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森政府委員 この点は、現在の
協定によりますと、刑事
裁判に関する十七条の
規定は、すでにNATO諸国並みになっておったわけでございます。しかしながら、民事請求権の分野におきましては、先ほど来問題になりました、
政府間の相互に損害を生じた場合の、
政府間相互の請求権の相互放棄の
範囲、及び、民事請求権に関する公務、非公務の決定に仲裁人の
制度を設けるか、あるいは、第一次的には派遣国軍がこれを認定して、これを合同委員会の決定にまかせるかという、この二つの点におきまして、NATO諸国に比しまして、
日本の民事請求権の分野においては非常に劣っておったわけでございます。従いまして、今回NATO諸国並みに民事請求権に関する
規定をいたしたのでございますが、そこにいわゆる海事請求権と申しますか、船舶の航行等によって損害を生じた場合には、普通の陸上の損害等と違った
一つの手続によるということにNATOの
規定もなっております
関係上、そのまま
日本の場合にこれを引き継いだわけでございます。そこで、この船舶の航行等から生じまする被害を、普通の陸上損害等と違った
処理方法をとるのは、これは御
承知の
通りに、海事に関する請求権と申しますと、額も巨大に上りますし、また、これが
解決のためには非常な専門的な知識を要するわけでございます。こういうことから、海事に関する請求権につきましては、普通の陸上の損害と別個の
処理方法をNATOでもとっておるわけでございます。しかしながら、これはあくまで、ただいま申し上げましたような
趣旨に基づく
規定でございますので、
日本のように、いわゆる浅海でいろいろな、ノリとか、あるいはその他の動植物を増養殖いたします
施設のあります場合、あるいは漁網等の損害がひんぱんに生ずるというようなことを前提とした
規定ではないのであります。従いまして、これらの損害につきましては、普通の陸上の損害の場合と同様の
処理手続によるということに、
アメリカ側とも話がついておるわけでございます。なお、小さい漁船につきましても、普通の陸上の損害と同様の手続による。そうして、この陸上の手続によります場合におきましては、
調達庁で、これが
日本の
国内法令に基づいて
処理をされるわけでございますが、これからはずれました、船舶の航行等から生じました損害につきましては
調達庁が仲に立ちまして、被害者と
米軍との間のあっせんを引き受けまして、
アメリカ側との折衝に万全を期するという体制をとることによりまして、万全を期していきたいと
考えておる次第でございます。