  54. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 漁業信用基金協会の代位弁済の問題でございますが、これは、整備組合の固定債権等につきましては、利子相当額のものについて、あるいは全免するとか、あるいは大幅な減額をはかるとか、これらに適当な処置を講じてやるつもりでありまして、私どもといたしましては、従来お答えをいたしました通り、でき得るものと確信をいたしておる次第でございます。
  55. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 他に御質疑がなければ、ただいま議題となっております四法案中、内閣提出漁業協同組合整備促進法案及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終了いたします。     ―――――――――――――
  56. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 この際お諮りいたします。  漁業協同組合整備特別措置法案について提出者より成規の手続をもって撤回の申し出があります。本案はすでに本委員会の議題といたしておりますの、で、委員会許可が必要であります。   本案の撤回を許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は撤回を許可することに決しました。     ―――――――――――――
  58. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 この際、内閣提出漁業協同組合整備促進法案に対し、自民、社会及び民社共同提案の修正案が提出されております。修正案はお手元に配付いたしてある通りであります。  修正案の趣旨について提出者の説明を求めます。角屋堅次郎君。
  59. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党を代表して、漁獲協同組合整備促進法案を修正するの動議を提出いたします。  まず修正案文を朗読いたします。    漁業協同組合整備促進法案に対する修正案   漁業協同組合整備促進法案の一部を次のように修正する。   第八条に次の一項を加える。  2 都道府県知事は、漁業協同組合整備計画をたて、若しくは変更し、又はこれを実施するため、債権者とその債務の条件の緩和その他の援助を受ける契約をする必要がある場合には、当該漁業協同組合の申出により、そのあっせんをすることができる。   第九条を次のように改める。   (都道府県の助成)  第九条都道府県は、信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫が第五条第二項(第六条第三項において準用する場合を含む。)の規定により適当である旨の認定を受けた整備計画(これを変更した場合にあっては、その変更につき第七条において準用する第五条第二項の規定により適当である旨の認定を受けたものに限る。)に従い誠実に整備を行なっていると認められる整備組合に対する債権の利息を当該整備計画に従って減免した場合に、当該信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫に対してその減免した利息の額の一部に相当する金額補助し、及び第十四条第一項の勧告に係る漁業協同組合合併した場合に、当該合併によって成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合に対して、合併奨励金を交付することができる。  修正案の要旨は、金融機関が整備組合に対する債権の利息を減免した場合に、都道府県がその減免した利息の一部を補助する等の規定を新たに設けたことであります。そして、この条項を設けたことに関連して若干の条文の整理を行なった次第であります。  この修正の理由につきましては、これまでの質疑の過程を通じて明らかにされておりますので、省略いたします。  何とぞ各位の御賛同を賜わらんことを心からお願い申し上げます。
  60. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 以上をもちまして修正案の趣旨説明は終了いたしました。     ―――――――――――――
  61. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 これより修正案の質疑に入るのでありますが、別に質疑の通告がないようでありますから、原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の通告がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  62. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  63. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 起立総員。よって、本案は自民、社会及び民社共同提案による修正案の通り修正議決いたしました。     ―――――――――――――
  64. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 ただいま修正議決いたしました法律案につきまして、芳賀貢君より、自民、社会及び民社共同提案の附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者よりその趣旨説明を求めます。芳賀貢君。
  65. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 この際、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表いたしまして、ただいま可決されました漁業協同組合整備促進法案に対する附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    漁業協同組合整備促進法案に対する附帯決議(案)   政府は、沿岸漁業振興の担い手である漁業協同組合整備を促進し、これが健全な発展を期するためには、まずもって漁家経済の安定のための沿岸漁業振興対策を強力に実施すべきであるが、当面、本法の施行に当っては、特に左記事項の実現を図るべきである。      記  一、漁礁協同組合整備基金の発足時における資金は、国の貸付金一億円と出資金約一億五千万円との合計額約二億五千万円、その運用益は平年度一千五百万円程度と予定されているが、整備対象組合数は四五八、その欠損金の総額は三十七億円の多きに達しており、右の資金額ではこれらの欠損金に対する利子補給等の援助に必要な運用益を確保するには全く不充分であると認められるので、来年度以降において政府の姿付額をさらに二億円以上追加し、基金の資金の総額を五億円以上とするよう努めること。  二、整備計画の樹立と実施の指導に当る駐在指導員又は巡廻指導員の設置費、活動費等は原則として国の一般会計から補助するものとすること。三、政府案によれば整備計画の樹立期間は七年とせられているが、できるだけ早期の立直りを実施せしめるため、三年を目途に計画の樹立を終るよう指導に努めること。四、欠損金の自己資本に対する比率が一五〇%以上に及ぶいわゆる超不振組合をも本法の対象組合に取上げ、この際不振の原因を徹底的に究明し、速やかに総合的な振興対策を実施し、強力な援助措置を講ずるものとすること。    なお、これらの組合についても固定債務の全部を整理せしめることを目途として整備計画を樹立せしめるものとし、援助内容をとくに手厚くするよう考慮すること。五、漁業信用基金協会の代位弁済にかかる整備組合の固定債務については、利息相当額の全免または大幅軽減の措置を講ずること。右決議する。  昭和三十五年四月七日      衆議院農林水産委員会  趣旨につきましては、先般来の格委員の質疑の中にこの点は十分強調されておるので、特にこれを省略いたします。
  66. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  これより、自民、社会及び民社共同提案の附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  67. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  ただいまの附帯決議に関しまして、この際政府の所見を求めます。福田農林大臣。
  68. 福田国務大臣(福田赳夫)

    ○福田国務大臣 ただいまは、漁業協同組合整備促進法案につきまして御審議、御決定をいただきまして、なおこれに附帯いたしまして御決議をいただいたわけでございますが、私ども政府といたしましては、御決議の線に沿いまして極力善処いたしたい、かように存ずる次第でございます。     ―――――――――――――
  69. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 次に、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案について討論に入るのでありますが、別に討論の通告もないようでありますので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕 ○古川委員長起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。     ―――――――――――――
  70. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 次にお諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ――――◇―――――
  72. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 福田農林大臣より発言を求められております。福田農林大臣。
  73. 福田国務大臣(福田赳夫)

    ○福田国務大臣 ただいまモスクワにおいて行なわれておりまする日ソ北洋漁業の交渉が、いよいよ最終段階に入るわけでございます。つきましては、政府におきましても万全の対策をとってこれに臨みたい、こういう考えから、さきに委員会の顧問といたしましてモスクワに派遣しておりました塩見君を一時帰朝してもらいまして、その中間報告を聞いたわけです。ところが、塩見顧問からは、この中ごろからいよいよ最終段階に入る、この最終段階におきまして残る問題は、一つは総漁獲量の問題である、これはもちろんでございますが、同時に、規制区域の拡大という問題がなかなか結着つかぬで、あるいはその二つの問題を含めて政治的な折衝を必要とするかもしれない、こういうことでございます。ついては、モスクワに派遣いたしておりまする三委員の一致の見解として、所管大臣をすみやかにモスクワに派遣せられたい、こういうことでございます。一昨日の閣議におきまして相談をいたしました結果、私と、駐ソ大使門脇氏と、それから高碕達之助氏と、この三者を政府代表にいたす、かような決定に相なった次第でございます。私はその決定に基づきまして来週水曜日十三日に東京を出発いたしまして一路モスクワに向かう、こういうことに相なる次第でございます。  皆さんからこの問題につきましては非常な御鞭撻を受けておる次第でございまするが、私も皆さんの御期待にそむかないように最善を尽くしまして交渉をいたして参りたい、かように存ずる次第でございますが、留守中におきましても何かと皆さんから御鞭擬、御指導に預かりたいとお願いいたしまして、ごあいさつにさせていただきます。(拍手)
  74. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 委員長から委員会を代表いたしまして大臣に一言申し上げます。  今朝来私どもは塩見顧問からも大体の経緯、情勢等を伺ったのでございますが、われわれも想像をいたしておることでございますが、なかなか難航が予見できるように思うのでございます。従いまして、相当時間もかかることでございましょう。御苦労が多かろうと思いますが、十分御健康に御留意なさって、国民の重大関心事でございます漁業交渉の問題を成功をもって妥結されお帰りになられますことを御期待を申し上げる次第でございます。どうぞ、お元気で、よろしく。(拍手)  本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時七分休憩      ――――◇―――――     午後四時三十九分開議
  75. 吉川委員長(吉川久衛)

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  統計調査部の定員問題について質疑の通告があります。これを許します。角屋堅次郎君。
  76. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 本日は、統計調査部の業務に関連をした定員の問題を中心にいたしまして、農林省の定員全般の問題を含めながら、関係それぞれの方々に御質問申し上げたいと思います。     〔委員長退席、本名委員長代理着席〕  最初に、行政管理庁の方からお伺いをする予定でございましたけれども行政管理庁の方がまだ見えておりませんので、それでは、中心の議題であります統計調査部の業務に関連した定員問題について御質問申し上げたいと思います。  御承知のように、私も終戦以来昭和三十年まで統計調査部の方に籍を置いておりましたから、統計調査部の業務の実態というものについては十分承知をしておる一人だと考えております。しかも、統計調査部の創設以来の過去の定員の変遷を見てみますと、御承知のように、昭和二十二年には八千一百四十五名であったのが、一番ピークの昭和二十三年には一万九千六百二十六名。それが、二十四年、二十五年、二十六年以降累次にわたる行政整理等が行なわれまして、そして、その後昭和三十三年、四年にかけまして、御承知の定員外職員の定員化等の問題に関連して一部定員の増等もありましたけれども、しかし、最近の趨勢を見て参りますと、大体一万二千前後のところに停滞をしているわけでございます。今日まで、統計調査部関係、特に第一線の統計調査事務所においては、終戦後の占領軍の要請等もあり、作物統計を中心に出発をしたわけでございますけれども、その当時の事情は、御承知のように、食糧の非常に窮迫した中で、困難な悪条件を克服しながら、しかも一般の農民の方々からは税務署か作報かと言われるような、非常な精神的な苦痛も受けながらこの業務に専念をしてきたわけでございます。当時私も第一線の事務所におりましたから、現実に平板測量等でろうそくをつけながら現地の一筆調査等をやる、こういうような非常に忙しい仕事等もみずから体験をいたしておりますし、また、昭和二十四年の場合には三重県において麦の一万二千町歩の面積問題というのが新聞で大きく報道されましたけれども、当時、県庁の総務部長あたりは、あの数字というのは現実にはないのだ、こういうふうなことで盛んに攻撃をいたしましたが、私は、やはり、統計に従事する調査マンの誇りと自信をもって、そういうことを言うのであれば一つ県庁と合同調査ではっきりそれがあるかないかということをやろうじゃないか、こうまで言いましたところ、現実にそういうことになれば、これはやはりわれわれの調査が立証されるということになるから避くべきであるということで、われわれとのチェック調査ということについてはやられなかった経緯等もございます。いずれにいたしましても、食糧事情の緩和の段階までは悪条件下においてずいぶん苦労し、しかも、この業務の実態等については、あるいは行政管理庁あるいは人事院等の累次にわたる調査の結果においても、統計調査部の第一線の業務というものはきわめて労働強化である、これはもっと労働の条件を緩和しなければならぬということがしばしば言われて参ったことも御承知だろうと思う。現実に累次にわたる行政整理等のあらしにも見舞われながら、今日まで苦労に耐えてきたその実績というものが、従来食糧統制機関としての統計調査機構というふうに見られておったこの機構が、実際に曲がりかどに来ておる農政の今後の羅針盤的な役割として、その重要性が国会はもちろん内外にも認められてくる、こういうことになったことは、これはまことに喜ばしい段階だと思いますけれども、しかも、やはり、現地の第一線で働いておる人々というのは、統計調査機構の恒久的な役割というものがはたして確立されたのであるか、それともまだ不安定要素があるのであるかという点についてはやはり相当に疑問を持っておる、こういうふうに私は見ておるのでございます。  この際、まず政務次官にお伺いしたいのでございますけれども、今日の農政の上における統計調査機構の果たす役割というものは現在及び将来にわたってきわめて重要な役割を果たすものとして、今後ともにその機構整備充実をやらなければならぬ、こういう立場に立っておられるかどうか、この際お伺いしたいと思います。
  77. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 この農林統計の問題について造詣の深い角屋委員の御質問を聞いて、私ども一そう感銘を深くしたのでありますが、由来、すべて政治、経済各般の政策のもとは、私は数字であろうと思うのであります。その数字を的確につかむということによって、すべての正確なるもろもろの政策というものが打ち出されるものであると信ずるのであります。そういう見地に立って考えますときに、現在のわが国の農林漁業は全く御説のように曲がりかどであると考えておりまして、従いまして、政府におきましても、昨年以来農林漁業基本問題調査会というものを設けまして、その結論を急いでおるところでありますが、これらの問題にいたしましても、究極するところはこれらのすべての基礎になるべき農林の数字、つまり、統計を基礎とするところの正確なる数字を把握するというところよりりっぱな結論というものが生まれてくるものと考えております。従いまして、進んだ政治をやろうとすればするほど、統計を充実させまして正確なる資料を得るということがその根本の問題であろうと思うのでありまして、先ほど角屋委員お話しの通りに、全く、この統計の正確を期し、その統計を完全に充実していくということは、わが国の農政の羅針盤を作っていくことである、かように考える次第であります。
  78. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 行政管理庁の方がお見えになりましたので、やはり結論としてその方面からまずお伺いしたいと思うのであります。  御承知のように、行政管理庁においては、定員法の問題について、本年に入りましてから定員法の撤廃ということが意見として出て参っておりまして、これが各省でそれぞれこの定員法の撤廃という問題に関して意見聴取をし、どうすべきかというふうな段階にあろうと私は思います。元来、定員法が制定されてから今日までの定員法の果たしてきた役割というものを静かに顧みますと、これは、いわゆる業務、予算に見合った定員の充実ということはきわめて政治的、財政的に消極的であって、現実にはやはり行政整理的な役割というものを今日まで果たしてきたということは率直に認めなければならぬじゃないかというふうに思う。しかるに、やはり、業務、予算、人員の実態の中においては、従来から国会でしばしば問題になっております、いわゆる正規職員と何ら変わりのない業務をやっておる定員外職員の定員化という問題が強く国会に要請されて参りまして、行政管理庁が自主的な立場で定員法の修正をみずから出される姿ではなしに、国会の修正という形において従来から相当な定員外の定員化が行なわれてきた、こういう経緯もあるわけでございます。従って、おそらく、行政管理庁としては、これほど厄介な定員法という問題はこの際撤廃をして、大蔵省に一つ一切げたを預けてしまおう、こういう気持であるのかどうか十分には判断しかわますけれども、今日の段階において定員法撤廃ということを打ち出された真意というものを率直にお間かせ願いたいと思います。     〔本名委員長代理退席、芳賀委員長代理着席〕
  79. 山口政府委員(山口酉)

    ○山口政府委員 定員法の廃止に関する意見を出して、各省のこれに対する御意見を徴したのでございますが、ただいままで、まだ最終的に決定する段階ではございません。行政管理庁の方で廃止を提案いたしました理由は、仰せの通り、定員法の従来の運用というものは非常に困難がございます。もともと定員法では恒常的な職員はすべて定員内に入れるべき趣旨になっておるわけでございます。恒常的であるのか臨時的であるのかということのめどとしまして、一応二カ月以内をもって雇用するという線を書いてあるわけでございますが、二カ月で切るというのは形式的に二カ月で切っておるだけであって、実際は相当長期に雇っておる、恒常的に雇っておるという事実がございます。ただ、これは、臨時的につまり二カ月以内で切ることがむしろ適当である職員であるにかかわらず、人事の運用が適用でなくて長期にわたっておるのか、あるいは、実際上長期であることが至当であるというがために、やむを得ず二カ月で形式的に切っておるけれども事実上長くなっておるのかということは、業務の実態をつぶさに検討して判断しなければならないわけでございますが、この判断は事実上非常にむずかしいわけであります。そこで、たくさんの職員をこの観点から調査するというのは、従事実際やってみました作業から見ましても、非常に膨大な作業量を擁して、その結果はきわめて不満足な状況でございます。そこで、こういう制度をこのままの形で継続しておったならば、定員法の運用というのはまことに困難である。こういう制度ははたしてどうしても持たなければならないものかどうかと申しますと、戦前における――戦前というよりは、二十四年以前における制度、あるいは諸外国の制度等におきましても、かような全部の職員を法律規制で数を確定するというようなことはやっておりませんし、また、本質的にそういうことをやることには非常に無理がある。業務の状況というのは年間においても非常に変動をいたします。さらに、運用上いろいろの条件によって変動する可能性があります。あるいは機械化であるとか、あるいは事務の合理化であるとか、あるいは請負に出すとか、いろいろな手段によって変動することが可能であって、そのときの状況で、どういう手段が一番合理的かということはその場になってみなければ十分に判断しがたい場合が往々にしてあるわけでございます。そういう事柄から見ても、現行の制度は再検討する必要があるということで、一応現行の制度をやめて新しい制度考え直す。やめただけでは、予算で規制をするということになります。実は、現在の予算の立て方は、定員外職員については現員現給制度をとっておりますので、査定において人数をはっきり出しておるわけであります。さらに、それに基づいて人事院で級別定数を作っておりますので、そういうふうに人数を確定する手段というのはほかにあるわけであります。その上に総数だけを書くという定員法というものはまことに意味が少ないじゃないかというような事情から、一応廃止という案を出しまして、その後の取り扱いについては実はまだ十分の検討をいたしておりません。予算制度も、今のままでいいのか、あるいは予算制度を変えるか、そうでなければほかに何らか適当な手段を講ずるか、いろいろ問題がございまして、各省からも意見がございます。一応前提としまして定員法廃止という線を出して、その後の取り扱いについて今後検討いたしたい、かように考えております。
  80. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 「行政機関職員定員法を廃止することについて」ということで行政管理庁から資料が出ておるわけですけれども、この中で、定員法の廃止を前提にする場合に、やはりそれに関連した要望事項といたしまして、「二カ月更新(定員法規正以外の機関を含む)の廃止」、さらに、「現在の常勤職員等を全員選考によって俸給職員とすること。」、次に、「常勤的非常勤職員に対し給与法全般の適用と採用当時からの共済組合加入、退職手当法の全般の適用」、さらに、「俸給、常勤職員給与、非常勤職員手当、庁費(賃金)の目の区分の撤廃」、こういうふうな要望事項がいろいろ掲げられておると思うのでございますが、結局、定員法の今日まで果たしてきた役割の中で、定員内職員と定員外職員との身分問題、しかも、現実に同じような職務をやりながら、長期にわたって定員外職員に賃金を支払わなければならぬという現実の姿の中から、定員外職員の定員化という問題が累次にわたって国会の意思によって修正されるという経緯もあったわけですけれども現実に定員法撤廃によって、従来定員法によって果たしてきたプラスの面と、あるいは定員法の果たしてきた弊害というふうなものを勘案して、行政管理庁の力から、定員法撤廃にあたっての前提条件、各省から出ておるいろいろな意見等も総合しながら、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  81. 山口政府委員(山口酉)

    ○山口政府委員 お話のありました点につきましては、いろいろ研究はいたしておりますけれども行政管理庁で所管しております関係の事柄は比較的少ないわけでございます。それは、定員法につきましては、一応各省と共同責任の法律ではございますけれども、形式的には行政管理庁が取りまとめをいたしておりますので、行政管理庁で意見を立てるべき筋合いにあるわけでございます。お話のありました定員内外の職員の取り扱いの区別というのは、定員法上は二カ月以内の雇用という線があるだけでございまして、定員法がなくなれば、三カ月以内の雇用という形式で切る必要はなくなるわけです。もちろん切ることはできますけれども、事実上長期に雇う必要があるならば二カ月で切る必要はないということになりますので、その点では、現在定員内外の区別によって身分上の差がありますが、身分の不安定という問題は、一応各省で判断をいたしまして、これは長期に雇い入れようという者であるならば、それは定員法のような規定がございませんので、自由に長期にわたって雇用することができるということになるわけでございます。しかし、定員法の問題といたしまして、定員内に繰り入れをせよという要求のあります原因は、それだけではございませんので、実は、常勤職員という制度について見ますと、これは給与法上の建前では定員法内の職員と同様に取り扱うべきことになっております。それから、常勤的非常勤につきましても定員内職員に準じて取り扱いをするということができるわけでございまして、下げなければならないという理由はないわけでございます。しかし、事実上、予算その他の関係現実の取り扱いとして区別がある、これが不満であるから定員内職員と同じ取り扱いをしてくれ、こういう要求になっておるように考えるわけでございますが、これは、定員法の障害と申しますか、定員法の内外であるということから当然に起こる問題ではないわけであります。これは定員法を廃止いたしましても直ちには解決いたしません。さらにまた、定員法内に繰り入れしても、当然には解決しない問題です。ただ、従来の慣例上解決するであろうという希望のもとにそういう要求をしているにすぎない問題でございます。定員法を廃止いたしました際には、そのような二カ月で無理に切るという制度による弊害は除去できるわけでございますが、その他の問題につきましては、これは別途に解決しなければならない必要があるわけでございます。定員法廃止ということになりますと、待遇上の不均衡等を是正すべき要因がほかにあるということがおのずから明瞭になると思いますが、定員法廃止に関連してそういう問題を逐次何らかの解決策を講じていかなければならない、これが現在定員法をめぐります各省の大体共通的な意見でございます。いずれにいたしましても、これは行政管理庁では解決いたしませんので、関係の各省と協議して案を作りたいということで、先般次官会議の申し合わせで、この問題について関係各省の職員によって協議会を作ることにいたしております。まだ発足いたしておりませんけれども、早々発足をいたして検討いたしたい、かように考えております。
  82. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 現在政府からは行政機関職員定員法の一部改正というものがすでに国会に出されてきておるわけですが、その中身を見ますと、これは過去問題になって参りました定員外職員の定員化という問題については全然取り上げられておらない。そこで、この問題については、与野党を問わず、一昨年、昨年、本年、いわば三カ年計画で定員外職員の定員化を実現しようという本年度の段階において、これはやはりぜひこの定員法の拡充によってさらに解決をしたいという動きにあることは御承知通りだと思うのですが、この際、行政管理庁としては、こういう国会の動きと関連をして、いわゆる行政管理庁みずからの手でさらに修正提案をされる、こういう考え方であるのか、それはまあ政府原案として出したやつの国会による修正という形で処理してもらいたいと、こういうことであるのか、最近の折衝の状況を一つお伺いしたいと思うのです。
  83. 山口政府委員(山口酉)

    ○山口政府委員 ただいま提案いたしております定員法の一部改正案は、本年度新たなる業務の増加によりまして必要となりました七千三十名の増員だけを計上いたしております。これを提案いたします前に、定員外職員の繰り入れ問題を解決いたしたい、かように考えておったわけでございますが、率直に申しまして、政府部内で意見がまとまりませんうちに、非常に年度が切迫して参りまして、新規事業の関係もあり、増員分、純増の分は早く成立させたいという意向も各省に強いものですから、さしあたり予算で認められましたものだけを計上いたしたわけでございます。定員外職員につきましては、実は、先ほど申し上げましたように、定員法の廃止ということを前提として根本的に解決したい、かような考え方を終始持ってやって参ったのであります。しかし、それも本年度解決することになりませんで、なお未解決のままでありますので、さしあたり、きまっておりまするものを出しまして、その後の問題につきましては、先般予算委員会でも大蔵大臣並びに行政管理庁長官から申し上げましたように、国会の御意思を尊重していきたいということにいたしております。与野党で目下折衝いたしておるように伺っておりますが、この点につきまして、どういう結論になりますか、修正をするということになりますか、あるいは政府にもう一度提案し直せということになりますか、その点はまだ明瞭ではございませんけれども、いずれにいたしましても、政府としましては国会の意思を尊重して参りますということを申し上げておりますので、さような線で進んでおると存じます。
  84. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 今次政府原案の提出される経過については、ただいまの御答弁でよくわかったわけですが、先ほど来申し上げておりますように、定員外職員の定員化の、いわば本年度は仕上げの年である。ことに、定員法の撤廃問題というものが今日出てきておる経緯から考えまして、これは本年度直ちにそういう方向になるということでなくても、早晩そういう問題が出てくる。私どもは、定員法問題については、過去いろいろな功罪はあると思いまするけれども、しかし、定員法が全然廃止された場合の今後の推移はどうかということを真剣に考えて参りますと、いわゆる現業的な性格を持つ事業関係においては、むしろ定員法のワクに縛られて実際の必要とする人員がなかなか実現しないというふうな経緯等も従来からあろうと思いまするけれども、ややもしますと、地味な非公共部面、こういうものが、定員法の撤廃によって、いわゆる財政的、政治的ないろいろな理由から予算で縮小されてしまう。ところが、現実政府原案として予算が出て参りますと、私どもはいろんな委員会を通じて真剣な討議をいたしまするけれども、国会の意思として予算の抜本的な修正ということはなかなか至難なことでございます。そういう意味から、定員法の功罪はいろいろありまするけれども、定員法を全面的に廃止をしていいのであるか、あるいは定員法を置くべき部面と定員法撤廃によって実情に即さしめる部面と二面の部面を考えた方がいいのかどうかということは、これはやはり十分検討の余地があるのではないか、こういうふうに率直に言って私ども考えておるわけであります。こういう本論の問題については、すでに内閣委員会政府原案も提案されておるわけですから、そういう際に質問すべき筋合いであろうと私は思いますので、この点については深く触れません。ただ、農林省に例をとってみましても、定員外職員の現在数というものは、非公共関係においては、常勤職員において二千百六十二名、非常勤職員において八百九十四名。公共関係において、常勤職員が四千七百九十四名、非常勤職員において七千七百五十二名、締めまして一万五千六百二名。私どもの持っておる資料では、昨年の十二月三十一日現在の数字としてこういうふうに把握しておるわけでございます。従いまして、やはり、これに実際に関連しておる定員外職員としては、今次国会を通じてぜひ全員定員化を実現してもらいたいという強い要請があり、国会にもそれぞれ各省関係とも請願がなされておることも御承知通りでありますが、これは、先ほど来お話のようなことで、今後国会の与野党のいろんな折衝を通じ、また、出し方としては、場合によっては政府の修正提案、こういう形でもって解決しなければならぬ問題だ、こういうふうに考えるわけでございます。  問題の中心点に入って参りまして、本日特に質問したい統計調査部仕事関連した人員問題でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、統計調査機構というものは、戦後できましてから今日まで十数年の櫛風沐雨に耐えてくる過程の中で、たしか昭和二十六年だったと思いますけれども、五百名を残して全員整理というふうなむちゃくちゃな構想が立てられた段階もございました。当時農林大臣は根本さんでございましたけれども、私どもはあの際には毎日のように根本大臣にお会いをして、そして統計調査機構の重要性あるいは今後の農政の指針となるべきこの機構の充実強化ということを十分訴えまして、国会等でもこの問題が謙虚に受け入れられて、少数の整理に終わったという経緯もあるわけでございますけれども、とにかく、そういうふうな累次にわたる行政整理等のあらしを受けた結果かもしれませんけれども、どうも、やはり、統計調査部仕事を担当される歴代部長というものは、陰に陽に、政府あるいは大蔵省に対しては、新規事業によって積極的に人員を要求しなければならぬときでも、強い風当たりというようなものを何かみずから頭に描きながらおそれて、業務に伴う必要なところの人員の要求というものについて積極的に進めるという意欲に欠けておったんじゃないか、率直に言ってこういう感じが私はするわけです。もっとも、昭和二十六年の段階におきましては、単に統計調査部ばかりではなしに、食糧庁関係においても相当大幅な整理案の構想があり、当時、安孫子長官なり安田部長等が、いわば当時の反政府官僚というような批判を受けながら、やはり農政を守るという立場から、国会内においても自分の率直な所信を述べられたということについては、私どもは当時の経緯として深く敬意を表しておるわけでございますけれども、どうも、統計調査機構の過去の変遷の中において、歴代の統計調査部長というものは、やはり、人員の画等については消極的な部面が、率直に言ってあったのではないか、こういうふうに私は考えますけれども、現部長であられる立川部長からその所信を承りたいと思います。
  85. 立川説明員(立川宗保)

    ○立川説明員 先ほどいろいろお話がありましたように、将来農業の問題を考えます場合に、農林統計が、いよいよ問題の山積しますところの農業問題の解決の基礎条件を明らかにする、基礎素材を明らかにするという意味で、果たすべき仕事は非常に大きいと思います。そういう意味から、今後ますます仕事は多くなってくるだろうと思います。むろん、全体の仕事をいかにうまくやっていくかということについて十分工夫をこらさなければなりませんし、それから、あまりに職員の人が過労にわたりますと、仕事の質が落ちるということもありますので、できるだけ合理的な、仕事をやりやすくするというような条件と工夫を考えていかなければならぬと思いますが、そういう将来の見通しを考えます場合には、現在の一万二千人の人員を基幹といたしまして、しっかり仕事を発展させなければいかぬ、こういう工合に考えております。
  86. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 統計調査部の最近の全国所長会議での資料を見て参りますと、統計調査部の稼働労力量というもの、業務量というものを年間八六・五%というふうに見ておられるわけです。ところが、これは、事務所段階になりますと、おそらく、いろいろな業務調整その他いろいろなことが追加等もありまして、九〇%近くになるだろうと思う。この計算は、一応現在の職員数、人夫の労力というものを累計をいたしまして、年間の休日、祭日あるいは休暇日数、休職者日数というものを差し引いて、予算化されている超過勤務時間というものを含めて計算をした稼働量でありますけれども、しかし、最近の年々続発をしておる災害という問題一つ考えてみましても、こういう突発的に発生をする災害の被害調査というものがいかに困難な悪条件のもとにあるかということは想像にかたくないと思う。しかもこれは被害調査のすみやかなる中央への報告ということが政府の災害対策の最も大きな重要資料になり、従来も本委員会等で農林省の行なう被害調査というものが非常におそいではないかというふうな御批判がありますけれども、しかし、率直に言って、そういう累次激発をしておる被害の調査というものを適時適切に中央に報告し得る調査体制というものが当時予算的にもあるいは人員的にもあるのかどうかということになると、これはほとんど整備されておらぬということは、率直に言って明らかであります。そういうふうなことを考えてくると、今の八六・五%という中には、見込まれていない、事務所でプラス・アルファされる業務というようなものを考えてくると、従来からも農林省の中においては労働強化であり悪条件であるというふうに、私は率直に言って認識しておりますけれども、そういう現実の姿だろうと私は思う。しかも、作報関係あるいは経済調査あるいは一般統計というふうに、最近は統計調査仕事内容も複雑多岐にわたって参っておりますし、また、最近の農政の要請から見て、あるいは鶏卵の生産調査とか、あるいは茶の生産調査とか、果樹振興に見合っての調査の追加とか、いろいろなことが盛りだくさんに出て参っておる経緯もございますが、しかし、季節的に見て参りますと、そういう中でも四月とか十月とかいうときには相当ピークな時期に達する。こういう時期における労働量というものを換算して参りますと、これは計算上から言っても一〇〇%をはるかにオーバーするような非常な激務の状態になってくる。先ほども冒頭に申し上げましたように、私などがおりましたときには、夜ろうそくをつけて、あるいは雨のときにはかさをさして一筆調査をしなければならぬという経験もしばしば持っておる。こういう現実の姿等を考えてみると、これは、たとえばオートバ三百台の機動力を付与したということを交換条件にして百名の人員減というものを認める、こういうことでは私は無定見ではないかと思う。今日の統計調査の第一線にある職員の業務の実態というものからしたならば、オートバイの付与どころか、今日の近代国家としては、調査マンにはでき得べくんばもっともっと機動力の付与ということが積極的になされなければならない。しかし、それは、そのことによって相当大幅に人員が節減できるということにならないと私は思う。これは調査の実態から見てもそういうことは言えると思うのです。そういうふうなことをいろいろ考えて参りますと、今日豊富になった業務量から見て、まだまだ増員をしなければならぬ要因というものが私は率直に言ってあるというふうに考えておるわけですが、部長、いかがでございましょうか。
  87. 立川説明員(立川宗保)

    ○立川説明員 調査をすべき仕事、あるいは出すべき統計は、年々各方面の要望が強くありまして、ふえておるということはお話通りであります。それにいかに対処していくか、しかも粗略な調査ではなくて信頼し得る結果を出していくためにいかに対処するかという点に非常に苦慮をしておるわけでありますが、できるだけ仕事のやり方に工夫をしましたり、先ほどお話しのように、予算その他で十分設備等がいっていない点を改善するということを配慮することはむろんでありますが、必要な人員は十分に確保して、その人たちに働いてもらうということでやっていくということであろうかと考えております。
  88. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 御承知のように、米の生産費の問題につきまして、前々から米価審議会等での論議の経緯を見てみましてもわかるように、農業団体からの要請として、米の生産価格というものは生産費及び所得補償方式によって決定すべきものである、こういうことが強く訴えられ、これが米価審議会の累次にわたる答申になって現われて参りました。政府においても、こういう累次にわたる答申を無視することはできずに、昨年の米価決定の段階においては、不十分なる資料に基づいて生産費及び所得補償方式による米価の算定というものを並行的にやって、米価審議会に出したという経緯がございます。たまたま、これは、従来からやっておる米価計算と、生産費及び所得補償方式による米価計算というものが基本価格においてぴしゃり一致した。これは偶然の一致だということで、少しく批判等も受けた経緯もありますけれども、ともかくも、そういう審議の中から、この際、農林省の統計調査部でやっておる米の生産調査というものについて、さらに調査農家を拡大する必要がある。申し上げるまでもなく、統計調査部でやる調査は、御承知のように統計理論によってやるわけですから、従って、理論的にどの程度調査農家をふやせばCVがどれだけになる、こういうような形は理論的に出て参るわけでありますから、そういう経緯から見て、本年度従来やって参りました二千六百戸の調査農家を二倍にして五千二百戸の調査農家を対象にして生産費の調査をやろう、こういう結果に相なってきておるわけであります。しかも、こういう政治的に強く要請され、また今日農政上米の生産価格をきめるにあたって必要な段階になってきておる重要な米の生産調査というものについては、当初統計調査部も大蔵省に対してそれぞれ必要の人員の要求をされた。しかし、先ほど来申し上げておりますように、要求はいたしましたけれども統計調査部の意向として、風当たりが強ければなるべくそれを避けて通ろうというふうに私は判断をするわけですけれども、これはやはり新規業務である。しかも、政治的にも、また農業団体から見ても非常に重要な調査でありますから、これはやはりこの調査に必要な人員というものについては十分整備をするということが、政府としての農林省としてもその責任であろうと思うわけでありますけれども、そのために人員が大蔵省によってカットされてしまったという経緯になっていると思う。これは、今後米価問題が論ぜられる場合において、本委員会においても、あるいは米価審議会においても、このままいけば、いわゆる生産費及び所得補償方式の基礎になる調査の信憑性、調査制度というものに関連をして、非常に大きな問題になるだろうと思いますが、そういうことを考えてみましても、この際やはり二千六百戸の調査農家の増加ということについては、これは必要な人員と予算というものをはっきり裏づけをして実施をする、こういうことにすべきじゃないかと思いますが、この点について政務次官から一つお答えを願いたいと思います。
  89. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 先ほど来角屋委員御質疑の点は、特にわが国の農政の基本を確立するために重要な問題であると私も考えておるのであります。ただいまお話になりましたように、三十五年度の米価を算定するにあたりまして、今度は二千五百戸からさらに五千数百戸の農家について実際の生産費を調査するということに関連いたしまして、百数十名の予算を要求いたしましたにもかかわりませず、財政当局との折衝の間におきましてついに実現を見るに至らなかったのでありまして、従いまして、これは部長からもお答えいたしたかと考えますが、八十四人ばかりを配置転換によりましてこの調査に振り向けた。さらに、時期的な調整あるいは部内のいろいろな調整によりましてこれをまかなっていかなければならぬという状態に相なっておるのでありますが、これは、労働を尊重するという今日の立場から考えましたり、いろいろ重大なる統計を調査していくという上におきまして、私どもも遺憾に考えておるのであります。しかしながら、現在ただいまの状態のもとにおきましては、われわれはそういう措置によりましてこの当面の問題を切り抜けていくよう善処いたすつもりでございますが、しかし、角屋委員お話しになりますように、この問題は今後ますます重大性を加えてくるのでありまして、米の問題にいたしましても、お示しのように、生産費・所得補償方式というような方向に向かっていくということに相なりますと、さらに今日よりも一そうその数字を的確につかむということでなければなりませんし、いずれにいたしましても、現在わが国の農政は曲がりかどに来ており、この曲がりかどの農政を是正いたしましてわれわれが所期する農政の状態を実現するためには、その正確なる数字の基礎をつかむということが根本でございますので、われわれといたしましても、今後、政府部内においても、いろいろ農林統計に対する問題に対しての理解の足らない人がありとするならば、そういう点においても十分これに説明をいたしまして理解を得るようにいたしますと同時に、また、職員の充実、またそれらに伴うところのいろいろな設備につきましても完璧を期していかなければならない、かように考える次第であります。
  90. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 ただいま政務次官からお答えがありましたけれども、私は政務次官のお人柄から見てあまり激しく追及することはいかがかと思いますが、しかし、この問題は、政務次官のお人柄にもかかわらず、そう簡単にそういう弥縫的な対策で済ませるということを私どもはそのまま容認するわけにはいかない。昭和三十四年度の米の生産調査関係を見て参りますと、今やはり米価問題に直接関連する販売農家を対象とした調査戸数が二千六百戸、そのほかに、階層比較農家として二百六十五戸、陸稲の農家として百戸、土地改良の農家として六十九戸、こういうふうなことで三千三十四戸の調査昭和二十四年度においては御承知のようになされて参りましたが、これが、昭和三十五年度においては、先ほど来申し上げておりますように販売農家が二倍にふえまして五千二百戸、階層比較農家というのが廃止をされまして、陸稲農家は従来通り、土地改良農家は調査農家の事情によって五十四戸に一部減少しておりますけれども従来通り、新たに早期栽培の米の生産調査をやるための調査農家として四十戸、こういうことで、加えまして五千三百九十四戸という生産調査の拡大を見ておるわけでございます。この中で、言うまでもなく、生産者米価に最も大きなデータになりますのが、いわゆる販売農家の五千二百戸の問題でありますけれども、この五千二百戸をとった理論的根拠というものは、私ども、いただいておる資料でも判断しておるわけですけれども、これによりますと、五千二百戸に増加した場合に、平均値における精度というものは、昭和三十一年度の資料で計算をしてみると四十九円、三十二年度では四十五円、三十三年度では四十三円、バルクライン八〇%を受ける精度というものを見て参りますと、昭和三十一年度の資料による場合は八十円、三十二年度の資料による場合は六十九円、三十三年度の資料による場合は七十三円、大体において平均値における精度の期待値というものは四十円ないし五十円、八〇%バルクラインの場合には七十円ないし八十円、こういうふうに理論的には言われておるわけですけれども、これは理論的な推計値から出てきた結果でございまするが、申し上げるまでもなく、これは、標本あるいは抽出農家の適正、あるいは現実調査する調査の精度というふうなものがいろいろ関連をいたしまして、それにいわゆる平年度であるか災害が伴うかというふうな問題等がいろいろ関連をして参りますが、言うまでもなく、生産者米価の場合には、十円、二十円ということがやはり非常に大きな問題になってくる。実際に今日予約米で出しておりまする三千八百万石近いそういうものの一石当たりの米価をどうするかという場合の十円、二十円というのは大へん大きな問題になる。それであるだけに、今やはり五千二百戸に拡大をいたしましても、平均値において四、五十円、八〇%バルクラインにおいて七、八十円、こういうことが理論的に言われているのが、さらにもう少し精度が落ちるということになったのでは、せっかく調査をやっても調査が十分に活用されないという結果になるだろうと思います。そういう点から見て、私は、新しくやられる鶏卵の生産調査とか、あるいは茶とか果樹とかいわれるものよりも農家の所得の概要な位置を占めておる米の生産調査というものは、そう軽々に考えるわけにはいかない。しかも、ここで調査される結果の理論的数字の期待値の幅というものから見ても、これは十分に必要な予算と人員、ことに人員についてはこれはやはり質的向上をはかる、また調査農家についても十分なる啓蒙と教育をやらなければならない、こういうことであろうと思う。そういう点から見て、先ほど来政務次官からお話はございましたけれども、そのお話で私はよろしいというわけにはいかないと思う。ことに、政務次官も御承知のように、窮余の一策として、今度、食糧庁の四十六名の職員を、食糧庁に身分を置きながら統計調査部関係の米の生産調査の増大に伴う仕事をやってもらおう、こういう形をとろうとしておるわけです。前々から申すように、統計の行政上における地位というものについては、これは政治的に行政的に左右されないいわば独自的な立場に立って正確な結果を出すということがやはり統計の本来の立場ではないかと思う。行政事務的な性格を持っておる食糧庁の職員というものが腰かけ的に重要な米の生産調査のお手伝いをする、こういうことで、本格的に生産費及び所得補償方式を本年度とろうとする段階において調査をやられるということは、これは私は絶対にこのままで承認するわけにいかない。しかも、食糧庁自身にいたしましても、米の生産調査というのは生産者価格ということで食糧庁にも関連があるということで、無理を言われれば聞かざるを得ないという立場で四十六名の人員の供出を受けられたのではないかと私は思うのですけれども、元来、食糧庁といえども、昨年の委員会でしたが、米の応援検査の問題ということで私は本委員会で追及したこともございますけれども、やはり、ややともいたしますと場当たり的な弥縫的な対策でもって当面を糊塗しよう、こういう考え方というのが最近農林省の考え方の中にあるのではないか。しかし、今度のこの仕事の場合には、統計というものは本来の性格から見て食糧庁の応援というような考え方でこの問題を考えるということは適当ではない。また、そのことによって食糧庁自身の職員の仕事の業務量をそれだけ増大させるということも防止しなければならない。そういう観点から見まして、これはやはり統計調査部自体として適切な方法を講ずべきである、かように考えるわけでございまして、もう一度、一つ、政務次官並びに直接御麺当である統計調在部長、さらに今回四十六名の職員を供出される立場になられておる食糧庁の関係の方から御意見を承りたいと思います。
  91. 立川説明員(立川宗保)

    ○立川説明員 米の生産調査につきましては、今いろいろお話もございましたし、昨年度当委員会においても米価の決定問題に関連して整備を必要とするという決議もあったような次第もありまして、ことしから、今お話の出ましたようなことで拡充をしまして、十分整備をした生産費の資料を算出したい、こういうことでやっておるわけでございます。それを担当して参ります人についての重要性は、今お話がるるありました通り、非常に重要であるわけでありますが、昭和三十五年度予算といたしましては、統計調査部の定員は前年と変わりません。増員ということがないわけであります。しかも、この大切な調査を十分やりこなしていかなければならないというわけで、苦心を要するわけでありますが、その実際上の措置として、いろいろ省内でも相談をいたしまして、実行するという工合に考えました措置は、一つは、統計調査部内部の人員を一部米の生産調査の担当者として振りかえる、他面、食糧庁からも統計の実務に対して協力をしていただく、さらに、全般的に統計調査業務の全体にわたってできるだけ業務の簡素化をはかる、そういうことをそれぞれ講じまして、相待ってこの米の新しい生産調査が疎漏な調査にならないように万全の措置を実際的に考える、こういうことにいたした次第であります。
  92. 岡崎説明員(岡崎三郎)

    ○岡崎説明員 ただいまの角屋先生のお話、まことにごもっともでございますので、私どもといたしましては、この生産調査というものが、実は、ただいまお話がございましたように、米価審議会の答申に基づいて、その要請に沿いまして数をふやすということになったわけでございまして、従いまして、これはぜひ統計調査部にお願いして、ふやした五千二百戸について調査していただかなければならぬということなのでございます。そういうことでございますから、この資料は本未やはり統計調査部調査されるのでございますが、その利用は食糧庁で米価算定の基礎資料として利用するわけでございますので、私どもといたしましては、いろいろな面でこの調査に対しましては御協力申し上げたい、こう思っておるわけでございますただ、実際問題といたしまして、私どもの方でも実は人員はもちろん余っておるわけではございません。ただ、しかしながら、統計調査部の方で予算上また定員法上新規の定員というものがとれなかったというこの現実の実際の事態におきまして、一体どうしたらいいかということになりますと、一面、ただいま統計調査部長のお話にございますように、統計調査部の方でもいろいろお考えいただく同時に、やはり、私どもといたしましては、必要な限度の御協力という意味で、実は四十六人を併任というような形で統計調査事務所に出向いて仕事をしてもらうということにしたらどうかというのでございます。ただ、もちろん、これだけの人数を外に出すということになりますと、私どもの方のいわゆる仕事の面から申しまして労務過重というものが直ちに起こるわけでございます。しかしながら、これにつきましては、すでに昨年の秋から、私どもの方で、必ずしも調査事務だけに限らないのでありますが、この仕事の全般につきまして、検査事務、買い入れ、それから売却、その他庶務、経理、監査、そのすべてにわたりまして実は事務の簡素化を鋭意検討いたしまして、この三月末をもちまして一応結論を得たわけでごでざいます。たとえば、調査事務について申し上げますと、私どもの方の調査関係調査しております事項が百六十ばかりあるのでございますが、その四分の一につきまして、あるいはこれを廃止し、あるいはこれを簡素化するという措置をとりまして、この四月から逐次実施に移して参りたい。そういうことで、一面、仕事の合理化と申しますか、労働の合理化と申しますか、あるいは仕事の簡素化と申しますか、それを極力はかって参りまして、仕事がいわゆる労務過重にならぬようにいたしたいということが一つでございます。それから、また、もう一面といたしましては、私ともの方のいわゆる定員は増減がないわけでございまするが、四十六人を外に出すということに対応いたしまして、私どもの方の予算の許す限り一つ欠員を埋めて参ろうという決意を今しておるわけでございます。実際問題といたしまして、昨年の四戸当時とことし現在の四月の時点とで比較いたしますると、実際の人数は相当数ふえておるわけでございます。なお、今後とも、この欠員の補充ということにつきましては、よく予算を調べまして、年間を通じて不足にならぬ程度において極力埋めて参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。なお、また、この調査事務でございまするが、生産調査は、あるいは御承知と思いまするが、食糧管理局といった時代におきましては実は私の方で実施した経験もございます。また、一面、私の方の本庁に調査課がございます。各事務所にも調査課というものがあります。そこで、いわゆる調査事務につきましては、もちろん本職の統計調査部でおやりになっている調査にはとても及ばぬと思いまするが、たんのうな方々もおられるわけでございまして、よくその方々に御理解を願って、この際はほんとうに応急的な臨時的な措置考えておるのでございますが、まことにやむを得ない措置といたしまして、統計調査部に出向いて仕事をしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  93. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 先ほど来統計調査部長並びに食糧庁の方からお話がございましたけれども、私は、先ほど申し上げましたように、統計の基本的な性格として、これは統計調査部というものが農林経済局の中に入っているけれども、しかし、本来、各省いずれのときにおける統計の業務でも、行政とまた別個の、行政に対する中立的な性格というものが基本的にはあると思う。そういう点から見て、食糧庁の職員が、――私は決していい悪いと言っているのじゃないです。しかし、食糧庁の業務遂行という気持でおる職員が、臨時的に手助けとして来る仕事にしてはきわめて重要な調査であるということもまた事実なのです。やはり、この問題は、先ほどから行政管理庁の関係の方に御質問をしている経緯でも御承知のように、今出しておる定員法の政府原案というものはこのままの形でいくわけではない。定員外職員の定員化の問題を今次国会で実現するということについては、これは単に野党のみならず与党の皆さんでも深い理解を持っておられる。また農林倉もそのことについては従来から非常に積極的に働きかけをしておられることも私ども承知をしておる。そういう経緯もありまして、それさえ、当初の予算の過程においては、いろいろな事情があったろうと思いますが、成功はしませんでしたけれども、この問題の持つ重要性から見て、私は、今度の定員法の一部改正をやるというときには、やはりこの問題を含めて農林当局としては善処してもらう。そして、統計本来の仕事として十分整備をして、今日生産費及び所得補償方式一本にでも乗り出そうかという重要な調査について、十分な制度と自信を持って米価審議会あるいは本委員会等に出せる資料を整備してもらいたい。また、そういう体制のもとにおいて、本省のみならず第一線の事務所においても誇りを持ってこの調査ができるような体制にしてもらいたいと私は思う。今までのような臨時的な留保的な中途半端な姿で、この二倍にも拡充した重要な調査をやろうということでは、やはり、調査を担当する現地の職員の心理というものを考えましても、十分な成果を期待するわけにいかない事態が生じ得ると思う。今日、いわゆる予算の伴わない、人員の伴わない新規業務というものについてはお断わりだという組合側の強い反対の意見も出ておることは御承知だと思う。そういういろんな経緯はもちろんでありますけれども、私は、ほかの調査と違って、ことに重要である米の生産調査において二倍に調査農家が拡充されようとする重要な時期において、今後定員法がさらに追加修正される見通しとも見合って、この問題は、食糧庁からのお手伝いというふうな形ではなしに、抜本的な体制の整備ということで、一つ農林当局として誠意を持ってやってもらいたいと思いますが、この点については政務次官からお答え願いたいと思います。
  94. 小枝政府委員(小枝一雄)

    小枝政府委員 本年度の米の調査といたしましては、ただいま両部長からも申し述べましたような具体的な方法によってとりあえずやることになったのでございますけれども、将来米価の算定をどういう方法をもってやるかということにつきましては、御承知のように、昨年以来生産費・所得補償方式を取り入れましてやるということにいたしており、その方法の一つといたしまして実態についての農家調査をやるということにいたしております関係上、さらにまた米価審議会におきましても将来の米価算定の方式等も確定するものと私ども考えております。従いまして、そういう線によりまして、角屋委員お話しになっておりまするように、食糧庁が農林統計の仕事に従事するということは、これは本来の姿ではないと私ども考えるわけであります。従いまして、農林統計は、それぞれの専門的な立場においてしかも、お話のように、中立性と申しますか、全く統計理論的な、統計学的の立場に立って正確なる結論を得るということでなければならぬと思いまして、そういう理想をわれわれも持っておるわけでございます。幸いにしてこの定員化の問題も実現する段階になることを考えまして、今後十分この問題を検討いたしまして、農林統計の上に支障のない対策をとっていきたいと考えておるわけでございます。
  95. 角屋委員(角屋堅次郎)

    ○角屋委員 本日は、さらに農地局の関係あるいは林野庁の関係その他各般の問題についてもいろいろお伺いするつもりで、農地局の方からもおいでを願っておるわけでございますが、本会議の終了が非常におくれまして、協力を願っておる委員関係もありますので、一応本日はこの程度で終わりたいと思いますが、問題は非常に重要な問題ですし、しかも、このことは、今後、本委員会のみならず、これは内閣委員会でもそうでございましょうが、米価審議会その他でも、この問題はこのままの形でやられるということになると、相当大きな政治的な問題になる。そのことがやはり米価の算定の基礎について農業団体等から強い追及を受ける一つの要因にもなり得ると思う。せっかく予算を使って調査をやられるという以上は、そういう調査体制について米価審議会やあるいは農業団体その他から激しい追及を受けるというようなことを未然に防いで、そのことについては十分なる体制を持って、自信を持って提出できるという、そういうことが政治の衝に当たる政務次官を初め農林省の私は心がまえだと思う。その意味で、先ほど政務次官からも、本問題については今後の定員法の定員外職員の定員化というふうな問題の経緯もあって十分真剣に検討して善処したいという御意見もありますので、本日はこの程度にいたしますが、今後その推移によって再びこの問題は本委員会ないしは内閣委員会で取り上げて追及をすることになろうかと思いますけれども、あらかじめそういうことのないよう、に、筋道の通った、私どもも十分協力のできる結論を見出されるように強く要望いたしまして、本日はこれで終わらしていただきます。
  96. 芳賀委員長代理(芳賀貢)

    ○芳賀委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十六分散会