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1960-05-17 第34回国会 衆議院 内閣委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十七日(火曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 淺香 忠雄君 理事 高橋 禎一君    理事 高橋  等君 理事 前田 正男君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君    理事 田万 廣文君       内海 安吉君    始関 伊平君       谷川 和穗君    橋本 正之君       保科善四郎君    山口 好一君       大原  亨君    柏  正男君       久保田 豊君    杉山元治郎君       田中織之進君    中原 健次君       八木 一男君    門司  亮君  出席政府委員         総理府総務長官 福田 篤泰君         総政府総務副長         官       佐藤 朝生君         厚生事務官         (社会局長)  高田 正巳君  委員外出席者         議     員 秋田 大助君         議     員 八木 一男君         議     員 田万 廣文君         厚生事務官         (社会局更生課         長)      山田 真澄君         厚生事務官         (社会局生活課         長)      中村 一成君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 五月十七日  委員生田宏一君、飛鳥田一雄君及び柳田秀一君  辞任につき、その補欠として鈴木善幸君、田中  織之進君及び八木一男君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員鈴木善幸君、田中織之進君及び八木一男君  辞任につき、その補欠として生田宏一君、飛鳥  田一雄君及び大原亨君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員大原亨辞任につき、その補欠として柳田  秀一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十六日  同和対策審議会設置法案中井一夫君外百十一  名提出衆法第四二号) 同日  旧軍人恩給加算制復元に関する請願天野光  晴君紹介)(第三七三七号)  同(秋田大助紹介)(第三九〇七号)  一般職職員給与に関する法律の一部改正に  関する請願外六十八件(東海林稔紹介)(第  三七三八号)  同(阿部五郎紹介)(第三八三四号)  同外十九件(淺沼稻次郎紹介)(第三八三五  号)  同外二百四十八件(茜ケ久保重光紹介)(第  三八三六号)  同外二十八件(飛鳥田一雄紹介)(第三八三  七号)  同外九十九件(井手以誠君紹介)(第三八三八  号)  同外三十四件(石田宥全君紹介)(第三八三九  号)  同外百六十三件(石橋政嗣君紹介)(第三八四  〇号)  同外九件(小川豊明紹介)(第三八四一号)  同(岡田春夫紹介)(第三八四二号)  同外百三十一件(加藤勘十君紹介)(第三八四  三号)  同外八件(片島港君紹介)(第三八四四号)  同外三件(神近市子紹介)(第三八四五号)  同(河上丈太郎紹介)(第三八四六号)  同外十二件(川村継義紹介)(第三八四七  号)  同外七十一件(兒玉末男紹介)(第三八四八  号)  同外百十一件(佐野憲治紹介)(第三八四九  号)  同外四件(櫻井奎夫君紹介)(第三八五〇号)  同外二十九件(鈴木茂三郎紹介)(第三八五  一号)  同外二十四件(田中織之進君紹介)(第三八五  二号)  同外百二十七件(田中武夫紹介)(第三八五  三号)  同外十三件(中井徳次郎紹介)(第三八五四  号)  同(中原健次紹介)(第三八五五号)  同外二件(永井勝次郎紹介)(第三八五六  号)  同(西村関一紹介)(第三八五七号)  同(帆足計紹介)(第三八五八号)  同十八件(松浦定義紹介)(第三八五九号)  同(森島守人紹介)(第三八六〇号)  同外六十一件(森本靖紹介)(第三八六一  号)  同外二十件(八百板正紹介)(第三八六二  号)  同外百六十六件(八木昇紹介)(第三八六三  号)  同外百三十一件(横路節雄紹介)(第三八六  四号)  公務員の給与引上げに関する請願田中幾三郎  君紹介)(第三七三九号)  同(小松幹紹介)(第三八六七号)  同(中井徳次郎紹介)(第三八六八号)  建国記念日制定に関する請願濱田正信君紹  介)(第三七四〇号)  同外一件(千葉三郎紹介)(第三八二三号)  同外六件(床次徳二紹介)(第三九〇六号)  同(床次徳二紹介)(第三九五四号)  同外百五十三件(八木徹雄紹介)(第三九五  五号)  傷病恩給の是正に関する請願今松治郎君紹  介)(第三八二二号)  建設省定員外職員定員化に関する請願外一件  (戸叶里子紹介)(第三八六五号)  建設省北海道開発局及び運輸省港湾建設局定  員外職員定員化に関する請願戸叶里子君紹  介)(第三八六六号)  国立試験研究機関職員待遇改善に関する請願  外三十八件(岡良一紹介)(第三八六九号)  靖国神社国家保護反対に関する請願外二十三  件(杉山元治郎紹介)(第三八七〇号)  伊勢神宮及び靖国神社国家保護反対に関する  請願外百三十四件(杉山元治郎紹介)(第三  八七一号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願(瀬戸  山三男紹介)(第三九〇五号)  長野県に災害救助用ヘリコプター隊招致に関す  る請願中澤茂一紹介)(第三九一一号)  同(原茂紹介)(第三九一二号)  同(松平忠久紹介)(第三九一三号)  衆議院解散に関する請願石村英雄紹介)(  第三九五二号)  自衛隊特車等により県道の損害補償等に関する  請願山中貞則紹介)(第三九五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  同和対策審議会設置法案中井一夫君外百十一  名提出衆法第四二号)      ————◇—————
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  同和対策審議会設置法案を議題とし、提出者より提案理由説明を求めます。秋田大助君。     —————————————
  3. 秋田大助

    秋田議員 お手元に配付してあります同和対策審議会設置法案につきまして御説明申し上げます。本案自由民主党日本社会党民主社会党共同提案にかかるものであります。  御承知のように同和地区全国に散在しておりますが、政府資料によりますとその数四千、住民は二十五万世帯、約百二十万人に及んでおり、これらの地区における生活環境は御存じの通りはなはだ劣悪なものが多く、地区住民のほとんど大部分は経済的な基盤を欠いて生活苦にあえいでおるのが実情であります。また地区外に居住する関係者もほとんど同様の状況のものが多数であります。そのため旧来の差別問題も必ずしも払拭されていないという、まことに放置することのできない状況にあるのであります。これらの事情にかんがみまして、同和問題の解決に資するため、総理府付属機関として、存続期間を二年とする同和対策審議会設置しようとするのが、本案の骨子であります。  この審議会は、同和問題の解決のために必要な総合的な施策の樹立、その他同和地区に関する社会的、経済的問題の解決に関する重要事項について調査審議し、これらの事項に関して内閣総理大臣の諮問に答申し、必要に応じましては内閣総理大臣に建議することができることにいたしております。  審議会は、二十人以内の委員で組織し、委員には関係行政機関職員のうちから十一人以内並びに同和問題に関して経験を有する者及び同和問題に関して識見を有する者のうちから九人以内を内閣総理大臣がそれぞれ任命することにいたし、専門事項調査審議させるため、学識経験者または関係行政機関職員のうちから、内閣総理大臣が任命する専門委員十人以内を審議会に置くことができることといたしております。なお委員及び専門委員を補佐させるため、審議会に幹事二十人以内を置き、また審議会事務を処理させるため、事務局を設けることにいたしております。  以上は本法案の要旨であります。何とぞ御了承を願います。     —————————————
  4. 福田一

    福田委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。田中織之進君。
  5. 田中織之進

    田中(織)委員 私どもが数年前から政府に対して強く要望いたしておりました部落問題の対策のために、今回自民、社会、民社の三党提案によりまするこの問題の根本的な調査と抜本的な解決策を樹立されるための審議会設置法案提案の運びになったことを、この問題について強く政府に要望いたしておりました一人といたしまして、非常に喜びにたえないとともに、提案者の各位が、いろいろな意見の相違もあったでありましょうが、ここまで取りまとめられたことについては、その御労苦に対して敬意を表するものでございます。この問題は、私も実は未解放部落の一員といたしまして、ここ二十年来解放運動に従事いたしておる一人といたしまして、今日の民主主義日本に、古い封建時代身分制度に基づく差別残滓が残っておるということを、非常に残念に思うのでございます。その意味から、この審議会においては、最初にも申し上げましたように、ぜひとも部落実態に関する徹底的な調査をまず行なわれまして、その上に立ちまして、いろいろ国費多端のおりからでありますから、一度には参りませんとは存じますけれども一つこの機会に、もうわれわれの子供たち時代にはこの問題で国会で議論することのないような解決策に向かって進むように、委員会としての活動の計画を立てる上についても、提案者のお考えをこの機会に伺っておきたいと思います。  と申しまするのは、ただいま秋田提案者から御説明になりました部落の数、あるいは人口の問題につきましても、これは政府資料によるということを断わられておりますけれども、私の承知する限りでは、今度とられました政府資料もかなり古い資料ではないかと実は考えられるのであります。私ども調査では未解放地区、いわゆる同和地区の数は全国で約六千、住民は約三百万、こういうふうに押えておるのであります。先年も、ちょうど二、三年前でありますが、予算委員会政府から資料提出を願ったのでありますが、その場合においても、該当地区がないと表示されている県に実は相当の部落があるというようなことも、具体的に地名等をあげた調査をわれわれは持っておるようなわけであります。そういう意味で、繰り返して申し上げるようでありますけれども、この審議会が発足いたしましたならば、もちろんその運営内閣にて行なわれることに当然なることと思うのでありますけれども提案者の方では今お述べになりました部落実態、実数の押え方というような点について、いささか現実と食い違いがあるのではないかというようなことが考えられますので、こうした部落実態調査——そこにおきましては職業の問題につきましても、あるいは文化的な環境の問題におきましても、いろいろな点におきまして一般とは違う大きな問題がありますので、そういう問題についての実態把握の上に立って、抜本的な対策をこの審議会で立てていただきたい。その意味で、この審議会を発足させたならば、相当な意気込みを持ってこの問題の解決に当たろうという心がまえが、提案理由の中でこの審議会存続期間を二年間に限定したというところにもうかがわれるのでありますが、これらの点について私が希望するような形で審議会運営がなされるものであるかどうか、この点について提案者側から御明答を得たいと思います。
  6. 秋田大助

    秋田議員 ただいま田中委員からのお話は大体私も同意見でございます。少なくとも私は同意見でございます。この同和地区の数あるいはその住民世帯数、その人口等につきまして、提案者として政府のいわれているところをかりに提案理由の中にただいま申し述べたわけでありますが、この点につきましては諸説ふんぷんといたしておるのが実情でございます。われわれも党の印刷物等には田中委員のおっしゃったように三百万という数をあげておるのでございますが、これとても正確な実態調査に基づいた数字では実はございません。大体そういうことがいわれているという数によったわけでございまして、われわれの中でも政府の数は少ないぞという説もあると同時に、しかしわれわれが言っているほどまだ多くはないのではなかろうか、こういうふうにも言われております。少なくとも私の関係しておる範囲ではそういうことが言われておるのでございます。従って実態調査把握なくしてほんとう対策というものはあり得ないと思いますので、そういう考えから審議会を作っていただいて実態調査していただくことも必要である、それがこの審議会設置法案提案した大きな理由一つになっておるわけであります。しこうしてこれが発足した以上は、あまり同和問題であるとかあるいは未解放部落であるとかいうような言葉さえも叫ばれることすら、それがまた差別観念を植えつけていけないという議論もありますし、事自体も急速に解決を要する。ただいま先生の言われました通り、われわれの子供時代には、もうこういう問題は全然払拭されて、だれの意識の上にも上ってこない、こういう状況にするためにも一日も早く実態把握とそれに対する的確な対策を樹立たしまして、これを実施に移すことが必要であろうというその熱意が、時限立法二年に提案した理由でございます。提案者も大体政府と同じような考えでございますので、その趣旨によって内閣もまた善処されんことを要望する次第でございます。
  7. 田中織之進

    田中(織)委員 提案者側に私からもう一点、これは希望意見をまじえてお伺いをしておきたい点は、この審議会は二十人以内の委員で組織するわけでございます。委員会で成案を得ると直ちに実施するという心がまえから、政府関係行政機関の代表が半数以上あるという点については、私自身としては多少の意見を持っておりまするが、その点は今後の政府のこの審議会運営いかん運営についての心がまえの点で期待していいと思うのであります。そこで端的に申し上げますと、民間から選びまする九名の委員人選の問題でありまするけれども、同じ日本民族の中で、先ほども申しましたように、封建的な身分制残滓として残っておる問題でございます。その意味で、私ざっくばらんに申しまするけれども、実はあまり党派的な関係のものが強く出るということになりますると、私ども理解では、部落問題というものは、かつての支配者分裂政策一つの現われとして身分差別が行なわれたものが、今日民主主義の世の中になお尾を引いて残っておる。こういうことになりまするので、委員人選につきましては、できるだけやはり——私必ずしも正しい意味における党派制というものを否定するものではございませんけれども、あまり片寄ったような形の——これまたざっくばらんに申し上げますると、たとえば国会における議員の頭数というようなことになりますると、現在の与党と私ども社会党民社党等野党の数は大きく開いておるわけであります。そういうようなものを一つのバックボーンとして委員人選が行なわれるというようなことになりますると、あまりにも党派的な傾向が強く出てくるきらいがあるのではないか。その意味で、この法案にもありまするように民間の、同和問題に対して経験を有する、及び識見を有する者、こういうことで、委員の選ばれる範囲というものはおのずから限定されておるということを理解いたしておるのであります。委員人選についてはできるだけこの委員会が中正な立場で、中立的な立場でこの問題の抜本的な対策が立てられるように、委員人選についての配慮を、これは内閣総理大臣から任命することになりまするので、本法案が成立した以後の内閣側運営上の一番最初の課題ではないかと思うのですが、この点についてはやはり提案者の方から、国会審議の過程で提案者のお気持というものがはっきりされておりまするが、この法案が成立した後にまず最初に取り組む委員人選についても、内閣として立法者の意思を当然尊重されることと思います。この点もすでに三党間で十分気持は通じ合っておることと思うのでありますが、この点についての提案者のお気持一つ、私の希望に沿ったような委員人選考えておられることと確信をいたすのでありますが、この際念のために伺っておきたいと思うのであります。
  8. 秋田大助

    秋田議員 ただいま田中委員からのお話もあって、私大へん喜びをもって伺ったのでありまして、私も同感でございます。この問題につきましては従来いろいろのことが言われておりますが、これは人道的な立場において、党派感情を別にして論ぜられ、かつ解決が急速にされなければならない問題だと考えております。それについてはいろいろの従来ありましたような対立関係と申しますか、対立感情が今後審議会の中に持ち込まれましては、これはわれわれ提案者希望に、またこれを設置していただこうという趣旨に反するものでありまして、委員人選、特に民間側から総理大臣の任命されまする委員につきましては、同和問題並びにそれに関連して一般的な学識経験を有せられる方が任命せられると同時に、現実問題としては部落関係団体からも当然選ばるべきであると同時に、それが単なる党派感情あるいは党派的な数によって出されるものであってはならないのでありまして、あくまでも中正な、中立的な観点において、部落方々が発言の機会を得られるような機構になっておらなければならないと私も考えております。また提案者三党間の者におきましては、その点について具体的な打ち合わせはいたしておらないのが実情ではございますけれども提案に至りましたその根底の基礎におきましてそういう気持であることは私がここに申し上げて間違いはないと思いますので、そういう趣旨によって人選政府側において内閣総理大臣が行なわれることを私も希望する次第でございます。
  9. 八木一男

    八木一男議員 提案者秋田議員に補足いたしまして、提案者の一名といたしまして御答弁をいたしたいと思います。この問題が超党派的に進められることにつきましては、この法律案が出される三年前からの部落問題が審議された経過から御承知通りでありまして、岸内閣総理大臣が超党派的にこの問題をやっていくべきだということをはっきりと数回国会において明言をしておられますし、また自由民主党の総裁としてもそうありたいということを強く表明されておるわけであります。与党自由民主党方々もその意味でこの問題を進められたということを私ども確認をしているわけでございまして、野党側も同じ気持を前から持っておることは御承知通りでございます。超党派的に進められる。従って現在の国会の分野というようなことと関係なしに、ほんとう意味でよい構成が行なわれるというふうにされることは、各党で意見の一致を見ていることだと提案者の一人として信じているわけでございます。さらにこの法案が特別に部落解放、同和問題に経験を有する者という従来の立法例にない言葉を使いました点が、特にこの法案一つの特徴であります。といいますのは、学識経験というものが、大ていの審議会構成メンバーにそういう言葉がうたわれておりまするけれども、単なる学識経験のみでは、この問題は理解をする人が少ないし、この問題だけで処理しては実態に合わないという事情がございますので、この問題の解決に関する限りにおいては、同和問題あるいは部落解放の問題にほんとうに真剣に取り組んで、この問題の実態を完全に知り、この解決についてほんとうに真剣に考えている人の意見が反映しないことには、根本解決にならないという意味から、このような文言が法律に入っているわけでございます。従って委員の選考については、この法案立法趣旨に従いまして、当然政府においては、そのような問題解決に一番の経験を有し、それに最も熱心な人たち意見が多く反映されるような構成をされることを、私は提案者の一人として信じている次第であります。
  10. 田中織之進

    田中(織)委員 提案者に私からは以上の二問で終了いたしますが、この機会内閣から総務長官おいでを願っておりますし、厚生省の方から社会局長さんにもおいでをいただいておりまするので、一点だけお伺いをいたしたい点があります。  それは今月の十日、十一日の両日に千代田区の社会事業会館で、同じくこの部落問題に関する民間団体としての全日本同和会なるものが発足したことを私ども聞いておるのでございます。これが発足するまでの経過についてはいろいろ問題があるわけでありまするが、私は今日それをこの席上で問題にしようとは実は考えないのであります。実は部落問題について民間団体が、私ども部落解放同盟のほかに新たに全日本同和会なる名称のものができたということにつきましては、この問題に取り組んでおる民間人の一人といたしましては非常に割り切れないものを持つと同時に、実は残念に思っております。しかしこれは純然たる民間団体として発足したということでございまするので、この点については私どもも発足に至るまでの経過はどうあろうと、同じ目標に向かって進むという立場で、今後は先方さんがどういうように出るかということは別問題で、出方を見てみなければわかりませんけれども連絡もとって進みたいと思うのであります。たまたまこの会の発会式には、総理は出られなかったようでありますけれども内閣総理大臣から祝辞も述べられておる。そこで与党関係同和対策議員懇談会関係の諸君も来賓として多数参列されたように伺っておるのです。そこでこの団体が未解放部落を中心に下部に流しておりますところを見ますると、これに対して政府が次の予算編成の時期なり適当な時期に何らかの助成措置をする、こういうような関係で、時の政府との緊密な連絡をとるということの意味ではないかとは思いまするけれども補助金云々の問題をこの団体関係者から下部へ流しておる文書等も、私らは実は入手いたしておるのであります。この会が終わりましてから、会長山口県の柳井正男という人であります。あるいは事務局長兼副会長は、戦前のいわゆる融和団体である、なくなられた平沼騏一郎氏が会長であった日本融和協会の役員でありました広島県出身の山本正夫、こういうような人たちが、十一日の発会式を終わったあとで厚生省会議をされておる、こういうことも私らの方に実は耳に入ってきておるのであります。この点については、この審議会設置の問題に関連をいたしまして、ことしも予算分科会、昨年は予算の本委員会総理にもやはり民間団体意見をも十分取り入れて運営するようにということを申し上げて、総理もそれに賛意を表されてきておるのであります。たまたま新しく発足した、そういう意味で、政府与党と緊密な連絡をとられることはわれわれあえて意には介しませんけれども、それに補助金云々というような関係を持ちますると、問題が問題だけに非常に片寄ったことになる。先ほども申しましたように部落問題というのは、かつての封建時代支配者の人民の分裂支配の具に供されたというところに問題点が出てくるのであります。民間団体の中に政府補助金なり助成金なりをもらって動く者が出てくるということになると、私は行政そのものが曲がった形のものになってくるという危険性を包蔵してくると思う。そういう意味で、この際総理連絡があったから、またちょうどこういうことで同和対策審議会等設置されるというような気運にある関係から、祝辞を述べられたことを私は非難するものではございません。それに関連をいたしまして、この団体が特別に政府助成を受けるというようなことについての話し合いが、かりに行なわれておるということになりますると、これは政府に対して特別にやはり慎重な考慮をしてもらわなければならぬ問題ではないかと思う。その点について、この問題の閣僚懇談会の幹事役という締めくくりをやっておられる福田総務長官に、その間の事情について、私が心配するようなことがないとは思いまするけれども、明確にしていただきたい。それから従来は厚生省がこの問題の一つの窓口という関係になっておるので、全日本同和会関係の諸君も会ができたからということであいさつ程度に伺われたことは当然のことだと思うのでありますけれども、何か厚生省を中心にして話し合いを持たれたのかどうか、社会局長からその間の事情を明らかにしていただきたい。同時に先ほどから提案者に対して申し上げました点は、本法案が幸いに本院を通過し、参議院においても賛成を得られて成立したときには、運営の衝が当然総理府に置かれることと考えますので、先ほどから提案者から述べられている点はわかるのですが、本案が成立した以上は内閣の責任にもなろうかと思いますので、その点についての内閣側の御所見をあわせて伺えれば非常に幸いだと思います。
  11. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 ただいまお話のように、全日本同和会が最近結成されたという点は、最近私もうわさで伺っております。けさ確かめてみますと、総理大臣祝辞を出しておらぬという報告であります。政府とそういう民間団体との関係、特に補助金その他の特別の処置を考えておるのではないかという御懸念でございますが、これははっきり申し上げたいと思いますが、問題自体も同和問題という、きわめて微妙な慎重に扱わなければならない本質を持っております。従いまして、たといそれがこの問題に熱心に努力される団体でありましても、一つ団体に限って補助金を出すとか、その他の差別的な政府考えを現わすということは、絶対に避けなければならぬ、そういう考えを一貫してとって参っております。なおこの法案が通過しまして、審議会設置された後においての政府考えでございますが、これは立法の精神並びに提案のいろいろな過程を私どもとしては当然尊重して参りたいと考えております。
  12. 高田正巳

    ○高田(正)政府委員 厚生省で、全日本同和会関係いたしました方と一緒に会議を持ったというふうなことを聞くがどうかという御質問でありますが、結成がございまして、決議等をなさいまして、陳情に見えたことは、陳情に見えました。しかし会議を持った云々というようなことは全然ございません。当日私ども当局者は別個な、売春関係の都道府県の相談所長を集めて会議をやっておりました。陳情に見えたというので私もちょっと中座をしまして、その陳情を伺ってすぐまたその会議に戻ったわけであります。さようなことは全然ございません。はっきり申し上げておきたいと思います。なお補助金のことにつきましては、総務長官がお答えになりました通りでございます。厚生省といたしましてもさようなことを考えておりません。
  13. 田中織之進

    田中(織)委員 それでは私の質問は終了いたします。特に本審議会設置されましたならば、期間も二年間ということをきめておるわけであります。その間に、この何百年来忌まわしい一つ社会問題として起こっておる問題を、この審議会が存続中に根本的な解決へのりっぱな案が立てられるように、提案者気持をくんで政府運営の万全を期していただくことを心から希望いたしまして、私の質問を終わります。
  14. 福田一

    福田委員長 次に大原亨君。もう時間があれですから、簡単にお願いします。
  15. 大原亨

    大原委員 わかりました。今まで部落問題につきましては、社会労働委員会でもしばしば関係各省に御出席願ってやっておったのですが、しかしその一番大きな欠陥というのは、ばらばらに各省に分かれておりまして、責任の分野が明確でなかったわけです。今回こういうふうに審議会ができたわけですけれども、その事務局の責任者は、これはたとえば事務局長という職名がありますが、これは内閣の担当参事官、たとえば、そういうふうな方が担当して責任を持って運営をされる、こういうふうなお考えですか。それとも今まで次官会議や閣僚懇談会におきましても、いろいろビューローの役目は厚生省でやっておられたのですが、今度この中心部になるところは一体どこにするのかということについて、この際提案者政府側の御見解、御意見がありましたら、一つ議事録にとどめておいていただきたいと思います。
  16. 秋田大助

    秋田議員 事務局の所属の問題でございますが、この審議会総理府付属機関として置きまして、そのもとにおける事務局でございますので、提案者といたしましては総理府に置く、こういうふうに考えております。
  17. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 ただいま提案者の御説明通りでございますが、これが成立並びに提案の過程から考えましても、よく関係方々連絡しまして、一応身分といたしましては、総理府に身分を置く者を充てるという程度にいたしまして、具体的には慎重に考慮いたしたいと存じます。
  18. 大原亨

    大原委員 それから審議会ができます過程で、二年間に期限が切ってあるということにつきまして、私どもいろいろ意見を持っておったわけであります。しかし今田中委員お話のように、二年間の間に全力を尽くして実態調査解決策をやるのだ、こういうようなお話一つ意見だと思います。そこで問題となりますのは、非常にむずかしい実態調査をすることと、その実態調査の中から部落民の諸君の要求や、そういうものを取り上げて施策にしていく、こういうことだと思いますが、いろいろ施策については各方面からの施策があると思います。たとえば今まで政府与党の一部、特に与党の一部におきましては、モデル地区という方策で三十億円ずつ十ヵ年計画で三百億円という遠大な計画も出ておりました。これもまた報道された通りであります。しかしそれは本年度は実際にはほんの一部の実施にとどまっておる。モデル地区ということについても社会労働委員会におきまして議論がありました。そういうふうに実態調査と施策につきましては、私は二年間で目的を達しないことも十分予想されると思うのです。そういう際にはぜひともこの問題を解決するために、提案されました方々が話し合って、目的が達成するまでやるのだ、そういう確認で二年間を当面の目標にされている。こういうふうに私は理解をしたいのです。その際には提案者も十分政府と話し合って、施策の進展等を考え問題点解決策の進行状況等を考えて、十分話し合っていただけるかどうか、そういうお気持があるかどうか、期間の二年間につきまして、以上議事録にとどめておいていただく意味で御見解をお話し願いたい。
  19. 秋田大助

    秋田議員 ただいまのこの審議会存続期間の問題でございますが、先ほどお答え申し上げました通り、この問題の早急な解決をはかるために、一つ早く期限を切ってすることが必要ではなかろうか。それには何年にしたらいいか、いろいろ御意見もありましょうが、一応二年ぐらいを限ってすればできるのではなかろうかというふうに考えて、二年に限ったわけであります。同時にまた、あまり同和とか未解放地区とか部落とかいうことが言の端に上ることは、必ずしもわれわれの本旨でない。早くそういう言葉もなるべく人の耳に、あるいは口に上らないようにすることが本来必要なのでございまして、そのためからいっても、なるべく早く有効適切な具体策を実態調査の上に立てまして、総合施策を実行しておく。そしてあとは平穏裏にその効果を期するようにしていくということが本来必要である。そこに私どもは立法精神を置いたのでございますが、どうしてもできないという場合は、その実情に応じて考えてみてもよろしかろうと思いますが、一応二年間にはそれに関する具体的な総合調査を完成してそれを実行に移すようにしたい、こう考えておる次第でございます。
  20. 大原亨

    大原委員 そういう建前で一応二年間とされたことについてはよろしいのですが、しかしこの問題は長い間の大きな問題でございますので、じっくりかまえて総合施策の中で慎重に徹底してやってもらわなければならぬという意味において、そういう時期がきました際においては、この問題については十分話し合った上で、この法案趣旨が貫徹できるようにやってもらいたいということを私は希望いたしておきます。  それからもう一つ希望なんですが、いわゆるモデル地区の問題については、社会労働委員会でもいろいろ議論いたしました。そのときにいろいろ議論がありましたけれども、やはり年次計画を立てて、年次的にしかも総合的に解決策を打ち出していって、政治の上においてそれを解決していくということが私どもはいいと思います。いいと思いますけれども希望意見といたしまして特に記録にとどめておきたい点は、モデル地区というような方式をとりますと、たとえば党派的になってきて、その党派に同調する者に対してそういう施策の恩恵を片寄って浴させるような結果になってくるということは、これは非常に大きな差別行政になりますから、そういうことについて十分超党派的に、実態に即して公平に、しかも年次的、総合的に施策の徹底を期していただきたい。政府も見えておりますので、そういう点についてはくれぐれも慎重にやって、この部落問題が発生した経過を繰り返すことのないように、問題解決について御留意をいただきたいという切なる意見を申し上げておきまして私の質問を終わりたいと思います。
  21. 福田一

    福田委員長 ほかに御質疑はありませんか。——質疑がなければ、これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  22. 福田一

    福田委員長 この際、本法案について国会法第五十七条の三の規定により、内閣に対し意見を述べる機会を与えることといたします。福田総務長官
  23. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 御提案並びに立法の趣旨、御精神に対しまして、政府は全面的にこれを尊重して対処して参りたいと考えております。
  24. 福田一

    福田委員長 これにて内閣意見開陳は終わりました。     —————————————
  25. 福田一

    福田委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  同和問題審議会設置法案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 福田一

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 福田一

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会      ————◇—————