○岸国務大臣 第一の前段として、
アメリカが、今回の安保
条約におきまして、
日本が
武力攻撃を受けた場合に、
日本の国土を防衛する義務を明らかに規定したということ、この
条約を守るということから申しますと、今御議論の前段のようなことは、私はあり得ないと思います。しかし、もちろん、
日本がいかなる場合においても、
日本の施政下にある領土が
武力攻撃をされておる、
アメリカと最後まで共同作戦をしなければならないということは、何も規定してありません。
アメリカは
アメリカとして、
日本に対する
武力攻撃を排除するために、必要な行動をとるということを宣言しておりますし、また、
日本は、当然
日本の
自衛権として、国土を守るということを考えているわけであります。もちろん、この前の
戦争の時代とは違いまして、国連の問題もございますし、また、われわれはあくまでも
戦争を避けようという念で、これは国民の考え方もそれに徹しているわけでございまして、一日も早くその兵火がおさまることを望むことは、もちろんのことであります。私は、そういう
意味において、たとい
武力攻撃をし、実力行使をしてこれを排除するけれ
ども、ただ
お互いに撃ち合っているばかりを続けていくというのが、われわれの政治的の行動じゃありません。ただ、法律の解釈として、
自衛権というものはどういうものであるかというような議論から申しますれば、そういう
武力攻撃がある限りは、武力を持ってこれに対抗して、これを排除するというのが、
自衛権の本質であり、また、第五条で
約束している
アメリカの責任であります。しかしながら、その場合において、
外交上どういうなにをとるか、あるいはわれわれが国の運命を考え、民族の運命を考えて、どういう処置をとるかということは、もちろん、われわれとして自主的に考えていかなければならぬ問題でありますから、決して
アメリカと運命を共同にして、最後まで
日本が滅亡するまで武力を行使しなければならぬというようなことは、絶対に考えておりません。