○芳賀
委員 ただいま可決されました
農林漁業金融公庫法の一部を
改正する
法律案につきまして、この際、自由民主党、
日本社会党並びに民主社会党を代表して、
附帯決議を付するの動議を提出いたします。
まず案文の朗読をいたします。
農林漁業金融公庫法の一部を
改正する
法律案に対する
附帯決議
政府は、左の如く措置すべきである。
一、
公庫の原資は借入金に依存する度合を次第に増大し、
昭和三十五年度においては最悪の事態に立至っていると認められるが、かくては
貸付業務の円滑な遂行に
支障をきたすおそれがあるので、
長期低利資金に対する農林漁業者の
需要の
増加に対処し、今後の
資金計画を作成するに当っては、すくなくとも借入金と同額又はそれ以上の
政府出
資金の確保に努めること。
二、
酪農業の
生産基盤の整備と
乳業の
近代化を促進するため、すくなくとも
酪農振興法に規定される集約
酪農地域および
酪農経営改善地区内において
生産される
牛乳の
処理加工施設の新増設または
改善に必要な
長期低利資金については、これを本
公庫から
融通し得る途を拓くものとし、速やかに所要の法制上及び財政上の措置を講ずること。
三、都道府県営土地改良事業の
経済効果が生じない以前に、
公庫貸付金の
償還が始まることのないよう、事業の七年以内の完成に必要とする補助
予算を確保するものとし、もし事業の完成期が遅延するおそれがあるときには、
農業者に過重な負担を強いることとならないよう適切な救済措置を講ずること。
右
決議する。
昭和三十五年三月二十九日
衆議院農林水産
委員会
提案の要旨を釣れに申し上げますと、第一の点は、今回の法案の
質疑にあたりましても、
公庫の
資金構成上、
政府出
資金と借入金のアンバランスを生じておることは常に指摘しておる
通りであります。たとえば、
昭和二十七年度の実績を見ますと、出
資金、借入金の比率は、出
資金が占める割合が六〇・三%でありましたが、三十五年度の
予算を見ますと、実に三九・五%に出
資金の比率が低下しておるわけであります。従って、このことは
公庫の
資金コスト上にも非常に悪影響が来まして、ことしの推定
コストは五分五煙という状態になっておるわけであります。こういうことになると、将来
公庫の本来の目的である
業務上にも非常な障害が来るということが察知せられますので、これはたびたびの指摘でありますけれ
ども、この際
政府においては、出
資金並びに借入金のバランスをとって、そうしてこの
資金需要に十分こたえるような体制を進むべきであるという点であります。
第二点につきましては、これも、たとえば
昭和三十三年四月に
酪農振興基金法が成立した場合においても問題になりましたが、今後の
乳業の
企業としての
体質を根本的に
改善していく、たとえば
生産酪農民に対する
乳価の安定の問題、あるいは
消費者に対しましても
コストの安い飲用乳を提供するというような点、あるいは
酪農製品の
コストの引き下げ等の点についても、
設備資金が占める製品の
コストへの影響というものは決して軽視できませんので、従って、
酪農振興の政策上の見地からもこの際
公庫資金から
酪農の
施設に、これも全般ではありませんで、特に
酪農振興法に規定しているところの、たとえば集約
酪農地域あるいは昨年の酪振法の
改正によりましたところの
酪農経営の
改善地区等の地区内における
乳業施設の増設、新設あるいは設備
改善等については、重点的に
公庫資金の
融資の道を講ずることは当然のことであると思うのであります。さらにまた、もう
一つの点は、このようにいたしまして
乳業の
施設に対する
政府からの
制度金融の道が講ぜられることは、一方においては、これを足がかりにして
政府の
酪農振興上における行政的な指導力を一段と強化することについても大きな成果を期待できるのではないかということにかんがみまして、従来しばしばの指摘であったにもかかわらず、
政府においては何ら現在までこの点については熱意を示しておりませんので、特にこの際
決議を附しまして、すみやかに所要の措置を講ずべきであるというのでありまして、このすみやかにというのは、具体的に言えば次期国会までに
政府として法制上、財政上の措置を講ずべきであるということをここに明確にしておく次第であります。
第三点の問題については、これはただいま同僚石田
委員からるる指摘された点を
決議の中に盛り込んだわけでありますが、特に先般のこの法案の審議の場合の土地改良事業
関係の参考人の招致の際におきましても、土地改良事業については、国労、県営、団体営等の一貫事業の早期完成ということが強く要望されておりますので、
先ほども
質疑が行なわれました
通り、補助事業の早期完成ということと
公庫資金の
融通というものを十分密着させた運営というものが特に必要であるということをこの
決議に示したような次第であります。
以上、三点の内容について御
説明を申し上げまして、御賛成を求める次第であります。