○関井
参考人 参考人として発言の機会をいただきましてありがとうございます。茨城県
土地改良事業推進の現況におきまして最も
問題点となっております
土地改良区の概況を申し上げます。
現在正常運営をいたしております改良区におきましても、事業遂行上過重化されつつありますところの公庫融
資金の金利の引き下げの問題、期間の据え置きの延長の問題、または取り扱い事務の簡略化の件、なお、不振
組合の再建整備
措置を設定いたしまして、
政府の救済
対策の樹立を早急にお願いしたい、これらの点を申し上げたいと思うのであります。
戦後、茨城県におきましても、重点事業といたしまして
土地改良事業を強力に推進をいたしましたために、
関係長家の自覚と相待ちまして、
農業経営の
基盤となりますこの種事業の必要性はますます高まりまして、事業実施の要望は非常に強くなったのでございます。現在
土地改良区の設立地区は二百八十七地区、さらに年々地区数が増大いたしまして、平均二十地区
程度の
増加を見ておる現況でございます。しかし、これらの
昭和二十六年から二十八年当時に実施をされました
土地改良区事業の中で、新しい
土地改良法の理想を誤りまして、その
組合運営の円滑を欠き、しこうして、内部紛争を惹起いたしまして、
組合員多数の完成希望を無視いたしまして、せっかくの事業も半ばで挫折をしておる、さらにまた、事業の
債務の返債にあたりましてもその地区の各種の事情のためにきわめて困難な状況に縫着しておる
組合が相当数あるのでございます。
二百八十七地区中、二、三の悪い点を申し上げまして御
説明したいと思うのでありますが、改良区の名前の発表につきましては非常にちゅうちょをいたしたのでございますが、けさほど来県選出の方々にも御相談を申し上げまして、率直に申し上げた方がいいのではないかというような御
意見もございましたのではなはだ申しにくいのでございますが、申し上げさせていただきます。
霞南
土地改良区というのがございまして、第一工区、第二工区、第三工区、第四工区で霞ケ浦に面しました面積八百五十一町歩、
組合員が七百五十六名、
昭和二十七年の三月三十一日に設立をいたしました
土地改良区でございまして、灌漑排水
施設、区画整理、客土堰堤の
災害復旧、これを
昭和二十五
年度より実施をいたしまして、事業費が、補助
対象土地改良関係一億一千二百万余でございます。
災害関係が一億一千六百万余でございます。
長期借入をなしまして、
昭和三十二
年度に一応工事を完了いたしまして、
昭和三十三年三月に第三工区におきまして、茨城相互銀行より借入をいたしました二百万円の
償還金に充てるべく、暫定賦課を反当三千円いたしたのでございますが、
組合員からは、夫役に相当出ておるのに賦課金が高過ぎる、借入金の使途が不明である、
経理の
内容を具体的に公表せよという強い主張が起こりました。しかし、
理事者は、決算書の通りである、これ以上明らかにできないということを強く主張いたしましたために、
組合員は、
昭和三十三年三月、水戸地検土浦支部に公正証書の不実記載、背任横領容疑で告訴を
提出いたしたのであります。その後、県あるいは
関係の国
会議員の仲介で、話が手間取りましたけれども、解決いたしまして、現在ようやく二百万円は一応支弁をしたのでございます。その後、事務所も閉鎖をいたしまして、八千三百五十三万余の
元金負債を残しまして、非常な紛争を起こしておるのでございます。
問題点は、執行者と
組合員の離間、事業担当金に対する
理事者の趣旨
説明の徹底に欠けている点がある、土地の
条件が非常に悪く、改良に
多額の
資金を要するというような原因で、これらの問題が壁に突き当たっておるわけでございます。なお、
理事者の交迭の問題でございますが
債務保証の件が問題になっておるのでありまして、現
理事者だけで八千余万円の保証をいたしておるのでありますが、後任役員でこれが全部責任を負ってくれるならば退陣してもよろしい、しかし、前役員だけで莫大な保証をいたしまして、後任役員が勝手な行動をとるということでは、絶対に退陣はできない、こういうようなことで壁に突き当たっておるわけであります。
次は、稲敷郡桜川村の改良区でございますが、湖岸に築堤工事をして、排水機を設置いたしまして、築堤内の湛水を排除して水害を防除するために、工事費が二千百八十四万八千円で、一千百九十万円の
農林漁業資金の
融資を受けて、
昭和二十六
年度に着工いたしまして、
昭和二十七
年度に完了したのでございますが、約定
償還金の延滞督促によりまして総会を開いたところが、
組合員が工事費の負担を否決したことが原因となりまして紛争を起こしまして、
理事長がこれが解決のために再三総会を招集いたしたのでありますが、総会が成立しない。
昭和三十年
理事者のうち両名が死亡をした。しかもこれは巷間伝えるところによればこの問題のために自殺をしたということになっておるのでありまして、実に容易ならざる問題でございます。なお、
昭和二十六年になりまして、
融資借入金の一部を
償還するために
個人の製作所より機場のエンジン二基を担保に
昭和二十九年九月に金を借用いたしたのでございますが、返済期までに返済しないために、
債権承継人の某商事より
理事長を相手といたしまして担保物件引き渡しの訴訟が起こされまして、
昭和三十年の十二月の二十四日に引き渡しの判決を受けまして、この機場は使用不能になった、こういう現況にあるのでございます。
これも、原因は、事業に対する趣旨の不徹底、執行部に対する不信、あるいは新執行部の再建が非常に困難であった、また、
組合員以外の他団体の反対の支援というような問題が輻輳いたしておるのでございます。その後、総会は、
昭和三十年、三十一年にわたりまして十三回行なわれておりますが、毎回十名
程度の
出席で、ほとんど流会になっている、こういう現況でございます。しかも、
農林漁業資金の借入額の一千百九十万円につきましては、わずかに八十五万円余を返済しただけで、一千百四万四千七百三十円の未払いが残っておるわけでございまして、そのまま閉鎖状況にありまして、意欲がありましても何とも動かし得ない状況にあるわけでございます。
なおもう一カ所あるのでございますが、大体同様でございますので省略をいたしたいと思うのでございます。
こうした特に不振の
組合に対しましては、指導に当たりました方々の
説明の不徹底、また、政治的の意味合いをもちまして、非常に安く補助金で仕事をしてやるのだというような、背の
土地改良関係の耕整
組合法時代のような考えをもちまして封建的な指導をいたしましたためにこういう結果になったのではないかと思います。これらに対しまして、とにかく多くの農民が苦しんでおるわけでございます。しかもある
組合におきましては、工事の成績はあがり、八、九分の実績をもちまして、
生産効果もあがっておるが、公庫
償還金について支払い不能の問題を起こしておる、こういうのでございます。これは県だけの力をもちましては救済がとうてい不可能でございますので、ぜひとも
政府の新たなる救済
施策をお願いしたいと思います。
なお、
一般的の
利率の引き下げにつきましては、公庫法によりますと現在六分五厘でございまするが、これを五分
程度に引き下げを特にお願いしたい。
それから、補助の据え置きが五年以内でございまするが、大
部分の
組合におきましては
理事間の共同保証の責任がございまするので、なるべく早く返したい、こういう考えで、事業と見合った計算をせずに、二年あるいは三年というような無理な返済
方法——
据置期間を短縮しておるのでありまして、これが必ずしも実態に即応はしておらない。
個人保証の
関係がありまするので、従来の役員の任期が二カ年でございまするので、なるべく自分の任期中に返済したい、こういうところから出ておるのではないかと思います。
それから、非補助事業に対しましては、五分の
利率でございまして、期間が三年でございまするが、これを五年据え置き
程度にお願いをしたい。それから、
償還期間が前者は十五年であり後者は十年でございます。これらはなるべく延長をいたしていただきたい。かようにお願いをしたいのであります。
なお、三十四
年度に設定をいたされました経済
基盤強化
資金によります
資金六十億によりまして三分五厘の救済
融資があるのでありますが、この恩典に浴しておりまするものは国・県営の末端事業と農道の事業だけでございまして、
一般事業面にも広く適用でき得るような
措置も講じていただきたい。しかし、これを全面に及ぼすということは
資金の
関係上とうていできませんので、前に申し上げましたような公庫
融資の
一般融資面の
利率の引き下げと
据置期間の延長、これをお願いしておるのであります。
なお、公庫業務の取り扱いにつきましては、借入金の保証は役員全員の
個人保証になっておるのであります。
償還完了までは責任を負っておるのであります。新たに役員となりましても、その改良区の最も重要な事業に対しましては、それが八割あるいは九割遂行されました場合には新たなる役員は責任を負っていないのであります。ここにいろいろ問題等ができますると、現在の役員は責任はない。しかも強制執行あるいはいろいろの法的責任を五年あるいは十年前に引退をいたしました役員が背負うということになっておりますので、新たに役員に就任をいたした者は前役員にあわせまして責任負担を負うような
措置を講じましたならば、
組合間の問題も相当数解消できるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。
なお、公庫におきましては、
延滞金があります場合には絶対に新たなる貸し出しをしない、こういう態度をとっておるのであります。これは公庫の建前としては当然ではありますが、あまりにもこれを固執いたしまするために、事業上非常な支障を及ぼす例が多々あるのでございます。特に、公庫の
融資について、人間としての感覚で物事を処するならば、信用のあるりっぱな
組合に、事務の手続の遅延あるいは改良区の中の一部の事業所の利息の一万円や五千円の延納のために、
年度末の事業に面しまして相当量の金を借りなければ事業遂行ができないというような場合に、二日か三日に迫りまして、五千円、三千円の延納があるからこの書類は却下するというような態度をもって望むというようなことが間々あるのでありまして、そういう点は、法規でなくその人の運用にあると思いますので、公庫の反省をお願いしたいと思うのであります。
以上、簡単でございまするが、非常に混乱しておる
組合の
実情を申し上げまして、再建整備法の設定等につきましても国会におきまして今後御研究を願い、特に、当面の問題といたしましては、
利子の軽減と
据置期間の延長を強くお願いを申し上げまして、陳述を終わらせていただきます。