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1960-03-29 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十九日(火曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 永田 亮一君 理事 本名  武君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君    理事 小平  忠君       安倍晋太郎君    天野 光晴君       今井  耕君    金丸  信君       倉成  正君    坂田 英一君       笹山茂太郎君    田邉 國男君       高石幸三郎君    中馬 辰猪君       綱島 正興君    松岡嘉兵衛君       松田 鐵藏君    三和 精一君       保岡 武久君   茜ケ久保重光君       石田 宥全君    山田 長司君       神田 大作君    中村 時雄君  出席政府委員         農林政務次官  小枝 一雄君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   相澤 英之君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    太田 康二君         農林事務官         (農地局管理部         長)      庄野五一郎君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農林漁業金融公         庫総裁     清井  正君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十五日  委員中村時雄辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として中  村時雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十六日  県外移出米助成金交付に関する法律制定促進に  関する請願小川平二紹介)(第一六二五  号)  治山事業特別会計制度創設に関する請願小川  平二紹介)(第一六二六号)  北海道大野地総合かんがい排水事業計画変更  に関する請願久保田豊紹介)(第一七三五  号)  同(久保田豊紹介)(第一八六五号)  十五号台風による鍋田干拓地犠牲者援護に関  する請願江崎真澄紹介)(第一八五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四四号)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。倉成正君。
  3. 倉成正

    倉成委員 私は、この機会に、農林漁業金融公庫業務に関関連しまして、乳業近代化に伴う低利長期資金融通について質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、政府牛乳等乳製品の将来の需給をどのように見通して、どういう計画対策を持っておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  4. 小枝一雄

    小枝政府委員 ただいま倉成委員の御質疑になりました牛乳需給の問題でございますが、これは、御承知のように、近年牛乳生産長足発展いたしまして、集乳母は相当増加をいたしまして、なお今後も相当な伸び方を見るつもりであります。当面の需給の見通しといたしましては、私ども、順調にこれは参るように大体考えておるわけであります。しかしながら、御承知のように、これはなまものでありまするし、相当季節的にも需給の高低があるわけでございまして、そういう点につきましては十分心して善処しなければならぬと考えております。
  5. 倉成正

    倉成委員 ただいま政務次官からお答えがございましたけれども牛乳生産は過去五年間に約二倍に達しており、また、今後における牛乳生産増加量は年々大体百五十万石から百二十万石の増加が予定されており、成長率か一三%ないし一五%と非常な伸び方でございまして、二十五年度にはこれか約一千万石、農林省計画によりましても四十年度に二千万石をこえるような計画になっておるわけでありますが、これらの生産増加に対して慎重な配慮が必要と思います。  そこで、今後、酪農発展をはかるために、牛乳乳製品需要をますます増大せしめて、酪振法の精神を強力に推進して、また、酪農経営を合理化し乳業近代化をはかってコストを下げていくことが必要だと思いますけれども、この点はどのようにお考えになっておりますか。
  6. 小枝一雄

    小枝政府委員 倉成委員の御意見通りでございまして、四十年度には二千万石に近い牛乳生産を私ども期待いたしておりまするし、ことに、牛乳をたくさん生産するということは、要するに安くていい乳を国民に供給するということにならなければならぬのであります。そういう見地から、極力この生産コストを切り下げまして、一つは農家の利潤を求めていくということ、もう一つ国民大衆のこれを用いるところの人々に対してもいい乳を安く提供するるという方向に向かわなければ、この酪農振興発展ということは望めないのでございまして、御所見の通りどもも努力いたすつもりであります。
  7. 倉成正

    倉成委員 酪農振興の最終的な目標としまして、生産者に高い乳価を保証する、それから消費者には安い乳を供給するということが大きな目標になっていかなければならぬと思うのでございますが、これらの問題と関連しまして、最近政府におきまして貿易自由化が叫ばれておりますけれども貿易自由化に対応して、乳製品についてはどういった基本的な態度で臨むのか、お伺いしたいと思います。  現在のところバターチーズについては三五%の関税がかけられておりますが、これが自由化されますと、バターチーズにあっては大体二倍くらいの関税をかけなければならないし、低いものにありましても全脂粉乳で三六%程度関税が必要になると考えられます。そういった点で、自由化乳製品についてどういうふうな基本的な考え方を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  8. 小枝一雄

    小枝政府委員 貿易自由化に伴いまして、そのままこれを受け入れますと、日本農業に対しては非常に影響するところが重大でございますので、牛乳乳製品につきましては、政府といたしましては、ただいまのところ自由化をもって進むということは全然考えておりません。これは、わが国牛乳生産が今後長足に伸び、また、先ほどお話しのようなコストの点におきましても国際価格に競争し得る状態なればともかくといたしまして、今日大いに奨励していかなければならぬ。やはり、国民体質改善、あるいは国民食生活改善、こういういろいろ重大な面から考えまして、現在の通り、いわゆる貿易自由化の線では牛乳乳製品は取り扱わない、現在の方針でいくという考えでおります。
  9. 倉成正

    倉成委員 貿易自由化と関連して乳製品については全然考えないというお話でございますが、この点は今日の段階においては絶対に避けるべきであると私も考えるわけであります。しかしながら、先ほどお話し通り、いつまでも自由化を避けると申しましても、世界の経済の趨勢から考えまして、この機会わが国酪農業を徹底的に近代化してその体質改善をはかっていくということが何よりも必要だと思いますけれども、この酪農業近代化乳業体質改善という点について具体的ないかなる方策を政府はお持ちであるか、お伺いいたしたいと思います。
  10. 小枝一雄

    小枝政府委員 詳細の問題について私から申し上げる用意がないのでございますけれども、御承知通り貿易自由化原則によってすべての経済が行なわれるという今日におきまして、牛乳乳製品といえども安易な考え方を持っていつまでも自由化をやらないのだという運営の行き方はおもしろくないと思うのであります。われわれとしては、政治的には、あくまでこれは日本農業を守るという意味におきまして、貿易自由化を今日やるべきではないという確固たる信念によってやっていきたいと考えておるのでありまするけれども、その内容におきましては、あくまで国際競争にたえ得るような酪農経営方針というものを大いに打ち出していかなければならぬということは全く同感でございまして、そのためには、飼料自給政策を一そう高度化していきまするとか、あるいは飼料に対する政策的ないろいろな面におきまして改善を加えて参りまするとか、さらに、流通面におきましても、これを集約化し、これを高度に利用することを考えまして、漸次コストの切り下げを行ないまして、国際競争にたえ得るような状況に進めていたきい、そしてまず酪農体質改善をはかるということに対してやっていきたいと考えております。そういう意味におきまして、三十五年度の予算には四、五項目にわたる新しい施策も打ち出して参っておるような次第でございます。
  11. 倉成正

    倉成委員 ただいまの御説明は非常に抽象的でございますけれども、これまでの政府施策をしさいに検討しますと、生産増強という点については非常に積極的な施策がされたかと思いますけれども酪農業の安定、また牛乳取引の公正という点についてはいささか施策の欠けている点があったと考えるわけであります。これは一昨年の乳価の問題にも現われておりますし、毎年々々乳価の変動という形で現われておることは御承知通りでございます。従いまして、乳業近代化をはかるという点について、乳製品処理加工施設の改良、また、酪農の発達に呼応して施設拡充ということがやはり一番大事なことの一つ考えるわけであります。この点について具体的にどういう対策をお持ちであるか、これをお伺いしたいと思います。
  12. 小枝一雄

    小枝政府委員 ただいま倉成委員お話しになりましたように、集乳施設あるいはその加工という面が最も重要な問題であることは言を待たないところでありまするし、また、一面におきましては、あるいはクーラー・ステーションを設けますとか、あるいはそのほかに処理加工場を設けますとかいうようなことが根本的な問題になりますので、金融方面におきましても、公庫、あるいは大きい問題につきましては開発銀行等におきまして極力努力して参る所存で進んでおるわけであります。
  13. 倉成正

    倉成委員 もう少し具体的にお答えをいただきたいと思います。  それじゃ、私まずお尋ねしたいと思います。これは補助員の御答弁でもけっこうですが、今後の年間乳量増加に見合う設備資金としてどのくらいの資金が必要か、一つ伺いしたいと思います。
  14. 坂村吉正

    坂村政府委員 施設資金といたしましては、大体、大ざっぱに見まして、今後の計画としては四、五十億見当のものが要るんじゃないかというように考えております。
  15. 倉成正

    倉成委員 今お答え通り、大ざっぱに見まして、年間処理乳量十万石当たり大体五億七千万程度としますと四、五十億あるいは五、六十億、こういうふうに考えられるわけでありますが、これらの資金融通をはかるということが必要になって参ります。この点に関しては、過ぐる三十四年の三月、第三十一国会の衆議院におきましても、「牛乳乳製品製造設備の新増設又は設備転換に必要な長期低利資金農林漁業金融公庫開発銀行等から貸付けることができる途を拓くこと。」という附帯決議酪農振興法の一部を改正する法律案に対して行なわれております。参議院においても同様の附帯決議が行なわれておるのであります。この附帯決議精神を今日まで具体的にどのように政府は生かしてこられたか、これをお伺いしたいと思います。具体的にお答えいただきたい。
  16. 坂村吉正

    坂村政府委員 お話のように、衆議院参議院におきましても、乳業処理施設に対するいわゆる長期低利資金融通をはかるようにというような御趣旨でもございましたので、その趣旨に沿いまして、農林省といたしましては、これをどういうところから長期低利資金融通するようにするのがいいだろうかということで、ずいぶん検討いたしたわけであります。今までは、大体昭和二十六年ごろから始められておりますが、あるいは三十二年、三十三年というようなところで開発銀行なりあるいは北海道東北開発公庫なり、そういうようなところからぼつぼつ融資も行なわれていたのでございますけれども、どうもそこら辺がなかなかきちんとした形では出ていないという状況でございましたので、三十五年度以降におきましては、あるいは場合によっては農林漁業金融公庫から資金融通するというような道も同時に検討もいたしたわけでございまして、日本開発銀行あるいは北海道東北開発公庫等といろいろ協議いたします。そういたしまして、今後日本乳業発展のためには日本開発銀行北海道東北開発公庫等も本気になって融資の問題と取っ組んでいきましょう、こういうような話でございますので、三十五年度以降計画的にそれでは日本開発銀行から融資の道を講じていくというような話し合いになりまして、三十五年度におきましては、日本開発銀行を中心といたしまして、北海道東北開発公庫と一緒になって乳業会社に対する長期低利資金を貸していこう、こういうようなことで話を進めて参ったわけでございます。その結果といたしまして、三十四年度分が現在貸付決定をやっておるところでございますが、現在までに決定いたしましたものは、三十四年度におきましては、北海道雪印乳業で一億五千万円の融資申し込みをしておったのでありまするが、つい数日前に一億円という融資決定を見ております。それから、森永乳業は現在四億円という融資申し込みをしておるのでありますが、これはまだ最終決定までに至っておりませんで、現在審査中でございます。それから、北海道東北開発公庫におきましては、雪印乳業では一億四千万円という融資額が今までに決定をいたしております。そのほか、明治乳業に対しまして六千万円という融資決定を見ております。そういう状況でございまして、三十五年度分につきましても、この線で、北海道東北開発公庫日本開発銀行十分めんどうを見ていくということで進んでおるわけでございます。
  17. 倉成正

    倉成委員 ただいま、日本開発銀行北海道東北開発公庫からの資金融通の現況の概略の御説明ございましたけれども、その金利据置期間償還期限、これが非常に大きな問題ではないかと思いますが、これはどういうふうになっているか、御説明いただきたいと思います。
  18. 坂村吉正

    坂村政府委員 日本開発銀行北海道東北開発公庫金利は、年九分を基準として、本銀行において必要と認めるときはこれを増減することができる、こういうことになっておるのでございまして、現在まで乳業関係に貸し付けられておりますものは大体九分でございます。それから、償還期限は、一年以上五年以内、ただし本銀行において必要と認めるときは五年をこえ三十年以内とすることができるということになっておりまして、据置期間は、三年以内の据置期間を設けることができる、こういうことになっておるのでございますが、ただし本銀行において必要と認めるときは三年をこえることができる、こういうことでございまして、今までの実績を見ますると、大体据え置きが九カ月でございます。それから、償還期限といたしましては、三年、あるいは五年というようなものも、六年というようなものもございます。
  19. 倉成正

    倉成委員 ただいま、金利が九分、据置期間が九カ月、償還期限が大体三年ないし五年という実情の御説明がございましたけれども乳業施設拡充が非常に急速に行なわれて、先ほどお話がありましたように、大ざっぱに五十億前後の資金需要があるという際に、この程度の高い金利、また、この程度据置期間、短い償還期限では、乳兼施設近代化ということは非常にむずかしいのではないかと私は考えるわけであります。同町に、今後の酪農の伸長に対する施設拡充ということは、絶えず三年ないし五年後の処理乳量を見越して施設をしていかなければ、ただいま資金手当が行なわれたからといってすぐその施設ができるわけではございません。そういった点から考えまして、開銀北海道東北開発公印からの資金融通ということはもちろんけっこうでありますけれども、この金利をもっと下げ、据置期間を延ばし、あるいは償還期限を延ばすということが非常に大事なことと考えられますけれども、この意味におきまして、農林漁業金融公庫からこの乳業近代化をはかるための資金融通するという道を開くことはできないかどうか、お伺いしたいと思います。
  20. 坂村吉正

    坂村政府委員 お説の通りに、開発銀行北海道東北開発公庫金利その他の条件は必ずしも十分であるというふうに考えていないのでございまして、特に、自由化というような問題も起こっておりまするし、乳業をできるだけ合理化していくという点から考えますれば、金融面においてできるだけ長期低利なものを貸すということが必要だろうと思っております。従いまして、先ほど申し上げましたように、三十五年度の予算の編成の際にも農林漁業金融公庫からの融資という方法も同時に検討いたしたのでございますが、三十五年度といたしましては、開発銀行北海道東北開発公庫を主体として融資の道を講ずるということに一応決定いたしたのでございまして、今後の問題といたしましては、自由化の問題その他ともからめまして、さらにこの日本開発銀行条件等で不十分な面を十分補い得るように一つ検討いたしたいと考えておる次第であります。
  21. 倉成正

    倉成委員 公庫の方にお尋ねしたいと思いますけれども、公布からこの乳業近代化資金を、かりに金利を七分五厘にし、五年据え置き、十五年償還というような長期低利融通をする場合には、公庫業務運営上何か支障があるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  22. 清井正

    清井説明員 ただいま、乳業施設農林漁業金融公庫から融資をする場合において、その条件についてお話通りにいたします場合に何か支障があるかというお尋ねでございますが、御承知通り、私どもの方の金融機関といたしましては、長期低利でございまして施設資金でございます関係上、据置期間償還期限も相当長くなっているのでございますが、ただ、施設自体をとらえてみますれば、その施設国家的重要性から見ますれば、できるだけ据置期間あるいは償還期限を長くし、あるいは金利を安くいたしまして、当該施設を建設する者にとって経営上有利にするということは考えられることだと思うのであります。ただ、私どもといたしましては、共同利用ということを考えました場合におきましては、他の共同利用とのつり合いあるいはそのほかにおいて考えなければなりません。あるいは共同利用でない場合を考えましても、ほかの農林関係業種貸付をいたします場合の据置期間なり償還期限なりを考えますと、それとの比価権衡を勘案してやりませんと、必ずしもそれだけとらえて、関係者にとって非常に有利であるからそういうようにしようというわけにはすぐにはいかないと思うのであります。従いまして、御趣旨の点はよくわかるのでありますけれども、私どもといたしましては、やはり他産業に対する貸付条件、あるいはその業種実態性質等とよくにらみ合わせまして、できるだけ実情に沿うようにして参りたい、こういうように考えております。
  23. 倉成正

    倉成委員 ただいま非常に遠慮した御答えがありましたけれども、他産業との均衡というお話、また業種実態というお話がございましたが、乳業実情については御存じの通りです。また、他産業との均衡ということも、総裁が現在お考えになっておわかりでないとも考えられませんし、現在の、原資構成から見まして、据置期間あるいは償還期限は別といたしましても、七分五厘の資金を、現在の開銀あるいは北海道東北開発公庫が出しているよりももっと有利な条件公庫から貸すことがむずかしいかどうかということをお伺いしているわけですから、一つその点もっと率直にお答えをいただきたいのであります。
  24. 清井正

    清井説明員 私のお答えいたしましたのは、現在の公庫でもって貸し付け得る限度、すなわち共同利用施設としての畜産施設ということでございまして、一般の企業者畜産施設のことではないわけでございます。共同利用施設といたしましては、七分五厘、据置期間二年以内、償還は十五印以内ということでやっているわけであります七分五厘という利子の問題でございますが、これは、御承知通り、他金融機関と比べますれば低利になっているわけでございます。これは共同利用という関係低利になっているわけでございます。ただ、この利子を将来七分五厘で貸すこと自体につきましては、畜産施設としては現状で問題はないのでございますが、これが企業ということになって参りますと、これは公庫性邦土ちょっと問題が起きてくるのではないか。ただいまは、御承知通り、九割会社ということで、企業であってもほとんど共同利用と同じだといってもいい程度のものならば、これはあくまで共同利用に貸す原則である、そういう意味において利子も安くなっているわけでございますので、七分五厘という利子共同利用あるいはそれに近い施設にお貸しすることについては大体問題はないと思うのであります。これが企業まで延びるということになりますと、共同利用性格あるいは農林漁業金融公庫法そのもの性格上若干問題があると思います。その点は国の畜産奨励施策あるいは態度ということとにらみ合わせての問題になるわけでございまして、軽々に私ども申し上げるわけにいきませんけれども、やはり、そういうものとにらみ合わせて考えていくべきものだと思うのであります。  それから、七分五厘の利子そのものの問題といたしましては、これは、借入者にとっては安ければ安いほどいいわけでございますけれども、全体といたしましても公庫利子は相当低利になっておりますので、これ以上下げるという場合におきましては、やはり他産業に対する貸付利子と勘案してきめなければなりませんので、これまた慎重に考えていかなければならない問題だと思うのであります。
  25. 倉成正

    倉成委員 この席で総裁にいろいろ公序法改正の問題あるいは改正を前提とした場合の金利貸付条件についてお答えを求めることは無理かと思いますけれども、現在の北海道東北開発公序並びに日本開発銀行から借り入れております資金貸付条件というのは、今後乳業近代化を積極的にはかっていくという意味におきましては非常に酷な感じがするわけでございます。どうしても今後は農林漁業金融公庫資金融通の道を開いていくということが私は必要ではないかと考えますので、これらの点については積極的に慎重に政府において御検討をいただきたいと思いますけれども、どのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。
  26. 小枝一雄

    小枝政府委員 この制度の問題につきましては、先般どなたか委員の方からの御質疑によってお答えをいたしたのでございますが、要するに、当委員会あるいは農業団体その他各方面からの御意見もいろいろ伺っておるわけでございまして、農林省当局といたしましては、この三十五年度中に、この制度の問題あるいは金利の問題、あらゆる問題を十分検討いたしまして、昭和三十六年からはこれを実行する段階に移りたいと思いまして、昭和三十五年度中に十分検討いたしましてこれらの結論を得たいと考える次第であります。
  27. 倉成正

    倉成委員 公庫からの融資の問題については、三十五年度中に慎重に検討して、私がただいま申しましたような線に沿って実現したい、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  28. 小枝一雄

    小枝政府委員 公庫の問題といたしましては、先ほどから倉成委員お話しのように、当委員会においてすでに決議もされておるところでございますので、一つそういう線に沿って極力検討していきたい、かように考えております。
  29. 倉成正

    倉成委員 それでは、とにかく、三十五年度中には、公庫の問題についても、先般の農林委員会決議にもある通り、十分検討して実施できるようにしたい、こういうふうな政府の御意向と了解をいたしたいと思いますけれども北海道東北開発公庫並びに日本開発銀行にかかわる貸付条件について申し上げてみたいと思います。  これは申すまでもなく、乳業関係では市乳部門はどちらかと言えば収益率が原料部門と対比して相対的に高い。従って、市乳部門についてはこういった北海道東北開発公庫並びに日本開発銀行程度貸付条件でやり、原料部門については農林漁業金融公庫の、どういう条件でやるかは先ほど総裁お話のようにいろいろ検討される必要があろうかと思いますが、少なくとも開銀その他よりも有利な条件でやるというふうに、二本建で考えていく、こういうことはお考えになったことはございませんか、お伺いしたい。
  30. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほど公庫総裁から御答弁がありましたように、農村におきますところの共同利用施設というふうなものと考えられますようなものにつきましては、農林漁業金融公庫から今も出しておるわけでございまして従いまして、今新しく問題にしておりまするのは、市乳の処理施設であるとか、あるいは乳製品の工場であるとか、そういうようなものが大体中心になるのではないかと思うのでございますが、そういう点をいろいろ検討いたしまして三十五年度の考え方をきめたわけでございますが、今後そういう各部門についてどういうような扱をしたらいいかというような問題は、畜産局等ともいろいろ相談をいたしまして、十分検討をしたい、こういうふうに考えております。
  31. 倉成正

    倉成委員 同僚委員の御質問がありますから簡単に要約しますけれども、特にこの酪農業発展のために政府のこれまでとってこられた施策というのが、われわれから考えますと非常になまぬるいし、また、見るべき施策がないというふうに考えるわけです。今後日本農業近代化していくということになって参りますと、具体的に畜産を伸ばすということと、果樹、園芸その他を伸ばすということが大きな柱になってくる。従って、乳価が大変動しますと委員会を開いてすぐ大騒ぎをしますけれども政府乳業会社に対してもっと高い乳価を支払えとかりに申したところで、積極的な政府施策がなくてただ号令だけをしましても、乳業会社にそういった圧力をかけることはできない。従って、ほんとうに乳価の安定をはかり酪農業発展をはかり畜産発展をはかっていくためには、積極的な、もう従来の考え方を一擲した施策が必要じゃないかと考えられるわけであります。特に、最近の畜産というのは戦前の畜産と比べますと飛躍的に向上しており、この四、五年間酪農についてみますと二倍になっておるという、従来の常識では考えられぬほど大きな発展段階でありますから、これを従来こうであったからということでなしくずし的に消極的な施策を講じておったところで、酪農業発展畜産発展ということは考えられないわけであります。根本的に百八十度頭の転換をはからなければならない、これが今日の農政において一番欠けておる点じゃないかと思います。従って、乳業施設近代化の問題に公庫の窓口を開けということは、私の申し上げますのは単に一つの事例として申し上げるだけでありましてこの問題は真剣に御検討いただきまして単に委員会の答弁という意味ではなくして、ほんとうに今後日本農業発展をはかっていくために、その一環として酪農業の安定発展をはかるために必要な施策としてお考えをいただきたいと思うのであります。特に三十五年度中にこの問題については検討するというお答えでございましたけれども、次の臨時国会等もございますので、なるべく早い機会公庫による融資の道を開く方法等を御検討いただきまして、酪農業発展ということについて真剣に施策を講じていただきたいと思います。  これらの点を要望いたしまして私の質問を終わりたいと思いますが、特に、この問題については、委員長におかれましても、これが実現するように特段の御配慮をいただきたいと思います。これで私の質問を終わります。
  32. 吉川久衛

    吉川委員長 石田宥全君。
  33. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 七地改良関係で建設部長にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  先般ここで土地改良事業団体の関係者を呼びまして参考人としての意見の聴取をいたしたのでありますが、そのときにいろいろ意見が出ておるわけであります。私はごく簡単に要点だけの質問を申し上げたいと思うのであります。  現在の土地改良法によれば、関係地域の三分の二以上の同意があった場合には府県知事がこれに認可をする、こういうことになっておるのでありますが、実は、新潟県で現在起きておる事例でありますけれども、三分の二の同意に達しないにもかかわらず、発起人の方から近く三分の二以上の同意を得る自信があるからという言質を得て、認可を与えたのであります。ところが、その後三分の二に達しておらない。それから、同意を与えた関係者もそういう実情と、さらに、もう一つは、当初の計画設計よりも多分に負担が過重されるという理由から、事業の中止の運動を起こしておる。総代会は事業の中止の決議をし、あるいはまた負担についても当初の計画設計以上に負担が加重された部分は関係者の負担としないというような決議どもいたしておるようでありますが、しかし、知事が認可をした以上は、関係者の間であるいは総代会においてそれらの決議をいたしましても、これは法的には効力はないものではないかと思うのでありますが、どうでしょうか。  それから、さらに、すでに数千万円の工事が行なわれておるのでありまするが、法的に条件が整っていないものを知事が認可をして事業がある程度進んだ場合に、しかも経済効果がまだあがっておらないというときに、そのすでに使った経費の負担はだれが負うべきものか。この点をお伺いしたい。
  34. 清野保

    ○清野説明員 御質問になりました、土地改良法の手紙を正規に踏まないで府県が土地改良区の設立認可を与えたという点につきましては、ただいま御質問の通り、その認可は正式なものとは考えられません。当然三分の二以上の同意をとりまして認可をすべきが法的手続でありますので、申請者の方で三分の二以上の同意に達するという見込みをもってその設立の申請をし、また知事がこれを誤って認めるということは、法的には成立しない。私はかかる場合は一般的にはないものと思います。知事は、設立を認可する場合には、必ず専門技術者の意見を聞き、現地を認否して同意の有無を確かめてから認可をするのが普通であります。従いまして、かかる行為を怠っておるとするならば、その設立認可は不当であるということになります。  なお、かような経過をたどりまして土地改良区が認可されたとしたならば、その経費の負担、たとえば過重負担により農民が負担ができない、その過重負担に対しては、その土地改良区の理事者が負担するというような約束がもしあるとするならば、当然それらの経費は申請者である現在の理事者の負担となるべきものと思われます。  なお、本問題につきましては、具体的な問題でございますので、地区名等をお示しいただければ、十分内容を調査いたしまして適切なる指導をいたしたいと思います。
  35. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、たとえば総代会の決議であるとかいうようなことは、事実上決議をしておるのですけれども、記録にとどめないとか、なかなか発起人の方が法律をよくわきまえてやっておるものですから、非常にその点あいまいな点があるのです。ただ、しかし、三分の二に達していないことだけは事実なんです。そういう場合に、かりに当初の計画設計による説明会の説明以上に農民の負担が加重された場合のその加重部分は発起人において負担をするというような決議なり申し合わせがあったとしても、これは相当多人数の集会の席上のことですから間違いはないわけですけれども、やはりこれは記録にとどめないというような措置がとられておる。そうなりますと、非常にあいまいな問題が起こってくる。しかし、今部長が答弁された通り、法律に違反した認可は正式なものでない、そういう場合に、そのことが明らかになったときに、これはすみやかに事業を休止すべきものではないかと思うのでありますが、事業を休止するかどうかということは、これは知事の責任になりますか、あるいはその他の何人かの責任になりますか。あるいはまた、農林省もそれには補助金を出すことになっておるわけでありましてそれらの点について農林省においてもやはり責任があるのではないかと考えられますが、どうですか。
  36. 清野保

    ○清野説明員 御質問になりました件の法的手続の問題につきまして先ほど説明申し上げましたが、おそらくこの事業は団体営の事業と思います。団体営の事業の場合に、従来農林省が補助をいたします場合の一応の手続を御参考までに御説明申し上げますと、団体営の場合には、現在は全部農地事務局で地区の選定並びに補助金の交付額の決定等をいたしておりますが、それまでは、農林省におきまして一応法的手続の有無等を調べて県にその地区名を通知をする、いわば採択の通知をする、こういうことをやっております。それで、その場合に、農林省は、その土地改良区の申請人が必ず三分の二の同意を得て事業認可の申請をしたかいなか調べる。なお、この申請をしたあとで土地改良区の設立が行なわれるのが従来の例だったのでありますから、おそらく、この場合には、土地改良区の申請手続はいたしておりますが、しかし、事実上土地改良区が設立しないままに、県が補助金の補助指令をして、ただちに工事に入ったのであります。従いまして、かかる場合には、県は、補助指令を与えると同時に土地改良区の設立を指導し、これを成立するようにすべきであったと思いますが、工事を急ぐあまりに理事者側で工事に着手し、その間設計変更等の関係もあって、農民の費用負担がふえた、かような場合と考えております。  この事業を今後引き続き実施するか、あるいは農民負担が過重であるからこれを休止するかいなかの責任につきましては、一応第一次責任はその工事を担当しておる土地改良区の理事者であり、第二次の責任といたしましては、この土地改良区に対して補助の認可をいたしました県であり、第三次といたしましては、当然農林省がかかる補助を与えた立場においてあるものと考えられます。
  37. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 明快な答弁でありますからけっこうですが、これはあとで発起人と知事と国の責任を明らかにしてもらいたいと思います。これは団体事業でございませんで県営事業であります。ただ、その法的な解釈と責任の所在を明らかにされましたから、この点はそれでけっこうであります。  次に、先般も参考人の陳述の際にちょっと伺っておいたのでありますが、この土地改良区が二重、三重あるいは四重にもできているという場合がある。ある参考人は、それもやむを得ないということを述べておるのでありますが、これは特殊の事情があれば別でありますけれども、やはり同一地区あるいは一部はダブるが一部はダブらぬというような場合ももちろんあります。そういう場合における農民負担の過重ということを考えると、やはりこれは単一的な組織にすべきであると考えるのであります。これは、土地改良法の一部改正によるべきか、あるいはそういう行政指導をすべきかは第二の問題でありますけれども、現実にそういう二重、三重あるいは四重にも認可されているという状況は好ましい姿ではないと思うのでありますが、建設部長の御意見はいかがでしょうか。
  38. 清野保

    ○清野説明員 同一地区内に改良区が二重、三重に組織されるということは間々ございます。しかしながら、広大な面積を持っておるような土地改良区あるいは土地改良連合がその内部で仕事をする場合に、その仕事の内容が全部の区域にまたがる場合、そのごく一部にまたがる場合とによりまして改良区の事業を実施する場合に相当な便不便があると思います。たとえば、国営の一つの地区の中で、ある地区では団体営の灌排を希望し、他の地区では団体営の灌排と同時に暗渠排水あるいは客土というような耕整事業を希望するような場合は、やはりその希望する仕事の種類によりまして費用負担が異なりますので、その異なりました区域のもとに改良区が二重、三重に作られるのも、その経費の負担を総合的に明らかにするというような意味合いにおいて現実に行なわれておりますのはやむを得ない事情と考えます。もし土地改良区の経理面あるいは技術面の組織が完全にでき上がっておりません場合には、その土地改良区の内部におきましてかような仕事も側々別々に行なわれることもできるのではございますが、原則といたしましては、農林省としてはこれは極力半一組織とするように指導はいたしておりますが、必ずしもこれを単一組織にしなければならないというふうには考えておりません。
  39. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そういう方針でおられるから、今申し上げたように何重にもダブるようなことになると思うのですが、私はその考え方が間違っていると実は考えているのです。きょうはここで具体的な地区名等で議論はいたしませんけれども、少なくとも私ども承知しておるところでは、新潟県の相当大きな土地改良区でありますけれども年間予算が総額六百万円ないし七百万円程度であって、大部分その事実は終わっていて、その中の会議費と称するものが百七、八十万円もある。まことに不健全そのものなのです。それはほとんど飲み食いに使われておる。あるいは研修費等の名前で温泉旅行等に使われておる。こういう状態になったということは、もちろんそれは農民が無自覚だからということも言えるけれども、やはり、今清野建設部長が言われたような、どうでもいいんだ、便宜主義でやるのだという、その便宜主義的な考えがそういう状態を起こしておるのではないかと思うのです。ですから、そういう点、もう事業が大部分終わっておるというようなところで、しかも郡全体の土地改良区があり、その中に二重にも三重にもダブって、タブるところの土地改良区がそれぞれ今申し上げたような非常な冗費を使って運営が行なわれておるというようなものを放置しておくような考え方というものは、私は許されないと思う。やはりそれは農林省の指導的な立場におる人たちがもっとはっきりした指導方針を立てるべきではないか。そうして、それは特殊の場合もあり得るけれども、大部分は一本化して、特殊の事情は特殊の不均一賦課ということでやり得るのです。そうすれば、役職員の手当だとか給与だとか、いろいろな面がかなり簡素化されるし、同時にまた、大きくなればなるぼど民主的な運営も可能になってくる。ところが、現実は、一部地域、それが小さい区画であればあるほど、農村ボスがこれを支配する、にらみをきかす、そうして、そこには、今申し上げたように、予算総額の二〇%も三〇%もが飲み食いに使われるような運営が行なわれがちなのです。そういう点の実情をよく勘案されれば、私は、少なくとも単一化すことが理想でなければならないと思うが、どうですか。
  40. 清野保

    ○清野説明員 土地改良区の二重、三重のものを単一化するという点につきましては、農林省としても従来からそういう考えをもって指導はして参っております。しかしながら、その指導をする場合に、組合を解散さして合併さすというような点につきまして強制力を持っておりませんので、従来からあります組合をそのまま残したい、こういうような場合、特にそれが現存工事中であって費用の清算なりあるいは費用の負担の点において残した方が便利かと考えたような場合は、二重、三重の土地改良区が存在するのもやむを得ない、かように先ほど申し上げたのでございます。従いまして、お示しの通りな方向に持っていくことにつきましては、何ら行政指導の方向としましては異議もございませんし、現にさように扱っておるつもりであります。
  41. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 実は、農林省は最初は一郡一土地改良区というような指導を打ち出した。私はそのとき反対したのです。大きな郡が一つその土地改良区などになって収拾がつかないではないかということを言って反対したのです。ところが、その当時農林省はあくまでそれが正しいと言って押し切って、全国でおそらく数十カ所あるのではないかと思うのですが、新潟県で二郡あります。ところが、それは、郡土地改良区があるにもかかわらず、今度はその中で今申し上げたように三重にも四重にもできちゃっている。そうすると、郡土地改良区というものが全く有名無実なものになってしまう。そういう指導はおかしいのではないか。全郡一つならば全郡一つの事業体にして、そうしてあとは事業所として統一して、統一ある方向に指導すべきであったと思うのです。ところが、その指導をしないで、また、法的に根拠がないからといってそのままにしておく。どうもそこに一定の見識を持たないからそういうことになるのではないか。だから、私は、もし単一組織が正しいということであるならば、行政指導によるか、あるいは土地改良法の一部改正をやるべきではないかということを言っておるのです。一つ検討されて改正するお考えはないか、全国的に今いろいろ土地改良団体の再検討の時期になっていると思うのですが、どうですか。
  42. 清野保

    ○清野説明員 新潟県におきます一郡一単位の改良事業というものは、農林省も指導し、現に実際そうやっておりますけれども、しかし、全国的にこういうような考え方を及ぼすかいなかにつきましては、その郡の土地の性格、たとえば用水あるいは排水の事業が共通しておるというような場合にのみ限って行なわれるものでありますので、全国的に直ちにこの方式をもっていくということにつきましては賛成いたしかねますが、少なくとも同一水系におきまして一改良区を作った方がいいという場合には、お示しの通り方針によって現にやっております。また、必要に応じましては、現在あります土地改良区を解体して一つにするか、あるいは法律の運用によりまして連合を作って運営するというような考えを持っておりますので、今後ともさような方向に向かって指導いたしたいと思います。
  43. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 どうもはっきりしていないのです。しかし、そんなところで時間をとらなくても、またそのうちに個人的に話しに行きますから…。とにかく、この点はやはり問題点であろうと思うのです。  それから、委員長にお伺いしますが、農地局長はいつごろ出席の予定になりますか。
  44. 吉川久衛

    吉川委員長 滝野部長ではだめですか。
  45. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 もう少し根本的な農地行政について伺いたいと思うのですが……。
  46. 吉川久衛

    吉川委員長 それでは、至急手配します。その間他の御質疑を願います。
  47. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それでは、これは公庫総裁一つ伺います。  今度の公庫法の改正では、据置期間五年が七年になりますね。これは県営土地改良事業ということになっておるわけですが、法律上は当然団体営にもそれが及ぶと考えられるのであります。しかし、公庫業務方法書で団体営には適用がされないようになると承っておるのでありますが、法律改正に伴って団体営についても据置七年の適用をされる御意思であるかどうか。
  48. 清野保

    ○清野説明員 これはむろん公庫だけの意思をもってきめられる性質のものでないことは御承知通りであります。今回の法律改正の御趣旨もございますので、これは農林本省とよく相談をいたしまして改正をいたす筋合いのものであります。ただいまのところでは、私ども伺っておる範囲では、これは県営事業についてのみ延長いたすということでありまして、団体営にはこれをいたさないという考えでただいま進んでおる次第であります。
  49. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 公庫業務方法書は大臣の同意を必要とするということになっておるわけでありますが、農林省としては、やはり団体営にも及ぼすという前提のもとにお考えになっておるか、あるいはそれは除外をするというお考えなのか、一つこれは経済局長に………。
  50. 坂村吉正

    坂村政府委員 農林省といたしましては、今までの土地改良の実施の状況等をいろいろ検討いたしまして、この据置期間の延長は都道府県営に限って行なう、こういう考え方で今度の改正をお願いしたわけであります。と申しますのは、団体営の実態を見ますると、そう長期にかかっておるものは比較的少ないのでございまして、今までの実績でも大体三・四年くらいで完了しておるというようなものが大部分でございます。都道府県営に限ってという考え方でございます。
  51. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 団体営というものは、国営、県営のあとで行なわれるので、着工してからは割合に短年度で完了はいたしますけれども、農民の負担の面においてはこの面が一番困難なんです。私も経験を持っておるのでありますが、これが団体営の理事者の一番苦心をするところだ。それがためには、きわめて高利の銀行の金を借りたりあるいは農協の金を借りたりするようなことに実情は追い込まれる。従って、私は、補助事業である県営よりも、むしろ非補助事業である団体営の方にその恩恵を及ぼすべきであるというふうに考えるのです。ところが、それには及ぼさないという前提でこの公庫法の改正が行なわれるということは、はなはだ意外に存ずるわけであります。この点は一つ政府で再検討をしていただかなければならないと思うのでありますが、小枝政務次官は土地改良事業について造詣の深い方でありますが、ただいまお聞きの通りでありまして、団体営について据え置き七年というものは適用しないということは、いかなる事情であっても、国営の場合も県営の場合も必ず団体営が伴わなければ経済効果があがってこないという最も肝要な事情に対して、これを除外するという今回の改正はわれわれは納得できないものでありますが、小枝政務次官の御意見はいかがでしょうか。
  52. 小枝一雄

    小枝政府委員 石田委員の御質問の点は、私どもも全くごもっともと思うのですが、ただ、先ほど事務当局からお答えいたしましたように、金を借りてから、団体営の方は県営その他国営等の事業に関連する問題より早期に大体解決しておるのであります。そういう一つのデータによって結論を出して参ったものと考えるのであります。しかし、私どもといたしましては、土地改良事業は、御承知のように、国営、県営、団体営、これを一貫して行なわなければならぬ事業もございまするし、また、単に団体営としての仕事もあるわけでございまして、この中にもいろいう性格は含まれておると思いますが、団体営であるからこれを除外するということはどうかという点も考えられるのであります。要するに、農民の負担の軽減と、土地改良事業を順調に行なっていくという見地から検討して参らなければならぬと思いますので、先ほど石田委員御指摘のように、団体営についてもずいぶん困難な問題が起こって参りますしとりあえず、今回は、そういう一つの事務的な観点から、年限を終了するまでに短期に大体済んでおるという結果から見て考えたものでありまするが、そういう幾多の問題もございます。先ほどお話しの土地改良区の単一化の問題もまたしかりでありますが、そういう根本的な問題もございまするので、団体官等の融資についても、三十五年度中に、その他の一切の金融制度金利の問題、いろいろの問題とあわせて十分検討をして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  53. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは、法律改正とは違いまして、今申し上げるように、農林省公庫の間の了解によってできるのでありまして、これは直接ここで今直ちにどうこうという問題ではないことでありまするが、しかし、先刻申しましたように、土地改良事業の最末端で経済効果に直接関連する団体営事業に対する金融が一番困難を告げておる問題でありますから、これは、小枝政務次官、あるいは総裁経済局長、今までのような、そういう及ぼさないというような線で考えたということについては私は納得いきません。しかし、今申し上げるように、法律改正そのものでないので、今後の実情を見て、これは公庫農林省が話し合いの上でできるんですから、私は今すぐここでやれということは言わないけれども、今後の土地改良事業の実情をよく勘案されて善処していただきたい。これは別に答弁は要りません。  それから、次に問題は、団体営の土地改良事業です。非補助団体営の土地改良事業は八〇%までの融資ということになっておるのでありますが、これは、理由については今申し上げた通りであって重ねて申し上げませんし、必ずしも千編一律にやれとは申しませんが、国営、県営、団体営等で負担がきわめて過重であって、農民が困窮をしておるような場合においては、やはり一〇〇%まで融資ができるようにすべきではないかと考えるのでありますが、いかがでしょうか。
  54. 坂村吉正

    坂村政府委員 御質問の趣旨については、土地改良を実施いたします場合にも各方面からそういう御要望もございまして、農林省でもいろいろ検討いたしておるわけでございますが、実際問題といたしまして、全然自己負担なしで、公庫融資だけでやっていくというようなことも、実際の仕手の運営にあたりましてどうかというような問題もございますし、いろいろ考えまして、大体八判程度の最高限をとっておいたらいいじゃないかというようなことで結論を得ておるわけでございます。
  55. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは、単純な団体営事業であれば、私は今お説の通りだと思うのです。しかし、国営、県営、団体営というふうな関連事業になりますと、八〇%だけではきわめて困難になる。その償還その他負担金等が一度にかかってこないからという理由だと思いますけれども、実は、土地改良事業の実態から申しますと、国営の場合、工事完了後十カ年間償還をすることになっておるけれども、実は、工事着工前からいろいろな負担、いわゆる協力費というようなものがかかっておる。県営は県営のようにやはりそういう実情にありますので、これは再検討を要する問題であろうと思いますから、一つ検討をしていただきたい。  なお、ここで清野建設部長に伺いますが、政府利子補給、非補助団体営の土地改良に対する一分五厘の利子補給の問題であります。現在の予算にあっては、六十五億の基金に対する利息分というものでは、非補助団体賞全体の事業最に対してどの程度利子補給が行なわれておりますか。
  56. 清野保

    ○清野説明員 三分五厘の非補助融資の六十五億の基金をもって現在運用されておりますが、三十五年度はたしか九十億に非補助融資のワクがふえました関係上、おおむね七、八年でこの六十五億の基金に食い込まざるを符ない、こういうような事情になると考えまする
  57. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そうしますと、六十五億は食いつぶしをせざるを得ないのではないかということをこの基金が作られるときに私ども心配をして質疑をいたしておったのでありますが、大蔵省の主計局長はそのような心配はないということを言っておったわけでありますが、六十五億の基金に若干食い込みをすれば非補助団体営の土地改良事業全体に対して一分五厘の補給が行ない得るということですかどうですか。
  58. 清野保

    ○清野説明員 ちょっとすみませんが……。
  59. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 六十五億の基金に若干食い込めば非補助団体賞の土地改良事業全体に対して一分五厘の利子補給ができるかということです。
  60. 清野保

    ○清野説明員 ただいま御説明いたしました通り、大十五億の基金は、現在の非補助融資のワクを足しますとどうしても一部食い込まざるを得ない。従いまして、今後は、基金の増額をはかるか、あるいは事業量を縮小するか、いずれかの方法をとらなければこの運用は困難を来たすだろう、かように考えます。従いまして、さような点につきましては、今後財務当局と十分検討いたしましてこの基金の運用をはかって参りたいと思います。
  61. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 小枝政務次官伺いますが、今お聞きの通りでありまして、きわめて重要な問題だと思うのでありますが、私は、ことしすぐとか、あるいは来年からとかということは申し上げませんが、やはり土地改良事業を推進いたします上にきわめて重要な問題でございますので、これについては今からやはり準備態勢を整えられまして、基金の増額をはかるようにすべきであろうと思いますが、いかがでしょうか。
  62. 小枝一雄

    小枝政府委員 この問題については私は石田委員と全く同感でございます。この非補助小団地の土地改良手業というものは、おおむね山村あるいは経済的に十分効果のあがらない地方であるのであります。そこで、食糧増産の見地からはともかくといたしまして、農村対策として非常に重要な事業なのであります。従来残されてきたところの方面の開発ということにもなるわけでございますから、これを六十五億の原資に食い込むから仕事を少なくするということについては、とるべきではないと思います。従いまして、十分これは検討いたしまして、将来六十五億の食い込むべき原資を増額していくという方向に考えなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  63. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、農地局長と相澤主計官伺いたいと思いますが、農林省の資料によりますと、県営事業は、昭和三十五年度の補助予算では、内地が七・九年、北海道は七・三年、平均で七・八年ということになっておる。三十四年度の補助予算では平均で八・七年、三十三年では平均八・四年、三十二年は平均八・八年、こういうことになっておるようであります。そこで、これは、補助金をつける際のいわゆる補助予算でありまして、水系開発等においては十数年を要しておることは事実なようです。先般土地改良団体関係者の参考人を呼んで陳述を聞いた際に明らかになったところでありますが、農林省は、土地改良の完了年次というものも、あるいはまた土地改良団体の経営診断というか、その実態の把握ができておらない、こういうことでありました。農地局は全国土地改良団体連合会に対して委託をして調査しておるが、その調査もまだ一部分しか出ておらない。そして、その際に安部参考人は、県営は大体十二年程度かかっておる、こういうことを言っておる。農地局長もまだ局長になられてそう長いことでもないけれども、実際はどの程度で完了しておるものですか。
  64. 伊東正義

    ○伊東政府委員 先般参考人として安部さんがいろいろ意見を言っております。十二年ぐらいかかっておる、もっと長いものもあるということを言っておりますが、過去においてはそういうものが多かったことは実情でございますので、現在は、なるべく新規のものに手をつけるというようなことは少なくしまして、これの残年量を早く短いものにして、その上で新規なものもまた取り上げていこうということで、なるべく完成年度を縮めようということで実はやっております。今先生のおっしゃいました、水系開発の問題等は長いじゃないかということでございますが、これにつきましては、予算の中で、国営と関連しているような府県営につきましては特に重点的に考えまして、国営が終わったときには県営もまた同時に効果が発生するというようなことを実は予算の操作でやることにいたしております。
  65. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 農地局長ははなはだわれわれの理解できないことを言っておる。残年量を少なくするために事業分量を狭めよう、こういう考え方農地局長考え方としては受け取れない。大蔵省あたりがそう言うことならば、これはまあ考えられることであるけれども日本の農地の開発や開墾、土地改良というものをいかにして早く完成するかということに専念しなければならない農地局長が、残年量を少なくするために事業分量を少なくすると言うのは、もってのほかだ。そういう考え方だから大蔵省に押されてしまう。思うようにいかなくなるのですよ。  そこで、これはしかっていたのではしようがないのだけれども、相澤主計官伺います。先般、一昨々年ですか、特定土地改良工事特別会計法というものができて、われわれはその趣旨に必ずしも賛成しなかったのでありますけれども、国営の土地改良事業は七年をめどにして予算措置をつけて七年完了、こういうことに実は政府から説明があった。七年中に必ず完了するのかどうか、それはするんだ、大蔵省も農林省もこう言っておった。ところが、最近の予算措置を見ると、どうも危ぶまれてきておる。そこで、今度の公庫法の一部改正で五年据え置きを七年にするということであるが、一体国営についてさえも危ぶまれるような状況のもとに、府県営の土地改良事業について七年完了ということについて予算措置に自信をお持ちであるかどうか。私は、実は、従来の実情にかんがみて、据置期間は十年程度にすべきでないかということを考えておるのでありますけれども、しかし、七年程度でも、七年程度に完了をするように今後予算措置をする考えであるということならば、私はあえて据え置きを十年に修正する必要はないと思うのであるけれども、これは主計官に尋ねるには少し問題が大きいかもしれぬけれども、担当の主計官でありますから、この点は明らかにしていただきたい。
  66. 相澤英之

    ○相澤説明員 なかなか痛い御質問でございまして、私、そのままお答えするのにはあるいは不適当かと思いますが、特定土地改良工手特別会計の採択しております国営の事業につきましては、これは国会におきます御意見もありますし、私どもの方から答弁したかどうかでありますが、農林省から当時の委員会におきましての答弁もございますし、そういった経緯がありますので、前回この委員会において私申し上げましたことでありますが、大体七年完成ということを一つの相言葉といたしまして、三十五年の予算もおおむねその方向に実現し得るような線においてこの特別会計の予算も計上しているわけであります。県営の専業につきまして、今回の公庫法の改正において据置期間を大体何年ぐらいにしたらよいかという問題を検討いたします際に、確かに現状におきましては現行の五年というのは短過ぎる、従って、これを若干延ばすことは私どもの力としても異議はなかったわけでありますが、ただ、どの程度延ばすかということにつきましては、農林省内部においてもいろいろと意見が分かれておったように承知しております。と申しますのは、あまり据置期間を長くすると、それでは県営の補助事業についてそういった前提で予算を組んでもいいというようなことにもなるし、といって、あまり短くしておきますと、その通りに補助事実がつかなければ、また実際に事業を執行する県も困る、そういったような相反する考え方があるわけでありまして、その両者の中をとりまして打ち出した線が二年延長七年、この七年につきましては、すでに農林省からも説明があったかと存じますが、三十五年における残年量が内地、北海道を通じましておおむね七・七年。私どもも、過去においてもそうでありますが、将来におきましても、できるだけ残年量を少なくして、事業効果を早期に発生するように、経済的に仕事を進めていくということを常に念頭に置いているわけであります。その意味におきまして、事業豊全体の増加は、これは全般の国の財政規模あるいは食糧増産——名前を変えまして農業基盤整備事業費の増加と関連いたしますが、やはり若干の増額は考えていかなければならない、しかしながら、同町に、ある程度新規を抑制するという方向において、できるだけ残年量を少なくしていきたいというふうに考えているわけであります。従いまして、直ちにこの七・七年の残年量を三十六年度以降において七年以内に短縮するかどうか、ここではっきり申せとおっしゃられてもいささか困難でございますが、私どもとしましては、やはり、将来は、この残年量をできるだけ五年程度に縮めまして、この七年の据置期間というものもでき得ればもう一度五年程度据置期間に戻したい、かように考えております。
  67. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その程度の御答弁だと思うのですが、これはもっとやはり責任のある人からはっきりさせなければならぬ問題であります。  次に、今申し上げておりますように、同じ県営事業と申しましても、県営と団体営だけの地区もあり、国営と関連する場合もあり、それが当初の計画設計通りにいく場合もあり、いかない場合もある。そういう場合には、たとえば亀田地区のように、農林省公庫と金沢農地事務局と県とで四者会談で再建計画を立てられて、そこで、公庫資金の繰り延べ等についても、これは今後の再建の見通し等について自信が持てるということで繰り延べが行なわれておる事例もあるわけであります。今申し上げたような特殊の事情で、きわめてその完了年次が長引いて、それがために農民の負担が過重になるというような場合には、やはり特別にその資金の繰り延べというような措置もとり得るのではないかと考えますが、公庫総裁農地局長と両方から、一つこの点についての御答弁を願いたい。
  68. 清井正

    清井説明員 私から先に御答弁申し上げますが、繰り延べということになりますと、これは一定方針に基づいて繰り延べをいたすということは金融機関にないわけであります。やはり、それぞれの事情々々により、事件々々によりまして、繰り延べを必要とするならいたすというのが金融関係の建前でございます。従いまして、ただいまの話の点も、方針として繰り延べするということは、私どもとしていたしかねるのでありますが、なお農林省とよく相談をいたしまして、具体的にこのケースは条件変更いたすとすれば仕事がうまくいくという見通しがございますれば、ただいま亀田郷について御指摘がありました通りのこともございますので、これはそういうような方針に従って農林省なり地元の県なりと相談してやっていきたいというのが金融機関としての建前でございますので、その点は御了承願います。
  69. 伊東正義

    ○伊東政府委員 清井総裁が御答弁になりました通りでありまして、実は、農地局も、昨年の災害の場合には、そういう場合に具体的な問題として公庫の方に頼むというようなこともしたこともございます。ケース、バイ、ケースで考えたらどうかというふうに思います。
  70. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは、今ここで一律にということはわれわれも主張はいたしませんが、やはり、特殊な事業で関連事業である場合、残年量が相当量あって償還困難であるというような際における特例として、やはり認めるべきであると考えておりますが、これは御答弁でけっこうです。  時間もだいぶ迫ったようでありますから、ごく簡単にあと一、二点農地局長にお伺いをしたいと思いますが、農地の改良事業の場合に、新しい問題として、共同化、機械化、近代化というようなことが強く叫ばれておるのでありますか、日本の農地の集団化というものは、従来交換分合というようなきわめて消極的な措置しかとられておらなかった。これも最近は当局はさらに消極的になったようでありますが、今後の日本農業考えた場合に、もっとやはり部落集団的な共同化、機械化、近代化に適するような耕地の集団化ということを考えなければならない時期に来ておると思いますが、農地局長のお考えはいかがでしょう。
  71. 伊東正義

    ○伊東政府委員 農地の集団化の問題でございますが、先生がおっしゃいましたように、機械の発達あるいはいろいろな農業経営の技術の問題その他からして、今の耕地面積では狭過ぎるじゃないか、もっと集団化する必要があるじゃないかという御説は、私もその通りだと思います。今消極的になったとおっしゃいましたが、農林省では、農地の集団化につきましては、たとえば三十四年度から農道の補助もわざわざ新しく復活しまして、交換分合の一つの呼び水といいますか、手段としてというようなことも考えておりまして、今後の土地改良の問題としては、単に増産というような面だけでなくて、先生おっしゃいましたように、集団化してコストを下げて経営を合理化していくという面の土地改良というものがまたこれは相当広い意味の土地改良でございますが、進めていくべきじゃないかというふうに考えております。今問題になっておりますが、愛媛に起きておる協同組合全部がほとんど会社になっておるというような法人の形というものも、やはりそういうものを解決する一つの手段としてやっておるのではないかということで、民間に現実に起きました一つの動きとして興味を持って見ておりますが、将来の問題といたしましては、だんだんそういうふうなことが積極化されていくのだろうとわれわれも考えております。
  72. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、農地価格の問題ですが、農地の価格統制が撤廃された後に、最近非常な暴騰を来たしておって、ことに工場敷地や宅地等の場合にそうでありますけれども、農地の暴騰というものは農業経営を非常に圧迫する面が大きいのでありまして、これについてはいろいろ農林省も苦慮されておるようでありますけれども、やはり思い切って価格統制をする必要があるのではないかと考えるのであります。これは今すぐどうこうという問題ではないけれども、やはりそういう方向に向かって検討をさるべき問題の一つであろうと思いますが、それについてのお考えを承っておきたい。
  73. 伊東正義

    ○伊東政府委員 農地価格の問題でございますが、御承知のように、二十七年に農地法ができましたときに、価格の統制をやめております。そのときの事情としましては、やはり、農地の再配分をするという段階が一応終わって価格の統制というものがなくなってきておるというふうに私は解釈をいたしておりますが、最近の情勢は、先生のおっしゃるように、特に都市近辺の宅地化といいますか、それに関連して都市近辺の農地の価格が非常に上がっておるということは現状でございます。農地が農地として売られる場合の上がり方より、宅地化の影響を受けまして都市近辺が非常に上がっております、それで、農業経営の問題としましては、そう収益もないのに農地の価格だけ上がるということは、先生がおっしゃったように、非常に経営の圧迫になるわけでございます。価格が上がりましてもこれには限度があると思うのでございますが、他用途といいますか、そちらからくる影響は非常に大きくなってきております。この問題は非常に基本的な問題でありまして、農地の価格だけを統制しても、ほかの土地の価格でありますとかあるいは山林の価格、こういうものも統制しなければ、土地の価格の統制といたしましては効果がないわけでございますので、これは、単に農地の価格という面だけからでなくて、土地価格全部を一体どうするのだということにつきましてやはり検討をすべき問題だろうと思っております。農林省でも、内閣の基本問題調査会でそういう問題も当然議論の対象になると思いますし、そういう結論を持ちまして、私たちは土地価格全部についてどういうようにするかということの一環として検討したいと思います。
  74. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これに関連して、もう一点だけ伺いますが、農地局では、数年前から農地の転用基準策定についてだいぶ議論があって、いわゆる結論らしいものが地方に流されておるようでありますけれども、これは実際は底抜けでありまして、全く意味がない。と申しますのは、どんなりっぱな転用基準ができましても、違反者というものは、農地を宅地にする、あるいは工場敷地にするような場合に、わずか五千円か一万円の罰金で済むということで、たかをくくってどんどん違反行為をやっておる。この節五千円や一万円の罰金などというものは問題にならない。ですから、そういうものをそろばんの中に置いてどんどんやっておる。地方の農業委員会等も全くその処置がないのです。だから、転用基準をあれだけめんどうなものをお作りになるならば、なぜ違反行為に対する処罰規定を強化されないか。処罰規定をもっと強化して、少なくとももっと強い処罰規定にしなければ、全く意味がない。全く作文に終わっておる。これをあらゆる角度から処罰規定を強化して、転用基準が行ない得るようにされなければならないと考えておりますが、すでにこれを地方にまで徹底をはかられてから相当日子を経ておるわけですが、それらの経験にかんがみての農地局長の見解を承りたい。
  75. 伊東正義

    ○伊東政府委員 転用基準を地方に出しましたのはたしか十月ごろだと思います。先生おっしゃいますように、あの転用基準だけではなかなか実効はあがらぬじゃないかというお話でございますが、われわれもあれで十分だとは思っておりません。十分でない理由でありますが、一つは、ものの計画性を立ててやっていきます場合に、都市計画とかそのほかの計画との間の調整ということがもう少しとられなければいかぬのじゃないか、あれだけの基準だけではなかなかその関係がむずかしいと考えられることが一点と、もう一つは、先生がおっしゃいましたように、土地全部について価格の統制がありませんので、価格の面からしましてなかなか計画通りのことが行なわれがたいというのが一つの現状でございます。もう一点は、先生は処罰という問題をおっしゃいましたが、そういう手段がいいのか、これは買い戻し規定というような規定が前の農地法にはあったのでありますが、これが一応なくなっております。こういうものがいいのか、その辺のところ全般にもう少し検討してみませんと、転用を守っていくのにどれが一番いいのだということの結論は出ませんが、今申し上げましたようないろいろな難点があるということは確かでございます。
  76. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 私が処罰規定と言ったのは、ただ罰則を強化せよというだけのものではなくて、たとえば、家屋を建築したという場合でも、最近東京都あたりでは違反の家屋については強制取りこわしというようなことをやっておるようですが、地方において農地を知事の許可なしに宅地に転換して建築をしたような場合に、手も足も出ない、こういう実情なんですね、そういうことが次から次へと行なわれますから、結局この転用基準というものは全く意味をなさないということになるので、これは農林省だけで解決できる問題ではありませんが、しかしながら、今後ますますこの問題を中心として問題が複雑になってこようとしておるときに、やはり、農林省としては、農地を守り、日本農業を守るという立場から、関係各省との間に意見調整をはかって、何らかの対策を立てられなければならない問題の一つであろうと思うので、この点は、小枝政務次官も出席しておられますから、次官からもなお御所見があれば承って、私の質問を終わりたいと思います。
  77. 小枝一雄

    小枝政府委員 ただいま石田委員の農地転用の問題についての御意見でございますが、これは私どもも重大な今日の農政上の問題の一つであろうと考えております。この転用基準を作りました当時、この処罰の問題等につきましてもいろいろとわれわれも検討いたしてみたのでありますが、要するに、他の法令に対する違反の問題、そういう点種々勘案をいたしまして現在のような転用基準を作ったわけでございますが、しかし、これは非常に重要な問題と私ども考えますので、今後十分検討いたして、この農地を維持するということに対して努力をいたすつもりでおります。
  78. 吉川久衛

    吉川委員長 他に御質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。     —————————————
  79. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  80. 吉川久衛

    吉川委員長 それでは、速記を始めて下さい。  これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もないようでありますから、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 吉川久衛

    吉川委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  82. 吉川久衛

    吉川委員長 ただいま可決いたしました法律案につきまして、芳賀貢君より、自民、社会及び民社共同提案の附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。この際提出者よりその趣旨説明を求めます。芳賀貢君。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま可決されました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、この際、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表して、附帯決議を付するの動議を提出いたします。  まず案文の朗読をいたします。    農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、左の如く措置すべきである。  一、公庫の原資は借入金に依存する度合を次第に増大し、昭和三十五年度においては最悪の事態に立至っていると認められるが、かくては貸付業務の円滑な遂行に支障をきたすおそれがあるので、長期低利資金に対する農林漁業者の需要増加に対処し、今後の資金計画を作成するに当っては、すくなくとも借入金と同額又はそれ以上の政府資金の確保に努めること。  二、酪農業生産基盤の整備と乳業近代化を促進するため、すくなくとも酪農振興法に規定される集約酪農地域および酪農経営改善地区内において生産される牛乳処理加工施設の新増設または改善に必要な長期低利資金については、これを本公庫から融通し得る途を拓くものとし、速やかに所要の法制上及び財政上の措置を講ずること。  三、都道府県営土地改良事業の経済効果が生じない以前に、公庫貸付金の償還が始まることのないよう、事業の七年以内の完成に必要とする補助予算を確保するものとし、もし事業の完成期が遅延するおそれがあるときには、農業者に過重な負担を強いることとならないよう適切な救済措置を講ずること。  右決議する。   昭和三十五年三月二十九日       衆議院農林水産委員会  提案の要旨を釣れに申し上げますと、第一の点は、今回の法案の質疑にあたりましても、公庫資金構成上、政府資金と借入金のアンバランスを生じておることは常に指摘しておる通りであります。たとえば、昭和二十七年度の実績を見ますと、出資金、借入金の比率は、出資金が占める割合が六〇・三%でありましたが、三十五年度の予算を見ますと、実に三九・五%に出資金の比率が低下しておるわけであります。従って、このことは公庫資金コスト上にも非常に悪影響が来まして、ことしの推定コストは五分五煙という状態になっておるわけであります。こういうことになると、将来公庫の本来の目的である業務上にも非常な障害が来るということが察知せられますので、これはたびたびの指摘でありますけれども、この際政府においては、出資金並びに借入金のバランスをとって、そうしてこの資金需要に十分こたえるような体制を進むべきであるという点であります。  第二点につきましては、これも、たとえば昭和三十三年四月に酪農振興基金法が成立した場合においても問題になりましたが、今後の乳業企業としての体質を根本的に改善していく、たとえば生産酪農民に対する乳価の安定の問題、あるいは消費者に対しましてもコストの安い飲用乳を提供するというような点、あるいは酪農製品のコストの引き下げ等の点についても、設備資金が占める製品のコストへの影響というものは決して軽視できませんので、従って、酪農振興の政策上の見地からもこの際公庫資金から酪農施設に、これも全般ではありませんで、特に酪農振興法に規定しているところの、たとえば集約酪農地域あるいは昨年の酪振法の改正によりましたところの酪農経営改善地区等の地区内における乳業施設の増設、新設あるいは設備改善等については、重点的に公庫資金融資の道を講ずることは当然のことであると思うのであります。さらにまた、もう一つの点は、このようにいたしまして乳業施設に対する政府からの制度金融の道が講ぜられることは、一方においては、これを足がかりにして政府酪農振興上における行政的な指導力を一段と強化することについても大きな成果を期待できるのではないかということにかんがみまして、従来しばしばの指摘であったにもかかわらず、政府においては何ら現在までこの点については熱意を示しておりませんので、特にこの際決議を附しまして、すみやかに所要の措置を講ずべきであるというのでありまして、このすみやかにというのは、具体的に言えば次期国会までに政府として法制上、財政上の措置を講ずべきであるということをここに明確にしておく次第であります。  第三点の問題については、これはただいま同僚石田委員からるる指摘された点を決議の中に盛り込んだわけでありますが、特に先般のこの法案の審議の場合の土地改良事業関係の参考人の招致の際におきましても、土地改良事業については、国労、県営、団体営等の一貫事業の早期完成ということが強く要望されておりますので、先ほど質疑が行なわれました通り、補助事業の早期完成ということと公庫資金融通というものを十分密着させた運営というものが特に必要であるということをこの決議に示したような次第であります。  以上、三点の内容について御説明を申し上げまして、御賛成を求める次第であります。
  84. 吉川久衛

    吉川委員長 これにて趣旨説明は終了しました。  これより三派共同提案の附帯決議を附すべしとの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  85. 吉川久衛

    吉川委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を附するに決しました。  なお、この際、ただいまの附帯決議に対して政府の所見を求めます。小枝農林政務次官
  86. 小枝一雄

    小枝政府委員 ただいまは農林漁業金融公庫法の一部改正につきまして全会一致をもって御決議をいただきまして、まことにありがとうございました。  ただいま満場一致御決定になりましたこの附帯決議につきましては、それぞれ三項目にわたる重要なる決議がなされたわけでございまして、私ども政府当局といたしましても、その御趣旨を尊重いたしまして鋭意善処いたす所存でございます。     —————————————
  87. 吉川久衛

    吉川委員長 次にお諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  89. 吉川久衛

    吉川委員長 この際、連合審査会の開会申し入れの件についてお諮りいたします。現在内閣委員会において審査中の農地被買収者問題調査会設置法案、建設省設置法の一部を改正する法律案、及び大蔵委員会において審査中の治水他特別会計法案の三法案について、それぞれ連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。なお、開会の日時等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じます。次会は公報もってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十二分散会