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1960-02-16 第34回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十五年二月十六日(火曜日)各
会派割当数
変更
後の本
委員
は、次の
通り
である。
委員長
吉川
久衛
君
理事
秋山
利恭
君
理事
田口長治郎
君
理事
永田
亮一
君
理事
丹羽
兵助
君
理事
本名
武君
理事
角屋堅次郎
君
理事
芳賀
貢君
理事
小平
忠君
安倍晋太郎
君
今井
耕君
加藤常太郎
君 金子 岩三君 金丸 信君
倉成
正君 坂田 英一君
笹山茂太郎
君
田邉
國男
君
高石幸三郎
君 中馬 辰猪君
綱島
正興君 野原 正勝君
福永
健司
君
松岡嘉兵衛
君 松田
鐵藏
君 三和 精一君 森 清君
八木
徹雄
君
赤路
友藏
君
茜ケ久保重光
君
足鹿
覺君
石田
宥全君
中澤
茂一
君
西村
関一
君
日野
吉夫
君 松浦 定義君
山田
長司
君
神田
大作
君
小松信太郎
君
中村
時雄
君 ――――――――――
―――――――――――
昭和
三十五年二月十六日(火曜日) 午前十時四十三分
開議
出席委員
委員長
吉川
久衛
君
理事
秋山
利恭
君
理事
田口長治郎
君
理事
永田
亮一
君
理事
丹羽
兵助
君
理事
本名
武君
理事
角屋堅次郎
君
理事
芳賀
貢君
理事
小平
忠君
天野
光晴
君
今井
耕君
倉成
正君
田邉
國男
君
高石幸三郎
君
綱島
正興君
松岡嘉兵衛
君
八木
徹雄
君
赤路
友藏
君
茜ケ久保重光
君
中澤
茂一
君
西村
関一
君
日野
吉夫
君
山田
長司
君
神田
大作
君
小松信太郎
君
中村
時雄
君
出席国務大臣
農 林 大 臣
福田
赳夫君
委員外
の
出席者
専 門 員 岩隈 博君 ――
―――――――――――
二月十二日
委員保岡武久
君
辞任
につき、その
補欠
として森 清君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十六日
委員福永健司
君
辞任
につき、その
補欠
として天
野光晴
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
赤路友藏
君が
理事
を
辞任
した。 同日
理事石田宥全君
同日
理事辞任
につき、その
補欠
として
角屋堅次郎
君が
理事
に当選した。 ――
―――――――――――
二月十二日
漁船損害補償法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
第四三号)
農林漁業金融公庫法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第四四号)
果樹農業振興特別措置法案
(
内閣提出
第四五 号)
開拓融資保証法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
第四六号) 同日 甘しよ
害虫緊急防除
に関する
請願
(
池田清志
君
紹介
)(第二五号)
国有林用苗木買上げ
に関する
請願
(
橋本正之
君
紹介
)(第三三号)
林業苗法
の一部
改正
に関する
請願
(
橋本正之
君
紹介
)(第三四号)
北海道大野地
区
総合かんがい排水事業計画変更
に関する
請願外
四百四十五件(
志賀義雄
君紹 介)(第五一号)
大豆
の
輸入等
に関する
臨時措置
に関する
法律案
反対
の
請願
(
鍛冶良作
君外一名
紹介
)(第八〇 号) 同(
岩本信行
君
紹介
)(第一一二号) 同(
内藤隆
君
紹介
)(第一一三号)
大豆輸入方式
の食管瞬間
タッチ制度採用反対
に 関する
請願
(
齋藤邦吉
君
紹介
)(第八一号)
めん羊事業振興特別措置法制定
に関する
請願
(
濱田幸雄
君
紹介
)(第一一一号)
県外移出米助成金交付
に関する
法律制定促進
に 関する
請願
(
中澤茂一
君
紹介
)(第一四六号) 同(
松平忠久
君
紹介
)(第一四七号)
治山事業特別会計制度創設
に関する
請願
(
中澤
茂一
君
紹介
)(第一四八号) 同(
松平忠久
君
紹介
)(第一四九号) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
理事辞任
の件
理事
の互選
農林水産業
の
振興
に関する件 ――――◇―――――
吉川久衛
1
○
吉川委員長
これより
会議
を開きます。この際、
理事
の
辞任
についてお諮りいたします。すなわち、
理事赤路友藏
君及び
石田有
全君よりそれぞれ
理事
を
辞任
いたしたき旨の申し出があります。これを許可するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
吉川久衛
2
○
吉川委員長
御
異議
なしと認め、
赤路友藏
君及び
石田宥全君
の
理事辞任
を許可することといたします。 次に、
理事
の
補欠選任
についてお諮りいたします。
理事
の
補欠選任
に関しましては
委員長
において
指名
いたしたいと存じますか、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
吉川久衛
3
○
吉川委員長
御
異議
なしと認めます。 よって、
理事
に
角屋堅次郎
君を
指名
いたします。 ――――◇―――――
吉川久衛
4
○
吉川委員長
福田農林大臣
より
農政
に関する所信の表明を承りたいと思います。
福田農林大臣
。
福田赳夫
5
○
福田国務大臣
今国会に提出いたします
農林関係予算案
及び
法律案
につき、皆様の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、
予算案
の編成及び
法律案
の基本となりました
農林水産行政
の
重点的方針
につきましてその概要を申し上げたいと存じます。 まず、本年度の
農林水産行政
について申し上げるにあたり、昨年度の
わが国農林漁業生産
の推移を振り返ってみますと、御承知の通り、昨年は
伊勢湾台風等
の天災により一部地域につきましては甚大なる被害をこうむったわけでありますが、それにもかかわらず、
農林漁業
全体といたしましては、三十年をもしのぐ
史上空前
の米の豊作を初めとし、全体としての
生産
の伸展により、年度当初の予測を上回る高い
成長率
を確保し得たわけでありまして、このことが他方最近における
国民経済
の高度の
安定的成長
に資したことをあわせ考えますと、まことに御同慶にたえないところでありまして、本年度も皆様の御協力のもとに引き続き各般の
施策
よろしきを得て
農林漁業
の高い成長を確保しなければならぬと存ずるのであります。さて、
農林水産行政
の今後の長期にわたる
基本的施策
につきましては、御承知の通り、昨年から発足いたしました
農林漁業基本問題調査会
において目下鋭意慎重に
調査審議
を重ねておりますので、政府といたしましては、答申を得次第、長期にわたる
農林水産行政
の
基本方針
の樹立とその実施について所要の
措置
を講ずることとなるわけであります。政府といたしましては、このような
農林水産行政
の
基本方針
に関する検討の
基本的方向
に即しつつ、
農林漁業
と他産業との
所得較差
の是正を目途として
わが国農林水産業
の
体質改善
に促進し、かつ、いわゆる曲り角に来た農政につき新たな方策の萌芽を見出すことに努め、三十五年度の
予算案
の編成及び
法律案
の立案をいたすこととした次第であります。すなわち、
生産性
の向上を目途とし、
生産基盤
の
強化拡充
、
経営
の
合理化
、流通の
改善等
の諸
施策
におきまして従来の
施策
に加え
新規施策
を積極的に推進いたすとともに、あわせて、立ちおくれた
農山漁村
の
環境改善等
の
振興方策
及び
農山漁村
の過剰な
就業人口対策
に特に意を用いることといたしました。また、一方、昨年の激甚なる
災害
にかんがみまして、
国土保全対策
の推進と
災害
の急速なる
復旧
をはかるため、総合的な
治山治水計画
に基づく
治山事業
その他の
防災事業
及び
災害復旧事業
を強力に実施することといたしました。 次に
施策
の重点につきましてその概要を申し上げます。 重点の第一は、
長期的観点
に立って
農林漁業基盤
の
整備強化
を推進することであります。 まず、
農業
につきましては、
土地改良事業
、
開墾事業
、
干拓事業等
の
計画的実施
を推進することといたしておりますが、
土地改良
、開墾、
干拓事業
を通じて
農業
の基盤を
整備
する
事業
としての性格を明確化するため、三十五年度
予算案
におきましては、従来の
食糧増産対策費
の名称を
農業基盤整備費
と改め、
名実とも
に本
事業
の充実をはかることといたしました。
土地改良
事実につきましては、
重要水系
における国営、県営、
団体営
の各
事業
の
進捗度
を是正し、
事業効果
の
早期発現
を期し得るよう配慮することとしておりますが、
国営事業
につきましては、
特定土地改良工事特別会計事業
の
計画年次
内の完成を期するとともに、
一般国
常
土地改良事業
におきましても、
事業
の
効率的促進
をはかる一方、これと関連する
都道府県営土地改良事業
の
早期完成
を期するよう考慮いたしております。
団体営土地改良事業
につきましては、積寒、湿田、急
傾斜等特殊立法地帯振興計画
の
早期達成
を目途とし、非
補助小団地等土地改良事業
の
融資ワク
の増額と相待って
補助事業
の拡充をはかることといたしました。
干拓事業
につきましては、
特定土地改良工事特別会計
における
事業
の
計画期間
内の完成をはかるとともに、
伊勢湾台風
の惨禍にかんがみ、
災害復旧事業等
とあわせて
干拓地保全
の
措置
を講ずることといたしました。 また、
愛知用水事業
、
八郎潟干拓事業等
の大
規模開発事業
につきましては、その
計画期間内完成
を期しております。 次に、
開拓事業
につきましては、
既入植開拓地
における営農の安定と環境の
整備
に重点を置き、
関墾建設工事
、
開拓地改良事業等
を促進するとともに、別途、
不振開拓地
の
営農安定対策
を
強化
するとといたしております。 なお、
土地改良
、開墾及び
干拓事業
の基礎となる
調査計画
の
整備
をはかるとともに、特に、将来の
土地改良事業等
の指針を確立するために、本年度から新たに
農地開発可能地調査
に着手することといたしました。 次に、治山、造林、
林道事業
につきましては、将来の
木材需要
の見通しに即応して
森林資源
の
育成開発
に努めますとともに、特に
治山事業業
につきましては、
国土保全
と
災害防止
の見地から、その
施策
の
画期的強化
をはかるため、
治水計画
と相待って
長期治山計画
を定め、これに基づき
事業
の
計画的推進
をはかることといたしました。このため、
国有林野事業特別会計
に
治山勘定
を設け、
直轄事業
及び
補助事業
をこの勘定において一元的計画的に運営することといたしました。また、
保安林
につきましては、
災害等
により
保安林機能
の低下した個所に対して新たに
保安林改良事業
を実施することといたしました。
造林事業
につきましては、前年度に引き続き、
農林漁業金融公庫
に対する
一般会計
からの出資による
融資造林事業
を含めて
事業量
の拡充をはかり、また、
林道事業
につきましても、
奥地林道
の開発に重点を置き、
林道網
の
整備
をはかるとともに、新たに
林道改良事業
を実施することといたしました。 次に、
漁業生産基盤
の
強化
につきましては、
漁港整備計画
に基づき
漁港修築事業
を
局部改良事業
とあわせて計画的に推進することといたしております。 重点の第二といたしましては、内外における
農産物需給
の動向に即応しつつ
農業経営
の
近代化
とその
企業的育成
をはかることを目標として、
後進部門
である畑作の
改善
と、
成長部門
である園芸及び畜産の
振興
をはかることに重点を置くことにいたしました。 まず、従来に引き続き
水稲生産力
の
安定向上
をはかるとともに、前年度に着手した
畑土壌線虫防除事業
及び
畑地保全対策
を大幅に拡充実施するとともに、
甘味資源自給対策
の一環として
テンサイ生産
の拡大をはかるため、
日本甜菜振興会
べの
政府出資
を増額してその
研究活動
を促進することといたしました。 また、
国内需要構造
の推移及び
輸入麦
との
価格開差
と関連して問題の多い麦作につきましては、
麦生産
の
合理化
をはかるため多条
まき栽培
を中心とする省力多
収栽培法
の普及に努めることとし、反当収量の増加と
生産費
の
引き下げ
をはかることといたしました。さらに、大豆、菜種につきましても、
貿易自由化
の趨勢に対処して
国内生産
の
維持発展
をはかるため、
能率的栽培技術
の確立をはかる所存であります。 次に、
わが国農業
の
成長部門
の一つであり、また
農業高度化
の一翼をになうべき
果樹農業
の
振興
につきましては、
国民所得
の成長に伴う
果実需要
の
増加傾向
に対処して
生産
の
安定的増大
をはかるため、
果樹農業審議会
の設置、
果樹園
の
集団化
、
作業過程
の
機械化
、
共同化
の促進を内容とする
果樹園経営計画
の樹立並びにこれに基づく
果樹園造成資金
の
農林漁業金融公庫
による
新規貸付
の道を開くとともに、
果樹病害虫発生予察事業
の
実験的実施
、
果樹統計
の
整備等
を行なうこととし、また、これに必要な
立法措置
を講ずることといたしております。 畜産の
振興
をはかることは、御承知の通り、将来の
農産物需給
の動向に即応するばかりでなく、今後の
農業経営
の
産業的確立
と
わが国農業
の
高度化
のための根幹であることにかんがみまして、酪農、肉畜、養鶏その他
各種畜産
にわたり極力総合的な
振興施策
を講ずることといたしました。 すなわち、
酪農総合対策
を前年に引き続き一段と推進するとともに、特に
食肉需要
の増大に対処するため
肉畜増産総合対策
を強力に実施することといたした次第でございます。 第一に、
酪農対策
につきましては、
酪農振興法
に基づく
酪農経営改善安定地区
を追加推定し、
酪農経営改善計画
に基づく
経営診断
による
濃密指導
、乳牛の導入、
飼料自給度
の向上及び給与の
改善
、
生乳共販等
の
事業
の
計画的推進
をはかるとともに、
牛乳品質改善事業
、
産乳能力検定有業
を拡充実施することにいたしました。 第二は、
肉畜対策
の
強化
をはかったことであります。すなわち、
肉畜資源
の確保に力を注ぐこととし、肉畜の
国立牧場
の拡充を行ない、また、必要な種畜の
設置増加
及び輸入を行なうとともに、従来の
国有貸付事業
、
有畜農家創設事業
及び
中小農家向け家畜預託事業
を拡充することといたしております。さらに、新しい
肉畜生産地
の育成及び短期若
齢肥育等
による
肉畜生
産の
効率化
を目途として、新たに
肉用素畜
の導入に対しても
利子補給
の道を開くなどの
措置
を講じております。 第三に、畜産の重要な基盤としての
飼料対策
につきましては、
飼料自給
の
強化
と
流通飼料
の
需給調整
及び価格安定の双方にわたり
施策
の充実を期したことであります。すなわち、
自給飼料
については、
高度集約牧野
、
改良牧野等
、その他草地の
造成改良補助事業
の増大のほか、新たに非
補助小団地融資事業
の適用を始めることとし、さらに、草地の
利用施設
及び
維持管理用機械
の
整備
に力をいれることといたしました。そのほか、
飼料作物
の増産をはかり、あわせて新たに家畜に対する
飼料給与改善
をはきあることといたしまた。さらに、大
規模草地改良事業
の
調査設計
を急ぐほか、従来草地の
造成改良
についてはいまだその
制度的確立
が行なわれていないうらみがありますので、その
基本制度
の
調査研究
を進めることといたしております。次に、
流通飼料
につきましては、政府の
操作力
を増強してその需給の調整と価格の安定に努めるほか、
飼料検査所
を独立して
流通飼料
の品質の
改善
と確保をはかることにいたした次第でございます。 次に、
蚕糸業
につきましては、一昨年から昨年にかけての
需給事情
の変転などに対処してそのつど適宜の
措置
を講じて参っておるのでございますが、今後、
蚕糸業
が
安定的産業
として維持されるための
恒久対策
につきましては、
蚕糸業振興審議会
において引き続き検討を要するものと考えます。しかし、いずれにしましても、
生糸需要
の増大をはかることと相待って
養蚕経営
の
合理化
による
生産費
の
引き下げ
をはかることが
蚕糸業
の安定上ぜひとも必要であることにかんがみまして、本年度におきましては年間条桑育の普及に努めるほか、新たに桑園の
共同化
による
生産
の
合理化
を推進することといたしておるのであります。 以上の諸
施策
の実施にあたりましては、
農業
の
機械化
、農地の
集団化
の推進と相待って、
農業経営形態
の
近代化
の一つの方法としての営農の
共同化
の方途を検討しつつこれが普及をはかるため
大型トラクター
の
導入規模
を拡充するとともに、
農業機械化実験集落
、
果樹園経営改善実験集落
、
麦作経営改善部落
、
集団桑園模範施設
、
飼料給与改善施設等
の実験ないし
モデル事業
を新たに実施することにいたしておるのでございます。 また、最近
果樹地帯等
で見られる
農業法人
につきましては、農民の創意を生かし、
経営
の
合理化
と
生産性
の向上に資するため、
農地法
の
基本理念
を堅持しつつ、当面一定の要件を備える法人が
農地等
の
使用収益権
を取得することを可能ならしめるよう必要な
立法措置
を講ずることについて検討いたしております。 重点の第三といたしましては、
農林畜水産物
の
流通対策
の
強化
をはかったことであります。すなわち、
農林畜水産物
の
商品化
の進展に対応して、
流通機構
の
整備合理化
、需給及び価格の安定をはかるとともに、
農林水産物
の輸出の
振興
に努めることといたしております。
流通対策
の
強化
の第一といたしましては、
家畜等
の市場の
整備
と
共販体制
の
強化
であります。三十五年度におきましては、
生鮮食料品中央卸売市場
、枝肉の
産地冷蔵施設
及び
中小都市枝肉市場
の施設の
整備
を行なうとともに、
市況通報組織
の
整備
、
共販体制
の
強化
と適正な取引の推進をはかりたいと考えております。このほか、おくれた
家畜等
の
取引制度
の
改善
につきましては、さらに官民による調査を進めたいと存じます。 その二といたしましては、
農林畜水産物
の需給の調整と価格の安定であります。三十五年度におきましては、
牛乳乳製品
の
学校給食
の拡充や、
乳製品
、
水産物
、木炭についての
調整保管事業
の
継続実施
を行なうとともに、
価格変動
の著しい豚肉につきましても新たに
調整保管事業
を開始する等のほか、
畜産物
の農山村及び都市の
消費増進
をはかることとし、
需給調整
及び価格安定に特段の意を用いることにいたしました。 その三といたしましては、
農林水産物
の輸出の
振興
をはかるため、
海外市場
の調査及び
宣伝活動
を
強化
することとし、特に生糸のヨーロッパヘの
輸出促進
のため必要な
措置
を講ずることにいたしました。 なお、
食糧管理制度
につきましては、
農家経済
と
消費者家計
の安定をはかるため、その制度の根幹は引き続きこれを堅持するとともに、
食糧管理特別会計
の運営の
健全化
をはかることといたしております。 重点の第四といたしましては、
農漁家経済
の安定のための諸
施策
を請じたことであります。 その一は、
不振開拓地
の
営農安定対策
の
強化
をはかったことであります。すなわち、新たに、
過剰入植地区
における
経営規模
の
適正化
をはかるため一部
入植者
の移転を奨励する
措置
を講ずるとともに、
開拓者資金融通特別会計
において、
開拓農家
の
債務負担
の軽減をはかるため、償還困難な
入植者
の
償還条件緩和
の
措置
を講ずるのほか、
被災開拓者
に対して同会計による
災害対策資金
の貸付の道を開くこととし、また、
中央開拓融資保証協会
への
政府出資
の増額を行なうことといたしております。 その二は、
自作農
の維持安定と
経営
の拡大をはかるため、
自作農維持創設資金ワク
を増大して、その
資金需要
にこたえることといたしました。 なお、
農業災害補償制度
につきましては、本制度の
其本的あり方
を検討し、できるだけすみやかに
抜本的改正
の成案を得たい所存であります。 次に、
漁業経営
の安定のための
対策
といたしましては、
漁業共済制度
の
試験実施
を引き続き行なうとともに、
漁船損害補償制度
につきましては、
漁船加入者
の
保険料負担
の軽減、
義務加入制度
の
改善
並びに
集団加入制度
の
新設等漁船保険制度
の
改善
をはかることといたしております。 重点の第五といたしましては、
農山漁村
の
環境整備
と
農山漁村
の二、
三男対策
を
強化
するための総合的な
振興施策
を講じたことであります。
国民生活水準
の向上に伴い
都会生活
に比べて特に立ちおくれの目立った
農山漁村
の環境を
改善
し、住みよい明るい
農山漁村
を建設することは、農政に課せられた大きな使命であります。三十五年度におきましては、新
農村建設総合対策事業
を
既定計画
に基づき引き続き実施するとともに、漁村につきましても、
沿岸漁業依存度
の高い地域に対する
漁場改良造成事業
及び
総合助成事業
を大幅に拡大して、
沿岸漁業
の
振興
と
漁民生活
の
安定向上
を期することにいたしました。 さらに、今後における
農山漁村
の
環境整備
を行なうための準備として、新たに総合的な調査を開始するとともに、未
点灯部落
に対する
電気導入事業等後進地域対策
、
同和地区対策
の実施のため必要な
予算的措置
を講ずることといたしております。また、近年顕著な効果を発揮している
生活改善普及事業
の
強化
をはかることといたしました。 次に、
農山漁村
の
子弟対策
の
強化
には特段の意を用いることといたしました。いわゆる農村の二、三男問題は、
農業
の基本問題に連なっているのでありますが、究極のところ、この問題を解決し、
農業
の
生産性
と所得の他産業との
均衡的発展
を期するためには、
農業就業構造
の
近代化
、
過剰労働力
の他産業への吸収を促進し、
農業
を産業的に確立するとともに、
国民経済
全体のバランスのとれた発展を期する必要があると考えます。このような観点に立ちまして、三十五年度におきましては、
国内開発
、
海外移住
、
農村青年活動
の
促進等
の
施策
を一段と
強化
するとともに、
農山漁村子弟
を主たる対象とする
職業訓練施設
の
新設拡充
、
職業安定機関
の運営の
強化
をはかることによってその
就業機会
の増大を期する等、
関係各省
との緊密な連絡のもとに幅の広い
対策
を講じ、政府として総合的に対処して参る所存であります。なお、
農業委員会
においても新たに
農山漁村子弟
の
就業動向
を把握するための
基礎資料
の
整備
を行なうことといたしております。 重点の第六といたしましては、
災害対策
の
拡充強化
をはかったことであります。すなわち、昨年における
伊勢湾台風災害
の教訓にかんがみ、
災害復旧事業
の推進及び
防災対策
の
強化
をはかっておるのであります。三十五年度におきましては、三十四年
災害
にかかる農地、
農業用施設
、海岸、林道、
治山施設
、
漁港等
の
施設災害復旧事業
につきまして、
被害激甚地
における
補助率引き上げ等
の既定の
特別措置
に基づき
復旧
のすみやかなる完成をはかるために必要な
予算措置
を講ずるとともに、三十三年以前の
災害
についても
既定通り計画的復旧
をはかることといたしております。また、
伊勢湾高潮対策事業
として
伊勢湾高潮
により激甚な被害を受けた
干拓地
、
漁港区域等
の
災害
、
復旧
を
改良事業
とあわせて推進することとし、三十五年度においては
台風期
までに
原形復旧
をはかることを目途として
事業
の推進をはかることといたしております。 次に、
防災対策
の
強化
につきましては、さきに申し述べました通り、
国有林野事業特別会計
の
治山勘定
による
計画的治山事業
の推進をはかるほか、
農地海岸
、
漁港区域海岸
の
保全事業
その他
農地関係防災事業
の促進をはかることといたしております。 以上申し上げました
農林水産施策
を効果的に実施していくにあたりまして、
農林漁業団体
の
整備強化
とその活動の促進をはかることがきわめて肝要であることは申し上げるまでもありません。三十五年度におきましては、従来に引き続きその
活動促進
及び
整備強化
に必要な助成を行ないますとともに、新たに
農業協同組合
の
組織整備
に必要な調査及び
森林組合
の合併の
促進等
に助成を行なうことといたしております。また、
漁業協同組合
の
整備強化
にも特段の意を用いることとし、
不振漁業協同組合
に対する
欠損金
の
利子補給
と
一般指導事業
を目的とする
漁業協同組合整備基金
を新たに設置するとともに、合併の
促進助成
を行なうこととし、これらに必要な
立法措置
を講ずることといたしております。 さらに、最近の
農林水産業
の進展及び行政の要請に即応して、
農林水産業振興
の
科学技術的基盤
を
強化
することがますますその
重要性
を加えつつある現状にかんがみ、三十五年度におきましては、原子力の
平和利用
による
農林作物
の
品種改良
を推進するための
放射線育種場
を
附属機関
の一として設置するほか、特に畑作、畜産、
果樹等
に関する
試験研究予算
を大幅に増額するとともに、引き続き
研究管理体制
の確立とその
効率化
に努める所存であります。 また、
試験研究
と並んで、
普及事業
の
強化
をはかり、
科学的技術
の浸透と
農山漁家
の
生活改善
を促進するため、
農業
、林業、畜産、蚕糸、水産業、
生活改善
の各種の普及員をそれぞれ増員する等の
措置
を講じますとともに、国際技術協力の推進についても所要の
措置
を講ずることといたしております。なお、統計調査につきましては、一九六〇年世界
農業
センサスの取りまとめを行なうとともに、米
生産費
の資料
整備
に万全を期しておる次第であります。 以上
農林水産業
施策
の概要を申し上げたのでありますが、各位の一そうの御協力を得て
農林関係予算案
及び
法律案
のすみやかなる御審議をお願いいたす次第であります。(拍手)
吉川久衛
6
○
吉川委員長
これにて大臣の所信表明は終了いたしました。 大臣に対する質疑は後日に譲ることといたします。 暫時休憩いたします。 午前十一時九分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は
会議
を開くに至らなかった〕