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田中(織)
委員 提案者に私からは以上の二問で終了いたしますが、この
機会に
内閣から
総務長官に
おいでを願っておりますし、
厚生省の方から
社会局長さんにも
おいでをいただいておりまするので、一点だけお
伺いをいたしたい点があります。
それは今月の十日、十一日の両日に千代田区の
社会事業会館で、同じくこの
部落問題に関する
民間団体としての
全日本同和会なるものが発足したことを私
ども聞いておるのでございます。これが発足するまでの
経過についてはいろいろ問題があるわけでありまするが、私は今日それをこの席上で問題にしようとは実は
考えないのであります。実は
部落問題について
民間団体が、私
どもの
部落解放同盟のほかに新たに
全日本同和会なる名称のものができたということにつきましては、この問題に取り組んでおる
民間人の一人といたしましては非常に割り切れないものを持つと同時に、実は残念に思っております。しかしこれは純然たる
民間団体として発足したということでございまするので、この点については私
どもも発足に至るまでの
経過はどうあろうと、同じ目標に向かって進むという
立場で、今後は先方さんがどういうように出るかということは別問題で、出方を見てみなければわかりませんけれ
ども、
連絡もとって進みたいと思うのであります。たまたまこの会の
発会式には、
総理は出られなかったようでありますけれ
ども、
内閣総理大臣から
祝辞も述べられておる。そこで
与党関係の
同和対策議員懇談会の
関係の諸君も来賓として多数参列されたように伺っておるのです。そこでこの
団体が未
解放部落を中心に
下部に流しておりますところを見ますると、これに対して
政府が次の
予算編成の時期なり適当な時期に何らかの
助成措置をする、こういうような
関係で、時の
政府との緊密な
連絡をとるということの
意味ではないかとは思いまするけれ
ども、
補助金云々の問題をこの
団体の
関係者から
下部へ流しておる
文書等も、私らは実は入手いたしておるのであります。この会が終わりましてから、
会長は
山口県の
柳井正男という人であります。あるいは
事務局長兼副
会長は、戦前のいわゆる
融和団体である、なくなられた
平沼騏一郎氏が
会長であった
日本融和協会の役員でありました広島県出身の
山本正夫、こういうような
人たちが、十一日の
発会式を終わったあとで
厚生省で
会議をされておる、こういうことも私らの方に実は耳に入ってきておるのであります。この点については、この
審議会の
設置の問題に
関連をいたしまして、ことしも
予算の
分科会、昨年は
予算の本
委員会で
総理にもやはり
民間団体の
意見をも十分取り入れて
運営するようにということを申し上げて、
総理もそれに賛意を表されてきておるのであります。たまたま新しく発足した、そういう
意味で、
政府、
与党と緊密な
連絡をとられることはわれわれあえて意には介しませんけれ
ども、それに
補助金云々というような
関係を持ちますると、問題が問題だけに非常に片寄ったことになる。
先ほども申しましたように
部落問題というのは、かつての
封建時代の
支配者の人民の
分裂支配の具に供されたというところに
問題点が出てくるのであります。
民間団体の中に
政府の
補助金なり
助成金なりをもらって動く者が出てくるということになると、私は
行政そのものが曲がった形のものになってくるという
危険性を包蔵してくると思う。そういう
意味で、この際
総理が
連絡があったから、またちょうどこういうことで
同和対策審議会等も
設置されるというような気運にある
関係から、
祝辞を述べられたことを私は非難するものではございません。それに
関連をいたしまして、この
団体が特別に
政府の
助成を受けるというようなことについての話し合いが、かりに行なわれておるということになりますると、これは
政府に対して特別にやはり慎重な考慮をしてもらわなければならぬ問題ではないかと思う。その点について、この問題の閣僚懇談会の幹事役という締めくくりをやっておられる
福田総務長官に、その間の
事情について、私が心配するようなことがないとは思いまするけれ
ども、明確にしていただきたい。それから従来は
厚生省がこの問題の
一つの窓口という
関係になっておるので、
全日本同和会関係の諸君も会ができたからということであいさつ程度に伺われたことは当然のことだと思うのでありますけれ
ども、何か
厚生省を中心にして話し合いを持たれたのかどうか、
社会局長からその間の
事情を明らかにしていただきたい。同時に
先ほどから
提案者に対して申し上げました点は、本
法案が幸いに本院を通過し、参議院においても賛成を得られて成立したときには、
運営の衝が当然
総理府に置かれることと
考えますので、
先ほどから
提案者から述べられている点はわかるのですが、
本案が成立した以上は
内閣の責任にもなろうかと思いますので、その点についての
内閣側の御所見をあわせて伺えれば非常に幸いだと思います。