運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-02-16 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十六日(火曜日)各会派割当数 変更後の本委員は、次の通りである。    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 角屋堅次郎君    理事 芳賀  貢君 理事 小平  忠君       安倍晋太郎君    今井  耕君       加藤常太郎君    金子 岩三君       金丸  信君    倉成  正君       坂田 英一君    笹山茂太郎君       田邉 國男君    高石幸三郎君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       野原 正勝君    福永 健司君       松岡嘉兵衛君    松田 鐵藏君       三和 精一君    森   清君       八木 徹雄君    赤路 友藏君      茜ケ久保重光君    足鹿  覺君       石田 宥全君    中澤 茂一君       西村 関一君    日野 吉夫君       松浦 定義君    山田 長司君       神田 大作君    小松信太郎君       中村 時雄君 ――――――――――――――――――――― 昭和三十五年二月十六日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 角屋堅次郎君    理事 芳賀  貢君 理事 小平  忠君       天野 光晴君    今井  耕君       倉成  正君    田邉 國男君       高石幸三郎君    綱島 正興君       松岡嘉兵衛君    八木 徹雄君       赤路 友藏君   茜ケ久保重光君       中澤 茂一君    西村 関一君       日野 吉夫君    山田 長司君       神田 大作君    小松信太郎君       中村 時雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 福田 赳夫君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 二月十二日  委員保岡武久辞任につき、その補欠として森  清君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員福永健司辞任につき、その補欠として天  野光晴君が議長指名委員に選任された。 同日  赤路友藏君が理事辞任した。 同日  理事石田宥全君同日理事辞任につき、その補欠  として角屋堅次郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月十二日  漁船損害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第四三号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四四号)  果樹農業振興特別措置法案内閣提出第四五  号)  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第四六号) 同日  甘しよ害虫緊急防除に関する請願池田清志君  紹介)(第二五号)  国有林用苗木買上げに関する請願橋本正之君  紹介)(第三三号)  林業苗法の一部改正に関する請願橋本正之君  紹介)(第三四号)  北海道大野地総合かんがい排水事業計画変更  に関する請願外四百四十五件(志賀義雄君紹  介)(第五一号)  大豆輸入等に関する臨時措置に関する法律案  反対請願鍛冶良作君外一名紹介)(第八〇  号)  同(岩本信行紹介)(第一一二号)  同(内藤隆紹介)(第一一三号)  大豆輸入方式の食管瞬間タッチ制度採用反対に  関する請願齋藤邦吉紹介)(第八一号)  めん羊事業振興特別措置法制定に関する請願(  濱田幸雄紹介)(第一一一号)  県外移出米助成金交付に関する法律制定促進に  関する請願中澤茂一紹介)(第一四六号)  同(松平忠久紹介)(第一四七号)  治山事業特別会計制度創設に関する請願中澤  茂一紹介)(第一四八号)  同(松平忠久紹介)(第一四九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任の件  理事の互選  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。この際、理事辞任についてお諮りいたします。すなわち、理事赤路友藏君及び石田有全君よりそれぞれ理事辞任いたしたき旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認め、赤路友藏君及び石田宥全君理事辞任を許可することといたします。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事補欠選任に関しましては委員長において指名いたしたいと存じますか、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認めます。  よって、理事角屋堅次郎君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 吉川久衛

    吉川委員長 福田農林大臣より農政に関する所信の表明を承りたいと思います。福田農林大臣
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 今国会に提出いたします農林関係予算案及び法律案につき、皆様の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、予算案の編成及び法律案の基本となりました農林水産行政重点的方針につきましてその概要を申し上げたいと存じます。  まず、本年度の農林水産行政について申し上げるにあたり、昨年度のわが国農林漁業生産の推移を振り返ってみますと、御承知の通り、昨年は伊勢湾台風等の天災により一部地域につきましては甚大なる被害をこうむったわけでありますが、それにもかかわらず、農林漁業全体といたしましては、三十年をもしのぐ史上空前の米の豊作を初めとし、全体としての生産の伸展により、年度当初の予測を上回る高い成長率を確保し得たわけでありまして、このことが他方最近における国民経済の高度の安定的成長に資したことをあわせ考えますと、まことに御同慶にたえないところでありまして、本年度も皆様の御協力のもとに引き続き各般の施策よろしきを得て農林漁業の高い成長を確保しなければならぬと存ずるのであります。さて、農林水産行政の今後の長期にわたる基本的施策につきましては、御承知の通り、昨年から発足いたしました農林漁業基本問題調査会において目下鋭意慎重に調査審議を重ねておりますので、政府といたしましては、答申を得次第、長期にわたる農林水産行政基本方針の樹立とその実施について所要の措置を講ずることとなるわけであります。政府といたしましては、このような農林水産行政基本方針に関する検討の基本的方向に即しつつ、農林漁業と他産業との所得較差の是正を目途としてわが国農林水産業体質改善に促進し、かつ、いわゆる曲り角に来た農政につき新たな方策の萌芽を見出すことに努め、三十五年度の予算案の編成及び法律案の立案をいたすこととした次第であります。すなわち、生産性の向上を目途とし、生産基盤強化拡充経営合理化、流通の改善等の諸施策におきまして従来の施策に加え新規施策を積極的に推進いたすとともに、あわせて、立ちおくれた農山漁村環境改善等振興方策及び農山漁村の過剰な就業人口対策に特に意を用いることといたしました。また、一方、昨年の激甚なる災害にかんがみまして、国土保全対策の推進と災害の急速なる復旧をはかるため、総合的な治山治水計画に基づく治山事業その他の防災事業及び災害復旧事業を強力に実施することといたしました。  次に施策の重点につきましてその概要を申し上げます。  重点の第一は、長期的観点に立って農林漁業基盤整備強化を推進することであります。  まず、農業につきましては、土地改良事業開墾事業干拓事業等計画的実施を推進することといたしておりますが、土地改良、開墾、干拓事業を通じて農業の基盤を整備する事業としての性格を明確化するため、三十五年度予算案におきましては、従来の食糧増産対策費の名称を農業基盤整備費と改め、名実ともに本事業の充実をはかることといたしました。  土地改良事実につきましては、重要水系における国営、県営、団体営の各事業進捗度を是正し、事業効果早期発現を期し得るよう配慮することとしておりますが、国営事業につきましては、特定土地改良工事特別会計事業計画年次内の完成を期するとともに、一般国土地改良事業におきましても、事業効率的促進をはかる一方、これと関連する都道府県営土地改良事業早期完成を期するよう考慮いたしております。団体営土地改良事業につきましては、積寒、湿田、急傾斜等特殊立法地帯振興計画早期達成を目途とし、非補助小団地等土地改良事業融資ワクの増額と相待って補助事業の拡充をはかることといたしました。  干拓事業につきましては、特定土地改良工事特別会計における事業計画期間内の完成をはかるとともに、伊勢湾台風の惨禍にかんがみ、災害復旧事業等とあわせて干拓地保全措置を講ずることといたしました。  また、愛知用水事業八郎潟干拓事業等の大規模開発事業につきましては、その計画期間内完成を期しております。  次に、開拓事業につきましては、既入植開拓地における営農の安定と環境の整備に重点を置き、関墾建設工事開拓地改良事業等を促進するとともに、別途、不振開拓地営農安定対策強化するとといたしております。  なお、土地改良、開墾及び干拓事業の基礎となる調査計画整備をはかるとともに、特に、将来の土地改良事業等の指針を確立するために、本年度から新たに農地開発可能地調査に着手することといたしました。  次に、治山、造林、林道事業につきましては、将来の木材需要の見通しに即応して森林資源育成開発に努めますとともに、特に治山事業業につきましては、国土保全災害防止の見地から、その施策画期的強化をはかるため、治水計画と相待って長期治山計画を定め、これに基づき事業計画的推進をはかることといたしました。このため、国有林野事業特別会計治山勘定を設け、直轄事業及び補助事業をこの勘定において一元的計画的に運営することといたしました。また、保安林につきましては、災害等により保安林機能の低下した個所に対して新たに保安林改良事業を実施することといたしました。  造林事業につきましては、前年度に引き続き、農林漁業金融公庫に対する一般会計からの出資による融資造林事業を含めて事業量の拡充をはかり、また、林道事業につきましても、奥地林道の開発に重点を置き、林道網整備をはかるとともに、新たに林道改良事業を実施することといたしました。  次に、漁業生産基盤強化につきましては、漁港整備計画に基づき漁港修築事業局部改良事業とあわせて計画的に推進することといたしております。  重点の第二といたしましては、内外における農産物需給の動向に即応しつつ農業経営近代化とその企業的育成をはかることを目標として、後進部門である畑作の改善と、成長部門である園芸及び畜産の振興をはかることに重点を置くことにいたしました。  まず、従来に引き続き水稲生産力安定向上をはかるとともに、前年度に着手した畑土壌線虫防除事業及び畑地保全対策を大幅に拡充実施するとともに、甘味資源自給対策の一環としてテンサイ生産の拡大をはかるため、日本甜菜振興会べの政府出資を増額してその研究活動を促進することといたしました。  また、国内需要構造の推移及び輸入麦との価格開差と関連して問題の多い麦作につきましては、麦生産合理化をはかるため多条まき栽培を中心とする省力多収栽培法の普及に努めることとし、反当収量の増加と生産費引き下げをはかることといたしました。さらに、大豆、菜種につきましても、貿易自由化の趨勢に対処して国内生産維持発展をはかるため、能率的栽培技術の確立をはかる所存であります。  次に、わが国農業成長部門の一つであり、また農業高度化の一翼をになうべき果樹農業振興につきましては、国民所得の成長に伴う果実需要増加傾向に対処して生産安定的増大をはかるため、果樹農業審議会の設置、果樹園集団化作業過程機械化共同化の促進を内容とする果樹園経営計画の樹立並びにこれに基づく果樹園造成資金農林漁業金融公庫による新規貸付の道を開くとともに、果樹病害虫発生予察事業実験的実施果樹統計整備等を行なうこととし、また、これに必要な立法措置を講ずることといたしております。  畜産の振興をはかることは、御承知の通り、将来の農産物需給の動向に即応するばかりでなく、今後の農業経営産業的確立わが国農業高度化のための根幹であることにかんがみまして、酪農、肉畜、養鶏その他各種畜産にわたり極力総合的な振興施策を講ずることといたしました。  すなわち、酪農総合対策を前年に引き続き一段と推進するとともに、特に食肉需要の増大に対処するため肉畜増産総合対策を強力に実施することといたした次第でございます。  第一に、酪農対策につきましては、酪農振興法に基づく酪農経営改善安定地区を追加推定し、酪農経営改善計画に基づく経営診断による濃密指導、乳牛の導入、飼料自給度の向上及び給与の改善生乳共販等事業計画的推進をはかるとともに、牛乳品質改善事業産乳能力検定有業を拡充実施することにいたしました。  第二は、肉畜対策強化をはかったことであります。すなわち、肉畜資源の確保に力を注ぐこととし、肉畜の国立牧場の拡充を行ない、また、必要な種畜の設置増加及び輸入を行なうとともに、従来の国有貸付事業有畜農家創設事業及び中小農家向け家畜預託事業を拡充することといたしております。さらに、新しい肉畜生産地の育成及び短期若齢肥育等による肉畜生産の効率化を目途として、新たに肉用素畜の導入に対しても利子補給の道を開くなどの措置を講じております。  第三に、畜産の重要な基盤としての飼料対策につきましては、飼料自給強化流通飼料需給調整及び価格安定の双方にわたり施策の充実を期したことであります。すなわち、自給飼料については、高度集約牧野改良牧野等、その他草地の造成改良補助事業の増大のほか、新たに非補助小団地融資事業の適用を始めることとし、さらに、草地の利用施設及び維持管理用機械整備に力をいれることといたしました。そのほか、飼料作物の増産をはかり、あわせて新たに家畜に対する飼料給与改善をはきあることといたしまた。さらに、大規模草地改良事業調査設計を急ぐほか、従来草地の造成改良についてはいまだその制度的確立が行なわれていないうらみがありますので、その基本制度調査研究を進めることといたしております。次に、流通飼料につきましては、政府の操作力を増強してその需給の調整と価格の安定に努めるほか、飼料検査所を独立して流通飼料の品質の改善と確保をはかることにいたした次第でございます。  次に、蚕糸業につきましては、一昨年から昨年にかけての需給事情の変転などに対処してそのつど適宜の措置を講じて参っておるのでございますが、今後、蚕糸業安定的産業として維持されるための恒久対策につきましては、蚕糸業振興審議会において引き続き検討を要するものと考えます。しかし、いずれにしましても、生糸需要の増大をはかることと相待って養蚕経営合理化による生産費引き下げをはかることが蚕糸業の安定上ぜひとも必要であることにかんがみまして、本年度におきましては年間条桑育の普及に努めるほか、新たに桑園の共同化による生産合理化を推進することといたしておるのであります。  以上の諸施策の実施にあたりましては、農業機械化、農地の集団化の推進と相待って、農業経営形態近代化の一つの方法としての営農の共同化の方途を検討しつつこれが普及をはかるため大型トラクター導入規模を拡充するとともに、農業機械化実験集落果樹園経営改善実験集落麦作経営改善部落集団桑園模範施設飼料給与改善施設等の実験ないしモデル事業を新たに実施することにいたしておるのでございます。  また、最近果樹地帯等で見られる農業法人につきましては、農民の創意を生かし、経営合理化生産性の向上に資するため、農地法基本理念を堅持しつつ、当面一定の要件を備える法人が農地等使用収益権を取得することを可能ならしめるよう必要な立法措置を講ずることについて検討いたしております。  重点の第三といたしましては、農林畜水産物流通対策強化をはかったことであります。すなわち、農林畜水産物商品化の進展に対応して、流通機構整備合理化、需給及び価格の安定をはかるとともに、農林水産物の輸出の振興に努めることといたしております。  流通対策強化の第一といたしましては、家畜等の市場の整備共販体制強化であります。三十五年度におきましては、生鮮食料品中央卸売市場、枝肉の産地冷蔵施設及び中小都市枝肉市場の施設の整備を行なうとともに、市況通報組織整備共販体制強化と適正な取引の推進をはかりたいと考えております。このほか、おくれた家畜等取引制度改善につきましては、さらに官民による調査を進めたいと存じます。  その二といたしましては、農林畜水産物の需給の調整と価格の安定であります。三十五年度におきましては、牛乳乳製品学校給食の拡充や、乳製品水産物、木炭についての調整保管事業継続実施を行なうとともに、価格変動の著しい豚肉につきましても新たに調整保管事業を開始する等のほか、畜産物の農山村及び都市の消費増進をはかることとし、需給調整及び価格安定に特段の意を用いることにいたしました。  その三といたしましては、農林水産物の輸出の振興をはかるため、海外市場の調査及び宣伝活動強化することとし、特に生糸のヨーロッパヘの輸出促進のため必要な措置を講ずることにいたしました。  なお、食糧管理制度につきましては、農家経済消費者家計の安定をはかるため、その制度の根幹は引き続きこれを堅持するとともに、食糧管理特別会計の運営の健全化をはかることといたしております。  重点の第四といたしましては、農漁家経済の安定のための諸施策を請じたことであります。  その一は、不振開拓地営農安定対策強化をはかったことであります。すなわち、新たに、過剰入植地区における経営規模適正化をはかるため一部入植者の移転を奨励する措置を講ずるとともに、開拓者資金融通特別会計において、開拓農家債務負担の軽減をはかるため、償還困難な入植者償還条件緩和措置を講ずるのほか、被災開拓者に対して同会計による災害対策資金の貸付の道を開くこととし、また、中央開拓融資保証協会への政府出資の増額を行なうことといたしております。  その二は、自作農の維持安定と経営の拡大をはかるため、自作農維持創設資金ワクを増大して、その資金需要にこたえることといたしました。  なお、農業災害補償制度につきましては、本制度の其本的あり方を検討し、できるだけすみやかに抜本的改正の成案を得たい所存であります。  次に、漁業経営の安定のための対策といたしましては、漁業共済制度試験実施を引き続き行なうとともに、漁船損害補償制度につきましては、漁船加入者保険料負担の軽減、義務加入制度改善並びに集団加入制度新設等漁船保険制度改善をはかることといたしております。  重点の第五といたしましては、農山漁村環境整備農山漁村の二、三男対策強化するための総合的な振興施策を講じたことであります。  国民生活水準の向上に伴い都会生活に比べて特に立ちおくれの目立った農山漁村の環境を改善し、住みよい明るい農山漁村を建設することは、農政に課せられた大きな使命であります。三十五年度におきましては、新農村建設総合対策事業既定計画に基づき引き続き実施するとともに、漁村につきましても、沿岸漁業依存度の高い地域に対する漁場改良造成事業及び総合助成事業を大幅に拡大して、沿岸漁業振興漁民生活安定向上を期することにいたしました。  さらに、今後における農山漁村環境整備を行なうための準備として、新たに総合的な調査を開始するとともに、未点灯部落に対する電気導入事業等後進地域対策同和地区対策の実施のため必要な予算的措置を講ずることといたしております。また、近年顕著な効果を発揮している生活改善普及事業強化をはかることといたしました。  次に、農山漁村子弟対策強化には特段の意を用いることといたしました。いわゆる農村の二、三男問題は、農業の基本問題に連なっているのでありますが、究極のところ、この問題を解決し、農業生産性と所得の他産業との均衡的発展を期するためには、農業就業構造近代化過剰労働力の他産業への吸収を促進し、農業を産業的に確立するとともに、国民経済全体のバランスのとれた発展を期する必要があると考えます。このような観点に立ちまして、三十五年度におきましては、国内開発海外移住農村青年活動促進等施策を一段と強化するとともに、農山漁村子弟を主たる対象とする職業訓練施設新設拡充職業安定機関の運営の強化をはかることによってその就業機会の増大を期する等、関係各省との緊密な連絡のもとに幅の広い対策を講じ、政府として総合的に対処して参る所存であります。なお、農業委員会においても新たに農山漁村子弟就業動向を把握するための基礎資料整備を行なうことといたしております。  重点の第六といたしましては、災害対策拡充強化をはかったことであります。すなわち、昨年における伊勢湾台風災害の教訓にかんがみ、災害復旧事業の推進及び防災対策強化をはかっておるのであります。三十五年度におきましては、三十四年災害にかかる農地、農業用施設、海岸、林道、治山施設漁港等施設災害復旧事業につきまして、被害激甚地における補助率引き上げ等の既定の特別措置に基づき復旧のすみやかなる完成をはかるために必要な予算措置を講ずるとともに、三十三年以前の災害についても既定通り計画的復旧をはかることといたしております。また、伊勢湾高潮対策事業として伊勢湾高潮により激甚な被害を受けた干拓地漁港区域等災害復旧改良事業とあわせて推進することとし、三十五年度においては台風期までに原形復旧をはかることを目途として事業の推進をはかることといたしております。  次に、防災対策強化につきましては、さきに申し述べました通り、国有林野事業特別会計治山勘定による計画的治山事業の推進をはかるほか、農地海岸漁港区域海岸保全事業その他農地関係防災事業の促進をはかることといたしております。  以上申し上げました農林水産施策を効果的に実施していくにあたりまして、農林漁業団体整備強化とその活動の促進をはかることがきわめて肝要であることは申し上げるまでもありません。三十五年度におきましては、従来に引き続きその活動促進及び整備強化に必要な助成を行ないますとともに、新たに農業協同組合組織整備に必要な調査及び森林組合の合併の促進等に助成を行なうことといたしております。また、漁業協同組合整備強化にも特段の意を用いることとし、不振漁業協同組合に対する欠損金利子補給一般指導事業を目的とする漁業協同組合整備基金を新たに設置するとともに、合併の促進助成を行なうこととし、これらに必要な立法措置を講ずることといたしております。  さらに、最近の農林水産業の進展及び行政の要請に即応して、農林水産業振興科学技術的基盤強化することがますますその重要性を加えつつある現状にかんがみ、三十五年度におきましては、原子力の平和利用による農林作物品種改良を推進するための放射線育種場附属機関の一として設置するほか、特に畑作、畜産、果樹等に関する試験研究予算を大幅に増額するとともに、引き続き研究管理体制の確立とその効率化に努める所存であります。  また、試験研究と並んで、普及事業強化をはかり、科学的技術の浸透と農山漁家生活改善を促進するため、農業、林業、畜産、蚕糸、水産業、生活改善の各種の普及員をそれぞれ増員する等の措置を講じますとともに、国際技術協力の推進についても所要の措置を講ずることといたしております。なお、統計調査につきましては、一九六〇年世界農業センサスの取りまとめを行なうとともに、米生産費の資料整備に万全を期しておる次第であります。  以上農林水産業施策の概要を申し上げたのでありますが、各位の一そうの御協力を得て農林関係予算案及び法律案のすみやかなる御審議をお願いいたす次第であります。(拍手)
  7. 吉川久衛

    吉川委員長 これにて大臣の所信表明は終了いたしました。  大臣に対する質疑は後日に譲ることといたします。  暫時休憩いたします。     午前十一時九分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕