運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-04-06 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月六日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 田口長治郎君 理事 永田 亮一君    理事 本名  武君 理事 角屋堅次郎君    理事 芳賀  貢君 理事 小平  忠君       今井  耕君    金子 岩三君       金丸  信君    倉成  正君       坂田 英一君    笹山茂太郎君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君       野原 正勝君    松田 鐵藏君       八木 徹雄君    保岡 武久君       赤路 友藏君    足鹿  覺君       中澤 茂一君    松浦 定義君       神田 大作君    小松信太郎君       鈴木  一君    中村 時雄君  出席政府委員         農林政務次官  小枝 一雄君         水産庁長官   西村健次郎君  委員外出席者         議     員 赤路 友藏君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     林田 悠紀夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 上滝 ロク君         参  考  人         (全国漁業共同         組合連合会会         長)      片柳 真吉君         参  考  人         (農林中央金庫         理事長)    楠見 義男君         参  考  人         (北海道漁業協         同組合長連合会         会長)     安藤 孝俊君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月六日  委員小松信太郎君辞任につき、その補欠として  鈴木一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  漁業協同組合整備促進法案内閣提出第六一  号)  中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六二号)  水産業改良助長法案赤路友藏君外十七名提出、  第三十一回国会衆法第四五号)  漁業協同組合整備特別措置法案赤路友藏君外  十七名提出、第三十一回国会衆法第四六号)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  漁業協同組合整備促進法案中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案赤路友藏君外十七名提出水産業改良助長法案及び漁業協同組合整備特別措置法案一括議題とし、質疑に入ります。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 赤路提案者代表にお尋ねします。今回政府が提案された漁業協同組合整備促進法案と、赤路議員代表提案者となっている漁業協同組合整備特別措置法案とは、内容において非常に類似している点が多いわけでありますが、この際、両案の内容を比較しながら、その特色とするような点について主としてお尋ねしたいと思うのであります。  目的については、これは全国漁業協同組合再建整備を促進するというところに眼目があるわけでありますが、法律内容においてはだいぶ趣が異なっておる点があるわけであります。たとえば、整備計画を立てる場合の指定日問題等についても、赤路案によると、これは昭和三十七年三月三十一日ということに指定日を限定しておるわけです。一方、政府案の場合には政令にその点を譲っておるわけでありますが、この点の、法律指定日を明確にしておくという点に対して、その趣旨を明らかにしておいてもらいたいと思います。
  4. 赤路友藏

    赤路議員 私の方の案で指定日を明確にしましたのは、その不振漁協の地域の条件であるとかあるいはそれぞれ特殊な状態というものがあろうが、いずれにいたしましても、できるだけすみやかに整備計画樹立する、こういう意味からいきましても、指定日を明確にすることによってそうしたものが促進されるのじゃないか、指定日が非常に長いというようなことであってはその点がいささかぼけてくるのじゃないか、こういうような配慮からいたしまして指定日を明確にしたわけであります。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 この点について、昨日水産庁長官は、むしろ指定日政令に譲って弾力性を持たせた方がいいというお考えですが、今お聞きの通り、やはり、整備計画を立てるということについては、一応のめどをつけておいて、そうしてその指定日までに対象組合整備計画を立てるということの方が当然だと思いますが、抽象的に弾力性を持たすということになると、むしろ整備計画樹立がおくれる。特に不振の度合いのはなはだしいような組合の場合においてはなおさら計画樹立がおくれるような弊害もあると思うのですが、その点はどうですか。
  6. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 昨日もお答えいたしました通り政府案といたしましても、これをだらだらやっていくという方針ではございませんで、できるだけ早い機会に再建整備をはかるということは全く同様でございます。ただ、昨日も申しましたように、漁業協同組合不振原因というものはいろいろございますし、個々組合によっていろいろ事情も違いますので、その辺にマッチするようにやって参るということが必要である。従いまして、現在のプログラムといたしましては、一定期間を置きまして再建整備をやることについてはもちろん変わりないわけであります。ただ、一挙に指定してやるというわけには参らない、こういうことで、政府の方は一挙にやるという方法はとらなかったわけでございます。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 その点ですが、政令の場合においても、何年何月までに計画を立てて貸借対照表を作って整備計画を立てなければならぬということをはっきりうたわなければならぬと思うのですよ。そういうことになれば、社会党案法律指定日をうたうが、政府案政令に譲った場合においても、指定日というものははっきりしなければいけないと思うのです。それはいつごろを予定しておるのですか。
  8. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 個々組合につきましての指定日は、きのうも申し上げましたように同一でないわけでございます。最終的に政令期限を定めるということに法律はなっております。これは、私どもといたしましては、昭和四十二年三月三十一日までに指定をする、こういうことにする予定でございます。ですから、昭和四十一年度までに指定をする、こういうことであります。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、三十五年から始まっても六年間かかるわけですか。
  10. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 三十五年度から始まりますと七年間になります。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 計画だけ立てるのに七年もたてば、不振組合がますます不振になって、政府切り捨て考えておるような超不振組合になったら、もう再建の道がとだえるというようなことも出てくると思うのです。ですから、計画を立てるということについては、政府指導あるいは関係都道府県等指導が明らかに行なわれていけば、大体二年くらいの期間を設けるならば整備計画というものは整備基準等政府が示されても立つと思うのです。七年もかかって計画を立てなければならぬということは、これは全くあり得ないと思うのですが、それは何か別に予算上の理由とか何かがあって指定日を長期にしてやっていくという意味じゃないのですか。
  12. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 あるいは私の御説明が少し十分でなかったかもしれませんが、私どもの今たとえば昭和四十一年度末までに指定日指定することができるということは、だらだらと指定をしていく、整備計画をだらだら立てるという趣旨ではございません。全体としてはできるだけ早く整備計画を立てる。しかしながら、漁業協同組合特殊性によりまして、個々協同組合においてはどうしてもそれに乗ってこない場合もあり得る。そういう場合においてやはりこの指定日をおくらせなければならない組合もあることを予想しまして、そういうものを税法上の特例といっておりますこれの恩典も受けさせるために、やはり指定日ゆとりを持ってやらせるということにしたわけでございます。そのことをもって全体の整備計画をだらだらやるという趣旨では絶対にございません。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば、政府の調査によると、赤字組合のうち自力再建の可能の組合が二百三十七、整備計画対象にしようとする組合が三百七十二、整備計画になかなか乗らぬと予想される組合、いわゆる超不振組合が八十六、こういうことになっておるわけでありまして、とりあえずこの五カ年間の整備計画目的を達成できると見なされるのが三百七十二ですね。この三百七十二の整備計画を七カ年かからなければやれぬなんというばかなことはないので、数の上からいくと、これはやはり計画というものを明確にして、そして早急に二年ないし三年ぐらいで目的が達成できるようにしなければいかないのじゃないですか。
  14. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもとして、だらだらやる趣旨は毛頭ないわけでございます。それから、きのうも申し上げましたように、超不振の八十六を切り捨てるというようなことならばあるいはそういう意見も成り立つが、われわれとしては、できるだけそういう部面も指導をして、あるいは合併とか増資とかいうこともかたわらやり、整備計画に乗せたいという熱意を持っております。そういう意味でもゆとりが必要である。それから、二年ぐらいで全部やれということですが、かりに三百七十、あるいは五百としましても、実際問題としまして、系統団体指導力というものと関連してやはりプログラム考える必要があることを考えますと、これはもう少し軌道に乗ってくればずっと速度が増すとは思いますけれども、現在のような系統団体の体制であると、大体年間七十くらいじゃないかということも、一つ現実の問題としてわれわれ考えなくてはいかない。しかし、私どもは決してそれで足れりとするわけではなく、できるだけ早く、できるだけ多く整備計画に乗せるということで進んで参りたい、こう思っております。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 この点については午後に全漁連とかあるいは農林中金あるいは北海道道漁連会長等参考人に来てもらうことになっておるので、その際、関係機関が積極的に協力した場合ははたして七年かかるかどうかということは大よそ明らかになると思うのですが、そのときに譲りたいと思います。  それから、次に、整備計画を立てる場合に、信用漁業協同組合連合会あるいは農林中央金庫との協議事項という点が、これは政府案並び社会党案にも同じようにうたわれておるわけでありますが、昨日の政府説明を聞くと、内容がだいぶ違うじゃないかと私は考えておるのですが、社会党案のいわゆる協議事項内容というものは具体的にどういう点を考えておるかということをこの際明らかにしてもらいたい。それは第二条の三項です。
  16. 赤路友藏

    赤路議員 整備計画を立てます場合は、第三条では、信漁連及び農林中央金庫等協議しなければならない、こういうことになっておるわけでありますが、いずれにいたしましても、固定された債務というものは、信漁連のものあるいは農中関係のものがほとんどを占めておるわけでありますから、当然事後の整備関係等からも事前にこれらの債権者の方と協議をする、こういう建前をとっております。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は整備計画内容関係する問題で大事な点なんですが、まず考えられることは、この計画を立てる場合に信漁連あるいは農林中金等十分協議をするということは、その当該整備組合系統機関との間における協力条項等に対する事前協議ということになると、これは、当然、どの程度条件緩和するとか、それから再建を進める場合において今後具体的にどういうような援助を行なうかとか、あるいは再建整備を進める場合においてはやはりそのための再建整備資金貸し出し等も積極的に行なわれる必要は当然出てくるわけでありますが、この点については政府としてはそこまで十分考えておらぬようでありますが、どうですか。
  18. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 政府案の二条三項、これは全く同じだと私は思っております。私どもとしましても、これは省令でこの内容を定めることになっております。この協議条項というものは、まず、整備計画樹立についての全般的な方針、そこにいろいろなものが入って参る。それから、整備計画のほとんどの内容、それから、特にここで問題は、信漁連あるいは農中とその漁協に対する利息の減免あるいは弁済金の延期あるいは元本の切り捨てというようないろいろな具体的な問題をここで協議してもらう。そこが整備計画の最も眼目になるところだと思っております。これにつきましては、私どもの方から、この法律が成立した暁におきましては、一般的な方針と申しますか、というものを指示して、あまり個々ばらばらにならないように、もちろん協同組合個々特殊事情は十分勘案して参りたい、こう思っております。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 次は、整備目標についてでありますが、社会党の案は固定した債務の全部を整理対象にしておるわけであります。それから欠損金の全部の補てん、ただ、欠損金の場合には、その事業分量とか契約条件から見て、この整備計画期限内に欠損金の完全なる補てんが実際問題として不可能であるというようなことが認定された場合においては、当該整備組合出資金の二分の一をこえない範囲内で都道府県が認めた場合においてはその計画に基づいてこれを行うということになっておるわけです。ところが、政府の案によると、固定した債務整理の場合においてもただし書きをつけておるわけです。債務の二分の一をこえない範囲とか、それからまた、欠損金補てんの場合においても、社会党の案は出資金の二分の一でありますが、政府案の場合においては払込済出資金の二分の一以内ということになっておって、ここでも整備を強力にやるかやらぬかという点に対する方向がいささか違うわけです。どうも、われわれが見ると、これは手前みそになるかもしれませんが、政府案というものはなまぬるいと思うのです。そういうふうにゆるやかにしなければ漁業協同組合というのは実際整備ができないのですか。
  20. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 きのうもお答えしたと思いますが、このカッコ書きの場合は、要するに、五年間で固定した債務を全部なくする、あるいは欠損金の全部を補てんするという場合、カッコがないと、五年間にそれが全部補てんができるという見込みのある組合でないと乗ってこないわけであります。しかし、漁業協同組合、特に北海道につきましては、遺憾ながら五年間では債務の完済の見込みが立たないという組合もございます。このカッコがないと、そういう組合にはこの再建整備援助の手が差し伸べられない、こういうことになるわけです。私どもとしては、そういうものもこの再建整備に乗るようにするためにこのカッコをつけたわけでございます。現実状態として、やはり漁業協同組合には転貸資金のこげつきによる多大の債務というものを持っている組合が多いのでありますから、これらをやはり再建整備に乗せたいというためには、こういう措置をする必要があるということであります。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 乗るとか乗らぬとかいう問題は、計画を立てる場合、たとえば協議条項条件緩和というものを積極的にやるかやらぬかということによっても、計画に乗るか乗らぬかということがきまると思うのです。系統との間における条件緩和とか援助規定というものは、これが積極的に行なわれなければなかなか計画が立たないということになるし、それから、強力に援助規定というものが活用されていけば、結局条件緩和によって固定負債というものは相当圧縮されてくるわけです。だから、一番大事なことは、計画を立てる場合の援助規定とか協議条項の中で政府が強力に指導して、都道府県知事があっせんするというその段階で計画がこれに乗るようにしなければいけない。それを怠って、ただ五年でやれるとかやれないということだけではいけないのじゃないですか。そういう点では、社会党の場合、固定負債は全部整理するというような強い意思を持っておるが、どうですか。
  22. 赤路友藏

    赤路議員 私ども考え方は、固定した債務はこの際全面的に整理をしていく。そうしませんと、債務の一部が残るというようなことでは、将来またそれが、経営のいかんによっては水増しされてくるということも考えなければなりませんので、できるだけ固定債務の方は全面整理をする。そうすることがほんとうの漁協整理というものになるのだ、こういう観点の上に立って全面整理をうたっておるわけであります。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、政府にお尋ねしておきたいのですが、同じ出資金範囲内でも、出資金の二分の一と払込済出資金の二分の一の場合において、これは非常に意味が違うと思うのです。終戦後の、たとえば農協法とか水産業協同組合法等を見ても、やはりこれは資産の面から言うと出資金というものを基本にして考えるのが当然であって、今後整備計画を立てて増資を進めるというような場合において、やはり出資金というものが基本になって組合員にそれを義務づけるということでいかなければいけないと思うのですが、どういうわけでこれは払込済ということを特にうたっているのですか。
  24. 林田悠紀夫

    林田説明員 払込済出資金といたしましたのは、この協同組合債務を明らかにいたしまして、その欠損金からプラスの面を差し引くということを考えました場合には、やはり払込済出資金ということにいたしませんと現実財産にはなりませんので、そういう現実のものを差し引いて考えるということにするために払込済出資金ということにいたしたわけであります。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 これは、たとえば農林漁業団体再建整備をやる場合に、この出資は分割の形の払い込みはいけないという建前に立っているのです。従って、出資契約をした場合は、たとえばその年次計画で、ことしは何日出資するとか、来年は何日というような計画出資することは、これは計画に基づいてその年次ごとの持ち分に対しては完全払い込みということが建前ですから、そのうちの払込済とか、たとえば未払い出資金という、こういう形をここで強調するというのはうまくないのじゃないですか。
  26. 林田悠紀夫

    林田説明員 農協の場合でも同じじゃないかというふうに考えておるのでありますが、やはり、出資金といいましても、名目上の出資金では現実プラス財産ということにはなりませんので、どうしても、払い込みが行なわれたものについて差し引いて、それを欠損金として考えていくということにいたさないと、この整備の十分な目標の達成ということにはならないと考えまして、こういうふうな規定にいたした次第であります。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 出資の問題は議論のある点ですが、次に、大半なのは整備計画内容でありますが、これについて少し詳しくお尋ねしておきたいと思うのであります。  一番大事な点は、やはり固定した債権あるいは在庫品のたなおろしとか固定資産処分等の問題は、これは整備組合自身の努力で内部的に当然やらなければならぬ点でありますが、この点に対しては相当強力に進めるということになれば、たとえば固定債権ということになると、整備組合構成員である組合員組合との間における債権債務の問題ですから、この債権の消却を強力にやるということになれば、これは、農協と違って漁業協同組合の場合には、組合員経済力は非常に相違があり、格差が非常に違うわけであって、ほとんどその組合固定債権というのは、組合員のうちの零細な債務が固定化したというのじゃなくて、むしろ少数組合員の大口の債務が固定化しているというような点が特色になっていると思いますが、こういう少数組合員に対する多額の固定債権を消却するということになりますと、やはり組合の内部にも相当問題があると思いますが、これらの指導はどういうふうにやっていくお考えですか。
  28. 林田悠紀夫

    林田説明員 第四条におきまして整備計画内容を定めておりまして、その第三号に、「固定した権債及び在庫品資金化並びに不要固定資産処分」というふうな規定をしてあるわけございます。この固定した債権と申しますのは、今先生のおっしゃいましたように組合員に対する貸付の債権もございますが、そのほかに、組合が販売をいたしまして、たとえば魚をほかのものに販売する、その債権が固定してしまったというふうな、そういう債権も含んでおるわけでございます。大体弁済期到来後一年以上経過しておるものを固定した債権というふうに考えておる次第でございますが、やはり、組合をよくしますためには、仰せのように個々組合員をよくしていくということがもちろん必要でございますので、この整備計画内容のみならず、ほかのいろいろな沿岸漁業の施策を行ないまして、個々組合員もいい経済状態に持っていくということを総合的に行ないまして、固定した債権整理をいたしていきたい、こういうふうな総合的な対策として考えております。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、固定した債務条件緩和、それから、信用漁業協同組合連合会または農林中央金庫から受ける援助内容も第四条の一項四月の規定に入っておりますが、固定した債務条件緩和ということになると、これは昨日も私どもが尋ねたのでありますが、きょうは具体的な例をあげて説明を願いたいと思います。第一の点は、政府資金条件緩和等についてはどの程度のことを政府として考えておるか。
  30. 林田悠紀夫

    林田説明員 第四号の固定した債務条件緩和と申しますのは、たとえば、先ほど仰せになりました中小漁業融資保証法におきまして、今まで政府求償権でございましたのを今度は基金協会求償権にいたしまして、政府基金協会から納付をいたしてもらうというようなことに改正をいたした次第でありますが、それによりまして国の債権管理法規定の適用から除外されますので、中小漁業融資保証法による基金協会債権として個々の実情に合わせて債務条件緩和ということが可能になるわけでございます。そういうふうなことを考え合わせまして、固定した債務条件緩和ということを打ち出しておる次第でございまして、あるいは、そのほかに、「その他信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫から受ける援助内容」という規定もございますが、これも利子補給のような援助のほかに固定債務条件緩和というふうなこともこの中で考えておるような次第でございます。大体そういうものを合わせてこの固定した債務条件緩和というふうに考えておる次第でございます。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、漁業災害関係融資が相当出ております。例をあげますと、昭和二十七年のオホーツク暴風浪災害融資昭和二十八年六、七月の水害の災害融資昭和二十九年五月の暴風による災害融資、あるいはまた昭和二十九年の十五号台風災害融資昭和三十年十月、これは天災融資法によるものでありますが、この災害融資、数多く漁業災害に対する融資が出ており、これは中金の資金政府あるいは都道府県、町村が利子補給損失補償契約を結んで出ておる資金ですが、これらはほとんど償還期日到来あるいは経過のようなことになっておって、整備を予定される組合の中ではこの漁業災害融資償還というものはなかなか順調にいっていないことは御存じの通りであります。ですから、条件緩和の場合においては、これらの不可抗力の災害によって生じたその損害を克服するためにこういう資金が流れておるのでありますから、漁協整備計画の場合には相当これは重要視して条件緩和をする必要があると思うのですが、具体的にはどういうふうになっておりますか。
  32. 上滝ロク

    上滝説明員 御承知のように、北海道あたりにつきましては災害資金でこげつきましたのが最も問題になっておるわけでありますが、これは、他の例を引いて何でございますが、一応こういう従来からの漁連整促にいたしましても、あるいは農協整促にいたしましても、すべて制度金融関係、ことに政府資金が裏づけになっておりますものは、一応整備計画の場合にはワク外考えていくというのが原則でございます。ただ、漁協の場合にはそういうことだけでは問題は解決いたさないと思います。従いまして、当面考えておりますことは、損失補償対象に確実になり得るもの、それから、損失補償対象になる見込みが大体ついておるものにつきましては、これはやはり損失補償の方で考えたい。これはワク外でやりたいと考えております。問題になりますのは損失補償対象にならなかったもの、そういうものにつきましては、やはりこの計画の中に織り込みまして整備して片づけたいと思っております。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 ワク外ということになると完全な計画が立たないと思うのですね。こういう災害融資償還が滞って、なかなか組合計画がうまくいかないということになれば、これは当然計画の中へ入れて、これらの融資についてはどういうふうな緩和条件ができて、これでいけばやれるということにならなければいかないのじゃないですか。
  34. 上滝ロク

    上滝説明員 これは、片方、そういう災害融資制度金融の筋からいきますと、損失補償を金融機関は受けましても、当該組合はそれで能事終われりではないのでありまして、金融機関としてはそれ以後今度はその組合に対しまして取り立てを行ないまして、取り立てのつどその政府資金については国に納付するという筋立ては御存じの通りであります。これは、やはり政府資金でありますので、その原則はくずすわけには参らないかと思います。しかしながら、そういうことをやりましてかえってせっかく整備計画を立てて軌道に乗ろうとしておる組合に対しましてそれがマイナスになってはむろんなりませんので、やはり、そこはいろいろ考慮いたしまして、制度金融におきまして損失補償をいたしましたものにつきましては、はっきり大きな声で申せないかと思いますが、幾分取り立ての期間につきましては延長なり猶予をいたしまして、できるだけ軌道に乗せていくということにいたして処理いたしたいと思っております。  なお、御心配になりますのは、それが残っておる限り整備計画がうまくいかないのではないかという点であろうかと思いますが、これにつきましては、一応組合と金融機関との関係におきましては、金融機関は国からの損失補償を受けておりますので、一応これはたな上げして整備計画が立てられるわけでありまして、その方針によってやりたいと思っております。現に農協でもそういう方針でやっておりまして支障なく運営されておりますし、あるいは漁連整促におきましても、漁連の場合には災害資金についてはあまりございませんが、公庫の特融資金につきましてそういう問題はなくはないわけでありますが、全部一応ワク外ということで整理して支障なく運営されております。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 この中で、昭和二十九年の五月災害の場合は、損失契約が中金と市町村の間においてなされておるわけですが、それ以外はほとんど中金と都道府県なんですね。それで、これらの場合には、災害地の町村が結局そういう損失補償契約を結んでおるのですから、相当村政が苦しい町村においては、これが相当な重圧になっておるわけです。また、国の方でも実際問題として損失補償というのはなかなかやってないのですよ。そういう具体的な内容がいろいろ伏在しておるのですから、この際、審議の促進上からも、今述べた災害融資の返済の状態とか、損失補償の行なわれた状況とか、期限経過後の未償還状態がどうなっておるか、これはきょうわかった点は説明を願いたいのですが、詳細な点については資料を出していただきたい。
  36. 上滝ロク

    上滝説明員 後ほど資料につきましてまた提出いたしたいと思いますが、現在考えておりますのは、先ほどお話したような方向で処理いたしたいと思います。  なお、市町村が損失補償契約をみな結んでおるわけでありますが、市町村が単独で損失補償契約を結んでおるのも絶無ではないようでありますが、大方は、市町村が損失補償をいたしますと、それは都道府県及び国があとから裏づけをするという格好で実際に助成が行なわれます。それにいたしましても、相当の金額に上りますので、この点につきましては、大蔵省との予算折衝の過程、あるいはまた私ども自治庁ともいろいろ話し合いまして、市町村につきましては一応特別平衡交付金でそのめんどうを見るという方針で処理をいたしております。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、町村が行なった分も特別平衡交付金から見ておるのですか。この点については、天災融資法の一部改正で国と都道府県の負担区分の改定をやったとき、農林委員会でもそれを取り上げて、その際、ちょうど当時田中さんが自治庁の長官のときですが、災害が発生した年次のこれらの都道府県や市町村の行なう利子補給とか災害復旧の支出等の分については以前から特別交付金の対象になっておったが、この利子補給等については二年目からは特交の対象にしてなかったので、当時委員会においてもその点を指摘して、総理府令の中にあるわけですが、特交の中でこれを対象にして継続的にやるということが明らかになったが、聞くところによると、たとえば二十九年五月災害の町村の補償分等に対しては、自治庁や大蔵省の方でなかなかすなおに特交でこれを見ないようなきらいもあるのですが、そういう心配はないのですか。
  38. 上滝ロク

    上滝説明員 特別交付金の基準につきましては、私どもの所管でございませんので、私からお答えすることは、できないのでございますが、私どもといたしましては、自治庁あるいは大蔵省との折衝の過程におきましても、当然交付金の対象考えるべき筋合いのものであるということをお話をして、話し合いの過程においては、そういうふうに考えるべきであるという話にはなっております。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題はあとで自治庁を呼んで尋ねたいと思います。  次には、系統融資の問題ですが、中金とか信漁連条件緩和というものは、具体的に、大体どの程度に金利等の面においても緩和するとか、切り捨てをやってもらうとか、何かそういう基準らしいものがあれば示してもらいたい。
  40. 上滝ロク

    上滝説明員 現在まだ確定的な基準は検討中でございましてできていないのでございますが、一番大きな問題は金利の減免であろうかと思います。それは、昨日申し上げましたように、一応一割の金利につきまして六分五厘の減免をしてもらうことを予定しております。これは大体確定したと申し上げてよろしいと思います。  償還期限につきましては、個々の案件ごとに違うと思いますので、具体的には申し上げられませんが、いわゆる償還ができる限度におきまして、できるだけ期限の延長をはかって取り扱いたいと思います。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほども説明にありました中小漁業融資保証法関係でありますが、この点は、社会党案の方では法律案の中で緩和条項というのを明らかにうたっておるし、政府の方では、説明によると、今審議中の中小漁業融資保証法の改正の中でそれは十分尽くされるということでありますが、どうも、内容を検討すると、われわれとしては十分なことができるとは考えられないわけです。それで、この際、赤路代表の方から、この案の中に示された中小漁業融資保証法関係の国が持っておる求償権緩和内容等に対して少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  42. 赤路友藏

    赤路議員 私の方は、十七条で、国の求償権に関する特別措置というようなことが出ておりますが、具体的に言いますと、たとえば百万円の債務がある、それに対して利子が十万円である、それを五十万円弁済する、こういう場合、五十万円は当然元金の方に充当をする、そうすると、利子の十万円はその割合においてこれを減免していく、こういう考え方でこれを策定したわけであります。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、違約金の方はどうなりますか、それをあわせてお願いします。
  44. 赤路友藏

    赤路議員 あなたのおっしゃる違約金というのは、延滞利息でございますね。延滞利息については同様であります。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 免除するわけですね。
  46. 赤路友藏

    赤路議員 ええ。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、これは政府にお尋ねしますが、社会党の案では、たとえば百万円のうち五十万円の弁済を行なったという場合には、五十万円は元本優先ということになるわけですが、その五十万円の弁済された分の利子は免除する、また違約金等についても免除するということでありますが、政府案の方ではそこまではいってない。それは代位回収分については元本優先という扱いはあるが、その分の利子を減免するとか、それから延滞金とか違約金を免除するという規定は、今度の中小漁業の融資保証法の改正の中でそういうことがもしやれるとすればやれるというふうに御答弁願います。
  48. 林田悠紀夫

    林田説明員 元本と延滞利息と二つございまして、延滞利息につきましても、どうしてもとれないというふうな場合は、これはやはり減免するということになるわけでございまして、社会党案との間にそんなに差異はないというふうに考えております。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は大事なところですよ。保証法の改正だけでこれは社会党と同じようにやれますといっても、実際はこれは簡単にいかないと思うのです。特に整備組合の場合にはどうするかということが何もうたわれていないじゃないですか。ですから、通例の組合と今度の特に法律を設けた整備組合に対する融資保証法関係緩和規定とか、そういうものはやはり区分して取り扱う必要が当然出るのじゃないですか。
  50. 林田悠紀夫

    林田説明員 もちろん、その債権を減免するにつきましては、個々の信用基金協会が、個々債権に対しまして、その債権内容を善良なる管理者の注意をもちまして管理をいたしまして、そうしてそういう注意のもとに減免を行なうということになる次第でございまして、これはやはりその債権の実情に応じまして考えるということになるわけでございます。その場合に、一方整備促進を行なう組合につきましてはそういう実情がございまするので、十分善管注意をもちましてその債権の管理をいたしまして、減免をも行なう、こういうふうになる次第でございます。
  51. 芳賀貢

    芳賀委員 この整備組合の分については整備促進法の中で明らかにしておくべき点だと思うのですが、小枝さん、これはそうした方がいいんじゃないですか。
  52. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 ただいまのところでは別にそういうふうに考えておりませんが、なお零歳の過程において十分検討してみたいと思います。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、これは社会党案政府案の大きく異なる点でありますが、政府の方では利子補給等の措置については言うまでもなく基金制度でやるということを言っておりますが、社会党の案は、農業協同組合整備特別措置法と大体趣を同じにした方向で、この利子補給あるいは駐在指導員、巡回指導員等の設置ということを考えてやっているのですが、この際、赤路提案者代表から、この社会党の案に基づく予算の裏づけを一応明らかにしておいてもらいたい。
  54. 赤路友藏

    赤路議員 予算の方の御質問ですが、私の方では助成措置は第十条でうたっていますが、政府案との相違は今芳賀委員のおっしゃる通りなのです。予算面で参りますと、私の案の末尾に出ておりますように、初年度約四千五百万円の見込み、平年度が大体五千六百万円の見込みであります。当時計算いたしました内容を申し上げますと、こまかい数字は除きますが、漁業協同組合整備委員会の補助に対しまして百二十三万、それから、利子補給を百五十件と見まして一千百二十五万円、それから、合併奨励金、これは五十組合と見まして五百万円、それから、巡回指導員の補助でありますが、これは二百組合と見まして百二十万円、それから、駐在指導費が百組合で三百六十万、指導員の設置補助金が百十七人で二千二百四十万、こういうような初年度計算でありまして、大体四千五百万円、これと同じような項目で平年度を見まして五千六百万円、こういうように当初予算を計画いたしました。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 それで大体内容は明らかになったと思いますが、次に政府にお尋ねしたいのは、基金制度でやる場合にもやはり業務の予算というものは必要になるわけですが、まだ予算内容というものは明らかになっていないわけですね。ですから、たとえば、利子補給であるとか、合併奨励金であるとか、巡回指導員の助成とか、そういう分について細目の説明を願いたい。
  56. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 きのうも御説明申し上げましたように、基金の業務のうちには、合併奨励金を交付するとか、指導員も置くということになっておりまするけれども、発足当時におきまして、ことに本年度におきましては、基金からそういうことをする、特に合併奨励金等を出すことは無理でございます。従いまして、本年度において一般会計から、巡回・駐在指導員、これらに対する補助金としまして二百九十五万円、それから、合併奨励金としまして百二十五万円、その他整備委員会費の補助金として七十四万五千円、こういうような予算を計上いたしております。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、お尋ねしているのは、基金のたとえば三十五年度の予算ですね。それから、たとえば三十六年度からはこの合併奨励金とか駐在指導員も基金の業務で扱うということになるから、当然これは基金から支弁されると思うのです。しかし、基金の業務の予算内容というものは全然明らかになっていないわけです。ですから、たとえば発足の当年度と来年度以降どういうことになっておりますか。それから、あわせて、資金造成のそういう計画説明していただきたい。
  58. 林田悠紀夫

    林田説明員 基金の生み出しました利息によりましていかに運用していくかという問題でございまするが、これはやはり基金の金額によりましてだいぶ趣が変わってくる次第でございます。それで、私たちといたしましては、三十五年度におきましては、国が一億の貸付をいたしまして、団体の方から当面同額の一億というふうに考えております。目下のところは団体の方が一億以上のものを出そうというふうな気がまえになっておる次第でございまするが、その国と団体の二億ということで考えましたならば、運用利息が初年度におきましては半年分の六百五十万円ということになるわけでございます。それで、その中から利息の減免のための補助金を個々整備促進する協同組合に対して出していくということになるわけでございまして、その利息の補給を大体五百五十万円程度というふうに考えております。これは初年度におきましては七十組合ほどを対象として考えておりまして、それについての半年分の利息の補助という考え方でございます。それで、先ほど長官から答弁いたしましたように、合併奨励金とか、あるいは整備委員会の費用、あるいはその他駐在・巡回の指導費をすべて国の予算で組んでおりまして、この法令の利息から支払うということはいたさないことにしておるわけでございます。しかし、この五百五十万円の差額が百万円ほど生み出されてくるわけでございまするが、一応それをこの基金の管理費というふうな考え方を持っておりまするが、この基金の管理費はできるだけ最小に押えまして、これに人を費すというふうなことなく、全漁連とかそういうふうな団体の人をここに派遣していただいて、そういう人で指導を行なっていくというふうに考えておりまするので、百万円の管理費は当面必要ないものと存じております。そうしましたならば、これが剰余金として理年度に繰り越されていくということになるわけでございます。それで、もしこういうふうに二億だけで基金が今後におきましても継続してやっていかなければならぬということに相なりましたならば、運用利息は年間千三百万円ということになるわけでありまして、その千三百万円で利子補給財源としてやっていかなければいかぬということになるわけでございます。しかし、こういうふうな二億で今後もやらなければいかぬということは考えてない次第ございまして、できるだけ国の貸付金もふやして参りまして、少なくともこの二億の倍額くらいのところまでは、国の貸付金と団体の出資金と両方で持っていきたいというふうな考え方を持っておる次第でございます。もしかりに四億というふうにことになましたりならば、そのときの運用利息は二千六百万円ということになるわけでありまして、そうしますると、管理費に使いましても、なお合併奨励金とかあるいは整備委員の費用とか、こういうようなものもこの運用利息の中から支払いができていけるであろうというふうに考えております。そういうふうに、基金の金額によりまして内容がだいぶ変わってくるような状態になっておる次第でございます。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 基金造成の場合、最初政府案法律の中に明らかに政府から二億五千万円の出費を行なうということで作業をしたわけです。最後になって、今度は無利子貸付ということになって、ことしはとりあえず一億円ということで終わったのですが、政府が一億、あと関係団体で同額程度ということになれば、二億程度の基金では整備計画の達成ということはできない。従って、三十五年度はいろいろな事情でこうであるとしても、三十六年度においては、たとえば五億円なら五億円の基金を造成して、そのうちの半分の二億五千万円というものに、これは政府の責任で出資とか調達するということでなければ、整備計画なんということを大きくうたってみても何もやれないじゃないですか。この点はきのうの農林大臣の言明でも明らかでなかったんですが、この機会に、基金の造成を、たとえば今年度、明年度中にどれだけに到達させるという計画と見通しでおるか、この点だけはぜひ明らかにしておいてもらいたい。
  60. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 政府は、当初案として、二億五千万円ずつ政府出資を、これは法案としてそういう法案を準備したわけではございませんので、そういうもくろみで一応予算折衝をしたわけでございますが、諸般の事情から一億にとどまった、しかもそれは昨日大臣からの御説明にありましたような貸付という格好になったわけでございます。しかし、今漁政部長からの説明がありましたように、私どもとしまして、本年度とましては二億あるいは二億五千万円ということになりましたことはいたし方ないと思っておりますが、これをもって十分とは考えておりませんので、私どもとしましては、できるだけ来年度以降においてなおこの基金の資金が充実する方向について努力を払って参りたいと思っております。これは昨日も農林大臣がはっきりとこの点は申されたことで御了承願えるものと思っております。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、ことしはともかくとしても、明年度に政府としてどの程度まで資金の造成に努力するかという、その方向というものを示しておかぬと、また来年度の予算折衝で最後に大蔵省にやられて目的通りにいかなかったということになるのですよ。毎年同じことを繰り返すのですから、今からもう少し農林省としても——特に、農林省の中でも水産庁というのは、気が弱いというか、どうも予算獲得には気弱にやっておるようですが、それでは今回法律まで作って整備計画達成という大きな目的の達成は困難だと思うのですがどうですか、政務次官、あなたもやっぱり水産庁に関係あるのですから、二億五千万なら二億五千万にするということを今から明らかにして、そうして実現するようにしなければいけないと思う。政府の責任として無利子で基金に金を貸すなんというばかなことはない。大臣からあすでも答弁してもらってもいいですが、一体、基金というものを来年五億にするなら五億にする、そしてそのうちの半分の二億五千万は政府として責任を持って造成しますと、そのくらいの答弁ができなければ、こういう仕事は進まぬと思う。
  62. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 芳賀委員の御質問のように、本年度の基金によって十分とは私ども考えておらないのであります。そこで、それでは本年度はともかくとして来年度にあたっては一つ幾らにこの基金の総額をしていくかという目標を明らかにせよということでございますが、この点は、御承知のように、予算折衝の問題もありますし、簡単に参らないと思うのでありますが、大体、農林省の方針としましては、本年度要求いたしました当初の考え方をもって次の年度に対しても対処していきたい、極力努力してやっていくという考えでございます。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 本年度要求に対して二億五千万ですね。
  64. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 それを目標に、昭和三十六年度の予算要求も大蔵省に対してやりまして、極力努力して参りたいと考えております。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 政府案に賛成するわけではないのだが、とにかくそういう気持だということは聞いておきます。とにかく、今赤路代表が答弁された通り社会党案によると、政府からの支弁が初年度で四千五百万円、平年度では五千六百万円ですし、政府案による政府のほんとうの負担分というものはこれは微々たるものです。ですから、そういう点を考えても、漁業政策等についてもいかに今の政府の政策というものが貧弱なものであるか、これを与党の自民党が支持しているということになれば、やはり自民党の漁業政策というものも貧困きわまるということがここで立証されるのです。それで、特に巡回指導員とか駐在指導員とかいうものは、この整備計画を立てたり実施を進める場合にこれは非常に大事な役割を果たすわけです。ところが、政府案の場合は駐在指導員あるいは巡回指導員の設置に対しても一般会計から毎年わずかずつ出ておるが、やはり、法律に基づいた整備を進めるということになれば、これに対応した指導員の陣容を確立するということが非常に大事だと思うのです。これが欠けている。整備計画を立てるだけでも七年間かかるというのはここに問題があるのです。指導とか実地に対する体制を政府として十分整えることができない、そして、基金がわずかしかないから、指定だけしてみてもその利子補給もできないということで、七年間に延ばしてちびちびやっていくということになるわけですから、せめて指導員の設置等に対しては、先ほど赤路代表も言われたのですが、やはりこれははっきりした設置の根拠を設けて、その身分を都道府県に置くとか、あるいはその関係協同組合の連合会の職員でも、それは両様あると思いますが、そういうところに十分責任を持ってもらって、全面的に政府がその経費に対してはこれを負担する、助成するというようなことに当然いくべきだと思いますが、この点に対しては大きな欠陥があると思うのです。きのうも申しわけ程度の答弁はあったが、来年からは基金の中からも指導員を置くというようなことでありました。これは非常に体制が乱れておると思いますが、この点に対するはっきりした答弁を願いたいと思います。
  66. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 現在指導体制と申しますか、これにつきましては、先ほど申し上げましたような予算的措置を講じておるわけであります。私どもも率直に申し上げてこれで十分だというふうには考えておりません。きのうも申し上げたように、今後も充実して参らなければならない、ただ、本年度は発足当初でございまして、この基金が現実に活動するのも年度の半ば過ぎであろうということも考えます。私どもとしましては、政府の予定している程度でよろしいんじゃないか。それから、もう一つ、私どもとしましては、この指導員というものは、何も県の職員に限らない、県が信漁連なり県漁連の職員に委嘱してやる方がより現実的であろうというふうに考えまして、私どもとしては、これをあえて県一本にしぼらないで、現在やっておりますような財政的な補助をする、それによりまして県が適当な人を委嘱する、県の職長も当たりましょうし、あるいは信漁連や県漁連の職員も委嘱を受けてそれに当たるという方が、実際に人を得る方便からしましても実情に即しているというふうに私は思っておるわけであります。そういたしますと、これは何も法律に明定する必要もないし、そういうふうにもちょっと参らない、こういうふうに考えて、法律上の規定としてはそのことを設けなかった。ただし、このことをもってわれわれが指導体制を等閑視しているという意味ではございません。私どもとしては今後この体制は充実して参る、こういうふうに思っております。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、来年度以降どのくらいの計画で増員する予定ですか。
  68. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 来年度以降につきまして、今どれぐらいとか具体的な数字をまだ樹立しておりませんけれども、この組合再建整備というプログラムが支障なくいくに必要な予算的措置を講じたい、こういうふうに思っております。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、基金の内容ですが、特に昨日長官からも重大な発言があって、基金の業務方法書の規定に基づいて、都道府県とか当該信漁連等が利子負担をするということが条件にならなければ基金から利子補給をしないということでありましたが、これは重大な点ですから、業務方法書の内容委員会に配付してもらいたい。そういうものがわからなければ審議を進めるわけにいかないと思うのです。これは用意してありますか。
  70. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 業務方法書の内容のきちんとしたものはまだできておりませんけれども、大体の方針と申しますか、こういうことを盛るであろうという点なら、ここで御公表できると思います。
  71. 上滝ロク

    上滝説明員 業務方法書の内容につきましては、目下検討中でございまして、まだ成案を得ておりませんが、骨子といたしますことは、昨日も御答弁いたしましたように、何も県に条件をつけるという意味では毛頭ないわけでありまして、法律目的にもありますように、組合が自主的に再建の努力をするということに最も根幹があるのでありまして、その根幹を受けて、認定し助言をしいろいろ計画を検討するのは、全部都道府県の責任でやっていただくわけであります。その考え方につきましては農協も全部同一であります。そうしますと、とにかく県が優先的に検討をしたところでなければ基金としても安心して援助ができないであろうと思います。従いまして、県がそれだけ熱を入れるところであれば安心してやれるということで、そこで基金も御援助をいたすという考え方をとっておるわけであります。  それから、業務方法書の内容につきましては、昨日もお話ししましたような、いわゆる金利の問題も、六分五厘とした場合に、都道府県が一分六厘を援助して、基金から三分二厘の利子補給をするということが利子補給関係規定の根幹になろうかと思います。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 これは政府の怠慢です。大事な業務方法書を、何も準備していない、検討中というふうなことで、法案を早く通してくれといっても無理だと思う。ですから、これは間に合わなければ業務方法書の要綱的なものでもしようがないが委員会に配付して、それによって審議の促進に協力してくれということでなければいけないと思うわけです。  そこで、お尋ねしておきたい点は、一体政府として純粋に基金を通じてどの程度利子補給をするかということが問題だと思う。今の説明でも、基金から三分二厘、都道府県から一分六厘、それから金融機関が一分七厘という予定ですが、基金の三分二厘も、これは基金を国が全部造成しておるわけじゃないのですから、国が半分、それ以外が半分ということになれば、二分の一だから、基金の中における国の負担分というものは結局一分六厘ということになるわけです。政府はこの基金を通じてわずか一分六厘しか協力しないということになる。そういうことになると、国が一分六厘、都道府県が一分六厘、金融機関は結局三分三厘ということになる。系統ですから、これは自分で六分五厘の半分は協同組合でやれということになってしまえば、表面はいかにも六分五厘の利子補給になるが、中身は国はたった一分六厘しか利子補給をしないということになる。そうなれば、これは農業協同組合整備特別措置法なんかに比較した場合に漁協に対しては全く冷遇措置のような法律になってしまう。一体そういう点を不思議に思わないですか。
  73. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 きのうも申し上げましたように、この再建整備方式というものは、漁業団体、漁業協同組合組織の自主的な盛り上がりというものを根幹にしまして、政府はそれに対して援助をする、政府系統団体の力と両々相待って相ともにやっていくというところに非常に大きな特色が見られると思います。これの基金を作りました趣旨は、もう一つは、やはり、漁業の特質と申しますか、漁業協同組合の特性と申しますか、それが漁況の変化等によってそのうちにまた赤字組合になるものであろう、いわば、われわれとしては、この制度は、半永久的と申しては弊害がございますけれども、相当長い間をある程度予定しなければいかぬ、——それは決して再建計画をだらだらとやる意味じゃございません。そういう場合もあるということで、そういうことを名目的再建整備をやるのではなしに現実に実質的なものをやっていくという場合は、自主的な再建整備、自主的な盛り上がりを受けて政府系統団体と力を合わしてやる、こういうところに特色があるのであります。今、芳賀委員の御指摘のような計算をして、こまかく言うとこういうことじゃないかと申しますけれども、それらのことは、その基金の特色として、それとあわせて見ますと、きのう申し上げたように、農協利子補給が二分二厘に対して、三分二厘でございますので、やはりここ特色があると見られる、かように考えます。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 この点が社会答案と非常に違うところですね。やはり、今の漁業協同組合の不振状態というものは、農業協同組合に比べて非常に内容が複雑でもあるし、困難性も多いわけです。そういう中でこれを日生的にやれといっても、望んでもこれはできないんですよ。ですから、むしろ条件が悪いんですから、かつての農業協同組合整備増進以上に、国が中心になって、責任を持ってこの際再建を進めるということに乗り出すべきだと思うのです。これをおくれてはいけないと思うのですよ。そういう場合に、ことさら後退した考え方の上に立って、自主的にやるんだというようなことでは、絶対に効果はあがらないわけです。当然、これは、国、都道府県、そして関係協同組合の組織が一体になった強力な再建整備の促進ということに行くべきであるとすれば、むしろ社会党案を尊重すべきではないですか。何もこだわる必要ではない。議員提案であってもりっぱな内容の案であれば政府もそれに協力して押していくということであればいいのだが、議員提案だから、あるいはこれは社会党提案だからといって、それと内容を変えなければならぬとか、むしろ貧弱なものにして差をつけるということはけしからぬと思いますが、どうですか。謙虚に社会党案に行った方がいいじゃないですか。
  75. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 芳賀委員の御説でありますが、われわれは、これがほんとうに漁協再建にいいということならば、謙虚な気持をもってそれを取り入れることに決してやぶさかではないのであります。謙虚な気持でこの法律案というものは取り扱うべきだと考えております。ただ、それじゃ、政府案が非常に劣るではないかというお話でございますが、この点につきましては、政府といたしましては、御説のように、漁業というものは、いろいろ問題点もございますし、複雑多岐にわたっておるものでございますから、これに対する漁業者側の受け入れ態勢を整備することの必要もあるのでございまして、いろいろの点を考慮いたしまして、まず政府案をもって一応端緒を得ていきたい、かように考えてこの法案を提出いたしておるわけでございます。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 倉成委員の質問の時間が予定されておるので、午前中はこの程度にしておきますが、最後に一点だけ尋ねておきたい点は、昨日来も申し上げておるのですが、われわれの判断では、超不振組合をどうしても政府としては切り捨てようという考え方の上に立っておることは明らかなんです。それは、たとえば、固定債務の二分の一以内とか、払い込み出資金の二分の一というのは、そういうただし書きの規定というものはありますが、これは、五年間で整備ができなくて十年くらいかかるという分に対してはこれが適用されるが、十年でもできない、十一年以上の将来にかかるという分が実は世不振組合の八十六だと私は見ているわけです。そうなると、西村長官が幾らこれは入りますと言ったって、実際はこれは入らないのですよ。だから、そういう点は、最初からすなおに、これは間違った態度なんだから、一番ひどい組合もやはりあわせてこれは取り入れて、協同組合としての姿が存続されて、しかも強化されるということに対して、やはり温情を加えてやらなければ、貧弱組合切り捨てみたいな形というものは政治としては間違った思想じゃないですか。
  77. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 私ども、決してこだわって考えておらないわけでございます。きのうも申し上げたいわゆるCクラスのもの八十六ぐらいがこれに乗らないじゃないかと芳賀委員は言われますが、私どもがいろいろ調べたところでは、これに乗せる分が、カッコ書きを入れれば相当ある。カッコ書きがなければ全くこれは乗らないわけです。それから、基金を作りました理由はそこにも一つ大きな理由がございまして、第二期計画というようなものも考えております。それは、どうしても、きのうも申し上げましたように、生産基盤の問題あるいは漁業の転換ということまでやらなければならないという組合もあると思います。これはこれで、きのうも申し上げたように、実質的にまた別途考えたいと思いますけれども、この整備の制度に乗るものも相当あると思います。そうして第二期計画というようなものも指導しつつ考えていくということで、私どもはそういうものもぜひこれに入れたいということで第三条第一号にカッコ書き規定も入れたわけでございます。御了承を願います。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は、午後でけっこうですから、五年以上かかるいわゆる二分の一の目標を立てた整備組合のやり方の内容と、それから、私が心配しておるいわゆる超不振組合に対してどういう形でこれを乗せるかという具体案、そういう点に対する政府の案というものを一応出していただきたいと思います。  それから、もう一つは、業務方法書の要綱的なものでやむを得ぬと思いますが、その二つを皆さんに配付していただきたいと思います。  委員長に申し上げますが、午前中はこの程度にして、まだ社会党提案の水産業改良助長法案について残っておりますが、これはまた午後に質問することにしたいと思います。
  79. 吉川久衛

    吉川委員長 倉成正君。
  80. 倉成正

    ○倉成委員 私は、この際、政府提案の漁業協同組合整備促進法案及び社会党提出になる同じく漁業協同組合整備特別措置法案に関連して、政府並びに社会党代表に、沿岸序漁業に対する基本的な考え方並びにその施策を伺いたいと思います。  まず第一に政府案についてお尋ねしたいのでありますが、本法律案不振漁協整備を促進するための措置を講じ、利子補給、助成、指導を行なうことを目的とする点は賛意を表するものであり、従来なかった施策を取り上げられた点については敬意を表するのでございます。しかし、はたして政府に今日の沿岸漁業の現況の正しい認識とこれに対する積極的な熱意があるかどうかという点について伺いたいと思うのであります。  政府は、単なる希望や机の上でつじつまを合わせることでなく、現実の漁民が恩恵を受ける具体的な法律を作っていくのが水産庁としての当然の任務であろうと思います。そこで、まず政府基本的な認識を伺いたいのでありますけれども、この法律を準備するまでにどのような基本的な調査をされたか、また、その調査のためにどういう予算措置をやられたか、どういう認識の上に立ってこの法案を作られたか、これをまず伺いたいと思います。
  81. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 沿岸漁業の問題につきましては、昨日も農林大臣からるるお話がございました。いろいろむずかしい問題を含んでおります。一口に沿岸漁業振興といっても、これは非常に立地的なものと社会的・経済的な背景というものに着目して考えなくちゃいけません。それから、生産基盤の問題等も非常に事情がさまざまでございます。そこには、たとえば鉱工業の発展による汚濁水の問題、あるいは干拓の進行による漁場の喪失というような、他動的な要素によるいろいろ複雑な問題がございます。漁業自体につきましては乱獲というような、いろいろこれらの点についてそれぞれ対策を講じておるわけでございまするけれども、これらを全体としてどう持っていくかということ、これがわれわれに課せられた一番大きな問題であろうと思います。まあ、その問題につきまして、根本的な制度の問題としましては、一昨年から漁業制度調査会が設けられまして、そこにおいて沿岸漁業の振興ということを大きな目標としまして、制度の改正についていろいろ考えられておるわけでございます。制度を改正し、あるいは生産基盤の強化というようなことを実施して参ります場合、一体それを現実に漁村においてやっていくものは何だということになりますと、これは漁業協同組合をおいてはないわけでございます。ところが、漁業協同組合は、戦後水産業協同組合法によりまして発足しまして以来いろいろ今のような客観的条件もありまするし、あるいは経営陣の当を得ないというようないろいろな条件のために、そのうちの相当部分が不振状態、赤字になっていわゆる不振組合としてあえいでおる。こいう状態でありましては、いかにいろいろな施策を講じましても、それらは現実に漁民のために漁村に生きた施策となっていかないという悩みをわれわれは持っております。従って、まずそういう病気の状態にある漁業協同組合を健康なものに返すという努力がどうしても必要になってくるわけでございます。  そこで、われわれとしましては、この漁業協同組合につきましては、昨年実は組合の状況というものを相当詳細に調査をいたしまして、この法案を作るに際しましてその基盤といたしました。もちろん、別途、沿岸漁業の経営というものにつきましては、沿岸漁業経営調査費というものを県に出し、これは額としては大したことはございませんが、四百七十万円程度を計上し、これによって調査をして、その面につきまして沿岸漁業の漁家の経営という面からのいろいろな資料も集めております。私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、ともかく沿岸漁業の振興のにない手である漁業協同組合というものを整備しなくちゃならぬ。これにつきましては、実はこれまでほうっておったわけではございませんので、私どもとしましてはいろいろ督励をし、府県でも非常に熱心にやっておられるところもございますが、現実協同組合再建整備ということについて指導事務をどんどんやって参ります場合に、結局、壁に当たったものは、そこに何らかの財政的な援助をしなければならないということであります。そこで、われわれの調査の結果データもそろいましたので、それに基づきましてこの整備強化の制度を作って参る、こういうことにいたしたわけであります。
  82. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの長官の御答弁で、この法案を作るためには相当具体的な詳細な調査をして、その認識の上に立ってこの法案を作っておられるということでありますので、具体的な詳細な点についてお尋ねを申し上げてみたいと思います。  そこで、この法案の条文はいろいろ書いてございますけれども、この法案を作られて協同組合整備していかれた場合に、この法案の条文に現われてはおりませんけれども、長官の頭の中には、おそらく、具体的な協同組合のあるべき姿、あるいは視差の地域々々で実態は違いますけれども、いろいろ現在うまくいっておる組合、また、非常に不振な組合はこうしたらいいという一つの構想があると信ずるわけであります。そこで、その問題に入る前に、政府がただいま一応整備対象として考えておられます三百七十二の組合、これに関連する漁民の数と、それから、長官の頭の中に一ぱいになっております北洋サケ・マス漁業に関連する漁民の数、これをまず伺ってみたいと思います。
  83. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 正確な数字は計算しないと今ちょっとわかりませんが、大体一組合二百人ないし三百人でありますので、三百組合としますと八万人から九万人、こういうことになります。北洋漁業につきましても、これも直接間接ということでいろいろ出し方がございます。たとえば日本海のサケ・マスの流し網、これは船だけでも二千隻程度ございますから、それまで入れますと、あるいは五万ないし六万人というふうになる、こう思っております。
  84. 倉成正

    ○倉成委員 なぜ私が長官にこういう御質問を申し上げるかと申しますと、現在の水産庁というのは、資本漁業を中心とした漁業については非常に深い関心を持っておられますけれども、ただいま御答弁のありましたように、少なくとも政府考えておられます組合対象漁民数というのは十万をこえておると思います。また、北洋サケ・マスについては、いろいろ計算の方法はありましょうけれども沿岸漁業の漁民の数と比べるとこれは非常に少ない。こういうことを考えますと、沿岸漁業の問題というのは、日ソ交渉ももちろん大事でありますけれども、またオットセイの条約ももちろん大事でありますけれども、しかし、それ以上に、ほんとうに長官以下真劔になって取り組んでいかなければならない問題であろうかと思うわけであります。そういった基本的な認識が、今日の水産庁の首脳部以下、機構においても欠けておるのではないかと私は思います。  そこで、不振漁協対策を考える場合にまず必要なことは、病気の治療を考えるときにその原因を探究することが必要であるごとく、この組合の不振が何によって起こったかという原因を明らかにすることが必要である。原因を明らかにしないで対策を立てますと、ちょうどやみ夜に鉄砲を撃つような結果になる。そこで、具体的にお答えをいただきたいと思いますけれども、問題を明らかにするために、欠損金が自己資本の一五〇%以上のもの、政府の方ではこれを対象にするとかしないとか、その答弁で必ずしも明らかでございませんけれども、この超不振組合の不振の原因を大別して、一つお答えをいただきたいと思います。
  85. 林田悠紀夫

    林田説明員 八十六組合の超不振組合についての不振原因でありますが、漁況の変化、漁獲高減少によるものが二十七組合ほどございます。それから、その次に、漁業自営の失敗によると思われるものが十四組合、その他の原因によるものがこれまた相当数ございますが、その他の原因と申しますのは、事業体制とか執行体制の不良等に基因するものが多いということのほか、たとえば、製氷冷凍事業をやりまして、これが不振になりまして、固定資産が遊休化しておるとか、あるいはまた、これは沿岸漁業としてやむを得ないところでありますが、漁港を作りまして漁港負担金が過大になっておるとか、あるいは組合組合員の結合が弱いとか、いろいろそういうふうなその他の原因がこの不振の原因になっております。
  86. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまお答えがございましたけれども、この不振漁協の原因について、漁況の変化、これは国際的な問題もございましょうし、漁業の自営をした場合に失敗をした、あるいは漁協の執行体制、いろいろ原因をあげて具体的な個々組合について御検討になったことと思いますけれども、いかに組合再建されましても、この基本的な原因が除かれない限りにおいては、また同じことを繰り返すということになるわけであります。従って、少なくとも、組合再建整備をお考えになる場合には、これらの組合の不振のよってきたる原因を真劔にお考えいただいて、その原因と照らし合わせてこの再建ということを考えていかなければならないと思いますので、この点は、これ以上触れませんけれども、一つ真劔に御検討いただきたいと思うのであります。  そこで、この不振な組合についていろいろ具体的に御検討いただいておるわけでありますから、少なくとも再建整備対象とされております組合の組会員の平均粗収入がどのくらいになっておるか、三百七十二組合並びにこの超欠損組合の八十六組合についてグループに分けて一つお答えいただきたい。なぜこういう質問をするかといいますと、連合会その他の出資をする場合には、結局これは単位組合にこの負担がかかってくる。ですから、粗収入なり、また家計の赤字状況、こういうことをはっきりしておかないと、連合会の負担とかいろいろ申しましても、実際できるかどうかということが問題です。
  87. 林田悠紀夫

    林田説明員 組合債務状況の一般につきましてはデータをそろえておるのでございますが、特に組合の不振の度合い別の組合員数とかその他の債務内容につきましてここにデータを持ち合わせていないわけでございます。それで、もしその不振組合の度合い別についてのデータが必要でございましたならば、後刻提出させていただくことにいたしまして、一般の組合についてでございましたならば大体説明させていただくことができるかと思います。
  88. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま御答弁がございましたけれども、少なくとも、組合再建整備をするということは、その組合に属しておる組合員の生活をよくするということが最終の目標でなければならないと思う。そうならば、少なくとも、この再建整備法を提出されておる以上、その組合対象となっておる組合の実態、それもそうむずかしいことではない、基本的な平均粗収入であるとか、あるいはその赤字状況ということくらいは御用意になってこの委員会に臨んでいただきたいと思うわけであります。従って、後刻資料の提出をお願いいたしたいと思います。  そこで、私は、先ほどから申し上げておりますように、組合再建をやります場合に、原因を明らかにする、また、同時に、再建をやります場合に、原因を明らかにする、また、同時に、再建をやる場合においてはその組合の実態に即してやっていくということが必要でありますから、ただ法律を作って若干の利子補給をやるということだけで組合再建はできないというふうに考えるわけです。先ほど芳賀委員からもいろいろお話がございまして、ことし一億という政府出資をされるということでありますけれども、この一億がそもそも——新しい制度ですから政府の御苦心も私どもとしてはよくわかるのであります。しかし、この一億を六分に運用したといたしましても六百万円です。早く言いますと六百万円の政府の一般財源を出したと同じ効果を持つのが一億の政府出資です。沿岸漁業不振漁協対策として、十万以上の漁民を対象としてわずか六百万円程度の一般財源に当たる支出をして、これで組合再建をやっていこうということが、そもそも基本的な認識において私は問題があるのではないかと思いますけれども、この点について来年はどうするということについては必ずしも明確な御答弁がございませんでしたけれども、一つ政務次官に、どういうふうなお考えを持っておられるか、お尋ねしたいと思います。
  89. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 ただいまのお質問の内容につきましては、先ほど芳賀委員にお答えいたしました通りでございますが、要するに、今回の措置は、お話のように、組合再建整備をはかる。しかし、なおその終局の目的としては、漁民全体の幸福をはかるということが最後の目的でなければならぬと思います。そういう意味におきまして、ただこれをもって足るというような、そういう安易な考え方ではないのでございまして、先ほどお話のような、どういうわけによって漁民がそういう状態なり立場に置かれておるかという原因を調査し、その原因を解明し、かつ解決をいたしまして、その振興をはかるということが、御説のように私どもも恨本の問題であると考えます。そういう意味でいろいろな施策をやっていくということは、私ども全く同様な考え方でございますが、要するに、私どもとしては、その一つの方法としてこれを取り上げて、この問題からまずやっていきたい。予算の措置におきましても、先ほどお答えいたしましたように、この一億円という政府出資というようなことで決して足りるとは考えておりませんので、少なくとも、私どもは、本年われわれが主張いたしましたように、大蔵当局、財政関係の方面の了解も行まして、三十六年度におきましては当初の目的を貫徹し狩るように極力努力をいたすという考え方を持っておるわけでございます。
  90. 倉成正

    ○倉成委員 大体の目安はどういうことでしょう。当初の目的を貫徹するために、一億というのはさそい水として初年度としてはわかります。これは少なくとも大蔵当局その他の財政折衝の面で新規の制度として非常にむずかしいことはわかります。しかし、今日、開拓の問題、沿岸漁業の問題というのは、日本経済の捨て子として基本内な問題です。この基本的な問題を考えるのに、およそその出発点において非常に問題があるのじゃないか。そこで、少なくとも沿岸漁民の生活を守るために、農林省としては、最終的な結論は別としましても、一体ほんとうにこの再建整備法によって組合再建組合員の生活の安定をはかっていこうとするつもりなら、大体どの程度の目安を持っているか、どういう意欲を持っておられるかということをやはり伺ってみたい。
  91. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 先ほど私の答弁に申し述べましたごとく、三十五年度におきまして当初要求いたしましたのは、政府出資におきまして二億五千万ということを理想といたしまして、これを強力に大蔵当局とも交渉いたしたのでございましたが、倉成委員御承知のように、最初に新しい一つの事業を確立していくということは、なかなか財政当局との間の折衝も困難でございまして、所定の期間内に予算の編成をするといたしまして、その折衝の困難もございまして、一応当初の初年度といたしましては私どもこの一億円でやむを得ぬということで引き下がったわけでありますけれども目標は、先ほどもしばしば申し述べましたように、この三十五年度に大蔵省に対していろいろ計画を立て調査の結果要求いたしましたこの二億五千万政府出資ということであります。それを目標といたしまして最善の努力を尽くして、その目的を貫徹することに努力いたす所存でおるわけでございます。
  92. 倉成正

    ○倉成委員 政府出資二億五千万ということになりますと、今年一億で来年一億五千万、こういうお考えですね。しかし、これはもう一度再検討していただきたいと私は思います。これは何も威勢のいいことをただ申し上げておるわけではなくして、ほんとうにこの再建整備法によって組合再建していこう、また、現実沿岸漁業の実態を詳細にお調べになったという水産庁長官のお言葉が真実とするならば、私はこういったことでこの組合再建はできないと思います。形の上では整うけれども、実際はなかなかほんとうの効果をあげることはむずかしい。どうしてかならば、民間の出資をかなり求めるということになりますと、それは結局零細漁民が負担をしなければならぬということになる。零細漁民にその負担能力があるかどうか。組合の方では形の上では一応借金が消えたということになりましても、実際に沿岸漁民が非常に生活に困って出資金に追われるということになれば、本末転倒になってくるわけであります。こういうおそれが十分あるということは政務次官も大体お察しの通りでございますから、この点はあらためて再検討をお願い申し上げたいと思います。  そこで、次の問題に移りたいと思います。組合再建沿岸漁業対策の一つの手段として私も賛成でございますけれども、しかし、整備計画の第四条で、「この整備計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。」となっておりますけれども、この第四条を見ますと、政府案社会党案も、結局従来の借金の整理という点で一ぱいであって、新しい事業、新しい組合の一つの意欲ということに対する裏づけというのがないわけです。そうしますと、組合再建ということはただ帳簿の上で赤字を解消するということに終わってしまうわけですけれども、この点について具体的にどういう施策をこの整備計画と並行して不振組合に対してお考えになっているか。地域によって違う、あるいは組合の実態によって違うという御答弁があるかもしれません。しかし、もう少し具体的に、地域的にでもけっこうですし、具体的な組合の例をおあげになってもけっこうですから、お答えいただきたい。
  93. 林田悠紀夫

    林田説明員 第四条の整備計画内容にいたしておりますのは、この整備促進計画の必須事項をここに掲げておる次第でございまして、これだけはどうしても整備計画内容事項として掲げて、財務内容の健全化をはからなければならないというふうな見地から規定をしたような次第でございます。それで、最も積極的にやるべき事項につきましては、もちろん仰せ通りそういうふうな考え方でおるわけでございまして、ここにも出ておりまするように、事業の執行の体制を改善するための措置とか、あるいは出資金の増加とか、このほかにも合併をいたしましたりいろいろ積極的な対策もやるわけでございます。しかしながら、この整備促進は、仰せのように、やはりこれのみをもちまして漁業協同組合がよくなっていくというものではないわけでありまして、これをまず基本にいたしまして財務内容の健全化をはかっていくという考え方でございまして、それのほかに、沿岸漁業の振興対策といたしまして、いろいろ漁場の改良とか、あるいは御承知のようにノリの漁場を作っていくとか、そういうふうな漁場改良、造成の仕事もやっておるわけでございます。あるいはまた、漁村振興をはかっていくということによりまして、いろいろな施策もその内容として行なっておるというふうなこともございます。個々漁協対象にいたしまして、その漁協に最も適するところの沿岸漁業の振興対策を行ないまして、その漁協に属するところの個々の漁民の生活並びに経済をよくいたしまして、しかもその上に立ってこの漁協整備促進をはかっていくということによって、両々相待って総合的な施策によって漁協沿岸漁業の中核体としての育成をはかりたいというふうな考え方をしているわけでございます。
  94. 倉成正

    ○倉成委員 御承知のように、農業協同組合再建の場合に、農協には米の集荷という一つの大きな財源がございます。しかし、漁協においては御承知のようにそういった安定した組合の収入源というのがないわけです。非常に漁況の変化であるとかいろいろな点で、そういう点がないということになりますと、出資を増強するといっても、鶏と卵で、漁民の生活がよくならなければ出資の増強はできない。合併の促進も、弱い組合、借金の多い組合をただ合併したからといってその組合がよくなるものではないわけです。ですから、どうしても、ここに一つの新しい方向、その組合再建とうらはらをなした、特にこの再建組合に対して特別の融資のワクを設けるとかいうような裏づけがなければ、この再建計画というのは魂の入ったものにならないわけであります。農協再建の場合には、法律には書いてございませんけれども再建整備の間においては新規事業はほとんどストップする、金融機関がこれを融資対象としない、こういう運営がとられて参りました。しかし、漁協の場合にそういうことになって参りますと実情に即しないと考えるわけでありますが、これらの点についてどういうふうに、配慮をなされているか、これは政府並びに社会党代表提案者にもお伺いをしてみたいと思います。
  95. 林田悠紀夫

    林田説明員 この第四条の整備計画内容といたしまして、第一号に、「組合員又は当該漁業協同組合が会員となっている漁業協同組合連合会との間における利用及び協力を強化するための方策」というのがうたってあるわけでございますが、これが、組合員の共同販売とか、あるいは共同購入とか、そういうふうな、組合員の生産しましたものあるいは組合員が必要といたしますものをできるだけ協同組合を通じて販売し購売をしていくというふうな利用及び協力をこの際大いに強化していきたいということをまず第一に考えておるわけでございます。それで、それに所要な資金につきましては、漁業協同組合の信連の方におきましても次第にその財務内容は健全化して参っておりますし、また農林中央金庫の方も貯金が集まりまして、その運用につきましては十分この整備について積極的に乗り出してもらいたいというふうなことは、信連とかあるいは中金等の援助内容といたしまして、事業を伸張していくための仕事としてやっていただきたいというふうに考えておるわけであります。  それから、特に今回信連の直接貸しをこの不振な漁協整備の間漁業者に対して行ない得るようにいたしまして、これも当該漁協の積極的な事業を伸張する一助になるというふうにいたしたわけであります。あるいはまた、中小漁業融資保証法におきまして、こういうふうな漁協に対する融資の保証も行なうことができるわけでございまして、そういうふうないろいろな措置をいたしまして、融資についても遺憾のないようにしていきたいというふうに存じております。
  96. 赤路友藏

    赤路議員 先ほど来倉成委員の方からいろいろ御意見がございまして、お聞きいたしておりましてごもっともなことだと思います。私ども考え方といたしましては、漁民の経済の安定、生活の向上を具体的に進めていくのには二面あると思います。直接的にこれに力を入れるという面と、間接的にそうした目的を達成していくということと、二つある。この二つのものを並行していくということでないと、この法律ができましても、おっしゃる通り漁協の傘下にある組合員の経済、生活というものが向上することは必ずしも保証できない、こういうふうに考えるわけであります。ただ、そういう面から参りますと、おっしゃる通り、直接漁民に対して救済の手を差し伸べろという手もありましょう、あるいはまた、先ほど政府当局からの御説明にもありましたように、いろいろ沿岸に対する生産基盤の拡充という方法もあるかと思います。しかし、当面しておりまするこの漁協の不振ということは、やはり、何といいましても、現在の条件下におきましては漁民の経済の安定の中心をなすものは漁協でありますので、その漁協が不振であるとするなれば、これは放置することによってますます悲境に陥っていく、どうしても漁協再建をはからなければならない、こういうような観点に私たちは立ったわけであります。従って間接的な意味におきますところの沿岸漁民に対する施策というものは、これとは別個なものでありますが、当然これと並行して政府の方で十分な施策はやってもらわなければならないと思っております。私たちはこの法律案提出いたしますときにそういうことも配慮いたしまして水産業改良助長法案提出しておることは、倉成委員も御承知の通りであります。そうした形において間接的にあるいは直接的に並行して沿岸序漁業の振興、漁民の生活の向上というものをはかっていかなければならぬ、こう考えております。  では、この法律の中で直接にどういう点があるかと申しますと、私の方では、第十六条でありますが、農林中央金庫及び信漁連の方から直接その組合員に特別融資をするという道が開かれております。御承知の通り、沿岸漁民への融資というものは、ほとんど組合転貸という形をとっておるのであります。従って、不良組合の場合は、傘下の組合員に善意な組合員があったといたしましても、転貸されないという形で、ほんとうに仕事をし、あるいは意欲を持って何かやらなければならぬという人があったといたしましても、不良組合なるがゆえに現在では融資の道がふさがれておるというのが現状でありまして、そういう面をこの際排除する必要がある。これがこの法律の中における直接的な意味における手の差し伸べ方でございます。ただ、政府案と違いますのは、私どもの方はやはり農林中金というものを一つの対象にいたしておりまして、政府案の方では農林中金がはずれておる、こういうことだと考えております。  お説の通り、並行してやらなければならぬというのはその通りだ、かように私も考えております。
  97. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま政府並びに赤路代表から御答弁がございましたけれども社会党案では農林中金からの特別融資、それから政府案では信連からの特別貸付というように、一応制度の上ではありましても、農業の場合に、自作農資金があるからといって、非常に困った小さい農民は借りることはできないわけです。制度があるということと実際金が借りられるということは全然別の問題です。ここにやはりこの再建整備考える場合に真剣に考えなければならぬ面がある。  そこで、せっかく赤路委員も答弁に立っておられるのですから、一つお尋ねしてみたいと思いますけれども赤路委員は、組合再建をして一体どういう漁協ということを理想とされておるのか、一つ具体的に、何県のどこの組合ということでもけっこうですから、お示しいただきたい。私はここに幾多の事例を持っておりますけれども、一つ御教示いただいて、私も勉強させていただきたいと思います。
  98. 赤路友藏

    赤路議員 非常にむずかしい問題ですが、個々漁協で一体どうするのかということなんですが、やはり、不振なそうした組合があることによって、その傘下におる組合員の諸君が共同販売におきましても、あるいは、融資の面におきましても、漁業それ自体の発展の面においても非常な不便を感じておる、あるいは意欲があってもやり得ないという実態がある、こういうようなものをやはりはっきりと力のあるものに再建していくということは、私は当然なことだと思う。それでは一体どうするのかということになりますと、それはそれぞれの組合によって違うと思うのです。たとえば、これは変なことを申し上げるようですが、私、先般水俣にも行って参りましたが、水俣の漁協というものを一つとってみた場合、これがまあ不良組合であるか不良組合でないかは別にいたしまして、これがああいう事態によって急速に他に転換しなければならぬ、こういう事態が生じてきておるわけなんです。ところが、転換するといたしましても、沿岸でやっておった漁民が直ちに沖合いへ出るとか、あるいは遠洋へ出るとか、こうしたことは非常に無理で、事実上できない。せいぜい、水俣でやりましても、これはイカ釣程度でありまして、これを奄美大島周辺まではえなわで出すといったって、はえなわの技術がないわけです。そうすると、せいぜいのところはイカ釣、一本釣の程度にしかいかない。こういうような形では、ほんとうに百パーセント救われたとかあるいは再建されたという形にはならないと思うのです。そういたしますと、なおそれぞれの地区の特殊条件というものが生かされていかなければならぬ。たとえば、浅海面においてもっと生きるところはないかどうか。今までの条件の中では、どうも、漁業というものは、やはり大きな船を作って外へ出て、網とか、はえなわとか、そういうことで魚をとることが漁業であるという観念がまだ一般にあるんじゃないか。沿岸にもっと生きるところはないかどうか。一例を申しますと、私の方の片浦の漁協は必ずしも不振組合ではございません。しかしながら、ある程度の負債を持っておるわけなんですが、これがまき網を中心にしてやっておる。ところが、最近若い青年の諸君が寄りまして、全然生かされていなかった海人草とワカメに手をつけた。これは長い間の漁業の経験を持ちながらも今日に至って初めてそういうことに気がつくというような点もある。従って、組合整備し、組合をよりよくしたからといって、直ちにそのことがどうということではございませんが、それと並行いたしまして、やはり、沿岸を生かすという、それぞれの地域における特殊性をもっと生かしていくという、技術革新と申しますか、そうした線が十分必要ではないか。そうしたような指導と、そういうような実践行動といいますか、これが伴って参りませんと、倉成委員のおっしゃる通りに、ただ単に漁協の負債をたな上げをして利子補給をしたというだけではいけないということはごもっともだと思うのです。当然これは並行しなければならぬ。だからといって、それでは、両方うまく相マッチして並行するまでは、不振漁協があっても、それはほうっておけということであってはならぬので、不振漁協不振漁協としてよりよきものとしていくと同時に、それと並行してそういうような一般的な水産行政というものが実践されていくということによって、この法律も生き、漁民というものもやはり積極的に外へ伸びていくという一つの足がかりができる、かように私ども考えておる次第であります。
  99. 倉成正

    ○倉成委員 赤路委員の御高説を承りましたが、大体政府の御答弁と大同小異で、非常に抽象的な感じを抱くわけですけれども、午前中はこの程度にいたします。
  100. 吉川久衛

    吉川委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————    午後二時三十四分会議
  101. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出漁業協同組合整備促進法案及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案、並びに、赤路友藏君外十七名提出水産業改良助長法案及び漁業協同組合整備特別措置法案一括議題といたします。  漁業協同組合整備促進法案について参考人の御出席をいただいておりますので、この際一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ、当委員会の法案審査のため御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。本案は、漁業協同組合整備基金を設ける等の措置を講ずることによりまして、漁業協同組合整備を促進し、漁業に関する共同組織の健全なる発展に資することを目的としておりますので、それぞれのお立場より忌憚のない御意見を承りたいと存じます。なお、参考人の御意見は初め十五分程度お述べいただき、あとは質疑によりお答えをお願いいたします。  それでは、まず、参考人片柳真吉君よりお願いいたします。
  102. 片柳真吉

    ○片柳参考人 それでは、ただいまの委員長からのお言葉に沿いまして、漁業協同組合整備促進法案に対しまする意見を申し上げてみたいと存じます。  漁業協同組合整備強化につきましては、われわれ漁協系統団体といたしましても、従来から国会並びに政府当局に対しまして早急にこれが施策の実現力を要望して参っておった次第でありますが、この間におきまして、去る第三十一国会に赤路先生外十七名より漁協整備特別措置法案が提案せられ、現在継続審議中になっておるのでありますし、さらに、同じ国会におきまして、当委員会におきまする沿岸漁業振興に関する特別決議をもちまして、漁協整備を促進するようにとの決議があったのでございます。今回、政府当局におかれましてもその必要性を認められまして、この国会に漁協整備促進法案が提案される運びとなりましたことは、われわれ漁協関係者といたしまして、当委員会が至大な御関心を持っていただいておりますることにつきまして深く感謝を申し上げる次第であります。  以下、漁協整備促進法案に対します意見を申し上げたいと存じまするが、本日は北海道の安藤漁連会長もあとでお述べになる予定でございますので、北海道等の今日までいろいろ漁協整備に努力されました経緯等は安藤会長から意見の開陳があると存じますので、私からは全国的視野に立ちまして包括的な所見を申し述べてみたいと存ずるのであります。漁協整備強化の必要性につきましては、私から説明するまでもなく、現在審議中の漁業制度調査会の中間報告におきましても、沿岸漁業振興対策の必要性が強調されておりまして、しかも、その具体的なにない手となるのは漁協をおいて他にないということがはっきり指摘せられておるのでありますが、現状におきましては、遺憾ながら、三千余の沿岸漁協におきましてなお多くの経営不振な組合が存在しておるのでございます。これは政府当局からも御説明があったと存じますが、赤字を持っております漁協組合総数は概算七百組合でございまして、これは職員三人以上の漁協千五百の半数近くを占めておるような実情であります。また、その欠損金の総額は概算四十億円に達しておる実情でありまして、いかに沿岸漁業を振興しようとして政策を漁村に浸透するにいたしましても、肝心のパイプでありまするところの漁協がこのような不振の状態でありましては、その目的を達成することの困難であることはもちろんでございまして、漁協整備促進の施策が講ぜられまするよう、その意味から強く要望して参っておる次第であります。  法案の内容はたくさんございまするが、主として重点事項につきまして以下数点申し上げて、後ほど御質問にもお答えをして参りたいと存じております。  まず第一点といたしましては、本法案の運用上重要な内容でありますところの漁協整備基金の設置についてであります。本問題につきましては、当初、私ども漁協の内部におきましても、すでに前例となっておりまするところの農協整備の特別措置法あるいは現在継続審議となっておりまする漁協整備特別措置法案のように、政府みずからの手によって必要な指導なりまた利子補給等の措置を行なう方法と、この法案のように、別途の基金を設置いたしまして、その運用益をもって漁協整備の必要な財源に充てる、こういう方法と、どちらがよろしいかということは、実は予算獲得の一つの方便ということもあった次第でございまするが、いろいろ論議をいたした次第であります。しかし、結論におきましては、この法案に、現在はこれ以外に方法はないのではないかというような感じを持っておるのでございまして、その理由を大体二つの点からさように私ども考えておるような次第であります。  と申しまするのは、漁協不振原因が、これは政府当局でお調べ願ったものでありまするけれども、農業と漁業との性格が違っておる点がここにも現われておると思いまするが、農業でももちろん画一的なことはあり得ないとは存じまするが、しかし、農業以上に漁業は全国にわたりまして非常な地域的な特色がございまするので、農協のように経営の不適当というような一般的な原因のほかに、漁業そのものに由来する不振の原因が相当あるようであります。いわゆる漁況が変化をいたしまして、従来とれておりました魚が一向にとれないというような客観的な漁況の変化によって、いかに組合が努力いたしましても経営が不振になりましたものが相当ございまするし、また、同じようなことに属するかもしれませんが、漁業協同組合の漁業自営の成績が不良のために、結局経営が不振となりました組合もまた相当数を数え得るようであります。かような状況でございまして、農協よりも非常に客観的な漁況の変化等による不振の原因が特色ではないかと思うのでございまして、さような意味で、これが整備をはかりこの経営を改善するには、やはり農業のように簡単にはいかないというような実情が相当あると存じておるのであります。いわゆる生産基盤の増強対策等の措置をいろいろ講じて参りましても、なおかつ不振組合は相当期間一部には存在するということが予想されるのでありまして、特に農業のような農業共済その他の共済保険制度もまだ整備をされておらない実情でありまするし、その意味から、その整備にはかなりの期間を要するということが言えると思うのであります。私どもは、この基金について、ある見方をもってしましては、現在経営が良好な組合におきましても、あるいは漁況の急激な変動によって優良な組合もあるいは今後不振組合にあるというような性格もあるのではないかと思うのでありまして、共済制度等のまだ完備しない状況から、従ってそういう不振になりました組合を随時手当をするような、人間で申しますれば病院のような考え方の、やや長期的なそういう手直しをする機関が必要ではないかということも考えておるのであります。さらにまた、この基金を作ります場合におきましても、政府の無利子の貸付金と、少なくとも同額以上の出資をわれわれ民間でいたしまして、国とわれわれ組合関係者が一体となって各地方の実情に即した弾力性のある指導整備をすることの方が適当ではないか、かようなことが基金に賛成いたしました第一の理由でございます。  もう一つは、これは漁業制度調査会におきましてもその議論が現在出ておりまして、まだ結論には至っておらぬわけでありますが、たとえば、私どもが今担当しておりまする全漁連にいたしましても、農協とこれを比較してみますれば、ちょうど農協中央会あるいは全販連、全購連というような仕事を全漁連という団体がこれを総合してやっておるような状況でございまして、従って、一部の批判といたしましても、全漁連指導事業につきましては実は御批判も十分あることであります。しかし、販売事業、購買事業とあわせて指導事業ということを並列的にすることにつきましては、これは国会におきましても十分御批判を願いたいと思うのでございます。もちろん、指導事業につきましてはできるだけの努力はいたしておりまするが、漁業制度調査会等の意向といたしましても、将来でき得れば会費等の調達上支障がないというような見通しがつきますれば、むしろ経済事業と指導事業とは分離してやることの方が適当ではないだろうか……。実は私自身もさような私え方を持っておるのございまして、そういう意味で、この基金も、はっきりしたそこまでのことは言えないかもしれませんが、一応現在の不振組合の治療が済みました場合におきましては、これを性格がえといいまするか、発展的に、これをむしろ漁協の中央会的なものにしたらどうであろうか、こういうような希望を実は私も持っておるわけであります。どうも、漁業関係は、指導事業と申しましても、部内の指導事業ももちろんでございますが、農業以上に、同じ漁業におきましても、大資本漁業等との調整の問題もございますし、また、漁村で使いますところの石油なり漁網等は最も近代的な産業に属するわけでありまして、そういうようなものを、経済事業をやりながら助成的な活動をやるということについても、どうもあまり荷が勝ち過ぎるというような感じも持っておるのでございます。そういう意味で、この法案そのものには、整備組合指導ということだけしか現在はうたわれておらぬようでございますが、私どもといたしましては、将来さような漁協中央会的なものに、でき得れば今後法律改正等でお願いをいたしたいというような考えを実は持っておるようなわけであります。従いまして、その意味では、貸付金がやがては出資に変わるというようなこともあるいは考えなければならぬと思います。現在は無利子の貸付金でございますが、一応一段落をいたした場合におきましては、これをさような中央会的なものに発展的に進めて参りたい、かようなことから、基金制度が今後の含みからもけっこうではないかと実は考えておるようなわけであります。  次に、第二点といたしまして、この整備基金の構想と現実不振組合整備の推進との関連でございますが、この法律案の第四十九条によりますと、政府政令で定めるところによって基金に対し資金を貸し付けるものとして、本年度、昭和三十五年度におきましては、政府の貸付金は一億円ということになっておるのでありまして、少なくともこれと同額の民間出資を出さなければなりませんので、最低の基金は本年度は二億円をもって発足をするということになっておるのであります。しかし、二億円の基金の規模をもちましては、政府貸付期間の十年間に利子補給対象となる組合の数は、全体の不振組合に対しまして実は非常にまだ少ないのでございまして、この二億円で六分五厘に回しまして、基金が三分二厘程度利子補給をするというような大体の政府のお考え方と聞いておりますが、そういうことで計算をしますと、組合数では二百九十三組合しか対象となり得ない。要利子補給組合が四百五十八組合くらいでありますから、その六割ぐらいにしか当たらないのであります。これを欠損金額で見て参りますと、十二億円程度しかこれでは整理されないのでありまして、整理を要する欠損金額が概算で三十七億円程度でございますので、これで参りましては、わずか三〇%くらいしか対象になり得ない。かようなことでありますので、この基金がこのままの規模で終わるということになりますれば、われわれの念願する不振組合整備は十分にその効果を発揮することができないというふうに、実は強く感じておるわけであります。  私どもは、予算の要求におきましても、五億という構想を当初から強くお願いをいたしておりまして、三十五年度は二億程度政府の御負担をお願いしたわけでありますが、いろいろな事情でことしは一億円ということにきまったのであります。しかし、われわれ民間といたしましては、政府にお願いする前に、やはりわれわれの組合整備をわれわれの力でもできるだけやりたいという考え方からいたしまして、現在水産庁ともいろいろ御連絡を申し上げまして、本年度もでき得れば民間としては一億以上の出資をこの際して誠意を示して参りたい、現在の考え方では一億五千万円くらい何とか一つ出したいということで、実は今せっかく努力をしておるわけでありますが、政府におかれましても、民間のこの熱意に応じまして、やはり政府の負担も今後相当増額していただきませんと、せっかくの整備が有終の効果をあげ得ないのではないかということを実は強くおそれておるようなわけであります。  しかも、基金が順調に動き出しますと、従来政府が一般会計で持っておりました合併奨励金でありますとか、あるいは、場合によっては巡回指導等の経費まで基金を持たせるというような考え方も出てくるのではないかと思いますが、これは私どもといたしましては別途に政府が持っていただきたいという感じを持っておるのであります。しかし、基金が運用益でかようなものまでどうしても今後持つということになると、これは見方によっては五億円でも足らないというような見方もできるのではないかと思います。本年度の予算に合併奨励金が百二十五万円計上されてございますが、これをもし運用益で出すことになりますと、これだけでも、六分五厘の利回りで百二十五万円を生み出すことになりますと、やはり基金としては二千万円近いものがふえないと、この百二十五万円の運用益は出て参らない。駐在費が今年二百三十二万円、巡回指導費が六十二万円、こういうものまで持ってきますと、あるいは五億円でもとうてい足りない、こういうような感じを強く持つものであります。  また、この基金は二億円でスタートをしますけれども、これから出て参ります運用益は当初はわずかでございますので、しかも治療を要する整備組合はたくさんあるわけでありますから、運用益からこの基金が、もちろん法人でございますので、やはり会長その他の役職員も置くことになりますけれども、その管理費まで出してしまいましては、本来の利子補給等に回し得る金額はわずかになってしまいますので、全漁連もそういうような指導をすべき団体でございますので、私ども当初はやはり全漁連指導経費の中から基金の管理費の方も実体的には御援助しなければならぬのではないかというふうに実は決意をいたしておるようなわけであります。しかし、これも、本来なれば、別個の法人でもございますので、相当の基金ができますれば、最小限度必要なる管理費というものはやはり自弁することが当然ではないかと思います。もちろん、全漁連も応援することにやぶさかではないのでございますが、そういう点から見て参りましても、今後やはり当初の五億くらいのものは一つほしいのだという強い感じを持っておるような次第であります。  それから、最後に、これもわれわれといたしましては特に関心を持っておる問題でありまするが、いわゆる超不振組合という言葉は適当でないかもしれませんが、自己資本に対して赤字が非常に多いところの、経営がきわめて悪い不振組合の対策でございます。これがやはり若干の数を数え得ると思うのであります。これにつきましては、この法律なり基金で利子補給等で整備することはなかなか困難なことではないかと実は見ておるのであります。従って、かような超不振組合については、この法律案だけでは実は回復刷新はむずかしいのではないか。従って、これでいくに加えて、また別個に予算的の措置等を講ぜられまして、かような超不振組合の存在する個所につきましては、生産基盤の育成その他の強力なバック・アップがございませんと、これだけではなかなかこの組合の立ち直りはむずかしいのではないかというような感じを強く持っておるわけであります。  その他いろいろございまするが、おもな点は以上の点であります。  この法律案が国会を通過されまして施行をされることは、非常にわれわれといたしましては期待をいたしておるわけでありまするけれども、しかし、これも当委員会でとくと御承知のことでございますが、これだけやって漁協がよくなり、漁村がよくなるというのでないことは申すまでもないのでございます。特に、昨今の沿岸漁業の情勢は、沿岸資源の不足ということ、これは今までずっと口をすっぱくするほど言っておりまするが、それに加えて、従来遠洋に出ておりました漁業が逐次制約をされてきておるような関係から、沖合い沿岸を通じて狭い漁場で大中小の企業がせり合っておるという問題が最近強く露呈をしてきておりまするし、また、流通あるいは魚価問題等については、実は率直に申し上げましてほとんど対策らしいものはないと断じて差しつかえないと私は思うのであります。サンマかす、スルメ等の共販に要する金利の助成等につきまして、これはいろいろの御配慮で初めてのことでありましてまことにけっこうなことではありますけれども、実は千数百万円の予算でしかないのでございまして、農産物につきましては、食管法、農産物価格支持法、その他のいろいろな制度が大体完備をされておりまして、農産物の七割強は少なくとも最低価格というか価格が支持されておりまするが、漁村の方はほとんどさような対策はゼロにひとしい。また、予算の面から見て参りましても、本年度いろいろ御配慮をいただきまして漁業関係の予算もふえましたけれども、しかし、わずかに百億円を二、三億全体で出ておるにすぎないような状態であります。従って、これだけではもちろん何ともならぬわけでありますので、これをめぐる各般の処置につきましても今後十分なる御配慮のほどを切にお願いを申し上げる次第であります。  大体おもなことを以上申し上げまして、後ほど御質問に応じましてお答えをいたしたいと思います。
  103. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、楠見参考人
  104. 楠見義男

    ○楠見参考人 本日の議題になっております漁業協同組合整備促進法案に関しましては、ただいま専門家の全漁連の片柳会長から詳細御意見の御発表がございましたし、さらにまた、私のあとに北海道の安藤漁連会長さんからお話があると存じますので、私は、農林中央金庫の立場で、特に基本的と申しますか、蛇足になることをお許しをいただきまして、若干意見を述べてみたいと思うのであります。     〔委員長退席、田口委員長代理着席〕  御承知のように、私どもの農中央金車は、農業、漁業、林業等の格構成団体をもちまして、それから預金を預かり、そしてまたそれらに貸付をするという、いわゆる組合金融、相互金融の建前をその第一の任務にいたしておるのでありますが、最近は農業関係が御承知のように連続豊作をもちまして、それ自体非常に資金が充実して参りました。従って、農林中央金庫の業務の内容も、その設立当初から比較してみますと相当変わって参っております。当初の産業組合中央金庫当時は、これは申すまでもなく農業関係の間における各構成団体の地域的なあるいは季節的な資金の調節機能を果たしておったのでありますが、ただいま申し上げましたような最近の農業内部の資金充実ということが、今日はむしろ業種間の、たとえば農業と漁業、あるいは農業と漁業、森林、こういった業種間における資金調節的な機能に最近の業務内容はだんだんと変わって参っております。その具体的の数字を申し上げましてもおわかりいただけると思うのでありますが、たとえば、本年一月の構成団体からの預金を見ますと、漁業関係からは六十三億程度でありますが、その漁業関係に出しております貸付金は二百十二億というようなことで、このことは、ただいま申し上げましたような他の構成員、主として農業でございますが、農業関係資金が他の業種である同じ構成員の漁業関係に行っておる、こういう状況であります。だんだんと漁業関係の方も預金の趨勢は増加を示しておりますが、しかし、今申し上げました情勢はなお今後相当続いていくのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。漁業関係には、沿岸、沖合い、遠洋と、こういうふうに三つに分かれるのでありますが、今申し上げた二百十二億のうちで、沿岸に若干の沖合いを加えましてその貸し出し金額は約百四十億余であります。従って、全体の漁業に貸しておりますうちの七割余が沿岸に行っておる、こういう状況であります。  沿岸漁業に対しまする私たちの融資の重点と申しますか、これは、申すまでもなく、治岸地区漁協に対しまする経済事業あるいは沿岸漁船のいわゆる設備の近代化と申しますか、そういった方面の資金、あるいは、ノリ、カキ等の浅海増殖関係の生産資金、あるいは販売資金というようなもの、それから、事情によりましては、組合員である漁家の負債整理促進資金というようなものを信漁連が中心になりましてお貸しになっておるのでありますが、それに協力してやっていくというようなことを現在融資の重点的な考え方としてやっておるようなわけであります。沿岸漁業は、ただいまもお話がございましたが、非常に困難性を加えてきております。従って、私どもは、組合金融を育成していくというか、強化していくという考え方からいたしましても、県の漁連あるいは信漁連というような県段階のそれらの団体の育成強化ということにできるだけ御協力申し上げて参りたいという態度で今日進んでおるようなわけであります。  具体的に漁業協同組合整備促進法案についてでございますが、ただいまもお話がございましたように、全国の沿岸漁協三千のうちで経済事業を行なっておるもの約千五百、そのうちの四割余は業績きわめて不振の組合であります。農業関係も御承知のように約三分の一が不振組合と称せられておったのでありますから、それに比較いたしますと数字の上ではそう大きな懸隔がないようでありますけれども、しかし、ただいま片柳会長からもお話がございましたように、漁業と農業との間にはきわめて異なった点があり、ことに、漁業の特性からいたしまして、この不振組合整備促進ということには特別の困難性があるように思われるのであります。従って、結論だけを申し上げたいと存じますが、ただいまお述べになりました中で、特にこの基金が恒久的、恒常的な性格を持つようなふうに運用されること、このことが一点、もう一点は、これも今お話しになりました政府出資関係でありますが、これだけの不振漁協に対して、できるだけ整備促進を徹底してやっていこうというのには、おそらく二億、三億の資金源ではきわめて不十分ではないかと思うのであります。従って、政府出資というものを今後増額することについて、委員の皆様方におかれましても特に強力に御推進をお願いいたしたい。同時に、民間におきましては、それにこたえる上に最善の努力を払って自己の出資分についてできるだけの努力をいたそう。従って、金庫の立場からいたしましても、今回の基金に対しましては及ばずながらできるだけ御協力申し上げて、その民間出資の達成ということには努めて参りたいと考えておったようなわけでございます。  冒頭に申し上げましたように、私の意見はきわめて蛇足でございますが、後ほどまた水産金融に関しましていろいろ御質問がございますればお答えさせていただきたいと存じております。はなはだ簡単でございますが、以上申し上げます。
  105. 田口長治郎

    ○田口委員長代理 次に、安藤孝俊君にお願いいたします。
  106. 安藤孝俊

    ○安藤参考人 御指名によりまして申し上げます。  私は北海道道漁連信漁連会長をいたしております関係から、現地の漁業協同組合経営の体験を基礎にいたしまして申し上げてみたいと思いますが、国会の諸先生方には常に特段の沿岸漁業振興について御配慮を願って、まことに感謝にたえません。この際厚く御礼申し上げます。実は、先ほど片柳会長から漁業協同組合整備促進法案につきまして詳細にわたって説明がなされましたので、私は逆にその裏の方の仕事を通じましてこの法案の御審議の上に御参考になることを申し上げた方がいいと思いまして、それを申し上げてみます。  申し上げるまでもなく、沿岸漁業の振興、漁民の生活の向上は漁業協同組合の基盤の強化にかかっていることは当然であります。しかし、実情は、戦後引揚者の入植などのために人口が倍増した、それから資源は逆に枯渇してきている、しかも漁家の負債は累年増加しまして、一人当たりの収入逓減とともにますます悪循環を激しくしている、これがつまりはね返ってきまして、組合不振の最大の原因にもなっているようにも存ずるわけであります。従いまして、組合は逐年負債の累増に悩み、経営基盤の弱化を招いているのでありまして、まことに一日もほうっておけない現状にあるのであります。もとより、その対策は、沿岸漁業の資源の培養であるとか、漁撈技術の改良普及、あるいは共同加工の拡大振興、さらには過剰人口を収容するための副業の取り入れなど、いろいろな施策の必要でありますことは申すまでもないのであります。しかし、当面の問題は、これら沿岸漁業振興のにない手でありますところの漁業協同組合の負債と欠損金整理するということが先決問題であると私は確信するのであります。  北海道としましては、これらの急に応じまする必要上、条例によりまする漁協整備促進をしておる例があるのであります。しかし、これは残念ながら条例でありますから、法律と違いまして、含み欠損金なんかがありました場合に、これに対する課税の免除というような恩典に浴するわけにいかない。従いまして、地方財政の非常な窮乏の中から助成しながら、税金に相当食われてしまう、こういう弱みを持っているわけであります。もう一つは、制度金融における条件緩和ということが、この条例においてはどうお願いをしても弱い。これは非常に残念だと思うのであります。そういうふうに、条例としてはいささか隔靴掻痒の感がある。ここで、たまたま、先生方は御存じの通り、数年前に農協は財源がありましたために単協の整促に出発した。しかし、漁協はそれ以上困っておるにかかわらず、その恩典に浴し得なかったという関係もありますので、これは何んとか中央に持ち込んで、はなはだ無理でありましても、ぜひお願いして、当局の国会に対する提案によって制度化していただきたい、さように存じたわけであります。  そこで、一応、北海道がばかにこれに熱を上げ過ぎた関係もありまして、北海道だけの局地問題じゃないかという誤解さえ起きたように私伺っておりますので、そういう関係から、なぜ北海道がそのように熱を上げたのだということを、当時の二、三の例を申し上げてみたいと思います。  実は、北海道としましては、信漁連関係から申し上げますと、特融の二十五億円ばかりを加えまして百二十億くらいの融資をしておるわけです。実際にこの窮乏の漁村を対象にして百二十億円の金を回転させるということは、実に難事中の難事なわけですが、そういうことのために、ときにはどうも焦げつきを起こしてくる。しかも、その焦げつきの原因が、先ほど申しましたような漁村の不可避的な悪条件にあるというならば、ここに何らかの抜本塞源的な手を打つ必要があるというように考えまして、一応経営の分析をしてみた。これは道庁にも非常な御協力を願いまして、北海道の官民の総力をあげて分析してみたわけです。そうしますと、程度に差がありますから、これをまずもってA、B、C、D、E、Fというような六階級に分けてみたわけです。全体で申し上げますと、信用事業をやっておるものだけを対象にしまして百六十二組合あるのですが、そのうち、Aクラスの、財務状況が良好で自分でやっていけるという組合は三十四組合。その次のBクラスは、財務健全化のためにちょっと努力すれば指導でやっていけるというもの、これに属するものが二十九組合。その次のCクラスは、整備のため特別の指導助成をする必要があるもの、特別の指導助成をしなければ当分一人で立てない、つまり呼び水的な利子の補給でもしなければならないもの、要するに一年ないし五年の整備を要するものが二十六組合あります。それから、Dクラスになりますと、同様な整備期間が六年ないし十年を要するもので、これが三十九組合に達します。それから、Eクラスの組合になると、十年でもちょっと完成しない、十一年をこえるのじゃないか、これが約二十四組合。最も気の毒なのがF組合でありますが、これは資源の枯渇とかいろんな悪条件が重なっておりますし、これはちょっと別個の方法で手を打つしかないのじゃないかと思われるものが十組合あります。そうなりますと、百六十二の組合のうちに、六つの階級が分析されて出てくるわけです。  ここでこれをさらに大きく分けてみますと、自分で何とかやれるものと、援護射撃を必要とするもの、この二つに分けますと、組合の自力でやれるものが三九%、これはA、Bクラス。それから、特別の指導助成によってやれるものが五五%、これは、C、D、Eクラスですが、とにかく、こちらで利子補給したり指導を加えればある程度の年限で必ず立ち上がれるというものであります。Fクラスだけは、ここでは残念ながら別な方途によるものとして除いたわけです。  しからば、C、D、E組合の財務状況はどうなっているのか、どれだけの負債に苦しんでいるのかと申します一と、時間がありませんので簡略に申し上げますが、C、D、Eの三つの段階のものの固定化債権、損失金等の不良資産は三十八億七千九百万円で、これは非常な膨大なものになる。これに対しまして、系統負債の方は二十六億三千八百万円、系統外負債が三億三千七百万円、その他の負債一億四千八百万円、合わせまして三十一億二千三百万円の多額に達しております。従いまして、信用力の低下から、新規借入資金の導入に対してはこれが非常なネックになる。これは別個に信用保証協会などの特別なああいう制度があってだいぶ助かっておりますけれども、これがために非常に大きなネックになっている。それから、金利負担に対する経営の不安というものが日に日に累積してくる。そういうようなことで、実際は非常に困っておるという財務内容がおわかり願えると思うのであります。  そこで、しからば、こちらでどのようにしてC、D、Eを興すのだといいますと、まずもって、負債を対象として考えていきます場合に、全部の負債を対象利子補給など、財源上とうてい許せるものじゃない。従いまして、悪質であるとか、あるいは負債の原因が非常に気の毒だと思うようなものを取り上げて、それに対しては利子補給をしようじゃないか、それは国なり道なりあるいは金融機関のサービスによりまして利子を相当低減していくならば、ここに活力を与えることができるというように考えたわけです。そこで、とりあえず取り出したものが災害資金です。この災害資金というものは、利子補給を国からいただいておるのだからいいじゃないかとおっしゃいますが、事実はなかなかまずいことがありまして、約四割くらいはいささか補償からはずされるというものが出てくるわけです。これは単協が苦しまぎれに災害資金を下まで貸さないで、用途を間違っていたということから起きるのです。そういうのは残念ながらこの際別個の負債整理によって活を入れるしかないじゃないか。そういうのが二億三千九百十五万円あるわけです。それから、系統プロパー、これは主として信漁連の方が多いのですが、これは無保証ですから、保証も何も受けずにほとんど無担保で貸したわけですが、これが三億一千五百六十四万円、これをやっていただかなければ、これがむしろ大事な役割を果たしておる。これは回転してすぐ貸すのですから、決して取りっぱなしの金ではない。従って、これはどうしても活を入れるのに必要だ。いわゆるこの系統プロパーの興し方をしなければならぬということになります。それから、系統外負債に対しましては、これは手形あたりでいろいろなものを借りまして返さなかった、それが漸次悪質の金になりまして、いじめ道具にされた。それを、かわいそうだから、何とか半分くらいは乗りかえようじゃないか、系統資金に乗りかえよう、あとの半分は条件緩和をしようじゃないか。これはこの金額の中に入っていません。一億六千八百五十七万円。ほかの半分は貸し手の方へ一つ金を見せつけて負けてもらおうじゃないか、ある程度条件緩和しようじゃないか、そういうふうに考えておるわけであります。それから、内部負債、これは七千四百七万円ばかりでありますが、これは大体貯払いの資金を使い込んでおる。苦しまぎれに組合員からの貯金を何かの赤字の方に食い込んでおるというのがある。こういうのを入れますと、総体で、災害資金の悪質のもの、それから系統プロパーの全くとまったようなもの、それから系統外負債の半分くらいのもの、それから貯払いの資金の半分くらいのものというようなものを合わせますと、C、D、Eクラスの最もつらい借金と思われるのは七億九千七百四十四万六千円になるわけです。これに活を入れますと、債務でどうにもならぬ、すでにあきらめ切ったと思われるような単協が、にわかにふるい立ってくることは明らかだ。私はこれは何とか取り上げなければならぬということを考えたわけです。そういうことになりますと、しかもそれから受ける利益はしからば北海道全体の何%に達するか。C、D、Eクラスは漁家数の六割に達するわけです。だから六割の漁家が一応カンフル注射によって立ち上がれるということになりますから、六割の漁家が立ち上がりますと、今度は系統全体の力がさらに倍加してきて、その他の一切の活動も積極化する。従って、他の四割の漁家に対しても十分なサービスができる時代が来ると私は考えておるわけです。従いまして、その六側を占める、しかも人口十七万人に対する施策というものは非常に必要だ。この点をわれわれは道庁を通じまして中央にお願いしたわけです。  しかし、当時府県の方ではなかなかここまで持ってこない。けれども協同組合運動の推進過程におきまして、運動がどんどん盛んになれば、一応個人の悪質金融というものは系統に置きかえられるのです。どうしても系統の方へ振りかえられてくる危険が多分にありますが、むしろ、私は、それはいい傾向じゃないか。系統がしょってこれを整理してやらなかったら、漁家負債の整理というものは永遠にできないじゃないか、さように思います。北海道の方は百二十億ばかりの信連を通ずる系統融資があるから、個人負債というものは系統系統にと正常金融に上がってきている。その過程におけるちょっとしたつまずきであるが、私は、これは必ずこの過程を経なければほんとうの系統金融の正常化はできないと思っているわけです。従いまして、今度の整促、こちらの法案としてお願いして、これが実際にいきました場合、ほんとうの組合金融というものは成り立ってくるのじゃないか、さように考えておりまして私はこの点を中央に持ってきたのでありまして、決して北海道だけの仕事をやったんではないということを御了承願えると思うのであります。  次に、私は、先生方に御参考になる一つの条例施行の状況を申し上げてみたいと思います。これは、今度の法案をいよいよ制度化しました場合、ほとんど同じ結果になりますから、それで、どんなことをしたかということを申し上げてみたい。整促条例として北海道庁が作ってくれましたのは、昭和三十一年の四月でありましたが、その以降、三十一年、三十二年、三十三年、三十四年と、こうなっていますが、私の持ってきました資料は三十三年まででありますから、この三年間の実績を申し上げて御参考に供したいと思います。三年間におきまして道庁が利子を補給されたのが千三百二十二万九千円です。これはまことにありがたい旱天の慈雨であったと思うのです。このためにほんとうに対象漁家というものがふるい立ったわけですから、そういうことでまことに感謝にたえぬのです。そこで、しからば、それに対する対象組合は幾らであったかといいますと、三十一年は八組合、三十二年は十組合、三十三年は八組合、都合二十六組合指定があったわけです。二十六組合指定がありましてやっております間に、三つの組合が脱落した。これはやはり相次いで非常な不漁に襲われましたために、ついについていけなかったのが三つ脱落したということになります。しからば、その対象とした負債整理内容は何であるかと申しますと、二十六組合欠損金がトータルで三億九千七百八十三万三千円、それから、固定化債権で九億四千四百九十二万四千円、固定化負債で十億八千五百四十三万六千円、これらが対象になったわけです。これを対象にしまして三カ年間負債の整理をやってきた。そうしますと、その結果は、三十四年度末の計数で申し上げますと、この脱落した三組合を除いて、事業の利益、つまり組合の事業利益というものは、計画では五千九百九万六千円でありましたが、実績は五千七百六十五万三千円、九七%の、実績を見た。これはほかの組合はとうていここまで来てないのです。指定された組合がそれだけふるい立ったということは、この数字によってはっきり申し上げられる。固定化債権の回収、——組合が金を借りまして着業資金や何かで人に貸した内部の固定化債権がどれだけあったかと申しますと、整理する計画は二億四千三百六十八万二千円、これが実績の累計が一億八千三百七十二万九千円で、七五%の計画の実行ができたわけです。これはほんとうに窮乏の中からよく漁村でやってくれたものだと思いまして私は喜んでおります。それから、出資の増口はどうしたかと申しますと、計画では五千十四万四千円でありましたが、実績の累計が三千九百三十二万円、これは三組合の脱落を除きまして七八%の出資増強をやった。まことに、食えない中から再建意欲に燃えて組合員出資したということは、これはほんとうに出した金ですから、ほんとうに血の出るようなとうとい金であると思うのであります。従いまして、負債の償還はどうであるか、このような成績の中に負債の整理は幾らであったかと申しますと、計画では三億二千六百二十九万五千円、実績が二億七千四百四十九万三千円、八四%の償還の成績をあげたわけです。計画に対しまして八四%だけ外部賃債を払った。私は、この結果から見まして、これが、先ほど申しました条例でやりましたために、条件緩和が非常に困った、それから、税金の免除もない、そういうことが、今度の中央の法案によりましていよいよ制度化した場合は、そこにさらに補強されることにもなりますし、私は非常にありがたいことだと存じますが、一つこの内応を御参考にしていただきますと、大体似たやり方だと思うのです。  それで、私は、道条例の施行に対してこういうふうに考えているのです。どうしてここまで来たろうか、そうしますと、金融機関の条件緩和というものがこれでやはりできたわけです。信連は自分のことですから、法律がなくてもやります。それから、中金さんの方も、やはり系統ですから、こちらがはっきり誠意を示せばやってくれますというようなことで、そこに対しては金融機関の条件緩和は大体はできたのです。それから、第三者の債権者条件緩和は、これは幾分更生資金を貸しますが、これは、金を見せますと、その金がほしいから、ここで負けようということが起きてくる。これは利外の利で、案外動き出すとそういうものが緩和される。これは外に対する効果であったと思います。これは表面には見えない。ところが、内に対しましては、最も大事なことは、道庁、中金、信連、漁連基金協会、一切のもののエキスパートが集まりまして、それが全部対象組合に行って対症療法をやるのです。立案します場合、もう長期間の出張をしまして、一切のものを裸にして分析してくる。これは漁業協同組合育成対策協議会ということで行くのですが、官民の総力をあげて、全く感情を抜きにやりますから、初めのうちはいやがるが、二、三日過ぎると、非常に安心して、一切がっさい出してくる。そうして、全部さらけ出して自分の診断を受ける。ちょうど医者が患家に行って患者を見るようなやり方なんですが、そういうことで、それが出ますと、この経営の分析の結果を再建対策に結んでくる。いわゆる組合員全員にこれを啓蒙する、教える。従来は幹部だけでふたをしておるわけです。それですから、自分だけ借金を払っても、ばかくさいというようなことで、払わない者がだいぶおったのです。それを全体に教えますと、全体が動いた方が自分に得だというような利害に結びます。従って、こういった経営分析の結果を全体に教えてくる。そうしますと、初めは一応下がります。ひどいやつだと人身攻撃をやる者もありますけれども、やはり人身攻撃はいかぬ、ほんとに一緒になって火の玉になっていく以外にないのだという結論になるわけです。そこに育成対策協議会の使命というものは非常に大きい。これは利子補給以上のものになってくる。しかし、利子補給がなくては相手がついてこないのです。利子補給だけで整理しようとは思いませんけれども利子補給のありがたさがあるために、全体を啓蒙する糸口になる。むしろ育成対策協議会の分析とか経営合理化の方が非常に大きく私は響くと見ているわけです。これは内に対する効果です。従って、この成果から見ますと、先ほどの、二億何がしかの借金を返したのに、わずかに千三百万円の補給で動いたということは、こうした幾多の条件が条例の上からにじみ出てきているはずだ。さらにそれが法律によって強化されました場合、私は非常な成果を期待できると思います。  あと今度の法案に対しまして一々のことを触れますことは、私は全漁連の副会長をしておりますから、片柳会長を通じて常に触れておりますから、同意見でありまして、これは一日も早く先生方の御尽力によりまして制度化しまして、ほんとうに窮乏に泣く漁民のために一つあたたかい手を差し伸べていただければまことに光栄に存じます。よろしくお願いいたします。
  107. 田口長治郎

    ○田口委員長代理 これにて参考人各位の意見の開陳は終了いたしました。  これより参考人各位に対する質疑を行なうことといたします。角屋委員
  108. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 当面の漁業協同組合整備促進法案並びにわれわれの方から出しております整備特別措置法案に関連いたしまして、ただいま三参考人より貴重な御意見を承ったのですが、後ほどさらにまた他の方々からも質問がありますので、私は簡単に数点について御質問申し上げたいと思います。  これはすでに昨日来の法案審議の過程の中でもいろいろ問題になった点でございますけれども、このたび、数年来の衆参両院の決議なりあるいは漁業制度調査会の中間答申等との関連もありまして、政府から漁業協同組合整備促進法案というものが出される経緯になったのですけれども、この際、やはり漁業協同組合整備もさることながら、今日非常に困難な問題になってきておる沿岸漁業の振興の問題、これはやはり抜本的に相並行して進めなければ、せっかく漁業協同組合整備ということがある程度成果を得るにいたしましても、今後の貿易の自由化あるいは為替の自由化、そういう全体的な趨勢の中における大産業の特に零細な沿岸漁業への影響はどうか、こういう問題等とも関連して考えて参りますと、これはなかなか大きな問題であろうと思うのであります。  そこで、たとえば政府の方ではかねてから所得倍増論というふうなことをいろいろ言っておるわけでございますけれども現実に水産庁あたりで、しからば今度十年間の水産物の需給見通しというものと生産量の伸びはどうか、こういうことについて農林漁業基本問題調査会に対する資料として提示されたといわれる内容等を私どもが見て参りますと、母船も含めた遠洋漁業の場合には、昭和三十四年を基礎にいたしまして一九二・一の伸びがあるであろう、一方、沖合い漁業の場合には一二五・九の伸びになるのではないか、しかるに、沿岸漁業の場合においては一〇八・七%にとどまるであろう、こういうふうなことがいわゆる見通しとして言われておるような経緯もございます。そこで、先ほど来片柳会長あるいは北海道会長さん、あるいは楠見中金の理事長からもいろいろ沿岸漁業の問題についてお話があったわけですけれども、この際、やはり、全漁連会長として、この漁業協同組合整備促進と関連をして、沿岸漁業の振興という面について、先ほど予算その他の問題と関連をして政府に対する御意見もいささか述べられたようですけれども、抜本的な対策というものをどういうふうに全漁連として進めていかれようとするのか、この辺のところをまずお伺いしたいと思います。
  109. 片柳真吉

    ○片柳参考人 ただいまの御質問は、私どもといたしましても実はかねてから非常な関心を持っておる問題でございまして、私が考えておりますることをお答えを申し上げたいと思います。  御指摘のように、全体の漁獲高は最近は相当増強されておりまして、全体では五百数十万トンというような漁獲をあげておりますけれども、これを沿岸とその他に分けてみますと、戦前までは漁業生産の全体の八割近いものを沿岸で生産しておりましたものが、最近ではこれが四十数%ということでありまして、半分以下に減っておる。従って、沿岸の生産は相対的には非常に減ってきておるようなわけであります。そこで、私どもは、実は、生産全体をふやすという問題は、非常に大ざっぱな結論かもしれませんが、大体もう限度に来ておるのではないだろうか。もちろん、沿岸のノリでありまするとかカキというような、沿岸で養殖できるものは極力ふやすべきだと存じますけれども、むしろ沖合いを中心としてとられておるような魚類については、見方によっては過剰生産、過剰投資というような見方が相当できるのではないだろうかと思います。要するに、同じ回遊する魚に対して、漁法の進歩ということはけっこうだと思いますけれども、しかし、それが無統制にやられますと、漁船を一隻作りましてもすぐ何百万円、何千万円の資金が要るわけであります。要するに同じ生産をあげるにしても、従来よりも、漁法の進歩ということでもありましょうけれども、反面からすれば、私は過剰投資ということがはっきり言えるのはないかと思います。しかも、沖合いを中心としてサンマなりマグロ・カツオ等を集中的に漁獲をするわけでありまし、魚価の支持制度というものは全然ございませんので、経費をかけてとってきてみずから魚価の暴落を招いておる。こういうむしろ生産に対する調整という問題が私はもっと取り上げられてよろしいのではないかと思います。しかも、水産につきましては、農業のように独占、排他的に土地の上で生殖をするわけではないのでありまして、共通の海面で漁業生産をやるわけでありまするから、どうしても、国の行政といいますか、国の権力行政でこれを強力に調整してもらう、こういうことがまず必要ではないか。しかも、先ほど申し上げましたように、同じ海面におきまして大中小の企業者が同じ魚をとり合うわけでありますから、そういうような関係もはっきり調整をすべきでないだろうか。たとえば、現在カツオ・マグロ漁業等が相当盛んになってきておりますが、私どもは、沿岸の生きる道としては、沿岸の資源がなくなっておるのに対してはもちろん増殖をすべきではありますけれども、しかし、沿岸の資源だけで漁村は立ち得ないわけでありますから、沿岸を基盤として沖合いに出ていって漁獲をあげる、こういう方向もとられていかなければならぬと思っておりますが、その場合に、たとえばカツオ・マグロのごときものが、これは水産庁の許可行政に関連する問題だと存じますけれども、カツオ・マグロの権利がトン当たり数十万円で転々売買されておる、こういうことでありますと、これはちょっと沿岸の零細漁民には手は出ない。結局資力のあるものがこれを買い取って大きな漁船で逐次カツオ・マグロが運営されておる、こういうようなことになると思うでありまして、私、年産の分野におきましては、沿岸が立つ意味に沿うての国を中心としての強力な漁業調整というものが望ましいのではないだろうか、かように生産の面では考えておりまして、沿岸の増殖は、これは別でありまして、あるいは沿岸に対する水質汚濁等のこういう法原因を除去することに重点を置くことは当然でありましょうけれども、むしろ沖合い、遠洋を中心としては、だれをその漁利に均霑せしめるかというような意味の生産調整が必要ではないだろうか。  その次に、私どもは実は全漁連に参りまして非常に驚きましたといいますか、今言った過剰投資で大きな船を作り、最新の漁具を装置し、商い油を使って、それでとってきて、季節的に魚が同時に多獲されますので、魚価が暴落をしておることは非常に顕著でございまして、私が全漁連に参りました当時、たとえば秋のサンマのごときは、最盛期にはいつも言っておりますが、一貫目が二十五円というような、これを乗組漁夫の所得に換算しますと六十円を切るというような、まことに想像外の失態になっておるので、そこで、私どもは、やはりこれは過剰投資の面を合理化することも所得の向上上必要だと思いますが、一番おくれておりますのは、とってきた漁獲物の魚価の問題、流通の問題が私は一番今後の問題ではないかと思っております。農産物につきましては、先ほども申し上げましたように、基本問題調査会で配られた資料によりましても、七一・何%というものが少なくとも最低価格が大体保障されておりまして、米のごときはいかに豊作であっても一円も下がらぬということになっておりますが、魚価はとってくればそれに応じて非常な暴落というわけでございまして、これでは、私は、いかに所得の向上、漁村の生活水準の向上と言っても、また油を私の方で多少皆さんの御配慮で安く配給できたとしても、最終の生産物がさようなことであっては、これは私は漁家の経済の向上はあり得ないと思うのでありまして、また、産地の市場の問題をとらえてみましても、最近は漁船の行動半径が非常に拡大をしてきておりますから、適当な大きな漁港には全国の漁船がカツオ・マグロその他の魚をとってそこに水揚げをするわけでありますけれども、しかし、その肝心の第一次の水揚地においてすら、あるいは会社等、しかも産地の問屋や仲買人たちが牛耳っておるところの会社を通じてこれを売らざるを得ない。漁業者みずからの共販体制というものが非常におくれておるような現状でございまして、この辺も、先般の調査会におきましては、私どもも主張いたしまして、どうやらこうやら産地市場においては漁協共販組織を優先するというような結論をいただいたわけであります。しかし、この辺も、私は、従来この方面の行政措置はきわめて手ぬるいというような感じを持っておりまして、流通問題を一つぜひともわれわれは善処をしてやっていただきたい。要するに、過剰投資、魚価の暴落というこの面を今後ぜひとも御関心をお持ち願いたいと思っております。  それから金融の点も、安藤会長からもお話がありましたし、きょうは楠見理事長も御出席でありますが、過剰投資というようなことにも関連いたしまするが、実は農村よりも金融の問題が非常に切実でございまして、従って、私どもは、中金の融資とあわせて公庫融資という問題もやはり従来以上にお考えを願いたい。また安藤会長の言われた漁村の負債という問題は、私はかつて農村の負債整理の仕事をやったことがございますが、あの当時とほとんど同じような漁村の実態ではないかと思いまして、大体生産の方は強力な一つの計画性のある漁業調整と、それから、特に流通問題につきまして、おくれておりまする点をこれはぜひ直していただきたい、かように考えております。
  110. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいま片柳会長の方から、沿岸漁業振興の問題に関連をして、生産関係あるいは金融関係、流通問題、各般の問題に触れられましたが、率直に言って、産業の近代化あるいは発展と関連をして、宿命的に、沿岸漁業ということに限定をすれば、これはいわゆる防衛的な性格を持つものである、こういう立場に立つのであるが、むしろ、たとえば国土の場合の総合的な利用という面からいけば、農業にはまだ発展する分野は残っておる。ところが、漁業の場合には、工業の発展その他の形勢と関連をして、そういう面から来る漁場の縮小ということはやはりある程度避けられない。そこで、漁場の良好な条件のところ、こういうところでは、将来ともに、やはりはっきり、国土の全体的な利用あるいは産業経済の全体的な立場から、あくまでもこれは漁場として確保し、そしてまたそのために積極的な漁場造成ということについてやっていくということ、そういうきぜんたる態度がないと、沿岸漁業の振興ということは口やかましく叫ばれておるけれども、やはりそれはだんだんと商工業に押されていく性格を持っていると思う。こういういわばあきらめ的な気持が前提に立つと、いかに農林省の中の水産庁にいろいろ希望されても、なかなか水産庁は積極的に乗り出す意欲にならないのじゃないか、私はこういう感じが率直に言ってするわけです。私も沿岸漁場に地元を持っておる一人として、ずっと長い間の推移を見ておると、最近工場の誘致の問題が出てきたりすると、最近の漁業の状態から見て、それならばそれにでも踏み切ろうか、こういう気持になってくる。こういう状態に追い込んでおいて、いかに全漁連沿岸漁業の振興ということを旗振ってみても、これはなかなかそういうふうにいかない、こういうふうに思う。これは本法案の審議とは直接関連のない問題のように見えますけれども、しかし、単にこの漁業協同組合整備促進をはかるといってみたところで、その根底になる漁業の発展ということが、将来の展望としてどうか、これが明らかに見通しが立たないということになると、これはもうほんのさそい水にしかならない。この辺のところを、全漁連の立場として、あるいは政府の場合で言えば農林省の中の水産庁の立場として、漁場として良好な条件にあるところは将来ともやはりそこは漁場として確保していく、そういう一つの明確なものが打ち出されていいのじゃないか、そういうような感じが率直に言ってするわけです。  その点は本論の直接の問題でありませんからこの程度にいたしまして、本法案に関連をいたしまして、先ほど片柳会長から、社会党の提案にかかる、いわゆる農協整備促進の問題と同じような考え方で私どもが出して参りました漁協整備促進の問題について、いわゆる国・都道府県の形式というものを政府の方では基金方式でやろうという、片柳さんはその基金方式に賛成という見解を述べられた。これは、あるいは政府ないしは与党に気がねをされて、こういうふうに決定した以上、ここでたてついたのでは将来のつき合いとしても非常に工合が悪い、こういうふうに考えられたのか、むしろ積極的な意味において考えられたのか、にわかにそんたくしがたいのですけれども、ただいま片柳会長が述べられたその基金方式をなぜとるかという理由については、水産庁から資料で出されておるそのままの考え方が述べられたわけであります。つまり、漁業の特殊性の問題、また、漁協再建整備は非常に長期にわたるであろうというふうな問題、並びに、今日の全漁連指導事業部面のきわめて不十分な点、こういう点から勘案して、将来はこれはやはり指導事業の母体に発展させていくというようなことを水産庁みずからの資料の中でも言っておる。そうしますというと、先ほど述べられたことはいわゆる政府の見解そのものを述べられたということにも相なるわけですけれども、その辺のところは、もう一度、当初から全漁連として基金方式というものをこれは最上のものだとして考えられておったのか、あるいは、そうでなくて、当初は農協再建整備と同じような方式で行こうということを考えておられたけれども、いろいろ政府与党との折衝の中でむしろこの方がいいということになられたのか、その辺のところをもう一度、本法案の審議に関係がありますので、率直な御意見を承りたい。
  111. 片柳真吉

    ○片柳参考人 先ほどの私の意見発表が政府考えとほとんど軌を同じゅうしておるというふうな御指摘でありますが、実は、私も政府に気がねして申し上げておるわけではないのでございまして、この法律案を作るに当たりましては、水産庁の協同組合課と私の方と全国でブロック会議を開きまして、不振組合の対策を、どういうような構想がいいだろうかということで、実は両方で各ブロック会議で十分検討いたしたわけであります。そうなってきますと、農協の場合のように短期間指定をして国と県で一律的にやるというようなことでは、どうも実態に合わないのではないかという意見であります。それと、もう一つは、漁業制度調査会におきましても、先ほど申し上げましたような、でき得れば、経済事業を行なう協同組合と別に、指導連なりあるいは中央会的なものが本来はできるべきではないだろうか。ところが、どうもまだ漁協の力がついておりませんので、現状で指導連を作るとすれば、あるいは北海道とか長崎とか二、三の県はできるかもしれませんけれども、どうもほかの県では実際上いいと言ってもできないのではないだろうか。従って、これは多少時期を待つことにして、その前に一つ急病患者をなおすことに専念しまして、急病患者が大体なおった上は一つ中央会というようなことにしたら、漁業制度調査会の方の意向とも大体合うのではないだろうか。こういうようなことであります。  もう一つは、私も率直に申し上げますると、予算の獲得の点も、これは付加的な理由でございますが、実は一つあったわけでございまして、農協の方は何か一定の財源を政府に納めたものが見返ってああいうものができたわけでありますが、漁協ではそういう見返り財源を実は全然持っておらないわけでございます。従って、政府とわれわれと共同してやるということであれば、政府の側においても予算を出すことに踏み切りやすいのではないだろうか。しかし、これは二次的な理由でございまして、決して政府案に盲従したわけではございません。各ブロックでいろいろ現地の実情を聞きまして、基金構想に私ども賛成いたしたわけでございます。その辺ははっきり申し上げたいと思います。
  112. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 不振漁協の現況の問題について、これは農林省の水産庁の方で昨年対象漁協を設定いたしまして悉皆調査の結果、今日これを要約して本委員会にも提出をしているわけですけれども、片柳会長にお伺いしたいわけですが、この水産庁で実施をした調査の結果というものは、今日の不振漁協の現況というものがそのままこれに現われてきておる、こういうふうに御理解願っておるわけですか。その辺のところを一つ。
  113. 片柳真吉

    ○片柳参考人 私の方でも精細な調査はいたしておりませんが、今日までのいろいろな資料なり、現地に出向きまして見た状況なり、各県の県連の会長等から随時私どもが聞いております感じからいたしますれば、やはり、大体かようなことで、特に、先ほど申し上げました漁況の変化、あるいは漁業自営等の失敗というようなことが相当の原因になっていることは、私どもも認めておるわけでございます。
  114. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そこで、不振漁協の調査にも出ておる問題に関連をいたしますが、不振漁協全国的な分布状況、こういうものについては資料をいただいておりませんので必ずしも明確でありませんが、従来、漁協整備というようなことで、先ほど北海道会長からお話がありましたように、北海道を初め長崎、宮崎、福井、こういうところで自主的に従来からやっておる経緯がございます。この際、不振漁協全国的な分布状況というものについて、片柳会長、御承知でしたら、おもなるそういう地域と、そして、不振漁協の原因につきましては、たとえば漁況の変化、あるいは執行体制の問題、あるいは漁業自営の失敗とか、いろいろのことを言われておりますけれども、そういう問題と関連をして、地域的な分布の中で特に漁況の変化という問題、その漁況の変化の具体的な内容、特に深刻なものはどういうものが具体的な内容として現われてきているか、そういうことも敷衍してお伺いしたいと思います。
  115. 片柳真吉

    ○片柳参考人 不振漁協の多い地帯はもちろん区域も広うございまするし全体の組合の数も多いわけでございますので、それとの比率でありませんと全体の状況は把握できないとは思いまするが、やはり、大体、御指摘の北海道、長崎、鹿児島、宮崎、山口、こういうようなところが主として不振組合が多いようであります。北海道につきましてはむしろ安藤会長からお答えを願った方がよろしいかと思いますが、北海道あたりは漁況の変化の非常に顕著な地帯ではないかと思いまして、御案内のような、昔からとれておりましたニシンというものがほとんど北海道の沿岸から姿を消してしまったというような、著しい漁況の変化だと思いまするし、九州、山口地上市のものは、これまた専門家がおいででありまするが、いろいろな外部的な事情もあろうかと思います。  なお、北海道事情は安藤会長からも一つお話し願いたいと思います。
  116. 安藤孝俊

    ○安藤参考人 北海道の不振地帯の原因を申し上げたいと思います。  北海道の不振の最大のものは、御存じのニシン漁業の異変、西海岸における後志、石狩、留萌、宗谷の全線にわたりまして全くニシンが来なくなってきた。これが一番大きな原因だと思います。それを今しきりに他の漁業の方に誘導しておりますが、やはり疲れが残っておりますから、その点で不振の形が残っております。  もう一つは、昨年はイカが四、五年ぶりの豊漁にぶつかりましたが、やはり数年間ぶつ続きの不漁であった。三分の一くらいしか漁獲がなかった。渡島地帯の不振の原因はイカ漁業の衰退から来たのですが、これは昨年から復興してきましたから、だいぶ状態が変わってくると思います。しかし、その間の疲れが残っておりますから、それが漁協の不振の大きな原因になっております。  噴火湾におきましては、小手繰りあたりの違反なんかが相当ありましたが、絶滅したために相当復興してきました。四、五年前まではほとんど一戸当たり粗収入が十二、三万円しかなかったが、最近は、四、五百ぱいの小型底びきの絶滅を期しましたために、倍増しまして、非常に安定に入ろうとしております。噴火湾全体としては、さらに、イワシの来游が全くなくなったということ。  その他は特別にひどいという地帯はあまりありません。北海道で一番ひどいのは、ニシン地帯、ただいま申しました噴火湾を取り巻く胆振、渡島地帯、それから津軽海峡から檜山にわたっている地帯が一番ひどい地帯であります。
  117. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今ちょっと触れました自主的に漁協整備に乗り出しておる北海道初め長崎、宮崎、福井、こういう県では、その必要もあったということももちろんありましょうけれども、国の政策を待たずに先覚的な役割を果たされた、このことがやはりこういう法案を生み出す一つの要因になったろうと思います。現地の希望として、あるいは全漁連会長として、こういう先覚的な役割を果たして困難な地方財政なりあるいは団体側の事情の中でやったこういうところへ、今度の法案ができた機会に、その分を遡及してそのままというわけにはいかぬけれども、そういうところについては、やはり何らかの形の助成措置でもって、その地域にはそれだけの悪条件があったわけなんだから、そういう呼び水でさらにそういう関係地域をより大きく前進させることが必要ではないかと思うのですが、いかがですか。特に北海道においては五分の利子補給をやっておられるやに承っておりますけれども、そういうところから、この機会に、できるできぬの問題は別として——これは話が別になりますけれども、本委員会で新利根開拓農協あるいは新生の開拓農協の視察に参りましたが、いわゆる農業の共同化、こういうことを非常な悪条件下にやってきて、今日これが農林省のいわば一つのモデル的な計画地域のように言われてきているけれども、やはり、その発展過程の中では自主的な形の中でずいぶん苦労をしてきている。こういう点については、その当時はできなかったかもしれないけれども、今日そういう事態になってくれば、そういうところについてはさらに一そうの配慮というものが必要じゃないか、これはもうわれわれのみならず委員長初め行かれた方々は全部同じ意見であったわけです。農業にいたしましても漁業にいたしましても、とかく古いからにとじこもりがちですが、先覚的なことをいろいろやる、今日こういう問題について特にその地域として必要があって法律の成案を待たずしてやる、こういう問題については、それだけの悪条件があるだけに、本法案の成立の際には、そういう地域には、従来自主的にやった分については、この法律を準用してということでなくてもいいわけですけれども、別途の方法においてやはり助成措置を受け、さらに大きく前進していくということが私は必要だろうと思う。この点について一つ率直な意見を御両人から承りたいと思います。
  118. 片柳真吉

    ○片柳参考人 北海道その他が自主的に今日まで府県条例等でいろいろな御措置を願った結果が今回の法律案提出になったと思うのでありまして、その先駆的努力についてはもちろん非常な敬意を払っておるわけであります。従いまして、一応現在政府当局のお考えでは基金の利子補給は三分二厘くらいの見当のようでございまするが、これだけではなかなかむずかしいわけでございますので、やはり、従来から県なり道におきまして五分なら五分を持っていただいておりまするところは、一つ引き続きさような御負担を私どもは希望いたしたい。これは政府でございませんから希望を実はいたしておるわけであります。ただ、基金の運用にあたって特別に具体的にそういうものを優先的に差別をするということは私はできないと思いまするが、しかし、そういうような先進県においてはいろいろ今日までの準備なりいろいろなものができておりましょうから、整備対象として取り上げ得るものは一番早くこういう地帯から出てくるのではないだろうか、かように実は考えておるわけであります。
  119. 安藤孝俊

    ○安藤参考人 お答えいたします。  片柳会長のお答えで大体御了承願えると思うのですが、私は、北海道として先べんをつけまして、とにかく二十数カ村の立て直しを相当成果をあげつつあったということに対して、それはさかのぼって考えたらどうかというのは、まことにありがたいきわみであります。しかし、実際の問題といたしましては、やはり財源の問題ではないかと思うのです。基金がかりに五億になりましても、全国的に見た場合に、まだまだそこまでなかなか手が伸びない。われわれはやはり露払いの役割を果たして、将来全く余るような財源でもあったら特別な賞与でもいただくようにして、そういう場合に北海道の寒冷地帯に何か特別な施策をいただくようなあるいはお願いをするかもしれませんが、今の段階ではちょっと無理ではないかと思いまして遠慮したいと思いますが、いかがでしょう。
  120. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 片柳会長並びに北海道の安藤会長、大へん御遠慮がちでございますけれども、しかし、先進県の実施をした経費の総額というものは、私はそう大きなものではない。先ほど北海道のお話でも千三百万円程度ということに承っておりますが、額の多少は別として、私は、やはり、政府の政治をやる考え方として、そういう必要があり、しかも自主的にやって、そのことが全国的な大きな法案の実施の素地になったというふうなところについては、私は、考え方として、やはりそういうものにまで遡及してとまで言わぬけれども、そういうところについては特別な配慮をする、そういうことが、やはり、農業問題を考える場合にも、漁業問題を考える場合にも、そういう自主的なものがどんどん積極的に伸びていくという一つの芽になるのではないかというような気が率直に言ってするわけです。そうでないと、やはり、悪条件にあるだけに、いつも引っ込み思案で、旧態依然たる旧来の方針で、あるいは現実に農家が泣いておっても漁家が苦しんでおっても、まだ法案ができないんだからというような消極的な態度にもなりかねない。私は、今度の法案に関連して、北海道その他先進的なそういう努力をされたところには深い敬意を表しますけれども、同時に、政治の考え方として、率直にそういうふうに思う。非常に御遠慮されておりますので、これはわれわれの方でいろいろ問題になることだと思います。  それから、このことがやはり資金に関連をして一つには遠慮されたということにも相なろうかと思うのですが、この点は、昨日米の委員会の審議の中でもいろいろ真剣な問題になりまして、農林大臣を初め、小枝政務次官も、政府の場合には二億五千万円を目標にして最大限今後努力をするのだ、こういうふうに答弁としては言っておられるわけです。ただし、それが確実に実を結ぶかどうかということには、ある程度どもは不安を持たざるを得ませんが、今後の政府の誠意に期待しなければなりませんけれども、その場合に、たとえば本年度の場合に、民間資金は一億円といわれ、あるいは一億五千万円といわれ、この資金の出される予想を見て参りますと、漁業協同組合連合会で七千万円。このうち北海道が三千万円、内地漁連が一千万円、全漁連で三千万円。漁業信用基金協会で二千万円。農林中金で三千万円。この場合には締めて一億二千万円、こういう一つの案が資料として出てきておるわけですけれども、これが最終的に一億五千万ということになるのか、あるいは一億二千万程度になるのか、必ずしも明確でありませんが、全漁連会長並びに農林中金の方、両方に関連いたしますけれども資金は喜んで出せる態勢にあると解釈してよろしゅうございますか。なおまた、将来政府の貸付分の増額と見合って当然また増額ということをしなければならぬ。そういうことが十分できる条件にあるというふうに考えておられるかどうか。
  121. 片柳真吉

    ○片柳参考人 われわれ民間側から一億円以上の出資は、実はしかく簡単ではございません。全漁連の方も一億円の自己資本がようやくなったような状況でございまして、私が参りまして四千万円台のものを一億円以上にいたしますには相当努力をいたしたようなわけでありまして、そう簡単ではないわけでありますが、しかし、不振組合が刷新してきますれば、私どもの方のたとえば購買事業にいたしましても販売事業でも、おのずから伸びていくというようなことにもなるわけであります。その意味で、中金はこれはまた別でありますし、あとから理事長からお話があると思いますが、私どもの方は必ずしも楽ではないのであります。何とか一つ一億円以上、でき得れば一億五千万円くらいまで何とか一つふんばって参りたいということで、今せっかくいろいろ相談をしておるわけであります。信連の方は、これは必ずしもまだ貯金残高等はそう多くなっておりませんけれども、しかし、資金繰りの点からしますれば、そう信連の方は非常にむずかしいということではないと思います。むしろ漁連の方が、直接いろいな事業もやっておりますし、また現在整備促進法の指定を受けて目下更生に努力中の漁連も相当あるわけでありまして、漁連の方がむしろ実態的には資金練りの面から苦しいのではないかと思うのであります。そこで、私の方でも各漁連に対する燃油等の特別配当を実はできるだけやっていきたいと思うのでありまして、まだ決算も済みませんが、利益金、剰余金の大部分は特配といたしまして各県の漁連に配当いたしたい。この一部をもちろん全漁連増資にもお願いをいたしたいと思っておりますが、それと見合って、やはり基金の方にも一つこれを十分活用いただきたいというようなことも考えておりまして、結論は、決して楽ではございませんけれども、しかし、今後の漁協運動を伸ばすこれはどうしても基礎条件でございますので、何とか、各府県と連絡いたしまして、一億円以上は少なくとも調達いたしたい、かように考えております。
  122. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この利子補給の問題に関連してでございますけれども、六・五%の金利のうち、基金援助が三・二%、都道府県援助が一・六%、信漁連、農中等の援助が一・七%組合の負担が三・五%、一応こういう前提に立っておるわけですけれども、この不振漁協の実態というものを見て参りますと、すべての不振漁協が三・五%の組合の負担にたえ得るかどうか。これは、政府原案の当初立てられます場合の水産庁の考え方としても、不振漁協ということであるから、これは全然不振漁協自身には負わせない、こういう建前に私は立っておったと思う。で、現実の問題として何がしかの金利負担をしなければならぬということが不振漁協自身においかぶさってくるとすれば、やはり、不振漁協の実態の上に立って、これは一律主義ではなしに、ある程度ランクを設けて、三分五厘が最高になるかどうかは別として、軽減措置というものが考えられないと整備の促進ということに十分役立たないのじゃないかという感じが率直に言ってするわけです。この辺のところは、漁協の擁護の立場に立つ全漁連会長として、これはまあ基金全体の資金計画から見てやむを得ないというあきらめの気持に立っておられるのか、でき得べくんば、やはり不振漁協の実態の上に立って、一律主義ではなしに、現実に即して、たえ得る程度というものを十分に勘案をしながら金利の負担というものを当てはめるべきである、こういうふうな考え方をとっておられるか、この際一つ率直な意見をお聞かせ願いたいと思います。
  123. 片柳真吉

    ○片柳参考人 単協の不振の度合いは、いろいろ違いがありましょうから、御指摘のように、各組合の実態に応じて組合の最終的な金利負担をきめることは、私は理論的にはけっこうだと思いまするけれども、ただ、実際の措置になりますると、なかなか差等をつけるということが言うべくしてむずかしい。ある組合は三分だ、ある組合は三分八厘でよろしいというようなことは、なかなか実際上むずかしいのではないだろうか。実はまだ詳しくその辺まで政府当局とは私は打ち合わせる時間もございませんでしたが、むしろ一律にして、さっき御指摘の、沿岸漁業の別途の予算の関係なり、あるいは県の方面で、そういう向きにはむしろ別途の面から考慮をしてよろしいのではないだろうか、こんなようなことでありまして、あまりはっきりしたことを申し上げかねるわけでありますが、実際上差等をつけることはむずかしいのではないかという現在の考え方でございます。
  124. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 片柳会長に、漁協の引火の再建整備を積極的に推進をする、あるいは沿岸漁業の今後の振興というものを積極的に考えていくという立場から、いろいろ私ども意見を交えながら御見解を承っておるわけですけれども、何かこう、片柳さんは政治家でもあったし、その方面の権威者でもあるけれども政府委員としてそこにお立ちになって答弁しておるという印象を私は払拭できないわけです。本委員会にそれぞれ参考人として呼んだ立場は、やはり、全漁連の今日立っておる実態から言って、私ども国会が審議するにあたって最終的にはどういうふうに決着をつけるかという判断をつけるについての率直な意見を聞かしてもらいたい、こういうふうに私ども思うのであって、それが現実に今日政府の予定しておる法案の中身と関連して困難であるとかあるいはむずかしいであろうとかいうようなことは、おのずから別個の問題として考えてもらわなければならぬ。それは、やはり、今日できなくても、私どもは、かりにこの法案が通る場合には、基金が将来にわたって運営されていくという展望に立つ場合には、当然これはなるべく早い機会に改正ということもあるだろうし、あるいは与党の同調を得ればこの法案の改正なり何なりということも決してできないわけではありません。そういう点はむしろ積極的に御希望のある点は率直に述べられていいんじゃないか。私は、そういう点では少しく遠慮をされておるように思う。  最後に、後ほどいろいろ質問の方もありましょうから、お伺いをしたいのですが、漁協の合併という問題です。これについては、今度の調査の結果によりますと、二百九十二組合が合併の対象になる、こういうふうな結果が出てきておるわけです。はたしてこの数字そのままであるか。あるいは、今後経済の全体的な拡大傾向というふうなものから見て、漁協の規模が、ある意味では旧市町村単位のものもあるし、あるいは旧市町村単位以下のものも相当の比率であるわけですけれども、今後のやはり経済の推移と見合って、漁協の経済単位としての規模はどうか。こういうような点が、やはり経済事業をやり諸活動をやる上に重要な問題であろうと思う。この点については、全漁連会長として、漁業協同組合の今後の発展の方向はどうか、あり方としてどうか、そういう意味から見て、いわゆる要合併組合というものについて政府の調査では二百九十二組合といっておるけれども、この程度現実にはいいのであるか、あるいはもっとそういうことを乗り越えて積極的な意図の上に立ってやはり考えていくということが必要じゃないか。しかし、農村においても漁村においても、農協なり漁協なりの合併という問題は、政府の方からも一つの方針が出されてやられておるけれども、なかなか困難な条件があるのは私ども、承知しておる。しかし、少なくとも全漁連という立場に立てば、漁業協同組合品の全国的な規模あるいは総体的な数というものはどの辺のところが望ましいのであるか、こういうことについて腹案があろうと思う。この際一つ御意見を承りたいと思います。
  125. 片柳真吉

    ○片柳参考人 御指摘のように、漁業協同組合で非常に、区域が狭小でございまして協同組合としての経済事業を営むにはきわめて規模が小さ過ぎる、こういう組合全国的には相当多数存在するものと思います。これは御案内の通り事情でございまして、旧来の部落を大体中心としての総有的な入会をやっておりますところの共同漁業権の漁業協同組合に免許されております関係上、その意味で、他の部落と合併しますると本来の権利を侵されるおそれがあるというところから、実は、本来は合併したいのでありまするが、共同漁業権等との関係でなかなか合併がしがたいというのが、農協と比べまして非常に多いようでございます。これが、実は一番今後の漁協運動の問題の点ではないかと私は思うのであります。従って、漁業制度調査会におきましても、要するに、昔から持っておりまするところの総有的な共同漁業権が保証される法制を作りまして、経済卒業の面では数個の組合が合体をいたしまして、はっきりいたしませんが、大体農協くらいの、少なくとも旧市町村あるいは同じ湾に面しておるところの数カ町村、要するに同一漁場に面するところが一体となった単協を構成するようにする。     〔田口委員長代理退席、委員長着席〕 これがありませんと、実は経済事情がまことに不振でございますので、この組合の数が二百九十幾つかどうか、私もきょうは実は資料を持っておりませんが、私の感じでは、むしろそれ以上にあるのではないかということでございまして、要するに、旧来から持っております漁業権の行使が保証されるところの制度を確立していただきまして、協同組合としては大体合併をぜひこれは進めて参りたい。その意味では、合併奨励金の十万円等では、ちょっと私どもも、まことに、どういう金に使いまするか、実は理解に苦しむというような感じは持っておるわけであります。
  126. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 後ほど先輩委員からも御質問がございますので、私は以上でもって参考人に対する質問を終わりたいと思います。少しく遠慮のない意見を申し上げまして恐縮でございましたが、大へんありがとうございました。
  127. 吉川久衛

  128. 芳賀貢

    芳賀委員 参考人の皆さんには大へん御苦労さんですが、実は本日もう一人北海道庁の水産部長の小林信三君の出席を願うことになっておったのですが、きょうは出席がありませんですが、幸い北海道道漁連並びに信漁連会長の安藤さんが出席されて、今日まで北海道において実施された道政の中における諸般の対策等についても具体的な御説明を願ったので、非常にわれわれとしては参考になったわけであります。  それで、この法案に関連してお尋ねする前に、安藤参考人にお尋ねしておきたいのですが、先ほど御説明のあった、北海道の道条例に基づく漁業協同組合整備促進条例、これは昭和三十一年の四月から施行されたのですが、それと同時に、北海道においては沿岸漁家負債整理促進条例というものが施行されておる。本委員会においても、昨日来審議の過程において、協同組合の再再建整備を強力にやることはもちろん大事であるが、協同組合の構成長である漁家の経済再建等についてもこれはあわせて施策を進むべきであるというような意見も述べられておるわけでありますが、この機会に、北海道における、やはり安藤さんの方の信漁連あるいは道漁連が中心になって仕事はやっておるのですが、漁家の負債整理の実施状況、それから、もう一つは、これは昭和三十三年のやはり北海道の条例でありますが、北海道沿岸漁家経済振興促進助成条例というのがあって、これによって沿岸漁業の振興を促進する役割も果たしておるわけです。もう一つは、昭和三十三年に、北海道沿岸漁家農耕兼業体制確立資金貸付規則というのが公布されて、これは零細な沿岸漁家の兼業化が実際進行しているわけでありますが、漁業専業だけでは生活の維持ができない、従って、これはもう不可避的に兼業の中で経済を維持し生活を進めていかなければならぬということから、漁業と農業の兼業方式というものを採用するという形でこの仕事も進められておる。従って、これらの問題について、実際中心になって推進しておられる安藤さんから一応の御説明を願いたいと思います。
  129. 安藤孝俊

    ○安藤参考人 それでは、お答えいたします。  今御質問の三点でありますが、これは資料をちょうど持って参りませんで、はなはだ申しわけないのですが、漁家負債の整理組合の負債整理の問題というのは非常に関連がありますので、これはある程度お答え申し上げられると思います。私は、私なりの理解では、漁家負債と組合員債とそう区分できないものだ、実際は、協同組合運動がほんとうに進展しますと、先ほども申し六上げましたように、必ず自然個人負債からだんだんと系統に乗ってきて、正常金融に乗りかえていく、それを私たちは大いに歓迎しているわけです。そういうわけで、これを別な角度から申しますと、北海道信漁連ができます当時は、中央金庫の金が七億しか北海道に入ってこなかった。従って、信用事業というものは連合組織にはなかったのです。ところが、信漁連ができまして、中金のいわゆる対外資金の導入の受け入れ体制ができたというところが一つの大きなてこになりまして、同時に、貯蓄意欲の高揚運動をやったというところで貯蓄が増し、何かしまして、資金の導入ができますと、逆にそれが信連自体のプロパーでも約五十億くらいの金を貸しておるのです。そうなりますと、最近の状態というのは、半分くらいの従来の個人から貸りた金というもは、系統に置きかえられた。その置きかえられる過程において、非常に漁家の古い悪質金融というものが整理されるわけです。どうしても漁家には農業協同組合と非常に違ったむずかしさがありますけれども、やはり、系統運動をほんとうに浸透させますと、いつとはなしに入ってくるんだ、また、入れなければならないんだ、救われないんだということを私は深く信じておりますので、漁家負債整理促進条例というものができましても、これは割合日にそれ自体の成果はあまり申し上げるものはないと思います。北海道の場合は大体は組合につながっておる。ですから、その関係は、私は数字をもって申し上げられませんけれども、ただいま申しましたように、七億の中金資金から、つまり信連のプロパーより五、六十億出して百億台に飛び上がったというその裏を見ますと、漁家負債の悪質金融からだいぶ整理されてきて、こっちへ乗りかえたのだ、そういうことで、むしろ組合系統金融の正常化をさらにはかれば、今度ほんとうの健全化ができるのだ、こう理解しているわけであります。その点は、数字的に申し上げて御了解願えないのははなはだ申しわけないのですが、御了承願いたいと思います。  それから、沿岸漁業振興の一切のことは、私はあまり資料を持っておりませんので、ここで申し上げることもないのですが、これはいろいろ北海道庁としては各般のことをやっていただきまして、負債整理から沿岸漁場の造築に対する助成政策等大へん徹底的にやっていただいて、最近北海道の漁民は、ほとんどおくれておるというところから、大体先進の農業にだんだん追いつこうとして努力しているわけです。しかし、そういうわけで、だいぶ成果があがっておりますが、まだこれがとりわけこうだということを申しあげることはないのであります。  それから、最後の、小家畜を入れるいわゆる兼業化、あるいは副業を入れるようなこと、その場合には、おもに小家畜導入みたいなことに力を注いだわけです。これは私は相当効果があると思うのです。しかし、これもまた計数的にここで申し上げるものは持っておりません。ただ、最近、過剰労力あるいは漁場の衰退から言うと、どうしても副業導入の必要性というものは非常に高まって参りまして、その方面に信漁連を通ずるいわゆる経済再建のいろいろな指導をやっているわけです。婦人運動を提唱したのは十年前ですが、現在婦人が四万八千人信漁連の方へつながっております。それから、約二万の青年の人たちが、ほんとうに一生懸命になって、信漁連のもとで、いわゆる過剰人口をどう収容するのか、あるいは前からの資源の枯渇に対して、増殖はさることながら、それを陸上においていかなる対策を持っていくのか、そうするとそこに副業の導入ということが必要なんだということで、最近婦人の手によって小家畜、豚とか鶏の飼育というものが非常にふえてきました。それは婦人の貯蓄の方につながっております。そういうことで、やはり道庁の農業との兼業なんということがむしろ小家畜あたりから入ってきた。それから、もちろん二反歩や三反歩くらいの農耕地は持っているのです。けれども、これは何か北海道の開拓の法律の制約があって、漁業には許さないというようなことをしばらく言われておったのですが、最近ちょっと道が開けたように伺っておりますが、そういうことができますと、やはり過剰人口というものが三反歩なり四反歩なりの農業来業の形になっていく、そうして農業協同組合と連携するということによって沿岸の全漁村がもっと福のある再建策に入れると思うのです。  今御指摘の三つの案件は、はなはだもって不徹底なお答えなんですが、そういうふうに最近いい方向に動いていることだけは申し上げられます。ただ、具体的な数字で御了解願えないことはまことに申しわけないと思いますが、御了承願います。
  130. 芳賀貢

    芳賀委員 片柳さんも楠見さんも、かつては優秀な農林官僚として指導された経験もあり、国会においても席を持っておられたのですが、原始産業の部面を見ても、農業と漁業を比べた場合に、政策的にも行政的にもやはり漁業部面が非常におくれでおると思うのです。そういうことは十分御認識の通りだと思いますが、現在においても、やはり、政府のやり方なんかを見ても、このハンディキャップというものはなかなか挽回されていないわけです。この協同組合関係整備再建にしても、昭和二十六年には農林漁業協同組合品の再建整備法ができましたし、それから、昭和二十八年の八月には農林漁業協同組合日の連合農林会の整備促進法ができた。ここまでは農協漁協も同じように来たわけです。ところが、今度は昭和三十一年には農業協同組合だけについて整備特別措置法ができて、そのときもわれわれできれば一緒にやりたいと思っておりましたが、調査が不十分であるという点と、漁業協同組合品の一つの特異性というものは認めざるを得ないということで今日まで延びた。それを、北海道が、ちょうど農業協同組合の整特法と同時に、条例であるけれども漁業の面についてこういう施策を進めたということは、当時田中知事は社会党の知事と言われておったけれども全国に率先して政府よりも先んじてこういうことを着々とやったということは、やはりこれは成果として認めなければならぬと考えるわけです。  そこで、お尋ねしたい点は、この国会において昨年の三月に社会党から漁業協同組合整備特別措置法案が出まして、これは片柳さんからも御発言があった通りです。一年おくれて政府の方から今回の法案が出されて、もう一つは社会党の方から水産業業改良助長法案というものが出ておるわけです。これは、整特法とあわせて一方においては水産業の改良助長を制度化して強力にこれを進めるということでなければいけないということでわれわれやっておるわけです。この国会の審議を通じて、われわれは、できれば三案の内容を十分審議を尽くして、参考人の皆さん等の御意見も承って、そしてできるだけ利点を総合して完全なものを作りたいというのが実はわれわれの念願ですが、どうも、皆さんの御意見を聞くと、政府案がここまで来たのだからやむを得ぬというようなお話なんですが、その場合においても、やはり、それでは社会党案に比べて、基金方式でこういけば大体同じような成果があがるということでなければいけないと思うのです。そうすると、今度は内容について、基金の造成の額の問題にしても、政府の負担分の問題にしても、また基金の運用の問題にしても、あるいは協同組合全体の今後の指導体制をどうするかという問題にしても、やはり基金を中心とした一連の施策というものが確立されなければ、このままの政府原案でいいということには絶体ならないと思うのです。従って、角屋委員からもお話がありましたが、もう少し端的に衣を脱いで、今三つ法案が出てそのために皆さん方の御意見を聞くわわけですから、腹蔵のない点を一つ率直に御開陳を願いたいと思います。
  131. 片柳真吉

    ○片柳参考人 政府から提案の整促法案につきましては、先ほど冒頭に意見を申し上げましたように、少なくとも二億くらいではお話にならないということであります。でありますから、当初の考えのような五億という程度にはぜひとも一つこれを補完をして、今後なるべく早い機会に五億に達するようなことに私どもも努力をいたしますが、その半額程度政府において負担をしていただきたいということを強く要請を実は申し上げた次第であります。その意味で、五億近いものになって参りますれば、大体私ども計画しておる組合整備はできるのではないか。そうなりますれば、それから今後は漁協中央会的なものにこれを性格変えをしていきたいということに考えております。さっき角屋委員にも申し上げましたように、実は、率直に言いますと、予算の獲得の面からもなかなか——実は、一時は、基金なんかを出さないで、基金の運用益が六分であるから六分くらいのものを直接助成しようではないかというような話もありましたが、これではちょっといかにも手もない話でございますので、従って、政府の無利子の貸付金を、もちろん現在は返すことになっておりまするが、十カ年後においてはできるだけこれを一つ適当に脱皮せしめて借りたいと、実はそういう考え方も持っておるわけでございます。決してさっき言ったような政府案に盲従しておるわけではございませんで、とくとブロック会議等でも相談いたしましたし、また私ども会長会議でもいろいろ相談を数次いたしておりますので、その辺は、決して政府に盲従しておるわけではございません。ただ、先ほど角屋委員からも御指摘がありました組合負担の点は、さらにお答えをいたしませんでありましたけれども、六分五厘のうち三分二厘まで基金が打ち、一応これは政府のお考えのようでありますが、それから、県が一応原則としては一分六厘持つ、そうすると、信漁連等の要するに金融機関等の自己負担が一分七厘くらいになりますか、これは農協の過去のあれと比べると信連等のかぶる率がやや軽いということは言えると思うのであります。従いまして、これは政府とは私どもは意見はまだ詳しいあれはやっておりませんが、三分五厘の自己負担は実はなかなかつらいことでありますので、差等をつけるよりも、むしろ全体的にこれが何らか、実体的に減るように、これは十分私ども努力をしていきたいと思います。  率直に申し上げたわけでございます。
  132. 楠見義男

    ○楠見参考人 私は、ただいま芳賀さんのお話の三つの法案については、皆さんほど勉強しておりませんから正確な意見は申し上げられませんが、従って、抽象的になってはなはだ恐縮なんですが、一体、政府案社会党案とどちらが、国の負担がといいますか、不振組合を救う上において大部分の負担が多いかということは、逆に言えば、組合が利益といいますか得をするかということになると思うのですが、得のする方の案が一番いいのじゃないかと、私はそう思います。従って、むしろ、政府案よりも社会党の案が、実行でき、しかもその方が組合にとって有利であるならば、それはその方が望ましいのじゃないか、私は、きわめて抽象的でありますけれども、そういうふうに思います。  それから、直接不振組合について、実は先ほど片柳会長からも、また私からも申し上げて、この基金が半ば恒久的な制度が望ましいということを申し上げたのは、不振組合がかりによくなっても、また漁業事情の変化等において大きな変化をして悪くなることがある。従って、常に病院的な制度が必要であるということで、恒久的制度が望ましいということを実は申し上げたのですが、ということは、同町にまた、一方で単に経理面の不振対策だけではなしに、改良助長といいますかがどういうことをねらっておられますか、先ほど申し上げたように詳細承知しておりませんが、それが伴わなければ、不振組合というものは、経理面においてよくなってもまただめになるのじゃないか。従って、その不振組合が振興計画を立てるときには、先ほど安藤さんからもお話がございましたように、行政庁はもちろん関係各機関が集まつて、そうしてその振興といいますか、改良助長といいますか、そういうものを立てるということが必要だろうと思います。そこで、改良助長法というものが必要なのか、あるいは改良助長法でねらっておるところのものが振興計画樹立する際の条件となっておるかということによって、結論は私は同じになるのではないか。  はなはだ不勉強で、抽象的で申しわけありませんが、そういうふうに感じます。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、次にお尋ねしたい点は、今まで社会党案政府案整促内容を比較する場合、たとえば整備計画を立てる場合一体どのくらいの期間が必要かということが問題になってくる。この点については、安藤さん自身が三十一年以来手がけている問題なんですが、政府としては、七カ年かかる、七カ年の期間中に整備計画を立てる。それ以上はなかなかできないということを主張しておるわけです。私ども社会党の方は、これは昨年の提案ですから、三十七年度中にやれるということで、三カ年で不振組合整備計画指定を終らす、こういうことで実は進めておる。実際の経験上から言って、はたして七年もかからぬければ組合整備計画指定が終らないものかどうか、それらの点はどう御判断なさいますか。
  134. 安藤孝俊

    ○安藤参考人 お答えいたします。  この問題は、結局、実際に予算がとれましても、それを指定する場合にはっきり出てくる問題だと思うのです。道庁が条例で予算をとりましても、初年度に八つしか出てこない。それは何かと言いますと、準備は詳細に慎重をきわめますから、ほんとうにやるという意欲を高めまして、よろしいという段階が、要ると思うのです。それをただ急に入れますと、ある場合には他力本願的になる危険があるのです。私の方から言いますと、全部診断して、立案をしておいて、どうだと言って置いてきて、ざっくばらんに全体にディスカッションしてもらいまして、向こうがやるのだということを待っておる。御説の通り、三年くらいにやらなければ、今日の窮乏資金では漁村振興はなまぬるいと思う。実際、七カ年なんというのは、最近貿易の自由化とかがいろいろ出てきたり、所得倍増論が出てくると、はなはだもって私は心もとないと思いますが、しかし、早急にやりましても、手がない。実際の指導員がない。私は、実際に北海道指導員を採用しようとしましても、一人立ちで指導立案できるのは二、三名集めるのでも容易でなかった。ようようこのごろ四、五名でやっておるようなわけです。そういうようなわけで、実際予算の面ばかりでなしに、指導の適材の人間がない。そういうふうに思いますので、それさえできたら短縮すべきだ、七年を待つべきじゃないと思うのです。
  135. 芳賀貢

    芳賀委員 政府案から言うと、整備対象組合というものは大体三百七十幾つということに予定されておるわけですね。従って、人員の問題であるとすれば、これは十分の経費を計上してやるという問題と、先ほど片柳会長も言われた、漁協の組織の中に指導組織というものが欠けておるわけです。これはぜひやりたいというお考えであるし、中央会構想に今度はこれを発展させるというようなお考えもあるようですが、やはり何かチャンスがないとやれぬですから、政府が七年もかからなければやらないということであれば、三年なら三年でやるようにするには、組合自体の系統の内部においても、こういう体制を確立するからそれに対して政府も十分な援助なり協力をすべきだということで、この絶好の機会といっては変ですが、短期間整備計画を三年なら三年くらいで立てさせる、それは結局指導陣によると思いますが、そういう積極的なお考えというのはないのですか。
  136. 片柳真吉

    ○片柳参考人 私も、理屈といたしましては、あまりだらだらやらぬで、なるべく短期間に限りまして整備計画を立てた方がけっこうだと思いますが、やはり、今言った指道庁の関係等もあるようであります。だから法律では政令で定める日というように政令に譲っておるようであります。もう一つ、基金に対して政府にどの程度勉強してもらえるかということです。ですから、ことしは一応こういうことになりますが、来年は残りの一億五千万なり二億を全部出してもらう。要するに基金の運用益が相当出て参りますれば、それに応じてやはり期間は短縮できると思います。指定はしても今度利子補給の方が一向全部に行き渡らないということになると、そちらの方でつまずくおそれもあります。ですから、政令で定める日、これは理論的には今言った基金の合体のワクの問題ともからんでくると思いますし、また指導の陣容の整備の問題ともからんできますが、理論としては、お説のような趣旨については何ら異存はありません。
  137. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一つの問題は、県の漁連とか全漁連だけでもなかなか人材はいないと思うのですが、そういう場合は、関係都道府県の行政団体の中にそういう指導に適する人材というのは相当おると思う。これは北海道等においてもやっておると思いますが、やはり、協同組合からのそういう計画の自主的な樹立とか実行に対する指導と、それから関係の地方団体における協力というようなことは、どうしても必要だと思うのです。社会党の案から言うと、そういう巡回指導員、駐在指導員とかに都道府県が負担する場合には、国がその分に対して経費の二分の一とか三分の二を負担するということを明らかにしておるのですが、政府案というのはそういうものが全然明らかになっていない。特に都道府県の直接整備促進を進める場合の任務というものは何も法律の中にうたわれておらない。そういう点に私たちは欠陥があるということを今まで指摘してきたのですが、その点に対してはどのようにお考えになりますか。
  138. 片柳真吉

    ○片柳参考人 今まで御質問のありましたような、基金制度がいいか悪いかという問題と結局関連することだと思います。基金制度というものを作ってそれが利子補給等をすることが是認されますと、やはり、それとの関連で、表面上は県というものがおのずから抜けてくることも一応やむを得ないのではないか。私が今まで聞きました範囲では、何か、基金の業務方法書ですか、これ等で府県の負担を実際上期待しておるようです。しかし、これは何ら法律的な強制力はないと思います。その意味で、府県のなすべき事項が法律上明確化されておらないという点は、私どもも若干心もとない、不安というような感じは持っておるわけであります。しかし、今日までの漁業の相当ウエートの高い県におきまして、県がやはり相当持つという実体的な点についてはそう支障はないようでありますが、要するに、基金制度を是認するかどうかとおのずから関連をすることだと思います。
  139. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、基金の問題ですが、これは角屋委員も言われましたが、内容を分析すると、基金が三分二厘の利子補給を持って、県が一分六厘、金融機関が一分七厘ですが、その場合国は一体幾ら負担するかということになると、基金に対する出資分が、国の方は貸付金という形ですが、これは現在のところ両方同じだということになる。国が二分の一ということになれば、結局三分二厘の半分で一分六厘だけが国の一行なう利子補給。そうなれば、あとの一分六厘は、基金に出資をしておる金融機関が基金の中で一分六厘、そのほかに金融機関として一分七厘の利子補給の負担分がある。結局金融機関は合わせて三分三厘をこの基金制度を通じて利子補給をしなければならぬということになり、都道府県は結局一分六厘で、これは国と同額ということになる。これでは、せっかく政府がやるやると言っても、基金の利子補給全体の中でわずか一分六厘程度のことでは、やらないと同じだと思うのです。こういう点に対しては、もう少し皆さん方の立場からも政府のこういう消極性を批判して是正させるようなことが必要だと思うのですが、いかがでしよう。
  140. 片柳真吉

    ○片柳参考人 ただいまの御質問の点は、私も大体同じ感じでございます。基金で三分二厘と言いまするが、かりに政府、民間半々としましても、半分であります。それ以外に、先ほど言いましたような二億円で全部の管理費を基金が持つわけにもいかぬでありましょうから、全漁連が当分の間は管理費も応援をいたすということになりますと、実はもっと民間の負担分が多くなって、政府の負担率は実体的には減って参るということであります。そういう意味で、私どもは、今後の政府の負担を少なくとも五億の半分程度は見ていただきたいということと、それから、合併奨励金だとかその他の費用まで基金に全部入れることも、何でもかんでも基金が行政機関的なものまで取り込むこととはどうであろうかという感じを持っておりまして、むしろ巡回指導費とか管理費負担は別途に持っていただきたい、合併奨励金は多少の問題があると思いますが、巡回指導のごときものはやはり行政的な費用ではないかということなのであります。  それから、私、聞いていなかったのですが、六分五厘が減免で、基金が三分二厘、県が一応一分六厘、金融機関が一分七厘ということでしたか……。これは、先ほど言ったように、農協の場合よりも金融機関の負担が少ないということになろうかと思います。この辺が信漁連はなかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、楠見理事長もおいででありますし、中央金庫等においてはこの辺で一つできるだけの御協力を私としてはお願いいたしたいと思います。
  141. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、基金の達成額を、やはり、参考人の皆さんの御意見では少なくとも五億円は要るということになると、来年度五億達成しなければならぬわけですね。その場合日、あくまでも政府が二分の一ということでいいか、あるいは三分の二にすべきであるかという点も、これは議論の分かれる点だと思うのです。社会党の案でいきますと、基金方式ではありませんが、これを実施する場合は、初年度四千五百万円、それから次年度から五千六百万円必要であるということにできております。この中には、合併奨励金とか、駐在指導員とか、巡回指導員の国の経費分というものを全部含めてです。そうなると、これは当然、片柳さんが言われた通り、基金の役割というものは、合併奨励金とか駐在員や何かの費用も全部この中で持つなんということになると、これは五億でも六億でも足らないと思うのです。たとえば五億円でこの六分五厘の運用の利回りにしても三千二百五十万円しか出ないのですからね。六億円にしても四千万円を切るというようなことにしかならぬわけです。ですから、こういう点についても、来年度にやはり基金の内容を十分充実させるということにして折半でいくとすれば、結局団体の方が二億五千万にしなければならぬということになるのですが、本年度の一億ないし一億二千万もなかなかでないということであれば、あとの増額分についてはどういうような見通しでいくか。ことしは楠見さんの方の中金の出資分が案外少ないようですが、はたして来年は中金が相当主体になってやれるものですか。そういう点も参考までに見通しを聞かしてもらって、われわれとしても対処したいと思います。
  142. 楠見義男

    ○楠見参考人 中金の方は、先ほど片柳さんからもお話があったのですが、やはり構成員がそれだけよくなるのですから、楽ではないけれども、喜んで出資しよう、ことしは一億あるいは一億二千あるいは一億五千というお話ですが、この中で三千万は一つ出そう。しかし、これは出資が返ってくることを——無利子といいますか、配当は期待しないが、うまくいけば返ってくることを期待しておるわけです。それが将来何かほかに移っちゃって、とられっぱなしというのじゃ、三千万であろうと五千万であろうと、私どもの方は直接財源は貯金から得た自己資本といいますか充実した資金の中から出すのですから、私どもとしてはそれこそ喜んで出すわけにはいかぬと思うのです。しかし、組合構成員のためにそれだけよくなるのですから、そしてまた将来返ってくるんだ、従って、無配当でもがまんしよう、こういうのでありますから、そこら辺がはっきりしないと、なかなか第一回のように喜んであとを出すかどうかということはちょっと言いかねるのです。
  143. 安藤孝俊

    ○安藤参考人 私、現地の模様をつけ加えて申し上げます。  実は、最初の政府案は五億に対して二億五千万を初年度に一度に出そう、それに対して初年度の一年は民間で一億という案だった。それがこういうふうに変わってきたのです。一番先に火をつけたのは北海道の側ですが、漁連整促中であるから、これはあまり期待することは無理であろう、できるなら一千万円くらい出してもらいたい、万一漁連が出せないような場合に信漁連が二千五百万円出そう、北海道基金協会が二千五百万円出そう、両方で五千万円出そうということを理事会に諮ったら、慎重審議の結果、よかろうというので五千万円に踏み切った。そういうことを考えても、残金を全国でどう出すかということが非常に問題です。  そこで、全漁連としては、悪く言えば弱小府県でしょうが、この非常に困るような府県に代位したような意味で一つ出してもらいたいということで、全漁連会長にお願いした、それから中金さんにお願いしたいということで、一応、初年度の一億というものは、幸い意欲が非常に高まったものですから、一億五千万という説が出てくるぐらいなばかに景気がいいわけなんですが、内容は実につらいのです。従って、今御指摘のように、将来政府から出た場合にさっそくすぐ出せるかということになると、北海道としてはせい一ぱい出してしまうわけですから、あとはやはり府県の負担に属する。その場合に問題が起きたら、その際はきわめて賢明に対処しなければならないのじゃないか。その点は私は今これ以上申し上げられません。
  144. 芳賀貢

    芳賀委員 それは、全国的な組合の不振状況を見ても、普遍性には欠けておる点があると思うのですけれども、全然不振組合のない、最も少ないような地元の信漁連等では、出資するといったって無理もあると思うのですが、そういう点はそれにかわって中金の方で一つやってもらいたいということになると思うのです。  次にお尋ねしておきたい点は、先ほど片柳さんからもお話のあったことですが、実は、政府は業務方法書の中で都道府県の利子負担というものを大体義務づけようとしておるのです。それを負担しなければ利子補給しないぞということです。西村長官は、かつて法制局の第一部長で、法律の権威者とも言えるのですが、私たちが見ると、どうもこれは筋の通らないようなやり方じゃないかというように考えておるのです。法律にも何にもうたわないで、業務方法書の中で地方団体に対して、しかも基金が優位に立って地方団体を指導するとか、こうやれというような、そういう関係はあまり例がないと思うのですが、やれさえすればいいんじゃないかということであればそれでもいいかもしれぬが、こういう点に対しては片柳さんや楠見さんはどういうように判断されておるのですか。業務方法書でこれをやるということについて。
  145. 片柳真吉

    ○片柳参考人 ちょっと私もお答えをいたしたつもりでありますが、その辺は業務方法書で実体的に——法律的にはあまり効果はないと思いますが、実体的に府県を縛るということは、これはやはり御説のような見方もできると思います。ただ、基金というものの存在性を是認し、それとの関係利子補給をするということが是認されますと、そういう格好でいかざるを得ないのではないか。しかし、できるならば何か府県に義務づける規定ができれば一番安心できると思いますが、その辺は、そういう御指摘のような感じはいたしております。
  146. 楠見義男

    ○楠見参考人 私も片柳君と同じなんですが、法律的には義務はないと思うのです。ただ、基金としては、府県がこういうことをやったら自分の方はやろうという、一つの商売といいますか、契約といいますか、そういうことになるのじゃないかと思うのです。そこで、問題は、そういうことでその府県の不振組合が救われるだろうかどうだろうかということが実は問題になるのではないだろうか、私はそう思います。
  147. 芳賀貢

    芳賀委員 これは、北海道としては前からやっているから、やはり依然と、してやるだろうという判断もあるだろうと思いますが、こういう点にも政府の無責任さというものはあると思います。自分は貸付金だけしかやっておらぬ基金に対して、今度都道府県利子補給をまずしなさいというような態度は、好ましくないと思うんです。  次にお尋ねしたい点は、法人税の免除の特例がこの法律に出ておるわけです。これを獲得するためには所定の期日までに青色申告をやらなければならぬということになる。この点は、社会党案にも政府案にもそれぞれ述べられておるわけです。事実上の問題として、現在の不振組合指定された整備組合が、所定の期間内に、しかももうちゃんと一定の型にはまった青色申告をやる、その資料を調整するということは、これは、整備計画を立てる以上に、時期的に限定された中で必ずやれということでいけば困難性があると思いますが、北海道でも、条例だから税の特例は今まで受けなかったのですけれども、今度は法律でやるとすれば、これをどうしてもやらなければ利益が獲得されないわけですね。そういうことで、実務上の点から見た場合に、この法律でいったような、この期間の中に確実な青色申告の手続ができるかどうかという点は、安藤さんはどう見通しておられますか。
  148. 安藤孝俊

    ○安藤参考人 お答えします。  現在の情勢から見ますと、御心配のように時期的にそうできないのではないかという御批判があるのはごもっともですが、整備強化促進法ができました場合に、それができないならば成功しないはずです。現に私やっております道漁連の十七億八千万円の借金整理の方は、現在はもう決算も待たずしてぴしぴしと結論が出るわけです。そうしませんと実際は負債の整理ができないわけですから、これは当然やらねばなりませんし、やれると私は思います。また、やれるように指導を加えないと、せっかく利子補給をしましても空転ずると思いますので、私は、むしろ青色申告程度のやかましさがあってもやれる、さように存じております。
  149. 芳賀貢

    芳賀委員 時間の関係がありますが、きょうせっかくおいでになったのですから、関連的に一、二お尋ねしておきたいのですが、生産基盤の強化とか、組合の経営を新しい事態にマッチさせたようにしていくということは大事なんですが、そういう場合に取り上げる方法として共同化方式という問題は、やはり農業の面にも法人化が出ておりますが、一体、漁業協同組合の現在の感覚とか力のもとにおいてはたして共同化というものが相当の速度で進められる可能性があるかないかという点に対しては、どのようにお考えですか。
  150. 片柳真吉

    ○片柳参考人 私から申し上げるまでもないと思いまするが、農業よりも漁業の作業の性格は本来的に共同作業的なものが相当ございますので、うまく指導なりめんどうを見て参りますれば、むしろ農業以上に共同化は進むのではないだろうか。また、現在の水協法等の法制下におきましても、御承知のような漁業協同組合の自営なり、あたかもソビエトのコルホーズに似たような漁業生産組合という制度もいち早くできておるわけであります。ところが、遺憾ながら、今日までそれに対する指導がどうもあまり徹底しなかったのではないだろうか。特に、漁業生産組合等では定置網その他相当の資金のかかる事業をやっておりますが、それに対する今までの政府の財政的あるいはその他の系統援助が必ずしも強くなかった。しかも、漁業生産組合はまま子扱いではないかと私は思うのであって、単協にも準組合員としてしか加入できない。せっかくそういういい制度が認められながら、金融的にもバックは狭くなり、指導上もむしろまま子扱いをしておるという状況でありまして、むしろ何か金融機関から金を借り出す擬装的な組合が多いということまで言われておるようであります。しかし、今後金融公庫なり中金等で十分資金のめんどうを見、それから漁業生産組合等もはっきり系統の一番末端の生産組織として培養していきますれば、これは相当伸びるのではないか、農業よりもむしろ性格的にその可能性があるのではないかと私は考えております。漁業制度調査会でも、大体さような方向で、ただ、漁業協同組合が金融事業等をやっておりますから、ややもすると危険の多い漁業を自営することはあまりどうも積極的にすべきではないのではないだろうか、むしろ別にそれ専門の漁業生産組合等にそういう自営的なものはまかせて、それを金融面なり販売面なり購買面でめんどうを見るということで、むしろ危険を避けた方がよろしいのではないかという意見が出ております。まだ結論に至っておりませんが、私は、今までの指導がどうもあまりよくなかったので、これはむしろ伸びる可能性が今後あるのではないか、かように思っております。
  151. 安藤孝俊

    ○安藤参考人 ただいま片柳会長からお答え申し上げたに尽きると思いますけれども、どうしても漁業の共同化というのは必然性がある。同じ海面に、同じ方向に出てきて、資源をやはり同じくとるのですから、どうしても共同作業的に発達しなければ、ほんとうの漁村経営にはならないと見ている者であります。今までそれがなぜなかったのかといいますと、いろいろ保護政策がなかったのはもちろんでありますが、大体意識が低下している。共同の作業をやるということは、技術的の面においてもでこぼこがあるのに、それを平等に分けることがばかくさいというような感じにすぐ行ってしまう。そこで、共同化の場合には、やはり相当の能力給的な分配率というものを加味しながら共同化すれば、現在よりもずっと出てくるのではないか。それがないんです。生産組合のああいうりっぱな法律がありましても、生産組合を作りますと、やはりある場合には悪平等的なものがすぐ出てくる。そうすると、能率の低下ということになって、ほんとうの共同化の成果があがらないということで、ある場合には一種の擬装的に生産組合が使われて、一、二の人だけが共同化の実権を持って、全体はただお相伴というようなことになりやすい。私は、むしろ漁民の啓蒙というものが今まで足りなかった、漁民を啓蒙しながら共同化すというのでなければ共同化は成立しない、現在でもそう思います。今後必然的に共同化せざるを得ない状態なんですから、われわれは全力をあげて共同化の方向に行かなければならない。ことに、先ほど来御指摘のありましたように、漁村はいやでも応でも現状に満足しておれない。どうしても理想を持って前進しなければ食うに困るという状態に追い込まれている現実もありますから、どうしても共同化はだめだというようなことをあまり言っておられない時代だと思いますから、業態によってはどうしても共同化していく。ことに、加工というようなものは、共同化は商品価値を高める上におきましても非常にけっこうじゃないか。この点はやはり分配の問題に非常にめんどうがあるのです。そういう点を私は考えまして、どうしても啓蒙が先だ、さように考えます。
  152. 芳賀貢

    芳賀委員 参考人の皆さん方はすでに御承知と思いますが、この水産庁が発表しました日本漁業の現状分析の中で、経営組織別経営体数、漁獲高というのがありますが、たとえば、経営体の総数が二十三万くらいあって、そのうち個々の漁家の経営体というのは十九万七千くらいになっていますね。それから、会社組織の経営体というのはわずか一千そこそこです。それから、組合方式というのは、漁業協同組合方式が四百六十、生産組合方式が三百というようなことになっていますが、問題は、会社による経営体というのは、全体の経営体の中ではわずか〇・五%しかありませんが、漁獲高の占める比率というのは、大に三四・二%になっておるのです。漁家の経営体は総体の中で八六・一%ですが、漁獲金額の面においては一八・二%しか占めていない。こういうところにやはり大きな問題があると思うのですね。ですから、やはり、今御両氏が言われた通り、今後の漁業の沿岸における経営の方向というのはそういう方向に行くように、強力なる指導者である皆さん方が先達になってもらうのは当然でありますが、やはりこれは政府としてもその方向に強力に問題を進めるという必要があると思うのですが、小枝政務次官はどういうふうにお考えになっていますか。
  153. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 大体、私の考えといたしましては、今日、日本の漁業といわず、農業といわず、林業といわず、すべて共同化の方向に向かっていくということは、一般の常識でもあると考えます。ことに、漁業は、今日の経営状態におきましても問題が最も多いのであります。ただ、業種が多岐多様に分かれるので、相当困難はあると思いますけれども、しかし、その問題も努力によって相当解決できるものと考えております。そういう意味におきまして、資本力の少ない中小漁家が将来経済的に発展をし生活の水準を高めていくということは、結局、この大きいものに対抗する、いわゆる強いものに対抗するという意味から、どうしても将来共同化を推進していく必要が最も大だろうと思います。そういう意味におきまして、農林省当局といたしましては、将来こういう組合の拡充強化ということにつきまして、十分意を用いまして努力をいたして参りたい、かように考えております。
  154. 芳賀貢

    芳賀委員 以上で参考人の皆さんに対する私の質問を終わりますが、参考人の各位には、貴重な御意見を拝聴いたしまして、どうもありがとうございました。
  155. 吉川久衛

    吉川委員長 参考人各位には長時間にわたり本委員会の審査に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げる次第でございます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十五分散会