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白石説明員 収穫物の収入金額を算定する場合におきまして、収穫時の数地を押えまして、そうして価格を乗じまして、収益金額を算定するわけでございますが、その場合に、政府売り渡し米につきましては、これは
農林省の方で
一つ一つ等級の検査をされまして、何等級が幾らというようになされますので、これははっきりと
数字が出てくるわけでございます。これに対しまして、保有米の方につきましては、そのような
調査が的確に行なわれないという
関係で、これをどのように見るか。一体何等米が幾ら残っておる、こう見るか、これは非常にむずかしい問題であろうかと思います。普通の税務のやり方といたしましては、一方に的確なる資料がある、他方においては的確な資料がない、よるべきところがない、こういう場合におきましては、一方に存するところの的確な資料をくつがえすような反証がない限り、その資料にそのままよるというのが普通の
考え方ではなかろうかと思うわけでございます。従いまして、
農林省の方がお買い上げになるところの検査の等級別の数量というものがありまするから、普通の
考え方からしますれば、保有米の方もそれと同じように見るというのが普通の
考え方であろうかと思うわけでございます。従いまして、従来は大体そのような
考え方で進んでおったようでございますが、二十六年でございますか、二十五年でございますか、私実は詳細承知しておりませんが、そのころ何か少し秋ごろ天候が悪かった、そういうときがあったそうでございます。従いまして、
農家の方はでき上がったものをさっさと政府に売り渡した、天候が悪かったから後のものは少し悪かった、悪かったから悪くなったものが保有米として残っている、だから政府売り渡し米と保有米とは品質の差がある、こういう御主張があった。従いまして、こちらの方は、いろいろ
検討いたしまして、なるほどそういうこともあり得たであろうという判断のもとに、若干保有米についてしんしゃくをしようということを言ったわけでございます。そのときの
考え方といたしましては、等級は五等級まであるわけでありますが、四等級の一割程度のものが五等級になるもの、
——ちょっと言葉が不足いたしましたが、政府に売り渡しましたものの等級別の数量を出しまして、その政府に売り渡しました中の四等級の一割を五等級になるものといたしまして、それだけ格下げいたしまして、そうして全体の加重
平均をとりまして、これを保有米だ、かように推定いたしたわけでございます。従いまして、この
考え方は、そういった特別の事情がない場合におきましてはもとに戻すべきものじゃなかろうかという
考え方が当時としてはあったわけであります。しかし、やはり、一度そういう方針をとりますと、またこれをくつがえすようなこともなかなか資料的には出て参りませんで、その後その方針をとりまして、四等級の一割を五等級に格下げをして、全体の加重
平均をとってみますと、全体で大体〇・三%くらいの
比率に妥当するものになるということになりましたので、自後〇・三%というしんしゃくをやるということで今日に至っておるというのが
実情でございます。
そこで、今申し上げましたような
意見も一方にあるわけでございますが、現状におきましてと〇三・%というものをまた再
検討すべきではないかということを再三御
意見といたしまして最近承っておるわけでございますが、これにつきまして、ただいままで私ども考えておりますることは、やはり的確な資料に基づいてもう少し確実なものになすべきだと思うわけでございますが、これは
調査といたしましても非常に困難だということは
石田委員も御了承願えるわけだと思うのであります。そういったわけで的確な資料もなかなか出にくい。他面、大数観察といたしまして、私どもがただいま考えてみますと、それを採用いたしましたその後でございまするが、二十九年あるいは三十年ごろの
農林省の買い上げになっておりまする等級というものを見てみますと、三等級は四九・三%、四等級は四三・九%、それから五等級が二・四%、これが三十年産米につきましての数量になっておるわけでございます。この数量がその後漸次変化しておるわけでございます。四等級の四三・九%というのが、最近の実績を見ますと、三十三年では二二・五%に下がっておる。そうしまして、二等級の三・八%というのが二三・二%に上がっておるわけであります。つまり、だんだん上位等級の
比率が多くなりまして、下位等級の
比率が少なくなっております。従いまして、全体といたしまして米価はそれだけ高くなっておる、こういうことに相なるわけでございます。そうしますと、〇・三という
数字は全体の米価にぶっかけておりますから、そのしんしゃくは実質的には相当上昇しておる、かように相なるわけでございます。全体の米価の加重
平均でやっておったわけでありますから、全体が売り渡し米の価格がずっと上昇いたしておりますから、従いまして、その上昇した、高くなった価格に〇・三をぶっかけておりますから、絶対額は相当ふえておる。だから、その〇・三は、もし厳密な意味で申し上げますれば、むしろ下げなければならぬ、当時と同じ
比率をもってやりますれば〇・三を引き下げるべきだという
議論も出てくる可能性があるわけでございますが、そういう点も織りまぜまして、今直ちにこの点を再
検討するような資料も他面ないというようなことで、据え置きにいたしておるという
状況でございます。
なお、蛇足かと思いますけれども、くず米の
調査というようなことが
農林省関係であるようでございますが、このようなくず米の
調査からいたしましても、二十九年ごろ八・九%でありましたのが、最近は五・六%というように下がっておりまして、相当くず米の率も低下しておる、こういう点も織りまぜまして、現在のところで相当妥当なものではなかろうかというように考えておる次第でございます。