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1960-03-22 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十二日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 角屋堅次郎君    理事 芳賀  貢君 理事 小平  忠君       安倍晋太郎君    金子 岩三君       倉成  正君    坂田 英一君       笹山茂太郎君    田邉 國男君       高石幸三郎君    綱島 正興君       野原 正勝君    松岡嘉兵衛君       八木 徹雄君    赤路 友藏君      茜ケ久保重光君    足鹿  覺君       石田 宥全君    久保 三郎君       西村 関一君    山田 長司君       神田 大作君    中村 時雄君  出席政府委員         農林政務次官  小枝 一雄君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      庄野五一郎君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         参  考  人         (全国土地改良         事業団体連合会         常任事務)   阿部 義正君         参  考  人         (茨城県土地改         良事業団体連合         会会長)    関井  仁君         参  考  人         (千葉県土地改         良事業団体連合         会副会長)   大曽根嘉夫君         参  考  人         (新潟農地部         長)      藤塚 太郎君         参  考  人         (静岡県土地改         良事業団体連合         会参事)    小野 啓介君         参  考  人         (新潟亀田郷         土地改良理事         長)      佐野藤三郎君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 三月十八日  委員中村時雄辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員中澤茂一君及び受田新吉辞任につき、そ  の補欠として足鹿覺君及び中村時雄君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員久保三郎辞任につき、その補欠として中  澤茂一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十九日  開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇五号)  開拓者資金融通法による政府貸付金償還条  件の緩和等に関する特別措置法案内閣提出第  一〇六号) 同日  全林野労働組合妻籠営林署分会団体交渉権確  保に関する請願五島虎雄紹介)(第一二三  二号)  国産大豆集荷業者調整機関に指定の請願(松  平忠久紹介)(第一二三八号)  同(三浦一雄紹介)(第一二三九号)  同(増田甲子七君紹介)(第一二八〇号)  同(小沢貞孝紹介)(第一三九一号)  林業種苗法の一部改正に関する請願本名武君  紹介)(第一二一四〇号)  同(石村英雄紹介)(第一四六六号)  同(小平久雄紹介)(第一四六七号)  同(鍛冶良作紹介)(第一四六八号)  同(金丸信君外三名紹介)(第一四六九号)  同(小西寅松君外二名紹介)(第一四七〇号)  同(内藤隆紹介)(第一四七一号)  同(佐野憲治君外一名紹介)(第一四七二号)  児島湖締切堤とう開放に関する請願外一件(逢  澤寛紹介)(第一二四二号)  同外一件(黒田寿男紹介)(第一二四三号)  同外一件(中原健次紹介)(第一二四四号)  同外一件(亀山孝一紹介)(第一二六七号)  同(和田博雄紹介)(第一三九二号)  茶業振興法制定に関する請願木村俊夫君紹  介)(第一二六六号)  国立水産利用研究所設置に関する請願小林絹  治君紹介)(第一三〇四号)  老朽ため池補強促進に関する請願竹山祐太  郎君紹介)(第一三〇五号)  国有林用苗木買上げに関する請願石村英雄君  紹介)(第一四六〇号)  同(小平久雄紹介)(第一四六一号)  同(鍛冶良作紹介)(第一四六二号)  同(金丸信君外三名紹介)(第一四六三号)  同(内藤隆紹介)(第一四六四号)  同(三鍋義三君外一名紹介)(第一四六五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十八日  開拓道路及び橋りよう補修費増額に関する陳情  書  (第四一一号)  農業法人化促進に関する陳情書  (第四一二号)  同(第五五  三号)  紅茶自由貿易品目から除外に関する陳情書  (第四一四号)  農林漁業政策確立に関する陳情書  (第四六七号)  北洋さけ、ます漁業者のカツオ、マグロ兼業許  可及び転業反対等に関する陳情書  (第四八二号)  紅茶自由貿易品目から除外に関する陳情書  (第四八三号)  国土緑化大会及び植樹祭北海道開催に関する  陳情書(第五二九  号)  農業委員会国庫補助増額に関する陳情書  (第五三〇号)  国有解放農地貸付料改定等に関する陳情書  (第五四二  号)  農林漁業政策確立等に関する陳情書  (第五五〇号)  甘しよ対策確立に関する陳情書  (第五五一号)  農業倉庫低温貯蔵施設促進に関する陳情書  (第五五二  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第四六号)  開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七三号)  開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇五号)  開拓者資金融通法による政府貸付金償還条  件の緩和等に関する特別措置法案内閣提出第  一〇六号)  農林水産業振興に関する件(土地改良問題)  について参考人より意見聴取      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案開拓者資金融通法の一部を改正する法律案及び開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置法案の四法案議題とし、まず政府より提案理由説明を聴取いたします。小枝政務次官
  3. 小枝一雄

    小枝政府委員 開拓融資保証法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  戦後の阻拓事業もすでに十余年を経過し、その間、約十五万戸の開拓者は、不利な立地条件やたび重なる天災等にも屈せず、日夜常々と農業経営に精進し、一部には既存農家の水準を越え新しい畑作営農方式先駆者となっている者も少なくありませんが、他面、大部分開拓者は、重なる悪条件のため、その努力にもかかわらずいまだに営農基礎確立せず、経営不振に悩んでいる実情であります。  この現状に対処いたしまして、政府は、昭和三十三年制定を見ました開拓営農振興臨時措置法中心といたしまして、開墾建設工事促進営農資金融資額の大幅な増額経営重圧となっている負債の借りかえ等、これら開拓者経営の安定に必要な各般総合施策を逐次実施いたし、その成果をあげつつある次第であります。  昭和三十五年度は、前年に引き続き一般とこれらの施策拡充強化をはかりますとともに、別に提出をいたしております法律案による災害対策資金政府資金による融通既貸付政府資金償還条件緩和等措置や、あるいは過剰入植地区移転対策等を新たに行なうこととし、これらの開拓営農振興対策一環として、中央開拓融資保証協会に対する政府出資増額を行なうこととしたのであります。  すなわち、開拓者の必要とする営農資金のうち、大家畜農用施設農機具等基本的生産手段調達するための長期資金につきましては、昭和二十二年段置いたしました開拓者資金融通特別会計から政府資金低利融資する措置をとって参りましたが、肥料飼料種苗あるいは中小家畜等を購入するための短期営農資金につきましては、開拓者実情からその調達がはなはだ困難でありましたので、昭和二十五年件林中央金庫の協力を得て開拓信用基金制度を創設し、その後、昭和二十八年に至り、開拓融資保証法制定いたしまして、開拓融資円滑化をはかる制度確立したのであります。  この制度は、中央及び各都道府県開拓融資保証協会を設立し、開拓者金融機関から短期営農資金を借り入れる場合にその債務をこの協会が保証することによって、資金調達を容易ならしめるものでありまして、白来、政府は、毎年中央開拓融資保証協会に対し出資を行ない、本年度までにすでに同協会基金四億九千五百六十二万円のうち三億九十万円を出資して開拓者営農の進展に資して参ったのであります。  しかしながら、開拓者現状は、営農振興の根幹である肥料適期投入にもなおその資金調達に事欠く状態であり、また、乳牛等家畜増加に伴う飼料購入量の増大、中小家畜導入促進必要等から資金需要増加いたしていることにも対処いたしまして、政府は、昭和三十五年度において一般会計からさらに一億円を追加出資いたしまして、融資ワク拡大をはかり、営農資金融通を一段と拡充し、もって開拓者農業生産力発展農業経営の安定をはかろうとするものであります。  以上が開拓融資保証法の一部を改正する法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。  次に、開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  戦後開拓地入植した約十五万戸の開拓者の多くは、終戦直後の社会経済混乱期において、食糧の緊急増産の使命を帯びて、未開の地に入植したものでありますが、立地条件の劣悪、開墾建設工事の遅延、打ち続く災害等のため、十余年を経過した今日に至るもいまだ営農越礎確立せず、営農不振に悩んでいる実状であります。かかる現状にかんがみまして、政府は、昭和三十二年四月に制定をみた開拓営農振興臨時措置法中心として、開墾建設工事促進営農資金融資額増額負債の借りかえ等、これら開拓者経営の安定をはかるため各般総合施策を実施して参りまして、その成果をあげつつある次第であります。  昭和三十五年度は、前年度に引き続き一段とこれらの施策拡充強化をはかることにいたし、その一環として、開拓融資保証法の一部改正により中央開拓融資保証協会に対する政府出資増額するとともに、別に提出を予定しております法律案により、既貸付政府資金償還条件緩和債権管理簡素化等措置を講ずるほか、過剰入植地区移転対策の経費を新たに計上いたしております。  しかしながら、営農基礎が不安定な開拓者にあっては、災害による被害も受けやすく、一たび大きな災害をこうむりますと、それまでの努力も水泡に帰することが多く、このような場合には開拓営農振興臨時措置法による営農改善計画達成もきわめて困難になるのであります。通常、僕家が天災により被害をこうむりました場合には、いわゆる天災融資法により、災害のため必要となった経営資金貸付が行なわれることになっておりまして、開拓者ももちろんその対象になっておりますし、今後もこの天災融資法による融資が行なわれることを期待しております。しかしながら、経営基礎もいまだ固まらず、営農不振に悩んでいる開拓者現状では、特に激甚な災害をこうむった場合、天災融資法その他による資金融通の恩恵にあずかり得ない場合が往々にしてあるのでございます。従って、そのような場合、開拓営農振興臨時措置法対象となっている不振開拓者について、開拓者資金融通特別会計から災害資金を貸し付ける道を開き、もって不振開拓者営農改善計画達成に支障なからしめたいと考える次第であります。  災害資金貸付の概要について申し上げますと、暴風雨、高潮、洪水、その他の異常な天然現象により著しい被害を受けたため、営農改善計画達成が困難となった不振開拓者に対し貸し付けることとし、この災害資金貸付を行なう適用地域は、異常な天然現象による開拓地における被害程度が激甚であると認めて農林大臣が指定することにいたしております。また、資金内容につきましては、災害を受けました開拓者営農改善計画達成するに必要と認められる農用施設災害復旧のための資金のほか、経営資金も貸し付けて参りたいと考えております。貸付金償還条件につきましては、据置期間三年以内を含めて償還期間を十二年以内、利率を年五分五厘とする元利均等年賦支払い方法によることとしておりますが、特に被害程度が著しい場合等には、据置期間五年以内を含めて償還期間を二十年以内、利率を年三分六厘五毛とする元利均等年賦支払い方法によることができることといたしております。なお、北海道における貸付金につきましては、災害資金以外の政府資金償還条件との均衡上、償還期間はすべて据置期間五年以内を含めて二十年以内とすることにいたしております。  なお、不振開拓者営農改善につきましては、前にも申し上げた通り、開拓営農振興臨時措置法中心にその対策を進めておりますが、なお今後に残された問題がございますので、農林省に開拓営農振興審議会を設置いたしまして、これらの問題を中心に、開拓営農振興に関する重要事項調査審一議し、もって不振開拓者営農改善に関する政府施策に万全を期したいと考えております。  以上が開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。  次に、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  開拓者営農基盤確立させ、安定した自作農として農業に精進することができるようにするためには、国の大幅な助成を必要とし、このため、国は、全額国費による道路水路等建設、あるいは開墾土壌改良入植施設等に対する補助等各般施策を行なっておるところであります。しかしながら、開拓者はその大部分がきわめて不十分な資力で入植せざるを得ない状態でありますので、農用施設農機具あるいは大家畜等基本的生産手段を整備するためにはなお多額資金を必要といたしますにもかかわらず、信用力の薄弱なこれら開拓者にとってその資金調達ははなはだ困難なところであります。  そのため、政府は、昭和二十二年二月、開拓者資金融通特別会計を設置し、主として新規入植者に対し開拓基本となる営農資金長期かつ低利融通する制度確立いたしました。その後、昭和二十七年度からは、入植後三カ年以上を経過したいわゆる既入植者に対しましても、酪農経営への転換を促進する等のため、中期営農資金貸付を行なうこととし、さらに、この中期資金についての制度発展させ、昭和三十三年度からは、開拓営農振興臨時措置法中心とする既入植者の、安定振興対策一環として、同法に規定するいわゆる、要振興開拓者に対し、その樹立した営農改善計画達成に必要な振興対策資金融資する制度を設けるとともに、その貸付額も大幅に増額し、もって開拓営農発展に資して参ったのであります。  この振興対策資金償還条件は、要振興開拓者償還能力等も考慮し、年利五分五厘、三年間据え置き、自後九年間の元利均等年賦償還方法によることといたしておりましたが、開拓者山農状態は次第に向上しているとはいえなお労農不振の域を脱していない現状でありますので、既貸付金につきましては、別に提出いたしております法律案により、一定の開拓者に対し償還期間を延長する等の償還条件緩和をはかることといたしますとともに、今後の貸付金につきましても、北海道開拓者に対する振興対策資金については償還期間及び据置期間を延長することとしたのであります。すなわち、北海道におきましては、その経営形態から相当多額の資本を必要とし、これが償還は容易ならざるものがあると思われますので、北海道寒冷地畑作営農改善資金償還条件との均衡も考慮して、据え撒き五年の後、十五年間に償還するよう変更することといたした次第であります。  一方、この特別会計貸付金は、開拓者営農の進度に応じ、おおむね三カ年間に計画的に貸し付けることといたしておりますが、従来の実績によりますと、一開拓者ごと貸付口数が多くなり、国の債権管理も複雑となりますとともに、開拓者の側も償還に不便を来たす結果となりますので、既貸付金については別途単純化をはかりますのと並行し、新規貸付金につきましても、毎年度資金ごとに、据置期間を増減して、各資金償還の始期及び終期を一致させ、実質的に一本経理を行ない得るよう、法律据置期間及びこれを含む償還期間をそれぞれ一年延長することといたしたものであります。  以上の措置により、北海道の要振興開拓者に対し条件緩和をはかるとともに新規貸付金既貸付金と歩調を合わせその簡素化をはかる所存であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。  次に、開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置法案提案理由を御説明いたします。  開拓者が未開発の地に入植営農基盤確立するためには長期間にわたって多額資金を必要とすることは言を待たないところであり、しかも、その間のたび直なる災害等により、負債はますます増加の一途をたどりながら、営農不振のため、その償還能力は増大せず、これが償還重圧営農不振にさらに拍車をかけている実情であります。  この現状に対処いたしまして、政府は、不振開拓者営農振興対策一環として、建設工事促進等積極的対策のほか、その負債重圧緩和するため次のような施策をとって参りました。すなわち、いわゆる天災融資法による災害経営資金については、開拓営農振興臨時措置法により営農改善資金への借りかえを認めて、利子補給を継続しながらその償還期間を延長し、個人高利負債については長期低利自作農維持創設資金融通してこれが返済に充てさせる等の措置をとるとともに、開拓者資金融通特別会計から貸し付けております政府資金につきましても、国の債権管理等に関する法律により履行延期の特約を行なって参ったのであります。  しかしながら、その後の開拓者の状況を見まするに、他の施策成果とも相待ち逐次営農振興の実をあげているとはいえ、なお既往の負債償還をなすことは容易でない状態であります。なお、国の債権管理等に関する法律による履行延期は、国の債権一般についてのものでありますため、拡大生産をはかり早急に営農基盤確立しなければならない開拓者にとっては、これは、必ずしも適切ではない点もあると考えられるのであります。  このような見地から、政府は、昭和三十四年度以前に貸し付けました政府資金につきまして、三十五年度以降ニカ年間にわたり、営農基礎が不安定な開拓者に対し、従来の未納の元金利子及び延滞金もこれを将来にわたって分割償還できるよう一たん元金に組み入れた上、将来の償還能力も十分に考慮して、このうち特に不振な者はおおむね五年間据え置き、その他の者は据置期間を置かないで、自後おおむね十五年間に償還できるよう、償還条件緩和をはかることとした次第であります。この措置によりまして、他の諸般の施策ともあわせ、開拓営農振興に万全を期したい所存であります。  なお、この特別会計貸付金は、年々貸付件数増加し、その経理は漸次複雑の度を加え、債権管理に困難を来たしますとともに、開拓者の側からも償還を便利にするため、これが単純化をはかる必要がありますので、この際、条件緩和を行なわない開拓者に対しましても、同じく未納金を一たん元金に組み入れた上、償還期間につき同一利率貸付金ごと償還期間残年数を平均したものに条件変更し、実質的に一本経理が可能となるようにいたした次第であります。  また、これらの措置と並行いたしまして、従来、大部分貸付金は、開拓農業協同組合に貸し付け、その組合員たる開拓者に転貸せしめる方式をとって参りましたが、この方式では、弁済充当関係から、転借人たる組合員償還組合の国に対する償還とが必ずしも対応しないことがある結果、転借金償還も消極的となり、かつまた、これが組合経理を混乱せしめる一因ともなりまして、ひいては営農不振の原因の一つともなっていると考えられますので、今後の貸付金については、当初から直接に開拓者個人に貸し付けることを原則とすることとし、一方、既貸付金については、この機会に、個人債務引き受けを認めることとして、これを個人貸しに切りかえ、国において直接個人ごと債権管理を行なうこととした次第であります。  以上がこの法律案の趣旨及び内容であります。何とぞ慎重御審議のしすみやかに御可決下さるようお願いいたします。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 ただいま提案理由説明を聴取いたしました四法律案についての質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  5. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  土地改良問題について参考人の御出席をいただいておりますので、この際一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ本委員会調査のため遠路わざわざ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。土地改良問題に関しましては、農業経営合理化農業生産力発展をはかるため、当委員会としてはきわめて深い関心を持っておる次第であります。従いまして、現地の実情に即し、土地改良問題について実際に指導されておられます参考人各位におかせられましては、その研究実践の一端をお聞かせ願いたいと存じます。どうぞ忌憚のない御意見をお願い申し上げます。  なお、参考人の御意見は初め十五分程度お述べいただき、あとは質疑によりお答えをお願いいたします。  それでは、まず参考人安部義正君よりお願いいたします。
  6. 阿部義正

    安部参考人 本日の議題は非常に大きな問題でございますので、簡単に土地改良事業問題点につきまして私から申し上げてみたいと思います。  まず、私は全国土地改良事業団体に籍を置いておりますが、昨年の暮れに土地改良事業者全国大会をいたした際に大きな問題が三つございました。それは、土地改良事業、すなわち国営、都道府県営団体営のものを早期完成するために予算をふやしてもらいたいということ、補助率を引き上げてもらいたいということ、あるいは、継続費制度を実施してもらって、これに伴う施設維持管理確立してもらいたいという点が一点でございます。     〔委員長退席丹羽(兵)委員長代理着席〕 次は、災害の問題でございまして、災害関係事業早期完成と各種の防災事業、特に、老朽ため池防災ため池地盤変動対策促進していただきたい。それから、最後の三点は、農林漁業資金ワク拡大利子の引き下げ並びに償還期間の延長をお願いいたしたのであります。この中には今度の三十五年度予算におきまして政府並びに国入会の非常なお力によりまして一部の目的を果たしたものもございますが、まだ多くの問題が残っておりますので、これを一応計画面建設面管理面三つに分けまして述べてみたいと思うのであります。  まず、計画面につきましては、土地改良事業と申しますものが土地改良法によって一区画、一団地ごと計画を立てておるのでありますが、今日の段階におきましては、河川の水系を中心農地拡張政策なり改良政策を立てて農地を整備することが一番大事な段階ではないかと思うのであります。これは、例をあげてみますれば、たとえば利根川にいたしましても、最近そんなに渇水が起きないのに下流は非常に用水に困るというような問題も出て参っておりますし、これらの問題につきまして、土地改良法の一部をやはり改正いたしまして、水系ごとに水が安定して農地にいくようにいたしたい。なお、国営と都道府県営団体営の一貫性というものがだいぶ古くから言われておりますけれども、いまだに多くの問題が残っておりますので、この点につきましては、やはり計画当時に十分考えなければいかぬということであります。  それから、次に、実施面でございますが、実施面につきましては、今申し上げましたように国営、県営、団体営の問題とともに、現在問題になっておりまする公庫法の一部改正によりまして県営事業の据置期間が相当期間延びる。しかし、現在の都道府県営事業は大体平均いたしますと十二年くらい工事期間がかかっております。その中で、長いのはやはり二十年くらいかかっているのもあるようであります。従いまして、地方におきましては、国営並みに、工事が完成してから負担金を返すようにしていただきたいという声も相当出ておりますので、これらの点につきましては、十分にお考えいただきまして、延長を十分にとっていただいて、それぞれ、指導面におきまして、短い期日に完成するものは据置期間を短くするとか、伸縮自由になるような方法をお考えいただきたいということであります。それから、団体営等につきましては、団体営の九〇%と申しますかが特殊立法地帯になっております。これは積寒を初めとして各種の特殊立法があるわけでありますが、大体今日までに九年を経過いたしておりますが、私が計算いたしましたものによりますと、全体の計画の五分の一くらいの完成になっております。従いまして、今後全部完成いたしますにはこの五分の一の数字がもし正しいといたしますれば、あと三十年以上かからなければこの団体営が完成しない、そういう点に国営、県営、団体営のパーソンズのとれない点が出てくるのではないかと思うのであります。  それから、管理面でございますが、土地改良事業が進むに従いまして、施設が逐次ふえて参っております。従いまして、現在の施設が現在の価格にしてどのくらいの金額になっているかということはなかなか計算が出て参りませんが、私どもが概算でやってみましても三兆円くらいの大きな施設土地改良施設にあるのではなかろうかと思っております。この施設管理面で一番厄介な問題は、ため池の問題でございましてため池は、大小それぞれ、農林省で御調査なさったのを拝見いたしますと、大体全国で二十七万カ所あるようであります。このため池につきましては、老朽ため池といわれまして一部補強の予算がついております。しかし、この程度予算では、老朽の方の進度が進んで、補強の方がおくれていくという関係もございますので、これは先般連合会の会長名をもちまして両院に対しまして老朽ため池補強促進に関する請願をいたしたわけでありましてれ遠からず委員会において御審議いただけることと思いますが、一県にいたしまして約五千カ所くらいのため池を持って知る。このため池の管理というものはほとんどできていないと言ってよいと私は思っております。このため池を初めといたしまして各種の施設維持管理が現在手薄になっております。しかも、農地災害の一番原因をなすのは、ため池の決壊と聞いておりますので、維持管理を十分にやりまして、こういう施設災害を防ぐとともに、耐用年数をふやすことは申し上げるまでもないのでありますが、この点につきましては、いろいろと農林当局からも維持管理問題について基準の策定等私ども委託を受けましてそれぞれ調査をいたしておりますが、何せ非常に大きな問題でございますので、もう少しこの問題を大がかりに調査いたし、なおかつ、これによりまして土地改良施設維持管理というものに万全を期していきたい。こういうことによって農村の経営も安定になる。なお、戦時中の食糧増産対策事業として非常に無理な仕事が各所にたくさん現在残っております。これらにつきましては、今日この施設維持管理上非常に大きな金が使われて土地改良区の運営が非常に苦しくなっている地域もございますので、それらの点につきましては土地改良区の再検討についても十分にお考えいただきたいと思うのであります。  ごく大づかみに申し上げまして、あと御質問にお答えいたしたいと思います。
  7. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 次は関井仁君にお願いいたします。
  8. 関井仁

    ○関井参考人 参考人として発言の機会をいただきましてありがとうございます。茨城県土地改良事業推進の現況におきまして最も問題点となっております土地改良区の概況を申し上げます。  現在正常運営をいたしております改良区におきましても、事業遂行上過重化されつつありますところの公庫融資金の金利の引き下げの問題、期間の据え置きの延長の問題、または取り扱い事務の簡略化の件、なお、不振組合の再建整備措置を設定いたしまして、政府の救済対策の樹立を早急にお願いしたい、これらの点を申し上げたいと思うのであります。  戦後、茨城県におきましても、重点事業といたしまして土地改良事業を強力に推進をいたしましたために、関係長家の自覚と相待ちまして、農業経営基盤となりますこの種事業の必要性はますます高まりまして、事業実施の要望は非常に強くなったのでございます。現在土地改良区の設立地区は二百八十七地区、さらに年々地区数が増大いたしまして、平均二十地区程度増加を見ておる現況でございます。しかし、これらの昭和二十六年から二十八年当時に実施をされました土地改良区事業の中で、新しい土地改良法の理想を誤りまして、その組合運営の円滑を欠き、しこうして、内部紛争を惹起いたしまして、組合員多数の完成希望を無視いたしまして、せっかくの事業も半ばで挫折をしておる、さらにまた、事業の債務の返債にあたりましてもその地区の各種の事情のためにきわめて困難な状況に縫着しておる組合が相当数あるのでございます。  二百八十七地区中、二、三の悪い点を申し上げまして御説明したいと思うのでありますが、改良区の名前の発表につきましては非常にちゅうちょをいたしたのでございますが、けさほど来県選出の方々にも御相談を申し上げまして、率直に申し上げた方がいいのではないかというような御意見もございましたのではなはだ申しにくいのでございますが、申し上げさせていただきます。  霞南土地改良区というのがございまして、第一工区、第二工区、第三工区、第四工区で霞ケ浦に面しました面積八百五十一町歩、組合員が七百五十六名、昭和二十七年の三月三十一日に設立をいたしました土地改良区でございまして、灌漑排水施設、区画整理、客土堰堤の災害復旧、これを昭和二十五年度より実施をいたしまして、事業費が、補助対象土地改良関係一億一千二百万余でございます。災害関係が一億一千六百万余でございます。長期借入をなしまして、昭和三十二年度に一応工事を完了いたしまして、昭和三十三年三月に第三工区におきまして、茨城相互銀行より借入をいたしました二百万円の償還金に充てるべく、暫定賦課を反当三千円いたしたのでございますが、組合員からは、夫役に相当出ておるのに賦課金が高過ぎる、借入金の使途が不明である、経理内容を具体的に公表せよという強い主張が起こりました。しかし、理事者は、決算書の通りである、これ以上明らかにできないということを強く主張いたしましたために、組合員は、昭和三十三年三月、水戸地検土浦支部に公正証書の不実記載、背任横領容疑で告訴を提出いたしたのであります。その後、県あるいは関係の国会議員の仲介で、話が手間取りましたけれども、解決いたしまして、現在ようやく二百万円は一応支弁をしたのでございます。その後、事務所も閉鎖をいたしまして、八千三百五十三万余の元金負債を残しまして、非常な紛争を起こしておるのでございます。  問題点は、執行者と組合員の離間、事業担当金に対する理事者の趣旨説明の徹底に欠けている点がある、土地の条件が非常に悪く、改良に多額資金を要するというような原因で、これらの問題が壁に突き当たっておるわけでございます。なお、理事者の交迭の問題でございますが債務保証の件が問題になっておるのでありまして、現理事者だけで八千余万円の保証をいたしておるのでありますが、後任役員でこれが全部責任を負ってくれるならば退陣してもよろしい、しかし、前役員だけで莫大な保証をいたしまして、後任役員が勝手な行動をとるということでは、絶対に退陣はできない、こういうようなことで壁に突き当たっておるわけであります。  次は、稲敷郡桜川村の改良区でございますが、湖岸に築堤工事をして、排水機を設置いたしまして、築堤内の湛水を排除して水害を防除するために、工事費が二千百八十四万八千円で、一千百九十万円の農林漁業資金融資を受けて、昭和二十六年度に着工いたしまして、昭和二十七年度に完了したのでございますが、約定償還金の延滞督促によりまして総会を開いたところが、組合員が工事費の負担を否決したことが原因となりまして紛争を起こしまして、理事長がこれが解決のために再三総会を招集いたしたのでありますが、総会が成立しない。昭和三十年理事者のうち両名が死亡をした。しかもこれは巷間伝えるところによればこの問題のために自殺をしたということになっておるのでありまして、実に容易ならざる問題でございます。なお、昭和二十六年になりまして、融資借入金の一部を償還するために個人の製作所より機場のエンジン二基を担保に昭和二十九年九月に金を借用いたしたのでございますが、返済期までに返済しないために、債権承継人の某商事より理事長を相手といたしまして担保物件引き渡しの訴訟が起こされまして、昭和三十年の十二月の二十四日に引き渡しの判決を受けまして、この機場は使用不能になった、こういう現況にあるのでございます。  これも、原因は、事業に対する趣旨の不徹底、執行部に対する不信、あるいは新執行部の再建が非常に困難であった、また、組合員以外の他団体の反対の支援というような問題が輻輳いたしておるのでございます。その後、総会は、昭和三十年、三十一年にわたりまして十三回行なわれておりますが、毎回十名程度出席で、ほとんど流会になっている、こういう現況でございます。しかも、農林漁業資金の借入額の一千百九十万円につきましては、わずかに八十五万円余を返済しただけで、一千百四万四千七百三十円の未払いが残っておるわけでございまして、そのまま閉鎖状況にありまして、意欲がありましても何とも動かし得ない状況にあるわけでございます。  なおもう一カ所あるのでございますが、大体同様でございますので省略をいたしたいと思うのでございます。  こうした特に不振の組合に対しましては、指導に当たりました方々の説明の不徹底、また、政治的の意味合いをもちまして、非常に安く補助金で仕事をしてやるのだというような、背の土地改良関係の耕整組合法時代のような考えをもちまして封建的な指導をいたしましたためにこういう結果になったのではないかと思います。これらに対しまして、とにかく多くの農民が苦しんでおるわけでございます。しかもある組合におきましては、工事の成績はあがり、八、九分の実績をもちまして、生産効果もあがっておるが、公庫償還金について支払い不能の問題を起こしておる、こういうのでございます。これは県だけの力をもちましては救済がとうてい不可能でございますので、ぜひとも政府の新たなる救済施策をお願いしたいと思います。  なお、一般的の利率の引き下げにつきましては、公庫法によりますと現在六分五厘でございまするが、これを五分程度に引き下げを特にお願いしたい。  それから、補助の据え置きが五年以内でございまするが、大部分組合におきましては理事間の共同保証の責任がございまするので、なるべく早く返したい、こういう考えで、事業と見合った計算をせずに、二年あるいは三年というような無理な返済方法——据置期間を短縮しておるのでありまして、これが必ずしも実態に即応はしておらない。個人保証の関係がありまするので、従来の役員の任期が二カ年でございまするので、なるべく自分の任期中に返済したい、こういうところから出ておるのではないかと思います。  それから、非補助事業に対しましては、五分の利率でございまして、期間が三年でございまするが、これを五年据え置き程度にお願いをしたい。それから、償還期間が前者は十五年であり後者は十年でございます。これらはなるべく延長をいたしていただきたい。かようにお願いをしたいのであります。  なお、三十四年度に設定をいたされました経済基盤強化資金によります資金六十億によりまして三分五厘の救済融資があるのでありますが、この恩典に浴しておりまするものは国・県営の末端事業と農道の事業だけでございまして、一般事業面にも広く適用でき得るような措置も講じていただきたい。しかし、これを全面に及ぼすということは資金関係上とうていできませんので、前に申し上げましたような公庫融資一般融資面の利率の引き下げと据置期間の延長、これをお願いしておるのであります。  なお、公庫業務の取り扱いにつきましては、借入金の保証は役員全員の個人保証になっておるのであります。償還完了までは責任を負っておるのであります。新たに役員となりましても、その改良区の最も重要な事業に対しましては、それが八割あるいは九割遂行されました場合には新たなる役員は責任を負っていないのであります。ここにいろいろ問題等ができますると、現在の役員は責任はない。しかも強制執行あるいはいろいろの法的責任を五年あるいは十年前に引退をいたしました役員が背負うということになっておりますので、新たに役員に就任をいたした者は前役員にあわせまして責任負担を負うような措置を講じましたならば、組合間の問題も相当数解消できるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。  なお、公庫におきましては、延滞金があります場合には絶対に新たなる貸し出しをしない、こういう態度をとっておるのであります。これは公庫の建前としては当然ではありますが、あまりにもこれを固執いたしまするために、事業上非常な支障を及ぼす例が多々あるのでございます。特に、公庫の融資について、人間としての感覚で物事を処するならば、信用のあるりっぱな組合に、事務の手続の遅延あるいは改良区の中の一部の事業所の利息の一万円や五千円の延納のために、年度末の事業に面しまして相当量の金を借りなければ事業遂行ができないというような場合に、二日か三日に迫りまして、五千円、三千円の延納があるからこの書類は却下するというような態度をもって望むというようなことが間々あるのでありまして、そういう点は、法規でなくその人の運用にあると思いますので、公庫の反省をお願いしたいと思うのであります。  以上、簡単でございまするが、非常に混乱しておる組合実情を申し上げまして、再建整備法の設定等につきましても国会におきまして今後御研究を願い、特に、当面の問題といたしましては、利子の軽減と据置期間の延長を強くお願いを申し上げまして、陳述を終わらせていただきます。
  9. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 次に大曽根嘉夫君にお願いいたします。
  10. 大曽根嘉夫

    ○大曽根参考人 農林委員会の先生方にはいつも非常にお世話になっております。本日参考人の一人として出まして私の意見を述べる機会を得まして、ほんとうに感謝をいたしておる次第でございます。  私が申し上げる点につきましては前の参考人の方々から述べられましたので、ごく簡単に申し上げたいと思います。  第一点といたしまして、何と申し上げましても、国営、県営、団体営の現在の状況がまことにアンバランスであるということ、また、指導方面におきましても、計画面におきましても、やはり疎通を欠いておる点も多々あるということであります。  私は千葉県でございますが、千葉県の実情を申し上げますれば、最もおくれておる県営地区で、昭和十八年に着工いたしまして今もって六〇%の進度しか見ておらないという地区がございます。その他の県営におきましても、今最盛期にあります各地区が、やはり今日七年からの経過年数をたどっておる。今の現状でございますれば、まだあと三、四年は残るという現状でございます。  それで、今千葉県の最も大きい問題といたしますれば、皆さん方のお世話になっております両総の二万町歩の国営、県営、団体営を持っております事業であります。さらにまた、手賀沼、印旛沼の干拓事業、国営の干拓による県営あるいは団体営の跡始末の問題であります。  まず第一といたしまして、両総の例をとってみますれば、国営が昭和十八年に着工いたしまして現在の進度は三十四年度までに大体八〇%いっておる。それから、県営が昭和二十八年から着工いたしまして三十四年度まで三五%の進度。それから、団体営昭和二十五年から着工いたし現在のところ大体二五%程度の進度を持っておる。そして、国営の一部におきましては償還にもうすでに入ってきておる。しかし、県営あるいは団体営の事業は今もって事業実施中で、この国営事業による恩恵にまだ浴さないという実態であります。これは、国営にいたしましても、昭和三十四年度まで八〇%の進度を見ましたけれども、それが大きく飛躍いたしましたのは、見返り資金の投入があったればこそ今日のこういうような結果を見ておるというふうに考えられるのであります。そこで、両総のこの事業を一貫して考えた場合におきまして、まだかなりあらゆる角度からの問題を残しておる。そして、その問題は、国営、県営、団体営のバランスをいかにとるかという点であります。ここまで来たことであるし、農民は、一日千秋の思いどころでなく、あらゆる点で苦慮いたし、また、皆さん方のところに陳情し農林省あるいは大蔵省などに出てくる陳情は氷山の一角であって、毎日実は協議会あるいは部落常会等を地区的には開いてこれが対策を立てており、また促進を願っておるような次第であります。国営にしても県営事業にしても継続事業的な取り扱いは受けておりますけれども、予算面においては、これは継続事業ではなくして単年度予算だというふうに打ち切られるし、まことに、そこら辺は、私たちその内容を知っておる者から申し上げますれば不可解な気持もありますけれども、これらの実現ができない。農民の個々は、指導的立場とかあるいは何とかというようなそういう知識的頭を持っておりませんもので、やはり、そこが始まりますればもうこれは国の政治の責任においてやっていただけるのだという、大きな襟度といいますか、広く言いますればそういう意味で頼っておるのであります。今は自主的だと申しましても、やはりそこらの点は施策でひっぱっていく必要があるのじゃないかというふうに私は強く感ずる次第であります。  そういうわけで、現在千葉県の水田は十万町歩ありますが、ここで用排水の完備しておりますものは大体六〇%足らずのものであります。区画整理におきましては、十万町歩のうちまだ三万町歩ほどしかやっておらないというようなことであります。いずれにいたしましても、千葉県は江戸川と利根川に境せられておる半島でございますので、完全な用水がなかったために今日まではそういう状況でございましたが、おかげで利根川の水を九十九里一帯に流し得るということと、それから、元の干潟の六千町歩の耕地がやはり県営によって実施されたというようなことで、今日千葉県は衣がえの時期に来ておるのであります。一応造田ということを目途といたしておりますけれども、千葉の実態は脱皮、衣がえをいたしておるような始末でございます。  こういうような関係で、次に申し上げたい問題は、特に団体営の仕事がおくれておりますので、かねて特殊立法で御審議を願いました湿田単作におおむねの地帯が頼っておるのでありますが、湿田単作の予算ももう七年間も経過いたしておりますけれども、われわれの要望に対してはまだほど遠い予算しかついておらないということで、ただいまもお話のありました三分五厘の特別融資関係ともからみ合わせまして進度をはかっておりますが、まだまだ相当の分野が残っておるのであります。  そこで、土地改良はそういうふうに進んでおりますが、さてこれに対する跡地営農の問題をじっくりと施策の上にも打ち出していただきたい。これに対しまして、そういうようにせっかく農地の造成なりあるいは改良を行なっておりますが、完全なる跡地営農施策ができておらないのであります。  それから、これらの国営、県営あるいは団体営事業につきまして融資の方途を講じておりますが、これが今国会において公庫法の改正を見まして、据置期間の延長あるいはまた利子の引き下げ等の問題が出てきたということを聞きまして、具体的にまた私の所見を申し述べたいと思いますが、これはまことに農民としてまた土地改良事業をやっておる者といたしましては望んでおる立法なのでございます。ぜひともこれを一つやっていただきたいと思います。  次に、小さい問題のように思われますが、土地改良区の維持管理、財務の指導に対する基本的な指導体制の確立をはかっていただきたい。現在千葉県におきましても土地改良区の設立を見ておるものが三百三十ほどございますが、その中で、土地改良区の中に人を入れて常時これをやっておるのはその半ばにもすぎません。従って、維持管理の不徹底を来たしておる。また、財務に対しましてもこれらの不徹底がありますので、これを一つでき得ることならば取り上げていただきまして、この対策をお考え願いたいと思います。  それから、最後に、土地改良法が公法という名のもとにありますが、いざ問題を起こしてみますと、公法と私法との中間をいっておるような気がしてならないのであります。これが公法でありますれば、もう一歩公法らしい法律であってほしいというふうに考えます。団体の実際の運営に対しましても、また滞納処分の執行におきましても、そういう点が多々あります。土地改良法が戦後耕地整理法から土地改良法になりまして、その当時は相当どさくさの間に改正せられたように考えられるのでありますが、今日になりますればかなり基本的な問題についての改正を要するのじゃないかというふうに考えられるのであります。でき得るものならばこの際これらの法律を一つ徹底して改正していただきたいということでございます。  それらのこまかい問題につきましては、時間が許しますればまた申し上げますが、以上申し上げまして、ごく簡単ではございますが一応意見の陳述を終わります。
  11. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 次は藤塚太郎君にお願いいたします。
  12. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 新潟県の土地改良区の状況を申し上げます。これは不振土地改良区について申し上げます。  土地改良区の総数は、新潟県におきましては二百四十七の土地改良区がございます。ほかに連合が四ございます。その土地改良区のうちで、運営に適正を欠いておる、そのために債務の弁償に支障を来たしていると考えられますものが二十一ございます。組合費の負担が過重である、そのために支障を来たしておると考えられますものが十五ございます。災害等によって債務の弁償が困難と考えられるもの、これが三ございます。合計三十九が問題を持っておる土地改良区であり、不振土地改良区という範疇に入ると考えられるのであります。土地改良区が二百四十七のうち、三十九あるという現況でございます。  運営に適正を欠いておるというのは、これはいろいろありまして関連を持っておる問題でございますが、一つには、民主的な運営に欠けているということ。二番目には、内部の紛争がある。内部紛争が政争の具に供せられる、あるいは主導権争いであるとか名誉欲ということから役員になりたがるために紛争も起きるというようなことで、内部紛争が第二でございます。三は、会計経理の不手ぎわあるいは不明朗、不正会計経理に関する問題。四番目は、工事の不手ぎわで、これは事業計画のずさんというものも一部にはございますが、工事のやり方に問題がある。五番目には、法的手続が不備である。六番目は冗費の問題でございますが、これは調査の範囲は狭いのでございますが、それほどのことと思われぬのでございます。視察旅行とかあるいは接待費の関係等もある土地改良区もございますが、これは全般の問題ではなく、ごく少数の土地改良区にこういう問題も幾分かあるという程度でございます。  不振土地改良区の現況はおおむね以上でございますが、そういう状況の中にありまして、金融公庫の資金の延滞がどのようにあるかということでございますが、公庫の資金の借り入れにつきましては、昭和二十四年から三十四年まで、——三十四年はまだ決定しておりませんので見込みも入っておりますが、融資額が約八十九億でございます。このうち、償還に延滞を来たしておる、償還金が延滞しておるというものが、土地改良区の数におきまして九土地改良区、それから農協が二ありまして、団体といたしましては十一の団体が延滞を来たしておる。貸し付け決定になって融資を受けておりますものが総体において八十九億あるわけでございますが、延滞を来たしておるもの、土地改良区九、農協二、合わせて十一につきまして、貸し付け決定額が二億七千万円でございます。その二億七千万円のうち、延滞を来たしておるもの、延滞の元金と延滞の利子を合わせまして二千百九万九千円、約二千百万円、これは十一地区につきまして貸し付け決定額の七・八%になっております。この貸し出しの総額八十九億に対しましては〇・二四%になっております。比率から申しますと非常に小さな数字になっておるのでございますが、土地改良区の不振の状況が前に申しましたようでございますので、今後延滞を起こすおそれのあるものが若干考えられる。これは、今数的にどの程度不振地区が起こるか、延滞地区が起こるかということは申し上げられないのでございますが、今後若干延滞地区がふえる傾向にあるというふうに申し上げられると思います。  それで、延滞を起こしているところの地区につきましては、さしたる理由が認められぬのが五地区ございます。十一のうち五はさしたる理由がない。とりあえず金繰りがつかぬので延滞しておる。延滞しておりますのも、昨年の十二月、十一月の分もありますが、十二月以降がほとんどでございます。ごく最近において延滞を来たしている。一件だけが三十三年の十一月から延滞を来たしているということになっております。これは件数は三十件くらいございますが、地区といたしましては十一地区でございます。さしたる理由がないというのが五地区ございまして、あとは、負担が過重である、計画がずさんであった、工事の不手ぎわであった、会計経理の不手ぎわである、内部が不統一である、あるいは法的な手続に不備があるというようなことで延滞を生じておりますが、負担過重ということから考えられますのは一地区あるいは二地区、ごくわずかでございます。償還の問題につきましてあとで亀田郷理事長が話されると思いますが、亀田郷のように財政再建計画を立てましてそれによって償還をしておるというところもあるわけでございますが、これはそういう措置がとられましたので延滞を来たすことなく償還が行なわれておるということでございます。  それから、以上の状態に対しまして、要望でございますが、新土地改良区につきまして償還の困難と思われるところにつきましては、先ほどから出ております利子補給あるいは償還期間の延長、県営事業につきましては据置期間が五年から七年になるというように伺っておりますが、これは、県営事業におきましても十年ぐらいあるいは十年以上の期間を要するものがございますので、その間は経済効果、工事の効果があがらないということになりますので、工事期間中は据え置きにしていただくというようなことが望まれるのでございます。それから、償還が始まったものにつきましても、今回据置期間の延長の恩典といいますか、その取り扱いを受け得るようにお願いをいたしたい。それから、公庫資金貸付の限度は八〇%までとなっておりますが、その地区の状況によりまして六〇%まででよろしいという地区もございますが、一〇〇%まで限度を上げていただきたい。土地改良区の施設維持管理につきまして国庫の補助負担をお願いいたしたい。また、県といたしましては小土地改良区の統合等についても今検討いたしております。これは直接に不振土地改良区の対策ではございませんが、工事施行の場合におきまして、これは県営以上でございますが、土地代金及び離作補償料につきまして、実情に即するように、現地の実際に即するように金額を引き上げていただきたい。  以上、簡単でございますが、実情と御要望を申し上げました。
  13. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 次に小野啓介君にお願いいたします。
  14. 小野啓介

    ○小野参考人 小野でございます。静岡の連合会の職員でございます。簡単に実情を述べまして、要望を申し上げたいと思っております。  国営、県営、団体営の一貫施行ということは前からいろいろお話があるわけでございますが、静岡におきましても大井川その他やっておりますが、国営の特定土地改良事業区域に対して県営の方が非常に事業がおくれているというか、事業量が多過ぎる関係で、ぜひこれは何か継続費的な支出で施行していただくようにお願いしたいものと思っております。  それから、鉄道、国道等の新幹線が静岡県を通過されるように計画され、一部は実施の段階に入っております。東海道新幹線は農地約三百町歩程度のものが影響がありますが、これは日本の経済を伸ばす意味から言って農地がつぶれることはやむを得ないと思いますけれども、この機会にそれに関連する土地改良事業を思い切ってやっていただいて、二度と再びこういう幹線を動かしていろいろ工事をするということはほとんどできかねるものと思われますので、この点積極的にそういうことを考えてやっていただきたいと思っております。  それから、県営事業は現在十三地区、約一万八千町歩ほど施工されておるのですが、やはり、静岡の県営も、今の残年量が約十三、四年、関連する団体営事業は二六%ほどしかできておりませんので七四%ほど残っております。大体の地帯は湿田単作地帯の特殊立法地帯になっておりますが、それらの県営地区の地元負担の据置期間を、五年以内という現行法を七年以内というふうに改正されるように承っておりますが、それは工事が非常に長くかかります関係上けっこうなことと思っておりますが、要は、毎年度予算のつけ方と、それから工事の進捗に関係することでありますので、ぜひそれに合うように延長をお願いいたしたいと思っております。それから、一部ではまた、現在の五年以内という据置期間であっても三年程度で借りておるところがありまして、これは、理事者としては、次に起こるいろいろな団体営との関連事業がありますので、借りたものを早く返したいという考え方から来ておるのではないかと思っております。そういうところは、据置期間の延長も非常にけっこうでございますけれども、できれば六五%の現在の補助残融資利率を五〇%程度にしていただく方が望ましいという希望を理事長の方々から聞いておりました。そうして、また、県営事業の地元負担に対しましても、現在の地元負担の八割ではなしに十割、すなわち全額を貸していただくようにお願したい、こういうふうに存じております。  それから、公庫の貸し出しの手続でございますが、早期に簡単にできるように一つお計らい願いたいと思っております。貸付を決定いたしましても、そのまま預金の形で保管しておきまして、県営の負担金ですと、貸付残の二割を先に納付しなければ八割の融資貸付額の引き出しをしてくれない、また、団体営なら、工事のでき方を証明するものを差し出さなければ貸付額を引き出してくれないという現状でありまして、その間のつなぎ資金をまた改良区で金策をしなければならないという状態であります。補助金であっても概算払いという前払い制度ができておる現状ですから、公庫の貸付金ももう少しそういった点を緩和していただければ幸いだと思っております。  それから、土地改良区の指導の内部の問題でございますが、土地改良区の数は静岡は三十三年度末で大体二百七十八ほどあります。その内容は、償還金が多過ぎて公庫の償還に対しましても地元負担の徴収がむずかしく、維持管理に費用が非常にかかるもの、それから、職員を年間常置するだけの余裕のない改良区等があります。これらの改良区のうち、改良区自身の責任によって解決しなければならぬものは別でありますが、そうでないものは、その基準は非常にむずかしいと思いますけれども、重点的に何か指導する必要があるのじゃないかと思っております。改良区の内容が悪くなるまで放任しておいてそれから救済というよりも、積極的に改良区自体の経営内容について何か定期的に指導していく団体なりそういう機関が必要ではないかと思っております。現行法では改良区を定期的に県なり農林省の方で検査するということになっていますが、農民は経理の方は不得手な場合が多いので、その検査の結果を指摘するということの前に、もっと管理の面なり経営の面で指導体制を確立していただければ、農民の方としては非常にありがたいと思っております。この指導体制の中にはまた工事に伴う経済効果というものが考えられておりますが、これを早期に十分に発揮できるように、工事完了しましたならばその後の営農指導体制も加えて指導していただきたいと改良区側では思っております。  簡単でございますが、以上で終わります。
  15. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 最後に佐野藤三郎君にお願いします。
  16. 佐野藤三郎

    ○佐野参考人 亀田郷の佐野でございます。われわれが重大関心を持っておりますこの土地改良区問題につきまして、私どもの意見を聴取する機会を与えていただきました点、厚くお礼を申し上げる次第でございます。私は、亀田郷の今まで歩み来たった過程と現況を説明申し上げまして、いろいろとお願いをいたしたい、こう考えております。  まず、国営事業でございますが、国営事業は、昭和十七年から着工いたしまして、三十五年に完了する予定になっております。金額は三億六千万でございますが、これだけの事業で十九カ年の年月を要する、こういう事態でございます。次に、県営事業でございますが、県営事業は、事業費が三億三千万でございまして、二十五年から三十六年で完了、こういうことで、これも十二カ年間の工事継続期間という実情になっておるわけでございます。次に、団体の区画整理でございますが、これは二十三年から着工いたしまして三十年に完了しております。このような状態でありますので、先ほどからいろいろ指摘がありましたように、現在の土地改良事業の推進方というものは、国営、県営、団体営ともに非常にばらばらである、一貫性がないという点を率直に認めなければならぬのじゃないか、こう考えておるわけでございます。もちろん、私があらためて言うまでもなく、土地改良事業というのは、この生産基盤の整備強化とあわせまして経営改善合理化につながらなければその効果を期待することはできませんので、国営、県営、団体営ともに一貫した総合計画のもとでこの工事の進捗をお願いいたしたい。しかも、こうした長期の継続施工ということになりますと、その間にいろいろ臨時的な施設等も必要になって参りますし、農民の経済負担が過重になる大きな要素を含んでおると思うわけでございます。従いまして、国県関係の事業につきましては、五年もしくは最大七カ年以内に完工する、それと並行いたしまして団体事業も完了する、こういうふうに今後の事業推進をお願いいたしたい、こう考えておるわけでございます。  それから、次に、改良区の運営と経済負担の問題でございますが、これはもちろん当初の事業採択の問題と多分に密接な関連性を持つ問題であろうと思います。たとえば、私どもの改良区におきましては、全事業量に対しまして国営事業で施工を願ったのが一三%でございます。それから県営事業で施工を願っておりますのが一二%、残りの七五%というものは全部団体事業として施工されております。その七五%のうち七三%は補助対象外の仕事であります。全部小規模事業であります。こうした点からも、国、県、団体の同時完工ということと、それから、当初の事業採択の問題等々を総合的に考えまして、現在の組合費の過重負担という結果が生まれておるというふうに考えられるのでございます。  それで、亀田郷といたしましては、今まで組合費として賦課いたしました総額が十七億三千万ございます。これは反当にいたしますと約三万円、これが今まで組合費として賦課いたして参った総額でございます。それで、現在どれだけの負担をしておるかと申しますと、現在また将来相当期間は反当四千円から五千円の賦課金になります。それは、現在借り入れしておりますところの公庫資金の総額が十二億四千万でございまして、そのうち、据置期間を経過しまして元金償還に入っておりますのが一億九千七百万しかありません。従いまして、その残額の約十億というものはまだ元金償還に入っておらない、こういう状態であります。従って、今後とも、さっき申し上げましたように、反当四千円ないし五千円の負担というものは相当期間続く、こういう状態に置かれておるわけでございます。  それで、先ほども藤塚参考人からお話がありましたように、改良区におきましては、上部機関の御協力を得まして、三十三年度に再建計画を樹立したわけでございます。おかげさまで現在は大体運営につきましては軌道に乗ってきておりますけれども、残された問題点は、この過重負担をいかにして解消していくか、こういうことが大きな課題でございます。現在これだけの負担を背負いまして、郷内の農民は、全部で力をあわせて、農地を守ろう、生産を守ろうということで、文字通り歯を食いしばって努力をしております。しかしながら、現在農家経済の実情も御承知の通りでございますので、この過重な負担を解消していくために、年年負債整理あるいは生活維持費という面での農地の売買が増大してきておる、こういう実態でございます。三十二年度におきましては約二十九町歩、それから三十三年度におきましては三十五町歩。これは、それ以外の理由によって売買されておるのもありますけれども、私が現在申し上げておりますのは、負債整理あるいは生活維持という面だけでの農地の売買でございます。かような状態で年々農地を売ってようやくささえてきておる、こういう実情に立たされておるわけでございます。  そういう観点からいたしまして、私どもといたしましては、この公庫資金貸付につきましては全額利子補給を認めていただきたい。これは非常に困難な問題だと思いますけれども、将来の貿易自由化の問題とも考えあわせまして、今後の農村経済の状態を考えるとき、どうしても公庫資金貸付金に対しましては全額利子補給対象として認めていただきたい、その上に償還期間を延長していただきたい、このようにお願いいたしたいのでございます。  なお、先ほども御意見がありましたように、この施設維持管理の完璧を期する、しかもそれの効果を最大限に発揮する、また耐用年数の増大をはかる、こういう面からいたしまして、単に国営造成施設ということではなくて、大規模施設であり、しかも公共性のある施設につきましては、補助管理の道を拡大延長していただきたい。それから、次に、こうした長期間の事業、しかも大幅な事業施行をやっておりますると、その後に来るものはやはり権利確定のための換地事務という問題が発生して参りますので、それらを通算いたしました場合、三十年、四十年間の事業期間になるわけでございます。この長期の期間におきまして、経営費、事務費の維持管理費の果たす負担率というものは非常に大きなものがございますので、この事務費に対しましても事務費補助の道を開いていただきたい、こう考えておるわけでございます。  参考までに申し上げますと、現在改良区の経営費は年間大体五千四百万でございます。それから維持費におきましては年間四千五百万、こういう負担を負っておりまして、これが今後数十年間この負担の状態を続けていかなければならない、こういう点からいたしまして、施設の補助管理の拡大適用並びに事務費に対する補助の道を開いていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それから、全国数多い改良区におきまして、その実情については多種多様かと思います。しかしながら、先ほど藤塚参考人からもお話がありましたように、新潟県だけの問題につきましても決して今後楽観を許さない状態に立ち至っておると解釈いたしております。そういう点から考えまして、総合的にこの土地改良区の内容診断をやり、そうしてそれに対して適切な措置が講ぜられるよう、土地改良団体の再建整備の問題を具体的に推進し、実現さしていただきたい、このように考えておるわけでございます。  以上申し上げまして私の説明を終わりますが、なお細部にわたりましては後刻質問にお答えいたしたいと思います。
  17. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 これにて参考人各位意見の開陳は終わりました。午後参考人各位に対する質疑を行なうことといたします。  午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後一時四十二分開議
  18. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  土地改良問題について、参考人各位の御意見に対し質疑の通告があります。これを許します。石田宥全君。
  19. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 土地改良事業に関しまして本日各参考人各位の陳述を拝聴いたしまして、今日わが国における土地改良事業が年々三百億以上の予算措置が行なわれながら、地方においてはあるいは事業が年度当初計画のように進まないような問題があり、あるいはいわゆる不振土地改良区といわれるような多くの問題点を含んでおる実情にかんがみまして、われわれは今後いかなる施策を講ずべきかについて検討いたしておる次第でございますが、各参考人の陳述によってほぼその問題点が明らかにされたようでございます。  なお関連して二、三御質疑を申し上げたいと思うのでございますが、最初に安部参考人について伺いたいのでありますが、全国土地改良事業団体連合会で農林省の委託によって土地改良施設維持管理についての基準策定のために土地改良区の現況調査を行なっておられ、本日資料の配付を受けたのでありますが、この御報告のうち特に問題となる主要な問題点についてここでさらに御報告をいただきたいと思います。
  20. 阿部義正

    安部参考人 お手元に「土地改良施設維持管理基準策定調査に関する報告」というものを差し上げてございますが、この中の問題点につきまして私から御説明申し上げます。  昭和三十二年、三十三年、三十四年と、三カ年継続いたしまして農地局から委託を受けた第一回の報告でございますが、この中で特に私どもが問題といたしております点は、昭和三十三年度末におきまする土地改良区と申しますのは約一万二千余地区の土地改良区がございまして、この中で、五十町歩未満というのが約四〇%と、非常に小さい土地改良区がたくさん占めております。大きいので一万町歩以上の地区と申しますのは約二十七地区ございましてその間に百町歩以上から一万町歩以下が約六〇%を占めておるという現状でございます。この土地改良区が、組合員の数から申しますと、三百人未満のところ、——すなわち土地改良区は三百人以上の場合には総代が置けるのでございますが、三百人未満の土地改良区は全体の七〇%を占めておるのでありまして、やはり組合員の数の少ないのが非常にたくさんに分布しているということであります。それから、土地改良区の現況が、工事を伴っておるものは約三分の一、それから、維持管理ばかりやっておりますものが三分の二を占めております。  そこで、昭和三十二年度に、これは地区の数はそれぞれ地方にお願いしたのでございますが、まず職員を専門的に置いている土地改良区につきましてどのくらいの地区があるかということを調べたのでありますが、これは六ページの四表にございますように約千四百八十七地区というものが大体職員を専門に置いて維持管理がなされている地区で、これは全体の十二%に当たっておりますが、面積にいたしてみますと、一万二千余地区の面積が延べ面積で三百三十一万町歩になっておりますが、その約半分、百六十一万町歩に相当しておりますので、地区の数が非常に少なくても、面積から申しますと、維持管理が行なわれている、職員を置いてまずどうなりこうなり動いておるという土地改良区は半分、四八%が大体動いているという実態がわかるのであります。これを有給の職員一人に対しまする面積を見てみますと、全国的に一人に対しまして二百三十町歩がめんどうを見ている面積になるのでありますが、この中には、表にございますように、各県別に見ますと非常に小さいところもありますし大きいところもありますので、本日問題になっておる新潟県の場合ですと、土地改良区は平均して非常に大きいのでありますが、職員の数が相当ございますので、面積から見ますと、百二十六町歩が一人当たりの受け持ちと申しますか、そういう面積に相なっております。  次に、これらの地区に対します反当たりの決算額のこれは三カ年の平均でございます。それから反当たりの三カ年の組合費の平均を全国的に出してみますと、大体決算額は九百三十七円、組合費は五百円、この中にもやはり非常に大小こもごもございますが、平均いたしますと大体こういう数字が出て参っております。以上の調査は、これは約千五百地区に相当した調査であります。  その次の昭和三十三年度に各都道府県土地改良区の割合に精密な調査をいたした表が十二ページのところにはさんでございますが、これをごらんいただきますと、十アール当たりの一般事務費、維持管理費、工事費、償還金等がこのあげました地区に対して詳細にわかるのでありますが、これから見ましても、大体先ほど申し上げました十アール当たりの決算額と申しますのはここでは平均して約千九十七円、この中にも非常に高いのと安いのとがございます。さらに、土地改良区には相当重複している土地改良区がございますので、この表には重複の例として愛知県の例をあげてございますが、今第二番目の原稿を一応持って参っておりますので重複の例を申し上げますと、大体三十二年度の地区の中で三割というものは土地改良区が重複いたしております。従いまして、ある土地改良区の維持管理費が相当安くても、重複している場合には二重にも三重にも維持管理費がとられているということがわかるのであります。この重複の状況を調べるには相当時日を要しますので、はっきりした数字は出ませんが、一応お手元にお配りいたしまし重複の例で申しますと、愛知県の豊橋を中心としたところに牟呂用水、神野新田、牟呂吉田、豊橋西部排水と四つの地区がうしろの図面でごらんいただきますればわかりますように重複いたしておりまして、これらはなかなか大きな負担がかかっておるように見受けられるのであります。  大体問題点は以上でございまして、今後の報告でこれらをもう一そうはっきりさせる点が出て参りますので、一応お配りしました表の問題点だけを簡単に御説明申し上げました。
  21. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大へんに参考になる資料であります。本来ならばこれは農林省で相当精密な土地改良に対する診断書ともいうべきものがあるべきはずだと考えておるのでありますが、今日までそれが行なわれておらないで、全国土地改良事業団体連合会に委託調査をやられておるわけでありまして、とにかくただいまの御報告でもその一面はうかがえるわけであります。  次に安部参考人に伺いたいのでありますが、今回公庫法の一部改正案が出されまして、この改正案のうち土地改良事業に対する融資について据置期間五年を七年に延長することとしてあります。この理由としては都道府県営事業の残年量からして、三十五年度予算で七年に延長をしたわけでありますが、全国土地改良事業団体連合会でその残年量を詳細に調査をしたといわれますその内容を承りたいと思うわけであります。なおそれは後刻資料として委員会に御提出願いたいと思うのでございますが、できれば一応安部参考人の方からここで御説明願えれば幸いであります。
  22. 阿部義正

    安部参考人 公庫法の一部改正の問題につきまして、私どもの方から十年という要望書を出したのでございますが、各地方の連合会を通じまして県営事業の地区数なり関係面積、総事業費、三十四年までの事業費、三十五年以降の残事業費、それから、公庫融資の借り入れの総額、すでに償還した金額、夫償還金、それから、地区によりまして団体営が非常に関係がございますので、団体費の未完成面積と完成面積というものを一応調べたのでございますが、残念なことに北海道と青森と徳島が回答が来ておりません。これはやがて参ると思いますので、その北海道、青森、徳島を除きましたのは一応合計を持っておりますが、まだ原稿のままでございますので、これは一応まとまりましてからお手元にお配りいたしたいと思います。そこで、この三つを除きました分で申しますと、大体、地区数で三百二十五地区、関係面積で五十五万一千三百九十四町歩。それから、総事業費でございますが、八百五十四億二千六百十五万四千円、三十四年度までに一応完成とみなされる事業費が三百四十二億二千四百七十三万四千円、従いまして、今までの着工中の年平均の金額が七十二億八千八十五万八千円、これで大体約七年半かかっております。それから、三十五年度以降の残事業費でございますが、これは五百十二億百四十二万円、この残事業費を三十五年度の今参議院で御審議中の県営の事業費で割ってみますと、大体七年になります。従いまして、平均いたしますと、この七年半と七年で十四年半という数字が出て参ったわけであります。それから、公庫の借り入れ金額でございますが、総額におきまして百五十二億二千百三十三万八千円、すでに償還いたしました金額は利子を加えまして十九億八千九十八万円、この残りが大体未償還でございまして、百三十二億四千三十五万八千円。それから、県営事業の特に団体に関連のございますのが、三百二十五地区のうち百八十三地区を地方からあげておりまして、その中で団体営が完成しておりますのはパーセンテージにいたしまして約三五%、その残りの六五%はまだ団体営が未完成である、こういう現況でございます。これは一応各県別に分かれますけれども、一つあとに譲りたいと思います。
  23. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいまの各県別のものはあとで一つ資料として御提出を願いたいと思います。  それでは、次に、先ほど藤塚参考人から、いわゆる不振土地改良区というようなものがいろいろ区分けがなされまして、運営が適正でないもの、組合費の負担が過重だというもの、災害等で弁償の困難なもの等のいろいろな区別で数字をあげられたのでありますが、どうも、私ども、今おあげになったような数字から見ると、いわゆる不振土地改良区というものがきわめて少ないような感じを受けるのでありますけれども、実態は必ずしもそのようなものではないのではないか。それは、県の農地部長をやっておられまするから、表面的に現われたものとしてあるいはそういう数字になるかもしれませんけれども、実態はもっと多いのではないかということが推察されるのであります。その点については他の参考人からも触れられたのでありますが、これらの原因を藤塚参考人はそれぞれ区別されております。私どもが参考人の陳述を聞いて考えますることは、ほとんど全部の方が指摘されましたように、事業の計画設計に一貫性を持たない、国営は国営でやり、県営は県営でやり、団体は団体営でやる、ここに一番大きな原因があるであろうことは、私どもも本委員会においてしばしば指摘いたしておるのでありまして、国営事業をやるにあたって、まず計画設計が行なわれる、それに対する反当負担幾ら幾らということになって、それに基づいて土地改良区の設立についての承諾の承諾書を出させる、そこでかりに反当一万円なら一万円ということで承諾をしておって、あとで県営工事の計画設計がまた行なわれた、そこでまたそれと同額またはそれ以上の負担ということになってくれば、次に団体営が起こってくる、こういうことで、それぞれ国営の場合には必ず三段階に事業が行なわれる。そうなって参りますと、最初国営で承諾書を出して土地改良区が設立されたのでありますが、農民の人たちは国営負担分だけであとは負担がかからないという先入観念のもとに発足する、ところが、あとで、今申しましたように三段階の負担が当然かかって参ることになるわけでありまして、そういう場合にとかく農民の中から不平不満が起こって参りまして、ついに事業運営が困難に陥るというような例が全国至るところに起こっておるように考えられるのであります。この点については、政府の方でも、漸次一貫的にこれをやるようにということで、特別な事業ではありますけれども愛知用水の事業においては国営該当部分から団体営該当部分まで一貫した計画設計のもとに行なわれておるのであります。こういうふうに行なわれればかなりの部分が問題が起こらないということが考えられる。ただ、そういう関係で起こる問題もありまするし、それから、そうでなくて、いろいろな複雑な事情で、どなたでしたか、土地改良区の運営等の問題からいろいろ内紛を生ずるというようなことがあって、そしてそれがために運営がきわめて困難に陥るという例を御指摘になったわけでありますが、そういう際に、何と申しましてもやはり農民に対する土地改良事業というものの理解と納得というものがきわめて重要な要素になると思う。そういう点については、今の土地改良法から申しますると、発起人ができて、それで発起人がいろいろ計画設計をして、それが成立しないような場合にはその経費は発起人になった者が個人で負担しなければならないというようなことから、一たん計画を始めるとかなり無理をしてでも成立させなければならない、成立をはかるというようなところに、やはり説明をあいまいにしたり農民の負担を故意に過小見積もり等の説明をし納得工作をやるというような大きな原因がひそんでおるのではないかと思うのでありますが、そういう点については、少なくとも現在の土地改良法の中における設立までに至るところの経費というものは、もし設立できない場合といえどもやはり国なり県なりが負担をするということになると、もう少し適正な説明なり納得工作なりが行なわれるのではないかということを考えるのですが、これは予算面から見ても大して大きなものではないと思うものでありますが、これらについて、安部参考人、藤塚参考人に一つ御意見を伺っておきたい。
  24. 阿部義正

    安部参考人 設立経費の問題でございますが、これは現在の段階では全然国の援助もございませんし融資の道も開かれておりません。従って、金額そのものからいけば大した金額ではないと思いますが、今石田先生の御指摘の点は、私どもといたしましては、できれば融資対象にでもしていただければ、設立をいたす上からいきましても非常にけっこうなことじゃないかということも考えております。
  25. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 当初は国営の経費を持つというのが、さらに県営事業、団体事業ということによって負担経費の総額が大きくなってくるということから、経費の負担過重という点に触れられたのでありますが、そういう点は確かにあると考えますが、一つには、国営事業におきましては、工事完了後十カ年間の均等年賦償還ということで、国営工事が完了してその効果があがるというときから負担の償還が行なわれますので、時期的には県営、団体営とダブらないという点はあるわけでございます。負担経費の総額は、これは一貫作業によって大きくなりますけれども、負担いたします時期がダブらぬ面もありますので、そのために負担にたえられぬということは、一部のケースを除きましては少ないのじゃなかろうかと考えます。ただ、団体事業、国営事業あるいは県営事業が施行せられるまでに相当の時日を要する。そのために、県営事業が行なわれるまで暫定の施設をやる、そういう経費が必要になってくる。そうした経費につきましては、後日県営事業でも手のあいたときにそれが見てもらえないかというような部分ができて参ります。事業の進行に時間を要するということから、暫定的な施設、仮施設等につきまして経費を要することがありますので、負担の過重ということは考えられるのでございます。国の方の経費が順調にとれまして、早期に県営事業、国営事業が行なわれる、そうなりますと団体の区画整理等もそう待たずに行なえる。ところが、県営、国営の工業が伸び悩んでおるために団体営をやる、幹線水路等でも土水路の形で県営の事業の分まで先に団体でやるというようなことが起こる場合がございますので、工事施行のタイミングの関係から経費の負担が多く要る。あとで県営事業において見てもらえないという部分を先にやらなければならぬという点はございますけれども、国営事業は工事完了後負担が始まるということで、三事業が一緒になるために経費の負担にたえかねるという地区は、一部の地区を除きましてはそうたくさんないように考えております。
  26. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 負担の過重であるということについては、これはいろいろな角度から起こる場合があり得るわけでありますが一つは、いわゆる不振土地改良区というものの中には、先ほど関井参考人からも述べられたのでありますが、茨城県などでは補助金だけでまかない得るというような説明をして工事に着手した、それがあとでそうではなくなったために運営に行き詰まりを来たしておる地区があるというお話もあったわけでありますが、そういうようなところは、これはもちろん発起人となられる人たちは十分承知のはずでありますし、また国なり県なりの関係者もわかり切っていることなのでありますが、そういう点は十分農民にまで行き届いていないのでしょうか。その点一つ関井参考人から……。
  27. 関井仁

    ○関井参考人 茨城県の実情から申し上げますと、大体昭和二十五、六、七年あたりに出発した相当大きな土地改良区がそういうあやまちを犯しておるわけでございます。いずれも、先達となりました方々は、県会議員であるとか、あるいは村長であるとかいうような指導者の方たちでありまして、結局夫役だけで足りるのではないか、——たとえば、第一地区の例を申し上げますと、県営を目途として事業を行なったようでありますが、国から五割の補助が交付された、当時の実情から言うと県がそれに二割を補助として出した、地元が三割、だから二・五人あるいは三人程度の夫役で仕事ができるのじゃないか、補助がある、つなぎ融資が受けられるというので、順繰りに工事をやっていけば何とか農民に負担をかけなくてもできるのじゃないかというような功名心にかられまして仕事を進めてしまった。中途で大体の予想はつくわけでありますが、自分のそういう点を表面化するということをおそれまして、次第々々に深間にはまりまして、動きがとれなくなったというケースが、特に茨城県としましては多いわけでございまして、それらの救済につきまして、今連合会並びに県当局でいろいろ苦慮をいたしておるわけでございます。
  28. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは、今御説明になったのでありますけれども、国なり県なりの指導措置が十分でないところに大きな原因があるのではないかと思うのでありますが、何かそういう点でもう少し国なり県なりの方で手を尽くすべき点が最初からあったのではないかという気もするわけですが、どうでしょうか。
  29. 関井仁

    ○関井参考人 国や県の指導につきましては、当時も十分やられたように聞いておるのでありますが、結局、役員会、それから各地区から出ております。総代会、これは一応賛成をするわけでございます。ところが、末端へ入りまして、大きな改良区でございますれば、町村単位であるとか、あるいはもっとこまかに入りまして部落単位の浸透座談会というような形式で最近では末端まで徹底をさせておるわけでございますが、ところが、その当時は、食糧増産の要望が非常に強かったときでありますので、とにかくまとまればいいのだというような点がありまして、県の方の指導としましても、末端までの徹底というものはあとでもできるのではないか、出発は早くした方がいい、なるべくワクを固めて徐々に徹底させれば、初めから金はかからない、だんだんに金がかかってくるわけだからいいのではないかというような安易な考えで出発したという点で、指導に遺憾の点もあるやに聞いております。
  30. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいま安部参考人の資料に基づく説明によりますと、職員は一人に対して大体全国平均で二百三十町歩程度であるということが指摘されておるわけでありますが、農林省のものをちょっと調べたところによりますと、五十町歩未満などでは職員が全然いないというのが四千七百十一改良区ということになっております。一人以上というのが三百八十一で、二人以上というのが四十二、三人以上というのは十しかない、こういう状況で、職員が全然いないというのが圧倒的に多い。五十町歩から百町歩まで見ても、職員なしというのが千九百三十、百町歩から三百町歩まででも職員なしが千六百六十一、こういうような実情にあるようです。  そこで、その土地改良団体といってもピンからキリまでありまして、一万町歩以上の国営もあれば、市町村が施行者の場合もあり、農業協同組合の場合もある、あるいは数人で共同してやる土地改良事業もあります。従ってこういう結果になると思われるのでありますが、市町村段階または農協でやる場合、あるいは数人でやるというような場合のことを、同じ一つの土地改良法に基づいて運営をするというところに、私は非常に問題点があるのではないかと思うのでありますが、少なくとも、市町村段階以下のような場合は、これを市町村で統一してやるとか、あるいはまた、市町村の土地改良事業のみでなしに、土地改良区がほとんど全国的にできておるわけでありますから、やはりそういうところにやらすか、末端のごく小規模の土地改良事業については、従来のような行き方でなしに、これを何らか改定をする必要があるのではないかと思うのでありまするが、安部参考人に、その点について御意見がありましたら一つ伺いたいと思います。
  31. 阿部義正

    安部参考人 ただいま御指摘がございました土地改良区等の構成でございますが、これはまことに種々雑多になっておりまして、先ほども触れましたように、職員を専門に置いている地区が約一二%でありますが、面積からいけば約半分である。これは、前国会で御可決いただきました農林年金の制度によってこの農林年金そのものは強制加入でございますので、おそらく大部分土地改良区の人が加入しておるわけで、それから調べますと、専門職員のいるところが一二%です。そうすると、人がいない土地改良区というのは非常に数が多いのであります。従って今後の土地改良区の構成につきましては今御指摘のような点も十分考えねばならぬと思いますが、現在の土地改良法そのものが、土地改良区を作りますときに、一つの仕事の排水と用水がうまく合えば用排水の土地改良区ができますが、その中に耕地整理地区の土地改良区が入りましたり、土地改良自体がそういうふうな構成でできておりますので、この立法を、あるいは町村単位の土地改良区にしていくか、あるいは大きい土地改良区の中に包含さしていくかというようなことで整理しなければならぬということも私どもは考えなければいかぬと思っておりますけれども、現在のところまだ確たる構想を持ち合わせておりません。一応現況を調査して、それによりましてもう少し構想を練っていきたい、こういうふうな考えでございます。
  32. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 土地改良区に専任職員を置きまして、土地改良区におきます。事業の計画、工事の実施につきましてその体制を整えていくという方向に向かっておりますが、弱小土地改良区におきましては専任職員を置くということが事実上非常に困難である。工事施行期間が限られておる、またその職員をフルに動かすだけの仕事の運びがつかないというふうなことから、有力な土地改良区におきましては専任職員を整備するという方向に向いております。が、そこまでいかない土地改良区におきましては、県の連合会に技術者のプールができる、そういうことがだんだんに進んでおりますので、国からも設計調査費という制度によりまして土地改良区にその経費が行く、これは町村から土地改良区が委託を受けるということで、その経費が土地改良区連合会の方にいくのでございますが、それによってだんだん職員が整備されるということで、効率的に連合会に整備された職員によって土地改良事業計画実施が行なわれる、そういう方向に今新潟県の場合には向きつつございます。  それから、市町村職員の関係でございますが、町村合併によりまして、市町村が非常に大きくなって、そこに技術職員が置かれる。大きな市町村区域におきましては総合的に各種の事業が行なわれる。一つのため池を作りましても、それが工業用水にも使われる、都市の水道にも使われる、あるいは場合によったら洪水防御等のことも考えられるというようなことで、各種の事業を総合的に市等が考えるというような場合におきましては、広く市町村の職員が土地改良事業を手にかけるというような面もできてくるわけでございますが、これは全国的な現象で、市町村が有効になってきておる、そして、技術者を整備する、各種の事業が相当持続して行なわれる、土地改良の仕事も市町村の職員によって行なわれるという分もあるわけでございますが、土地改良区に専任職員を置く、置けないところは県の連合会にプールを作るといういき方と、それから、市町村役場が相当の技術職員を擁護して総合的に土地改良事業も含めてやるということでいろいろ動きがあるわけでございます。これは土地改良区の健全な育成ということからいろいろ検討を要する面があると思うのでございます。  それから、先ほど落としましたが、新潟県における場合に、不振改良区を三つの区分によって前に説明いたしましたが、不振改良区が少ないではないか、調査が十分でないのではないかという御指摘でございますが、確かにそういう点はございます。ここに掲げましたのは、県におきまして土地改良区の監査をやりますときに出てきました結果を集めましたので、その県の監査が全県下の二百四十幾つかの土地改良区全部について行なわれるということでなしに、実際の調査を待たずに取りまとめた分もだいぶございますので、実際の不振土地改良区の数は午前中に申し上げましたよりも若干多くなるであろうという点はございます。また、公庫資金の返済が延滞しておるという土地改良区は九つしがなかったという点は、これはもっと多いことになっておるかと思いますが、借りかえをやりまして——公庫の追及が相当激しく行なわれますので、農林中金金等他の金融機関から金を借りて、公庫の分だけはきちょうめんに返していくというようなこともありまして、公庫資金の延滞という面からいきますとわずかの地区しかない。実情はもう少し多いのだということになっておるかとも思います。
  33. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 先ほど関井参考人からも、経理内容が不明であるということもいわゆる不振土地改良区の原因の一つの中に含まれておるという御指摘があったのでございますが、大曽根参考人に伺いたいのでありますが、大曽根参考人からも、改良区の維持管理、それから財務の事務指導体制の確立が急務であるということが指摘されたわけでありますが、この点は、ただいま私から質問申し上げておるような専任職員の有無の問題等もありますけれども、現在、県営以上の大きな土地改良事業になりましても、その指導体制というものはほとんど農業土木の技術関係の人たちが当たっておって、短期講習くらいは受けておるかもしれぬけれども、経理専門の教育を受けておる者が少ない。あるいはほとんどいないところが多い。そういうことがかなり経理体制の中に問題点を含んでいるのではないか。かなり大きな土地改良区であっても専門の経理学校を出た職員というものはいない。そういう点については、農林省、あるいは農地事務局等においてもどうも手不足なのではなかろうか。やはり、大きな事業をやればやるほど、その経理というものが農民にとって信頼を得るかどうかの分かれ道になるわけなんであって、少なくとも県営以上の土地改良区においては、やはり経理専門の職員を置くべきではないか、同時に、農地事務局並びに農林省でもその専門の指導体制を確立することが必要ではないかということを常に考えておるわけでありますが、なかなかこれは容易に言うべくして行なわれない点であるかもしれませんが、それが行なわれないことから、今度は会計検査院等の検査というものはまたきわめて専門的な知識を持った者がやってくる、そこで、わずかなところからいわゆる不正事項の指摘というようなことがなされるのではないかと考えるのでありますが、そういう点について伺えれば一つ御意見を伺いたい。
  34. 大曽根嘉夫

    ○大曽根参考人 今御指摘の点でございますが、千葉県の県の指導体制を申し上げますれば、この土地改良関係については主管が耕地課になっておりますが、そこの現状を見ましても、十対一、事務が一で技術が十と私は考えております。そういうような土地改良区の現況でございますが、やはり、農業土木の専門といいますか、高等学校程度を終えたというような職員が最近大へん充実されてきましたが、事務的内容につきましては、過去にそういう経験があったというような方々しか入っておらない。従って、これらの事務的内容を見ましても、まことにもうお話にならないプアな関係にあるのでございます。これをしからば至急に養成いたしましてこの事務的な専門的な方々を吸収するといいましても、なかなかおいそれとは技術者以上に受け入れ態勢に困難性がある。なおまた、この事務が一般的な商業的なものではなくして特殊的なものに属するものではないかというふうに私は考えております。これは相当過去のことを申し上げるようでございますけれども、戦前のお話でございますが、農林省におきましてもこの関係につきましては県に財務指導官というものを置いた時代があるのでございます。その当時は金解禁当時でございまして、貨幣価値が急激に変動を生じたということで、今の土地改良事業、もとの耕地整理組合事業をやったのは地主さんがおもな先導者であるし、また、その企画者であったのでございますが、それらの方々も耕地整理組合をやったために財産を蕩尽したという例が非常に多いし、また、持っておった土地も、土地改良をやったたりに債務負担になって銀行に担保にとられたという実態が非常に多くなりましたので、そういうときには県の方でも財務指導というものを非常に強く考んで、財務提要なんかも農林省から出され、その当時は相当の売れ行きを示して、各指導官はそれを持って実地に指導したという過去の話もあるわけであります。今御指摘のあったように、土地改良事業が戦後非常に大きくふくらんだ半面においては、すでに千葉県におきましてもそういう声が高くなって参りましたので、先ほど藤塚参考人からもお話がありましたように、千葉県といたしましても、事務的素養を持った人たちを弱小な土地改良区にまで入れるか、あるいはまた、ここで連合会というものが発足いたしまして、これは事業を看板に掲げるという一つの体制でございますから、これらが相当な財務指導をし、また経費の持てないような小さいところについては機動的にめんどうを見ようじゃないかという気持を実は持っておるわけであります。なお、これらの方々の講習会とか、新しい角度から見たそういうようなことを年に二回なり三回なり開いて、おそまきながらも何らかの体制を至急立てなければならないという気持は十分に持っておるわけであります。そこで、これらが事業団体連合会の仕事となり、あるいは町村のそういうような人たちをもって指導するという体制の基本的な確立は、一日も早い方がいいのじゃないかと私は考えております。
  35. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、安部参考人、藤塚参考人に伺いたいと思うのですが、安部参考人提出された資料の中に、また、今問題点としても指摘されたのでありますが、ここでは三重に重複しておる。それぞれやはり事務所を持ち、それぞれ職員を置いてやっておる。それが農民の負担を過重ならしめる重大な原因の一つになっておる。新潟県などでも、三重の場合、四重の場合等もあるわけです。これは、あるいは用水と排水の関係があったり、そのうちにまたそれぞれ理由があって生まれたものではありますけれども、これはやはり同じ農民が同じ耕地において負担するところの経費でありまして、事務・人件費等は、これを統一すればかなり節約できる面があることは明らかでありますが、従来の土地改良法によれば、三重にもなり、四重にもなり、五重になることも可能だということになります。これは、やはり土地改良法改正を行ないましてその関係地域においては不均一賦課をやることを建前として統一することが可能なのではないか、あるいはまた、土地改良法改正を行なわなくとも、そういうような行政指導を行なえば、たとえば設立認可の場合、これは知事が行なうことになりますけれども、設立認可の際に、重複するような認可申請はこれを認めない、認可しない、こういうことになれば、おのずから何重にもなっておる地区の単一化が可能になるのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  36. 阿部義正

    安部参考人 ただいま御指摘の愛知県の例でありますが、ぴたっと合ったような場合は、今御指摘のような点はあるいは合同しやすい。ところが、この場合ですと、たとえばAの牟呂用水と申しますのは、その区域が一番広くて、用水を全部ここでまかなっておる。それから、Dの場合ですが、この豊橋西部排水土地改良区は下流の方の排水を重点的に扱った土地改良区であった。そこへ持って参りまして、神野新田と申しますのは、ここに書いてございますように、干拓でできた地区でございまして、それがまたこの中へ一緒に重なり合っている。なおかつ、Cのごくわずかな区画整理区域というものがここへ重なっております。こういう例が、愛知県にも、ここと別の地区でありますが、こういうような土地改良区が重なり合っておりまして、事務だけは一カ所で取り扱っておる、しかも、そのAの地域に行ったときにはAの地域から旅費なり俸給をとり、それからBの地区へ行ったときにはBの地区からその手当をもらうということでまかなっている地域が愛知県にございます。しかし、また、今度困ったことには、その一地区に専属してないために、そこの職員が農林年金の恩恵に浴さない、そういう食い違いが起きておりまして、話がわき道にそれましたけれども、なかなか職員の利害関係も出て参りますし、それから、土地改良区の理事長とか理事のポストの問題も、やはりそういうものの合同するときに問題になるファクターにもなりはしないかというふうに考えられますし、同時に土地改良区ができている場合にはまた非常にいいと思いますけれども、できた時代が違っておりますから、立法措置か何かで一緒にするような方法以外には、現在の段階では話し合いといいましてもなかなか困難ではないか、そういうふうに考えております。
  37. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 ある地域が二つにも三つにも四つにも土地改良の組織に入っている、重複している面があるという御指摘で、そういう場合には経費の負担も大きくなるということでございますが、確かに、なるべく一つの組織にまとめまして総合的に処理していくというのが建前であり理想であるというふうに考えておりますが、現実の問題といたしましては、非常に広範の地域にまたがる国営事業等の場合、二万町歩近い地域の排水改良事業、また、一万町歩を上回るような用水改良事業、これが両方とも国営で行なわれる場合に、用排水は密接の関連がありますので一つの土地改良の組織で土地改良区でやるのが望ましいことなんでございますが、現実の問題といたしますと、別々に分けた組織で運営していくというようなことも必要と認められる場合もございます。そこにまた県営の事業が入ってくる、団体の区画整理が入ってくる、こうなりますと、三つにも四つにもなる場合なきにしもあらずでございますが、建前として、また理想としては、大きな土地改良区で国営も県営も団体もやる、国営におきましても県営におきましても、用水事業、排水事業、そういうものもある広い地域につきましては一つの組織でやる、もちろんその施行地域はいろいろになりますが、関連があるということで、一つの組織でこれを統合してやるということが望ましいのでございますが、組織が二つにもなり三つにもなりましてそれで効率的に運営ができるということでございますと、必ずしも農民に課せられるところの経費が大きくなるとは限らない、そういう点もございますので、現実の問題といたしましては二つ三つの組織が重なってくるということもあり得る、避け得られない場合があるということを申し上げたいと思うのでございますが、建前は、一つの方でうまくこれを総合的に運営して、できるだけその経費を節約するという行き方であることは、申すまでもありません。
  38. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、この負担の問題と経済効果の問題との関連でありますが、新潟県などでは、ずいぶん過重と思われる負担が、たとえば反当四千円以上も年々負担というような工事または改良区がたくさんあるわけでありますが、こういうところでは、一昨年でしたか、本委員会で、経済効果と負担の限界点というものを農地局で一つ調査をして一応の標準を定めてはどうかということを申し上げたことがあるわけでありますが、こういう点で、新潟県の亀田郷で、新大の農学部に委嘱をされて、経済効果と負担の限界点というものについて一定の線を出されたことがあるわけでありますが、きょうはちょうど佐野理事長が見えておりますが、その概要を一つここで承りたいと思います。
  39. 佐野藤三郎

    ○佐野参考人 ただいまの御質問に対してお答えをいたします。  実は、昭和三十二年に、新大の現在農学部長をやっている榎本教授を介しまして、農家経済の状態土地改良費の負担限度、こういうことについての調査を願ったわけでございます。これはまだ現在継続調査中でございまして、最終結論に至っておりませんが、三十二年の一月に一応中間報告といたしまして報告がなされておりますので、それを御説明申し上げたい、こう思います。  榎本教授におきましても、どれだけが土地改良費として妥当な負担額であるか、こういう点についての答えというものはなかなか出しにくいということから、農家経済調査を通じまして、どれだけの経済余剰があるか、その経済余剰が、これは土地改良費としての負担ということに考えられるのではないかという考え方で調査を進められておるわけでございます。そこで、まず第一点といたしましては、農林省の農家経済調査を通じまして、小農、中農、大農、こういう三段階に区分し、調査を行なっております。これで小農というふうに規定しておりますのは、五反歩から一町歩までの農家を対象にして、おります。それから、一町五反から二町歩までの農家を中農というふうに規定しておるわけでございます。二町五反以上は大農であるという規定の仕方でございます。それで、二十七年から三十一年までの農林省の農家経済調査を通じて出ました答えが、小農におきましては反当三千五百九十五円、それから中農におきましては二千五百三十七円、それから大農は三千六百五十九円という結果が出まして、平均して三千百四十六円となっております。これは一つの地区だけを対象にして調査いたしておりますので普遍性がない、こういうことから、郷内の各部落を点々と抽出いたしまして、そこで今度聞き取りの方法調査をやった。ところが、その聞き取りの方法調査をいたしました結果が、先ほど申し上げました同一地区において二千二百二十二円という余剰である、こういう結果が出ておるわけでございます。さらにこの余剰額を的確にするために、生産費の面、それから土地改良によるところの増収という面、こういう点からの比較検討をいたしまして、その結果を求めておるわけでございます。その結果が、反当二千八百五十四円、これが経済余剰であるという結論が出ておりまして、この三つの見方からいたしまして、総合的に、中間報告におきましては、反当三千円というものが妥当な負担額と思われる、こういうふうに結論を出しております。
  40. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大へん参考になる数字をお聞かせいただいたわけでありますが、これは私ども別に今度は農地局長なり建設部長なりについてあとの機会でよく検討したいと思いますが、先ほど来各参考人から御意見が述べられた中に、府県営の事業の場合には事業完了後に公庫融資償還をするようにすべきであるというような意見と、従来は据え置き五年であったが、七年ぐらいでいいという意見と、十年ぐらい据え置きでないと困るという意見と、各参考人それぞれ意見が食い違っておるようでありますけれども、まあ団体営は別といたしまして、やはり府県営段階までは事業完了後において償還に入るという建前にならないと、なかなか農民は負担にたえられないと思うのでありますが、安部参考人は全国的にいろいろな事情をよく御存じでありますが、実際問題としてはどんなものでございましょうか。
  41. 阿部義正

    安部参考人 私は、冒頭に、事業完了後償還すべきだということを申し上げたのでありますが、全国的にいろいろとわれわれのところへ要望がございますのは、ただいま申し上げた線と、それから、先ほど来いろいろ問題になっております役員の公庫に対する保証の問題で、自分が役員をしていた当時に借りた金はあくまで責任だという点から、早く金を一返してもらった方がいいじゃないかという問題もからんでおって、三年ぐらいでもう償還が始まっておるところもあるようであります。また、五年から償還が始まっておるところもある。しかし、実際問題から申しますれば、県営事業がたとえばため池のような問題ですと、ほんとうに完成しなければ経済効果が出てこない。こういうようなところは全部完成しなければ償還できないのじゃないかということははっきり申し上げられると思います。それから、排水ポンプなり揚水ポンプのごとき、ポンプを据えればそれで一部利益があがっているようなところは、途中から償還に入っても差しつかえない。そこで、やはりその仕事の内容に応じまして十分に伸縮性のつくような線におきめいただくことが一番けっこうじゃないか、こういうふうに私は考えております。
  42. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、以上いろいろ参考人の陳述とそれから私の質問に対する御答弁でほぼ明らかになったと思うのでありますが、これを全国的に見て、いわゆる不振地区と称せられる事業団体がかなり多いと思うのであります。     〔丹羽(兵)委員長代理退席、委員長着席〕 それからまた、中には事業中止のやむなき状態に置かれているものもあり、あるいは、今安部参考人が指摘され、また先ほどもどなたかが御指摘になりましたように、借入金の責任が借り入れ当時の理事者の個人的な責任になるというようなことから償還にはかなり手きびしい措置がとられておるというようなことも言われておるわけでありますが、こういう不振地区といわれる地区、あるいはまた事業中止の状態の地区、あるいはまた着工までの段階になりながら着工できぬでおるというような、なかなか複雑な地区がたくさん存在すると思うのであります。そこで、私どもは、そういう不振地区においては、やはり政府が適当な一つの再建整備計画というようなものを立てまして、それによって金融の措置についても繰り延べをするなりあるいは利子補給をするなりあるいは利子の免除をするなりというような何らかの方法によりませんと、収拾のつかない土地改良団体がかなり多く存在するのではないかと考えられるのであります。まだこの的確な診断書なるものが出て参りませんから、はっきりここで数字的に指摘するわけには参りませんけれども、そういう状況のもとにおいて再建整備についての立法措置が必要なのではないかと考えるわけでありますが、これについて、亀田の地区では、農林省も乗り出して金沢の農地事務局が中心になって行なわれたようでありますが、再建整備計画が立てられて、先ほど理事長が御指摘になりましたように、それぞれ国なり県なりの方でもやはり援助体制を作る、また、改良区の方でも農民の負担についてのそれぞれの責任を明らかにする等の措置が行なわれたようでありますが、その概要をちょっと承って、あとでこの再建整備についての法的措置について安部参考人から総括的な御意見を承ることができれば幸いだと思います。
  43. 佐野藤三郎

    ○佐野参考人 それでは、われわれの地区でとっておるところの再建計画内容、経過等について説明申し上げます。  先ほども説明いたしましたように、二十数億の全事業量を実施しておりますが、そのうちの七五%は団体事業だった、しかもその七五%のうち七四%は非補助で事業を施行した、こういう実態であるわけでございます。そうした事業採択の問題とあわせまして、われわれといたしましては、やはり、この乾田化、それから基礎条件の整備という問題と、その後に来る経営改善というものを関連的に考えて問題の推進をはかりたい、こういうふうに計画を進めたわけでございます。従って、三十年の年に一応区画整理が終わっておりますので、三十一年には関係市町村が農協並びに農業委員会、それから改良普及所、それから県の関係部課長、農大の先生という範囲で亀田郷経営改善審議会というものを設立したわけでございます。そこで具体的な計画を立てまして実行に移すべく推進して参ったというような問題が重複して参りまして、なおさら経済負担率が大きくなってきている、こういう実態でございます。御承知のように、超湿田から乾田化し、営農方式が根本的に転換しなければならない。従って、それに対するところの準備資金というものも当然莫大な投資が必要とされてくるわけでございます。それで、非常に経済的に困難な情勢に入りまして、償還金の一部保留という事態にまで入ったのでございますし、内部的には二億数千万の赤字をかかえ込んだ、こういう事態に立ち至ったわけでございます。それで、金融機関の方でも、この問題の整理解決に対する強い要望もございましたし、また、行政監督機関におきましても、問題の処理について積極的に乗り出していただきまして、この綿密な内容の分析調査をいたしたわけでございます。その結果に基づきまして、三十三年六月に再建整備計画を樹立し、そして、われわれ執行者も、その線に向かって今後の運営を軌道に乗せていく、こういう非常なる決意を固めたわけでございます。これは、先ほどもちょっと説明いたしました経済負担の問題等とも総合的に考えまする場合に、この再建計画の前提が、年間徴収額二億四千万としておりますので、反当負担は四千円以上ということがこの再建計画を推進するところの前提条件になっております。従って、いかに今後の経済負担というものが過重であるかということで、非常にわれわれ改良区といたしましても十数回にわたっての討議を重ねたのでございますけれども、現在の情勢のもとではこれ以外に方法なし、こういうことで最後的な腹をきめたわけでございます。  その再建計画は、まず年間一億四千万の徴収実績を達成する、こういうことで、その中にあって、具体的には、役員の執行体制、それから事業の施行対策、それに対して財政的な対策と、この三つに区分されておるわけでございます。特に、この執行体制の中におきましては、役員の、責任と権限、こういうことを明確に出す、特にその中に、常勤役員においてはこの責任と権限を明確にして、そうして適切なる執行を推進する、こういうことを確認しておるわけでございます。それから、業務運営全般につきましては、計画的に合理化していきまして、指揮命令系統を統一すべきだ、そして内部機構の充実強化をはかるということでございます。なお、各地区に出張所を設けておりますので、この出張所の持つところの性格を明確にいたしまして、指揮命令系統の一元化をはかり、あわせまして、この常時下部組織に対するところの浸透をはかるために、計画的にしかも組織的に末端活動を推進する、こういうことでございます。この問題が、困難な段階に入りました場合きわめて重要な問題でないかと、今になっても考えられるわけであります。そのほか、この予算の統制あるいは資金統制機構を確立する。これは機構上の問題でそういう体制をとるということ。それから、事業の施行については施越し工事あるいは予算外工事をやらない、それから、今まで積極的に取り組んで参りましたところの非補助事業というものは極力これを規制する、そして必要不可分の対象事業につきましては極力補助対象事業としてこの事業を施行する、こういうことを決定しておるわけであります。そして、そのほか、財務体制の中においては、二億数千万の赤字処理をどういうふうに計画的に持っていくか、あるいは、今度それに伴いまして過年度未払いということが当然起こっておりますので、それらに対する具体的な処理ということが規定づけられたわけでございます。それが非常に困難な情勢だ、困難な問題だということはさっき申し上げました通りでございますけれども、それ以外現在の行政措置のもとでは方法がない、こういうことから、われわれといたしましても、再建計画を推進するという腹をきめまして、現在その計画に基づいて事業運営をやっておる、こういう事態でございます。  いずれにいたしましても、非常に反当負担が過重でございますので、今後できるだけの措置を講じていただきまして、この過重な負担が軽減されるように、私ども考えておるわけでございます。
  44. 阿部義正

    安部参考人 再建整備法についての賛否を言えというお話でございますが、私は、再建整備法を御提案いただくとともに、やらなければならない問題についてここに簡単に申し上げたいと思います。  それは、現在の土地改良区なるものが、先ほども触れましたように、調査地区内で完全に全施設維持管理している地区は約三分の一でございます。それから、土地改良区の中の施設の一部を農民が直接維持管理している地区、すなわち、一部は土地改良区が維持管理して、一部は受益者が維持管理を直接やっているという地区が約半分を占めております。それから、土地改良区がございましても、全然受益者が維持管理をしていない地区というものが約八%を占めております。そういうような現状をやはり十分に把握することが第一条件であります。それから、現在の土地改良区の公共的な施設には、管理なり運営を適正に行なう規定もございませんし、制度もないのでございます。従って、まずこの施設維持管理の規定と維持管理計画というものを立てまして、行政庁はその内容について十分にそれを把握する。その規定と申しますのは、やはり、施設の管理の責任者を立てるということと、それから、受益地区の受益者をはっきりさせるということと、それから、維持管理の経費なり賦課徴収というものをはっきりさせておくということが一応規定となるわけであります。それから、計画につきましては、公共施設をそれぞれ検査するとか、更新、修築するとか、利用に関する計画なり、あるいは積立金を作るとかいうような計画も一応立てまして、しかも行政庁は必要に応じまして公共施設の検査をするなりあるいは報告を求めたり、あるいは管理の責任者の資格をそれぞれ制限いたしましたり、予算なり決算を十分に承認を受けるような措置を講ずるということ。これと再建整備ということが両立していくことによってできるのじゃないか、こういうふうに私は考えております。
  45. 吉川久衛

  46. 高石幸三郎

    ○高石委員 私は土地改良についてあまり詳しいことはわかりませんので、多少的をはずれたお尋ねもあるかも存じませんが、まず安部参考人にお聞きしたいのです。  土地改良などをやるというような場合には、大体発起人を非常に信用して、県営、国営の場合は別といたしまして、やるのですね。大体その発起人のおもなる人が役員になるわけでございます。であるから保証がつく、こういうのが普通の段階です。にもかかわらずいろいろな不振事業が次々に起きてくるということで問題が起こるのだと思うのですが、先ほど、新しい役員、古い役員というお話がありましたが、現在、最初の役員だけでずっとやっている団体と、あるいは途中で役員がかわったような団体と、どのくらいの比率になっておりますか。
  47. 阿部義正

    安部参考人 ちょっとその問題は私よくわかりませんが、ただ、非常に仕事がうまくいっておりますところはそのまま継続されている。それから、先ほどもいろいろお話が出ましたように、借金の保証人になって、土地改良区がだんだん状態が悪くなっていきまして、自分は理事長なら理事長をやめたい、ところがあとのなり手がないという点に、悪いのはますます悪くなり、いいのはずっとそのまま継続されているというのが実態で、どういう割合になっているのかということは、ちょっとそこまで調査しておりません。
  48. 高石幸三郎

    ○高石委員 関井参考人にお尋ねしますが、茨城県には二百八十幾つかあるのですね。その茨城県の状況はどうですか。今お伺いした点ですね。
  49. 関井仁

    ○関井参考人 茨城県の状況を申し上げますと、土地改良区の役員は、大体改良法が改正になりまして四年の任期になったのであります。昨年の十一月から本年にかけまして改良区の役員の改選が相当数行なわれておりますが、市町村議員の選挙の影響によりまして、成績のいかんにかかわらず、総代数におきまして二割強、役員におきましてやはり三割程度の改選が徐々に行なわれつつある、その程度ずつ更新をされておるというのが現状でございます。
  50. 高石幸三郎

    ○高石委員 その場合、不振であるとかあるいは順調にいっているとかは別に、自然にそういうふうに交代しているのですね。
  51. 関井仁

    ○関井参考人 自然的に二、三割の更新が行なわれております。
  52. 高石幸三郎

    ○高石委員 それから、なお、安部参考人にお聞きしたいのですが、これもしろうとじみたことで恐縮ですけれども、常勤と非常勤の役員で一体報酬はどの程度に払われておるのか。全国的な標準というものがございますか。
  53. 阿部義正

    安部参考人 報酬の点は少し時間をいただければ調査することができます。なぜかと申しますと、農林年金に全部登録ができておりますのですが、今ちょっと常勤の役員の数を持っていると思いましたら持ってきておりませんので、後刻御説明いたします。
  54. 高石幸三郎

    ○高石委員 実は、先ほど来伺って非常に奇異な感じを抱いたわけですけれども、とにかく、団体がある以上は、賦課金も徴収しなければならぬし、あるいはまた各種の付帯事務を行なわなければならぬ、こういうようないろいろの常時の事務があるにもかかわらず、職員が一人もいないという場合には、役員がこれをやっておるのですか、あるいは他に委託しておるのですか。大体、そういった職員の設置のない団体の場合、どういうふうに運営しているのですか。
  55. 阿部義正

    安部参考人 職員の置いてない地区というものは、大体土地改良区のパーセントにしますと八八%くらい置いておりません。従って、その中には、これは率はわかりませんが、農協なり市町村が維持管理の代行を勤めておるところもございます。相当大きい地区で市町村が代行をやっておるところがございます。それから、個人の家に看板だけ掲げまして、何にも動いてない、ただ残っている仕事は償還金の未払いを払うだけの事務を理事長なら理事長が扱っておるだけであって、職員は全然扱ってないというところがあります。ですから、ほんとうに動いている土地改良区というのは、先ほどちょっと触れましたけれども、大体一二%くらい動いておる。しかし、土地改良区の延べ面積から言いますと、半分の土地改良区は動いているということでございます。
  56. 高石幸三郎

    ○高石委員 なお、関井参考人にお伺いしますが、先ほど悪い例を二つ、三つお話しなさいましたとき、二百八十幾つあると承ったのですけれども、いい方はどうですか。
  57. 関井仁

    ○関井参考人 先ほど、利子軽減の問題並びに再建整備法の問題等もございまして、悪い例を先に申し上げたわけでございます。茨城県といたしましては優良組合も相当数あるわけでございます。優良組合におきましては、大体歴史の古い組合は微動だもしていないという状況で、維持管理もよろしい、それにあわせまして建設的の改良事業も例年施行をしておる、こういう状況でございまして、特に悪い組合が、これは十五程度ございますが、戦後の食糧増産に刺激されまして、国でも大幅に土地改良費を計上いたしまして各県におきましてもこれに呼応いたしまして非常な努力をいたしましたために、ほうはいとして土地改良事業が起こったわけでございます。そうした機運に乗りまして新たに始めました組合にそういうそごを来たしておるという状況が非常に多いわけでございます。  それから、土地改良法におきまして一部改正をいたしまして何らかの措置を講じていただきたいということは、最近、市町村におきましては、年次計画をもちまして土地の交換分合を非常な勢いで推進をいたしておるわけであります。この交換分合に付随をいたしまして、従来の改良区と改良区の間にぽつぽつと抜けておる小団地があるわけであります。あるいは、改良区の中で、畑地であるとかあるいは天水田であるとかと、ぽつぽつ抜けておりまする小団地があるわけであります。それが、七町歩であるとか、あるいは十町歩であるとか、十五町歩であるとか、これは最近の意欲から言いますると非常に改良意欲が動いてきておるわけでございまして、そういう意味合いで、茨城県におきましても年々二十地区あるいは二十五地区と新たなる土地改良区が生まれつつあるわけでございますが、実際から言えばもっと大幅にできるわけでございます。ところが、非常に手続がめんどうでございます。新たな事業を起こしまして計画を県へ提出いたしまして認可を受け、補助指令を受けるという段階になりまする前に、非常な手続の困難性があるわけであります。特に有力な市町村でありますれば、技術者あるいは事務指導というものが行なわれるわけでありますが、市町村長も、そういう点にごく最近目ざめてきまして、選挙態勢から言いましても、どうしても農民のそういうめんどうを見なければならぬ、土地改良を阻害する者は選挙に当選できない、こういうような状況でございますので、最近非常に目を開いてきたというので指導をしておるのでありますが、適当な職員がない。そのために中途で指導が腰折れしてしまうというようなことから、事業ができないというので今度は関係改良区へ泣きついて参りますが、関係改良区でも、先ほど申し上げましたように、公庫の非常に厳格な融資制度等がございまして大改良区におきまして、たとえば銀行から三百万、五百万というものを手形一木で借り得る組合におきましても、そういう小事業を幾つか抱きまして自分の責任で行ないました場合に、もしもこの利子の利払いというようなことで事務的手続で遅延いたしておりますると、自分の本来の事業につきまして支障を来たすというようなことで、抱き込んでそれらを新たに加入させるか、あるいはこちらの名前で区の設定をいたしまして事業を代行してやるとかいうようなことをなかなかがえんじない、こういう結果で、そういう小団地が土地改良事業を阻まれておる、こういう現況でございますので、われわれとしましては、現在の土地改良区の役員に加うるに、その事業地区の代表者、——役員でありますが、そういう者十数名の連帯をとりまして一緒に責任を負ったならば、あるいはできるのではないか。とにかく、単なる名儀貸しということが非常にむずかしいのでございますので、資金の借り入れとか事業遂行上困難を来たしておるのでありますが、そういう人数を保証の中へ加えまして金を借りるというようなことをやったならば、あるいはそういう点も円滑化するのではないかというようなことも考えておるわけでございますが、いずれにしましても、茨城県を例にとりましても、未開発の地帯が非常に多いのでございまして、特に霞ケ浦周辺が非常におくれておりましたために、戦後開発された地帯が非常に多い。しかも効果は相当あがっておる。しかし、急速にそうした土地改良事業を行ないましたために、問題も相当数惹起をしておる。ところが、古い地帯でございますると、茨城県はほとんど徳川中期に開発されたところが多いのでございます。非常に伝統がありますので、そういう地帯の改良区は、いずれも、相当の事務所を持ち、相当数の職員を保持いたしまして、支障を来たしていない、こういうことでございますが、最近になりまして、やはり、水理の状況等が変わり、気候条件が変わり、国営による土地改良事業を鬼怒川沿岸あるいは小貝川沿岸等におきまして計画せざるを得ない、こういう状況に追い込まれておりますので、その中へたくさんの従来開発されなかった未改良の地区が包含されておるのでありますから、そういう小団地を救う処置も一つ農地局あたりで急速にお考えを願いたい、かように希望する次第でございます。
  58. 高石幸三郎

    ○高石委員 関井参考人も長く全国の町村会を御指導なさって御経験もあると思うのですが、その体験から事情をよく承るのでございますけれども、まあ、とかく、国の行政にしても、団体の皆さんとすれば、悪い部面だけを特に強調されて、悪い場合の用心をもって各種の施策を立てる、これはある意味において政治の常道かもしれませんけれども、しかし、今日のような時代になりますと、さらに、同じ法律制度においても、現実に優秀な結果をあげているそういった方のよい部面もわれわれは十分検討して、そして、どうしてこの悪くなった不振の組合なり改良区をよくするかというふうでなければならないと思うのです。典型的な悪い方だけを出されて、そしてそれを一般的な国の行政なり施策なりの面に出されるということは、どうも現在のいろんな部面においてぶつかることで、今申したようなことを痛感するのであります。  そういう見地から、また別でありますけれども、佐野参考人さんに承りたいと思うのですが、先ほど再建の事情について承ったのです。どうしてお宅の改良区がそういうふうに再建しなければならぬということに陥ったか、段階的な事情を簡単にお話し願えませんか。
  59. 佐野藤三郎

    ○佐野参考人 説明いたします。  この二億数千万円の赤字をかかえた、こういうことは、要約して言いますと、やはり内部的な問題にもある程度の原因がありましたし、それから、事業の当初、採択の際、この点にも問題があったのじゃないか。それから、さっき申しましたように、やはり経営改善の問題を含めまして改良区が中心になって積極的な推進をはかったということ。この三つが大体原因になる、こういうふうに考えます。  さっきの説明で内部的な問題について具体的に説明しておりませんので、その点をなお説明いたします。これは、御承知のように、二十七年にちょっと改良区内部で……。(高石委員「設立はいつですか」と呼ぶ)設立は、国営事業の発足が十七年です。それから、国営事業の大規模施設、これが一応完成いたしまして、統一排水の体系が二十三年に整いましたので、二十三年から今度耕地整理組合を組織して区画整理を実施して参ったわけでございます。それで、国労事業の推進とあわせて二十五年から県営事業が着工された。それで、二十六年に土地改良区に組織変更いたしまして、これに引き継がれて参ったわけでございます。その引き継ぎと前後いたしまして、やはり組合執行者に一部好ましからざる問題があったわけでございます。それが非常に大きく波及いたしまして、一十七年度はほとんどが空白状態であったという実態です。それから、二十八年度は、全国各地にいろいろ御迷惑をおかけしたと思うのですけれども、例の柏木主計官の減産問題、これは、改良区自体は直接関係はしておりませんでしたけれども、改良普及所の方の話から、土地改良をやることが即生産効果を高めるものじゃない、土地改良をやって、それに対して改良普及指導を並行していかなければだめだ、だから改良普及の予算を削減してくれるなという陳情をなしたのが、土地改良をして減産するという表現があったのか、あるいは受け取られたのか、はっきりしませんが、そういうことになりまして、土地改良事業に投資して減産しておるようなところにはもう投資できない、こういうことで、融資はストップさせられる、補助金は一応たな上げというような事態が生じたわけでございます。それで、土地改良区に組織変更いたしましてから二カ年間にわたりましてそういう不祥事態が発生いたしまして内外ともに完全に信用を失った、こういう実情でございます。従って、上部機関からはもちろんでございますが、内部的におきましても、もう土地改良区はつぶれるのだ、そういう不安定なところにおいて組合費を納入することは考えなければならない、こういう空気が全般的に起こって参ったわけでございます。ですから、その結果が組合費の未納として大幅に出てくる、しかも運営そのものはそこに挫折するというような過程を経て、そして、二十九年ごろから、ほんとうに全役員がわらじばきをいたしまして、各末端組合を指導啓蒙し、そして再建の方向に引っ張ってきた、こういう実情でございます。
  60. 高石幸三郎

    ○高石委員 そうしますと、佐野さんは何代目の理事長さんでいらっしゃるのですか。
  61. 佐野藤三郎

    ○佐野参考人 そういう混乱の中にこの執行に取り組んでおりましたので、短いのは一カ月くらいで理事長が退任しておる事態もあります。それで、土地改良区になりましてから四代目が私になります。
  62. 高石幸三郎

    ○高石委員 そうすると、この再建整備は佐野参考人によって行なわれているのですね。
  63. 佐野藤三郎

    ○佐野参考人 昭和三十年から私が理事長をしております。土地改良区になるとすぐ役員に出まして、その後、委員長を勤めて、副理事長になりましたのが二十九年で、三十年から理事長をやっております。
  64. 高石幸三郎

    ○高石委員 そこで、先ほど、それほど御苦心なさって土地改良を実行して、その実行した効果と実行しない前の状況との比較調査をお願いしたということを承ったのですが、榎本教授の調査はさることながら、実際は農家自身が一番よくわかるはずなのですね。ほんとうにわらじばきでやったとすれば、役所の調査を待たずとも、これから長い間反当三千なり四千なりのものを払っていけるかいけないかということは、その人が一番わかると思うのですが、その実例はどうなのですか。ほんとうに効果があってやれるのですか。
  65. 佐野藤三郎

    ○佐野参考人 効果は出ております。以前は非常に収量が不安定であった。それが、土地改良をやり区画整理をやりましたために、その効果は相当多く出ております。一面、地盤沈下の問題で最近新しい被害が発生してきておりますけれども、それを除く以外は、やはり効果は発生しておるという事態です。それで、私自身、こうしておりますけれども、やはり機械を使いくわを持つ百姓でございますから、私自身の経済事情からいたしましても、同じ農民の財政状態というものは痛切に感じておるわけです。かりに、一町五反歩作っておりまして、八人家族くらいで、供出を五十俵やったという場合、その米による収入というものは約二十万です。ところが、反当四千ずつの負担、——それ以上のものもありますが、四千ずつの土地改良費を取られるということになりますと、一町五反で六万円の土地改良費になります。それから、全部湿田から乾田に切りかわりましたので、それに伴う営農手段というものが全部変わってきた。そうして、耕耘機をほとんど入れ、共同で使っておるのもありますし、個人で使っておるのもありますが、その償還がやはり五、六万かかります。そうすると十二万です。それに対して肥料代、諸税がかかる。こういうことになりますと、とても生活していかれるような経済事情じゃないのです。ですから、そういうのは、もう年々悪いから、日雇いや何かの格好で農業外収入の道を求めるか、それでなければ少しでも生産を高めて所得を増すか、それとも経営合理化して所得の増大をはかるか、それでも追っつかない場合はやはり土地を手放してきていると思うのです。ですから、われわれといたしましては、土地改良をやってせっかく整理した土地を売らなければやっていけないというようなことは極力避けたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。
  66. 高石幸三郎

    ○高石委員 先ほど、三十二年度で二十町歩、あるいは三十三年度で三十五町歩お売りになったということですが、お売りになった人は、結局、全部おやめになったわけじゃなくて、一部をお売りになって、続けているという意味ですか。
  67. 佐野藤三郎

    ○佐野参考人 そうです。
  68. 高石幸三郎

    ○高石委員 それから、さらに、先ほどの再建途上の痛切な要望として、高利の利子は減免したらどうか、あるいは事務補助等を大幅にしたらいいだろという点ですが、いま少しく具体的に、なぜそういうふうにしなければならぬかわかりませんか。ただ、負担が軽くなるから、運営がしやすいからそういうふうにしろという意味ですか。
  69. 佐野藤三郎

    ○佐野参考人 この利子補給の問題は、今まで私どもが取り組んで参りました事業の扱い方、それから現在の土地改良関係予算状態ということからいたしまして、やはり相当大幅な融資事業というものが考えられるのじゃないか。そうしますと、現在そういう段階にいっておらないけれども、今の制度のままで事業を推進していった場合、われわれと同じような結果がやはり将来に起こり得るのじゃないか。従って、先生方にはいろいろ諸外国の問題、政策的な問題も御承知のことと思いますが、そういう面から考えてきましても、やはり、最初に要望をしております総合的な短期作業という事業の推進の仕方からいたしましても、やはり融資に対するところの受け持ち分野というものはやはり相当大きく考えなければならない。そういうところから考えてきまして、そういう総合的な短期間によることをわれわれが要望する以上、それに伴う経済効果と負担という面を考えました場合は、やはりこれは全額利子補給対象にしていただきたいということでございます。  それから、今度は事務費関係の補助ですが、これは、先ほども申し上げましたように、やはりこのままではどうしても負担が続かない結果になる。ですから、さっきいろいろ意見がございましたが、われわれのところでは、設計、それから調査計画、それから登記事務、これまでが全部一貫して改良区で受け持っておるわけです。ですから、現在改良区の職員は、小さなポンプ場の運転手を除きましてなお百六十数人というものを抱えてやっておるわけです。それを減員できるかというと、これは新規採用しないという線で数年しぼってきておりますので、これはぎりぎり一ぱいです。これは土地改良をやりましても本換地事務が進みませんために権利確定がなされないというような問題もたくさん出てきておる。そういうことから、今後権利確定の仕事等を続けていく場合、十数年かかる見通しでございます。そういう点からいたしましても、やはり年間五千数百万の事務費を使っていかなければならぬ。そういう点でとても負担が背負い切れないということが考えられますので、それに対する補助の道を開いていただきたい。なお、あわせまして、そこに就職しておるところの職員の身分保障という点からも考えていただきたい。こういうことでございます。
  70. 高石幸三郎

    ○高石委員 確かに、残務事務、特に登記事務というものは、土地改良にしろ、区画整理にしろ、耕地整理組合にしろ、非常に手間を食って、そしてしかも利害関係が多く、何かにつけて支障があるということについて、これはそういった整理事業に共通の問題であって、実際、それがいつまでも終わらないために組合の解散もできないし、あるいはまた団体も手がつけられないという例は、これは全般を通じてで、今後事業の年度がかりに短縮されても、この仕事で非常な手間を食う。しかも専門的な技術を要する。この点は確かに大いに研究する余地はあると思うのですけれども、そこで、藤塚参考人さんは新潟県の部長さんでいらっしゃいますけれども、先ほど関井参考人がおっしゃった通り、これから国の奨励があり、農業それ自体の体質改善から土地改良なんということはどんどん行なわれなければならぬと思うのですけれども、その認可申請が出た場合には県は一体どういうふうに処置するか、あるいは県の連合会に委託してやるのであるか、あるいは御自身がやるのであるか、ちょっと新潟県の例を聞きたいと思う。
  71. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 土地改良区設立の認可申請がありました場合には、県自体でこれを調査いたしまして認可するということをいたしております。連合会の方には別に連絡し共同で処理をするという形には今やっておりません。
  72. 高石幸三郎

    ○高石委員 そうすると、県自体が実際の認可申請の内容をお調べになっているということがあれば、いろいろな計画なり事業量なり、あるいはその上一切の事務体制なり執行体制なり、あるいは財政計画なり、十分な検討が行なわれて認可さるべきですね。それでも事情の変化によっていろいろ違いがあると思うのでございますけれども、最近の認可したものの事情というものは、認可した通りの予定でいっておりますか。
  73. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 土地改良区の設立申請につきましては、提出されました書類につきまして県におきまして調査をし、審査の上認可をするのでございます。その際、事業計画等につきましては、専門技術者を現地に派しまして、その意見を求めておりますが、細部にわたった検討というところまでいきかねる面もあるわけでございます。それで、設立後におきましていろいろ問題が提起される。事業計画につきましても、排水事業等におきまして上下流の関係とか、それから県営事業に対する施行時期の関係とか、これは事後の予算措置によっていろいろ起きてくる問題でございますが、当初の場合には、今この段階におきまして一応その事業計画等におきましても支障がない、また、設立に関するところの所定の資料、書類は整備されておる、手続は行なわれておるということによって取り扱いますので、事後におきまして必ずしもうまくいかない、その後におきましていろいろ人的関係におきまして内部紛争が起こるとか、あるいは工事の施行段階におきましても計画通り予算的な措置が講ぜられぬ場合も起こりますし、県営事業との関連、他の団体事業との関連におきまして上下流その他いろいろ支障を来たすという場合も起こっております。これは設立後の指導によりまして善処していかなければなりませんので、設立をしたからといって事後のことが一切支障なく運んでいくというのはなかなかきめられぬ問題と思います。
  74. 高石幸三郎

    ○高石委員 今の事後の指導ということは、どんなふうにやられておるのですか。県の段階におきまして設立認可後の指導というのは……。
  75. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 まず、実際の場合におきましては、地元土地改良区から問題を持ち込まれまして、それによって処理をする。こちらから問題が起こらないように事前に措置をするというところまでなかなか行き届かぬ場合があるのでございます。もちろん、現地によっては耕地出張所というものもありまして、そこで土地改良法に基づくところの事務を取り扱っておりますが、事態が支障なく進むようにということと、問題の起こらぬように十分事前に手当をするというところまで行きかねる場合がございますので、大部分の場合におきましては、問題が持ち込まれて処理をするというようなことに相なっております。
  76. 高石幸三郎

    ○高石委員 藤塚参考人の場合は、ある意味において一つの行政機関ですね。そうした場合、不振の改良区に対しまして、先ほど来お話がありました通り、利子の問題あるいは償還期間の問題、その他いろいろ要望が出たようでありますが、しかし、先ほどもちょっと触れました通り、こういう事業というものは、最も利害関係の多いのは農民自身であり、土地改良をやるそれ自身の方であって、そういった意味からすると、国に対しそういった要望をする以前に、少なくとも現段階におきまして他に不振のものに対するところの別の方策なり対策なりというものは考えられないものでしょうか、ちょっと承りたいのです。
  77. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 これまで措置は十分でございませんでしたが、今後におきまして、土地改良区の設立におきまして事業計画等をよく検討いたしまして、これは事後において問題を起こすおそれがあるというものにつきましてはマークいたしまして、特別に土地改良区の運営がよくできますように、また事業計画が支障なく遂行されますように、計画的に努力をいたしたいと思います。これまではそこまでは行き届いておりませんでした。
  78. 高石幸三郎

    ○高石委員 ちょっと関井参考人に、先ほど聞きそこなったのでありますが、八千万とか、一千万とかの未償還、こういうものに対してのその後のその改良区の方々の対策はどうなっておりますか。
  79. 関井仁

    ○関井参考人 不振区の運営の例としてあげました八千数百万あるいは一千数百万の未納を残して事業運営が停止されておる、こういう組合があるわけでございます。これは、県側でも、あるいは地元の国会議員等におきましても相当心配されまして、累次にわたりましてこの問題につきましていろいろ折衝を進めておるわけでございますが、結局一般組合員が種々反対理由を申し立てて区費を納めないという状況で、一部は排水機のポンプを担保に苦しまぎれの金融で金を借りましたために、それを差し押えをして撤去されているという改良区もあるわけでございます。なお、公庫等の借り入れにつきましては、支払い期限を経過はいたしておりますが、まだほとんど納めていない。それで、どうにも手のつけようがない、こういう状況で、検事告訴まで出ておる、裁判問題にもなっておる、こういうような複雑な状況にも至っておるわけで、これは、再建整備法等の政府の手を伸べられまして、整備体制を法の力をもってとらせるというような必要があるのじゃないかということが非常に痛感されるわけでございます。  なお、先ほど私が申し上げました小地域の改良区、たとえば、安部さんが申し上げられましたような、全国の数におきましては圧倒的多数であります事務所を持たず専任職員を持たない改良区の発生状態を考えますと、土地改良区を作るというのは農民の頭にないわけであります。事業をやりたいというのが目標でございまして、事業をするためには改良区を作らなければならぬというので、いろいろ指導を受けまして一応の書類を作成して県には出しますが、事業、たとえば灌漑排水にしましても、暗渠排水にしましても、客土にしましても、あまり大きい事業でありませんから、それが終わりますと事務的な手続はほとんどやってない。県あるいは県の出張所の土地改良事務所の職員が田んぼへ組合長を追いかけていって、あそこへ行ったここで行ったということで自転車で追いかけていかなければつかまえられない。夜分訪問してつかまえて、いろいろそういう不備の点を指摘してようよう書類を出させるという状況が茨城県下にもたくさんあるようでございまして、どうにもこうにも指導の方法が現況ではない。だから、改良法の一部を改正しまして、そういうものもあるいは統合するかどうかして、市町村単位なりあるいは大改良区の中へ、一つの条件を作って、負担の段階制を設けて、何とか包括していくというような新たな方法をとらざる限り、そういうものがたくさん開店休業しておる。しかも新しい地域で改良しなければならぬ部分が今後圧倒的多数にあるわけであります。そういう点が茨城県にもあるわけでありますが、一つお願いをしておきたい。  なお、非常にまずい点ばかり申し上げて高石先生の方からお小言をちょうだいしたわけでありますが、茨城県として、農林省並びに農地事務局に対しまして非常な感謝をしております大事業がりっぱに遂行されておる例をあげますと、新利根地区の国営事業が五千数百町歩にわたりましてみごとに完成をいたしまして、国営、県営、団体営を合わせてほとんど完成に近く、しかも効果があげられまして、各県から視察も参っておりますが、農家の経済状態が非常によろしいというので、十軒のうち大体八軒までは農村でテレビを備えつけた理想境が新利根地区におきましては建設されておるのでありまして、この点は非常に感謝をしておる次第でございます。なお、その地区の中でいろいろ上流下流と分かれておりますが、すべて内容も具備いたしまして、今後こまかく団体営的に事業を進められるように聞いておりますが、非常によくモデル地区として完成しておるわけでございます。その点は農林省に対しまして厚く御礼を申し上げます。
  80. 高石幸三郎

    ○高石委員 最後に、大曽根参考人さんにちょっとお尋ねしておきたいのですが、国、県、団体、各事業関係がアンバランスであるということはどなたも共通した訴えであります。それに対しまして、現在はそのアンバランス関係をどういうふうに調整していらっしゃるか、また、いろいろの体験からして、どうされたらいいのか、こういう点について伺いたいのです。
  81. 大曽根嘉夫

    ○大曽根参考人 例を両総の国営事業にとりまして先ほど申し上げましたが、これは、二万町歩ほどの受益地を持ちまして、国労、県営、団体営をしておりまして、国営の方はもう二年ほどで済む。それから、県営は、今の段階で申しますれば、三十八年度程度までは、これは要望でありますが、めんどう見てもらいたい。それから、さらに、団体営となりますれば、これも、一つの両総土地改良区ということでやっておるのではなくして、団体営はその中で十ほどの土地改良区におのおのその地域を分けまして工事を実施しておる段階でございます。それで、まずこの問題が不審に思われると思いますけれども、やはり、地域的に分けた方が団体営の仕事をするのに便利だということで、すでに二十五年当時に発足をいたし、その後農林省といたしまして、やはりこれは国営、県営を根幹とする施設を目的とするので区画整理事業等も一本にしぼった方がいいという御指導を受け、その後の指導は、各工区を設けまして、今団体営土地改良事業の実施に当たっておるような次第であります。  そういうようなことで、今のお話で、どういうふうにやっているかということでございますが、これは、率直に申し上げまして国営と県営はわれわれの要望にこたえられるように一つつけていただきたいということしか申し上げられない。それから、もう一つ、団体営でございますが、これは、三分五厘の低利融資の事業ができた、これとあわせまして、半々くらいで、同じ土地改良区の中でも面積を二つに分けまして、一方は補助でいく、一方は非補助でいく、それも三分五厘でいくというふうなことで、かみ合わせまして今それぞれの操作をして参っておるのでございます。これも、地区によってあるいは工区によって補助で一つめんどうを見てもらいたいというようなことを言っておりますが、そういうようなことは現状では許せないので、できるだけ三分五厘の融資事業でやるようにという勧奨をしまして、大体今残っておる事業を施行するのには半々でいこうじゃないかというようなことで、これは画一的なお話ではございませんけれども、そういうようなことで指導をし、また幹部も話し合っておるわけであります。そんな実情でございます。
  82. 高石幸三郎

    ○高石委員 いろいろお伺いすることがありますが、先ほど財務あるいは維持管理基本的な指導体制について安部参考人から大体の構想を承ったのでありますが、しかし、県段階の連合会あるいは、国段階の連合会、この方面ではそういった指導関係は現にとりつつあるのですか、あるいは何か工夫していらっしゃるのですか。お二人から一つ承りたい。
  83. 阿部義正

    安部参考人 現在の段階では全然とっておりませんです。
  84. 大曽根嘉夫

    ○大曽根参考人 現段階といたしましては、今これぞというきめ手がありませんので、とっておりません。
  85. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 先ほど高石先生からの御質問に対しまして自分のお答えが不徹底であったと思うのでございますが、これは今の問題とも関連するのでございますが、土地改良区の設立に対しましては、所定の条件が具備されております場合に、三分の二以上の同意というその内容につきましてよく検討いたしまして、これは正確に本人が同意の署名をしておる、本人の署名である、あるいはその定款につきましてもこれは別に支障はない、あるいは事業計画につきましても調査の上これについて別に問題はないというような所定の条件が具備されております場合に、県だけで認可をしております。事前に連合会の意見を聞くということはやっておりません。これは今後とも認可の段階におきましては県限りで処理をするということでよろしいと考えておりますが、設立後におきましては、連合会の方に連絡をいたしまして、連合会が設立後の土地改良区の指導に対しまして努力をするということに持っていきたいと思っております。新潟県の連合会におきましても、事務指導、経理指導、あるいは換地計画に対する指導等につきまして、講習会等の方法によりまして土地改良区に対して指導に努めておるのでございます。また、それに必要な予算も計上しておりますし、県におきましても年間二百万円ほど補助をいたしておるのございます。また連合会の方の指導によりまして、土地改良区の経理の自己監査につきまして連合会が立ち会いまして土地改良区ごとの自己監査ができるように協力をすることに相なっております。設立後の土地改良区の育成につきましては、県もある面においてはやりますけれども、主として連合会の努力に待たねばならないと考えております。県におきまして二百万円ほど補助するということは申し上げましたが、そのほか国におきましても連合会の強化につきましてはいろいろ今後とも御検討、御援助を願いたいと思っております。技術的な面につきましては、調査・設計費等がだんだんに予算化されまして連合会の方にいくようになっておりまして、それによって技術者のプールができるというようなことになっておるのでございますが、事務・経理の面の指導につきましても連合会が力を持つことができますように、今後ともいろいろな形で国からの援助によりまして連合会が強化されるようにお願いしたいと思います。連合会がその県内の土地改良区を指導する、その育成に努めるということが筋であるとも考えますので、県におきましても、大きく連合会の援助・協力を求めまして土地改良区の育成に当たっていきたいと考ております。
  86. 吉川久衛

  87. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 土地改良問題について、本日は安部参考人以下六人の方々に来ていただきまして実際に実務に携わっておられる立場からいろいろ貴重な御意見を承り、先ほど来石田委員、高石委員からそれぞれ御質疑があったわけですけれども、私は、この機会に、時間の関係もありますので簡単に数点。お伺いいたしたいと思います。  まず、土地改良問題については、申し上げるまでもなく、土地改良法に基づいて実施をされておるわけでございますけれども、実際に実務をやっておられて、すでに先ほど来質疑の中でも出ましたし、意見の中にも出たわけですが、土地改良法改正という問題について、特にどういう点をやらなければならないかという集約的な意見を一つ承りたいと思います。  御承知のように、農林省の新年度予算の編成の立て方の中で、従来食糧増産対策という費用が新しく農業生産基盤強化費というものに変わってきておるわけですが、これは、単に看板が変わったというだけでなしに、今後の農政上の問題として、特に貿易の自由化あるいは為替の自由化という影響を受ける、そういう影響下における日本農業のこれからの発展をどう考えていったらいいかという点につながるわけですが、その場合に、従来言われておる土地改良という問題ばかりでなしに、これから振興されなければならぬ酪農の問題にいたしましても、果樹その他の問題にいたしましても、そういうものを含めて、土地改良法から一歩前進をして、いわば農業生産基盤強化特別措置法といいますか、単に改良部面ばかりでなしに、農地造成あるいは草地造成、いろいろなものを含めたそういうところまで農林省内の各局のセクショナリズムを乗り越えて前進する必要もあるのじゃないか。これはむしろきょうの参考人の方々にお伺いするよりも今後の委員会における問題点として農林省の方にお伺いするのが本筋でございますけれども、とにかく、そういう新しい情勢下において、土地改良法そのものについても、あるいは土地改良法を包含したもっと大きな立場からの法改正というものも検討すべき段階に来ているのじゃないかと私は思うのですが、直接土地改良問題に参加しておられる方々として、すでに述べられておる点でもあるのですけれども、この際、集約的に、土地改良法の一改正の問題について、安部さんあるいは藤塚さん、さらにその他の方々でも特に想見があれば、皆さんから承りたいと思います。
  88. 阿部義正

    安部参考人 土地改良法改正の要点をまとめたものをきょう持って参りませんので、これは後ほどお届けすることにいたしまして、私が常々思っておりますことは、御承知のように、土地改良事業と申しますのは一団地ごとにできておりますので、たとえば、先ほども冒頭に触れたのでありますが、利根川の流域において川の水が次第になくなってきた、それぞれの土地改良区はりっぱな土地改良区であるかもしらぬけれども、一昨年でしたか全然川に下流の方は水がなくなってしまったのですが、そういうのじゃなくして、やはり土地改良法を水系別に成立できるように、たとえて申しますれば、維持管理の面において、それぞれの取り入れ口を一緒にしたような協議会とか何かそういうような形を作って、足りない水なら水でお互いに分け合うというような制度改正することが、私は一番大事な問題じゃないかと思います。それから、もう一つは、最近、間断灌漑、節水灌漑とか、いろいろ稲の栽培の方法が変わって参っております。ので、既設の取り入れ口における既得用水量と申しますのは、場合によれば、畑地灌漑が逐次発達して参りますれば、そういう方面にも水を一部さいてやっていくような立法措置もできないであろうか。要は、川の水をもっと公平に分けて、全般的に、水田では節水するかわりに畑の方にも一部まく、そういう形に土地改良法改正していきたい考えを持っております。  それから、特に、愛知用水のような問題で、上流に大きな、ダムができた。ところが、それを取り入れる取り入れ口というものは最下流にある。しかし、いまだにこの問題については下流の用水の取り入れ量というものは保障されておりません。ですから、これは、愛知用水の地元負担の建前から言えば、当然、上流のダムを開けたときには下流に水が来られるように、その途中の取り入れ口もやはり調整するような措置を講じなければならぬと思います。これが私は今の水と土地の一番大事な立法措置になってくるのではないかと思います。  その他、先ほど来触れております役員の問題、あるいは総代の員数とか、いろいろ問題が時々刻々に変わって参っております問題もあわせて考えていかなければならぬ。書いたものを持っておりませんが、大体大口でそういう措置が考えられます。
  89. 藤塚太郎

    ○藤塚参考人 今安部さんの言われました点、もっともと思っております。  それから、新潟県その他広範囲にわたりまして国営事業が施行されておるが、これを一土地改良区で受け入れて負担団体になって、二万数千町歩にわたる地域について一改良区が設立されて、末端の調整につきましては、事業所等を設けて執行機関はありますけれども、議決機関がない、広範な地域について一つの土地改良区で一切やっておるというようなケースがあるのでございまして、これは、うまく運営できればこういう方法もいいのでございますが、いろいろ末端における紛争あるいは経理の紊乱等につきまして責任を持って当たる者がない欠点もございまして、だんだんと、末端の調整地域におきましては、単位土地改良区ができて、これが大きな地域の土地改良区連合というような形になることが考えられるのでございますが、そういう方向に向かって進むケースもできてきておりますが、そういう場合におきまして、土地改良区連合が大きな力を持ち得る権限を付与するというように検討する必要があるのではなかろうか。これは自分なりの考えでございますが、そういうことを現地の実情からいろいろ考えております。  それから、これは抽象的でございますが、基本的な処理といたしましては、今農業基本法というものが農業基本問題調査会におきましていろいろ検討されておりまして、将来そういう基本法ができるということになると考えられますが、そこにおいては農業に関する問題が総合的に処理をされるということになると思いますが、そういう際に、あらゆる農業問題を総合的に処理し得るようなそういう立場、見解、観点から、土地改良法改正というものが出てくるものと考えております。
  90. 阿部義正

    安部参考人 ちょっと補足させていただきます。  もう一つ、土地改良法改正の中に、先ほど来問題になっております維持管理の規定というものを、われわれは次回の改正のときにはぜひ入れていただきたいということを考えておりますので、つけ加えて申し上げておきます。
  91. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今安部参考人あるいは藤塚参考人から述べられた御意見というのは、私が少し触れました点と関連いたしまして全く同感でございます。要するに、これからの農政の新しい方向の展望の上に立って、国土総合開発の観点から、あるいは土地の利用の区分の問題、水の総合的な利用の問題、そういうことの中においての農業のこれからの発展経過、そこでの土地改良事業の持つ重要性、こういう位置づけをして、そうして、従来のような土地改良法の一部改正という形でいくのであるか、あるいは、もっと総合した形の、発展をした、たとえば農業生産基盤強化特別措置法といいますか、そういう形に前進をするのであるかは別として、そういう方向にならなければならぬと私は思うのです。特に、国営、県営、団体営等の水系別の一貫作業ということが言われて参ったのですが、これは、水の問題について、単に農業用水ばかりじゃなしに、工業用水あるいは飲料水、いろいろな関係の競合を調整する問題と同時に、農業用水自体においてもやはり高度利用という観点から一つは出てきておると思います。実際にこれに着手してみて、どういう成果があり、さらにどういう点が欠陥として現われてきておるか、どういうふうに直していったらいいのか、こういう点について御意見があれば簡単に承りたい。
  92. 阿部義正

    安部参考人 国税、県営、団体営の問題と思いますが、現在やっております国営事業について、これは昭和三十二年の九月に計画部が一応調べたものですが、国営事業の区域内における国営事業の進度というものを大体二七%とつかんでおります。その中の県営事業が二一%、団体営は一〇%である。これは計画部が大きな資料からそういうものをつかんでおりまして、先ほど来千葉県でお話しになりました両総用水事業のごときは、これが一番食い違いが大きいのでありますが、できますれば、これらの仕事が二年くらいずれて完成していただきたいということが私らの念願でございます。ただ、御承知のように、団体営の事業と申しますのは約九五%が特殊立法区域になっておりまして、特殊立法の区域の団体営予算というのは比較的伸びが悪い。その伸びを修正するために三分五厘が伸びてきている。しかし、それによりましても、その問題について先ほど触れたのでありますが、特殊立法の法の趣旨は実行されているわけでありますが、予算の量からいきまして、大体平均して今日までで五分の一くらいしかできていないのではないか。そうしますと、国営の区域内の関連事業と申しますのは、国営が進み、県営が進んで参りましても、団体営がなかなか歩調がそろわないという点で、残る問題は、国営ができ上がって、土地改良法の九十条かで、国営事業の負担金を徴収する際に利益の限度において納めなければならないと書いてありますが、この問題につきましても、国営がだんだん完成してきますと、やはり相当問題が残ってくるのではないかと思いますので、この一貫作業というものはあくまで一つ進めていただきたいということを私ども念願いたしております。
  93. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 土地改良事業をやる場合でもそうでございますが、災害の場合の問題と関連をして、これは例年御承知のような相当な災害がありまして、これが土地改良事業等をやっておる場合にぶつかってくる。そこで、従来災害の問題のときに、たとえば委員会等で私なんかも問題にしましたのは、例の三万円以上十万円以下の小災害の場合に、自治体の場合には起債の対象になるところが、土地改良法でいうところの事業団体というものはそればかりではないので、そういう場合に、やはり実際にそういう仕事をやる団体、土地改良法に基づく事業団体のそれぞれに不均衡が起こらぬようにする立場から見て、実際の取扱い上で十分配慮すべきじゃないか、こういうことを私も従来から指摘してきておるわけであります。この際、特に土地改良等をいろいろやっておられて、災害にぶつかった場合に、十万円以上の問題は別として、小災害等の問題に関連して非常な不自由ということが私はあるのじゃないかと存じておりますが、その辺のところで特に災害復旧に関連した問題についての希望等がありましたら、この機会にお伺いしたい。
  94. 阿部義正

    安部参考人 小災害の問題につきましては、やはり災害のたびごとに問題になっております。しかし、一般土地改良と違いまして、三、五、二の比率は守られないにいたしましてもあれに近い数字が守られておりますので、比較的災害に対します私どものいろいろの要望は少ない。ただ、私どもとして要望いたしたいのは、災害関連の、たとえば地盤沈下対策とか、それから、防災ため池とか老朽ため池老朽ため池等につきましては先ほど申し上げましたが、老朽ため池は全国で二十七万カ所もあって、これは災害復旧課の調べでございますが、その中で緊急に補強を要するものが全国で約八千二百四十九カ所、この金が二百二十八億にも達しております。しかし、つきました予算から見ますと、老朽の進度の方が進んで、補強の方がだんだん後退していくという姿で、これはやはり災害の原因はため池が一番多いと思っておりますので、こういう問題についてはできるだけ皆さんの御援助をいただきたいと考えております。
  95. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 率直にお伺いいたしますけれども、土地改良事業の場合の経理上の問題というのは、従来もいろいろ指摘された問題なのですけれども、かりに戦後を例にとって全国的にながめてみて、事業費が実際に事業に使われておる比率、あるいはある程度浪費されておるであろう比率、こういうふうな点についてざっくばらんに一つお話し願えぬものでしょうか。
  96. 阿部義正

    安部参考人 なかなかむずかしい問題でございますが、私どもの団体ではなかなかそういうものを調査する機関を持っておりません。ただ、先ほども触れましたように、三十三年度と三十四年度に特定の土地改良区に対しまして五カ年にさかのぼって決算書というものを全部集めて今調査しておりますが、お手元に差し上げました資料の中に三十三年度の分はこまかく書いてございます。事務費、維持管理費、償還金、工事費、そういうものがわかるように一応調べてありまするが、ただ決算書程度のものを集めて調べている程度で、それが妥当なりやいなやということにつきましては、私どもの力ではなかなか調べられませんので、その点一つ御了承いただきたいと思います。
  97. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 実際に土地改良事業をやる場合の事務費その他の問題とも関連をして、経理の紊乱と言っては何だけれども、問題を起こしやすい要因がその辺のところにあるかどうかということは検討しなければならないかと思いますが、そういう正当に必要とするもので実際の事業計画の中では必ずしも十分織り込まれないというふうな御注文がありましたら、お伺いしたいと思います。
  98. 阿部義正

    安部参考人 お手元に差し上げております「土地改良施設維持管理基準策定調査に関する報告」というものの中の十二ページのところにはさんであります資料が、二十八年から三十二年までの過去五カ年間の一般事務費、維持管理費、工事費、償還金その他という数字をここへ出したわけでありますが、これをちょっとごらんいただきましても、冬土地改良区の十アール当たりの一般事務費にしましても、維持管理費にしましても、実に、大きいのがあり、小さいのがあり、さまざまでございます。工事費の場合におきましても、工事をやっている場合には大きいのが当たりまえでありますが、維持管理費も、維持管理方法によります。しかし、事務費等につきましてはもう少しそろってもいいのではないかというような点がございますので、この中の大きいものを拾ってみますとあるいは御指摘のような問題が出てくるのではないかと思いますが、一応ここまで調査したので精一ぱいということでございます。
  99. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 不振土地改良区のいわば再建計画という問題につきましては、先ほど来質問の中にも出ておりましたし、皆様の方のお答えもあったわけでございまして、いずれこれは、私ども、本日皆様方に来ていただきました今後の問題点の一つとして、こういうことを十分皆さんからも御意見を聞き、今後、農協の問題、漁協の問題の従来行なわれておる再建整備の問題とも関連しながら、土地改良推進の一つのいわば障害になっている不振土地改良区の問題を適正に解決しなければならぬ、こう思っておるわけですが、これは前々からの質問である程度出ておりますので、この際はこの程度にとどめたいと思います。  最後に、これは土地改良区の皆さん方にお伺いするのは適当であるかどうかということもありますが、実は、建設関係の仕事は、昭和三十四年度の場合に一兆五千億の額に上っており、昭和三十五年度の新年度では一兆八千億に上るだろう、こういうふうに言われているわけですが、その中で土地改良を初め農林関係のいろいろな仕事も含まれるわけです。私ども、こういう場合に、直轄でやる場合、あるいは建設業者にまかせる場合、こういう場合の特に請負に委託する場合の管理・監督・指導、あるいは、皆さんの側から見た場合に、地元業者あるいはよそから来る大きな業者、こういう場合の具体的な調整ということが非常に大きな問題になるのじゃないかと思う。一つは、やはり大きな建設関係のものが全体の仕事のほとんど大半を握っていて、中小等の七万近くの建設関係の方はなかなか仕事が当たらぬ、こういう問題も一つの大きな問題になるわけですけれども、具体的に皆さん方が仕事を実際にやっておられて、こういう仕事の担当の部面は直接間接関係があるわけですけれども、どういうふうに調整をされるのが一番いいのであるか、あるいはどういう指導・監督の形態がいいのであるか、こういう点について御意見があったら一つ承りたい。
  100. 阿部義正

    安部参考人 これは、ずっと前ですが、足鹿先生からもそういうお話を承りまして、ちょうどその際には連合会ができておりませんでしたが、戦前の土地改良事業と申しますのは夫役でやりましたのが相当多かったわけであります。しかし、戦後におきましては業者の仕事が非常に多くなってきた。しかし、特に土地改良区が仕事をする団体の場合におきましては、やはり依然として夫役の仕事がまだ相当行なわれております。ただ、農民のやる仕事の関係から、会計検査院の検査等におきまして、書類の作成とか、そういうものに非常に苦心をしております。従いまして、私どもが考えておりますのは、連合会の体制というものが事務的に技術的にある程度整備がつきますれば、農民は夫役と資材を出すことによって、土地改良事業が円満にやっていける。ただ、特殊技術を要するような仕事につきましては、これは別問題でございます。それから、最近の情勢は、連合会がブルを相当持ち出しまして、災害復旧なり、あるいは開墾作業なり、それから維持管理面にブルを動かしておりまして、これが逐次そういう機械の数がふえていっておりますので、連合会という法人がやることによって非常に安く仕事ができるようになりますので、今後もう少し連合会の整備ができますれば、一番安い金で着実な仕事ができるというように私考えております。
  101. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 土地改良の問題では参考人の皆さんにお伺いしたいこともたくさんありますけれども、時間の関係もありますし、また、これは後ほど農林省を中心にいたしまして委員会でいろいろ検討しなければならぬ問題ですから、本日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  102. 吉川久衛

    吉川委員長 本件に関する調査は、本日はこの程度にとどめます。  参考人各位には長時間にわたり本委員会調査に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げる次第でございます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会